以下、本発明の実施形態におけるシート処理装置としてのシート後処理装置及び画像形成装置を図に基づいて説明する。
(画像形成装置)
図1、図3は、プリンタ部1にシート後処理装置300が接続された画像形成装置200のシート搬送方向に沿った断面図である。なお、シート後処理装置300は、オプションとしてプリンタ部1の本体100に接続されることが多いので、プリンタ部1と第1実施形態のシート後処理装置300は、単独でも動作できるようになっている。画像形成装置には、例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等がある。
また、プリンタ部1とシート後処理装置300は、別々の筐体に組み込まれているが、同一の筐体に組み込まれていてもよい。
さらに、プリンタ部1の本体100には、第1実施形態のシート後処理装置300の代わりに、第2、第3、第4のシート後処理装置370,380,390も接続できるようになっている。
また、各実施形態のシート後処理装置は、ステイプラでシート束を綴じる処理を行うようになっているが、孔あけ処理、糊付け処理等を行えるようになっていてもよい。すなわち、本発明のシート処理装置におけるシートの処理は、ステイプル処理のみに限定されるものではない。
画像形成装置200は、画像処理部として電子写真方式によってシートに画像形成するプリンタ部1を備えている。プリンタ部1の下部には、シート給送部60を構成する給送カセット2、該給送カセット2からシートを送り出す給送ローラ3、及び送り出されたシートを1枚ずつに分離する分離搬送ローラ4a,4b等を配設してある。
シート給送部60の給送カセット2から送り出されたシートは、搬送経路5,6、及びレジストローラ8等によって画像形成手段としての画像形成部61へ搬送される。画像形成部61は、感光ドラム10等を有する画像形成プロセスユニット(以下「カートリッジ」という)9によって構成され、本実施形態ではスキャナ14から感光ドラム10へ画像露光が行われ、公知の電子写真方式によってトナー像を形成し、このトナー像を搬送されてきたシート上に転写形成するようになっている。
画像形成されたシートは、搬送経路7を搬送され、加熱定着器11において加熱、加圧されてトナー像が定着された後、定着排出ローラ12a及び定着排出ころ12b、さらには上排出ローラ32a及び下排出ローラ32bによってシート後処理装置300に送り込まれるようになっている。
プリンタ部1の上部には画像読取部50を配置してある。この画像読取部50は、図1に示すように、スキャナ部51と原稿自動供給装置(以下、「ADF」と言う)52とを有している。ADF52は、原稿積載トレイ53上に積載される複数枚の原稿を給送ローラ54、分離パッド55により1枚ずつ分離搬送して、原稿読取位置56を通過させて原稿記載情報をスキャナ部51に光学的に読み取らせるようになっている。また、ADF52は、装置後方の不図示のヒンジを中心にして後方に開閉できるようになっており、ユーザが原稿台ガラス57上に原稿を載置するとき、ユーザが開くことができるようになっている。
スキャナ部51は、原稿台ガラス57上に載置された原稿を光学キャリッジ58がガイド軸59に沿って横方向に走査しながら原稿記載情報を読み取り、CCDで光電変換する一般的な構造になっている。ADF52による原稿読取の際、光学キャリッジ58は、所定位置に停止して、送り込まれてくる原稿を読み取るようになっている。なお、ここではスキャナ部の詳細説明は省略する。
プリンタ部1は、シート後処理装置300にシートを送り出すため、2つの搬送経路15,30を有している。第1搬送経路15は、定着排出ローラ12a、定着排出ころ12b対より書き込みスキャナ14の上部にシートをスイッチバック搬送させて、反転搬送してシート後処理装置300に排出する経路である。第2搬送経路30は、加熱定着器11から直接シート後処理装置300に排出する経路である。
図3は、第1搬送経路15にシートSが搬送されている状態を示している。第1搬送経路15へは定着排出ローラ12a、ころ12bのシート搬送方向の下流側(以下、単に「下流側」という)に設けられたFD/FUフラッパ21によって切り替えられるようになっている。このFD/FUフラッパ21の下流側、第1搬送経路15の中間部には、合流ローラ16a、合流ころ16bを設けてあり、画像形成部61の上部には反転ローラ17a、反転ころ17b対を設けてある。
反転ローラ17a、反転ころ17bは、後述する第3搬送経路33にシートを送るため、シート搬送方向を逆転できるようになっている。反転ローラ17a、反転ころ17bのさらに下流側には引込み搬送路18を形成してある。その端部18aはカートリッジ9の上方を通過してシートの先端が機外に出ないように回り込んだ搬送路形状を形成している。また、第1搬送経路15の中間部にはシート検知センサ19を設けてある。
直接、シート後処理装置300にシートを排出する第2搬送経路30は、FD/FUフラッパ21によって切り替えられて、上排出ローラ32a、下排出ローラ32bを経由してシート後処理装置300にシートを案内するようになっている。この場合、シートは、画像形成面を上にして(フェイスアップ状態で)案内されるようになっている。
さらに、反転ローラ17a、反転ころ17bと、上排出ローラ32a、下排出ローラ32bとを結ぶ第3搬送経路33の中間部には、搬送ローラ34a、搬送ころ34b、及びシート検知センサ35を設けてある。
また、反転ローラ17a、反転ころ17bの手前(上流側)の第1搬送経路15と第3搬送経路33の合流部付近には、反転フラッパ36を設けてある。この反転フラッパ36は、常に、第1搬送経路15を塞ぐ側に付勢されており、その構成は例えば付勢力を軽く設定してシートの搬送力により押し出し開放されるようにしてもよく、あるいはソレノイドなどによりタイミングで搬送路を切り替えるように構成してもよい。そして、第1搬送経路15及び第3搬送経路33を経由してシート後処理装置300に送り込まれるシートは、画像形成面が下になっている(フェイスダウン状態になっている)。
シートの反転タイミングについて説明する。第1搬送経路15を進行するシートは、例えば、シート検知センサ19がシートの先端または後端を検知し、シートの後端がFD/FUフラッパ21を所定量通過した時点で、反転ローラ17a,反転ころ17b対が逆転する。そして、それまでのシートの後端を第3搬送経路33に導き、搬送ローラ34a、搬送ころ34bに所定量または所定時間受け渡しを行わせる。その後、シートは、上排出ローラ32a、下排出ローラ32bを経由してシート後処理装置300に送り込まれる。
シートは、後端が反転フラッパ36を過ぎ、所定量進行した時点で方向転換し、第3搬送経路33に進入して搬送ローラ34a、搬送ころ34b、上排出ローラ32a、下排出ローラ32bへと搬送されて、シート後処理装置300に送り込まれる。
(第1実施形態のシート後処理装置)
図2は シート処理装置としての第1実施形態のシート後処理装置300のシート搬送方向に沿った断面図である。図4は、スライドガイドの斜視図である。図5は、シート後処理装置300を図3中の矢印A方向から見た平面図である。シート後処理装置300は、上流搬送回転体対としての受取りローラ対310、押さえフラグ315、搬送手段としての中間ローラ対320、押さえフラグ325、基準壁323、処理手段としてのステイプラ360、上面戻し部材であり戻し手段である上パドル322a、下面戻し部材であり戻し手段である下パドル322b、排出手段としての排出ローラ対330、シート幅整合装置303、及びシート積載部としてのシート積載トレイ340等を備えている。搬送方向位置決め手段である基準壁323、上パドル322a、シート幅整合手段としてのシート幅整合装置303等は、位置決め手段を構成している。
受取りローラ対310は、プリンタ部1の上排出ローラ32a、下排出ローラ32bから搬送されてきたシートを受け取るようになっており、受取りローラ310aと、この受取りローラ310aにばねP3で押圧されて従動回転する受取りころ310bとで形成されている。押さえフラグ315は、受取りローラ対310の下流に設けられて、搬送されてきたシートに当接して回動し、受取りローラ対310のニップよりシートの後端を低い位置に規制するようになっている。中間ローラ対320は、受取りローラ対310の下流に設けられて、ばねP2で付勢されたアーム321に軸支された中間ローラ320aと、この中間ローラ320aにばねP4で押圧されて従動回転する中間ころ320bとで形成されている。基準壁323は、中間ローラ対320の下流に設けられて、中間ローラ対320を通過したシートの後端(上流端)の位置決め基準位置となる役目をしている。押さえフラグ325は、基準壁323に突き当てられたシートの後端を、中間ローラ対320のニップより低い位置に規制するようになっている。ステイプラ360は、シート束を針で綴じるようになっている。上パドル322aは、シートの上面に回転して当接し、シートを基準壁323に当接させてシート搬送方向の整合を行うようになっている。下パドル322bは、シートの下面に回転して当接し、シートを基準壁323に当接させてシート搬送方向の整合を行うようになっている。排出ローラ対330は、ばねP1で付勢されたアーム331に軸支された排出上ローラ330aと、この排出上ローラ330aを受け止めて従動回転する排出下ローラ330bとで形成されている。排出ローラ対330は、軸に間隔をおいて、ローラを複数設けた、いわゆる櫛歯ローラ対であるので、シートに腰をつけてシート積載トレイ340にシートを排出し、シート積載トレイ340上でのシートの整列を向上させ、積載しやすくすることができる。シート幅整合装置303は、ステイプルジョブ時に、不図示のジョガーモータMによりシート搬送方向に対して直角方向に移動してシートの支持と整合を行う1対の支持部としてのスライドガイド301,302を有している。シート積載トレイ340は、排出されたシートを積載して昇降するようになっている。
なお、以上の構成において、受取りローラ対310、押さえフラグ315、中間ローラ対320、押さえフラグ325、基準壁323、ステイプラ360、上パドル322a、下パドル322b、排出ローラ対330、及びシート幅整合装置303を総称して第1のシート積載部410と言い、シート積載トレイ340を第2のシート積載部と言う(図2参照)。第1のシート積載部410はシートを積載して処理を施す第1の中間積載部300Bと、第1の中間積載部300B上で処理を行っている間に次のジョブの先頭から所定枚数のシートを一時的に貯留する第2の中間積載部300Cとから構成される。本実施形態においては受取りローラ対310をシート後処理装置300に設けているが、画像形成装置の排出ローラ対32にその機能を持たせた場合には、受取りローラ対310を設けなくても良い。
シート幅整合装置303のスライドガイド301,302は、図4に示すように、シートSのシート搬送方向に沿った両側を案内する側壁301a,302aと、シートSを支持する支持片301c,302cと、シートの浮き上がりを防止する浮き上がり防止片301b,302bとで、断面U字状に形成されて、開口部同士が向き合っている。支持片301c,302cは、第1のシート積載部410に排出されるシートを支持して、シートSの幅方向中央部は支持しないようになっている。すなわち、スライドガイド301,302は、シートのシート搬送方向に沿った両側を支持するようになっている。
本実施形態のシート後処理装置300は、シート束をステイプルして(綴じて)、第2のシート積載部(シート積載トレイ)340に排出積載することができるようになっている。また、単に、シートの画像形成面を下側にしたフェイスダウン状態、または画像形成面を上側にしたフェイスアップ状態で第2のシート積載部340に排出して積載することができるようになっている。
まず、フェイスダウン状態でシートを第2のシート積載部340に単に排出積載する動作を説明する。
図5に示すように、シート搬送方向に対して手前側のスライドガイド301及び奥側のスライドガイド302は、図4に示す支持片301c,302cが搬入されてくるシートSに当接しない位置に、つまりシートSを支持しないシートSの幅方向より所定量Zだけ外側の位置に退避している。
したがって、フェイスダウン状態で第2のシート積載部340に、シート処理されないで単に排出積載されるシートは、画像形成装置200のプリンタ部1の排出ローラ対32から受取りローラ対310によってシート後処理装置300に受け渡されて、中間ローラ対320を通過した後、ステイプラ360の近傍を通過して、排出ローラ対330から、第2のシート積載部340に向けて落下して積載される。
次に、図4乃至図14に基づいて、シートSをステイプルして第2のシート積載部340に排出して積載する動作を説明する。
シートSがシート後処理装置300に進入する信号がプリンタ部1の本体100(図9参照)から入力されると、不図示のジョガーモータMが回転して、図5に示す手前側のスライドガイド301と、奥側のスライドガイド302がともに内側に(互いに接近する方向に)移動し、図6に示すように、進入するシートSの幅よりも所定量da、dbだけ広い位置で停止する。以下、この位置を待機位置と言う。なお、この待機位置ではスライドガイド301の側壁301aが整合動作時の基準位置になる。
ここで、本実施形態のシート後処理装置300は、シートSの幅サイズが通紙可能な最大サイズである場合も、両側の隙間がそれぞれ所定量da,dbとなるように、スライドガイド301,302の待機位置が設定されている。なお、スライドガイド302は、上記よりも幅の狭いシートを整合する場合、それに応じた分だけ手前側に移動して、例えば、図6に示す第1の位置としての待機位置における左側の隙間が常に所定量daだけ生じるようにしている。
ステイプルモードであるので、図6に示すように、スライドガイド301,302のシート支持片301c,302cの端面の間隔Ysは、シートSの幅Yより狭くなっている。2つのスライドガイド301,302は、このような位置にいるので、進入してくるシートSを支持することができる。
図10(a)に示すように、プリンタ部1の排出ローラ対32より搬送された1枚目のシートSはシート後処理装置300の入り口に搬送される。シートは、受取りローラ対310、中間ローラ対320、排出ローラ対330により搬送されて、スライドガイド301,302のシート支持片301c,302c上へ搬送される。この過程で、シートSは、押さえフラグ315,325に当接して、押さえフラグ315,325を時計回り方向に回動させる。なお、押さえフラグ315,325は不図示のばねにより図10(a),図10(b),図10(c)中の反時計回り方向に付勢されている。
このように1枚目のシートSがスライドガイド301,302により形成される面上に搬送された直後に、図10(a)に示すようにアーム331が時計回り方向に回動して、アーム331に軸支されている排出上ローラ330aが上方向に退避することによって、排出ローラ対330のニップが形成されていない状態になる。
これによって、基準壁323から排出ローラ対330までのシート搬送路(中間ローラ対320は入らない)と、ニップを形成していない排出ローラ対330と、図6に示す位置にいるスライドガイド301,302のシート支持片301c,302cとで第1の中間積載部300Bが形成される。
また、これと同時に排出上ローラ330a及び排出下ローラ330bは、駆動を断たれて、回転を停止される。シートSの後端が、中間ローラ対320を完全に抜けると、押さえフラグ325によって、高さ方向の位置を中間ローラ対320のニップより低い位置に規制される。そして、シートSは自重で搬送方向と反対方向に戻り、基準壁323に接近移動をする。シートSの後端が中間ローラ対320のニップより低い位置に規制されているため、次に搬送されてくるシートが、すでに積載されているシートの下側に入り込んでページ順序を逆転させることはない。
図12に示されるように本実施形態においては、後述する第2の中間積載部300Cに積載された次のジョブのシートが第1の中間積載部300Bにすでに積載されているシートの上に一部オーバーラップするように一時貯留される。第1のシート積載部410をこのような構成にすることでシート後処理装置300のシート搬送方向の寸法を減少させることが可能になり、装置の小型化に貢献する。
なお、図2に示すように、第2の中間積載部300Cのシート積載面300Caは、段差としての基準壁323を境にして、第1の中間積載部300Bのシート積載面300Baより高い位置にある。
次に、図7に示すように、奥側のスライドガイド302のみ矢印B方向に移動し、第1の中間積載部300B上に積載されたシートSの幅方向の整合動作が開始される。具体的には、奥側のスライドガイド302が不図示のモータMによって矢印B方向に移動することで奥側のスライドガイド302の側壁302aがシートSの左側の縁に当接して手前側のスライドガイド301側にシートSを押し込む。この動作でシートはステイプラ360の間口(ドライバとクリンチャの間)に進入させられる。なお、シートの左側の縁とは、シート搬送方向の下流側から上流側を見たときの左側の縁である。
そして、シートSの右側の縁が手前側のスライドガイド301の側壁301aに突き当たることで、シートの幅方向の整合が完了する。シートの右側の縁とは、シート搬送方向の下流側から上流側を見たときの右側の縁である。このようにして、整合されたシートは、図8、図14に示すように、受取りローラ対310、中間ローラ対320によって搬送されるシートの搬送領域361から、すなわち、シート搬送方向と交差する方向に所定量ずれており、シートの整合位置が、ステイプラ360によってステイプルされる位置Eに設定されている。スライドガイド301,302は、第2の中間積載部300C上のシートと第1の中間積載部300B上のシートが重ならない第1の中間積載部300Bの下流側領域に設けられるため、第1の中間積載部300B上のシートのみを整合することができる。
このように、図14に示すように、ステイプラ360をシートの搬送領域361から距離Pだけ離れた位置に配設して、ステイプルされる位置(シート処理位置)Eを、図8、図14に示すように、シート搬送領域361の外側に設定してあるのは、後述する先行ジョブのシート束をステイプラ360がステイプルするとき、送り込まれてきている次ジョブのシートを誤って、先行ジョブのシート束と一緒にステイプルしないようにするためである。なお、本実施形態のシート後処理装置をステイプラで説明したが、シート後処理装置を例えば孔あけ処理のためにパンチ手段とした場合、先行シートの先端側に孔あけ処理を施すようにパンチ手段を配置すれば次ジョブのシートと一緒に処理することがない。
そして、奥側のスライドガイド302は、整合動作後、シートSの幅より広がる方向に移動し、再び、待機位置で次のシートが搬送されてくるのを待つ。
図4に示すように、スライドガイド301,302は、シートの幅方向の整合を行った後、若干外側に待避して、シートSの整合方向の規制をラフな状態にし、シートSがシート搬送方向に移動できるようにする。その後、図10(a)(b)に示すように、上パドル322aがパドル軸350を中心にシートSの上面に当接しながら反時計回り方向に1回転し、シートSの上流端(後端)を基準壁323に突き当てシートの後端を整合する。シートは、基準壁323によってシート搬送方向の上流側端部が確実に整合される。
以上の動作で1枚目のシートのシート搬送方向及び幅方向の整合が行われたことになる。なお、このように整合された状態を保つために図7、図13に示すように整合された状態のシートの右端縁の近傍には、押圧保持装置400を配設してある。押圧保持装置400は、ソレノイドGによって、上下方向に回動するレバー400bを備えている。レバー400bの先端には摩擦部材400aを設けてある。押圧保持装置400は、スライドガイド301,302による整合動作が終了した後、次に進入してくる後続シートが、先に整合されている先行シートに当接する前に、摩擦部材400aで先行シートの上面を押圧することにより、後続シートにより先行シートが移動して、整合が乱れないようにしている。押圧保持装置400は、シートの搬送領域361外の部分を押さえるようになっている。このような位置を押さえるのは、シートを押さえているレバー400bが、シートの搬送領域361を搬送されてくる後続のシートの邪魔にならないようにするためである。
このようにして1枚目のシートの整合が終了した後、2枚目のシートが搬送されてくる。2枚目以降のシートの搬送時には、排出ローラ対330が離間しているため、シートSは、後端が中間ローラ対320を完全に抜けると、自重で搬送方向とは逆方向に戻り、基準壁323に接近移動をする(図10(a)参照)。この後、図10(a)に示す動作と同様に、上パドル322aがパドル軸350を中心に反時計回り方向にシートSの上面に当接しながら1回転する。これによりシートSが基準壁323に突き当てられて整合される。なお、2枚目シートのここからの幅整合動作は1枚目シートと全く同様であるので説明を省略する。
シート後処理装置300は、このような動作を繰り返し行い、1ジョブの最後(n番目)のシート(Sn)を整合する動作を行う。そして、奥側のスライドガイド302がシートの右側の縁を手前側のスライドガイド301に突き当て、奥側のスライドガイド302の移動が停止した図7及び図10の状態で、シート束の後端の右側に配設してあるステイプラ360がシート束の後端の右側をステイプルする動作を開始する。レバー400bでシート束のステイプラ360近傍を押さえることにより、整合状態を維持したままステイプル処理することが可能である。
以上の動作において、本シート後処理装置300は、各シートの整合動作中、手前側のスライドガイド301を基準位置に停止させ、奥側のスライドガイド302のみ移動させて各シートの右側の縁を手前側の基準位置に揃えるようになっているので、手前側のスライドガイド301側に固定配置してあるステイプラ360による綴じ処理を正確かつ確実に行うことができる。シートの幅整合は、シート1枚ごとに行っても良いし、1つのジョブの複数枚のシートを一度に行ってもよい。
次に、ステイプラ360の綴じ処理動作中に、図10(c)に示すように、アーム321が時計回り方向に回動して、アーム321に軸支された中間ローラ320aが中間ころ320bから離間する。これによって、中間ローラ対320はニップを形成していない状態で、ニップを形成した受取りローラ対310と、排出ローラ対330の上流側近傍(排出ローラ対330は入らない)との間で第2の中間積載部300Cが形成される。また、排出ローラ対330がニップを形成しているかいないかは、関係ない。さらに、スライドガイド301,302がシートを支持できる状態になっているか、いないかは関係ない。
この状態で、シート後処理装置600は、図10(c)に示すように、次ジョブの1枚目のシートS2を受け入れる。次ジョブの1枚目のシートS2は、受取りローラ対310により搬送されて、後端が受取りローラ対310のニップを抜け、押さえフラグ315にシートの後端を規制されて一時的に第2の中間積載部300Cに積載される。
図14は第2の中間積載部300CにシートS2が積載されたときの平面図である。シートS2は、ステイプラ360からシート搬送方向に対して交差する方向に逃げた位置にいるため、ステイプラ360がステイプル動作をしても、次ジョブのシートS2を綴じる(ステイプルする)ようなことがない。
一方、先行ジョブのシート束S1は、ステイプル動作が終了すると、図11(a)に示すように、アーム331が反時計回り方向に回転して、アーム331に軸支してある排出上ローラ330aを排出下ローラ330bに接近させて排出ローラ対330を形成すると、排出上ローラ330a及び排出下ローラ330bが、回転を始める。これにより、先行ジョブのシート束S1は、排出ローラ対330に挟持されてスライドガイド301,302により形成される第1の中間積載部300B上に搬送される。
そして、先行ジョブのシート束S1が排出ローラ対330から完全に排出されると、不図示のジョガーモータMが始動して、両スライドガイド301、302が図7に示す状態から広がる方向に移動する。
さらに、両スライドガイド301,302の間隔がシートの幅近傍又はそれより広くなったとき、スライドガイド301,302に支持されているステイプル済みの先行ジョブのシート束S1は、図11(b)に示すように落下し、シート積載部340に積載される。なお、このときの両スライドガイド301,302の位置を、例えば、図6に示す第1の位置に対して、第2の位置という。
図11(c)に示すように、先行ジョブのシート束S1がシート積載部340に積載された後、アーム331が時計回り方向に回動して、アーム331に軸支された排出上ローラ330aを排出下ローラ330bから離間させる。そして、排出上ローラ330a及び排出下ローラ330bが回転を停止する。
また、ジョガーモータMが回転して、手前側のスライドガイド301,奥側のスライドガイド302がともに内側に(互いに接近する方向に)移動し、図6に示すように進入するシートSの幅よりも所定量da,dbだけ広い位置で停止する。
これによって、基準壁323から排出ローラ対330までのシート搬送路と、ニップを形成していない排出ローラ対330と、図6に示す位置にいるスライドガイド301,302のシート支持片301c,302cとで第1の中間積載部300Bが再度形成される。
この第1の中間積載部300Bが形成されるまでに、次ジョブの2枚目のシートが第2の中間積載部300Cに積載される。すなわち、図11(b)において、中間ローラ320aが中間ころ320bから離れている状態において、次ジョブのシートが受取りローラ対310によって送り込まれる。次ジョブのシートは、受取りローラ対310によって、搬送完了した位置で停止して、第2の中間積載部300Cに積載される。
このように、本実施形態のシート後処理装置300は、先行ジョブのシート束S1のステイプル動作、及びステイプル処理された該シート束S1を第2のシート積載部340に積載する動作を行っている間に、次ジョブのシートを第2の中間積載部300Cに貯めておくことができるので、プリンタ部1のエンジンのスループットを落とすことなくステイプル処理を行うことができる。また、図12に示すように第2の中間積載部300C上のシートと第1の中間積載部300B上のシートとが一部オーバーラップするので、シート搬送方向の寸法を減少させることができ、シート後処理装置300を小型化することが可能となる。
その後、アーム321が反時計回り方向に回転してアーム321に軸支された中間ローラ320aが中間ころ320bに圧接されて、中間ローラ対320にニップが形成される。中間ローラ対320は、回転して次ジョブの2枚のシート束S2を第1の中間積載部300Bへ搬送する。本実施形態においては、第1の中間積載部300B上での先行ジョブのシートの処理中に、次ジョブの2枚のシートを第2の中間積載部300C上に一時的に貯留して、時間調整を行うようになっているが、第2の中間積載部300C上に一時的に貯留するシートの枚数はシート搬送間隔とシート処理の時間によって変更される。つまり、処理中の先行ジョブのシートに衝突することなく、かつ処理されたシート束が第2のシート積載部340に積載された後、遅滞なく速やかに次ジョブのシートが第1の中間積載部300Bに搬送されるような一時貯留枚数が設定される。
そして、図7に示すように、奥側のスライドガイド302のみ矢印B方向に移動し、第1の中間積載部300B上に積載された2枚のシート束S2の幅方向の整合動作が開始される。具体的には、奥側のスライドガイド302が不図示のモータMによって矢印B方向に移動することで、奥側のスライドガイド302の側壁302aがシートSの左側の縁に当接して手前側のスライドガイド301側にシートS2を押し込む。この動作でシートはステイプラ360の間口に進入させられる。
そして、シートSの右側の縁が手前側のスライドガイド301の側壁301aに突き当たることで、シートの幅方向の整合が完了する。このように、シートが整合された位置は、ステイプラ360によってステイプルされる位置Eに設定されている。奥側のスライドガイド302は、整合動作後、シートSの幅より広がる方向に移動し、再び、待機位置で次のシートが搬送されてくるのを待つ。
図4に示すように、スライドガイド301,302は、シートの幅方向の整合を行った後、若干外側に待避して、シートSの整合方向の規制をラフな状態にし、シートSがシート搬送方向に移動できるようにする。その後、図11(c)に示すように、上側のシートは、上パドル322aがパドル軸350を中心に上側のシートSの上面に当接しながら反時計回り方向に1回転して、上側のシートSの上流端(後端)を基準壁323に突き当て上側のシートの後端を整合される。下側のシートは、下パドル322bがパドル軸351を中心に時計回り方向に下側のシートの下面に当接しながら1回転して、シートが基準壁323に突き当てられて整合される。
そして、これらの動作で2枚のシートのシート搬送方向及び幅方向の整合が行われたことになる。この後の動作は先行ジョブと全く同様なので省略する。
このようにして、次ジョブの2枚のシートの整合が終了した後、3枚目のシートが搬送されてくる。3枚目以降のシートは第2の中間積載部300Cで停止することなく順次第1の中間積載部300Bへ搬送される。また、3枚目以降のシートの搬送時には、排出ローラ対330が離間しているため、シートSは、後端が中間ローラ対320を完全に抜けると、自重で搬送方向とは逆方向に戻り、基準壁323に接近移動する。この後、図10(a)に示す動作と同様に、上パドル322aがパドル軸350を中心に反時計回り方向にシートSの上面に当接しながら1回転する。これによりシートSが基準壁323に突き当てられて整合される。なお、ここからの幅整合動作は先行ジョブの1枚目のシートの幅整合動作と全く同様であるので説明を省略する。
シート後処理装置300は、このような動作を繰り返し行い、1ジョブの最後(n番目)のシート(Sn)を整合する動作を行う。そして、奥側のスライドガイド302がシートの右側の縁を手前側のスライドガイド301に突き当て、奥側のスライドガイド302の移動を停止した図7及び図10の状態で、シート束の後端の右側に配設してあるステイプラ360がシート束の後端の右側をステイプルする動作を開始する。
さらに、次ジョブのシートがある場合、前述の第2の中間積載部300Cを形成して、ステイプル動作、及びステイプル処理されたシート束を第2のシート積載部340に積載する動作を行っている間に、次ジョブのシートを第2の中間積載部300Cに貯めておくことができるので、プリンタ部1のエンジンのスループットを落とすことなくステイプル処理を行うことができる。
このジョブが最終ジョブの場合には、ステイプル動作が終了すると、アーム331が反時計回り方向に回転して、アーム331に軸支してある排出上ローラ330aを排出下ローラ330bに接近させて排出ローラ対330を形成すると、排出上ローラ330a及び排出下ローラ330bが、回転を開始する。これにより、シート束Sは排出ローラ対330に挟持されてスライドガイド301,302により形成される第1の中間積載部300B上に搬送される。
そして、シート束が排出ローラ対330から完全に排出されると、不図示のジョガーモータMが始動して、両スライドガイド301、302が図7に示す状態から広がる方向に移動する。
さらに、両スライドガイド301,302の間隔がシートの幅近傍又はそれより広くなったとき、スライドガイド301,302に支持されているステイプル済みのシート束は、落下し、第2シート積載部340に積載される。
以上説明したように、本実施形態のシート後処理装置300は、ステイプル動作及びステイプル処理された先行ジョブのシート束を第2のシート積載部340に積載する動作を行っている間に、中間ローラ対320、排出ローラ対330の内、少なくとも中間ローラ対320の中間ローラ320aが中間ころ320bから離れているので、次ジョブのシートを第2の中間積載部300Cに貯めておくことができて、先行ジョブのシート処理中、プリンタ部1のエンジンを停止させたり、プリント速度を落としたりする必要がなく、シートの処理能率の低下を防止することができる。
しかも、シート搬送領域の外側にシート処理位置が設定されているので、後続のシートを先行のシートと一緒に誤って綴じるようなことがない。
また、本実施形態のシート後処理装置300は、第1の中間積載部300Bと第2の中間積載部300Cがオーバーラップしているため、すなわち、第1の中間積載部300Bに積載される先行ジョブのシートの上流側部分と第2の中間積載部300Cに積載される次ジョブのシートの下流側部分が重なった状態で、後処理動作を行うため、シート搬送方向の長さを短くして小型で安価にすることができる。
さらに、本実施形態のシート後処理装置300は、シートのシート搬送方向の上流端を整合するとき、シートの下面に当接してシートを上流側に搬送するように下パドル322b設けたことでシートの整合性を向上させることができた。
したがって、本発明は、プリンタ部1のエンジンの画像形成速度を維持しまま、小型で安価な、整合性に優れている本実施形態のシート後処理装置300を提供することができる。
(第2実施形態のシート後処理装置)
図15は、第2実施形態のシート後処理装置をシート搬送方向に沿った断面図である。
第1実施形態のシート後処理装置300は、例えば、図17(a)において、先行ジョブのシート束S1をステイプルしている間に、次ジョブのシートS2のように、長さが受け取りローラ対310から排出ローラ対330までの距離以上の長さのシートであると、ステイプルを終了した先行ジョブのシート束S1を排出ローラ対330で排出すると、次ジョブのシート束をステイプルしないで、次ジョブのシートS2も一緒に排出することになる。
この問題を解決したのが、第2実施形態のシート後処理装置370であり、本シート後処理装置370は、第1実施形態のシート後処理装置300にシート束排出装置500を新たに設けた構成にして、シートの長さが受け取りローラ対310から排出ローラ対330までの距離以上のシートであっても、次ジョブのシートを貯めておくことができるようになっている。第1実施形態のシート後処理装置300と同一部分については同一符号を付してその部分の説明は、省略することとする。
処理後搬送手段としてのシート束排出装置500は、プーリ510a,510bに掛け渡されて反時計回り方向に循環可能なベルト520と、このベルト520に設けてある突起部としての排出片520aとを有している。ベルト520は、図16に示すようにシートの搬送中心を対称にして手前側と、奥側とに都合2本設けてある。排出片520aは、図15に示すように、基準壁323の上流側に待機している。
図17は、第2の中間積載部300Cにシートが積載された状態において、第1の中間積載部300Bでステイプル処理されたシート束を排出する動作説明用の図である。
図17(a)(b)に示すように、排出上ローラ330aがシート束から離間した状態で、プーリ510a,510bが反時計回り方向に回転すると、ベルト520も反時計回り方向に回転し、排出片520aが基準壁323より左側(下流側)に移動してシート束Sの後端面に当接してそのシート束を左側に移動させる。
その後、排出片520aが、図17(c)の位置まで移動すると、手前側スライドガイド301と奥側スライドガイド302が不図示のジョガーモータMの回転より、図7に示すような位置から広がる方向に移動する。そして、両スライドガイド301,302の間隔が、シートの幅近傍又はそれより広くなったとき、両スライドガイド301,302に支持されているステイプル済みのシート束が、図17(c)に示すように落下して、シート積載トレイ340に積載される。
本実施形態のシート後処理装置370は、ステイプラ360が先行ジョブのシート束S1を綴じるときから、シート束排出装置500が先行ジョブのシート束をステイプラ360の下流側に搬送するまで、受取りローラ対310が次ジョブのシートS2を搬送し、かつ中間ローラ対320の中間ローラ320aが中間ころ320bから離れて、次ジョブのシートS2の搬送に関与しないようになっているので、先行ジョブのシート束S1を綴じている間に、受取りローラ対310から排出ローラ対330までの長さを有する次ジョブのシートS2であっても受け入れて貯めておくことができて、シートの処理能率を高めることができる。
なお、シート束排出装置500は、受取りローラ対310から排出ローラ対330まで届かない長さのシート束であっても排出することができる。このため、排出ローラ対330は、必ずしも必要としないが、シートをステイプルしないで、順次排出する場合には、シート束排出装置500によって排出する場合よりも、効率よく排出することができる。
また、シート搬送領域の外側にシート処理位置が設定されているので、次ジョブのシートを先行ジョブのシートと誤って一緒に綴じるようなことがない。
(第3実施形態のシート後処理装置)
図18は、第3実施形態のシート後処理装置をシート搬送方向に沿った断面図である。図19は、シートを受け入れた状態の図である。
第1の実施形態では、手前側スライドガイド301と奥側のスライドガイド302とで、シートのシート搬送方向に沿った両側を支持して、その両側からシートの幅方向の整合を行っていたが、本実施形態のシート後処理装置380は、シートの支持を昇降可能な積載手段としてのシート積載トレイ640で行い、シートの幅方向の整合を整合片としての整合板601,602で行うようになっている。
すなわち、整合板601,602は、第1実施形態のスライドガイド301,302のシート支持片301c,302cを削除した形状をしており、シートの搬送方向の案内、シートの幅整合を行うようになっている。また、第1の中間積載部300Bは、排出上ローラ330aが排出下ローラ330bから離間することで、シート積載トレイ640から中間ローラ対320の間で形成されるようになっている。なお、シート束排出装置500は、必ずしも必要としない。
シートの整合動作を図19に基づいて説明する。
排出上ローラ対330aが排出下ローラ330bから離れることで、シート積載トレイ640から中間ローラ対320の間に形成された第1の中間積載部300Bに積載されたシートは、上パドル322aによって上流端を基準壁323に押し当てられて上流端が整合され、及び整合板601,602により幅が整合される。
整合板601,602のシートの幅方向(シート搬送方向に対して直交する方向)における整合動作位置は、第1実施形態のスライドガイド301,302と同様である。
図19には、シート積載トレイ640に先行するシート束がない場合についての図である。第1の中間積載部300Bは、シート積載トレイ640の上面で形成されているが、先行ジョブのシートがある場合、その先行ジョブのシートの上面で形成されることになる。シート積載トレイ640は、シートが積載されると、不図示のシート積載面検知センサによりシートの上面を検知されて、シートの上面が常に一定の高さを維持できるように昇降機構により下降動作をする。
この構成によればシートの支持をシート積載トレイ640で行うので、整合板601,602は、シートを支持する必要がなく、第1実施形態のスライドガイド301,302より形状を簡単にすることができる。また、シート支持片301c,302cを削除したことによって、ユーザがシートを取り出す空間を広くして、ユーザがシートを取り出しやすくなる。
(第4実施形態のシート後処理装置)
なお、以上の実施形態におけるシート後処理装置300,370,380は、例えば、図11(c)に示すように、下パドル322bが時計回り方向に回転して、最下位にあるシートの下面に接触し、そのシートを上流側に逆送して基準壁323に当接させるようになっているが、図20に示す第4実施形態のシート後処理装置390のように、下パドル322bを廃止して、排出上ローラ330aが離れた状態において、排出下ローラ330bを時計回り方向に回転させて、下パドル322bの代わりに最下位にあるシートを逆送するようにしてもよい。この場合、排出下ローラ330bはゴムなどの摩擦係数の高い材料で形成されていることが好ましい。
このように、下パドル322bを廃止して、排出下ローラ330bを下パドル322bと兼用すると、構造を簡素にして、コストを下げることができる。
なお、シート後処理装置300,370,380,390における受取りローラ対310、中間ローラ対320、及び排出ローラ対330は、ローラ、ころで形成されているが、循環するベルト対で形成されていてもよい。ローラ、ころに限定されるものではない。