WO2021200778A1 - 電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
本願発明は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解液と、を備えた電気化学デバイスであって、正極活物質は、導電性ポリマーを含み、電解液は、導電性ポリマーにドープおよび脱ドープされるアニオンを含む。放電状態において、電解液中におけるアニオンの濃度は1.1mol/L以上1.6mol/L以下である。
Description
本発明は、導電性高分子を含む活性層を具備する電気化学デバイスに関する。
近年、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの中間的な性能を有する電気化学デバイスが注目を集めており、例えば導電性高分子を正極材料として用いることが検討されている(例えば、特許文献1)。正極材料として導電性高分子を含む電気化学デバイスは、アニオンの吸着(ドープ)と脱離(脱ドープ)により充放電を行うため、反応抵抗が小さく、一般的なリチウムイオン二次電池に比べると高い出力を有している。
導電性高分子としては、ポリアニリンが期待されている。特許文献2には、ポリアニリンを含み、ポリアニリン全体におけるポリアニリン酸化体の割合を0.01~75%とした蓄電デバイス用正極が記載されている。
しかしながら、特許文献1または2に記載の正極を用いても、十分な特性の電気化学デバイスが得られない場合がある。特に、充電状態および放電状態の両方で、内部抵抗を低く維持するのが困難である。
上記に鑑み、本発明の一局面は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解液と、を備え、前記正極活物質は、導電性ポリマーを含み、前記電解液は、前記導電性ポリマーにドープおよび脱ドープされるアニオンを含み、放電状態において、前記電解液中における前記アニオンの濃度は1.1mol/L以上1.6mol/L以下である、電気化学デバイスに関する。
本発明によれば、充電状態および放電状態の両方において、電気化学デバイスの内部抵抗を低く維持できる。
本開示の実施形態に係る電気化学デバイスは、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、電解液と、を備える。正極活物質は、導電性ポリマーを含む。電解液は、導電性ポリマーにドープおよび脱ドープされるアニオンを含む。放電状態において、電解液中におけるアニオンの濃度は1.1mol/L以上1.6mol/L以下である。
なお、上記において、充電状態とは、電気化学デバイスの放電深度(満充電時の容量に対する放電量の比)が10%以下となる状態を意図しており、この状態になるまで充電したときの端子間の電圧が充電終止電圧である。また、放電状態とは、電気化学デバイスの放電深度が90%以上の状態を意図しており、この状態になるまで放電したときの端子間の電圧が放電終止電圧である。充電終止電圧および放電終止電圧は、それぞれ、放電深度が0~10%および90~100%の範囲になるように電気化学デバイスの設計に応じて定めることができる。充電終止電圧および放電終止電圧は、正極材料と負極材料の組合せによって決定される。例えば、導電性高分子としてπ共役系高分子を用い、負極材料としてリチウムイオンの挿入と脱離が可能な炭素材料を用いる場合には、例えば、充電終止電圧は3.6~3.9Vの範囲に定められ、放電終止電圧は2.0~2.7Vの範囲に定められ得る。典型的には、充電状態とは、3.6Vの電圧まで充電した状態をいう。放電状態とは、充電後の電気化学デバイスを2.7Vの電圧まで放電した状態をいう。
本実施形態の電気化学デバイスは、充電によりアニオンが正極に移動し、導電性ポリマーにドープされる。一方、放電時にはアニオンが脱ドープされ、電解液中に放出される。一方、負極では、例えば、リチウムイオン電池と同様、充電時にはカチオン(例えば、リチウムイオン)が負極活物質に吸蔵され、放電時にはカチオンが電解液中に放出される。
したがって、上記電気化学デバイスは、リチウムイオン二次電池と異なり、充放電に伴って電解液中のアニオン濃度(塩濃度)が変化する。アニオン濃度(塩濃度)は、充電状態において低く、放電状態において高い。放電状態におけるアニオン濃度が低いと、充電状態においてアニオン濃度が低くなりすぎ、電解液のイオン伝導度が低下する場合がある。結果、充電状態から放電する際の内部抵抗(DCR)が上昇し、急速放電が困難になる場合がある。
放電時(充電状態)における内部抵抗(DCR)の上昇を抑制し、急速放電を可能とするために、予め電解液に加えるアニオン量を多くして、アニオン濃度を高めておくことも考えられる。しかしながら、放電状態におけるアニオン濃度が高いと、電解液の粘度が増加し、イオン伝導度が低下する場合がある。結果、放電状態から充電する際の内部抵抗(DCR)が上昇し、急速充電が困難になる場合がある。
一般に、電解液におけるイオン電導度は、アニオン濃度(塩濃度)の増加に伴い、最大値に至るまで増加した後減少する山形のピーク分布を有する。アニオン濃度は、このピークを含む所定の範囲内に収まるように設定され得る。急速放電および急速充電が可能とする電気化学デバイスの長所を生かすためには、充電状態および放電状態の両方において、アニオン濃度が上記所定の範囲内にあることが好ましい。
本実施形態の電気化学デバイスによれば、放電時におけるアニオン濃度は1.1mol/L以上1.6mol/L以下の範囲となるように、電解液中のアニオン量を制御することで、充電状態および放電状態の両方において、電解液のイオン電導度を高く維持することが容易となる。これにより、放電特性および充電特性に優れた電気化学デバイスを実現できる。放電状態におけるアニオン濃度は1.2mol/L以上1.6mol/L以下であってもよい。
この場合、電気化学デバイスの充電状態における電解液中のアニオン濃度は、0.65mol/L以上1.0mol/L以下、より好ましくは0.8mol/L以上1.0mol/L以下であってもよい。
放電状態のアニオン濃度は、端子間電圧が2.7Vになるまで導電性ポリマーの重量1g当たり0.03Aの定電流で放電を行った後の電気化学デバイスを分解し、取り出した電解液をイオンクロマトグラフィーにより分析することにより求められる。同様に、充電状態のアニオン濃度は、端子間電圧が3.6Vになるまで導電性ポリマーの重量1g当たり0.03Aの定電流で充電を行った後の電気化学デバイスを分解し、取り出した電解液をイオンクロマトグラフィーにより分析することにより求められる。
導電性ポリマーは、例えば、ポリアニリンを含む。ポリアニリンは、アニリン(C6H5-NH2)をモノマーとする高分子である。ポリアニリンには、ポリアニリンおよびその誘導体が含まれる。例えば、ベンゼン環の一部にメチル基などのアルキル基が付加されたものや、ベンゼン環の一部にハロゲン基等が付加された誘導体なども、アニリンを基本骨格とする高分子である限り、本発明のポリアニリンに含まれる。
ポリアニリンの構造には、(-C6H4-NH-)のベンゾノイド骨格を形成し得る構造単位(IP構造とも呼ばれる)と、(-C6H4=N-)のキノイド骨格を形成し得る構造単位(NP構造とも呼ばれる)とが含まれる。IP構造とNP構造との比率は、ポリアニリン合成時の条件あるいは酸化状態によって変化する。ここで、ポリアニリンの構造を(-(IP)n(NP)m-)と表したときの比率n/mを、IP/NP比と呼ぶ。IP/NP比は、放電状態において1.1以上1.7以下であってもよく、1.2以上1.6以下であってもよい。
IP/NP比が小さい場合、アニオンがドープ/脱ドープされ難く、容量が小さくなる。また、充電および放電の両方において内部抵抗が大きくなり易い。一方、IP/NP比を大きくすることで、容量を高くできるものの、IP/NP比が大きすぎると、高温環境および高温フロート(低電圧負荷環境)条件における性能が低下し、信頼性が低下する場合がある。
さらに、高容量を得るためにIP/NP比を高める場合、アニオンのドープ/脱ドープ量が多くなるため、充放電におけるアニオン濃度の差が大きくなる。結果、充電状態および放電状態の両方において、アニオン濃度を所定の範囲内に収め、電解液のイオン電導度を高く維持することが困難となる場合がある。
IP/NP比を放電時において1.1以上1.7以下、より好ましくは1.2以上1.6以下の範囲とすることで、高い容量を維持し、且つ、内部抵抗の上昇を抑制しながら、高温環境および高温フロート(低電圧負荷環境)条件においても性能低下が抑制された電気化学デバイスを実現できる。加えて、充電状態および放電状態の両方において、高いイオン電導度が得られる所定の範囲内に、電解液のアニオン濃度を維持でき、優れた放電特性および充電特性が得られる。
IP/NP比は、電気化学デバイスから取り出した正極活物質に対し、FT-IR分光を行うことにより測定することができる。測定されたIRスペクトルは、IP構造の窒素原子に起因する第1ピークと、NP構造の窒素原子に起因する第2ピークと、を有する。第1ピークは、通常、1460cm-1以上1540cm-1以下の範囲に現れる。第2ピークは、通常、1550cm-1以上1630cm-1以下の範囲に現れる。第1ピークの積分強度の、第2ピークの積分強度に対する比から、IP/NP比が求められる。
IRスペクトルは、正極を十分に洗浄し、乾燥することにより得られるサンプルの表面の正極活物質について測定すればよい。
上述の通り、IP/NP比を高めることで、容量を高く維持できる。一方で、高容量であることにより、充放電時に多くのアニオンがドープ/脱ドープされる。すなわち、高容量であるほど、放電時と充電時のアニオン濃度の差が大きくなり、放電時と充電時の両方において、電解液のイオン電導度が高い所定の範囲内にアニオン濃度を収めることが困難になる。
放電時と充電時のアニオン濃度の差を低減するために、電解液の量を多くして、アニオン濃度が高くなりすぎないように維持しながら、電解液に含まれるアニオンの総量を高めることも可能である。しかしながら、電解液量を多くするに伴い、セル内の空間(隙間)が少なくなる。結果、充放電に伴う正負極の膨張と収縮、および、充放電によって生じるガス発生が、デバイスの内圧に大きく影響することになる。内圧上昇を抑制するため、電解液の質量Aの導電性ポリマーの質量Bに対する比A/Bを、3.7以上7.2以下としてもよい。
≪電気化学デバイス≫
以下、本発明に係る電気化学デバイスの構成について、図面を参照しながら、より詳細に説明する。
以下、本発明に係る電気化学デバイスの構成について、図面を参照しながら、より詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気化学デバイス200の構成の概略を示す縦断面図である。電気化学デバイス200は、電極体100と、非水電解液(図示せず)と、電極体100および非水電解液を収容する金属製の有底のセルケース210と、セルケース210の開口を封口する封口板220とを具備する。
電極体100は、例えば、それぞれ帯状の負極と正極とを、これらの間に介在するセパレータとともに巻回することにより、柱状の巻回体として構成される。あるいは、電極体100は、それぞれ板状の正極と負極とをセパレータを介して積層した積層体として構成してもよい。正極は、正極芯材および正極芯材に担持された正極材料層を具備する。負極は、負極芯材および負極芯材に担持された負極材料層を具備する。
封口板220の周縁部にはガスケット221が配されており、セルケース210の開口端部をガスケット221にかしめることでセルケース210の内部が密閉されている。中央に貫通孔13hを有する正極集電板13は、正極芯材露出部11xと溶接されている。正極集電板13に一端が接続されているタブリード15の他端は、封口板220の内面に接続されている。よって、封口板220は、外部正極端子としての機能を有する。一方、負極集電板23は、負極芯材露出部21xと溶接されている。負極集電板23は、セルケース210の内底面に設けられた溶接用部材に直接溶接されている。よって、セルケース210は、外部負極端子としての機能を有する。
(正極芯材)
正極芯材には、シート状の金属材料が用いられる。シート状の金属材料は、金属箔、金属多孔体、エッチングメタルなどであればよい。金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタンなどを用い得る。正極芯材の厚みは、例えば10~100μmである。正極芯材には、カーボン層を形成してもよい。カーボン層は、正極芯材と正極材料層との間に介在して、例えば、正極芯材と正極材料層との間の抵抗を低減し、正極材料層から正極芯材への集電性を向上させる機能を有する。
正極芯材には、シート状の金属材料が用いられる。シート状の金属材料は、金属箔、金属多孔体、エッチングメタルなどであればよい。金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタンなどを用い得る。正極芯材の厚みは、例えば10~100μmである。正極芯材には、カーボン層を形成してもよい。カーボン層は、正極芯材と正極材料層との間に介在して、例えば、正極芯材と正極材料層との間の抵抗を低減し、正極材料層から正極芯材への集電性を向上させる機能を有する。
(カーボン層)
カーボン層は、例えば、正極芯材の表面に導電性炭素材料を蒸着し、もしくは、導電性炭素材料を含むカーボンペーストの塗膜を形成し、塗膜を乾燥することで形成される。カーボンペーストは、例えば、導電性炭素材料と、高分子材料と、水または有機溶媒とを含む。カーボン層の厚みは、例えば1~20μmであればよい。導電性炭素材料には、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラックなどを用い得る。中でも、カーボンブラックは、薄くて導電性に優れたカーボン層を形成し得る。高分子材料には、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)などを用い得る。
カーボン層は、例えば、正極芯材の表面に導電性炭素材料を蒸着し、もしくは、導電性炭素材料を含むカーボンペーストの塗膜を形成し、塗膜を乾燥することで形成される。カーボンペーストは、例えば、導電性炭素材料と、高分子材料と、水または有機溶媒とを含む。カーボン層の厚みは、例えば1~20μmであればよい。導電性炭素材料には、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、カーボンブラックなどを用い得る。中でも、カーボンブラックは、薄くて導電性に優れたカーボン層を形成し得る。高分子材料には、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)などを用い得る。
(正極材料層)
正極材料層は、導電性高分子を、正極活物質として含む。正極材料層は、例えば、カーボン層を備える正極芯材を導電性高分子の原料モノマーを含む反応液に浸漬し、正極芯材の存在下で原料モノマーを電解重合することにより形成される。このとき、正極芯材をアノードとして電解重合を行うことにより、導電性高分子を含む正極材料層がカーボン層を覆うように形成される。正極材料層の厚みは、電解電流密度、重合時間等により制御し得る。正極材料層の厚みは、片面あたり、例えば10~300μmである。導電性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000~100000である。
正極材料層は、導電性高分子を、正極活物質として含む。正極材料層は、例えば、カーボン層を備える正極芯材を導電性高分子の原料モノマーを含む反応液に浸漬し、正極芯材の存在下で原料モノマーを電解重合することにより形成される。このとき、正極芯材をアノードとして電解重合を行うことにより、導電性高分子を含む正極材料層がカーボン層を覆うように形成される。正極材料層の厚みは、電解電流密度、重合時間等により制御し得る。正極材料層の厚みは、片面あたり、例えば10~300μmである。導電性ポリマーの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000~100000である。
正極材料層は、電解重合以外の方法で形成されてもよい。例えば、原料モノマーの化学重合により導電性高分子を含む正極材料層を形成してもよい。また、予め合成された導電性高分子もしくはその分散体(dispersion)を用いて正極材料層を形成してもよい。
本実施形態において、導電性ポリマーは、ポリアニリンを含む。正極材料層がポリアニリンを導電性ポリマーとして含む場合、正極材料層を構成する全ての導電性ポリマーに対するポリアニリンの割合は、90質量%以上であってもよい。
電解重合または化学重合は、ドーパントを含む反応液を用いて行い得る。π電子共役系高分子は、ドーパントをドープすることで、優れた導電性を発現する。例えば、化学重合では、ドーパントと酸化剤と原料モノマーとを含む反応液に正極芯材を浸漬し、その後、反応液から引き揚げて乾燥させればよい。また、電解重合では、ドーパントと原料モノマーとを含む反応液に正極芯材と対向電極とを浸漬し、正極芯材をアノードとし、対向電極をカソードとして、両者の間に電流を流せばよい。
正極材料層は、ポリアニリン以外の導電性高分子を含んでいてもよい。ポリアニリンと共に用いることのできる導電性高分子としては、π共役系高分子が好ましい。π共役系高分子としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリチオフェンビニレン、ポリピリジン、または、これらの誘導体を用いることができる。導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1000~100000である。ポリアニリンと共に用いられる導電性高分子の原料モノマーとしては、例えばピロール、チオフェン、フラン、チオフェンビニレン、ピリジンまたはこれらの誘導体を用いることができる。原料モノマーは、オリゴマーを含んでもよい。
なお、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリチオフェンビニレン、ポリピリジンの誘導体とは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリチオフェンビニレン、ポリピリジンを基本骨格とする高分子を意味する。例えば、ポリチオフェン誘導体には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などが含まれる。
正極材料層に含まれるポリアニリンのIP/NP比は、上述の通り、電気化学デバイスの放電時において1.1以上1.7以下の範囲であり、より好ましくは1.2以上1.6以下の範囲である。IP/NP比は、例えば、重合時の温度により制御され得る。重合時の温度が高温であるほど、IP/NP比が高くなり易い。また、IP/NP比は、導電性高分子のドーパントを脱ドープする際の還元条件、例えば、還元剤の種類、還元剤の量、還元温度、還元時間、および/または還元する際に印加する電圧などの条件、あるいは、得られた正極を高温下に放置する際の雰囲気および時間を変更することによっても調節することができる。
電解重合または化学重合は、ドーパントを含む反応液を用いて行うことが望ましい。導電性高分子の分散液や溶液もまた、ドーパントを含むことが望ましい。π電子共役系高分子は、ドーパントをドープすることで、優れた導電性を発現する。例えば、化学重合では、ドーパントと酸化剤と原料モノマーとを含む反応液に正極芯材を浸漬し、その後、反応液から引き揚げて乾燥させればよい。また、電解重合では、ドーパントと原料モノマーとを含む反応液に正極芯材と対向電極とを浸漬し、正極芯材をアノードとし、対向電極をカソードとして、両者の間に電流を流せばよい。
反応液の溶媒には、水を用いてもよいが、モノマーの溶解度を考慮して非水溶媒を用いてもよい。非水溶媒としては、エチルアルコール、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどアルコール類などを用いることが望ましい。導電性高分子の分散媒あるいは溶媒としても、水や上記非水溶媒が挙げられる。
ドーパントとしては、硫酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硼酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン(CF3SO3
-)、過塩素酸イオン(ClO4
-)、テトラフルオロ硼酸イオン(BF4
-)、ヘキサフルオロ燐酸イオン(PF6
-)、フルオロ硫酸イオン(FSO3
-)、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン(N(FSO2)2
-)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン(N(CF3SO2)2
-)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ドーパントは、高分子イオンであってもよい。高分子イオンとしては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸などのイオンが挙げられる。これらは単独重合体であってもよく、2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(正極集電板)
正極集電板は、概ね円盤状の金属板である。正極集電板の中央部には非水電解質の通路となる貫通孔を形成することが好ましい。正極集電板の材質は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、ステンレス鋼などである。正極集電板の材質は、正極芯材の材質と同じでもよい。
正極集電板は、概ね円盤状の金属板である。正極集電板の中央部には非水電解質の通路となる貫通孔を形成することが好ましい。正極集電板の材質は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、チタン、ステンレス鋼などである。正極集電板の材質は、正極芯材の材質と同じでもよい。
(負極芯材)
負極芯材にもシート状の金属材料が用いられる。シート状の金属材料は、金属箔、金属多孔体、エッチングメタルなどであればよい。金属材料としては、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼などを用い得る。負極芯材の厚みは、例えば10~100μmである。
負極芯材にもシート状の金属材料が用いられる。シート状の金属材料は、金属箔、金属多孔体、エッチングメタルなどであればよい。金属材料としては、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼などを用い得る。負極芯材の厚みは、例えば10~100μmである。
(負極材料層)
負極材料層は、負極活物質として、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出する材料を備える。このような材料としては、炭素材料、金属化合物、合金、セラミックス材料などが挙げられる。炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)が好ましく、特に黒鉛やハードカーボンが好ましい。金属化合物としては、ケイ素酸化物、錫酸化物などが挙げられる。合金としては、ケイ素合金、錫合金などが挙げられる。セラミックス材料としては、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、炭素材料は、負極の電位を低くすることができる点で好ましい。
負極材料層は、負極活物質として、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出する材料を備える。このような材料としては、炭素材料、金属化合物、合金、セラミックス材料などが挙げられる。炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)が好ましく、特に黒鉛やハードカーボンが好ましい。金属化合物としては、ケイ素酸化物、錫酸化物などが挙げられる。合金としては、ケイ素合金、錫合金などが挙げられる。セラミックス材料としては、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウムなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、炭素材料は、負極の電位を低くすることができる点で好ましい。
負極材料層には、負極活物質の他に、導電剤、結着剤などを含ませ得る。導電剤としては、カーボンブラック、炭素繊維などが挙げられる。結着剤としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ゴム材料、セルロース誘導体などが挙げられる。
負極材料層は、例えば、負極活物質と、導電剤および結着剤などとを、分散媒とともに混合して負極合剤ペーストを調製し、負極合剤ペーストを負極芯材に塗布した後、乾燥することにより形成される。負極材料層の厚みは、片面あたり、例えば10~300μmである。
負極材料層には、予めリチウムイオンをプレドープすることが望ましい。これにより、負極の電位が低下するため、正極と負極の電位差(すなわち電圧)が大きくなり、電気化学デバイスのエネルギー密度が向上する。
リチウムイオンの負極へのプレドープは、例えば、リチウムイオン供給源となる金属リチウム層を負極材料層の表面に形成し、金属リチウム層を有する負極を、リチウムイオン伝導性を有する電解液(例えば、非水電解液)に含浸させることにより進行する。このとき、金属リチウム層からリチウムイオンが非水電解液中に溶出し、溶出したリチウムイオンが負極活物質に吸蔵される。例えば負極活物質として黒鉛やハードカーボンを用いる場合には、リチウムイオンが黒鉛の層間やハードカーボンの細孔に挿入される。プレドープさせるリチウムイオンの量は、金属リチウム層の質量により制御することができる。プレドープされるリチウム量は、例えば、負極材料層に吸蔵可能な最大量の50%~95%程度であってもよい。
負極にリチウムイオンをプレドープする工程は、電極群を組み立てる前に行なってもよく、非水電解液とともに電極群を電気化学デバイスのケースに収容してからプレドープを進行させてもよい。
(負極集電板)
負極集電板は、概ね円盤状の金属板である。負極集電板の材質は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼などである。負極集電板の材質は、負極芯材の材質と同じでもよい。
負極集電板は、概ね円盤状の金属板である。負極集電板の材質は、例えば銅、銅合金、ニッケル、ステンレス鋼などである。負極集電板の材質は、負極芯材の材質と同じでもよい。
(セパレータ)
セパレータとしては、セルロース繊維製の不織布、ガラス繊維製の不織布、ポリオレフィン製の微多孔膜、織布もしくは不織布などを用い得る。セパレータの厚みは、例えば10~300μmであり、10~40μmが好ましい。
セパレータとしては、セルロース繊維製の不織布、ガラス繊維製の不織布、ポリオレフィン製の微多孔膜、織布もしくは不織布などを用い得る。セパレータの厚みは、例えば10~300μmであり、10~40μmが好ましい。
(電解液)
電解液は、イオン伝導性を有し、アニオンと、カチオンと、アニオンおよびカチオンを溶解させる溶媒とを含む。このとき、アニオンは、正極へのドープと脱ドープとを、可逆的に繰り返すことが可能である。一方で、カチオンは、可逆的に負極に吸蔵および放出される。通常、アニオンおよびカチオンは、アニオンとカチオンとの塩の形で溶媒に加えられる。カチオンは、リチウムイオンであってもよい。この場合、電解液は、リチウム塩を含む。電解液におけるアニオン濃度(塩濃度)は、放電状態において1.1mol/L以上1.6mol/L以下である。
電解液は、イオン伝導性を有し、アニオンと、カチオンと、アニオンおよびカチオンを溶解させる溶媒とを含む。このとき、アニオンは、正極へのドープと脱ドープとを、可逆的に繰り返すことが可能である。一方で、カチオンは、可逆的に負極に吸蔵および放出される。通常、アニオンおよびカチオンは、アニオンとカチオンとの塩の形で溶媒に加えられる。カチオンは、リチウムイオンであってもよい。この場合、電解液は、リチウム塩を含む。電解液におけるアニオン濃度(塩濃度)は、放電状態において1.1mol/L以上1.6mol/L以下である。
リチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiFSO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、LiBCl4、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)2などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、アニオンとして好適なハロゲン原子を含むオキソ酸アニオンを有するリチウム塩およびイミドアニオンを有するリチウム塩よりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが望ましい。電解液のイオン伝導性が高まるとともに、集電体やリードなどの金属部品の腐食を抑制することができる観点から、六フッ化リン酸リチウムを含む電解液を用いることが好ましい。
溶媒は、非水溶媒であってもよい。非水溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトンなどのラクトン類、1,2-ジメトキシエタン(DME)、1,2-ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、トリメトキシメタン、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-プロパンサルトンなどを用いることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非水電解液に、必要に応じて非水溶媒に添加剤を含ませてもよい。例えば、負極表面にリチウムイオン伝導性の高い被膜を形成する添加剤(被膜形成剤)として、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネートなどの不飽和カーボネートを添加してもよい。
上記の実施形態では、円筒形状の捲回型の電気化学デバイスについて説明したが、本発明の適用範囲は上記に限定されず、角形形状の捲回型や積層型の電気化学デバイスにも適用することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
《電気化学デバイスA1~A22、B1~B3》
(1)正極の作製
厚さ30μmのアルミニウム箔を正極集電体として準備した。一方、アニリンおよび硫酸を含むアニリン水溶液を準備した。
(1)正極の作製
厚さ30μmのアルミニウム箔を正極集電体として準備した。一方、アニリンおよび硫酸を含むアニリン水溶液を準備した。
カーボンブラックを水と混錬して得られたカーボンペーストを、正極集電体の裏表の全面に塗布した後、加熱により乾燥して、カーボン層を形成した。カーボン層の厚さは、片面あたり2μmであった。
カーボン層が形成された正極集電体と対向電極とを、硫酸を含むアニリン水溶液に浸漬し、10mA/cm2の電流密度で20分間、電解重合を行ない、硫酸イオン(SO4
2-)がドープされた導電性高分子(ポリアニリン)の層を、正極集電体の裏表のカーボン層上に付着させた。その後、導電性高分子が付着した正極集電体を所定時間、大気雰囲気で、高温環境に置いた。
続いて、硫酸イオンがドープされた導電性高分子を還元し、ドープされていた硫酸イオンを脱ドープした。こうして、硫酸イオンが脱ドープされた導電性高分子を含む活性層を形成した。次いで、活性層を十分に洗浄し、その後、乾燥を行なった。活性層の厚さは、片面あたり35μmであった。
(2)負極の作製
厚さ20μmの銅箔を負極集電体として準備した。一方、ハードカーボン97質量部、カルボキシセルロース1質量部、および、スチレンブタジエンゴム2質量部を混合した混合粉末と水とを重量比で40:60の割合で混錬した負極合剤ペーストを調製した。負極合剤ペーストを負極集電体の両面に塗布し、乾燥して、所定の厚みの負極材料層を両面に有する負極を得た。次に、負極材料層に、プレドープ完了後の電解液中での負極電位が金属リチウムに対して0.2V以下となるように計算された分量の金属リチウム箔を貼り付けた。
厚さ20μmの銅箔を負極集電体として準備した。一方、ハードカーボン97質量部、カルボキシセルロース1質量部、および、スチレンブタジエンゴム2質量部を混合した混合粉末と水とを重量比で40:60の割合で混錬した負極合剤ペーストを調製した。負極合剤ペーストを負極集電体の両面に塗布し、乾燥して、所定の厚みの負極材料層を両面に有する負極を得た。次に、負極材料層に、プレドープ完了後の電解液中での負極電位が金属リチウムに対して0.2V以下となるように計算された分量の金属リチウム箔を貼り付けた。
(3)電極群の作製
正極と負極にそれぞれリードタブを接続した後、図3に示すように、セルロース製不織布のセパレータ(厚さ35μm)と、正極、負極とを、それぞれ、交互に重ね合わせた積層体を捲回して、電極群を形成した。
正極と負極にそれぞれリードタブを接続した後、図3に示すように、セルロース製不織布のセパレータ(厚さ35μm)と、正極、負極とを、それぞれ、交互に重ね合わせた積層体を捲回して、電極群を形成した。
(4)電解液の調製
プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:1の混合物に、ビニレンカーボネートを0.2質量%添加して、溶媒を調製した。得られた溶媒にリチウム塩としてLiPF6を所定濃度で溶解させて、アニオンとしてヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)を有する非水電解液を調製した。
プロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比1:1の混合物に、ビニレンカーボネートを0.2質量%添加して、溶媒を調製した。得られた溶媒にリチウム塩としてLiPF6を所定濃度で溶解させて、アニオンとしてヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)を有する非水電解液を調製した。
(5)電気化学デバイスの作製
開口を有する有底の容器に、電極群と電解液とを収容し、図2に示すような電気化学デバイスを組み立てた。その後、正極と負極との端子間に3.8Vの充電電圧を印加しながら25℃で24時間エージングし、リチウムイオンの負極へのプレドープを進行させた。このようにして、電気化学デバイスを作製した。
開口を有する有底の容器に、電極群と電解液とを収容し、図2に示すような電気化学デバイスを組み立てた。その後、正極と負極との端子間に3.8Vの充電電圧を印加しながら25℃で24時間エージングし、リチウムイオンの負極へのプレドープを進行させた。このようにして、電気化学デバイスを作製した。
正極の作製におけるポリアニリンの重合条件および導電性高分子(ポリアニリン)の層の厚み、電解液の調整において添加したリチウム塩の濃度および電解液量、ならびに、負極の作製における負極合剤ペーストの塗布量を適宜変更し、放電状態におけるポリアニリンのIP/NP比、充放電状態のアニオン濃度、電解液の質量A、および、正極の質量(導電性高分子の質量)Bの組み合わせが異なる電気化学デバイスを複数作製した。表1に、各電気化学デバイスにおけるポリアニリンのIP/NP比、充放電状態のアニオン濃度、電解液の質量A、導電性高分子の質量B、および、導電性高分子の質量に対する電解液の質量の比率A/Bの一覧を示す。表1において、電気化学デバイスA1~A22は実施例であり、電気化学デバイスB1~B3は比較例である。
各電気化学デバイスにおいては、3.6Vまで充電した場合に表1に示す充電状態のアニオン濃度となり、且つ、2.7Vまで放電した場合に表1に示す放電状態のアニオン濃度となるように、電解液のアニオン濃度および液量が調節された。また、IP/NP比は、ポリアニリン重合時における重合温度を40℃~60℃の範囲で変更し、重合後の大気雰囲気での高温処理工程における温度および時間を60℃~80℃、10分~120分の範囲で変更することにより、IP/NP比が1.1~1.8のポリアニリンを合成できた。
(評価)
(1)内部抵抗(DCR)
25℃の環境下で、電気化学デバイスを2.7Vの電圧まで放電し、その後、所定時間(0.05秒~0.2秒)充電した際の電圧降下量から、充電時における内部抵抗(充電DCR)R1を求めた。
(1)内部抵抗(DCR)
25℃の環境下で、電気化学デバイスを2.7Vの電圧まで放電し、その後、所定時間(0.05秒~0.2秒)充電した際の電圧降下量から、充電時における内部抵抗(充電DCR)R1を求めた。
さらに、電気化学デバイスを、25℃で、電気化学デバイスを3.6Vの電圧で充電し、その後、所定時間(0.05秒~0.2秒)放電した際の電圧降下量から、放電時における内部抵抗(放電DCR)R2を求めた。
(2)DCR維持率
25℃の環境下で、電気化学デバイスを3.6Vの電圧で充電した。その後、電気化学デバイスを1000時間、60℃の環境に置いた。その後、電気化学デバイスを25℃の環境に戻し、所定時間放電した際の電圧降下量から、試験後の内部抵抗(DCR)R3を求めた。R3のR2に対する比R3/R2を求め、R3/R2×100をDCR維持率として評価した。
25℃の環境下で、電気化学デバイスを3.6Vの電圧で充電した。その後、電気化学デバイスを1000時間、60℃の環境に置いた。その後、電気化学デバイスを25℃の環境に戻し、所定時間放電した際の電圧降下量から、試験後の内部抵抗(DCR)R3を求めた。R3のR2に対する比R3/R2を求め、R3/R2×100をDCR維持率として評価した。
表2に、電気化学デバイスA1~A22、B1~B3において、充電時および放電時の内部抵抗R1およびR2、およびDCR維持率の評価結果を示す。
表1および表2より、放電状態におけるアニオン濃度を1.1mol/L以上1.6mol/L以下の範囲とした電気化学デバイスA1~A22は、電気化学デバイスB1~B3と比較して、充電時の内部抵抗R1および放電時の内部抵抗R2の上昇を抑制できる。
電気化学デバイスB1では、放電状態におけるアニオン濃度が低く、1.1mol/L未満であるため、充電状態においてアニオン濃度の低下が著しく、充電状態において電解液の電導率が低下する。この結果、放電時における内部抵抗R2の上昇が著しい。一方、電気化学デバイスB2およびB3では、放電状態におけるアニオン濃度を高め、1.6mol/Lを超える濃度とした場合、充電状態におけるアニオン濃度は適度であるが、放電状態におけるアニオン濃度が高くなりすぎ、粘度上昇により電解液の電導率が低下する。この結果、充電時における内部抵抗R2の上昇を抑制し難い。
電気化学デバイスA13~22に示すように、電解液量を導電性高分子の質量に対して高め、電解液に含まれるアニオンの総量を高めることで、高容量であり、且つ、放電時における内部抵抗R2の上昇を抑制することが可能である。ただし、電気化学デバイスA22では、電解液量が導電性高分子の質量に対して多いことから、デバイスの内圧が大きく、DCR維持率の評価において、60℃の環境に1000時間置いた際に防爆弁が作動していた。
本発明に係る電気化学デバイスは、急速充放電特性に優れ、各種電源として好適に利用できある。
100:電極体
10:正極
11x:正極芯材露出部
13:正極集電板
15:タブリード
20:負極
21x:負極芯材露出部
23:負極集電板
30:セパレータ
200:電気化学デバイス
210:セルケース
220:封口板
221:ガスケット
10:正極
11x:正極芯材露出部
13:正極集電板
15:タブリード
20:負極
21x:負極芯材露出部
23:負極集電板
30:セパレータ
200:電気化学デバイス
210:セルケース
220:封口板
221:ガスケット
Claims (4)
- 正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
電解液と、を備え、
前記正極活物質は、導電性ポリマーを含み、
前記電解液は、前記導電性ポリマーにドープおよび脱ドープされるアニオンを含み、
放電状態において、前記電解液中における前記アニオンの濃度は1.1mol/L以上1.6mol/L以下である、電気化学デバイス。 - 充電状態において、前記電解液中における前記アニオンの濃度は0.65mol/L以上1.0mol/L以下である、請求項1に記載の電気化学デバイス。
- 前記導電性ポリマーはポリアニリンを含み、
放電状態において、前記ポリアニリンのIP/NP比は1.1以上1.7以下である、請求項1または2に記載の電気化学デバイス。 - 前記電解液の質量Aの前記導電性ポリマーの質量Bに対する比A/Bは、3.7以上7.2以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス。
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WO2018062337A1 (ja) * | 2016-09-30 | 2018-04-05 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電気化学デバイス |
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Patent Citations (4)
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