WO2021124897A1 - 圧着端子、及び端子付き電線 - Google Patents

Abstract

本開示は、芯線の抜けが抑制される圧着端子を提供する。圧着端子１４は、電線の芯線を包み込むように変形されることで該芯線に圧着される板状の圧着部１５と、圧着部１５の内面に凸設された凸部１６とを備える。圧着部１５の内面１５ａには、交差する内面溝２０が設けられる。

Description

圧着端子、及び端子付き電線

　本開示は、圧着端子、及び端子付き電線に関するものである。

　従来、電線の芯線に圧着される圧着端子としては、電線の芯線を包み込むように変形されることで該芯線に圧着される板状の圧着部と、その圧着部の内面に凸設された凸部とを備えたものがある（例えば、特許文献１参照）。この圧着端子は、圧着部から延出されて折り曲げられた折り曲げ部を備え、前記凸部は、折り曲げ部に連なって設けられることで製造が容易とされている。また、凸部は、折り曲げ部から芯線の延在方向に沿って延びる延在部と、その延在部と交差する方向に延びる交差部とを有し、圧着状態では特に交差部が芯線に食い込むように配置されることになる。よって、特に芯線がアルミニウム系の金属からなる場合等、芯線の表面の酸化被膜が交差部によって破壊されて該表面の電気抵抗が小さくなり、芯線の良好な電気接続が確保される。また、上記のような圧着端子としては、圧着部の内面に、芯線の延在方向と直交する方向に沿って延びる溝が設けられたものがある（例えば、特許文献１（図２３～図２５）参照）。

特開２０１８－８５２３２号公報

　しかしながら、上記のような圧着端子では、圧着状態の芯線が抜け易いという問題があった。特に、上記したように、凸部が芯線の延在方向に沿って延びる延在部を有する場合、芯線の延在部に当接した部位が抜け易くなる。

　本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、芯線の抜けが抑制される圧着端子、及び端子付き電線を提供することにある。

　本開示の圧着端子は、電線の芯線を包み込むように変形されることで該芯線に圧着される板状の圧着部と、前記圧着部の内面に凸設された凸部とを備えた圧着端子であって、前記圧着部の内面には、交差する内面溝が設けられる。

　本開示の端子付き電線は、前記圧着端子と、該圧着端子が圧着された前記電線とを備える。

　本開示の圧着端子、及び端子付き電線によれば、芯線の抜けが抑制される。

図１は、一実施形態における端子付き電線の一部平面図である。 図２は、一実施形態における圧着端子の平面図である。 図３は、一実施形態における圧着端子の断面図である。 図４は、一実施形態における圧着端子の側面図である。

　［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様を列記して説明する。

　［１］本開示の圧着端子は、電線の芯線を包み込むように変形されることで該芯線に圧着される板状の圧着部と、前記圧着部の内面に凸設された凸部とを備えた圧着端子であって、前記圧着部の内面には、交差する内面溝が設けられる。

　同構成によれば、前記圧着部の内面には、交差する内面溝が設けられるため、例えば、単に一方向に沿って延びる内面溝が設けられた場合に比べて、圧着状態の芯線の抜けが抑制される。

　［２］前記内面溝は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられる。

　同構成によれば、前記内面溝は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられるため、芯線の抜けがより抑制される。

　［３］前記内面溝は、該内面溝を構成する全ての溝が前記芯線の延在方向と交差する方向に沿って延びるように設けられる。

　同構成によれば、前記内面溝は、該内面溝を構成する全ての溝が前記芯線の延在方向と交差する方向に沿って延びるように設けられるため、芯線の抜けがより抑制される。

　［４］前記内面溝は、前記圧着部の内面の全領域に設けられる。

　同構成によれば、前記内面溝は、前記圧着部の内面の全領域に設けられるため、芯線の抜けがより抑制される。

　［５］前記凸部が設けられた領域を含めない前記圧着部の内面の面積は、前記凸部の表面積よりも大きく設定される。

　同構成によれば、前記凸部が設けられた領域を含めない前記圧着部の内面の面積は、前記凸部の表面積よりも大きく設定されるため、広い圧着部の内面の全領域に設けられた内面溝によって芯線の抜けが効果的に抑制される。

　［６］前記圧着端子は、前記圧着部から延出されて折り曲げられた折り曲げ部をさらに備え、前記凸部は、前記折り曲げ部に連なって設けられる。

　同構成によれば、前記圧着部から延出されて折り曲げられた折り曲げ部を備え、前記凸部は、前記折り曲げ部に連なって設けられるため、例えば、別体の凸部を圧着部に固定して設ける場合に比べて、凸部を容易に設けることができる。

　［７］本開示の端子付き電線は、前記圧着端子と、該圧着端子が圧着された前記電線とを備える。

　同構成によれば、端子付き電線において、芯線の抜けが抑制される。

　［本開示の実施形態の詳細］
　本開示の端子付き電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

　図１に示すように、端子付き電線１１は、複数の電線１２，１３と、圧着端子１４とを備える。電線１２，１３は、芯線１２ａ，１３ａと該芯線１２ａ，１３ａを被覆する絶縁被覆１２ｂ，１３ｂとを有し、絶縁被覆１２ｂ，１３ｂの一部が除去されている。そして、圧着端子１４は、絶縁被覆１２ｂ，１３ｂが除去されて露出した部位の芯線１２ａ，１３ａに圧着されている。なお、本実施形態の芯線１２ａ，１３ａは、アルミニウム系の金属からなる。

　図２～図４に示すように、圧着端子１４は、芯線１２ａ，１３ａを包み込むように変形されることで該芯線１２ａ，１３ａに圧着される板状の圧着部１５と、その圧着部１５の内面１５ａに凸設された凸部１６とを備える。なお、図２及び図３では、圧着端子１４が芯線１２ａ，１３ａに圧着される前の状態であって芯線１２ａ，１３ａが図示されていないが、図２及び図３中の左右方向を、芯線１２ａ，１３ａが配置された際にその芯線１２ａ，１３ａが延びる方向である芯線１２ａ，１３ａの延在方向として説明する。また、図４に示すように、芯線１２ａ，１３ａの延在方向から見て、本実施形態の圧着部１５は、芯線１２ａ，１３ａに圧着される前の状態で芯線１２ａ，１３ａを収容可能に略Ｕ字状に湾曲して形成され、その収容する側の面が内面１５ａとされている。

　詳しくは、圧着端子１４は、圧着部１５から延出されて折り曲げられた折り曲げ部１７を備え、前記凸部１６は、折り曲げ部１７に連なって設けられている。本実施形態の折り曲げ部１７は、圧着部１５において、芯線１２ａ，１３ａの延在方向の端部の中央から延出されている。また、凸部１６は、圧着部１５の内面１５ａと当接するように設けられ、折り曲げ部１７から芯線１２ａ，１３ａの延在方向に沿って延びる延在部１８と、その延在部１８の先端から延在部１８と交差する方向に延びる交差部１９とを有する。本実施形態の交差部１９は、圧着部１５の内面１５ａ上において延在部１８の先端から延在部１８の延びる方向と直交する方向の両方に延びている。また、交差部１９は、芯線１２ａ，１３ａの延在方向において、圧着部１５の中央に配置されている。

　そして、圧着部１５の内面１５ａには、交差する内面溝２０が設けられている。言い換えると、圧着部１５の内面１５ａには、複数本の溝が交差するように配置されてなる内面溝２０が設けられている。内面溝２０は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられている。また、内面溝２０は、該内面溝２０を構成する全ての溝が芯線１２ａ，１３ａの延在方向と交差する方向に沿って延びるように設けられている。なお、本実施形態では、内面溝２０を構成する各溝の延びる方向と芯線１２ａ，１３ａの延在方向とがなす角度は一定であって４５度とされている。また、内面溝２０は、圧着部１５の内面１５ａの全領域に設けられている。詳しくは、内面溝２０は、凸部１６が設けられた領域を含めない圧着部１５の内面１５ａの全領域に少なくとも設けられ、本実施形態では、凸部１６が重ねて設けられる部位にも設けられている。すなわち、内面溝２０は、折り曲げ部１７が折り曲げられる前の状態であって凸部１６が圧着部１５の内面１５ａに設けられる前の状態で、圧着部１５の内面１５ａの全領域に設けられている。また、凸部１６が設けられた領域を含めない圧着部１５の内面１５ａの面積は、凸部１６の表面積、言い換えると凸部１６が設けられた領域の面積よりも大きく設定されている。

　次に、上記のように構成された端子付き電線１１の作用について説明する。

　図４に示すように、圧着される前の状態の圧着部１５の内側に芯線１２ａ，１３ａが収容され、図４中、矢印Ｘで模式的に示すように、芯線１２ａ，１３ａを包み込むように圧着部１５が変形されることで、圧着端子１４は芯線１２ａ，１３ａに圧着される。この端子付き電線１１では、凸部１６の特に交差部１９が芯線１２ａ，１３ａに食い込むように配置されることで、芯線１２ａ，１３ａの表面の酸化被膜が破壊されて該表面の電気抵抗が小さくなり、芯線１２ａ，１３ａの良好な電気接続が確保される。

　次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。

　（１）圧着部１５の内面１５ａには、交差する内面溝２０が設けられるため、例えば、単に一方向に沿って延びる内面溝が設けられた場合に比べて、圧着状態の芯線１２ａ，１３ａの抜けが抑制される。

　（２）内面溝２０は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられるため、芯線１２ａ，１３ａの抜けがより抑制される。

　（３）内面溝２０は、該内面溝２０を構成する全ての溝が芯線１２ａ，１３ａの延在方向と交差する方向に沿って延びるように設けられるため、芯線１２ａ，１３ａの抜けがより抑制される。

　（４）内面溝２０は、圧着部１５の内面１５ａの全領域に設けられるため、芯線１２ａ，１３ａの抜けがより抑制される。

　（５）凸部１６が設けられた領域を含めない圧着部１５の内面１５ａの面積は、凸部１６の表面積よりも大きく設定されるため、広い圧着部１５の内面１５ａの全領域に設けられた内面溝２０によって芯線１２ａ，１３ａの抜けが効果的に抑制される。

　（６）圧着端子１４は圧着部１５から延出されて折り曲げられた折り曲げ部１７を備え、前記凸部１６は、折り曲げ部１７に連なって設けられるため、例えば、別体の凸部を圧着部１５に固定して設ける場合に比べて、凸部１６を容易に設けることができる。

　本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。

　・上記実施形態では、内面溝２０は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられるとしたが、これに限定されず、少なくとも一箇所で交差していれば、他の内面溝に変更してもよい。例えば、平行で無い複数の溝同士が交差した内面溝としてもよい。また、例えば、溝で囲まれた形が三角形や五角形等となるように溝が交差した内面溝としてもよい。

　・上記実施形態では、内面溝２０は、該内面溝２０を構成する全ての溝が芯線１２ａ，１３ａの延在方向と交差する方向に沿って延びるとしたが、これに限定されず、内面溝２０を構成する溝の一部は、芯線１２ａ，１３ａの延在方向に沿って延びるように設けてもよい。

　・上記実施形態では、内面溝２０を構成する各溝の延びる方向と芯線１２ａ，１３ａの延在方向とがなす角度は一定であって４５度とされるとしたが、これに限定されず、他の角度となるように変更してもよい。

　・上記実施形態では、内面溝２０は、圧着部１５の内面１５ａの全領域に設けられるとしたが、これに限定されず、内面溝２０を圧着部１５の内面１５ａの一部の領域のみに設けてもよい。

　・上記実施形態では、凸部１６が設けられた領域を含めない圧着部１５の内面１５ａの面積は、凸部１６の表面積よりも大きく設定されているとしたが、これに限定されず、凸部１６の表面積以下に設定してもよい。

　・上記実施形態では、圧着端子１４は、圧着部１５から延出されて折り曲げられた折り曲げ部１７を備え、凸部１６は、折り曲げ部１７に連なって設けられるとしたが、これに限定されず、例えば、別体の凸部が圧着部１５に固定して設けられるものとしてもよい。

　・上記実施形態では、凸部１６は、折り曲げ部１７から芯線１２ａ，１３ａの延在方向に沿って延びる延在部１８と、延在部１８と交差する方向に延びる交差部１９とを有するとしたが、これに限定されず、凸部の形状を他の形状に変更してもよい。

　・上記実施形態では、端子付き電線１１は、２本の電線１２，１３を備えたものとしたが、これに限定されず、１本や３本以上の電線を備えたものとしてもよい。すなわち、圧着端子１４は１本や３本以上の電線の芯線に圧着されるものとしてもよい。

　・上記実施形態では、電線１２，１３の芯線１２ａ，１３ａは、アルミニウム系の金属からなるとしたが、これに限定されず、例えば、銅系の金属からなるものとしてもよい。

　・上記実施形態では、特に言及していないが、凸部１６に、芯線１２ａ，１３ａの延在方向と交差する方向に沿って延びる溝を設けてもよい。

　本開示は、以下の実装例を包含する。限定のためでなく、理解の補助として例示的な実施形態のいくつかの構成要素の参照符号を付した。以下の実装例において記述した事項のうちの一部を省略してもよく、実装例において記述した事項のうちのいくつかを選択または抽出して組合せてもよい。

　［付記１］本開示の一または複数の実装例に従う電線（１２）の芯線（１２ａ）に圧着される圧着端子（１４）は、
　前記電線（１２）の収容空間を区画する内面を含む断面視Ｕ字状の圧着部（１５）と、
　前記圧着部（１５）の内面に配置された押圧片（１６）と、を備え、
　前記圧着部（１５）の内面には、互いに交差する複数の内面溝（２０）が形成されている。

　［付記２］本開示のいくつかの実装例では、前記押圧片（１６）は、長尺状を有し、前記圧着部（１５）の長手方向に沿って配置されることができる。

　［付記３］本開示のいくつかの実装例では、前記圧着部は、底板と、前記底板の幅方向における前記底板の第１の端部から延出する第１の側壁と、前記底板の第１の端部とは反対側の第２の端部から延出する第２の側壁と、を含み、前記押圧片（１６）は、前記底板上に前記底板の長手方向に沿って配置されることができる。

　［付記４］本開示のいくつかの実装例では、前記複数の内面溝（２０）は、前記圧着部（１５）の内面全体にわたって網目状で形成され、前記押圧片（１６）は、前記底板の長手方向における前記底板の第１の端部から中央部まで延在されていることができる。

　［付記５］本開示のいくつかの実装例では、前記複数の内面溝（２０）は、前記圧着部（１５）の幅方向における前記圧着部（１５）の対向する２つの端部には形成されていなくてもよい。

　１１　端子付き電線
　１２　電線
　１２ａ　芯線
　１２ｂ　絶縁被覆
　１３　電線
　１３ａ　芯線
　１３ｂ　絶縁被覆
　１４　圧着端子
　１５　圧着部
　１５ａ　内面
　１６　凸部
　１７　折り曲げ部
　１８　延在部
　１９　交差部
　２０　内面溝

Claims (7)

1. 　電線の芯線を包み込むように変形されることで該芯線に圧着される板状の圧着部と、
   　前記圧着部の内面に凸設された凸部と
   を備えた圧着端子であって、
   　前記圧着部の内面には、交差する内面溝が設けられた圧着端子。
2. 　前記内面溝は、平行な複数の溝同士が交差する網目状に設けられた請求項１に記載の圧着端子。
3. 　前記内面溝は、該内面溝を構成する全ての溝が前記芯線の延在方向と交差する方向に沿って延びるように設けられた請求項１又は請求項２に記載の圧着端子。
4. 　前記内面溝は、前記圧着部の内面の全領域に設けられた請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の圧着端子。
5. 　前記凸部が設けられた領域を含めない前記圧着部の内面の面積は、前記凸部の表面積よりも大きく設定された請求項４に記載の圧着端子。
6. 　前記圧着部から延出されて折り曲げられた折り曲げ部を備え、
   　前記凸部は、前記折り曲げ部に連なって設けられた請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の圧着端子。
7. 　請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の圧着端子と、該圧着端子が圧着された前記電線とを備えた端子付き電線。

Images