WO2021005908A1

WO2021005908A1 - 密封装置

Info

Publication number: WO2021005908A1
Application number: PCT/JP2020/021054
Authority: WO
Inventors: 岳洋中川
Original assignee: Nok株式会社
Priority date: 2019-07-10
Filing date: 2020-05-28
Publication date: 2021-01-14
Also published as: CN113710933A; JPWO2021005908A1

Abstract

密封対象液体側シールリップ部のめくれを更に容易に検出することができる密封装置を提供する。　密封装置（１）は、軸線（Ｘ１）を中心とする環状の補強環（１０）と、補強環（１０）に取り付けられ、内周側部材（１０２）と摺動するシールリップ部（３０）が設けられた、弾性体からなる軸線（Ｘ１）を中心とする環状の弾性体部（２０）とを備えている。シールリップ部（３０）は、弾性体部（２０）の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部（４０）と、主シールリップ部（４０）の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部（５０）とを有している。密封対象液体側シールリップ部（５０）の外周側面には、外周側面から外周側に延びる突出部（６０）を少なくとも１つ有している。

Description

密封装置

　本発明は、密封装置に関する。

　従来から、軸線について互いに相対回転可能な環状の外周側部材と、外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材との間を密封する密封装置が知られている（例えば、特許文献１参照。）。

　図４は、従来の密封装置１１０の概略構成を示すための断面図である。密封装置１１０は、ハウジング１１２に固定されるシール本体１１３と、シール本体１１３に一体的に設けられ回転軸１１４と摺動する主シールリップ部１１５と、この主シールリップ部１１５の密封対象液体側（紙面右方向）に配置され回転軸１１４と摺動する密封対象液体側シールリップ部１１６とを有している。

実開平５－３０６３８号公報

　このような密封装置１１０において、回転軸１１４が密封対象液体側から大気側（紙面左方向）に挿入される場合に、密封対象液体側シールリップ部１１６にめくれが発生するおそれがある。すなわち、密封装置１１０においては、回転軸１１４が密封対象液体側から大気側に挿入されるに伴い、密封対象液体側シールリップ部１１６の先端が大気側に向かって巻き込まれるおそれがある。密封対象液体側シールリップ部１１６にめくれが発生したか否かは大気側から目視で確認することが難しいが、密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれにより主シールリップ部１１５と回転軸１１４との間に隙間が生じる。このため、油漏れ検査装置にて密封装置１１０を通して洩れるエアの流れを検査することにより、密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれの有無が検査される。

　ここで、密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれが部分的に発生した場合には、密封対象液体側シールリップ部１１６と回転軸１１４との間に隙間が発生するためエア漏れを検知して密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれを検出することができる。しかしながら、密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれが全周に発生した場合には、密封対象液体側シールリップ部１１６と回転軸１１４との間に隙間が発生しないためエア漏れを検知することができず密封対象液体側シールリップ部１１６のめくれを検出することができないこととなる。このため、従来の密封装置に対しては、密封対象液体側シールリップ部のめくれを更に容易に検出することができる構造が求められている。

　本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、密封対象液体側シールリップ部のめくれを更に容易に検出することができる密封装置を提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明に係る密封装置は、軸線において互いに相対回転可能な環状の外周側部材と、該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材との間を密封する密封装置であって、前記軸線を中心とする環状の補強環と、前記補強環に取り付けられ、前記内周側部材と摺動するシールリップ部が設けられた、弾性体からなる前記軸線を中心とする環状の弾性体部とを備え、前記シールリップ部は、前記弾性体部の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部と、該主シールリップ部の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部とを有し、前記密封対象液体側シールリップ部の外周側面には、該外周側面から外周側に延びる突出部を少なくとも１つ有することを特徴とする。

　本発明の一態様に係る密封装置においては、前記突出部は、前記密封対象液体側シールリップ部の外周側面の中央部分から密封対象液体側に向かうにつれて外周側に延びる断面視三角形状の凸部であり、前記軸線から同心円状に等角度間隔に複数形成されている。

　本発明の一態様に係る密封装置においては、前記密封対象液体側シールリップ部の根元部分から該密封対象液体側シールリップ部の先端までの長さは、前記密封対象液体側シールリップ部の根元部分から前記主シールリップ部の先端までの長さよりも長くなっている。

　本発明に係る密封装置によれば、密封対象液体側シールリップ部のめくれを更に容易に検出することができる。

本発明の実施の形態に係る密封装置の概略構成を示すための断面図である。本発明の実施の形態に係る密封装置の突出部近傍の概略構成を示すための拡大断面図である。本発明の実施の形態に係る密封装置が密封対象に組み付けられた状態である密封構造の概略構成を示す断面図である。従来の密封装置の概略構成を示すための断面図である。

　以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。

　図１は、本発明の実施の形態に係る密封装置１の概略構成を示すための断面図である。図２は、密封装置１の突出部６０近傍の概略構成を示すための拡大断面図である。図１，２においては、密封装置１の片側部分のみが示されている。密封装置１は、例えば車両のウォータポンプ用シール等に用いられる。すなわち、密封装置１は、密封対象の種々の２部材間の隙間を密封する役割を担っている。なお、密封装置１が適用される対象は、上記に限られない。

　本発明の実施の形態に係る密封装置１は、軸線Ｘ１において互いに相対回転可能な環状の外周側部材１０１と、外周側部材１０１に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材１０２との間を密封する密封装置である。密封装置１は、軸線Ｘ１を中心とする環状の補強環１０と、補強環１０に取り付けられ、内周側部材１０２と摺動するシールリップ部３０が設けられた、弾性体からなる軸線Ｘ１を中心とする環状の弾性体部２０とを備えている。

　シールリップ部３０は、弾性体部２０の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部４０と、主シールリップ部４０の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部５０とを有している。密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面には、外周側面から外周側に延びる突出部６０を少なくとも１つ有している。以下、密封装置１の構成について具体的に説明する。

　以下の説明において、説明の便宜上、図１，２における密封装置１の軸線である軸線Ｘ１の方向（以下、軸線Ｘ１方向ともいう。）における一方（矢印ａ方向）である油等の密封対象液体が密封されている側を密封対象液体側とし、他方（矢印ｂ方向）を大気側とする。また、図１，２における密封装置１の軸線Ｘ１に直交して延在する方向（以下、径方向ともいう。）における一方（矢印ｃ方向）を内周側とし、他方（矢印ｄ方向）を外周側とする。以下の説明において、各部材の位置関係や方向を説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の車両等に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。

　図１，２に示すように、密封装置１は、外形が、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状に形成されており、その中央部分には、円筒状又は略円筒状の開口部２が形成されている。密封装置１は、外形が、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状に形成されている。密封装置１は、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円筒状の補強環１０と、補強環１０と一体に成形された弾性体により形成されており、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状の弾性体部２０とを有している。

　弾性体部２０の弾性体は、例えば、フッ素ゴムやアクリルゴム等のゴム材である。補強環１０は、例えば、金属製であり、プレス加工や鍛造によって製造されており、弾性体部２０は成形型を用いて架橋（加硫）成形によって成形される。

　補強環１０は、筒状部１１と、筒状部１１の大気側の端部である大気側端部から内周側に延びる環状の大気側フランジ部１２とを有している。具体的に、筒状部１１は、軸線Ｘ１方向と平行又は略平行に延びており、軸線Ｘ１周りに円筒状又は略円筒状に形成されている。筒状部１１は、密封対象液体側端部、大気側端部、内周側面及び外周側面が弾性体部２０に埋没している。

　大気側フランジ部１２は、径方向と平行又は略平行に延びており、筒状部１１の大気側端部から内周側に延びる軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状のフランジ部である。大気側フランジ部１２は、密封対象液体側面、大気側面、内周側端部及び外周側端部（筒状部１１の密封対象液体側端部）が弾性体部２０に埋没している。

　弾性体部２０は、密封対象液体側弾性体部２１と、大気側弾性体部２２と、シールリップ部３０と、ダストリップ部２３とを有している。密封対象液体側弾性体部２１は、筒状部１１の密封対象液体側、筒状部１１の内周側面、大気側フランジ部１２の密封対象液体側面及び大気側フランジ部１２の内周側端部を被覆しており、大気側フランジ部１２の密封対象液体側面の一部が露出している。

　密封対象液体側弾性体部２１は、軸線Ｘ１方向と平行又は略平行に延びており、軸線Ｘ１周りに円筒状又は略円筒状に形成されている内周側部分２１ｃと、径方向と平行又は略平行に延びており、内周側部分２１ｃの大気側端部から内周側に延びる軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状の密封対象液体側部分２１ａとを有している。

　密封対象液体側弾性体部２１の密封対象液体側部分２１ａの密封対象液体側面には、加硫時における補強環１０の位置を固定するための密封対象液体側位置決め部２４が形成されている。密封対象液体側位置決め部２４は、密封対象液体側部分２１ａの径方向における中央部分において、密封対象液体側部分２１ａの密封対象液体側面から補強環１０の大気側フランジ部１２の密封対象液体側面に向かって凹む断面視矩形状又は略矩形状の溝部である。また、密封対象液体側位置決め部２４は、軸線Ｘ１周りに有底円筒状又は略有底円筒状に形成された周溝である。

　大気側弾性体部２２は、補強環１０の筒状部１１の外周側面、補強環１０の大気側端部（大気側フランジ部１２の外周側端部）及び大気側フランジ部１２の大気側面を被覆している。大気側弾性体部２２は、軸線Ｘ１方向と平行又は略平行に延びており、軸線Ｘ１周りに円筒状又は略円筒状に形成されている外周側部分２２ｄと、径方向と平行又は略平行に延びており、外周側部分２２ｄの大気側端部から内周側に延びる軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状の大気側部分２２ｂとを有している。大気側弾性体部２２の外周側部分２２ｄは、外周側部分２２ｄから外周側に延びる軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状の外周側リップ部２５を有している。

　大気側弾性体部２２の大気側部分２２ｂの大気側面には、加硫時における補強環１０の位置を固定するための大気側位置決め部２６が形成されている。大気側位置決め部２６は、大気側部分２２ｂの径方向における中央部分において、大気側部分２２ｂの大気側面から補強環１０の大気側フランジ部１２の大気側面に向かって凹む断面視矩形状又は略矩形状の溝部である。また、大気側位置決め部２６は、軸線Ｘ１周りに有底円筒状又は略有底円筒状に形成された周溝である。

　シールリップ部３０は、弾性体部２０の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部４０と、主シールリップ部４０の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部５０とを有している。主シールリップ部４０の内周側面には、周方向に形成されており、軸線Ｘ１方向に対して斜めに形成される複数の突起４１を有している。

　具体的に、主シールリップ部４０は、密封対象液体側弾性体部２１の密封対象液体側部分２１ａの内周側端部から密封対象液体側に向かうにつれて内周側に延びており、先端にリップ先端部４２を有している。リップ先端部４２は、断面形状が内周側に向かって凸の楔形状の円環状又は略円環状のリップであり、内周側部材１０２（図３）と摺動するように形成されている。また、リップ先端部４２の外周側には、リップ先端部４２を径方向において内周側に押し付けるガータースプリング４３が嵌着されている。

　複数の突起４１は、主シールリップ部４０の内周側面において、同一の又は略同一の円周上に、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔で配列されており、等ピッチ間隔又は略等ピッチ間隔で配列されている。複数の突起４１は、主シールリップ部４０のリップ先端部４２の先端から大気側に向かって、内周側部材１０２（図３）の回転方向に斜めに傾斜して所定の間隔を空けて延びている。複数の突起４１は、各々、船底形状又は略船底形状に形成されている。

　密封対象液体側シールリップ部５０は、主シールリップ部４０の密封対象液体側端部から密封対象液体側に向かうにつれて内周側に延びる円錐台状又は略円錐台状に形成されており、先端にリップ先端部５１を有している。リップ先端部５１は、断面形状が内周側に向かって凸の楔形状の円環状又は略円環状のリップであり、内周側部材１０２（図３）と摺動するように形成されている。

　密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面には、外周側面から外周側に延びる突出部６０を少なくとも１つ有している。突出部６０は、密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面の中央部分から密封対象液体側に向かうにつれて外周側に延びる断面視三角形状又は略三角形状の凸部であり、軸線Ｘ１から同心円状又は略同心円状に等角度間隔又は略等角度間隔に複数形成されている。複数の突出部６０は、各々、三角柱形状又は略三角柱形状に形成されており、所定の間隔Ｇを空けて同一の又は略同一の円周上に延びている。突出部６０の密封対象液体側面は、密封対象液体側シールリップ部５０の密封対象液体側面と面一となっている。

　密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から密封対象液体側シールリップ部５０の先端までの長さＬ１は、密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から主シールリップ部４０の先端までの長さＬ２よりも長くなっている。具体的に、密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から密封対象液体側シールリップ部５０の先端までの長さＬ１は、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状に形成されている密封対象液体側シールリップ部５０の内周側面における大気側端部から密封対象液体側までの長さ（幅）である。また、密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から主シールリップ部４０の先端までの長さＬ２は、軸線Ｘ１周りに円環状又は略円環状に形成されている主シールリップ部４０のリップ先端部４２の密封対象液体側の内周側面における密封対象液体側から大気側端部までの長さ（幅）である。

　密封対象液体側シールリップ部５０の内周側面は、周方向に形成されており、軸線Ｘ１方向に対して斜めに形成される複数の突起５２を有している。複数の突起５２は、密封対象液体側シールリップ部５０の内周側面において、同一の又は略同一の円周上に、周方向に等角度間隔又は略等角度間隔で配列されており、等ピッチ間隔又は略等ピッチ間隔で配列されている。複数の突起５２は、密封対象液体側シールリップ部５０のリップ先端部５１の先端から大気側に向かって、内周側部材１０２（図３）の回転方向に斜めに傾斜して所定の間隔を空けて延びている。複数の突起５２は、各々、船底形状又は略船底形状に形成されている。

　ダストリップ部２３は、密封対象液体側弾性体部２１の密封対象液体側部分２１ａの内周側端部から大気側に向かうにつれて内周側に延びる円錐台状又は略円錐台状のリップであり、内周側部材１０２（図３）と摺動するように形成されている。

　続いて、密封装置１を組み付けられた状態を示す密封構造１００について説明する。図３は、本発明の実施の形態に係る密封装置１が密封対象に組み付けられた状態である密封構造１００の概略構成を示す断面図である。図３においては、密封構造１００及び密封装置１の片側部分のみが示されている。密封構造１００は、軸線Ｘ１において互いに相対回転可能な環状の外周側部材１０１と、外周側部材１０１に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材１０２との間の環状の隙間に密封装置１が組み付けられて構成されており、外周側部材１０１と内周側部材１０２との間の環状の隙間の密封を図っている。

　内周側部材１０２は、軸線Ｘ１方向と平行又は略平行に延びており、軸線Ｘ１周りに円柱棒状又は略円柱棒状に形成されている回転軸である。外周側部材１０１は、内周側部材１０２の外周側に配置されており、外周側部材１０１には、軸線Ｘ１周りに円筒状又は略円筒状の開口部１０３が形成されている。

　外周側部材１０１の開口部１０３には内周側部材１０２が挿入されており、開口部１０５と内周側部材１０２との間には環状の空間が形成されている。密封装置１は、弾性体部２０の大気側弾性体部２２の外周側部分２２ｄの外周側リップ部２５により外周側部材１０１の開口部１０３に例えば閉まり嵌めにより固定されている。密封装置１の弾性体部２０における主シールリップ部４０、密封対象液体側シールリップ部５０は、内周側部材１０２の外周側面と摺動するようになっている。

　このようにして、密封装置１では、シールリップ部３０が、弾性体部２０の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部４０と、主シールリップ部４０の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部５０とを有している。密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面には、外周側面から外周側に延びる突出部６０を少なくとも１つ有している。このため、密封対象液体側シールリップ部５０の先端が大気側に向かって巻き込まれて密封対象液体側シールリップ部５０にめくれが全周に発生した場合であっても、少なくとも１つの突出部６０により密封対象液体側シールリップ部５０と内周側部材１０２との間に隙間が発生する。従って、密封装置１では、油漏れ検査装置にて密封装置１１０を通して洩れるエアの流れを検査することにより、エア漏れを検知して密封対象液体側シールリップ部５０のめくれを検出することができ、密封対象液体側シールリップ部５０のめくれを更に容易に検出することができる。

　また、密封装置１では、突出部６０が、密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面の中央部分から密封対象液体側に向かうにつれて外周側に延びる断面視三角形状又は略三角形状の凸部であり、軸線Ｘ１から同心円状又は略同心円状に等角度間隔又は略等角度間隔に複数形成されている。このため、密封対象液体側シールリップ部５０にめくれが全周に発生した場合であっても、複数の突出部６０の間の間隔Ｇにより隙間が発生する。従って、密封装置１では、エア漏れを検知して密封対象液体側シールリップ部５０のめくれを検出することができ、密封対象液体側シールリップ部５０のめくれを一段と容易に検出することができる。

　また、密封装置１では、密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から密封対象液体側シールリップ部５０の先端までの長さＬ１が、密封対象液体側シールリップ部５０の根元部分から主シールリップ部４０の先端までの長さＬ２よりも長くなっている。このため、密封対象液体側シールリップ部５０がめくれた場合に、主シールリップ部４０に噛み込ませて主シールリップ部４０と内周側部材１０２との間に隙間を生じさせ易くすることができる。

　また、密封装置１では、主シールリップ部４０の内周側面において、周方向に形成されており、軸線Ｘ１方向に対して斜めに形成される複数の突起４１を有している。また、密封対象液体側シールリップ部５０の内周側面において、周方向に形成されており、軸線Ｘ１方向に対して斜めに形成される複数の突起５２を有している。このため、静止時の微量の密封対象液体の漏れを許容し、主シールリップ部４０に密封対象液体が供給されるようにして主シールリップ部４０の潤滑状態を良好に保つことができる。そして、内周側部材１０２の回転時には、密封対象液体側シールリップ部５０の複数の突起５２のポンピング作用によって、複数の突起５２における密封対象液体の漏洩は防止され、さらに、主シールリップ部４０における複数の突起４１のポンピング作用によって密封対象液体の大気側への漏洩を防止することができる。

　以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。

　例えば、本発明の実施の形態に係る密封装置１は、突出部６０が、密封対象液体側シールリップ部５０の外周側面の中央部分から密封対象液体側に向かうにつれて外周側に延びる断面視三角形状又は略三角形状の凸部であり、軸線Ｘ１から同心円状又は略同心円状に等角度間隔又は略等角度間隔に複数形成されている場合を一例に本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、突出部６０は、少なくとも１つ形成されていればよく、突出部の位置、数及び大きさについても、密封対象液体側シールリップ部の外周側面において、任意の位置、数及び大きさに形成されていればよい。

　また、本発明の実施の形態に係る密封装置１は、主シールリップ部４０の内周側面において複数の突起４１を有しており、密封対象液体側シールリップ部５０の内周側面において複数の突起５２を有している場合を一例に本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、主シールリップ部４０は複数の突起４１を有していなくてもよく、密封対象液体側シールリップ部５０は複数の突起５２を有していなくともよい。

　１…密封装置、１０…補強環、２０…弾性体部、３０…シールリップ部、４０…主シールリップ部、５０…密封対象液体側シールリップ部、６０…突出部、１００…密封構造、１０１…外周側部材、１０２…内周側部材、Ｘ１…軸線

Claims

　軸線において互いに相対回転可能な環状の外周側部材と、該外周側部材に少なくとも部分的に包囲された環状の内周側部材との間を密封する密封装置であって、
　前記軸線を中心とする環状の補強環と、
　前記補強環に取り付けられ、前記内周側部材と摺動するシールリップ部が設けられた、弾性体からなる前記軸線を中心とする環状の弾性体部と
　を備え、
　前記シールリップ部は、前記弾性体部の内周側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる主シールリップ部と、該主シールリップ部の密封対象液体側端部から少なくとも密封対象液体側に延びる密封対象液体側シールリップ部とを有し、
　前記密封対象液体側シールリップ部の外周側面には、該外周側面から外周側に延びる突出部を少なくとも１つ有する
　ことを特徴とする密封装置。
　前記突出部は、前記密封対象液体側シールリップ部の外周側面の中央部分から密封対象液体側に向かうにつれて外周側に延びる断面視三角形状の凸部であり、前記軸線から同心円状に等角度間隔に複数形成されていることを特徴とする請求項１記載の密封装置。
　前記密封対象液体側シールリップ部の根元部分から該密封対象液体側シールリップ部の先端までの長さは、前記密封対象液体側シールリップ部の根元部分から前記主シールリップ部の先端までの長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項１又は２記載の密封装置。