WO2020255445A1

WO2020255445A1 - 装身具用留め部材、装身具用留め具、装身具、及び装身具用留め部材の組み立てセット

Info

Publication number: WO2020255445A1
Application number: PCT/JP2019/046848
Authority: WO
Inventors: 秀位土橋; 博美渡邉
Original assignee: 株式会社クロスフォー
Priority date: 2019-06-19
Filing date: 2019-11-29
Publication date: 2020-12-24
Also published as: CN112399809B; KR102441183B1; CN112399809A; KR20200145822A

Abstract

本開示の装身具用留め部材は、ベース側連結部を備えるベース部と、ベース部に回転可能に支持される可動部とを有し、可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、可動部が留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、可動側連結部の内周部又は外周部と、ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、ベース側連結部の一部と可動側連結部の一部とがベース部の長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする。

Description

装身具用留め部材、装身具用留め具、装身具、及び装身具用留め部材の組み立てセット

　本開示は、装身具用留め部材、装身具用留め具、装身具、及び装身具用留め部材の組み立てセットに関する。

　従来から、ブレスレット、ネックレス等の装身具は、チェーン部材、紐部材等の線状部材が腕、首等に掛けられることによって身に付けられる。一般に、装身具は、装身具の一部を分離可能に連結する留め部材を備えている。例えば、装身具における線状部材の一端部と他端部とには、互いに分離可能に連結できる一対の留め部材を備えた留め具が取り付けられている場合がある。

　この方式による留め具の形態としては、例えば特開２００８－３６２４４号公報（特許文献１）に記載されている引き輪タイプの留め具が知られている。また、特開平１０－１３７０１６号公報（特許文献２）、特開２０１２－１９９４６号公報（特許文献３）等に記載されている挿し込み式タイプの留め具及びねじ式タイプの留め具等が知られている。その中でも、引き輪タイプの留め具（例えば図１２を参照）が多くの装身具に採用されている。また、その他のタイプの留め具として、例えば、特開２０００－１６６６２５号公報（特許文献４）に記載されているタイプの留め具等も知られている。

特開２００８－３６２４４号公報特開平１０－１３７０１６号公報特開２０１２－１９９４６号公報特開２０００－１６６６２５号公報

　本開示の目的は、留め部材の開閉操作、並びに留め具の連結操作及び分離操作を容易に且つ円滑に行うことを損なうことなく、装身具全体に対するデザインの一貫性が付与できる装身具用留め部材、その留め部材を有する装身具用留め具、その留め部材を有する装身具、及びその留め部材の組み立てセットを提供することにある。

　本開示の装身具用留め部材、装身具用留め具、装身具、及び装身具用留め部材の組み立てセットは、以下の態様を含む。

　本開示に係る装身具留め部材は、
　被連結部に分離可能に連結する装身具用留め部材であって、
　装身具の一部に接続されるベース部と、前記ベース部に回転可能に支持されるとともに前記回転により前記留め部材を開閉させる可動部とを有し、
　前記ベース部は、ベース側連結部を有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース部の前記装身具の一部に接続される接続部分に対して、前記ベース部の長さ方向の反対側に配され、
　前記可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、
　前記可動部が前記留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、前記可動側連結部の内周部又は外周部と、前記ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、前記ベース側連結部の一部と前記可動側連結部の一部とが前記ベース部の前記長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記ベース側連結部は、前記可動部側に曲がり、
　前記可動側連結部は、前記ベース部側に曲がることが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記可動部は、前記閉じ位置において前記ベース部に係止されることが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記可動部を回転方向の前記閉じ位置に向けて付勢する弾性部材が配されていることが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記可動部は、可動側本体部と、前記可動側本体部と接合部により接合されている前記装飾部と、前記可動側本体部の一端部から前記ベース部に対して反対方向に延びる操作部と、前記可動側本体部の他端部から前記ベース部側に曲がる前記可動側連結部とを有することが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記可動部は、前記可動側本体部から前記ベース部に向けて延びて前記留め部材の側面視でベース側支持部と少なくとも一部が重なり合う側方カバー部を有することが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め部材では、
　前記ベース部は、ベース側本体部と、前記ベース側本体部から前記ベース側連結部とは前記長さ方向の反対側に延びるとともに前記可動部の一部を当接させて前記可動部の開き方向への回転を停止させる回転停止部を有することが好ましい。

　本開示に係る装身具用留め具は、
　本開示に係る装身具用留め部材である第１留め部材と、
　前記被連結部を備える第２留め部材と、
を有することを特徴とする。

　本開示に係る装身具は、
　本開示に係る装身具用留め部材を備えることを特徴とする。

　本開示に係る装身具用留め部材の組み立てセットは、
　本開示に係る装身具用留め部材を組み立てることが可能で、前記ベース部と、前記可動部とを有することを特徴とする。

　本開示に係る装身具用留め部材によれば、留め部材の開閉操作、並びに留め具の連結操作及び分離操作を容易に且つ円滑に行うことを損なうことなく、装身具全体に対するデザインの一貫性が付与できる装身具用留め部材、その留め部材を有する装身具用留め具、その留め部材を有する装身具、及びその留め部材の組み立てセットが提供される。また、留め具の連結状態を安定して維持できる。

本開示の装身具用留め部材の一例が用いられた装身具を模式的に示す側面図である。本開示の装身具用留め部材の閉状態における一例を模式的に示す平面図である。本開示の装身具用留め部材の閉状態における一例を模式的に示す背面図である。本開示の装身具用留め部材の開状態における一例を模式的に示す側面図である。図２に示したＶ－Ｖ線における断面図である。本開示の装身具用留め部材に配されるねじりばねの一例を示す模式図である。本開示の装身具用留め部材に配されるねじりばねの他の一例を示す模式図である。本開示の装身具用留め部材に配されるねじりばねの他の一例を他の方向から示す模式図である。本開示の装身具用留め部材が用いられた装身具の一例を示す概略図である。本開示の装身具用留め部材が用いられた装身具の他の一例を示す概略図である。本開示の装身具用留め部材の他の一例が用いられた装身具を模式的に示す平面図である。従来の装身具用留め部材の一例を示す模式図である。

　本開示の装身具用留め部材は、
　被連結部に分離可能に連結する装身具用留め部材であって、
　装身具の一部に接続されるベース部と、前記ベース部に回転可能に支持されるとともに前記回転により前記留め部材を開閉させる可動部とを有し、
　前記ベース部は、ベース側連結部を有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース部の前記装身具の一部に接続される接続部分に対して、前記ベース部の長さ方向の反対側に配され、
　前記可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、
　前記可動部が前記留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、前記可動側連結部の内周部又は外周部と、前記ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、前記ベース側連結部の一部と前記可動側連結部の一部とが前記ベース部の前記長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする留め部材である。

　従来の留め具を形成する一対の留め部材を互いに連結させるとき、例えば以下の繊細な連結操作を行う必要がある。この連結操作では、先ず、一方の留め部材を細かな操作で開いて小さな開口部（隙間）を形成する。その上で、その小さな開口部に対し、他方の留め部材を位置合わせしながら挿入する。特にブレスレットの場合は、上述の繊細な操作を片手のみで行わなければならないときがある。ネックレスの場合は、上述の繊細な操作を、直接見ることができない首の後ろ側で行わなければならないときがある。

　例えば、図１２に示した引き輪タイプの留め具８０は、引き輪としての第１部材８１と、連結プレートとしての第２部材８２とを備える。第１部材８１と第２部材８２とを連結させるときに、第１部材８１の突片部８１ａを指で操作することで、ばね部材等の図示しない付勢手段による付勢力に抗して、第１部材８１を開口させる。次に、第１部材８１の開口された開口部８１ｂに第２部材８２の一部を挿入するとともに、第２部材８２の穴部８２ａに第１部材８１の第１本体部８１ｃを挿し通す。その後、突片部８１ａから指を離して付勢手段による付勢力を開放することにより、開口部８１ｂが塞がれて第１部材８１と第２部材８２とが連結する。

　しかし、図１２に示した引き輪タイプの留め具８０等の装身具に取り付けられた従来の留め具を操作するとき、使用者は、留め部材の操作及び留め具の分離・連結操作を難しく感じること、及び煩わしく感じることがある。特に、ブレスレットの留め具は、連結操作及び分離操作を片手のみで行うことが多いため、留め具の分離・連結操作が難しく、使用者に不便さを感じさせていた。ネックレスの場合は、上述の繊細な操作を、直接見ることができない首の後ろ側で行う。この場合、留め具を直接見ることができないため、従来の留め具は、使用者に不便さを感じさせていた。また、使用者の腕を首の後ろ側に回しにくい場合、又は使用者の指先の感覚が鈍くなっている場合などでは、使用者は、従来の留め具を備えた装身具の使用感に不満が残る場合があった。

　例えば図１２に示した引き輪タイプの留め具８０の場合、留め具８０の幅が線状部材８３よりも大きいため、線状部材８３の連続するデザイン性を途切れさせることがある。その結果、装身具の美観が損なわれることもあった。また、引き輪タイプ等の従来の留め具が用いられる装身具は、デザインの一貫性を低下させることもあった。

　更に、ネックレスを身に着けた場合、留め具は、使用者の首の後ろ側に留まって使用されることが多い。しかし、引き輪タイプの留め具は、ネックレスの使用中の回転により、使用者が気付かない間に使用者の正面側（すなわち胸側）に移動する場合がある。このため、使用者の正面側に移動した引き輪タイプの留め具は、装身具の美観を損なうこと、使用者に対面する人に違和感を与えること等があった。

　これに対し、本開示の装身具用留め部材によれば、前述の構造を備えることで、連結操作及び分離操作を容易に行うことが可能であるとともに、連結状態を安定して維持することが可能となる。例えば、ブレスレットの留め具として適用した場合、誰でも簡単に身に着けることができ、取り外すことも簡単になる。また、ネックレスの留め具として適用した場合、首の後ろ側で留め具の操作を行っても、留め具の連結及び分離を容易に行うことができる。また、本開示の装身具用留め部材は装飾部を含むため、首の後ろ側だけでなく、使用者の正面側に配置することもできる。このため、使用者の正面側での連結操作及び分離操作が可能になり、誰でも簡単に身に着けること、及び取り外すことができる。従って、本開示の装身具用留め部材は、使用者に不便さを感じさせること、及び使用感に不満を残すことが解消される。

　また、本開示の装身具用留め部材によれば、前述の構造に装飾部を備えることで、装身具全体のデザインの一貫性が付与される。特に、ネックレスの留め具として適用した場合、使用中に装身具用留め部材が使用者の正面に見えてしまったとしても、装身具全体のデザインを途切れさせることがない。さらに、例えばネックレスのトップ部のデザインと装身具用留め部材とのデザインの関連性も持たせることができるため、装身具全体の物語性を付与できる。それにより、例えば装身具用留め部材を積極的に使用者の正面側に配置することも可能となるため、留め具の操作性を向上できるだけでなく、装身具のバリエーションを大幅に増やすことができる。

　更に、トップ部を有さないネックレスの場合、装身具用留め部材自体をトップ部のデザインとして機能させることも可能となる。従って、本開示の装身具用留め部材は、デザインの連続性及び物語性を付与すること、及び、装身具の新たな形態を提供することが可能になる。

　以上から、本開示の装身具用留め部材によれば、留め部材の開閉操作、並びに留め具の連結操作及び分離操作を容易に且つ円滑に行うことを損なうことなく、装身具全体に対するデザインの一貫性が付与できる装身具用留め部材が提供される。同様に、その留め部材を有する装身具用留め具、及びその留め部材を有する装身具が提供される。

　なお、図１２に示した引き輪タイプの留め具８０に装飾部材を設けることも考えられる。引き輪タイプの留め具８０は、第１部材８１の突片部８１ａを操作することにより、第１部材８１を開口させる。このため、留め具８０に装飾部を設けると、開閉操作性を一層低下させ、留め具８０の連結操作及び分離操作が更に難しくなる。また、装飾部を設けたとしても、環状の第１部材８１に開口領域を確保する必要があるため、装身具全体のデザインの連続性及び物語性を付与することが難しくなる。

　以下、本開示の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本開示は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。

　本開示において、留め具の長さ方向及び前後方向は、留め具が連結されている状態で線状部材の一端部と他端部とを互いが離れる方向に引っ張ったときに、その引っ張られる力に沿った方向（言い換えると、上記引っ張られた線状部材に沿った方向）を表す。この場合、留め部材の長さ方向及び前後方向は、留め具の長さ方向及び前後方向に平行に沿う方向である。例えば、図１に示す本開示の装身具用留め部材において、図１を符号（数字）が正しい向きで見たとき、当該図１の紙面において左右に向かう方向が留め具の前後方向となる。本開示の留め部材が、例えば装身具の留め具を形成しない部分と分離可能に連結する場合、又は装身具以外の部材と分離可能に連結する場合において、留め部材の長さ方向及び前後方向は、本開示の留め部材と、その留め部材を直接連結させる側の部位とが、互いに離れる方向に引っ張られるときの引っ張り方向に沿う方向である。この場合、装身具において、又は装身具以外の部材において、留め部材を連結させる部位が被連結部となる。

　本開示において、留め具の高さ方向及び上下方向は、前記長さ方向に直交する平面と、留め部材に設けた可動部の回転方向を含む平面との交線に沿った方向を表す。この場合、留め具を備えた装身具が予定される正しい姿勢で身に付けられたときに、上下方向における留め具の人肌に近付く向きを下方とし、留め具の人肌から離れる向きを上方とする。留め部材の高さ方向及び上下方向は、留め具の高さ方向及び上下方向に平行に沿う方向である。例えば図１に示す本開示の装身具用留め部材では前記図１の紙面における上下方向が留め具の上下方向となる。

　本開示において、留め具の幅方向及び左右方向は、留め具の前記長さ方向と前記高さ方向とに直交する方向を表す。この幅方向及び左右方向は、留め部材の可動部の回転軸に平行に沿う方向である。この場合、留め部材の幅方向及び左右方向は、留め具の幅方向及び左右方向に平行に沿う方向である。例えば図１に示す本開示の装身具用留め部材では前記図１の紙面における表裏方向が留め具の左右方向となる。

　本開示において、側面視、留め部材の側面視、及び留め具の側面視という場合、特に断りのない限り、本開示に係る留め部材において可動部が閉じ位置にあるときの留め具の幅方向における側面から見た状態を表す。
　本開示において、被連結部とは、本開示に係る留め部材を直接連結させる部位であり、例えば留め部材の一部を挿通させるための閉じた孔部を備えた部位をいう。

　本開示において、閉じ位置とは、可動部の閉鎖方向側の回転限界位置であり、可動部の可動側連結部がベース部のベース側連結部に当接する位置をいう。
　本開示において、閉状態とは、閉じ位置にある状態をいう。
　本開示において、全開位置とは、可動部の開き方向側の回転限界位置であり、可動部の操作部がベース部の回転停止部に当接して、装身具用留め部材が最も大きく開いた状態となる位置をいう。
　本開示において、開状態とは、可動部が閉じ位置から開き方向側に回転し、全開位置に達するまでの状態をいう。
　本開示において、可動部の回転範囲とは、閉じ位置から全開位置まで回転する範囲をいう。

　以下、本開示に係る装身具用留め部材の好ましい一例について、本開示に係る装身具用留め具及び装身具のそれぞれ好ましい一例とともに説明する。

　図１は、本開示の装身具用留め部材の一例が用いられた装身具を模式的に示す側面図である。図２は、本開示の装身具用留め部材の閉状態における一例を模式的に示す平面図である。図３は、本開示の装身具用留め部材の閉状態における一例を模式的に示す背面図である。図４は、本開示の装身具用留め部材の開状態における一例を模式的に示す側面図である。そして、図５は、図２に示したＶ－Ｖ線における断面図である。

　図１に示す本開示の装身具用留め具１（以下、留め具１とも称する）は、装身具の本体部分又は一部である線状部材の一例であるチェーン部材５と、チェーン部材５の一端部に接続される第１留め部材１０と、チェーン部材５の他端部に接続される第２留め部材５０とを有する。第１留め部材１０は、金属により形成されている。第２留め部材５０は、金属製の第２連結リング５０により形成されている。第１留め部材１０及び第２留め部材５０を形成する各部品は、例えば、金属板に打ち抜き加工又はプレス加工を行うことによって形成される。第１留め部材１０及び第２留め部材５０の製造方法及び材質等は特に限定されず、目的に応じて選択できる。

　図１に示す本開示の装身具用留め具１において、第１留め部材１０が本開示に係る装身具用留め部材（以下、留め部材とも称する）として適用される。第１留め部材１０は、第２留め部材５０に分離可能に連結する。第２留め部材５０は、第１留め部材１０を連結させる被連結部を含む被連結部材として適用される。

　線状部材の一例であるチェーン部材５は、複数の金属製リングを連結して形成されるチェーンにより形成されている。なお、チェーン部材５は、本開示における線状部材の具体例の１つである。本開示における線状部材は、一端部に留め具１の第１留め部材１０と、他端部に第２留め部材５０とをそれぞれ取り付けることが可能であれば、特に限定されない。例えば、チェーン部材５は、いわゆる小豆チェーン、喜平チェーン、ベネチアンチェーン、ボールチェーン、スクリューチェーンなど種々の形状が採用できる。また、チェーン部材５は、可撓性を有する連続した部材であってもよい。

　図１に示す第１留め部材１０は、前後方向に延びるベース部２０と、ベース部２０に連結される円柱状の連結軸部１１と、連結軸部１１によってベース部２０に対し回転可能に支持される可動部３０と、可動部３０を付勢するねじりばね４０（図３及び図５を参照）とを有する。

　ベース部２０はチェーン部材５に接続される。可動部３０は、ベース部２０に対して、ベース部２０に接近及び離間する方向に回転する。この可動部３０の回転により、第１留め部材１０が開閉される。例えば、可動部３０は、ベース部２０に対し、第１留め部材１０が閉鎖される閉じ位置と全開位置との間で、連結軸部１１を中心に回転可能に保持されている。なお、ベース部２０が延びるベース部２０の前後方向は、第１留め部材１０の長さ方向と平行である。

　第１留め部材１０のベース部２０は、ベース部２０の長さ方向に延びるベース側本体部２１と、ベース側本体部２１から高さ方向の上方に延びるとともに可動部３０を支持するベース側支持部２２と、ベース側本体部２１のベース側支持部２２と離れた端部からフック状又は円弧状に曲がって延びるベース側連結部２３とを有する。更に、ベース部２０は、ベース側本体部２１からチェーン部材５が接続される端部に向けて前後方向に沿って延びる回転停止部２４と、回転停止部２４から更に延びる第１接続部２５とを有する。なお、以下の記載において、フック状又は円弧状に曲がって延びる状態を、単に湾曲と表現する場合がある。

　第１留め部材１０の可動部３０は、前後方向に延びる可動側本体部３１を有する。また、可動部３０は、可動側本体部３１に対し接合部３２ａ（図１及び図５を参照）により接合されている装飾部３２と、可動側本体部３１の一方の端部からベース部２０側に曲がる可動側連結部３３とを有する。さらに、可動部３０は、可動側連結部３３が配される端部と反対側の他方の端部に配され、ベース部２０に対して反対方向に延びる操作部３４を有する。可動部３０は、可動側本体部３１からベース部２０に向けて下方に延びる左右両側に設けられた側方カバー部３５を有する。

　ベース部２０において、ベース側本体部２１は、幅方向の寸法を一定の大きさにして形成されている。このベース側本体部２１は、強度を適切に確保するために、予め定められた厚さを有する。ここで、ベース側本体部２１の厚さは、ベース側本体部２１の上面と下面間における上下方向の寸法を言う。

　図５に示したベース側支持部２２は、ベース側本体部２１における前後方向の中央部よりもチェーン部材５側の領域に配されている。ベース側支持部２２は、ベース側本体部２１における第１接続部２５に近い側の端部を含む部分に設けられている。ここで、ベース側本体部２１における第１接続部２５に近い側の端部は、第２留め部材５０から離れた側の端部となる。ベース側支持部２２は、ベース部２０を幅方向から見た場合に円弧状を呈する上端部を有する。

　ベース側支持部２２には、ねじりばね４０を収容する収容空間部２２ａと、連結軸部１１を挿通させて支持する軸孔部２２ｂとが設けられている（図５を参照）。収容空間部２２ａは、ねじりばね４０を収容可能な大きさ及び形状でベース側支持部２２に形成されている。この収容空間部２２ａは、ねじりばね４０を挿入可能なように、側面視で円弧状を呈する部分が少なくとも開口している。

　軸孔部２２ｂは、幅方向に沿ってベース側支持部２２に形成されている。軸孔部２２ｂにおける幅方向に直交する断面は円形を呈する。この軸孔部２２ｂに連結される連結軸部１１は、可動部３０の回転軸部となる。連結軸部１１の左右両端部は、可動部３０の側方カバー部３５に、かしめ加工により固定される。これにより、可動部３０がベース部２０に回転可能に支持される。かしめ加工は、加工対象部分（例えば図１に示す連結軸部１１の端部）を押圧して部分的に塑性変形を生じさせることによって固定を行う加工である。なお、連結軸部１１を可動部３０の側方カバー部３５に固定する方法は、かしめ加工以外の方法でもよい。

　回転停止部２４は、ベース側本体部２１からベース側連結部２３とは長さ方向の反対側に延びて形成されている。この回転停止部２４は、可動部３０の操作部３４を当接させて可動部３０の開き方向への回転を停止させることによって可動部３０の回転範囲を規制する目的で、ベース側本体部２１から第１接続部２５に向けて連続的に延びている。この回転停止部２４の厚さは、ベース側本体部２１の最大厚さよりも薄い。

　回転停止部２４には、収容凹部２４ａが、可動部３０の操作部３４の位置に対応して、幅方向の中央部に設けられている。収容凹部２４ａは、回転する可動部３０の操作部３４の一部を当接させて収容可能に形成されている。収容凹部２４ａは、本開示の第１留め部材１０が全開位置となる状態で、操作部３４の先端部分が収容凹部２４ａの底面部に接触する深さで形成されている。例えば、収容凹部２４ａは、可動部３０の閉じ位置から全開位置までの回転範囲が約９０°となる深さで形成されている。

　回転停止部２４は、ベース側本体部２１から連続的に延びて設けられているが、ベース部２０に対して独立した部材で形成されていてもよい。この場合、回転停止部２４は、ベース部２０に対し、ろう付けなどによって固定される。固定方法は、通常の使用において容易に外れ難い方法であれば、特に限定されるものではない。

　第１接続部２５は、チェーン部材５の一端部と接続される接続部分である。第１接続部２５は、半円の円環状の形状により形成されている（図２を参照）。第１接続部２５は、回転停止部２４における長さ方向の端面の一部に対し、半円の円環状の両端がろう付け等の溶着により固定されている。なお、本開示において、回転停止部２４の端面と、半円の円環状の形状である第１接続部２５の両端部とを接続する方法は特に限定されるものではなく、例えば接着剤を用いて固定してもよい。固定方法は、通常の使用において容易に外れ難い種々の手段が採用できる。また、図示しないが、本開示では、例えば、第１接続部２５を設けずに、回転停止部２４の長さ方向の側面の一部とチェーン部材５の一端部とを、例えば、溶着又は接着等によって直接固定することも可能である。この場合、チェーン部材５の溶着又は接着等によって固定される箇所が、ベース部２０におけるチェーン部材５との第１接続部となる。

　ベース側連結部２３は、第１接続部２５に対してベース部２０の長さ方向の反対側に配されている。このベース側連結部２３は、ベース側本体部２１のチェーン部材５から離れた側の端部から可動部３０側に曲がる。例えば、ベース側連結部２３は、ベース側本体部２１のベース側支持部２２と離れた位置の端部から、上側の可動側連結部３３に向けて、フック状又は円弧状に曲がって延びている。ベース側連結部２３の先端部は、ベース側支持部２２に近付く方向に延びている。ここで、ベース側連結部２３の先端部は、ベース側連結部２３におけるベース側本体部２１に連結する側の端部とは反対側の端部を言う。ベース側連結部２３は、ベース側連結部２３の幅方向の寸法が、ベース側本体部２１との連結部分からベース側連結部２３の先端部に向けて僅かに漸減して、又は略同じ大きさで形成されている。

　第１留め部材１０の側面視（図１を参照）又は断面視（図５を参照）において、ベース側連結部２３の内周側には、内側空間部１２が形成されている。内側空間部１２は、ベース側連結部２３の内周部とベース側本体部２１の内周部と、可動部３０の側方カバー部３５とによって囲まれている。側面視におけるベース側連結部２３の内周部は、ベース側連結部２３の湾曲した内周面により形成される。

　内側空間部１２は、第２連結リング５０（第２留め部材５０）の一部を収容するとともに第２連結リング５０の一部が内側空間部１２内で移動可能に形成されている。第２連結リング５０については後述する。この場合、ベース側連結部２３は、内側空間部１２に収容された第２連結リング５０を当接可能な部材当接部を内周部に有する。すなわち、ベース側連結部２３の部材当接部は、ベース側連結部２３の内周部において第２連結リング５０が当接する部分である。例えば第１留め部材１０と第２連結リング５０とが連結した状態で、第２連結リング５０と第１留め部材１０の第１接続部２５とが互いに離れる方向に引っ張られたときには、長さ方向に重ねられたベース側連結部２３及び可動側連結部３３のうちの内側に配されるベース側連結部２３の内周部に、第２連結リング５０の一部を当接させて保持する。ベース側連結部２３における内周部の反対側には、ベース側連結部２３の外周部が設けられている。第１留め部材１０の側面視において、ベース側連結部２３の外周部は円弧状又は略円弧状に形成されている。

　ベース側連結部２３の先端と可動部３０の側方カバー部３５との間には、第２留め部材５０の一部が通過可能な挿抜開口部が設けられる。挿抜開口部は、第１留め部材１０の側面視において、ベース側連結部２３の先端から前後方向に平行な仮想線１５を可動部３０に向けて延ばしたときに、その仮想線１５上でベース側連結部２３と可動部３０との間に形成される空間部分又は開口部分を言う。挿抜開口部は、第１留め部材１０を開いたときに上側に開放される。このとき、第１留め部材１０の挿抜開口部と第１留め部材１０の外側の空間とが連通する。

　挿抜開口部の前後方向の大きさは、ベース部２０に対する可動部３０の回転角度によって変化する。また、可動部３０の回転角度によっては、第１留め部材１０の側面視において、ベース側連結部２３の先端が可動部３０の側方カバー部３５によって覆われる。このとき、挿抜開口部は一時的に確認できなくなる。

　第１留め部材１０の内側空間部１２は、挿抜開口部の前後方向に沿った開口位置よりも上下方向の下側に配される空間部である。この内側空間部１２と挿抜開口部とは互いに連通している。従って、第１留め部材１０と第２留め部材５０を連結する操作では、前後方向に沿った挿抜開口部が上方に開放されることにより、挿抜開口部が、第２連結リング５０の一部を内側空間部１２に挿入するための挿入口又は入口となる。第１留め部材１０と第２留め部材５０を分離する操作では、挿抜開口部は第２連結リング５０の一部を内側空間部１２から取り出すための取り出し口又は出口となる。

　第１留め部材１０のベース側連結部２３の長さは、第１留め部材１０の側面視で湾曲している円弧状の部分の中心角が１３５°以上となる大きさに設定されている。なお、ベース側連結部２３は、円弧状の部分の中心角が１８０°以上となる大きさで形成されてもよい。

　図１に示す第１留め部材１０が閉じた状態の側面視において、ベース側連結部２３の先端と可動部３０の側方カバー部３５との間に隙間Ｇが形成される。ここで、隙間Ｇは、第１留め部材１０の側面視（図１を参照）において、ベース側連結部２３の内周部を側方カバー部３５に向けて仮想的に直線状に延ばした延長線上の間隙を言う。この隙間Ｇの最小値は、第２留め部材５０の第２連結リング５０を挿通させない大きさに設定される。第２連結リング５０の太さは、第２連結リング５０の円周方向に直交する円形断面の直径を言う。すなわち、上記隙間Ｇは、第２留め部材５０の第２連結リング５０の太さよりも小さく形成される。これにより、第２留め部材５０の第２連結リング５０が、ベース側連結部２３の先端と可動部３０の側方カバー部３５との間に嵌り込むことを抑制でき、また、可動部３０を全開方向に押し上げることを抑制できる。

　可動部３０において、可動側本体部３１は、第１留め部材１０の断面視（図５を参照）において、ベース側連結部２３の先端部から上側に離間した位置から、ベース側支持部２２の上方の位置まで長さ方向に沿って形成されている。可動側本体部３１は、ベース側本体部２１から離れた位置に配される。可動側本体部３１における幅方向の寸法は、ベース側本体部２１における幅方向の寸法及びベース側連結部２３における幅方向の寸法に対し、同じ大きさであるか、又は少し大きい。この可動側本体部３１は、可動側連結部３３がベース部２０のベース側連結部２３に当接したときに、可動側連結部３３とともに第１留め部材１０を閉鎖して、ベース部２０の内側空間部１２を外側の空間から遮断する。可動側本体部３１の上面は、左右方向に凸状に湾曲する曲面に形成されている。

　左右両側の各側方カバー部３５は、可動側本体部３１の左右側面部に連結して可動側本体部３１と一体的に形成されている。また、各側方カバー部３５は、可動側本体部３１と連結する部分からベース側本体部２１に向けて下方に垂れ下がる板状に形成されており、第１留め部材１０の側面視でベース側支持部２２と少なくとも一部が重なり合う。例えば、側方カバー部３５におけるチェーン部材５に近い側の部分は、第１留め部材１０の側面視において、ベース部２０のベース側支持部２２と重なる。左右の側方カバー部３５間には、ベース部２０におけるベース側本体部２１の一部とベース側支持部２２とを挿入可能な間隙が設けられている。側方カバー部３５において、ベース部２０の軸孔部２２ｂに対応する部分には、上述した連結軸部１１が固定されている。

　左右の各側方カバー部３５は、可動部３０が閉じ位置に保持されたときに、第１留め部材１０の側面視において、ベース側本体部２１の少なくとも一部が重なり合う大きさで形成されている。例えば、側方カバー部３５は、側方カバー部３５の直線状に延びる下端縁とベース側本体部２１の直線状に延びる下端縁とが重なる大きさで形成されている。それにより、第１留め部材１０を閉じたときの見栄えを良くして、留め具１の外観品質を高めることができる。

　側方カバー部３５は、可動部３０を閉じ位置に保持したときに、第１留め部材１０の側面視において、第１留め部材１０の内側空間に直接向く規制端縁部３５ａを有する。規制端縁部３５ａは、前後方向において、側方カバー部３５の可動側連結部３３に近い側の端縁部である。側方カバー部３５の規制端縁部３５ａは、ベース側連結部２３の先端部に重なる位置からベース側本体部２１に重なる位置まで凹状に湾曲した形状で形成されている。これにより、第１留め部材１０の内側空間部１２を適切な大きさで確保し、内側空間部１２内で第２連結リング５０が固定されることを防止できる。それとともに、側方カバー部３５のベース側本体部２１に重なる部分が、ベース部２０のベース側連結部２３に近付く方向に延びているため、第１留め部材１０の側面視において、ベース部２０のベース側本体部２１を広く覆い隠し、第１留め部材１０の外観品質を高めることができる。

　操作部３４は、第１留め部材１０の側面視において、可動側本体部３１の回転停止部２４に近い側の端部から、可動側本体部３１に対して曲がった斜め上方の方向に延びている。操作部３４を設けることにより、例えば可動部３０を閉じ位置から開く方向に回転させる際に、可動部３０の回転操作をより容易に行うことができる。操作部３４の内部には、ねじりばね４０におけるアーム部４２の一部が挿入されて収容される収容部３４ａが設けられている（図５を参照）。なお、本開示において、操作部３４の形状は特に限定されない。操作部３４は、例えば幅方向に大きい形状で形成することにより、操作部３４を指等で押し易くすることが可能となる。

　可動側連結部３３は、可動側本体部３１における操作部３４側の端部とは反対側となる端部からベース部２０側に曲がる。例えば、可動側連結部３３は、可動側本体部３１の端部から、下側のベース側連結部２３に向けてフック状又は円弧状に曲がって延びている。可動側連結部３３は、可動側連結部３３の幅方向の寸法が、可動側本体部３１との連結部分から可動側連結部３３の先端部に向けて僅かに漸減して、又は略同じ大きさで形成されている。

　可動側連結部３３は、可動側連結部３３の少なくとも一部の内周部がベース部２０におけるベース側連結部２３の少なくとも一部の外周部に接触可能に形成される。可動側連結部３３の一部がベース側連結部２３に接触することによって、ねじりばね４０の付勢力による可動部３０のベース部２０に近付く方向の回転が規制される。なお、可動側連結部３３は、可動側連結部３３の内周部がベース部２０のベース側連結部２３の外周部に面接触可能に形成されていてもよい。可動側連結部３３の内周部は、可動側連結部３３の湾曲した内周面により形成される。可動側連結部３３の内周部は、第１留め部材１０の側面視において、可動側連結部３３の外周部よりも、可動部３０の回転軸となる連結軸部１１に近い側に配される。

　ここで、ベース側連結部２３の外周部は、ベース側連結部２３の内周面の反対側に配される湾曲した外周面により形成される。ベース側連結部２３の内周部は、第１留め部材１０の側面視において、ベース側連結部２３の外周部よりも連結軸部１１に近い側に配される。つまり、本開示において、可動側連結部３３の内周部及びベース側連結部２３の内周部は、ベース部２０と可動部３０とを連結させる連結軸部１１に対し、近い側に配される部位である。また、可動側連結部３３の外周部及びベース側連結部２３の外周部は、この連結軸部１１に対し、それぞれの内周部よりも遠い側に配される部位である。

　可動側連結部３３の先端部は、可動部３０が閉じ位置にあるときに、ベース側連結部２３から離れて配されており、可動側連結部３３の先端部とベース側連結部２３との間に小さな隙間が設けられる。これにより、可動部３０が、連結軸部１１を中心に開き方向又は閉じ方向に回転するときに、可動側連結部３３の先端部がベース側連結部２３に引っ掛かることを抑制し、可動部３０を円滑に回転させることができる。

　可動側連結部３３とベース側連結部２３とは、可動部３０が閉じ位置にあるときに、前後方向に互いに重ねられる形状を有する。この場合、ベース側連結部２３と可動側連結部３３とが重ねられる前後方向は、連結状態の第１留め部材１０及び第２留め部材５０が互いに離れる方向に引っ張られたときに、第１留め部材１０が第２留め部材５０の第２連結リング５０から力を受ける方向となる。また、可動部３０が閉じ位置で保持されているとき、ベース側連結部２３と可動側連結部３３とは、少なくとも、ベース側連結部２３の内周部が形成されている高さ方向の範囲の全体に亘って、長さ方向に重ねられている。本開示において、ベース側連結部２３と可動側連結部３３とは、第１留め部材１０及び第２留め部材５０が互いに離れる方向に引っ張られてベース側連結部２３の内周部に第２連結リング５０が当接した状態において、少なくともその当接した第２連結リング５０の高さ方向の範囲で、長さ方向に重ねられていてもよい。

　なお本開示において、可動側連結部３３は、湾曲した形状を有するベース側連結部２３に対して、異なる湾曲した形状に形成されていてもよい。なお、図１等に示す可動側連結部３３は、例えば可動部３０の一部とベース部２０の一部との接触によって、可動側連結部３３の内周部がベース部２０のベース側連結部２３の外周部に対して、小さな隙間を設けて対面する形状又は大きさに形成されていてもよい。また本開示では、ベース側連結部２３及び可動側連結部３３の相対的な大きさを変えて、例えば可動側連結部３３の外周部がベース側連結部２３の内周部に接触可能又は対面可能に第１留め部材１０が形成されていてもよい。この場合、可動側連結部３３の内周側に、連結リング５０の一部が移動可能な内側空間部１２が形成される。

　図１～図５に示す第１留め部材１０に設けられた装飾部３２は、花柄をデザインの主題としたジャケット部材として、可動側本体部３１に一体的に取り付けられている。装飾部３２は、それぞれ４枚の花弁を備える３つの花被を組み合わせた集合体で構成されたジャケット部材である（例えば、図２参照）。装飾部３２は可動部３０の上面部に接合されており、操作部３４よりも可動側連結部３３側の範囲に設けられている。装飾部３２は、可動側本体部３１に対して、レーザ加工を行うことにより図５に示す接合部３２ａが形成されて接合されている。接合部３２ａを設ける手段は、レーザ加工に限らず、ろう付け等による溶着、接着剤等による接着、接合部材の適用などが採用でき、又は、これらを組み合わせて用いてもよい。

　装飾部３２は、可動部３０に取り付けられるのであれば、可動部３０に固定されて設けられることに限定されず、可動部３０に対して着脱自在に設けられていてもよい。さらに、装飾部３２は、操作部３４よりも可動側連結部３３側の範囲に設けることに限らず、第１留め部材１０の開閉操作、並びに留め具１の連結操作及び分離操作を容易に且つ円滑に行うことを損なうことがなければ、可動部３０のいずれの位置に設けてもよい。例えば、装飾部３２は、左右の側方カバー部３５の外壁面部のみに、又は、可動側本体部３１の上面部と左右の側方カバー部３５の外壁面部の両方に接合されていてもよい。

　装飾部３２は、花柄に限らず、例えば、図１１に示す蝶柄をデザインの主題とした装飾部３９であってもよい。ここで、図１１は、本開示の装身具用留め部材が用いられた装身具の他の一例を模式的に示す拡大平面図である。図１１に示す装飾部３９は、可動部３０に対し、蝶の２枚の羽３９ａを２本の取付け部材３９ｂによって、可動部３０に橋掛け構造で固定されて取り付けられている。図１１に示す取付け部材３９ｂを設けることで、例えば、昆虫の腹節を表現することも可能である。装飾部３９と可動側本体部３１の上面部との図示しない接合部はレーザ加工を施すことによって形成されている。

　ねじりばね４０は、可動部３０を付勢する弾性部材として第１留め部材１０に取り付けられて配されている。この場合、弾性部材は、付勢部材と言うこともできる。このねじりばね４０は、第１留め部材１０の背面から、ねじりばね４０の一部分が見えて配されている（図３を参照）。ねじりばね４０は、金属線材の一部をコイル状に巻き回して形成されている。ねじりばね４０は、金属線材がコイル状に巻かれたコイル部４１と、コイル部４１の２つの端部からそれぞれ延びる２つのアーム部４２とを有する（図６を参照）。

　ねじりばね４０は、可動部３０の回転軸となる連結軸部１１がねじりばね４０のコイル部４１内に挿通されることによって、第１留め部材１０の連結軸部１１に取り付けられるとともに、ベース部２０の収容空間部２２ａ内に収容される。これにより、ねじりばね４０は、可動部３０を、可動側連結部３３がベース部２０のベース側連結部２３に当接させる方向に付勢でき、また、可動側連結部３３がベース側連結部２３に押し付けられる方向に付勢できる。

　この場合、例えばコイル部４１の有効巻き数が１巻きであれば、コイル部４１の幅方向のサイズを小さくできる。その結果、ねじりばね４０を、ベース部２０と可動部３０との間の限られたスペースに容易に収容できる。コイル部４１の有効巻き数が２巻き以上であれば、ねじりばね４０による付勢力を増大できる。

　ねじりばね４０の２つのアームは、それぞれ折れ曲がり部を有して形成されていてもよい。例えば、図７及び図８は、本開示の装身具用留め部材に配されるねじりばねの他の一例を示す模式図である。図７は、ねじりばね４０ａの巻き回したコイル部４６の中心軸方向（第１方向）から見たときの模式図であり、図８は、ねじりばね４０ａのコイル部４６の半径方向（第２方向）の外側から見たときの模式図である。

　ねじりばね４０ａは、金属線材をコイル状に巻き回して形成されたコイル部４６と、コイル部４６の一方の端部（第１端部）４６ａから延出した第１アーム部４７と、コイル部４６の他方の端部（第２端部）４６ｂから延出した第２アーム部４８とを有する。図７及び図８に示したコイル部４６における第１端部４６ａから第２端部４６ｂまでの有効巻き数は、２．２５巻き程度である。第１アーム部４７及び第２アーム部４８は、コイル部４６の第１及び第２端部４６ａ，４６ｂからそれぞれストレートに延びる部分を備える。更に、第１アーム部４７は第１折れ曲がり部４７ａを備え、第２アーム部４８は、第２折れ曲がり部４８ａを備えている。

　ねじりばね４０ａを中心軸方向（第１方向）から見たときに（図７を参照）、第１アーム部４７及び第２アーム部４８は、第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａでコイル部４６に対して離れる側（コイル部４６の半径方向の外側）に折れ曲がっている。すなわち、図７において、第１アーム部４７及び第２アーム部４８は、コイル部４６の第１及び第２端部４６ａ，４６ｂから第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａまでの部位に対して、第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａから各アーム先端までの部位が、コイル部４６から離れる方向に角度θ１で折れ曲がって形成されている。これにより、ねじりばね４０ａは、例えば第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａが形成されずに第１アーム部及び第２アーム部がコイル部の第１及び第２端部からアーム先端までストレートに形成されているねじりばねに比べて、より大きな付勢力を生じさせることができる。

　また、ねじりばね４０ａを半径方向（第２方向）から見たときに（図８を参照）、第１アーム部４７及び第２アーム部４８は、第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａでコイル部４６に対して近付く側（第１留め部材１０における幅方向の内側）に折れ曲がっている。すなわち、図８において、第１アーム部４７及び第２アーム部４８は、コイル部４６の第１及び第２端部４６ａ，４６ｂから第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａまでの部位に対して、第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａから各アーム先端までの部位が、コイル部４６の中心軸方向の内側に向けて角度θ２で折れ曲がって形成されている。

　つまり、第２方向からみたとき、ねじりばね４０ａでは、第１アーム部４７の第１折れ曲がり部４７ａから、第２アーム部４８の第２折れ曲がり部４８ａまでの上記中心軸に沿った方向のねじりばね４０ａの幅Ｗが最も大きくなる。その一方で、第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａからアーム先端までの各部位は、ねじりばね４０ａの上記幅Ｗの内側に配される。これにより、ねじりばね４０ａは、例えば第１及び第２折れ曲がり部４７ａ，４８ａが形成されずに第１アーム部及び第２アーム部がコイル部の第１及び第２端部からアーム先端までストレートに形成されているねじりばねに比べて、ねじりばね４０ａの全体の幅を小さくできる。このため、ねじりばね４０ａを、限られたスペースに収容し易くできる。

　従って、図７及び図８に示したねじりばね４０ａは、図６に示したねじりばね４０に比べ、ベース部２０の限られた収容空間部２２ａに収容されたときに、より大きな荷重を生じさせることができる。

　第１留め部材１０では、図６に示したねじりばね４０によって、可動部３０を回転方向の閉じ位置に向けて付勢しており、それによって、可動部３０は閉じ位置においてベース部に係止される。すなわち、ねじりばね４０によって、可動側連結部３３がベース側連結部２３に押し付けられる方向に付勢されて係止される。第１留め部材１０では、限られたスペースで、より大きな荷重を得るために、図６に示したねじりばね４０に替えて、図７及び図８に示したねじりばね４０ａを用いてもよい。

　なお、本開示において、可動部３０を閉じ位置で係止する係止部の形態及び手段は特に限定されるものではない。可動部３０を閉じ位置で維持可能であれば、係止部をその他の形態で形成してもよい。例えば、側方カバー部３５とベース側本体部２１とに互いに係合する凹部及び凸部を形成すること等によって係止部を設けることも可能である。可動側連結部３３とベース側連結部２３との間の摩擦力、又は可動側連結部３３及びベース側連結部２３の弾性力等を利用して、可動側連結部３３をベース側連結部２３に係止させて可動部３０を閉じ位置で維持してもよい。可動側連結部３３及びベース側連結部２３の少なくとも一方に磁石を設けること等により、磁力を利用して可動側連結部３３をベース側連結部２３に係止してもよい。

　図１に示す第２留め部材５０は、挿通孔部５１を有する円環状の部材である第２連結リング５０で構成されている。すなわち、図１に示す第２連結リング５０は、第２留め部材５０と同義であり、第１留め部材１０を連結させる被連結部を含む被連結部材として適用される。第２連結リング５０の挿通孔部５１は、上下方向に第２連結リング５０の中央部を貫通する円形状の孔である。第２連結リング５０の挿通孔部５１に、第１留め部材１０のベース側連結部２３と可動側連結部３３とが挿通されることにより、第１留め部材１０と第２連結リング５０とが互いに分離可能に連結する。

　なお、本開示における第２留め部材の形態は、第１留め部材１０のベース側連結部２３及び可動側連結部３３を挿通可能な挿通孔部を有していれば、特に限定されない。例えば、チェーン部材５の他端部に設けられた第２接続部と、第２接続部と一体的に形成される第２連結リングとを有していてもよい。第２留め部材は、挿通孔部を有する板状の部材であってもよい。

　次に、図１～図５に示した留め具１が、装身具の代表的な例としてネックレスに適用される場合について、第１留め部材１０と第２留め部材５０とが互いに分離している状態から、第１留め部材１０と第２留め部材５０とを連結する操作について説明する。

　先ず、第１留め部材１０を片手の指で保持する。このとき、第１留め部材１０のベース部２０と可動部３０の操作部３４とを指で挟み持つ。更に、指で可動部３０の操作部３４をベース部２０の回転停止部２４に接近する方向に押し込む。これにより、可動部３０が、ねじりばね４０の付勢力に抗して、図１において、連結軸部１１を中心として時計回り方向に回転する。その結果、第１留め部材１０を開いて、第１留め部材１０の挿抜開口部を上側に開放でき、例えば第１留め部材１０を図４に示した状態に保持できる。この可動部３０を回転させる第１留め部材１０の操作は片手で容易に行うことができる。

　更に可動部３０の操作部３４をベース部２０の回転停止部２４に向けて指で強く押し込むことによって、可動部３０の操作部３４を回転停止部２４に当接させることができる。それによって、可動部３０を全開位置で停止させて保持できる。なお、連結操作において第１留め部材１０を開く場合、第１留め部材１０は、第２連結リング５０をベース部２０と可動部３０との間からベース部２０のベース側連結部２３の内周部に移動可能に開いていれば、可動部３０を全開位置まで回転させなくてもよい。

　続いて、第１留め部材１０を開いた状態のまま第２留め部材５０に近付けて、ベース部２０のベース側連結部２３を、第２連結リング５０の挿通孔部５１に挿通させる。このとき、第２連結リング５０の一部は、開いている第１留め部材１０の挿抜開口部に挿入され、第１留め部材１０の内側空間部１２に移動する。更に、第２連結リング５０の一部を、第１留め部材１０のベース側連結部２３の内周部に接触させて保持する。この場合、ベース側連結部２３の内周部において第２連結リング５０を当接可能な部分が、ベース側連結部２３の部材当接部である。これにより、第２連結リング５０を、第１留め部材１０のベース部２０に引っ掛けて仮保持できる。また、第１留め部材１０の側面視において、ベース側連結部２３の凹状に窪んだ内周部に第２連結リング５０が保持されるため、第２連結リング５０をベース側連結部２３から外れ難くすることができる。

　第１留め部材１０の内側空間部１２に第２連結リング５０の一部を収容した後、指を可動部３０の操作部３４から離すことによって、可動部３０がねじりばね４０の付勢力によって閉じ位置まで回転する。それにより、可動部３０が第１留め部材１０の挿抜開口部の上方側を塞いで第１留め部材１０が閉鎖される。また、ねじりばね４０の付勢力によって、第１留め部材１０の閉状態が保持される。これによって、第１留め部材１０と第２連結リング５０とが連結され、その結果、ネックレスとしての装身具が輪状に保持される。なお、上述した第１留め部材１０と第２連結リング５０とを連結させる一連の操作方法は一例に過ぎない。本開示において、第１留め部材１０と第２第２連結リング５０とを連結させる操作方法は特に限定されない。

　第１留め部材１０と第２連結リング５０とが連結されたとき、第２連結リング５０の挿通孔部５１には、第１留め部材１０のベース側連結部２３だけでなく、可動側連結部３３も挿通されている。これにより、第１留め部材１０と第２留め部材５０とを確実に連結できる。また、第１留め部材１０のベース側連結部２３と可動側連結部３３とは、ベース側本体部２１の上面から、ベース側連結部２３の先端部までの高さ方向の全体に亘って、長さ方向に重ねられている。言い換えると、ベース側連結部２３及び可動側連結部３３は、ベース側連結部２３の第２連結リング５０を当接させる部材当接部が設けられている高さ方向の範囲の全体に亘って、長さ方向に重ねられている。

　例えば留め具１において、連結状態の第１留め部材１０と第２連結リング５０とが互いに離れる方向に強く引っ張られたときには、第２連結リング５０が第１留め部材１０のベース側連結部２３の内周部に当接し、ベース側連結部２３が、第２連結リング５０から前後方向に沿った外力（引っ張り力）を受ける。このとき、第１留め部材１０のベース側連結部２３と可動側連結部３３とは、高さ方向の上記範囲の全体に亘って長さ方向に重ね合わされているため、ベース側連結部２３が第２連結リング５０から外力を受けても、その外力をベース側連結部２３と可動側連結部３３の両方で受け止めることができる。このため、第１留め部材１０では、より大きな外力に耐えることができる。また、その外力によってベース側連結部２３及び可動側連結部３３に変形が生じることを抑制できる。

　第１留め部材１０では、可動部３０を閉じ位置に保持したときに、可動部３０の側方カバー部３５が、可動側本体部３１とベース側本体部２１との間の領域の一部を左右側方から被覆するとともに、側方カバー部３５に湾曲状の規制端縁部３５ａが設けられている。これにより、第１留め部材１０の内側空間部１２内で第２連結リング５０が移動可能な領域を適切な大きさで確保できるため、第１留め部材１０の内側空間部１２内で第２連結リング５０が固定されて動かなくなることを抑制できる。

　更に、第１留め部材１０のベース側連結部２３と側方カバー部３５の規制端縁部３５ａとの間に形成される隙間Ｇが、第２連結リング５０を挿通させない大きさで形成されている。これにより、第１留め部材１０と第２留め部材５０の連結時に、第２連結リング５０がベース側連結部２３と側方カバー部３５との間に挟まり込むこと及び引っ掛かることを抑制し、第２連結リング５０を第１留め部材１０の内側空間部１２内に安定して留めておくことができる。また、第２連結リング５０が側方カバー部３５に接触して可動部３０を開く方向に押圧することを抑制できる。

　次に、第１留め部材１０と第２連結リング５０が連結されている状態から、第１留め部材１０と第２連結リング５０を分離する操作について説明する。先ず、第１留め部材１０の操作部３４を指で押圧することによって、可動部３０を、ねじりばね４０の付勢力に抗して、ベース側本体部２１から離れる方向に回転させる。それによって、第１留め部材１０が開かれる。

　その後、第１留め部材１０及び第２連結リング５０の少なくとも一方を動かして、第２連結リング５０を第１留め部材１０の内側空間部１２から挿抜開口部に移動させる。更に、第２連結リング５０を、ベース部２０と可動部３０との間から第１留め部材１０の外側に抜出させる。これにより、第１留め部材１０と第２連結リング５０とを容易に且つ円滑に分離させることができる。なお本開示において、第１留め部材１０と第２連結リング５０とを分離させる操作方法は特に限定されない。

　従って、上記第１留め部材１０を有する留め具１によれば、第１留め部材１０を開く操作及び閉じる操作を容易に行うことができる。それにより、留め具１の第１留め部材１０と第２連結リング５０とを連結する操作及び分離する操作を容易に且つ円滑に行うことができる。従って、例えば図１２に示した従来の留め具８０の操作が苦手な人であっても、本開示の第１留め部材１０がネックレス（装身具）に用いられることによって、留め具１の連結操作及び分離操作を首の後ろ側で軽快に行うことが可能となる。

　また、第１留め部材１０は、第１留め部材１０の操作性を低下させることなく、全体的なサイズを容易に変更できる。例えば、留め具１の第１留め部材１０を長さ方向に長くすること又は短くすること、及び、幅方向に長くすること又は短くすることが容易である。これにより、チェーン部材５のデザインに合わせて、第１留め部材１０のサイズを、又は第１留め部材１０のサイズと第２連結リング５０のサイズの両方を容易に調整できる。このため、チェーン部材５の連続するデザイン性を維持し易くして、装身具の美観を損なわれ難くすることができる。

　更に、第１留め部材１０は、可動部３０に装飾部３２が設けられている。このため、装身具の使用中に、第１留め部材１０を含む留め具１が使用者の正面に回ってしまった場合であっても、使用者と対面した人は、装身具のデザインの一部であると認識する。従って、使用者と対面した人は、留め具１が使用者の正面に回って装身具が誤って装着されていることを認識し難くなる。さらに、使用者は、自身の正面で第１留め部材１０の開閉操作を行い、そのまま留め具１を使用者の正面に留め置いたとしても、使用者と対面した人は、留め具１が使用者の正面にあることに気が付き難くなる。

　例えば、ペンダントトップのデザインと第１留め部材１０を含む留め具１のデザインとに関連性を持たせておけば、使用者と対面した人は、装身具の物語性を認識することができる。例えば、第１留め部材１０を含む留め具１が使用者の正面に回ってしまった場合、ペンダントトップと留め具１との両方が使用者と対面した人に認識される。従って、第１留め部材１０は、装身具全体のデザインの連続性だけでなく、物語性を付与することも可能であり、チェーン部材５及び留め具１を含む装身具全体の一貫性を持たせることができる。

　また、ペンダントトップのデザインと第１留め部材１０を含む留め具１のデザインとに関連性を持たせておき、ペンダントトップと第１留め部材１０とを使用者の身体の正面で使用する構造にしておくことも可能である。例えば、図９は、本開示の装身具用留め部材が用いられた装身具の一例を示す概略図である。図９には、装身具として、ペンダントトップ６１の一部に、上記第２連結リング５０（図９には不図示）を設けて、第２連結リング５０と第１留め部材１０とを連結させた状態のネックレス（ペンダント）６０の一部を表している。

　図９に示す装身具のペンダントトップ６１は、花柄をデザインの主題としており、環状に形成している。環状に形成したペンダントトップの一部に、図示しない第２連結リング５０を設けておく。ペンダントトップの第２連結リング５０以外の部分には、花柄及び円形の装飾が施されている。第１留め部材１０は、花柄の装飾部３２を備えているので、チャームとしての機能も有する。従って、ペンダントトップ６１に備えた図示しない第２連結リング５０に第１留め部材１０を連結することにより、ペンダントトップと第１留め部材１０とがデザインの一貫性を有する装身具となる。

　なお、図９に示す第１留め部材１０は３つの花柄の装飾部３２を備えているが、その花柄の装飾部３２の代わりに、異なる外観を備える花柄の装飾部、又は蝶、蜂等の昆虫類の装飾部３９（図１１を参照）を第１留め部材１０の可動部３０に接合することも可能である。それによって、図９に示す花柄とは異なった物語性を付与することができる。また、図９に示したペンダントトップ６１のバリエーションを容易に増やすことができる。

　図１０は、本開示の装身具用留め部材が用いられた装身具の他の一例を示す概略図である。装身具の一例である図１０に示したネックレス７０では、チェーン部材７１の中間部に第２連結リング５０が設けられている。このネックレスは、第２連結リング５０に第１留め部材１０を連結させるとともに、この第２連結リング５０から、ハート状の飾りを先端部に備えた装飾用チェーン部７２が重力方向に沿って垂れ下げられるため、使用者の胸元でＹ字状を形成して使用される。

　この場合、第１留め部材１０が花柄の装飾部３２を備えているので、第１留め部材１０が装身全体のデザインを損なうことは無い。また、図１０に示した花柄の装飾部３２の代わりに、異なる外観を備える花柄の装飾部、又は蝶、蜂等の昆虫類の装飾部を、第１留め部材１０の可動部３０に接合することも可能である。それによって、ハート状の飾りを備えたＹ字ネックレスのバリエーションを容易に増やすことができる。

　図９及び図１０に示した第１留め部材１０では、装飾部３２が可動部３０の可動側本体部３１に接合されており、可動部３０の操作部３４を覆い隠していないため、装飾部３２の存在によって第１留め部材１０の操作性の低下を招くことはない。また図９及び図１０に示した第１留め部材１０では、第１留め部材１０と第２連結リング５０との連結操作及び分離操作を使用者の胸元（使用者の正面側）で行えるため、ネックレスを身に着け易くすること、及び取り外し易くすることができる。またこの場合、身体の正面で開閉操作をしても不自然ではない。

　以上から、本開示の留め部材（第１留め部材１０）を用いることにより、従来の引き輪タイプの留め具及び挿し込み式タイプの留め具が用いられる場合に比べて、留め部材の開閉操作、並びに留め具の連結操作及び分離操作を容易に且つ円滑に行うことができ、また、装身具全体に対するデザインの一貫性を付与できる。

　なお、上述した第１留め部材１０の場合、ベース側連結部２３及び可動側連結部３３は、第１留め部材１０の側面視において、フック状又は円弧状に曲がる形状を示しているが、ベース側連結部のフック状又は円弧状に曲がる形状は、例えば略Ｌ字状、略Ｃ字状、略Ｕ字状、又はこれらに近い形状等の形状であってもよい。可動側連結部のフック状又は円弧状に曲がる形状は、ベース側連結部の外周部又は内周部に対して接触又は対面させるために、ベース側連結部の形状に対応する略Ｌ字状、略Ｃ字状、略Ｕ字状、又はこれらに近い形状等の形状であってもよい。

　更に、ベース側連結部及び可動側連結部が、第１留め部材の側面視において、上方又は下方に曲がる形状に形成されていれば、フック状又は円弧状に滑らかに湾曲していなくてもよい。例えば、第１留め部材の側面視において、ベース側連結部は、その先端部が可動部の可動側本体部に近付く方向に曲げられた形状を有していれば、Ｌ字状、Ｖ字状、又はこれらに近い形状等の少なくとも一部が屈曲して角張る形態に形成されてもよい。可動側連結部は、第１留め部材の側面視において、その先端部がベース部のベース側本体部に近付く方向に曲げられた形状を有していれば、Ｌ字状、Ｖ字状、又はこれらに近い形状等の少なくとも一部が屈曲して角張る形態に形成されてもよい。

　上述した第１留め部材１０では、ベース部２０に挿通されるとともに可動部３０に固定される連結軸部１１によって、可動部３０がベース部２０に対して回転可能に支持又は連結されているが、本開示に係る留め部材では、例えばベース部及び可動部に、円柱状の凸部、及びその凸部を嵌入する凹を設けることによって可動部がベース部に対して回転可能に支持又は連結されていてもよい。

　本開示に係る装身具には、上述したネックレスの他に、ブレスレット、ペンダント、アンクレット等が含まれる。すなわち、本開示に係る留め部材（第１留め部材）は、環状にして使用する装身具に適用可能である。例えば、本開示に係る留め部材は、ネックレス等のチェーン部材の両端部を分離可能に連結する留め具に適用されてもよく、チェーン部材の一方の端部と中間部とを分離可能に連結する留め具に適用されてもよい（図１０を参照）。また、本開示に係る留め部材は、例えばチェーン部材とペンダントトップとを分離可能に連結する連結部分に適用されてもよい（図９を参照）。更に、本開示に係る装身具には、例えば線状部材を含まないブローチ、イヤリング、ピアス、かんざし、ネクタイピン等も含まれる。また、本開示に係る装身具では、留め部材（第１留め部材）を用いて装身具に含まれる部材同士を連結するだけでなく、装身具と他の物（衣服、身の回り品など）を連結しても良いし、複数の装身具を互いに連結してもよい。

　本開示に係る留め部材を組み立てるための組み立てセットの好ましい一例は、本開示の好ましい形態の一例である装身具用留め部材（第１留め部材）を組み立てるための組み立てセットである。本開示に係る留め部材（第１留め部材１０）の組み立てセットは、例えば、可動部３０と、ベース部２０とを有する。また、本開示に係る組み立てセットは、例えば、可動部３０と、ベース部２０に加え、付勢部材としてのねじりばね４０とを有していてもよい。可動部３０とベース部２０との閉状態を維持するための手段を装身具用留め具が備えている場合、装身具用留め具の組み立てセットは付勢部材（例えば、ねじりばね４０）を含まなくてもよい。組み立てセットにおける可動部３０は、可動部３０の一端側に操作部３４を備え、可動部３０の他端側に可動側連結部３３を備える可動部本体と、装飾部３２とが別体であってもよく、可動部本体に予め装飾部３２が接合部３２ａにより接合されて設けられていてもよい。

　本開示に係る留め部材（第１留め部材１０）は、可動部３０及びベース部２０を準備する工程（工程１）と、連結軸部１１を準備する工程（工程２）と、可動部３０、ベース部２０及び連結軸部１１を組み立てる工程（工程３）とを有する。工程１は、装飾部３２を予め可動部３０に取り付ける過程を有していてもよい。装飾部３２は、工程３の後に、完成品としての第１留め部材１０が備える可動部３０に取り付けられてもよい。また、ばね部材（例えば、ねじりばね４０）を用いる場合は、工程２において、ばね部材を準備してもよい。例えば、第１留め部材１０は、次に示す方法で製造されるが、これに限定されるものではない。

　まず、可動部３０及びベース部２０を準備する。次に、連結軸部１１とねじりばね４０を準備する。続いて、ねじりばね４０のコイル部４１に連結軸部１１を挿入し、可動部３０、ベース部２０、及びねじりばね４０に挿入された連結軸部１１を、かしめ加工によって一体的に固定する。次に、レーザ加工を施すことにより、可動部３０の上面部と装飾部３２との間に接合部３２ａを形成して装飾部３２を可動部３０に固定する。これにより、装飾部３２を備えた第１留め部材１０が得られる。

　本開示は、さらに下記の態様も含まれる。

　＜１＞
　被連結部に分離可能に連結する装身具用留め部材であって、
　装身具の一部に接続されるベース部と、前記ベース部に回転可能に支持されるとともに前記回転により前記留め部材を開閉させる可動部とを有し、
　前記ベース部は、ベース側連結部を有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース部の前記装身具の一部に接続される接続部分に対して、前記ベース部の長さ方向の反対側に配され、
　前記ベース部の前記長さ方向は、前記被連結部と前記留め部材の前記接続部分とが互いに離れる方向に引っ張られたときに、その引っ張られる力に沿った方向であり、
　前記可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、
　前記可動部が前記留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、前記可動側連結部の内周部又は外周部と、前記ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、前記ベース側連結部の一部と前記可動側連結部の一部とが前記ベース部の前記長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする留め部材。

　＜２＞
　被連結部に分離可能に連結する装身具用留め部材であって、
　装身具の一部に接続されるベース部と、前記ベース部に回転可能に支持されるとともに前記回転により前記留め部材を開閉させる可動部とを有し、
　前記ベース部は、ベース側連結部を有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース部の前記装身具の一部に接続される接続部分に対して、前記ベース部の長さ方向の反対側に配され、
　前記可動部を回転方向の前記閉じ位置に向けて付勢する弾性部材が配され、
　前記可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、
　前記可動部が前記留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、前記可動側連結部の内周部又は外周部と、前記ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、前記ベース側連結部の一部と前記可動側連結部の一部とが前記ベース部の前記長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする留め部材。

　＜３＞
　前記ベース側連結部は、前記可動部側に曲がり、
　前記可動側連結部は、前記ベース部側に曲がる、＜１＞又は＜２＞に記載の留め部材。

　＜４＞
　前記可動部は、可動側本体部と、前記可動側本体部と接合部により接合されている前記装飾部と、前記可動側本体部の一端部から前記ベース部に対して反対方向に延びる操作部と、前記可動側本体部の他端部から前記ベース部側に曲がる前記可動側連結部とを有する、＜１＞～＜３＞のいずれか１項に記載の留め部材。

　＜５＞
　前記ベース部は、前記ベース部の前記長さ方向に延びるベース側本体部と、前記ベース側本体部から前記ベース側連結部とは前記長さ方向の反対側に延びるとともに前記操作部を当接させて前記可動部の開き方向への回転を停止させる回転停止部を有する＜４＞に記載の留め部材。

　＜６＞
　前記ベース側連結部又は前記可動側連結部の内周側に、前記被連結部の一部が移動可能な内側空間部が形成され、
　前記被連結部と前記留め部材の前記接続部分とが互いに離れる方向に引っ張られたときに、前記長さ方向に互いに重ねられた前記ベース側連結部及び前記可動側連結部の一方の内周部に、前記被連結部の一部を当接させる
＜１＞～＜５＞のいずれか１項に記載の留め部材。

　＜７＞
　前記ベース部は、前記ベース部の前記長さ方向に延びるベース側本体部と、前記ベース側本体部から前記ベース部の高さ方向に延びるとともに前記可動部を支持するベース側支持部とを有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース側支持部と離れた位置で前記ベース側本体部から延びて前記可動部側に曲がり、
　前記可動部は、可動側本体部と、前記可動側本体部から前記ベース部に向けて延びて前記留め部材の側面視で前記ベース側支持部と少なくとも一部が重なり合う側方カバー部と、前記可動側本体部の一端部から前記可動側本体部に対して曲がった方向に延びる操作部とを有し、
　前記可動側連結部は、前記可動側本体部の他端部から前記ベース部側に曲がり、
　前記側方カバー部は、前記ベース部の前記ベース側支持部に連結軸部によって連結される＜１＞～＜６＞のいずれか１項に記載の留め部材。

　＜８＞
　前記側方カバー部は、前記可動部が前記閉じ位置に配置されるとき、前記留め部材の側面視において前記ベース側本体部の少なくとも一部に重なる＜７＞に記載の留め部材。

　＜９＞
　前記ベース側連結部又は前記可動側連結部の内周部は、前記被連結部と前記留め部材の前記接続部分とが互いに離れる方向に引っ張られたときに前記被連結部の一部を当接させる部材当接部を有し、
　前記ベース側連結部と前記可動側連結部とは、前記ベース側連結部又は前記可動側連結部の部材当接部が設けられている高さ方向の範囲の全体に亘って、前記長さ方向に重ねられている＜１＞～＜８＞のいずれか１項に記載の留め部材。

　＜１０＞
　前記可動部は、前記閉じ位置において前記ベース部に係止される＜１＞～＜９＞のいずれか１項に記載の留め部材。
　＜１１＞
　前記可動部を回転方向の前記閉じ位置に向けて付勢する弾性部材が配されている＜１＞～＜１０＞のいずれか１項に記載の留め部材。

　＜１２＞
　＜１＞～＜１１＞のいずれか１項に記載の留め部材である第１留め部材と、
前記被連結部を備える第２留め部材と、
を有することを特徴とする装身具用留め具。

　＜１３＞
　前記第１留め部材は、前記装身具の線状部材の一端部に配され、
　前記第２留め部材は、前記線状部材の他端部に配され、
　前記第２留め部材に設けた挿通孔部に、前記第１留め部材の前記ベース側連結部と前記可動側連結部とが挿通されることにより、前記第１留め部材と前記第２留め部材とが互いに分離可能に連結する、＜１２＞に記載の留め具。

　＜１４＞
　＜１＞～＜１１＞のいずれか１項に記載の装身具用留め部材を備えることを特徴とする、装身具。

　＜１５＞
　＜１＞～＜１１＞のいずれか１項に記載の装身具用留め部材を組み立てることが可能で、前記ベース部と、前記可動部とを有することを特徴とする、装身具用留め部材の組み立てセット。

　１…留め具、　５…チェーン部材、　１０…第１留め部材、　１１…連結軸部、　１２…内側空間部、　１５…仮想線、　２０…ベース部、　２１…ベース側本体部、　２２…ベース側支持部、　２２ａ…収容空間部、　２２ｂ…軸孔部、　２３…ベース側連結部、　２４…回転停止部、　２４ａ…収容凹部、　２５…第１接続部、　３０…可動部、　３１…可動側本体部、　３２…装飾部、　３２ａ…接合部、　３３…可動側連結部、　３４…操作部、　３４ａ…収容部、　３５…側方カバー部、　３５ａ…規制端縁部、　３９…装飾部、　３９ａ…羽、　３９ｂ…取付け部材、　４０，４０ａ…ねじりばね、　４１…コイル部、　４２…アーム部、　４６…コイル部、　４６ａ…コイル部の第１端部、　４６ｂ…コイル部の第２端部、　４７…第１アーム部、　４７ａ…第１折れ曲がり部、　４８…第２アーム部、　４８ａ…第２折れ曲がり部、　５０…第２連結リング（第２留め部材）、　５１…挿通孔部、　６０…ネックレス（ペンダント）、　６１…ペンダントトップ、　７０…ネックレス、　７１…チェーン部材、　７２…装飾用チェーン部、　Ｇ…隙間、　Ｗ…ねじりばねの幅、　θ１，θ２…角度。

Claims

　被連結部に分離可能に連結する装身具用留め部材であって、
　装身具の一部に接続されるベース部と、前記ベース部に回転可能に支持されるとともに前記回転により前記留め部材を開閉させる可動部とを有し、
　前記ベース部は、ベース側連結部を有し、
　前記ベース側連結部は、前記ベース部の前記装身具の一部に接続される接続部分に対して、前記ベース部の長さ方向の反対側に配され、
　前記可動部は、装飾部と可動側連結部とを有し、
　前記可動部が前記留め部材を閉じる閉じ位置に配置されるとき、前記可動側連結部の内周部又は外周部と、前記ベース側連結部の外周部又は内周部とが互いに接触又は対面し、且つ、前記ベース側連結部の一部と前記可動側連結部の一部とが前記ベース部の前記長さ方向に互いに重ねられることを特徴とする留め部材。
　前記ベース側連結部は、前記可動部側に曲がり、
　前記可動側連結部は、前記ベース部側に曲がる、請求項１に記載の留め部材。
　前記可動部は、前記閉じ位置において前記ベース部に係止される請求項１又は２に記載の留め部材。
　前記可動部を回転方向の前記閉じ位置に向けて付勢する弾性部材が配されている請求項１～３のいずれか１項に記載の留め部材。
　前記可動部は、可動側本体部と、前記可動側本体部と接合部により接合されている前記装飾部と、前記可動側本体部の一端部から前記ベース部に対して反対方向に延びる操作部と、前記可動側本体部の他端部から前記ベース部側に曲がる前記可動側連結部とを有する、請求項１～４のいずれか１項に記載の留め部材。
　前記可動部は、前記可動側本体部から前記ベース部に向けて延びて前記留め部材の側面視でベース側支持部と少なくとも一部が重なり合う側方カバー部を有する、請求項５に記載の留め部材。
　前記ベース部は、ベース側本体部と、前記ベース側本体部から前記ベース側連結部とは前記長さ方向の反対側に延びるとともに前記可動部の一部を当接させて前記可動部の開き方向への回転を停止させる回転停止部を有する、請求項１～６のいずれか１項に記載の留め部材。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の留め部材である第１留め部材と、
　前記被連結部を備える第２留め部材と、
を有することを特徴とする、装身具用留め具。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の留め部材を備えることを特徴とする、装身具。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の留め部材を組み立てることが可能で、前記ベース部と、前記可動部とを有することを特徴とする、装身具用留め部材の組み立てセット。