WO2020250814A1 - 封止部材およびそれを備える電子機器 - Google Patents

Abstract

封止部材は、電子機器のコネクタ開口部に取り付けられて、コネクタ開口部に挿入されるケーブルの絶縁性カバーと電子機器の本体との間を封止する。封止部材は、第１開口と、第１開口に対向する第２開口を第１開口よりも電子機器の内側に位置する第２開口と、第１開口から第２開口に至るまで内側に窄まるテーパー状の傾斜面とを有し、弾性材料からなる筐体を備える。筐体は、傾斜面を内側に形成する第１筒状部と、第１筒状部の外側に設けられた第２筒状部とを備え、第１筒状部と第２筒状部は第１開口の周囲で互いに接続されており、第１筒状部と第２筒状部の間には隙間が形成される。

Description

封止部材およびそれを備える電子機器

　本発明は、封止部材およびそれを備える電子機器に関する。

　従来、ノートパソコン等の電子機器において、ケーブル接続用のコネクタ開口部に弾性材料からなる封止部材を取り付けて、コネクタ開口部に挿入されるケーブルと電子機器本体の間を封止する構造が提案されている（例えば特許文献１参照）。

特開２０１８－１２０９６０号公報

　封止部材によってケーブルと電子機器本体の間を封止できるものの、封止部材があることによってケーブルの挿入が阻害され、挿入性が悪くなる場合がある。ケーブルを容易に挿入できるようにしながら、ケーブルと電子機器本体の間を精度良く封止することに関して未だ改善の余地があるといえる。

　従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、ケーブルを容易に挿入できるようにしながらケーブルと電子機器本体の間を精度良く封止することができる封止部材およびそれを備える電子機器を提供することにある。

　前記目的を達成するために、本発明の封止部材は、電子機器のコネクタ開口部に取り付けられて、前記コネクタ開口部に挿入されるケーブルの絶縁性カバーと前記電子機器の本体との間を封止する封止部材であって、第１開口と、前記第１開口に対向し前記第１開口よりも前記電子機器の内側に位置する第２開口と、前記第１開口から前記第２開口に至るまで内側に窄まるテーパー状の傾斜面とを有し、弾性材料からなる筐体を備え、前記筐体は、前記傾斜面を内側に形成する第１筒状部と、前記第１筒状部の外側に設けられた第２筒状部とを備え、前記第１筒状部と前記第２筒状部は前記第１開口の周囲で互いに接続されており、前記第１筒状部と前記第２筒状部の間には隙間が形成される。

　また、本発明の電子機器は、前記コネクタ開口部と、前記コネクタ開口部に取り付けられる前記封止部材と、を備える。

　本発明の封止部材およびそれを備える電子機器によれば、ケーブルを容易に挿入できるようにしながらケーブルと電子機器本体の間を精度良く封止することができる。

実施形態の電子機器におけるコネクタ開口部および封止部材の周辺の分解斜視図 コネクタ開口部に封止部材を取り付けてケーブルを挿入した状態を示す斜視図 図２と同じ状態の断面図 封止部材の斜視図 封止部材の正面図 図５の６－６断面図 傾斜面の角部を含む箇所の拡大斜視図 封止部材の背面図 封止部材に第１の種類のケーブルを挿入した状態を示す断面図 封止部材に第１の種類のケーブルをさらに挿入した状態を示す断面図 封止部材に第２の種類のケーブルを挿入した状態を示す断面図 封止部材に第２の種類のケーブルをさらに挿入した状態を示す断面図 封止部材にケーブルを挿入した状態を示す背面側の斜視図

　本発明の第１態様によれば、電子機器のコネクタ開口部に取り付けられて、前記コネクタ開口部に挿入されるケーブルの絶縁性カバーと前記電子機器の本体との間を封止する封止部材であって、第１開口と、前記第１開口に対向し前記第１開口よりも前記電子機器の内側に位置する第２開口と、前記第１開口から前記第２開口に至るまで内側に窄まるテーパー状の傾斜面とを有し、弾性材料からなる筐体を備え、前記筐体は、前記傾斜面を内側に形成する第１筒状部と、前記第１筒状部の外側に設けられた第２筒状部とを備え、前記第１筒状部と前記第２筒状部は前記第１開口の周囲で互いに接続されており、前記第１筒状部と前記第２筒状部の間には隙間が形成される、封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口からケーブルを挿入してケーブルの絶縁性カバーを第１筒状部の傾斜面に当接させながら第２開口に向かって挿入することで、ケーブルの絶縁性カバーと電子機器本体の間を筐体によって封止することができる。第１筒状部と第２筒状部の間に隙間を設けているため、挿入されたケーブルによって第１筒状部が外側に押されても、第１筒状部が変形するスペースを確保することができ、ケーブルの挿入を妨げないようにすることができる。このようにして、ケーブルを容易に挿入できるようにしながら、ケーブルと電子機器本体の間を精度良く封止することができる。

　本発明の第２態様によれば、前記筐体の前記傾斜面には、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向に沿って延びる少なくとも１つのリブが設けられている、第１態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口から挿入されるケーブルの移動をリブによってガイドすることができ、さらに筐体の強度を補強することができる。

　本発明の第３態様によれば、前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、前記少なくとも１つのリブは、前記傾斜面の前記角部に立設された第１リブを備える、第２態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、応力の集中しやすい傾斜面の角部をリブによって補強することができる。

　本発明の第４態様によれば、前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、前記少なくとも１つのリブは、前記傾斜面の前記角部とは異なる位置に立設された第２リブを備える、第２態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口から挿入されるケーブルの位置合わせを行うことができる。

　本発明の第５態様によれば、前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、前記少なくとも１つのリブは、複数のリブであり、前記複数のリブは、前記傾斜面の前記角部に立設された第１リブおよび前記傾斜面の前記角部とは異なる位置に立設された第２リブを備え、前記第１開口における前記第２リブの厚みは前記第１リブの厚みよりも大きい、第２態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口から挿入されるケーブルの位置合わせを第２リブにより行うことができる。さらに、第１開口における第２リブの厚みを第１リブの厚みよりも大きくすることで、第２リブによるケーブルの位置合わせ効果を優先的に生じさせることができる。

　本発明の第６態様によれば、前記筐体の前記傾斜面には、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向を環状に囲むように延在する突出部が形成されており、前記突出部は前記リブと面一に設けられる、第２態様から第５態様のいずれか１つに記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口から挿入されるケーブルを突出部に接触させて封止しつつ、突出部をリブと面一に設けることでケーブルの封止をより確実に行うことができる。

　本発明の第７態様によれば、前記突出部は前記第２開口を構成する、第６態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、最も狭い第２開口の回りに突出部を設けることで、ケーブルを突出部に強く押し付けることができ、ケーブルの封止をより確実に行うことができる。

　本発明の第８態様によれば、前記第２筒状部は、前記第１筒状部よりも前記電子機器の内側まで延びるように配置されている、第１態様から第７態様のいずれか１つに記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、第１開口からケーブルを挿入して第１筒状部がケーブルによって奥側に押されても、第１筒状部が変形するスペースを確保することができ、ケーブルの挿入を妨げないようにすることができる。

　本発明の第９態様によれば、前記第２筒状部は、前記電子機器の外側に向けられた面であって前記第１開口の周囲で前記第１筒状部に連続する第１面と、前記第１面に対向する位置で前記電子機器の内側に向けられた第２面とを有し、前記第２筒状部の前記第１面に接触する固定部材によって、前記第２筒状部の前記第２面が前記電子機器に押し付けられ、前記筐体が前記コネクタ開口部に固定される、第１態様から第８態様のいずれか１つに記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、筐体をより強固に固定することができる。

　本発明の第１０態様によれば、前記第２筒状部の前記第２面は、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向を環状に囲むように延在して前記電子機器の内側に向かって突出する突起を備える、第９態様に記載の封止部材を提供する。

　このような構成によれば、筐体と電子機器の間を突起によって封止することができる。

　本発明の第１１態様によれば、前記コネクタ開口部と、前記コネクタ開口部に取り付けられる第１態様から第１０態様のいずれか１つに記載の封止部材と、を備える、電子機器を提供する。

　このような構成によれば、第１態様に記載の封止部材と同様の効果を奏することができる。

　以下、本発明に係る封止部材およびそれを備える電子機器の例示的な実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。本発明は、以下の実施形態の具体的な構成に限定されるものではなく、同様の技術的思想に基づく構成が本発明に含まれる。

　（実施形態）
　実施形態における封止部材およびそれを備える電子機器の概略構成について、図１～図３を用いて説明する。図１は、実施形態の電子機器２におけるコネクタ開口部３Ａおよび封止部材４の周辺の分解斜視図であり、図２は、コネクタ開口部３Ａに封止部材４を取り付けてケーブル８を挿入した状態を示す斜視図であり、図３は、図２と同じ状態の断面図である。

　図１～図３に示す電子機器２は、ケーブル８（図２、図３）を電子機器本体３に電気的に接続可能とする電子機器である。電子機器２は例えばノートパソコンであり、ケーブル８は例えばＵＳＢケーブルである。

　図１に示すように、電子機器２は、電子機器本体３と、封止部材４と、固定部材６と、ネジ７とを備える。

　電子機器本体３は、電子機器２の本体を構成する部分である。電子機器本体３の側面にはコネクタ開口部３Ａが設けられている。コネクタ開口部３Ａは、ケーブル８を挿入して電子機器本体３に接続するための開口である。コネクタ開口部３Ａには、ケーブル８を受けるための封止部材４が取り付けられている。

　封止部材４は、コネクタ開口部３Ａに挿入されるケーブル８と電子機器本体３との間を封止する部材である。図２、図３に示すように、封止部材４は、コネクタ開口部３Ａに取り付けられた状態で固定部材６によって固定されている。封止部材４の詳細な構成については後述する。

　固定部材６は、コネクタ開口部３Ａに取り付けられた封止部材４をコネクタ開口部３Ａに固定する部材である。固定部材６は中央部に開口６Ａを有し、開口６Ａにケーブル８を挿入可能である。

　図１に示すネジ７は、固定部材６をコネクタ開口部３Ａに固定するための部材である。ネジ７は固定部材６に挿通され、電子機器本体３まで挿入される。

　図２、図３に示されるケーブル８は、コネクタ開口部３Ａに取り付けられた固定部材６および封止部材４に挿入されて、電子機器本体３に電気的に接続されるケーブルである。

　ケーブル８は、端子部１０と、絶縁性カバー１２とを備える。端子部１０は、ケーブル８の先端を構成する導電性部分であり、電子機器本体３に電気的に接続される。絶縁性カバー１２は、端子部１０等の導電性部分を覆う絶縁性のカバーである。

　図２、図３に示すように、封止部材４は、ケーブル８における端子部１０ではなく絶縁性カバー１２の周囲に接触することで、絶縁性カバー１２と電子機器本体３との間を封止する。このようにして封止部材４は、ケーブル８を電子機器本体３に接続した際の防水機能を発揮する。

　絶縁性カバー１２の大きさ（特に径）は、ケーブル８の種類によって様々に変化する。本実施形態の封止部材４は、様々な径の絶縁性カバー１２であっても封止を行うように構成されており、詳細については後述する。

　図２、図３に示すように、電子機器本体３は、取付部１４を備える。取付部１４は、ケーブル８の端子部１０を受ける部分である。取付部１４に端子部１０が挿入されることで、ケーブル８と電子機器本体３とが電気的に接続される。

　次に、封止部材４の構成について、図４～図６を用いて説明する。図４は、封止部材４の斜視図であり、図５は、封止部材４の正面図であり、図６は、図５の６－６断面図である。

　図４～図６に示すように、封止部材４は、弾性材料からなる筐体１６を備える。本実施形態では、封止部材４の弾性材料としてシリコンゴムが用いられる。図６に示すように、筐体１６は、大きく２つの筒状部材で構成されている。具体的には、筐体１６は、第１筒状部１８と、第２筒状部２０とを備える。

　第１筒状部１８および第２筒状部２０は、内側と外側にそれぞれ配置される筒状の部材である。本実施形態の第１筒状部１８および第２筒状部２０は一体的に構成されている。第１筒状部１８および第２筒状部２０は、ケーブル８が挿入される方向であるケーブル挿入方向Ｂに沿って貫通穴を形成している。第１筒状部１８および第２筒状部２０に共通する径方向をＤとする。

　第１筒状部１８は、ケーブル挿入方向Ｂの上流側の開口として第１開口２２を形成する。第１開口２２は、ケーブル８を挿入するための開口であり「挿入開口」とも称する。第１筒状部１８はさらに、下流側の開口として第２開口２４を形成する。第２開口２４は、ケーブル８を封止するための開口であり「封止開口」とも称する。図４～図６に示すように、第１開口２２の大きさは第２開口２４の大きさよりも大きく設定されている。具体的には、図４に示すようにケーブル挿入方向Ｂから見たときに、第１開口２２の全体が第２開口２４に対して重なる。

　第１筒状部１８の内周面として、傾斜面２６が設けられている。傾斜面２６は、前述したケーブル８の絶縁性カバー１２（図２、図３）を受ける面である。図６に示すように、傾斜面２６は、第１開口２２から第２開口２４に至るまで内側に窄まるように傾斜したテーパー状の面である。本実施形態の傾斜面２６は、ケーブル挿入方向Ｂに連続的に延びる曲面である。

　傾斜面２６によって囲まれた領域を挿入空間２７と称する。挿入空間２７は、第１開口２２から第２開口２４に至るまでケーブル挿入方向Ｂに延びる空間である。挿入空間２７は大略円錐台の形状である。

　図４、図５に示すように、筐体１６の傾斜面２６には、複数のリブ２８が設けられている。複数のリブ２８のそれぞれは、ケーブル挿入方向Ｂに沿って延びる突出部である。複数のリブ２８のそれぞれは、傾斜面２６から挿入空間２７に向かって内側に突出している。

　リブ２８は、２種類のリブとして、第１リブ２８Ａと、第２リブ２８Ｂとを備える。第１リブ２８Ａは、傾斜面２６の角部に立設されたリブである。第２リブ２８Ｂは、傾斜面２６の角部とは異なる位置に立設されたリブであり、本実施形態では、傾斜面２６を構成する４辺の略中央部に設けられている。第１リブ２８Ａと第２リブ２８Ｂは、ケーブル挿入方向Ｂを囲む方向に間隔を空けて規則的かつ交互に設けられている。

　第１リブ２８Ａは、主に筐体１６の補強のために設けられている。第１リブ２８Ａが立設される傾斜面２６の角部は、第１開口２２から挿入されたケーブル８が傾斜面２６に接触して外側に押圧する際に応力が集中しやすい箇所であり、破損が生じやすい。このような傾斜面２６の角部に、ケーブル挿入方向Ｂに延びる第１リブ２８Ａを設けることで、筐体１６の破損を抑制することができ、筐体１６を効果的に補強することができる。

　第２リブ２８Ｂは、主にケーブル８の位置合わせのために設けられている。具体的には、第１開口２２から挿入されたケーブル８が上下左右の合計４ヶ所に設けられた第２リブ２８Ｂに沿って進む際に、ケーブル８は挿入空間２７の中央位置に案内されてセンタリングされる。このようにして、第２リブ２８Ｂはケーブル８の位置合わせ機能を発揮することができる。

　上述したリブ２８を含めて、筐体１６はその全体が一体的な部材として設けられており、１つの弾性材料から構成されている。

　次に、第１リブ２８Ａと第２リブ２８Ｂの厚みの関係について、図７を用いて説明する。図７は、傾斜面２６の角部を含む箇所の部分拡大斜視図である。

　図７に示すように、第１リブ２８Ａの厚みは、第１開口２２から第２開口２４に向かって連続的に変化している。第１リブ２８Ａは、第１開口２２において厚みＴ１を有し、第２開口２４において厚みＴ２を有する。同様に、第２リブ２８Ｂは、第１開口２２において厚みＴ３を有し、第２開口２４において厚みＴ２を有する。

　本実施形態では、第１開口２２における第２リブ２８Ｂの厚みＴ３を、第１リブ２８Ａの厚みＴ１よりも大きく設定している。このような設定によれば、第２リブ２８Ｂによるケーブル８の位置合わせ機能を優先的に生じさせることができる。

　一方で、第２開口２４においては、第１リブ２８Ａの厚みＴ２と第２リブ２８Ｂの厚みＴ２を同じ値に設定している。

　図７に示すように、傾斜面２６には突出部３０が形成されている。突出部３０は、傾斜面２６から挿入空間２７に向かって内側に突出する部分である。突出部３０は、第２開口２４を囲むように環状に延びている（図４、図５参照）。

　図７に戻ると、突出部３０の厚みＴ２は、第２開口２４における第１リブ２８Ａの厚みＴ２および第２リブ２８Ｂの厚みＴ２と同じ値に設定されている。すなわち、突出部３０と第１リブ２８Ａと第２リブ２８Ｂは第２開口２４において面一である。このような構成によれば、挿入空間２７に挿入されて第２開口２４を通過するケーブル８の絶縁性カバー１２に突出部３０を確実に接触させて、密着させることができる。これにより、絶縁性カバー１２と電子機器本体３との間をより精度良く封止することができる。

　また、本実施形態の突出部３０は第２開口２４を構成する位置、すなわち傾斜面２６におけるケーブル挿入方向Ｂの下流端部に配置されている。このような配置によれば、挿入空間２７において最も狭い箇所である第２開口２４に突出部３０を設けることで、ケーブル８の絶縁性カバー１２を突出部３０に強く押し付けることができる。また、突出部３０を傾斜面２６の途中に設ける場合に比べて設計も容易となる。

　図６に戻ると、第２筒状部２０は、第１面３２と、第２面３４とを有する。封止部材４がコネクタ開口部３Ａに取り付けられた状態において、第１面３２は電子機器２の外側を向くように配置され（矢印Ｃ１参照）、第２面３４は、電子機器２の内側を向くように配置される（矢印Ｃ２参照）。第１面３２を筐体１６の表面と称し、第２面３４を筐体１６の裏面と称してもよい。

　図６に示すように、第１面３２は平坦な面として形成される一方で、第２面３４には突起３６が設けられている。突起３６は、封止部材４と電子機器本体３との間を封止するための突起である。具体的には、図２、図３に示すように、突起３６を設けた第２面３４は電子機器本体３に当接している。このとき、封止部材４の第１面３２には固定部材６が接触しており、第１面３２を介して封止部材４は電子機器２の内側に向けて押圧されている（矢印Ｃ２参照）。突起３６を設けた第２面３４も電子機器本体３の内側に向かって押し付けられた状態となっており、弾性材料である突起３６が封止部材４と電子機器本体３との間を封止する封止部として機能することができる。

　突起３６を設けた第２面３４側の封止部材４の構成について、図８を用いて説明する。図８は、封止部材４の背面図である。

　図８に示すように、突起３６は、挿入空間２７の周囲を囲むように環状に形成されている。これにより、封止部材４と電子機器本体３との間をより確実に封止することができる。

　図８に示すように、第１筒状部１８と第２筒状部２０の間には複数の接続リブ３８、４０が設けられている。接続リブ３８、４０は、第１筒状部１８と第２筒状部２０を径方向Ｄに部分的に接続するリブである。

　接続リブ３８は、挿入空間２７に対して一方側の隙間Ｓに設けられ、接続リブ４０は、挿入空間２７に対して他方側の隙間Ｓ（挿入空間２７に対して接続リブ３８と対称となる位置）に設けられている。接続リブ３８、４０はそれぞれ、封止部材４が有する４辺のうちの一対の長辺４２、４４に対応する位置に設けられている。封止部材４の長辺４２、４４は、封止部材４の短辺４６、４８よりも長いために、ケーブル８の押圧によって生じる応力がバラつきやすい部分であり、特に中央部は応力が小さくなりやすい。このような封止部材４の長辺４２、４４に対応する位置に接続リブ３８、４０を設けることで、ケーブル８の押圧によって生じる応力を効果的に分散させることができ、筐体１６の局所的な破損を抑制することができる。

　図６に戻ると、第１筒状部１８と第２筒状部２０は第１面３２で接続されている。すなわち、第１面３２は、第１筒状部１８と第２筒状部２０を接続する接続面である。図６に示すように、第１筒状部１８と第２筒状部２０の間には隙間Ｓが形成されている。隙間Ｓは、第１筒状部１８と第２筒状部２０を径方向Ｄに間隔を空けて配置することにより形成される隙間である。隙間Ｓを設けることで、挿入空間２７に挿入されるケーブル８が第１筒状部１８を外側に押圧しても、第１筒状部１８が変形する空間を確保することができる。これにより、ケーブル８の挿入を容易に行えるようにしながら、封止を行うことができる。

　また図６に示すように、第２筒状部２０は第１筒状部１８よりもケーブル挿入方向Ｂの下流側、すなわち奥側（電子機器本体３側）まで延びている。このため、挿入空間２７に挿入されるケーブル８が第１筒状部１８を奥側に押圧しても、第１筒状部１８が変形する空間を確保することができ、ケーブル８の挿入を容易に行うことができる。

　上述した構成を有する封止部材４は、様々な大きさのケーブル８に対応するように構成されている。ここで、異なる２種類のケーブル８Ａ、８Ｂをそれぞれ封止部材４に挿入する場合について、図９Ａ、図９Ｂ、図１０Ａ、図１０Ｂを用いて説明する。

　図９Ａ、図９Ｂは、第１の種類のケーブル８Ａを封止部材４に挿入した状態を示す図であり、図１０Ａ、図１０Ｂは、第２の種類のケーブル８Ｂを封止部材４に挿入した状態を示す図である。本例では、第１の種類のケーブル８Ａの絶縁性カバー１２Ａの方が、第２の種類のケーブル８Ｂの絶縁性カバー１２Ｂよりも径が小さいものを用いている。具体的には、図９Ａ、図９Ｂに示す絶縁性カバー１２Ａの径Ｄ１の方が、図１０Ａ、図１０Ｂに示す絶縁性カバー１２Ｂの径Ｄ２よりも小さい。

　図９Ａに示すように、第１の種類のケーブル８Ａを封止部材４の挿入空間２７にケーブル挿入方向Ｂに挿入する。第１開口２２の大きさは予め、端子部１０Ａ並びに絶縁性カバー１２Ａの径Ｄ１よりも大きく設定されているため、絶縁性カバー１２Ａを挿入空間２７の中に挿入して傾斜面２６に当接させることができる。一方で、第２開口２４の大きさは予め、端子部１０Ａよりも大きく、かつ、絶縁性カバー１２Ａの径Ｄ１よりも小さく設定されている。

　傾斜面２６は、ケーブル挿入方向Ｂの下流側に向かうほど内側に窄まったテーパー状であり、また、封止部材４はその全体が弾性材料で構成されている。このため、図９Ｂに示すようにケーブル８Ａをケーブル挿入方向Ｂにさらに挿入すると、絶縁性カバー１２Ａは第１筒状部１８を径方向Ｄの外側に押圧していく。第１筒状部１８は、第２筒状部２０に近付く方向に変形し、ケーブル８Ａを挿入するにつれて第１筒状部１８と絶縁性カバー１２Ａとの密着性が増していく。これにより、第１筒状部１８と絶縁性カバー１２Ａの間を封止することができ、封止部材４は防水機能を発揮することができる。

　前述したように、封止部材４を構成する第１筒状部１８と第２筒状部２０の間には隙間Ｓを設けている。このため、図９Ｂに示すように、絶縁性カバー１２Ａによって第１筒状部１８が外側に押された場合でも第１筒状部１８が変形する空間を確保している。これにより、ケーブル８Ａの挿入を妨げないようにすることができ、ケーブル８Ａの挿入を容易に行えるようにすることができる。

　また前述したように、第２筒状部２０は第１筒状部１８よりもケーブル挿入方向Ｂの下流側まで延びている。このため、図９Ｂに示すように、絶縁性カバー１２Ａによって第１筒状部１８がケーブル挿入方向Ｂに押された場合でも、第１筒状部１８がケーブル挿入方向Ｂに変形する空間を確保することができる。これにより、ケーブル８Ａの挿入を妨げないようにすることができ、ケーブル８Ａの挿入を容易に行うことができる。

　図９Ａ、図９Ｂには図示していないが、前述した複数のリブ２８によってケーブル８Ａの挿入を案内することができる。具体的には、傾斜面２６の角部に設けた第１リブ２８Ａによって筐体１６で応力の集中しやすい箇所を効果的に補強しつつ、第２リブ２８Ｂによってケーブル８を挿入空間２７の中央位置に位置合わせすることができる。また前述したように、第１開口２２における第２リブ２８Ｂの厚みＴ３を第１リブ２８Ａの厚みＴ１よりも大きくすることで、第２リブ２８Ｂによるケーブル８Ａの位置合わせ機能を優先的に生じさせることができる。

　さらに、前述した突出部３０はケーブル挿入方向Ｂの最も下流側である第２開口２４を構成する位置に設けられているため、絶縁性カバー１２Ａを突出部３０により強く密着させることができ、より精度良く封止を行うことができる。

　次に、図１０Ａに示すように、第２の種類のケーブル８Ｂを封止部材４の挿入空間２７にケーブル挿入方向Ｂに挿入する。第１開口２２の大きさは予め、端子部１０Ｂ並びに絶縁性カバー１２Ｂの径Ｄ２よりも大きく設定しているため、絶縁性カバー１２Ｂを挿入空間２７に挿入して傾斜面２６に当接させることができる。一方で、第２開口２４の大きさは予め、端子部１０Ｂよりも大きく、かつ、絶縁性カバー１２Ｂの径Ｄ２よりも小さく設定されている。

　図９Ａ、図９Ｂに示したケーブル８Ａと同様に、図１０Ｂに示すようにケーブル８Ｂをさらにケーブル挿入方向Ｂに挿入することで、第１筒状部１８と絶縁性カバー１２Ｂの間を封止することができ、封止部材４は防水機能を発揮することができる。

　封止部材４は上述したような構成を有することで、絶縁性カバー１２Ａ、１２Ｂの径Ｄ１、Ｄ２の長さが異なる場合であっても、絶縁性カバー１２Ａ、１２Ｂと電子機器本体３との間を封止することができる。なお、第１開口２２、第２開口２４の大きさや形状は、ケーブル８Ａ、８Ｂの仕様等に応じて予め設定しておけばよい。

　封止部材４にケーブル８Ａ、８Ｂを挿入した状態の背面側の斜視図を図１１に示す。図１１に示すように、封止部材４の第１筒状部１８がケーブル８Ａ、８Ｂの絶縁性カバー１２Ａ、１２Ｂの周りに密着して封止していることがわかる。

　上述した本実施形態の封止部材４は、電子機器２のケーブル接続用のコネクタ開口部３Ａに取り付けられて、コネクタ開口部３Ａに挿入されるケーブル８の絶縁性カバー１２と電子機器本体３との間を封止する部材である。封止部材４は、弾性材料からなる筐体１６を備える。筐体１６は、第１開口２２と第１開口２２に対向する位置に第２開口２４とを形成し、第１開口２２から第２開口２４に至るまで内側に窄まるように傾斜したテーパー状の傾斜面２６を有する。封止部材４がコネクタ開口部３Ａに取り付けられた状態において、第２開口２４を第１開口２２よりも電子機器２の内側に配置している。筐体１６は、傾斜面２６を内側に形成する第１筒状部１８と、第１筒状部１８の外側に設けられた第２筒状部２０とを備え、第１筒状部１８と第２筒状部２０は第１開口２２の周囲で互いに接続されており、第１筒状部１８と第２筒状部２０の間には隙間Ｓが形成される。

　このような構成によれば、第１開口２２からケーブル８を挿入して絶縁性カバー１２を第１筒状部１８の傾斜面２６に当接させながら第２開口２４に向かって挿入し、絶縁性カバー１２と電子機器本体３との間を筐体１６によって封止することができる。また、第１筒状部１８と第２筒状部２０の間に隙間Ｓを設けているため、ケーブル８を挿入して第１筒状部１８がケーブル８によって外側に押されても、第１筒状部１８が変形するスペースを確保することができる。これにより、ケーブル８の挿入を妨げないようにすることができ、封止部材４にケーブル８を容易に挿入することができる。

　さらに、本実施形態の電子機器２は、ケーブル接続用のコネクタ開口部３Ａと、コネクタ開口部３Ａに取り付けられる封止部材４とを備える。このような構成によれば、前述した封止部材４と同様の効果を奏することができる。

　以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、実施形態では、傾斜面２６に複数のリブ２８を設ける場合について説明したが、このような場合に限らない。例えば傾斜面２６にリブ２８を設けずに、傾斜面２６全体をフラットな面としてもよい。

　本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。また、実施形態における要素の組合せや順序の変化は、本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。

　なお、前記様々な実施形態および変形例のうちの任意の実施形態あるいは変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。

　本発明は、封止部材およびそれを備える電子機器であれば適用可能である。

　２　電子機器
　３　電子機器本体
　３Ａ　コネクタ開口部
　４　封止部材
　６　固定部材
　６Ａ　開口
　７　ネジ
　８、８Ａ、８Ｂ　ケーブル
１０、１０Ａ、１０Ｂ　端子部
１２、１２Ａ、１２Ｂ　絶縁性カバー
１４　取付部
１６　筐体
１８　第１筒状部
２０　第２筒状部
２２　第１開口
２４　第２開口
２６　傾斜面
２７　挿入空間
２８　リブ
２８Ａ　第１リブ
２８Ｂ　第２リブ
３０　突出部
３２　第１面
３４　第２面
３６　突起
３８、４０　接続リブ
４２、４４　長辺
４６、４８　短辺
Ｂ　ケーブル挿入方向
Ｄ　径方向
Ｄ１、Ｄ２　径
Ｓ　隙間
Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３　厚み

Claims (11)

1. 　電子機器のコネクタ開口部に取り付けられて、前記コネクタ開口部に挿入されるケーブルの絶縁性カバーと前記電子機器の本体との間を封止する封止部材であって、
   　第１開口と、前記第１開口に対向し前記第１開口よりも前記電子機器の内側に位置する第２開口と、前記第１開口から前記第２開口に至るまで内側に窄まるテーパー状の傾斜面とを有し、弾性材料からなる筐体を備え、
   　前記筐体は、前記傾斜面を内側に形成する第１筒状部と、前記第１筒状部の外側に設けられた第２筒状部とを備え、前記第１筒状部と前記第２筒状部は前記第１開口の周囲で互いに接続されており、前記第１筒状部と前記第２筒状部の間には隙間が形成される、封止部材。
2. 　前記筐体の前記傾斜面には、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向に沿って延びる少なくとも１つのリブが設けられている、請求項１に記載の封止部材。
3. 　前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、
   　前記少なくとも１つのリブは、前記傾斜面の前記角部に立設された第１リブを備える、請求項２に記載の封止部材。
4. 　前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、
   　前記少なくとも１つのリブは、前記傾斜面の前記角部とは異なる位置に立設された第２リブを備える、請求項２に記載の封止部材。
5. 　前記筐体の前記傾斜面は、前記ケーブル挿入方向に沿って延びる角部を有し、
   　前記少なくとも１つのリブは、複数のリブであり、
   　前記複数のリブは、前記傾斜面の前記角部に立設された第１リブおよび前記傾斜面の前記角部とは異なる位置に立設された第２リブを備え、
   　前記第１開口における前記第２リブの厚みは前記第１リブの厚みよりも大きい、請求項２に記載の封止部材。
6. 　前記筐体の前記傾斜面には、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向を環状に囲むように延在する突出部が形成されており、
   　前記突出部は前記リブと面一に設けられる、請求項２から５のいずれか１つに記載の封止部材。
7. 　前記突出部は前記第２開口を構成する、請求項６に記載の封止部材。
8. 　前記第２筒状部は、前記第１筒状部よりも前記電子機器の内側まで延びるように配置されている、請求項１から７のいずれか１つに記載の封止部材。
9. 　前記第２筒状部は、前記電子機器の外側に向けられた面であって前記第１開口の周囲で前記第１筒状部に連続する第１面と、前記第１面に対向する位置で前記電子機器の内側に向けられた第２面とを有し、
   　前記第２筒状部の前記第１面に接触する固定部材によって、前記第２筒状部の前記第２面が前記電子機器に押し付けられ、前記筐体が前記コネクタ開口部に固定される、請求項１から８のいずれか１つに記載の封止部材。
10. 　前記第２筒状部の前記第２面は、前記第１開口から前記第２開口に向かう方向であるケーブル挿入方向を環状に囲むように延在して前記電子機器の内側に向かって突出する突起を備える、請求項９に記載の封止部材。
11. 　前記コネクタ開口部と、
    　前記コネクタ開口部に取り付けられる請求項１から１０のいずれか１つに記載の封止部材と、を備える、電子機器。

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