WO2020179889A1

WO2020179889A1 - 吸収性物品

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Publication number: WO2020179889A1
Application number: PCT/JP2020/009524
Authority: WO
Inventors: なるみ山本; 俊久林; 祥平内田
Original assignee: ユニ・チャーム株式会社
Priority date: 2019-03-06
Filing date: 2020-03-05
Publication date: 2020-09-10
Also published as: JPWO2020179889A1; CN111787894A; KR20210134632A; JP7246401B2; KR102625631B1; CN111787894B

Abstract

温感部を有する吸収性物品において、装着者が温かさを持続的に知覚し得る効果、すなわち温感の持続性を向上することが可能な吸収性物品を提供する。吸収性物品は、吸収体（１１）と、吸収体よりも肌側に位置し、液透過性を有する第１シート部材（７）と、吸収体よりも非肌側に位置し、液不透過性を有する第２シート部材（９）と、を備える。吸収体及び第１シート部材の少なくとも一方は、温感剤（５２、５１）を含む温感部を備える。第１シート部材は、平面視で温感部と重なる領域に、複数のシート部材凹部（６７）を含む。吸収体は、平面視で温感部と重なる領域における、複数のシート部材凹部とは異なる位置に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数の吸収体凹部（６０）を含む。第２シート部材は、非通気性である。

Description

吸収性物品

　本発明は、吸収性物品に関する。

　吸収性物品の装着者に皮膚を介して温感を知覚させる温感剤を有する温感部を含む吸収性物品が知られている。例えば、特許文献１には、装着者によって知覚される外部条件を作り出す必要なしに装着者に知覚を伝えることのできる剤が一箇所以上の部分に組み込まれた吸収性物品が開示されている。特許文献１には、剤として、清涼剤（冷感剤）や加温剤（温感剤）が挙げられている。

特表２００４－５２８０９０号公報

　特許文献１のような温感剤が配置された吸収性物品において、装着者の肌に温感剤が到達して装着者が温かさを知覚しても、排泄物（例示：尿、経血）が肌に付着することや、排泄物を吸収して温度が低下した吸収体が表面シート等を介して肌に接触することが起こり得る。その場合、排泄物により温感剤が肌に到達し難くなったり、温度低下した吸収体により肌が冷やされたりして、装着者は、温感剤による温かさを知覚し続けることが困難になるおそれがある。よって、特許文献１のような吸収性物品には、装着者が温かさを知覚し続けるという温感の持続性に関しては改良の余地がある。

　したがって、本発明の目的は、温感部を有する吸収性物品において、装着者が温かさを持続的に知覚し得る効果、すなわち温感の持続性を向上することが可能な吸収性物品を提供することにある。

　本発明の吸収性物品は、長手方向、幅方向及び厚さ方向を有しており、吸収体と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも肌側に位置し、液透過性を有する第１シート部材と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも非肌側に位置し、液不透過性を有する第２シート部材と、を備える吸収性物品であって、前記吸収体及び前記第１シート部材の少なくとも一方は、温感剤を含む温感部を備え、前記第１シート部材は、平面視で前記温感部と重なる領域に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数のシート部材凹部を含み、前記吸収体は、平面視で前記温感部と重なる領域における、前記複数のシート部材凹部とは異なる位置に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数の吸収体凹部を含み、前記第２シート部材は、非通気性である、吸収性物品。

　本発明により、温感部を有する吸収性物品において、装着者が温かさを持続的に知覚し得る効果、すなわち温感の持続性を向上することが可能な吸収性物品を提供できる。

実施形態に係る生理用ナプキンの構成例を示す平面図である。図１における長手方向中心線に沿った断面図である。実施形態に係る生理用ナプキンの構成例を示す下面図である。実施形態に係る液透過性シートの構成例を示す平面図である。図４におけるＶ－Ｖ線に沿う断面図である。実施形態に係る吸収体の構成例を示す平面図である。図６におけるＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った断面図である。実施形態に係る吸収体における温感剤の配置を示す模式図である。実施形態に係る液透過性シートにおける温感剤の配置を示す模式図である。別の実施形態に係る生理用ナプキンの幅方向中心線に沿う断面図である。更に別の実施形態に係る生理用ナプキンの幅方向中心線に沿う断面図である。

　具体的には、本発明の開示は以下の態様に関する。
　［態様１］
　長手方向、幅方向及び厚さ方向を有しており、吸収体と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも肌側に位置し、液透過性を有する第１シート部材と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも非肌側に位置し、液不透過性を有する第２シート部材と、を備える吸収性物品であって、前記吸収体及び前記第１シート部材の少なくとも一方は、温感剤を含む温感部を備え、前記第１シート部材は、平面視で前記温感部と重なる領域に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数のシート部材凹部を含み、前記吸収体は、平面視で前記温感部と重なる領域における、前記複数のシート部材凹部とは異なる位置に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数の吸収体凹部を含み、前記第２シート部材は、非通気性である、吸収性物品。

　本吸収性物品では、装着者に装着されたとき、吸収体及び第１シート部材の少なくとも一方の温感剤により、装着者が温かさを知覚できるという温感の効果を得ることができる。そのとき、第１シート部材は、複数のシート部材凹部を含むため、温感の効果により温められた空気の少なくとも一部を複数のシート部材凹部の窪みで度保持することができる。更に、吸収体は、複数の吸収体凹部を含むため、温感の効果により温められた空気の少なくとも一部を複数の吸収体凹部の窪みで保持することができる。ここで、シート部材凹部と吸収体凹部との位置が互いにずれているため、複数のシート部材凹部と複数の吸収体凹部とを合わせると、温められた空気を多く保持することができる。そして、吸収体や第１シート部材よりも非肌側に位置し、非通気性である第２シート部材により、それら保持された空気を外方へ流出しないように肌側に概ね閉じ込めることができる。それらにより、温感剤により温感の効果を得ることに加えて、排泄物により温感剤が肌に到達し難い場合や、吸収体が温度低下した場合でも、温められた空気で肌を保温することができ、温感の効果を得ることができる。それにより温感の持続性を向上することが可能となる。

　［態様２］
　前記吸収体は、装着者の排泄口に当接する領域である排泄口当接域と、前記排泄口当接域以外の領域である非排泄口当接域と、を有し、前記排泄口当接域における前記吸収体凹部の配置数の密度は、前記非排泄口当接域における前記吸収体凹部の配置数の密度よりも高い、態様１に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、排泄口当接域の吸収体凹部の配置数密度を、非排泄口当接域の吸収体凹部の配置数密度よりも高くしている。そのため、吸収性物品が装着者に装着されたとき、排泄口当接域において、温められた空気をより多く保持することができる。それゆえ、敏感で温度変化を感じ易い排泄口近傍の肌を、より暖かく持続的に保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様３］
　前記吸収体における前記幅方向の中央部の厚さは、前記吸収体における前記幅方向の両端部の厚さよりも薄い、態様１又は２に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、吸収体における幅方向の中央部の厚さを、中央部の両側に位置する両端部の厚さよりも薄くしている。そのため、吸収性物品が装着者に装着され、幅方向において、吸収体の両端部が（シート部材を介して）肌と接触したとき、吸収体の中央部と肌との間に若干の隙間を生じさせ易くすることができる。そして、その隙間において、温められた空気を更に保持することができる。それゆえ、吸収体の中央部が当接し得る、敏感で温度変化を感じ易い排泄口近傍の肌を、より暖かく持続的に保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様４］
　前記第１シート部材は、表面シートと、前記表面シートの非肌側に当接された液拡散シートと、を含み、前記複数のシート部材凹部の各々は、前記表面シートと前記液拡散シートとを一体化するように前記表面シートの肌側の表面から前記液拡散シートの非肌側の表面に向かって圧搾されて形成された圧搾部を含む、態様１乃至３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、シート部材凹部は、互いに当接された表面シートと液拡散シートとを一体化する圧搾部を含んでいる。言い換えると、表面シートと液拡散シートとは、複数の圧搾部で互いに結合されているが、圧搾部以外の箇所は結合されていない。そのため、吸収性物品が装着者に装着されたとき、（最近接でなく）隣り合う圧搾部間において、表面シートと液拡散シートとを互いに厚さ方向に離間させて、若干の隙間を生じ易くすることができる。そして、その隙間において、温められた空気を更に保持することができる。それゆえ、複数のシート部材凹部だけでなく、その隙間でも、温められた空気で肌を保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様５］
　前記第１シート部材は、不織布で形成された表面シートと、前記表面シートの非肌側に当接され、不織布で形成された補助シートと、を含み、前記表面シートの繊維密度は前記補助シートの繊維密度よりも低い、態様１乃至４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、表面シートの繊維密度は、その非肌側に当接された補助シートの繊維密度よりも低い。それゆえ、繊維密度の高い補助シートより、吸収体の排泄物が表面シート側へ液戻りすることを安定的に抑制しつつ、繊維密度の低い表面シートの繊維間の空隙に、温感の効果で温められた空気を更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様６］
　前記第１シート部材は、表面シートと、前記表面シートの前記幅方向の両側に結合された一対のサイドシートと、を含み、前記一対のサイドシートの各々における前記幅方向の内側の端部、又は、前記表面シートの前記幅方向の両端部の各々に、前記長手方向に沿って延びる防漏壁を含み、前記防漏壁は、前記幅方向において、外側の端縁を固定端とされ、内側の端縁を自由端とされており、前記温感部は、平面視で、前記表面シートと重なる領域に位置する、態様１乃至５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、表面シートの幅方向の両側に一対の防漏壁を有する。そのため、吸収性物品が装着者に装着されたとき、一対の防漏壁が肌側にやや立ち上がった状態になったとき、一対の防漏壁と表面シートとにより、若干の空間を生じ易くすることができる。そして、その空間において、温められた空気を更に保持することができる。それにより、複数のシート部材凹部や複数の吸収体凹部に加えて、その空間でも、温められた空気で肌を保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様７］
　前記吸収体の前記長手方向の前側に位置し、温感剤を含む前方温感部を更に備え、前記前方温感部は、一方の面を前記表面シート及び前記一対のサイドシートに当接し、他方の面を前記第２シート部材に当接する、態様６に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、吸収体の長手方向の前側、すなわち装着者の腹側に位置する、温感剤を含む前方温感部を更に備えている。そのため、吸収性物品が装着者に装着されたとき、装着者の腹側の部分を温感剤で暖めることができる。更に、一対の防漏壁が前方温感部にまで延出しているので、装着者の腹側の部分においても、一対の防漏壁と表面シートとにより、若干の空間を生じ易くすることができる。そして、その空間において、温められた空気を保持することができる。それにより、複数のシート部材凹部や複数の吸収体凹部に加えて、その空間でも、装着者の腹側の部分において、温められた空気で肌を保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様８］
　前記防漏壁は、二層以上のシートが積層された構造を有する、態様６又は７に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、防漏壁が二層以上のシート部材が積層された構造を有する。そのため、吸収性物品が装着者に装着されたとき、一対の防漏壁と表面シートとにより生じた空間や二層以上のシート部材間に生じた空間に保持された空気をより外方へ放出させ難くすることができる。そして、複数のシート部材凹部や複数の吸収体凹部に加えて、それらの空間でも、温められた空気を更に保持することができる。それにより、温められた空気で肌を保温することができる。それにより温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様９］
　前記温感部は、前記温感剤と、耐久親水油剤と、を含む、態様１乃至８のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、温感剤を、排泄物によって下層（例示：吸収体、吸収体の下部）へ流出することの少ない特性を有する耐久親水油剤と共存させている。そのため、温感剤が排泄物により下層へ移行することを抑制することができる。すなわち、比較的肌に近い部分に温感材を維持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様１０］
　前記第１シート部材は、エアスルー不織布であり、前記エアスルー不織布は、製造時に搬送用のネットに面していたネット面を肌側に向け、前記ネット面と反対側の非ネット面を非肌側に向けて配置され、前記非ネット面に、前記温感部が配置されている、態様１乃至９のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　エアスルー不織布では、非ネット面の構成繊維間の空隙が大きい。そこで、本吸収性物品では、非ネット面に温感部を配置することで、構成繊維間の空隙に温感剤を容易に保持させることができ、それにより、温感剤を継続的に放出でき、温感の持続性をより向上できる。更に、温感剤が消費され、又は、排泄物により流出した後には、温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様１１］
　前記第１シート部材は、表面シートであり、前記表面シートは、親水性繊維で形成されている、態様１乃至１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、表面シートが親水性繊維（例示：綿、レーヨン、毛、絹）で形成されているので、汗を含む水分を構成繊維内に引き込み保持させ易くすることができる。それにより、構成繊維の表面に水分を残し難くさせることができ、水分と肌を接触し難くすることができ、皮膚に冷たさを感じ難くさせることができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様１２］
　前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含み、前記高吸水性ポリマーの前記吸収体に対する割合は、５～５０質量％である、態様１乃至１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、高吸水性ポリマーの吸収体に対する割合を５～５０質量％としている。このように、高吸水性ポリマーの吸収体に対する割合を所定範囲にすることで、高吸水性ポリマーが排泄物を吸収して膨潤したとき、隣り合う膨潤した高吸水性ポリマー同士の間で空隙を生じさせることができる。それゆえ、温感の効果で温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。割合が５質量％より低い場合、膨潤したときに生じる空隙が少なり、温められた空気を保持し難くなってしまい、割合が５０質量％より高い場合、高吸水性ポリマーによりゲルブロッキング現象が生じて吸収性物品の吸収性能が低下してしまう。

　［態様１３］
　前記第１シート部材と前記吸収体とを接着する第１接着剤の坪量よりも、前記第２シート部材と前記吸収体とを接着する第２接着剤の坪量が多い、態様１乃至１２のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、第２シート部材と前記吸収体とを接着する第２接着剤の坪量を多くしている。第２シート部材は非通気性とはいえ若干の通気性を有する場合があるが、第２接着剤の坪量を相対的に多くすることで、第２シート部材の通気に関わる隙間を覆うことができるので、第２シート部材の非通気性をより高めることができる。したがって、温感の効果により温められた空気を、より安定的に第２シート部材よりも肌側に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様１４］
　前記吸収性物品の長手方向中心線を挟んで両側に配置され、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ一対の長手方向折線を更に備え、前記吸収性物品は、折り畳まれて個包装されるとき、前記幅方向において、前記吸収性物品における前記一対の長手方向折線よりも外側の部分が、前記一対の長手方向折線を基軸として、前記吸収性物品における肌側の表面に向かって折り畳まれるように構成されている、態様１乃至１３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　本吸収性物品では、折り畳まれるとき、幅方向において、吸収性物品における一対の長手方向折線よりも外側の部分が、一対の長手方向折線を基軸として、吸収性物品における肌側の表面に向かって折り畳まれる。したがって、吸収性物品では、一対の長手方向折線の位置に折癖がつき、一対の長手方向折線よりも外側の部分（一対の外側部分）が肌側に向かって立ち上がり易くなる。そのため、吸収性物品が装着されたとき、幅方向において、一対の外側部分が立ち上がろうとして肌面を押すことで、一対の外側部分よりも内側の中央部分が肌面からわずかに離れ易くなる。すなわち、肌面と中央部分との間に空隙が生じ易くなる。それゆえ、温感の効果で温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　［態様１５］
　前記吸収体を含む吸収本体と、前記吸収本体の前記長手方向の前側に位置し、前記温感部を含む温感本体と、を更に備える、態様１乃至１４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　温感剤により体温が上昇しても、排泄物が存在すると、外気温や気化熱で排泄物が冷やされて、冷やされた排泄物が肌に付着することで、肌も冷えてしまうおそれがある。そこで、本吸収性物品では、排泄物（例示：尿、経血）が排泄される領域（吸収体の長手方向及び幅方向の略中央部）と、温感剤が配置された領域（温感部）とが少なくとも長手方向に互いに離間されている。すなわち、温感剤が排泄物と接触し難い場所に存在している。そのため、もし仮に冷やされた排泄物が肌に付着することで、肌が冷えたとしても、排泄物から離間した温感剤が温感を提供し続けることができ、それにより、肌が冷えてしまうことを抑制できる。

　以下、実施形態に係る吸収性物品について、生理用ナプキンを例に説明する。ただし、吸収性物品はその例に限定されるのではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り、他の吸収性物品であってもよい。他の吸収性物品としては、例えばパンティライナー、失禁パッド、及び使い捨ておむつが挙げられる。

　本実施形態に係る生理用ナプキン１の構成について説明する。
　図１～図３は本実施形態に係る生理用ナプキン１の構成例を示す図である。図１は、生理用ナプキン１の個包装シート４３を開封し、展開した状態を示す平面図である。図２は、図１に示す生理用ナプキン１における長手方向中心線ＣＬ（後述）に沿った断面図である（個包装シート４３を除く）。図３は、図１に示す生理用ナプキン１を示す下面図である（個包装シート４３を除く）。本実施形態の生理用ナプキン１は、互いに直交する長手方向Ｌ、幅方向Ｗ及び厚さ方向Ｔを有する。図１に描かれた生理用ナプキン１では、図の上側を長手方向Ｌの前側（前方）又は腹側とし、図の下側を長手方向Ｌの後側（後方）又は背側とする。長手方向Ｌ及び幅方向Ｗを含む平面上に置いた生理用ナプキン１を厚さ方向Ｔの上側から見ることを「平面視」といい、平面視で把握される形状を「平面形状」という。長手方向Ｌ及び幅方向Ｗを含む平面内の任意の方向を「平面方向」という。装着者が生理用ナプキン１を装着したとき、厚さ方向Ｔにて相対的に装着者の肌面に近い側及び遠い側となる側を「肌側」及び「非肌側」という。これら定義は、生理用ナプキン１の各資材にも共通に用いられる。

　個包装シート４３は、長手方向Ｌの両端部が、生理用ナプキン１の長手方向Ｌの両端部よりも長手方向Ｌの外側に長く、かつ、幅方向Ｗの両端部が、生理用ナプキン１の幅方向Ｗの両端部よりも幅方向Ｗの外側に長くなるように形成されている。すなわち、生理用ナプキン１を個包装シート４３上に載置したとき、平面視で、個包装シート４３の外側に生理用ナプキン１がはみ出さないように載置でき、それにより、生理用ナプキン１を個包装シート４３と共に折り畳んだとき、個包装シート４３の外側に生理用ナプキン１がはみ出さないように包装できる。

　生理用ナプキン１は、主に液体の排泄物（例示：経血）を吸収する吸収本体３と、吸収本体３の長手方向Ｌの前側に位置し、肌に温感を知覚させる温感本体５と、を備える。すなわち、生理用ナプキン１は、長手方向Ｌの後方の吸収本体３と、長手方向Ｌの前方の温感本体５と、に区画される。吸収本体３の形状は、概ね一般的な生理用ナプキンの形状であり、幅方向Ｗの両外側に延出する一対のウイング部１７、１７を備えている。温感本体５の形状は特に限定はなく、例えば、三角形や矩形や多角形（角が丸い場合や辺が曲線の場合を含む）、円形や楕円形、生物の形状、又はそれらの組み合わせが挙げられる。生理用ナプキン１は、幅方向Ｗの中心を通り長手方向Ｌに延びる長手方向中心線ＣＬ（仮想線）と、一対のウイング部１７、１７の各々の長手方向Ｌの中心を幅方向Ｗに結んだ（長手方向Ｌの中心を通り幅方向Ｗに延びる）幅方向中心線ＣＷ（仮想線）と、を有する。生理用ナプキン１において、長手方向中心線ＣＬに向かう向き及び側をそれぞれ幅方向Ｗの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ幅方向Ｗの外向き及び外側とする。一方、幅方向中心線ＣＷに向かう向き及び側をそれぞれ長手方向Ｌの内向き及び内側とし、遠ざかる向き及び側をそれぞれ長手方向Ｌの外向き及び外側とする。なお、一対のウイング部１７、１７の各々が存在しない場合、幅方向中心線ＣＷは、長手方向Ｌにおいて、吸収本体３における排泄口当接域２１（後述）の中心を通り幅方向Ｗに延びる線とする。本実施形態では、両者は一致するものとする。あるいは、吸収体１１がいわゆる砂時計型の場合、幅方向中心線ＣＷは、長手方向Ｌにおいて、吸収体１１の幅方向Ｗの寸法が最小となる位置（両端部を除く）を通り幅方向Ｗに延びる線とする。なお、別の実施形態では、温感本体５を備えていない。

　生理用ナプキン１は、吸収本体３において、装着時に装着者の肌に当接する液透過性シート７と、装着時に着衣（下着）に当接する液不透過性シート９と、液透過性シート７及び液不透過性シート９の間に配置された吸収体１１とを備える。また、生理用ナプキン１は、温感本体５において、装着時に装着者の肌に当接する液透過性シート７と、装着時に着衣に当接する液不透過性シート９と、液透過性シート７及び液不透過性シート９の間に配置された温感剤保持シート１３と、を備える。温感剤保持シート１３は、吸収体１１よりも長手方向Ｌの前側に位置している。そして、吸収本体３における液透過性シート７と、温感本体５における液透過性シート７とは一体のシートである。また、吸収本体３における液不透過性シート９と、温感本体５における液不透過性シート９とは一体のシートである。ただし、一体のシートとは、資材が一枚のシートである場合だけでなく、複数のシートを結合して一体化させたシートも含む。吸収本体３における吸収体１１と、温感本体５における温感剤保持シート１３とは、別の部材である。吸収体１１の長手方向Ｌの前側の端部が、温感剤保持シート１３の長手方向Ｌの後側の端部と厚さ方向Ｔに重複することで、重複部１５が形成される。すなわち、長手方向Ｌにおいて、吸収体１１の前側の端縁１１Ｅ１は、温感剤保持シート１３の後側の端縁１３Ｅ２よりも前側に位置する。この場合、重複部１５では、その吸収体１１の端部がその温感剤保持シート１３の端部上に配置される。長手方向Ｌの前方での排泄物の漏れを抑制するためである。別の実施形態では、温感の機能を重視する場合、重複部１５では、その温感剤保持シート１３の端部がその吸収体１１の端部上に配置される。更に別の実施形態では、その吸収体１１の端部と、その温感剤保持シート１３の端部とは平面視で重複せず（重複部１５は存在せず）、それらの端縁同士が接するか、又は離間している。更に別の実施形態では、吸収体１１の長手方向Ｌの前側の端縁１１Ｅ１の位置が、温感剤保持シート１３の長手方向Ｌの前側の端縁１３Ｅ１の位置と重なるか、又は、それよりも外側に存在する。言い換えると、温感剤保持シート１３が長手方向Ｌの全域に亘って、吸収体１１と重なる。なお、別の実施形態として、温感本体５は同一形状の保温本体に代替され、温感剤保持シート１３は温感剤を含まない同一形状の保温性シートに代替される。

　本実施形態では、吸収本体３における長手方向Ｌの範囲は、生理用ナプキン１の後方の端縁から、吸収体１１の前方の端縁１１Ｅ１までの範囲とする。一方、温感本体５における長手方向Ｌの範囲は、吸収体１１の前方の端縁１１Ｅ１から、生理用ナプキン１の前方の端縁までの範囲とする。なお、吸収本体３及び温感本体５における幅方向Ｗの範囲は、いずれも全幅の範囲とする。この場合、重複部１５は、吸収本体３に含まれ、温感本体５の温感剤保持シート１３における長手方向Ｌの後側の端部は吸収本体３内へ延出している、といえる。また、吸収本体３は、長手方向Ｌにおいて、幅方向中心線ＣＷから吸収体１１の前方の端縁１１Ｅ１までの前方領域３ａと、幅方向中心線ＣＷから生理用ナプキン１の後方の端縁までの後方領域３ｂと、に区画される。ただし、長手方向Ｌにおける、生理用ナプキン１の前方及び後方の端縁、吸収体１１の前方及び後方の端縁１１Ｅ１、１１Ｅ２、温感剤保持シート１３の前方及び後方の端縁１３Ｅ１、１３Ｅ２は、いずれも長手方向Ｌの最も外側の位置とする。本実施形態では端縁１１Ｅ１、１１Ｅ２、端縁１３Ｅ１、１３Ｅ２は、いずれも長手方向中心線ＣＬとの交差点とする。

　生理用ナプキン１では、吸収本体３において、平面視で、長手方向Ｌの中央やや前方寄りで幅方向Ｗの中央に排泄口当接域２１が位置し、その周囲にそれ以外の領域として非排泄口当接域２３が位置する。排泄口当接域２１は、生理用ナプキン１の着用時に、装着者の排泄口に対向又は当接する領域である。排泄口当接域２１は、吸収性物品の種類や用途に応じて決まる。排泄口当接域２１は、例えば長手方向Ｌにて吸収体１１の中央やや前方寄りに、吸収体１１の長手方向Ｌの全長の約１／４～２／３の長さとされ、幅方向Ｗにて吸収体１１の略中央に、吸収体１１の幅方向Ｗの全長の約１／３～３／４の幅とされる。本実施形態のように一対のウイング部１７、１７が存在する場合、一対のウイング部１７、１７の各々における長手方向Ｌの中心を幅方向Ｗに結んだ線上に、排泄口当接域２１の長手方向Ｌの中心が位置する。又は、吸収体１１がいわゆる砂時計型の場合、吸収体の長手方向Ｌの両端部を除き、吸収体の幅方向Ｗの寸法が最も小さくなる位置に、排泄口当接域２１の長手方向Ｌの中心が位置する。ただし、所定の長さの範囲内の位置ずれを許容するものとする。その所定の長さは、吸収体１１の長手方向Ｌの長さの５％の長さとする。

　液透過性シート（第１シート部材）７は、吸収体１１と厚さ方向Ｔに重なり、表面シート７ａと、表面シート７ａの幅方向Ｗの両側に結合された一対のサイドシート７ｂ、７ｂと、を備えている。表面シート７ａの幅方向Ｗの寸法は、略吸収体１１の幅方向Ｗの寸法程度の大きさである。各サイドシート７ｂは、幅方向Ｗの内側の端部に位置し、長手方向Ｌに沿って延びる防漏壁７Ｗを含んでいる。すなわち、液透過性シート７は、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗを含んでいる。各防漏壁７Ｗは、幅方向Ｗにおいて、外側の端縁を固定端とされていて、内側の端縁を自由端とされ、表面シート７ａの厚さ方向Ｔの上方に延出されている。一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗは、生理用ナプキン１が装着されたとき自由端が肌側へ起立可能に形成されている。一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗは、吸収本体３及び温感本体５に形成されており、排泄物が主に幅方向Ｗの外側へ漏洩することを抑制すると共に、温感本体５の温感の効果により温まった空気が幅方向Ｗの外側へ逃げることを抑制し、保持する。別の実施形態では、表面シート７ａの幅方向Ｗの両端部の各々に、長手方向Ｌに沿って延びる防漏壁７Ｗを含んでいる。更に別の実施形態では、液透過性シート７は一対のサイドシート７ｂ、７ｂを有さない。更に別の実施形態では、液透過性シート７は一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗを有さない。

　生理用ナプキン１は、表面シート７ａの非肌側に当接され、したがって吸収体１１と厚さ方向Ｔに重なり、排泄物を平面方向に拡散させる液拡散シート（第１シート部材；補助シート）４１を備えている。すなわち、液拡散シート４１は、表面シート７ａと吸収体１１及び温感剤保持シート１３との間に配置されている。図４は本実施形態に係る液透過性シート７の構成例を示す平面図であり、図５は図４におけるＶ－Ｖ線に沿った断面図である。液透過性シート７の表面シート７ａと液拡散シート４１とは、表面シート７ａの肌側の表面から液拡散シート４１へ向かって圧搾することで形成された複数のシート圧搾部６７（シート部材凹部）を有する。それら複数のシート圧搾部６７は、表面シート７ａと液拡散シート４１とを一体化する。シート圧搾部６７は圧搾で形成された窪みＰ２を有する。複数のシート圧搾部６７は、いくつかのシート圧搾部６７で連続的又は間欠的に縁取られた（囲まれた）領域６６を形成するように配置される。本実施形態では、シート圧搾部６７の平面視の形状は円形（直径ｄ_６７；例示０．５～２ｍｍ）であるが、その形状は、その例に限定されず、任意である。また、一つの領域６６の平面視での形状は菱形であり、複数のシート圧搾部６７は複数の菱形を敷き詰めたパターンで配置されるが、その形状及びパターンは、その例に限定されず、任意である。一体化された表面シート７ａ及び液拡散シート４１は、通常は厚さ方向Ｔで互いに概ね当接している。ただし、装着時に装着者の動きにより、図５に示すように、複数の領域６６のいくつかにおいて、表面シート７ａと液拡散シート４１との間に若干の隙間Ｐ３が形成されて、その隙間Ｐ３が、温感の効果により温まった空気を保持し得る。更に、複数のシート圧搾部６７の各々の窪みＰ２が、温感の効果により温まった空気を保持し得る。このとき、液透過性シート７の繊維密度は、液拡散シート４１の繊維密度よりも低い。なお、別の実施形態では、液透過性シート７の繊維密度は、液拡散シート４１の繊維密度以上である。更に、別の実施形態では、生理用ナプキン１は液拡散シート４１を有さない。なお、断面図である図２、図１０、図１１においてシート圧搾部６７の記載は省略される。

　吸収体１１は、長手方向Ｌにおいて、略中央に位置する中央領域６２と、中央領域６２の前方に隣接する前方領域６１と、中央領域６２の後方に隣接する後方領域６３と、に区画される。ここで、中央領域６２は、排泄口当接域２１に対応し、更にその長手方向Ｌの前方寄りまでの範囲に位置する。そして、中央領域６２の坪量は、前方領域６１及び後方領域６３の坪量よりも高い。したがって、吸収体１１では、幅方向中心線ＣＷよりも長手方向Ｌの前側の領域の坪量が、幅方向中心線ＣＷよりも長手方向Ｌの後側の領域の坪量よりも高い。言い換えると、吸収体１１では、幅方向中心線ＣＷから長手方向Ｌの前方の端縁１１Ｅ１までの領域の坪量は、幅方向中心線ＣＷから長手方向Ｌの後方の端縁１１Ｅ２までの領域の坪量よりも高い。それにより、長手方向Ｌの中央やや前方寄りの排泄口当接域２１での吸収量を高くすると共に、装着者の排泄口が排泄口当接域２１よりも長手方向Ｌの前方へややずれた状態で、生理用ナプキン１が装着された場合でも、吸収体１１で確実に排泄物を吸収することが可能となる。別の実施形態では、吸収体１１の坪量は、上記とは異なる特定の部分で高い、又は、全領域で概ね一定である。

　本実施形態では、吸収体１１において、幅方向Ｗにおける中央部の厚さ（又は坪量）は、幅方向Ｗにおける両端部の厚さ（又は坪量）よりも薄い（又は低い）。ただし、両端部の薄さ（又は低さ）の程度としては、中央部の３％が挙げられ、好ましくは５％である。ここで、吸収体１１における幅方向Ｗの端部は、吸収体１１における幅方向Ｗの端縁から吸収体１１の幅の１０％の範囲の領域とする。吸収体１１における幅方向Ｗの中央部は、幅方向Ｗの両側の端部を除いた範囲の領域とする。吸収体１１の両端部が（液透過性シート７を介して）肌と接触したとき、吸収体の中央部と肌との間に若干の隙間を生じさせ易くすることができる。

　吸収体１１は、吸収コア（図示されず）及び、吸収コアを包み込むコアラップ（図示されず）を備えている。図６は本実施形態に係る吸収体１１の構成例を示す平面図であり、図７は図６におけるＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った断面図である。吸収体１１は、コアラップ１１ａの肌側の表面から吸収コア１１ｂの内部へ向かって圧搾することで形成された複数の吸収体圧搾部６０（吸収体凹部）を有する。それら複数の吸収体圧搾部６０は、吸収体１１の型崩れを抑制する。更に、複数の吸収体圧搾部６０の各々は、圧搾により非肌側に向かって窪んだ窪みＰ１を形成する。窪みＰ１は、底部６０Ｂ及び壁面６０Ｗを有する。本実施形態では、吸収体圧搾部６０の平面視の形状は円形（直径ｄ_６０；例示０．５～２ｍｍ）であるが、その形状は、その例に限定されず、任意である。また、複数の吸収体圧搾部６０は複数の千鳥パターンに配置されるが、そのパターンは、その例に限定されず、任意である。複数の吸収体圧搾部６０の各々は、その窪みＰ１と液拡散シート４１との間に若干の空間を形成して、温感の効果により温まった空気を保持し得る。ただし、吸収体１１において、中央領域６２、すなわち排泄口当接域２１を含む領域における吸収体圧搾部６０の配置数の密度は、前方領域６１及び後方領域６３における吸収体圧搾部６０の配置数の密度よりも高い。相対的に坪量が高い中央領域６２をより型崩れし難くする観点、及び、排泄口当接域２１を含む中央領域６２に温感の効果で温まった空気をより多く保持して敏感な排泄口をより温め易くする観点による。別の実施形態では、吸収体１１はコアラップを用いない。更に別の実施形態では、吸収体１１は吸収体圧搾部を有さない。なお、断面図である図２、図１０、図１１において吸収体圧搾部６０の記載は省略される。

　本実施形態では、複数のシート圧搾部６７は複数の菱形を敷き詰めたパターンで配置されている。一方、複数の吸収体圧搾部６０は複数の千鳥パターンに配置されている。したがって、各シート圧搾部６７と各吸収体圧搾部６０とは、基本的には（大部分は）平面視で互いに異なる位置に配置されている、ということができる。ただし、複数のシート圧搾部６７の一部と複数の吸収体圧搾部６０の一部とが、平面視で互いに同じ位置に配置されてもよい。

　温感剤保持シート１３（機能層）は、液体（排泄物）を保持可能な、不織布のような一層又は複数層のシートから構成されており、温感剤５０（機能剤）を含んでいる。温感剤保持シート１３の形状は、温感剤５０の漏れを抑制する、生理用ナプキン１の周縁部２７の内側に配置できれば、特に限定はなく、例えば温感本体５の形状を相似的に縮小した形状が挙げられる。温感剤５０は、生理用ナプキン１の装着者の身体又はその近傍を加熱等することなしに、皮膚の温度受容器（温熱知覚受容器）を刺激して、装着者に温感を知覚させる温感成分を含んでおり、温感成分を溶解ないし分散し得る溶媒成分を更に含んでいる。温感剤５０は、気体や液体の形態で、温度、気圧、外力などの影響により、配置された場所から移動し得る流体成分又は揮発成分を含んでおり、例えば温感成分及び溶媒成分の少なくとも一方が流体成分又は揮発成分を含んでいる。そして、温感剤保持シート１３が液透過性シート７よりも非肌側に配置されていても、温感剤保持シート１３の温感剤５０が、生理用ナプキン１の着用時において例えば溶出又は揮発等により液透過性シート７を透過し、装着者の下腹部の肌に接触することができる。それにより、温感剤５０の温感成分が皮膚の温熱知覚受容器を刺激し、装着者の下腹部に温感を付与することができる。

　本実施形態では、温感剤５０は、温感剤保持シート１３における、表面シート７ａの幅方向Ｗの範囲で、長手方向Ｌに延び、幅方向Ｗに並んだ複数のストライプ状（連続的又は間欠的）の部分に配置される。この場合、温感剤保持シート１３の幅方向Ｗの長さは吸収体１１の幅方向Ｗの長さ以下であり、温感剤５０が、温感本体５の幅方向Ｗの両外側へ漏れ難くなる。別の実施形態では、温感剤５０は、平面視で温感剤保持シート１３における周縁部を除く内側の中央部２５に配置される。この場合、温感剤保持シート１３の幅方向Ｗの長さは、吸収体１１の幅方向Ｗの長さよりも長い。それにより、温感剤５０の効果が、吸収体１１よりも幅方向Ｗに広い領域に及ぶ。更に別の実施形態では、温感剤５０は、平面視で温感剤保持シート１３における周縁部を含む全体に配置される。更に別の実施形態では、温感剤５０は溶媒成分を含まない。更に別の実施形態では、温感本体５は、温感剤保持シート１３の非肌側に温感剤保持シート１３を支持する支持シートを有する。更に別の実施形態では、温感本体５は、温感剤保持シート１３に温感剤５０を含まず、したがって、温感剤保持シート１３は保温性シートとして、下腹部を保温する。

　本実施形態では、吸収体１１は、機能層としての機能を更に有しており、すなわち温感剤５２（機能剤）を含んでいる。図８は、実施形態に係る吸収体１１における温感剤５２の配置を示す模式図である。温感剤５２は、吸収体１１の肌側の表面において、長手方向Ｌに延び、幅方向Ｗに並んだ複数のストライプ状（連続的又は間欠的）の部分に配置される。この場合、温感剤５２の配置される幅方向Ｗの範囲は、概ね表面シート７ａの幅方向Ｗの範囲内である。温感剤５２は、温感剤５０とは配置される位置が相違するが、その性質は同一である。別の実施形態では、温感剤５２は、吸収体１１の更に別の箇所、例えば非肌側の表面又は内部に配置される。更に別の実施形態では、吸収体１１は、温感剤５２を含まない。

　本実施形態では、液透過性シート７（第１シート部材）は、機能層としての機能を更に有しており、すなわち温感剤５１（機能剤）を含んでいる。図９は、実施形態に係る液透過性シートにおける温感剤の配置を示す模式図である。温感剤５１は、液透過性シート７の非肌側の表面において、長手方向Ｌに延び、幅方向Ｗに並んだ複数のストライプ状（連続的又は間欠的）の部分に配置される。この場合、温感剤５１の配置される幅方向Ｗの範囲は、概ね吸収体１１の幅方向Ｗの範囲内である。温感剤５１は、温感剤５０とは配置される位置が相違するが、その性質は同一である。別の実施形態では、温感剤５１は、液透過性シート７の更に別の箇所、例えば肌側の表面に配置される。更に別の実施形態では、液透過性シート７ではなく、又は、液透過性シート７に加えて、液拡散シート４１の非肌側又は肌側の表面に温感剤５１が配置される。更に別の実施形態では、液透過性シート７は、温感剤５１を含まない。

　したがって、本実施形態では、上述された、吸収体１１が温感剤５２を含む態様、第１シート部材である液透過性シート７が温感剤５１を含む態様、第１シート部材である液拡散シート４１が温感剤５１を含む態様、のうちの少なくとも一の態様が実施されている。そして、第１シート部材である液透過性シート７及び液拡散シート４１は、平面視で温感剤５１と重なる領域に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数のシート部材凹部としての複数のシート圧搾部６７を含んでいる。また、吸収体１１は、平面視で温感剤５２と重なる領域に、複数のシート圧搾部６７とは異なる位置に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数の吸収体凹部としての吸収体圧搾部６０を含んでいる。

　本実施形態の別の好ましい態様では、生理用ナプキン１が、温感本体５に温感剤を含ンでいる。すなわち、生理用ナプキン１が、温感剤保持シート１３に温感剤５０を含む場合、温感本体５における液透過性シート７に温感剤５１を含む場合、及び、温感本体５における液拡散シート４１に温感剤５１を含む場合、のうちの少なくとも一つである。
　ここで、温感剤により体温が上昇しても、排泄物（例示：尿、経血）が存在すると、外気温や気化熱で排泄物が冷やされて、冷やされた排泄物が肌に付着することで、肌も冷えてしまうおそれがある。そこで、この生理用ナプキン１では、排泄物が排泄される領域（吸収体１１の長手方向Ｌ及び幅方向Ｗの略中央部）と、温感剤が配置された領域（温感本体５）とが少なくとも長手方向Ｌに互いに離間されている。すなわち、温感剤が排泄物と接触し難い場所に存在している。そのため、もし仮に冷やされた排泄物が肌に付着することで、肌が冷えたとしても、排泄物から離間した温感剤が温感を提供し続けることができ、それにより、肌が冷えてしまうことを抑制できる。

　生理用ナプキン１において、液不透過性シート９（第２シート部材）は、吸収体１１と厚さ方向Ｔに重なり、通気性を有さない（非通気性である）。したがって、生理用ナプキン１は、液不透過性シート９よりも肌側の領域に存在する空気を、液不透過性シート９の非肌側へ、すなわち生理用ナプキン１の外部へ逃がし難い構成になっている。言い換えると、生理用ナプキン１は、温感の効果で温められた空気をすなわち生理用ナプキン１の外部へ逃がし難い構成になっている。

　温感剤保持シート１３は、液体を保持可能なシート（例示：不織布）から構成されているので、吸収体１１ほどではないが、排泄物を吸収することができる。したがって、温感剤保持シート１３は、吸収体１１よりも低い吸収性能を有する低吸収部と見ることができる。低吸収部は、温感本体５に属しているが、長手方向Ｌの前方での排泄物の吸収を補助することができる。ここで、温感剤保持シート１３と吸収体１１との関係から、吸収体１１と低吸収部（温感剤保持シート１３）とは、幅方向Ｗから見て、長手方向Ｌに連続しているということができる。同様に、吸収体１１の一部と低吸収部の一部とは、重複部１５において厚さ方向Ｔに重複しており、吸収体の一部は、低吸収部の一部における肌側の部分に乗り上げて重複している。なお、別の実施形態として、温感本体５が温感剤保持シート１３の非肌側に、例えば平面視で温感剤保持シート１３と同一形状の支持シート（例示：不織布）を有する場合、その支持シートを（温感剤保持シート１３を含めて又は含めずに）、吸収体１１よりも低い吸収性能を有する低吸収部と見ることができる。

　生理用ナプキン１は、吸収本体３及び温感本体５の両方において、生理用ナプキン１を装着者の着衣に固定するための粘着部を備えている。粘着部の一方の面は、液不透過性シート９に固定され、他方の面は、生理用ナプキン１の個包装シート４３に仮固定されている。このうち、吸収本体３には、平面視で、吸収体１１と重なる領域に配置され、例えば長手方向Ｌに沿って延び、幅方向Ｗに間欠的に並ぶ粘着部７３と、ウイング部１７の幅方向Ｗの略中央部に、長手方向Ｌに沿って延びる粘着部７１と、が配置されている。一方、温感本体５には、幅方向Ｗの両端部の領域に粘着部７２が配置されている。別の実施形態では、粘着部の他方の面は、個包装シート４３に固定された剥離シートに仮固定される。

　個包装体（生理用ナプキン１＋個包装シート４３）は、図１に示すように、長手方向第１折線Ｆ１（例示：左方折線）及び長手方向第２折線Ｆ２（例示：右方折線）と、幅方向第１折線Ｆ３（例示：前方折線）及び幅方向第２折線Ｆ４（例示：後方折線）と、を有する。ただし、長手方向第１折線Ｆ１及び長手方向第２折線Ｆ２（一対の長手方向折線）は、長手方向Ｌに沿って延び、幅方向Ｗの一方側から他方側へ所定間隔で互いに平行に並んでいる。幅方向第１折線Ｆ３及び幅方向第２折線Ｆ４は、幅方向Ｗに沿って延び、長手方向Ｌの一方側から他方側へ所定間隔で互いに平行に並んでいる。すなわち、長手方向折線は２本、幅方向折線は２本である。ただし、幅方向第１折線Ｆ３は、生理用ナプキン１の前方に配置され、幅方向第２折線Ｆ４は、生理用ナプキン１の後方に配置される。幅方向第１折線Ｆ３は、吸収本体３の前側の端部及び温感本体５の後側の端部に位置する。具体的には、幅方向第１折線Ｆ３は、吸収体１１における長手方向Ｌの前側の端縁１１Ｅ１より幅方向中心線ＣＷ側に位置する。ただし、幅方向第１折線Ｆ３及び幅方向第２折線Ｆ４は、排泄口当接域２１を避けるように、排泄口当接域２１よりも長手方向Ｌの前側及び後側に位置する。なお、別の実施形態では、長手方向折線は無い。更に別の実施形態では、幅方向折線は１本又は３本以上である。

　そして、生理用ナプキン１では、個包装されるとき、個包装シート４３と共に、長手方向第１折線Ｆ１及び長手方向第２折線Ｆ２を基軸として、両折線よりも幅方向Ｗの外側の部分（一対の外側部分）がそれぞれ肌側の表面に向かって折畳まれる。次いで、個包装シート４３と共に折り畳まれた生理用ナプキン１では、幅方向第１折線Ｆ３及び幅方向第２折線Ｆ４を基軸として、両折線よりも長手方向Ｌの外側の部分がそれぞれ肌側の表面に向かって折畳まれる。その後、個包装シート４３の一端部が、それに対向する個包装シート４３に固定用テープ４５で固定される。それにより、生理用ナプキン１の個包装体が形成される。そして、生理用ナプキン１は、使用されるとき、すなわち個包装が開封されるとき、個包装されるときとは逆の手順で開封される。

　また、生理用ナプキン１は、複数の圧搾部３１、３３を有する。複数の圧搾部３１は、主に吸収本体３において、排泄口当接域２１を囲むように、曲線状で、連続的又は間欠的に配置される。複数の圧搾部３３は、吸収本体３において、複数の圧搾部３１に囲まれた領域に、ドット状に分散して配置される。圧搾部３１、３３は、液透過性シート７及び吸収体１１（重複部１５では更に温感剤保持シート１３）を肌側から非肌側へ向かって圧搾することで形成される。なお、複数の圧搾部３１、３３の形状及び配置は任意である。別の実施形態では、更に、温感本体５において、液透過性シート７及び温感剤保持シート１３（重複部１５では更に吸収体１１）を肌側から非肌側に圧搾することで形成される一つ又は複数の圧搾部を備える。その圧搾部の形状は任意である。

　また、生理用ナプキン１は、シール部２９を有する。シール部２９は、液透過性シート７と液不透過性シート９とをそれらの周縁部２７で、熱シールなどの公知の方法で接合・封止する。生理用ナプキン１では、液透過性シート７の非肌側の面と吸収体１１及び温感剤保持シート１３の肌側の面とは第１接着剤（図示されず）で接合され、吸収体１１及び温感剤保持シート１３の非肌側の面と液不透過性シート９の肌側の面とは第２接着剤（図示されず）で接合される。本実施形態では、第１接着剤の坪量よりも、第２接着剤（図示されず）の坪量が多い。別の実施形態では、第１接着剤の坪量よりも、第２接着剤（図示されず）の坪量が少ない、又は、両坪量は同じである。

　生理用ナプキン１では、装着者に装着されたとき、吸収体１１の温感剤５２及び液透過性シート７（及び液拡散シート４１）（第１シート部材）の温感剤５１の少なくとも一方により、装着者が温かさを知覚できるという温感の効果を得ることができる。そのとき、液透過性シート７（及び液拡散シート４１）は、複数のシート圧搾部６７（シート部材凹部）を含むため、温感剤５１の効果により温められた空気の少なくとも一部を複数のシート圧搾部６７の窪みＰ２で度保持することができる。更に、吸収体１１は、複数の吸収体圧搾部６０（吸収体凹部）を含むため、温感剤５２の効果により温められた空気の少なくとも一部を複数の吸収体圧搾部６０の窪みＰ１で保持することができる。ここで、シート圧搾部６７と吸収体圧搾部６０との位置が互いにずれているため、複数のシート圧搾部６７と複数の吸収体圧搾部６０とを合わせると、温められた空気を多く保持することができる。そして、吸収体１１や液透過性シート７（及び液拡散シート４１）よりも非肌側に位置し、非通気性である液不透過性シート９（第２シート部材）により、それら保持された空気を外方へ流出しないように肌側に概ね閉じ込めることができる。それらの相乗効果により、温感剤５１及び／又は温感剤５２により温感の効果を得ることに加えて、排泄物により温感剤が肌に到達し難い場合や、吸収体１１の温度が低下した場合でも、温められた空気で肌を保温することができ、温感の効果を得ることができる。それにより、温感の持続性を向上することが可能となる。

　次に、本実施形態に係る生理用ナプキン１の好ましい使用方法について説明する。
　装着者が生理用ナプキン１を装着する場合、まず、吸収本体３の吸収体１１の排泄口当接域２１が装着者の排泄口に対応するように、生理用ナプキン１を着衣（例示：ショーツ）に固定する。それにより、温感本体５の温感剤保持シート１３が装着者の下腹部に対応するように生理用ナプキン１が着衣に固定される。そして、温感本体５の肌側の面が装着者の下腹部の肌に接した状態で、生理用ナプキン１が使用される。

　言い換えると、生理用ナプキン１は、吸収体１１の排泄口当接域２１が装着者の排泄口に当接するように吸収本体３が着衣に配置されたとき、温感剤保持シート１３が装着者の下腹部に対応する位置に配置されるような形状を有している。したがって、吸収本体３の吸収体１１の排泄口当接域２１と、温感本体５の温感剤保持シート１３との距離は、装着者の排泄口と、下腹部との距離（肌面上の距離）とに概ね等しい。

　本実施形態では、温感剤保持シート１３の温感剤５０（機能剤）は、ＴＲＰチャネルを活性化する温感成分と、溶媒成分とを含んでいる。そのため、生理用ナプキン１が着衣に固定され、使用されると、温感剤保持シート１３に含まれる温感剤５０が、液透過性シート７を透過して、装着者の肌に接触し、装着者の肌において、温感成分が接触している温感剤接触部分のＴＲＰチャネルを効率よく活性化し、装着者の下腹部に温感を効率よく付与することができる。

　装着者の下腹部に温感を付与することにより、装着者の下腹部の肌における温感成分に接していた温感剤接触部分のＴＲＰチャネルが活性化される結果、交感神経系を介して、温感剤接触部分から熱が生じ、装着者の肌における温感成分の接触部分の温度を上昇させることが期待できる。その結果、装着者の子宮に近い部位を温め、痛み物質プロスタグランジンを排出させ、装着者の生理痛を緩和することが期待される。装着者の子宮に近い部位を温めることにより、装着者の月経前症候群（Ｐｒｅｍｅｎｓｔｒｕａｌ　Ｓｙｎｄｒｏｍｅ）、冷え性、更年期障害等を軽減することが期待される。血行促進（リンパの流れの促進）により老廃物排出と冷え改善、脂肪燃焼向上、免疫力向上などが期待される。

　本実施形態の好ましい態様では、吸収体１１において、排泄口当接域２１の吸収体圧搾部６０（吸収体凹部）の配置数の密度を、非排泄口当接域２３の吸収体圧搾部６０（吸収体凹部）の配置数の密度よりも高くしている。そのため、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、排泄口当接域２１において、温められた空気をより多く保持することができる。それゆえ、敏感で温度変化を感じ易い排泄口近傍の肌を、より暖かく持続的に保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、幅方向Ｗにおいて、吸収体１１における中央部の厚さを、中央部の両側に位置する両端部の厚さよりも薄くしている。そのため、生理用ナプキン１が装着者に装着され、幅方向Ｗにおいて、吸収体１１の両端部が（液透過性シート７及び液拡散シート４１（第１シート部材）を介して）肌と接触したとき、吸収体１１の中央部と肌との間に若干の隙間を生じさせ易くすることができる。そして、その隙間において、温められた空気を更に保持することができる。それゆえ、吸収体１１の中央部が当接し得る、敏感で温度変化を感じ易い排泄口近傍の肌を、より暖かく持続的に保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、シート部材凹部は、互いに当接された表面シート７ａと液拡散シート４１とを一体化するシート圧搾部６７を含んでいる。言い換えると、表面シート７ａと液拡散シート４１とは、複数のシート圧搾部６７で互いに結合されているが、シート圧搾部６７以外の箇所は結合されていない。そのため、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、（最近接でなく）隣り合うシート圧搾部６７間において、表面シート７ａと液拡散シート４１とを互いに厚さ方向Ｔに離間させて、若干の隙間Ｐ３を生じ易くさせることができる。そして、その隙間Ｐ３において、温められた空気を更に保持することができる。それゆえ、複数のシート圧搾部６７だけでなく、その隙間Ｐ３でも、温められた空気で肌を保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、不織布で形成された表面シート７ａの繊維密度は、その非肌側に当接され、不織布で形成された液拡散シート４１の繊維密度よりも低い。それゆえ、繊維密度の高い液拡散シート４１より、吸収体１１の排泄物が表面シート７ａへ液戻りすることを安定的に抑制しつつ、繊維密度の低い表面シート７ａの繊維間の空隙に、温感の効果で温められた空気を更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、表面シート７ａの幅方向Ｗの両側に一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗを有している。そのため、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗが肌側にやや立ち上がった状態になり、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗと表面シート７ａとにより、表面シート７ａの肌側に若干の空間を生じ易くすることができる。そして、その空間において、温められた空気を更に保持することができる。それにより、複数のシート圧搾部６７や複数の吸収体圧搾部６０に加えて、その空間でも、温められた空気で肌を保温できる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、温感本体５、すなわち、吸収体１１の長手方向Ｌの前側（装着者の腹側）に位置する、温感剤５０を含む温感剤保持シート１３（前方温感部）を更に備えている。そのため、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、装着者の腹側の部分を温感剤５０で暖めることができる。更に、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗが温感剤保持シート１３にまで延出しているので、装着者の腹側の部分においても、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗと表面シート７ａとにより、若干の空間を生じ易くすることができる。そして、その空間において、温められた空気を保持することができる。それにより、複数のシート圧搾部６７や複数の吸収体圧搾部６０に加えて、その空間でも、装着者の腹側の部分において、温められた空気で肌を保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　別の実施形態では、防漏壁７Ｗは、二層以上のシートが積層された構造を有する。図１０は、別の実施形態に係る生理用ナプキン１の幅方向中心線ＣＷに沿う断面図である。この場合、防漏壁７Ｗは、表面シート７ａの幅方向Ｗの両端部の各々に形成されている。具体的には、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗは、表面シート７ａの幅方向Ｗの両端部が、表面シート７ａの幅方向Ｗの内側かつ非肌側（厚さ方向Ｔの下方）に折り返されることで、長手方向Ｌから見てループ状に形成される。防漏壁７Ｗにおける厚さ方向Ｔの上側の部分、すなわちループの上側の部分を防漏壁７Ｗの上層７Ｗ１とし、下側の部分、すなわちループの下側の部分を防漏壁７Ｗの下層７Ｗ２とする。その場合、防漏壁７Ｗは、上層７Ｗ１及び下層７Ｗ２の二層のシートが積層された構造を有するといえる。このような生理用ナプキン１が装着者の着衣に装着されると、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗの中空に膨らんだ部分、すなわち上層７Ｗ１及び下層７Ｗ２で構成されるループ状の部分が、吸収体１１よりも外側にせり出すことになる。その結果、生理用ナプキン１が装着者の両脚で幅方向Ｗに挟まれ、吸収体１１が装着者の股部の形状に沿って変形するとき、それらループ状の部分は吸収体１１の変形に追従して容易に変形できる。そのため、それらループ状の部分（一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗ）は、着用者にクッション性を知覚させることができ、かつ、装着者の股部との密着性を維持できる。それにより、防漏壁７Ｗで、良好な装着感を付与できると共に、排泄物の横漏れを抑制できる。また、このような構成によれば、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗと表面シート７ａとにより生じた空間やループ状の部分に生じた空間Ｐ４に保持された空気を、より外方へ放出させ難くすることができる。それゆえ、複数のシート圧搾部６７や複数の吸収体圧搾部６０に加え、それらの空間でも、温められた空気を更に保持できる。それにより、温められた空気で肌をより保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　更に別の実施形態では、防漏壁７Ｗは、二層以上のシートが積層された構造を有する。図１１は、更に別の実施形態に係る生理用ナプキンの幅方向中心線に沿う断面図である。この場合、防漏壁７Ｗは、一対のサイドシートの各々における幅方向Ｗの内側の端部に形成されている。具体的には、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗの各々は、幅方向Ｗにおいて、外側の端縁を固定端とされた下層７Ｗ２と、内側の端縁を下層７Ｗ２の内側の端縁に連結され、外側の端縁を自由端とされた上層７Ｗ１と、を備えている。なお、下層７Ｗ２の内側の端縁は、実質的に固定されていないので自由端といえる。すなわち、防漏壁７Ｗの厚さ方向Ｔの高さをより高くでき、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗと表面シート７ａとで形成される空間をより広くすることができる。このような構成によれば、生理用ナプキン１が装着者に装着されたとき、一対の防漏壁７Ｗ、７Ｗと表面シート７ａとにより生じた空間に保持された空気や上層７Ｗ１と下層７Ｗ２との間に滞留する空気をより外方へ放出させ難くでき、より多く保持することができる。したがって、複数のシート圧搾部６７や複数の吸収体圧搾部６０に加えて、それらの空間でも、温められた空気を更に保持することができる。それにより、温められた空気で肌をより保温することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、液透過性シート７（液拡散シート４１を含む）と吸収体１１とを接着する第１接着剤（図示されず）の坪量よりも、液不透過性シート９と吸収体１１とを接着する第２接着剤（図示されず）の坪量が多い。ここで、液不透過性シート９は非通気性とはいえ若干の通気性を有する場合があり得る。それゆえ、第２接着剤の坪量を相対的に多くすることで、液不透過性シート９の肌側の表面の通気に関わる隙間を覆うことができるので、第２接着剤を合わせた液不透過性シート９の非通気性をより高めることができる。したがって、温感の効果により温められた空気を、より安定的に液不透過性シート９よりも肌側に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の好ましい態様では、生理用ナプキン１は、折り畳まれて個包装されるとき、幅方向Ｗにて、一対の長手方向第１折線Ｆ１及び長手方向第２折線Ｆ２よりも外側の部分が、両折線を基軸として、肌側の表面に向かって折り畳まれるように構成されている。したがって、生理用ナプキン１では、一対の長手方向第１折線Ｆ１及び長手方向第２折線Ｆ２の位置に折癖がつき、両折線よりも外側の部分（一対の外側部分）が肌側に向かって立ち上がり易くなる。そのため、生理用ナプキン１が装着されたとき、幅方向Ｗにおいて、一対の外側部分が立ち上がろうとして肌面を押すことで、一対の外側部分よりも内側の中央部分が肌面からわずかに離れ易くなる。すなわち、肌面と中央部分との間に空隙が生じ易くなる。それゆえ、温感の効果で温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　本実施形態の生理用ナプキン１では好ましい態様として、長手方向Ｌにおいて、幅方向中心線ＣＷと、吸収体１１の前側の端縁１１Ｅ１と、の距離は、吸収体１１の前側の端縁１１Ｅ１と、生理用ナプキン１の前側の端縁と、の距離よりも長く構成される。言い換えると、生理用ナプキン１における幅方向中心線ＣＷよりも長手方向Ｌの前側の領域において、吸収体１１が存在する領域の長手方向Ｌの長さが、吸収体１１が存在しない領域の長手方向Ｌの長さよりも長い。そのため、生理用ナプキン１の長手方向Ｌの前側の領域において、液体の排泄物を吸収可能な吸収体１１の領域を長手方向Ｌに十分に確保できる。それゆえ、長手方向Ｌにおいて、前側に温感本体５を有し、前側の部分が相対的に長い生理用ナプキン１を下着に装着するとき、前側の端部のはみ出しを気にして、装着者が生理用ナプキン１を後側に必要以上にずらして装着しても、生理用ナプキン１の前側の領域において、吸収体１１の領域が十分に確保できるため、前側から排泄物が漏れることを抑制できる。前側からの排泄物の漏れを抑制する観点から、吸収本体３の前方領域３ａの長さの下限は、温感本体５の長さの１１０％～１３０％が好ましく、温感本体５の温感の効果を十分に得る観点から、上限は、温感本体５の長さの３００％～２００％以下が好ましい。

　（生理用ナプキン１における各資材等）
　次に、各実施形態における生理用ナプキン１における各資材等について説明する。

　上記の各実施形態における機能層としての温感剤保持シート１３や、液透過性シート７や、吸収体１１は、ＴＲＰチャネル（温度受容器（温熱知覚受容器））を活性化する温感成分と溶媒成分とを含む温感剤５０や、温感剤５１や、温感剤５２を有している。

　温感剤５０、５１、５２は、例えばＴＲＰチャネルを活性化する温感成分と溶媒成分とを含む。温感成分としては、ＴＲＰチャネルを活性化するものであれば、特に制限されず、例えば、ＴＲＰＶ１レセプターに対するアゴニスト、ＴＲＰＶ３レセプターに対するアゴニスト等が挙げられ、ＴＲＰＶ１に対するアゴニストが好ましい。ＴＲＰＶ１レセプターは、活性化温度閾値が４３℃超と高く、装着者に高い温感を付与できるからである。

　温感成分は、装着者の安心感の観点から植物由来の化合物が好ましい。温感成分としては、例えば、カプシコシド、カプサイシン、カプサイシノイド類（ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ノニバミド等）、カプサンチン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸β－ブトキシエチル、Ｎ－アシルワニルアミド、ノナン酸バニリルアミド、多価アルコール、唐辛子末、唐辛子チンキ、唐辛子エキス、ノナン酸バニリルエーテル、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例示：バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、イソバニリルアルコールアルキルエーテル、エチルバニリルアルコールアルキルエーテル、ベラトリアルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコール誘導体、置換ベンジルアルコールアルキルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、ジンゲロン、ヘスペリジン、及びピロリドンカルボン酸、並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。それらの中でも、温感成分は、装着者が痛さを感じにくい観点から、カプサイシンではないことが好ましく、バニリルアルコールアルキルエーテル誘導体（例示：バニリルエチルエーテル、バニリルブチルエーテル、バニリルペンチルエーテル、バニリルヘキシルエーテル）、ショウガエキス、ジンジャーオイル、ジンゲロール、及びジンゲロン、並びにそれらの任意の組み合わせがより好ましい。

　溶媒成分としては、温感成分を含むことができるものであれば、特に限定されず、例えば、親油性溶媒及び親水性溶媒が挙げられる。このような溶媒成分は、温感成分を、溶解、分散等することができる。親油性溶媒としては、例えば、油脂があげられる。油脂としては、例えば、天然油（例示：トリグリセリド等の脂肪酸エステル、ヤシ油、アマニ油等）、炭化水素（例示：パラフィン（例示：流動パラフィン））等が挙げられる。親水性溶媒としては、例えば、水及びアルコールが挙げられる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の低級アルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。それらの中でも、溶媒成分としては、揮発性を制御しやすい、特に揮発性を下げやすい観点からは、油脂（親油性溶媒）又はアルコール（親水性溶媒）が好ましい。また、吸収性を阻害しにくい観点からは、上記溶媒成分は親油性溶媒であることが好ましい。

　なお、液透過性シート７の温感剤５１や吸収体１１の表面の温感剤５２は、液体の排泄物によっては下層（例示：吸収体１１、吸収体１１の下部）へ流出し難い特性を有する耐久親水油剤（耐久親水化剤）と共存させることが好ましい。すなわち、溶媒成分として、耐久親水油剤を含むことが好ましい。耐久親水油剤としては、特に制限されず、当技術分野で、繊維にコーティング又は練り込まれているものを採用することができる。耐久親水化剤としては、例えば、炭素数が１０～３０のアルキルホスフェートエステル塩と、炭素数が１０～３０のベタイン化合物、硫酸エステル塩又はスルホネート塩との混合物、アルキルホスフェートエステル塩とポリエーテル変性シリコーンとの混合物等が挙げられる。そのため、温感剤５１、５２が排泄物により下層へ移行することを抑制することができる。すなわち、比較的肌に近い部分に温感材を維持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。なお、別の実施形態では、温感剤５１を配置する液透過性シート７の構成繊維自体及び温感剤５２を配置する吸収体１１の構成繊維自体の少なくとも一方を、耐久親水油剤で予め処理して、構成繊維自体に耐久親水油剤の特性を付与する。

　温感剤５０の温感成分の濃度は、好ましくは１～５０質量％であり、より好ましくは３～３０質量％であり、さらに好ましくは５～１５質量％である。温感の効果の観点からである。また、生理用ナプキン１では、温感剤５０における温感成分の坪量は、好ましくは０．００１～３０ｇ／ｍ^２であり、より好ましくは０．０１～２０ｇ／ｍ^２であり、さらに好ましくは０．１～１０ｇ／ｍ^２である。装着者に温感を付与する観点からである。

　生理用ナプキン１では、温感剤は、上述の温感成分及び溶媒成分以外に、装着者に温感を付与する効果を阻害しない範囲で、所望の作用を有する少なくとも一種の他の成分を含むことができる。そのような少なくとも一種の他の成分としては、例えば抗菌剤や皮膚収斂剤や抗炎症剤のような薬剤、ビタミン、アミノ酸、ゼオライト、ヒアルロン酸、コラーゲン、ワセリン、トレハロース、ｐＨ調整剤、保湿剤、香料などが挙げられる。

　生理用ナプキン１の温感剤は、剤自体が発熱する発熱剤とは異なり、低温やけどを起こし難く、かつ、粘着部７２等が軟化し難くので生理用ナプキン１を使用後に下着等から取り外す際に、粘着部７２等が下着等に残り難く、好ましい。

　ただし、温感剤５０、温感剤５１及び温感剤５２は、発熱剤を含んでもよい。その場合、温感剤５０、温感剤５１及び温感剤５２としては、例えば、発熱成分と溶媒成分とを含む、粒子状、ペースト状又はシート状の発熱剤が挙げられる。

　温感剤５０、温感剤５１及び温感剤５２は、生理用ナプキン１が使用されるまでに揮発したり、他の領域へ移動したりすることを防止するため、水崩壊性の保護材、例えば、マイクロカプセルに保護されていてもよい。マイクロカプセルは、機能剤を内包し、液体（例示：経血、尿、汗）に触れると崩壊し、機能剤を外部に放出させる。放出された機能剤は、着用者の体温等により気化したり、着用者の肌に接触したりすることで、着用者に対して所定の機能を発揮する。

　マイクロカプセルの素材としては、例えば、糖類、例えば、単糖類（例示：ブドウ糖）、二糖類（例示：ショ糖）及び多糖類（例示：デキストリン、グルコマンナン、アルギン酸ナトリウム、水溶性でんぷん）、ゼラチン、水溶性ポリマー（例示：ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル）等が挙げられる。

　マイクロカプセルは市販されており、例えば、Ｓｙｍｒｉｓｅ社から市販される、ＩＮＣＡＰ（商標）等が挙げられる。また、マイクロカプセルは、例えば、水にマイクロカプセルの素材を溶解させて水溶液を形成し、当該水溶液に機能剤及び界面活性剤を混合し、その水溶液をスプレーしながら減圧乾燥することにより製造することができる。

　生理用ナプキン１において、液透過性シート７の素材としては、液透過性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、布帛（例示：不織布、織布、編物）、開孔フィルム等が挙げられる。布帛としては、生理用ナプキン１の製造し易さの観点から不織布が好ましい。不織布としては、例えば、エアレイドパルプ、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ（例示：ＳＭＳ）が挙げられる。中でも、不織布としては、エアスルー不織布が好ましい。液透過性シート７は、好ましくは５～１００ｇ／ｍ²、より好ましくは１０～５０ｇ／ｍ²の坪量を有する。液透過性シート７は、好ましくは０．００１ｇ／ｃｍ^３～０．６ｇ／ｃｍ^３、より好ましくは０．００３ｇ／ｃｍ^３～０．１ｇ／ｃｍ^３の繊維密度を有する。

　布帛を構成する繊維としては、例えば、天然繊維、合成繊維、及び半合成繊維が挙げられる。天然繊維としては、例えば、パルプ繊維及び再生セルロース繊維が挙げられる。再生セルロース繊維としては、例えば、レーヨン繊維が挙げられる。半合成繊維としては、例えば、アセテート繊維のような半合成セルロース繊維が挙げられる。合成繊維としては、例えば、熱可塑性繊維が挙げられる。熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）やポリブチレンテレフタレートやポリペンチレンテレフタレートのようなポリエステル系ポリマー、ナイロン６やナイロン６，６のようなポリアミド系ポリマー、アクリル系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー、又はそれらの変性物、あるいはそれらの組み合わせ等から形成された繊維が挙げられる。開孔フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンのシートに、複数の開孔部を設けたものが挙げられる。

　なお、液透過性シート７（第１シート部材）は、エアスルー不織布であることが好ましい。エアスルー不織布は、製造時に搬送用のネットに面していたネット面と、ネット面と反対側の非ネット面と、を有している。この場合、エアスルー不織布のネット面は肌側に向けて配置され、非ネット面は非肌側に向けて配置される。エアスルー不織布では、非ネット面の構成繊維間の空隙が大きい。それゆえ、生理用ナプキン１では、非肌側に配置された非ネット面に温感剤５１（温感部）を配置することで、構成繊維間の空隙に温感剤５１を容易に保持させることができ、それにより、温感剤５１を継続的に放出でき、温感の持続性をより向上できる。更に、温感剤５１が消費され、又は、排泄物により流出した後には、温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。また、ネット面の構成繊維間の空隙が小さく、肌に対して滑らかに当接でき、装着者の知覚する装着感を向上できる。

　なお、表面シート７ａは、親水性繊維（例示：綿、レーヨン、毛、絹）で形成されていることが好ましい。それにより、汗を含む水分を構成繊維内に引き込み保持させ易くすることができる。それにより、構成繊維の表面に水分を残し難くさせることができ、水分と肌を接触し難くすることができ、皮膚に冷たさを感じ難くさせることができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。

　生理用ナプキン１において、液拡散シート４１の素材としては、液透過性及び液拡散性を有するシートであれば特に制限はなく、例えば、液透過性・親水性の不織布、その積層不織布が挙げられ、具体的には、液透過性シート７の素材として列挙されるものが挙げられる。また、液拡散シート４１は、好ましくは１０～２００ｇ／ｍ²、より好ましくは２０～１００ｇ／ｍ²の坪量を有する。液拡散シート４１は、好ましくは０．００２ｇ／ｃｍ^３～０．８ｇ／ｃｍ^３、より好ましくは０．００４ｇ／ｃｍ^３～０．２ｇ／ｃｍ^３の繊維密度を有する。このとき、液拡散シート４１の繊維密度は、液透過性シート７の繊維密度よりも高いことが好ましい。言い換えると、液透過性シート７の繊維密度は、液拡散シート４１の繊維密度よりも低いことが好ましい。

　生理用ナプキン１において、液不透過性シート９の素材としては、液不透過性かつ非通気性を有するものであれば特に制限はない。温感剤５０の温感の効果で温められた空気を液不透過性シート９と肌との間の領域から散逸し難くする観点からである。液不透過性シート９の素材として、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、スパンボンドやスパンレース等の不織布に合成樹脂フィルムを接合したもの、ＳＭＳ等の複層不織布が挙げられ、非通気性を有する合成樹脂フィルムが好ましい。液不透過性シート９は、好ましくは１０～５０ｇ／ｍ²、より好ましくは１５～３０ｇ／ｍ²の坪量を有する。

　生理用ナプキン１において、温感剤保持シート１３の素材としては、例えば、液透過性シート７の素材として列挙されるものや、スポンジシートのような多孔質樹脂シートなど、温感剤５０を含浸可能なものが挙げられる。具体的には、温感剤５０の溶媒成分が親油性溶媒のときには、合成繊維の布帛、例えば、不織布、織布、編物等が挙げられ、好ましくは合成繊維の不織布が挙げられる。温感剤の溶媒成分が親水性溶媒のときには、例えば、セルロース系繊維から構成される布帛、例えば、不織布、織布、編物等が挙げられ、好ましくはパルプ繊維から構成されるティッシュ、エアレイドパルプが挙げられる。なお、別の実施形態として、温感本体５の代わりに、保温機能を有する保温本体とする場合、温感剤保持シート１３に代替される保温性シートの素材は、例えば、温感剤保持シート１３の素材として列挙されるものが挙げられ、この場合には温感剤５０は含浸させない。

　生理用ナプキン１において、吸収体１１（の吸収コア）の素材としては、例えば、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーが挙げられる。吸収体１１がコアラップを有する場合には、コアラップの素材としては、例えばティッシュが挙げられる。吸収体１１の坪量は、例えば１０～５００ｇ／ｍ^２が挙げられ、好ましくは１００～４００ｇ／ｍ^２である。

　なお、吸収体１１は、高吸水性ポリマーを含み、高吸水性ポリマーの吸収体１１に対する割合は、５～５０質量％であることが好ましい。このように、高吸水性ポリマーの吸収体１１に対する割合を所定範囲にすることで、高吸水性ポリマーが排泄物を吸収して膨潤したとき、隣り合う膨潤した高吸水性ポリマー同士の間で空隙を生じさせることができる。それゆえ、温感の効果で温められた空気をその空隙に更に保持することができる。それにより、温感の持続性をより向上することが可能となる。割合が５質量％より低い場合、膨潤したときに生じる空隙が少なくなってしまい、割合が５０質量％より高い場合、高吸水性ポリマーによりゲルブロッキング現象が生じて、生理用ナプキン１の吸収性能が低下してしまう。

　生理用ナプキン１において、粘着部７１、７２、７３等の素材としては、ホットメルト接着剤、例えば、例えば、スチレン－エチレン－ブタジエン－スチレン（ＳＥＢＳ）、スチレン－ブタジエン－スチレン（ＳＢＳ）、スチレン－イソプレン－スチレン（ＳＩＳ）等のゴム系を主体とした、又は直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系を主体とした感圧型接着剤又は感熱型接着剤；水溶性高分子（例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース、ゼラチン等）又は水膨潤性高分子（例えば、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸ナトリウム等）からなる感水性接着剤等が挙げられる。

　生理用ナプキン１において、第１接着剤及び第２接着剤としては、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、例えば、オレフィン系ホットメルト接着剤、エチレン－酢酸ビニル共重合体系ホットメルト接着剤、ポリアミド系ホットメルト接着剤、熱可塑性エラストマー系ホットメルト接着剤、反応型ホットメルト接着剤などが挙げられる。第１接着剤及び第２接着剤の塗布のパターンとしては、例えば連続的又は間欠的なオメガパターン、スパイラルパターン、ラインパターンが挙げられる。第１接着剤及び第２接着剤の坪量は、例えば、好ましくは２～５０ｇ／ｍ^２、より好ましくは５～３０ｇ／ｍ^２である。第１接着剤の坪量よりも第２接着剤の坪量が多いことが好ましい。

　生理用ナプキン１において、個包装シート４３の素材としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン系ポリマーが挙げられる。個包装シート４３は、気密性を高める観点から、気密層を含んでもよい。気密層の素材としては、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、例えば、塩化ビニリデンメチルアクリレートコポリマー、ポリビニルアルコール、ナイロン、例えば、ナイロン６、アルミ箔、基材フィルム（ポリエチレンテレフタレート等）上にアルミナ、シリカ等が蒸着されたものが挙げられる。

　本発明の吸収性物品（例示：生理用ナプキン）は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、各実施形態同士を組合せることや公知技術を適用すること等が可能である。

　１　　生理用ナプキン
　７　　液透過性シート（第１シート部材）
　９　　液不透過性シート（第２シート部材）
　１１　　吸収体
　５１、５２　　温感剤
　６０　　吸収体圧搾部（吸収体凹部）
　６７　　シート圧搾部（シート部材凹部）

Claims

　長手方向、幅方向及び厚さ方向を有しており、吸収体と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも肌側に位置し、液透過性を有する第１シート部材と、前記吸収体と前記厚さ方向に重なり、前記吸収体よりも非肌側に位置し、液不透過性を有する第２シート部材と、を備える吸収性物品であって、
　前記吸収体及び前記第１シート部材の少なくとも一方は、温感剤を含む温感部を備え、
　前記第１シート部材は、平面視で前記温感部と重なる領域に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数のシート部材凹部を含み、
　前記吸収体は、平面視で前記温感部と重なる領域における、前記複数のシート部材凹部とは異なる位置に、肌側の表面から非肌側の表面に向かって窪む複数の吸収体凹部を含み、
　前記第２シート部材は、非通気性である、
　吸収性物品。
　前記吸収体は、着用者の排泄口に当接する領域である排泄口当接域と、前記排泄口当接域以外の領域である非排泄口当接域と、を有し、
　前記排泄口当接域における前記吸収体凹部の配置数の密度は、前記非排泄口当接域における前記吸収体凹部の配置数の密度よりも高い、
　請求項１に記載の吸収性物品。
　前記吸収体における前記幅方向の中央部の厚さは、前記吸収体における前記幅方向の両端部の厚さよりも薄い、
　請求項１又は２に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材は、
　　表面シートと、
　　前記表面シートの非肌側に当接された補助シートと、
　　を含み、
　前記複数のシート部材凹部の各々は、前記表面シートと前記補助シートとを一体化するように前記表面シートの肌側の表面から前記補助シートの非肌側の表面に向かって圧搾されて形成された圧搾部を含む、
　請求項１乃至３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材は、
　　不織布で形成された表面シートと、
　　前記表面シートの非肌側に当接され、不織布で形成された補助シートと、
　　を含み、
　前記表面シートの繊維密度は、前記補助シートの繊維密度よりも低い、
　請求項１乃至４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材は、
　　表面シートと、
　　前記表面シートの前記幅方向の両側に結合された一対のサイドシートと、
　　を含み、
　　前記一対のサイドシートの各々における前記幅方向の内側の端部、又は、前記表面シートの前記幅方向の両端部の各々に、前記長手方向に沿って延びる防漏壁を含み、
　前記防漏壁は、前記幅方向において、外側の端縁を固定端とされ、内側の端縁を自由端とされており、
　前記温感部は、平面視で、前記表面シートと重なる領域に位置する、
　請求項１乃至５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記吸収体の前記長手方向の前側に位置し、温感剤を含む前方温感部を更に備え、
　前記前方温感部は、一方の面を前記表面シート及び前記一対のサイドシートに当接し、他方の面を前記第２シート部材に当接する、
　請求項６に記載の吸収性物品。
　前記防漏壁は、二層以上のシートが積層された構造を有する、
　請求項６又は７に記載の吸収性物品。
　前記温感部は、前記温感剤と、耐久親水油剤と、を含む、
　請求項１乃至８のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材は、エアスルー不織布であり、
　前記エアスルー不織布は、製造時に搬送用のネットに面していたネット面を肌側に向け、前記ネット面と反対側の非ネット面を非肌側に向けて配置され、
　前記非ネット面に、前記温感部が配置されている、
　請求項１乃至９のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材は、表面シートであり、
　前記表面シートは、親水性繊維で形成されている、
　請求項１乃至１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記吸収体は、高吸水性ポリマーを含み、
　前記高吸水性ポリマーの前記吸収体に対する割合は、５～５０質量％である、
　請求項１乃至１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記第１シート部材と前記吸収体とを接着する第１接着剤の坪量よりも、前記第２シート部材と前記吸収体とを接着する第２接着剤の坪量が多い、
　請求項１乃至１２のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品の長手方向中心線を挟んで両側に配置され、前記長手方向に沿って延び、前記幅方向に間隔を空けて並んだ一対の長手方向折線を更に備え、
　前記吸収性物品は、折り畳まれて個包装されるとき、前記幅方向において、前記吸収性物品における前記一対の長手方向折線よりも外側の部分が、前記一対の長手方向折線を基軸として、前記吸収性物品における肌側の表面に向かって折り畳まれるように構成されている、
　請求項１乃至１３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記吸収体を含む吸収本体と、前記吸収本体の前記長手方向の前側に位置し、温感剤を含む温感本体と、を更に備える、
　請求項１乃至１４のいずれか一項に記載の吸収性物品。