WO2020110832A1

WO2020110832A1 - 車両用表示装置

Info

Publication number: WO2020110832A1
Application number: PCT/JP2019/045288
Authority: WO
Inventors: 新竹田; 金子　進; 義朗伊藤; 杉本　篤
Original assignee: 株式会社小糸製作所
Priority date: 2018-11-27
Filing date: 2019-11-19
Publication date: 2020-06-04
Also published as: CN113168794B; EP3889948A1; EP3889948A4; CN113168794A; US20220013045A1; US11900835B2

Abstract

車両用表示装置は、車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルと、当該画像の表示を制御する表示制御手段とを備える。表示パネルは車体に設けられた可動部を備え、表示制御手段は、可動部が動作したときに画像の表示形態を制御する画像制御手段を備える。可動部の動作により表示が隠された状態になる表示パネルに表示する画像を、可動部の表示パネルに表示する。

Description

車両用表示装置

　本開示は自動車等の車両の車体に設けられた表示パネルを備える車両用表示装置に関するものである。

　車両、例えば自動車を利用して広告、宣伝を行うために、あるいは自動車の走行安全性を確保するために、自動車の車体に図柄や文字等の画像を表示する車両用表示装置がある。特許文献１には、自動車のサイドミラーやリアランプにプロジェクタ（投影器）を内装し、自動車の車体パネルの外表面に画像を投影表示する技術が提案されている。特許文献２には、自動車の車体パネルやウインド（窓）に透過型有機ＥＬディスプレイからなる表示パネルを配設し、この表示パネルに画像を表示する技術が提案されている。

日本国特開２０１５－１４８６７８号公報日本国特開２０１６－６５９３８号公報

　通常、車体にはウインドや照明装置が設けられる。ただ近年提案されている自動運転制御の自動車（以下、自動運転車と称する）は、ウインドや照明装置を省略可能であり、車体パネルやウインドを含む車体に表示装置、例えば表示パネルを配設可能である。これにより、自動運転車の車体のほぼ全面を表示面として構成した車両用表示装置を実現することができる。更に当該車両用表示装置は、自動運転車の乗員や、自動運転車の外部近傍に存在する視認者（表示した画像を見る人）等に対する表示効果を高めることができる。

　一方、自動運転車の車体には乗降のためのドアが設けられる。表示パネルを車体に設けた場合においては、ドアの開閉により表示パネルに表示された画像を視認できなくなり、表示効果が低下する場合がある。スライド式のドアの場合には、ドアのスライド動作により表示パネルの一部がドアにより隠されてしまい、あるいはドア自身が隠されてしまい、これらの表示パネルの画像を視認できなくなる。ヒンジ式のドアについても同様である。車体に開閉式のウインドが設けられた場合についても、ウインドの開閉により表示パネルの画像を視認することができなくなり、表示効果が低下する。

　本開示の目的は、車体に設けられたドアやウインド等の可動部が動作された場合においても、表示パネルに表示した画像を視認者が視認することを可能とし、表示効果を高めた車両用表示装置を提供することにある。

　また、表示面が広い場合、視認者が表示パネルを見たときに、視認者と画像が表示された表示パネルとの相対位置関係によっては、画像が見難くなることがある。例えば、表示パネルに小さめの文字や記号等の画像を表示したときには、視認者は近くの画像は十分な大きさで視認できるが離れた画像は小さくて視認できないことがある。また、自動運転車が移動して視認者に対する表示パネルの位置や方向が変化したときには、これらの変化によってそれまで視認できた画像が視認できなくなることがある。明度やコントラストの低い画像では、近傍の視認者は視認できるが、遠方の視認者が視認できないことがある。

　本開示の目的は、車両と視認者との相対位置関係の変化に関わらず、車両に表示した画像を視認者が視認することを可能とし、表示効果を高めた車両用表示装置を提供することにある。

　また車両用表示装置は、表示パネルに表示する画像の表示形態を制御することが容易である。そのため車両用表示装置は、自動運転車と視認者（表示した画像を見る人）との距離の違いに応じて表示する画像の大きさを制御することが考えられる。離れた位置にいる視認者に対しては画像を大きいサイズで表示し、当該視認者車が画像を視認し易くする。このように、大きいサイズの画像を表示する場合、表示パネルは低解像度の表示パネルを用いれば十分であり、コストの面から好ましい。

　一方、自動運転車の近くにいる視認者が画像、特に文字画像を視認する場合には、見易い適切なサイズに縮小して表示するため、高解像度の表示パネルを用いる必要がある。しかし、高解像度の表示パネルを自動運転車の車体の広い領域に配設すると、表示装置が高コストになるという課題が生じる。

　本開示の目的は、視認者に対する表示を行う一方で、コスト上の課題を解消した車両用表示装置を提供することにある。

　本開示の車両用表示装置は、車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルと、当該画像の表示を制御する表示制御手段とを備えており、表示パネルは車体に設けられた可動部を備え、表示制御手段は、可動部が動作したときに画像の表示形態を制御する画像制御手段を備える。

　本開示における好ましい形態は、車両用表示装置は、複数の表示パネルを備え、可動部の動作により一の表示パネルの画像が隠れるとき、画像制御手段は、当該一の表示パネルの画像を他の表示パネルに表示する。また、画像制御手段は、可動部が動作されたときに、他の表示パネルに、当該可動部の動作前に他の表示パネルに表示されていた画像とは異なる画像を表示する。

　本開示における可動部は車体に設けられたドア又はウインドであり、画像制御手段はドア又はウインドの開閉動作に基づいて画像の表示形態を制御する。車両用表示装置は、複数の表示パネルを備え、画像制御手段は、ドア又はウインドが開閉動作されたときに、ドア又はウインドと重なる一の表示パネルと、当該ドア又はウインドに配設された他の表示パネルとの、両画像の表示形態を制御する。

　本開示の車両用表示装置は、車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルと、当該画像の表示を制御する表示制御手段とを備える。表示制御手段は、車両の周囲に存在して画像を視認する視認者と視認者の位置を検出する視認者検出手段と、視認者検出手段で検出した視認者の位置に応じて画像を制御する画像制御手段とを備える。画像制御手段は視認者の位置の変化に対応して画像の表示形態を制御する。

　本開示の好ましい形態として、視認者は歩行者を含み、視認者検出手段は歩行者と他車両を検出し、視認者検出手段が他車両を検出したとき前記視認者検出手段は他車両が自動運転車であるか非自動運転車であるかを判別する。また、画像制御手段は、車両に対する視認者の位置の変化に応じて画像の大きさ、表示位置、形状、明るさを制御する。

　本開示の車両用表示装置は、さらに車両の周囲の路面に画像を投影するプロジェクタを備え、画像制御手段は表示パネルでの画像の表示と、当該プロジェクタによる路面への画像の表示のそれぞれの表示形態を制御することが好ましい。

　本開示の車両表示装置は、車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも表示パネルを備えており、表示パネルは画像を低解像度で表示する低解像パネルと画像を高解像度で表示する高解像パネルを有し、少なくとも低解像パネルを含む表示領域に表示した画像は、高解像パネルの表示領域に表示される。

　本開示にかかる表示パネルは表示領域の一部に高解像パネルが配設され、それ以外の表示領域に低解像パネルが配設される。さらに、低解像パネルと高解像パネルの両表示領域にわたって表示した画像は、縮小されて高解像パネルの表示領域内に表示される。あるいは、低解像パネルの表示領域に表示した画像は、縮小されて高解像パネルの表示領域内に表示される。

　本開示の車両用表示装置は、車両に設けられたドアやウインド等の可動部が動作されたときに、その動作によって視認できなくなる一の表示パネルの画像を、他の表示パネルに表示する。これにより、視認者が確実に画像を視認することができ、視認効果の高い車両用表示装置が提供できる。

　本開示によれば、歩行者や他車両等の視認者は車両に対していずれの位置にいても、車両に設けられた表示パネルやプロジェクタに表示される画像を視認することが可能になり、表示効果の高い車両用表示装置が提供できる。

　本開示によれば、視認者に対して表示を行う一方で、低コストに構成することが可能な車両用表示装置が提供できる。

図１は実施形態１の自動運転車の概略外観図である。図２は実施形態１の表示制御手段のブロック図である。図３Ａは実施形態１の画像表示形態を説明する概略外観図である。図３Ｂは実施形態１の画像表示形態を説明する概略外観図である。図４は実施形態１の変形例を説明する概略外観図である。図５Ａは実施形態２の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図５Ｂは実施形態２の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図６Ａは実施形態３の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図６Ｂは実施形態３の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図７は実施形態３の変形例を説明する概略外観図である。図８Ａは実施形態４の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図８Ｂは実施形態４の自動運転車とその画像表示形態を説明する概略外観図である。図９は実施形態５の自動運転車の概略外観図である。図１０は実施形態５の表示制御手段のブロック図である。図１１Ａは実施形態５の表示制御形態１の概略外観図である。図１１Ｂは実施形態５の表示制御形態１の概略外観図である。図１１Ｃは実施形態５の表示制御形態１の概略外観図である。図１２Ａは実施形態５の表示制御形態２の概略外観図である。図１２Ｂは実施形態５の表示制御形態２の概略外観図である。図１２Ｃは実施形態５の表示制御形態２の概略外観図である。図１３Ａは実施形態５の表示制御形態３の概略外観図である。図１３Ｂは実施形態５の表示制御形態３の概略外観図である。図１４は実施形態６の自動運転車の概略外観図である。図１５Ａは実施形態６の表示制御形態４のその１の概略外観図である。図１５Ｂは実施形態６の表示制御形態４のその１の概略外観図である。図１６Ａは実施形態６の表示制御形態４のその２の概略外観図である。図１６Ｂは実施形態６の表示制御形態４のその２の概略外観図である。図１７は実施形態７の自動運転車の概略外観図である。図１８は実施形態７の表示制御手段のブロック構成図である。図１９Ａは実施形態７の表示制御形態１を説明する外観斜視図と一部拡大図である。図１９Ｂは実施形態７の表示制御形態１を説明する外観斜視図と一部拡大図である。図２０Ａは実施形態７の表示制御形態２を説明する外観斜視図と一部拡大図である。図２０Ｂは実施形態７の表示制御形態２を説明する外観斜視図と一部拡大図である。図２１Ａは実施形態７の変形例の表示制御形態を説明する外観斜視図である。図２１Ｂは実施形態７の変形例の表示制御形態を説明する外観斜視図である。図２２Ａは実施形態８の表示制御形態を説明する外観斜視図である。図２２Ｂは実施形態８の表示制御形態を説明する外観斜視図である。

（実施形態１）
　本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。図１は本開示の車両表示装置を適用した実施形態１の自動運転車１の概略外観図である。この自動運転車１は、低床の箱型の車体ボディ（車体）１０を有した四輪車であり、自動運転制御により自動走行される。車体ボディ１０の四隅に設けられているピラー１１は剛性のある材料で構成されている。車体ボディ１０の前後、左右の４つの側面のピラー１１を除いた部分は透明材料で形成され、あるいは内外が連通するように開口されている。前後，左右は便宜的に図１に矢印で示す方向である。

　車体ボディ１０の左側面には可動部として一対のスライド式のドア１２が配設されている。前側に配置されている前ドア１２Ｆは前方にスライドされたときに、前側に隣接する車体ボディ１０の左前側面１３Ｆを覆う状態に移動される。また、後側に配置されている後ドア１２Ｂは後方にスライドされたときに、後側に隣接する車体ボディ１０の左後側面１３Ｂを覆う状態に移動される。これらのドア１２Ｆ，１２Ｂはそれぞれスライドされたときに、車体ボディ１０の内部（車室）を外部に開口し、乗員が自動運転車１に乗降し、あるいは荷物の出し入れをできるようになっている。

　車体ボディ１０の４つの側面、すなわち前側面、後側面、左側面、右側面にそれぞれ表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）が配設されており、それぞれ所要の画像を表示するようになっている。特に左側面に配設された表示パネル２Ｌは複数の表示パネル２１，２２，２３，２４で構成されている。前ドア１２Ｆの外面に前ドア表示パネル２１が配設され、後ドア１２Ｂの外面に後ドア表示パネル２２が配設されている。車体ボディ１０の左前側面１３Ｆには左前表示パネル２３が配設され、同じく左後側面１３Ｂには左後表示パネル２４が配設されている。

　表示パネル２は、ＬＣＤ（液晶）パネルあるいは有機ＥＬパネルで構成されており、任意の画像を表示し、自動運転車１の外部から視認可能である。これら表示パネル２に画像が表示されていないときには表示パネル２は透明状態となるので、自動運転車１の車室内から外部を視認可能である。表示パネル２は必ずしも透明でなくてもよい。

　車体ボディ１０の上部にはセンサー３１が配設されている。車体ボディ１０のルーフ１４の上部にセンサー３１が配設されている。センサー３１はＣＣＤやＭＯＳ等の撮像素子を有する撮像カメラあるいはＬｉＤＡＲ（light detection and ranging）で構成されており、自動運転車１の周囲に存在する人間を検出することが可能である。センサー３１は自動運転制御のために装備されている他車両検出用や道路状況検出用のセンサーを利用して構成してもよい。

　図２は表示パネル２を制御する表示制御手段３のブロック構成図である。表示制御手段３は、センサー３１に加えて視認者検出部３２を備えている。視認者検出部３２は、センサー３１の出力に基づいて視認者、特に自動運転車１の左側に存在して、左側面の表示パネル２Ｌを視認する状態にある人間を検出し、かつ検出した人間の位置、特に自動運転車１に対する人間の位置を同時に検出する。

　表示制御手段３は、ドア１２の開閉状態を検出するドア検出部３６を備えている。ドア検出部３６は、ドア１２の開閉状態を検出する可動検出部として構成される。この開閉状態にはドア１２の開閉移動位置や開閉状態の情報が含まれる。

　表示制御手段３は、表示パネル２に表示する画像の表示形態を制御する画像制御部３３を備えている。画像制御部３３には基地局、他車両、インターネット等に無線接続される通信機３４が接続されており、当該通信機３４を介して表示画像にかかわるデータが入力され、入力されたデータに対応する画像が表示パネル２に表示される。画像制御部３３には入力部３５が接続されており、車両の乗員が入力部３５に入力したデータに対応する画像が表示パネル２に表示される。

　これらのデータに基づいて表示する画像は、宣伝用広告画像、道路標識等の標識画像、コミュニケーション用のメッセージ等の文字画像、記号等の画像である。画像は静止画あるいは動画のいずれであってもよい。画像はモノクロ画像やカラー画像であってもよい。

　画像制御部３３は、視認者検出部３２で検出した視認者と、ドア検出部３６で検出したドア開閉状態に基づいて、左側面の表示パネル２Ｌの表示制御を実行する。この表示制御として、検出した視認者の位置情報に基づいて、画像制御部３３は左側面の表示パネル２Ｌに表示する画像の表示形態を制御する。

　車両表示装置を備えた自動運転車１における表示パネル２への画像の表示形態の制御について説明する。図３Ａ及び図３Ｂは表示形態の制御を説明するための概略外観図であり、自動運転車１が駐車している状態を示す。図３Ａのように、視認者検出部３２は視認者（人間）Ｍを検出すると、視認者の位置情報を検出する。画像制御部３３は検出した視認者Ｍが存在する側の表示パネルに、通信機３４あるいは入力部３５からのデータに基づく所要の画像を表示する。この例では自動運転車１の左側に視認者Ｍが検出されたので、画像制御部３３は左側面の表示パネル２Ｌに画像を表示する。

　ドア検出部３６は自動運転車１のドア１２が閉じていることを検出したときには、画像制御部３３は左側面の表示パネル２Ｌの全面、すなわち表示パネル２１～２４に画像を表示する。図３Ａでは、表示パネル２１～２４それぞれに「ＡＢＣＤ」の画像を表示している。表示パネルに表示スペースの余裕がある場合には画像を拡大して表示することができ、遠くにいる視認者Ｍは画像を容易に確認することができる。

　一方、図３Ｂのように、自動運転車１のドア１２が開くと、ドア検出部３６はドア１２が開いたことを検出し、ドア検出部３６の検出出力に応じて画像制御部３３は左側面の表示パネル２Ｌの表示形態を変更する。すなわち、前ドア１２Ｆが前方にスライドして左前側面１３Ｆを覆う位置に移動され、後ドア１２Ｂが後方にスライドして左後側面１３Ｂを覆う位置に移動される。これにより、左前表示パネル２３は前ドア１２Ｆにより覆われ、左後表示パネル２４は後ドア１２Ｂにより覆われ、左前表示パネル２３と左後表示パネル２４にそれぞれ表示されていた画像が隠されてしまう。

　画像制御部３３は、左前表示パネル２３に表示されていた画像を前ドア表示パネル２１に表示する。この例では、左前表示パネル２３に表示されていた画像「Ａ」を前ドア表示パネル２１に表示されていた画像「Ｂ」と合せて、前ドア表示パネル２１に画像「ＡＢ」を表示する。左後表示パネル２４についても同様に、左後表示パネル２４に表示されていた画像「Ｄ」を後ドア表示パネル２２に表示されていた画像「Ｃ」と合せて、後ドア表示パネル２２に画像「ＣＤ」を表示する。

　前後の各ドア表示パネル２１，２２の表示面に表示スペースの余裕がないときには各画像を縮小して表示してもよい。画像を前後方向に移動させながら表示するスクロール表示してもよい。前後のドア１２Ｆ，１２Ｂのうち一方のドアのみが開いたときには、当該ドアに対応する表示パネル２１，２２の一方のみに画像制御を実行すればよい。例えば、前ドア１２Ｆのみが開いたときには、前ドア１２Ｆの前ドア表示パネル２１については画像の移動を行うが、後ドア１２Ｂの後ドア表示パネル２２については画像の表示状態を維持すればよい。

　このように、前後のドア１２を開いたときに、左側面の表示パネル２３，２４がドア１２によって覆い隠される状態となっても、隠される表示パネル２３，２４の画像をドア表示パネル２１，２２に移動させて表示することにより、視認者は画像を継続して視認することができる。これにより、表示パネル２Ｌにおける表示効果を高めることができる。

　図４は画像の表示制御形態の変形例を説明する概略外観図である。図４では、前ドア１２Ｆと後ドア１２Ｂがスライドして開いたときにそれぞれ左前表示パネル１３Ｆと左後表示パネル１３Ｂの内側に収納されるようになっている。そのため、各ドア１２Ｆ，１２Ｂが開いたときには前ドア表示パネル２１は左前表示パネル２３に、後ドア表示パネル２２は左後表示パネル２４にそれぞれ覆い隠されることになる。

　画像制御部３３は、前ドア表示パネル２１に表示されていた画像を左前表示パネル２３に表示する。この例では、前ドア表示パネル２１に表示されていた画像「Ｂ」を左前表示パネル２３に表示されていた画像「Ａ」と合せて、左前表示パネル２３に画像「ＡＢ」を表示する。後ドア表示パネル２２についても同様であり、後ドア表示パネル２２に表示されていた画像「Ｃ」を左後表示パネル２４に表示されていた画像「Ｄ」と合せて、左後表示パネル２４に画像「ＣＤ」を表示する。

　左前後の各表示パネル２３，２４の表示面に表示スペースの余裕がないときには、各画像を縮小して表示し、あるいはスクロール表示してもよい。また、前後のドア１２Ｆ，１２Ｂのうち一方のドアのみが開いたときには、当該ドアに対応する表示パネルの一方のみに画像制御を実行すればよい。

（実施形態２）
　図５Ａ及び図５Ｂは実施形態２の自動運転車の概略外観図である。図５Ａのように、この自動運転車１では車体ボディ１０の左側面には、それぞれヒンジ２０を支点に回動される一対の両開きのヒンジ式のドア１２が配設されている。前側に配置されている前ドア１２Ｆは前方に全開されたときに、前側に隣接する車体ボディ１０の左前側面１３Ｆを覆う状態となる。後側に配置されている後ドア１２Ｂは後方に全開されたときに、後側に隣接する左後側面１３Ｂを覆う状態となる。

　この左側面には、実施形態１と同様に、左側面の表示パネル２Ｌとして、前ドア１２Ｆの外面に前ドア表示パネル２１が配設され、後ドア１２Ｂの外面に後ドア表示パネル２２が配設されている。左前側面１３Ｆには左前表示パネル２３が配設され、左後側面１３Ｂには左後表示パネル２４が配設されている。図５Ａ及び図５Ｂでは前ドア１２Ｆと後ドア１２Ｂの内面にそれぞれ前ドア内表示パネル２１ａと後ドア内表示パネル２２ａが配設されている。

　実施形態２の自動運転車１における表示パネル２Ｌへの画像の表示形態の制御として、ドア１２が閉じているときには、前述した表示形態と同様に、画像制御部３３は左側面の表示パネル２Ｌの全面に画像を表示する。すなわち、前ドア表示パネル２１、後ドア表示パネル２２、左前表示パネル２３、左後表示パネル２４にそれぞれ画像を表示する。図５Ａ及び図５Ｂでは、例えば画像「ＡＢＣＤ」が表示されている。

　図５Ｂのように、自動運転車１のドア１２が開くと、図２に示したドア検出部３６はドア１２が開いたことを検出する。ドア１２が所定の角度以上開くまでは画像制御部３３は画像の表示を維持する。例えば、図５Ｂでは、前ドア１２Ｆは開き角度が小さいため、前ドア表示パネル２１に画像「Ｂ」を表示している。これにより、視認者は左前表示パネル２３の画像「Ａ」と、前ドア表示パネル２１の画像「Ｂ」を視認することができる。

　一方、ドアが所定の角度以上開くと、画像の表示の変更制御が実行される。例えば、図５Ｂでは、後ドア１２Ｂの開き角度が大きくなり、後ドア１２Ｂの内面が外側に向けられる状態になる。ドア検出部３６がこの状態を検出すると、画像制御部３３は、後ドア表示パネル２２に表示されていた画像を後ドア内表示パネル２２ａに表示する。この例では、後ドア表示パネル２２に表示されていた画像「Ｃ」を後ドア内表示パネル２２ａに表示する。これにより、視認者は後ドア１２Ｂの画像を視認できる。

　後ドア１２Ｂが全開に近い状態になると、左後表示パネル２４は後ドア１２Ｂにより覆われる。この場合画像制御部３３は、左後表示パネル２４に表示されていた画像を後ドア内表示パネル２２ａに表示する。画像制御部３３は、左後表示パネル２４に表示されていた画像「Ｄ」と後ドア表示パネル２２に表示されていた画像「Ｃ」を合せて後ドア内表示パネル２２ａに画像「ＣＤ」を表示する。

　このように、ヒンジ式の前後のドア１２Ｆ，１２Ｂを開いたときに、各ドア１２Ｆ，１２Ｂの表示パネル２１，２２が裏向きの状態となって視認できなくなっても、また各ドア１２Ｆ，１２Ｂによって左側面の表示パネル２３，２４が覆い隠されて視認できなくなっても、本実施形態は表示パネル２１，２２の画像をドア内表示パネル２１ａ，２２ａに表示し、視認者は画像を視認して情報を得ることができる。これにより、表示パネルにおける表示効果を高めることができる。

　この実施形態２では、ドア１２（前ドア１２Ｆと後ドア１２Ｂ）が開く角度を任意に制御するドア制御部を設けてもよい。視認者検出部３２が視認者の位置を検出したときに、ドア制御部がドア１２の外面のドア表示パネル２１，２２あるいはドア内面のドア内表示パネル２１ａ，２２ａのいずれかを検出した視認者の正面に向くようにドア１２の角度を制御する。本実施形態はドア１２の表示パネル２１，２１ａ，２２，２２ａを視認者の正面に向けた状態で表示パネルに画像を表示し、視認者は画像を状態で視認することができ、表示効果をさらに高めることができる。

（実施形態３）
　図６Ａ及び図６Ｂは実施形態３の自動運転車の概略外観図である。図６Ａのように、自動運転車１は車体ボディ１０の左側面には、上下にスライドして開閉するスライド式のドア１２が配設されている。すなわち、ドア１２は、車体ボディ１０に対してスライドされる上ドア１２Ｕと、この上ドア１２Ｕに対してスライドされる下ドア１２Ｄとで構成されている。これらドア１２Ｕ，１２Ｄがルーフ１４の上方位置にまで移動されることにより、車体ボディ１０の開口を開くように構成されている。下ドア１２Ｄは上ドア１２Ｕの前面側に位置される。

　各ドア１２Ｕ，１２Ｄの外面には、それぞれドア表示パネル２５，２６が配設されている。なお、実施形態１，２と同様に、これらドア１２Ｕ，１２Ｄを前後に挟む車体ボディ１０の左前側面には左前表示パネル２３が、左後側面には左後表示パネル２４が配設されている。

　実施形態３の自動運転車１における表示パネルの画像の表示形態の制御として、ドア検出部３６はドア１２が閉じていることを検出したときには、画像制御部３３は、上下のドア１２Ｕ，１２Ｄの各ドア表示パネル２５，２６に画像「Ｂ」，「Ｃ」を表示し、左前表示パネル２３、左後表示パネル２４にそれぞれ画像「Ａ」，「Ｄ」を表示する。図６Ａ及び図６Ｂでは、例えば画像「ＡＢＣＤ」を表示している。

　図６Ｂのように、上ドア１２Ｕと下ドア１２Ｄが上方向にスライドされてルーフ１４上にまで移動され、ドア１２が開いた状態になるとドア検出部３６はドア１２が開いたことを検出する。ドア検出部３６の検出出力に応じて画像制御部３３は左前表示パネル２３と左後表示パネル２４に表示されていた画像「Ａ」と「Ｄ」はそのままの状態に維持する。ドア表示パネル２５，２６に表示されていた画像「Ｂ」，「Ｃ」を、前側にあるドア表示パネル２６に並べてそれぞれ表示する。これにより、視認者はドア表示パネルの画像を容易に視認することができ、表示パネルにおける視認者に対する表示効果を高めることができる。

　図７の概略外観図に示すように、ドア１２が開いたときには、ドア表示パネル２５，２６の画像「Ｂ」，「Ｃ」を画像「Ａ」と「Ｄ」とともに左前表示パネル２３と左後表示パネル２４にそれぞれ表示してもよい。このような画像の表示制御を行ったときには、上動されたドア表示パネル２６に別の画像「ＥＦＧＨ」を表示させることもできる。画像「ＥＦＧＨ」は、例えば自動運転車が行う役務の看板、広告、宣伝等の画像を表示してもよい。あるいは画像「ＥＦＧＨ」は、道路標識やその他の標識の画像を表示してもよい。このようにすることで、ドア表示パネルの有効利用を図り、表示パネルにおける視認者に対する表示効果を高めることができる。

（実施形態４）
　図８Ａ及び図８Ｂは実施形態４の自動運転車１を右側面側から見た概略外観図である。この自動運転車１では車体ボディ１０の右側面には水平方向に並んで配設された４枚のウインド１５が配設されている。左右に配設された固定ウインド１５Ｃ，１５Ｄと、それぞれ左右にスライドされるスライドウインド１５Ａ，１５Ｂで構成されている。ウインド１５Ａ～１５Ｄの外表面には、右側面表示パネル２Ｒを構成している表示パネル２１’～２４’がそれぞれ配設されている。

　表示パネル２１’～２４’には画像制御部３３により所要の画像が表示される。図８Ａ及び図８Ｂでは、表示パネル２１’～２４’に左から画像「ＡＢＣＤ」が表示されている。自動運転車１の停車時あるいは走行時にスライドウインド１５Ａ，１５Ｂが開かれてそれぞれが固定ウインド１５Ｃ，１５Ｄの前側に重ねられると、固定ウインド１５Ｃ，１５Ｄの表示パネル２３’，２４’に表示されている画像「Ｃ」，「Ｄ」が視認できなくなる。

　画像制御部３３は重ねられて視認できなくなった表示パネル２３’，２４’の画像「Ｃ」，「Ｄ」をスライドウインド１５Ａ，１５Ｂの表示パネル２１’，２２’に表示する。これにより、表示パネル２１’，２２’に画像「ＡＢＣＤ」が表示され、視認者はウインドが開かれる前に表示されていた画像を全て視認することができ、表示パネルにおける視認者に対する表示効果を高めることができる。

　なお、図２に示した表示制御手段３にウインド検出部が設けられてもよい。ウインド検出部によってウインド１５の開閉状態が検出され、ウインド検出部の検出出力に基づいてウインド１５の表示パネル２１’～２４’に表示する画像の制御が行われてもよい。

　以上説明した実施形態１～４では、自動運転車の車体ボディの外面に配設された表示パネルについての画像の表示形態について説明した。車体ボディの内面、すなわち車室の内側面に表示パネルを配設し、車室内において表示パネルに表示された画像を視認者が視認するようにした自動運転車についても、本開示を同様に適用することができる。

　例えば、ドアや車室の内壁面にそれぞれ表示パネルが配設された場合に、ドアが開かれたときには、ドアが重なる表示パネルに表示していた画像を、車室内の視認者が視認することができなくなる。隠された表示パネルに表示していた画像を他方の表示パネルに表示することにより、視認者が画像を視認することが可能になる。

　実施形態４においても、ウインドの内面にそれぞれ表示パネルが配設された場合に、ウインドが開かれたときには、各ウインドが互いに重なるため、いずれか一方のウインドの表示パネルが他方により覆い隠され、車室内の視認者が画像を視認することができなくなる。隠された表示パネルに表示していた画像を他方の表示パネルに表示することにより、視認者が画像を視認することが可能になる。

　なお、実施形態２～４においても、覆い隠される表示パネルの画像を他の表示パネルに表示する際に、当該表示パネルにこれらの画像を表示する表示スペースの余裕がないときには、実施形態１と同様に画像を縮小して表示し、あるいは、スクロールして表示してもよい。

　実施形態の自動運転車は公共の乗り物、例えばバスに適用することも可能である。バスが走行しているときに表示している画像に対して、バスが停留所に停車して乗客が乗降するためにドアが開閉したときに、本開示における表示制御が適用される。

　本開示の画像制御部３３は、画像の表示位置を制御するだけではなく、画像の大きさを制御し、画像の形状さらには明るさ（明度、彩度、コントラストを含む）を変化制御してもよい。表示する画像は動画であってもよい。

　実施形態においては、視認者として人間、特に歩行者を対象とした例を示した。本開示における視認者は、他車両に乗車している人間を対象としてもよい。また、実施形態１～４では視認者を検出したときに画像を表示する形態について説明した。しかし視認者の存在を検出することなく画像の表示制御を行うことも可能である。ドアやウインドの開閉を検出することなく、自動運転車の乗員や外部の人間が入力部を通して手動制御により画像の表示制御を行うように構成してもよい。例えば、スマホ等の携帯通信機で表示制御を行うようにしてもよい。

（実施形態５）
　図９は本開示の車両表示装置を適用した実施形態５の自動運転車の概略外観図である。

　車体ボディ１０の４つの側面のうち、左側面には一対のスライドドア１２が配設されている。スライドドア１２も透明材料で形成され、あるいは内外が連通する枠状に形成されることが好ましい。
　車体ボディ１０の前側面と後側面、及び左側面と右側面に表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）が配設されている。特に、左側面は、一対のスライドドア１２と、このスライドドア１２以外の左側面の部位にもそれぞれ表示パネル２（２Ｌ）が配設されている。車体ボディ１０の４つの側面が全て表示パネル２として構成されている。

　車体ボディ１０のルーフ１４上にはセンサー３１が配設されている。センサー３１は、自動運転車１の前後ないし左右の周囲に存在する歩行者や他車両を検出することが可能である。センサー３１は自動運転制御のために装備されている他車両検出用や道路状況検出用のセンサーを利用して構成してもよい。

　図１０は表示パネル２を制御する表示制御手段３のブロック構成図である。この表示制御手段３は、センサー３１に加えて視認者検出部３２と画像制御部３３を備えている。視認者検出部３２は、センサー３１の出力に基づいて視認者、すなわち車両の表示パネル２を視認する歩行者や他車両を検出する。センサー３１と視認者検出部３２とで本開示にかかる視認者検出手段が構成される。検出対象の他車両では、当該他車両の乗員が視認者になる。視認者検出部３２は、他車両を検出した場合には、当該他車両が自動運転車であるか、それとも非自動運転車（手動運転車）であるかを判別する。さらに、検出した歩行者と他車両の位置情報、すなわち自動運転車１に対して歩行者や他車両が存在する方向と距離、例えば、歩行者や他車両が車両の前後左右のいずれの方向の位置および距離の位置に存在しているかを検出する。

　位置情報の検出に際しては、自動運転車（以下、自車両と称する）１の移動速度と移動方向を検出して参照することにより、検出した歩行者と他車両の、自車両に対する相対移動速度と移動方向を検出するようにしてもよい。この検出により視認者検出部３２は、歩行者と他車両が道路上で静止しているか、あるいは移動しているかが判別でき、かつ移動している場合にはその方向や速度を判別することも可能になる。

　画像制御部３３は、視認者検出部３２において検出した視認者の位置に基づいて表示パネル２に表示する画像の表示形態を制御する。

　画像制御部３３は、視認者検出部３２で検出した視認者が表示パネル２に表示された画像を視認し易くするための表示制御を実行する。この表示制御として、検出した視認者の方向や距離等の位置情報に基づいて、画像制御部３３は表示パネル２に表示する画像の形態、すなわち表示パネル２における画像の表示位置、大きさ、形状、明るさを制御する。

　車両表示装置を備えた自動運転車（自車両）１は、車体ボディ１０の前後、左右の各側面に配設された表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）に所要の画像を表示することができる。図９には、左側面の表示パネルに「ＡＢＣＤ」の文字画像（以下、単に画像と称する）を表示している。自動運転車（自車両）１は、表示した画像の形態を各表示パネル２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒのそれぞれにおいて、あるいは各表示パネル２Ｆ，２Ｒ，２Ｌ，２Ｒ間にわたって制御する。以下に、表示パネルにおける画像の表示の代表的な形態を説明する。

（実施形態５の表示制御形態１）
　図１１Ａ、図１１Ｂ及び図１１Ｃは表示制御形態１の概略外観図である。図１１Ａ、図１１Ｂ及び図１１Ｃにおいて、自動運転車（自車両）１は駐車ないし停車しており、自車両１の近傍に視認者としての歩行者Ｍがいる。自車両１の視認者検出部３２は歩行者Ｍを検出すると、当該歩行者Ｍの位置情報を検出する。一方、画像制御部３３は通信機３４あるいは入力部３５からのデータにより表示パネル２に所要の画像を表示する。そして、画像制御部３３は、次のように歩行者Ｍにとって表示パネル２に表示される画像が最も視認され易い形態で表示するように画像を制御する。

　図１１Ａにおいて、視認者検出部３２は、歩行者Ｍが自車両１の左側面の方向で、自車両１との距離Ｌｘを検出し、距離Ｌｘを基準距離と比較する。図１１Ａでは視認者検出部３２は、検出した距離Ｌｘは第１基準距離Ｌ１以上であると検出する。視認者検出部３２の信号に応じて画像制御部３３は歩行者Ｍが存在している側の左側面の表示パネル２Ｌ、例えばスライドドア１２を含んで４つに分割されている表示パネル２Ｌに、画像「ＡＢＣＤ」を表示する。このとき、距離Ｌｘが第１基準距離Ｌ１以上であることに鑑み、画像「ＡＢＣＤ」を可及的に大きな画像を表示する。これにより、自車両１から第１基準距離Ｌ１よりも遠い位置にいる歩行者Ｍは当該画像を視認しかつ確認することができる。

　図１１Ｂにおいては、視認者検出部３２は、歩行者Ｍが自車両１の左側面に近づいてきたことを検出する。距離Ｌｘが第１基準距離Ｌ１よりも短く、かつ第１基準距離Ｌ１より小さい第２基準距離Ｌ２以上であるときには、画像制御部３３は表示する画像「ＡＢＣＤ」の大きさを縮小する。このとき、距離Ｌｘに存在する歩行者Ｍが視認可能な大きさに画像を縮小する。自車両１は、縮小により生じた表示パネル２Ｌの空き表示スペースに別の画像、例えば「ａｂｃｄ」を表示してもよく、表示する情報を増やすことができる。

　図１１Ｃにおいては、視認者検出部３２は、歩行者Ｍが自車両１に極めて近い位置に移動してきたことを検出する。距離Ｌｘが第２基準距離Ｌ２よりも短いときには、画像制御部３３は画像「ＡＢＣＤ」をさらに縮小する。これにより、表示パネル２Ｌの空き表示スペースが拡大され、自車両１はさらに別の画像、例えば「ｅｆｇｈ」を表示することにより、表示する情報をさらに増やすことができる。

　このように、自車両１と視認者Ｍとの距離の違いに応じて表示パネル２Ｌに表示する画像の大きさを制御することにより、歩行者Ｍは確実に画像を視認することができる。画像の大きさの制御に伴って空き表示スペースに他の画像を表示することが可能になり、表示する情報が増大できる。これにより、表示パネルにおける表示効果を高めることができる。

　この例の自車両１は、距離Ｌｘを第１基準距離Ｌ１と第２基準距離Ｌ２を用いて画像の大きさを制御した。しかし基準距離の数を第１ないし第ｎと増やすことにより（ｎは３以上の自然数）、自車両１は画像の大きさをより細かく制御できる。自車両１は、距離Ｌｘを基準距離と比較することなく、距離の絶対値の変化に応じて画像の大きさを無段階に制御するようにしてもよい。

　図１１Ａや図１１Ｂにおいて、画像を大きくしたために全ての画像を表示パネル２Ｌに表示できなくなる場合には、例えば、自車両１は画像を表示パネル２Ｌの左側から右側にスクロールしながら表示するようにしてもよい。自車両１は、歩行者Ｍが近づくのにしたがって文字の大きさを徐々に小さくし、最終的にスクロールを停止して表示パネル２Ｌに静止した状態で画像を表示するようにしてもよい。

（実施形態５の表示制御形態２）
　図１２Ａ、図１２Ｂ及び図１２Ｃは表示制御形態２の概略外観図である。図１２Ａにおいて、視認者検出部３２は、歩行者Ｍが自車両１の左側面の方向に居ることを検出する。視認者検出部３２は、左側面の表示パネル２Ｌの表示面の水平方向の中央位置を基準位置とし、歩行者Ｍがこの基準位置に対して自車両１の前後方向のいずれの距離Ｗｘの位置にいるかを検出する。図１２Ａにおいて視認者検出部３２は、距離Ｗｘに基づいて歩行者Ｍが基準位置よりも自車両１の後側にいることを検出する。画像制御部３３は、歩行者Ｍが存在する側の左側面の表示パネル２Ｌの、特に基準位置よりも後側の部分に画像「ＡＢＣＤ」を所定の大きさの文字で表示する。これにより、表示パネル２の歩行者Ｍに近い部位に画像が表示され、歩行者Ｍはこの画像を視認することができる。

　図１２Ｂのように、視認者検出部３２が、距離Ｗｘに基づいて歩行者Ｍが基準位置よりも自車両１の前側の位置に移動し、あるいはこの位置にいることを検出したときには、画像制御部３３は、左側面の表示パネル２Ｌの基準位置よりも前側の部分に画像「ＡＢＣＤ」を移動し、あるいは切り替えて表示する。これにより、画像は歩行者Ｍの移動に伴って後側から前側に移動され、歩行者Ｍは画像を視認することができる。

　図１２Ｃのように、視認者検出部３２が、距離Ｗｘに基づいて歩行者Ｍが基準位置よりも前側で、自車両１の前側面よりもさらに前側に移動し、あるいはこの位置にいることを検出したときには、画像制御部３３は、画像「ＡＢＣＤ」を分割して表示する。すなわち画像制御部３３は、先端側の画像「ＡＢ」を前側面の表示パネル２Ｆに表示し、後端側の画像「ＣＤ」を左側面の表示パネル２Ｌに表示する。歩行者Ｍは前側面と左側面の各表示パネル２Ｆ，２Ｌの両方を同時に視認することにより「ＡＢＣＤ」の画像を視認することができる。

　さらに、歩行者Ｍが自車両１の殆ど前方の位置に移動したことを視認者検出部３２が検出したときには、画像制御部３３は画像「ＡＢＣＤ」を全て前側面の表示パネル２Ｆに表示する。歩行者Ｍは前側面の表示パネル２Ｆのみを視認するだけで、画像「ＡＢＣＤ」が視認できる。この場合、表示パネル２Ｆに全ての画像が表示できない場合には、表示制御形態１と同様に画像を縮小表示するようにしてもよい。あるいはスクロールにより表示してもよい。

　図１２Ａから図１２Ｂのように状態が変化する場合において、画像制御部３３は表示する画像「ＡＢＣＤ」を歩行者Ｍの移動に伴って連続的に移動させ、常に画像が歩行者Ｍの直近位置に表示されるようにしてもよい。これは、図１２Ｂから図１２Ｃのように状態が変化する場合についても同様である。

　このように、自車両１に対する歩行者Ｍの前後方向の位置の変化に応じて表示パネル２に表示する画像の表示位置を制御することにより、歩行者Ｍは確実に表示パネル２に表示された画像を視認することができ、表示パネル２における表示効果を高めることができる。

（実施形態５の表示制御形態３）
　図１３Ａ及び図１３Ｂは表示制御形態３の概略外観図である。図１３Ａにおいては、視認者検出部３２が、歩行者Ｍが自車両１の左斜め後方の位置に居ることを検出する。視認者検出部３２は、左側面の表示パネル２Ｌの法線（基準位置での法線）に対する歩行者Ｍの角度θｘを検出する。この角度θｘが所定の基準角度θ１よりも大きいときには、画像制御部３３は歩行者Ｍが存在する側の左側面の表示パネル２Ｌに画像「ＡＢＣＤ」を通常よりも横長の形状（文字画像の場合にはフォント）で表示する。

　すなわち画像制御部３３は、各文字画像の通常の縦横寸法比に比べ各文字画像の横方向の寸法を大きくした画像を表示する。この場合画像制御部３３は、表示パネル２Ｌの水平方向の表示面に納まるように各画像の縦寸法を調整する。歩行者Ｍは表示パネル２Ｌの水平斜め方向から画像を視認するとき画像の見かけ上の横寸法が短くなるが、このように画像を横長に表示することにより、歩行者Ｍは通常に近い縦横比率の画像として視認することができる。

　図１３Ｂのように、視認者検出部３２が、角度θｘが基準角度θ１よりも小さくなり、歩行者Ｍが自車両１の左側面の正面に近い位置まで移動してきたことを検出したときには、画像制御部３３は画像の横寸法を徐々に小さくした形状で表示する。これにより、画像が文字画像の場合には画像制御部３３は、その縦横寸法比が通常のフォントに近い文字画像として、ないしは通常の縦横寸法比の画像として表示することが可能になる。このように，歩行者Ｍが表示パネル２Ｌの正面位置にまで移動するのにしたがって、画像制御部３３がフォントの横縦寸法の比率を変化させることにより、歩行者Ｍは常に、通常の形状の画像、文字画像の場合には通常のフォントないしこれに近い形状の文字画像を視認することが可能になる。

　なお、表示制御形態３においても、画像制御部３３は歩行者Ｍの移動に伴って縦横寸法比を連続的に変化させてもよい。また、表示制御形態３では、文字以外の画像を表示する場合についても画像制御部３３は同様の表示制御を行うことができる。このように、自車両１に対する歩行者Ｍの位置や方向の変化に応じて表示パネル２に表示する画像の形状を制御することにより、歩行者Ｍは画像を通常の形状として視認することができるので、表示パネル２における表示効果を高めることができる。

　以上説明した表示制御形態１～３は、自車両（自動運転車）１と、歩行者（視認者）Ｍとの相対位置の変化に基づく表示制御の例である。歩行者Ｍが道路上で静止しており、自車両１が移動して、歩行者Ｍに対する自車両１の相対位置や相対方向が変化する場合においても自車両１は同様な表示制御が実現できる。特に、表示制御形態２，３は、自車両１が前後方向に走行して歩行者Ｍに対して相対移動する際に有効である。

　表示制御形態１の具体例として、自動運転車が乗用バスに適用された場合が考えられる。バスが停留所から離れた位置を走行しているときにはバスの行き先を示す画像を前側面の表示パネルに大きく表示し、停留所にいる乗客が視認し易くする。バスが停留所に近づいたときには画像を徐々に小さくし、空き表示スペースに付帯的な情報、例えば「急行」等の画像を表示する。これにより、停留所にいる乗客が表示パネルを視認し易くなる。

　同じくバスに適用された場合の表示制御形態２の具体例として、バスが停留所に停車する際には、行き先を示す画像を、バスの前側面の表示パネルから乗客の目前に位置するバスの左側面の表示パネルに移動させる。完全にバスが停車したときには、乗降口の近傍、例えばスライドドア１２の表示パネルに画像を表示させる。バスが停車する直前に画像を左側面の表示パネルに表示してもよく、このときには乗客は当該表示パネルを斜め方向から視認するため、表示制御形態３のように、画像を横長に表示するようにしてもよい。

　表示制御形態１～３は、自車両１と歩行者Ｍが共に移動している場合にも適用できる。すなわち、自車両１と歩行者Ｍの相対位置関係が表示制御形態１～３と同様の場合には、表示する画像の大きさ、表示位置、形状を制御することにより、歩行者において確実な視認が可能となり、表示パネルにおける表示効果を高めることができる。

　以上表示制御形態１～３においては、表示する画像の大きさ、表示位置、形状を制御するのと同時に、画像の明るさ（明度、彩度、コントラストを含む）を変化させてもよい。特に、表示制御形態１において、自車両と歩行者との相対距離が長い場合には画像の大きさの制御とともに、明度やコントラストを高くなるように制御し、相対距離が短くなるのにしたがって明度やコントラストを低下させるように制御してもよい。あるいは、画像の大きさに代えて明度やコントラストのみを制御するようにしてもよい。

　表示制御形態１～３は、視認者が他車両の乗員である場合も同様である。自車両が停車していて他車両が近づいて来る場合、あるいは他車両が停車していて自車両が走行している場合において、他車両の乗員に対する自車両の表示パネルの画像表示を各表示制御形態１～３に基づいて制御することにより表示パネルの表示効果を高めることができる。

　自車両１と他車両が同一方向に走行している場合に、他車両が自車両１の後方を走行しているときには自車両１の後側面の表示パネル２Ｂに画像の表示を行い、他車両が自車両１を追い抜くときには、当該画像の表示位置を後側面の表示パネル２Ｂから右側面の表示パネル２Ｒに移動させる。自車両１が他車両の後方を走行しているときには自車両１の前側面の表示パネル２Ｆに画像の表示を行い、自車両１が他車両を追い抜くときには、当該画像の表示位置を前側面の表示パネル２Ｆから左側面の表示パネル２Ｌに移動させる。

　このように表示位置を変化制御することにより、他車両の乗員は自車両１との相対位置関係の変化にかかわらず常に自車両１の表示パネル２に表示された画像を視認することができる。この場合に、自車両１と他車両の相対距離や相対位置の変化に基づいて画像の大きさ、形状、明るさを制御することにより、表示効果を高めることができる。

（実施形態６）
　図１４は実施形態６の自動運転車１Ａの概略外観図である。実施形態５の自動運転車１と等価な部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。この実施形態６では、自動運転車１Ａの前側面と左右の側面にそれぞれプロジェクタ４Ｆ，４Ｒ，４Ｌが配設されており、自動運転車（以下、自車両）１Ａの前方の道路面、あるいは左右側方の道路面にそれぞれ所要の画像を投影することが可能である。すなわち、実施形態６では、車体ボディ１０の側面に配設されている表示パネル２に加えて、当該プロジェクタ４Ｆ，４Ｒ，４Ｌを車両表示装置の一部として備える構成とされている。

　図１０に二点鎖線で示したように、画像制御部３３は車体ボディ１０に配設された表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）の画像表示を制御するとともに、プロジェクタ４Ｆ，４Ｒ，４Ｌで路面に投影する画像の大きさ、投影位置、形状、明るさを制御する。このプロジェクタの投影画像の制御は、他車両が非自動運転車の場合に有効であり、例えば、次の表示制御形態４が実行される。

（実施形態６の表示制御形態４）
　実施形態５においては、自車両１Ａと他車両の相対位置が変化する場合、例えば自車両１Ａと他車両の一方が他方を追い抜く場合には、表示制御形態２を適用して自車両の前側面あるいは後側面の表示パネル２Ｆ，２Ｂから右側面又は左側面の表示パネル２Ｒ，２Ｌに画像の表示位置を移動する制御が行われる。他車両が自動運転車であれば、他車両の乗員が自車両１Ａの左右の側面の表示パネル２Ｒ，２Ｌを視認することは問題がない。しかし他車両が非自動運転車の場合には他車両の運転者が自車両１Ａの右側面又は左側面の表示パネル２Ｒ，２Ｌ視認することは脇見運転となるため、安全運転の面から好ましくない。

　そこで、視認者検出部３２は他車両が非自動運転車であることを検出した場合には、画像制御部３３は表示しようとする画像をプロジェクタ４Ｆ，４Ｒ，４Ｌにより投影する。例えば、他車両１Ｂが自車両１Ａの後方を走行しているときには、自車両１Ａの後側面の表示パネル２Ｂに画像の表示を行う。図１５Ａのように、他車両１Ｂが自車両１Ａの右後部に接近してきたときには、自車両１Ａの右側のプロジェクタ４Ｒにより他車両１Ｂの直前となる自車両１Ａの右方の路面に画像Ｐを投影表示する。

　図１５Ｂのように、他車両１Ｂが自車両１Ａの右側に並んだ状態のときには、画像制御部３３は前側のプロジェクタ４Ｆにより自車両１Ａの前方の路面に画像Ｐを投影表示する。他車両１Ｂが自車両１Ａの追い抜きを完了したときには、自車両１Ａの前側面の表示パネル２Ｆに画像を投影表示させてもよい。他車両１Ｂの運転者はバックミラーでこの画像を視認することができる。

　このように、画像の表示位置を自車両１Ａの後側面の表示パネル２Ｂから、右側のプロジェクタ４Ｒによる右側の路面に変化させ、さらに前側のプロジェクタ４Ｆによる前方の路面に変化させる。これにより、他車両１Ｂの運転者は視線を左に向けることなく、視線を前方に保持したまま自車両１Ａにより表示される画像を視認することができ安全走行が確保される。

　自車両１Ａが他車両１Ｂの後方を走行しているときには、画像制御部３３は自車両１Ａの前側面の表示パネル２Ｆに画像の表示を行う。他車両１Ｂの運転者はバックミラーでこの画像を視認することができる。自車両１Ａが他車両１Ｂを追い抜くときには、図１６Ａのように、画像制御部３３は画像の表示を表示パネルからプロジェクタに切り替え、自車両１Ａの前側のプロジェクタ４Ｆにより画像Ｐを他車両１Ｂの右前方となる自車両１Ａの遠方直前の路面に投影表示する。

　図１６Ｂのように、自車両１Ａが他車両１Ｂを追い抜いた状態のときには、画像制御部３３は、画像の表示を前側のプロジェクタ４Ｆから左側のプロジェクタ４Ｌに切り替え、画像Ｐを他車両１Ｂの直前の路面に投影表示する。なお、追い抜きが完了したときには、自車両１Ａの後側面の表示パネル２Ｂに画像を表示させるようにしてもよい。

　このように、表示パネル２での画像表示と、プロジェクタ４による路面への画像表示と表示位置を変化させることにより、他車両１Ｂの運転者は視線を右に向けて自車両１Ａの左側面の表示パネル２Ｌの画像を視認することなく、視線を前方に保持したまま投影された画像を視認することができ安全走行が確保される。

　表示制御形態４においても、自車両１Ａと他車両（非自動運転車）１Ｂとの相対位置関係に基づいて、プロジェクタ４Ｆ，４Ｒ，４Ｌで表示する画像の大きさ、表示位置、形状、明るさを制御することにより、他車両１Ｂの乗員（運転者）の視認を確実なものとし、表示効果を高めることができる。

　実施形態６は、複数のプロジェクタを備える形態である。加えて、１つのプロジェクタにより路面に投影する画像の投影位置を移動して、自車両の左右領域から前方領域、ないしは後方領域を選択して画像を表示してもよい。このようにすることで、実施形態５の自動運転車の各側面の表示パネルに表示する画像をプロジェクタにより表示する画像に置き換えた表示制御が実現できる。

　表示制御形態４については、他車両が自動運転車の場合についても同様にしてプロジェクタによる路面への画像表示が可能である。特に、他車両の車室内の前席に着座している乗員のように、自車両（本開示にかかる表示装置を備えた自動運転車）の側面の表示パネルを視認することが難しい乗員でも、プロジェクタで路面に投影された画像を視認することが可能になる。

　本開示においては、車体ボディ１０のルーフの上面に１つのセンサーを配設し、このセンサーが周囲３６０°に存在する視認者（歩行者、他車両）を検出してもよい。

（実施形態７）
　図１７は本開示の車両表示装置を適用した実施形態７の自動運転車の概略外観図である。

　車体ボディ１０の前側面と後側面、及び左側面と右側面に表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）が配設されている。特に、左側面の表示パネル２Ｌは、２つのスライドドア１２のそれぞれに配設された２つの表示パネル２１，２２と、スライドドアを挟む両側の側面１３に配設された２つの表示パネル２３，２４とを合せた４つの表示パネルで構成されている。

　左側面の４つの表示パネル２１～２４は、画素（ピクセル）が所定の密度に配列された表示パネルで構成されている。スライドドア１２に配設された２つの表示パネル２１，２２は、その上下方向の中央領域に画素が高密度に配列された表示パネル２１１，２２１で構成されている。以降においては、画素が所定の密度に配列された表示パネルを低解像パネルと称し、低解像パネルと比較して画素が高密度に配列された表示パネルを高解像パネルと称する。

　２つのスライドドア１２の表示パネル２１，２２は、それぞれの表示領域のうち上下方向の中央領域の一部が高解像パネル２１１，２２１で構成されている。高解像パネル２１１，２２１は地面から０．７～１．７ｍ程度の平均的な人間の目の高さ位置に対応する領域である。スライドドア１２の２つの表示パネル２１，２２は、上下方向の中央領域が高解像パネル２１１，２２１で構成され、これを上下に挟む上下の各表示領域が低解像パネル２１２，２２２で構成されている。

　車体ボディ１０のルーフ１４の上部にはセンサー３１が配設されている。センサー３１は、自動運転車１の周囲、特に左側領域に存在している視認者、すなわち歩行者等の人間を検出する。

　図１８は表示パネル２を制御する表示制御手段３のブロック構成図である。表示制御手段３は、センサー３１に加えて視認者検出部３２と画像制御部３３を備えている。視認者検出部３２は、センサー３１の出力に基づいて自動運転車１の表示パネル２、特に左側面の表示パネル２Ｌを視認する視認者を検出する。センサー３１と視認者検出部３２とで視認者検出手段が構成される。視認者検出部３２は、さらに検出した視認者の位置情報、特に視認者が自動運転車１の左側面に対して近傍にいるか、離れた遠方の位置にいるかを検出する。

　視認者の位置情報の検出に際しては、視認者検出部３２は例えば、自動運転車と視認者との距離を検出し、この距離が所定の距離よりも大きいか否かを判定することにより視認者が遠方または近傍にいるかを検出する。視認者検出部３２は単純に検出した距離を位置情報として検出してもよい。

　車両表示装置を備えた自動運転車１では、画像制御部３３は入力されたデータに基づいて、車体ボディ１０の前後、左右の各側面に配設された表示パネル２（２Ｆ，２Ｂ，２Ｌ，２Ｒ）に所要の画像を表示する。その上で、左側面の表示パネル２Ｌについては、視認者検出部３２において検出した視認者の位置情報に基づいて画像の表示形態を制御する。

　図１９Ａ、図１９Ｂ、図２０Ａ及び図２０Ｂは表示制御形態の概略外観図である。図１９Ａ、図１９Ｂ、図２０Ａ及び図２０Ｂにおいて、自動運転車１は駐車ないし停車しており、自動運転車１の左側に視認者Ｍがいる。視認者検出部３２が視認者Ｍを検出すると、視認者Ｍと自動運転車１との距離Ｌｘを検出し、距離Ｌｘを基準距離と比較する。距離が基準距離以上のときには遠方にいると判定し、基準距離よりも短いときには近傍にいると判定する。

　画像制御部３３は通信機３４あるいは入力部３５からのデータにより表示パネル２に所要の画像を表示する。図１９Ａのように、視認者検出部３２において視認者Ｍが遠方にいると判定されたときには、画像制御部３３は左側面の４つの表示パネル２１～２４の表示領域の全域に画像を表示する。図１９Ａでは、画像「ＡＢＣＤ」の４つの画像をそれぞれ各表示パネル２１～２４に表示しており、画像を可及的に大きく拡大した画像として表示している。

　２つのスライドドア１２のうち後側のスライドドアの表示パネル２２では、図１９Ｂに一部を拡大して示すように、表示パネル２２の表示領域の全域、すなわち高解像パネル２２１と低解像パネル２２２の両表示領域を含む領域にわたって画像「Ｃ」が拡大して表示されている。低解像度パネル２２２の表示領域では画像の解像度は低いが、画像「Ｃ」は拡大された大きな画像として表示され、かつ視認者は遠くの位置から画像「Ｃ」を視認している。したがって画像の解像度が低いことが問題になることはなく、視認者は画像を視認しかつ確認することができる。高解像パネル２２１の表示領域においては画像の解像度が高いので、解像度が問題になることはない。このとき、高解像パネルは低解像パネルと同じ解像度で画像を表示してもよい。

　一方、図２０Ａのように、視認者検出部３２が、視認者Ｍが自動運転車１の左側面に近づいてきたことを検出すると、画像制御部３３は表示している画像「ＡＢＣＤ」を縮小し、これらの画像をスライドドアの２つの表示パネル２１，２２の高解像パネル２１１，２２１の表示領域に表示する。図２０Ａでは、前側のスライドドアの高解像パネル２１１に画像「ＡＢ」を表示し、後側のスライドドアの高解像パネル２２１に画像「ＣＤ」を表示する。

　後側のスライドドアの表示パネル２２では、図２０Ｂに一部を拡大して示すように、低解像パネル２２２の表示領域には画像は表示されておらず、高解像パネル２２１の表示領域に画像「ＣＤ」が納まるように縮小して高精細に表示されている。高解像パネル２２１は画像の解像度が高いので、画像を縮小しても高精細な画像として表示できる。また、視認者Ｍは自動運転車１に近づいており、しかも高解像パネル２２１は人間の目の高さ位置にあるので、視認者は縮小された画像を視認することができる。

　このとき、低解像パネル２１２，２２２では画像の表示を行わないように電力の供給を停止することにより、その分の省電力化が図られる。また、画像の縮小により高解像パネル２１１，２２１の表示領域に余裕があるときには、別の画像を表示してもよく、表示する情報を増やすことができる。

　図１７において、視認者が自動運転車１に乗降する際には、スライドドア１２は開いた状態となる。開閉動作されるときに各スライドドア１２が車体ボディ１０の左側面１３の外面側に移動する場合、スライドドア１２が開いたときに表示パネル２３，２４はスライドドア１２により隠された状態となる。この場合、スライドドア１２の表示パネル２１，２２は表示パネル２３，２４より外面に位置するので、視認者は乗降に際して高解像パネル２１１，２２１に表示された高精細な画像を視認することができる。

　このように、表示パネル２１，２２の表示領域の大部分は低解像パネル２１２，２２２で構成されている。しかし、視認者Ｍが自動運転車１から遠いときには表示パネル２１，２２に画像を拡大して表示することにより、当該視認者Ｍは画像を確実に視認でき、低解像パネル２１２，２２２の解像度が問題になることはない。一方、視認者が自動運転車１に近いときには、表示パネル２１，２２の一部に構成された高解像パネル２１１，２２１に画像を縮小して表示するので、視認者Ｍは画像を確実に視認でき、かつ多くの情報を得ることができる。これにより、表示パネルに画像を表示するとともに低コスト化が実現できる。

　なお、画像を拡大表示する際には、自動運転車と視認者との距離の変化に追従させて画像の大きさを連続的に変化させるように表示制御してもよい。すなわち、視認者が自動運転車に近づくにしたがって、拡大表示していた画像を徐々に縮小して行き、所定距離以下になったときに画像を高解像パネルの表示領域に表示するようにしてもよい。

　また、図１９Ａ、図１９Ｂ、図２０Ａ及び図２０Ｂに示した画像表示の際に、拡大した画像の全てを同時に表示パネル２１，２２あるいは表示パネル２１～２４に表示できない場合や、縮小した画像の全てを同時に高解像パネル２１１，２２１に表示できない場合には画像をこれらの表示パネルにおいてスクロールしながら表示するようにしてもよい。

　以上の説明は視認者が自動運転車に対して移動する場合の例である。本開示は、視認者が静止しており、自動運転車１が視認者に対して移動する場合においても同様な表示制御を実現できる。例えば、自動運転車が乗用バスに適用された場合に、バスが停留所から離れた位置を走行しているときには、低解像パネルを含めた表示パネルの表示領域の全域にバスの行き先を示す画像を大きく表示し、停留所にいる乗客が画像を視認できるようにする。バスが停留所に停車したときには当該画像を高解像パネルに表示するとともに、他の画像、例えばこれから先に停車する停留所名等の画像を表示することにより、乗客がこれらの画像を鮮明な状態で視認することができる。

（実施形態７の変形例１）
　図２１Ａ及び図２１Ｂは実施形態７の変形例１の概略外観図であり、実施形態７と等価な部位には同一符号を付してある。変形例１は、図２１Ａのように、２つのスライドドア１２と、これを挟む左側面１３に配設されている４つの表示パネル２１～２４はそれぞれ低解像パネルで構成されている。４つの表示パネル２１～２４の上下方向の中央領域には、自動運転車１の前後方向にわたって帯状に、互いに連結された高解像パネル２１１，２２１，２３１，２４１（以下、２１１～２４１）が構成されている。

　変形例１においても、視認者が自動運転車１から遠いときには、図２１Ａのように、左側面の４つの表示パネ２１～２４の表示領域の全域、すなわち高解像パネル２１１～２４１を含む全表示領域において画像「ＡＢＣＤ」を拡大して表示する。視認者が近いときには、図２１Ｂのように、高解像パネル２１１～２４１のみに画像「ＡＢＣＤ」を縮小して高精細に表示する。自動運転車１に近接した視認者はこの高解像パネル２１１～２４１に表示された縮小された高精細な画像を視認することができる。なお、縮小した画像を１つの高解像パネル、例えば高解像パネル２１１にのみ表示してもよい。

　変形例１では、実施形態７に比較して高解像パネル２１１～２４１が自動運転車１の車体前後方向に長く配設されているので、横長の画像、例えば長い文字列の画像を一括して表示することが可能になる。また、変形例１は高解像パネル２１１～２４１が横長に形成されているが、それぞれの高解像パネルの上下方向の寸法を縮小することにより、実施形態７に比較して高解像パネル２１１～２４１全体のサイズ（面積）を同等ないしそれ以下に抑えることもでき、低コスト化が実現できる。

（実施形態８）
　図２２Ａ及び図２２Ｂは実施形態８の概略外観図であり、実施形態７と等価な部位には同一符号を付してある。この実施形態８は、図２２Ａのように、自動運転車１の前側面の表示パネル２Ｆに本開示を適用している。すなわち、前側面の表示パネル２Ｆには、表示領域の上寄りの一部に配設された高解像パネル２５１と、この高解像パネル２５１を囲む周囲の表示領域に低解像パネル２５２が配設された表示パネル２５が構成されている。

　実施形態８においては、視認者が自動運転車１から遠いときには、前側面の表示パネル２５の低解像パネル２５２の表示領域において画像を拡大して表示する。図２２Ａでは、表示パネル２５は画像「ＡＢＣＤ」を低解像パネル２５２に可及的に大きく拡大して表示する。一方、視認者が自動運転車１に近いときには、図２２Ｂのように、高解像パネル２５１の表示領域に画像「ＡＢＣＤ」を縮小して表示する。

　例えば、実施形態７において例示したように、自動運転車１からなるバスが停留所から離れた位置を走行しているときには、低解像パネル２５２の全面にバスの行先等の画像を大きく表示し、停留所にいる乗客が画像を視認できるようにする。バスが停留所に近づいたときには、当該画像を縮小して高解像パネル２５１に高精細に表示する。合せて他の情報、例えばバス番号等を合せて高精細に表示する。乗客は高解像パネル２５１に表示された高精細な画像を視認することによりバスにかかわる情報を得ることができる。これにより、自動運転車と視認者との距離の違いにかかわらず、視認者は表示された画像を確実に視認できる。また、同時に前側面の表示パネル２Ｆのコストの情報が抑制できる。

　実施形態８は、図示は省略するが、自動運転車１の後側面の表示パネル２Ｂに適用されてもよい。この場合には、自動運転車が走行しているときに、後続車が遠方に存在するときには後側面の表示パネル２Ｂの表示領域の全域において画像を拡大して表示する。後続車が接近してきたときには、表示パネル２Ｂの一部に配設した高解像パネルに画像を縮小して高精細に表示する。これにより、後続車との車間距離の違いにかかわらず、後続車の乗員は自動運転車に表示された画像を確実に視認できる。また、同時に後側面の表示パネルを低コストに構成できる。

　本開示においては、実施形態７のように、拡大した画像を表示する際には、高解像パネルと低解像パネルの両方を含めた表示パネルの表示領域の全域において表示してもよい。実施形態８のように、低解像パネルの表示領域においてのみ表示してもよい。いずれの場合でも、画像を高解像パネルに表示する際には、高解像パネルの表示領域に収まるように画像を表示すればよい。

　実施形態７，８においては、本開示は、表示する画像の大きさに加えて、画像の形状、画像の明るさ（明度、彩度、コントラストを含む）を適宜に制御してもよい。特に、視認者が自動運転車から遠方にいるときには、本開示は表示する画像の大きさを制御するとともに、画像の明度やコントラストを高くなるように制御する。視認者と自動運転車との相対距離が短くなるのにしたがって、本開示は画像の明度やコントラストを低下させるように制御してもよい。

　本開示は、特に視認者を検出することなく、車両の走行状況に応じて表示する画像を制御するようにしてもよい。例えば、車両の走行中に表示パネルの表示領域の全域に画像を表示し、車両が停車したときに高解像パネルの表示領域に画像を表示するようにしてもよい。車両の乗員が自動運転車の周囲の状況を確認しながら人為的に画像の表示形態を制御するようにしてもよい。これらの場合には、実施形態７に記載した表示制御手段における視認者検出部を省略し、さらには画像制御部の構成を簡略化することができる。

　本開示は自動運転車の表示装置に限られるものではなく、自動運転ではない自動車の車体ボディやウインドに表示パネルを備える車両に適用できる。車両に設けられる表示パネルは、必ずしも車両の車体の４つの側面に全て配設されていなくてもよく、配設されている表示パネルに対して本開示が適用できる。
　本出願は、２０１８年１１月２７日出願の日本出願第２０１８－２２０８４０号、２０１８年１１月２７日出願の日本出願第２０１８－２２０８４１号及び２０１８年１１月２７日出願の日本出願第２０１８－２２０８４２号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。

Claims

　車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルと、当該画像の表示を制御する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、前記表示パネルは前記車体に設けられた可動部を備え、前記表示制御手段は、前記可動部が動作したときに前記画像の表示形態を制御する画像制御手段を備える車両用表示装置。
　前記車両用表示装置は、複数の表示パネルを備え、
　前記可動部の動作により一の表示パネルの画像が隠れるとき、前記画像制御手段は、当該一の表示パネルの前記画像を、他の表示パネルに表示する請求項１に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記可動部が動作したとき、前記他の表示パネルに、前記可動部の動作前に当該他の表示パネルに表示されていた画像と異なる画像を表示する請求項２に記載の車両用表示装置。
　前記可動部は前記車体に設けられたドア又はウインドであり、前記画像制御手段は当該ドア又はウインドの開閉動作に基づいて、前記画像の表示形態を制御する請求項１ないし３のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
　前記車両用表示装置は、複数の表示パネルを備え、
　前記画像制御手段は、前記ドア又はウインドが開閉動作されたときに、当該ドア又はウインドと重なる一の表示パネルと、当該ドア又はウインドに配設された他の表示パネルとの、両画像の表示形態を制御する請求項４に記載の車両用表示装置。
　前記可動部の動作を検出する可動検出部を備えており、前記画像制御手段は当該可動検出部の検出出力に基づいて前記画像の表示形態を制御する請求項１ないし５のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記画像の大きさ、形状、明るさを制御する請求項１ないし３のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
　車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルと、当該画像の表示を制御する表示制御手段とを備える車両用表示装置であって、前記表示制御手段は、前記車両の周囲に存在して前記画像を視認する視認者と前記視認者の位置を検出する視認者検出手段と、前記視認者検出手段で検出した前記視認者の位置に応じて前記画像を制御する画像制御手段とを備えており、前記画像制御手段は前記視認者の位置の変化に対応して前記画像の表示形態を制御する車両用表示装置。
　前記視認者は歩行者を含み、前記視認者検出手段は、歩行者と他車両を検出し、前記視認者検出手段が他車両を検出したとき前記視認者検出手段は前記他車両が自動運転車であるか非自動運転車であるかを判別する請求項８に記載の車両用表示装置。
　前記車両の周囲の路面に画像を投影するプロジェクタを備えており、前記画像制御手段は前記表示パネルでの画像の表示と、前記プロジェクタによる路面への画像の表示の、それぞれの表示形態を制御する請求項８又は９に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記車両に対する前記視認者の位置の変化に応じて、前記画像の大きさ、表示位置、形状、明るさを制御する請求項８ないし１０のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記車両と前記視認者の距離に応じて前記画像の大きさを変化させる請求項１１に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記車両に対する前記視認者の位置の変化に応じて前記画像の表示位置を変化させる請求項１１に記載の車両用表示装置。
　前記車両用表示装置は、前記車体の複数箇所に配設された複数の表示パネルを備え、前記画像制御手段は１つの表示パネルに表示される画像の表示位置を、当該１つの表示パネル内の異なる位置、あるいは異なる表示パネルに移動させる請求項１３に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記車両に対する前記視認者の方向に応じて前記画像の形状を変化させる請求項１１に記載の車両用表示装置。
　車両の車体に配設されて画像を表示する少なくとも一つの表示パネルを備える車両用表示装置であって、前記表示パネルは前記画像を低解像度で表示する低解像パネルと前記画像を高解像度で表示する高解像パネルを有し、少なくとも前記低解像パネルを含む表示領域に表示した画像は、前記高解像パネルの表示領域に表示される車両用表示装置。
　前記表示パネルの表示領域の一部に前記高解像パネルが配設され、それ以外の表示領域に前記低解像パネルが配設されている請求項１６に記載の車両用表示装置。
　前記低解像パネルと前記高解像パネルの両表示領域にわたって表示した画像は、縮小されて前記高解像パネルの前記表示領域内に表示される請求項１７に記載の車両用表示装置。
　前記低解像パネルの前記表示領域に表示した画像は、縮小されて前記高解像パネルの前記表示領域内に表示される請求項１７に記載の車両用表示装置。
　前記表示パネルに表示する前記画像の表示を制御する表示制御手段を備えており、前記表示制御手段は、前記車両の周囲に存在して前記画像を視認する視認者と前記視認者の位置を検出する視認者検出手段と、前記視認者検出手段で検出した前記視認者の位置に応じて前記画像を制御する画像制御手段を備え、前記画像制御手段は前記視認者の位置の変化に対応して前記画像の表示形態を制御する請求項１６ないし１９のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
　前記画像制御手段は、前記車両と前記視認者との距離に応じて画像の大きさを変化させ、当該距離が所定の距離以上のときには当該画像を前記低解像パネルを含む前記表示領域に表示し、当該距離が所定の距離よりも短いときには当該画像を前記高解像パネルの前記表示領域内に表示する請求項２０に記載の車両用表示装置。