WO2020075710A1 - 微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物および親水性の微多孔膜 - Google Patents

微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物および親水性の微多孔膜 Download PDF

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Abstract

本発明は、微多孔膜を親水化した際に細孔の目詰まりがなく、恒久的な親水性を有する微多孔膜を提供することを目的とする。多官能アクリルアミドモノマーを単独で微多孔膜にコーティングすることにより、微多孔膜の透水性を阻害することなく微多孔膜を親水化する手段を見出した。本発明は、多官能アクリルアミドモノマー化合物を含む、微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物および当該コーティング組成物に由来するポリマーでコーティングされた、親水性の微多孔膜を提供する。

Description

微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物および親水性の微多孔膜
 本発明は、コーティング組成物によって親水化された微多孔膜に関する。
 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)系樹脂やポリテトラフルオロエチレン系(PTFE)系樹脂などのフッ素系樹脂からなる微多孔膜は、耐薬品性、耐熱性に優れることからエアフィルター、バグフィルターおよび液濾過用フィルターなどに幅広く使用されている(例えば特許文献1参照。)。
 しかしながら、フッ素系樹脂からなる微多孔膜は、一般に疎水性である。そのため、たとえばPVDF系樹脂からなる微多孔膜(以下、PVDF系微多孔膜またはPVDF膜という。)を、水溶性の溶液の濾過等に使用する場合には、PVDF膜の表面をポリビニルアルコール(PVA)等の親水化剤で被覆する方法や、エタノールなどのアルコールで置換する方法などで親水化処理を施す必要がある。しかし、これらの手法で得られる親水化されたPVDF膜の親水性は、その効果の持続性が乏しい。そのため、親水化に使用したアルコールが乾いてしまうと、再度親水化のためにアルコールで処理しなければならない。また、親水化に使用したPVAまたはエタノールが濾過に伴ってPVDF膜の表面から溶出していくことで、PVDF膜の親水化効果がなくなってしまう。また、親水化のために使用したPVAやエタノールが濾液中に混入したり、PVAによって細孔が目詰まりしたりするといった問題もある。
国際公開第2014/054658号パンフレット
 PVDF系樹脂やPTFE系樹脂などのフッ素系樹脂からなる微多孔膜を親水化するための従来の方法では、上記のような問題があった。そこで、本発明は、疎水性の微多孔膜、特にフッ素系樹脂からなる微多孔膜を親水化するためのコーティング組成物を提供することを目的とする。さらに、微多孔膜を親水化した際に細孔の目詰まりがなく、恒久的な親水性を有する微多孔膜を提供することを目的とする。
 本発明者らは、乾燥状態においても親水化されており、水溶液を濾過するためなどに使用することができる微多孔膜を提供することを目的として、開発を進めた。
 その結果、架橋性モノマーを単独で重合および硬化させて微多孔膜をコーティングすることにより、微多孔膜の透水性を阻害することなく親水化する手段を見出し、本発明を完成させた。
 また、架橋モノマーをコーティングとして使用する場合、通常は、2官能性の化合物よりも多官能性の化合物の方が微多孔膜を詰まりさせやすいが、多官能性の化合物を使用しても微多孔膜を目詰まりさせることなく親水化できることを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明の構成は、以下の通りである。
[1]以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含む、微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物。

Figure JPOXMLDOC01-appb-I000004
                                 ・・・(I)
[2]前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、コーティング組成物中に0.1~1.0質量%で含有される、[1]に記載のコーティング組成物。
[3]前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなる微多孔膜である、[1]または[2]に記載のコーティング組成物。
[4]以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーでコーティングされた親水性の微多孔膜。

Figure JPOXMLDOC01-appb-I000005
                                 ・・・(I)
[5]前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂の微多孔膜である、[4]に記載の微多孔膜。
[6]微多孔膜を親水性にする方法であって、
 前記微多孔膜を、以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含有するコーティング組成物の溶液中に浸漬する工程と、
 前記浸漬した微多孔膜を、脱酸素する工程と、
 前記脱酸素した微多孔膜を、紫外線照射して、前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーで前記微多孔膜をコーティングする工程と、
を含む、方法。

Figure JPOXMLDOC01-appb-I000006
                                 ・・・(I)
[7]前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、コーティング組成物中に0.1~1.0質量%で含有される、[5]に記載の方法。
[8]前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂の微多孔膜である、[6]または[7]に記載の方法。
 本発明によれば、多官能アクリルアミドモノマーを重合および硬化させて微多孔膜をコーティングすることにより、微多孔膜の透水性を阻害することなく微多孔膜を親水化することができる。
図1は、本発明の親水性微多孔膜の製造工程の一例を示す図である。
 微多孔膜を親水化するための本発明のコーティング組成物は、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含む。
 
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000007
                                 ・・・(I)
 微多孔膜とは、微多孔質または微多孔質膜とも呼ばれ、内部に多数の微細孔を有する膜であり、これらの微細孔は、連結された構造をとり、一方の面から他方の面へ気体あるいは液体が通過可能となった膜をいう。微多孔膜は、特に液体の通液性のムラが少なく、目詰まりなど生じにくい孔径が0.01~10μm程度の微細孔を有する膜が好ましい。
 式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、たとえば富士フィルム株式会社から入手可能である。
 本発明のコーティング組成物において、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、重合させたときに微多孔膜の表面をコーティングして親水性にすることができるが、微多孔膜の細孔を塞いで微多孔膜の透水性を妨げることがない程度に重合する濃度に調整される。
 本発明のコーティング組成物において、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、たとえば本発明のコーティング組成物中に0.1~1.0質量%とすることができ、好ましくは0.15~0.75質量%である。
 式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を溶解することができ、かつ重合反応を阻害しない任意の溶媒を使用することができる。溶媒は、たとえば超純水などの水、並びにイソプロピルアルコール(IPA)、メタノールおよびエタノールなどのアルコールであることが好ましい。また、溶媒は、任意の割合でアルコールを含む水溶液を使用することができ、溶媒中のアルコール濃度としては、たとえば10~100体積%とすることができ、好ましくは15~80体積%であり、より好ましくは20~60体積%である。
 具体的には、本発明のコーティング組成物は、15~30体積%のイソプロピルアルコール水溶液中に式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含むことができる。
 本発明のコーティング組成物は、さらに重合開始剤を含むことができる。重合開始剤は特に限定されないが、たとえば光重合開始剤および熱重合開始剤である。光重合開始剤は、BASF社から入手可能なIRGACURE(登録商標)シリーズの開始剤などを使用することができる。たとえば、光重合開始剤は、商品「IRGACURE2959」などのアルキルフェノン系光重合開始剤または商品「FAM-101L(富士フィルム株式会社)」その他の光重合開始剤を使用することができる。
 本発明のコーティング組成物は、さらに酸化防止剤および安定剤などの添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、当該技術分野において通常使用される濃度で含有することができる。
 本発明のコーティング組成物は、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物、溶媒、重合開始剤、および任意の添加剤を任意の方法および順序で混合して調製することができる。たとえば、本発明のコーティング組成物は、15~35℃の温度において、溶剤に溶解した多官能アクリルアミドモノマー化合物に、重合開始剤および任意に添加剤を添加し、攪拌して混合することによって調製することができる。
 本発明のコーティング組成物は、具体的には、15~30体積%のイソプロピルアルコール水溶液中に0.1~1.0質量%の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物および光重合開始剤を含むことができる。
 また、本発明は、上記コーティング組成物に由来するポリマーでコーティングされた、親水性の微多孔膜を提供する。本発明の親水性の微多孔膜に使用される微多孔膜は、特に限定されないが、たとえばPVDF系樹脂およびPTFE系樹脂などのフッ素系樹脂の微多孔膜を挙げることができる。フッ素系樹脂の微多孔膜とは、フルオロポリマーと呼ばれるフッ素系樹脂に由来する微多孔膜であり、フッ素系樹脂を材料として製造された微多孔膜をいう。また、PVDF系微多孔膜およびPTFE系微多孔膜とは、それぞれPVDF系樹脂等およびPTFE系樹脂等を材料として製造される微多孔膜をいうが、それぞれの樹脂のみからなっていてもよいし、他の成分を含有していてもよい。
 本発明に使用されるフッ素系樹脂は、フッ素系樹脂のホモポリマーおよびフッ素系樹脂の共重合体である。フッ素系樹脂は、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)およびクロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)などであってもよいが、これらに限定されない。
 ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンホモポリマーおよび/またはフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、物性(粘度、分子量等)の異なる複数種類のフッ化ビニリデンホモポリマーを含有してもよい。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、複数の種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂であってもよい。フッ化ビニリデン共重合体は、フッ化ビニリデン残基構造を有するポリマーであり、典型的にはフッ化ビニリデンモノマーとそれ以外のフッ素系モノマーとの共重合体であり、たとえばフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、三フッ化塩化エチレンから選択される1種類以上のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンモノマーとの共重合体であるが、これらに限定されない。
 ポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレンホモポリマーおよび/またはポリテトラフルオロエチレン共重合体を含有する樹脂である。ポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、物性(粘度、分子量等)の異なる複数種類のポリテトラフルオロエチレンホモポリマーを含有してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂は、複数の種類のフッ化ビニリデン共重合体を含有する樹脂であってもよい。
 本発明に使用されるポリフッ化ビニリデン系樹脂などのフッ素系樹脂に由来する微多質膜は、上記フッ素系樹脂のみで構成されるだけでなく、さらに他の成分を備えていてもよい。たとえば、本発明に使用されるフッ素系樹脂を備える微多孔膜は、フッ素系樹脂と他の材料からなる複合材料から構成される微多孔膜であってもよい。たとえば、本発明に使用される微多質膜は、本出願人によって開発された非対称3次元構造を有するPVDF系微多孔膜であってもよい。この微多孔膜は、たとえば国際公開第2014/054658号および国際公開第2015/0133364号に記載された手順によって製造することができる。一例として、簡潔には、PVDF系樹脂としてのアルケマ製商品「Kyner(商品名)HSV900」、溶媒としてのジメチルアセトアミド、多孔化剤としての重量平均分子量400のポリエチレングリコール、および超純水を均一に混合して原料液を製造する。次いで、基材フィルムとしてスパンボンド不織布(旭化成製「エルタス(商品名)P03050」)を使用し、平らなガラス板上にこの基材フィルムを置き、ベーカーアプリケーターを用いて基材フィルム表面に上記原料液を250μm厚になるように塗布する。次いで、超純水が入った固化槽に上記フィルムを入れ、フィルム全体が水に浸かった状態でフィルム固化槽内に静置して基材フィルムに付着した原料液の固化を進行、完了させる。次いで、乾燥および洗浄工程を経て非対称3次元構造を有するPVDF系微多孔膜を得ることができる。
 また、本発明に使用される微多孔膜は、市販の製品であってもよい。フッ素系樹脂に由来する微多孔膜は、たとえばMerck Millipore社から疎水性デュラポア(型式:GVHP04700)などとして、およびMembrane Solutions社からMS PVDF疎水性メンブレンなどとして入手可能なPVDF膜、並びにW.L.Gore and Associates社から入手可能なPTFE膜などを使用することができる。
 本発明のコーティング組成物は、微多孔膜の表面にコーティングされることによって微多孔膜を親水性にすることができる。本発明のコーティング組成物をバッチ式または連続式で微多孔膜に接触させ、または浸漬し、微多孔膜の表面に均一に上記コーティング組成物を付着させる。たとえば、本発明のコーティング組成物は、以下の手順で基材となる微多孔膜の表面にコーティングすることができる。
 まず、微多孔膜をイソプロピルアルコールなどのアルコールで浸潤させる。次に、微多孔膜を超純水に浸漬させることでイソプロピルアルコールを超純水に置換する。ここで、微多孔膜を浸潤させることができるアルコールであれば、特に限定されない。微多孔膜を親水化するためのコーティング組成物において、微多孔膜を浸潤することができるアルコール水溶液を使用するときは、浸潤と超純水への置換工程を省略することができる。
 次いで、本発明の微多孔膜を親水化するためのコーティング組成物に、微多孔膜を浸漬する。たとえば、ユニパック等の密封可能な袋に本発明のコーティング組成物を入れ、微多孔膜を浸漬する。コーティング組成物が微多孔膜に十分に浸潤するまで浸漬させる。たとえば、コーティング組成物の溶媒が超純水である場合は、数十分間、コーティング組成物に微多孔膜を浸漬させることで、コーティング組成物は、微多孔膜に十分に浸潤する。また、コーティング組成物の溶媒が適量のイソプロピルアルコールを含む場合は、瞬時に微多孔膜を浸潤させることができる。
 次いで、浸漬した微多孔膜を取り出し、コーティング組成物の重合を開始させる。コーティング組成物が光重合開始剤を含み、紫外線照射(UV照射)などによって重合が開始される場合、あらかじめ窒素置換をして重合反応を阻害し得る酸素を除去しておいてもよい。
 コーティング組成物が光重合開始剤を含有する場合、UV照射によって式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物の重合を開始することができる。また、コーティング組成物が熱重合開始剤を含有する場合、加熱によって重合を開始させる。
 次いで、微多孔膜を洗浄して未反応物を除去する。洗浄は、温水および温エタノールなどで洗浄することができる。また、乾燥は、自然乾燥によって実施してもよい。
 上記の手順によって、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーでコーティングされた親水性の微多孔膜を得ることができる。
 本発明は、さらに微多孔膜を親水性にする方法を提供する。本方法は、微多孔膜を、以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含有するコーティング組成物の溶液中に浸漬する工程と、浸漬した微多孔膜を、脱酸素する工程と、脱酸素した微多孔膜を、紫外線照射する工程とを含む。

Figure JPOXMLDOC01-appb-I000008
                                 ・・・(I)
 コーティング組成物の溶液中に浸漬する工程は、上記の微多孔膜のコーティングと同様の手順で行う。
 浸漬した微多孔膜を、脱酸素する工程は、任意の方法によって脱酸素することができる。脱酸素する工程は、たとえば、窒素雰囲気下に微多孔膜を静置して酸素と置換する。置換する工程は、たとえばバッチ式あるいは連続式で実施することができる。バッチ式では、微多孔膜を上記コーティング組成物に含浸させた後、支持物で保持する。具体的には、透明な蓋を有する密閉容器内で平板状の支持物の上(上記蓋の側)に上記コーティング組成物を含浸させた微多孔膜を重ね、次に積層物が静置した状態で上記密閉容器内を窒素置換する。
 脱酸素した微多孔膜を、紫外線照射する工程は、上記脱酸素した微多孔膜に紫外線を照射することで、式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーで微多孔膜をコーティングする。本工程も窒素置換する工程と同様にバッチ式あるいは連続式で行うことができる。バッチ式では、密閉容器が窒素で充填された状態で容器外から透明な蓋を介して微多孔膜の面に紫外線を照射し、重合性モノマーの重合架橋反応を完了する。連続式では、コーティング組成物が浸潤した微多孔膜の長尺物に紫外線を照射する。具体的には、コーティング組成物の容器から搬出された微多孔膜を紫外線照射区域に搬入し、この区域内で一定時間移動する。紫外線照射区域から微多孔膜が搬出されるまでに、微多孔膜表面で重合性モノマーの重合架橋反応が完了する。
 次いで、表面がポリマーでコーティングされた微多孔膜の表面を乾燥および洗浄して余分な成分を除去する。この工程も同様にバッチ式あるいは連続式で行うことができる。
 さらに、得られた親水性の微多孔膜をNaOHなどのアルカリ性溶液で処理する工程をさらに含むことができる。アルカリ溶液処理は、0.1MのNaOH溶液中に2時間浸漬することにより実施する。本発明の親水性の微多孔膜は、耐アルカリ性を有し、0.1MのNaOHで処理しても水の接触角が大きくなることはない。すなわち、親水性が低くなることはない。
 上記の工程により、親水化された微多孔膜が得られる。この微多孔膜を、定法に従い、かつ必要に応じて、乾燥、巻き取り、裁断および梱包することができる。
実施例1
(PVDF系微多孔膜の製造)
 本発明において、基材となるPVDF系微多孔膜は、下記の工程を経て製造したPVDF膜を使用した。
(工程1)PVDF系樹脂としてのアルケマ製商品「Kyner HSV900」、溶媒としてのジメチルアセトアミド、多孔化剤としての重量平均分子量400のポリエチレングリコール、超純水の比率を表1に示す量比(原料液全量に対する質量%)で均一に混合して原料液を製造した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 (工程2)基材フィルムとして、20cm×20cmの正方形に切断したスパンボンド不織布(旭化成製「エルタスP03050」)を使用した。平らなガラス板上にこの基材フィルムを置き、ベーカーアプリケーターを用いて基材フィルム表面に上記原料液を250μm厚になるように塗布した。後述の残留成分の定量ができるように、定量回数分に見合う枚数の基材フィルムに上述の条件で原料液を塗布した。
 (工程3)固化槽として、超純水2リットルが入ったステンレス製バットを使用した。この固化槽に、水面が波立たないように工程2で得られたフィルムを入れ、フィルム全体が水に浸かった状態でフィルム固化槽内に2分間静置して基材フィルムに付着した原料液の固化を進行、完了した。
 (工程4-1)セラミックエアストーン製散気管を挿入したビーカーに2.5リットルの超純水を入れ、外部のタンクから上記散気管に乾燥空気を供給し、超純水中に均一に乾燥空気の泡を噴出させた。これを第一洗浄槽に用いた。この第一洗浄槽に工程3を経たフィルムを入れた。フィルム全面が均一に水と気泡が接触する状態でフィルムを6分間洗浄した。
 (工程4-2)セラミックエアストーン製散気管を挿入したビーカーに2.5リットルのイソプロパノールを入れ、外部のタンクから上記散気管に乾燥空気を供給し、イソプロパノール中に均一に乾燥空気の泡を噴出させた。これを第二洗浄槽に用いた。この第二洗浄槽に工程4-1を経たフィルムを入れて、フィルム全面が均一にイソプロパノールと気泡が接触する状態でフィルムを洗浄した。この後フィルムを自然乾燥した。
 こうして得られたPVDF系微多孔膜の細孔径を気体透過法によって測定した。測定機器として西華デジタルイメージ株式会社が供給するPMI製パームポロメーターを使用した。表1に、得られたPVDF系微多孔膜の細孔径の最頻値(モード):Lm(μm)と、Lm±15%内の細孔径を有する細孔数割合(%)を示す。
(親水性のPVDF系微多孔膜の製造)
1.コーティング組成物の製造
 式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、新中村化学工業株式会社から「FAM401(富士フィルム株式会社)」として入手した。
 光重合開始剤として、BASFジャパン株式会社から入手したIRGACURE2959を使用した。
 コーティング組成物は、下記表2に示した量のFAM401(質量%)および0.15(質量%)のIRGACURE2959を溶媒である超純水に混合して100(質量%)の総量に調製し、コーティング組成物とした。
2.親水性の微多孔膜の製造
 実施例1において製造したPVDF系微多孔膜(基材)の表面を、表2に示した割合で製造したコーティング組成物を使用し、以下の方法によって被覆した。
 (工程5)前記工程4-2を終えたPVDF系微多孔膜をイソプロピルアルコールに浸漬し、超純水に置換して、上記コーティング組成物に浸漬した。石英ガラス製蓋つき窒素ガス置換用ボックスのステンレスメッシュ底面に、不織布支持体、コーティング組成物が含浸されたPVDF系微多孔膜をこの順に積載した。窒素ガスをボックスに2分間循環しボックス内部に窒素ガスを充填した。充填後はボックスを密閉状態に維持した。
 (工程6)ボックス外部の光源(Light Hammer10(製品名))からボックスの蓋を通して紫外線を照射し、コーティング組成物を硬化した。
 (工程7)ボックスからPVDF系微多孔膜を取り出し洗浄、乾燥した。
 (工程8)さらに、任意の工程として、親水性のPVDF系微多孔膜を0.1MのNaOH水溶液に2時間浸漬し、洗浄、乾燥した。
 こうして得られた親水化されたPVDF系微多孔膜(NaOH処理前および0.1MのNaOH処理後)について以下の性能を測定した。
 (水接触角)
 親水化効果を確認するため、得られた親水化されたPVDF系微多孔膜表面の水接触角(°)を測定した。約2.0μLの水滴を着液し、0.5秒後の接触角(°)を上記水接触角として測定した。
 (初期透水性)
 得られた微多孔膜から直径25mmの円形シートを切り取った。このシートを有効濾過面積3.5cmのフィルターシートホルダーにセットした。セットされたシートに5mLの超純水を濾過圧力50kPaで通過させ、超純水の通過開始から終了までの時間を計測した。以下の式により、シートの濾過面積当たりの流量(透水性)を求めた。
 透水性(10-9/m/Pa/sec)=通水量(m)÷有効濾過面積(m)÷濾過圧力(Pa)÷時間(sec)。
 結果を表2に、実施例1~7における、コーティング組成物の組成、親水化処理後であり、かつNaOH処理前の透水性、NaOH処理後の透水性等の値を示す。
 NaOH処理前において、基材(実施例1で使用したPVDF膜)は、初期透水性が約160であった。また、0.15~1.00質量%の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含むコーティング組成物で親水性にした基材は、いずれも透水性が大きく低下することはなかった。
 一方、接触角は、基材(実施例1で使用したPVDF膜)において119.2°であった。0.15~1.00質量%の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含むコーティング組成物で親水性にした基材は、溶媒が超純水の場合、9.7~27.8°に、溶媒が20%イソプロピルアルコール水溶液の場合、0~3.6°に減少しており、いずれも親水性が高まっていることが示された。
 NaOH処理後においては、コーティング組成物で親水性にした基材は、いずれも透水性が減少することはなかった。むしろ、NaOH処理は、初期透水性を上昇させる傾向を有した。また、接触角も、いずれのコーティング組成物においてもNaOH処理によって大きく増大することはなく、NaOH処理に耐性を有することが示された。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000010
 本発明の親水性の微多孔膜は、エアフィルター、バグフィルターおよび液濾過用フィルターなどとして幅広く使用することができる。

Claims (8)

  1.  以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含む、微多孔膜を親水性にするためのコーティング組成物。

    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
                                     ・・・(I)
  2.  前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、コーティング組成物中に0.1~1.0質量%で含有される、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3.  前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂の微多孔膜である、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
  4.  以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーでコーティングされた親水性の微多孔膜。

    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
                                     ・・・(I)
  5.  前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂の微多孔膜である、請求項4に記載の微多孔膜。
  6.  微多孔膜を親水性にする方法であって、
     前記微多孔膜を、以下の式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物を含有するコーティング組成物の溶液中に浸漬する工程と、
     前記浸漬した微多孔膜を、脱酸素する工程と、
     前記脱酸素した微多孔膜を、紫外線照射して、前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物に由来するポリマーで前記微多孔膜をコーティングする工程と、
    を含む、方法。

    Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
                                     ・・・(I)
  7.  前記式(I)で表される多官能アクリルアミドモノマー化合物は、コーティング組成物中に0.1~1.0質量%で含有される、請求項5に記載の方法。
  8.  前記微多孔膜がポリフッ化ビニリデン系樹脂またはポリテトラフルオロエチレン系樹脂の微多孔膜である、請求項6または7に記載の方法。
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