WO2020050102A1 - 癒着防止材 - Google Patents

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Abstract

癒着防止性に優れ、手術部位の複雑な形状に沿って貼付することが容易な癒着防止材及び該癒着防止材を施与する工程を含む癒着防止法を提供する。 (1)ゼラチン誘導体を含む第1剤であって、該ゼラチン誘導体は、 (a)下記式で表される構造を含み、 GltnNH-CHR 上式においてGltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数5~17のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数5~17のアルキル基である; (b)イミノ基/アミノ基(モル比)が1/99~30/70であり; (c)重量平均分子量が10,000~50,000である、 第1剤、及び (2)該ゼラチン誘導体の架橋剤を含む第2剤 からなる癒着防止材。

Description

癒着防止材
 本発明は、生体組織の癒着防止材に関し、詳細には所定の疎水性基を有するゼラチン誘導体を主剤とする生体吸収性の癒着防止材にする。
 癒着防止材は、手術後の癒着の軽減を目的に、手術時に適用部位に直接使用する生体吸収性の合成材料として定義され(「特定医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」平成28年厚生労働省告示第402号)、一般的には「癒着防止吸収性バリア」と呼ばれる。癒着防止材には、手術部位に貼付して施与されるシート型と、液状もしくは使用時に液状に調製されて、噴霧により施与されるスプレー型がある。前者の例として、ヒアルロン酸ナトリウムとカルボキシメチルセルロースを主成分とするもの(セプラフィルム(商標)、科研製薬株式会社)、ゼラチンを主成分とするもの(ゼルフィルム(商標)、ファイザー株式会社、及び特許文献1)、後者の例としてN-ヒドロキシスクシンイミド化デキストリンと炭酸ナトリウム/炭酸水素ナトリウムの2剤から成るもの(アドスプレー(商標)、テルモ株式会社)がある。
 癒着防止材には、組織表面を覆って保護することが必要とされるが、フィルム状のものは手術部位の複雑な形状に沿って貼付することが困難である。またセプラフィルムは一旦水に濡れると著しく操作性が低下するため、位置を修正することは実際上不可能である。その点、スプレー型のものは手術部位に沿って、且つより広く施与することができる。
 ところで、本発明者らは、疎水性基を導入したゼラチン誘導体(以下「疎水化ゼラチン」という場合がある)と硬化剤とをスプレーにより組織に施与する外科用シーラントの開発を進めてきた(例えば特許文献2、特許文献3)。同シーラントは、疎水性基を有することによって組織への親和性が高く、該疎水基を有しないゼラチンやフィブリンシーラントに比べて顕著に高いシーリング強度を有する。
特開2013-226166号公報 WO2014/112208号 特許第5995128号
 上記シーラントは組織への高い接着性から、手術部位以外の組織への接着が危惧された。しかし、驚くことに、該シーラントは硬化されて膜となった後には、優れた癒着防止効果を奏することを見出し、本発明を完成した。
 即ち、本発明は、下記のものである:
(1)ゼラチン誘導体を含む第1剤であって、該ゼラチン誘導体は、
 (a)下記式で表される構造を含み、
 
   GltnNH-CHR
 
   上式においてGltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数5~17のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数5~17のアルキル基である;
 (b)イミノ基/アミノ基(モル比)が1/99~30/70であり;
 (c)重量平均分子量が10,000~50,000である、
第1剤、及び
(2)該ゼラチン誘導体の架橋剤を含む第2剤
からなる癒着防止材。
 癒着防止材は噴霧により組織に施与することができるので、複雑な形状の手術部位でも容易に施与することができる。該癒着防止材の硬化膜は、優れた癒着防止性を示す。手術部位への接着性も高いので、接着性癒着防止材として、又は癒着防止性を有する外科用シーラントとしても使用できる。また、主剤であるゼラチン誘導体は水性溶媒中で作ることができ、製造環境及び体内において安全であるだけでなく、一段工程で簡易に且つ高い収率で合成することができる。
図1は、細胞接着数を示すグラフである。 図2は、細胞透過性試験に用いた装置の模式図である。 図3は、細胞透過率を示すグラフである。 図4aは手術後1週間の手術部位の組織の断面写真である。 図4bは手術後2週間の手術部位の組織の断面写真である。 破裂強度の結果を示すグラフである。 破裂強度測定後の試験片の断面写真である。 タンパク質透過性試験に用いた装置の模式図である。 タンパク質透過割合を示すグラフである。 膨潤度の経時変化を示すグラフである。 酵素文献による重量減を示すグラフである。
 本発明の癒着防止材は、実質的に硬化膜を形成する主剤としてゼラチン誘導体を含む第1剤と該ゼラチン誘導体の架橋剤を含む第2剤からなる、2剤型である。第1剤と第2剤は別々に包装されて供され、使用に際して混合される。以下、それらの詳細について説明する。
<第1剤>
 本発明の癒着防止材において、第1剤はゼラチン誘導体を含む。該ゼラチン誘導体はイミノ基、即ち、-NH-、を介して結合された疎水性基を有し、下記式示される構造を含む。
 
GltnNH-CHR
 
上式において、Gltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数5~17のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数5~17のアルキル基である。Nは、ゼラチン中の主としてリジン(Lys)のε-アミノ基由来である。好ましくは、Rが水素原子である。該式(1)のNH構造は、例えばFT‐IRスペクトルにおいて3300cm-1付近のバンドにより検出することができる。
 Rが炭素数5~17のアルキル基である場合、Rと同じでも互いに異なっていてもよい。該アルキル基は分岐を含んでいてもよい。該アルキル基の例としては、ヘキシル基、オクチル基(又はカプリル基)、ノニル基(又はペラルゴルニル基)、ドデジシル基(又はラウリル基)、テトラデシル基(又はミリスチル基)等が挙げられる。好ましくは、Rが炭素数5~11の直鎖アルキル基であり、Rが水素原子である。
 該ゼラチン誘導体中の誘導化率は、アルキル基が結合されたイミノ基の、原料ゼラチン中のアミノ基量に対するモル%で、1~20モル%、好ましくは5~10モル%である。言い換えれば、得られたゼラチン誘導体におけるイミノ基/アミノ基(モル比)は、1/99~20/80であり、好ましくは5/95~10/90である。該誘導化率は、原料ゼラチン中のアミノ基と、アルキル基を結合した後のアミノ基量を、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸法(TNBS法)によって定量することで、或いは、NMR等によりアルキル基の同定及び定量を行うことによって求めることができる。
 原料ゼラチンは、天然由来、合成、発酵又は遺伝子組換えにより得られるゼラチンのいずれであってもよく、好ましくはブタ、ウシ等の動物由来、スケトウダラ等の魚由来のゼラチンが使用される。また、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチン、遺伝子組み換えゼラチンのいずれであってもよいが、好ましくはアルカリ処理ゼラチンであり、より好ましくは低エンドトキシン化ゼラチンである。また、該ゼラチンの分子量の範囲は、ゼラチン誘導体の重量平均分子量(Mw)が10,000~100,000となる範囲であることが好ましく、10,000~50,000となる範囲であることがより好ましい。該分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により定法に従い測定することができる。
 第1剤は、上記ゼラチン誘導体に加えて、誘導体化されていないゼラチンを含んでもよい。該ゼラチンとしては、上述の各種ゼラチンを用いることができる。誘導体化されていないゼラチンの量は、ゼラチン誘導体との合計重量の0~99wt%であり、好ましくは、0~50wt%である。
 第1剤は、該ゼラチン誘導体を溶解又は分散するための水性溶媒をさらに含んでよい。利便性の点から、該ゼラチン誘導体を該水性溶媒に溶解又は分散して水性液(以下、単に「水溶液」という場合がある)として供してもよい。該水性溶媒としては、超純水、生理食塩水、ホウ酸、リン酸、炭酸等各種酸とその塩を含む緩衝液又はこれらの混合物を用いることができる。好ましくはpH8~11、より好ましくはpH9~10のホウ酸緩衝液が使用される。該水性溶媒は、ゼラチン誘導体が10~80wt/v%、好ましくは15~30wt/v%となるような量で使用される。誘導体化されていないゼラチンを含む場合には、ゼラチン誘導体との合計重量が上記濃度となる量である。
<第2剤>
本発明において、第2剤はゼラチン誘導体の架橋剤であり、架橋により水、血液等の体液に不溶性の構造体、例えば膜を形成する。該架橋剤としては、ゼラチン中のアミノ基、主として側鎖の第一級アミノ基、と反応性の官能基を分子中に少なくとも2つ以上有するものの少なくとも一種が使用される。架橋剤の例としては、ゲニピン、N-ヒドロキシスクシンイミドもしくはN-ヒドロキシスルホスクシンイミドで活性化された多塩基酸、アルデヒド化合物、酸無水物、及びジイソチオシアンネートが挙げられる。
 多塩基酸としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルタル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、cis-アコニット酸、2-ケトグルタル酸、ポリ酒石酸、ポリクエン酸、ポリリンゴ酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、カルボキシメチル化デキストリン、カルボキシメチル化デキストラン、カルボキシメチル化デンプン、カルボキシメチル化セルロース、カルボキシメチル化キトサン、カルボキシメチル化プルラン等が例示され、これらのカルボキシル基が活性エステル化されたもの、例えばジスクシンイミジルグルタレート(DSG)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ジスクシンイミジルタートレート(DST)等を使用することができる。
 また、ポリエチレングリコールもしくはポリエチレングリコールエーテルの、多塩基酸エステルで、該多塩基酸の、ポリエチレングリコールと反応していないカルボキシル基の少なくとも1つが活性エステル化されたもの、例えば4,7,10,13,16-ペンタオキサノナデカン二酸ジ(N-スクシンイミジル)、及び下記式で表されるポリエチレングリコール ジ(スクシンイミジル スクシネート)(SS-PEG-SS):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
(nはMwが約10,000~20,000となる数);
さらに、下記式で表されるペンタエリスリトール‐ポリエチレングリコールエーテル テトラスクシンイミジル グルタレート(4S-PEG):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(nはMwが約3,000~30,000、好ましくは約5,000~27,000、より好ましくは約10,000~20,000となる数);
が挙げられる。
 アルデヒド化合物としては、1分子中に2つ以上のアルデヒド基が導入された、アルデヒド基導入多糖類、例えばアルデヒド基導入デンプン、アルデヒド基導入デキストラン、アルデヒド基導入デキストリン及びアルデヒド基導入ヒアルロン酸が、酸無水物としては、無水グルタル酸、無水マレイン酸、及び無水コハク酸が、ジイソチオシアンネートとしてはヘキサメチレンジイソチオシアネート等が例示される。これらのうち、上記活性化ポリエチレングリコール多塩基酸エステル、及びアルデヒド基導入多糖類が好ましく使用される。
 これらの架橋剤は、ゼラチン誘導体のアミノ基1当量に対して、該架橋剤中の官能基、例えばN-ヒドロキシスクシンイミドで活性化されたエステル基、が0.2~3当量、好ましくは0.2~2当量、より好ましくは0.2~1.0当量、最も好ましくは0.2~0.6となる量で使用される。2種以上の架橋剤の混合物を用いてもよく、その場合はそれらの合計当量が上記範囲となる量とする。
 第2剤も、該架橋剤を溶解するための水性溶媒をさらに含んでよい。但し、該架橋剤と該水性溶媒とを別々の容器で供し、使用に際して、使用の約2時間前以後に、両者を適量混合して水性溶液(以下、単に「水溶液」という場合がある)として使用することが好ましい。該水性溶媒については、第1剤について上記したものを使用することができる。好ましくは、pH3~8、より好ましくはpH4~6のリン酸緩衝液が使用される。最も好ましくは、第1剤の水溶液と第2剤の水溶液を同体積で混合した際に、pHが8~10となるように双方の水性溶媒のイオン強度が調整される。例えば、第1剤水溶液をpH9、イオン強度0.05~0.1のホウ酸緩衝液とし、第2剤水溶液をpH4、イオン強度0.01~0.03のリン酸緩衝液とすることで、同体積で混合した際に8~10のpHとすることができる。又は、第1剤水溶液をpH10、イオン強度0.05~0.1のホウ酸緩衝液として、第2剤水溶液をpH4、イオン強度0.01~0.07のリン酸緩衝液としてもよい。
第2剤中の架橋剤濃度は、第1剤中のアミノ基の当量に対する第2剤中の官能基の当量、即ち(第2剤中の官能基当量/第1剤中のアミノ基当量)が、上記範囲になるように調整される。2種以上の架橋剤の混合物を用いてもよく、その場合はそれらの合計が上記範囲となる量とする。
<添加剤>
 上記第1剤及び/又は第2剤は、各種添加剤を本発明の目的を阻害しない量でさらに含んでよい。該添加剤としては、着色料、pH調整剤、粘度調整剤、保存剤等が挙げられる。好ましくは、癒着防止材の適用箇所が分かり易いように、第1剤あるいは2剤水溶液中に着色料、例えばブリリアントブルーを添加する。添加量は、例えば10~100μg/mLであってよい。
<製造方法>
 本発明の癒着防止材は、第1剤と第2剤を個別に調製して包装し、所望により滅菌することによって得ることができる。
[第1剤の調製法]
(1)原料ゼラチン水性溶液の調製
 出発材料のゼラチンを5~50wt/v%となる量で、40~90℃で加熱して水性溶媒に溶解する。該水性溶媒としては、水と水溶性有機溶媒との混合物を用いる。該水溶性有機溶媒としては、炭素数1~3のアルコール、エステル等を用いることができ、好ましくはエタノールが使用される。
(2)誘導体化
 工程(1)で得られたゼラチン水溶液に、導入するアルキル基を有する誘導体化薬剤を添加し、所定時間撹拌して反応させる。該誘導体化薬剤としては、上記アルキル基を有するアルデヒドもしくはケトン、例えばドデカナール、テトラデカナール、デシルエチルケトンが使用される。反応温度は30~80℃、反応時間は0.5~12時間であり、通常、撹拌するだけでゼラチンのアミノ基にシッフ塩基(GltnN=CR)を介してアルキル基が結合されたゼラチンを得ることができる。アルデヒドの使用量は、所望の誘導化率に相当する化学量論量に対して1~4倍とする。より好ましくは、1~2倍とする。
 次いで、該シッフ塩基を還元する。還元剤としてはシアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaBHCN)、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(NaBH(OAc))、2-ピコリンボラン、ピリジンボラン等の、公知の還元剤を使用することができる。これらのうち、2-ピコリンボランが好ましい。ピコリンボランは安定性であり、水性溶媒中でアルデヒドもしくはケトンの還元アミノ化反応を一段(ワンポット)で行うことが可能である。また、80~90%の収率を達成することができ、これはシアノ水素化ホウ素ナトリウムが70~75%であるのに比べて顕著に高い。2-ピコリンボランの使用量は、誘導体化薬剤の当量に対して1~3当量であることが好ましい。
(3)精製
 工程(2)で得られた反応溶液に、大過剰の貧溶媒、例えば冷エタノールを加えて、ゼラチン誘導体を沈殿させる。該沈殿を濾別した後、エタノール等で洗浄して、最終生成物を得る。
(4)第1剤の調製
 工程(3)で得られたゼラチン誘導体は粉末状の形態で、又はホウ酸緩衝液等の水性溶媒中の水溶液の形態で、容器に充填して供する。容器としては、ガラス製又はプラスチック製の、バイアル、ボトル、ディスペンサ、シリンジ等を用いることができる。所望により、誘導体化されていないゼラチン、その他添加剤を添加してよい。ゼラチン誘導体を粉末状で供する場合には、別途、ホウ酸緩衝液等の水性溶媒を容器に充填して供する。ゼラチン誘導体を水溶液で供する場合には、癒着防止材を患部に適用する際に使用する、先端部で両剤を混合することができるダブルシリンジ型ディスペンサ等の一方に充填してもよい。なお、本発明の癒着防止材が、ダブルシリンジ型ディスペンサや、混合用のバイアル、予備の水性溶媒等を付属品として含んでもよいことは言うまでもない。
[第2剤の調製法]
第2剤として例示した上記各架橋剤は、公知の方法で合成してもよいし、市販されているものを使用してもよい。該架橋剤と、それを溶解するための、例えばリン酸緩衝液等の水性溶媒を別々の容器、例えば架橋剤をガラス製のバイアルに、水性溶媒をプラスチックボトルに入れて供する。所望により、添加剤を添加してよい。第1剤の量と該第2剤の量は、(該架橋剤の官能基の当量/該ゼラチン誘導体のアミノ基の当量)が0.2~2となる量で供されるが、第1剤と第2剤を夫々独立に補充できる形態で供されてもよい。
<滅菌>
次いで、ディスペンサ等に充填された水溶液の形態の第1剤又はバイアル等に充填されたゼラチン誘導体粉末とボトル等に充填された水性溶媒との組み合わせの形態の第1剤、及び、バイアル等に充填された粉末形態の架橋剤とボトル等に充填された該架橋剤を溶解するための水性溶媒との組み合わせの形態の第2剤を夫々滅菌する。ゼラチン誘導体粉末および粉末形態の架橋剤の滅菌法は、放射線滅菌が好ましい。該放射線としては、電子線、ガンマ線、制動放射線が挙げられ、電子線滅菌が好ましい。総吸収線量としては、従来広く用いられている(第十四改正日本薬局方、第二部、参考情報、第1235頁、右欄、2.2 放射線法)20kGy以上であればよく、好ましくは25kGy~45kGyである。総吸収線量が20kGy以上となればよく、ゼラチン誘導体や架橋剤への損傷を防ぐために、電子線を複数回に分けて照射しても、滅菌効果には変わりはない。例えば総吸収線量30kGyで滅菌する場合には、10kGyの照射を3回照射してもよい。ゼラチン誘導体水溶液の滅菌法は、オートクレーブあるいはフィルター滅菌が好ましい。
<組織への適用方法等>
 本発明は、ヒト又はヒト以外の動物である対象の患部に、第1剤及び第2剤を施与する工程を含む癒着防止材膜の製造方法、及びその癒着防止材膜の製造方法を含む、対象の癒着防止方法も提供する。本発明の癒着防止材は、皮膚、血管、腱、神経、腸、及びリンパ管等の管状組織、肝臓、膵臓、及び心臓などの臓器の断裂部分に適用することができる。なかでも、湿潤組織、例えば、血管、肺等に好適に適用される。癒着防止材の適用方法としては、上述のとおり第2剤を、好ましくは使用直前に水溶液とする。その際の架橋剤の濃度は、既に述べたとおりである。得られた第2剤水溶液を、既に第1剤水溶液が充填されているダブルシリンジ型ディスペンサの空いている方のシリンジに充填して適用し、又は、ダブルシリンジを備えるエアアシストスプレーで噴霧して患部に施与する。施与後、数分~10分程度で膜が形成され、患部を封じることができる。
 以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ゼラチン誘導体の調製>
 特許文献3(特許第5995128号)に記載の方法でゼラチン誘導体を調製した。例として、オクタナールを用いてゼラチン誘導体1を調製した方法を示す。
 スケトウダラ由来のゼラチン(Mw33,000、新田ゼラチン(株)製)30gを50℃で水105mLに溶解したところへ、該ゼラチンのアミノ基の10モル%に相当する化学量論量のn-オクタナール139μLを40mLのエタノールに溶解した溶液を加え、50℃で1時間攪拌した。そこへ、2-ピコリンボラン143μLを5mLのエタノールに溶解した溶液を加えた。得られた反応混合物を50℃で17時間攪拌した後、反応混合物の10倍体積量の冷エタノール中に該反応混合物を滴下して、ゼラチン誘導体を沈殿させ、吸引濾過を行った。得られた沈殿物を冷エタノールで3回洗浄し後、濾別した。得られた濾過物を減圧乾燥して、ゼラチン誘導体1を得た。
 ゼラチン誘導体1の赤外線スペクトル(FTIR-8400、島津製作所株式会社)及び13C-NMRスペクトル(AL300、日本電子株式会社)を測定し、誘導体化を確認した。赤外線スペクトルでは、3280cm-1において第二級アミン、2936cm-1及び2879cm-1にメチレン基のピーク増加が、13C-NMRスペクトルでは17-17.5ppmに第一級炭素由来のピークが、夫々、認められ、アルキル基が導入されたことが確認された。
 誘導化率を以下の方法で測定した。ゼラチン誘導体1を体積比1:1のジメチルホルムアミド/水混合溶媒中に溶解して0.1w/v%溶液を得た。該溶液に0.1v/v%トリエチルアミン水溶液及び0.1w/v%トリニトロベンゼンスルホン酸水溶液を加えて、約1分間攪拌してトリニトロベンゼンスルホン酸を該ゼラチン誘導体中のアミノ基と反応させた後、マイクロプレートリーダー(SPARK 10M、テカンジャパン株式会社)で340nmの吸光度を測定した。ゼラチン誘導体1の誘導化率は、7.2モル%であった。
 n-オクタナールをn-デカナール又はn-ドデカナールに変えたこと、及びMw38,000のゼラチンに変えたことを除き、上記ゼラチン誘導体の調製方法と同様の方法で、表1に示すゼラチン誘導体を調製した。なお、表1等において、例えば「C8」はC8アルデヒドによって誘導化されたゼラチン(式(1)においてRがヘプチル基であり、Rが水素原子)を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 上記各ゼラチン誘導体を、pH9.5の0.1Mホウ酸緩衝液に15w/v%の濃度で溶解し、第1剤とした。
<第2剤の調製>
 第2剤として、ペンタエリスリトール‐ポリエチレングリコールエーテル テトラスクシンイミジル グルタレート(4S-PEG、日油(株)社製)を用いた。下記各評価の直前に、pH4.0の0.01Mリン酸緩衝液に、第1剤と同体積で混合した際に第1剤の残存アミノ基1当量に対して0.4当量(実施例4では0.5当量)となるように4S-PEGを溶解した。
<膜の調製法>
 ダブルシリンジ型ディスペンサで同体積の第1剤と第2剤を各試験における基材上に押し出して、実施例の膜を組織上に塗布した。また、表2に示すように、比較例としては誘導化前のゼラチン(比較例1:Org)と、フィブリン(比較例2:fibrin;商品名ボルヒール、化学及び血清療法研究所製)、セプラフィルム(比較例3:HA/CMC Film;商標、科研製薬株式会社)を、夫々の添付文書に従って用いた。比較例2及び3は実施例と同面積になる量で用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
なお、図3等において、比較例2は”Fibrin”, 比較例3は“HA/CMC”と表記する。
 癒着防止性を評価するために、インビトロでの細胞接着試験、細胞透過試験及びインビボ癒着防止試験を行った。
<細胞接着性>
 48ウェルプレートの底面上に、実施例2~5、及び比較例1の第1剤と第2剤を夫々150μLずつ施与して膜を形成し、紫外線を1時間照射して滅菌した。膜上にL929線維芽細胞を播種し(1.0×10細胞/ウェル)、炭酸ガス下、10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を含むRPMI-1640培地中、37℃で培養した。24時間後、細胞をD-PBSで洗浄し、WST-8アッセイキットを用いて膜上に付着した細胞数を計測した。コントロールとして、膜の無いものを用いた。
 結果を図1に示す。同図から分かるように、コントロールに比べて、いずれの実施例も細胞の接着が少なく、インビトロでの優れた癒着防止性を示唆した。
<細胞透過性>
 図2に模式的に示すような細胞培養インサート(トランズウェルインサート、PTFEメンブレン口径8.0μm、コーニングインターナショナル株式会社)を用いて、細胞透過性を評価した。インサートの底面上に、実施例1及び比較例1の第1剤と第2剤を夫々100μLずつ、及び同面積となる量の比較例2、3を施与して膜を形成し、紫外線を1時間照射して滅菌した。膜上にL929線維芽細胞を播種し(1.0×106細胞/ウェル)、炭酸ガス下、10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液を含むRPMI-1640培地中、37℃で培養した。24時間後、ウェル下部に透過した細胞数を計測し、膜を形成しない未処理の場合に対する割合(%)を求めた。結果を図3に示す。
 図3から分かるように、実施例はセプラフィルムに比べて細胞の透過性が有意に低く、この事が癒着防止性に寄与しているものと考えられる。
<インビボ癒着防止性評価>
 ラット(Wistar、7週雌、日本チャールス・リバー株式会社)を開腹して盲腸腹膜壁欠損モデルを用意した。盲腸壁(Cecum)を医療用ガーゼで擦って出血させ、盲腸壁を損傷させた。該損傷個所に対向する腹膜壁(Abdominal wall)を医療用ナイフで所定の大きさ(1.0×2.0cm)切除することで腹膜壁欠損を用意した。腹膜壁欠損と盲腸損傷の双方に実施例1及び比較例1~3の癒着防止材を、傷の全範囲を覆うように塗布した後、開腹部を縫合した。
 手術1週間後及び2週間後に、ラットを犠死させ手術部位の組織3カ所の断面の試験片を採取し、10%ホルマリン中性緩衝液中で固定して、ヘマトキシリン・エオジン染色し、光学顕微鏡により観察した。1週間後の写真を図4aに、2週間後の写真を図4bに示す。図中、“Untreated”は、欠損部に何も適用しなかったことを示す。各試験片の癒着(Adhesion)を表3の基準で評価した結果を表4、5に示す。スコアが低い試験片数が多いほど癒着が少ないことを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表4、5に示すように、未処置試料及びフィブリンを適用した組織には顕著に癒着が認められたが、実施例1は2週間後においても全く癒着が無く、優れた癒着防止性が確認された。
<シーリング強度>
 ASTM(F2392-04)に従い、ブタ大腸(φ30mm)を基材として用い、シーリング強度(耐圧強度)を測定した。実施例1、比較例1~3の第1剤と第2剤をそれぞれ100μLずつ混合し(架橋剤中のスクシンイミドエステル基の当量/ゼラチン誘導体中のアミノ基の当量=0.4)、前記ブタ大腸に塗布することで、厚さ1.0mm、直径15mmの癒着防止材膜を調製した。塗布後、5.0g/mmの荷重により10分間の圧着を行った後、37℃の生理食塩水を2ml/分で流し、破裂したときの圧力の測定を行った。結果を図5に示す。また、破裂した後の試験片組織を中性緩衝ホルマリン液で固定後ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、組織と試料との界面の観察を行った(図6)。
 図5に示すとおり、本発明の癒着防止材は、他の試料に比べて顕著に高いシーリング強度を示し、特許文献3に示した結果が再確認された。また、図6に示すように、フィブリン膜とセプラフィルムは、膜とブタ大腸との界面で剥離したが、本発明の癒着防止材は、癒着防止材膜自体が凝集破壊された。ここから、本発明の癒着防止材は接着強度にも優れることが分かる。
<タンパク質透過性>
 図7に示すような細胞培養インサート(トランズウェルインサート、PTFEメンブレン口径8.0μm、コーニングインターナショナル株式会社)を用い、D.Nwa et al.,J.Biomed.Mater.Res.B, 2013,101B,1251-1258記載の方法に従い、タンパク質透過性を調べた。インサートの底面上に、第1剤と第2剤を夫々100μLずつ施与して膜を形成し、紫外線を1時間照射して滅菌した。インサートを0.9mLのD-PBS中に浸漬した。フルオロセインイソシアネート標識アルブミンの0.1w/v%水溶液の0.1mLを該膜上に滴下した。24時間後の透過率を、該インサートの裏面の蛍光測定と画像解析システム(IVIS Lumina II、パーキンエルマ-社)を用いて求めた。結果を図8に示す。
 図8に示すように、実施例1はフィブリン膜及びセプラフィルムに比べて顕著に低いタンパク質透過率(約20%)を示し、大半のタンパク質は表面上に留まっていた。このタンパク質透過抑制作用が、癒着防止性に寄与しているものと考えられる。誘導化されていないゼラチン膜も透過率は低かったが、タンパク質が厚み全体に広がっていた。
<膨潤度>
 実施例1、比較例1の第1剤と第2剤を夫々1000μLずつ、厚さ0.5mmのシリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、板状の癒着防止材硬化物を作成した。得られた癒着防止材硬化物を直径4mmのポンチでくりぬくことにより、厚さ0.5mm、直径4mmの円形膜を調製した。凍結乾燥した後の重さ(W)を測定した。膜を37℃の生理食塩水中に浸漬し、経過時間による癒着防止材膜の重量(W)の変化から下記式に従い膨潤度を算出して調べた。
 
膨潤度(%)={(W-W)/W}×100
 
 図9に時間による膨潤度の変化を示す。試験を行った時間内では両者の試料に有意差は見られなかった。
 
<酵素分解性>
 実施例1及び比較例1について、第1剤と第2剤を夫々1000μLずつ、厚さ1.0mmのシリコーンゴムをスペーサーとする2枚のガラス板間に流し込み、板状の癒着防止材硬化物を作成した。得られた癒着防止材硬化物を直径10mmのポンチでくりぬくことにより、厚さ1.0mm、直径10mmの円形膜を調製し、初期重量(Wt0)を測定した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)とのカルシウム塩形成を防ぐだめに、試験片をトリス塩酸緩衝液(2.5mM CaCl、pH7.4)に一晩浸漬した。トリス塩酸緩衝液に100μg/mLの濃度でコラゲナーゼを溶解し、試験片を2mLのコラゲナーゼ溶液中に浸漬した。経過時間による癒着防止材膜の重量(W)の変化から下記式により分解されずに残った重量(%)を算出して調べた。
 
重量(%)=(W/Wt0)×100
 
上式においてWt0は初期重量、Wは浸漬後t時間における重量である。結果を図10に示す。
図10に示すように、実施例の膜は比較例に比べて分解時間が長く、手術部をより長時間保護することができることが確認された。
 本発明の癒着防止材は複雑な形状の手術部位に適用することができ、接着性を有する癒着防止材として、又は癒着防止性を有する外科用シーラントとして臨床での使用に大変適する。また、本発明の癒着防止法は、従来の方法では難しい部位に簡易に施すことができる。

Claims (7)

  1.  (1)ゼラチン誘導体を含む第1剤であって、該ゼラチン誘導体は、
      (a)下記式で表される構造を含み、
     
      GltnNH-CHR
     
       上式においてGltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数5~17のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数5~17のアルキル基である;
      (b)イミノ基/アミノ基(モル比)が1/99~30/70であり;
      (c)重量平均分子量が10,000~50,000である、
    第1剤、及び
     (2)該ゼラチン誘導体の架橋剤を含む第2剤
    からなる癒着防止材。
  2.  該ゼラチンが、スケトウダラ由来のゼラチンである、請求項1記載の癒着防止材。
  3.  Rが炭素数5~11のアルキル基であり、Rは水素原子である、請求項1又は2記載の癒着防止材。
  4.  該架橋剤が、少なくとも2つの活性化されたエステル基を有する、ポリエチレングリコールエーテル多塩基酸エステルである、請求項1~3のいずれか1項記載の癒着防止材。
  5.  組織接着性癒着防止材である、請求項1~4のいずれか1項記載の癒着防止材。
  6.  ヒト以外の動物である対象の患部の癒着を防止する方法であって、
     該患部に癒着防止材を施与する工程を含み、該癒着防止材が、
     (1)ゼラチン誘導体を含む第1剤であって、該ゼラチン誘導体は、
      (a)下記式で表される構造を含み、
     
      GltnNH-CHR
     
       上式においてGltnはゼラチン残基であり、Rは炭素数5~17のアルキル基であり、Rは水素原子または炭素数5~17のアルキル基である;
      (b)イミノ基/アミノ基(モル比)が1/99~30/70であり;
      (c)重量平均分子量が10,000~50,000である、
    第1剤、及び
     (2)該ゼラチン誘導体の架橋剤を含む第2剤
    からなる、癒着を防止する方法。
  7.  該患部に癒着防止材を施与する工程が、ダブルシリンジ型ディスペンサ又はダブルシリンジを備えるエアアシストスプレーにより、第1剤及び第2剤を噴霧する工程を含む、請求項6記載の方法。
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