WO2023181563A1 - 癒着防止材、及び癒着防止材の製造方法 - Google Patents

癒着防止材、及び癒着防止材の製造方法 Download PDF

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Abstract

粒子を含む癒着防止材であって、前記粒子は、第1ゼラチンと、第1ゼラチンに炭化水素基が導入されている第2ゼラチンとのゼラチン混合物の架橋物を含み、前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が、30mol%~50mol%であり、第2ゼラチンが、下記式(1)で表される構造を有する癒着防止材は、組織上での接着性、及び水環境下での接着安定性に優れ、簡便な操作性を有し、更に、工業的大量生産も容易となる。 式(1)において、Gltnはゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は2価の連結基を表し、R1は炭素数1~20のアルキル基であり、R2は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基である。

Description

癒着防止材、及び癒着防止材の製造方法
 本発明は、癒着防止材、及び癒着防止材の製造方法に関する。
 外科手術後において、術部の治癒過程や感染症によって臓器が腹壁に接着する術後癒着が高頻度で生じる。その発生率は67%~93%と高く、再手術を要するものは15%~18%であるとされる。術後癒着は痛みや腸閉塞を引き起こし、再手術を困難にする。その結果、再手術の時間が平均で18分も長くなるという報告もある。従って、術後癒着を防止するための新しい戦略が必要とされている。
 術後癒着は、創傷部の激しい炎症反応によりフィブリンが過剰に腹膜と臓器間に沈着し、その後3日~5日で線維芽細胞やマクロファージを含む炎症細胞が遊走することで引き起こされる。従って、術後癒着を防ぐには、フィブリン沈着と、他の創傷部位からの炎症細胞の遊走とを防ぐ、物理的バリア材の導入が有望な戦略の一つである。報告されている癒着防止材(物理的バリア材)は、(1)溶液型、(2)フィルム型、(3)ハイドロゲル型の3種類に大きく分類される。
 ヒアルロン酸溶液をはじめとする(1)溶液型癒着防止材(剤)は、腹膜への臓器の癒着防止効果が認められており、(2)フィルム型癒着防止材も臨床の現場で広く使用されている。例えば、カルボキシメチルセルロース/ヒアルロン酸ナトリウム(HA/CMC)からなるフィルムは、術後の癒着防止によく用いられる。また、(3)ハイドロゲル型癒着防止材は、優れた注入性、in situでの迅速なゲル化挙動、組織形状への適合性を有することが特徴である。ハイドロゲル型癒着防止材としては、カルボキシメチルデキストリン、アミノ基・アルデヒド修飾ヒアルロン酸等が報告されている。
 ところで、発明者は、デシル基修飾スケトウダラゼラチンを用いた組織接着性微粒子(ゼラチン誘導体微粒子)を報告している(例えば、特許文献1)。本粒子は、創傷被覆材等に適用した場合に、生体組織への優れた接着力を有することから、癒着防止材への応用が期待されている。
国際公開第2020/137903号
 しかし、従来から知られている癒着防止材は様々な課題を有していた。例えば、(1)溶液型癒着防止材は、組織上での安定性が低く、早期に吸収されてしまう。(2)フィルム型癒着防止材は、柔軟性に欠け、手術グローブに張り付く。特に腹腔鏡手術では、その脆弱性により腹腔内への導入は困難であることが報告されている。また、(3)ハイドロゲル型癒着防止材は、デュアルシリンジを用いて2つの溶液を混合することにより、in situでハイドロゲルを形成する。ハイドロゲルの調製にはプレゲル溶液と架橋溶液の2液を必要とし、専用のシリンジが必要であることから、調製方法が煩雑であった。
 このため、組織上での接着性、及び水環境下での接着安定性に優れ、簡便な操作性を有する、新たな癒着防止材が求められていた。
 特許文献1では、ゼラチン誘導体微粒子が、組織接着性、水中安定性等に優れることが開示されている。しかし、癒着防止材への応用を考えた場合には、更なる改良が必要であった。また、癒着防止材には、工業的に容易に大量生産可能な特性も求められていた。
 本発明は上記課題を解決するものである。即ち、本発明は、組織上での接着性、及び水環境下での接着安定性に優れ、簡便な操作性を有し、更に工業的大量生産が容易な新しい癒着防止材を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1]粒子を含む癒着防止材であって、
 前記粒子は、第1ゼラチンと、第1ゼラチンに炭化水素基が導入されている第2ゼラチンとのゼラチン混合物の架橋物を含み、
 前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が、30mol%~50mol%であり、
 第2ゼラチンが、後述する式(1)で表される構造を有する、癒着防止材。
[2]式(1)において、Lは単結合、又は-C(O)-である、[1]の癒着防止材。
[3]式(1)において、Lは単結合である、[2]の癒着防止材。
[4] 式(1)において、Rは直鎖のアルキル基であり、Rは水素原子である、[1]~[3]のいずれかに記載の癒着防止材。
[5]第2ゼラチンの炭化水素基導入率が、前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率より高い、[1]~[4]のいずれかに記載の癒着防止材。
[6]第2ゼラチンの炭化水素基導入率が、35mol%~80mol%である、[1]~[5]のいずれかに記載の癒着防止材。
[7]前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が、35mol%~45mol%である、[1]~[6]のいずれかに記載の癒着防止材。
[8]第1ゼラチンと第2ゼラチンとの合計質量に対する、第2ゼラチンの質量の割合が35質量%~90質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載の癒着防止材。
[9]第1ゼラチンがアルカリ処理済みゼラチンである、[1]~[8]のいずれかに記載の癒着防止材。
[10]第1ゼラチンが低エンドトキシン化処理済みゼラチンである、[1]~[9]のいずれかに記載の癒着防止材。
[11]第1ゼラチンが冷水魚由来である、[1]~[10]のいずれかに記載の癒着防止材。
[12]生体の患部に噴霧システムを用いて付与可能である、[1]~[11]のいずれかに記載の癒着防止材。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の癒着防止材の製造方法であって、
 第1ゼラチンと第2ゼラチンとの前記ゼラチン混合物を良溶媒に溶解させて、ゼラチン混合物溶液を調製することと、
 前記ゼラチン混合物溶液に貧溶媒を加え、前記ゼラチン混合物を含有する第1中間体粒子を前記ゼラチン混合物溶液中に析出させることと、
 第1中間体粒子を含む前記ゼラチン混合物溶液を凍結乾燥し、第2中間体粒子を得ることと、
 前記第2中間体粒子の前記ゼラチン混合物を架橋して、架橋された前記ゼラチン混合物の粒子を得ることを含む、癒着防止材の製造方法。
[14]前記第2中間体粒子を加熱し、前記ゼラチン混合物を架橋させる、[13]に記載の癒着防止材の製造方法。
 本発明の癒着防止材は、組織上での接着性、及び水環境下での接着安定性に優れ、簡便な操作性を有し、更に工業的大量生産が容易である。
本実施形態の癒着防止材(粒子)の構成、及び製造方法を説明する模式図である。 本実施形態の癒着防止材(粒子)の機能を説明する模式図である。 生体(ラット)内における、本実施形態の癒着防止材(粒子)の機能を説明する模式図である。 本実施形態の癒着防止材(粒子)のスプレーシステムを用いた付与について説明する模式図である。 実施例で作製した粒子のSEM(Scanning Electron Microscope)画像である。スケールバーは、10μmを示す。 実施例で作製した粒子の粒度分布を示す図である。 実施例で作製した粒子を内視鏡用スプレーデバイスで噴霧している写真である。 実施例で作製した粒子のコロイドゲルの含水率の時間依存性(水和時間と含水率との関係)を示すグラフである。 実施例で作製した粒子の凝集挙動を示す明視野顕微鏡写真である。スケールバーは20μmを示す。 実施例におけるIn vitroでの組織接着・非接着試験の手順を説明する模式図である。 実施例におけるIn vitroでの組織接着・非接着試験における、水和時間と接着強度との関係を示すグラフである。 実施例におけるIn vitroでの組織接着・非接着試験後の、上下治具に固定された組織及びコロイドゲルのヘマトキシリン・エオジン(HE)染色画像である。 実施例における水中安定性試験後の組織及びコロイドゲルのヘマトキシリン・エオジン(HE)染色画像である。 実施例における水中安定性試験後の組織上のコロイドゲル残存面積を示すグラフである。 実施例における、SDラット盲腸-腹壁癒着モデルへの癒着防止材(粒子)適用実験を説明する写真である。(a)正常な盲腸(Cecum)と腹膜(Peritoneal)の写真、(b)盲腸擦過傷、及び腹壁欠損(図中では、「Defect」と表示される)を形成した写真、(c)実施例で作製した粒子(MPs)を欠損部全体に付与した写真、(d)実施例で作製した粒子を生理食塩水で水和させて欠損上にコロイドゲルを形成した状態の写真。 実施例における、SDラット盲腸-腹壁癒着モデルへの癒着防止材(粒子)適用実験結果を示す写真である。 実施例における、SDラット盲腸-腹壁癒着モデルへの癒着防止材(粒子)適用実験結果(適用から1週間後(W1,1week)の癒着スコア)を示すグラフである。 実施例における、SDラット盲腸-腹壁癒着モデルへの癒着防止材(粒子)適用実験結果(適用から2週間後(W2,2weeks)の癒着スコア)を示すグラフである。
 以下、本発明について詳細に説明する。
 以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
 なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書における基(原子群)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、本発明の効果を奏する範囲で、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。このことは、各化合物についても同義である。
 本実施形態の癒着防止材は粒子を含み、該粒子は架橋されたゼラチン混合物を含む。ゼラチン混合物は、原料ゼラチン(「第1ゼラチン」の一例)と、原料ゼラチンに炭化水素基が導入されている疎水化ゼラチン(「第2ゼラチン」の一例)とを含む。
<原料ゼラチン(第1ゼラチン)>
 原料ゼラチンは、天然由来であってもよいし、合成されたもの(発酵、及び遺伝子組換え等を含む)であってもよい。又は天然由来の若しくは合成されたゼラチンに何らかの処理をしたものでもよい。より具体的には、ほ乳類、鳥類、及び魚類等の皮、骨、及び腱等から取得された天然由来のゼラチン;天然由来のゼラチンを酸又はアルカリで処理した(必要に応じて加熱抽出された)処理済みゼラチン;等が挙げられる。なかでも、より優れた本発明の効果を有する粒子が得られる点で、アルカリ処理済みゼラチンが好ましい。
 原料ゼラチンとしては、エンドトキシンの含有量が低減された低エンドトキシン化処理済みゼラチンが好ましい。低エンドトキシン化処理済みゼラチンとしては特に限定されず、公知のものが使用できる。例えば、特開2007-231225号公報に記載のものが挙げられる。この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
 ほ乳類由来のゼラチンとしては、ブタ、及びウシ由来のゼラチンが挙げられる。魚類由来のゼラチンとしては、特に限定されないが、なかでも、サケ、マス、タラ、スケトウダラ、タイ、ティラピア、及びマグロ等の冷水魚(冷水性魚類)由来のゼラチン(以下「冷水魚由来ゼラチン」ともいう。)が好ましい。
 冷水魚由来ゼラチンは、2個以上のアミノ酸が直鎖状に連結された高分子である。冷水魚由来ゼラチンは、構成アミノ酸1000個当たり、190個以下のイミノ酸を有している。より具体的には、80個以下のヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)と、110個以下のプロリンを有している。冷水魚由来ゼラチンの常温流動性は、ヒドロキシプロリン(Hydroxyproline)の数が80個以下であること、又はプロリンの数が110個以下であることに起因すると考えられる。いずれかの条件を満たせば、変性温度がほぼ室温以下となり、常温流動性が生じると考えられる。
 タイゼラチンのヒドロキシプロリン数は73、プロリン数は108で変性温度(Denaturation temperature)は302.5Kである。ティラピアゼラチンのヒドロキシプロリン数は82、プロリン数は110で変性温度は309Kである。これらに対して、ブタゼラチンのヒドロキシプロリン数は95、プロリン数は121で変性温度は316Kである。
 尚、冷水魚由来ゼラチンのアミノ酸配列は、動物由来のゼラチンのものと類似しており、酵素により容易に分解され得る。また生体親和性も高い。
 原料ゼラチンの分子量としては特に限定されないが、重量平均分子量(Mw)として、5,000~100,000が好ましく、10,000~50,000がより好ましく、20,000~40,000が更に好ましい。なお、本明細書において重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量を意味する。
 原料ゼラチンは、1種類のゼラチンのみから構成されてもよいし、2種類以上のゼラチンの混合物であってもよい。
<疎水化ゼラチン(第2ゼラチン)>
 本願明細書において、「疎水化ゼラチン」とは、原料ゼラチンに炭化水素基が導入されたゼラチン誘導体を意味する。疎水化ゼラチンは、下記式(1)で表される構造を有する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
 式(1)において、Gltnはゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基である。
 式(1)において、GltnNH-は、上述した原料ゼラチン由来の構造である。したがって、原料ゼラチンは、GltnNHで表される。-CHRは、原料ゼラチンに導入された炭化水素基であり、L(単結合、又は2価の連結基)を介して原料ゼラチンに導入されている。
 Lの2価の連結基としては特に限定されないが、-C(O)-、-C(O)O-、-OC(O)-、-O-、-S-、-N(R)-(Rは水素原子、又は1価の有機基(好ましくは炭素数1~20個の炭化水素基)を表す)、アルキレン基(好ましくは炭素数2~10のアルキレン基)、アルケニレン基(好ましくは炭素数2~10のアルケニレン基)、及びこれらの組み合わせ等が挙げられる。なかでも-C(O)-が好ましい。Lは、単結合、又は-C(O)-が好ましい。
 式(1)において、-CHR(炭化水素基)は、原料ゼラチンが有するε-アミノ基に結合したものであることが好ましく、原料ゼラチン中のリジン(Lys)のε-アミノ基に結合したものであることがより好ましい。アミノ基、好ましくはリジンのアミノ基に連結基を介して、又は介さずに(言い換えれば直接)、*-CHRを結合させる方法としては、例えば、いわゆる還元(的)アミノ化反応(アルデヒド、又はケトンを用いる方法)、及びショッテン・バウマン(Schotten-Baumann)反応(酸クロライドを用いる方法)等を利用する方法が挙げられる。
 尚、式(1)の-NH-構造(2級アミノ基)は、例えばFT-IR(フーリエ変換赤外吸収)スペクトルにおいて3300cm-1付近のバンドにより検出することができる。
 式(1)において、R及びRの炭素数1個~20個の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、炭素数1個~20個の鎖状炭化水素基、炭素数3個~20個の脂環式炭化水素基、炭素数6個~14個の芳香族炭化水素基、及びこれらを組み合わせた基が挙げられる。
 Rが1個~20個の炭化水素基である場合、Rは、Rと同一でも異なってもよい。また、R、及びRのアルキル基は直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
 炭素数1~20個の鎖状炭化水素基としては、特に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基(又はカプリル基)、ノニル基(又はペラルゴルニル基)、デシル基、ドデジシル基(又はラウリル基)、及びテトラデシル基(又はミリスチル基)等が挙げられる。なかでもより優れた接着性を有する粒子が得られ易い点で、Rが炭素数1個~13個のアルキル基であることが好ましく、炭素数7個~12個のアルキル基であることがより好ましく、炭素数8個~11個のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数9個~11個のアルキル基であることが特に好ましい。Rとしては特に限定されないが、水素原子であることが好ましい。
 炭素数3個~20個の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、及び、ノルボルニル基等が挙げられる。
 炭素数6個~14個の芳香族炭化水素基としては、特に限定されないが、フェニル基、トリル基、及びナフチル基等が挙げられる。
 上記を組み合わせた基としては、特に限定されないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、及び、ナフチルエチル基等の炭素数6~12個のアラルキル基等が挙げられる。
 また、炭化水素基(-CHR)の炭素数の合計は、9個~20個、9個~18個、又は、9個~14個が好ましい。また、炭化水素基(-CHR)において、Rが直鎖のアルキル基であり、且つRが水素原子又は直鎖のアルキル基であることが好ましく、Rは直鎖のアルキル基であり、且つRは水素原子であることがより好ましい。
 式(1)で表される疎水化ゼラチンとしては、以下の式(2)及び式(3)からなる群より選択される少なくとも1つが好ましく、式(2)で表されるゼラチン誘導体がより好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 式(2)は、式(1)においてLが単結合の場合である。式(2)では、炭化水素基(-CHR)が、イミノ結合(-NH-)を介して原料ゼラチンのゼラチン残基Gltnに導入されている。
 式(3)は、式(1)においてLが-C(O)-の場合である。式(3)では、炭化水素基(-CHR)が、アミド結合(-NHCO-)を介して原料ゼラチンのゼラチン残基Gltnに導入されている。
 式(2)及び式(3)中、各記号の意味はすでに説明した式(1)と同様であり、好適形態も同様である。
 疎水化ゼラチンは、1種類のゼラチン誘導体のみから構成されてもよいし、2種類以上のゼラチン誘導体の混合物であってもよい。
 ここで、疎水化前のゼラチン(原料ゼラチン)中のアミノ基(-NH)の含有量に対する、疎水化ゼラチン中におけるアルキル基が結合されたイミノ基(*-NH-CHR)の含有量のモル比を「炭化水素基導入率」と定義する。
 疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率は、後述するゼラチン混合物の炭化水素基導入率より高い値であれば特に限定されない。疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率は、例えば、35mol%~80mol%、40mol%~70mol%、又は45mol%~60mol%であってよい。換言すれば、疎水化ゼラチンにおける、イミノ基/アミノ基(モル比)は、35/65~80/20、40/60~70/30、又は45/55~60/40であってよい。疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率が上記範囲内であれば、後述するゼラチン混合物の炭化水素基導入率を特定の範囲に調整し易くなる。その結果として、本実施形態の癒着防止材(粒子)に適度な疎水性が付与される。
 なお、実施形態において、炭化水素基導入率は、原料ゼラチンのアミノ基数と、疎水化ゼラチンのアミノ基数を、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸法(TNBS法)によって定量し、得られた値から、以下の式により算出される。

疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率(モル%)
=[原料ゼラチンのアミノ基数-疎水化ゼラチンのアミノ基数]
/[原料ゼラチンのアミノ基数]×100
 疎水化ゼラチン1分子中に導入される炭化水素基(-CHR)の数は特に限定されない。炭化水素基の数は、原料ゼラチンの分子量に基づいて、炭化水素基導入率が所定の値となるように適宜調整され得る。例えば、疎水化ゼラチン1分子中の炭化水素基の数は、5個~10個、6個~9個、又は6個~8個としてよい。
 疎水化ゼラチンの分子量は特に限定されない。疎水化ゼラチンの分子量は、原料ゼラチンの分子量と導入された炭化水素基の種類と量(数)によって決定される。したがって、疎水化ゼラチンの重量平均分子量(Mw)の取り得る範囲は、上述の原料ゼラチンの重量平均分子量の取り得る範囲とほぼ同じである。
 以上説明した疎水化ゼラチンは、市販品であってもよいし、自家合成品であってもよい。疎水化ゼラチンは、例えば、特許文献1に開示される合成方法により、原料ゼラチンに疎水基(炭化水素基)を導入して合成してもよい。特許文献1に開示される疎水化ゼラチン(ゼラチン誘導体)の合成方法に関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
<粒子>
 本実施形態の粒子は、ゼラチン混合物の架橋物を含む。ゼラチン混合物は、上述の原料ゼラチン(第1ゼラチン)と、疎水化ゼラチン(第2ゼラチン)との混合物である(図1参照)。上述のように、原料ゼラチンと疎水化ゼラチンは、基本骨格が同一である。このため、これらの混合物では架橋反応が均一に進み、得られる粒子(架橋物)の組成も均一であり、後述する本実施形態の効果を奏し易い。
 ゼラチン混合物の炭化水素基導入率は、以下の式(I)によって算出できる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005

Xm:ゼラチン混合物の炭化水素基導入率(mol%)
Xc:疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率(mol%)
A:原料ゼラチンと疎水化ゼラチンとの合計質量に対する、第2ゼラチンの質量の割合(質量%)
 ゼラチン混合物の炭化水素基導入率は、30mol%~50mol%であり、又は、35mol%~45mol%であってよい。ゼラチン混合物の炭化水素基導入率がこの範囲であれば、癒着防止材(粒子)に適度な疎水性を付与でき、後述する本実施形態の効果を奏し易くなる。
 原料ゼラチンと、疎水化ゼラチンとの混合比率は特に限定されない。混合比率は、疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率に基づいて調整され得る。一形態として、ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が特定の値となるように、適宜調整され得る。例えば、原料ゼラチンと疎水化ゼラチンとの合計質量に対する、第2ゼラチンの質量の割合(Xc)は、35質量%~90質量%、35質量%~70質量%、又は35質量%~50質量%とすることができる。
 本実施形態の粒子は、架橋されたゼラチン混合物(ゼラチン混合物の架橋物)を含む。本願明細書において「架橋された」とは、可逆的な物理架橋構造は含まず、不可逆的な架橋反応により得られる架橋構造を意味する。したがって、「架橋されたゼラチン混合物(ゼラチン混合物の架橋物)」は、架橋反応により得られる不可逆的な架橋構造を有する。架橋反応は、ゼラチン混合物に熱、光、エネルギー線などでエネルギーを付与することで起こる。また、架橋反応は、架橋剤によっても起こる。架橋されたゼラチン混合物における架橋反応は、上記の一方、又は、両方によって起こされ得る。
 粒子は、架橋剤(原料ゼラチン及び疎水化ゼラチンとは異なる化合物)によってゼラチン混合物を架橋したものであってもよい。架橋剤を用いない場合、架橋剤に由来する不純物の発生が無く安全である点で、好ましい。この場合、架橋は、例えば、ゼラチンの側鎖の官能基(-NH、-OH、-SH、-COOH等)間の反応を通じて生じる。架橋されたゼラチン混合物を含有する粒子は、接着強度が増強するため、より癒着防止材等に適する。
 本発明の実施形態において、粒子は、ゼラチン混合物の架橋物のみから構成されていてもよい。また、本発明の効果を奏する範囲内においてその他の成分を含有していてもよい。
 粒子中における、ゼラチン混合物の架橋物の割合(含有量)は特に限定されない。より優れた本発明の効果を有する粒子が得られ易い点で、架橋物の割合は、100質量%、98質量%以上、又は90質量%以上であってよい。
 粒子が含有してもよいその他の成分としては特に限定されないが、例えば、溶媒、緩衝化剤、着色料、保存料、賦形剤、及び薬剤(抗血栓薬、抗菌剤、及び、成長因子等)等が挙げられる。
 本実施形態の粒子の平均粒子径は特に限定されないが、例えば、0.5μm~50μmであり、好ましくは1μm~30μmであり、より好ましくは1μm~10μmである。本願明細書における「平均粒径」は、電子顕微鏡によってランダムに100個の粒子の粒径(長径)を測定して平均することによって求められた値である。
<癒着防止材>
 以上説明した粒子は、癒着防止材として使用可能である。癒着防止材は、手術後の癒着の軽減を目的に、手術時に適用部位に直接使用する生体吸収性の合成材料として定義され(「特定医療材料及びその材料価格(材料価格基準)」平成28年厚生労働省告示第402号)る。癒着防止材は、一般的には「癒着防止吸収性バリア」と呼ばれる。
 本実施形態の癒着防止材は、以下の利点を有する。
 まず、本実施形態の癒着防止材は粒子であるため、シートタイプの癒着防止材と比較して取り扱いが容易である。更に、本実施形態の癒着防止材(粉体)は1液型であり、架橋剤等が不要である。このため、2液型と比較して低コストで、且つ取り扱いも容易である。本実施形態の癒着防止材は、汎用の噴射システムを用いて患部(欠損部)に付与可能である。これにより、腹腔鏡手術のみならず、内視鏡手術においても容易に使用できる。
 図4は、本実施形態の癒着防止材(粒子)のスプレーシステムを用いた付与について説明する模式図である。生体内の組織41には、欠損部37が存在する。これに対し、癒着防止材である粒子10(例えば「C10-MPs」)が、スプレーデバイス(図中「Spray」)により付与(噴霧)される。
 すなわち、本実施形態の癒着防止材(粒子)は、欠損部37に「スプレー可能」という特徴を有する。
 本実施形態の癒着防止材(粒子)は、ゼラチン混合物の架橋物を含む。ゼラチン混合物は、上述のように特定範囲の炭化水素基導入率を有する。その結果、本実施形態の粒子は、適度な疎水性を有する。
 この適度な疎水性により、例えば、外科手術において患部の組織上に付与された粒子は、水和し、粒子間の疎水性相互作用により融合してコロイドゲル層を形成する。このコロイドゲルの層が、物理バリアとなり、癒着防止能を発現する。
 図2は、癒着防止材(粒子)の機能を説明する模式図である。
 まず、癒着防止材である粒子10が組織に付着する(A)。組織は、漿膜層22、筋層23、粘膜下層24、及び粘膜層25の積層構造とされ、その表面には、水層26が存在する。
 粒子10が組織に付着すると、水層26によって徐々に水和される(B)。組織表面に付着した粒子10は、漿膜層22上に、コロイドゲル38の層(コロイドゲル層)を形成する(C)。コロイドゲル(colloidal gel)38の層は、疎水性相互作用21により、漿膜層22に強く接着する。一方で、コロイドゲル38は、他の組織との間では、非接着性20を示す。
 図3は、生体(ラット)内における、本実施形態の癒着防止材(粒子)の機能を説明する模式図である。ラット30の腹部31の内部(腹腔36)、及び盲腸39にそれぞれ欠損部37(37a、37b)が存在する。画像32は、癒着防止材(粒子10)の処置前の状態を表す。
 次に、癒着防止材(粒子10)が欠損部37に付与される(矢印44)。画像33は、癒着防止材(粒子10)が付与された状態を表す。欠損部37a、37bに、それぞれ粒子10が付与されて水和する。これにより、欠損部37a、37b上にコロイドゲル38a、38bの層が形成される。
 画像34は、A-B部分の組織断面の模式図である。組織41上には、水和された粒子10によるコロイドゲル38bの層が形成される。コロイドゲル38bの層は、他の組織に対しては(矢印42)物理的バリアとしての非接着性を発揮する。一方、組織41側(矢印43)については粒子10と組織41間での疎水性相互作用による組織接着性を発揮する。これにより、組織41と、他の組織との癒着が抑制される。
 癒着防止材(粒子10)を用いない場合(矢印45)について説明する。画像35は、癒着防止材(粒子10)を用いない状態を表す。この場合、欠損部37a、37bは互いに癒着40する。
 適度な疎水性を有する本実施形態の粒子のコロイドゲル層は、患部組織表面の水分を吸収するとともに、粒子-患部組織間で疎水性相互作用を形成し、患部表面に強く接着する。一方で、完全に水和した後は、コロイドゲル層表面の水分、及び組織表面(コロイドゲル層が形成されている組織とは異なる、他の組織の表面)の水分の存在により、コロイドゲル層は別の組織に対して接着性を示さなくなる。このように、本実施形態の癒着防止材(粒子)は、患部組織に対する接着性と、他の組織に対する非接着性(癒着防止能)との両機能を有する(図2及び図3参照)。従来の一般的な癒着防止材は、物理バリアとして機能するが、湿潤状態では軟組織に対する接着性が低く、組織欠損部(患部)から容易に剥離してしまうという課題を有していた。本実施形態の癒着防止材は、上述のようにこの課題を解決することができる。
 癒着防止材は、一定期間の間、湿潤状態で患部に安定に存在することが求められる。癒着防止材が生理的環境(湿潤状態)下において患部に安定に接着されていない場合、フィブリン沈着や線維芽細胞の遊走により、術後癒着が誘発される虞がある。適度な疎水性を有する本実施形態の癒着防止材は、コロイドゲル層-患部組織間で疎水性相互作用を形成し、これにより湿潤状態においても高い安定性を示す。
 胃、十二指腸、大腸などの消化器は、蠕動運動により頻繁に収縮する。従って、形状が変化する組織上での癒着防止材の追従性は重要な性質である。本実施形態の癒着防止材は、コロイドゲル層が患部組織に強固に接着し、組織の変形に対して優れた追従性を示す。また、本実施形態の癒着防止材は、コロイドゲル層が癒着防止効果を発揮した後、そのコロイドゲル層は速やかに分解吸収されるという特長を有する。
 また、癒着防止材(粒子)を一種類の疎水化ゼラチンのみから作製する場合、炭化水素基導入率を特定の値に調整する手順は煩雑である。収率等を考慮して、炭化水素基の導入率を調整するとともに、確認のための測定が必要だからである。
 本実施形態の癒着防止材(粒子)は、原料ゼラチン(第1ゼラチン)と、疎水化ゼラチン(第2ゼラチン)との混合物を用いるため、この点にも優位性がある。
 本実施形態の癒着防止材(粒子)は、疎水化ゼラチンの炭化水素基導入率(Xc)に基づいて、原料ゼラチンと疎水化ゼラチンとの混合比率(A)を調整するだけでよい。これにより、ゼラチン混合物の炭化水素基導入率(Xm)、即ち、癒着防止材(粒子)の疎水性を容易に調整できる(上述の式(I)参照)。
 また、混合比率(A)を変えることで、1種類の疎水化ゼラチンから、疎水性の程度の異なる複数種類の癒着防止材を作製することも可能である。また、癒着防止材を一種類の疎水化ゼラチンのみから作製する場合と比較して、疎水化ゼラチンの使用量が少なくて済む。本実施形態の癒着防止材は、疎水化ゼラチンに原料ゼラチンを混合して使用するからである。
 疎水化ゼラチンは、原料ゼラチンから合成されるため、合成の手間がかかり、また製造コストも原料ゼラチンより高い。所定の疎水性を有する粒子を製造するために必要な疎水化ゼラチンの量が相対的に少なくなりやすい点でも、本実施形態の癒着防止材は優れている。合成の手間、製造コストは、原料ゼラチンへの疎水性基の導入量ではなく、合成すべき疎水化ゼラチンの量、及び、その回数により大きく依存するからである。結果として、合成の手間が省け、製造コストを抑制できる。
 以上説明した利点を有する本実施形態の癒着防止材は、工業的大量生産に適しており、大量生産することで、更に製造コストを下げることが可能となる。
 本実施形態の粒子は癒着防止材として用いられるが、同時に、創傷被覆材としても使用可能である。即ち、創傷被覆、及び癒着防止の2つの機能を有する部材として使用できる。例えば、術後の損傷部に適用すれば、創傷被覆効果と癒着防止効果とを有する膜が形成される。従来、創傷被覆材と癒着防止材とを別々に適用していたのと比較して、より簡便に両者を達成できる。更に、本発明の実施形態に係る粒子は、血液凝固能に優れ、止血材としても使用可能である。創傷被覆、及び癒着防止という機能に加え、血液凝固能を有する部材の形成用としても使用できる。
<粒子の製造方法>
 本実施形態の粒子の製造方法は特に限定されない。例えば、特許文献1に開示されるコアセルベーション法を利用して製造してもよい。特許文献1に開示される粒子の製造方法に関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。以下に、本実施形態の粒子の製造方法の一例を説明する。
 本実施形態の製造方法は、例えば、以下の各工程を含む。
 工程1:原料ゼラチンと疎水化ゼラチンとのゼラチン混合物を良溶媒に溶解させて、ゼラチン混合物溶液を調製する工程、
 工程2:ゼラチン混合物溶液に貧溶媒を加え、ゼラチン混合物を含有する第1中間体粒子をゼラチン混合物溶液中に析出させる工程、
 工程3:第1中間体粒子を含むゼラチン混合物溶液を凍結乾燥し、第2中間体粒子を得る工程、
 工程4:第2中間体粒子のゼラチン混合物を架橋させて、架橋されたゼラチン混合物の粒子を得る工程。
工程1:
 工程1は、すでに説明したゼラチン混合物を良溶媒に溶解させ、ゼラチン混合物溶液を得る工程である。本明細書において、良溶媒とは、ゼラチン混合物を溶解させやすい溶媒を意味する。その種類は特に限定されないが、水、グリセリン、酢酸、及びこれらの混合物等が挙げられ、なかでも水を含有することが好ましい。また、上記良溶媒は加温されてもよい。加温の際の温度としては特に限定されないが、50℃~70℃が好ましい。
 ゼラチン混合物を良溶媒に溶解させる方法としては、特に限定されず、公知の方法が使用できる。例えば、ゼラチン混合物に低温(例えば室温)の良溶媒を加えてゼラチン混合物を膨潤させ、得られた膨潤体を加熱して、ゼラチン混合物溶液を得る方法(膨潤溶解法)、及び予め加熱した上記良溶媒にゼラチン混合物を投入し、ゼラチン混合物溶液を得る方法(直接溶解法)を使用できる。
 ゼラチン混合物溶液中のゼラチン混合物の含有量としては特に限定されないが、ゼラチン混合物溶液の全体積に対して、ゼラチン混合物の含有量(終濃度)が0.01質量/体積%~30質量/体積%が好ましく、1質量/体積%~25質量/体積%がより好ましく、5質量/体積%~20質量/体積%が更に好ましく、5質量/体積%~15質量/体積%が特に好ましい。
工程2:
 工程2はゼラチン混合物溶液に貧溶媒を加え、ゼラチン混合物を含有する第1中間体粒子をゼラチン混合物溶液中に析出させる工程である(コアセルベーション)。本明細書において、貧溶媒とは、工程1で使用した良溶媒と比較した場合に、ゼラチン混合物をより溶解させ難い溶媒を意味する。すなわち、本明細書において、良溶媒、及び貧溶媒とは、ゼラチン混合物の溶解度の絶対量により定義されるのではなく、それぞれ貧溶媒及び良溶媒との関係で相対的に定義される。
 貧溶媒としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒が挙げられ、中でも、水溶性の有機溶媒が好ましく、アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、及びt-ブチルアルコール等がより好ましい。
 ゼラチン混合物溶液に貧溶媒を加えると、ゼラチン混合物溶液中に第1中間体粒子が析出する。この第1中間体粒子は、上記ゼラチン混合物を含有する粒子状物である。本工程において析出する第1中間体粒子の粒子径としては特に限定されないが、0.1μm~100μmが好ましく、1μm~50μmがより好ましく、1μm~10μmが更に好ましい。粒子径が上記範囲内であると、ゼラチン混合物溶液中で析出した中間体粒子がより沈降しにくくなる。その結果、後述する工程3の凍結乾燥のプロセスにおいて、中間体粒子同士が凝集するのがより抑制されやすい。
 貧溶媒を加える際の温度としては特に限定されないが、一般に10℃~30℃が好ましく、15℃~25℃がより好ましい。工程1において、溶媒を加熱してゼラチン混合物を溶解させた場合には、工程1及び工程2の間に、ゼラチン混合物溶液を冷却する工程を更に有することが好ましい。
 貧溶媒を滴下する際、ゼラチン混合物溶液を撹拌することが好ましい。撹拌の方法としては特に限定されず、公知の方法が使用できる。ゼラチン混合物溶液を撹拌しながら貧溶媒を加えることにより、析出する粒子がより凝集しにくく、かつ、より沈降しにくい。
工程3:
 工程3は、上記コアセルベーションにより析出した未架橋ゼラチン粒子(第1中間体粒子)の分散溶液を凍結乾燥させ、第2中間体粒子を得る工程である。ゼラチン混合物溶液の凍結の方法としては特に限定されないが、より急速に凍結させることが好ましい。これにより、凍結させる際に未架橋ゼラチン混合物を含有する粒子がより凝集しにくくなる。
 凍結させる際の雰囲気温度としては特に限定されないが、-20℃以下が好ましく、-30℃以下がより好ましい。また、凍結乾燥の方法としては特に限定されず、公知の方法が使用できる。第2中間体粒子は、第1中間体粒子を含む粒子である。第2中間体粒子は第1中間体粒子以外の成分を含んでもよい。このような成分としては、例えば、上記良溶媒、及び貧溶媒等が挙げられる。
工程4:
 工程4は、第2中間体粒子のゼラチン混合物を架橋させて、架橋されたゼラチン混合物(架橋物)を含有する粒子を得る工程である。本工程を経て、粒子のゼラチン混合物が不可逆的に分子間、及び/又は分子内で架橋する。その結果、ゼラチン混合物の架橋物を含有する粒子が得られる。
 架橋の方法としては特に限定されないが、例えば、ゼラチン混合物に、熱エネルギーを付与し、又は活性光線若しくは放射線(例えば、電子線等)等を照射する方法が挙げられる。なかでも、より容易にゼラチン混合物の架橋物が得られ、架橋剤に由来する不純物の発生が無く安全な点で、熱エネルギーを付与する(言い換えれば加熱する)方法が好ましい(熱架橋)。この方法では、例えば、ゼラチン混合物中のアミノ基とその他の反応性基(例えば、カルボキシ基、及びメルカプト基等)が反応し、架橋構造が形成される。
 熱架橋の方法としては特に限定されず公知の方法が使用できる。熱架橋の方法としては、例えば、第2中間体粒子が収容された容器を、容器ごと加熱雰囲気(例えば、オーブン内)に配置し、所定の時間維持する方法が挙げられる。
 熱架橋の際の加熱温度としては特に限定されないが、一般に、80℃~200℃が好ましく、100℃~200℃がより好ましい。熱架橋の際の加熱時間としては特に限定されないが、一般に、0.1時間~20時間が好ましく、0.5時間~10時間がより好ましく、1時間~6時間が更に好ましく、2時間~5時間がより更に好ましく、2.5時間~4時間が特に好ましい。加熱時間が上記数値範囲内であると、得られる粒子は、より優れた接着性が得られやすい。
 また、ゼラチン混合物の架橋物は、ゼラチン混合物と、架橋剤とを反応させて得られたものであってもよい。架橋剤としては特に限定されないが、ゲニピン、N-ヒドロキシスクシンイミド、N-スルホキシスクシンイミドで活性化された多塩基酸、アルデヒド化合物、酸無水物、ジチオカーボネート、及びジイソチオシアネート等が挙げられる。架橋剤としては、例えば、国際公開第2018/079538号の0021段落~0024段落に記載された化合物も使用でき、上記内容は本明細書に組み込まれる。
 以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
1.粒子の作製
[疎水化ゼラチンの合成]
 原料ゼラチンとして、スケトウダラ由来ゼラチン(以下、適宜、「Org-ApGltn」又は単に「Org」と記載する)を用いた。疎水化ゼラチンとして、Org-ApGltnにデシル基が導入されたゼラチン誘導体(以下、適宜、「C10-ApGltn」と記載する)を用いた。疎水化ゼラチンは、デカナールを原料ゼラチンのアミノ基と反応させ、シッフ塩基を形成させた後に、得られたシッフ塩基を還元剤によって安定な第2級アミンに還元して得た。以下に、疎水化ゼラチンの合成の詳細を記載する。
 100gのスケトウダラ由来ゼラチン(Org-ApGltn)(新田ゼラチン株式会社製、重量平均分子量(Mw):38,552Da、アミノ基含有量:339μmol/g)を105mLの超純水に溶解しさせた。この溶液を50℃に加熱して攪拌しながら、Org-ApGltnのアミノ基量(339μmol/g)の2倍等量のデカナール(東京化成工業株式会社製、67.8mmol)をエタノール(純生化学株式会社製)と共に添加した。これにより、デカナールとOrg-ApGltnのアミノ基間にイミン結合を形成させた。
 上記の溶液を同温度(50℃)で1時間撹拌した後、2-ピコリンボラン(純生化学株式会社製、50.85mmol)をエタノールとともに加え、イミンを還元した。得られた混合溶液(Org-ApGltn濃度:20質量/体積%、水:エタノール=105:45mL)を50℃で17時間攪拌し反応を進行させた。
 反応後の混合溶液(150mL)を1500mLの冷エタノール(-7~4℃)に滴下し、C10-ApGltnを精製した。得られた再沈殿物を1500mLのエタノールで洗浄(1時間×3回)することで未反応のデカナール、及び2-ピコリンボランを除去した。その後、3日間真空乾燥し、C10-ApGltnを収率92.9質量%で得た。
 得られたC10-ApGltnにデシル基が導入されていることは、フーリエ変換赤外分光法、及びH-NMRによって確認できた。また、C10-ApGltnの炭化水素基導入率(以下、適宜、「デシル基導入率DS」又は単に「DS」と記載する)を算出した。DSは、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸法(TNBS法)によって定量された原料ゼラチンのアミノ基数と、疎水化ゼラチンのアミノ基数とから算出された。
 算出されたC10-ApGltnのDSは、49mol%であった。これは、1分子のC10-ApGltn中のアミノ基に6.4個のデシル基が導入されていることを意味する。以下、DSが49mol%の疎水化ゼラチンを49C10-ApGltn(又は、単に「49C10」)と記載する場合がある。得られた49C10-ApGltnのDS値等を表1にまとめて記載する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
[粒子の作製]
 疎水化ゼラチンの貧溶媒であるエタノールを用いたコアセルベーション法により、原料ゼラチン及び/又は疎水化ゼラチンを表2に示す比率で用いて、疎水性の異なる8種類の粒子を作製した(図1参照)。以下に、粒子作製の詳細を記載する。
<試料1(49C10-MPs)>
 まず、合成した49C10-ApGltnを50℃の超純水に溶解し、5質量/体積%C10-ApGltn水溶液を得た。次に、室温(25℃)で撹拌(400rpm)しながら、溶液に等量のエタノールを少量ずつ滴下した。得られた溶液を-30℃で24時間仮凍結し、その後凍結乾燥した。得られた乾燥粒子を、真空条件下(3mbar未満)で、150℃、3時間加熱し、49C10-ApGltnのカルボキシ基とアミノ基間にアミド結合を形成させることで熱架橋した。これにより、49C10-ApGltnのみの架橋物である粒子(49C10-MPs)を得た。
<試料2(Org-MPs)>
 疎水化ゼラチン(49C10-ApGltn)に代えて、原料ゼラチン(Org-ApGltn)を用いた以外は、試料1と同様の方法により試料2を作製した。
<試料3~8>
 試料1では疎水化ゼラチン(49C10-ApGltn)のみを用いたが、試料3~8では、それに代えて、原料ゼラチンと疎水化ゼラチンとの表2に示す混合比の混合物を用いた。それ以外は、試料1と同様の方法により試料3~8(10C10-MPs~45C10-MPs)を作製した。
 各試料1~8(粒子)の収率、粒子の原料(原料ゼラチン、疎水化ゼラチン、又はゼラチン混合物)のDSも併せて表2に示す。DSは、上述した式(I)により算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
2.評価
[粒子のSEM観察、粒度分布]
 作製した試料1~8のSEM観察を行い、粒度分布を「Image J」で解析した。図5Aに示すように、全ての試料1~8は、マイクロスケールの粒子径の球体(マイクロ粒子)であった。また、図5Bに示すように、試料1~8の平均粒子径は、2~3μmであり、各試料の粒度分布はDSによって変化しなかった。
 なお、図5A、図5Bにおいて、「Org」とあるのは、試料2の「Org-MPs」を表す。また、「10C10」とあるのは、試料3の「10C10-MPs」を表す。その他、「20C10」「30C10」、「35C10」、「40C10」、「45C10」、「49C10」とあるのは、それぞれ、試料4、5、6、7、8、1をそれぞれ表す。
[噴霧テスト]
 作製した試料1~8について、内視鏡用スプレーデバイス(噴霧システム)を用いて噴霧テストを行った。図6に示すように、試料1~8は内視鏡用スプレーデバイスで噴霧可能であり、例えば、手術中に内蔵組織の表面に直接噴霧可能であることが確認できた。
[コロイドゲルの作製と評価]
<コロイドゲルの含水率>
 試料8(45C10-MPs)50mgを厚さ1mm、直径10mmのシリコン製の鋳型に詰めてスパチュラを用いて平らにならした。300μLの生理食塩水(大塚製薬株式会社製)を滴下して所定時間(水和時間:1~30分)水和させることで、コロイドゲルを作製した。その後、コロイドゲル表面の余分な水分を除去し、得られたコロイドゲルの重量(Ww)を測定した後、凍結乾燥させた。最後に、乾燥後のゲルの重量(Wd)を測定し、下記式により、各コロイドゲルの含水率を算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000008
 図7Aに、試料8(45C10-MPs)のコロイドゲル含水率の時間依存性(水和時間と含水率との関係)を示す。試料2(Org-MPs)についても、同様にコロイドゲル含水率の時間依存性を評価した。結果を合わせて図7Aに示す。
 図7Aから理解できるように、試料2(Org-MPs)及び試料8(45C10-MPs)は徐々に水を吸収してコロイドゲルを形成し、30分後には平衡膨潤に達した。また、5分以降の含水率においては、DSの高い試料8(45C10-MP)の含水率(53~69%)の方が、試料2(Org-MPs)の含水率(64~82%)より低く、疎水性が高いことが確認できた。
 なお、試験はn=3で行われ、図7A中、「**」は、P<0.01、「***」はP<0.001を意味する。
<粒子の融合観察>
 湿潤環境下での粒子の凝集挙動を観察した。試料2(Org-MPs)及び試料8(45C10-MPs)、それぞれ10mgを200μLの生理食塩水に添加して懸濁液を調製した。この懸濁液を最大で2時間培養した後、明視野顕微鏡(キーエンス株式会社製、BZ-X710)を用いて、粒子の凝集挙動を観察した。明視野顕微鏡写真を図7Bに示す。
 Org-MPsは、いずれの水和時間においても互いに孤立しており、粒子の融合は確認できなかった。一方、45C10-MPsは水和時間の経過とともに凝集し、疎水性相互作用によりコロイドゲルを形成していた。45C10-MPsは30分の水和後では密にパッキングされた構造を示した。その後、60分間水和させるとほぼ全ての45C10-MPが互いに融合し大きな会合体を形成した。この結果は、45C10-MPs間の疎水性相互作用が湿潤条件下でのコロイドゲル形成のドライビングフォースであることも示唆する。
[In vitroでの組織接着・非接着試験]
 コロイドゲルの組織への接着強度に及ぼす、水和時間の影響を評価した。試験方法は、米国試験材料協会の規格(ASTM F-2258-05)に従って行った(図8A参照)。
 まず、新鮮なブタ胃(東京芝浦臓器から購入)を開き、粘膜層を取り除き、粘膜下組織である漿膜組織(81)を露出させた。得られた漿膜組織(81)を2.5cm四方の組織片へと裁断し、試験装置(Stable Micro Systems社の製、テクスチャーアナライザーTA-XT2i)の上下の治具(80)のステージそれぞれにシアノアクリレート系(ヘンケルジャパン株式会社製)を用いて固定した。ホットプレート(83)を用いることで測定中のブタ胃内壁組織の温度を37℃に保った。
 上記組織表面の余分な水分を取り除くため、工業用紙ウエス(82)(商品名「キムワイプ」)を80kPaで3分間押し付けて水分を取り除いた。その後、試料8(45C10-MPs)100mgを、下治具のステージ上の組織を覆うように散布し、湿潤環境下で所定時間(水和時間:1~30分間)水和させた。これにより、コロイドゲル(38)の層を形成させた。具体的には、組織表面と試料8(45C10-MPs)周辺の湿度を腸内環境に近づけるため、組織周辺に生理食塩水(84)(7mL)を満たし、プラスチックカバー(85)で組織を覆った。
 所定時間水和させた後、下治具の試料8(コロイドゲル38)上に上治具を乗せて80kPaの圧力下で3分間圧着した。その後、上治具を10mm/minで上昇させ、試料8(45C10-MPs)の接着強度を測定した。図8Bに、水和時間と接着強度との関係を示す。試料2(Org-MPs)についても、同様の評価を行い、結果を図8Bに示す。また、コントロールとして、粒子を散布していない2つの組織間の接着強度も併せて図8Bに示す。
 更に、接着強度の測定後、組織切片を10%ホルマリン緩衝液(和光純薬工業株式会社製)で固定し、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色した後、コロイドゲルと組織の界面を観察した。光学顕微鏡写真を図8Cに示す。
 図8Bに示すように、試料2(Org-MPs)のコロイドゲルの接着強度は、水和時間の増大によって大きく変化しなかった(最大強度:2.73kPa、最小強度:1.48kPa)。一方、試料8(45C10-MPs)のコロイドゲルの接着強度は、水和時間と共に5.24kPaから2.41kPaに減少し、30分間の水和によって試料2(Org-MPs)のコロイドゲルの接着強度付近まで低下した。
 図8Cに示すHE染色の観察から理解できるように、試料8(45C10-MPs)のコロイドゲルは、1分間と3分間の水和では、上部と下部の双方の組織表面に接着していたが、30分間の水和では、上部組織表面に接着したコロイドゲル量が減少した。この結果は、試料8(45C10-MPs)が水和時間30分で十分に水和してコロイドゲルを形成すると同時に、他の組織に対して非接着性となることを示している。粒子が水和する過程では、試料8(45C10-MPs)は組織表面の水分を吸収するとともに粒子-組織間で疎水性相互作用を形成し強く接着することができる。そして、完全に水和した後は、コロイドゲル表面および組織表面の水分の存在によりコロイドゲル層は接着性を示さなくなる(癒着防止効果を示す)と考えられる(図2参照)。
[水中安定性試験]
 粒子のコロイドゲルの水中安定性は、コロイドゲルを胃組織(粘膜下層)に接着させた後に、生理食塩水に浸漬することにより評価した。まず、ブタの胃組織を2.5×2.5cmに切り分けた。試料8(45C10-MPs)50mgを組織上に直径10mmの円形に散布し、300μLの生理食塩水で30分間水和させてコロイドゲルを形成させた。胃組織に接着したコロイドゲルを0.05質量/体積%アジ化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を含む生理食塩水に浸漬し、37℃で2日間培養した。その後、胃組織に接着したコロイドゲルを10%ホルマリン緩衝液で固定し、HE染色後にコロイドゲルと組織との界面を観察した。光学顕微鏡写真を図9Aに示す。試料1~7についても同様の評価を行い、結果を図9Aに示す。
 更に、HE染色画像の画像解析により、胃組織上のコロイドゲル残存面積を定量化した。試料1~8の結果を図9Bに示す。尚、図9A及び図9Bにおいて、各試料は、粒子名の前半部分(-MPsより前の部分)を記載している。例えば、粒子45C10-MPs(試料8)は、「45C10」と表記した。
 図9A及び図9Bに示すように、DS30mol%未満の試料は、水中安定性試験後、組織表面にコロイドゲルはほぼ確認できなかった。一方で、DS30mol%以上の試料のコロイドゲル、より好ましくはDS35mol%以上の試料のコロイドゲルは、生理食塩水に2日間浸漬しても高い水中安定性を示した。組織(41)表面に残存するコロイドゲル(38)面積は、DSの増加とともに増加傾向にあり、粒子の疎水性の増大によって組織上のコロイドゲルの安定性が改善された。発明者らの先行研究(例えば、Acta Biomaterialia 99 (2019) 387-396)では、ゼラチンに導入された疎水基は、疎水性相互作用によりフィブロネクチンなどの細胞外タンパク質や細胞と相互作用することを明らかにしている。更に、胃組織は主にコラーゲンで構成されることが知られており、デシル基はコラーゲンの疎水性アミノ酸残基と相互作用したとも推測される。以上の結果と知見より、実施例で作製した粒子は胃組織上において細胞外タンパク質や細胞と相互作用し、これにより高い水中安定性を示したと推測される。
[In vivo癒着防止試験]
 まず、SD(Sprague-Dawley)ラット(ジャクソン・ラボラトリー・ジャパン株式会社から購入、雄、7週齢)の腹壁-盲腸欠損モデルは以下の方法で作製した。2.5%イソフルランの導入によりラットを麻酔下とし、腹部の毛を剃り、エタノールで感染症を予防した。腹部を5cm程度開腹し、腹壁と盲腸を露出させた(図10Aの(a))。滅菌ガーゼを用いて盲腸を擦ることで、盲腸の擦過傷(盲腸欠損部)を作成した。盲腸欠損部と接する位置にある腹壁組織(1cm×2cm、中皮層を含む)を、外科用ナイフを用いて切除することで腹壁欠損を作製した(図10Aの(b))。
 次に、150℃で3時間熱殺菌した試料8(45C10-MPs)100mgを各欠損部に散布して創傷部を覆い(図10Aの(c))、生理食塩水で15分間水和することでコロイドゲルを形成させた(図10Aの(d))。感染症を防ぐためにアミカマイシン(1.0mg/kg)を腹腔内に注射した後、腹部を縫合し閉腹した。
 所定時間(1~2週間)経過後に再開腹し、表3に示す腹膜壁癒着スコア(5段階)で術後癒着を評価した。結果を図10C及び図10Dに示す。スコアが低い程、癒着が少ないことを示す。また、図10Bに、閉腹直前(W0)、閉腹から1週間後(W1)及び2週間後(W2)における、盲腸及び腹膜付近の写真を示す。写真中の黒矢印は腹壁と盲腸間の癒着部位を示す。尚、試料8(45C10-MPs)は、図10Bにおいて「C10」と表記し、図10C及び図10Dにおいて「C10-MPs」と表記した。なお、試験はn=5で行われ、***はP<0.001を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009
 試料8(45C10-MPs)に代えて、試料2(Org-MPs)、及びヒアルロン酸/カルボキシメチルセルロースシート(HA/CMC)(市販の癒着防止材、科研製薬株式会社製、セプラフィルム(登録商標))それぞれを用いて同様の評価を行った。また、癒着防止材を付与しなかった未処置ラット(Untreated)についても、同様の評価を行った。これらの評価結果を合わせて、図10B~図10Dに示す。尚、試料2(Org-MPs)は、図10Bにおいて「Org」と表記した。
 1週間後、未処置ラット群(Untreated)では重度の癒着(平均スコア:2.80)が見られ(図10C)、盲腸と腹壁の間には癒着層が形成されていた(図10B)。これは組織間の物理的バリアがないことから、過剰なフィブリン沈着とマクロファージや線維芽細胞の遊走を引き起こし、盲腸と腹膜間に線維組織(FT)が形成され、術後癒着を形成したと考えられる。一方、試料8(45C10-MPs)及び試料2(Org-MPs)、および市販のHA/CMCシートを投与した群では、癒着は認められなかった(図10B、平均スコア:全群0)。この結果は、コロイドゲルや市販シートが、フィブリンや炎症細胞の移動を効果的に防いだためと考えられる。
 2週間後、未処置ラット群(Untreated)においては1週間後よりも高いスコアで重度の癒着が確認された(図10C、図10D)。他の群では1週間後と比較して若干の癒着スコアの上昇を認めた。HA/CMC投与群では癒着スコアの上昇(スコア:2および3)が認められ、これまでの知見と同様であった。また試料2(Org-MPs)投与群では5匹に1匹の割合で癒着(スコア:2)が見られたが、試料8(45C10-MPs)投与群では1匹に軽い癒着が見られたのみであった。
 以上説明した癒着防止試験の結果より、試料8(45C10-MPs)は水和することにより盲腸擦過傷および腹膜欠損部に接着してコロイドゲル層を形成し、該コロイドゲル層は、水和後に癒着防止にための物理的バリアとして機能して術後癒着を防止することが確認できた。
 本発明は、組織上での接着性、及び水環境下での接着安定性に優れ、簡便な操作性を有し、更に工業的大量生産が容易な新しい癒着防止材を提供する。
10 粒子、22 漿膜層、23 筋層、24 粘膜下層、25 粘膜層、26 水層、30 ラット、31 腹部、36 腹腔、37、37a、37b 欠損部、38、38a、38b コロイドゲル、39 盲腸、40 癒着、41 組織、80 治具、81 漿膜組織、82 工業用紙ウエス、83 ホットプレート、84 生理食塩水、85 プラスチックカバー

Claims (14)

  1.  粒子を含む癒着防止材であって、
     前記粒子は、第1ゼラチンと、第1ゼラチンに炭化水素基が導入されている第2ゼラチンとのゼラチン混合物の架橋物を含み、
     前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が、30mol%~50mol%であり、
     第2ゼラチンが、下記式(1)で表される構造を有する、癒着防止材。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     式(1)において、Gltnはゼラチンの残基を表し、Lは単結合、又は2価の連結基を表し、Rは炭素数1~20のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~20のアルキル基である。
  2.  式(1)において、Lは単結合、又は-C(O)-である、請求項1に記載の癒着防止材。
  3.  式(1)において、Lは単結合である、請求項2に記載の癒着防止材。
  4.  式(1)において、Rは直鎖のアルキル基であり、Rは水素原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  5.  第2ゼラチンの炭化水素基導入率が、前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率より高い、請求項1~4のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  6.  第2ゼラチンの炭化水素基導入率が、35mol%~80mol%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  7.  前記ゼラチン混合物の炭化水素基導入率が、35mol%~45mol%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  8.  第1ゼラチンと第2ゼラチンとの合計質量に対する、第2ゼラチンの質量の割合が35質量%~90質量%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  9.  第1ゼラチンがアルカリ処理済みゼラチンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  10.  第1ゼラチンが低エンドトキシン化処理済みゼラチンである、請求項1~9のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  11.  第1ゼラチンが冷水魚由来である、請求項1~10のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  12.  生体の患部に噴霧システムを用いて付与可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載の癒着防止材。
  13.  請求項1~12のいずれか一項に記載の癒着防止材の製造方法であって、
     第1ゼラチンと第2ゼラチンとの前記ゼラチン混合物を良溶媒に溶解させて、ゼラチン混合物溶液を調製することと、
     前記ゼラチン混合物溶液に貧溶媒を加え、前記ゼラチン混合物を含有する第1中間体粒子を前記ゼラチン混合物溶液中に析出させることと、
     第1中間体粒子を含む前記ゼラチン混合物溶液を凍結乾燥し、第2中間体粒子を得ることと、
     前記第2中間体粒子の前記ゼラチン混合物を架橋して、架橋された前記ゼラチン混合物の粒子を得ることを含む、癒着防止材の製造方法。
  14.  前記第2中間体粒子を加熱し、前記ゼラチン混合物を架橋させる、請求項13に記載の癒着防止材の製造方法。
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