WO2020017247A1 - 樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

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嶋田 豊司
径生 大月
正春 水野
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理研化学工業株式会社
嶋田 豊司
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    • C08J9/00Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof
    • C08J9/26Working-up of macromolecular substances to porous or cellular articles or materials; After-treatment thereof by elimination of a solid phase from a macromolecular composition or article, e.g. leaching out

Definitions

  • the resin molded article of the present invention has improved water absorption and also has conductivity when holding an electrolyte solution, so that it can be used as an electrode for a living body by including the electrolyte solution. Since the biological electrode according to the present invention is flexible, it can reduce a sense of discomfort given when the electrode is brought into contact with a human body.
  • “flexible” and “flexible” mean a sponge hardness of 90 or less, preferably 75 or less based on the Japan Rubber Association Standard (SRIS / 0101).
  • the average pore diameter of the pores constituting the continuous porous structure is preferably in the range of 1 to 120 ⁇ m, more preferably in the range of 1 to 60 ⁇ m.
  • the average pore diameter of the pores constituting the continuous porous structure can be controlled by the average particle diameter of the pore-forming material used in the method for producing a resin molded product described later.
  • an excellent water absorption rate can be reliably obtained by the capillary effect.
  • the shape of the resin molded product of the present invention is not particularly limited as long as its performance is exhibited, and the resin molded product can be configured to have an appropriate shape according to various uses.
  • the pelletized raw resin composition is molded into a cylindrical shape having an outer diameter of 3 mm, an inner diameter of 1.5 mm, and a length of 10 mm using an injection molding machine at a temperature of 100 to 160 ° C. Calcium was removed, neutralized, washed, and dried to produce a resin molded product having a continuous porous structure.
  • this is referred to as a test piece [1].
  • the porosity of this test piece [1] was 70% by volume, and the average pore diameter was 20 ⁇ m.
  • the impedance of the test piece [4] of Example 3 was measured using an impedance measuring device (trade name: CHECKTRODE, model 1089mkIII) manufactured by UFI. Specifically, a pair of substantially cylindrical test pieces was immersed in a 2% by mass saline solution, centrifugally dehydrated, and dried (test piece [5]). This test piece [5] carried 0.1 g / cm 3 of sodium chloride. The test piece carrying the salt was absorbed by water, sandwiched by a two-terminal probe, and the impedance was measured. The average value of the impedance of the test piece [5] supporting the electrolyte was 12 k ⁇ .

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Abstract

長期間にわたって優れた吸水速度、大きな吸水容量および高い水分保持性が得られる連続多孔質構造の樹脂成形品およびその製造方法を提供する。 樹脂成形品は、連続多孔質構造を有する樹脂成形品であって、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有してなる樹脂組成物よりなることを特徴とする。樹脂成形品の製造方法は、上記の樹脂成形品を製造する方法であって、熱可塑性樹脂、セルロースファイバーおよび気孔形成材を混練して得た原料樹脂組成物をチップ化する工程と、チップ化された原料樹脂組成物を溶融成形した後に水抽出処理して前記気孔形成材を除去することにより気孔を形成する工程と、を経ることにより、セルロースファイバーを含有した連続多孔質構造を有する樹脂成形品を得ることを特徴とする。

Description

樹脂成形品およびその製造方法
 本発明は、連続多孔質構造の樹脂成形品およびその製造方法に関する。
 連続多孔質構造を有する樹脂成形品は、工業用の吸水ロール、各種の衛生材料、印材、文具筆ペン先、画材筆ペン先、化粧筆ペン先などの幅広い用途に用いられている。このような連続多孔質構造の樹脂成形品においては、吸水性に種々の改善が要求されている。具体的には、例えば工業用吸水ロールにおいては吸水速度の向上が求められており、また、文具筆ペン先、画材筆ペン先、化粧筆ペン先などのペン先部材においては、水性インクや水性化粧品を画材や皮膚に塗布する際の当該水性インクや水性化粧品の吸水容量および水分保持性について改善されたものが要求されている。
 例えば、水性インクや水性化粧品を塗布する筆ペンのペン先部材を構成する樹脂成形品の原料樹脂としては、多くの場合にその成形の容易さからオレフィン系熱可塑性樹脂などの熱可塑性樹脂が使用されているが、熱可塑性樹脂は一般的に疎水性を示して水とのなじみが悪いので、このようなペン先部材においては連続多孔質構造による毛細管現象効果のみによって吸水性が発現されている。従って、このようなペン先部材は、充分な吸水容量および安定した水分保持性が得られず、その結果、画材または皮膚に水性インクや水性化粧品を塗布するときに当該水性インクや水性化粧品のボタ落ちや、塗布した塗布像にかすれが生じるなどの問題がある。
 特許文献1および特許文献2には、気孔形成材を配合した樹脂組成物を用途に応じた形状に成形した後、気孔形成材を適宜の処理によって除去することにより、親水性を示す連続多孔質構造の樹脂成形品を製造する製造方法が開示されている。これらの特許文献1および特許文献2に記載の製造方法においては、樹脂組成物における種々の配合剤の変更、配合するときの温度条件の変更などによって、樹脂成形品の成形性を向上させると共に、得られる樹脂成形品の表面にスキン層(密度の高い層)が生成されることを抑止し、また、樹脂成形品の内部に形成される気孔の形状とその連続性を制御している。このように樹脂成形品全体における気孔の連通性を高めることによって、樹脂成形品の吸水性を改良している。
 しかしながら、上記のような樹脂成形品においては、これを形成する樹脂組成物に使用される原料樹脂が疎水性のものであることから、吸水速度や水分保持性について十分な性能が得られるとは言えない。
 一方、特許文献3には、樹脂成形品の原料樹脂として使用される合成樹脂に親水性を付与する技術として、熱可塑性樹脂が被覆されたパルプ繊維と共に親水性樹脂をマトリックス用熱可塑性樹脂に混練することにより、当該マトリックス用熱可塑性樹脂に親水性を付与する技術が開示されている。
 しかしながら、親水性樹脂は一般的に耐熱性が低いために、親水性樹脂を添加した樹脂組成物は加熱工程を経る溶融成形の原料樹脂として適しているとは言えない。例え親水性樹脂を含有する樹脂組成物を用いて溶融成形を行うことができたとしても、連続多孔質構造の樹脂成形品を成形しようとする場合に、樹脂組成物に配合される気孔形成材は成形後に水抽出処理により除去されることが多いが、この水抽出工程を利用することができない。
 また、樹脂成形品そのものに親水性を付与する技術としては、成形された樹脂成形品を界面活性剤処理することや、成形された樹脂成形品の表面をプラズマ加工することなどが挙げられるが、界面活性剤処理した樹脂成形品は親水性の長期耐久性に劣るという問題があり、さらに、プラズマ加工した樹脂成形品においては、当該樹脂成形品の表面のみしか親水性を示さず、その結果、十分な吸水容量が得られないという問題がある。
 また、連続多孔質構造を有する樹脂成形品は柔軟で人体に接触させた際に硬さや冷たさを感じさせることによる不快感を与えにくい。このため、樹脂成形品に良好な吸水性を付与することができれば、血液などの液体を吸収する衛生材料として利用できると考えられる。ただし、従来の樹脂成形品は導電性に欠けるため、親水性を付与したとしても導電性が必要な部材(例えば生体からの電気信号を測定する心電図パットや脳波用電極など)として使用することは難しい。
 このため連続多孔質構造を有する樹脂成形品は、従来、心電図や脳波を測定する部材としては用いられておらず、生体用電極としては硬質な板状または柱状部材が用いられている。このような従来の生体用電極は、皮膚と電極との間に導電性ペーストを介在させて使用されている。しかし導電性ペーストはべたつきがあり、皮膚に塗布することは冷たさやべたつきなどの不快感を与える。また、電極を外した後にペーストを除去する必要があり、ある程度の厚みで塗布されたペーストをべたつかない程度まで除去するのは煩雑である。
 そこで導電性ペーストを用いることなく脳波などの生体信号を測定できるドライ電極が提案されている。ドライ電極は、従来、金属などの硬質な部材で構成され、装着時の不快感といった負担が大きい。そこで、弾性体を母材として、人体に触れる母材先端の表面に、ナノ炭素材料を含む構造体を固定したドライ電極が提案されている(特許文献4)。
 しかし、特許文献4の電極は母材と構造体とが剥離する恐れがある。また母材と構造体とを固定する工程を必要とするため製造コストが高くなるといった課題もある。
特開2008-24899号公報 特開2011-161639号公報 特開2011-201964号公報 特開2017-074370号公報
 本発明は、以上の事情に基づいてなされたものであって、その目的は、長期間にわたって優れた吸水速度、大きな吸水容量および高い水分保持性を有する連続多孔質構造の樹脂成形品およびその製造方法を提供することにある。
 本発明はまた、連続多孔質構造の樹脂成形品の吸水性のみならず導電性も改善することで、人体装着部材、具体的には衛生材料や生体用電極として使用可能な樹脂成形品を提供する。本発明に関わる生体用電極は、人体に接触させたときに与える不快感を低減でき、一体成型により簡易に製造できる。
 本発明は、熱可塑性樹脂にセルロースファイバーを含ませた樹脂組成物を成型してなる樹脂成形品を提供する。本発明によれば、樹脂組成物を用途に応じて柱状または板状に成型することで、柔軟で、親水性を有し良好な吸水特性を有する樹脂成形品が得られる。本発明に関わる樹脂成形品は、電解質液を吸液した状態で導電性をも有する。
 前記樹脂組成物は、厚さ0.5~25mm程度、好ましくは1~15mmの円または略四角形などの板状に成型した成形物とする。成形物はそのまま、または必要に応じて表面を切削加工し、吸液パッドや心電図用の電極パッドとして用いられる樹脂成形品とする。あるいは、樹脂組成物を長さ5~30mm程度の柱、具体的には略円柱や多角柱状に成型し、この成形物をそのまままたは必要に応じて表面を切削加工して種々のペン先や生体用電極として用いられる樹脂成形品を得る。成形物表面を切削加工することで、樹脂成形品の表面と内部とを同様の連続多孔質構造にでき、より均質な構造にできる。
 切削加工する成形物とは、混練樹脂組成物を溶融成形して得られる充実成形体を水抽出処理したものであり、充実成形体を水抽出処理した後に洗浄および乾燥させて切削加工することが好ましい。
 本明細書において、略柱状には円柱や多角柱、円錐、多角錐を含む。また「突状の一端」とは、一端が他端に比べて細く絞られた形状であることを意味し、ペン先のように一端が尖っているもののみならず、先端が丸みを帯びている場合も含む。
 本発明の樹脂成形品は、連続多孔質構造を有する樹脂成形品であって、
 熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有してなる樹脂組成物よりなることを特徴とする。
 本発明の樹脂成形品においては、前記樹脂組成物における前記セルロースファイバーの含有割合が0.1~30質量%であることが好ましい。
 本発明の樹脂成形品においては、前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系エラストマーであることが好ましい。
 本発明の樹脂成形品においては、連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径が1~120μmの範囲にあり、気孔率が60~85体積%であることが好ましく、さらに、連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径が1~60μmの範囲にあり、気孔率が65~75体積%であることがより好ましい。
 本発明の樹脂成形品においては、熱可塑性樹脂としてオレフィン系エラストマーなどのエラストマー系樹脂を用い、連続多孔質構造を有し、柔軟で吸水可能な人造スポンジとして用いることができる樹脂成形品であることが好ましい。
本発明の樹脂成形品は、ペン先部材として用いることができる。
 本発明の樹脂成形品の製造方法は、上記の樹脂成形品を製造する方法であって、
 熱可塑性樹脂、セルロースファイバーおよび気孔形成材を混練して得た原料樹脂組成物をチップ化する工程と、チップ化された原料樹脂組成物を溶融成形した後に水抽出処理して前記気孔形成材を除去することにより気孔を形成する工程と、を経ることにより、セルロースファイバーを含有した連続多孔質構造を有する樹脂成形品を得ることを特徴とする。
 本発明の樹脂成形品は、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有する樹脂組成物よりなる連続多孔質構造を有するものである。従って、連続多孔質構造の毛細管現象効果による吸水性を基本的に有し、さらに、セルロースファイバーが有する極めて高い親水性によって、優れた吸水速度および大きな吸水容量が得られると共に樹脂成形品に吸水された水分の水分保持性が得られ、しかも、セルロースファイバーは樹脂成形品を構成する材料として熱可塑性樹脂中に安定して存在するので、これらの効果が長期間にわたって高い再現性で得られる。
 本発明の樹脂成形品は吸水性が改善されていることに加え、電解質液を保持していると導電性も有するため、電解質液を含ませて生体用電極として用いることができる。本発明に関わる生体用電極は、柔軟であるため人体に接触させたときに与える違和感を低減できる。ここで「柔軟である」「柔軟性がある」とは、日本ゴム協会標準規格(SRIS/0101)に基づくスポンジ硬度90以下、好ましくは75以下であることを意味するものとする。
本発明に関わる生体用電極は、通電用の助剤として、べたつきがあり除去が煩雑な導電性ペーストを必要としない。本発明に関わる生体用電極は、べたつかずより安価な塩水などを導電助剤として用いることができるため、装着に関わる手間やコストを低減できる。樹脂成形品には、導電助剤として塩化ナトリウム(食塩)のような電解質を担持させておけば、樹脂成形品に水を噴霧するなどして吸水させるだけで導電性を発揮させることができる。さらに本発明に関わる生体用電極は樹脂組成物を一体成型することで得られるため、製造しやすく部材の分離の心配もない。また構造が簡易で製造しやすいため、製造コストが低く使い捨てすることもできる。
実施例1で製造した試験片〔1〕の表面のSEM写真である。 実施例3で製造した試験片〔4〕の表面のFIB写真である。 実施例3で製造した試験片〔4〕の断面のFIB写真である。
 以下、本発明について詳細に説明する。
〔樹脂成形品〕
 本発明の樹脂成形品は、連続多孔質構造を有する樹脂成形品、特に親水性を有する連続多孔質構造の樹脂成形品であって、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有する樹脂組成物よりなるものである。
 連続多孔質構造とは、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーが混在している樹脂複合体の内部に多数の互いに連通した気孔を有する構造をいう。
 本発明の樹脂成形品においては、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーが共に樹脂複合体の表面、すなわち樹脂複合体における外部から視認可能な外表面および気孔表面(内表面)に露出している状態にある。
〔熱可塑性樹脂〕
 樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂としては、押出成形や射出成形に適した樹脂を用いることが好ましく、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系熱可塑性樹脂;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマー;およびこれらの混合物を用いることができる。これらの中でも、特にオレフィン系エラストマーを用いることが好ましい。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔セルロースファイバー〕
 本発明の樹脂成形品に用いられるセルロースファイバーとしては、後述する製造方法における連続多孔質構造を形成するために気孔形成材を溶出させる水抽出工程において溶出されずに樹脂複合体の構成材として残存されるものであればよい。
 このようなセルロースファイバーとしては、セルロース分子からなる繊維、例えば木材パルプや竹などを分解して得られるセルロースファイバーが挙げられる。具体的には、木材パルプを高圧ホモジナイザーなどによって解繊したミクロフィブリル化セルロース、これにさらに熱水処理などを施して得られるリグノセルロースナノファイバー、さらにリグニンを除去したセルロースナノファイバーなどを用いることができる。
 樹脂組成物におけるセルロースファイバーの含有割合は、0.1~30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.4~10質量%である。
 樹脂組成物におけるセルロースファイバーの含有量が過多である場合は、樹脂成形品の表面にセルロースファイバーの分散斑が出やすく、また、成形性も劣るおそれがある。一方、樹脂組成物におけるセルロースファイバーの含有量が過少である場合は、樹脂成形品の樹脂複合体の表面(樹脂複合体の外表面および気孔表面)におけるセルロースファイバーの露出の状態が不十分となり、従って、目的物の用途に求められる程の親水性が得られずに、得られる樹脂成形品が吸水性の低いものとなるおそれがある。
〔連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径〕
 連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径は、1~120μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは1~60μmの範囲である。連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径は、後述する樹脂成形品の製造方法において用いる気孔形成材の平均粒径によって制御することができる。
 連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径が上記範囲にあることにより、毛細管現象効果で優れた吸水速度が確実に得られる。平均孔径が過度に大きい場合は、例えば樹脂成形品がペン先部材である場合にはペン先部材のインクの流れが過多となり、気孔の平均孔径が120μmを超えると毛細管現象の効力が得られず、その結果、保持したインクのボタ落ちなどの不具合が生じるおそれがある。一方、平均孔径が1μm未満の過度に小さい場合は、毛細管現象の効力が強過ぎて樹脂成形品に吸液させた液体の吐出が制限され、例えば樹脂成形品がペン先部材である場合にはインクの流れが悪く、かすれが生じるおそれがある。
 連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径は、樹脂成形品の断面についてのSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影し、当該SEM写真をスキャナーにより取り込んだ写真画像について、自動画像処理解析装置を使用して樹脂成形品の断面における連続多孔質構造を構成する気孔について2値化処理し、任意の気孔50個の各々についての最大径を算出し、その平均値とした。ここで最大径とは、気孔の画像を2本の平行線で挟んだときの最大の距離をいう。気孔は、後述する製造方法において気孔形成材が抜けた孔を想定した概念であり、概略円近似体となる孔を言う。
〔樹脂成形品の気孔率〕
 樹脂成形品の気孔率は、60~85体積%の範囲にあることが好ましく、より好ましくは65~75体積%の範囲である。気孔率は、後述する樹脂成形品の製造方法において用いる気孔形成材の量によって制御することができる。
 樹脂成形品の気孔率が上記範囲にあることにより、大きな吸水容量が確実に得られる。樹脂成形品の気孔率が過度に高く、かつ、気孔の平均孔径が120μmを超える場合は、例えば樹脂成形品がペン先部材である場合にはペン先部材でのインクのボタ落ちなどの不具合が生じるおそれがある。一方、樹脂成形品の気孔率が過度に低く、気孔の密度が過度に小さい場合は、例えば樹脂成形品がペン先部材である場合にはペン先部材でのインクの出にかすれが生じるおそれがある。
 また、樹脂成形品の気孔率は、式:[1-(樹脂成形品の質量/樹脂成形品の真比重)/(樹脂成形品の見かけ体積)]×100によって算出されるものである。
〔任意成分〕
 樹脂成形品を構成する樹脂組成物には、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバー以外の任意成分が含有されていてもよい。
 任意成分としては、顔料や着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、導電性付与剤、紫外線劣化防止剤、補強剤、結晶化促進剤、透明化剤、気泡防止剤、加工助剤、滑剤、可塑剤、光触媒等を用いることができる。これらの任意成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 樹脂成形品は、導電助剤を含んでよい。導電助剤としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムのように皮膚に刺激を与えない電解質塩が好ましい。導電助剤は、混練樹脂組成物を溶融成形して得られる充実成形体を水抽出処理し、さらに洗浄した後に電解質液中に浸漬して乾燥させることで樹脂成形品に担持させるとよい。電解質液の電解質濃度は、10質量%以下が好ましく、特に1~5質量%が好ましい。樹脂成形品を切削加工する場合は、導電助剤を担持させる前が好ましい。導電助剤は、樹脂成形品体積比で0.05~0.5g/cm、特に0.1~0.2g/cmであることが好ましい。
 本発明の樹脂成形品は、例えばJIS L1907滴下法での吸水時間10秒以下が好ましく、特に7秒以下であることが好ましい。本発明の樹脂成形品はかかる吸水特性を有するため、吸水させて生体用電極として用いる場合、樹脂成形品と人体との間に食塩水などの電解液が存在することで電気的抵抗を下げることできる。本発明の樹脂成形品は柔軟性があるため、生体用電極とした場合に人体の凹凸にフィットしやすいが、液体を含ませればさらに人体との接触を安定させることができる。このため、生体との間での電気信号の授受の安定性を高めることができ、生体からの電気信号を受け取る効率、生体に電気的刺激を与える際の効率を向上させ、電気的損失を低減できる。
 本発明の樹脂成形品の形状は、その性能が発揮される形状であれば特に制限されるものではなく、各種の用途に応じて適宜の形状を有するものとして構成することができる。
 本発明の樹脂成形品は、水、水溶性インク、水溶性化粧品、水性絵具、生理食塩水、エタノールやイソプロパノールなどのアルコールなどを吸水あるいは吸液するものとして好適に用いられ、具体的には、吸水ロール;吸水シート;洗浄クロス;フィルタ;浸透印などの印材;文具筆ペン先、画材筆ペン先、化粧筆ペン先などのペン先部材などとして好適に用いることができる。
〔樹脂成形品の製造方法〕
 本発明の樹脂成形品の製造方法は、以上のような連続多孔質構造を有する樹脂成形品を製造する方法である。
 具体的には、以下の工程を有する。
 (1)少なくとも熱可塑性樹脂、セルロースファイバーおよび気孔形成材を含有する原料を混練して原料樹脂組成物を得る混練工程
 (2)原料樹脂組成物をチップ化するチップ化工程
 (3)チップ化された原料樹脂組成物を成形材料として溶融成形して充実成形体を得る成形工程
 (4)充実成形体から気孔形成材を水抽出処理して除去することにより樹脂成形品を得る水抽出工程
〔混練工程〕
 混練工程においては、少なくとも熱可塑性樹脂およびセルロースファイバー、並びに気孔形成材を含有する原料の混練が行われる。
 混練装置としては、例えばオープンロール、ニーダー、インテンシブミキサー、単軸スクリュー押出機および二軸スクリュー押出機などを用いることができる。
 混練工程における混練温度は、熱可塑性樹脂が軟化あるいは溶融され、かつ、気孔形成材が軟化しない温度であれば特に限定されず、例えば80~150℃とされる。
 原料樹脂組成物におけるセルロースファイバーの含有割合は、所望の樹脂成形品を形成する樹脂組成物におけるセルロースファイバーの含有割合に従って調整されればよく、例えば0.1~30質量%とすることができる。
〔気孔形成材〕
 気孔形成材としては、樹脂成形品を構成する樹脂組成物に含有される熱可塑性樹脂には溶解せず、水系溶媒に溶解される粒子状物、または水系溶媒が添加されると流動性を有する状態とされる粒子状物を用いることができ、例えば無機微粒子および有機微粒子を用いることができる。
 無機微粒子としては、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属塩;塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどのアルカリ金属塩などが挙げられる。
 また、有機微粒子としては、コーンスターチ、コムギ澱粉、ジャガイモ澱粉などの澱粉;砂糖などの糖類;ペンタエリスリトール、テトラメチロールメタン、ペンタグリセリン、ヘキシトール、グリシトール、ペプチトールなどが挙げられる。
 これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 充実成形体から水抽出工程において気孔形成材が溶出された部分がおおよそ樹脂成形品の気孔となるので、気孔形成材の平均粒径は、所望の樹脂成形品における連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径に応じた平均粒径であればよく、例えば1~120μmとされる。
 原料樹脂組成物における気孔形成材の配合割合は、所望の樹脂成形品における連続多孔質構造を構成する気孔率に応じた割合とされ、気孔形成材の平均粒径によっても異なるが、例えば熱可塑性樹脂100質量部に対して250~600質量部とされる。
 原料樹脂組成物には、気孔形成材と共に形孔助剤が含有されていてもよい。形孔助剤は、親水性のものであり、水抽出工程における気孔形成材の除去に寄与するものである。
 形孔助剤としては、具体的には、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ピナコールなどの多価アルコール単量体;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール重合体などが挙げられる。
 これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
 原料樹脂組成物における形孔助剤の配合割合は、例えば熱可塑性樹脂100質量部に対して10~60質量部とされる。
 樹脂成形品は、水洗を要する気孔形成材の代わりに公知の分解型発泡剤や蒸発型発泡剤を使用して気孔形成してもよい。
 原料樹脂組成物には、界面活性剤が含有されていてもよい。
 界面活性剤としては、特に限定されず、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤を使用することができる。
 原料樹脂組成物における界面活性剤の配合割合は、例えば熱可塑性樹脂100質量部に対して5~30質量部とされる。
〔チップ化工程〕
 チップ化工程においては、混練工程において得られた原料樹脂組成物のチップ化が行われる。
〔成形工程〕
 成形工程においては、混練工程によって得られたチップ化された原料樹脂組成物を成形材料として、これが所望の形状に溶融成形される。
 成形方法は特に限定されず、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法、カレンダー成形法などの方法から、所望される形状に適した方法を採用することができる。
 射出成形法によって成形が行われる場合には、具体的には、原料樹脂組成物(成形材料)が射出成形機のシリンダーから金型に投入されると、金型表面においては熱可塑性樹脂のガラス転移点未満まで冷却されて急激に粘度が増加した熱可塑性樹脂が、セルロースファイバーおよび気孔形成材がその内部に分散された状態で冷却されて固化され、これにより、充実成形体が得られる。
 成形温度は、熱可塑性樹脂が軟化あるいは溶融され、かつ、気孔形成材が軟化しない温度であればよく、例えばシリンダー温度が80~200℃、金型温度が20~100℃であることが好ましい。
〔水抽出工程〕
 水抽出工程においては、成形工程で得られた充実成形体中の気孔形成材を水抽出処理して流出あるいは溶出させることにより除去して、連続多孔質構造の樹脂成形品が得られる。
 水抽出工程を経ることによって、充実成形体を構成する、原料樹脂組成物における水抽出処理により除去されない成分からなる樹脂複合体が残存すると共に、充実成形体における気孔形成材が連続して存在していた部分が空洞となり、これにより、連続多孔質構造が形成される。充実成形体における気孔形成材が連続して存在する部分とは、気孔形成材同士が接触して存在する部分、および、離間した気孔形成材同士の間が形孔助剤によって埋められた部分をいう。
 水抽出工程において、原料樹脂組成物中で水抽出処理により除去される成分は、多くは気孔形成材、形孔助剤および界面活性剤であり、一部のセルロースファイバーも除去されてしまうことがある。そして、少なくとも熱可塑性樹脂および多くのセルロースファイバーは、水抽出処理により除去されずに樹脂複合体に残存する。なお、ごくわずかの気孔形成材が樹脂複合体に残存していてもよい。
 気孔形成材の水抽出処理を行う具体的な方法は、気孔形成材を、水系溶媒を用いて除去することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、充実成形体を水系溶媒に浸漬させて所定時間放置する方法、充実成形体に水系溶媒を噴射する方法および充実成形体を水系溶媒によって洗浄する方法などを採用することができる。水抽出処理における水系溶媒の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移点未満であればよく、例えば30~80℃とされる。
 水系溶媒としては、気孔形成材を流出あるいは溶出させることができると共にセルロースファイバーを溶解させないものであればよく、水、水可溶性の低級脂肪族アルコール、塩酸水などの稀酸水、稀アルカリ水などが挙げられる。
 水系溶媒として稀酸水または稀アルカリ水を用いる場合には、水抽出工程を行った後に、中和処理を行うことが好ましい。
 水抽出工程において得られた樹脂成形品は、洗浄、乾燥処理することが好ましい。
 本発明の樹脂成形品は、熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有する樹脂組成物よりなる連続多孔質構造を有するものである。従って、連続多孔質構造の毛細管現象効果による吸水性を基本的に有し、さらに、セルロースファイバーが有する極めて高い親水性によって、優れた吸水速度および大きな吸水容量が得られると共に樹脂成形品に吸水された水分の水分保持性が得られ、しかも、セルロースファイバーは樹脂成形品を構成する材料として熱可塑性樹脂中に安定して存在するので、これらの効果が長期間にわたって高い再現性で得られる。
 また、以上のような樹脂成形品の製造方法によれば、上記のような樹脂成形品を確実に得ることができる。
 以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
 以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
 オレフィン系エラストマー(DuPont社製「エンゲージENR8440」);100質量部に対し、気孔形成材として炭酸カルシウム(平均粒径20μm);438質量部、形孔助剤としてペンタエリスリトール;30質量部、形孔助剤として平均分子量が2000のPEG(ポリエチレングリコール)(PEG2000);44質量部、形孔助剤として平均分子量1500のPEG(ポリエチレングリコール)(PEG1500);13質量部、界面活性剤(三洋化成社製「エマルミン110」);5質量部、セルロースファイバーとして木材パルプ繊維;6質量部を配合し、これらを150℃に昇温したニーダーに入れて撹拌、混錬して原料樹脂組成物を得た後、ペレタイザーを用いてペレット化した。
 このペレット化した原料樹脂組成物を、射出成形機を用いて100~160℃の温度で外径3mm、内径1.5mm、長さ10mmの円筒形に成形した後、塩酸水処理を施して炭酸カルシウムを除去し、次いで、中和させた後、洗浄、乾燥することにより、連続多孔質構造の樹脂成形品を作製した。以下、これを試験片〔1〕とする。
 この試験片〔1〕の気孔率は70体積%、気孔の平均孔径は20μmであった。
<実施例2>
 実施例1において、木材パルプ繊維の代わりに天然パルプからなる濾紙を短冊状に切断し、さらにミルにて繊維状に粉砕した天然パルプ繊維を添加したこと以外は実施例1と同様にして、連続多孔質構造の樹脂成形品を作製した。以下、これを試験片〔2〕とする。
 この試験片〔2〕の気孔率は70体積%、気孔の平均孔径は20μmであった。
<比較例1>
 実施例1において、木材パルプ繊維を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、連続多孔質構造の樹脂成形品を作製した。以下、これを試験片〔3〕とする。
 この試験片〔3〕の気孔率は70体積%、気孔の平均孔径は20μmであった。
<実施例3>
 スチレン系エラストマー(住友化学社製「TPE-SB2710」);100質量部に対し、気孔形成材として炭酸カルシウム(平均粒径10μm);400質量部、形孔助剤としてペンタエリスリトール;38質量部、形孔助剤として平均分子量2000のPEG(ポリエチレングリコール)(PEG2000);38質量部、形孔助剤として平均分子量1500のPEG(ポリエチレングリコール)(PEG1500);12質量部、界面活性剤(三洋化成社製「サンノニックTN」);5質量部、セルロースファイバーとして株式会社シーズリアクト製「セロキサン」(疎水化セルロースナノファイバー):5質量部を配合し、これらを150℃に昇温したニーダーに入れて撹拌、混錬して原料樹脂組成物を得た後、ペレタイザーを用いてペレット化した。
 そしてこの後は、実施例1と同様にして、樹脂成形品を作製した。以下、これを試験片〔4〕とする。
 この試験片〔4〕の気孔率は72体積%、気孔の平均孔径は20μmであった。
 これらの試験片〔1〕~〔4〕を用いて、以下の吸水試験を行った。
〔吸水試験A:吸水速度〕
 試験片〔1〕~〔4〕を、各々、垂直に伸びる姿勢で、当該試験片の上端を把持し、下端3mmを水性のアイライナー用カーボンブラックインク「WD-3/V1」(理研化学工業社製)に浸漬させ、試験片全体へのインクの浸透時間を測定した。
 その結果、木材パルプ繊維が配合された試験片〔1〕においては、55秒間で100%の部分にインクが染み渡ることが確認された。また、試験片〔2〕においては、40秒間で100%の部分にインクが染み渡ることが確認された。また、試験片〔4〕においては、19秒間で100%の部分にインクが染み渡ることが確認された。一方、木材パルプ繊維が配合されていない試験片〔3〕においては、10分間経過した時点における試験片〔3〕の染色部分は約70%であることが確認された。
〔吸水試験B:吸水容量〕
 試験片〔1〕~〔4〕を、各々、水性のアイライナー用カーボンブラックインク「WD-3/V1」(理研化学工業社製)が溶解された水の水面に置き、30分間後の浮沈状態を観察した。
 その結果、セルロースファイバー(木材パルプ繊維、天然パルプ繊維またはセルロースナノファイバー)が配合された試験片〔1〕,〔2〕,〔4〕は、70%の部分が水面下に浸漬されることが確認された。一方、セルロースファイバーが配合されていない試験片〔3〕においては、まったく水面下に浸漬された状態とならないことが確認された。
〔吸水試験C:JIS L1907滴下法での吸水特性〕
実施例3の試験片〔4〕と同じ作成手順で、半径5cm、厚さ10mmの円板試験片を作成した。この試験片の吸水特性をJIS L1907滴下法で測定したところ、水を滴下してから完全に吸水されるまでの時間は5秒であった。
比較例1の試験片〔3〕と同じ作成手順で、半径5cm、厚さ10mmの円板試験片を作成した。この比較例の試験片の吸水特性をJIS L1907滴下法で測定したところ、水を滴下してから完全に吸水されるまでの時間は90秒であった。
 これらの吸水試験の結果から、それ自体に吸水性を有さないオレフィン系エラストマーを、連続多孔質構造の成形品にすることにより、ある程度の吸水性を発現させることができることが分かる。その上で、連続多孔質構造の成形品を形成するための樹脂組成物に、さらにセルロースファイバー(木材パルプ繊維、天然パルプ繊維またはセルロースナノファイバー)を配合することにより、吸水性が大幅に向上すると共に、一旦吸水した水の保持性にも優れることが確認された。試験片〔1〕,〔4〕の表面のSEM写真を撮影して観察したところ、明らかにセルロースファイバー(木材パルプ繊維、天然パルプ繊維)の端部が表面に露出して見えることが判明した。このことから、セルロースファイバー(木材パルプ繊維、天然パルプ繊維またはセルロースナノファイバー)の端部が樹脂成形品の表面や気孔の表面に露出していることによって、吸水性が向上されるものと推測される。
 試験片〔1〕の表面のSEM写真を図1に示す。図1において、黒い部分よりなる気孔の周囲に樹脂複合体(灰色部および白い筋部)があり、樹脂複合体においてセルロースファイバー(木材パルプ繊維より分繊したもの)(白い筋部)が熱可塑性樹脂(灰色部)中に埋まり、所々セルロースファイバーの束が熱可塑性樹脂から露出している状態を観察することができる。セルロースファイバーが束になって現れている部分の例を図1のSEM写真中、白抜き矢印で指し示す。
 また、試験片〔4〕の断面のFIB法による電顕写真を図2Aと図2Bに示す。気孔部分の表面から200~300nmΦのセルロースナノファイバーが突出している様子が見える。
<スポンジ硬度の測定>
吸水試験Cで用いたのと同じ試験片をスポンジ用デュロメーター TYPE FO(商品名TECLOCK、GS-744G)で測定した。測定された試験片の硬度は74であった。
<インピーダンスの測定>
 実施例3の試験片〔4〕について、UFI社製のインピーダンス測定器(商品名CHECKTRODE、model 1089mkIII)を用いて、インピーダンスを測定した。具体的には、略円柱状の一対の試験片を2質量%の濃度の食塩水に浸漬し、遠心脱水して乾燥させた(試験片〔5〕)。この試験片〔5〕は食塩を0.1g/cmで担持していた。この、食塩を担持させた試験片を吸水させて2端子プローブで挟み、インピーダンスを測定した。電解質を担持したこの試験片〔5〕のインピーダンスの平均値は12kΩであった。
 比較例1の試験片〔3〕について、同様の手法でインピーダンスを測定した。試験片〔3〕は、インピーダンスの平均値が測定可能最大値50kΩを超え、測定不能であった。
 吸水ロール、各種の衛生材料、印材、各種ペン先などに利用できる連続多孔質樹脂成形品に係り、特に、吸水性に優れ導電性を付与でき、人体との接触性が良好な連続多孔質樹脂成形品に係る。
 

Claims (17)

  1.  連続多孔質構造を有する樹脂成形品であって、
     熱可塑性樹脂およびセルロースファイバーを含有してなる樹脂組成物よりなることを特徴とする樹脂成形品。
  2.  前記樹脂組成物における前記セルロースファイバーの含有割合が0.1~30質量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  3.  前記熱可塑性樹脂が、オレフィン系エラストマーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品。
  4.  連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径が1~120μmの範囲にあり、気孔率が60~85体積%であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の樹脂成形品。
  5.  連続多孔質構造を構成する気孔の平均孔径が1~60μmの範囲にあり、気孔率が65~75体積%であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂成形品。
  6.  前記樹脂成形品が、硬度90以下であり、柔軟性を有する請求項1~請求項5のいずれかに記載の樹脂成形品。
  7.  前記樹脂成形品が、板状であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の樹脂成形品。
  8.  前記樹脂成形品が、柱状であることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の樹脂成形品。
  9.  前記樹脂成形品が、前記樹脂組成物を一端が突の略柱状に成形したものであることを特徴とする請求項8に記載の樹脂成形品。
  10.  前記樹脂成形品が、前記成形物を一端が突の略柱状に切削加工したものであることを特徴とする請求項8に記載の樹脂成形品。
  11.  前記樹脂成形品が、ペン先部材であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の樹脂成形品。
  12.  前記樹脂成形品が、生体に電気的刺激を与えるまたは生体の電気信号を測定する生体用電極である請求項1~請求項10のいずれかに記載の樹脂成形品。
  13.  前記樹脂成形品が、導電助剤をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形品。
  14.  前記樹脂成形品が、生体表皮に接触させる衛生部材であることを特徴とする請求項7に記載の樹脂成形品。
  15.  前記衛生部材が、皮膚を覆う吸液パッドであることを特徴とする請求項14に記載の樹脂成形品。
  16.  請求項12または13に記載の複数の前記樹脂成形品を、支持体に支持した生体用電極ユニット。
  17.  請求項1~請求項16のいずれかに記載の樹脂成形品を製造する方法であって、
     熱可塑性樹脂、セルロースファイバーおよび気孔形成材を混練して得た原料樹脂組成物をチップ化する工程と、チップ化された原料樹脂組成物を溶融成形した後に水抽出処理して前記気孔形成材を除去することにより気孔を形成する工程と、を経ることにより、セルロースファイバーを含有した連続多孔質構造を有する樹脂成形品を得ることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
     
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