WO2019139155A1 - 血圧推定装置、血圧推定方法、コンピュータプログラム及び記録媒体 - Google Patents

血圧推定装置、血圧推定方法、コンピュータプログラム及び記録媒体 Download PDF

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Abstract

非拘束で、リアルタイムかつ連続的に血圧を推定する。 本発明は、人の背部から採取される生体信号を解析し、心室充満期から等容性収縮期の血流変動によって生じる生体内の振動(生体内振動)を捉え、さらにこの生体内振動の様子を示す指標のゆらぎの様子(ゆらぎに関する指標(ゆらぎ指標))を捉える構成である。このゆらぎ指標は、上記のように人の状態、特に、血圧に関する情報と関連性がある。よって、本発明によれば、乗物のシート、事務用や家具用などの各種椅子、あるいは、ベッドなどの寝具等に取り付けられた、非拘束で生体信号を測定できる生体信号測定装置に、人が着席あるいは仰臥して背部を当該生体信号測定装置に当接するだけで、容易に血圧の推定、特に、正常域血圧(拡張期血圧が90mmHg未満、収縮期血圧が140mmHg未満)を示す領域に含まれるか高血圧を示す領域に含まれるかの推定を行うことができる。

Description

血圧推定装置、血圧推定方法、コンピュータプログラム及び記録媒体
 本発明は、人の背部から得られる生体信号を用いて、血圧を推定する技術に関する。
 本発明者らは、特許文献1~4等において、人の上体の背部の体表面に生じる振動を非拘束で捉え、その振動を解析して人の状態を推定する技術を提案している。人の上体の背部の体表面に生じる振動は、心臓と大動脈等の生体内の振動が伝播したものであり、心房及び心室の収縮期及び拡張期の情報や、循環の補助ポンプとなる血管壁の弾力情報及び反射波の情報を含んでいる。
 特許文献1では、体表面を介して伝播する振動(生体信号)から抽出した1Hz近傍の背部体表脈波(Aortic Pulse Wave(APW))の時系列波形に所定の時間幅を適用してスライド計算を行って周波数傾きの時系列波形を求め、その変化の傾向から、例えば、振幅が増幅傾向にあるか、減衰傾向にあるかなどによって生体状態の推定を行っている。また、生体信号を周波数解析し、予め定めたULF帯域(極低周波帯域)からVLF帯域(超低周波帯域)に属する機能調整信号、疲労受容信号及び活動調整信号に相当する各周波数のパワースペクトルを求め、各パワースペクトルの時系列変化から人の状態を判定することも開示している。
 特許文献2~4では、恒常性維持機能レベルを判定する手段を開示している。恒常性維持機能レベルを判定する手段は、周波数傾き時系列波形の微分波形の正負、周波数傾き時系列波形を積分した積分波形の正負、ゼロクロス法を利用した周波数傾き時系列波形とピーク検出法を利用した周波数傾き時系列波形をそれぞれ絶対値処理して得られた各周波数傾き時系列波形の絶対値等のうち、少なくとも1つ以上を用いて判定する。これらの組み合わせにより、恒常性維持機能のレベルがいずれに該当するかを求める。
特開2011-167362号公報 WO2011/046178号公報 特開2014-117425号公報 特開2014-223271号公報
 上記した技術によれば、生体調節機能に関する人の状態、すなわち、入眠予兆現象、切迫睡眠現象、覚低走行状態、恒常性維持機能レベル、初期疲労状態、気分の状態などを捉えることができる。
 その一方、高血圧の人や心疾患等を患っている人は、健常者と比較すると、血管壁の状態、心臓の動き方等に起因して、血液の流れにも影響が生じる。従来、高血圧か否かを判断する場合、カフを腕に巻き付けるタイプの血圧計によって血圧を測定するのが一般的である。しかしながら、これらの測定には、人体を拘束しかつ安定した状態とした上で、各装置を取り付けて実施する必要がある。そのため、人体の拘束等を極力減らし、血圧をより簡易に測定できる技術の開発が望まれている。
 本発明は上記に鑑みなされたものであり、人の背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉えることができる生体信号測定装置を用い、取得した生体信号を解析し、非拘束で血圧の推定を行う技術を提供することを課題とする。
 上記課題を解決するため、本発明者は、酸素の摂取量と血圧の相関性から、静脈還流の変動及び心筋収縮力の変動に伴う血流量の変動が血圧変動を生むことに着目した。また、左心室の収縮は血液の体循環の原動力となるが、右心室は左心室を包むように存在し、左心室は胸腔内の正中面左方に深く隠れていると共に、右心室の前面にある心膜は胸骨心膜靱帯で前胸壁と結合している。そのため、前胸壁から得られる心臓の情報は限られ、特に、体循環の原動力である左心室の情報は前胸壁からは計測しがたい。左心室の情報は、前胸壁よりも、背部の体表面に伝播される振動(本明細書において、単に「振動」という場合には、音(音波)も含む)に多く含まれている。そこで、本発明者は、背部の体表面に伝播される振動(生体信号)から、血流変動の状態を知ることで、血圧を推定できると考え、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明の血圧推定装置は、人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手段を有しており、前記生体信号処理手段が、 前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得るフィルタリング手段と、前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める血流変動指標算出手段と、前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求め、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求めるゆらぎ指標算出手段と、前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定する推定手段とを有することを特徴とする。
 前記生体信号処理手段は、連続的に受信した前記生体信号を用い、前記人の血圧を連続的に推定可能である。
 前記ゆらぎ指標算出手段が、前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めると共に、その時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルと周波数の両対数グラフに周波数解析結果であるゆらぎ解析図を得るゆらぎ解析手段と、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを求め、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを前記ゆらぎに関する指標とするゆらぎ解析図傾き算出手段とを有することが好ましい。
 前記ゆらぎ解析図傾き算出手段は、前記ゆらぎ解析図に関する回帰直線の傾きとして、VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きを求め、その傾きを前記ゆらぎに関する指標とする手段であることが好ましい。
 前記血圧推定用相関データは、前記VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きが、正常域血圧では-1に近い傾向を示し、高血圧では+1に近い傾向を示す相関データとして形成されていることが好ましい。
 前記血流変動指標算出手段が、前記生体信号中、前記心室充満期から等容性収縮期に対応する時系列波形の範囲において2つの波形成分を一組以上特定し、前記2つの波形成分の各全振幅を用いて散布図を作成する散布図作成手段と、前記散布図にプロットされた点群の回帰直線の傾きを求め、前記点群の回帰直線の傾きを前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標とする散布図傾き算出手段とを有することが好ましい。
 前記散布図作成手段が、前記心室充満期の心房収縮時における前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第1の散布図と、前記第1の散布図に用いた前記2つの波形成分より後のタイミング以降であって等容性収縮期に移行する房室弁閉鎖時付近のタイミングに対応する前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第2の散布図とを作成する手段であり、前記ゆらぎ指標算出手段が前記第1の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、前記推定手段が拡張期血圧を推定し、前記ゆらぎ指標算出手段が前記第2の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、前記推定手段が収縮期血圧を推定する構成であることが好ましい。
 本発明の血圧推定方法は、人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得て、前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求め、前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めた後、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求め、前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定することを特徴とする。
 前記生体信号測定装置から、前記生体信号を連続的に受信し、前記人の血圧を連続的に推定することが好ましい。
 前記生体信号測定装置の生体信号検出部を、前記人の背部において、鎖骨の位置に対応する部位から剣状突起の位置に対応する部位までの範囲に設けて前記生体信号を捉えることが好ましい。
 本発明のコンピュータプログラムは、人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手順を実行させ、コンピュータを血圧推定装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記生体信号処理手順として、前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得る手順と、前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める手順と、前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求め、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求める手順と、前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定する手順とを前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
 前記生体信号処理手順は、連続的に受信した前記生体信号を用い、前記コンピュータに、前記人の血圧の推定を連続的に実行させることが好ましい。
 前記ゆらぎに関する指標を求める手順では、前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めると共に、その時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルと周波数の両対数グラフに周波数解析結果であるゆらぎ解析図を得る手順と、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを求め、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを前記ゆらぎに関する指標とする手順とを前記コンピュータに実行させることが好ましい。
 前記ゆらぎ解析図に関する回帰直線の傾きとして、VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きを求め、その傾きを前記ゆらぎに関する指標とすることが好ましい。
 血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める手順では、前記生体信号中、前記心室充満期から等容性収縮期に対応する時系列波形の範囲において2つの波形成分を一組以上特定し、前記2つの波形成分の各全振幅を用いて散布図を作成する手順と、前記散布図にプロットされた点群の回帰直線の傾きを求め、前記点群の回帰直線の傾きを前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標とする手順とを前記コンピュータに実行させることが好ましい。
 前記散布図を作成する手順として、前記心室充満期の心房収縮時における前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第1の散布図と、前記第1の散布図に用いた前記2つの波形成分より後のタイミング以降であって等容性収縮期に移行する房室弁閉鎖時付近のタイミングに対応する前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第2の散布図とを作成する手順が実行され、前記ゆらぎに関する指標を求める手順では、前記第1の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から拡張期血圧を推定し、前記第2の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、収縮期血圧を推定することが好ましい。
 本発明のコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手順を実行させ、コンピュータを血圧推定装置として機能させる上記コンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする。
 ここで、本発明によって血圧が推定できる原理を説明する。
 人の心拍出量は、身体の代謝需要に応じて規定され、心拍出量は、心拍数と一回拍出量の積に等しい。心拍数は心臓血管中枢を中心とする自律神経系支配と体液性支配で制御されている。拍出量は、室の前負荷に影響を受け、一回拍出量は心収縮力と前負荷・後負荷によって決まる。血流量の変動の様子は、ベルヌーイ定理を用いた数理モデルで説明することができる。ベルヌーイの定理は圧力エネルギー、運動エネルギー、位置エネルギーからなり、水柱の高さに置き換えて圧力水頭(pressure head)、速度水頭(velocity head)、位置水頭(elevation head)と呼ばれ、各水頭の総和が全水頭(total head)となる。摩擦・曲がり・出入り口で失われるエネルギーは、速度水頭に比例する損失水頭(head loss)であり、流量変動の支配方程式は、前負荷・後負荷の血液の水頭と流量の関数で求められる。
 本発明者は、これらを応用し、上記の体循環の原動力である左心室の血流量の変動の仕方、血流制御の在り方を知る方法として、損失水頭の変動から知ることを考えた。心臓から背部体表面に伝わる振動(音)の変動情報は心筋の収縮力の変動による血流量の変動より作られる。血流量の変動は、心筋の拡張能、収縮能より作られる。心拍出量と全末梢血管抵抗の積は血圧となり、心拍数と心収縮力の変動が血圧変動を生む。血圧の勾配によって、血液は流れる。収縮と弛緩により拍動が生じ、拡張期と収縮期が交互にある心臓の拍動により、動脈圧は変化する。つまり、この動脈圧の変動を捉えるためのパラメータが、左心室の振動(音)変動情報の中に隠されているということになる。そして心周期のどの時相の変動を見ればよいのか、それが重要なポイントになる。心室周期は四つの期に分けて考えられる。心室充満期、等容性収縮期、拍出期、等容性弛緩期である。心室充満期は、初期の急速充満期、ゆるやかな充満期、そして最後の心房収縮による充満期がある。心房収縮は心電図P波に始まる。圧格差に基づく自然の心室充満に対して、左心房はブースター機能となり、併せて左室の前負荷となる。この静脈還流に基づく前負荷により、左室の拡張末期圧が上昇する。心房収縮時以降の血流変動は左心拡張期圧変動と心拍数の変動に相関することは知られている。ここに拡張期血圧を知る手掛かりは心室充満期、特に心房収縮による充満期にあると考えられる。
 血流変動の定常性は平均値、相関関数(PSD)などの統計量が測定時刻によらず一定であるという性質にある。平均値は心拍数であり、心拍数の変動からなる時系列波形のPSDによって自律神経系活動が定量され、心拍ゆらぎと呼ばれる。心拍ゆらぎは、1/fβゆらぎと呼ばれる数値で表される。心拍数の時系列データが定常であれば、PSDの対数表示が周波数の対数表示に反比例する。スペクトル指数β=1、1/fゆらぎと呼ばれるものであり、βが1より大きい場合、生理学的意味においては非定常と定義される。言い換えると、一般的に定常状態と呼ばれる安静時では、心拍ゆらぎは、全体として1/fゆらぎとなり、フラクタル・ブラウン運動を示す。時折の血圧上昇や降圧剤は、ゆらぎを高止まりにする。高止まりとなる周期成分が任意の時間幅で混入すると、心拍数と心収縮力に変動が生じ、血圧が変化する。ストレスは血圧を変化させ、血流変動をもたらす。血流変動は、各周期成分のPSDに大変動と停滞をもたらし、時刻に依存する時系列信号を生み出す。大変動と停滞は、血流変動のゆらぎに非定常性をもたらす。
 生体に対する外乱が存在しない状態、すなわちストレスフリーの状態では、心拍数や血流量のゆらぎは1/fβ型となり、正常血圧者は、β=1、1/fβは-1になる。高血圧患者は、自律神経系支配と体液性支配が安静状態でも現れ、フラクタル・ブラウン運動に交感神経支配による周期成分が含まれるようになる。すなわち、高血圧患者は、心拍数や血流量のゆらぎを示す1/fβは全体としておおよそ-1となるが、そのうち交感神経支配の状態を示すLF帯域を含む領域のゆらぎに高止まりが現れ、その領域において+成分が現れる。 
 また、降圧剤投与による人為的な血圧低下は、反射性交感神経緊張による心収縮性の増大により、血圧変動は抑制される。また生体の反射性調節が働かない場合には、心室と動脈系の力学的相互関係の最適結合に従って決定される血圧が維持される。自律神経系が作動する状況では、生体はあらかじめ設定した血圧を維持することを優先して、血液循環を調節する。すなわち、心血管系の整合は自律神経系により大きく修飾されるが、心臓および血管の交感神経応答性の違いにより変化し、その整合状況が維持されるわけではない。人為的な降圧剤投与は、心血管系の整合に対して、強い影響力を発揮し、降圧剤による制御は、血流変動のゆらぎが1/fβの一部に線形部分、すなわち、+成分が現れるように推移していくことが考えられる。 
 また、左心拡張期圧の支配方程式は、心拍数の自律神経支配と体液性支配に相関するパラメータであるVLFからLF帯域までのゆらぎの積分強度が関与している。血流変動並びに正常化因子は、心臓に帰ってきた血流によって引き起こされる物理現象から心機能を判断でき、心室の前負荷が鍵となり、時相は心房収縮から心室収縮に至る境界にあるとする。そこで、解析対象の時相は、等容性収縮期の直前直後となる。 
 交感神経は、β受容体刺激により促進性G蛋白を介して心拍数増加、心収縮力増強などを生じさせる。これら交感神経緊張に伴い、臨床的に観察される現象は、約15秒でピークに達するといわれている。一方、交感神経刺激に対する効果の発現は、心拍数に対して、一拍ごとの動的な調整はできないことも知られている。ここに安静状態での心拍変動と心収縮力のゆらぎを観察することで、β受容体刺激による心拍数増加、心収縮力増強による血圧変動を捉えられる可能性があると考えられる。血圧変動は、血流変動のゆらぎと相関し、血流変動は背部体表音の周波数帯域上に現れる。
 ところで、外側の心膜と内側の心膜の間にある心膜腔には数mlの液体がたまっている。この心膜腔液は心臓のポンプ作用に影響を与える。成人の心臓の重さは200~300gで心音の周波数は25~45Hz、ないし50Hzといわれている。心音の周波数が心臓を浮動させる構造体の固有振動数に一致するとして心臓浮動構造体の動的ばね定数を計算すると、約2.5kg/mm前後となる。この計算結果を正として考えると、心臓浮動構造体は70Hz以上の高周波に対して除振機能を有し、低周波帯域は剛体として考えられ、固有振動数以下の25Hz前後の低周波数帯域の振動・音響波形は線形・弱非線形情報となる。 従って、共振帯域を除く25Hz以下の振動波形を計測対象とする。
 体循環の支配因子である自律神経支配とホルモンによる体液性支配は、心拍変動の周波数帯域のゆらぎの積分強度で識別され、0.15~0.4HzのHF帯域と0.04~0.15HzのLF帯域のゆらぎの積分強度は、副交感間神経および交感神経の各活動状態を表し、0.003~0.04HzのVLF帯域の積分強度は体液性支配により発現するといわれている。そして、経験的に得られたVLFの亢進は、視床下部室傍核のコルチコトロピン分泌ホルモン(CRH)により活動を亢進される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)と副交感神経およびエピネフリンの亢進、そして交感神経とアンジオテンシンの抑制が条件となり、心拍数増大に寄与する。またCRH-ACTH系と交感神経がともに賦活するのは耐ストレス反応である。なお、夜間はメラトニン分泌による交感神経系の強力な抑制により、CRH-ACTH系の亢進と副交感神経の賦活化にもかかわらず心拍数および血圧は低値に維持されることも知られている。
 血流変動は、一回拍出量と心拍数の変動で表され、計測状態を安静状態かつ短時間で規定すると一回拍出量の変動は安定し、心拍数の変動が血流変動の支配因子として高い寄与率を持つ。心拍数の変動は、VLFとLFが支配因子となるため、計測のための時間幅をVLFから求めると、360秒間となり、1/360は0.003HzでVLFの帯域の周波数となる。左心室の拡張能と収縮能が血圧の変動に対して依存性を持つと考えられ、血流変動は、質量の変動と速度の変動が支配因子で、質量の変動は血液量の変動として現れ、速度の変動は心拍変動として現れる。力積となる血圧変動は、質量の変動と速度の変動が支配因子で、結果として2つの因子が絡み合って生じるのが時系列波形の振幅変動(ゆらぎ)となる。ここに、弁を管路とした数理モデルを検討する。 
 図24(a),(b)は、心室充満期から等容性収縮期で弁が解放していくまでの心房と心室の容積変化と血液の動きを示したものである。x は心房・僧帽弁・心室を移動する血液の線座標を示す。僧帽弁の入り口を0とし、出口をx=lとする。添え字は入り口で1、出口で2とする。僧帽弁の断面積をA、単位体積の血液の重量をγ、重力加速度をg、流速をv、血液の水頭をh、圧力をPとする。 
 僧帽弁入り口x=0のときの血液の圧力はP1=γh1 
となり、 
 時間Δtの間に流量Q の血液を押し込むのに要する仕事ΔW1は、
ΔW1=P1QΔt=γh1QΔt・・・(1)
となる。 
 同様に僧帽弁出口端でなされる仕事は、
ΔW2=γh2QΔt ・・・(2)
となる。 
 流体の圧力損失は流量Qの関数であるからf(Q)とする。この損失のために僧帽弁内で、時間Δtの間に費やされるエネルギーΔLは、
ΔL=γf(Q)QΔt・・・(3)
となる。 
 僧帽弁内の移動量dxに対応する運動エネルギーは、
dK=(V/2g)×Aγdx ・・・(4)
で表される。
 Aは血液の面積で、Aγは血液の重量である。 
 従って、
dk=(1/2gA)×γQdx・・・(5)
となる。
 ゆえに血液の持つ運動エネルギーKは、
K=γQm/2・・・(6)
で表される。 
 但し、mは僧帽弁の性状により定まる定数で、弁定数と呼ぶ。 
 微小時間Δt間の僧帽弁内の血液の運動エネルギーの変化ΔKを求める。
ΔK=mγQ(dQ/Δt)・・・(7)
となる。
ΔK=ΔW1-ΔW2-ΔL・・・(8)
なる関係より、
m(dQ/dt)=h1-h2-f(Q)・・・(9)
が求められる。 
 図24(a)に示すh1は前負荷である心房収縮による圧力水頭、h2は後負荷で心室拡張期圧による圧力水頭である。
 心室拡張気圧の変化は、流量Qの時間的変化が与えられれば、求めることができる。 
(9)式は整理すると、 
h1-h2=m(dQ/dt)+f(Q)・・・(10)
で表され、 
 中心静脈圧、心房圧は、心房収縮時直前では、ほぼ一定と考え、かつ水頭損失はIVが小さいため、f(Q)≒0とすると、 
h1-h2=m(dQ/dt)・・・(11)
となる。 
 流量はQ0から0に急速に、かつ一様に変化するとし、僧房弁閉鎖に要する時間はTmで表すと、心室拡張圧の上昇Δ(h1-h2)は、 
Δ(h1-h2)=mQ0/Tm=l/gA×Q0/Tm=lv0/gTm...(12)となる。 
 ここに、水頭の上昇は急速充満期の流速が大きいほど、僧房弁を閉じる時間が短いほど、水撃作用は大きくなり、大きなI音が生じることがわかる。mは僧帽弁・大動脈弁の導管としての機能によって決まる定数である。h1は前負荷を表し、心房収縮の静脈還流圧と心房収縮能で決定される心房圧である。後負荷は心室内圧である。ここにh1-h2は、心室まで帰ってくる血液を押し出すのに必要な心房の収縮能に相関し、上腕の拡張期血圧とも相関性がある。また左房内圧と左室内圧の差がh1-h2で、この差が等しくなる時がR波の出現ポイントで僧房弁の閉鎖の時である。 
f(Q)=m(dQ/dt)・・・(13)
Δf(Q)∝dPmax/dt・・・(14)
となり、収縮期血圧も同様にしてR波近傍の血液量の変動と相関性が取れる可能性が示唆される。
 ここで、高血圧患者と正常被験者の差について検討してみる。心室は拡張しきると、静脈圧によって血液がさらに心室内に流入する。充満期の最後の時相で、左房収縮でさらなる血液が左室内に押し込まれる。20~30歳代の成人で安静状態では、心房収縮による血液の流入量は全体の10~20%に過ぎないが、加齢とともにその比率は上昇し、46%前後まで上昇することは知られている。左房収縮による血液充満は、高血圧患者では、その比率が上昇すると考えられる。なぜなら、高血圧患者は20~30歳代の若年成人時に比べて比較的心拍数は増加傾向にある。心拍数が増加すると受動的な血液充満のための時間が短くなる。この充満期の最後の時相における流量は、左房収縮による左室充満が拡張期血圧を決定する際の重要なファクターになるとし、このファクターは、交感神経刺激により変動する。この変動の仕方は、神経伝達物質であるノルアドレナリン、アドレナリンの分泌の影響を受け、ノルアドレナリンは心筋細胞膜のβ1受容体と結合し、アドレナリンも心筋β1受容体に作用する。アドレナリンとノルアドレナリンは、カテコールアミンと呼ばれ、β1受容体を活性化させ、心拍数の増加、収縮力の増加を引き起こす。
 次に、式(10)中のdQ/dtを代数方程式に変換するために、血流量の変動を捉える図式解法としてのローレンツプロット法の利用について説明する。心電図を用いて心室周期の任意の時相を限定して、任意の時相に相当する時系列波形の振幅変動を、ローレンツプロット法により隣り合う振幅変動a1,a2のプロット群を作図する。振幅a1,a2の集合体から最小二乗法により傾きtanθ(以下、場合により、この傾きtanθを「Fractal Angle(FA)」と呼ぶ)を求める。この傾きtanθの時間変動を時系列波形で表し、時系列波形の周波数解析結果を両対数表示して、周波数とPSDに関する傾きを求める。具体的には、計測時間幅は前述の360秒間とし、30秒間の傾きを求め、30秒間の90%ラップ、すなわち3秒毎にtanθのゆらぎをプロットし、tanθの変動時系列波形を求める。tanθの変動時系列波形を周波数解析し、両対数表示図からLF帯域の傾き(この傾きを「Fractal Slope(FS)」と呼ぶ)を求める。このLF帯域の傾きFSが「+」の値を取るか、「-」の値を取るかで、β1受容体の活性化の有無を判定できる。「+」の値を取る場合は周期成分が強く強い制御が行われている状態で、「-」の値を取る場合は、フラクタル・ブラウン運動で1/fのゆらぎとなり、正常被験者が安静状態の定常状態において恒常性維持機能を発現している状態を示す。 
 以上より、左心血流変動の全体の傾きは、VLF~LF帯域に現れ、また、交感神経活動が亢進した場合の全体の傾きと様相の異なる傾きもこれらの帯域に現れる。そして、交感神経活動が亢進した場合に発現する傾きは、「+」と「-」の傾きがあり、特に「+」の値を示す場合は心筋β1受容体に作用して心拍数は周波数成分に、血圧についてはFSに、周期性をもたらし、ゆらぎは線形化する。自律神経支配と体液性支配の二重支配構造をもつ心拍数(HR)制御は、心電図のRRIの時系列波形の周波数解析結果のPSD-Hzの両対数表示図から求められる。この心電図RRIの周波数解析によるゆらぎには、β1受容体の活性化による心筋の収縮力の増加による血流量の変動から生じるゆらぎ成分は含まれていない。心筋の収縮力変動による血流変動は、後負荷の心室の拡張圧の変動からも影響を受ける。したがって心室の拡張圧の変動は、血流変動のゆらぎと相関する。
 心房収縮力は、静脈還流による血圧変動を超える圧力を生み出し、心室拡張圧、さらに心室拡張圧と平衡状態にある大動脈の拡張圧を超える時に、僧房弁閉鎖となる。僧房弁閉鎖直前の血流量変動のゆらぎと平均上腕拡張期血圧および平均上腕収縮期血圧に関する代数方程式を、FS(±LF)をパラメータにして表すと、
Δ(h1-h2)=l/gA・Q(±LF)/Tm=l/gA・Ffs(±LF)・・・(15)
となる。 
 したがって、 拡張期血圧(D.B.P)は、 
H(D.B.P)=Δ(h1-h2)+H0=l/gA・Q・Ffs(±LF)+H0・・・(16)
となる。 
 ここに、H0はFSが0のときなので、安静状態では、高血圧と正常域血圧の境界の値となる。これは、正常被験者は、安静状態では、1/fゆらぎは-1となるためである。一方高血圧患者は、拡張期血圧が高値にあるため高心拍数、高心収縮力と相関関係にある正の傾きをもつLF値を用いることになる。 
 上記の考え方を心室収縮期に適応させると収縮期血圧の推定が可能になる。約0.35秒の心室収縮期は等容性収縮期とそれより長い心室拍出期で構成される。図24(b)に示すように、等容性収縮期に左室圧が上昇し、大動脈圧を上回ると、大動脈弁が開き、左室から大動脈への血液の駆出が始まる。左室から拍出される血流は末梢の血管に流れ去る血流より大きなエネルギー量をもつため、弾性血管を拡張させ、一時的に留まることにより、動脈圧が上昇し、収縮期血圧に達することになる。そして動脈圧は左室圧を上回るが、慣性力により左室から大動脈への血液の流れは続く。血管の弾性の低下は血管拡張によるエネルギー損失が少なくし、末梢血管からの反射波により収縮期血圧をより高くする。そして急速拍出期の時間も短くなることから、収縮期血圧を高くする。そのため、高血圧者のII音は、大動脈弁閉鎖の時間短縮効果による水撃作用との合わせ技でI音よりも振幅が大きくなる可能性が示唆される。ここで式(9)を、心室収縮期の時相に合わせた式に変換する。
 前負荷h1がh3となり、時相は心房収縮から心室収縮にかわる。後負荷h2はh4となる。Δh4が心室の収縮能を示し、収縮期血圧に関係するパラメータとなる。時相は、心電図R波の終わり近くから等容性収縮期の時間帯となる。dQ/dtは等容性収縮期の心臓の収縮性の指標としてよく用いられるdP/dtmaxと相関し、初期駆出血流変動は左室収縮期圧変動と相関する。動脈の収縮期血圧は、心拍変動と等容性収縮期の心室収縮能と良く相関し、ここでもLFをパラメータにした式が成立する。 
 したがって、 収縮期血圧(S.B.P)は、FSを因子とした関数Ffsを含む式で表され、 
H(S.B.P)=Δh4+H0=l/gA・Q・Ffs(±LF)+H0・・・(17)
となる。
 本発明は、人の背部から採取される生体信号を解析し、心室充満期から等容性収縮期の血流変動によって生じる生体内の振動(生体内振動)を捉え、さらにこの生体内振動の様子を示す指標のゆらぎの様子(ゆらぎに関する指標(ゆらぎ指標))を捉える構成である。このゆらぎ指標は、上記のように人の状態、特に、血圧に関する情報と関連性がある。よって、本発明によれば、乗物のシート、事務用や家具用などの各種椅子、あるいは、ベッドなどの寝具等に取り付けられた、非拘束で生体信号を測定できる生体信号測定装置に、人が着席あるいは仰臥して背部を当該生体信号測定装置に当接するだけで、容易に血圧の推定、特に、正常域血圧(拡張期血圧が90mmHg未満、収縮期血圧が140mmHg未満)を示す領域に含まれるか高血圧を示す領域に含まれるかの推定を行うことができる。また、カフを用いる血圧測定では、1回測定後、次の測定までに再度上腕を圧迫しなければならず、その間数分程度を要し、連続的な血圧測定を行うことは困難であったが、本発明によれば、非拘束であるため、背部から次々に捉えられる生体信号を用いて、連続的(ここでいう「連続的」には、カフを用いる場合よりも短い間隔で間欠的に測定する場合も含む)に血圧を推定することができる。
図1(a)は、本発明の一の実施形態において用いた背部体表脈波を測定する生体信号測定装置の一例を示した分解図であり、図1(b)は、その要部断面図である。 図2は、本発明の一の実施形態に係る血圧推定装置の構成を模式的に示した図である。 図3(a)は、心電図波形を示した図であり、図3(b)は、心音波を示した図であり、図3(c)は、上記実施形態の生体信号測定装置から得られる生体信号の時系列波形をフィルタリングしたフィルタ処理波形(RCW)を示した図である。 図4は、図3に示した心電図波形、心音波及びフィルタ処理波形(RCW)の所定時間帯における拡大図である。 図5(a)は、心房収縮の際の血流変動を反映する波形成分に関する散布図であり、図5(b)は、房室弁閉鎖の直前及び直後の心室充満期から等容性収縮期に移行する際の血流変動を反映する波形成分に関する散布図である。 図6(a),(b)は、散布図傾き算出手段の機能を説明するための図である。 図7(a)~(c)は、ゆらぎ解析手段の機能を説明するための図である。 図8は、血圧推定用相関データを作成する手順を示したフローチャートである。 図9は、高血圧被験者4名の散布図及び散布図傾きを示した図である。 図10は、正常高値血圧被験者4名の散布図及び散布図傾きを示した図である。 図11は、至適血圧被験者8名の散布図及び散布図傾きを示した図である。 図12は、正常血圧被験者2名の散布図及び散布図傾きを示した図である。 図13は、低血圧被験者2名の散布図及び散布図傾きを示した図である。 図14は、心房収縮の際の血流変動を反映するa(1),a(2)(a1a2)の波形成分を用いた散布図、散布図傾き、ゆらぎ解析図、並びに、それらから求めたフラクタルスロープ(FS)の例をまとめて示した図である。 図15は、心室充満期から等容性収縮期に移行する際の血流変動を反映するa(2),a(3)(a2a3)の波形成分を用いた散布図、散布図傾き、ゆらぎ解析図、並びに、それらから求めたフラクタルスロープ(FS)の例をまとめて示した図である。 図16は、本実施形態の血圧推定用相関データの例を示した図である。 図17は、フラクタルスロープ(FS)の値の平均値、上腕血圧値の平均値を用いて求めた本実施形態の血圧推定用相関データの例を示した図である。 図18(a)は、図16の血圧推定用相関データを再掲した図であり、図18(b)は、上腕血圧計の収縮期血圧及び拡張期血圧とフラクタルスロープ(FS)の対応関係を図18(a)とは反対にして作成した比較データである。 図19は、血圧の推定過程を説明するためのフローチャートである。 図20は、血圧の推定過程を説明するためのフローチャートであり、図19の続きである。 図21(a),(b)は、フラクタルスロープを求める手法を説明するための図である。 図22(a),(b)は、上記実施形態により推定した血圧の推定値と上腕血圧の実測値とを比較したグラフである。 図23(a),(b)は、フラクタルスロープを求める回帰直線の傾きを図22の場合と異ならせて求めた血圧の推定値と上腕血圧の実測値とを比較したグラフである。 図24(a),(b)は、心室充満期から等容性収縮期で弁が解放していくまでの心房と心室の容積変化と血液の動きを示した図である。
 以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。本発明においては人の背部の体表面を伝播する生体信号(背部体表脈波)を用いる。この背部体表脈波は、上記のように、心房や心室の収縮期や拡張期において心房や心室内の血液の流れによる各弁や心筋内壁に衝突する際の振動、大動脈を流れる際に血管壁を押圧することによって生じる振動(音として伝わる振動を含む)が体表面に伝達されたものである。従って、背部体表脈波には、本発明においてターゲットとする心室充満期における生体内の振動、すなわち心室充満期から等容性収縮期の血流変動によって生じる生体内の振動(生体内振動)の情報が含まれる。
 背部体表脈波を採取するための生体信号測定装置は、好ましくは、(株)デルタツーリング製の居眠り運転警告装置(スリープバスター(登録商標))で使用されている生体信号測定装置1を用いる。図1は生体信号測定装置1の概略構成を示したものである。この生体信号測定装置1は、図示しない電気的な配線等に加え、生体信号検出部10を有してなり、該生体信号検出部10が、測定用の椅子、ベッド、あるいは、乗物の運転席のシート等に組み込んで使用することができ、腕、手、指等を拘束することなく生体信号を採取できる。
 生体信号検出部10は、図1(a),(b)に示したように、それぞれ所定の幅及び長さを有する略長方形の第一層部材11、第二層部材12及び第三層部材13が積層された三層構造で構成されている。第一層部材11は、三次元立体編物等からなり、生体信号の検出対象である人体側に位置させて用いられ、人体の背部の体表面を介しての生体信号は第一層部材11にまず伝播される。第二層部材12は、第一層部材11から伝播される微弱な背部体表脈波を共鳴現象又はうなり現象によって強調させる共鳴層として機能し、ビーズ発泡体等からなるベース部材121、固有振動子の機能を果たす三次元立体編物122、膜振動を生じるフィルム123を有して構成される。ベース部材121の中心を挟んだ対称位置に、2つの配置孔121a,121aが形成され、この配置孔121a,121aに固有振動子の機能を果たす三次元立体編物122、122が配置されている。フィルム123,123は、この固有振動子の機能を果たす三次元立体編物122,122の各露出面を覆うように、第二層部材12の両面に積層される。そして、一方の三次元立体編物122とフィルム123との間に背部体表脈波による振動(音)を検出するマイクロフォンセンサ14が配設されている。なお、微弱な振動(音)である背部体表脈波を検出できるものであればマイクロフォンセンサ14に限定されず他のセンサを用いてもよい。また、必要に応じて、2つの三次元立体編物122,122のそれぞれに対応してセンサを配置することもできる。第三層部材13は、第二層部材12を介して第一層部材11の反対側に積層され、外部からの振動入力を低減する。第三層部材13は、好ましくは100Hzを超える高周波の外部振動を除振する機能を有する。第三層部材13としては、このようなフィルタリング機能を果たすために、第一層部材11と同様に三次元立体編物を用いることが好ましい。
 なお、三次元立体編物は、グランド編地の編目密度、グランド糸の太さや素材、連結糸の配設密度、連結糸の太さや素材などを調整することにより、必要な除振性能をもたせることができる。また、第一層部材11として用いた三次元立体編物、第二層部材12の固有振動子として用いた三次元立体編物122のいずれよりも、連結糸の配設密度を高くした三次元立体編物を第三層部材13として用いることにより、所定以上の高周波振動を伝わり難くしている。
 生体信号検出部10は、上記のように第一層部材11、第二層部材12及び第三層部材13を備えてなるが、背部の体表面を介して伝播される生体信号、特に、左心室の拡張、左心室の収縮に伴う大動脈への血液の流出による生体内の振動情報を含む背部体表脈波を検出するため、上記の椅子、ベッド等において、鎖骨に対応する高さから剣状突起に対応する高さまでの範囲に対応するに設けられることが好ましい。これは、本発明者が生体信号検出部10の取り付け位置を種々変化させた中で、この範囲における検出感度が高かったことに基づくものである。但し、「心臓血液駆出に伴う胸部インピーダンス変化検出による電気的インピーダンス心拍出量計測用至適スポット電極配置」、生体医工学、46巻6号(2008年12月)という研究報告によれば、心拍出量(cardiac output(co))を電気的インピーダンス法を用いて計測するに当たって、電極を胸部前面に配置する場合、鎖骨から剣状突起に対応する範囲では、心房及び心室間の血液量変化の影響が大きく、動脈の血液量変化を捉えるには不十分で、鎖骨レベル、剣状突起レベルに電極を配置することが望ましいとする一方で、電極を背部に配置した場合には、鎖骨対応部位と剣状突起対応部位間では、一方から他方にずらしていくにしたがって、動脈の血液量が一定の率で変化していくと共に、心房及び心室間の血液量も一定の率で変化していくことをデータとして示している。このことは、背部においては、鎖骨対応部位と剣状突起対応部位間に生体信号検出部10を当接すると、特に、左心室の拡張期における血液量の変化と、左心室が収縮して大動脈が駆出する際の大動脈における血液量の変化の両方を感度良く捉えることができることを示す間接的な裏付けとも言える。
 次に、本実施形態の血圧推定装置100の構成について図2に基づいて説明する。血圧推定装置100は、生体信号処理手段200を有して構成される。血圧推定装置100は、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、機器に組み込まれるマイクロコンピュータ等も含む)から構成され、生体信号処理手段200として機能する生体信号処理手順を実行させるコンピュータプログラムが記憶部(当該コンピュータ(生体信号測定装置100)の内蔵のハードディスク等の記録媒体のほか、リムーバブルの各種記録媒体、通信手段で接続された他のコンピュータの記録媒体等も含む)に記憶されている。また、生体信号処理手段200として機能するコンピュータプログラムは、フィルタリング手段210、血流変動指標算出手段220、ゆらぎ指標算出手段230、推定手段240として機能し、フィルタリング手順、血流変動指標算出手順、ゆらぎ指標算出手順、推定手順をコンピュータに実行させる。また、フィルタリング手順、血流変動指標算出手順、ゆらぎ指標算出手順、推定手順を実現するコンピュータプログラムが組み込まれた1以上の記憶回路を有する電子回路で実現することもできる。
 また、コンピュータプログラムは、記録媒体に記憶させて提供することができる。コンピュータプログラムを記憶した記録媒体は、非一過性の記録媒体であっても良い。非一過性の記録媒体は特に限定されないが、例えば フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO(光磁気ディスク)、DVD-ROM、メモリカードなどの記録媒体が挙げられる。また、通信回線を通じてコンピュータプログラムをコンピュータに伝送してインストールすることも可能である。
 フィルタリング手段210は、生体信号測定装置1の生体信号検出部10に組み込まれたセンサ14から得られる生体信号の時系列波形(搬送波に生体情報がのり、生体信号検出部10の第二層部材12において共鳴現象等により強調された波形(以下、「センサ波形」))をフィルタリングする。フィルタリング手段210は、例えば、中心周波数20Hz近傍のバンドパスフィルタ、好ましくは、10~30Hzの周波数帯域のバンドパスフィルタをかける手段であり、より好ましくは、高周波成分を除くため、これにさらに50Hzと35Hzのノッチフィルタをかける手段を有しており、これらのフィルタリングにより、センサ波形が、10~30Hzのフィルタ処理波形(図3(c)の波形(以下、「RCW」という)に変換される。心拍数は約1~1.5Hz前後が標準的な範囲であるが、RCWは、図3(c)に示したように、約1秒周期で相対的に大きな全振幅の波形成分が出現していることが捉えられていることから、心周期が顕在化される。この点は、図3(a)の心電図の波形、図3(b)の心音図の波形と比較して明らかである。しかしながら、RCWには、心周期のリズムだけでなく、血流変動に伴う生体内の振動(音)のエネルギーが含まれている。
 血流変動指標算出手段220は、RCW中、心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を用いて、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生体内で生じる振動に関する指標を求める手段である。血流変動指標算出手段220は、図2に示したように、散布図作成手段(散布図作成回路)221と、散布図傾き算出手段(散布図傾き算出回路)222とを有している。
 散布図作成手段221は、RCWから上記の波形成分を2つ特定すると共に、この2つの波形成分の各全振幅(a(i),a(i+1))を用いて散布図を作成する。心室充満期の心房収縮は、房室弁閉鎖前の約0.2秒間(例えば、安静時の人の平均的な1心周期が0.9秒程度(心拍数67回)の場合で約0.17秒間)である。RCW中、この間の波形成分を用いる。房室弁の閉鎖は、図3(a)に示した心電図の波形のR波の直後であり、それを境として心房収縮から等容性収縮期に移行するため、心電図のR波のタイミングを基準とした波形成分を選択する。図4は、図3(a)~(c)における約101秒~約101.8秒の範囲の拡大図である。図4に示したように、まず、心電図のR波の直前に位置する房室弁閉鎖の直前の極点B(0)を求める。次に、極点B(0)の一つ前に位置する極点をB(1)とし、B(1)を基準として、その直前の波形成分の下側極点から上側極点までの縦軸に沿った振幅(すなわち全振幅(p-p))を「a(1)」とし、その直後の波形成分の全振幅を「a(2)」とする。ここで特定した全振幅:a(1),a(2)の波形成分はR波の直前0.1秒以内の範囲であり、この2つの波形成分の各全振幅は、心房収縮の際の血流変動を反映している。
 一方、R波の直後の極点、すなわち、極点B(0)の直後に位置する極点をB(2)とし、極点B(2)を基準として、その直前の波形成分の全振幅を「a(2)」とし、その直後の全振幅を「a(3)」とする。これらは、心電図のR波を挟んだ直前及び直後の波形成分であり、心室充満期から等容性収縮期に移行する際の血流変動を反映している。
 次に、散布図作成手段221は、このようにして求めた隣接する2つの波形成分の各全振幅(a(i),a(i+1))の値を、一方の値を縦軸に、他方の値を横軸にとった座標系にプロットし、散布図(ローレンツプロット図)を作成する(図5参照)。この散布図にプロットされた点が、2つの波形成分の各全振幅の比を示す。
 ローレンツプロット法を用いることにより、Δtの間に流れる血液の変化量を求めることができる。すなわち、心房の収縮能により、血液に運動エネルギーが与えられ、この血流の振動系は増幅する自由振動になる。自由振動系は、一般的に粘性減衰と固体摩擦の二つの減衰が作用するが、ローレンツプロット法を用いて、不規則なゆらぎを見せる血流量の中で規則性を見出すことができる。
 上記のように、散布図を作成するための2つの波形成分を特定するためには、房室弁閉鎖直前の心電図波形に出現するR波を特定する必要がある。本実施形態では、図2に示したように、心電計300からの心電図波形データを血圧推定装置100で受信し、その情報を血流変動指標算出手段220の散布図作成手段221で上記のように用いるようになっている。なお、心電計300としては、R波のタイミングを特定できるものであればその種類は全く限定されるものではない。よって、本実施形態では、被験者の背部に生体信号測定装置1の生体信号検出部10を配置すると共に、心電計300の電極を被験者の胸部に装着してデータを採取する。
 図5(a)は、上記のようにして求めた心房収縮の際の血流変動を反映する2つの波形成分の各全振幅a(1)、a(2)をプロットした散布図(ローレンツプロット図)であり、図5(b)は、R波の出現直後である心室充満期から等容性収縮期に移行する際の血流変動を反映する2つの波形成分の各全振幅a(2)、a(3)をプロットした散布図である。いずれも、RCWの30秒間のデータを一つの座標系にプロットしたものである(例えば心拍数約60回/分の場合で約30点プロットされる)。散布図作成手段221は、このような散布図をRCWについて時系列に求めていくが、その際、RCWの時間幅を例えば90%ラップで重ねてスライドさせて求めていく。これにより、本例では全振幅の比を示す散布図が3秒間隔で作成されることになる。なお、この時間幅やスライド計算のラップ率はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。但し、設定する時間幅が長すぎたり、ラップ率が低すぎたりすると、心房収縮の状態の把握精度が低下するため、時間幅は、10~60秒程度の範囲とし、ラップ率は、70~95%程度の範囲とすることが好ましい。
 散布図傾き算出手段222は、散布図にプロットされた点群について、最小二乗法により回帰直線Aを引き、さらにその回帰直線Aの傾きを求める。なお、この傾きは、横軸又は縦軸に対する傾きをそのまま用いることもできるが、図6(b)に示したように、任意の基準線(総時間プロット基準線)に対する傾き(総時間プロット基準線と30秒間の回帰直線Aとの間の角度)を、散布図傾き算出手段222から出力される傾き(θi)とすることが好ましい。また、回帰直線Aの傾きtanθはθ(度)に近似していると見なして差し支えないため本実施形態では、θ(度)のゆらぎの時系列波形を計算に用いる。
 総時間プロット基準線は、RCWについて、上記の各散布図を作成する時間幅よりも数倍以上長い時間(例えば計測総時間)について全振幅比を求め、その長い時間に関する散布図に引いた線である。具体的には、図6(a)に示したように、例えば計測総時間360秒間のデータの中で、ボックスカウンティング法により出現回数の少ないデータ(例えば20%以下)は棄却し、全振幅の小さい波形のプロットが集まっている点(プロット群の下端)を起点として、プロットの重心を通る絶対最大長の線を総時間プロット基準線とする。プロットの重心は、X座標(a(i+1))、Y座標(a(i))の平均値である。
 ゆらぎ指標算出手段230は、血流変動指標算出手段220の散布図傾き算出手段222により求められた生体内で生じる振動に関する指標(血流変動指標)の時系列波形を求めると共に、その時系列波形のゆらぎに関する指標を求める手段である。ゆらぎ指標算出手段230は、図2に示したように、ゆらぎ解析手段231とゆらぎ解析図傾き算出手段232とを有している。
 ゆらぎ解析手段231は、まず、散布図傾き算出手段222により求められた点群の回帰直線の傾き(θi)の値(血流変動指標)を時系列にプロットする。上記の例では、点群の回帰直線の傾き(θi)の値(血流変動指標)が3秒間隔で求められるため、図7(a)に示したように、当該回帰直線の傾き(θi)の値を3秒間隔でプロットし、図7(b)に示した時系列波形を改めて構成する。なお、図7(b)では、回帰直線の傾き(θi)のそのままの値をプロットした時系列波形(全体の平均値をゼロ点にして引き直した時系列波形でもよい)を「θi時系列波形」とし、「θi時系列波形」に0.08Hzのローパスフィルターをかけた時系列波形を「LPF処理波形」として示している。上記の例の場合、3秒に1回のプロットになるため、0.08Hzを超える高周波成分は信頼性が低いと考えられる。この点群の回帰直線の傾き(θi)の値(血流変動指標)の時系列波形は、ある状態から次の状態へと移り変わることに対応するためのゆらぎがある。そこで、ゆらぎ解析手段231は、血流変動指標の時系列波形について周波数解析(FFT)を行って、パワースペクトル密度と周波数の両対数グラフに、周波数解析結果を表示する。なお、周波数解析の対象とする回帰直線の傾き(θi)の値(血流変動指標)の時系列波形は、図7(b)における「θi時系列波形」よりも「LPF処理波形」を用いることが好ましい。この周波数解析により、ゆらぎを支配する周波数がいずれであるかがわかる(図7(c)参照)。本明細書では、この周波数解析の結果を「ゆらぎ解析図」と称する。
 ゆらぎ解析図傾き算出手段232は、ゆらぎ解析手段231で得られたゆらぎ解析図の回帰直線Bを求めると共に、このゆらぎ解析図の回帰直線Bの傾き(本願では、このゆらぎ解析図の回帰直線Bの傾きを「フラクタルスロープ(FS)」と称する)を算出する。ゆらぎ解析図の回帰直線Bは、本実施形態では、図7(c)に示したように、パワースペクトル密度の対数が周波数の対数に全体的には反比例するため、パワースペクトル密度の対数目盛りを縦軸に周波数の対数目盛りを横軸にとると右肩下がりになる。例えば、45度で右肩下がりのゆらぎ解析図の回帰直線Bの傾き(フラクタルスロープ)は「-1(すなわち1/fゆらぎの傾き)」で示すことができる。
 上記のように、左心血流変動の全体の傾きは、VLFからLF帯域に現れ、特に交感神経活動が亢進した場合は全体の傾きと様相の異なる傾きがこれらの帯域に現れ、また、これらの帯域の傾きが「+」の値を取るか、「-」の値を取るかで、高血圧患者に特有のβ1受容体の活性化の有無を判定できる。さらに、0.003~0.08Hz付近が血圧調節ホルモン(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系)の働きを反映する周波数帯であり、Mayer波と呼ばれる0.1Hzの振動(交感神経性血管収縮神経の興奮レベルの周期的振動)も血圧に影響を及ぼしている。これらのことを勘案すると、ゆらぎ指標であるゆらぎ解析図の回帰直線Bの傾き(フラクタルスロープ)は、VLF帯域(超低周波帯域:0.0033~0.04Hz)からLF帯域(低周波帯域:0.04~0.15Hz)において設定される所定の周波数帯で求めることが好ましい。所定の周波数帯は、本実施形態の場合、上記のように血流変動指標の時系列波形を作成する際に0.08Hzでローパスフィルターをかけているため、まず上限値は0.08Hz付近に設定することが好ましい。一方、下限値は、0.01Hz以下の情報には血流量の変動情報が顕著には含まれていないことから、0.01~0.04Hzの間で設定することが好ましい。例えば、心拍数が早くなることにより血圧が低下傾向となる場合があり、その際には、血流量変動のゆらぎが低周波側に現れる傾向となる場合もある。よって、所定の周波数帯は、例えば、0.03~0.08Hzと一律に設定することも可能であるが、血圧を推定する被験者毎に設定することが好ましい。
 血圧を推定する被験者毎に設定する方法として、本実施形態では次の方法を用いた。すなわち、後述するように、血圧の推定に当たっては、被験者のゆらぎ指標であるフラクタルスロープ(FS)を、血圧推定用相関データに照合して行われる。よって、上腕血圧値とフラクタルスロープ(FS)とを対応させて血圧推定用相関データ(血圧推定用相関式)を予め求めて記憶部に設定しておく必要がある。従って、この血圧推定相関データの作成には、各被験者のゆらぎ解析図毎に、被験者の心拍数等を考慮して個別に、フラクタルスロープ(FS)を求めるための適切な周波数帯が設定されている。そこで、これらのゆらぎ解析図を教師データとして用い、これから血圧を推定する被験者のゆらぎ解析図を各教師データに照合し、一致度の高い教師データを抽出し、その教師データに用いられている周波数帯を、これから血圧を推定する被験者のゆらぎ解析図において用い、フラクタルスロープ(FS)を算出することができる。このような手法を用いることで、血圧推定用相関データを作成した後は、所定の周波数帯を被験者毎に自動で設定することができる。なお、新たに求められたデータは、新たな教師データとして蓄積し、その新たな教師データも含めて血圧推定用相関データ(血圧推定用相関式)を改めて求める、というステップを繰り返すことで、血圧の推定精度を高めていくことができる。
 ゆらぎ解析図傾き算出手段232により出力されるゆらぎ指標としてのフラクタルスロープ(FS)は、後述する推定手段240において血圧の推定に用いられるが、そのためには予め、血圧とフラクタルスロープ(FS)との相関データ(血圧推定用相関データ)を作成しておく必要がある。従って、本実施形態において生体信号処理手段200は、ゆらぎ解析図傾き算出手段232により出力されるゆらぎ指標としてのフラクタルスロープを用いて、血圧推定用相関データを作成する相関データ作成手段260を有している(図2)。この相関データ作成手段260では、次のような手順が実行されて相関データを作成し、記憶部に記憶させる。
 なお、血圧推定用相関データを作成する場合、散布図傾き算出手段222により求められた点群の回帰直線の傾き(θi)の値(血流変動指標)として、拡張期血圧の推定には、心房収縮の際の血流変動を反映する2つの波形成分の各全振幅a(1)、a(2)をプロットした散布図から得られるものを採用し、収縮期血圧の推定には、房室弁閉鎖の直前及び直後の心室充満期から等容性収縮期に移行する際の血流変動を反映する2つの波形成分の各全振幅a(2)、a(3)をプロットした散布図から得られるものを採用する。
 そして、図8に示したように、ゆらぎ指標算出手段230により回帰直線Bの傾き(フラクタルスロープ(FS))を算出したならば(S1101)、相関データ作成手段260がこの情報を受け取る(S1103)。また、ほぼ同じタイミングで血圧計により測定した被験者の上腕血圧のデータ(S1102)も受信する(S1103)。なお、上腕血圧の測定方法は限定されるものではなく、上腕にカフを巻き付けるタイプの血圧計(上腕式血圧計)によって測定してもよいし、手首式血圧計等により測定してもよいことはもちろんである。このようにして、血圧推定用相関データ(血圧/fractal slope MAP)が作成され(S1104)、このデータが記憶部に記憶される。後述する図16あるいは図17が血圧推定用相関データの例であり、図16及び図17ともに、横軸にLF帯域の回帰直線Bの傾き(フラクタルスロープ(FS))をとり、縦軸に上腕血圧データをとり、拡張期血圧推定用相関データと収縮期血圧推定用相関データをそれぞれ示す二本の相関線(相関式)がそれぞれ求められている。
 推定手段240は、ゆらぎ解析図傾き算出手段232により求められたフラクタルスロープの値をゆらぎ指標として用い、血圧の推定を行う。すなわち、評価対象者のフラクタルスロープ(FS)の値を、記憶部に記憶された上記の血圧推定用相関データに照合して血圧を推定する(図2参照)。例えば、a(1)(図中及び以下においては単に「a1」と表記)及びa(2)(図中及び以下においては単に「a2」と表記)を用いて求めたゆらぎ指標であるフラクタルスロープ(FS)が「-0.2」と出力された場合、図16では、y=19.039x+84.361の式に代入され、約81mmHgと求められ、図17を用いた場合には、y=20.414x+85.043の式に代入され、約81mmHgと推定される。また、a2及びa(3)(図中及び以下においては単に「a3」と表記)を用いて求めたゆらぎ指標であるフラクタルスロープ(FS)が「-1」と出力された場合、図16では、y=19.813x+142.5の式に代入され、約123mmHgと推定され、図17に照らすと、y=19.006x+141.93の式に代入され、約123mmHgと推定される。a1及びa2を用いたフラクタルスロープ(FS)、並びに、a2及びa3を用いたフラクタルスロープ(FS)のいずれも、本実施形態によれば、次々に求めることができるため、被験者の血圧を、非拘束でありながら連続的に推定することができる。
 ここで、図9~図15を用いて図16及び図17に示した血圧推定用相関データの作成過程を説明する。まず、図9~図13は、代表的な被験者20人(被験者(Sub.)No.01~20)の背部体表脈波をフィルタリング手段210によりフィルタリングした後、血流量変動指標算出手段220の散布図作成手段221によって作成した散布図(ローレンツプロット図)を示している。なお、これらの被験者から採取した背部体表脈波は安静状態のものである。これらは、いずれも、a1及びa2を用いて求めた点(図の凡例中、「a1a2」と表記)とa2及びa3を用いて求めた点(図の凡例中、「a2a3」と表記)の両方がプロットされている。また、「a1a2」点、「a2a3」点の各点群について、散布図傾き算出手段222によって求めた回帰直線A(それぞれ、「a1a2近似線」、「a2a3近似線」)が示されている。そして、散布図傾き算出手段222は、これらa1a2近似線及びa2a3近似線の傾き(θ1)を求める。
 なお、図9~図15の分析に当たっては、日本高血圧学会の高血圧ガイドライン(2014年)の血圧分類に基づいて、安静状態における各被験者の上腕血圧値から、次のように血圧の種類を分類した。まず、収縮期血圧140mmHg以上かつ/又は拡張期血圧90mmHg以上の場合に「高血圧」と分類し、「高血圧」の条件未満の場合に「正常域血圧」と分類した。また、「正常域血圧」について、収縮期血圧130~139mmHgかつ/又は拡張期血圧:85~89mmHgの場合を「正常高値血圧」とし、収縮期血圧120~129mmHgかつ/又は拡張期血圧:80~84mmHgの場合を「正常血圧」とし、収縮期血圧120mmHg未満かつ拡張期血圧80mmHg未満の場合を「至適血圧」とした。「低血圧」については上記ガイドラインにおいて規定がないため、世界保健機関(WHO)に規定されている収縮期血圧100mmHg以下、拡張期血圧60mmHg以下の基準を採用した。
 次に、ゆらぎ指標算出手段230のゆらぎ解析手段231が、散布図傾き算出手段222により求めたa1a2近似線及びa2a3近似線の各傾き(θ1)の時系列波形を求め(図7(b)参照)、周波数解析(FFT)を行って、パワースペクトル密度と周波数の両対数グラフからなるゆらぎ解析図を求める(図7(c)参照)。ゆらぎ解析図傾き算出手段232は、上記のようにVLFからLF帯域において、各被験者の心拍数等を参照して所定の周波数帯を設定し、ゆらぎ解析図の回帰直線Bの傾きであるフラクタルスロープ(FS)を求める。
 次に、相関データ作成手段260により、拡張期血圧に対応するa1a2に関しては図14に示したようなフラクタルスロープ(FS)が得られ、収縮期血圧に対応するa2a3に関しては図15に示したようなフラクタルスロープが得られる。図14及び図15中、中央列(「(2)」で表示した列)が上記のゆらぎ解析図に相当し、そこにおける所定の周波数帯のフラクタルスロープ(FS)を求めている。なお、図14及び図15中、左列(「(1)」で表示した列)は散布図(ローレンツプロット図)を示し、右列(「(3)」で表示した列は、心電計300から得られた心拍数の時系列波形のゆらぎを解析したスペクトルである。心拍数の時系列波形のゆらぎを解析したスペクトルのフラクタルスロープは血圧との有意な相関は見られなかった。
 (2)の中央列を見ると、例えば、正常高値血圧の範囲に分類される血圧を示す被験者No.05は、図14のa1a2に基づいたものは「-0.05」のフラクタルスロープ(FS)が得られ、図15のa2a3に基づいたものは、「-0.78」のフラクタルスロープ(FS)が得られた。この際の被験者No.05の上腕血圧は、拡張期血圧が83、収縮期血圧が133であった。そして、図16において、a1a2に関するフラクタルスロープ(FS)の値「-0.05」に、拡張期血圧83を対応させてプロットし、a2a3に関するフラクタルスロープ(FS)の値「-0.78」に、収縮期血圧133を対応させてプロットする。
 同様に、至適血圧の範囲に分類される血圧を示す被験者No.11は、図14のa1a2に基づいたものは「-0.53」のフラクタルスロープ(FS)が得られ、図15のa2a3に基づいたものは、「-1.30」のフラクタルスロープ(FS)が得られた。この際の被験者No.11の上腕血圧は、拡張期血圧が65、収縮期血圧が108であった。そして、図16において、a1a2に関するフラクタルスロープ(FS)の値「-0.53」に、拡張期血圧65を対応させてプロットし、a2a3に関するフラクタルスロープ(FS)の値「-1.30」に、収縮期血圧108を対応させてプロットする。
 さらに、高血圧の範囲に分類される血圧を示す被験者No.01は、図14のa1a2に基づいたものは「+1.81」のフラクタルスロープ(FS)が得られ、図15のa2a3に基づいたものは、「+0.54」のフラクタルスロープ(FS)が得られた。この際の被験者No.01の上腕血圧は、拡張期血圧が116、収縮期血圧が164であった。そして、図16において、a1a2に関するフラクタルスロープ(FS)の値「+1.81」に、拡張期血圧116を対応させてプロットし、a2a3に関するフラクタルスロープ(FS)の値「+0.54」に、収縮期血圧164を対応させてプロットする。
 その他の被験者についても同様の処理を行い、図16にプロットしていく。このようにしてプロットしていくと、高血圧に分類される被験者のフラクタルスロープ(FS)の値はa1a2及びa2a3のいずれに関してもほぼ0以上となり、正常域血圧(正常高値血圧、正常血圧、至適血圧、低血圧)の被験者のフラクタルスロープ(FS)の値はa1a2及びa2a3のいずれに関してもほぼ0以下となった。そして、図16にプロットされたa1a2に基づいた点群に引いた回帰直線はy=19.039x+84.361となり、決定係数は0.7511で高い相関性が示された。また、フラクタルスロープ(FS)値が「0」のときのy切片の値が「84.361」であり、拡張期血圧の高血圧と正常域血圧との境界である90mmHgに近い値であると共に、正常高値血圧と正常血圧との境界である85mmHgとほぼ同じ値であった。この回帰直線が最終的に求める拡張期血圧推定用相関データとなる。
 一方、a2a3に基づいた点群に引いた回帰直線はy=19.882x+142.47となり、決定係数は0.9101で高い相関性が示された。また、フラクタルスロープ(FS)値が「0」のときのy切片の値が「142.47」であり、収縮期血圧の高血圧と正常域血圧との境界である140mmHgに近い値であった。この回帰直線が最終的に求める収縮期血圧推定用相関データとなる。なお、図16にプロットされたデータは、a1a2に関しては被験者25名分の192データであり、a2a3に関しては被験者34名分の146データである。
 図17は、図16にプロットしたデータのうち、複数回計測を行った被験者のa1a2及びa2a3に関する各フラクタルスロープ(FS)の値の平均値、上腕血圧計により測定された拡張期血圧の平均値と収縮期血圧の平均値を用いて作成した血圧推定用相関データである。a1a2を用いた拡張期血圧推定用相関データの回帰直線はy=20.414x+85.043であり、その決定係数は0.9246であった。a2a3を用いた収縮期血圧推定用相関データの回帰直線はy=19.222x+142.08であり、その決定係数は0.9615であった。いずれも、図16で求めた回帰直線よりも相関性が高くなっており、血圧推定用相関データの作成に当たっては、被験者の複数の測定値の平均値を用いることが好ましい。
 ここで、図18(a)は、図18(b)との比較のために、図16の血圧推定用相関データを再掲したものである。図18(b)は、図18(a)とは逆に、a1a2に基づくフラクタルスロープ(FS)の値に対して、上腕血圧計により測定した収縮期血圧を対応させてプロットし、a2a3に基づくフラクタルスロープ(FS)の値に対して、上腕血圧計により測定した拡張期血圧を対応させてプロットした各点群を示したものである。図18(b)では、a1a2に基づくフラクタルスロープ(FS)の値に収縮期血圧を対比させた点群の回帰直線が、y=22.499x+131.34、決定係数が0.5244と、図18(a)と比較して相関性が大きく劣っていた。また、a2a3に基づくフラクタルスロープ(FS)の値に拡張期血圧を対比させた点群の回帰直線が、y=13.272x+90.037、決定係数が0.7309であった。決定係数の値が若干低くなっていると共に、y切片が90を若干上回っていた。また、図18(a)では収縮期血圧と拡張期血圧の各回帰直線の傾きがほぼ同じであるのに対し、図18(b)の手法では、収縮期血圧と拡張期血圧の各回帰直線の傾きが大きく異なっていることがわかる。換言すれば、図18(b)の手法の場合、収縮期血圧と拡張期血圧との差がほとんどないデータ構成が存在することになり、両者を明確に区別して推定するための相関データとしての信頼性が乏しいことがわかる。よって、本実施形態のように、拡張期血圧推定用にはa1a2に基づくフラクタルスロープ(FS)の値を用い、収縮期血圧推定用にはa2a3に基づくフラクタルスロープ(FS)の値を用いることが適切である。
 次に、図19及び図20のフローチャートに基づき、血圧の推定過程を具体的に説明する。まず、血圧を推定する対象となる人(血圧推定対象者)は、背部体表脈波を検出する生体信号検出装置1の生体信号検出部10が上記のように背部に設けられた測定用の椅子等に着席する。また、血圧推定対象者には心電計300の電極を胸部に装着し、心電図波形データが血圧推定装置100に送信されるように設定する。
 測定が開始されると、血圧推定装置100は、血圧推定対象者の背部体表脈波(センサ波形)を生体信号測定装置1により受信する(S1901)。すると、血圧推定装置100におけるフィルタリング手段210が、受信したセンサ波形をフィルタリングし(S1902)、RCWを求める(S1903)。次に、血流量変動指標算出手段220の散布図作成手段221は、図4に示したように、心電計300から得た心電図波形データにおいてR波のタイミングを特定し(S1904)、それに基づいて上記の各全振幅a1,a2,a3を求める(S1905)。次に、散布図作成手段221は、a1及びa2を用いた散布図(ローレンツプロット)、a2及びa3を用いた散布図(ローレンツプロット)を作成する(S1906,S1907)。次に、散布図傾き算出手段222により、各散布図の回帰直線の傾きθiを求め、ゆらぎ指標算出手段230のゆらぎ解析手段231がθiの時系列波形を拡張期用、収縮期用のそれぞれについて作成する(S1908)。次に、ゆらぎ解析手段231は、周波数解析(スペクトル解析)を行い(S1909)、θi時系列波形のスペクトルであるゆらぎ解析図を拡張期用、収縮期用のそれぞれについて作成する(S1910)。
 次に、ゆらぎ解析図傾き算出手段232が、S1910で求めた血圧推定対象者の拡張期用、収縮期用の各ゆらぎ解析図(スペクトル)を、記憶部のデータベースにアクセスし(図2参照)、ゆらぎ解析図(スペクトル)の教師データに照合する(S1911)。各教師データは、上記のように、被験者毎に応じて適切な回帰直線Bの傾き(フラクタルスロープ)を求めるために、VLFからLFに属する範囲でそれぞれの特性に合わせた所定の周波数帯が設定されている。そこで、S1911では、血圧推定対象者のS1910で求めたゆらぎ解析図(拡張期用、収縮期用)を、各教師データに設定された周波数帯の範囲において照合し、正規化相互相関関数を用いて一致度の高い教師データを抽出する。次に、ゆらぎ解析図傾き算出手段232が、抽出された教師データに設定されている周波数帯を、S1910で求めた血圧推定対象者のゆらぎ解析図(拡張期用、収縮期用)に適用し(S2001)、その範囲における回帰直線Bの傾きをフラクタルスロープ(FS)として求める(S2002、S2003)。図21は、その一例を示しており、図21(b)が血圧推定対象者のゆらぎ解析図(スペクトル)である。図21(a)が教師データの一例であり、太線がこの教師データの回帰直線Bを示し、この教師データの回帰直線Bを引いた周波数帯と同じ周波数帯においてゆらぎ解析図(スペクトル)の一致度が比較される。教師データに設定された周波数帯は、上記のように教師データ毎に異なるため、この一致度を全ての教師データについて比較し、一致度の高い教師データに設定された周波数帯と同じ周波数帯を図21(b)の血圧推定対象者のゆらぎ解析図に設定し、その周波数帯について回帰直線Bを引いてその傾きをフラクタルスロープとして求める。
 なお、上記の教師データとの一致度の比較法はあくまで一例であり、一致度を比較するに当たって、例えば、VLFからLFに属するゆらぎ解析図(スペクトル)の全体について一致度を判定し、それによって一致度が高いと判定された教師データに設定された周波数帯を血圧推定対象者のゆらぎ解析図に利用するようにすることもできる。
 次に、推定手段240が動作して記憶部に記憶されている図16又は図17に示された血圧推定用相関データにアクセスし(S2004)、拡張期用、収縮期用の各血圧推定用相関式に各フラクタルスロープ(FS)を代入する。これにより血圧推定対象者の拡張期血圧、収縮期血圧を求めることができる(S2005,S2006)。
 図22(a)は、図19~図20に示したステップに従って推定した複数の血圧推定対象者(25名、49データ)の収縮期血圧と上腕血圧の実測値との比較を示した図である。図22(a)は、血圧推定用相関データとして、図16の全事例を用いて求めたものを利用して血圧を推定し、図22(b)は、血圧推定用相関データとして、図17の平均値を利用して求めたものを利用して血圧を推定したものである。いずれも、傾きが1に近いと共に、決定係数も高く、本実施形態の手法により推定される血圧が、上腕血圧と極めて高い相関を有することがわかる。
 一方、図23(a),(b)は、血圧推定対象者(27名、75データ)について、教師データを参照して設定した所定の周波数帯で傾きを算出する際(図20のS2001,S2002)、その周波数帯におけるゆらぎ解析図の波形成分全体に関する回帰直線の傾き(図において単に「傾き」と表記)ではなく、図21(b)に示したように当該波形成分における図の上側のピーク点のみに対する回帰直線の傾き(図において「peak傾き」と表記)を求めて推定した収縮期血圧と上腕血圧の実測値との比較を示した図である。なお、図23(a)は、図16の全事例を用いた血圧推定用相関データを利用し、図23(b)は、図17の平均値を用いた血圧推定用相関データを利用したものである。図23(a),(b)から明らかなように、この場合の推定値は実測値との相関が極めて低かった。よって、上記のようにゆらぎ解析図における所定の周波数帯の波形成分に関し、その全体の回帰直線Bの傾きをフラクタルスロープ(FS)として採用することが好ましい。
 本実施形態によれば、上記のように、複数人の被験者の上腕血圧とフラクタルスロープ(FS)との関係で血圧推定用相関データ(拡張期血圧推定用、収縮血圧推定用)を作成して記憶しておけば、その後は、血圧推定対象者のフラクタルスロープ(FS)を求めるだけで、この相関データに照らして、血圧を、非拘束、リアルタイムで推定でき、かつ連続的に推定することができる。
 よって、例えば、生体信号測定装置1の生体信号検出部10をベッド、椅子の背部その他の人体支持手段に設けておけば、被験者の血圧をいつでも推定することができる。従って、被験者の血圧の急変も察知することができ、睡眠中の血圧の変動も知ることができる。もちろん、これらの推定した血圧情報は、血圧推定装置100に内蔵若しくは接続した通信手段(図示せず)により、モニタ、警告灯などの任意の表示装置にその旨を知らせたり、管理者等の端末装置に通知したりすることもできる。
 1 生体信号測定装置
 10 生体信号検出部
 11 コアパッド
 12 スペーサパッド
 14 センサ
 100 血圧推定装置
 200 生体信号処理手段
 210 フィルタリング手段
 220 血流変動指標算出手段
 221 散布図作成手段
 222 散布図傾き算出手段
 230 ゆらぎ指標算出手段
 231 ゆらぎ解析手段
 232 ゆらぎ解析図傾き算出手段
 240 推定手段

Claims (17)

  1.  人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手段を有しており、
     前記生体信号処理手段が、
     前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得るフィルタリング手段と、
     前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める血流変動指標算出手段と、
     前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求め、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求めるゆらぎ指標算出手段と、
     前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定する推定手段と
    を有することを特徴とする血圧推定装置。
  2.  前記生体信号処理手段は、連続的に受信した前記生体信号を用い、前記人の血圧を連続的に推定可能である請求項1記載の血圧推定装置。
  3.  前記ゆらぎ指標算出手段が、
     前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めると共に、その時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルと周波数の両対数グラフに周波数解析結果であるゆらぎ解析図を得るゆらぎ解析手段と、
     前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを求め、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを前記ゆらぎに関する指標とするゆらぎ解析図傾き算出手段と
    を有する請求項1又は2記載の血圧推定装置。
  4.  前記ゆらぎ解析図傾き算出手段は、
     前記ゆらぎ解析図に関する回帰直線の傾きとして、VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きを求め、その傾きを前記ゆらぎに関する指標とする手段である請求項3記載の血圧推定装置。
  5.  前記血圧推定用相関データは、前記VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きが、正常域血圧では-1に近い傾向を示し、高血圧では+1に近い傾向を示す相関データとして形成されている請求項4記載の血圧推定装置。
  6.  前記血流変動指標算出手段が、
     前記生体信号中、前記心室充満期から等容性収縮期に対応する時系列波形の範囲において2つの波形成分を一組以上特定し、前記2つの波形成分の各全振幅を用いて散布図を作成する散布図作成手段と、
     前記散布図にプロットされた点群の回帰直線の傾きを求め、前記点群の回帰直線の傾きを前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標とする散布図傾き算出手段と
    を有する請求項1~5のいずれか1に記載の血圧推定装置。
  7.  前記散布図作成手段が、前記心室充満期の心房収縮時における前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第1の散布図と、前記第1の散布図に用いた前記2つの波形成分より後のタイミング以降であって等容性収縮期に移行する房室弁閉鎖時付近のタイミングに対応する前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第2の散布図とを作成する手段であり、
     前記ゆらぎ指標算出手段が前記第1の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、前記推定手段が拡張期血圧を推定し、
     前記ゆらぎ指標算出手段が前記第2の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、前記推定手段が収縮期血圧を推定する請求項6記載の血圧推定装置。
  8.  人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、
     前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得て、
     前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求め、
     前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めた後、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求め、
     前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定することを特徴とする血圧推定方法。
  9.  前記生体信号測定装置から、前記生体信号を連続的に受信し、前記人の血圧を連続的に推定する請求項8記載の血圧推定方法。
  10.  前記生体信号測定装置の生体信号検出部を、前記人の背部において、鎖骨の位置に対応する部位から剣状突起の位置に対応する部位までの範囲に設けて前記生体信号を捉える請求項8又は9記載の血圧推定方法。
  11.  人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手順を実行させ、コンピュータを血圧推定装置として機能させるコンピュータプログラムであって、
     前記生体信号処理手順として、
     前記生体信号の時系列波形を所定の周波数帯域でフィルタリングし、心周期を顕在化させたフィルタ処理波形を得る手順と、
     前記生体信号の測定と同時に測定した心電計から得られる心電図波形データに前記フィルタ処理波形を照合し、前記フィルタ処理波形における心室充満期から等容性収縮期における時系列波形の範囲の波形成分を特定し、心室充満期から等容性収縮期における血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める手順と、
     前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求め、その時系列波形の変動の仕方を示すゆらぎに関する指標を求める手順と、
     前記ゆらぎに関する指標を、予め記憶部に記憶された前記ゆらぎに関する指標と血圧との関係を示す血圧推定用相関データを用いて、前記人の血圧を推定する手順と
    を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
  12.  前記生体信号処理手順は、連続的に受信した前記生体信号を用い、前記コンピュータに、前記人の血圧の推定を連続的に実行させる請求項11記載のコンピュータプログラム。
  13.  前記ゆらぎに関する指標を求める手順では、
     前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標の時系列波形を求めると共に、その時系列波形を周波数解析し、パワースペクトルと周波数の両対数グラフに周波数解析結果であるゆらぎ解析図を得る手順と、
     前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを求め、前記ゆらぎ解析図の回帰直線の傾きを前記ゆらぎに関する指標とする手順と
    を前記コンピュータに実行させる請求項11又は12記載のコンピュータプログラム。
  14.  前記ゆらぎ解析図に関する回帰直線の傾きとして、VLFからLFの範囲に属する所定の周波数帯の回帰直線の傾きを求め、その傾きを前記ゆらぎに関する指標とする請求項13記載のコンピュータプログラム。
  15.  血流変動に起因して生じる振動に関する指標を求める手順では、
     前記生体信号中、前記心室充満期から等容性収縮期に対応する時系列波形の範囲において2つの波形成分を一組以上特定し、前記2つの波形成分の各全振幅を用いて散布図を作成する手順と、
     前記散布図にプロットされた点群の回帰直線の傾きを求め、前記点群の回帰直線の傾きを前記血流変動に起因して生じる振動に関する指標とする手順と
    を前記コンピュータに実行させる請求項11~14のいずれか1に記載のコンピュータプログラム。
  16.  前記散布図を作成する手順として、前記心室充満期の心房収縮時における前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第1の散布図と、前記第1の散布図に用いた前記2つの波形成分より後のタイミング以降であって等容性収縮期に移行する房室弁閉鎖時付近のタイミングに対応する前記2つの波形成分の各全振幅を用いた第2の散布図とを作成する手順が実行され、
     前記ゆらぎに関する指標を求める手順では、前記第1の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から拡張期血圧を推定し、前記第2の散布図を用いて求めたゆらぎ指標から、収縮期血圧を推定する請求項15記載のコンピュータプログラム。
  17.  人の背部に当接され、前記背部の体表面を介して伝播する生体信号を非拘束で捉える生体信号測定装置から前記生体信号を受信し、受信した前記生体信号を解析する生体信号処理手順を実行させ、コンピュータを血圧推定装置として機能させる請求項11~16のいずれか1に記載のコンピュータプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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