WO2019035189A1

WO2019035189A1 - ファスナーチェーン搬送装置及び方法、並びにファスナーチェーン処理装置及び方法

Info

Publication number: WO2019035189A1
Application number: PCT/JP2017/029462
Authority: WO
Inventors: 隼人石井; 泰信亀田
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2017-08-16
Filing date: 2017-08-16
Publication date: 2019-02-21
Also published as: TWI648012B; TW201909787A; CN110913719A; CN110913719B

Abstract

ファスナーチェーン搬送装置（１００）は、移動路（１０）と、移動路（１０）に沿って動く又は動かされる少なくとも一つの移動体（２０）を含む。少なくとも一つの移動体（２０）は、ファスナーチェーン（９）に含まれる一対のファスナーテープ（９２）を把持するための一対の把持部（６０）を含む。ファスナーチェーン（９）の第１部分で一対のファスナーテープ（９２）が一対の把持部（６０）により把持される時、一対の把持部（６０）の間で一対のファスナーテープ（９２）それぞれが鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面に沿うように配向される。

Description

ファスナーチェーン搬送装置及び方法、並びにファスナーチェーン処理装置及び方法

　本開示は、ファスナーチェーン搬送装置及び方法、並びにファスナーチェーン処理装置及び方法に関する。

　特許文献１は、ファスナーチェーンを把持する把持手段を回転体に設け、ファスナーチェーンを周方向に搬送する過程でファスナーチェーンに各種の加工を施してスライドファスナーに仕上げる装置を開示する。

特許第４０６４３２６号

　本願発明者らは、新たなファスナーチェーンの搬送方法を提供することの意義を見出した。

　本開示の一態様に係るファスナーチェーン搬送装置は、
　移動路（１０）と、
　前記移動路（１０）に沿って動く又は動かされる少なくとも一つの移動体（２０）を備え、
　前記少なくとも一つの移動体（２０）は、ファスナーチェーン（９）に含まれる一対のファスナーテープ（９２）を把持するための一対の把持部（６０）を含み、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分で前記一対のファスナーテープ（９２）が前記一対の把持部（６０）により把持される時、少なくとも前記一対の把持部（６０）の間で前記一対のファスナーテープ（９２）それぞれが鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面に沿うように配向される。

　幾つかの実施形態においては、前記移動路（１０）沿いの前記移動体（２０）の移動に応じて、前記一対の把持部（６０）により前記一対のファスナーテープ（９２）が前記配向に把持された前記第１部分が前記移動路（１０）沿いに動かされる。

　幾つかの実施形態においては、前記移動路（１０）がレールを含み、前記移動体（２０）が前記レール上に移動可能に実装される。

　幾つかの実施形態においては、前記移動路（１０）が、前記移動体（２０）の循環移動を許容するべく構成される。

　幾つかの実施形態においては、前記一対の把持部（６０）が、前記移動体（２０）のベース部（２２）に対して変位可能に設けられる。

　幾つかの実施形態においては、前記一対の把持部（６０）は、前記鉛直方向（Ｌ１）に沿って、及び／又は、前記鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面において前記ベース部（２２）に対して変位可能である。

　幾つかの実施形態においては、前記一対の把持部（６０）が少なくとも一つのリニアガイド（２３）を介して前記ベース部（２２）に実装される。

　幾つかの実施形態においては、前記一対の把持部（６０）に含まれる各把持部（６０）の開閉、及び／又は、前記一対の把持部（６０）の間隔が、前記移動体（２０）外から付与される物理的な力に応じて制御される。

　幾つかの実施形態においては、ファスナーチェーン搬送装置は、前記少なくとも一つの移動体（２０）に対して係合する少なくとも一つの係合部（７１）を有する少なくとも一つの押動具（７０）を更に備え、前記押動具（７０）の変位に基づいて前記少なくとも一つの移動体（２０）が前記移動路（１０）沿いに動かされる。

　幾つかの実施形態においては、前記係合部（７１）は、前記押動具（７０）の押動具本体（７２）に枢動可能に設けられる。

　幾つかの実施形態においては、ファスナーチェーン搬送装置は、前記移動路（１０）において前記移動体（２０）を位置決めする少なくとも一つの位置決め機構（７６）を更に備える。

　本開示の幾つかの側面に係るファスナーチェーン処理装置は、上記いずれかに記載のファスナーチェーン搬送装置（１００）と、
　前記移動路（１０）に沿って配備される少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）を備え、
　前記少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）において、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分の近傍で前記ファスナーチェーン（９）が切断される処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分で前記ファスナーチェーン（９）へスライダーを導入する処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分に前記ファスナーチェーン（９）に止め部を固定又は形成する処理、及び前記ファスナーチェーン（９）を前記移動体（２０）外に排出する処理から成る群から選択される少なくとも一つの処理が行われる。

　本開示の幾つかの側面に係るファスナーチェーン搬送方法は、移動体（２０）の少なくとも一対の把持部（６０）によりファスナーチェーン（９）の第１部分で前記ファスナーチェーン（９）に含まれる一対のファスナーテープ（９２）を把持し、少なくとも前記一対の把持部（６０）の間で前記一対のファスナーテープ（９２）それぞれが鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面に沿うように配向される、工程と、
　前記移動体（２０）が移動路（１０）沿いに動き又は動かされ、この移動体（２０）の移動に応じて、前記一対の把持部（６０）により前記一対のファスナーテープ（９２）が前記配向に把持された前記第１部分が前記移動路（１０）沿いに動かされる工程を含む。

　本開示の幾つかの側面に係るファスナーチェーン処理方法は、上記のようにファスナーチェーン（９）を搬送する工程と、
　前記移動路（１０）に沿って配備される少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）において、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分の近傍で前記ファスナーチェーン（９）が切断される処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分で前記ファスナーチェーン（９）へスライダーを導入する処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分に前記ファスナーチェーン（９）に止め部を固定又は形成する処理、及び前記ファスナーチェーン（９）を前記移動体（２０）外に排出する処理から成る群から選択される少なくとも一つの処理を行う工程を含む。

　新たなファスナーチェーンの搬送方法が提供される。

非限定の幾つかの実施形態に係るファスナーチェーンの一部の正面模式図である。非限定の幾つかの実施形態に係るスライドファスナーの正面模式図である。非限定の幾つかの実施形態に係るファスナーチェーン搬送装置の部分的な概略斜視図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体の概略的な積層構造を示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において一対の把持部を制御するための制御機構の様々な例を示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体が移動路沿いに移動し、移動路沿いに設定された処理領域間を移動することを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体が移動路沿いに移動し、移動路沿いに設定された処理領域間を移動することを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体が移動路沿いに移動し、移動路沿いに設定された処理領域間を移動することを示す模式図であり、その（ａ），（ｂ）において別の態様で可動レールが上下位置に固定されることも示す。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体が移動路沿いに移動し、移動路沿いに設定された処理領域間を移動することを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に実装された移動体が移動路沿いに移動し、移動路沿いに設定された処理領域間を移動することを示す模式図である。押動具によりレール上に実装された移動体がレール沿いに動かされることを示す概略図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンが処理されてスライドファスナーに仕上げられることを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンが処理されてスライドファスナーに仕上げられることを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンを切断する処理部を示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンが切断された後、ファスナーチェーンの端部寄りに把持部が動かされることを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンにスライダーが供給されることを示す模式図である。スライダーの移動のためにスライダーを保持する保持具の概略的な断面模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンに止め部を取り付ける処理部を示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンを把持してファスナーチェーン搬送装置外に排出する処理部を示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置において移動路上に複数の移動体が実装されることを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンが処理されてスライドファスナーに仕上げられることを示す模式図である。ファスナーチェーン搬送装置により搬送されるファスナーチェーンが処理されてスライドファスナーに仕上げられることを示す模式図である。非限定の幾つかの実施形態に係るファスナーチェーンの一部の正面模式図である。非限定の幾つかの実施形態に係るスライドファスナーの正面模式図である。

　以下、図１乃至図２４を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態例について説明する。開示の１以上の実施形態例及び実施形態例に包含される各特徴は、個々に独立したものではない。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態例及び／又は各特徴を組み合わせることができる。また、当業者は、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態例間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている場合がある。

　一つの搬送装置又は方法に関して記述される複数の特徴は、特徴の組み合わせとして理解される他、他の特徴とは独立した個別の特徴として理解される。個別の特徴は、開示された一つの搬送装置又は方法に限られず、不開示の他の搬送装置又は方法においても通用するものと理解される。個別の特徴は、他の１つ以上の別の特徴との組み合わせとしても理解される。特徴の全組合せを列挙することは、当業者には冗長であり、省略される。本明細書においては、個別の特徴は、「幾つかの実施形態」、「幾つかの場合」といった表現によって他の記述と明示的に区別され得る。

　図１は、非限定の幾つかの実施形態に係るファスナーチェーン９の一部の正面模式図である。ファスナーチェーン９は、一定のチェーン幅Ｗ９を有し、図１に矢印で示される長手方向沿いに延びる。ファスナーチェーン９は、一対のファスナーストリンガー９１を含む。各ファスナーストリンガー９１は、ファスナーテープ９２と、ファスナーテープ９２に取り付けられたファスナーエレメント９３を含む。従って、ファスナーチェーン９は、一対のファスナーテープ９２を含み、同様に一対のファスナーエレメント９３を含む。ファスナーテープ９２は可撓性を有し得る。ファスナーテープ９２は、織物、編み物、又はこれらの混在物であり得る。ファスナーエレメント９３は、金属製エレメント、樹脂製エレメント、コイル状エレメントであり得る。図１では、ファスナーエレメント９３がコイル状エレメントであるが、これに限られるべきではない。必ずしもこの限りではないが、ファスナーチェーン９には、スペース部９４が形成されている。必ずしもこの限りではないが、ファスナーチェーン９には、止め部９７が予め取り付けられている。

　図２は、非限定の幾つかの実施形態に係るスライドファスナー９９の正面模式図である。スライドファスナー９９は、ファスナーチェーン９のチェーン幅Ｗ９と一致又は略等しい幅Ｗ９９を有する。スライドファスナー９９は、ファスナーチェーン９の長さと比べて短い長さＬ９９を有する。スライドファスナー９９は、一対のファスナーストリンガー９１を開閉するための少なくとも一つのスライダー９５、スライダー９５の第１の停止位置を規定する第１の止め部９６、スライダー９５の第２の停止位置を規定する第２の止め部９７を有する。第１の止め部９６は、スライドファスナー９９の第１端部寄りに設けられる。第２の止め部９７は、スライドファスナー９９の第２端部寄りに設けられる。スライダー９５は、樹脂製又は金属製のスライダーであり得る。一つのスライドファスナー９９に２以上のスライダー９５が通される形態も想定される。第１及び第２の止め部９６，９７は、樹脂製又は金属製の止め部であり得る。第１及び第２の止め部９６，９７の一方又は両方が省略される形態も想定される。

　図３は、ファスナーチェーン搬送装置１００の部分的な概略斜視図である。図４は、ファスナーチェーン搬送装置１００において移動路１０上に実装された移動体２０の概略的な積層構造を示す模式図である。図５は、ファスナーチェーン搬送装置１００において一対の把持部６０を制御するための制御機構の様々な例を示す模式図である。

　幾つかの実施形態に係るファスナーチェーン搬送装置１００は、移動路１０と、移動路１０に沿って動く又は動かされる少なくとも一つの移動体２０を有する。少なくとも一つの移動体２０は、ファスナーチェーン９に含まれる一対のファスナーテープ９２を把持するための一対の把持部６０を含む。ファスナーチェーン９の第１部分で一対のファスナーテープ９２が一対の把持部６０により把持される時、少なくとも一対の把持部６０の間で一対のファスナーテープ９２それぞれが鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿うように配向される。換言すれば、少なくとも一対の把持部６０の間で一対のファスナーテープ９２それぞれのテープ主面９２ｊが鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿うように配向される。ファスナーテープ９２のテープ主面９２ｊは、ファスナーテープ９２の厚みを規定する一方のテープ面である。

　ファスナーチェーン９の第１部分で一対のファスナーテープ９２が一対の把持部６０により把持される時、少なくとも一対の把持部６０の間で一対のファスナーテープ９２それぞれが鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿うように配向されることは、図３乃至図５に加えて図１４の追加参酌からより良く理解される。なお、鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿う配向は、鉛直方向に直交する水平面に平行な配向のみに限られない。ファスナーチェーン９は、ファスナーテープ９２やファスナーエレメント９３自体に起因して、ある程度の可撓性を有する。ファスナーチェーン９のファスナーテープ９２は、ある程度の非平坦さ、例えば、湾曲を伴うものであり得る。かかる点から、鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿う配向は、鉛直方向に直交する水平面に関して鋭角に傾斜した配向も含み得る。少なくとも一対の把持部６０の間でファスナーテープ９２（及び／又は、そのテープ主面９２ｊ）が上述した配向を取ることは、ファスナーチェーン９からスライドファスナー９９を仕上げる装置や方法に装置変更に関する柔軟性、或いはこれ以外の利益を与え得る。幾つかの場合、ファスナーチェーン９を処理するための処理領域Ｒ１～Ｒ４を移動路１０沿いに設定することが許容される（図６乃至図１０参照）。

　必ずしもこの限りではないが、幾つかの場合、移動路１０沿いの移動体２０の移動に応じて、一対の把持部６０により一対のファスナーテープ９２が上述の配向に把持された第１部分が移動路１０沿いに動かされる。移動路１０沿いに設定される処理領域Ｒ１～Ｒ４の間で第１部分の配向が一定であり、搬送装置及び方法の複雑化が回避される。

　移動路１０は、移動体２０に対して移動路を提供する任意の構造物であり得る。移動路１０は、ある場合、直線的に真っ直ぐに延在する構造物であり、別の場合、弧状又は湾曲又はジグザグ又は波状に延びる構造物であり得る。移動路１０が直線的に延在する構造物である場合、移動路１０沿いに処理部１１０，１２０，１３０，１４０を配備することができ、コンパクトで柔軟に構成変更可能なファスナーチェーン９の処理装置が提供される。特許文献１の場合、ファスナーチェーンを仕上げるための機械の構成変更が容易ではない。例えば、特許文献１の場合、複数の既存の処理部に対して１つの新たな処理部を追加するために円形に沿うファスナーチェーンの移動軌跡の半径を増加することが必要になる場合がある。

　移動路１０は、凸状部分に限らず、凹状部分であり得る。移動体２０を適切に支持するため、一つのファスナーチェーン搬送装置１００において並走する２以上の移動路１０が用いられる場合が想定される。図示例を含む幾つかの場合、移動路１０がレールを含み、移動体２０がレール上に移動可能に実装される、及び／又は、移動路１０が、移動体２０の循環移動を許容するべく構成される（図６乃至図１０参照）。レールは、必ずしもこの限りではないが、直線的に延びるレールであり得る。レールは、鉛直方向Ｌ１において移動体２０の下方に配され、移動体２０を支持する構造物である。移動体２０が鉛直方向Ｌ１において移動体２０の上方に配され、移動路１０に対して移動体２０が吊り下げられる形態も想定される。これら以外の態様で移動路１０と移動体２０が構成及び配置されることも想定される。

　移動体２０は、移動路１０に沿って動く又は動かされる。幾つかの場合、移動体２０は、移動路１０上に移動可能に実装され得る。移動体２０は、移動路１０に沿って能動的及び／又は自律的に動き、及び／又は、移動路１０に沿って受動的及び／又は他律的に動かされ得る。移動体２０が移動路１０沿いに能動的及び／又は自律的に動く幾つかの場合、移動体２０には電源、電源からの電力供給に応じて作動する駆動源と、駆動源からの駆動力に応じて回転する車輪を有し得る。移動体２０が移動路１０沿いに受動的及び／又は他律的に動かされる幾つかの場合、移動体２０には電源、駆動源、車輪が設けられず、よりシンプルな構成になる。例えば、移動路１０がレールの場合、移動体２０は、レール上に実装されたキャリッジ２１を有し得る。キャリッジ２１の具体的構造は、レールの構造に起因して適切に変更される。一つのファスナーチェーン搬送装置１００において複数の移動体２０が含まれる幾つかの場合が想定される。

　移動体２０は、ファスナーチェーン９の第１部分でファスナーチェーン９に含まれる一対のファスナーテープ９２を把持するための一対の把持部６０を含む。一対の把持部６０は、移動路１０の延在方向Ｌ２に沿って又は平行に両者の間に間隔をあけて配置され得る。一対の把持部６０に含まれる各把持部６０は、ファスナーテープ９２を挟み込むように作動し得る。各把持部６０は、ファスナーテープ９２の一方のテープ主面９２ｊに接触する第１接触部６１と、ファスナーテープ９２の他方のテープ主面９２ｊに接触する第２接触部６２を含む。図５に図示の幾つかの場合、把持部６０の第１及び第２接触部６１，６２の少なくとも一方が枢動可能であり、少なくとも一方の接触部６１，６２の枢動姿勢を制御することにより把持部６０の開閉が制御される。幾つかの場合、把持部６０の開閉が、第１接触部６１と第２接触部６２の間に挿入される挿入片の位置を変更することに基づいて制御される。本分野においては、様々な構造又は機構の把持部６０が用いられており、図示の形態に限定されるべきではない。

　幾つかの場合、一対の把持部６０に含まれる各把持部６０がファスナーテープ９２を挟む時、一対の把持部６０の間に在るファスナーテープ９２（及び／又は、そのテープ主面９２ｊ）が鉛直方向に直交する水平面に沿うように配向されることに加え、一対の把持部６０の間に在る噛み合い又は非噛み合い状態のファスナーエレメント９３が鉛直方向に直交する水平面に沿って配向され得る。代替的又は追加的に、一対の把持部６０により把持されるファスナーチェーン９の第１部分に隣接する第２部分において、ファスナーテープ９２（及び／又は、そのテープ主面９２ｊ）が鉛直方向に直交する水平面に沿って配向され、及び／又は、噛み合い又は非噛み合い状態のファスナーエレメント９３が鉛直方向に直交する水平面に沿って配向される。

　図３及び図４から分かるように、移動体２０は、ベース部２２と、ベース部２２に対して変位可能な一対の把持部６０を有する。一対の把持部６０は、鉛直方向Ｌ１に沿って、及び／又は、鉛直方向Ｌ１に直交する水平面においてベース部２２に対して変位可能に設けられる。一対の把持部６０は、少なくとも一つのリニアガイド２３を介してベース部２２に実装される。幾つかの場合、リニアガイド２３は、鉛直方向Ｌ１及び移動路１０の延在方向Ｌ２に直交する横方向Ｌ３に平行であり得る。幾つかの場合、ファスナーテープ９２が鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿うように配向される第１部分が、その水平面又はこれに平行な平面において移動路１０から離れる及び／又は移動路１０に近づくように一対の把持部６０がベース部２２に対して動かされる。

　ベース部２２は、移動路１０（例えば、レール）に対して接触又は係合する部分（例えば、キャリッジ２１）を含む又はこれに結合した部分であり得る。把持部６０は、上述のようにファスナーテープ９２を把持するための部分であり得る。なお、ベース部２２に対して把持部６０の位置が固定される場合も想定される。

　図３から分かるように、幾つかの場合、移動体２０は、ファスナーチェーン９を受ける凹状の受け部材４１、及び／又は噛み合い状態のファスナーエレメント９３を受ける凹状の受け部材４２を有する。凹状の受け部材４２は、凹状の受け部材４１よりも一対の把持部６０寄りに配され得る。各受け部材４１，４２は、鉛直方向Ｌ１及び移動路１０の延在方向Ｌ２に直交する横方向Ｌ３沿いに延びる。各受け部材４１，４２は、移動体２０のベース部２２に対して機械的に固定され得る。各受け部材４１，４２は、ベース部２２に対して変位可能に設けられ得る。

　図４に例示の幾つかの場合、一対の把持部６０が、複数のリニアガイド２３を介してベース部２２に対して実装される。なお、図４では、一対の把持部６０が機械的に結合される上部プレート２６が、中間プレート２４上にリニアガイド２３を介して実装される。中間プレート２４がベース部２２上にリニアガイド２３を介して実装される。リニアガイド２３は、市場において一般的に入手可能なリニアガイド（例えば、ボールの転がりを用いたリニアガイド）、ボールねじ又はこれらの組み合わせであり得る。

　幾つかの場合、ベース部２２に対して一対の把持部６０を動かすための手段、例えば、シリンダー２７が、移動体２０内又は移動体２０外に設けられる。非限定の一例のシリンダー２７は、鉛直方向Ｌ１及び移動路１０の延在方向Ｌ２に直交する横方向Ｌ３に沿って伸縮可能である。シリンダー２７の伸縮に応じてベース部２２に対する一対の把持部６０の位置が定められる。シリンダー２７のロッド先端部に結合した連結板２９が上部プレート２６を横方向Ｌ３沿いに動かし、結果として、一対の把持部６０が横方向Ｌ３沿いに動かされる。移動体２０外にシリンダー２７が設けられる場合、連結板２９は、移動路１０の延在方向Ｌ２沿いに動かされる上部プレート２６と干渉しない態様で上部プレート２６に結合し得る。例えば、連結板２９は、上部プレート２６の下突起２６ｋを受容する横溝２９ｋを有し、横溝２９ｋが、移動路１０の延在方向Ｌ２に対して平行に延びる。

　幾つかの場合、一対の把持部６０は、不図示の鉛直方向Ｌ１に沿って延びるリニアガイド２３を介してベース部２２に実装され、ベース部２２に対する一対の把持部６０の高さが調整可能になる。

　幾つかの場合、一対の把持部６０に含まれる各把持部６０の開閉、又は、一対の把持部６０の間隔が、移動体２０外から付与される物理的な力に応じて制御される、及び／又は、一対の把持部６０の間隔が移動体２０外から付与される物理的な力に応じて制御される。上述のように移動体２０は移動路１０沿いに動き、又は動かされる。把持部６０の開閉又は把持部６０の間隔調整のために移動体２０に対して電気配線やエアーチューブを接続することを回避することが求められる場合がある。かかる観点から、幾つかの場合、上述のように、把持部６０の開閉のため、又は把持部６０の間隔調整のため、移動体２０外から物理的な力が付与される。

　把持部６０の開閉のため、又は把持部６０の間隔調整のための制御機構の具体的な構成や配置は様々であり得る。図５には、ファスナーチェーン搬送装置１００において一対の把持部６０を制御するための制御機構の様々な例が示される。第１制御機構８１は、シリンダー８２と、シリンダー８２により鉛直方向Ｌ１沿いに動かされる押動部材８３を有する。シリンダー８２が伸長すると、押動部材８３が鉛直方向Ｌ１沿いに上昇し、押動部材８３により押されて枢動リンク３３が枢動し、把持部６０の間隔が制御される（例えば、把持部６０が互いに離間し、把持部６０の間隔が広くなる）。第２制御機構８４は、シリンダー８５と、シリンダー８５により鉛直方向Ｌ１沿いに動かされる押動部材８６を有する。シリンダー８５が伸長すると、押動部材８６が鉛直方向Ｌ１沿いに上昇し、押動部材８６により押されて枢動リンク３４が枢動し、把持部６０の開閉状態が制御される（例えば、把持部６０が、開状態から閉状態になる）。枢動リンク３３，３４を初期位置に戻すために弾性部材、例えば、バネが用いられる。把持部６０を開状態又は閉状態に維持するために弾性部材、例えば、バネが用いられる。なお、把持部６０が閉状態の時、第１接触部６１の接触端６１ｍと第２接触部６２の接触端６２ｍが接触する必要はない。各接触部６１，６２の接触端６１ｍ，６２ｍは、ファスナーテープに接触する部分であり得る。各接触部６１，６２は、接触端６１ｍ，６２ｍの反対側の反対端６１ｊ，６２ｊを有する。また、各接触部６１，６２は、接触端６１ｍ，６２ｍと反対端６１ｊ，６２ｊの間に枢動軸６１ｐ，６２ｐを有する。

　幾つかの場合、１以上の弾性部材、例えば、バネにより把持部６０の一方又は各接触部６１，６２が付勢され、把持部６０が開状態又は閉状態を維持可能に構成される。図５のような幾つかの場合、第１及び第２接触部６１，６２の間にバネ６４が配置され、各接触部６１，６２がバネ６４により反対方向に付勢され、把持部６０が開状態を維持可能である。バネ６４は、各接触部６１，６２の枢動軸６１ｐ，６２ｐよりも各接触部６１，６２の接触端６１ｍ，６２ｍ寄りに設けられ得る。１以上の弾性部材、例えば、バネを用いて一方の接触部６１，６２又は各接触部６１，６２を付勢し、把持部６０を閉状態に維持する形態も想定される。

　幾つかの場合、把持部６０の各接触部６１，６２の間に挟まれるスペーサ６３の位置に応じて把持部６０の開状態又は閉状態が制御可能である。換言すれば、幾つかの場合、把持部６０は、把持部６０を開状態と閉状態の間で切り替えるために第１及び第２接触部６１，６２の間に設けられるスペーサ６３を有する。スペーサ６３は、球体、円柱体等の立体であり得るが、その断面形状は正円や楕円に限定されず、三角形、四角形、五角形といった多角形であり得る。幾つかの場合、スペーサ６３は、把持部６０において、及び／又は、第１及び第２接触部６１，６２の間において、第１位置及び第２位置の間で移動可能である。スペーサ６３が第１位置の時、把持部６０が開状態にあり、スペーサ６３が第２位置の時、把持部６０が閉状態にある。図５のような幾つかの場合、第２位置は、第１位置よりも接触部６１，６２の枢動軸６１ｐ，６２ｐ寄りに位置する。スペーサ６３が第２位置に存在する時の接触部６１，６２の反対端６１ｊ，６２ｊの間隔は、スペーサ６３が第１位置に存在する時の接触部６１，６２の反対端６１ｊ，６２ｊの間隔よりも大きい。幾つかの場合、把持部６０の少なくとも一方の接触部６１，６２にはスペーサ６３を部分的に受容する第１及び第２凹部が設けられ、各々により第１及び第２位置が規定される。第１位置を規定する第１凹部６８と第２位置を規定する第２凹部６９が連続的に設けられ得る。場合によっては、第１凹部６８の深さは、第２凹部６９の深さよりも深い。

　スペーサ６３は、枢動リンク３４の接触子３４ｆにより押されて第１凹部６８から第２凹部６９に移動可能である。スペーサ６３は、枢動リンク３４の不図示の別の接触子により押されて第２凹部６９から第１凹部６８に移動可能である。スペーサ６３を移動させる具体的な態様は様々であり、スペーサ６３が枢動リンク３４以外の他の機械要素により押される場合も想定される。磁気的又は電磁的な吸引力や反発力に基づいてスペーサ６３が非接触に動かされる場合も想定される。吸着に基づいてスペーサ６３が動かされる場合も想定される。

　幾つかの場合、把持部６０は、少なくとも一方の第１及び第２接触部６１，６２が枢動可能な態様で第１及び第２接触部６１，６２が実装される実装部６６を有する。把持部６０を開状態又は閉状態とするための弾性部材（例えば、バネ）と、把持部６０を開状態と閉状態の間で切り替えるためのスペーサ６３が把持部６０の接触部６１，６２に取り付けられる場合、その弾性部材（例えば、バネ）やスペーサ６３も実装部６６と共に変位する。幾つかの場合、実装部６６は、枢動リンク３３からの力を受けて移動可能である。実装部６６には枢動リンク３３のリンク端を受け入れる受け入れ部が設けられ得る。実装部６６はバネといった弾性部材により付勢されて初期位置に復帰可能であり得る。

　図６乃至図１０は、ファスナーチェーン搬送装置１００において移動路１０上に実装された移動体２０が移動路１０沿いに移動し、移動路１０沿いに設定された処理領域Ｒ１～Ｒ４間を移動することを示す模式図である。移動路１０沿いに１以上の処理領域Ｒ１～Ｒ４が設定され得る。移動路１０沿いに設定される処理領域Ｒ１～Ｒ４の数は、１つ以上であり得る。移動路１０沿いに設定される処理領域Ｒ１～Ｒ４には後述のような処理部１１０，１２０，１３０，１４０が設けられる場合の他、後述のような処理部１１０，１２０，１３０，１４０が何ら設けられない場合も想定される。ファスナーチェーン９をスライドファスナー９９に仕上げる作業は、必ずしも機械により行われるものではなく、代替的又は追加的に人手により行われる。このような場合、移動路１０沿いの処理部１１０，１２０，１３０，１４０に作業者が配備され、作業者が、ファスナーチェーン９を取り扱う。なお、ファスナーチェーン処理装置は、ファスナーチェーン搬送装置１００と、ファスナーチェーン搬送装置１００の移動路１０に沿って配備される少なくとも一つの処理部１１０，１２０，１３０，１４０を有するものである。

　幾つかの場合、処理領域Ｒ１では、ファスナーチェーン９の第１部分の近傍でファスナーチェーン９が切断される処理が行われる；処理領域Ｒ２では、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分でファスナーチェーン９へスライダーを導入する処理が行われる；処理領域Ｒ３では、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分にファスナーチェーン９に止め部を固定又は形成する処理が行われる；処理領域Ｒ４では、ファスナーチェーン９を移動体２０外に排出する処理が行われる。処理領域Ｒ１～Ｒ４の幾つかが省略され、又は、別の処理により代替され得る。追加の処理領域が加えられ得る。処理領域Ｒ１～Ｒ４において処理領域の順番が変更され得る。

　幾つかの場合、移動路１０において移動体２０を位置決めする少なくとも一つの位置決め機構７６が設けられる。位置決め機構７６により移動路１０の延在方向Ｌ２において移動体２０が精度良く位置決めされる。位置決め機構７６は、移動路１０沿いに動く移動体２０をある位置に停止させるための様々な機構を取り得る。位置決め機構７６は、幾つかの場合、移動路１０沿いに配備されたシリンダー７７と、移動路１０に設けられた凹部７８を含む。シリンダー７７のロッド先端部が凹部７８に結合する時、移動路１０の延在方向Ｌ２において移動体２０が位置決めされる。他の位置決め機構も採用可能である。位置決め機構７６は、処理領域Ｒ１～Ｒ４に対して個別に割り当てられ得る。位置決め機構７６は、処理領域が割り当てられていないレール部分にも割り当てられ得る。

　図６乃至図１０から分かるように、移動路１０が、移動体２０の循環移動を許容するべく構成される。幾つかの場合、移動路１０は、固定レール１２，１４と、可動レール１１，１３を有する。固定レール１２，１４は、鉛直方向Ｌ１において異なる高さに配置される。可動レール１１，１３は、鉛直方向Ｌ１に沿って変位可能である。幾つかの場合、位置決め機構７９により可動レール１１，１３の高さ位置が固定される。位置決め機構７９は、上述した位置決め機構７６と同様、又は異なる機構を有し得る。図８（ａ）に提示の可動レール１３のための位置決め機構７９は、可動レール１３に設けられた凹部と、可動レール１３の上下位置に対応して設けられた２つのシリンダーを含む。上部シリンダーと可動レール１３の凹部の結合により可動レール１３が上位置に固定される。下部シリンダーと可動レール１３の凹部の結合により可動レール１３が下位置に固定される。図８（ｂ）に提示の可動レール１３のための位置決め機構７９は、可動レール１３に設けられたシリンダーと、可動レール１３の上下位置に対応して設けられた２つの凹部を含む。可動レール１３に設けられたシリンダーと上部凹部の結合により可動レール１３が上位置に固定される。可動レール１３に設けられたシリンダーと下部凹部の結合により可動レール１３が下位置に固定される。

　図６乃至図１０から分かるように、移動路１０では、可動レール１１，１３の変位に基づいて移動体２０の循環移動が許容される。可動レール１１，１３は、ボールねじといった機構により鉛直方向Ｌ１沿いに動かされ得る。幾つかの場合、移動路１０に含まれる一対の可動レール１１，１３が同調して変位される。例えば、一方の可動レール１１が下降する時、他方の可動レール１３が上昇する。例えば、一方の可動レール１１が上昇する時、他方の可動レール１３が上昇する。

　図１１から分かるように、少なくとも一つの移動体２０に対して係合する少なくとも一つの係合部７１を有する少なくとも一つの押動具７０が用いられ、押動具７０の変位に基づいて少なくとも一つの移動体２０が移動路１０沿いに動かされる。幾つかの場合、押動具７０は、移動路１０の延在方向Ｌ２に平行に動かされる。係合部７１は、押動具７０の押動具本体７２に枢動可能に設けられ得る。係合部７１の先端部が、移動体２０の側面に設けられた一対のベアリング３６間の隙間に係合する。押動具７０が移動路１０の下流側に向けて動かされる時、係合部７１の平坦な第１面７１ｅが下流側ベアリング３６を押圧し、移動体２０が下流側に動かされる。押動具７０が移動路１０の上流側に向けて動かされる時、係合部７１の湾曲した第２面７１ｆが上流側ベアリング３６に衝突し、係合部７１が移動体２０から離れる方向に枢動し、結果として、移動体２０の側壁のベアリング３６の間の隙間から係合部７１の先端部が離脱する。枢動可能な係合部７１を設ける場合、押動具７０の直線運動に基づいて押動具７０と移動体２０の係合及び係合解除が達成される。ベアリング３６に代えて移動体２０に設けられた凹部が採用され得る。

　図１２及び図１３は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９が処理されてスライドファスナー９９に仕上げられることを示す模式図である。図１２（ａ）及び（ｂ）は、上述の処理領域Ｒ１における処理を示す。処理領域Ｒ１では、図１２（ａ）に示すように、不図示のフィード機構の作動に応じて、一対の把持部６０に対してファスナーチェーン９が供給される。各把持部６０が開状態から閉状態に制御され、一対の把持部６０により一対のファスナーテープ９２が把持される。処理領域Ｒ１では、図１２（ｂ）に示すように、ファスナーチェーン９の第１部分の近傍でファスナーチェーン９が切断される処理が行われる。処理領域Ｒ２では、図１３（ｃ）に示すように、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分でファスナーチェーン９へスライダーを導入する処理が行われる。処理領域Ｒ３では、図１３（ｄ）に示すように、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分にファスナーチェーン９に止め部を固定又は形成する処理が行われる。処理領域Ｒ４では、ファスナーチェーン９を移動体２０外に排出する処理が行われる。上述したように、処理領域Ｒ１～Ｒ４の幾つかが省略され、又は、別の処理により代替され得る。追加の処理領域が加えられ得る。

　上述したように処理領域Ｒ１～Ｒ４には処理部及び／又は作業者が配備される。図１４は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９を切断する処理部を示す模式図である。図１５は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９が切断された後、ファスナーチェーン９の端部寄りに把持部６０が動かされることを示す模式図である。図１６は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９にスライダー９５が供給されることを示す模式図である。図１７は、スライダー９５の移動のためにスライダー９５を保持する保持具１２１の概略的な断面模式図である。図１８は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９に止め部９６を取り付ける処理部１３０を示す模式図である。図１９は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９を把持してファスナーチェーン搬送装置１００外に排出する処理部１４０を示す模式図である。

　処理領域Ｒ１に配備される処理部１１０は、ファスナーチェーン９を切断するべく鉛直方向Ｌ１沿いに変位可能であるカッター１１１を有し得る。幾つかの場合、ファスナーチェーン９の切断後、把持部６０の把持位置がファスナーチェーン９の端部寄りに変更され、ファスナーチェーン９の端部寄りの部分が把持部６０により把持される。これにより、把持部６０とカッター１１１の干渉を回避することが達成でき、また、ファスナーチェーン９の噛み合い状態のファスナーエレメント９３にスライダー９５を通しやすくなる。図１４と図１５の比較から分かるように、ファスナーチェーン９の切断前におけるカッター１１１と把持部６０の間隔Ｄ１は、ファスナーチェーン９の切断後及び把持部６０の移動後におけるカッター１１１と把持部６０の間隔Ｄ２よりも大きい。ファスナーチェーン９の切断前におけるカッター１１１と移動路１０の間隔Ｄ３は、ファスナーチェーン９の切断後及び把持部６０の移動後におけるカッター１１１と移動路１０の間隔Ｄ４よりも小さい。

　処理領域Ｒ２に配備される処理部１２０は、ファスナーチェーン９の噛み合い状態のファスナーエレメント９３をスライダー９５に通すため、ファスナーチェーン９に対してスライダー９５を動かすように構成される。幾つかの場合、処理部１２０は、鉛直方向Ｌ１に直交する水平面においてスライダー９５を動かすように構成される。必要に応じて、一対の把持部６０の間隔が増加され、ファスナーチェーン９の第１部分が移動路１０の延在方向Ｌ２沿いに張られる。スライダー９５を保持するための適切な保持具又は保持機構が採用される。図１７のようなスライダー９５を保持する保持具１２１が用いられ得る。保持具１２１が横方向Ｌ３に動かされ、スライダー９５が移動路１０側に移動するに応じ、噛み合い状態のファスナーエレメント９３がスライダー９５に通され、一対のファスナーストリンガー９１が部分的に開状態になる。保持具１２１は、スライダー９５を挟み込むために対称に構成された片部１２１ｍ，１２１ｎを含み得る。

　処理領域Ｒ３に配備される処理部１３０は、ファスナーチェーンに止め部９６を取り付けるべく構成される。処理部１３０の具体的な構成は、止め部９６の材質に依存し得る。止め部９６が金属製の時、処理部１３０は、型とパンチを用いてファスナーストリンガー９１に対して止め部を取り付けるように構成され得る。型及び／又はパンチが鉛直方向Ｌ１沿いに動かされ、ファスナーチェーン９に対して金属製の止め部９６が好適に取り付けられる。止め部９６が樹脂製の時、処理部１３０は、射出成形によりファスナーストリンガー９１に対して止め部を形成するように構成され得る。処理部１３０は、溶融樹脂が供給されるキャビティーを画定する一対の金型を含み得る。

　図１８に示す場合、処理部１３０は、下型１３１、下側ガイド１３２、上側ガイド１３３、及びパンチ１３４を含み得る。ファスナーストリンガー９１のファスナーエレメント９３が下型１３１上に配置される。ファスナーストリンガー９１を介して下側ガイド１３２が下型１３１上に配備される。上側ガイド１３３とパンチ１３４が下降する。パンチ１３４は、パンチ１３４下方に供給される塑性変形前の止め部９６をファスナーストリンガー９１のファスナーエレメント９３まで押し動かす。止め部９６は、パンチ１３４と下型１３１の間で加圧される。ファスナーストリンガー９１のファスナーテープ９２を貫通する際の止め部９６の脚部の塑性変形により、ファスナーエレメント９３に対して止め部９６が取付及び固定される。

　処理領域Ｒ４に配備される処理部１４０は、ファスナーチェーン９或いはスライドファスナー９９の端部を把持する把持部１４１を有し得る。把持部１４１は、部分的に開いた状態の一対のファスナーストリンガー９１の各端部を挟み込むように構成される。把持部１４１は、一方のファスナーストリンガー９１のファスナーテープ９２を把持するための第１把持突起１４２と、他方のファスナーストリンガー９１のファスナーテープ９２を把持するための第２把持突起１４３を含み得る。把持部１４１が横方向Ｌ３に動かされ、これにより、ファスナーチェーン９或いはスライドファスナー９９が移動体２０上から移動体２０外に排出される。必要に応じて、把持部１４１に加えて、又はその代替として、ロール対が用いられ、ファスナーチェーン９或いはスライドファスナー９９が移動体２０外に排出される。

　図２０は、ファスナーチェーン搬送装置１００において移動路１０上に複数の移動体２０が実装されることを示す模式図である。このような場合においても、上述した特徴が個別又は一括して通用する。図１１に示した押動具７０は、複数の移動体２０を同時に又は一緒に又は同調して動かすべく複数の係合部７１を有し得る。例えば、押動具７０は、３つの移動体２０を一緒に動かすように用いられる。

　時刻ｔ１において、処理領域Ｒ１の移動体２０の一対の把持部６０にファスナーチェーン９が供給される。時刻ｔ２において、処理領域Ｒ１でファスナーチェーン９が切断され、処理領域Ｒ２でファスナーチェーン９にスライダー９５が通され、処理領域Ｒ３でファスナーチェーン９に止め部９６が取付及び固定される。時刻ｔ３の時、処理領域Ｒ１～Ｒ３の移動体２０が移動路１０沿いに下流側（図２０を正面視して右側）に動かされる。時刻ｔ４の時、処理領域Ｒ４の移動体２０からスライドファスナー９９が除去される。時刻ｔ５の時、可動レール１１，１３が下降する。時刻ｔ６の時、下段の３つの移動体２０が移動路１０沿いに（図２０を正面視して左側に）動かされ、可動レール１１上に移動体２０が配備される。可動レール１１，１３が上昇し、図２０に示した初期の状態に戻る。幾つかの場合、移動路１０は、移動路１０の循環移動を許容するべく少なくとも２つの可動部分を含む。

　図２１及び図２２は、ファスナーチェーン搬送装置１００により搬送されるファスナーチェーン９が処理されてスライドファスナー９９に仕上げられることを示す模式図である。このような場合においても、上述した特徴が個別又は一括して通用する。図２１及び図２２に示す場合、移動体２０の一対の把持部６０により把持されたファスナーチェーン９に対して止め部９７が取り付けられる。移動体２０は、ファスナーチェーン９の長手方向において異なる位置でファスナーチェーン９を把持するべく設けられた第１ペアの把持部６０と第２ペアの把持部６０を有し得る。幾つかの場合、第１及び第２ペアの把持部６０の間にファスナーチェーン９を挟むようにロール対が配備され、第１ペアの把持部６０から第２ペアの把持部６０までのファスナーチェーン９の安定した送りが達成される。図２２に例示の幾つかの場合、ファスナーチェーン９の第１端部が第１ペアの把持部６０により把持され、ファスナーチェーン９の第２端部が第２ペアの把持部６０により把持される。第１の止め部９６の取付又は形成用の処理部と、第２の止め部９７の取付又は形成用の処理部が、移動路１０を挟むように配備され得る。第１ペアの把持部６０の開閉や間隔調整と、第２ペアの把持部６０の開閉や間隔調整が個別に独立して制御され得る。

　図２３は、非限定の幾つかの実施形態に係るファスナーチェーン９の一部の正面模式図である。図２４は、非限定の幾つかの実施形態に係るスライドファスナー９９の正面模式図である。図２３のようなファスナーチェーン９が用いられる場合にも上述した特徴が個別又は一括して通用する。図２３の場合、ファスナーチェーン９に対してスペース部９４や止め部９７が設けられていない。ファスナーチェーン９に対してスペース部９４を形成しなくてもスライドファスナー９９は製造可能である。なお、ファスナーチェーン９に対してスペース部９４を形成するための処理部を処理領域に割り当てることも当然に予期される。

　上述の記述から分かるように、本開示には次のファスナーチェーンの搬送方法が開示されている。すなわち、このファスナーチェーンの搬送方法は、
　移動体２０の少なくとも一対の把持部６０によりファスナーチェーン９の第１部分でファスナーチェーン９に含まれる一対のファスナーテープ９２を把持し、少なくとも一対の把持部６０の間で一対のファスナーテープ９２それぞれが鉛直方向Ｌ１に直交する水平面に沿うように配向される、工程と、
　移動体２０が移動路１０沿いに動き又は動かされ、この移動体２０の移動に応じて、一対の把持部６０により一対のファスナーテープ９２が上述の配向に把持された第１部分が移動路１０沿いに動かされる工程を含む。ファスナーチェーン搬送装置１００について述べた１以上の特徴が、ファスナーチェーンの搬送方法にも同様に当てはまる。

　本開示には次のファスナーチェーンの処理方法が開示されている。すなわち、このファスナーチェーンの処理方法は、上記したようにファスナーチェーン９を搬送する工程と、
　移動路１０に沿って配備される少なくとも一つの処理部１１０，１２０，１３０，１４０において、ファスナーチェーン９の第１部分の近傍でファスナーチェーン９が切断される処理、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分でファスナーチェーン９へスライダーを導入する処理、ファスナーチェーン９の第１端部である第１部分にファスナーチェーン９に止め部を固定又は形成する処理、及びファスナーチェーン９を移動体２０外に排出する処理から成る群から選択される少なくとも一つの処理を行う工程を含む。ファスナーチェーン処理装置について述べた１以上の特徴が、ファスナーチェーンの処理方法にも同様に当てはまる。

　上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。

９　　　ファスナーチェーン
１０　　移動路
２０　　移動体
６０　　把持部
９２　　ファスナーテープ
９２ｊ　テープ主面
９９　スライドファスナー
Ｌ１　鉛直方向
Ｌ２　延在方向
Ｌ３　横方向

Claims

　移動路（１０）と、
　前記移動路（１０）に沿って動く又は動かされる少なくとも一つの移動体（２０）を備え、
　前記少なくとも一つの移動体（２０）は、ファスナーチェーン（９）に含まれる一対のファスナーテープ（９２）を把持するための一対の把持部（６０）を含み、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分で前記一対のファスナーテープ（９２）が前記一対の把持部（６０）により把持される時、少なくとも前記一対の把持部（６０）の間で前記一対のファスナーテープ（９２）それぞれが鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面に沿うように配向される、ファスナーチェーン搬送装置。
　前記移動路（１０）沿いの前記移動体（２０）の移動に応じて、前記一対の把持部（６０）により前記一対のファスナーテープ（９２）が前記配向に把持された前記第１部分が前記移動路（１０）沿いに動かされる、請求項１に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記移動路（１０）がレールを含み、前記移動体（２０）が前記レール上に移動可能に実装される、請求項１又は２に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記移動路（１０）が、前記移動体（２０）の循環移動を許容するべく構成される、請求項１乃至３のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記一対の把持部（６０）が、前記移動体（２０）のベース部（２２）に対して変位可能に設けられる、請求項１乃至４のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記一対の把持部（６０）は、前記鉛直方向（Ｌ１）に沿って、及び／又は、前記鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面において前記ベース部（２２）に対して変位可能である、請求項５に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記一対の把持部（６０）が少なくとも一つのリニアガイド（２３）を介して前記ベース部（２２）に実装される、請求項５に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記一対の把持部（６０）に含まれる各把持部（６０）の開閉、及び／又は、前記一対の把持部（６０）の間隔が、前記移動体（２０）外から付与される物理的な力に応じて制御される、請求項１乃至７のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記少なくとも一つの移動体（２０）に対して係合する少なくとも一つの係合部（７１）を有する少なくとも一つの押動具（７０）を更に備え、前記押動具（７０）の変位に基づいて前記少なくとも一つの移動体（２０）が前記移動路（１０）沿いに動かされる、請求項１乃至８のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記係合部（７１）は、前記押動具（７０）の押動具本体（７２）に枢動可能に設けられる、請求項９に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　前記移動路（１０）において前記移動体（２０）を位置決めする少なくとも一つの位置決め機構（７６）を更に備える、請求項１乃至１０のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置。
　請求項１乃至１１のいずれか一項に記載のファスナーチェーン搬送装置（１００）と、
　前記移動路（１０）に沿って配備される少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）を備え、
　前記少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）において、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分の近傍で前記ファスナーチェーン（９）が切断される処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分で前記ファスナーチェーン（９）へスライダーを導入する処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分に前記ファスナーチェーン（９）に止め部を固定又は形成する処理、及び前記ファスナーチェーン（９）を前記移動体（２０）外に排出する処理から成る群から選択される少なくとも一つの処理が行われる、ファスナーチェーン処理装置。
　移動体（２０）の少なくとも一対の把持部（６０）によりファスナーチェーン（９）の第１部分で前記ファスナーチェーン（９）に含まれる一対のファスナーテープ（９２）を把持し、少なくとも前記一対の把持部（６０）の間で前記一対のファスナーテープ（９２）それぞれが鉛直方向（Ｌ１）に直交する水平面に沿うように配向される、工程と、
　前記移動体（２０）が移動路（１０）沿いに動き又は動かされ、この移動体（２０）の移動に応じて、前記一対の把持部（６０）により前記一対のファスナーテープ（９２）が前記配向に把持された前記第１部分が前記移動路（１０）沿いに動かされる工程を含む、ファスナーチェーンの搬送方法。
　請求項１３に記載のようにファスナーチェーン（９）を搬送する工程と、
　前記移動路（１０）に沿って配備される少なくとも一つの処理部（１１０，１２０，１３０，１４０）において、前記ファスナーチェーン（９）の第１部分の近傍で前記ファスナーチェーン（９）が切断される処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分で前記ファスナーチェーン（９）へスライダーを導入する処理、前記ファスナーチェーン（９）の第１端部である前記第１部分に前記ファスナーチェーン（９）に止め部を固定又は形成する処理、及び前記ファスナーチェーン（９）を前記移動体（２０）外に排出する処理から成る群から選択される少なくとも一つの処理を行う工程を含む、ファスナーチェーンの処理方法。