WO2019009221A1 - 培養装置、担体、および培養対象回収方法 - Google Patents

培養装置、担体、および培養対象回収方法 Download PDF

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Abstract

この培養装置(1)は、培養対象を付着させる担体(2)を有する担体部と、担体(2)に培養液を供給する供給部(3)と、担体(2)から流出する培養液を貯留する貯留部(5)とを備える。前記担体(2)は、基体(21)と、基体(21)の表面に複数形成され、各々の先端(233)の基体(21)に対する相対位置が変化可能である凸部(23)とを有する。前記担体部は、担体(2)を揺動させることにともない凸部(23)の相対位置を変化させる揺動機構(27)を有する。

Description

培養装置、担体、および培養対象回収方法
 本発明は、微細藻類などの培養対象を培養するための培養装置、担体、および培養対象回収方法に関する。
 本願は、2017年7月4日に日本で出願された特願2017-131025号、および、2018年5月28日に日本で出願された特願2018-101710号に基づき優先権を主張し、それらの内容をここに援用する。
地球温暖化への対策として、温暖化ガスの排出を可及的に抑える取り組み等が各国の産業界に強く求められている。クロレラ等の微細藻類や光合成細菌などの微生物は、COを排出しないでエネルギー生産が可能な資源その他の産業上利用可能な資源として非常に有望視されており、商業レベルでの活用及び効率的な製造に期待が寄せられている。
クロレラ等の微細藻類を、エネルギー資源その他の産業上の利用に供するためには、できるだけ低いコストで生産することが要求されるが、水中で微細藻類を大量培養する場合、大規模なプールやタンクを必要とする。したがって、用地の取得又は設備の大規模化による費用増大等の問題がある。
特許文献1では、土地を有効活用して簡易な設備で単位面積当たりの生産量の向上を図るために、鉛直に立てた担体表面に培養液を自然流下させ、その担体表面で微細藻類等の微生物を継続して増殖させ、自然流下した培養液中から連続的に微生物を回収する培養システムが提案されている。このシステムでは、担体表面の薄い水膜が従来法のプール水面に相当し、光(人工光)・炭酸ガス・栄養素を得て光合成がなされる。このシステムを格納したユニットでは、担体一枚で同一面積の水面と同等あるいは以上の培養量を得られ、担体の並列多層装備により同一床面積当たりでプールなどの従来法の10倍~20倍の収穫を期待できる。さらに、前記ユニットを上下に積層することで、床面積当たりで従来手法の100倍の培養量確保も期待できる。このような培養システムによれば、太陽光の豊富な地域に限られている立地制約も克服でき、極地や地下さらには宇宙空間でも培養可能になる。
特開2013-153744号公報
しかし、特許文献1に記載された培養システムでは、微生物の培養速度が遅く、培養開始から微生物を定常的に生産できるようになるまで1カ月近く要するので、生産効率が悪いという問題があった。
本発明は、担体表面及び内部で微生物を効率よく生産できる培養装置、担体、および培養対象回収方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様に係る培養装置は、培養対象を付着させる担体を有する担体部と、前記担体に培養液を供給する供給部と、前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備える。前記担体は、基体と、前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを有する。前記担体部は、前記担体を揺動させることにともない前記凸部の前記相対位置を変化させる揺動機構を有する。
 前記基体は、上下方向に沿うように設けられ、前記凸部の前記先端は、前記凸部の根元よりも下側に位置してもよい。
 前記供給部から前記担体に供給された培養液は、前記凸部の根元側から前記先端側に向けて流れるように構成されてもよい。
 前記凸部は、前記基体から延びる繊維状部材であってもよい。
 前記繊維状部材は、環状部を有してもよい。
 前記揺動機構は、前記担体を収容する収容部と、前記収容部内に収容された前記担体に対して超音波振動を付与する超音波振動部とを有してもよい。
 前記揺動機構は、前記担体の表面に接触して設けられる接触体と、前記接触体を前記表面に沿って移動させる移動部とを有してもよい。
 本発明の他の態様に係る培養装置は、培養対象を付着させる担体と、前記担体に培養液を供給する供給部と、前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備え、前記担体の単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上である。
 本発明の他の態様は、培養対象を付着させる担体と、前記担体に培養液を供給する供給部と、前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備える培養装置に用いられる担体である。この担体は、シート状に形成された基体と、前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを備え、前記凸部の前記先端は、前記凸部の根元よりも下側に位置することが可能である。
 本発明の他の態様に係る培養対象回収方法は、基体と、前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを有する担体に培養対象を付着させるステップと、前記担体にて培養対象を培養するステップと、前記担体を揺動させることにともない前記凸部における前記相対位置を変化させ、前記担体から培養対象を離間させるステップと、前記担体から離間した培養対象を含む流体を回収するステップとを含む。
 前記各態様によれば、担体表面及び内部で微生物を増殖させ、微生物を効率よく生産および回収できる。
本発明の第1の実施形態に係る微生物培養システムを模式的に示した斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る微生物培養システムを模式的に示した側面図である。 第2の実施形態における担体の拡大断面図である。 前記担体の突起部の説明図である。 第2の実施形態におけるハンガーの概略構成図である。 第2の実施形態における微生物の培養回収方法を示すフローチャートである。 第3の実施形態における網体振動機構の概略構成図である。 網体および担体の拡大図である。 図7AにおけるVIIb-VIIb線視断面図である。 第4の実施形態における超音波振動機構の概略構成図である。 第4の実施形態における振動槽の斜視図である。
 以下、本発明の微生物培養システムの実施形態を、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
 本実施形態に係る培養システム1は、図1又は図2に模式的に示すように、気相中で微生物を培養するためのシステムであって、鉛直方向に配置されたシート状の担体2と、担体2に培養液を供給する培養液供給部3と、担体2の表面を覆うシート体(内側カバー部材)4と、担体2から流出した微生物を含む培養液を貯留する流出液タンク5と、流出液タンク5に貯留された培養液から分離された微生物を収容する収穫容器6と、流出液タンク5に貯留された培養液から分離した培養液を循環させる循環流路7と、担体2、培養液供給部3、シート体4、流出液タンク5及び循環流路7を覆うケース(外側カバー部材)8と、担体2に光を照射する光照射部9と、を備えている。
 以下の説明においては、培養システム1の上下方向を単に上下方向という。培養システム1に設けられた担体2の幅方向を単に幅方向という。培養システム1における上下方向および幅方向と交差する方向を単に奥行方向という。
 担体2は一定の幅を有する帯状のシートであり、微生物が付着できるとともに、その上方から供給された培養液を内部に浸透させつつ流下させることが可能なもので、単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上であると好ましい。本明細書において「保水量」とは、後述の実施例に記載する保水性試験で測定される値(g/cm)を意味する。担体2の単位面積当たりの保水量は、0.25g/cm以上であると好ましく、0.3g/cm以上であるとより好ましい。担体2の単位面積当たりの保水量の上限は、特に限定されないが、10g/cm以下、8g/cm以下、5g/cm以下、3g/cm以下、1g/cm以下などを選択することができる。
 担体2の具体例としては、撚糸又は無撚糸のパイル地等が挙げられ、いずれも使用可能であるが、特に、無撚糸のパイル地が好ましい。パイル地の素材としては特に限定されず、具体的には綿、絹、毛、羊毛、および麻などの天然繊維(植物質繊維または動物質繊維)、アクリル、ポリエステル、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン、およびポリウレタン等の合成繊維が挙げられる。パイルとは織り方の種類で、織物の地組織から、ループ状の繊維(輪奈/loop of thread)が縦横に一定間隔毎に突き出て、地組織の表面を覆う織り方を言い、前記輪奈が弾力を有している。パイル地とは、パイル織りされた布地をいう。パイル地の毛足の長さは、特に限定されないが、3mm~30mmとすることができる。担体2としてパイル地を用いると、適切な保水性および排水性が得られ、微生物を輪奈で適度に保持して生育させるとともに、生育した微生物の一部を輪奈から適度にふるい落として排出することができ、効率の良い培養システムを構築できる。
 この実施形態の担体2は、長方形のシート状に1枚設けられている。但し、担体2の形態は、平板状に限定されるものではなく、長手方向もしくは幅方向の両端を連結した円筒状や角筒状であってもよい。また、担体2の数は1つに限定されるものではなく、2以上設けられていてもよい。
 担体2は、逆U字状に、すなわち、中央から2つに畳んだ状態でハンガーHの上端の水平部に掛けられるか、クリップやフック等の留め具を用いて担体2の端部がハンガーHに固定され、吊り下げて設置されている。
 ハンガーHは、その下端から所望の高さ(例えば1m前後)に担体2を吊り下げられることができるようにした部材であり、担体2を掛ける又は留めるために水平方向に配置された棒状の固定用部材10と、固定用部材10の両端を支持する一対の脚部材11とを備えている。ハンガーHは、互いに平行な複数の固定用部材10を有したものであってもよい。
 担体2は、上記の方法以外にも、剛性のある枠体等の支持部材に取り付けて自立させたり、後述する培養液供給部3の下方に直接留め具等を設けてこの留め具に吊り下げたりする方法等によって設置してもよい。
 後述する培養液供給部3の下方に直接留め具等を設けてこの留め具に担体2を吊り下げた場合には、留め具を担体2に培養液を供給する流路にすることができるとともに、担体2を確実に培養液供給部3の直下に設置することができるため、培養液供給部3とハンガーHとの位置合わせが不要となる。
 この実施形態の培養液供給部3は、培養液を放出して担体2に供給するための水平に配置された管状部材であり、その一部は、不図示の培養液貯留タンク及び養分補給タンクに循環流路7を介して接続されている。培養液供給部3の、担体2の上端と対向する中央部の周壁には、培養液を放出するための供給孔3aが、軸線方向に一定の間隔をおいて複数形成されている。供給孔3aは下方に向けて配置され、担体2の上端に培養液を、担体2の幅方向全域に亘ってほぼ均等な含水量となるように、供給する。培養液供給部3は、担体2の数又は配置に応じて、複数配置されていてもよい。
 培養液供給部3の培養液の供給能力は、培養液の担体2中の流下速度を5mL/h/m以上から30000mL/h/mまでとし得るものであることが望ましい。この変動幅は微生物の増殖に応じたものである。たとえば、クロレラにおいては、一体が成長して4分裂し、16時間でそれぞれが分裂前の大きさに成長する。分裂当初は、養分は少量で足りるが、成長期には十分に与えることが必要である。これにより、微生物の周囲を常に新鮮な培養液で満たして増殖を維持しつつ、微生物を培養液とともに連続して自然流下させることができる。また、随時、培養液の流速を変化させたり、担体2に振動等の衝撃を与えたりすることにより、担体2に付着している微生物層の表層部を強制的に落下させると、下層部の光合成が活発になり増殖し回収量を増加させることができる。
 微生物の安定した細胞増殖を維持し、ガス(CO)交換をしやすくするために必要な最小限の水分及び/又は養分を与えるためには、微生物の植え付け量にもよるが、例えば、担体2が0.5m以上のパイル地ではないシート体よりなる場合は、当初は1000mL/h/m以上とし、その後は徐々に増加させ5000mL/h/mの流速で培養液を流すことが必要である。このため、培養液の流速が1500mL/h/mに至るまでは、流速の増加に伴い微生物の流出量も上昇するが、6000mL/h/m以上では流出量の伸びは鈍化する。好ましくは1500mL/h/m以上である。培養液の流速は、担体2の表面の任意の箇所において測定した値である。
 流速が大きすぎると、藻類等の微生物が担体2に固着し難くなり、増殖率が低下する、養液相が厚くなりCOの交換が行い難くなる、又は物理的刺激により藻類等の微生物にストレスがかかる、といった問題が生じる。
 担体2が0.5m以上の撚糸又は無撚糸のパイル地よりなる場合には、担体2の表面を流れる培養液の流速は、1200mL/h/mを超える速度とし、好ましくは5400mL/h/m以上であり、より好ましくは9000mL/h/m以上である。前記流速の上限は、30000mL/h/m以下が好ましく、27000mL/h/m以下がより好ましく、24000mL/h/m以下がさらに好ましい。培養液の流速は、前記と同様である。
 培養液としては、微生物を通常の方法により培養して、微生物の濃度を高めることが可能な培地の希釈液であれば、特に制限されない。培地としては、例えばCHU培地、JM培地、MDM培地などの一般的な無機培地を用いることが出来る。さらに、培地としては、ガンボーグB5培地、BG11培地、HSM培地の各種培地の希釈液が好ましい。無機培地には、窒素源としてCa(NO・4HOやKNO、NHClが、その他の主要な栄養成分としてKHPOやMgSO・7HO、FeSO・7HOなどが含まれる。培地には、微生物の生育に影響を与えない抗生物質等を添加してもよい。培地のpHは4~10が好ましい。可能な場合には、各種産業から排出される廃水等も利用してよい。
 シート体4は、ビニール、ポリエチレン、ポリエステル等の合成樹脂により形成された透光性を有するシート状の部材である。培養システム1を用いて光合成を行わずに増殖できる微生物を培養する場合は、シート体4の材質は透明である必要はない。
 シート体4は、担体2を包み込むように配置された直方体状の袋状をなし、担体2の前面および後面からそれぞれ一定の間隔を空けて平行に配置された長方形状の前面部4a及び後面部4bと、前面部4aと後面部4bの両側縁同士をつなぐ側面部4c,4cと、前面部4aと後面部4bの下端同士をつなぐ底面部4dとを有している。
 前面部4aと後面部4bは、上端で逆U字状に折り返されて連続しており、この折り返し部分を培養液供給部3の上に掛けられ、更に不図示の留め具によって培養液供給部3に取り付けられている。
 前面部4a及び後面部4bの折り返し部分と側面部4cとの間には、培養液供給部3を通すための挿通孔15、及び、ハンガーHの固定用部材10を通すための挿通孔16が形成されている。底面部4dには、担体2から流下する微生物を含む培養液を流出液タンク5に導く導出孔17が形成されている。本実施形態では、導出孔17は細長い略矩形形状(スリット状)をしているが、導出孔17は、丸孔その他の形状の孔であってもよく、孔の数は単数でも複数であってもよい。培養液を流出液タンク5に導く不図示の導出ノズルが、導出孔17に取り付けられていてもよい。
 シート体4は、ハンガーHなどの担体2を支持する部材の脚部材11の下部以外を含めて担体2を上方及び側方から筒状に覆い、下方のみ開口して脚部材11を突出させかつ培養液を導出できるようにした形態であってもよい。担体2を保温する点、及び、担体2が晒される雰囲気中に炭酸ガスを保持する点、さらに担体2から削り取った収穫物の飛散を防止する点からは、シート体4の内部が密閉もしくはほぼ密閉されていることが好ましい。シート体4は、留め具等により、後述するケース8に固定されていてもよい。
 シート体4は担体2の表面の近傍に配置されていることが好ましい。「近傍」とは、本発明においては、シート体4と担体2の表面との離間距離が1~10cmの範囲に設置されていることをいう。
 この範囲にシート体4を設置することにより、担体2の表面を効果的に保温することができる。シート体4と担体2の表面との距離が1cm未満であると、少しの揺れや振動でシート体4が担体2の表面に密着する場合があり、密着部分に培養液や気体が充分供給されず、微生物の増殖が遅くなるおそれがある。シート体4と担体2の表面との距離が10cmを超えると、保温効果が充分得られない場合がある。シート体4と担体2の表面との距離は、より好ましくは、1~5cmの範囲である。
 担体2を複数設けている場合は、それぞれの担体2を覆うようにシート体4を設置してもよいし、複数の担体2をまとめて覆うように一つの大きなシート体4を設置してもよい。
 流出液タンク5は、担体2から流出した微生物を含む培養液の貯留槽であり、担体2から流下する培養液を受けられるように、上端が開口した一定深さの箱形状を有する。担体2から流出した微生物を含む培養液は、重力により、流出液タンク5内において微生物を高濃度に含む沈殿物と、微生物を殆ど含まない上清である培養液とに分離される。
 収穫容器6は、流出液タンク5で分離された微生物を高濃度に含む沈殿を、流出液タンク5の底から回収して収容する容器である。
 循環流路7は、流出液タンク5で分離された培養液(上清液)を回収して再度担体2に供給するためのものである。循環流路7にはポンプPが設けてあり、これにより回収された培養液を担体2の上方まで汲み上げることができる。汲み上げられた培養液は、再び担体2の上から連続的に供給される。担体2に供給される培養液は、流出液タンク5内で分離された上清であるが、微生物を含んでいてもよい。ポンプPの手前にストレーナを設け、上清液に含まれる微生物の少なくとも一部をストレーナで漉して回収してもよい。
 この実施形態のケース8は箱型をなし、担体2、培養液供給部3、シート体4、流出液タンク5、及び循環流路7の全体を覆う。ケース8は、少なくとも担体2及びシート体4を覆っていれば、他の部材を覆っていることは必須ではない。シート体4及び担体2をケース8によって覆うことにより、保温力が一層高まり、担体2の表面温度を一定に保ちやすくなる。
 ケース8の材質は特に限定されず、ガラス、アクリル、ポリスチレン、塩化ビニル等の透明なものが挙げられる。培養システム1を用いて光合成を行わずに増殖できる微生物を培養する場合は、ケース8の材質は透明である必要はない。ケース8内に、シート体4および担体2が複数のセットで設置される場合、流出液タンク5、収穫容器6および循環流路7は、個々のセット毎に装備せず、共通の装備にすることができる。
 光照射部9は、担体2に前面から光を照射する部材であり、例えば、光源として板状をなす蛍光灯、有機EL又はLED等を備えており、適宜、増殖に適した波長や光量を有する光を照射する。光照射部9が照射する光の波長は、380~780nmの範囲であればよい。赤色光のみで増殖が可能な微生物に対しては、光照射部9は光合成に適した赤色光のみを照射できるとよい。クロレラ等の微生物は赤色光のみで良好に増殖し得る。光照射部9による光の照射は、連続照射でなくとも、100~10,000Hzの間欠照射光であってもよい。培養システム1を屋外に設置し、太陽光を利用することも可能である。屋内設置のまま、太陽光を導入し、人工光と組み合わせることも有効である。
 担体2が円筒状や四角管状である場合、担体2の内周面にも光が照射されるように、担体2の中に棒状等の光照射部9を更に配置してもよい。
 図1では、ケース8の外に光照射部9が設置されている態様を示したが、光照射部9はケース8の中に設置されていてもよい。
 図1に示す例では、培養システム1に光照射部9が一つ設けられ、担体2の片面全面に光をほぼ均等に照射する。担体2の数に応じて光照射部9が複数設けられていてもよい。担体2と光照射部9とを複数設ける場合、担体2と光照射部9を交互に平行に設置することもできる。その場合、光照射部9が両面発光するものであれば、両側の担体2に光が照射できる。
 ケース8内には、1~40%程度のCOを含有する混合空気が充填しており、更にCOを適宜補充するために、COまたはCOを含む空気を送入可能になっていることが好ましい。この実施形態では、シート体4の下部に外部の炭酸ガス源からCOを導入する導入ノズル4eが設置され、シート体4の上部には内側気体を外へ排気するための排気ノズル4fが設置されている。担体2を1~10%程度のCOを含有する混合空気中に保持すれば、多くの微生物に良好に光合成を行わせることができる。シート体4の内側に大気を通気する場合でも、微生物の増殖は、速度は遅くなるが、可能である。
 図1に示す培養システム1ではシート体4及びケース8を用いて保温性を高めているが、本発明の微生物培養システムでは、生育に適切な範囲の雰囲気温度と雰囲気ガスを保つことができれば、シート体4及びケース8を用いずに微生物の培養を行うこともできる。
 本発明において、培養対象とする微生物は光合成微生物であることが好ましく、その場合、培養システム1は光照射部9を備えていることが好ましい。光合成を行わずに増殖できる微生物を培養する場合や、光合成微生物を屋外で培養する場合は、光照射部9はなくてもよい。
 次に、培養システム1の使用方法及び作用について説明する。
 培養システム1の使用を開始するには、微生物を付着させた脱脂綿等を担体2の上に載置し、その端部をハンガーH等に掛けて、又は、吊り下げて留めておく。微生物の付着方法としては、微生物を担体2に直接滴下あるいは塗布してもよい。担体2の周囲には、担体2の表面から1cm以上10cm以下の範囲で離間した位置にシート体4を設置する。導入ノズル4eからCOまたは1~40%程度のCOを含む空気を導入し、下から上に向けて流し、排出ノズル4fから余剰ガスを排出する。
 その上で、培養液供給部3から担体2の表面を5mL/h/m以上の速度で流下するように培養液を連続的に供給しつつ、380~780nmの波長の赤色光を照射する。この光照射は、微生物の植付の当初は50μmolm-2-1程度の弱い光量とし、成長に従って400μmolm-2-1程度まで増やす。また、光合成生物は、夜間に分裂をするという特性を有するから、増殖初期には消灯時間を設けることも好ましい。この際、担体2の表面の液温および気温は、33~37℃に設定しておくことが好ましい。
 一定時間が経過すると、担体2に培養液が行き渡り、培養液供給部3から更に培養液が供給され、担体2の下端から培養液が流出液タンク5に流下する。微生物が担体2上で徐々に培養されると、担体2に付着していた微生物、又は担体2において培養された微生物は、培養液の流れによって徐々に担体2から流出し、培養液と共に流出液タンク5に流下する。
 担体2から流下した微生物は、流出液タンク5内の培養液中で沈殿し、流出液タンク5の下方に設置された収穫容器6に取り込まれる。一方、流出液タンク5内に溜められた、微生物の一部を含む培養液の上清液は、ポンプPにより汲み上げられ、循環流路7を経由して培養液供給部3に再び送られ、担体2上に繰り返し供給される。
 微生物を含む培養液が培養液供給部3に再供給される量に応じて、不図示の培養液貯留タンクからの新しい培養液の供給量が調整される。また、不図示の養分補給タンクから、必要な養分が培養液供給部3に適宜供給され、培養液と共に担体2に放出される。
 上記のように微生物の一部は自然に担体2から流下するが、この実施形態では、微生物の分裂成長に応じて、担体2上に定着している微生物層の表層を削り取ってもよい。これにより、下層部の微生物も光合成が活性化され、分裂増殖が始まる。
 以上の動作を繰り返すことにより、微生物を連続的に培養しつつ、培養された微生物が収穫される。
 本実施形態に係る培養システム1によれば、担体2として単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上であるシート、又はパイル地の織物を用いるため、同サイズの従来の培養システムを用いる場合と比べて微生物の生産量が増加し、短期間で定常的に微生物を収穫できるようになり、微生物の生産効率を高めることができる。
 なお、本発明は前記実施形態に限られない。例えば、流出液タンク5内に貯留した培養液からの微生物の回収は、ろ過、遠心処理、又は、自然沈降のいずれによってもよい。微生物が細胞外に排出する物質を収穫する場合には、吸着や濃縮等のその他の方法を適用する。
 前記実施形態では、縦長の担体が設けられているが、横長の担体を用いてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない限り、前述した種々の構成の一部又は全部を適宜組み合わせて構成してもよい。
 以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
[保水性試験]
 本明細書において、担体の「保水量」は、下記の方法で測定した。
[1] 保水量を測定するサンプルは3cm×26cmの大きさで用意し、乾燥重量を測定した。
[2] 十分量の室温(例えば23℃)の水道水を入れた容器にサンプルを入れて3分間放置し、サンプルに十分に水を含ませた。
[3] ピンセットを使ってサンプルの長手方向の一端をつまみ、容器からサンプルを鉛直方向に伸ばして取り出し、水面から持ち上げた状態で5秒間静置し、水が垂れ落ちるのを待った。
[4] 水を含んだサンプルの重量を測定した。この時点で水が垂れても、垂れた水を含めた重量を測定した。
[5] [4]で測定した重量からサンプルの乾燥重量を引き、サンプル1cmあたりに含まれる水の量を算出した。
 測定は各サンプルにつき5回ずつ行い、平均値を「保水量(g/cm)」とした。
[実施例1]
 図1に示すような培養システム1を用いてクロレラ(Chlorella kessleri 11h)を培養した。担体2としては、幅50cm×長さ120cmの無撚糸で織りあげたパイル地(保水量:0.395g/cm)を二つ折りでハンガーHの固定用部材10に吊り下げたものを用いた。
 担体2を覆うシート体4としては、幅80cm×高さ90cm×厚さ1.2mmの市販の塩化ビニールシートを用い、担体2の全体と培養液供給部3の一部を覆った。循環流路7の下流側には、ポンプP(エーハイム社製商品名「1046」)を設けた。ケース8としては、市販のガラスケース(ガラスの厚さ3mm)を用いた。光照射部9としては、赤色LED(イフェクト社製)を用いた。
 本培養システム1を用いて、ケース8内に下から上に向けて10容量%のCOを含む空気を1.0L/分程度の速度で導入し、また流出液タンク5内の培養液内にバブリングした。培養液として、植物組織培養培地ガンボーグB5を50倍希釈したものに、KNOを150mg/Lの濃度になるように添加して使用した。1000mL/hの速度で担体2に培養液を供給しつつ、50μmolm-2-1の強度の赤色光を担体2に照射しながら、33~37℃でクロレラの培養を行った。培養開始時には、乾燥重量で15gのクロレラを担体2の上に載置した脱脂綿に付着させてから、培養を開始した。
 培養開始2時間後に、培地の濃度は、ガンボーグB5培地10倍希釈に調整した。翌日から、ガンボーグB5培地を10倍希釈した液に、培地1LあたりKNOを750mg、栄養補強剤(ガンボーグB5培地10倍希釈に戻すための組成で、NaHPO:17g/l、MgSO:15g/l、(NHSO:13g/lを含み、グルコースは含まない):5ml、及び、NHCl:50μlを添加した培養液で、流出液タンク5の培地を毎日一度交換した。光量は、培養を開始した翌日から100μmolm-2-1とした。担体2の表面温度は、培養中一定して33~35℃であった。
 担体2から流出したクロレラを含む培養液は、流出液タンク5に集めた。流出液タンク5内でクロレラが増殖するのを防ぐため、流出液タンク5は黒い布で覆った。クロレラの回収は、培養開始3日目から1日に1~3回担体2表面を掻き落とし、流出液タンク5中の培養液を遠心処理して行った。回収したクロレラは培養液に再懸濁し、分光光度計(ベックマン社製、DU700)で測定された730nmの濁度から乾燥重量を算出した(730nmの濁度0.35=1gDW(乾燥重量)/L)。また、80℃で2時間以上乾燥させたクロレラから乾燥重量を求めて前記算出値を校正した。培養の結果、培養開始から5日目で乾燥重量169.56g/mのクロレラが収穫できた(担体2の1mあたりで算出)。
[実施例2]
 担体2として、幅50cm×長さ120cmの撚糸で織りあげたパイル地(保水量:0.267g/cm)を用いた以外は、実施例1と同様にクロレラを培養し、乾燥重量を算出した。培養の結果、培養5日目で乾燥重量157.07g/mのクロレラが収穫できた。
[比較例1]
 担体2として、幅45cm×長さ160cmのガーゼ3枚付不織布(保水量:0.185g/cm)を用いた以外は、実施例1と同様にクロレラを培養し、乾燥重量を算出した。培養の結果、培養5日目で乾燥重量112.21g/mのクロレラが収穫できた。
 担体として単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上であるパイル地を用いた実施例1及び2では、ガーゼ3枚付不織布を担体に使用した比較例1と比べて、クロレラの生産量が大幅に増えていた。
[第2の実施形態]
 図3Aは第2の実施形態における担体2の拡大断面図であり、図3Bは突起部23の説明図である。担体2は、ハンガーH1(図4参照)の固定用部材10に吊り下げられている。
 図4は、第2の実施形態におけるハンガーH1の概略構成図である。
 図5は、第2の実施形態における微生物の培養回収方法を示すフローチャートである。
 次に、図3A、図3B、図4、および図5を参照しながら、第2の実施形態について説明をする。以下の説明においては、上記第1の実施形態で説明した構成と同一の部分には同一の符号をつけ、その詳細な説明は省略する。
[担体2]
 まず、図3Aおよび図3Bを参照しながら、第2の実施形態における担体2について説明をする。この担体2は第1実施形態または後述する他の実施形態においても使用可能である。
 担体2は、パイル地により形成される。図3Aに示す担体2は、繊維により形成された平板状の部分である基体21と、基体21の表面から突出する繊維状部材、すなわち起毛部により形成された多数の突起部23とを有する。図示の突起部23は、環状部(ループ部)を有する。この突起部23は、基体21に固定される根元231と、突起部23における基体21から最も離間した部分である先端233とを有する。例えば、突起部23は、繊維径1mmであり、基体21からの突出量(奥行方向長さ、距離L1参照)が約20mmである。また、上記第1の実施形態で説明したように、担体2として単位面積当たりの保水量は0.2g/cm以上である。
 図3Bに示すように、突起部23が弾性変形することにともない、突起部23の先端233は根元231に対して移動可能である。すなわち、先端233は、根元231を中心として揺動可能であり(矢印D1参照)、基体21に沿う方向(図中、上下および左右方向)に移動可能、かつ基体21に対して進退する方向(図中、奥行方向)にも移動可能である。
 図3Bに示すように、担体2が吊るされている状態、すなわち基体21が上下方向に沿って配置されている状態においては、先端233が根元231よりも下側に位置することが可能である(距離L2参照)。このように、先端233が根元231よりも下側に配置された状態で、担体2に培養液が供給されると、培養液が根元231側から先端233側に向けて流れる(矢印D2参照)。このように、先端233側に向けて培養液が流れるため、培養液および微生物が根元231側に滞留することが抑制される。その結果、培養液および微生物の滞留にともない発生し得る、培養液および微生物の腐敗などが抑制される。
 本実施形態における担体2においては、基体21に突起部23を設けることにより、担体2の表面積が大きくなる。このため、担体2の内部あるいは担体2の表面に存在する培養液における、気相と接する領域の面積が大きくなり、担体2の受光面積も大きくなる。これらのことにより、担体2における微生物の成長が促進され得る。
 担体2の表面積を増加させるためには、本実施形態のように、突起部23すなわち凸部を担体2に設ける構成に替えて、例えば、多孔体のスポンジのように凹部を設ける構成も想定できる。しかし、この態様においては、スポンジ状に形成された担体の孔が培養液で満たされ、培養液および微生物が孔の内部で滞留することがある。この孔内部の培養液および微生物が排出されない場合には、上記のような培養液および微生物の腐敗などが発生し得る。また、多孔体のスポンジのように凹部を設ける構成は、十分な量の微生物を付着させることができない。一方、本実施形態においては、上記のように凸部である突起部23を形成することにより、突起部23の表面を培養液および微生物が流れる。その結果、培養液および微生物の腐敗などの発生が抑制される。
 先端233が根元231(基体21)に対して移動可能であれば、突起部23の形状は特に限定されない。例えば、突起部23は、図示の例とは異なり環状に形成されなくてもよい。例えば、突起部23は、一端が基体21に支持され、他端が揺動可能である略円柱状、略円錐状、あるいは略角柱状の部材でもよい。例えば、担体2は、シャーリング地により形成されてもよい。シャーリング地は、パイル生地の片面の輪奈の先端を切り落とした生地であり、ループ状の輪奈の代わりに、多数の直線的な繊維が地組織から突出している。シャーリング地の毛足の長さは、特に限定されないが、3mm~30mmとすることができる。
[ハンガーH1]
 次に、図4を参照しながら、ハンガーH1について説明をする。ハンガーH1は第1実施形態または後述する他の実施形態におけるハンガーとしても使用できる。
 図4に示すように、ハンガーH1は、水平に配置される棒状の固定用部材10と、固定用部材10の両端を支える脚部材11と、固定用部材10と脚部材11との間に設けられる緩衝機構25と、固定用部材10に連結され固定用部材10を振動させるための枠体駆動源27とを有する。ハンガーH1および担体2は、担体部の一例である。枠体駆動源27は揺動機構の一例である。
 緩衝機構25は、固定用部材10の振動が、脚部材11へ伝達されることを抑制する。図示の緩衝機構25は、ばね部材により構成されている。緩衝機構25としては、ゴムなどの他の弾性体やダンパー等の油圧機構などを用いてもよい。
 枠体駆動源27は、固定用部材10を揺動させる。図示の枠体駆動源27は、偏心した振動子が設けられた回転軸を回転させることにより振動を発生させる、振動モータで構成されている。枠体駆動源27としては、エアバイブレータ、音響加振動器などを用いてもよい。振動の周期と強度は、担体2から適度に微生物がふるい落とされる程度に設定される。
[培養回収方法]
 次に、図3A、図3B、図4、および図5を参照しながら、第2の実施形態における微生物の培養回収方法(培養対象回収方法)を説明する。以下の説明において、担体2は、ハンガーH1の固定用部材10に吊り下げられているものとする。
 まず、上記第1の実施形態において説明をしたように、微生物を担体2に付着させる(ステップ501)。培養液供給部3(供給部の一例、図1参照)から担体2に培養液を供給しながら光を照射し、担体2において微生物を培養する(ステップ502)。次に、枠体駆動源27を駆動させ固定用部材10を揺動させることにともない、担体2を揺動させる(ステップ503)。詳細は後述するが、担体2の揺動にともない、担体2に付着した培養液および微生物が担体2から離間する。担体2から離間した培養液および微生物を、流出液タンク5(貯留部の一例、図1参照)を用いて回収する(ステップ504)。
 枠体駆動源27が駆動すると、固定用部材10に振動が伝達される。図示の例においては、固定用部材10が上下方向に振動する(矢印D3参照)。この固定用部材10の振動にともない、担体2が揺動する。固定用部材10を上下方向に振動させると、後記のように微生物をふるい落とす効果が高いと考えられる。
 担体2が上下に揺動すると、基体21に設けられた突起部23が上下方向に揺動する。すなわち、突起部23の先端233が上下に揺れて、先端233の根元231(基体21)に対する相対位置が変化する。突起部23の揺れにより、突起部23の先端233から培養液および微生物が振り落とされ、担体2に付着した微生物が担体2から離間する。これにより、担体2上での微生物の過剰な滞留を抑制でき、常に、新しい微生物に栄養と光を供給できる。
 図示の例においては、固定用部材10と脚部材11との間に緩衝機構25が設けられている。これにより、固定用部材10が緩衝機構25から振動を受けたとしても、脚部材11など他の部材が揺動することが抑制される。脚部材11など他の部材が揺動することを許容する場合には、緩衝機構25を設けなくてもよい。
 枠体駆動源27を駆動させて担体2を揺動させる際(ステップ503)に、培養液の供給を継続してもよいし、停止してもよい。また、枠体駆動源27を駆動させる際に、シート体4(図1参照)内部を培養液で満たし、担体2を培養液に浸漬させた状態で、担体2を揺動させて微生物をふるい落としてもよい。また、枠体駆動源27を駆動させて固定用部材10を移動させる向きは、上下方向に限定されない。例えば、幅方向あるいは奥行方向でもよいし、上下方向、幅方向、あるいは奥行方向の一部または全部の組み合わせでもよい。
[第3の実施形態]
 図6は、第3の実施形態における網体振動機構30の概略構成図である。図7Aは網体31および担体2の拡大図であり、図7Bは図7AにおけるVIIb-VIIb線視の断面図である。
 図6、図7A、および図7Bを参照しながら、第3の実施形態について説明する。以下の説明においては、上記第1および第2の実施形態で説明した構成と同一の部分には同一の符号をつけ、その詳細な説明は省略する。
[網体振動機構30]
 図6に示すように、第3の実施形態においては、担体2の表面を揺動させる網体振動機構30が設けられる。網体振動機構30は、担体2の表全面を覆うように設けられる網体31と、網体31に連結され網体31を振動させる網体駆動源39とを有する。図6においては明瞭化のため網体31が担体2から離間しているが、網体31が担体2に搭載されると、網体31は担体2の外周面と接触する。
 接触体の一例である網体31は、枠部33と、枠部33によって支持される格子部35とを有する。
 枠部33は、例えばステンレス鋼(SUS)などにより構成される金属製の棒状部材により矩形状に形成されており、固定用部材10に掛けられた担体2の外周に沿う形状とサイズを有する。すなわち、枠部33は、担体2より一回り大きい長方形状に形成され、長手方向中央部が折り曲げられ、側面視略U字状に形成されている。枠部33の材質および寸法は、格子部35を支持可能な剛性を有するものであれば特に限定されない。
 格子部35は、互いに直交(交差)する向きに設けられた縦線351および横線353を有する。図示の例における縦線351は、上下方向に伸びて、所定の間隔で平行に複数並べられている。一方、横線353は、幅方向に伸びて、所定の間隔で平行に複数並べて設けられている。格子部35を構成する縦線351および横線353は、光照射部9(図2参照)から照射される光を透過可能な線状部材(例えば、テグス)で構成されている。例えば、格子部35は透明樹脂やガラスにより構成されてもよい。格子部35が光透過性を有することにより、光照射部9からの光が、格子部35を構成する縦線351および横線353を透過し、担体2に到達する。
 移動部の一例である網体駆動源39は、例えばラック・アンド・ピニオンと、ラックギアを駆動するモータなどにより構成される。図示の例においては、網体駆動源39のモータが駆動することにより、網体31が上下方向に揺動する(矢印D3参照)。このことにともない、網体31が突起部23を振動させる。
[網体31の動作]
 次に、図6、図7A、および図7Bを参照しながら、網体31の動作について説明する。網体31の横線353は、上述のように所定の間隔(図7Aの距離La参照)で設けられている。また、網体31は、網体駆動源39の駆動力を受けて上下方向に揺動する(往復運動、矢印D3参照)。すると、網体31の横線353は、横線353が延びる方向(幅方向)と交差する方向(上下方向)に揺動する。このとき、上下方向において、1本の横線353が通過する領域の長さ、すなわち1本の横線353の揺動範囲(図7Aの長さLb)は横線353の間隔(距離La)よりも大きい。すなわち、横線353は、網体31が形成する格子の1マス分よりも大きい範囲で往復運動する。例えば、横線353は、横線353同士の間隔(距離La参照)の2倍、すなわち格子の2マス分動くように構成するとよい。このように、各横線353が格子の1マス分よりも大きい範囲で上下方向に往復運動することにより、担体2の表面全体を横線353が擦ることが可能となる。
 図7Bに示すように、網体31が担体2に搭載されると、網体31の横線353は、突起部23の先端233よりも基体21側(距離Lc参照)に配置されている。担体2に対して培養液が供給され、突起部23が培養液で濡れている状態において、網体31の横線353は、突起部23の先端233よりも基体21側に配置される。いわば、格子部35が突起部23の間に埋め込まれる配置である。このように突起部23の間に配置された位置から、格子部35が移動を開始することにより、格子部35が突起部23を確実に押圧することができる。その結果、突起部23が確実に上下に揺動し、より多くの微生物を担体2から離間させ得る。図6に示すように、担体2の外周面を網体31が覆うように構成することで、格子部35が担体2の外周面全体を擦ることが可能となる。
 図5において説明した微生物の培養回収方法と同様に、第3の実施形態においても微生物の培養および回収が実行される。但し、第2の実施形態とは異なり、担体を揺動させる(図5のステップ503)際に、網体振動機構30が網体31を揺動させる。この担体2の揺動にともない、微生物が担体2から離間する。
 担体2に網体31を搭載した状態で、すなわち格子部35を突起部23の間に埋め込んだ状態で、担体2において微生物を培養してもよいし、網体31を搭載せずに担体2で微生物を培養した後に、担体2を覆うように網体31を搭載してもよい。
 上記実施形態では、格子部35が光透過性を有する材質により形成されると説明したが、これに限定されない。例えば、格子部35としては、ステンレス鋼(SUS)により形成された細い棒状部材(針金)などを用いてもよい。また、格子部35は、互いに交差する向きに設けられた縦線351および横線353を有することを説明したが、縦線351および横線353のいずれか一方のみを有してもよいし、縦線351および横線353以外の向きに延びる線状部材が設けられてもよい。縦線351および横線353のいずれか一方のみの場合には、その長手方向と直交する方向に揺動させるとよい。
 網体駆動源39としては、ソレノイド、振動モータ、など他の駆動機構を用いてもよい。網体駆動源39を駆動させる際に、例えばシート体4内部を培養液で満たし、担体2を培養液に浸漬させた状態で、網体31を揺動させてもよい。網体駆動源39を駆動させて網体31を移動させる向きは、上下方向に限定されない。例えば、幅方向あるいは奥行方向でもよいし、上下方向、幅方向、あるいは奥行方向の一部または全部の組み合わせでもよい。
[第4の実施形態]
 図8は、第4の実施形態における超音波振動機構40の概略構成図である。図9は、第4の実施形態における振動槽41の斜視図である。
 次に、図8および図9を参照しながら、第4の実施形態について説明をする。以下の説明においては、上記第1乃至第3の実施形態で説明した構成と同一の部分には同一の符号をつけ、その詳細な説明は省略する。
[超音波振動機構40]
 図8に示すように、第4の実施形態においては、担体2の表面を揺動させる超音波振動機構40が設けられる。この超音波振動機構40は、担体2を内部に収容する振動槽41と、振動槽41の上方を覆う覆い部材43と、振動槽41を振動させる超音波振動体51を有する。
 第4の実施形態では、上記第1の実施形態のシート体4(図1参照)に替えて、収容部の一例である振動槽41が設けられる。図9に示すように、振動槽41は、略直方体の中空部材であり、上方に開口47(図9参照)が形成されている。振動槽41は、例えば、ステンレス鋼により構成される。振動槽41は、複数の透過窓45が形成された側面48を有する。振動槽41の底部には、振動槽41内部から培養液および微生物を排出する(矢印D4参照)排出機構49が形成されている。各透過窓45は、光照射部9が備える各LED91と対向する位置に設けられている。各透過窓45は、LED91から照射された光を透過する樹脂により覆われている。透過窓45は、LED91から照射された光を透過し、振動槽41内部に配置される担体2に光を到達させる。
 覆い部材43は、振動槽41の上方に設けられ、開口47を覆う。このことにより、振動槽41の内部空間が密閉され、振動槽41内部の温度や雰囲気の制御が容易になる。この覆い部材43は、例えばステンレス鋼などの金属や樹脂により構成される。超音波振動部の一例である超音波振動体51は、振動槽41の下方に設けられる。超音波振動体51が発生させる超音波の振動数は特に限定されないが、例えば10kHz乃至100kHzである。図示の例においては、超音波振動体51は、20kHzの超音波を発生させる。
[超音波振動機構40の動作]
 次に、超音波振動機構40の動作について説明をする。以下の説明においては、振動槽41の内部に担体2が収された後、覆い部材43によって振動槽41の開口47が覆われているものとする。第4の実施形態においては、上記図5において説明した微生物の培養回収方法と同様に、微生物の培養および回収が実行される。
 第4の実施形態においては、上記第2の実施形態とは異なり、担体2を揺動させる(図5のステップ503参照)際に、振動槽41内に培養液が充填され、担体2が培養液に浸漬される。そして、培養液に担体2が浸漬した状態で超音波振動体51が駆動することで、培養液を介して伝達される超音波が担体2を揺動させる。このことにともない、担体2に付着した微生物が担体2から離間する。微生物を含む培養液が、排出機構49を介して振動槽41内から排出され、流出液タンク5(図1参照)に回収される(図5のステップ504参照)。
 超音波振動体51は、培養液を介して担体2を揺動させることができればよく、例えば振動槽41の側方や上方に設けられてもよい。超音波振動体51として、所謂投げ込み型の超音波発生装置を用いてもよい。すなわち超音波振動体51が、振動槽41内に設けられる構成であってもよい。超音波振動体51として、流水式超音波発生装置を用いてもよい。また、超音波を用いる構成に限定されるものではなく、衝撃波など他の波動を用いて担体2を揺動させてもよい。
 上記実施形態においては、担体2全体が振動槽41の内部に収容されていたが、これに限定されない。例えば、担体2の一部が振動槽41の外部に突出する態様であってもよい。担体2が一方向に長い帯状に形成され、この帯状の担体2の一部が振動槽41の内部に配置される構成であってもよい。帯状に形成された担体2を用いる場合には、担体2を搬送する機構を設けることで、振動槽41の内部に配置される箇所を変更し、微生物を培養する箇所と、微生物を回収する箇所とを離間させることができる。このように微生物の培養する箇所と、微生物を回収する箇所とを離間させる構成においては、微生物を回収する振動槽41内部で担体2に光を照射させることが不要となる。したがって、このような構成においては、振動槽41に透過窓45を設けなくてもよい。
[培養対象]
 上記のように培養装置の一例である培養システム1が培養する培養対象は、クロレラやシネコキスティス、スピルリナのような運動性のないあるいは乏しい光合成微生物だけでなく、鞭毛で水中を運動するプランクトン性のユーグレナやクラミドモナス、プレウロクリシスも含まれる。培養システム1の培養対象となる微生物は、きわめて多様である。培養システム1の培養対象となる主な微生物群としては、例えば以下のA類、B類、C類が挙げられる。
 まず、A類として、原核生物である真正細菌と古細菌を挙げることができる。
 真正細菌には、酸素非発生型の光合成細菌や酸素発生型光合成を行うシアノバクテリア、有機物質を利用する通性嫌気性発酵性細菌と非発酵性細菌、さらに無機栄養細菌、放線菌およびコリネバクテリウム、有胞子細菌を挙げることができる。光合成細菌には、ロドバクター、ロドスピリルム、クロロビウム、クロロフレクサスが挙げられる。シアノバクテリアにはシネココッカス、シネコキスティス、スピルリナ、アルスロスピラ、ノストック、アナベナ、オシラトリア、リングビア、イシクラゲ、スイゼンジノリが挙げられる。
 通性嫌気性発酵性細菌として大腸菌、乳酸菌が挙げられる。非発酵性細菌としてシュードモナスが挙げられる。無機栄養細菌として水素細菌が挙げられる。放線菌としてストレプトマイセスが、有胞子細菌として枯草菌が挙げられる。古細菌として好熱菌や高度好塩菌が挙げられる。好熱菌としてサーモコッカスが、高度好塩菌としてハロバクテリウムが挙げられる。その他に、グルタミン酸生産菌、リジン生産菌、セルロース生産菌などが挙げられる。
 次に、B類として、真核光合成微生物である微細藻類を挙げることができる。
 微細藻類には、緑藻、トレボキシア藻、紅藻、珪藻、ハプト藻、真眼点藻、ユーグレナ、褐虫藻が挙げられる。
 緑藻にはクロレラ、セネデスムス、クラミドモナス、ボトリオコッカス、ヘマトコッカス、ナンノクロリス、シュードコリシスティスが、トレボキシア藻としてパラクロレラやココミクサが挙げられる。紅藻としてシアニディオシゾン、シアニディウム、ガルディエリア、ポルフィリディウムが、珪藻としてニッチア、フェオダクティルム、キートケロス、タラシオシラ、スケレトネマ、フィツリエラが挙げられる。ハプト藻として、プレウロクリシス、ゲフィロカプサ、エミリアニア、イソクリシス、パブロバが挙げられる。真眼点藻としてナンノクロロプシス、ユーグレナとしてユーグレナが挙げられる。さらに、サンゴの共生藻である褐虫藻としてはシンビオディニウムが挙げられる。
 次にC類として、非光合成真核生物である菌類を挙げることができる。菌類には酵母菌とコウジカビが挙げられる。また、担子菌類の菌糸培養は培養対象となる。
 微生物ではないが、多細胞性海藻のうち、緑藻であるアオサやアオノリ、紅藻であるアサクサノリ、アマノリ、スサビノリ、イワノリ、その他の食用ノリも培養対象となる。さらに、緑色植物であるコケ類も培養対象となる。また、共生生物である地衣類も培養対象となる。微細藻類は、シアノバクテリアを含むものとする。
[その他]
 上記のように、本発明は、担体表面及び内部で微生物を増殖する培養システムにおいて、微生物を効率よく生産できる培養システムを提供する。本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、担体として単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上であるもの、又はパイル地のものを用いることにより、微生物を効率よく生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の態様を含む。
[1] 微生物培養システム(1)であって、気相中に配置して微生物を付着させる担体(2)と、前記担体(2)の上から培養液を供給する培養液供給部(3)と、前記担体(2)から流出した前記微生物を含む培養液を貯留する流出液タンク(5)とを備え、前記担体(2)の単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上である。
[2] 微生物培養システム(1)であって、気相中に配置して微生物を付着させる担体(2)と、前記担体(2)の上から培養液を供給する培養液供給部(3)と、前記担体(2)から流出した前記微生物を含む培養液を貯留する流出液タンク(5)とを備え、前記担体の単位面積当たりの保水量が0.25g/cm以上である。
[3] 微生物培養システム(1)であって、気相中に配置して微生物を付着させる担体(2)と、前記担体(2)の上から培養液を供給する培養液供給部(3)と、前記担体(2)から流出した前記微生物を含む培養液を貯留する流出液タンク(5)とを備え、前記担体の単位面積当たりの保水量が0.3g/cm以上である。
[4] 前記担体(2)が、パイル地である(1)~(3)のいずれか一項に記載の微生物培養システム。
[5] 前記担体(2)が、無撚糸で織られたパイル地である[1]~[3]のいずれか一項に記載の微生物培養システム。
[6] 微生物培養システム(1)であって、気相中に配置して微生物を付着させる担体(2)と、前記担体(2)の上から培養液を供給する培養液供給部(3)と、前記担体(2)から流出した前記微生物を含む培養液を貯留する流出液タンク(5)とを備え、前記担体(2)が、パイル地である。
(7)前記パイル地が、無撚糸で織られたパイル地である[6]に記載の微生物培養システム。
(8)微生物が、微細藻類である[1]~[7]のいずれか一項に記載の微生物培養システム。
 本発明の微生物培養システムは、担体として単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上であるもの、又はパイル地のものを用いることにより、従来型の同サイズの微生物培養システムで生産する場合と比べて、微生物の生産量が飛躍的に増え、極めて短期間で定常的に微生物を収穫できるようになるため、従来の方法に比して生産効率を高めることができるという効果を奏する。
 上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してもよい。また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
 本明細書に開示される技術によれば、担体の表面及び内部で微生物を効率よく生産し、かつ、回収できるから産業上の利用が可能である。
1 培養システム
2 担体
3 培養液供給部
6 収穫容器
7 循環流路
8 ケース
21 基体
23 突起部
27 枠体駆動源
30 網体振動機構
31 網体
40 超音波振動機構

Claims (10)

  1.  培養装置であって、
     培養対象を付着させる担体を有する担体部と、
     前記担体に培養液を供給する供給部と、
     前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備え、
     前記担体は、
     基体と、
     前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを有し、
     前記担体部は、前記担体を揺動させることにともない前記凸部の前記相対位置を変化させる揺動機構を有する培養装置。
  2.  前記基体が上下方向に沿うように設けられ、前記凸部の前記先端は、前記凸部の根元よりも下側に位置する請求項1記載の培養装置。
  3.  前記供給部から前記担体に供給された培養液が、前記凸部の根元側から前記先端側に向けて流れるように構成されている請求項2記載の培養装置。
  4.  前記凸部は、前記基体から延びる繊維状部材である請求項1記載の培養装置。
  5.  前記繊維状部材は、環状部を有する請求項4記載の培養装置。
  6.  前記揺動機構は、
     前記担体を収容する収容部と、
     前記収容部内に収容された前記担体に対して超音波振動を付与する超音波振動部とを有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の培養装置。
  7.  前記揺動機構は、
     前記担体の表面に接触して設けられる接触体と、
     前記接触体を前記表面に沿って移動させる移動部とを有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の培養装置。
  8.  培養装置であって、
     培養対象を付着させる担体と、前記担体に培養液を供給する供給部と、前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備え、
     前記担体の単位面積当たりの保水量が0.2g/cm以上である培養装置。
  9.  培養対象を付着させる担体と、前記担体に培養液を供給する供給部と、前記担体から流出する培養液を貯留する貯留部とを備える培養装置に用いられる担体であって、
     シート状に形成された基体と、
     前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを備え、
     前記凸部の前記先端は、前記凸部の根元よりも下側に位置することが可能である担体。
  10.  基体と、前記基体の表面に複数形成され、各々の先端の前記基体に対する相対位置が変化可能である凸部とを有する担体に、培養対象を付着させるステップと、
     前記担体にて培養対象を培養するステップと、
     前記担体を揺動させることにともない前記凸部における前記相対位置を変化させ、前記担体から培養対象を離間させるステップと、
     前記担体から離間した培養対象を含む流体を回収するステップとを含む培養対象回収方法。
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