JP7356180B2 - 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法 - Google Patents

培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7356180B2
JP7356180B2 JP2021514191A JP2021514191A JP7356180B2 JP 7356180 B2 JP7356180 B2 JP 7356180B2 JP 2021514191 A JP2021514191 A JP 2021514191A JP 2021514191 A JP2021514191 A JP 2021514191A JP 7356180 B2 JP7356180 B2 JP 7356180B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carrier
culture
culture solution
fibers
unit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021514191A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020213633A1 (ja
Inventor
幹夫 都筑
万里 岩越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Braingild
Original Assignee
Braingild
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Braingild filed Critical Braingild
Publication of JPWO2020213633A1 publication Critical patent/JPWO2020213633A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7356180B2 publication Critical patent/JP7356180B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M1/00Apparatus for enzymology or microbiology
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N1/00Microorganisms, e.g. protozoa; Compositions thereof; Processes of propagating, maintaining or preserving microorganisms or compositions thereof; Processes of preparing or isolating a composition containing a microorganism; Culture media therefor
    • C12N1/12Unicellular algae; Culture media therefor

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Botany (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法に関する。
地球温暖化対策として、温暖化ガスの排出を可及的に抑える取り組み等が各国の産業界に強く求められている。クロレラ等の微細藻類や光合成細菌などの微生物は、COを排出しないでエネルギー生産が可能な資源その他の産業上利用可能な資源として非常に有望視されており、商業レベルでの活用および効率的な製造に期待が寄せられている。
微細藻類をエネルギー資源その他の産業上の利用に供するためには、できるだけ低いコストで生産することが要求される。そして、微細藻類の培養システムとして、大規模なプールやタンクを用いて、微細藻類を水中で大量に培養するシステムが知られている。
例えば、特許文献1においては、光合成微細藻類と培養液の混合液を収容する培養槽(又は培養池)において、光合成微細藻類として、光を吸収し二酸化炭素を取り込み光合成を行うことで油を生成する光合成微細藻類を用い、油を生成した光合成微細藻類を、回収手段によって、浮上している状態で回収するようにし、その結果、培養した光合成微細藻類に同伴される培養液を大幅に低減する光合成微細藻類培養装置が開示されている。
特開2011-239746号公報
ところで、例えばプールやタンクを用いて培養対象を培養する場合において、培養の効率を向上させることが要求されている。
そこで、本発明は、培養の効率を向上させることが可能な培養装置などを提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本明細書に開示される技術は、培養液が表面および/または内部を流下する担体と、当該担体に培養液を供給する供給部とを備える培養装置であって、前記担体は、上下方向に沿う向きに配置される複数の第1繊維と、上下方向と交差する向きに配置される複数の第2繊維とを有し、前記第2繊維に沿う向きの培養液の拡散速度は、前記担体が当該第2繊維が上下方向に沿う向きに配置される場合における、前記第1繊維に沿う向きの培養液の拡散速度よりも速い培養装置である。
ここで、前記第1繊維および前記第2繊維は各々湾曲部を有し、当該第1繊維の湾曲部は、当該第2繊維の湾曲部よりも数が多いとよい。
また、前記第1繊維および前記第2繊維は各々湾曲部を有し、当該第1繊維の湾曲部は、当該第2繊維の湾曲部よりも曲率半径が小さいとよい。
また、前記担体は、前記複数の第1繊維および前記複数の第2繊維により形成される繊維層を積層して構成されるとよい。
また、前記第1繊維および前記第2繊維は、前記担体に照射される光の少なくとも一部を透過可能であるとよい。
また、前記担体は、前記培養装置において吊り下げて設けられ、前記第1繊維に沿う向きの方が前記第2繊維に沿う向きよりも伸びやすいとよい。
他の観点から捉えると、本明細書に開示される技術は、培養液が表面および/または内部を流下する担体と、当該担体に培養液を供給する供給部とを備える培養装置であって、前記担体は、上下方向に沿う向きに配置される複数の第1繊維と、上下方向と交差する向きに配置される複数の第2繊維とを有し、前記担体は、前記培養装置において吊り下げて設けられ、前記第1繊維に沿う向きの方が前記第2繊維に沿う向きよりも伸びやすい培養装置である。
他の観点から捉えると、本明細書に開示される技術は、担体の表面および/または内部を培養液が流下するステップと、前記担体に培養液を供給するステップとを有し、前記担体は、上下方向に沿う向きに配置される複数の第1繊維と、上下方向と交差する向きに配置される複数の第2繊維とを有し、前記第2繊維に沿う向きの培養液の拡散速度は、前記担体が当該第2繊維が上下方向に沿う向きに配置される場合における、前記第1繊維に沿う向きの培養液の拡散速度よりも速い培養対象の製造方法である。
本明細書に開示される技術によれば、培養の効率を向上させることが可能な培養装置などを提供することができる。
本実施の形態に係る培養システムを示す概略構成図である。 担体の斜視図である。 担体ユニットの概略構成図である。 図3のIV-IVにおける断面図である。 図4の領域Vにおける拡大図である。 (a)乃至(d)は、実験1乃至4の条件を説明する図である。 実験1乃至4における収穫量を示すテーブルである。 培養システムにおける微生物の製造方法動作を説明するフローチャートである。 本実施の形態における変形例を説明する図である。 本実施の形態における変形例を説明する図である。 本実施の形態における変形例を説明する図である。 (a)および(b)は、他の実施の形態における担体の概略構成図である。 縦糸および横糸の差異を説明する図である。 (a)乃至(c)は、担体の滴下試験について説明をする図である。 (a)乃至(c)は、担体の引張試験について説明をする図である。 培養システムにおける殺菌処理を説明するフローチャートである。 綿布担体上でのクロレラ・ケスレリ11hの増殖曲線を示すグラフである。
以下、本発明の微生物培養システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
<培養システム1>
図1は、本実施の形態に係る培養システム1を示す概略構成図である。
まず、図1を参照して、本実施の形態が適用される培養システム1の概略構成を説明する。
図1に示すように、培養装置の一例である培養システム1は、微生物を含む培養液が供給される担体ユニット10と、微生物を培養する培養ユニット30と、微生物を含む培養液を循環させる培養液循環ユニット50と、担体ユニット10にガスを供給するガス供給ユニット60と、担体ユニット10に光を照射する担体照射ユニット70と、培養ユニット30に光を照射する培養照射ユニット80と、各構成部材を制御する制御ユニット90とを有する。
なお、以下の説明においては、図1に示す培養システム1の上下方向を、単に上下方向ということがある。また、培養システム1の幅方向を、単に幅方向ということがある。また、培養システム1における上下方向および幅方向と交差する方向を、単に奥行方向ということがある。
図1に示すように、担体ユニット10は、微生物を含む培養液が供給される担体12と、担体12の外周を覆うカバー15と、担体12およびカバー15を支持する支持体17とを有する。図示の例においては、カバー15に収容された担体12が、奥行方向に複数(2つ)並べて設けられている。収容体の一例であるカバー15内においては、微生物を含む培養液が担体12に沿って流れ落ちるとともに、光が照射されかつ炭酸ガスが供給される。担体ユニット10の詳細については後述する。
培養部の一例である培養ユニット30は、培養液が貯留されるとともに微生物が培養される培養槽31と、培養槽31内の培養液を攪拌する攪拌器35と、培養した微生物をろ過するろ過器37とを有する。
培養槽31は、上下方向上側が開放されている容器である。この培養槽31においては、貯留する培養液が外気と接触可能である。すなわち、培養槽31は、外気を内部に取り込む開口を有する構成である。また、培養槽31は、培養照射ユニット80が照射する光に対して透明な樹脂やガラスなどで形成される。すなわち、培養槽31の側面は、培養液に向かう光を通過させる通過領域として機能する。
攪拌部の一例である攪拌器35は、培養槽31内に設けられた不図示の回転子を回転させることにより、培養槽31内の培養液を攪拌する。ここで、攪拌器35は、培養槽31内の培養液をかき混ぜることが可能であれば、回転子を用いる構成に限定されない。例えば、培養槽31内に炭酸ガスなどの気体や、培養液などの液体を供給することで培養液を攪拌してもよい。また、例えば超音波などにより、培養槽31を振動させることで培養液を攪拌してもよい。
ろ過器37は、培養槽31から、培養された微生物を培養液とともに受ける。そして、ろ過器37は、培養液からろ過により微生物を分離することで微生物を回収する。なお、ろ過器37によって微生物が分離された培養液、すなわちろ液は、廃棄されてもよいし、培養槽31へ供給し、再び微生物の培養に利用してもよい。
供給部の一例である培養液循環ユニット50は、担体ユニット10に培養液を供給する第1配管51と、担体ユニット10から培養液を回収する第2配管53と、培養槽31から培養液を循環させる第3配管57と、培養液を循環させる駆動源であるポンプ59とを有する。培養液循環ユニット50は、ポンプ59によって培養槽31から担体ユニット10に微生物および培養液を供給し、担体ユニット10から培養液とともに微生物を培養槽31へと回収することを繰り返すことで、微生物および培養液を循環させる。なお、図示の培養ユニット30は、担体ユニット10の上下方向下側からずれた位置に配置されている。すなわち、培養ユニット30は、担体ユニット10とは異なる地点に設けられている。図示の例においては、第1配管51、第2配管53、および第3配管57によって、異なる地点に設けられ互いに離間した担体ユニット10および培養ユニット30が互いに接続される。
ガス供給部の一例であるガス供給ユニット60は、炭酸ガスを圧縮して収容するガスボンベ61と、ガスボンベ61から供給される炭酸ガスを担体ユニット10に供給するガス配管63とを有する。
照射部の一例である担体照射ユニット70は、担体ユニット10を挟んで奥行方向両側から担体ユニット10に向けて光を照射する第1照射パネル71および第2照射パネル73を有する。図示の例においては、第1照射パネル71および第2照射パネル73は、担体ユニット10に対向配置する略板状の形状である。第1照射パネル71および第2照射パネル73は、例えば、光源として蛍光灯、有機ELまたはLED等を配列しており、微生物の増殖に適した波長や光量の光を照射するように構成されている。第1照射パネル71および第2照射パネル73が照射する光の波長は、例えば380~780nmの範囲である。また、第1照射パネル71および第2照射パネル73は、例えば赤色光のみで増殖が可能な微生物に対しては、赤色光のみを照射できるとよい。
他の照射部の一例である培養照射ユニット80は、培養槽31を挟んで奥行方向両側から担体ユニット10に向けて光を照射する第1照射パネル81および第2照射パネル83を有する。この第1照射パネル81および第2照射パネル83は、第1照射パネル71および第2照射パネル73と同様に構成されている。さらに説明をすると、第1照射パネル81および第2照射パネル83は、例えば、光源として蛍光灯、有機ELまたはLED等を配列しており、微生物の増殖に適した波長や光量の光を照射するように構成されている。第1照射パネル81および第2照射パネル83が照射する光の波長は、例えば380~780nmの範囲である。また、第1照射パネル81および第2照射パネル83は、例えば赤色光のみで増殖が可能な微生物に対しては、赤色光のみを照射できるとよい。図示の例においては、第1照射パネル81および第2照射パネル83は、担体ユニット10に対向配置する略板状の形状であるが、培養槽31に光を照射可能であれば、例えば上下方向上側からのみ照射するなど、構造は特に限定されない。
制御ユニット90は、コンピュータなどにより構成され、培養システム1の構成部材を制御する。例えば、制御ユニット90は、培養液循環ユニット50の動作タイミングを制御する。
培養システム1においては、培養ユニット30で微生物が培養される。そして、培養液循環ユニット50によって微生物を含む培養液を循環させながら、担体ユニット10で微生物および培養液への炭酸ガスの供給および光の照射が実行される。すなわち、担体ユニット10において、微生物が光合成を行なうのに必要な炭酸ガスおよび光エネルギーが供給される。そして、微生物および培養液が再び培養ユニット30へと導かれ、培養ユニット30において微生物が培養される。また、培養ユニット30においては、培養照射ユニット80によって光が照射されることにより、微生物の培養が促進される。
なお、培養システム1においては、培養液が培養ユニット30を通過するのに要する時間は、培養液が担体ユニット10を通過するのに要する時間よりも長い。言い替えると、培養液が培養槽31に貯留される時間は、培養液が担体12を流れ落ちる時間よりも長い。また、ある時点において、培養槽31に貯留される培養液の量は、カバー15内に存在する培養液の量よりも多い。
ここで、培養対象とする微生物は例えば光合成細菌や光合成微細藻類等の光合成微生物である。なお、光合成を行わずに増殖できる微生物を培養する場合においては、培養システム1が担体照射ユニット70および培養照射ユニット80を備えなくてもよい。
また、培養液としては、微細藻類を通常の方法により培養して、微生物の濃度を高めることが可能な培地の希釈液であれば、特に制限されない。培地としては、例えばCHU培地、JM培地、MDM培地などの一般的な無機培地を用いることができる。さらに、培地としては、ガンボーグB5培地、BG11培地、HSM培地の各種培地の希釈液が好ましい。無機培地には、窒素源としてCa(NO・4HOやKNO、NHClが、その他の主要な栄養成分としてKHPOやMgSO・7HO、FeSO・7HOなどが含まれる。また、培地には、微細藻類の生育に影響を与えない抗生物質等を添加してもよい。培地のpHは4~10が好ましい。また、各種産業から排出される廃水等を利用してもよい。
<担体ユニット10>
図2は、担体12の斜視図である。
図3は、担体ユニット10の概略構成図である。
次に、図1乃至図3を参照しながら、担体ユニット10の詳細構成を説明する。
上記のように、担体ユニット10は、担体12と、カバー15と、支持体17とを有する。以下、各々の構成について説明をする。
まず、担体12について説明をする。
図2に示すように、担体12は、微生物を含む培養液が通過する板状部材である。図示の担体12は、正面視略長方形の布部材である。より具体的には、担体12は、可撓性を有する部材、より具体的にはポリエステルなどの樹脂繊維により構成されている。また、図示の担体12は、第1照射パネル71および第2照射パネル73から照射される光の少なくとも一部を透過する糸状部材により形成される。なお、担体12の材質は特に限定されるものではなく、綿、絹、毛、アクリル等を用いてもよい。
ここで、担体12は、担体12の長手方向に沿って配置される縦糸126と、担体12の長手方向と交差する方向(幅方向)に沿って配置される複数の横糸127とを有する。縦糸126は、幅方向において予め定めた間隔で複数設けられている。また、横糸127は、長手方向において予め定めた間隔で複数設けられている。したがって、担体12は、網目状に形成された網体として捉えることができる。この担体12においては、複数の開口128が形成される。詳細は後述するが、開口128は、微生物が通過可能な寸法である。また、開口128は、担体12の厚み方向において貫通する貫通孔として捉えることができる。また、縦糸126および横糸127の少なくとも一方は、複数の湾曲部を有する所謂ウェーブ状の繊維部材であってもよい。
ここで、担体12は、担体ユニット10においては長手方向の略中央で2つに折り曲げられて設けられている(図1参照)。担体12の寸法は、特に限定されないが、より効率的に微生物を培養するために大きく形成される。例えば、担体12は、展開した際の長手方向の長さが2.5mで、幅方向の長さが1mの布部材を用いて、縦寸法が約1.25mになるように長手方向の略中央で折り曲げられる。担体の1m当たりの微生物の搭載量を高めるために、担体12の表面に凹凸や細孔を設けてもよい。なお、本明細書における「担体1m当たりの微生物の搭載量」とは、担体表面を平滑な平面と仮定したときの表面積1m当たりの微生物の搭載量を意味し、凹凸や細孔を形成したことによる表面積増加を加味した実際の表面積を意味するものではない。
次に、カバー15について説明をする。
図1に示すように、カバー15は、可撓性を有するシート部材の長手方向の中央を折り曲げて形成されている。カバー15は、担体照射ユニット70から照射する光を透過する材質により構成される。カバー15は、例えば塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、PET等の合成樹脂により構成される。
ここで、カバー15は、内部に担体12を収容できる偏平な袋状に形成されている。さらに説明をすると、カバー15は、一部を除き内部を密閉可能に形成されている。具体的には、図3に示すカバー15は、培養液を導出する導出口154、培養液を導入する導入口156、炭酸ガスを導入するガス口157を有する。
ここで、導出口154は、カバー15における上下方向下側の端部である下端部152に設けられる。この導出口154は、第2配管53が着脱できるようになっている。導入口156は、カバー15における上下方向上側に設けられる。この導入口156は、後述するカバー支持体171の端部が貫通する。また、ガス口157は、カバー15における上下方向中央部に設けられる。このガス口157は、後述するガス供給管177の端部が貫通する。
次に、支持体17について説明をする。
図3に示すように、支持部の一例である支持体17は、カバー15を支持するカバー支持体171と、担体12を支持する担体支持体173と、炭酸ガスを供給するガス供給管177と、カバー支持体171、担体支持体173、およびガス供給管177を支持する枠体179とを有する。なお、支持体17は、例えばアルミニウムなど微生物の培養を妨げない材質で形成される。
カバー支持体171は、幅方向に延びる円筒状の部材である。このカバー支持体171は、カバー15が掛けられる。また、カバー支持体171は、幅方向において予め定めた間隔で培養液排出孔175が形成されている。図示の例においては、カバー支持体171における上下方向下側の面に、培養液排出孔175が形成されている。この培養液排出孔175は、カバー支持体171内部から培養液を排出する。また、カバー支持体171は、一方の端部が導入口156から突出し、第1配管51に接続される。カバー支持体171の他方の端部は、不図示の配管に接続されている。この配管は、担体12に供給されなかった培養液を培養槽31へと案内する。
担体支持体173は、幅方向に延びる円柱状の部材である。この担体支持体173は、カバー支持体171よりも上下方向下側で、カバー支持体171に吊るされて設けられている。この担体支持体173は、折り曲げられた担体12が掛けられる部分である。なお、図示の例における担体支持体173は、カバー支持体171よりも奥行方向における寸法(外径)が小さい(後述する図4参照)。
ガス供給管177は、幅方向に延びる円筒状の部材である。このガス供給管177の外周にはガス排出孔178が複数形成されている。供給口の一例であるガス排出孔178は、上下方向両側および幅方向両側などに向けて開口している。ガス排出孔178は、ガス供給管177内部から炭酸ガスを排出する。また、ガス供給管177の端部は、ガス口157から突出し、ガス配管63に接続される。なお、図示の例におけるガス供給管177は、担体支持体173よりも奥行方向における寸法(外径)が小さい(後述する図4参照)。なお、培養システム1の担体12以外の部分は、担体支持装置として捉えることができる。
<担体ユニット10における配置>
図4は、図3のIV-IVにおける断面図である。
図5は図4の領域Vにおける拡大図である。
次に、図3乃至図5を参照しながら、担体ユニット10における担体12の周辺の構造について説明する。
図4に示すように、カバー15は、カバー支持体171に掛けられて配置される。このカバー15は、連続部の一例である曲げ部155を挟んで位置する第1部151と第2部153とを有する。第1部151と第2部153は、各々上下方向に沿って起立して設けられる。
また、担体12は、担体支持体173に掛けられて配置される。この担体12は、折り曲げられ湾曲した部分である曲げ部125を挟んで、平板部の一例である第1部121と第2部123とを有する形状である。第1部121および第2部123は、各々上下方向に沿って起立して設けられる。ここで、第1部121および第2部123は、互いに離間して配置される。また、第1部121および第2部123は、カバー15から離間して配置される。なお、第1部121および第2部123は、第1対向部および第2対向部の一例である。
ここで、担体12の曲げ部125の上下方向上側にカバー支持体171の培養液排出孔175が位置する。すなわち、他の供給口の一例である培養液排出孔175は、曲げ部125に向けて開口する。また、担体12の第1部121と第2部123との間には、ガス供給管177が配置される。このガス供給管177のガス排出孔178は、第1部121と第2部123によって挟まれる空間内に向けて開口する。
さて、図4に示すように、培養液排出孔175から排出される培養液は、担体12の曲げ部125に供給される(図中矢印A1参照)。この曲げ部125に供給された培養液は、第1部121および第2部123に分岐して流れ落ちる(図中矢印A3およびA5参照)。
また、ガス排出孔178から排出される炭酸ガスは、担体12の第1部121および第2部123によって挟まれる空間内に供給される(図中矢印B1乃至B4参照)。このとき、炭酸ガスは、一部が上下方向に流れ(図中矢印B1およびB2参照)、一部は奥行方向、すなわち第1部121と第2部123に向けて流れる(図中矢印B3およびB4参照)。
ここで、図5を参照しながら、担体12における培養液などの流れについて詳細に説明をする。
担体12の第1部121の表面および/または内部においては、培養液が上下方向上側から下側へと流れる(図中矢印A7参照)。
また、炭酸ガスは、奥行方向に沿って第1部121を通過する(図中矢印B5参照)。この炭酸ガスの流れは、培養液の流れ(図中矢印A7参照)と交差する向きである。また、炭酸ガスは、上下方向下側から上側へと流れる(図中矢印B6参照)。この炭酸ガスの流れは、培養液とは反対の向き、すなわち培養液と対向する向きである。このように、炭酸ガスが、培養液と交差する向き、および培養液と反対の向きに流れることにより、培養液に供給される炭酸ガスの量が増加し得る。
第2照射パネル73(図1参照)から照射された光は、奥行方向に沿って第1部121を通過する(図中矢印C1参照)。この光の進行方向は、培養液と交差する向きである。このことにより、培養液に含まれる微生物が受ける光量が増加し得る。
ここで、微生物は、培養液とともに、上下方向上側から下側に向けて流下する。すなわち、培養液流下開始の初期段階においては、微生物は、縦糸126に沿って落下する。ここで、縦糸126に沿って落下する微生物は、横糸127にぶつかると流れる向きが変わる(図中矢印A11、A13、A15、A17)。すなわち、微生物は、奥行方向において揺動しながら落下する。さらに説明をすると、微生物は、担体12の開口128を通過しながら落下する。このことにより、微生物がガスと接触する時間が長くなり、結果として微生物におけるガス交換効率が高まる。なお、図示の例においては、横糸127は、ウェーブ状に成型されており、各横糸127は奥行方向において互いにずれた配置となる。このことにより、微生物の奥行方向における揺動がより促進される。以上により、担体上での微生物の増殖が促進される。
<光合成微生物の製造>
本発明の微生物培養システムを用いた光合成微生物の製造について、以下詳述する。本発明の微生物培養システムの利点としては、オープンポンドでの培養と比較して増殖後の細胞の回収が容易であること、及び、光合成生物に適用した場合には、担体に付着あるいは滞留している細胞量が多くなっても増殖速度が保たれることにある。実施例2の結果を示す図17は、クロレラ細胞の布(本発明の担体12に対応)上での増殖曲線である。左図(a)は縦軸の微生物量を対数目盛で表し、右図(b)は線形目盛で表したものである。左図での直線部は指数的な増殖(対数増殖期)を表し、右図の直線部は直線増殖期を表す。したがって、本発明の微生物培養システムを用いた光合成微生物の製造における担体12上でも、はじめ対数増殖、その後、直線増殖となってほぼ飽和に近づきながら緩やかな増殖となり、基本的には、液体培地中での懸濁培養と類似の増殖曲線をとる。しかし、本発明の微生物培養システムを用いた光合成微生物の製造では、担体12上に付着あるいは滞留している細胞は、ほとんど移動しないため、その表面に位置する細胞が光を受光し続ける。そのため、光を受け続ける表層の細胞群と担体12との間にあって表層細胞群の陰に位置する内部細胞群との異なる環境の細胞群からなる。すなわち、表層の細胞群の細胞は、対数増殖の増殖能力を保持する細胞である。この点は、細胞濃度が高くなり直線増殖期に移行した液体培養中の細胞と異なる。オープンポンドでの培養では、攪拌により、細胞が照射光を直接受ける位置と他の細胞の陰になる位置とに移動が繰り返され、細胞数の増加に伴い全細胞の増殖能力が一様に抑制されるからである。よって、本発明の微生物培養システムを用いた光合成微生物の製造においては、倍加時間の遅い光合成微生物でも、担体12への付着量を高めることにより、より高い生産量が確保できる特徴をもつ。
以上に説明したとおり、本発明の微生物培養システムを光合成微生物に適用することにより、担体12に付着した細胞量を多くした場合であっても、表層の細胞群の細胞は、対数増殖の増殖能力を保持することができる。したがって、1日間に期待する生産量(乾燥重量gDW)をP(gDW/m)、対数増殖時における細胞の1日間の増殖能力(単位期間あたりの倍率で表す)をμ倍としたときの1日の最初の細胞量C(gDW/m)は、P≦C×(μ-1)だから、以下の式(1)
≧ P/(μ-1) ・・・(1)
により設定することができる(μは比増殖速度として、時に時間あたりで表される)。本発明においては、Pが例えば5g/m以上、6g/m以上、7g/m以上、8g/m以上、9g/m以上、10g/m以上、15g/m以上、20g/m以上になるように、最初の細胞量Cを設定することができる。Pの上限は特に限定されないが、担体12の表層の細胞に対する十分な光量を確保するため、300g/m以下であることが好ましく、100g/m以下がより好ましく、50g/m以下がさらに好ましい。また、1日当たりの回収可能細胞量は、以下の式(2)
[回収可能細胞量(gDW/m・日)]=[固相表面細胞量(gDW/m)]×(2(24/倍加時間)-1) ・・・(2)
(式中、「固相表面細胞量」は、担体12上の光が十分当たる細胞量である)
により設定することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
図6(a)乃至(d)は、実験1乃至4の条件を説明する図である。
図7は、実験1乃至4における収穫量を示すテーブルである。
図1に示すような培養システム1を用いてスピルリナを培養した。担体12は、ナイロン製のメッシュ素材、所謂ナイロンタオル(ライフレックス社製)を用いた。担体12の寸法は幅18cm、長さ100cmとした。この担体12は、2つ折りで吊るしたものを2枚用いて測定を行った。また、カバー15は、厚さ0.45mmの塩化ビニールシートを2枚用い、各々担体12を収容させた。カバー支持体171は、アクリル製であり、寸法が厚さ3mm、呼び径16であるものを2本用いた。カバー支持体171の培養液排出孔175は、直径0.9mmであり、カバー支持体171の長手方向に沿って、2cmおきに9か所設けた。
第1照射パネル71、第2照射パネル73、第1照射パネル81および第2照射パネル83は、赤色LED(イフェクト社製)を用いて光を照射した。光の強さは担体12の端で50μmol/m/sec、担体12の中央で20μmol/m/secとした。
ポンプ59は、エーハイム水陸両用ポンプ1048を用いた。
第1配管51、第2配管53、第3配管57は、シリコン製ホース(10×13mm)を用いた。ここで、Y字コネクター(アズワン、1-7377-18)を用いることにより、第1配管51において2本のカバー支持体171へ分岐する流路を確保した。
培養槽31は、ポリプロピレン製であり、寸法は、幅30cm、奥行15cm、高さ30cmとした。培養液は、表1に示す通りである。
Figure 0007356180000001
図6(a)乃至(d)に示すように、担体ユニット10および培養ユニット30に対する光の照射条件を変化させながら、実験1乃至実験4を行った。具体的には、担体ユニット10および培養ユニット30の各々に対して、光を照射する場合と、光が照射されないよう遮光する場合とを切り替えた。さらに説明をすると、担体ユニット10の遮光は、担体ユニット10のカバー15をアルミ箔で覆うことにより行った。付言すると、担体ユニット10を遮光することで、担体ユニット10の担体12に光が到達しなくなる。また、培養ユニット30の遮光は、培養ユニット30の培養槽31をアルミ箔で覆うことにより行った。付言すると、培養ユニット30を遮光することで、培養ユニット30の培養槽31の内部に光が到達しなくなる。
図6(a)に示すように、実験1においては、担体ユニット10および培養ユニット30の両者を遮光した。図6(b)に示すように、実験2においては、担体ユニット10には光を照射し、培養ユニット30を遮光した。図6(c)に示すように、実験3においては、担体ユニット10を遮光し、培養ユニット30には光を照射した。図6(d)に示すように、実験4においては、担体ユニット10および培養ユニット30の両者に光を照射した。
実験1乃至実験4の各々における培養養開始時には、各担体12にスピルリナを1g均等に乗せ(2枚合計で2g)た後、カバー15内に収容した。培養槽31には培養液を5L入れポンプ59で循環させた。培養中は、培養槽31内の培養液の温度が30℃となるように室温を調整した。この条件で12日間培養を行った結果、担体12(2枚)および培養槽31内のスピルリナを回収、すなわち収穫して重量を測定した。
図7に示すように、実験1においては、スピルリナの収穫量が2.33gであった。同様に、実験2では収穫量が10.15gであり、実験3では収穫量が4.16gであり、実験4では収穫量が11.73gであった。このことから、担体ユニット10および培養ユニット30の両者に光を照射した実験4では、担体ユニット10のみに光を照射した実験2や、培養ユニット30のみに光を照射した実験3と比較して、収穫量が増加することが確認された。
<培養対象>
上記のように培養システム1が培養する培養対象は、クロレラやシネコキスティス、スピルリナのような運動性のないあるいは乏しい光合成微生物だけでなく、鞭毛で水中を運動するプランクトン性のユーグレナやクラミドモナス、プレウロクリシスも含まれる。言い替えると、培養システム1の培養対象となる微生物は、きわめて多様である。培養システム1の培養対象となる主な微生物群としては、例えば以下のA類、B類、C類が挙げられる。
まず、A類として、原核生物である真正細菌と古細菌を挙げることができる。
真正細菌には、酸素非発生型の光合成細菌や酸素発生型光合成を行うシアノバクテリア、有機物質を利用する通性嫌気性発酵性細菌と非発酵性細菌、さらに無機栄養細菌、放線菌およびコリネバクテリウム、有胞子細菌を挙げることができる。光合成細菌には、ロドバクター、ロドスピリルム、クロロビウム、クロロフレクサスが挙げられる。シアノバクテリアにはシネココッカス、シネコキスティス、スピルリナ、アルスロスピラ、ノストック、アナベナ、オシラトリア、リングビア、イシクラゲ、スイゼンジノリが挙げられる。通性嫌気性発酵性細菌として大腸菌、乳酸菌が挙げられる。非発酵性細菌としてシュードモナスが挙げられる。無機栄養細菌として水素細菌が挙げられる。放線菌としてストレプトマイセスが、有胞子細菌として枯草菌が挙げられる。古細菌は好熱菌や高度好塩菌が挙げられる。好熱菌としてサーモコッカスが、高度好塩菌としてハロバクテリウムが挙げられる。その他に、グルタミン酸生産菌、リジン生産菌、セルロース生産菌などが挙げられる。
次に、B類として、真核光合成微生物である微細藻類を挙げることができる。
微細藻類には、緑藻、トレボキシア藻、紅藻、珪藻、ハプト藻、真正眼点藻、ユーグレナ、褐虫藻が挙げられる。
緑藻にはクロレラ、セネデスムス、クラミドモナス、ボトリオコッカス、ヘマトコッカス、ナンノクロリス、シュードコリシスティスが、トレボキシア藻としてパラクロレラやココミクサが挙げられる。紅藻としてシアニディオシゾン、シアニディウム、ガルディエリア、ポルフィリディウムが、珪藻としてニッチア、フェオダクティルム、キートケロス、タラシオシラ、スケレトネマ、フィツリフェラが挙げられる。ハプト藻として、プレウロクリシス、ゲフィロカプサ、エミリアニア、イソクリシス、パブロバが挙げられる。真正眼点藻としてナンノクロロプシス、ユーグレナとしてユーグレナが挙げられる。さらに、サンゴの共生藻である褐虫藻としてはシンビオディニウムが挙げられる。
次にC類として、非光合成真核生物である菌類を挙げることができる。
菌類には酵母菌とコウジカビが挙げられる。また、担子菌類の菌糸培養は培養対象となる。さらに、水生変形菌類(現在は原生生物)のラビリンチュラも適用できる。ラビリンチュラとしては、オーランチオキトリウムを挙げられる。
なお、微生物ではないが、多細胞性海藻のうち、緑藻であるアオサやアオノリ、紅藻であるアサクサノリ、アマノリ、スサビノリ、イワノリ、その他の食用ノリも培養対象となる。さらに、緑色植物であるコケ類も培養対象となる。また、共生生物である地衣類も培養対象となる。
なお、微細藻類は、シアノバクテリアを含むものとして捉えることができる。
<微生物の製造方法>
図8は、培養システム1における微生物の製造方法動作を説明するフローチャートである。
上記のような培養システム1において実行される微生物を培養する方法は、微生物の製造方法として捉えることができる。以下、図8を参照しながら、培養システム1において実行される微生物の製造方法を説明する。
まず、担体ユニット10の担体12においては、担体照射ユニット70によって担体12へ光が照射される(S801)。また、担体12においては、ガス供給ユニット60によって担体へ炭酸ガスが供給される(S802)。
そして、培養ユニット30の培養槽31においては、培養照射ユニット80によって、微生物を含む培養液へ光が照射される(S803)。また、培養ユニット30の培養槽31においては、攪拌器35によって、培養液が攪拌される(S804)。
そして、制御ユニット90によって、予め定められた培養槽31の微生物を収穫するタイミングであるかが判断される(S805)。微生物を収穫するタイミングである場合(S805でYES)、ろ過器37によって培養液から微生物がろ過されることで、微生物が収穫される(S806)。一方、微生物を収穫するタイミングでない場合(S805でNO)、培養液循環ユニット50によって、微生物および培養液が担体ユニット10へ送られることで、微生物および培養液が循環する(S807)。
<変形例>
図9乃至図11は、本実施の形態における変形例を説明する図である。
次に、図9乃至図11を参照しながら、本実施の形態における変形例を説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態で説明した構成と同一の部分には同一の符号をつけ、その詳細な説明は省略する。
上記の実施の形態においては、担体ユニット10を通過した培養液を、第2配管53を介して培養ユニット30へと回収することを説明したが、担体ユニット10を通過した培養液が培養槽31へ回収される態様であれば、構成は特に限定されない。
例えば、図9に示す培養システム101のように、担体ユニット10の上下方向下側に培養ユニット300が設けられてもよい。この培養ユニット300は、担体ユニット10から排出され落下する培養液および微生物を受ける培養槽310を有する。この培養槽310は略円筒状の容器である。培養槽310の外周には、培養照射ユニット80の照射体85が複数並べて配置されている。担体ユニット10から落下した培養液は、培養槽310によって貯留されるとともに、照射体85からの光が照射されることにより、培養槽310内において微生物が培養される。
上記の実施の形態においては、培養ユニット30に対して培養照射ユニット80が光を照射することを説明したが、培養ユニット30に光が照射される態様であれば、構成は特に限定されない。例えば、図10に示す培養システム103のように、培養ユニット350が、屋外に設けられてもよい。すなわち、培養槽351が太陽光を受ける構成とし、培養照射ユニット80を備えない構成であってもよい。また、図示とは異なり、太陽光を受ける構成としたうえで、さらに培養照射ユニット80を備える構成であってもよい。
ここで、本実施の形態および変形例とは異なる微生物の培養方式の1つとして、回遊池方式(ポンド式)が知られている。この回遊池方式においては、太陽光が届く範囲(水深30cm程度)までしか深さ方向に広げられないため、水平方向に広大な用地を取得する必要がある。一方で、培養システム103においては、担体ユニット10において微生物および培養液に光が照射されることから、培養槽351の水深を太陽光が届く範囲よりも深くすることが可能である。なお、図示の例の培養槽351は、一部を地下に埋没させることにより、培養槽351の深さ方向の寸法を確保している。また、図示の培養槽351は、貯留する培養液の液面における最大幅が、貯留する培養液の最大深さよりも大きい寸法で形成されている。
付言すると、上記培養システム103は、担体ユニット10における担持体方式による微生物の培養と、培養ユニット305における回遊池方式による微生物の培養とを組み合わせたハイブリッド式の微生物の培養システムとして捉えることができる。さらに説明をすると、担持体方式と、回遊池以外の微生物の培養方式とを組み合わせたハイブリッド式の微生物の培養システムであってもよい。例えば、担体ユニット10における担持体方式による微生物の培養と、所謂タンク方式による微生物の培養とを組み合わせたハイブリッド式の微生物の培養システムであってもよい。
さて、上記の実施の形態においては、担体12を用いた担体ユニット10において、微生物および培養液に光の照射および炭酸ガスの供給を実行したが、微生物および培養液に対して光の照射および炭酸ガスの供給が実行される態様であれば、構成は特に限定されない。
例えば、図11に示す培養システム105のように、培養液を貯留し、かつ光の照射および炭酸ガスの供給を実行するタンク110を備える構成であってもよい。このタンク110内においては、発光源である照射パネル75と、炭酸ガスを供給するガス供給部65とが設けられている。担体ユニット10において光の照射および炭酸ガスの供給を受けた微生物および培養液はタンク110へと導かれる。そして、このタンク110において、微生物が培養される。なお、図示の例においては、タンク110にガス供給部65が設けられることを説明したが、タンク110にガス供給部65が設けられない構成であってもよい。
さて、上記の実施の形態においては、担体ユニット10のカバー15が担体12ごとに設けられることを説明したが、これに限定されない。例えば、1つのカバー15内に複数の担体12が設けられる構成であってもよい。付言すると、担体12ごとにカバー15が設けられることにより、担体12の各々に供給される炭酸ガスの制御が容易となる。また、培養システム1は、担体ユニット10にカバー15が設けられない構成であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、担体12が2つに折り曲げられ、曲げ部125が支持体17に掛けられることを説明したが、これに限定されない。例えば、担体12を平板状に吊るして設けてもよい。また、担体12を円筒状や角筒状など平板以外の形状で構成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、担体12が繊維により形成される布部材であることを説明したが、材質や形状はこれに限定されない。例えば、担体12は、微生物が通過可能な寸法の貫通孔が複数形成された板状部材であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、培養ユニット30に光を照射することを説明したが、光を照射しない態様であってもよい。さらに説明をすると、例えば、培養槽31の上部を開放せずに、培養槽31全体が地中や屋内などに設けられ、かつ担体照射ユニット70や太陽光からの光を受けない態様であってもよい。
また、上記の実施の形態においては、カバー支持体171が曲げ部125に培養液を供給したが、担体12に培養液を供給することができれば、これに限定されない。例えば、カバー支持体171とは別体として構成され培養液を噴霧する噴霧部(不図示)が、第1部121および第2部123の各々と対向する位置に設けられ、この噴霧部を介して担体12に培養液を供給してもよい。
また、上記の実施の形態においては、ガス供給管177が第1部121および第2部123の間に設けられることを説明したが、担体12に対して炭酸ガスが供給されれば、これに限定されない。例えば、ガス供給管177が第1部121および第2部123の各々と対向する位置に設けられ、炭酸ガスを吹き付けるような構成であってもよい。また、上記の説明とは異なり、担体12に対して炭酸ガスを供給しない構成であってもよい。
<他の実施の形態>
図12(a)および(b)は、他の実施の形態における担体120の概略構成図である。具体的には、図12(a)は担体120の奥行方向における断面を示す図であり、図12(b)は担体120を構成する縦糸1260および横糸1270の構造を示す図である。
図13は、縦糸1260および横糸1270の差異を説明する図である。
次に、図12および図13を参照しながら、他の実施の形態における担体120の詳細構成について説明をする。なお、以下の説明においては、上記実施の形態および変形例などで説明した構成と同一の部分には同一の符号をつけ、その詳細な説明は省略する。
図12(a)に示すように、担体120は、布状の部材である層部材1290を積層することにより構成されている。各層部材1290の表面および/または内部においては、培養液が上下方向上側から下側へと流れる(図中矢印A7参照)。また、炭酸ガスは、奥行方向に沿って各層部材1290を通過する(図中矢印B5参照)。ここで、層部材1290同士の間には空間が形成されている。このことにより、培養液に供給される炭酸ガスの量が増加し得る。なお、層部材1290は、繊維層の一例である。
また、図12(b)に示すように、担体120(層部材1290)は、縦糸1260および横糸1270により構成される。縦糸1260および横糸1270は、ナイロンなどの樹脂繊維である。また、縦糸1260および横糸1270は、担体照射ユニット70(図1参照)から照射される光の少なくとも一部を透過可能な糸状部材により形成される。このことにより、担体照射ユニット70の光が、各層部材1290に到達することが可能となる。また、縦糸1260および横糸1270の間には、開口1280が形成される。この開口1280を通過することによっても、担体照射ユニット70の光が各層部材1290に到達することが可能となる。また、炭酸ガスが、開口1280を通過することが可能となる。このことにより、積層して設けられる層部材1290の各々に、炭酸ガスが供給され得る。
ここで、図12(b)に示すように、第1繊維の一例である縦糸1260は、複数(図示の例では7本)の縦繊維1261を撚ることによって形成されている。また、第2繊維の一例である横糸1270は、複数(図示の例では7本)の横繊維1271を撚ることによって形成されている。すなわち、図示の縦糸1260と横糸1270において、各々構成する繊維(縦繊維1261および横繊維1271)の数は同一である。また、縦繊維1261および横繊維1271の直径は略同一である。ここで略同一とは、各々の直径が一致するだけでなく、各々の直径の差が30%以内であることを含む。
一方で、縦糸1260および横糸1270は、互いに形状が異なる。具体的には、縦糸1260および横糸1270は、各々の湾曲形状および撚りの状態が異なる。さらに説明をすると、図13に示すように、縦糸1260は、横糸1270と比較して、各々の単位長さ当たりの湾曲する部分(図12(b)における湾曲部R1および湾曲部R3参照)の数が多い。また、縦糸1260は、横糸1270と比較して、湾曲する部分の曲率半径が小さい。言い換えると、縦糸1260は、横糸1270と比較して、湾曲がよりきつくなるように形成されている。
また、図13に示すように、縦糸1260は、横糸1270と比較して、各々の長手方向と交差する方向に広がる幅(広がり幅、図12(b)における幅S1および幅S3参照)が大きい。また、縦糸1260は、横糸1270と比較して、撚りが強い。言い替えると、縦糸1260は、横糸1270よりも繊維の密度が高くなるように撚られている。したがって、縦糸1260は、横糸1270と比較して、単位面積当たりに含まれる繊維の本数が多い。
上記のように、縦糸1260を横糸1270と異なる構成とすることにより、担体120を上下方向上側から下側に向けて流下する培養液が、幅方向に広がることを促進する。そして、培養液が幅方向に広がることにより、培養液が担体120を流下する時間が長くなり、培養液に供給される炭酸ガスの量が増加し得る。また、培養液に含まれる微生物が受ける光の量が増加し得る。その結果、培養システム1(図1参照)において微生物がより培養されやすくなる。
<滴下試験>
図14(a)乃至(c)は、担体120の滴下試験について説明をする図である。具体的には、図14(a)は縦方向試験の結果を示す図であり、図14(b)は横方向試験の結果を示す図であり、図14(c)は担体120の配置と拡散の関係を示す図である。なお、図14(a)および(b)においては、横糸1270の記載は省略している。
次に、図14(a)乃至(c)を参照しながら、担体120を用いた滴下試験について説明をする。この滴下試験においては、担体120を設置する向きを変更しながら、担体120に水を滴下させ、担体120における水の広がりを確認する試験行った。なお、この滴下試験においては、担体120における水の広がりを観察しやすくするため、水として墨汁液(普及品ぼくてき、呉竹製)を用いた。
具体的には、図14(a)に示すように縦糸1260が上下方向に沿う向きに担体120を配置した縦方向試験と、図14(b)に示すように縦糸1260が上下方向と交差する向きに担体120を配置した横方向試験とを行った。なお、図14(a)に示すように縦糸1260が上下方向に沿う配置(縦方向配置)は、培養システム1(図1参照)において担体120が設置される向きである。また、図14(b)に示すように縦糸1260が上下方向と交差する配置(横方向配置)は、培養システム1において担体120が設置される向きとは異なる向きである。
また、滴下試験の試験条件は以下のとおりである。まず、容器(不図示)内の水に浸した担体120を気中に持ち上げ、支持機構(不図示)に吊り下げ、担体120を上下方向に設置した。そして、15秒間が経過した後、マイクロピペットを用いて、担体120に100μLの墨汁液を付着させた。そして、付着から30秒が経過した後、担体120における墨汁液の広がりを確認した。なお、担体120としては、ナイロンタオル(ライフレックス社製)を用いた。また、上記図12(a)とは異なり、担体120は単層で構成されているものを用いた。
この滴下試験においては、縦方向試験と横方向試験とで墨汁液の広がりに差異が確認された。具体的には、図14(b)に示す横方向試験においては、拡散領域137が上下方向下側へスパイク状に広がる突起部Spが観察されたが、図14(a)に示す縦方向試験では観察されなかった。
また、図14(a)に示す縦方向試験における墨汁液の拡散領域136は、図14(b)に示す横方向試験における墨汁液の拡散領域137と比較して、水平方向の長さがより長くなることが確認された。具体的には、付着から30秒が経過した際の拡散領域136の水平方向最大幅W11は6.3cmであり、拡散領域137の水平方向最大幅W12は、4.8cmであった。このことから、縦方向配置(図14(a)参照)は、横方向配置(図14(b)参照)よりも図14(a)に示すように縦糸1260が上下方向に沿う向きに担体120を配置したほうが、図14(b)に示すように縦糸1260が上下方向にと交差する向きに担体120を配置したときよりも、水平方向への水の拡散がより促進される。さらに説明をすると、図14(c)に示すように、縦方向配置(図14(a)参照)は、横方向配置(図14(b)参照)よりも水の拡散が速い。
ここで、拡散領域136の縦横比は最大位置で1.2であり、拡散領域137の縦横比は最大位置で0.7であり、面積は約167,171cmとなった。付言すると、100μLを面積で割ると水の平均的厚さが求められ、仮に100cmとした場合は、水厚さ10μmとなる。また、上記滴下試験の後、支持機構に吊り下げていた担体120を水平にしたところ、拡散領域136、137はさらに広がった。これは、水厚さを保持できず、広がったためとも考えられる。このときの水厚さは平均6μmと算出される。
上記のように、担体120の網目構造は、培養液の通水において、縦方向配置(図14(a)参照)は、横方向配置(図14(b)参照)よりも水平方向の水の拡散が速い。したがって、培養システム1(図1参照)において担体120を搭載する向きとしては、図14(a)に示す縦方向配置のほうが、微生物が担体120により滞留しやすい。その結果、培養システム1(図1参照)において微生物がより培養されやすくなる。
<引張試験>
図15(a)乃至(c)は、担体120の引張試験について説明をする図である。具体的には、図15(a)は縦方向試験片を示す図であり、図15(b)は横方向試験片を示す図であり、図15(c)は引張試験の結果を示す図である。なお、図15(a)および(b)においては、横糸1270の記載は省略している。
次に、図15(a)乃至(c)を参照しながら、担体120を用いた引張試験について説明をする。この引張試験においては、担体120の一部を切り取ることにより形成された縦方向試験片および横方向試験片を用いた。図15(a)に示すように、縦方向試験片は、縦糸1260に沿う方向(以下、縦方向ということがある。)を長手方向とする試験片である。また、図15(b)に示すように、横方向試験片は、縦糸1260と交差する方向(以下、横方向ということがある。)を長手方向とする試験片である。縦方向試験片および横方向試験片は、長さ(図中L10参照)を10cm、および幅(図中W10参照)を3cmとした。なお、担体120としては、ナイロンタオル(ライフレックス社製)を用いた。また、上記図12(a)とは異なり、担体120は単層で構成されているものを用いた。
また、引張試験においては、5kNロードセルおよび1kN引張試験冶具を装着した卓上形精密万能試験機AGS-J(島津製作所製)を用いた。測定条件は、室温下で、治具間距離100mm、速度50mm/minとした。
図15(c)に示すように、縦方向試験片は、横方向試験片と比較して、伸び率および破壊強度がともに大きいことが確認された。ここで、縦方向試験片および横方向試験片の伸び率の差は、上記のように、縦糸1260および横糸1270の形状が互いに異なるためと考えることができる。具体的に説明をすると、縦方向試験片のように縦糸1260に沿う方向に伸ばす場合は、主に縦糸1260が伸ばされる。一方で、横方向試験片のように縦糸1260と交差する方向、すなわち横糸1270に沿う方向に伸ばす場合は、主に横糸1270が伸ばされる。そして、縦糸1260の方が、横糸1270と比較して湾曲部が多い形状である。このことにより、縦糸1260が伸ばされる縦方向試験片の方が、横糸1270が伸ばされる横方向試験片と比較して、伸び率が大きくなると考えることもできる。
ここで、上記のように培養システム1(図1参照)においては、縦糸1260が上下方向に沿う向きに担体120が吊り下げられて設けられる。すなわち、より伸びやすい縦糸1260が上下方向に沿って配置される。ここで、縦糸1260がより伸びやすく構成されることにより、吊り下げられて設けられる担体120の上下方向上側の部分は、下側の部分と比較して、より伸びた状態となる。したがって、吊り下げられて設けられる担体120の上下方向上側の部分は、下側の部分と比較して、開口1280(図12(b)参照)が大きくなる。このことにともない、例えば担体120の上側の部分において、培養液に供給される炭酸ガスを増加させ得る。
付言すると、担体120においては、上下方向上側から下側に向けて流れる培養液に対して、炭酸ガスが供給される。そのため、担体120の上側を通過している培養液は、下側を通過している培養液よりも含有する炭酸ガスが少ない。そこで、培養液が含有する炭酸ガスが少ない領域である担体120の上側の部分において、開口1280を大きくすることによって、担体120における炭酸ガスの供給効率を向上させ得る。
<殺菌処理>
図16は、培養システム1における殺菌処理を説明するフローチャートである。
次に、培養システム1における殺菌処理について説明をする。
上記においては説明を省略したが、培養システム1を稼働させることにともない、例えば培養システム1に異物が混入することがある。そして、この異物が、カビなどの菌類であると、培養システム1内において増殖し、微生物の収穫量を低減させることがある。
そこで、培養システム1において、混入した菌類などを殺菌する処理を施してもよい。例えば、培養システム1が、混入した菌類を殺菌する殺菌部(不図示)を有する構成としても良い。この殺菌部は、過酸化水素水などの所謂殺菌水を培養システム1内に供給する殺菌水供給機能と、予め定めた温度の気体を培養システム1内に供給し殺菌水を乾燥させる乾燥機能とを有する。そして、この殺菌部を用いながら、予め定めたタイミング(例えば7日ごと)において培養システム1を殺菌する処理を施す。このことにより、微生物の収穫量が低減することが抑制される。なお、ここでの殺菌とは、培養システム1内に混入した菌類の全てを殺すことだけではなく、培養システム1内に混入した菌類の数を低減すること、あるいは菌類の増殖を抑制することを含む。
以下、図1および図16を参照しながら、培養システム1における殺菌部を用いた殺菌処理の例を、具体的に説明する。なお、初期状態においては、ポンプ59が稼働し、培養液が循環しているものとする。
まず、制御ユニット90によって、予め定めた殺菌タイミングであるかが判断される(S1601)。殺菌タイミングである場合、ポンプ59が停止する(S1602)。このことにともない培養システム1における培養液の循環が停止する。
次に、ポンプ59は、停止前の培養液の流量よりも大きな流量で、再び培養液を循環させる(S1603)。この流量を増して流れる培養液が、担体120に付着した微生物を担体120から引き剥がす。そして、ポンプ59が予め定めたタイミングで再び停止する(S1604)。そして、培養液によって担体120から引き剥がされた微生物は、ろ過器37によってろ過されることで収穫される(S1605)。
次に、殺菌部によって、培養システム1内に殺菌水が供給される(S1606)。このことにともない培養システム1内に混入した菌類が殺菌される。そして、殺菌部によって、培養システム1内に予め定めた温度の気体が供給されることにより、殺菌水が乾燥する(S1607)。
さて、上記の殺菌処理を実行する殺菌タイミングは、菌類の成長速度に応じて定められてもよいし、微生物を収穫するタイミングに応じて定めてもよい。ここで、カビの胞子は、一般的に約7日で成長することが知られている。したがって、前回の殺菌タイミングから7日後に殺菌処理を施すと、前回の殺菌においてカビの胞子が残存していた場合においても、カビを確実に殺菌することが可能となる。
<変形例>
上記の説明においては、縦糸1260および横糸1270の湾曲形状などを異ならせることで、水平方向への水の拡散を促進することや、各々の伸びやすさを異ならせることを説明したが、これに限定されない。例えば、縦糸1260および横糸1270の材質や、剛性、直径、表面処理などを異ならせることにより、水平方向への水の拡散を促進することや、各々の伸びやすさを異ならせてもよい。
また、担体120は、縦糸1260および横糸1270を有するものであれば、構成は特に限定されない。付言すると、担体120は、例えば織物として捉えることもできるし、網目体として捉えることもできる。
また、上記の説明においては、担体照射ユニット70および培養照射ユニット80を設けることを説明したが、培養システム1に担体照射ユニット70および培養照射ユニット80を設けず、担体120などが太陽光を受けることによって微生物が培養されてもよい。
さて、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例同士を組み合わせて構成してももちろんよい。
また、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
本実施例では、本発明の微生物培養システムが、光合成微生物の製造に好適に用いることができることを示すため、担体に搭載した緑藻の培養曲線を作成した。
綿布からなる担体に、1m当たり乾燥重量1gになるよう緑藻クロレラ・ケスレリ11h(これまではIAM C-531と呼ばれ、現在はパラクロレラ・ケスレリNIES-2160に名称が変更された)を搭載した。かかる担体を0.2xガンボーグB5培地(日本製薬株式会社製)中に上下方向に広がるように配置した。LED電球(植物培養用ISLM型30cmサイズ、シーシーエス株式会社製)を用いて光量子束密度を110μmol光量子・m-2・sec-1に設定した連続光を照射し、0.2xガンボーグB5培地を1000mL/hの速度で上から供給しながら30℃で培養を行った。
結果を図17に示す。図17(a)に示されるように縦軸を対数軸とした場合には、担体に搭載した緑藻の培養においても液体培地中での懸濁培養と同様の培養曲線が得られるが、図17(b)に示されるように縦軸を線形軸とした場合には、細胞量が等量ずつ増加していることがわかった。この結果は、担体上での培養においては、表層の緑藻は常に十分な光を得ることができ、対数増殖の増殖能力を保持していることを示唆している。この結果より、担体表面に十分な光量を供給できる限り、連続的に光合成微生物を製造できることが示され、本発明の微生物培養システムが、光合成微生物の製造に好適に用いることができることが明らかになった。
1…培養システム、10…担体ユニット、12…担体、15…カバー、30…培養ユニット、31…培養槽、70…担体照射ユニット、80…培養照射ユニット、120…担体、1260…縦糸、1270…横糸

Claims (7)

  1. 培養液が表面および/または内部を流下する担体と、当該担体に培養液を供給する供給部とを備える培養装置であって、
    前記担体は、前記担体の長手方向が上下方向に沿う向きに配置され、上下方向に沿う向きに配置される複数の第1繊維と、上下方向と交差する向きに配置される複数の第2繊維とを有し、
    前記第2繊維に沿う向きの培養液の拡散速度は、前記担体が当該第2繊維が上下方向に沿う向きに配置される場合における、前記第1繊維に沿う向きの培養液の拡散速度よりも速い
    培養装置。
  2. 前記第1繊維および前記第2繊維は各々湾曲部を有し、当該第1繊維の湾曲部は、当該第2繊維の湾曲部よりも数が多い
    請求項1記載の培養装置。
  3. 前記第1繊維および前記第2繊維は各々湾曲部を有し、当該第1繊維の湾曲部は、当該第2繊維の湾曲部よりも曲率半径が小さい
    請求項1または2記載の培養装置。
  4. 前記担体は、前記複数の第1繊維および前記複数の第2繊維により形成される繊維層を積層して構成される
    請求項1乃至3のいずれか1項記載の培養装置。
  5. 前記第1繊維および前記第2繊維は、前記担体に照射される光の少なくとも一部を透過可能である
    請求項1乃至4のいずれか1項記載の培養装置。
  6. 前記担体は、前記培養装置において吊り下げて設けられ、前記第1繊維に沿う向きの方が前記第2繊維に沿う向きよりも伸びやすく、
    前記第1繊維および前記第2繊維に囲まれた領域である開口が複数形成され、
    前記担体における上下方向上側の前記開口は上下方向下側の前記開口よりも大きい
    請求項1乃至5のいずれか1項記載の培養装置。
  7. 担体の表面および/または内部を培養液が流下するステップと、
    前記担体に培養液を供給するステップと
    を有し、
    前記担体は、前記担体の長手方向が上下方向に沿う向きに配置され、上下方向に沿う向きに配置される複数の第1繊維と、上下方向と交差する向きに配置される複数の第2繊維とを有し、
    前記第2繊維に沿う向きの培養液の拡散速度は、前記担体が当該第2繊維が上下方向に沿う向きに配置される場合における、前記第1繊維に沿う向きの培養液の拡散速度よりも速い
    培養対象の製造方法。
JP2021514191A 2019-04-17 2020-04-15 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法 Active JP7356180B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019078903 2019-04-17
JP2019078903 2019-04-17
JP2019164057 2019-09-09
JP2019164057 2019-09-09
PCT/JP2020/016539 WO2020213633A1 (ja) 2019-04-17 2020-04-15 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2020213633A1 JPWO2020213633A1 (ja) 2020-10-22
JP7356180B2 true JP7356180B2 (ja) 2023-10-04

Family

ID=72837925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021514191A Active JP7356180B2 (ja) 2019-04-17 2020-04-15 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7356180B2 (ja)
WO (1) WO2020213633A1 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011509085A (ja) 2008-01-03 2011-03-24 プロテロ インコーポレイテッド トランスジェニック光合成微生物およびフォトバイオリアクター
WO2019009221A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 日本曹達株式会社 培養装置、担体、および培養対象回収方法
JP2019010037A (ja) 2017-06-29 2019-01-24 日本曹達株式会社 微生物の培養及び回収方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010057485A (ja) * 2008-08-08 2010-03-18 Mitsubishi Chemicals Corp Co2固定化方法及びco2固定化用藻類培養装置
JP2019004809A (ja) * 2017-06-27 2019-01-17 日本曹達株式会社 微生物の培養方法
TWI674318B (zh) * 2017-08-16 2019-10-11 日商日本曹達股份有限公司 微生物培養系統

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011509085A (ja) 2008-01-03 2011-03-24 プロテロ インコーポレイテッド トランスジェニック光合成微生物およびフォトバイオリアクター
JP2019010037A (ja) 2017-06-29 2019-01-24 日本曹達株式会社 微生物の培養及び回収方法
WO2019009221A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 日本曹達株式会社 培養装置、担体、および培養対象回収方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ブロード・シーチング・CBポプリンとは?生地の違いと特徴 [オンライン],2016年08月24日,[検索日 2020.06.30], インターネット:<URL: https://sewingschool.hapimade.com/poplin/>

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020213633A1 (ja) 2020-10-22
JPWO2020213633A1 (ja) 2020-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101478143B1 (ko) 미생물들을 배양하고 가스들을 완화시키기 위한 시스템들, 장치들 및 방법들
CA2888493C (en) Methods of culturing microorganisms in non-axenic mixotrophic conditions
JP6152933B2 (ja) クロレラ培養システム及びクロレラの培養方法
US9260685B2 (en) System and plant for cultivation of aquatic organisms
TWI669391B (zh) 培養裝置、載體及培養對象回收方法
JP5742539B2 (ja) 藻類培養装置及び方法
JP5899100B2 (ja) 微細藻類の培養装置及び微細藻類の培養方法
JP2006320282A (ja) 培養液循環供給装置及び培養液循環供給用殺菌装置並びに培養液循環供給方法
EP3670642A1 (en) Microorganism culture system
JP7356180B2 (ja) 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法
KR101654593B1 (ko) 환경수의 추가적인 공급에 의한 광합성 미세조류의 대량 배양방법
KR101372328B1 (ko) 비닐 시트형 광생물반응기 및 이의 제작방법
KR101721448B1 (ko) 미세조류 배양장치
JP2019033682A (ja) 微生物培養システム及び微生物の培養方法
US10829725B2 (en) Air accordion bioreactor
WO2020213632A1 (ja) 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法
DE102012013587A1 (de) Bioreaktor
JP2022087852A (ja) 培養装置、担体支持装置、および培養対象の製造方法
JP7345194B2 (ja) 培養装置、培養対象回収方法、および担体押圧ローラ
JP2019004809A (ja) 微生物の培養方法
US20200199505A1 (en) Production process for high purity algae
JP7049647B2 (ja) 藻類の育成方法及び藻類培養装置
JP7462308B2 (ja) 培養装置および培養対象の製造方法
CN204198561U (zh) 一种循环水处理系统
JP2023149278A (ja) 培養装置、培養ユニットおよび培養対象の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20211021

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230411

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230912

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230914

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7356180

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150