WO2018163608A1

WO2018163608A1 - プリプレグシート用保護シートの剥離方法、および、プリプレグシート用保護シートの剥離装置

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Publication number: WO2018163608A1
Application number: PCT/JP2018/001360
Authority: WO
Inventors: 山崎　幸治
Original assignee: 三菱重工業株式会社
Priority date: 2017-03-10
Filing date: 2018-01-18
Publication date: 2018-09-13
Also published as: EP3569535A4; EP3569535A1; US20200391497A1; JP6745745B2; JP2018150098A; US11331898B2

Abstract

保護シートが貼付されたプリプレグシートを、載置台の上に、部分的に食み出るように載置する。このとき、載置台の、食み出しが発生している端部の端部辺方向と、プリプレグシートの繊維方向との間の角度を、十分に大きくする。食み出した部分に対して物理的な衝撃を、プリプレグシートの繊維を曲げようとする方向に与え、保護シートを部分的にプリプレグシートから剥離させる。保護シートの、プリプレグシートから剥離した部分を掴持し、保護シートをプリプレグシートの全面から剥離する。プリプレグシートを損傷させずに、より効率的にプリプレグシートから保護シートを剥離する方法、及び、それに用いる剥離装置を提供する。

Description

プリプレグシート用保護シートの剥離方法、および、プリプレグシート用保護シートの剥離装置

　本態様は、プリプレグシート用保護シートの剥離方法、及び、それに用いる剥離装置に関する。

　航空機の胴体や主翼等は、ＣＦＲＰ（Ｃａｒｂｏｎ　Ｆｉｂｅｒ　Ｒｅｉｎｆｏｒｃｅｄ　Ｐｌａｓｔｉｃｓ：炭素繊維強化プラスチック）などの薄板を型抜きした複数枚のプリプレグシートを積層して構成されたプリプレグ積層体を用いて製造されている。また、それぞれのプリプレグシートは、複数本の繊維が平行に配列された繊維シートに、完全には硬化しきれていない粘着性を有する半硬化状態の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを含浸させることで製造される。このため、プリプレグシートの一方の面、または、両面は粘着性を有しているため、保護シートが貼付されている。ここで、一枚のプリプレグシートを形成する繊維は、一方向に繊維が伸びた繊維方向に揃えて配列されている。

　プリプレグ積層体は、プリプレグシートから保護シートを取り除き、プリプレグ積層体の一層目にプリプレグシートを敷き詰めた後、同様に二層目にプリプレグシートを敷き詰め、複数層のプリプレグシートを積層させている。ここで、材料強度が要求されるプリプレグ積層体は、隣接して積層される２枚のプリプレグシートの繊維方向が交差していることが好ましい。たとえば、所定の平面座標において、繊維方向を０度方向に向けたプリプレグシートの上に、繊維方向を４５度方向や９０度方向に向けたプリプレグシートを積層させ、繊維方向を交差させながら複数のプリプレグシートが積層されている。

　従来、これらプリプレグシートの積層技術は、繊細な技術が要求されるため、人の手を介した作業が必要であったが、近年、生産性の向上、及び、コスト削減に対する市場のニーズが高まり、効率的にプリプレグシートを積層させるプリプレグ積層装置が実用化されている。

　例えば、特許文献１に記載されるプリプレグ積層装置は、第１ローラと、第２ローラと、剥離紙先行剥離手段とを備え、繊維シートに樹脂を含浸させたプリプレグシートを複数枚、積層してプリプレグ積層体を形成するために用いられる。プリプレグシートの一方の面には保護シートが貼付されており、プリプレグ積層装置は保護シートを剥離する機能を有する。第１ローラは、被積層体の前後方向に配設され、プリプレグシートを一方向に案内する。また、第２ローラは、第１ローラを通過したプリプレグシートを一方の面から押圧するとともに保護シートをプリプレグシートの一方の面から引き剥がすように案内することで保護シートが剥離される。

特開２０１１－１７７９３９号公報特開昭６３－２８８７２１号公報

　しかしながら、特許文献１に記載のプリプレグ積層装置は、プリプレグシートから保護シートを剥離させるために、保護シートが貼付されたプリプレグシートを挟み、押圧しながら保護シートを引き剥がす工程を有している。プリプレグシートは半硬化状態の樹脂を含浸させて形成させるため過度な押圧に弱く、引き剥がす工程において、プリプレグシートを損傷させてしまう恐れがある。また、ローラを利用した剥離技術は、その剥離効果が弱く、限定的なものとなり、効果的な剥離技術が求められている。

　以上より、本発明は、プリプレグシートを損傷させずに、より効率的にプリプレグシートから保護シートを剥離する方法、及び、それに用いる剥離装置を提供することを目的とする。

　本発明の第一の観点によれば、プリプレグ用保護シートの剥離装置は、載置台と、可動アームと、剥離契機部と、剥離部とを備える。ここで、可動アームは、保護シートが貼付されたプリプレグシートを保持して前記載置台の上に移動し、前記プリプレグシートおよび前記保護シートの端部が前記載置台から食み出るように配置する。剥離契機部は、前記保護シートの少なくとも一部分が前記プリプレグシートから剥離するように、前記プリプレグシートおよび前記保護シートのうち、前記載置台から食み出た部分に対して衝撃を与える。剥離部は、前記保護シートを吸着し、前記プリプレグシートから前記保護シートを完全に剥離する。

　本発明の第二の観点によれば、プリプレグシート用保護シートの剥離方法は、プリプレグシートの繊維方向を判定する工程と、プリプレグシートの繊維を曲げようとする方向からプリプレグシートに貼付された保護シートに対して、物理的な衝撃を与えて、プリプレグシートと保護シートとを部分的に剥離させる工程と、部分的に剥離した保護シートを保持して移動させ、プリプレグシートの全面から保護シートを剥離させる工程とを備える。

　発明のプリプレグ用保護シートの剥離方法、及び、剥離装置によれば、保護シートが貼付されたプリプレグシートを損傷させることなく、効率的に保護シートを剥離させることができる。

図１Ａは、本発明で用いるプリプレグシートの形状の一例を概略的に示す平面図である。図１Ｂは、プリプレグ積層体の一構成例を示す図である。図１Ｃは、プリプレグシート、端部および角部の位置関係の一例を示す平面図である。図２は、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置の全体的な構成の一例を示す図である。図３は、本発明の一実施形態に係る可動アームの要部を示す図である。図４Ａは、本発明の一実施形態に係る剥離契機部の要部を示す斜視図である。図４Ｂは、本実施形態に係るギャップの一例を示す図である。図４Ｃは、本実施形態に係る端部辺方向の一例を示す図である。図４Ｄは、本実施形態に係る交差角度の一例を示す図である。図４Ｅは、本実施形態に係る剥離部の要部を示す図である。図５は、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離方法の各工程の一例を示すフローチャートである。

（実施形態）
　以下、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置について、図面を用いて説明する。

　本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置に用いられるプリプレグシートは、繊維方向を揃えて複数本の繊維が配列された繊維シートに半硬化状態の紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを含浸させることで形成されている。ここでプリプレグシートの少なくとも一方の面は粘着性を有しているため、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタート）やＰＥｓ（ポリエステル）などからなる保護シートが貼付されている。また、複合材の材料となるプリプレグ積層体は、プリプレグシートを複数積層させることで形成される。一層目のプリプレグシートは、各プリプレグシートの保護シートを取り除き、複数のプリプレグシートを平面に並列させて敷き詰め形成させる。

　図１Ａは、本発明で用いるプリプレグシート５０の形状の一例を概略的に示す平面図である。図１Ａの例では、プリプレグシート５０の繊維方向５４が所定の平面座標に対して４５度に配列されたプリプレグ積層体の一層目は、平行四辺形型のプリプレグシート（第１ピース５１）と、台形型のプリプレグシート（第２ピース５２）と、三角形型のプリプレグシート（第３ピース５３）とを敷き詰めることで形成される。

　図１Ｂは、プリプレグ積層体１００の一構成例を示す図である。プリプレグ積層体１００の一層目としてのプリプレグシート５０と同様に、プリプレグ積層体１００の二層目としてのプリプレグシート６０、同じく三層目としてのプリプレグシート７０、さらに４層目としてのプリプレグシート８０を形成し、これらのプリプレグシート５０、６０、７０および８０を順次積層することで、プリプレグ積層体１００が製造される。

　ここで、プリプレグ積層体１００の強度を向上させるために、一層目のプリプレグシート５０の繊維方向５４と、二層目のプリプレグシート６０の繊維方向６４とは異なることが好ましい。たとえば、繊維方向を０度方向に向けたプリプレグシートの上に、繊維方向を４５度方向や９０度方向に向けた別のプリプレグシートを積層させ、それぞれの繊維方向を交差させながら複数のプリプレグシートを積層させている。ここで、プリプレグシート５０の外周部分を端部５５と呼び、プリプレグシートの端部５５のうち、特に頂点部分を角部５６と呼ぶ。図１Ｃは、プリプレグシート５０、端部５５および角部５６の位置関係の一例を示す平面図である。

　図２は、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置１の全体的な構成の一例を示す図である。図１に示すようにプリプレグ用保護シートの剥離装置１は、保護シートが貼付されたプリプレグシートを保持して移動させる可動アーム１２と、保護シートが貼付されたプリプレグシートを載置する載置台１３と、保護シートが貼付されたプリプレグシートに物理的な衝撃を与え、プリプレグシートと保護シートとを部分的に剥離させることで、保護シートを剥離させるための契機を与える剥離契機部１４と、部分的にプリプレグシートから剥離された保護シートを保持して移動させることで、プリプレグシートの全面から保護シートを剥離させる剥離部１５とを備える。

　可動アーム１２は、プリプレグシートを掴むハンド部１２１と、ハンド部１２１により掴んだプリプレグシートを載置台１３へと移動させる可動部１２２と、制御部１６とを備える。図２の構成例では、同一の構成を、ハンド部１２１としても、剥離部１５としても用いる。

　剥離契機部１４は、モーター１４１と、回転軸１４２と、羽根部１４３、１４４とを備える。制御部１６は、判定部１６１を備える。

　図３は、本発明の一実施形態に係る可動アーム１２のハンド部１２１の要部を示す図である。例えば、ハンド部１２１は、吸着パッド１２３と、回転部１２４と備えている。吸着パッド１２３は、図示しない真空エジェクタを用いて吸着パッド１２３の表面を真空状態にすることで、吸着パッド１２３に接触したシート状の対象物を吸着させることができる。図２の可動部１２２は、ハンド部１２１を支持するように接続されており、ハンド部１２１を鉛直方向及び水平方向に、自在に移動させることができる。回転部１２４は、吸着パッド１２３を回転させることで、掴持されるプリプレグシート５０を水平面に対して３６０度回転することができる。

　ここで、可動アーム１２の水平方向、鉛直方向、及び、回転方向の移動は、可動アーム１２に設けられた制御部１６に基づき可動部１２２を駆動させ、ハンド部１２１により掴持されたプリプレグシート５０の載置台１３における位置、角度を自在に制御の上、配置することができる。また、制御部１６は、プリプレグシート５０が備える繊維の繊維方向５４を判定する判定部１６１をさらに備えており、繊維方向５４の判定結果に応じて、プリプレグシート５０の載置台１３に対する位置、角度を自在に制御できる。

　ここで、繊維方向５４の判定は、例えば、図示しないＣＣＤ（Ｃｈａｒｇｅ　Ｃｏｕｐｌｅｄ　Ｄｅｖｉｃｅ：電荷結合素子）カメラおよび画像認識処理装置を用いて行っても良い。ここで、画像認識処理装置は、演算装置、記憶装置および各種インタフェースを備えて所定のプログラムを実行するコンピュータであっても良い。まず、各種のプリプレグシートを、その繊維方向ごとに異なる形状に成形する。プリプレグシートの、形状および繊維方向の対応関係を示すデータは、画像認識処理装置の記憶装置に格納されていても良い。図１Ｂの例では、平面座標ＯＸＹに対して４５度の繊維方向５４を有するプリプレグシート５０と、同じ座標に対して－４５度の繊維方向７４を有するプリプレグシート７０とは、いずれも平行四辺形の形状を有している。しかし、繊維方向が異なる２枚のプリプレグシート５０、７０は、どちらかを裏返さない限り重ね合わせることが出来ない。同様に、平面座標ＯＸＹに対して０度の繊維方向８４を有するプリプレグシート８０の各パーツと、同じく９０度の繊維方向６４を有するプリプレグシート６０の各パーツとは、どちらも長方形の形状を有しており、その長手方向が繊維方向に一致するという特徴をも共有しているが、その寸法または縦横比で区別することが可能である。このように、プリプレグシート５０、６０、７０、８０の形状および繊維方向５４、６４、７４、８４の対応関係は、前者を区別することで後者の判定が可能になることが好ましい。次に、ＣＣＤカメラは、プリプレグシートの形状を撮像して画像データを生成する。画像認識処理装置は、画像認識処理ソフトを実行し、画像データを処理することで、撮像したプリプレグシートの形状が上記の４種類のいずれであるかを判定する。画像認識処理装置は、判定したプリプレグシートの形状および繊維方向の対応関係を示すデータを参照することで、プリプレグシートの繊維方向を判定することが出来る。

　なお、ハンド部１２１は、吸着部材以外の、例えばプリプレグシート５０を挟持して保持できる構成を備えていてもよく、また、シートを掴持できる構成であればさらに他の部材を利用しても構わない。また、制御部１６、及び、判定部１６１は、可動アーム１２に一体化して設ける必要はなく、別途、制御部１６、及び、判定部１６１を備えた新たな機構として設けてもよい。

　載置台１３は、プリプレグシート５０を任意の位置で水平に支持することが可能な平面板形状を有しており、可動アーム１２により掴持されて移動された保護シート４０が貼付されたプリプレグシート５０が載置される。

　ここで、プリプレグシート５０は、載置台１３の上に、剥離させる保護シート４０を上面として載置される。言い換えれば、プリプレグシート５０の、保護シートが貼付されていない方の面を下面とすることで、プリプレグシート５０の下面の粘着性により、載置台１３におけるプリプレグシート５０の位置が固定されやすくなる。また、プリプレグシート５０は、プリプレグシート５０の端部５５、または、角部５６の一部分が載置台１３の端部１３１からはみだすように配置される。ここで、プリプレグシート５０のうち、載置台１３の端部１３１からはみ出した部分は、剥離契機部１４がプリプレグシート５０に物理的な衝撃を与えるたたきしろ５７として用いられる。また、載置台１３には、プリプレグシート５０を保持する保定器具や、真空吸着や静電気によりプリプレグシート５０を保持する機構などを設けてもよい。

　剥離契機部１４は、上面に保護シート４０が貼付された状態で載置台１３に載置されたプリプレグシート５０のたたきしろ５７の部分において、保護シート４０に直接物理的な衝撃を与えることで、保護シート４０と、プリプレグシート５０との間に、部分的な剥離を生じさせる。

　図４Ａは、本発明の一実施形態に係る剥離契機部１４の要部を示す図である。図４Ａの剥離契機部１４は、図２のモーター１４１と、モーター１４１の動力で回転する回転軸１４２と、回転軸１４２に設けられた第１羽根部１４３および第２羽根部１４４とを備えている。モーター１４１の動力が伝達される回転軸１４２は、回転軸１４２と共に回転する羽根部１４３、１４４が、プリプレグシート５０および保護シート４０のうち、たたきしろ５７の部分に、直接、物理的な衝撃を与えることが出来る位置に配置される。回転軸１４２は、モーター１４１の回転軸に一体化されていても良いし、モーター１４１の回転軸から動力を伝達されて回転する別の回転軸１４２であっても良い。

　ここで、本発明の発明者らは、保護シート４０のプリプレグシート５０からの部分的な剥離は、載置台１３の端部１３１から、プリプレグシート５０および保護シート４０の端部５５、または、角部５６をたたきしろ５７として、所定の長さだけはみだすように配置させることにより、保護シート４０の部分的な剥離効果が高まることを見出した。また、効果的に保護シート４０を剥離させるために、たたきしろ５７の長さは２０ｍｍから３０ｍｍまでに設定することが好ましい。

　さらに前述したとおり、一枚のプリプレグシート５０の繊維は、略同一方向に配列されているが、保護シート４０のプリプレグシート５０からの剥離を行う際には、以下の３つの条件を満たすことで、保護シートの剥離効果が高くなることを、本発明の発明者らは見出した。

　すなわち、第１の条件として、たたきしろ５７がはみでる載置台１３の端部１３１と、羽根部１４３、１４４の先端部分のそれぞれが、略直線的な形状を有しており、かつ、羽根部１４３、１４４がたたきしろ５７に衝突する瞬間に、羽根部１４３、１４４の先端部分と、載置台１３の端部１３１とが、平行であること。

　第２の条件として、羽根部１４３、１４４がたたきしろ５７に衝突する瞬間に、羽根部１４３、１４４の先端部分から、載置台１３の端部１３１までのギャップ５８が、十分に短いこと。図４Ｂは、本実施形態に係るギャップ５８の一例を示す図である。第２の条件に関連して、ギャップ５８の長さは、１ｍｍ（ミリメートル）より長く、２．５ｍｍよりも短いことが好ましい。ただし、ギャップ５８の長さの好ましい範囲は、プリプレグシート５０および保護シート４０のそれぞれの厚さの合計や、プリプレグシート５０の繊維方向５４と、載置台１３の端部１３１の端部辺方向１３２との間の交差角度５９や、羽根部１４３、１４４の枚数および素材などに応じて、適宜に調節出来ることが好ましい。図４Ｃは、本実施形態に係る端部辺方向１３２の一例を示す図である。図４Ｄは、本実施形態に係る交差角度５９の一例を示す図である。

　第３の条件として、載置台１３の端部１３１の端部辺方向１３２と、プリプレグシート５０の繊維方向５４との間の交差角度５９が、十分に大きいこと。この第３の条件は、言い換えれば、剥離契機部１４の羽根部１４３、１４４による物理的な衝撃が、プリプレグシート５０の繊維を曲げようとする方向に加わるように、プリプレグシート５０を載置台１３に対して配置することを意味する。この第３の条件に関連して、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置１は、まず、判定部１６１によりプリプレグシート５０の繊維方向５４を判別する。次に、制御部１６により、プリプレグシート５０の繊維方向５４と、載置台１３の端部１３１の端部辺方向１３２との間の交差角度５９が、好ましい範囲に含まれるように、可動アーム１２のハンド部１２１の方向を、可動部１２２および回転部１２４を適宜に回転させて制御する。このようにして、本実施形態によるプリプレグ用保護シートの剥離装置１は、保護シート４０が貼付されたプリプレグシート５０を、端部１３１に対して好ましい位置および角度で、載置台１３上に載置することができる。

　ここで、プリプレグシート５０の繊維方向５４と、端部辺方向１３２との間の交差角度５９が、１０度から１７０度までの範囲に含まれるようにプリプレグシート５０を載置台１３に載置することが好ましい。この交差角度５９は、３０度から１５０度までの範囲に含まれることがより好ましく、６０度から１２０度までの範囲に含まれることがさらに好ましく、９０度に等しいことが理想的である。

　また、羽根部１４３、１４４のそれぞれは、例えばゴムなどの弾性体からなる長方形状の薄板であり、長方形状の短辺が回転軸１４２に沿うように配置されている。また、羽根部１４３、１４４は回転軸１４２に、１枚だけ、または複数枚、設けられていてもよい。例えば、羽根部１４３、１４４のそれぞれの形状は、長辺が６０ｍｍ、厚み２ｍｍの長方形状とすることが好ましい。なお、本発明に係る羽根部１４３、１４４は、直方形状の薄板に限られず、載置台からはみだしたプリプレグシート５０および保護シート４０のたたきしろ５７に物理的な衝撃を与えることが可能な形状であればよい。

　剥離部１５は、保護シート４０のうち、プリプレグシート５０から部分的に剥離された部分を保持して移動させることで、プリプレグシート５０の全面から保護シート４０を完全に剥離させる。ここで、図２に示すように本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置１は、可動アーム１２のハンド部１２１に剥離部１５と同様の機能をもたせ、すなわち、剥離部を可動アーム１２に一体化してもよい。

　図４Ｅは、本発明の一実施形態に係る剥離部１５の要部を示す図である。図４Ｅの剥離部１５は、保護シート４０を真空吸着させる吸着パッド１５１と、吸着パッド１５１を上下方向に昇降可能に支持するエアシリンダーなどを含む可動部１５２を備える。吸着パッド１５１は、保護シート４０のうち、載置台１３からはみだしたたたきしろ５７の、剥離契機部１４によりプリプレグシート５０から剥離させられた部分を吸着し、その状態のまま可動部１５２の動作により上昇することで、保護シート４０をプリプレグシート５０の全面から剥離する。

　剥離部１５は、回転部１２４を介して可動アーム１２に設けられていてもよいし、または、吸着パッド１５１を設けた別の可動アームを設けて剥離部１５として用いてもよい。ここで、剥離部１５は、吸着部材による剥離方法に限られない。剥離部１５は、例えば、保護シート４０を挟持して保持できる構成であってもよく、保護シート４０を掴持できる構成であれば他の部材を剥離部１５として利用しても構わない。

　また、本実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置１には、保護シート４０が貼付されたプリプレグシート５０に対してエア１４６を噴きつけるエアノズル１４５が設けられてもよい。剥離契機部１４を動作する工程時に、載置台１３からはみでたたたきしろ５７の端部に対して、エア１４６を噴きつけることで、剥離契機部１４の剥離効率を向上させることができる。また、効果的に保護シート４０を剥離するためには、載置台１３からはみでたたたきしろ５７の端部に向けて、その下方からエア１４６を噴出することが可能な位置に、エアノズル１４５を配置することが好ましい。

　次に本実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離装置１の動作、すなわち本実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離方法について説明する。図５は、本発明の一実施形態に係るプリプレグ用保護シートの剥離方法の各工程の一例を示すフローチャートである。まず、可動アーム１２は、保護シート４０が貼付された状態のプリプレグシート５０を保持して移動させ、プリプレグシート５０および保護シート４０の端部５５、又は、角部５６が、剥離契機部１４から衝撃を受けるたたきしろ５７として、載置台１３の端部１３１から所定の長さだけはみでるように、載置台１３上に配置する（ステップＳ２）。

　ここで、可動アーム１２は、判定部１６１によりプリプレグシート５０の繊維方向５４を事前に判定し（ステップＳ１）、プリプレグシート５０の繊維方向５４と、載置台１３の端部１３１の端部辺方向１３２との間の交差角度５９が好ましい範囲に含まれるように制御してプリプレグシート５０を配置する。

　次に、剥離契機部１４において、モーター１４１の動作により回転軸１４２が回転し、回転軸１４２に設けられた羽根部１４３、１４４が直接、保護シート４０に接触して物理的な衝撃を与え、保護シート４０とプリプレグシート５０とを部分的に剥離させることで、保護シート４０がめくりあがるような状況が得られる（ステップＳ３）。ここで、プリプレグ用保護シートの剥離装置１に設けられたエアノズル１４５が保護シート４０に対してエア１４６を噴出することで、効率的に保護シート４０とプリプレグシート５０との部分的な剥離を誘発させてもよい（ステップＳ４）。

　次に、所定の時間が経過した後に、剥離部１５の可動部１５２を駆動させ、エアシリンダーなどを用いて吸着パッド１５１を降下させて部分的な剥離状態にある保護シート４０の吸着を試みる（ステップＳ５）。

　次に、所定の時間が経過した後、再び剥離部１５の可動部１５２を駆動させ吸着パッド１５１を上昇させる。ここで、剥離部１５が保護シート４０を吸着している場合は（ステップＳ６の「ＹＥＳ」）、可動アーム１２が駆動し、保護シート４０を移動することで、プリプレグシート５０の全面から保護シート４０を剥離出来る（ステップＳ７）。

　一方、剥離部１５が保護シート４０を吸着していない、または、吸着が不十分である場合は（ステップＳ６のＮＯ）、再び、所定の時間、剥離契機部１４を駆動させ、再び剥離部１５の可動部１５２を駆動させる（ステップＳ３）。以後、保護シート４０がプリプレグシート５０の全面から剥離されるまでの間、剥離契機部１４を駆動させる工程と、剥離部１５を駆動させる工程とを繰り返す。

　以上、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明したが、各実施形態における各構成、及び、それらの組み合わせ等は一例であり、実施形態に示される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、発明の範囲を限定する趣旨ではない。また、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及び、その他の変更が可能である。

　本出願は、２０１７年３月１０日に出願された日本国特許出願（ＪＰ　２０１７－０４６０７６）に基づいており、優先権を主張する。該出願の内容は、全て引用により、本出願に組み込まれる。

Claims

　載置台と、
　保護シートが貼付されたプリプレグシートを保持して前記載置台の上に移動し、前記プリプレグシートおよび前記保護シートの端部が前記載置台から食み出るように配置する可動アームと、
　前記保護シートの少なくとも一部分が前記プリプレグシートから剥離するように、前記プリプレグシートおよび前記保護シートのうち、前記載置台から食み出た部分に対して衝撃を与える剥離契機部と、
　前記保護シートを吸着し、前記プリプレグシートから前記保護シートを完全に剥離する剥離部と
を備える
　剥離装置。
　前記プリプレグシートの繊維方向を判別する判定部と、
　前記プリプレグシートの前記繊維方向である第１方向と、前記載置台の、前記プリプレグシートおよび前記保護シートが食み出る端部の方向である第２方向との間の角度が、３０度より大きく、かつ、１５０度より小さくなるように制御する制御部とをさらに備える
　請求項１に記載のプリプレグ用保護シートの剥離装置。
　前記剥離契機部は、
　モーターと、
　前記モーターの動力で回転する回転軸と、
　前記回転軸に沿って設けられた羽根部と
を備える
　請求項２に記載の剥離装置。
　部分的に剥離された前記保護シートに対してエアを噴出して前記保護シートの剥離を誘発するエアノズルをさらに備える
　請求項３に記載の剥離装置。
　プリプレグシートの繊維方向を判定する工程と、
　前記プリプレグシートの繊維を曲げようとする方向から前記プリプレグシートに貼付された保護シートに対して、物理的な衝撃を与えて、前記プリプレグシートと前記保護シートとを部分的に剥離させる工程と、
　部分的に剥離した前記保護シートを保持して移動させ、前記プリプレグシートの全面から前記保護シートを剥離させる工程と
を備えた
　剥離方法。