WO2017163564A1 - 画像形成方法 - Google Patents

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由佳 矢崎
高林 敏行
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コニカミノルタ株式会社
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    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/38Inkjet printing inks characterised by non-macromolecular additives other than solvents, pigments or dyes

Abstract

本発明は、ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクを用いて、坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材に着弾させた後、活性光線を照射して、画像を形成する方法である。前記インクジェットインクは、前記ゲル化剤として、特定の脂肪族ケトンおよび特定の脂肪族エステルのうち少なくとも2種類の化合物を含有する。前記活性光線は、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で照射される。本発明の方法は、ゲルインクを用いて段ボールなどにインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくい。

Description

画像形成方法
 本発明は、画像形成方法に関する。
 インクジェット記録方法は、簡易かつ安価に画像を形成できることから、各種印刷分野で用いられている。インクジェットインクの一種として、活性光線を照射されることで硬化する光重合性化合物および光重合開始剤を含有するインク(以下、単に「活性光線硬化型インク」ともいう。)が知られている。活性光線硬化型インクの液滴を記録媒体の表面に着弾させ、着弾した液滴に活性光線を照射すると、インクが硬化してなる硬化膜が記録媒体の表面に形成される。この硬化膜を形成していくことで、所望の画像を形成することができる。活性光線硬化型インクによる画像形成方法は、記録媒体の吸水性にかかわらずに高い密着性を有する画像を形成できることから、様々な種類の記録媒体にインクジェット記録方法で画像を形成可能である。
 活性光線硬化型インクの一種として、ゲル化剤を含有して、温度変化により可逆的にゾルゲル相転移するインク(以下、単に「ゲルインク」ともいう。)が開発されている。ゲルインクは、加温されるとゾル状態になってインクジェットヘッドのノズルから吐出された後、記録媒体の表面に着弾すると、冷却されて結晶化してゲル化するため、着弾後のピニング性が高いという特性を有する。記録媒体の表面でピニングしたゲルインクに、活性光線を照射することで、ゲルインクが硬化して硬化膜が形成される。
 ゲルインクも、当然に、様々な種類の記録媒体に画像を形成可能であるという活性光線硬化型インクの特長を有している。たとえば、特許文献1では、梱包用の箱体などに用いられる段ボール箱などに、炭素数が約50のアルキル基および光重合性の官能基を有するゲル化剤と、アミド基を有するゲル化剤と、を含有するゲルインクを用いて画像を形成できることが記載されている。
米国特許出願公開第2008/0204538号明細書
 しかし、本発明者らの検討によると、特許文献1に記載のゲルインクを用いて段ボールなどの坪量または厚みが大きい記録媒体に画像を形成すると、結晶化したゲル化剤が硬化膜の表面から析出することによって画像表面が粉を吹いたような外観となる、いわゆるブルーミングの発生が顕著であり、良好な画質の画像を形成することができなかった。
 本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ゲルインクを用いて段ボールなどにインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくい画像形成方法を提供することを目的とする。
 本発明の上記課題は以下の手段により解決されるものである。
 [1]ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、前記ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される化合物および下記一般式(G2)で表される化合物のうち少なくとも2種類の化合物を含有し、アミド基を有するゲル化剤を実質的に含有しないインクジェットインクの液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して、坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材の表面に着弾させる工程と、前記紙基材に着弾させた前記液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程と、を含む、画像形成方法。
 (G1):R1-CO-R1
 (G2):R1-COO-R1
 (一般式(G1)および一般式(G2)において、R1はそれぞれ独立に、炭素数11以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基である。)
 [2]前記インクジェットインクは、インクの全質量に対して50質量%以上の多官能のラジカル重合性化合物を含有する、[1]に記載の画像形成方法。
 [3]前記インクジェットインクは、インクの全質量に対して20質量%以上の3官能以上のラジカル重合性化合物を含有する、[1]または[2]に記載の画像形成方法。
 [4]前記インクジェットインクは、前記一般式(G1)で表される化合物を少なくとも1種と、前記一般式(G2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有し、前記インクジェットインクが含有する前記一般式(G2)で表される化合物の全質量は、前記一般式(G1)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上150質量%未満である、[1]~[3]のいずれかに記載の画像形成方法。
 [5]前記インクジェットインクは、前記一般式(G2)で表される化合物として、R1で表されるアルキル基の炭素数が異なる複数の化合物を含有し、前記R1で表されるアルキル基の炭素数が異なる複数の化合物のうち、最も含有量が多い化合物の全質量は、前記一般式(G2)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上100質量%未満である、[1]~[4]のいずれかに記載の画像形成方法。
 本発明によれば、ゲルインクを用いて段ボールなどにインクジェット方法で画像を形成する際に、ブルーミングが生じにくい画像形成方法が提供される。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。 図2は、本発明の別の実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。 図3は、本発明のさらに別の実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置を示す側面図である。
 本発明者らは、鋭意研究の結果、段ボールなどの坪量または厚みが大きい記録媒体に特許文献1に記載のゲルインクを用いて画像を形成すると、高温で出射されて記録媒体に着弾したゲルインクの液滴中で、アミド基を有するゲル化剤が瞬時に液滴の表面近傍に局在化しやすく、これによりブルーミングが生じやすいことを見出した。これは、ラジカル重合性化合物が有するラジカル重合性の官能基とゲル化剤が有するアミド基との相溶性が低いため、アミド基を有するゲル化剤同士が引き寄せ合って液滴内の周縁部に移動しやすいことによると考えられる。ここで、上記段ボールなどの記録媒体は断熱性が高く熱を放出しにくいため、記録媒体の表面温度が高くなりやすい。そのため、記録媒体の表面と着弾したインクの液滴との温度差が小さく、インクの液滴が冷却されにくい。これにより、上記段ボールなどの記録媒体に着弾した液滴内では、ゲル化剤がより大きな結晶を形成するため、ブルーミングがより生じやすくなると考えられる。
 これに対し、本発明者らはさらに検討を重ね、ゲル化剤として、特定の脂肪族ケトンおよび特定の脂肪族エステルから選択される2種類のゲル化剤を組み合わせて用いることで、上記炭化水素鎖とゲル化剤との間の相溶性の低さに由来すると思われるブルーミングの発生を抑制する、画像形成方法に想到した。この方法でブルーミングが抑制される理由は必ずしも定かではないが、おそらく、上記2種類のゲル化剤が共晶を形成することで、結晶化したゲル化剤のサイズがより小さくなるため、結晶化したゲル化剤が析出しにくかったり、析出しても視認できず粉をふいたような外観を認識できなかったりするためと考えられる。
 上記知見に基づき、本発明者らは、段ボールなどの記録媒体、具体的には坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材、に画像を形成するときに、ブルーミングを十分に抑制するための条件についてさらに検討を重ねた。その結果、インクが含有する上記ゲル化剤の量をインクの全質量に対して3.0質量%以下とし、かつ、着弾した液滴に活性光線を照射するときの雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることで、ブルーミングを十分に抑制できることを見出し、もって本発明を完成させた。
 なお、ブルーミングなどによってゲル化剤などの不純物が硬化膜の表面から析出すると、記録媒体の画像を形成した面が滑りやすくなる。特に上記段ボールなどの記録媒体は、摘み重ねて保存および輸送などされるが、上記面が滑りやすくなると、積み重ねた記録媒体が崩れてしまい、保存および輸送などの効率が低下するおそれがある。これに対し、本発明の方法によれば、画像を形成した面が滑りやすくなりにくいため、積み重ねた記録媒体が崩れることによる保存および輸送などの効率の低下が生じにくいと期待される。
 1.画像形成方法
 本発明の一の実施形態は、坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材(以下、単に「蓄熱性紙基材」ともいう。)にインクジェット記録方法で画像を形成する方法に関する。本実施形態は、ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、上記ゲル化剤として、後述する特定の脂肪族ケトンまたは特定の脂肪族エステルのうち少なくとも2種類の化合物を含有し、アミド基を有するゲル化剤を実質的に含有しないインクジェットインク(以下、単に「特定ゲルインク」ともいう。)の液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して、記録媒体である蓄熱性紙基材の表面に着弾させる工程(以下、単に「着弾させる工程」ともいう。)と、蓄熱性紙基材に着弾させた液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程(以下、単に「照射する工程」ともいう。)と、を含む画像形成方法に係る。
 1-1.特定ゲルインク
 特定ゲルインクは、ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を少なくとも含有する。特定ゲルインクは、上記ゲル化剤を含有することで、温度変化により可逆的にゾルゲル相転移する。
 1-1-1.ラジカル重合性化合物
 ラジカル重合性化合物は、活性光線の照射によって重合または架橋反応を生じて重合または架橋し、インクを硬化させる作用を有する化合物であればよい。ラジカル重合性化合物は、モノマー、重合性オリゴマー、プレポリマーあるいはこれらの混合物のいずれであってもよい。ラジカル重合性化合物は、特定ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 ラジカル重合性化合物の含有量は、たとえば、特定ゲルインクの全質量に対して1質量%以上97質量%以下とすることができる。
 ラジカル重合性化合物は、不飽和カルボン酸エステル化合物であることが好ましく、(メタ)アクリレートであることがより好ましい。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタアクリレートを意味し、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基またはメタアクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
 (メタ)アクリレートの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、およびt-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどを含む単官能のアクリレート、ならびに、
 トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどを含む2官能のアクリレート、ならびにトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、およびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートなどの3官能以上のアクリレートを含む多官能のアクリレートが含まれる。
 (メタ)アクリレートは、感光性などの観点から、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート等が好ましい。
 (メタ)アクリレートは、変性物であってもよい。変性物である(メタ)アクリレートの例には、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを含むエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ならびにカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを含むカプロラクタム変性(メタ)アクリレートなどが含まれる。
 (メタ)アクリレートは、重合性オリゴマーであってもよい。重合性オリゴマーである(メタ)アクリレートの例には、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、および直鎖(メタ)アクリルオリゴマー等が含まれる。
 カチオン重合性化合物は、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、およびオキセタン化合物等でありうる。カチオン重合性化合物は、特定ゲルインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 ライン式のインクジェットヘッドを用いたシングルパス式のインクジェット記録方法で画像を形成するときなどは、より少ない光量で硬化膜の硬度を高めるため、特定ゲルインクは、インクの全質量に対して50質量%以上の多官能のラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。上記観点からは、多官能のラジカル重合性化合物の含有量は、インクの全質量に対して60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。多官能のラジカル重合性化合物の含有量の上限は、100%とすることができる。多官能のラジカル重合性化合物は、特定ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 また、同様により少ない光量で硬化膜の硬度を高める観点からは、特定ゲルインクは、インクの全質量に対して20質量%以上の3官能以上のラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。なお、硬化膜の硬度を高くしすぎず、画像形成後に記録媒体を折り曲げたときに画像に割れ(以下、折り曲げによって発生する画像の割れを単に「折り割れ」ともいう。)を生じにくくする観点からは、3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量は、インクの全質量に対して60質量%以下であることが好ましい。上記観点からは、3官能以上のラジカル重合性化合物は、特定ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 なお、本発明者らの新たな知見によると、多官能のラジカル重合性化合物を多く含む活性光線硬化型インクの液滴に活性光線を照射すると、一度に多数の反応点で重合および架橋反応が生じるため、反応熱がより蓄積されやすく、インクの液滴はより冷却されにくい。そのため、多官能のラジカル重合性化合物を多く含むゲルインクを用いて蓄熱性紙基材に画像を形成するとき、特にブルーミングが生じやすくなると考えられる。同様の理由により、3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量が多いときは、さらにブルーミングが生じやすくなると考えられる。また、この傾向は、特に雰囲気の酸素濃度を調整しないで画像を形成するときに強く見られると考えられる。しかし、本実施形態によれば、上記インクの全質量に対して50質量%以上の多官能のラジカル重合性化合物を含有する特定ゲルインクや、上記インクの全質量に対して20質量%以上の3官能以上のラジカル重合性化合物を含有するゲルインクを用いて蓄熱性紙基材に画像を形成するときも、ブルーミングが生じにくくなる。これは、酸素濃度を調整することで、硬化膜の表面近傍で多官能のラジカル重合性化合物を十分に重合および架橋させ、硬化膜表面の硬度を高めることにより、結晶化したゲル化剤の析出を抑制できるためと考えられる。そのため、本実施形態は、特にシングルパス式のインクジェット記録方法で蓄熱性紙基材に画像を形成するときに、ブルーミングを抑制して、見栄えのよい画像を形成することができる。
 1-1-2.ゲル化剤
 ゲル化剤は、常温では固体であるが、加熱すると液体となる有機物である。ゾル化したインクの吐出および蓄熱性紙基材に着弾したインクのピニング性を制御しやすくする観点からは、ゲル化剤の融点は、30℃以上150℃未満であることが好ましい。
 ゲル化剤の含有量は、インクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下である。ゲル化剤の含有量を0.5質量%以上とすることで、インクのピニング性を十分に高め、より高精細な画像を形成することができる。ゲル化剤の含有量を3.0質量%以下とすることで、ブルーミングが生じにくくなり、かつ、特定ゲルインクの粘度上昇を抑制してインクジェットヘッドからの吐出性をより高めることができる。上記観点からは、特定ゲルインク中のゲル化剤の含有量は、1.0質量%以上2.9質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上2.5質量%以下であることがさらに好ましい。
 特定ゲルインクは、ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される化合物および下記一般式(G2)で表される化合物のうち少なくとも2種類の化合物を含有する。
 (G1):R1-CO-R1
 (G2):R1-COO-R1
 一般式(G1)および一般式(G2)において、R1はそれぞれ独立に、炭素数11以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基である。
 本発明者らの新たな知見によれば、これらのうち2種類のゲル化剤を用いることで、上記2種類のゲル化剤が互いに吸着して共晶を形成し、結晶化したゲル化剤のサイズがより小さくなるため、結晶化したゲル化剤が析出しにくかったり、析出しても視認できず粉をふいたような外観を認識できなかったりすると考えられる。
 また、上記一般式(G1)で表される化合物および上記一般式(G2)で表される化合物は、インクのゲル化温度以下の温度で結晶化したときに、板状に結晶化したゲル化剤によって形成された三次元空間にラジカル重合性化合物が内包される構造(このような構造を、以下「カードハウス構造」という。)を形成しうる。蓄熱性紙基材に着弾した直後のインクの液滴内で、ゲル化剤によるカードハウス構造が形成されると、液体であるラジカル重合性化合物が上記空間内に保持されるため、インク液滴がより濡れ広がりにくくなり、インクのピニング性がより高まる。インクのピニング性が高まると、蓄熱性紙基材に着弾したインク液滴同士が合一しにくくなり、より高精細な画像を形成することができる。また、ゲル化剤によるカードハウス構造が形成されると、より多くのゲル化剤が硬化膜の内部で結晶化できるため、ゲル化剤が硬化膜の表面近傍で結晶化することによるブルーミングの発生が生じにくくなる。
 また、上記一般式(G1)で表される化合物および上記一般式(G2)で表される化合物は、2本の炭素鎖の炭素原子の数がいずれも11個以上であるため、ゲル化剤の結晶性がより高まり、かつ、上記カードハウス構造においてより十分な空間を生じる。そのため、ラジカル重合性化合物が上記空間内に十分に内包されやすくなり、インクのピニング性をより高くすると考えられる。一方上記炭素原子の数が24個以下であると、ラジカル重合性化合物とゲル化剤とが相溶しやすくなり、上記カードハウス構造が形成されやすくなるため、ブルーミングがより生じにくくなると考えられる。
 特定ゲルインクは、上記一般式(G1)で表される化合物を2種類以上含有してもよいし、上記一般式(G2)で表される化合物を2種類以上含有してもよい。ただし、ブルーミングの抑制効果をより好適に奏する観点からは、特定ゲルインクは、上記一般式(G1)で表される化合物を少なくとも1種と、上記一般式(G2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有することが好ましい。このとき、上記一般式(G2)で表される化合物の全質量は、上記一般式(G1)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上150質量%未満であることが好ましい。このような組み合わせとすると、上記共晶を形成して結晶化したゲル化剤のサイズがより小さくなるため、ブルーミングがより抑制されると思われる。上記観点からは、上記一般式(G2)で表される化合物の全質量は、上記一般式(G1)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上130質量%未満であることがより好ましい。
 特定ゲルインクが含有する上記一般式(G2)で表される化合物には、R1で表されるアルキル基の炭素数が異なる複数の化合物が含まれることがある。このとき、上記炭素数が異なる複数種の化合物のうち、もっとも含有量(質量%)が多い化合物を、一般式(G2)で表される化合物の主成分としたとき、上記一般式(G2)で表される化合物の全質量に対する、上記主成分の割合は、50質量%以上100質量%未満であることが好ましい。上記主成分の割合が50質量%以上であると、上記一般式(G1)で表される化合物と一般式(G2)で表される化合物とが共晶となる際に、適度なサイズの共晶が形成されるため、ブルーミングがより抑制されると思われる。上記観点からは、上記主成分の割合は、70質量%以上100質量%未満であることがより好ましい。なお、このとき、特定ゲルインクが上記一般式(G1)で表される化合物をさらに含有すると、上記共晶を形成して結晶化したゲル化剤のサイズがより小さくなり、ブルーミングがさらに抑制されると思われる。
 上記一般式(G1)で表される化合物の例には、ジリグノセリルケトン(炭素数:23-23)、ジベヘニルケトン(炭素数:21-21)、ジステアリルケトン(炭素数:17-17)、ジエイコシルケトン(炭素数:19-19)、ジパルミチルケトン(炭素数:15-15)、ジミリスチルケトン(炭素数:13-13)、ラウリルミリスチルケトン(炭素数:11-14)、ラウリルパルミチルケトン(11-16)、ミリスチルパルミチルケトン(13-16)、ミリスチルステアリルケトン(13-18)、ミリスチルベヘニルケトン(13-22)、パルミチルステアリルケトン(15-18)、バルミチルベヘニルケトン(15-22)およびステアリルベヘニルケトン(17-22)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、カルボニル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
 上記一般式(G1)で表される化合物の市販品の例には、Alfa Aeser社製、18-PentatriacontanonおよびHentriacontan-16-on、ならびに花王株式会社製、カオーワックスT1が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
 上記一般式(G2)で表される化合物の例には、ベヘニン酸ベヘニル(炭素数:21-22)、イコサン酸イコシル(炭素数:19-20)、ステアリン酸ベヘニル(炭素数:17-21)、ステアリン酸ステアリル(炭素数:17-18)、ステアリン酸パルミチル(炭素数:17-16)、ステアリン酸ラウリル(炭素数:17-12)、パルミチン酸セチル(炭素数:15-16)、パルミチン酸ステアリル(炭素数:15-18)、ミリスチン酸ミリスチル(炭素数:13-14)、ミリスチン酸セチル(炭素数:13-16)、ミリスチン酸オクチルドデシル(炭素数:13-20)、オレイン酸ステアリル(炭素数:17-18)、エルカ酸ステアリル(炭素数:21-18)、リノール酸ステアリル(炭素数:17-18)、オレイン酸ベヘニル(炭素数:18-22)およびリノール酸アラキジル(炭素数:17-20)が含まれる。なお、上記括弧内の炭素数は、エステル基で分断される2つの炭化水素基それぞれの炭素数を表す。
 上記一般式(G2)で表される化合物の市販品の例には、日油株式会社製、ユニスターM-2222SLおよびスパームアセチ(「ユニスター」は同社の登録商標)、花王株式会社製、エキセパールSSおよびエキセパールMY-M(「エキセパール」は同社の登録商標)、日本エマルジョン株式会社製、EMALEX CC-18およびEMALEX CC-10(「EMALEX」は同社の登録商標)ならびに高級アルコール工業株式会社製、アムレプスPC(「アムレプス」は同社の登録商標)が含まれる。これらの市販品は、二種類以上の混合物であることが多いため、必要に応じて分離・精製してインクに含有させてもよい。
 なお、特定ゲルインクは、ブルーミングを顕著に発生させない限りにおいて、上記一般式(G1)で表される化合物および上記一般式(G2)で表される化合物以外のゲル化剤(以下、単に「その他のゲル化剤」ともいう。)を含有してもよい。ただし、上記理由により、その他のゲル化剤は、結晶化したときカードハウス構造を形成しうるゲル化剤であることが好ましい。
 結晶化したときカードハウス構造を形成しうるゲル化剤の例には、石油系ワックス、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、硬化ヒマシ油、変性ワックス、高級脂肪酸、脂肪族アルコール、ヒドロキシステアリン酸、N-置換脂肪酸アミドおよび特殊脂肪酸アミドを含む脂肪酸アミド、高級アミン、ショ糖脂肪酸のエステル、合成ワックス、ジベンジリデンソルビトール、ダイマー酸ならびにダイマージオールが含まれる。
 上記石油系ワックスの例には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスおよびペトロラクタムを含む石油系ワックスが含まれる。
 上記植物系ワックスの例には、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウおよびホホバエステルが含まれる。
 上記動物系ワックスの例には、ミツロウ、ラノリンおよび鯨ロウが含まれる。
 上記鉱物系ワックスの例には、モンタンワックスおよび水素化ワックスが含まれる。
 上記変性ワックスの例には、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、12-ヒドロキシステアリン酸誘導体およびポリエチレンワックス誘導体が含まれる。
 上記高級脂肪酸の例には、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸,ラウリン酸、オレイン酸、およびエルカ酸が含まれる。
 上記脂肪族アルコールの例には、ステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールが含まれる。
 上記ヒドロキシステアリン酸の例には、12-ヒドロキシステアリン酸が含まれる。
 上記脂肪酸アミドの例には、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミドおよび12-ヒドロキシステアリン酸アミドが含まれる。
 上記脂肪酸アミドの市販品の例には、日本化成社製、ニッカアマイドシリーズ(「ニッカアマイド」は同社の登録商標)、伊藤製油社製、ITOWAXシリーズ、および花王株式会社製、FATTYAMIDシリーズが含まれる。
 上記N-置換脂肪酸アミドの例には、N-ステアリルステアリン酸アミドおよびN-オレイルパルミチン酸アミドが含まれる。
 上記特殊脂肪酸アミドの例には、N,N’-エチレンビスステアリルアミド、N,N’-エチレンビス-12-ヒドロキシステアリルアミドおよびN,N’-キシリレンビスステアリルアミドが含まれる。
 上記高級アミンの例には、ドデシルアミン、テトラデシルアミンおよびオクタデシルアミンが含まれる。
 上記ショ糖脂肪酸のエステルの例には、ショ糖ステアリン酸およびショ糖パルミチン酸が含まれる。
 上記ショ糖脂肪酸のエステルの市販品の例には、三菱化学フーズ社製、リョートーシュガーエステルシリーズ(「リョートー」は同社の登録商標)が含まれる。
 上記合成ワックスの例には、ポリエチレンワックスおよびα-オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスが含まれる。
 上記合成ワックスの市販品の例には、Baker-Petrolite社製、UNILINシリーズ(「UNILIN」は同社の登録商標)が含まれる。
 上記ジベンジリデンソルビトールの例には、1,3:2,4-ビス-O-ベンジリデン-D-グルシトールが含まれる。
 上記ジベンジリデンソルビトールの市販品の例には、新日本理化株式会社製、ゲルオールD(「ゲルオール」は同社の登録商標)が含まれる。
 上記ダイマージオールの市販品の例には、CRODA社製、PRIPORシリーズ(「PRIPOR」は同社の登録商標)が含まれる。
 なお、ラジカル重合性の官能基を有するゲル化剤を用いれば、ゲル化剤がラジカル重合性化合物と反応して、ラジカル重合性化合物が重合または架橋してなる炭化水素鎖にゲル化剤が取り込まれるため、ブルーミングは生じにくくなる。しかし、このようなゲル化剤を含有するインクによって形成した硬化膜は、硬度が高くなりすぎて、画像形成後に記録媒体を折り曲げたとき、画像に折り割れが生じやすくなる。そのため、折り割れの発生を抑制する観点から、特定ゲルインクはラジカル重合性の官能基を有するゲル化剤を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、ある成分を実質的に含有しないとは、その成分の含有量が特定ゲルインクの全質量に対して1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満であることを意味する。
 また、おそらくはゲル化剤同士が引き寄せ合って硬化膜の周縁部に移動することによるブルーミングの発生を抑制し、かつ、画像を形成した面が滑りやすくなることを抑制する観点からは、特定ゲルインクはアミド基を有するゲル化剤を実質的に含有しないことが好ましい。
 また、本発明者らの知見によれば、アミド基を有するゲル化剤を含有するゲルインクは、ピニング性が強いためインクの液滴が濡れ広がりにくく、形成された画像内で、液滴の着弾する量が多い領域と液滴の着弾する量が少ない領域との間に光沢差が生じやすい。この光沢差を生じにくくする観点からも、特定ゲルインクはアミド基を有するゲル化剤を実質的に含有しないことが好ましい。
 1-1-3.その他の成分
 特定ゲルインクは、上述した成分以外にも、ブルーミングの発生を抑制する効果が奏される限りにおいて、ラジカル重合開始剤、色材、分散剤、光増感剤、重合禁止剤および界面活性剤などを含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ、特定ゲルインク中に1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 ラジカル重合開始剤は、本発明のインク中に、1種のみが含まれていてもよく、2種類以上が含まれていてもよい。
 ラジカル重合開始剤には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
 開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
 水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
 光酸発生剤の例には、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187~192ページに記載の化合物が含まれる。
 ラジカル重合開始剤の含有量は、インクが十分に硬化できる範囲であればよく、たとえば、本発明のインクの全質量に対して0.01質量%以上10質量%以下とすることができる。
 色材には、染料および顔料が含まれる。耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色等に応じて、たとえば、黄(イエロー)顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
 分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
 分散剤の含有量は、たとえば、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。
 重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、t-ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1-ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p-ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5-ジ-t-ブチル-p-ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ-p-ニトロフェニルメチル、N-(3-オキシアニリノ-1,3-ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o-イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
 界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
 シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF-351A、KF-352A、KF-642およびX-22-4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347およびBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、ならびにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
 1-1-4.物性
 インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、特定ゲルインクの80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。また、着弾して常温に降温した際にインクを十分にゲル化させる観点からは、特定ゲルインクの25℃における粘度は1000mPa・s以上であることが好ましい。
 特定ゲルインクのゲル化温度は、40℃以上100℃未満であることが好ましい。インクのゲル化温度が40℃以上であると、蓄熱性紙基材に着弾後、インクが速やかにゲル化するため、ピニング性がより高くなる。インクのゲル化温度が100℃未満であると、加熱によりゲル化したインクをインクジェットヘッドから吐出できるため、より安定してインクを吐出することができる。より低温でインクを吐出可能にし、画像形成装置への負荷を低減させる観点からは、特定ゲルインクのゲル化温度は、40℃以上70℃未満であることがより好ましい。
 特定ゲルインクの80℃における粘度、25℃における粘度およびゲル化温度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。本発明において、これらの粘度およびゲル化温度は、以下の方法によって得られた値である。特定ゲルインクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、AntonPaar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。80℃における粘度および25℃における粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃、25℃における粘度をそれぞれ読み取ることにより求めることができる。ゲル化温度は、粘度の温度変化曲線において、粘度が200mPa・sとなる温度として求めることができる。
 インクジェットヘッドからの吐出性をより高める観点からは、特定ゲルインクが顔料を含有するときの顔料粒子の平均粒子径は0.08μm以上0.5μm以下であり、最大粒子径は0.3μm以上10μm以下であることが好ましい。本発明における顔料粒子の平均粒子径とは、データサイザーナノZSP、Malvern社製を使用して動的光散乱法によって求めた値を意味する。なお、色材を含むインクは濃度が高く、この測定機器では光が透過しないので、インクを200倍に希釈してから測定する。測定温度は常温(25℃)とする。
 1-2.着弾させる工程
 本工程では、インクジェットヘッドのノズルから特定ゲルインクの液滴を吐出し、蓄熱性紙基材に着弾させる。
 互いに組成(たとえば、色材の種類または量など)が異なる複数種のインクの液滴を吐出して着弾させて、多色の画像を形成するときは、上記複数種のインクジェットインクの少なくとも1種が特定ゲルインクである。なお、ブルーミングをより生じにくくする観点からは、上記吐出するインクジェットインクのうち2以上のインクが特定ゲルインクであること(互いに組成が異なる複数種の特定ゲルインクの液滴が吐出されて蓄熱性紙基材に着弾すること)が好ましい。上記観点からは、上記吐出するインクジェットインクのすべてが特定ゲルインクであることがより好ましい。
 インクジェットヘッドは、オンデマンド方式およびコンティニュアス方式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドの例には、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型およびシェアードウォール型を含む電気-機械変換方式、ならびにサーマルインクジェット型およびバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型を含む電気-熱変換方式等が含まれる。
 また、インクジェットヘッドは、スキャン式およびライン式のいずれのインクジェットヘッドでもよい。
 蓄熱性紙基材は、坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材である。このような紙基材の市販品の例には、日本トーカンパッケージ株式会社製、Gフルート(厚さ:0.9mm)、王子マテリア株式会社製、サンコート(坪量:500g/m、550g/mまたは600g/m)、サンダイヤN(坪量::550g/m)、およびMCボール(f)(坪量:500g/m、550g/mまたは600g/m)などが含まれる。
 1-3.照射する工程
 本工程では、着弾した特定ゲルインクに、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射することで、インクを硬化させる。特定ゲルインクの硬化性を高める観点から、活性光線は、インク着弾後0.001秒以上2.0秒以下の間に照射されることが好ましく、より高精細な画像を形成する観点から、0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることがより好ましい。
 本実施形態でインクに照射できる活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線が含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線を照射することが好ましい。光源の輻射熱によって特定ゲルインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。特定ゲルインクを硬化させるための活性光線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製が含まれる。
 酸素濃度は、0.1体積%以上10.0体積%以下である。ブルーミングをより生じにくくする観点からは、酸素濃度は0.1体積%以上8.0体積%以下であることが好ましく、0.5体積%以上6.0体積%以下であることがより好ましい。
 2.画像形成装置
 本発明の他の実施形態は、上記方法を実施可能なインクジェット用の画像形成装置に係る。図1、図2および図3は、本実施形態に係るインクジェット用の画像形成装置100の概念を示す側面図である。
 図1、図2および図3に示されるように、画像形成装置100は、インクジェットヘッド110、搬送部120、照射部130、および酸素濃度調整部140を有する。なお、図1、図2および図3において、矢印は記録媒体の搬送方向を示す。
 2-1.インクジェットヘッド110
 インクジェットヘッド110は、ノズル111の吐出口が設けられたノズル面113を、画像を形成する際に搬送部120に対向する面に有しており、搬送部120によって搬送される蓄熱性紙基材200に対してインクを吐出する。本発明のインクをゾル化して吐出性を高める観点から、インクジェットヘッド110は、インクの温度を調整してインクを低粘度に調整するための温度調整手段を有してもよい。温度調整手段の例には、パネルヒーター、リボンヒーターおよび保温水による加熱手段が含まれる。
 インクジェットヘッド110は、蓄熱性紙基材の搬送方向に直行する方向の幅が蓄熱性紙基材200よりも小さいスキャン式のインクジェットヘッドでもよく、蓄熱性紙基材の搬送方向に直行する方向の幅が蓄熱性紙基材200よりも大きいライン式のインクジェットヘッドでもよい。
 ノズル111は、ノズル面113に吐出口を有する。ノズル111の数は、画像形成に使用するインクの数(例えば4つ)以上であればよい。インクジェットヘッド110が複数のノズル111を有する場合、装置の構成を単純化して制御を容易にする観点からは、複数のノズル111は、ほぼ等間隔となるように蓄熱性紙基材の搬送方向に並んで設けられることが好ましい。
 インクジェットヘッド110は、吐出されて蓄熱性紙基材200に着弾するインクの量を変更可能に構成される。たとえば、インクジェットヘッド110は、制御部に制御されて、圧電素子の振動幅を変更したり、一部のノズルからインクを吐出させなくしたりすることができるように構成される。
 2-2.搬送部120
 搬送部120は、画像を形成する際に、インクジェットヘッド110の鉛直方向直下において、インクジェットヘッド110に対向する蓄熱性紙基材200が移動するように、蓄熱性紙基材200を搬送する。たとえば、搬送部120は、駆動ローラ121および従動ローラ122、ならびに搬送ベルト123を有する。
 駆動ローラ121および従動ローラ122は、蓄熱性紙基材200の搬送方向に所定の間隔をあけるとともに、蓄熱性紙基材200の搬送方向に直交する方向に延在した状態で配置される。駆動ローラ121は、不図示の駆動源によって回転する。
 搬送ベルト123は、その上に乗せられた蓄熱性紙基材200を搬送するためのベルトであり、駆動ローラ121および従動ローラ122に架け渡されている。搬送ベルト123は、たとえば、蓄熱性紙基材200よりも幅広に形成された無端のベルトとすることができる。このとき、駆動源が駆動ローラ121を回転させると、駆動ローラ121に追従して搬送ベルト123が周回して、搬送ベルト123上の蓄熱性紙基材200が搬送される。蓄熱性紙基材200を吸着保持して蓄熱性紙基材の脱離をより生じにくくする観点からは、搬送ベルト123のベルト面には、複数の吸引孔(不図示)が形成されていてもよい。
 2-3.照射部130
 照射部130は、光源を有し、搬送部120の上面に光源から活性光線を照射する。これにより、搬送される蓄熱性紙基材200上に着弾したインクジェットインクの液滴に活性光線を照射して、液滴を硬化させることができる。照射部130は、インクジェットヘッド110よりも下流側で搬送部120の直上に配設することができる。光源の輻射熱によってインクジェットインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。インクジェットインクを硬化させるための活性光線を照射することができるLED光源の例には、395nm、水冷LED、Phoseon Technology社製が含まれる。
 2-4.酸素濃度調整部140
 酸素濃度調整部140は、照射部130によって活性光線を照射されるときの、蓄熱性紙基材200のインクが着弾した表面を取り囲む雰囲気の酸素濃度を調整する。
 酸素濃度調整部140の構成は、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができれば、特に限定されない。
 たとえば、図1に示されるように、酸素濃度調整部140は、外部の排気装置等に接続されて、蓄熱性紙基材200の表面近傍の気体を吸引し排気可能な排気管141と、窒素ガス発生装置などの酸素濃度が低いガスを発生する装置に接続されて、蓄熱性紙基材200の表面近傍に酸素濃度が低い気体を供給できる、排気管141の下流側に設けられた供給管142と、を備える構成とすることができる。このとき、排気管141からの排気量および供給管142からのガスの供給量を調整して、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる。なお、図1では、排気管141と供給管142とが連続している構成となっているが、上記酸素濃度への調整が可能な限りにおいて、両者は互いに離れた構成としてもよい。また、供給管142は照射部130の近傍にあることが好ましく、たとえば、照射部130と連続して設けてもよい。
 なお、図2に示すように、酸素濃度調整部140は、上記雰囲気の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる限り、排気管141を有さず、供給管142のみを有する構成であってもよい。
 また、図3に示されるように、酸素濃度調整部140は、照射部130と搬送部120とを取り囲む隔壁145を備える構成とすることができる。このとき、排気管141からの排気量および供給管142からのガスの供給量を調整して、隔壁145と搬送部120とによって区画された空間内の酸素濃度を0.1体積%以上10.0体積%以下とすることができる。このとき、上記空間内(たとえば隔壁145上など)に酸素濃度測定器148を設けて、上記空間内の酸素濃度を測定しながら、上記排気量および供給量を調整してもよい。
 2-5.その他の構成
 画像形成装置100は、上記構成以外にも、吐出前のインクジェットインクを貯蔵するためのインクタンク(不図示)、インクタンクとインクジェットヘッド110とをインクが流通可能に連通するインク流路(不図示)、ならびに、インクジェットヘッド110、搬送部120、照射部130、および酸素濃度調整部140の動作を制御する制御部(不図示)を有していてもよい。
 2-6.画像形成装置100を用いた画像形成
 搬送部120は、駆動ローラ121によって搬送ベルト123を駆動して、搬送ベルト123上の蓄熱性紙基材200を図中矢印方向に移動させる。
 インクジェットヘッド110は、形成すべき画像に応じた色のインクジェットインクの液滴を吐出し、移動してきた蓄熱性紙基材200の、画像を形成すべき部位に着弾させる。互いに組成(たとえば、色材の種類または量)が異なる複数種のインクジェットインクを吐出して着弾させるときは、上記複数種のインクジェットインクの少なくとも1種が特定ゲルインクである。なお、ブルーミングをより生じにくくする観点からは、上記吐出されるインクジェットインクのうち2以上のインクが特定ゲルインクであることが好ましく、すべてが特定ゲルインクであることがより好ましい。
 酸素濃度調整部140は、少なくとも搬送ベルト123と照射部130との間が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気となるように、酸素濃度を調整する。
 インクジェットヘッド110から吐出されたインクジェットインクの液滴が着弾した蓄熱性紙基材200は、酸素濃度が上記範囲となった上記空間に移動され、照射部130から活性光線を照射される。このようにして、所望の画像が蓄熱性紙基材200に形成される。
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
 1.インクの調製
 1-1.顔料分散液の調製
 10質量部の分散剤、および70質量部のラジカル重合性化合物をステンレスビーカーに入れ、65℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌溶解した。室温まで冷却した上記溶解液に20質量部の顔料を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ200gと共にガラス瓶に入れ密栓して、ペイントシェーカーで4時間、分散処理した。分散処理後、ジルコニアビーズを除去して、顔料分散体を調製した。
 顔料分散液の調製には、以下の材料を用いた。
 (分散剤)
 BASF社製、efka 7701(「efka」は同社の登録商標)
 (ラジカル重合性化合物)
 トリプロピレングリコールジアクリレート(0.2%の重合禁止剤を含有)
 (顔料)
 C.I.Pigment Black 7(三菱化学株式会社製、#52)
 1-2.インクの調製
 以下の材料を用いて、インク1~インク14を調製した。
 (インクの材料)
 顔料分散体:上記調製した顔料分散体
 ラジカル重合性化合物1:メトキシトリエチレングリコールアクリレート
 ラジカル重合性化合物2:トリプロピレングリコールジアクリレート
 ラジカル重合性化合物3:ポリエチレングリコール#400ジアクリレート
 ラジカル重合性化合物4:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
 ラジカル重合性化合物5:グリセリンプロポキシアクリレート
 ゲル化剤1:Alfa Aeser社製、18-Pentatriacontanon
 ゲル化剤2:Alfa Aeser社製、Hentriacontan-16-on
 ゲル化剤3:(下記の方法で調製)
 ゲル化剤4:(下記の方法で調製)
 ゲル化剤5:(下記の方法で調製)
 ゲル化剤6:エルカ酸アミド(花王株式会社製、脂肪酸アマイドE)
 ラジカル重合開始剤:(BASF社製、IRGACURE 819(「IRGACURE」は同社の登録商標))
 (ゲル化剤3~ゲル化剤5の調製)
 純度が99%以上である以下の試薬を、以下の割合で配合して、ゲル化剤3~ゲル化剤5を調製した。
 試薬1:ステアリン酸ベヘニル(Labo test社製、Docosyl octadecanoate)
 試薬2:アラキジル酸アラキジル(Sigma-Aldrich社製、Arachidyl arachidate)
 試薬3:ベヘン酸ステアリル(Sigma-Aldrich社製、Stearyl Behenate)
 試薬4:ステアリン酸ステアリル(Sigma-Aldrich社製、Stearyl stearate)
 試薬5:ノナデシル酸ノナデシル(Labo test社製、Nonadecyl nonadecanoate)
 試薬6:ベヘン酸ベヘニル(Sigma-Aldrich社製、Behenyl behenate)
 40質量部の試薬1、30質量部の試薬2および30質量部の試薬3を混合して、試薬1が主成分(40質量%)であるゲル化剤3を調製した。
 40質量部の試薬4、30質量部の試薬1および30質量部の試薬5を混合して、試薬4が主成分(40質量%)であるゲル化剤4を調製した。
 80質量部の試薬6および20質量部の試薬5を混合して、試薬6が主成分(80質量%)であるゲル化剤5を調製した。
 下記の表1および表2に記載されたインクの組成にしたがって上記材料を混合して、80℃に加熱して攪拌した。得られた溶液を加熱しながら、ADVATEC社製テフロン(登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過して、インク1~インク14をそれぞれ調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 2.画像形成
 KM1800i、コニカミノルタ社製(ノズル数:1776個)を備えたインクジェット用の画像形成装置にインク1を充填し、23℃、55%RHの環境下で、蓄熱性紙基材(王子マテリア株式会社製、商品名サンコート、坪量:600g/m)の表面に設定した、長さ16cm×幅4cmの区画に、インク付量が9g/mとなるようにインク1の液滴を連続して吐出し、LED光源ユニット(ヘレウス株式会社製)で、ピーク波長385nm、ピーク照度8W/cmの紫外線を照射して、長さ4cm×幅4cmのベタ画像である画像1を得た。
 酸素濃度は、排気管141を有さず、供給管142のみを有する構成(図2参照)によって調整した。インクジェットヘッドと光源との間にガス供給ノズルを設置して、窒素ガス発生装置(コフロック株式会社製、N2 IMPACT)を0.5MPa・sの圧力で接続し、8.8m/時の流量で窒素(N)ガスをフローさせた。
 インクおよび酸素濃度を表3~5に記載のように変更した以外は同様にして、画像2~画像28を得た。なお、画像23および26~28は酸素濃度を調節せず、大気雰囲気下で形成した。酸素濃度は、酸素濃度計(タイテック株式会社製、Fibox3)のセンサーの先端をLED光源ユニットと記録媒体との間に配置して酸素濃度を測定しながら、窒素ガスの流量を制御して、調整した。
 3.画像の評価
 画像1~画像28のブルーミング抑制性、硬化性および滑り性を以下の基準で評価した。
 3-1.ブルーミング抑制性
 画像を、温度40℃、相対湿度80%の環境に2週間静置した後、温度-25℃、相対湿度50%の環境に2週間静置して、1セットの試験とした。上記試験を行う前と、4セットの試験を行った後との間の、蛍光分光濃度計(コニカミノルタ株式会社製 FD-7)によって測定した画像濃度の差をもとに、色差(ΔE)を算出し以下の基準で画像を評価した。
 -3:濃度差は12以上だった
 -2:濃度差は8以上12未満だった
 -1:濃度差は5以上8未満だった
  0:濃度差は2.5以上5未満だった
  1:濃度差は2.0以上2.5未満だった
  2:濃度差は1.5以上2.0未満だった
  3:濃度差は1.0以上1.5未満だった
  4:濃度差は0.5以上1.0未満だった
  5:濃度差は0.5未満だった
 3-2.硬化性
 アセトンを染み込ませた不織布を画像の上に重ねて、さらに100cm×100cmの平坦な底面を有する2kgのおもりを乗せた。1日静置した。上記試験を行う前と、試験を行った後との間の、不織布にインク成分が付着したか否かを目視で観察した結果と、蛍光分光濃度計(コニカミノルタ株式会社製 FD-7)によって測定した画像濃度から色差(ΔE)を算出し、以下の基準で画像を評価した。
  1:不織布に多量のインクが付着しており、画像の濃度差が2.0以上3.0未満だった
  2:不織布にインクが付着しているが、画像の濃度差が1.0以上2.0未満だった
  3:不織布にインクがわずかに付着しているが、画像の濃度差が0.5以上1.0未満だった
  4:不織布へのインクの付着は認められず、画像の濃度差が0.5未満だった
 3-3.滑り性
 画像を形成した記録媒体を水平な面上に配置し、その鉛直方向に10cm上方から、画像を形成していないが、種類および大きさが同じ記録媒体を自然落下させた。自然落下後に、2枚の記録媒体の中心が違いにどれだけずれたかを測定した結果をもとに、以下の基準で画像を評価した。
  1:中心部のずれは10cm以上だった
  2:中心部のずれは5cmより大きく10cm未満だった
  3:中心部のずれは3cmより大きく5cm以下だった
  4:中心部のずれは3cm以下だった
 画像1~画像28の形成に用いたインクの種類およびその特性、画像形成時の酸素濃度および評価結果を表3~表5に示す。
 なお、表3~表5において、インクの特性の欄のうち、「ゲル化剤」の欄に記載の数値は、そのインクが含有するゲル化剤の含有量を、「多官能」の欄に記載の数値は、そのインクが含有する多官能のラジカル重合性化合物の含有量を、「3官能以上」の欄に記載の数値は、そのインクが含有する3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量を、それぞれ表す。また、インクの特性の欄のうち、「主成分」の欄に記載の数値は、それぞれのインクが含有する一般式(G2)で表される化合物について求めた主成分の割合(質量%)を表す。また、「酸素濃度」の欄に「通常」と記載した場合、酸素濃度を調整せずにその画像を形成したことを表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、一般式(G1)で表される化合物および一般式(G2)で表される化合物のうち少なくとも2種類の化合物を含有するインク1~7を用いて、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射して形成した画像1~画像21は、ブルーミングが生じにくく、画像を形成した面が滑りにくくかった。
 特に、多官能のラジカル重合性化合物の含有量がインクの全質量に対して50質量%以上であるインク2~7を用いて形成した画像4~21は、ブルーミングがより生じにくく、かつ、画像を形成した面がより滑りにくくかった。
 また、3官能以上のラジカル重合性化合物の含有量がインクの全質量に対して20質量%以上であるインク3~7を用いて形成した画像7~21は、ブルーミングがより生じにくく、かつ、画像の硬度もより高くすることが出来た。
 また、一般式(G1)で表される化合物を少なくとも1種と、一般式(G2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有し、前記一般式(G1)で表される化合物の全質量に対する前記一般式(G2)で表される化合物の全質量が50質量%以上150質量%未満であるインク4~7を用いて形成した画像10~21は、ブルーミングがより生じにくく、かつ、画像の硬度もより高くすることが出来た。
 また、一般式(G2)で表される化合物のうち最も含有量が多い化合物の含有量が一般式(G2)で表される化合物をの全質量に対して50質量%以上であるインク6、7を用いて形成した画像16~21は、ブルーミングがより生じにくく、かつ、画像を形成した面がより滑りにくくかった。
 これに対し、アミド基を有するゲル化剤を含有するインク7を用いて形成した画像22は、酸素濃度を低くすることで硬化性を高めることはできたものの、ブルーミングが多く発生していた。
 また、酸素濃度を調整せずに形成した画像23は、ブルーミングが多く発生していた。酸素量を調整した場合でも、酸素濃度が10体積%より多い条件で形成した画像25は、ブルーミングが多く発生していた。
 一般式(G1)で表される化合物および一般式(G2)で表される化合物を1種類のみ含有するインク10を用いて形成した画像24は、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で画像を形成したにもかかわらず、ブルーミングが生じやすかった。
 なお、インク12~インク14を用いて形成した画像26~画像28の評価から明らかないように、多官能のラジカル重合性化合物の含有量が多くなるほど、画像の硬化性はより高まるものの、ブルーミングがより生じやすくなった。なお、ブルーミングがより多く生じると、画像を形成した面がより滑りやすくなっていた。
 本出願は、2016年3月23日出願の日本国出願番号2016-058520号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の特許請求の範囲、明細書および図面に記載された内容は本出願に援用される。
 本発明の画像形成方法によれば、段ボールなどの記録媒体にゲルインクでブルーミングが生じにくい画像を形成することができる。そのため、本発明は、インクジェット法によるゲルインクの適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。
 100 画像形成装置
 110 インクジェットヘッド
 111 ノズル
 113 ノズル面
 120 搬送部
 121 駆動ローラ
 122 従動ローラ
 123 搬送ベルト
 130 照射部
 140 酸素濃度調整部
 141 排気管
 142 供給管
 145 隔壁
 148 酸素濃度測定器

Claims (5)

  1.  ラジカル重合性化合物およびインクの全質量に対して0.5質量%以上3.0質量%以下のゲル化剤を含有する活性光線硬化性のインクジェットインクであって、前記ゲル化剤として、下記一般式(G1)で表される化合物および下記一般式(G2)で表される化合物のうち少なくとも2種類の化合物を含有し、アミド基を有するゲル化剤を実質的に含有しないインクジェットインクの液滴を、インクジェットヘッドのノズルから吐出して、坪量が500g/m以上であるか、または厚さが0.7mm以上の空気層を有する紙基材の表面に着弾させる工程と、
     前記紙基材に着弾させた前記液滴に、酸素濃度が0.1体積%以上10.0体積%以下の雰囲気で活性光線を照射する工程と、を含む、画像形成方法。
     (G1):R1-CO-R1
     (G2):R1-COO-R1
     (一般式(G1)および一般式(G2)において、R1はそれぞれ独立に、炭素数11以上24以下の直鎖部分を有するアルキル基である。)
  2.  前記インクジェットインクは、インクの全質量に対して50質量%以上の多官能のラジカル重合性化合物を含有する、請求項1に記載の画像形成方法。
  3.  前記インクジェットインクは、インクの全質量に対して20質量%以上の3官能以上のラジカル重合性化合物を含有する、請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4.  前記インクジェットインクは、前記一般式(G1)で表される化合物を少なくとも1種と、前記一般式(G2)で表される化合物を少なくとも1種と、を含有し、前記インクジェットインクが含有する前記一般式(G2)で表される化合物の全質量は、前記一般式(G1)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上150質量%未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  5.  前記インクジェットインクは、前記一般式(G2)で表される化合物として、R1で表されるアルキル基の炭素数が異なる複数の化合物を含有し、前記R1で表されるアルキル基の炭素数が異なる複数の化合物のうち、最も含有量が多い化合物の全質量は、前記一般式(G2)で表される化合物の全質量に対して、50質量%以上100質量%未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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