WO2017145288A1

WO2017145288A1 - スライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチ

Info

Publication number: WO2017145288A1
Application number: PCT/JP2016/055450
Authority: WO
Inventors: 茂土田; 青木　敏雄
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2016-02-24
Filing date: 2016-02-24
Publication date: 2017-08-31
Also published as: CN108471848A; CN108471848B; TW201729710A; TWI609646B

Abstract

【課題】せん断加工に用いられるカッティングパンチの刃面の形状を、フォーミングダイの摩耗をできるだけ抑えられるような形状にすること。【解決手段】本発明のスライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチは、一対の脚部（６ｂ、６ｂ）を頭部（６ａ）から二又に分岐した形状の務歯用線材（６）をカッティングダイ（２２）と共同してせん断するために、カッティングダイに対して相対的に第一の直線方向に摺動可能な刃部（２５）を備える。刃部は、カッティングダイに摺接する摺接面（２５ａ）と、摺接面に対して交差する刃先端面（２５ｂ）とを備える。刃先端面は、摺接面に対して直交する第二の直線方向のうちカッティングダイ側から刃部側に向かう方向に供給された務歯用線材を、その頭部側からせん断する刃面（２６）を備える。第二の直線方向から視て、刃面は、頭部と一対の脚部に衝突するために凹んだ凹形状であると共に、凹形状が摺接面側から離れるにつれて広がる斜面（２６ｐ）を備える。第二の直線方向から視て、摺接面とは反対側の凹形状（２６ｔ）の周方向の全部は、摺接面側の凹形状（２６ｓ）に一致する基準位置と、前記基準位置よりも外側の位置との範囲に存在する。

Description

スライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチ

　本発明は、務歯用線材をせん断加工するスライドファスナー用務歯成形装置において、そのせん断加工に用いられるカッティングパンチに関する。

　上記したスライドファスナー用務歯成形装置の一例として、務歯用線材をせん断加工するために、相対的に摺動可能なカッティングダイとカッティングパンチとを備えるものが存在する（特許文献１）。せん断加工は、カッティングダイ側からカッティングパンチ側へ向かって務歯用線材を供給し、務歯用線材の先端部の頭部側からカッティングパンチを相対的に接近させて、務歯用線材の先端部をカッティングパンチとカッティングダイとの共同によってせん断し、務歯用素材を製造するものである。
　カッティングパンチ９０は図１１に示すように、図示しないカッティングダイに対する摺接面９０ａと、図示しない務歯用線材をせん断する刃面９０ｂとを備えている。そして刃面９０ｂは、摺接面９０ａに対して直交する面となっている。

　また従来のカッティングダイの他の例として、上記例と同様に、カッティングダイに対する摺接面と、摺接面に対して直交する刃面とを備える他に、刃面に対して直交すると共に刃先側へ延長する延長面と、当該延長面に対して直交すると共に刃面に対して平行な鉛直面とを備えるものが存在する。（特許文献２）。

中国特許出願公開１０３３８６４４８号明細書中国実用新案第２０４６８６１６８号明細書

　ところでせん断加工すると、務歯用線材のうち刃面に衝突した部分には刃面の形状が転写される。そして上記したいずれのカッティングダイも、刃面を摺接面に対して直交する面にしてあるので、務歯素材のうち刃面に衝突した部分が、務歯素材の厚み方向に直交する垂直面となる。

　スライドファスナー用務歯成形装置は、特許文献１にも記載されている通り、せん断加工後に塑性加工を行って、務歯素材の頭部に対して噛合凸部と噛合凹部を成形する。この塑性加工のときに、前述したような垂直面を備える務歯素材は塑性加工に用いるフォーミングダイとの摩擦抵抗との関係で、フォーミングダイの耐久性を悪化させることがある。詳しくは以下の通りである。

　スライドファスナー用務歯成形装置は、特許文献１に記載してあるように、カッティングパンチに対して相対的に摺動可能であると共に務歯素材を収容するフォーミングダイと、フォーミングダイに対して相対的に往復動可能であると共に務歯素材の頭部を押し込むフォーミングパンチと、フォーミングダイに対して相対的に往復動可能であると共に務歯素材を抑えるプレッシャパッドとを備える。

　より詳しくは、フォーミングダイ９２は図１２に示すように、その摺接面９２ａに対して凹むと共に務歯素材９９を収容する成形型部９３を備えている。成形型部９３は、務歯素材９９の頭部９９ａの厚み方向に対向する底面９３ａと、深さ方向に直交する方向に対向すると共に務歯素材９９の垂直な外周面９９ｃに接触する内周面９３ｂとを備え、内周面９３ｂの下部と底面９３ａの後部とを下方に向けて先細りとなる斜面９３ｃとしている。またプレッシャパッド９４は、フォーミングパンチが務歯素材９９を押し込むときに、務歯素材９９の一対の脚部９９ｂ、９９ｂの間に嵌るようになっている。
　塑性加工のときに務歯素材９９は、図１２から図１３に示すようにフォーミングダイ９２の成形型部９３に向かって押し込まれ、そのときに務歯素材９９の外周面における下側の角部９９ｄが成形型部９３の斜面９３ｃに衝突するので、フォーミングダイ９２が摩耗により損傷する。

　本発明は上記実情を考慮して創作されたもので、その目的は、務歯素材の形状をフォーミングダイの耐久性を向上できるような形状にすること、言い換えればせん断加工に用いられるカッティングパンチの刃面の形状を、フォーミングダイの摩耗をできるだけ抑えられるような形状にすることである。

　本発明のスライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチは、一対の脚部を頭部から二又に分岐した形状の務歯用線材をカッティングダイと共同してせん断する刃部であってカッティングダイに対して相対的に第一の直線方向に摺動可能な刃部を備える。刃部は、カッティングダイに摺接する摺接面と、摺接面に対して交差する刃先端面とを備える。刃先端面は、摺接面に対して直交する第二の直線方向のうちカッティングダイ側から刃部側に向かう方向に供給された務歯用線材を、その頭部側からせん断する刃面を備える。第二の直線方向から視て、刃面は、頭部と一対の脚部に衝突するために凹んだ凹形状であると共に、凹形状を前記摺接面側から離れるにつれて広げる斜面を備える。そのうえで第二の直線方向から視て、摺接面とは反対側の凹形状の周方向の全部は、摺接面側の凹形状に一致する基準位置と、基準位置よりも外側の位置との範囲に存在する。

　また次のようにすることが、カッティングパンチを製作する加工のし易さの点でより望ましい。
　すなわち、第二の直線方向から視て、摺接面とは反対側の凹形状の周方向の少なくとも一部は、斜面によって基準位置よりも外側の位置に存在することである。

　斜面は、刃面のどこかに備えるものであれるかを問わない。ただし頭部を成形型部に収容して、頭部に噛合凸部と噛合凹部を成形するときに、成形型部の損傷をできるだけ抑えるには、次のようにすることが望ましい。
　すなわち、刃面は、頭部に衝突する頭部衝突面と、一対の脚部に衝突する一対の脚部衝突面とを備え、斜面は、頭部衝突面に備えることである。

　斜面は、刃面のうち第二の直線方向のどこに備えても良いが、次のようにすることが望ましい。
　すなわち、斜面は、刃面のうち第二の直線方向の両側の何れかに備えることである。

　本発明によれば、せん断のときに務歯用線材には刃面の形状の一部である斜面が転写されるので、務歯用線材から切り離された務歯素材の形状は、その外周面に斜面を備えるものとなり、外周面のうちカッティングダイ側の角部の強度が斜面の分だけ弱くなる。したがってせん断加工後に、務歯素材に噛合凸部および噛合凹部を成形するときに、斜面を備える務歯素材は、従来のような斜面のない務歯素材に比べて、塑性加工に用いるフォーミングダイの成形型部と衝突したときの衝撃を小さくすることが可能となり、フォーミングダイの耐久性が向上する。

本発明の第一実施形態の務歯成形装置で用いる第一例のカッティングパンチを示す斜視図であり、一部を拡大した図面を併記してある。カッティングパンチの第一例を示す断面図であり、一部を拡大した図面を併記してある。カッティングパンチの第一例と、務歯用線材との関係を示す平面図である。カッティングパンチの第二例を示す断面図であり、一部を拡大した図面を併記してある。カッティングパンチの第三例を示す断面図であり、一部を拡大した図面を併記してある。本発明の第一実施形態の務歯成形装置の使用状態を示す断面図であって、務歯素材がフォーミングダイに押し込まれた直後の状態を示す。本発明の第一実施形態の務歯成形装置の使用状態を示す断面図であって、務歯素材がフォーミングダイに図６の状態よりもさらに押し込まれた状態を示す。本発明の第一実施形態の務歯形成装置を示す斜視図である。本発明の第一実施形態の務歯形成装置の一部を示す平面図である。本発明の第一実施形態の務歯成形装置を示す断面図である。従来のカッティングパンチを示す断面図である。従来の務歯成形装置の使用状態を示す断面図であって、務歯素材がフォーミングダイに押し込まれた直後の状態を示す。従来の務歯成形装置の使用状態を示す断面図であって、務歯素材がフォーミングダイに図１２の状態よりもさらに押し込まれた状態を示す。

　スライドファスナー用務歯形成装置で加工する務歯用線材６は例えば金属製で、図３に示すように、ほぼＹ字状の断面形状をするもので、頭部６ａと、頭部６ａから二又に対称的に分岐する一対の脚部６ｂ、６ｂとを備えるものである。

　本発明の第一実施形態の務歯形成装置を説明するために、以下のように方向を規定する。３本の直交する直線の方向を、第一、第二、第三の直線方向と称する。また、理解の容易さを考慮して、第一の直線方向は前後方向と称し、図９の左右方向である。また前方向とは、図９の右方向であり、後方向とは図９の左方向である。第二の直線方向は上下方向と称し、図９の紙面に対して直交する方向である。また上方向とは、図９の紙面に対する直交方向のうち手前側を向く方向であり、下方向とは図９の紙面に対する直交方向のうち奥側を向く方向である。第三の直線方向は左右方向と称し、図９の上下方向である。また左方向とは図９の下方向であり、右方向とは図９の上方向である。

　本発明の第一実施形態の務歯形成装置は図８に示すように、務歯用線材６をせん断加工して務歯素材７を形成するせん断加工部２と、務歯素材７の頭部７ａに噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄとを成形する頭部加工部３と、噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄが形成された務歯素材７をファスナーテープ８に取り付ける取付加工部４とを備える。

　せん断加工部２は、前方向に順番に一直線に整列したラム２０とカッティングダイ２２であって互いの間に務歯用線材６を通すラム２０とカッティングダイ２２と、務歯用線材６を上方に供給する務歯用線材供給装置（図示略）と、ラム２０とカッティングダイ２２に対して上側に配置されると共にラム２０とカッティングダイ２２に対して前後方向に相対的に摺動可能なカッティングパンチ２４とを備える。そしてせん断加工部２は、カッティングダイ２２とカッティングパンチ２４との共同によって、務歯用線材６の先端部（上端部）をせん断して務歯素材７を形成する。

　ラム２０とカッティングダイ２２は、図示しないフレームに対して前後方向に直線往復動可能に取り付けられる。またラム２０とカッティングダイ２２とは図１０に示すように、それぞれカッティングパンチ２４を向く面、つまり上面２０ａ，２２ａをカッティングパンチ２４に対する摺接面とする。図示の例では、ラム２０とカッティングダイ２２の各摺接面２０ａ，２２ａは、前後方向と左右方向に延長する平面である。またラム２０の摺接面２０ａとカッティングダイ２２の摺接面２２ａは、同一平面に位置するように、上下方向の位置を同じにするものである。
　またラム２０とカッティングダイ２２とは、互いの間に務歯用線材６を挿通する線材挿通孔２１を備える。線材挿通孔２１は、上下方向に貫通すると共に、務歯用線材６を前後方向および左右方向に移動不能に規制するものである。図８の例では、線材挿通孔２１は、務歯用線材６より僅かに大きなＹ字状の断面形状の孔である。またラム２０とカッティングダイ２２は、線材挿通孔２１以外の部分では前後方向に接している。図９、１０の例では、線材挿通孔２１は、前後方向に離れたラム２０の前面とカッティングダイ２２の後面とで形成される。カッティングダイ２２の後面は、その左右方向中央部には前方に突出するリブ２２ｂを備え、務歯用線材６が一対の脚部６ｂ、６ｂの間にリブ２２ｂを左右から挟むようにして位置決めされ、リブ２２ｂとラム２０との前後間に務歯用線材６の頭部６ａを位置決めするようにしている。

　カッティングパンチ２４はフレームに固定される。またカッティングパンチ２４の第一例は図１～３、９、１０に示すように、前後方向に整列したラム２０とカッティングダイ２２に対して相対的に前後方向に摺動可能な刃部２５と、刃部２５の後部をフレームに固定するための固定部２７とを備える。

　固定部２７は、刃部２５の後部から上方向に突出すると共に、前後方向に貫通する貫通穴２７ａを備えている。この貫通穴２７ａに図示しないボルトを挿通して、フレームにボルト止めする。

　刃部２５は、板状であって、その厚み方向に一致する上下方向の面のうちラム２０側の面（下面）を、ラム２０とカッティングダイ２２に摺接する摺接面２５ａとする。この摺接面２５ａは、図示の例では、前後方向と左右方向に延長する平面である。

　また刃部２５は、摺接面２５ａの他に、摺接面２５ａに対して交差すると共に前方向を向く刃先端面２５ｂを備える。
　刃先端面２５ｂは、せん断するときに務歯用線材６が接近する方を向く面であって、左右方向の中央部には、務歯用線材６をその頭部６ａ側からせん断する刃面２６を備える。

　刃面２６は、その内側に内部空間を形成するものであり、その内部空間は、線材挿通孔２１の貫通方向でもある上下方向に貫通すると共に、せん断するときに務歯用線材６が相対的に接近する方向、つまり前方向を開口するものである。また刃面２６は、務歯用線材６の頭部６ａと一対の脚部６ｂ、６ｂに衝突するために凹んだ凹形状である。より詳しくは刃面２６は、上下方向から視て、頭部６ａの外周面（後面および左右側面）に対応する形状の頭部衝突面２６ａと、一対の脚部６ｂ、６ｂの外周面（左側の脚部６ｂの左側面と右側の脚部６ｂの右側面）に対応する形状の一対の脚部衝突面２６ｂ、２６ｂとを備える。

　頭部衝突面２６ａは、後方へ向かってＵ字状に凹んだ形状である。
　一対の脚部衝突面２６ｂ、２６ｂは、前端から後端へ向かって左右の間隔Ｗ２を狭めた形状である。

　また刃面２６は、上下方向から視て、カッティングダイ２２側から離れるにつれて凹形状を広げる斜面２６ｐ、つまり上方に向かうにつれて凹形状を広げる斜面２６ｐを備えるものである。図３の例では、斜面２６ｐは、上下方向から視て、刃面２６の凹形状の全周に亘って形成されている。言い換えれば上下方向から視て、斜面２６ｐは、頭部衝突面２６ａ、一対の脚部衝突面２６ｂ、２６ｂの全域に亘って形成されている。したがって摺接面２５ａとは反対側、つまり上端の凹形状２６ｔの全部は、摺接面２５ａ側、つまり下端の凹形状２６ｓに一致する基準位置よりもわずかに外側の位置に存在する。ちなみに、上端の凹形状２６ｔは、務歯用線材６の外形よりも僅かに小さな形状にしてある。また斜面２６ｐは刃面２６の上下方向の全域に亘って形成され、頭部衝突面２６ａの部分と、刃面２６の凹形状の前端との間隔Ｗ１を上方に向かって広げ、一対の脚部衝突面２６ｂ、２６ｂの部分における左右の間隔Ｗ２を上方へ向かうにつれて広げてある。
　なお斜面２６ｐの角度θは図１，２に示すように、上下方向に対して１度～４５度の範囲である。

　カッティングパンチ２４の第二例は図４に示すように、刃面２６がカッティングパンチ２４の第一例と相違するものである。刃面２６は、斜面２６ｐの他に、摺接面２５ａに対して垂直な垂直面２６ｑ（上下方向に平行な面）を備えるものである。斜面２６ｐは刃面２６の下端部に形成され、垂直面２６ｑは刃面２６のうち斜面２６ｐよりも上側全域に形成されている。

　カッティングパンチ２４の第三例は図５に示すように、刃面２６がカッティングパンチ２４の第一例と相違するものである。刃面２６は、斜面２６ｐの他に垂直面２６ｑを備えるものである。垂直面２６ｑは刃面２６の下端部に形成され、斜面２６ｐは刃面２６のうち垂直面２６ｑよりも上側全域に形成されている。ちなみにカッティングパンチ２４の第一例から第三例は、いずれも斜面２６ｐだけ、または斜面２６ｐと垂直面２６ｑだけで刃面２６を形成しているので、刃面２６を製作するときに加工し易い。

　上記したせん断加工部２は以下の１）～３）の手順で務歯用線材６をせん断する。
　１）務歯用線材６が務歯素材７の１個の厚み分だけカッティングダイ２２の摺接面２２ａから上方に突出しているものとする。またこのときラム２０は、前進限の位置とする。
　２）ラム２０が前進限の位置から後退する。そうするとカッティングダイ２２と頭部加工部３の一部（後述するフォーミングダイ３０）とは、ラム２０と一緒に後退する。
　３）ラム２０の後退中に、カッティングパンチ２４の刃面２６が務歯用線材６の上端部に衝突し、カッティングダイ２２とカッティングパンチ２４とは共同して務歯用線材６の上端部をせん断し、務歯素材７が切り離される。
　このせん断のときに、カッティングパンチ２４の刃面２６の形状（頭部衝突面２６ａ、一対の脚部衝突面２６ｂ、２６ｂの形状）が務歯素材７に転写される。カッティングパンチ２４の第一例の場合であれば、務歯素材７の頭部７ａの外周面のうち後面全域が下端から上端に向かって徐々に後方に向かう斜面７ｐになる（図６参照）。また図示しないが、務歯素材７の頭部７ａの外周面のうち左側面全域と、左側の脚部の左側面全域とが下端から上端に向かって徐々に左へ向かう斜面になり、務歯素材７の頭部７ａの外周面のうち右側面全域と、右側の脚部の右側面全域とが下端から上端に向かって徐々に右に向かう斜面になる。したがって務歯素材７の外周面のうちカッティングダイ２２側（下側）の角部７ｚの強度が、たとえば当該外周面を垂直面としたものと比べれば、斜面７ｐの分だけ弱くなる。なおカッティングパンチ２４の第一例の場合に限らず、第二例、第三例の場合であっても、角部７ｚの強度が、たとえば当該外周面を垂直面としたものと比べれば、斜面７ｐの分だけ弱くなる。このようにしてせん断された務歯素材７は、次に頭部加工部３で加工される。

　頭部加工部３は図８、１０に示すように、せん断加工部２の一部でもあるカッティングパンチ２４と、カッティングダイ２２に対して前方向に一直線に整列すると共にカッティングパンチ２４に対して前後方向に相対的に摺動可能であるフォーミングダイ３０と、カッティングパンチ２４に対して前方に離隔して配置されると共にフォーミングダイ３０に対して上下方向に往復動可能なフォーミングパンチ３２と、フォーミングパンチ３２に対して前方に離隔して配置されると共にフォーミングパンチ３２に対して上下方向に往復動可能なプレッシャパッド３４とを備える。そして頭部加工部３は、フォーミングダイ３０とフォーミングパンチ３２とが共同して務歯素材７の頭部７ａを塑性加工して噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄとを成形し、塑性加工するときにプレッシャパッド３４が務歯素材７の一対の脚部７ｂ、７ｂを押さえるものである。

　フォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４はフレームに対して上下方向に直線往復動可能に取り付けられる。フォーミングパンチ３２は図６に示すように、上下方向に延長する棒で、その下端部を先細りとなる山形形状（角錐形状）にしてある。またプレッシャパッド３４は、上下方向に延長する棒で、その棒が一対の脚部７ｂ、７ｂに挟まれるように棒の左右方向の寸法を設定し、その棒の下端部の後面を段差状に凹ませ、その凹みの下面３４ａで頭部７ａの上面を押さえ、その凹みの後面３４ｂで頭部７ａの前面を押さえるようにしてある。

　フォーミングダイ３０はフレームに対して前後方向に直線往復動可能に取り付けられる。またフォーミングダイ３０は図１０に示すように、その上面にはカッティングパンチ２４に対する摺接面３０ａを備えると共に、その上面の前端部であって線材挿通孔２１に対して前方には下方に凹むと共に務歯素材７を収容する成形型部３１を備える。

　フォーミングダイ３０の摺接面３０ａは、カッティングダイ２２の摺接面２２ａと上下方向の位置を同じにしてある。
　成形型部３１は上方から視て務歯素材７の形状にほぼ一致するもので、図６，７に示すように、その前面を開口すると共に、その底面３１ａの後部を前部よりも段差状に低く形成すると共に、その底面３１ａの後部と後面３１ｂの下部と左右側面３１ｃ、３１ｃの下部とを下方に向けて先細りとなる山形形状（角錐状）の斜面３１ｄにし、その後面３１ｂの上部と左右側面３１ｃ、３１ｃの上部を上下方向に平行な鉛直面にしてある。

　上記した頭部加工部３は、せん断加工部２での３）の手順の後に、以下の４）～６）の手順で務歯素材７を塑性加工する。
　４）せん断加工部２で務歯素材７を切り離した後に、ラム２０がさら後退すると、務歯素材７はカッティングパンチ２４の刃面２６に接触したまま押し出される、
　５）ラム２０が後退限の位置に達すると、務歯素材７はフォーミングダイ３０の成形型部３１の真上に達する。続いて成形型部３１の上方からフォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４が下降して、プレッシャパッド３４が一対の脚部６ｂ、６ｂを規制すると共に、フォーミングパンチ３２が務歯素材７の頭部７ａを成形型部３１の底面３１ａへ向かって押し込んでいく。詳しくは、フォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４の下降によって、フォーミングダイ３０の成形型部３１に務歯素材７の頭部７ａが完全に入ったときには、務歯素材７の外周面の上端がフォーミングダイ３０の成形型部３１に線状に接触する。より具体的に言えば、図６に示すように、頭部７ａの後面の上端の全周がフォーミングダイ３０の成形型部３１に対して線状に接触する。また図示しないが、頭部７ａの左右側面の上端の全周、左側の脚部７ｂにおける左側面の上端の全周、右側の脚部７ｂにおける右側面の上端の全周がフォーミングダイ３０の成形型部３１に線状に接触する。
　そしてさらにフォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４が下降すると、図７に示すように務歯素材７の外周面のうち下側の角部７ｚは、成形型部３１の斜面３１ｄに衝突し、最終的には、頭部７ａの下面が成形型部３１の底面３１ａに押し付けられて、頭部７ａには噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄが形成される。斜面７ｐを備える務歯素材７は、その下側の角部７ｚの強度が弱いことから、務歯素材７の角部７ｚと成形型部３１の斜面３１ｄとの衝突したときの衝撃が、従来のような斜面のない務歯素材に比べて、小さくなるので、フォーミングダイ３０が摩耗しづらくなり、フォーミングダイ３０の耐久性が向上する。
　６）フォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４が上昇する。このようにして噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄが形成された務歯素材７は、次に取付加工部４で加工される。

　取付加工部４は、頭部加工部３の一部でもあるフォーミングダイ３０と、フォーミングダイ３０に対して前方においてファスナーテープ８を上方向に間欠的に供給する図示しないテープ供給装置と、フォーミングダイ３０に対して上方において左右方向に間隔をあけて配置されると共に噛合凸部７ｃと噛合凹部７ｄとが成形された務歯素材７に対してその一対の脚部７ｂ、７ｂを挟んでファスナーテープ８に固定する一対のサイドパンチ４０，４０とを備える。

　取付加工部４は、頭部加工部３での６）の手順の後に、以下の７）～１１）の手順で務歯素材７をファスナーテープ８に取り付ける。
　７）頭部加工部３での６）の手順、つまりフォーミングパンチ３２とプレッシャパッド３４が上昇する手順と相前後して、ラム２０が前進し、カッティングダイ２２とフォーミングダイ３０とを前進させ、フォーミングダイ３０の前端部をファスナーテープ８に接近させる。ラム２０が前進限の位置に達すると、成形型部３１内に収容された務歯素材７の一対の脚部７ｂ、７ｂがファスナーテープ８の左右両側に配置され、一対のサイドパンチ４０，４０が一対の脚部７ｂ、７ｂの左右外側に配置されている。
　８）一対のサイドパンチ４０，４０が一対の脚部７ｂ、７ｂをその左右の間隔を狭めるように押し込んで、一対の脚部７ｂ、７ｂの間にファスナーテープ８が挟持される。
　９）ファスナーテープ８が所定長さだけ上昇し、停止する。
　１０）７）のようにラム２０が前進すると、カッティングパンチ２４の刃面２６は務歯素材７から離れ、ラム２０が前進限に達すると、カッティングパンチ２４の刃面２６の前方には務歯用線材６が供給可能となる。そして図示しない線材供給装置が務歯用線材６を務歯素材１個分の厚みだけカッティングダイ２２の摺接面２２ａよりも上方に供給する。そうするとせん断加工部２での１）の状態に戻る。
　１１）以後２）から１０）を繰り返すことにより、務歯素材７がファスナーテープ８に取り付けられる。

　本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、カッティングパンチ２４の摺接面２５ａは、上記実施形態の各例では、ラム２０とカッティングダイ２２の二つの摺接面２０ａ、２０ｂに摺接する平面であったが、本発明ではこれに限らず、上下方向に段差のある面あっても良い。この場合、カッティングパンチ２４の摺接面２５ａは、ラムに対する摺接面と、カッティングパンチに対する摺接面とが上下方向に段差状に離れているものとする。
　またラム２０とカッティングダイ２２とは、上記実施形態では別部品であったが、本発明ではこれに限らずラムとカッティングダイとが一つの部品であっても良い。
　またスライドファスナー用務歯成形装置１は、上記実施形態では、ラム２０、カッティングダイ２２、フォーミングダイ３０をまとめて直線往復動可能にし、それによってせん断加工部２と頭部加工部３と取付加工部４とを第一の直線方向に順番に備えるものであったが、本発明ではこれに限らず、少なくともせん断加工部を備えるものであれば良く、頭部加工部と、取付加工部とは第一の直線方向から外れた場所に備えるものであっても良い。

　１　務歯成形装置
　２　せん断加工部
　２０　ラム
　２０ａ　摺接面
　２１　線材挿通孔
　２２　カッティングダイ
　２２ａ　摺接面
　２２ｂ　リブ
　２４　カッティングパンチ
　２５　刃部
　２５ａ　摺接面
　２５ｂ　刃先端面
　２６　刃面
　２６ａ　頭部衝突面
　２６ｂ　脚部衝突面
　２６ｐ　斜面
　２６ｑ　垂直面
　２６ｓ　下端の凹形状
　２６ｔ　上端の凹形状
　２７　固定部
　２７ａ　貫通穴
　３　頭部加工部
　３０　フォーミングダイ
　３０ａ　摺接面
　３１　成形型部
　３１ａ　底面
　３１ｂ　後面
　３１ｃ　側面
　３１ｄ　斜面
　３２　フォーミングパンチ
　３４　プレッシャパッド
　３４ａ　凹みの下面
　３４ｂ　凹みの後面
　４　取付加工部
　４０サイドパンチ
　６　務歯用線材
　６ａ　頭部
　６ｂ　脚部
　７　務歯素材
　７ａ　頭部
　７ｂ　脚部
　７ｃ　噛合凸部
　７ｄ　噛合凹部
　７ｐ　斜面
　７ｚ　角部
　θ　角度
　Ｗ１　刃先端面の前端から頭部衝突面までの間隔
　Ｗ２　一対の脚部衝突面の間隔
　８　ファスナーテープ
　９０　カッティングパンチ
　９０ａ　摺接面
　９０ｂ　刃面
　９２　フォーミングダイ
　９２ａ　摺接面
　９３　成形型部
　９３ａ　底面
　９３ｂ　内周面
　９３ｃ　斜面
　９４　プレッシャパッド
　９９　務歯素材
　９９ａ　頭部
　９９ｂ　脚部
　９９ｃ　垂直面
　９９ｄ　角部

Claims

　一対の脚部（６ｂ、６ｂ）を頭部（６ａ）から二又に分岐した形状の務歯用線材（６）をカッティングダイ（２２）と共同してせん断する刃部（２５）であって前記カッティングダイ（２２）に対して相対的に第一の直線方向に摺動可能な前記刃部（２５）を備え、
　前記刃部（２５）は、前記カッティングダイ（２２）に摺接する摺接面（２５ａ）と、前記摺接面（２５ａ）に対して交差する刃先端面（２５ｂ）とを備え、
　前記刃先端面（２５ｂ）は、前記摺接面（２５ａ）に対して直交する第二の直線方向のうち前記カッティングダイ（２２）側から前記刃部（２５）側に向かう方向に供給された前記務歯用線材（６）を、その前記頭部（６ａ）側からせん断する刃面（２６）を備え、
　前記第二の直線方向から視て、前記刃面（２６）は、前記頭部（６ａ）と一対の前記脚部（６ｂ、６ｂ）に衝突するために凹んだ凹形状であると共に、前記凹形状を前記摺接面（２５ａ）側から離れるにつれて広げる斜面（２６ｐ）を備え、
　前記第二の直線方向から視て、前記摺接面（２５ａ）とは反対側の凹形状（２６ｔ）の周方向の全部は、前記摺接面（２５ａ）側の凹形状（２６ｓ）に一致する基準位置と、前記基準位置よりも外側の位置との範囲に存在することを特徴とするスライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチ。
　前記摺接面（２５ａ）とは反対側の前記凹形状（２６ｔ）の周方向の少なくとも一部は、前記斜面（２６ｐ）によって前記基準位置よりも外側の位置に存在することを特徴とする請求項１記載のスライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチ。
　前記刃面（２６）は、前記頭部（６ａ）に衝突する頭部衝突面（２６ａ）と、一対の前記脚部（６ｂ、６ｂ）に衝突する一対の脚部衝突面（２６ｂ、２６ｂ）とを備え、
　前記斜面（２６ｐ）は、前記頭部衝突面（２６ａ）に備えることを特徴とする請求項１又は２記載のスライドファスナー用務歯成形装置のカッティングパンチ。
　前記斜面（２６ｐ）は、前記刃面（２６）のうち前記第二の直線方向の両側の何れかに備えることを特徴とする請求項１、２又は３記載のスライドファスナー用務歯形成装置のカッティングパンチ。