WO2017082269A1 - 積層体の製造方法、半導体デバイスの製造方法、および積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
電子機器の更なる小型化および高性能化のニーズに伴い、電子機器に搭載されるICチップについても更なる小型化および高集積化が求められているが、デバイスウェハの面方向における集積回路の高集積化は限界に近づいている。
しかしながら、厚さ200μm以下のデバイスウェハは非常に薄く、これを加工基板とする半導体デバイス製造用部材も非常に薄いため、このような部材に対して更なる処理を施したり、あるいは、このような部材を単に移動したりする場合等において、部材を安定的に、かつ、損傷を与えることなく支持することは困難である。
上記のような問題を解決すべく、表面にデバイスが設けられた薄型化前の加工基板とキャリア基板とを仮接着剤により仮接着し、加工基板の裏面を研削して薄型化した後に、キャリア基板を剥がす技術が知られている。
また、特許文献2には、基板と上記基板を支持する支持体とを接着剤層を介して貼り合わせ、押圧手段を用いて押圧する押圧工程と、上記押圧工程の後、上記接着剤層を介して貼り合わせた上記基板及び上記支持体を、上記押圧工程を行なう環境の気圧よりも高い気圧の環境下に置く気圧調整工程と、を包含することを特徴とする貼付方法が開示されている。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としたものであって、キャリア基板を常温で機械剥離可能な積層体であって、ボイドが低減され、剥離力安定性に優れた積層体の製造方法、ならびに、半導体デバイスの製造方法および積層体を提供することを目的とする。
<1>キャリア基板を有する第1の部材と、加工基板を有する第2の部材とを有する積層体の製造方法であって、
上記第1の部材と上記第2の部材の少なくとも一方の表面に、仮接着剤層を有し、
上記第1の部材と、上記第2の部材を、上記仮接着剤層が内側となるように、気圧P1の下で圧着し、さらに、気圧P2の下、40℃を超える温度T2で加熱した後、上記加工基板を加工して積層体とすることを含み、
上記仮接着剤層は、上記圧着時の温度T1における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’1が1,000,000Pa以下であり、上記温度T2における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’2が1,000,000Pa以下であり、
上記気圧P1と気圧P2がLog(P2/P1)≧2.1を満たし、
上記キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である、
積層体の製造方法;
ここで、上記剥離時の力は、上記積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、上記キャリア基板を上記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたときの力である。
<2>上記仮接着剤層がフッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含む、<1>に記載の積層体の製造方法。
<3>上記気圧P1が、1013Pa未満である、<1>または<2>に記載の積層体の製造方法。
<4>上記気圧P2が、10,000Pa以上である、<1>~<3>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<5>上記温度T1と上記温度T2が、T1<T2を満たす、<1>~<4>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<6>上記温度T1と上記温度T2が、T1+20≦T2を満たす、<1>~<4>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<7>上記第1の部材および第2の部材は、それぞれ独立に、仮接着剤層を有する、<1>~<6>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<8>上記気圧P1の下で圧着時に加熱を行い、かつ、上記加熱温度T1が、110℃以上である、<1>~<7>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<9>上記温度T2が130℃以上である、<1>~<8>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<10>上記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、<1>~<9>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<11>上記加工は、160℃以上300℃以下の温度で加熱することである、<1>~<10>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<12>上記加工は、上記加工基板の仮接着剤層から遠い側の面を薄型化することである、<1>~<10>のいずれかに記載の積層体の製造方法。
<13>上記薄型化加工により、加工基板の厚さを100μm以下とする、<12>に記載の積層体の製造方法。
<14><1>~<13>のいずれかに記載の積層体の製造方法を含み、さらに、上記積層体から、40℃以下の温度で少なくともキャリア基板を剥離することを含む、半導体デバイスの製造方法。
<15>キャリア基板と、仮接着剤層と、加工基板を有する積層体であって、
周波数140MHzの超音波顕微鏡で観察した際の、直径1mm以上のボイドが150個/m2未満であり、
上記キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である積層体;
ここで、上記剥離時の力は、上記積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、上記キャリア基板を上記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたときの力である。
<16>上記仮接着剤層の厚さが、10~150μmである、<15>に記載の積層体。
<17>上記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、<15>または<16>に記載の積層体。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書中における「活性光線」または「放射線」は、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
本明細書において、「光」とは、活性光線または放射線を意味している。
本明細書において、「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、紫外線、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光(Extreme Ultra-Violet)等による露光のみならず、電子線およびイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC-8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mm(内径)×15.0cm)を、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N-メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
オリゴマーとは、重量平均分子量が500以上2000未満の化合物と定義する。また、ポリマーとは、重量平均分子量が2000以上の化合物と定義する。
本発明における厚さ等は特に述べない限り、平均厚さを意味するものとする。
上記仮接着剤層は、上記圧着時の温度T1における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’1が1,000,000Pa以下であり、上記温度T2における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’2が1,000,000Pa以下であり、上記気圧P1と気圧P2がLog(P2/P1)≧2.1を満たし、上記キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である、積層体の製造方法であることを特徴とする。
ここで、上記剥離時の力(剥離力)は、上記積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、上記キャリア基板を上記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたときの力である。剥離力は、10N以上50N未満で剥離可能であることが好ましく、10N以上30N未満で剥離可能であることがより好ましい。
このような構成とすることにより、40℃以下で剥離可能な積層体において、積層体中のボイドの発生を効果的に抑制でき、剥離力安定性を向上させることができる。すなわち、従来の積層体の製造方法では、表面に配線、バンプ、ピラー、パッド等の凸部、あるいは、スクライブライン、コンフォーマルビア等の凹部(以下、これらをまとめて「凹凸部」ということがある)が多い加工基板とキャリア基板を、仮接着剤層を介して圧着すると、得られる積層体中にボイドが発生しやすいことが分かった。本発明では、ボンディング後に、ボンディング時よりも高い気圧下で、加熱することにより、ボンディング後に認められたボイドを低減・消失させることが可能であることを見出した。このメカニズムは推定ではあるが、真空等の低い気圧下でも埋まりきらない微小なボイドが、上記より高い気圧下で加熱することにより、ボイド内外で差圧が生じ、ボイドが消失すると推定される。
さらに、本発明では、このようにボイドを減らし、かつ、積層体製造時の加熱圧着条件を上記の通りとすることにより、積層体からキャリア基板を剥離する際の剥離力安定性を効果的に向上させることが可能になる。加えて、40℃以下で機械剥離が可能である。
ここで、上述のとおり、上記特許文献1には、加熱及び加圧により気泡の脱気ができることが記載されている。しかしながら、加工基板とキャリア基板の接着に用いる仮接着剤層の貯蔵弾性率については記載がない。本発明者が検討を行ったところ、圧着時および圧着後の加熱時の貯蔵弾性率が剥離力安定性に大きな影響を与えることが分かった。すなわち、本発明では、圧着時および圧着後の加熱時の貯蔵弾性率を上記範囲とすることによって、剥離力安定性を大幅に向上させている。さらに、上記貯蔵弾性率とすることにより、剥離性にも優れたものとすることができる。
一方、特許文献2にも、加熱及び加圧により気泡の脱気ができることが記載されている。しかしながら、特許文献2で用いられている接着剤を40℃以下の温度で機械剥離することはできない。これに対し、本発明では、上記構成としつつ、40℃以下での機械剥離が可能な条件で貼りあわせることにより、剥離力安定性に優れた積層体の製造方法の提供に成功したものである。
尚、機械剥離とは、光や熱の照射、薬剤等による化学的処理を行わずに、積層体からキャリア基板を剥離できることをいい、必ずしも機械を使って剥離する必要はなく、手で剥離する場合も含まれる趣旨である。
本発明の積層体の製造方法の第1の実施形態は、図1に示す通り、第1の部材としてのキャリア基板1と、第2の部材としての加工基板2と、上記加工基板の表面に設けられた仮接着剤層3とを、仮接着剤層が内側となるように圧着する態様である。加工基板2は通常、バンプ、ピラー等の凹凸部4を有する。仮接着剤層3は1層のみであってもよいし、2層以上であってもよいが、通常は1層である。仮接着剤層が2層以上の場合は、それぞれの層の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の積層体の第2の実施形態は、第1の部材としてのキャリア基板1と上記キャリア基板の表面に設けられた仮接着剤層3と、第2の部材としての加工基板2を、仮接着剤層が内側となるように圧着する態様である。仮接着剤層3は1層のみであってもよいし、2層以上であってもよいが、通常は1層である。仮接着剤層が2層以上の場合は、それぞれの層の組成は同一であってもよいし、異なっていてもよいが、接着する基板の接着力によって組成を調節するのが好ましい。
本発明の方法は、第3の実施形態が好ましい。これは、仮接着剤層を、キャリア基板と加工基板との双方の表面に設けた場合の方が、加工基板の凹凸を予めある程度平坦化しておくことができるため、結果として、圧着時のボイドが発生しにくくなるためである。
仮接着剤層の組成や製造方法等の詳細は、後述する。
圧着時の圧力は、0.01~1MPaが好ましい。
また、圧着時の温度T1は、特に定めるものではないが、110℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好ましく、155℃以上が一層好ましく、170℃以上がより一層好ましく、190℃以上がさらに一層好ましい。また、上限値としては、240℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましい。
上記気圧P1での圧着時の加熱は多段階加熱であってもよく、例えば、T11の温度(℃)でY11の時間加熱し、さらに、T12の温度(℃)でY12の時間加熱した場合、温度T1は以下の通りとする。
T1=T11×Y11/(Y11+Y12)+T12×Y12/(Y11+Y12)
三段階目以降の加熱についても、同様に考える。また、後述する温度T2、T0についても、同様に考える。
また、仮接着剤層は、圧着時の温度T1における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’1が1,000,000Pa以下であり、800,000Pa以下であることが好ましく、600,000Pa以下であることがより好ましく、400,000Pa以下とすることもできる。下限値については特に定めるものではないが、例えば、100,000Pa以上、さらには、200,000Pa以上とすることができる。このような範囲とすることにより、仮接着剤が液化して部材の端面から流れ出ることなく、また、よく変形し、仮接着剤層が平滑な積層体を作製することができる。
気圧P1での圧着時間は特に定めるものではないが、例えば、1~15分とすることができる。
本発明における測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法で測定される。実施例で用いる測定機器が廃版等の場合、他の同等の性能を有する機器を採用することができる。以下、測定方法について、同様である。
気圧P2は、10,000Pa以上であることが好ましく、15,000Pa以上であることが好ましく、100,000Pa以上がより好ましい。気圧2の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、200,000Pa以下とすることができ130,000Pa以下が好ましい。
また、気圧P2での圧着(加熱)時の温度T2は、40℃を超える温度であり、130℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、160℃以上がさらに好ましく、175℃以上が一層好ましく、185℃以上がより一層好ましく、195℃以上がさらに一層好ましく、210℃以上が特に一層好ましい。また、上限値としては、特に定めるものではないが、260℃以下、さらには、240℃以下とすることができる。
また、仮接着剤層は、気圧P2での圧着(加熱)時の温度T2における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’2が1,000,000Pa以下であり、800,000Pa以下であることが好ましく、600,000Pa以下であることがより好ましく、400,000Pa以下とすることもできる。下限値については特に定めるものではないが、例えば、100,000Pa以上、さらには、200,000Pa以上とすることができる。
気圧P2での圧着(加熱)時間は特に定めるものではないが、例えば、1~15分とすることができる。
本発明の積層体の製造方法の好ましい第2の実施形態として、Log(P2/P1)≧2.5であり、T1+15≦T2であり、圧着時の温度T1は、150℃以上、好ましくは170℃以上である態様が例示される。
本発明の積層体の製造方法の好ましい第3の実施形態として、Log(P2/P1)≧3.5であり、T1+10≦T2、好ましくはT1+15≦T2であり、圧着時の温度T1は、140℃以上、好ましくは150℃以上である態様が例示される。
本発明の積層体の製造方法の特に好ましい実施形態として、仮接着剤層がスチレン構造を含む熱可塑性エラストマーであり、Log(P2/P1)≧3.5であり、T1+15≦T2であり、圧着時の温度T1は、170℃以上である態様が例示される。
上記加工の第1の実施形態としては、上記加工が160℃以上300℃以下の温度で加熱することである態様が例示される。
薄型化は、機械的に、例えば、研磨等によって行ってもよいし、化学的な処理によって薄型化してもよい。機械的または化学的な処理は、特に限定されないが、例えば、グライディングや化学機械研磨(CMP)等の薄型化処理、化学気相成長(CVD)や物理気相成長(PVD)などの高温・真空下での処理、有機溶剤、酸性処理液や塩基性処理液などの薬品を用いた処理、めっき処理、活性光線の照射、加熱・冷却処理などが挙げられる。
機械的または化学的な処理を施して薄型化した後の加工基板の厚さは、例えば、500μm未満が好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下が更に好ましく、100μm以下が一層好ましく、50μm以下がより一層好ましい。下限は、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。ここでの加工基板の厚さとは、凹凸部の厚さを除いた基板面の厚さをいう。
また、機械的または化学的な処理において、加熱処理における最高到達温度は130℃~400℃が好ましく、180℃~350℃がより好ましい。加熱処理における最高到達温度は仮接着剤層の分解温度よりも低い温度とすることが好ましい。加熱処理は、最高到達温度での30秒~30分の加熱であることが好ましく、最高到達温度での1分~10分の加熱であることがより好ましい。
剥離は、例えば、何ら処理することなくキャリア基板の端部から加工基板に対して垂直方向に引き上げて剥離することが好ましい。より具体的には、積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、キャリア基板を加工基板に対し、垂直方向に、10~80Nの力で引き上げることが好ましく、10N以上50N未満で引き上げることがより好ましく、10N以上30N未満で引き上げることがさらに好ましい。このとき、キャリア基板と仮接着剤層の隙間にナイフなどで切り込みを入れてから剥離することも好ましい。上記分離の際の速度は、30~70mm/分であることが好ましく、40~60mm/分であることがより好ましい。
剥離の際の温度は、好ましくは40℃以下、より好ましくは10~40℃、さらに好ましくは20~30℃である。
上述の他、剥離液を用いて、仮接着剤層を溶解して、キャリア基板と加工基板に分離してもよい。この場合の剥離液としては、後述する仮接着剤層の除去に用いる剥離液を用いることができる。
仮接着剤層の除去手段としては、特に定めるものではないが、以下の方法が好ましい。
除去は、仮接着剤層を薄型化した加工基板の基板面に対して60°~180°の角度をなすように引き上げて剥離することが好ましい。このような角度で剥離することにより、小さい力で良好に剥離することができる。また、仮接着剤層を層状の状態のままで剥離しやすくなる。剥離の手段としては、手で剥離する、機器を用いて剥離する等の手段が例示される。剥離力は、接着条件等にもよるが、例えば、10~135Nとすることができる。上記剥離の際の薄型化した加工基板の基板面に対するなす角の下限値は、90°以上が好ましい。また、上記角度の上限値は、150°以下が好ましい。
さらに剥離性の観点から、2種以上の有機溶剤および水、2種以上のアルカリ、酸および界面活性剤を混合する形態も好ましい。さらに必要に応じ、消泡剤および硬水軟化剤のような添加剤を含有することもできる。
アルカリ、酸および界面活性剤としては、特開2014-189696号公報の段落番号0170~0176の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
例えば、キャリア基板としてシリコン基板を使用した場合、従来既知のシリコンウェハの洗浄方法を使用することができ、例えば化学的に除去する場合に使用できる水溶液または有機溶剤としては、強酸、強塩基、強酸化剤、またはそれらの混合物が挙げられ、具体的には、硫酸、塩酸、フッ酸、硝酸、有機酸などの酸類、テトラメチルアンモニウム、アンモニア、有機塩基などの塩基類、過酸化水素などの酸化剤、またはアンモニアと過酸化水素の混合物、塩酸と過酸化水素水の混合物、硫酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸と過酸化水素水の混合物、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合物などが挙げられる。
洗浄液は、pKaが0未満の酸(強酸)と過酸化水素を含んでいることが好ましい。pKaが0未満の酸としては、ヨウ化水素、過塩素酸、臭化水素、塩化水素、硝酸、硫酸などの無機酸、又はアルキルスルホン酸、アリールスルホン酸などの有機酸から選択される。キャリア基板上の仮接着剤層の洗浄性の観点から無機酸であることが好ましく、硫酸が最も好ましい。
本発明で用いる仮接着剤層は、通常、仮接着剤組成物を用いて形成される。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、樹脂を含むことが好ましく、樹脂と溶剤を含むことがより好ましい。さらに、本発明で用いる仮接着剤組成物は、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含むことが好ましい。
本発明で用いる樹脂は、上述の仮接着剤層の貯蔵弾性率を達成する樹脂が好ましく、通常はエラストマーである。エラストマーを使用することで、キャリア基板や加工基板の微細な凹凸にも追従し適度なアンカー効果により、接着性に優れた仮接着剤層を形成できる。また、加工基板からキャリア基板を剥離する際に、加工基板などに応力をかけることなく、キャリア基板を加工基板から剥離でき、加工基板上のデバイス等の破損や剥落を防止できる。
なお、本明細書において、エラストマーとは、弾性変形を示す高分子化合物を表す。すなわち外力を加えたときに、その外力に応じて瞬時に変形し、かつ外力を除いたときには、短時間に元の形状を回復する性質を有する高分子化合物と定義する。
仮接着剤層に含まれる樹脂としては、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体、アクリル樹脂、各種ブロック共重合体が例示され、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含むことが好ましく、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体およびシクロオレフィン系重合体の少なくとも1種を含むことがより好ましく、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーを含むことがさらに好ましい。
仮接着剤組成物は、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーを含有することが好ましい。スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、スチレン由来の繰り返し単位を全繰り返し単位中に含有するエラストマーである。
スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーは、元の大きさを100%としたときに、室温(25℃)において小さな外力で200%まで変形させることができ、かつ外力を除いたときに、短時間で130%以下に戻る性質を有することが好ましい。
なお、ここでいう不飽和二重結合量は、スチレン由来のベンゼン環内の不飽和二重結合の量を含まない。不飽和二重結合量は、核磁気共鳴(NMR)測定により算出することができる。
エラストマーXとエラストマーYとを併用することで、優れた剥離性を有しつつ、基板の研磨面の平坦性(以下、平坦研磨性ともいう)が良好で、研磨後の基板の反りの発生を効果的に抑制できる。このような効果が得られるメカニズムは、以下によるものと推測できる。
すなわち、上記エラストマーXは、比較的硬い材料であるため、エラストマーXを含むことで、剥離性に優れた仮接着剤層を製造できる。また、エラストマーYは、比較的柔らかい材料であるため、弾性を有する仮接着剤層を形成しやすい。このため、上記仮接着剤組成物を用いて加工基板とキャリア基板との積層体を製造し、加工基板を研磨して薄型化する際に、研磨時の圧力が局所的に加わっても、仮接着剤層が弾性変形して元の形状に戻り易い。その結果、優れた平坦研磨性が得られる。また、研磨後の積層体を、加熱処理し、その後冷却しても、仮接着剤層によって、冷却時に発生する内部応力を緩和でき、反りの発生を効果的に抑制できる。
また、エラストマーXにエラストマーYを配合しても、エラストマーXが相分離する領域が存在すること等により、エラストマーXによる優れた剥離性は十分に達成される。
エラストマーXの硬度は、83以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上がさらに好ましい。上限値は、特に定めるものではないが、例えば、99以下である。なお、硬度は、JIS(日本工業規格)K6253の方法に従い、タイプAデュロメーターで測定した値である。
エラストマーYの硬度は、82以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、78以下であることがさらに好ましい。下限値は、特に定めるものではないが、1以上である。
また、エラストマーXの硬度と、エラストマーYの硬度の差は、5~40であることが好ましく、10~35であることがより好ましく、15~33であることが好ましく、17~29であることがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
また、上記エラストマーXと上記エラストマーYとの質量比は、エラストマーX:エラストマーY=5:95~95:5が好ましく、20:80~90:10がより好ましく、40:60~85:15が特に好ましい。上記範囲であれば、反り抑制と剥離性がより効果的に達成される。
本発明の仮接着剤組成物は、樹脂成分として、熱可塑性シロキサン重合体を用いることができる。
熱可塑性シロキサン重合体は、R21R22R23SiO1/2単位(R21、R22、R23はそれぞれ、非置換又は置換の炭素原子数1~10の1価炭化水素基又は水酸基である。)及びSiO4/2単位を含有し、上記R21R22R23SiO1/2単位/SiO4/2単位のモル比が0.6~1.7であるオルガノポリシロキサンと、下記一般式(1)で表わされるオルガノポリシロキサンとが、部分的に脱水縮合したものであって、上記脱水縮合させるオルガノポリシロキサンと上記オルガノポリシロキサンとの比率が、99:1~50:50であり、重量平均分子量が200,000~1,500,000であることが好ましい。
市販品としては、SILRES 604(旭化成ワッカーシリコーン)が例示される。
シクロオレフィン系重合体としては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、およびこれら重合体の水素化物などが挙げられる。シクロオレフィン系重合体の好ましい例としては、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、および、一般式(I)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体が挙げられる。また、シクロオレフィン系重合体の他の好ましい例としては、一般式(III)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体が挙げられる。
さらに、Ferrania社よりAppear3000が販売されている。
上記一般式(III)中、R5およびR6は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、X3およびY3は水素原子であることが好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系重合体は、JSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250、同280、同480Rという商品名で市販されており、これらを使用することができる。
また、本発明で用いられるシクロオレフィン系重合体として、特開2013-241568号公報の段落0039~0052に記載のシクロオレフィン系重合体も例示され、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本発明におけるアクリル樹脂は、(メタ)アクリレートモノマーを重合して得られる樹脂であることが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及び2-メチルブチル(メタ)アクリレートが例示される。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他のモノマーを共重合してもよい。他のモノマーを共重合する場合、全モノマーの10モル%以下が好ましい。
一般式(2)
aは50~150であり、bは50~150であり、cは80~600である。また、mは1~10である。
オルガノポリシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂の具体例としては、信越化学工業(株)製、シリコーングラフトアクリル樹脂、商品名:X-24-798A、X-22-8004(R4:C2H4OH、官能基当量:3250(g/mol))、X-22-8009(R4:Si(OCH3)3含有アルキル基、官能基当量:6200(g/mol))、X-22-8053(R4:H、官能基当量:900(g/mol))、X-22-8084、X-22-8084EM、X-22-8195(R4:H、官能基当量:2700(g/mol))、東亞合成(株)製サイマックシリーズ(US-270、US-350、US-352、US-380、US-413、US-450等)、レゼタGS-1000シリーズ(GS-1015、GS-1302等)等が挙げられる。
また、上記の他、三菱レイヨン(株)製、アクリペット MF 001などが例示される。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、溶剤を含有することが好ましい。本発明で用いる仮接着剤組成物を塗布することにより仮接着剤層を形成する場合においては、溶剤を配合することが好ましい。溶剤は、公知のものを制限なく使用でき、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、アルキルオキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3-オキシプロピオン酸メチル、3-アルキルオキシプロピオン酸エチル等(例えば、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等))、2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル))、2-アルキルオキシ-2-メチルプロピオン酸メチルおよび2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル(例えば、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル、1-メトキシ-2-プロピルアセテート等のエステル類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン等のケトン類;
トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、n-ブチルベンゼン、sec-ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、tert-ブチルベンゼン、アミルベンゼン、イソアミルベンゼン、(2,2-ジメチルプロピル)ベンゼン、1-フェニルへキサン、1-フェニルヘプタン、1-フェニルオクタン、1-フェニルノナン、1-フェニルデカン、シクロプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、2-エチルトルエン、1,2-ジエチルベンゼン、o-シメン、インダン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、3-エチルトルエン、m-シメン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、4-エチルトルエン、1,4-ジエチルベンゼン、p-シメン、1,4-ジイソプロピルベンゼン、4-tert-ブチルトルエン、1,4-ジ-tert-ブチルベンゼン、1,3-ジエチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、4-tert-ブチル-o-キシレン、1,2,4-トリエチルベンゼン、1,3,5-トリエチルベンゼン、1,3,5-トリイソプロピルベンゼン、5-tert-ブチル-m-キシレン、3,5-ジ-tert-ブチルトルエン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、ペンタメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;
リモネン、p-メンタン、ノナン、デカン、ドデカン、デカリン等の炭化水素類などが好適に挙げられる。
これらの中でも、メシチレン、tert-ブチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、p-メンタン、γ-ブチロラクトン、アニソール、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが好ましく、tert-ブチルベンゼン、メシチレンがより好ましい。
溶剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。溶剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
仮接着剤層における溶剤含有率は、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、含有しないことが特に好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含むことが好ましい。このような化合物は、通常、離型剤として働き、積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、上記キャリア基板を上記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたとき、10~80Nの力で剥離可能である積層体とすることができる。さらに、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物は、シリコン原子やフッ素原子が、仮接着剤層表層、および基板と仮接着剤層との界面に偏在しやすいため、これらの化合物の量が仮接着剤組成物の樹脂等に対し比較的少なくても、加工基板やキャリア基板に対する剥離性に優れた仮接着剤層を形成できる。
フッ素原子を有する化合物の第1の実施形態としては、液体状の化合物が例示される。液体状の化合物とは、25℃で流動性を有する化合物であって、例えば、25℃での粘度が、1~100,000mPa・sである化合物を意味する。
フッ素原子を有する化合物の25℃での粘度は、例えば、10~20,000mPa・sがより好ましく、100~15,000mPa・sが一層好ましい。フッ素原子を有する化合物の粘度が上記範囲であれば、仮接着剤層の表面にフッ素原子を有する化合物が偏在しやすい。
フッ素原子を有する化合物は、耐熱性等の観点から、オリゴマー、ポリマーおよびこれらの混合物が好ましい。
オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、ラジカル重合体、カチオン重合体、アニオン重合体などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる。なかでも、(メタ)アクリル系重合体が特に好ましい。フッ素原子を有する化合物として、(メタ)アクリル系重合体を用いることで、仮接着剤層の表面にフッ素原子を有する化合物が偏在化しやすく、剥離性に優れるという効果が期待できる。
フッ素原子を有する化合物の重量平均分子量は、500~100000が好ましく、1000~50000がより好ましく、2000~20000が更に好ましい。
このような特性を有するフッ素原子を有する化合物としては、反応性基を有さない、非熱硬化性化合物であることが好ましい。ここでいう反応性基とは、250℃の加熱で反応する基全般を指し、重合性基、加水分解性基などが挙げられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル基、エポキシ基、イソシアナト基などが挙げられる。
非熱硬化性化合物としては、1種または2種以上の含フッ素単官能モノマーからなる重合体を好ましく使用できる。より具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレンオキシド、ヘキサフルオロプロペンオキシド、パーフルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上の含フッ素単官能モノマーの単独重合体又はこれらモノマーの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とエチレンとの共重合体、含フッ素単官能モノマーの1種又は2種以上とクロロトリフルオロエチレンとの共重合体から選ばれる少なくとも1種の含フッ素樹脂等を挙げることができる。
直鎖アルキル基の炭素数は、2~30が好ましく、4~30がより好ましく、6~30がさらに好ましく、12~20が特に好ましい。
分岐アルキル基の炭素数は、3~30が好ましく、4~30がより好ましく、6~30がさらに好ましく、12~20が特に好ましい。
環状アルキル基は、単環であってもよく、多環であってもよい。環状アルキル基の炭素数は、3~30が好ましく、4~30がより好ましく、6~30がさらに好ましく、12~20が最も好ましい。
直鎖または分岐アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルヘキシル基が挙げられる。
環状アルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基、ピネニル基が挙げられる。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、芳香族基などが挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましい。
芳香族基は、上述した置換基を有していてもよい。
フッ素原子を有する化合物が親油基とフッ素基を有する化合物である場合、親油基はフッ素原子を含んでいてもよく、含んでいなくてもよいが、親油基はフッ素原子を含まないことが好ましい。
フッ素原子を有する化合物は、一分子中に親油基を1個以上有し、2~100個有することが好ましく、6~80個有することが特に好ましい。
含フッ素アルキル基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15がより好ましい。含フッ素アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキル基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基であってもよい。
含フッ素アルキレン基の炭素数は、2~30が好ましく、2~20がより好ましく、2~15がより好ましい。含フッ素アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよい。また、エーテル結合を有していてもよい。また、含フッ素アルキレン基は、水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキレン基であってもよい。
フッ素原子の含有率は、「{(1分子中のフッ素原子数×フッ素原子の質量)/1分子中の全原子の質量}×100」で定義される。
また、親油基を有するフッ素原子を有する化合物として市販されているものとしては、例えば、DIC社製メガファックシリーズのF-251、F-281、F-477、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-563、F-565、F-567、F-568、F-571、R-40、R-41、R-43、R-94や、ネオス社製フタージェントシリーズの710F、710FM、710FS、710FL、730FL、730LMが挙げられる。
本発明において、シリコン原子を含有する化合物は、オリゴマー、ポリマーのいずれの形態の化合物であっても好ましく用いることができる。また、オリゴマーとポリマーとの混合物であってもよい。かかる混合物には、モノマーを更に含んでいてもよい。また、シリコン原子を含有する化合物は、モノマーであってもよい。
シリコン原子を含有する化合物は、耐熱性等の観点から、オリゴマー、ポリマーおよびこれらの混合物が好ましい。
オリゴマー、ポリマーとしては、例えば、付加重合物、重縮合物、付加縮合物など、特に限定なく使用できるが、重縮合物が特に好ましい。
シリコン原子を含有する化合物の重量平均分子量は、500~100000が好ましく、1000~50000がより好ましく、2000~20000が更に好ましい。
このような特性を有するシリコン原子を含有する液体状化合物としては、反応性基を有さない、非硬化性化合物であることが好ましい。ここでいう反応性基とは、加熱あるいは放射線の照射で反応する基全般を指し、エチレン性不飽和結合に加え、他の重合性基、加水分解性基などが挙げられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル基、エポキシ基、イソシアナト基などが挙げられる。
また、シリコン原子を含有する化合物は、25℃から、20℃/分で昇温した10%熱質量減少温度が、250℃以上であることが好ましく、280℃以上がより好ましい。また、上限値は、特に限定はないが、例えば、1000℃以下が好ましく、800℃以下がより好ましい。この態様によれば、耐熱性に優れた仮接着剤層を形成しやすい。なお、熱質量減少温度とは、熱重量測定装置(TGA)により、窒素気流下において、上記昇温条件で測定した値である。
アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、芳香族基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、フッ素原子が好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~10がさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖または分岐が好ましい。
シクロアルキル基は、上述した置換基を有していてもよい。
芳香族基は、上述した置換基を有していてもよい。置換基としては、直鎖アルキル基が好ましい。
一般式(4)
また、L1は、-O-、またはポリエーテル鎖を含む連結基を表す。
また、上記一般式において、R1およびR2の一方は、ポリエーテル鎖を含む有機基であることも好ましい形態として挙げられる。上記ポリエーテル鎖を含む有機基におけるポリエーテル構造としては、エーテル結合を複数有する構造であればよく、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール構造(ポリエチレンオキサイド構造)、ポリプロピレングリコール構造(ポリプロピレンオキサイド構造)、ポリブチレングリコール構造(ポリテトラメチレングリコール構造)、複数種のアルキレングリコール(又はアルキレンオキサイド)に由来するポリエーテル構造(例えば、ポリ(プロピレングリコール/エチレングリコール)構造など)等のポリオキシアルキレン構造が挙げられる。なお、複数種のアルキレングリコールに由来するポリエーテル構造における、それぞれのアルキレングリコールの付加形態は、ブロック型(ブロック共重合型)であってもよいし、ランダム型(ランダム共重合型)であってもよい。
市販品としては、商品名「BYK-300」、「BYK-301/302」、「BYK-306」、「BYK-307」、「BYK-310」、「BYK-315」、「BYK-313」、「BYK-320」、「BYK-322」、「BYK-323」、「BYK-325」、「BYK-330」、「BYK-331」、「BYK-333」、「BYK-337」、「BYK-341」、「BYK-344」、「BYK-345」、「BYK-346」、「BYK-347」、「BYK-348」、「BYK-349」、「BYK-370」、「BYK-375」、「BYK-377」、「BYK-378」、「BYK-UV3500」、「BYK-UV3510」、「BYK-UV3570」、「BYK-3550」、「BYK-SILCLEAN3700」、「BYK-SILCLEAN3720」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製)、商品名「AC FS 180」、「AC FS 360」、「AC S 20」(以上、Algin Chemie製)、商品名「ポリフローKL-400X」、「ポリフローKL-400HF」、「ポリフローKL-401」、「ポリフローKL-402」、「ポリフローKL-403」、「ポリフローKL-404」、「ポリフローKL-700」(以上、共栄社化学(株)製)、商品名「KP-301」、「KP-306」、「KP-109」、「KP-310」、「KP-310B」、「KP-323」、「KP-326」、「KP-341」、「KP-104」、「KP-110」、「KP-112」、「KP-360A」、「KP-361」、「KP-354」、「KP-355」、「KP―356」、「KP-357」、「KP-358」、「KP-359」、「KP-362」、「KP-365」、「KP-366」、「KP-368」、「KP-369」、「KP-330」、「KP-650」、「KP-651」、「KP-390」、「KP-391」、「KP-392」(以上、信越化学工業(株)製)、商品名「LP-7001」、「LP-7002」、「SH28PA」、「8032 ADDITIVE」、「57 ADDITIVE」、「L-7604」、「FZ-2110」、「FZ-2105」、「67 ADDITIVE」、「8618 ADDITIVE」、「3 ADDITIVE」、「56 ADDITIVE」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、「TEGO WET 270」(エボニック・デグサ・ジャパン(株)製)、「NBX-15」(ネオス(株)製)、ADVALON FA33、FLUID L03、FLUID L033、FLUID L051、FLUID L053、FLUID L060、FLUID L066、IM22、WACKER-Belsil DMC 6038(以上、旭化成ワッカーシリコーン(株)製)、KF-352A、KF-353、KF-615A、KP-112、KP-341、X-22-4515、KF-354L、KF-355A、KF-6004、KF-6011、KF-6011P、KF-6012、KF-6013、KF-6015、KF-6016、KF-6017、KF-6017P、KF-6020、KF-6028、KF-6028P、KF-6038、KF-6043、KF-6048、KF-6123、KF-6204、KF-640、KF-642、KF-643、KF-644、KF-945、KP-110、KP-355、KP-369、KS-604、Polon SR-Conc、X-22-4272、X-22-4952(以上、信越化学工業(株)製)、8526 ADDITIVE、FZ-2203、FZ-5609、L-7001、SF 8410、2501 COSMETIC WAX、5200 FORMULATION AID、57 ADDITIVE、8019 ADDITIVE、8029 ADDITIVE、8054 ADDITIVE、BY16-036、BY16-201、ES-5612 FORMULATION AID、FZ-2104、FZ-2108、FZ-2123、FZ-2162、FZ-2164、FZ-2191、FZ-2207、FZ-2208、FZ-2222、FZ-7001、FZ-77、L-7002、L-7604、SF8427、SF8428、SH 28 PAINR ADDITIVE、SH3749、SH3773M、SH8400、SH8700(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、Silwet L-7001、Silwet L-7002、Silwet L-720、Silwet L-7200、Silwet L-7210、Silwet L-7220、Silwet L-7230、Silwet L-7605、TSF4445、TSF4446、TSF4452、Silwet Hydrostable 68、Silwet L-722、Silwet L-7280、Silwet L-7500、Silwet L-7550、Silwet L-7600、Silwet L-7602、Silwet L-7604、Silwet L-7607、Silwet L-7608、Silwet L-7622、Silwet L-7650、Silwet L-7657、Silwet L-77、Silwet L-8500、Silwet L-8610、TSF4440、TSF4441、TSF4450、TSF4460(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)が例示される。
フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物の合計含有量が上記範囲であれば、塗布性および剥離性により優れる。特に本発明では、仮接着剤組成物(または、仮接着剤層)中のフッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物の量が少なくても、本発明の効果を達成できる点で価値が高い。
フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、合計の含有量が上記範囲であることが好ましい。
本発明の仮接着剤層が多層である場合には、フッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物は両方に含まれても良いし片方のみに含まれていても良い。それぞれの層の含有量の好ましい範囲は前述の範囲と同じである。また、層同士で異なる量を含有させても良く、特に剥離力を高めたい仮接着剤層に多く含有させるのが好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、加熱時の酸化によるエラストマーの低分子化やゲル化を防止する観点から、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、キノン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが使用できる。
フェノール系酸化防止剤としては例えば、パラ-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、BASF(株)製「Irganox1010」、「Irganox1330」、「Irganox3114」、「Irganox1035」、住友化学(株)製「Sumilizer MDP-S」、「Sumilizer GA-80」などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては例えば、3,3’-チオジプロピオネートジステアリル、住友化学(株)製「Sumilizer TPM」、「Sumilizer TPS」、「Sumilizer TP-D」などが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては例えば、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ポリ(ジプロピレングリコール)フェニルホスフィト、ジフェニルイソデシルホスフィト、2-エチルヘキシルジフェニルホスフィト、トリフェニルホスフィト、BASF(株)製「Irgafos168」、「Irgafos38」などが挙げられる。
キノン系酸化防止剤としては例えば、パラ-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノンなどが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては例えば、ジメチルアニリンやフェノチアジンなどが挙げられる。
酸化防止剤は、Irganox1010、Irganox1330、3,3’-チオジプロピオネートジステアリル、Sumilizer TP-Dが好ましく、Irganox1010、Irganox1330がより好ましく、Irganox1010が特に好ましい。
また、上記酸化防止剤のうち、フェノール系酸化防止剤と、硫黄系酸化防止剤またはリン系酸化防止剤とを併用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが特に好ましい。特に、エラストマーとして、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマーを使用した場合において、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用することが好ましい。このような組み合わせにすることにより、酸化反応によるエラストマーの劣化を、効率よく抑制できる効果が期待できる。フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤とを併用する場合、フェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤との質量比は、フェノール系酸化防止剤:硫黄系酸化防止剤=95:5~5:95が好ましく、25:75~75:25がより好ましい。
酸化防止剤の組み合わせとしては、Irganox1010とSumilizer TP-D、Irganox1330とSumilizer TP-D、および、Sumilizer GA-80とSumilizer TP-Dが好ましく、Irganox1010とSumilizer TP-D、Irganox1330とSumilizer TP-Dがより好ましく、Irganox1010とSumilizer TP-Dが特に好ましい。
酸化防止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。酸化防止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、ラジカル重合性化合物を含むことも好ましい。ラジカル重合性化合物を含む仮接着剤組成物を用いることで、加熱時における仮接着剤層の流動変形を抑制しやすい。このため、例えば、加工基板を研磨した後の積層体を加熱処理する場合などにおいて、加熱時における仮接着剤層の流動変形を抑制でき、反りの発生を効果的に抑制できる。また、硬度のある仮接着剤層を形成できるので、加工基板の研磨時に圧力が局所的に加わっても、仮接着剤層が変形しにくく、平坦研磨性が優れる。
また、本発明で用いる仮接着剤組成物において、ラジカル重合性化合物を添加する場合のエラストマーとラジカル重合性化合物との質量割合は、エラストマー:ラジカル重合性化合物=98:2~10:90が好ましく、95:5~30:70がより好ましく、90:10~50:50が特に好ましい。エラストマーとラジカル重合性化合物との質量割合が上記範囲であれば、接着性、平坦研磨性、剥離性および反り抑制に優れた仮接着剤層を形成できる。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、上記以外の触媒、充填剤、密着促進剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤、エラストマーや他の高分子化合物等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その配合量は、それぞれ、仮接着剤組成物の全固形分の3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。配合する場合の下限値は、それぞれ、0.0001質量%以上が好ましい。また、これらの添加剤の合計配合量は、仮接着剤組成物の全固形分の10質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。これらの成分を配合する場合の合計配合量の下限値は、0.0001質量%以上が好ましい。
仮接着剤組成物から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、フィルタを用いた濾過を挙げることができる。フィルタ孔径としては、ポアサイズ10nm以下が好ましく、5nm以下がより好ましく、3nm以下が更に好ましい。フィルタの材質としては、ポリテトラフロロエチレン製、ポリエチレン製、ナイロン製のフィルタが好ましい。フィルタは、有機溶剤であらかじめ洗浄したものを用いてもよい。フィルタ濾過工程では、複数種のフィルタを直列又は並列に接続して用いてもよい。複数種のフィルタを使用する場合は、孔径及び/又は材質が異なるフィルタを組み合わせて使用しても良い。また、各種材料を複数回濾過してもよく、複数回濾過する工程が循環濾過工程であっても良い。
また、仮接着剤組成物に含まれる金属等の不純物を低減する方法としては、仮接着剤組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、仮接着剤組成物を構成する原料に対してフィルタ濾過を行う、装置内をポリテトラフロロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。仮接着剤組成物を構成する原料に対して行うフィルタ濾過における好ましい条件は、上述した条件と同様である。
フィルタ濾過の他、吸着材による不純物の除去を行っても良く、フィルタ濾過と吸着材を組み合わせて使用しても良い。吸着材としては、公知の吸着材を用いることができ、例えば、シリカゲル、ゼオライトなどの無機系吸着材、活性炭などの有機系吸着材を使用することができる。
本発明で用いる仮接着剤組成物は、上述の各成分を混合して調製することができる。各成分の混合は、通常、0℃~100℃の範囲で行われる。また、各成分を混合した後、例えば、フィルタでろ過することが好ましい。ろ過は、多段階で行ってもよいし、多数回繰り返してもよい。また、ろ過した液を再ろ過することもできる。
フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているものであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン-6、ナイロン-6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のものを含む)等によるフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
フィルタの孔径は、例えば、0.003~5.0μm程度が適している。この範囲とすることにより、ろ過詰まりを抑えつつ、組成物に含まれる不純物や凝集物など、微細な異物を確実に除去することが可能となる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせても良い。その際、第1のフィルタでのフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。異なるフィルタを組み合わせて2回以上フィルタリングを行う場合は1回目のフィルタリングの孔径より2回目以降の孔径が同じ、もしくは小さい方が好ましい。また、上述した範囲内で異なる孔径の第1のフィルタを組み合わせてもよい。ここでの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
仮接着剤層は、上述のとおり、キャリア基板および加工基板の少なくとも一方の表面に形成する。キャリア基板にのみ仮接着剤層を形成して加工基板と貼り合わせても良いし、加工基板にのみ仮接着剤層を形成してキャリア基板と貼り合わせても良い。キャリア基板と加工基板の両方に仮接着剤層を設けて両者を貼り合わせる態様が好ましい。仮接着剤層の形成は、従来公知のスピンコート法、スプレー法、スリットコート法、ローラーコート法、フローコート法、ドクターコート法、浸漬法などを用いておこなうことができる。次いで、通常、仮接着剤組成物は溶剤を含むため、加熱を行って溶剤を揮発させる。この加熱温度T0としては、溶剤の沸点よりも高い温度であることが好ましく、110℃以上であることがさらに好ましく、130℃~200℃がより好ましく、160℃~190℃が特に好ましい。
本発明における仮接着剤層は、仮接着剤組成物に含まれる溶剤の沸点X1(単位:℃)と、仮接着剤層の厚さX2(単位:μm)と、上記温度T0(仮接着剤組成物の乾燥工程における加熱、単位:℃)とが、以下の関係を満たすことが好ましい。
(X1-X2)≦T0≦(X1-X2+55)
また、以下の関係を満たすことがより好ましい。
(X1-X2+5)≦T1≦(X1-X2+45)
このような範囲とすることにより、仮接着剤層の良好な平坦性を達成し、さらに、ボイドの発生をより効果的に抑制できる。特に、仮接着剤層に含まれる樹脂がスチレン構造を含む熱可塑性エラストマーである場合に、効果が顕著である。
特に、仮接着剤層の以下の式で示される面内均一性を33%未満とすることができる。
仮接着剤層の面内均一性=仮接着剤層の厚さの最大値/仮接着剤層の厚さの平均値×100(単位:%)
仮接着剤層を圧着前に熱硬化する場合は、例えば、温度110~250℃、時間1~1
20分の条件で行うことが好ましい。
仮接着剤層を圧着前に光硬化する場合は、露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等の紫外線が好ましく(特に好ましくはi線)用いられる。照射量(露光量)は、重合性化合物の種類に応じて適宜設定でき、例えば、30~1500mJ/cm2が好ましく、50~1000mJ/cm2がより好ましく、80~500mJ/cm2がさらに好ましい。
本発明における仮接着剤層の厚さは、1~150μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、10~60μmがさらに好ましく、10~50μmが一層好ましく、15~45μmがより一層好ましい。仮接着剤層を複数層設ける場合は、それぞれの層が上記厚さとなることが好ましい。
本発明では、加工基板は、デバイスウェハが好ましく用いられる。デバイスウェハは、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、シリコン基板、化合物半導体基板、ガラス基板などが挙げられる。化合物半導体基板の具体例としては、SiC基板、SiGe基板、ZnS基板、ZnSe基板、GaAs基板、InP基板、GaN基板などが挙げられる。
デバイスウェハの表面には、機械構造や回路が形成されていてもよい。機械構造や回路が形成されたデバイスウェハとしては、例えば、メモリ、ロジック等の半導体、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、パワーデバイス、イメージセンサー、マイクロセンサー、発光ダイオード(LED)、光学デバイス、インターポーザー、埋め込み型デバイス、マイクロデバイスなどが挙げられる。
デバイスウェハは、凹凸部を有していることが好ましい。本発明によれば、表面に構造物を有しているデバイスウェハに対しても、安定して仮接着できるとともに、デバイスウェハに対する仮接着を容易に解除できる。構造の高さは、特に限定はないが、例えば、0.1~150μmが好ましく、0.5~100μmがより好ましい。
加工基板の厚さは、500μm以上が好ましく、600μm以上がより好ましく、700μm以上が更に好ましい。上限は、例えば、2000μm以下が好ましく、1500μm以下がより好ましい。
キャリア基板は特に限定されないが、例えば、シリコン基板、ガラス基板、金属基板、化合物半導体基板などが挙げられる。なかでも、半導体装置の基板として代表的に用いられるシリコン基板を汚染しにくい点や、半導体装置の製造工程において汎用されている静電チャックを使用できる点などを鑑みると、シリコン基板であることが好ましい。
キャリア基板の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、300μm~100mmが好ましく、300μm~10mmがより好ましい。
本発明の積層体の一例は、キャリア基板と、仮接着剤層と、加工基板を有する積層体であって、周波数140MHzの超音波顕微鏡で観察した際の、直径1mm以上のボイドが150個/m2未満であり、キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である積層体である。
本発明の積層体の仮接着剤層の厚さは、上述の仮接着剤層の厚さの説明を参酌でき、好ましい範囲と同じである。本発明の積層体の仮接着剤層は、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体およびシクロオレフィン系重合体の少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの詳細は、上述の仮接着剤層に用いる樹脂の説明を参酌でき、好ましい範囲も同様である。
上記キャリア基板、加工基板の加工、貼り付け、搬送、剥離する際の冶具としてはどんなものを用いても良く、一般的なエンボスキャリヤテープやダイシングフレームが用いられる。特に薄いウエハーの取り扱いの際にはTWSSディスクタイプ、リングタイプ(信越ポリマー社製)等を用いるのが好ましい。
その他、本発明では、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、特開2014-189731号公報、特開2014-189696号公報の内容を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下の成分を混合して均一な溶液とした後、5μmのポアサイズを有するポリテトラフルオロエチレン製フィルタを用いてろ過して、実施例及び比較例の組成物をそれぞれ調製した。
<仮接着剤組成物の組成>
・表1に記載の樹脂:表1に記載の質量部
・表1に記載の添加剤:表1に記載の質量部
・Irganox 1010(BASF製):2質量部
・Sumilizer TP-D(住友化学(株)製):2質量部
・溶剤(tert-ブチルベンゼン、沸点169℃、東洋合成工業(株)製):表1に記載の固形分濃度となる量
キャリア基板として直径12インチのシリコンウェハ(1インチは、2.54cmである)を用い、その表面に、表1に記載の仮接着剤組成物を、ウェハボンディング装置(東京エレクトロン製、Synapse V)を用いて成膜した。ホットプレートを用い、熱源からキャリア基板までの距離0.2mmで、160℃で3分間加熱し、さらに、190℃で3分間加熱することで、キャリア基板の表面に仮接着剤層を形成した。このときの仮接着剤層の厚さは40μmであった。
上記キャリア基板と、加工基板(直径12インチのシリコンウェハ)とを、ウェハボンディング装置(EVG 805、EVG製)により表3に記載の気圧P1下、温度T1、0.11MPaの圧力で3分間熱圧着し、積層体を得た(ボンディング)。
ボンディングした積層体を、ウェハボンディング装置(EVG 805、EVG製)を用い、表3に記載の気圧P2下、温度T2で5分間加熱した(ポストベーク)。
キャリア基板として直径12インチのシリコンウェハ(1インチは、2.54cmである)を用い、その表面に、表1に記載の仮接着剤組成物を、ウェハボンディング装置(東京エレクトロン製、Synapse V)を用いて成膜した。ホットプレートを用い、熱源からキャリア基板までの距離0.2mmで、160℃で3分間加熱し、さらに、190℃で3分間加熱することで、キャリア基板の表面に仮接着剤層を形成した。このときの仮接着剤層の厚さは20μmであった。
加工基板として、直径12インチのシリコンウェハ上に、高さ10μm、直径50μmの銅ピラーを多数有する加工基板を用い、その表面に、表1に記載の仮接着剤組成物をウェハボンディング装置(東京エレクトロン製、Synapse V)を用いてを成膜した。ホットプレートを用い、熱源から加工基板までの距離0.2mmで、160℃で3分間加熱し、さらに、190℃で3分間加熱することで、加工基板の表面に仮接着剤層を形成した。このときの仮接着剤の厚さは20μmであった。
上記仮接着剤層を形成したキャリア基板と、仮接着剤層を形成した加工基板とを、ウェハボンディング装置(EVG 805、EVG製)により表3に記載の気圧P1下、温度T1、0.11MPaの圧力で3分間熱圧着し、積層体を得た。
ボンディングした積層体を、ウェハボンディング装置(EVG 805、EVG製)を用い、表3に記載の気圧P2下、温度T2で5分間加熱(ポストベーク)した。
実施例2において、ボンディングした積層体を、ポストベークしなかったこと以外は、同様に行って積層体を作製した。
実施例1に記載の方法で、但し、仮接着剤層の厚さが100μmとなるように仮接着剤層を作製した。得られた仮接着剤層を直径10mmのパラレルプレートで挟み込み、動的粘弾性測定装置((株)ユービーエム製、Rheosol-G3000)を用いて、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で50℃~250℃の範囲で測定して求めた。温度T1における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率をG’1とし、温度T2における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’2として下記表に示した。
ボンディングした積層体中のボイドを、それぞれ、超音波映像装置(FineSAT II、(株)日立パワーソリューションズ)を用い、周波数140MHzのプローブを用いて観察し、以下の基準に沿って評価を行った。
A:直径1mm以上のボイドが観察されなかった
B:直径1mm以上のボイドが150個/m2未満観察された
C:直径1mm以上のボイドが150個/m2以上300個/m2未満観察された
D:直径1mm以上のボイドが300個/m2以上観察された
ポストベークした積層体のボイドを、超音波映像装置(FineSAT II、(株)日立パワーソリューションズ)を用い、周波数140MHzのプローブを用いて観察し、以下の基準に沿って評価を行った。
A:直径1mm以上のボイドが観察されなかった。
B:直径1mm以上のボイドが150個/m2個未満観察された。
C:直径1mm以上のボイドが150個/m2個以上300個/m2未満観察された。
D:直径1mm以上のボイドが300個/m2以上観察された。
上記積層体の加工基板の裏面を、バックグラインダーDFG8540(ディスコ製)を用いて20μmの厚さまで研磨し、薄型化した積層体を得た。
A:10N以上30N未満で剥離が可能
B:30N以上50N未満で剥離が可能
C:50N以上80N未満で剥離が可能
D:80N以上で剥離が可能
E:剥離途中にシリコンウェハ(加工基板)が割れた
F:10N未満で剥離が可能
上記剥離時に、加工基板を、引き上げ始めた端面を0mmとし、端面0mm地点から、加工基板の中心を通る線上において、50mm~250mmまでの剥離力の変動を以下の基準で評価した。
A:剥離力の平均値に対して最大値と最小値の値がそれぞれ±25%未満
B:剥離力の平均値に対して最大値と最小値の値がそれぞれ±25%以上±35%未満
C:剥離力の平均値に対して最大値と最小値の値がそれぞれ±35%以上±45%未満
D:剥離力の平均値に対して最大値と最小値の値がそれぞれ±45%以上
これに対し、圧着時および圧着後の加熱時の貯蔵弾性率の少なくとも一方が1,000,000Paを超える場合(比較例1、2、4、6)、ポストベーク後もボイドが減少せず、剥離力安定性も劣っていた。また、気圧P1とP2がLog(P2/P1)≧2.1を満たさない場合も(比較例3、5、6)、ポストベーク後もボイドが減少せず、剥離力安定性も劣っていた。
さらに、ポストベークを行わなかった場合(比較例7)、ボイドの軽減はできず、さらに、剥離力安定性にも劣っていた。
また、上記貯蔵弾性率および気圧P1とP2の関係を満たしていても、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたとき、10~80Nの力で剥離できない場合(比較例8)、剥離の際にシリコンウェハが割れてしまった。
なお、実施例1~21について、耐熱試験後の除去性の試験後の、下側のシリコンウェハ(加工基板)と仮接着剤層の積層体から、25℃でゆっくりと仮接着剤層を剥がしたところ、いずれの実施例についても、仮接着剤層がきれいに剥がれた。
2 加工基板
3 仮接着剤層
4 凹凸部
Claims (17)
- キャリア基板を有する第1の部材と、加工基板を有する第2の部材とを有する積層体の製造方法であって、
前記第1の部材と前記第2の部材の少なくとも一方の表面に、仮接着剤層を有し、
前記第1の部材と、前記第2の部材を、前記仮接着剤層が内側となるように、気圧P1の下で圧着し、さらに、気圧P2の下、40℃を超える温度T2で加熱した後、前記加工基板を加工して積層体とすることを含み、
前記仮接着剤層は、前記圧着時の温度T1における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’1が1,000,000Pa以下であり、前記温度T2における、測定周波数10Hzでの貯蔵弾性率G’2が1,000,000Pa以下であり、
前記気圧P1と気圧P2がLog(P2/P1)≧2.1を満たし、
前記キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である、
積層体の製造方法;
ここで、前記剥離時の力は、前記積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、前記キャリア基板を前記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたときの力である。 - 前記仮接着剤層がフッ素原子およびシリコン原子の少なくとも一方を含む化合物を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
- 前記気圧P1が、1013Pa未満である、請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
- 前記気圧P2が、10,000Pa以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記温度T1と前記温度T2が、T1<T2を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記温度T1と前記温度T2が、T1+20≦T2を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記第1の部材および第2の部材は、それぞれ独立に、仮接着剤層を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記気圧P1の下で圧着時に加熱を行い、かつ、前記加熱温度T1が、110℃以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記温度T2が130℃以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記加工は、160℃以上300℃以下の温度で加熱することである、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記加工は、前記加工基板の仮接着剤層から遠い側の面を薄型化することである、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
- 前記薄型化加工により、加工基板の厚さを100μm以下とする、請求項12に記載の積層体の製造方法。
- 請求項1~13のいずれか1項に記載の積層体の製造方法を含み、さらに、前記積層体から、40℃以下の温度で少なくともキャリア基板を剥離することを含む、半導体デバイスの製造方法。
- キャリア基板と、仮接着剤層と、加工基板を有する積層体であって、
周波数140MHzの超音波顕微鏡で観察した際の、直径1mm以上のボイドが150個/m2未満であり、
前記キャリア基板と加工基板は10~80Nの力で剥離可能である積層体;
ここで、前記剥離時の力は、前記積層体の加工基板側を下にして水平面に固定し、前記キャリア基板を前記加工基板に対し、垂直方向に、25℃で、50mm/分の速さで引き上げたときの力である。 - 前記仮接着剤層の厚さが、10~150μmである、請求項15に記載の積層体。
- 前記仮接着剤層が、スチレン構造を含む熱可塑性エラストマー、熱可塑性シロキサン重合体、シクロオレフィン系重合体およびアクリル樹脂の少なくとも1種を含む、請求項15または16に記載の積層体。
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