WO2017047189A1

WO2017047189A1 - ミシン

Info

Publication number: WO2017047189A1
Application number: PCT/JP2016/068518
Authority: WO
Inventors: 慎也藤原
Original assignee: ブラザー工業株式会社
Priority date: 2015-09-15
Filing date: 2016-06-22
Publication date: 2017-03-23
Also published as: JP2017055875A; US10443168B2; US20180010275A1

Abstract

縫製時に糸駒から繰り出される糸が第一案内部に絡むことを防止できるミシンを提供する。糸駒装着部（７）は隔壁部材（１２０）を備える。隔壁部材（１２０）は糸立棒（１００）に装着される糸駒（１３）と、糸巻時に用いられる糸調子器（４５）との間に配置される。縫製時、糸駒（１３）から繰り出される糸（１５）は糸掛部（４３）を通り、第二案内路（８０）を経由して縫針（５２）に上糸として供給される。糸駒（１３）から糸（１５）が勢いよく繰り出されて暴れた場合、隔壁部材（１２０）は糸（１５）が糸調子器（４５）に向かうのを遮り、糸（１５）の暴れを抑制する。糸（１５）は糸調子器（４５）に絡まない。

Description

ミシン

　本発明は、縫製対象物を縫製するミシンに関する。

　糸駒から繰り出される糸を下糸ボビンに巻回する下糸巻取装置を備えたミシンが知られている（例えば特許文献１参照）。下糸ボビンを装着する下糸巻取装置の糸巻軸は、糸駒を装着する糸立棒の右方に位置する。糸立棒の左方に位置する糸案内体は、糸駒から繰り出される糸を糸巻軸に案内する。縫製時、糸駒から繰り出される糸は、糸立棒に対して糸巻軸とは反対側に位置する天秤等を介し、縫針に案内される。

特開２０１０－２９３９０号公報

　しかしながら、縫製時に天秤等が糸を勢いよく引いた場合、糸が暴れ、糸立棒の左方に位置する糸案内体に糸が絡む可能性がある。糸が糸案内体に絡んだ状態で縫製を行うと、糸にテンションがかかり、ミシンは糸切れを生ずる可能性があった。

　本発明は、縫製時に糸駒から繰り出される糸が第一案内部に絡むことを防止できるミシンを提供することを目的とする。

　本発明の一態様に係るミシンは、第一方向に延びる主軸を内部に設けたアーム部と、前記アーム部に設け、糸を巻回した糸駒の貫通穴に挿通可能な糸立棒を有し、前記糸駒を装着する糸駒装着部と、前記アーム部で前記糸駒装着部よりも前記第一方向一端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸をボビンに巻回する糸巻装置と、前記アーム部で前記糸駒装着部よりも前記第一方向他端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸を前記糸巻装置に案内する第一案内部と、前記アーム部で前記第一案内部よりも前記第一方向他端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸を、前記主軸の回転により上下動する針棒に装着される縫針に案内する第二案内部と、前記第一方向と直交する第二方向において、前記糸立棒と前記第一案内部との間に配置した隔壁部材と、を備えたことを特徴とする。

　本態様に係るミシンによれば、縫製時、糸駒から繰り出される糸は、第二案内部を介し、縫針に案内される。糸が勢いよく繰り出された場合、糸は、糸駒から第二案内部へ向かう途中で暴れる可能性がある。糸立棒と第一案内部との間に配置される隔壁部材は、糸立棒に挿通される糸駒と第一案内部との間に位置する。隔壁部材は、糸駒から繰り出された糸の暴れを抑制し、糸が第一案内部に向かうのを防止することができる。

縫製時のミシン１の正面図である。縫製時のミシン１の平面図である。糸駒１３及び糸駒押え１２を装着した糸駒装着部７の斜視図である。糸駒装着部７の分解斜視図である。糸駒装着部７の軸線ＡＸを含む部分断面図である。糸立棒１００の正面図である。台座部１１０の右側面図である。隔壁部材１２０の左側面図である。糸立台１３０の平面図である。隔壁部材１２０を左側面視反時計回りに回動した糸駒装着部７の斜視図である。糸巻時のミシン１の正面図である。糸巻時のミシン１の平面図である。第二部材２６０が第三位置に位置する場合の糸駒装着部２０７の左側面図である。第二部材２６０が第四位置に位置する場合の糸駒装着部２０７の左側面図である。第五位置に位置する場合の糸駒装着部３０７の正面図である。第六位置に位置する場合の糸駒装着部３０７の正面図である。

　以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、本発明に係るミシン１を操作するユーザが位置する側（図１の紙面手前側）をミシン１の前方、その反対側をミシン１の後方とする。脚柱部３が位置する側をミシン１の右側、頭部５が位置する側をミシン１の左側とする。図１、図２に示すように、ミシン１は、ベッド部２、脚柱部３、アーム部４、及び頭部５を備える。ベッド部２は、左右方向に延びるミシン１の土台部である。脚柱部３は、ベッド部２の右端部から上方へ立設される。アーム部４は、ベッド部２に対向して脚柱部３の上部から左方へ延びる。頭部５は、アーム部４の左先端部に連結する部位である。

　ベッド部２上面には、矩形状の針板２１が配設される。針板２１の上面は、ベッド部２上面と略同じ平面を構成する。ベッド部２及び針板２１の上面には、縫製対象の加工布（図示略）が配置される。針板２１は、頭部５に設けられる針棒５１の下方に配設される。針板２１には、厚み方向に貫通する針穴（図示略）が形成される。縫製時、針棒５１の下端に装着された縫針５２の針先が、針棒５１の上下動に伴い針穴を挿通する。

　ベッド部２内には下軸２０が設けられる。下軸２０は、アーム部４内に設けられる主軸４０によって回転駆動される。針板２１下側のベッド部２内には、送り機構（図示略）、釜機構２２等が設けられる。送り機構は、送り歯（図示略）を駆動する機構である。送り歯は、縫製時に押え足５３Ａとの間に加工布を挟み、加工布を移送する。釜機構２２は、ベッド部２内で針棒５１の下方に配置される釜２３を回転駆動する。釜２３は、下糸が巻回されたボビン１９（図１１参照）を収容する。釜機構２２は縫針５２と協働し、加工布に縫目を形成する周知構成の機構である。

　脚柱部３の前面には、ＬＣＤ３１が設けられる。ＬＣＤ３１は正面視上下方向に延びる長方形形状である。ＬＣＤ３１には、コマンド、イラスト、設定値、メッセージ等の様々な項目を含む画面が表示される。ＬＣＤ３１の前面側には、タッチパネル３２が設けられる。タッチパネル３２は、指又は専用のタッチペン等を用いた操作の入力を受け付ける。脚柱部３内には、タイミングプーリ３３、ミシンモータ３０、制御部（図示略）等が設けられる。タイミングプーリ３３は、クラッチ機構３４を介し、主軸４０の右端部に接続する。クラッチ機構３４は、タイミングプーリ３３の回転駆動力を主軸４０に伝達する。クラッチ機構３４は、糸巻軸６１（後述）の配置位置に応じ、タイミングプーリ３３と主軸４０とを接続状態又は非接続状態に切り替える。ミシンモータ３０は、脚柱部３底部に設けられる。ミシンモータ３０の駆動軸とタイミングプーリ３３との間にはタイミングベルト３５が架け渡される。クラッチ機構３４がタイミングプーリ３３と主軸４０を接続する場合、ミシンモータ３０は主軸４０を回転駆動する。主軸４０と下軸２０はタイミングベルト３６によって連結される。主軸４０の回転は下軸２０に伝達される。主軸４０と下軸２０は同期して回転する。

　アーム部４は、開閉可能なカバー４１を上部に備える。なお、図１では、カバー４１は開いた状態であり、図２では、カバー４１はアーム部４から取り外した状態である。アーム部４の上面で、カバー４１を閉じた場合のカバー４１の下方には、糸駒装着部７が設けられる。糸駒装着部７には、糸１５が巻回された糸駒１３（図３参照）が装着される。糸１５は、糸駒１３において、貫通穴１４の延びる方向に散らして巻回されている。縫製時、糸１５は、アーム部４及び頭部５に形成された縫製経路８０を経由して、針棒５１に装着された縫針５２に上糸として供給される。糸駒装着部７については後述する。

　アーム部４の右端部には、糸駒装着部７の右側の位置に、糸巻装置６が設けられる。糸巻装置６は、略上下方向に延びる糸巻軸６１を備える。糸巻軸６１は、アーム部４上面に形成された長穴４４を介し、アーム部４内からアーム部４上面に露出する。糸駒１３に巻回された糸１５をボビン１９に巻回する糸巻時、ボビン１９は、糸巻軸６１のアーム部４上面に露出する部分に装着される。長穴４４は左右方向に延びる。糸巻軸６１は、長穴４４左端の準備位置と、長穴４４右端の巻回位置との間で移動できる。糸巻軸６１が準備位置に位置する場合、クラッチ機構３４はタイミングプーリ３３と主軸４０を接続状態に切り替え、ミシンモータ３０の駆動力を主軸４０に伝達する。糸巻軸６１が巻回位置に位置する場合、クラッチ機構３４はタイミングプーリ３３と主軸４０とを非接続状態に切り替え、ミシンモータ３０の駆動力を主軸４０に伝達しない。

　糸巻軸６１は、下端部にゴム環６２を有する。糸巻時、ボビン１９が装着された糸巻軸６１は、巻回位置に移動される。糸巻軸６１が巻回位置に位置する場合、ゴム環６２は、タイミングプーリ３３の左側面に接触する。糸巻軸６１は、タイミングプーリ３３の回転に伴い、上下方向を軸に回転する。糸駒１３に巻回された糸１５は、糸駒１３から、アーム部４に形成された糸巻経路７０（図１１参照）を経由して、糸巻装置６に供給され、ボビン１９に巻回される。以下では、ボビン１９に巻回した後の糸１５を、下糸という。

　糸巻装置６は、ボビン押え６３を備える。ボビン押え６３は、巻回位置に配置された場合の糸巻軸６１の右側に設けられる。ボビン押え６３は、糸巻時にボビン１９に所定量の糸１５が巻回されると、巻回された糸１５の外周面に接触する。ボビン押え６３は、糸１５とボビン１９を介し、糸巻軸６１を相対的に左方に押圧する。これにより、糸巻軸６１のゴム環６２は、タイミングプーリ３３左側面から左方へ離間する。糸巻軸６１が回転を停止し、糸巻装置６は糸巻きを完了する。

　アーム部４上面で糸駒装着部７の左側且つ後側の位置には、糸調子器４５が設けられる。糸調子器４５は、糸巻時に糸駒１３から糸巻装置６に供給される糸１５に張力を付与する。アーム部４上面で糸駒装着部７の左側の位置には、糸掛部４３が設けられる。糸掛部４３は、糸駒１３から繰り出された糸１５が縫製時に通過する縫製経路８０において、最も上流側の位置で糸１５の経路を案内する部分である。糸掛部４３は、糸駒１３から繰り出された糸１５が糸巻時に通過する糸巻経路７０においても、最も上流側の位置で糸１５の経路を案内する部分を兼ねる。アーム部４の前面下部には、縫製の開始・停止スイッチ４２Ａ等を含む複数の操作スイッチ４２が設けられる。

　アーム部４の先端部は頭部５である。頭部５には、針棒５１、押え棒５３、糸調子器（図示略）、針棒駆動機構５０、天秤機構５５等が設けられる。針棒５１と押え棒５３は、頭部５の下端部から下方に延びる。針棒５１の下端には、縫針５２を装着可能である。縫針には、上糸が挿通される針穴（図示略）が形成される。押え棒５３は、上下レバー５４の操作によって上下に移動する。押え棒５３の下端部には、押え足５３Ａが装着される。押え足５３Ａは押え棒５３から取り外し可能である。糸調子器は、頭部５上部に設けられ、糸駒装着部７から繰り出された糸１５に張力を付与し、天秤機構５５を介して縫針５２に供給する。以下では、縫製時に糸駒１３から繰り出された糸１５を、上糸という。針棒駆動機構５０は、主軸４０の回転に伴って針棒５１を上下動させる機構である。天秤機構５５は、主軸４０の回転に伴って駆動し、針棒５１の上下動と調時して天秤５６を上下動させる。縫製時、針棒５１は釜２３と協働し、上糸を、釜２３が収容するボビン１９から引き出された下糸に絡める。天秤５６は、下糸に絡んだ上糸を針板２１上に引き上げる。

　図３～図１０を参照し、糸駒装着部７の構成について説明する。糸駒装着部７の各部位の方向は、糸駒装着部７をミシン１に組み付けた状態（図１参照）におけるミシン１の向きを基準に、上下方向、左右方向、及び前後方向を規定するものとする。図３～図５に示すように、糸駒装着部７は、糸立棒１００、台座部１１０、隔壁部材１２０、糸立台１３０、ばね１４０を備える。

　図３～図６に示すように、糸立棒１００の形状は、軸線ＡＸに沿って長く延びる丸棒状である。縫製時及び糸巻時、軸線ＡＸはミシン１の左右方向に沿って配置される。糸立棒１００の先端部１０１は左端側に配置され、基端部１０２は右端側に配置される。先端部１０１は、テーパ状に形成される。基端部１０２は、先端部１０１と基端部１０２の間の胴部１０３よりも大きな外径に形成される。基端部１０２は、右端に基端部１０２よりも外径の大きな円板状の鍔部１０４を備える。鍔部１０４の右面には、軸線ＡＸに沿って右方に突出する円柱状の軸部１０５が設けられる。軸部１０５には、固定溝１０６とネジ穴１０７が形成される。ネジ穴１０７は、軸部１０５の右面に開口し、軸線ＡＸに沿って軸部１０５内から基端部１０２内に延びる。固定溝１０６は、軸部１０５の右面に設けられ、前後方向に延びる。

　図３～図５、図７に示すように、台座部１１０の形状は、軸線ＡＸに沿う方向に厚みを有する円形板状である。台座部１１０の外径は、糸駒装着部７への装着が許容される糸駒１３の外径よりも大きい。台座部１１０には、左面凹部１１１、穴部１１２、右面凹部１１３、案内溝１１４、一対のネジ穴１１５、留め穴１１６、段部１１７が形成される。左面凹部１１１は、台座部１１０の左面中央に設けられ、円形状に形成される。左面凹部１１１には、糸立棒１００の鍔部１０４が係合する。穴部１１２は、左面凹部１１１中央に設けられ、軸線ＡＸに沿って台座部１１０を貫通する。穴部１１２には、糸立棒１００の軸部１０５が係合する。右面凹部１１３は、台座部１１０の右面に設けられ、円形状に形成される。右面凹部１１３の内周面は、テーパ状に形成される。右面凹部１１３の内径は、左面凹部１１１の内径より大きい。案内溝１１４は、溝状の凹部である。案内溝１１４は、右面凹部１１３内の上側の縁部に位置する第一端部１１４Ａと、後側の縁部に位置する第二端部１１４Ｂとの間で、軸線ＡＸを中心とする円弧状に延びる。案内溝１１４の長さは、軸線ＡＸを中心とする仮想円Ｃ１（図７参照）の外周の長さの略１／４である。一対のネジ穴１１５は、台座部１１０の右面で、案内溝１１４の第一端部１１４Ａの上方且つ後方の位置と、第二端部１１４Ｂの後方且つ上方の位置に設けられる。留め穴１１６は、右面凹部１１３内で、穴部１１２の上方且つ案内溝１１４の第一端部１１４Ａの左方に設けられる。留め穴１１６は台座部１１０を貫通する。段部１１７は、台座部１１０の外周面の外径を小さく形成した部分である。段部１１７は、台座部１１０の外周面で、上側から後側にかけての部分に設けられる。

　図３～図５、図８に示すように、隔壁部材１２０は、本体部１２１と鍔部１２３を有する。本体部１２１の形状は、軸線ＡＸに沿う方向に長い矩形板状である。本体部１２１の軸線ＡＸに直交する断面の形状は、円弧形状である。本体部１２１の内周面１２１Ａは、軸線ＡＸを中心とする半径Ｒ２の仮想円Ｃ２（図８参照）に沿って形成される。内周面１２１Ａの周方向の長さは、仮想円Ｃ２の外周の長さの略１／４である。本体部１２１は、軸線ＡＸに沿って延び、厚み方向に貫通する２つの長穴状の開口部１２２を有する。開口部１２２を設けることで、隔壁部材１２０の重量は軽減される。鍔部１２３は、本体部１２１の右端から軸線ＡＸへ向けて突出する鍔状に形成される。鍔部１２３の形状は、軸線ＡＸに直交し、軸線ＡＸの周方向に延びる板状である。鍔部１２３の両端には一対の穴部１２４が形成される。一対の穴部１２４は、夫々、軸線ＡＸに沿って鍔部１２３を貫通する。一対の穴部１２４には、鍔部１２３の右側から一対のネジ１２５が挿通される。一対のネジ１２５は、夫々、台座部１１０の一対のネジ穴１１５に締結される。台座部１１０の段部１１７には本体部１２１の内周面１２１Ａの右端部が係合する。隔壁部材１２０と台座部１１０は、一対のネジ１２５によって一体に固定される。

　図３～図５、図９に示すように、糸立台１３０は、糸立棒１００を固定する台座である。糸立台１３０には、固定部１３１、固定突起１３２、穴部１３３、収納部１３４、留め穴１３５、案内突起１３６、支持部１３７、軸穴１３８、目隠し板１３９が形成される。収納部１３４は、軸線ＡＸに直交する円形板状に形成される。収納部１３４の縁部１３４Ａは、全周に亘って左方に突出する。収納部１３４の外径は、台座部１１０の右面凹部１１３の内径と略同じ、もしくは僅かに小さい。収納部１３４の左面で中央の部分には、円形の固定部１３１が設けられる。固定部１３１は、収納部１３４の左面において段状に凹んで形成される。固定部１３１の中央には穴部１３３が形成される。穴部１３３は、軸線ＡＸに沿って固定部１３１を貫通する。固定部１３１の左面には、固定突起１３２が設けられる。固定突起１３２は左方に突出し、左側面視、穴部１３３の形成位置を挟んで前後方向に延びる。固定突起１３２は、糸立棒１００の軸部１０５に設けられた固定溝１０６に係合する。

　留め穴１３５は、収納部１３４内で、固定部１３１の下方に設けられる。留め穴１３５は収納部１３４を貫通する。案内突起１３６は、収納部１３４の縁部１３４Ａのうち、収納部１３４の後端に位置する部分に設けられる。案内突起１３６は、縁部１３４Ａから左方に突出する。支持部１３７は、固定部１３１の右面で穴部１３３の上方に設けられ、右方に突出する。支持部１３７は、前後方向に貫通する軸穴１３８を有する。軸穴１３８には、ミシン１のアーム部４上面に設けられる軸棒４６（図１、図２参照）が挿通される。軸棒４６は、軸心を前後方向に向けて配置される。糸立台１３０は、アーム部４上面に、軸棒４６を中心に揺動可能に取り付けられる。目隠し板１３９は、収納部１３４の外周部分から上方、前方及び下方へ向けて鍔状に突出する。目隠し板１３９の形状は、左側面視、半円形の板状である。目隠し板１３９の外径は、台座部１１０の外径より僅かに小さく、台座部１１０の右面凹部１１３の内径より大きい。

　糸立台１３０は、台座部１１０の右側に配置する。収納部１３４の左面は、台座部１１０の右面凹部１１３の右面と対向して配置する。右面凹部１１３の右面と、収納部１３４の左面と、縁部１３４Ａの内周面とは、ばね１４０を収納する収納室を構成する。ばね１４０の一端は左側に折り曲げられ、掛留部１４１を形成する。掛留部１４１は、台座部１１０の右面凹部１１３内に設けられる留め穴１１６に係合する。ばね１４０の一端は右側に折り曲げられ、掛留部１４２を形成する。掛留部１４２は、糸立台１３０の収納部１３４内に設けられる留め穴１３５に係合する。糸立台１３０の案内突起１３６は、台座部１１０の右面凹部１１３内に形成された案内溝１１４に係合する。固定部１３１の穴部１３３には、固定部１３１の右側からネジ１０９が挿通される。ネジ１０９は、台座部１１０の穴部１１２に係合する糸立棒１００の軸部１０５に設けられたネジ穴１０７に締結される。糸立台１３０の固定突起１３２と糸立棒１００の固定溝１０６とが係合するので、糸立台１３０と糸立棒１００は一体に固定される。台座部１１０は、糸立棒１００の軸部１０５に回転可能に支持される。台座部１１０の回動範囲は、糸立台１３０の案内突起１３６が案内溝１１４の第一端部１１４Ａと第二端部１１４Ｂとの間で移動する範囲である。案内溝１１４の長さが仮想円Ｃ１（図７参照）の外周の長さの略１／４であるので、台座部１１０は、糸立台１３０に対して略９０度の範囲で回動できる。

　隔壁部材１２０の本体部１２１は、軸線ＡＸに直交する断面が円弧形状である。故に、台座部１１０が糸立台１３０に対して回動した場合でも、本体部１２１の軸線ＡＸを含む断面において本体部１２１の外形形状が占める領域の大きさは変化しない。

　図２に示すように、隔壁部材１２０の本体部１２１の左端が台座部１１０の左面から軸線ＡＸ方向に突出する長さＬ２は、糸駒装着部７への装着が許容される糸駒１３の軸線ＡＸ方向の長さＬ１よりも長い。言い換えると、隔壁部材１２０の左端は、糸駒装着部７に装着された糸駒１３の左端よりも、左方に位置する。よって隔壁部材１２０の長さＬ２が糸駒１３の長さＬ１より長ければ、隔壁部材１２０は、糸駒１３から繰り出された糸１５が軸線ＡＸの径方向外向きに弛んだ場合に糸１５に当接でき、糸１５の暴れを抑制しやすい。

　隔壁部材１２０の長さＬ２は、糸立棒１００の左端が台座部１１０の左面から突出する長さＬ３よりも短い。隔壁部材１２０の長さＬ２は、例えば糸立棒１００の長さＬ３の２／３以上である。糸立棒１００の長さＬ３は、糸駒１３の長さＬ１の３／２倍程度を目安に設計される。よって隔壁部材１２０の長さＬ２が糸立棒１００の長さＬ３の２／３以上あれば、隔壁部材１２０は、糸駒１３から繰り出された糸１５が軸線ＡＸの径方向外向きに弛んだ場合に糸１５に当接でき、糸１５の暴れを抑制しやすい。

　このような構成の糸駒装着部７は、糸立台１３０の支持部１３７の軸穴１３８がミシン１上面に設けられる軸棒４６に挿通され、ミシン１に組み付けられる。糸駒装着部７は、軸棒４６を軸にして糸立棒１００の先端部１０１側を上下方向に揺動できる。支持部１３７が固定部１３１の右面で穴部１３３よりも上方に設けられている。故に糸駒装着部７は、外部応力が加えられない場合、重力によって軸棒４６を中心に糸立棒１００の先端部１０１側を下方へ向けて回動する。ミシン１上面の糸駒装着部７を取り付ける部分には、左側を向く壁部（図示略）が設けられている。糸立棒１００の先端部１０１側が下方に回動すると、糸立台１３０の右面は、壁部に当接する。よって糸駒装着部７は、軸線ＡＸを左右方向に向けた状態で、ミシン１上面に配置される。糸立棒１００の軸線ＡＸが左右方向に沿う場合の糸駒装着部７の配置位置を「第五位置」という。

　糸駒装着部７に糸駒１３が装着される場合、糸駒装着部７は、糸立棒１００の先端部１０１側を上方へ向けて回動する。糸駒装着部７は、軸棒４６の軸心を中心に、正面視時計回りに略４５度回動することができる。軸線ＡＸは、左右方向に略４５度の角度で交差する着脱方向に沿う。糸立棒１００は、先端部１０１側を斜め上方に向けた状態に配置される。糸立棒１００の軸線ＡＸが着脱方向に沿う場合の糸駒装着部７の配置位置を「第六位置」という。糸立棒１００には、糸１５を巻回した糸駒１３の貫通穴１４が先端部１０１側から挿通される。糸駒１３は、軸線ＡＸに沿って糸立棒１００の基端部１０２側へ移動し、右端を台座部１１０に当接する。糸駒１３が装着された糸立棒１００には、先端部１０１側から糸駒押え１２が嵌め込まれる。糸駒押え１２の外径は、糸駒１３の外径より大きい。糸駒押え１２は、糸駒１３が糸立棒１００から抜けないように、糸駒１３を押さえる。糸駒押え１２の大きさは、糸駒押え１２を糸立棒１００に嵌め込んだ状態で、隔壁部材１２０の本体部１２１の内周面１２１Ａに接触しない大きさである。糸駒押え１２の軸線ＡＸを中心とする半径Ｒ１は、本体部１２１の内周面１２１Ａが沿う仮想円Ｃ２（図８参照）の半径Ｒ２よりも小さい（図３参照）。故に糸駒１３から繰り出された糸１５は、隔壁部材１２０の本体部１２１の内周面１２１Ａと、糸駒押え１２の外周面との間に挟まれず、意図しないテンションがかかりにくい。よって、縫製時、上糸は張力に影響を生じにくい。

　糸駒１３が装着された糸駒装着部７は、重力によって軸棒４６を中心に正面視反時計回りに回動し、第五位置に配置される。軸線ＡＸは左右方向に沿う。台座部１１０は、ばね１４０によって、糸立台１３０に対して相対的に、台座部１１０が左側面視時計回りに回転する向きに付勢される。糸立台１３０の案内突起１３６は、台座部１１０の回動に伴い、第二端部１１４Ｂへ向けて案内溝１１４に沿って相対的に移動する。案内突起１３６は、第二端部１１４Ｂで案内溝１１４の内壁に当接し、ばね１４０による台座部１１０の時計回りへの回動を止める。従って図３に示すように、台座部１１０に固定された隔壁部材１２０は、外部応力が加えられない場合、糸駒１３の上方から後方にかけての部分を覆う「第一位置」に配置される。第一位置に位置する場合、隔壁部材１２０の本体部１２１は、軸線ＡＸに直交し、且つ軸棒４６の軸心に直交する方向において、軸線ＡＸよりも主に上側に位置する。図１、図２に示すように、第一位置に位置する隔壁部材１２０は、糸立棒１００の少なくとも基端部１０２から胴部１０３にかけての部分と、糸調子器４５との間に配置される。

　糸駒１３から繰り出された糸１５は、隔壁部材１２０の内周面１２１Ａと糸駒押え１２の外周面との間を通り、糸駒装着部７の左方に位置する糸掛部４３に掛けられる。糸掛部４３を通過した糸１５は、縫製経路８０を経由して、縫針５２に上糸として供給される。縫製時、開始・停止スイッチ４２Ａが操作され、ミシンモータ３０が駆動すると、ミシン１は、針棒駆動機構５０、天秤機構５５、釜機構２２を作動する。針棒５１と釜２３は協働し、上糸をボビン１９から引き出された下糸に絡め、加工布に縫目を形成する。開始・停止スイッチ４２Ａの操作に応じ、ミシン１は、縫製を終了する。縫製時、糸駒１３から繰り出された糸１５は、糸掛部４３との間で自由になる。天秤５６が糸１５を勢いよく引いた場合、糸１５は、糸駒１３から勢いよく繰り出され、糸掛部４３へ向かう途中で暴れる可能性がある。隔壁部材１２０がない場合、糸１５が糸駒１３と糸掛部４３との間で軸線ＡＸの径方向外向きに弛むと、糸１５は、例えば、経路８５を通り、糸調子器４５に絡む可能性がある。隔壁部材１２０は、第一位置において、糸調子器４５と糸立棒１００に装着された糸駒１３との間に配置される。隔壁部材１２０は、糸１５が暴れによって糸調子器４５に向かうのを遮る。隔壁部材１２０は、少なくとも糸１５が経路８５を通らないように糸１５の暴れを抑制し、糸掛部４３へ向けて糸１５を案内する。

　隔壁部材１２０の本体部１２１の左端が台座部１１０の左面から軸線ＡＸ方向に突出する長さＬ２は、例えば、軸線ＡＸ方向における糸掛部４３と台座部１１０の左面との間の長さＬ４の１／２以上である（図２参照）。言い換えると、隔壁部材１２０の左端は、軸線ＡＸ方向における糸掛部４３と台座部１１０の左面との間における中央の位置よりも糸掛部４３側に位置する。糸１５は、糸駒１３の右端に巻かれた部分が繰り出される場合、左端に巻かれた部分が繰り出される場合と比べ、糸掛部４３との間で自由になる部分の長さが長くなる。この場合に糸１５が暴れると、糸駒１３から繰り出される位置と糸掛部４３との間の略中央の位置は、弛みによって径方向外向きに大きく膨らみやすい。隔壁部材１２０の長さＬ２が長さＬ４の１／２以上であることによって、隔壁部材１２０の左端は、上記場合の糸１５の弛みにおける中央の位置と糸調子器４５との間に位置し、糸１５の暴れを抑制することができる。

　糸駒１３の取り外しが行われる場合、隔壁部材１２０は、例えば作業者の指等で押圧される。隔壁部材１２０の本体部１２１が後方且つ下方に押圧されると、台座部１１０は、ばね１４０の付勢力に抗って、糸立台１３０に対して相対的に、左側面視反時計回りに回動する。台座部１１０の回動に伴い、案内突起１３６は、第一端部１１４Ａへ向けて案内溝１１４に沿って相対的に移動する。案内突起１３６は、第一端部１１４Ａで案内溝１１４の内壁に当接して、外部応力による台座部１１０の反時計回りへの回動を止める。台座部１１０は、糸立台１３０に対して略９０度回動する。従って図１０に示すように、隔壁部材１２０は、外部応力が加えられた場合、糸駒１３の後方から下方にかけての部分を覆う「第二位置」に配置される。第二位置に位置する場合、隔壁部材１２０の本体部１２１は、軸線ＡＸに直交し、且つ軸棒４６の軸心に直交する方向において、軸線ＡＸよりも主に下側に位置する。第二位置に位置する隔壁部材１２０は、平面視で糸駒１３を露出させる。従って作業者は指等で糸駒１３を掴みやすい。

　作業者が糸駒１３を掴んで持ち上げることによって、糸駒装着部７は、軸棒４６を中心に正面視時計回りに回動し、第六位置に配置される。糸立棒１００は、先端部１０１側を斜め上方に向けた状態となる。軸線ＡＸは着脱方向に沿う。糸駒１３は、軸線ＡＸに沿って糸立棒１００の先端部１０１側から取り外される。作業者が手を離すと、糸駒装着部７は、重力によって軸棒４６を中心に正面視反時計回りに回動し、第五位置に配置される。糸駒装着部７は、軸線ＡＸを左右方向に向けた状態で、ミシン１上面に配置される。隔壁部材１２０に外部応力が付加されなくなると、台座部１１０は、ばね１４０の付勢力によって左側面視時計回りに回動する。案内突起１３６は、案内溝１１４に対して相対的に、第二端部１１４Ｂへ向けて移動する。隔壁部材１２０は、第一位置に戻り、新たな糸駒１３が装着された場合には、糸駒１３の上方から後方にかけての部分を覆う。

　糸巻時、図１１、図１２に示すように、ボビン１９は、糸巻装置６の糸巻軸６１に装着される。糸駒１３は、縫製時と同様に、第六位置に配置された糸駒装着部７に装着される。糸駒１３から繰り出された糸１５は、隔壁部材１２０の内周面１２１Ａと糸駒押え１２の外周面との間を通り、糸掛部４３に掛けられる。糸掛部４３を通過した糸１５は、糸巻経路７０を経由し、糸調子器４５に案内される。糸調子器４５を通過した糸１５の端部は、ボビン１９に保持される。糸巻軸６１が巻回位置に移動されると、クラッチ機構３４はミシンモータ３０と主軸４０を非接続の状態にする。

　開始・停止スイッチ４２Ａが操作され、ミシンモータ３０が駆動すると、糸巻軸６１は、ボビン１９を回転する。糸駒１３から繰り出された糸１５は、糸掛部４３と糸調子器４５を通り、糸巻経路７０を経由してボビン１９に案内され、ボビン１９に巻き取られる。糸巻時、隔壁部材１２０は第一位置に位置し、糸調子器４５と糸立棒１００に装着された糸駒１３との間に配置される。隔壁部材１２０は、縫製時と同様に、糸１５の暴れを抑制し、糸掛部４３へ向けて糸１５を案内する。ボビン１９に所定量の糸１５が巻回されると、糸巻軸６１はボビン押え６３に押圧され、タイミングプーリ３３から離間して回転を停止する。糸巻きが完了し、糸１５の切断後、糸１５を下糸として巻回したボビン１９は、釜２３に装着される。糸巻軸６１は、準備位置に配置される。糸駒１３の糸１５は、縫製経路８０を経由して、縫針５２に供給される。ミシン１は縫製可能な状態になる。

　以上説明したように、本実施形態のミシン１によれば、縫製時、糸駒１３から繰り出される糸１５は、縫製経路８０を介し、縫針５２に案内される。糸１５が勢いよく繰り出された場合、糸１５は、糸駒１３から糸掛部４３へ向かう途中で暴れる可能性がある。糸立棒１００と糸調子器４５との間に配置される隔壁部材１２０は、糸立棒１００に挿通される糸駒１３と糸調子器４５との間に位置する。隔壁部材１２０は、糸駒１３から繰り出された糸１５の暴れを抑制し、糸１５が糸調子器４５に向かうのを防止することができる。よってミシン１は、縫製時に糸駒１３から繰り出された糸１５が糸調子器４５絡み、糸切れを生ずることを防止できる。

　隔壁部材１２０を糸立台１３０に設けることで、ミシン１は、糸立棒１００と糸調子器４５の間に隔壁部材１２０を固定する部位を設ける必要がない。よってミシン１は、簡易な構成で隔壁部材１２０を設け、縫製時に糸１５が糸調子器４５に絡むのを防止できる。

糸１５は、糸駒１３において、貫通穴１４の延びる方向に散らして巻回されている。隔壁部材１２０は、糸駒１３から繰り出される糸１５が、貫通穴１４の延びる方向のどの位置から繰り出されても、糸１５と糸調子器４５との間に位置することができる。故にミシン１は、縫製時に糸１５が糸調子器４５に絡むのを防止できる。

　隔壁部材１２０の左端は、軸線ＡＸに沿う方向における糸掛部４３と糸立台１３０の左面との間における中央の位置よりも、糸掛部４３側に位置すると、なおよい。糸駒１３から繰り出される糸１５は、繰り出される位置と、糸掛部４３の位置との中央の位置を、軸線ＡＸの径方向に弛んだ場合に径方向に最も膨らむ位置として暴れる可能性がある。この場合に、隔壁部材１２０の左端は、弛みの中央の位置を含め、糸１５と糸調子器４５との間に位置することができる。故にミシン１は、縫製時に糸１５が糸調子器４５に絡むのを、より確実に防止できる。

　糸駒押え１２の半径Ｒ１は、隔壁部材１２０の内周面１２１Ａの半径Ｒ２よりも小さい。糸駒１３から繰り出される糸１５は、糸駒押え１２の外周面と隔壁部材１２０の内周面１２１Ａとの間に挟まれず、意図しないテンションが掛かりにくい。よって縫製時、上糸は張力に影響を生じにくい。

　隔壁部材１２０は糸立棒１００の軸線ＡＸを中心に回動することができる。糸駒装着部７に対して糸駒１３の装着及び脱着を行う場合に、隔壁部材１２０を回動して配置位置を変更すれば、糸駒１３は隔壁部材１２０にぶつかりにくい。故に作業者は、糸駒１３の装着及び脱着がしやすい。

　隔壁部材１２０の軸線ＡＸに直交する断面の形状は、円弧形状である。故に隔壁部材１２０が回動しても、軸線ＡＸを含む断面において隔壁部材１２０の外形形状が占める領域の大きさは変化しない。よってミシン１は、隔壁部材１２０の回動半径の確保において構成を大型化することなく、隔壁部材１２０を設けることができる。

　作業者は、隔壁部材１２０を押圧して第二位置に配置することで、糸駒１３の装着及び脱着を容易に行うことができる。隔壁部材１２０の押圧が解除されれば、隔壁部材１２０はばね１４０の付勢力で第一位置に戻る。作業者は、手動で隔壁部材１２０を第一位置に戻す必要がないので、第一位置への配置し忘れを防止できる。

　上記実施形態に対して種々の変更を加えることが可能である。隔壁部材１２０の内周面１２１Ａの周方向の長さは、仮想円Ｃ２の外周の長さの略１／４に限らず、１／２であってもよいし、１／３であってもよい。隔壁部材１２０の開口部１２２は、本体部１２１を貫通しなくてもよい。隔壁部材１２０は、軸線ＡＸに直交する断面が円弧形状でなくてもよく、例えば平板状であってもよい。この場合、平板は、付勢によって糸調子器４５と糸立台１３０の間に位置し、押圧によって例えば下方に移動することで、糸駒１３の後端よりも下方に位置し、糸駒１３の取り外しを容易にしてもよい。隔壁部材１２０は、左側面視形状が円弧状の棒状の部材であってもよい。この場合、棒状の部材は、本実施形態の隔壁部材１２０の左端の位置に回動可能に配置すればよい。

　例えば、図１３に示す、糸駒装着部２０７のように、隔壁部材２２０は、第一部材２５０と第二部材２６０の２部材で構成してもよい。第一部材２５０と第二部材２６０は、例えば以下のように形成する。第一部材２５０の本体部２５１は、内周面２５１Ａの周方向の長さを、内周面２５１Ａが沿う仮想円の外周の長さの略１／８に形成する。第一部材２５０の内周面２５１Ａが沿う仮想円の直径は、台座部２１０の直径と略同じ大きさにする。本体部２５１は、外周面２５１Ｂの左端部に、周方向に延びる溝部２５６を形成する。第一部材２５０の鍔部２５３は、本体部２５１の右端から軸線ＡＸへ向けて突出する板状に形成する。鍔部２５３は、台座部２１０の右面に対向して左面を配置し、台座部２１０とは別体に設ける。鍔部２５３は、軸線ＡＸの位置まで延び、糸立棒１００の軸部１０５の外周に係合して軸線ＡＸの周りを回動可能に設ける。

　第二部材２６０の本体部２６１は、内周面２６１Ａの周方向の長さを、内周面２６１Ａが沿う仮想円の外周の長さの略１／８に形成する。第二部材２６０の内周面２６１Ａが沿う仮想円の直径は、第一部材２５０の外周面２５１Ｂが沿う仮想円の直径より僅かに大きくする。本体部２６１は、内周面２６１Ａの左端部、且つ周方向において内周面２６１Ａの左側面視反時計回り方向の端部に、径方向内向きに突出する第一突部２６６を形成する。なお、本変形例において、糸駒装着部２０７の周方向に関する説明は、糸駒装着部２０７を左側面視した場合の説明とする。第一突部２６６は、第一部材２５０の溝部２５６に係合する。本体部２６１は、周方向において内周面２６１Ａの時計回り方向の端部に、径方向内向きに突出する第二突部２６７を形成する。第二突部２６７は、第一部材２５０と第二部材２６０とが相対的に回動した場合に、周方向における第一部材２５０の時計回り方向の端部に当接する位置に設ける。第二部材２６０の鍔部２６３は、本体部２６１の右端から軸線ＡＸへ向けて突出する板状に形成する。鍔部２６３は、第一部材２５０の鍔部２５３の右面に対向して左面を配置し、台座部２１０とは別体に設ける。鍔部２６３は、軸線ＡＸの位置まで延び、糸立棒１００の軸部１０５の外周に係合して軸線ＡＸの周りを回動可能に設ける。鍔部２６３は、ばね１４０（図４参照）の掛留部１４１に係合する留め穴（図示略）を有する。ばね１４０は、第二部材２６０を、糸立台１３０（図４参照）に対して相対的に、時計回りに付勢する。なお、糸立台１３０は台座部２１０に固定してもよい。

　台座部２１０は右面に、ばね１４０の配置位置と干渉しない位置に、右方に突出する２つの係止部２１１、２１２を有する。係止部２１１は、軸線ＡＸの位置の上方に設ける。係止部２１２は、軸線ＡＸの位置の後方斜め下方に設ける。

　隔壁部材２２０に外部応力が加えられない場合、第二部材２６０は、ばね１４０に付勢されて時計回りに回動する。第二部材２６０の第一突部２６６は、第一部材２５０の溝部２５６に沿って、時計回り方向に移動する。第一突部２６６は、溝部２５６の時計回り方向の端部に当接すると、溝部２５６の内面を押圧して、第一部材２５０を時計回りに回動する。図１３に示すように、第二部材２６０は、鍔部２６３の時計回り方向の端部が台座部２１０の係止部２１１に当接する「第三位置」に移動すると、回動を停止する。第二部材２６０の時計回り方向の端部は、軸線ＡＸの上方に配置される。第一部材２５０の反時計回り方向の端部は、軸線ＡＸの後方に配置される。第一部材２５０の時計回り方向の端部と、第二部材２６０の反時計回り方向の端部は、軸線ＡＸの径方向において重なって配置される。隔壁部材２２０は、糸駒１３（図３参照）の上方から後方にかけての部分を覆い、糸調子器４５と糸立棒１００との間に配置される。

　本体部２６１が後方且つ下方に押圧されると、第二部材２６０は、ばね１４０の付勢力に抗って反時計回りに回動する。第二部材２６０の第一突部２６６は、第一部材２５０の溝部２５６に沿って、反時計回り方向に移動する。第二部材２６０の第二突部２６７は、第一部材２５０の時計回り方向の端部に当接すると、第一部材２５０を反時計回り方向に押圧する。第一部材２５０と第二部材２６０は、反時計回り方向に回動する。図１４に示すように、第二部材２６０は、第一部材２５０の鍔部２５３の反時計回り方向の端部が台座部２１０の係止部２１２に当接する「第四位置」に移動すると、回動を停止する。第一部材２５０と第二部材２６０の時計回り方向の端部は、軸線ＡＸの後方に配置される。第一部材２５０と第二部材２６０の反時計回り方向の端部は、軸線ＡＸの後方斜め下方に配置される。第二部材２６０が第四位置に位置する場合、軸線ＡＸの径方向における第一部材２５０と第二部材２６０の重なりは、第二部材２６０が第三位置に位置する場合よりも大きい。第二部材２６０は、作業者が糸駒１３の装着及び脱着を行う場合に、第四位置に位置することで、糸駒１３を大きく露出させることができる。故に作業者は、糸駒１３の装着及び脱着を容易に行うことができる。

　例えば、図１５に示す、糸駒装着部３０７のように、隔壁部材１２０は、例えば糸駒１３を装着及び脱着する操作に合わせて軸線ＡＸを中心に回動する構成であってもよい。糸駒装着部３０７は、以下のように構成する。台座部３１０の右面には、軸線ＡＸの位置の右方に係合部３１１が形成される。係合部３１１は凹部状に形成される。係合部３１１は、隔壁部材１２０の鍔部１２３に干渉せず、糸立台１３０にも干渉しない位置に設けられる。ミシン１のアーム部４の上面で、糸駒装着部３０７が設けられる部分には、係合突起３０４が形成される。係合突起３０４は、軸棒４６の側方で、上下方向において軸棒４６と略同じ位置に設けられ、左方に突出する。糸駒装着部３０７がミシン１に組み付けられた状態で、係合突起３０４の先端部は、台座部３１０の係合部３１１内に配置される。隔壁部材１２０は、ばね１４０に付勢されて、第一位置に配置される。糸駒装着部３０７は、軸線ＡＸが左右方向に延びる第五位置に配置される。

　糸駒１３の装着及び脱着が行われる場合、作業者は、例えば糸立棒１００の先端部１０１を上方に持ち上げる。糸駒装着部３０７は、軸棒４６の軸心を中心に、正面視時計回りに回動される。軸線ＡＸは、左右方向に対して交差する。糸駒装着部３０７の回動に伴い、係合部３１１は上方に移動し、係合突起３０４の先端部に当接する。糸駒装着部３０７が正面視時計回りに回動することによって、係合突起３０４は、係合部３１１を相対的に下方に押圧する。台座部３１０は、右側面視で軸線ＡＸより右方に位置する係合部３１１が、相対的に下方に押圧されることによって、ばね１４０の付勢力に抗い、左側面視反時計回りに回動する。台座部１１０の回動に伴い、隔壁部材１２０の本体部１２１は、軸線ＡＸを中心に、左側面視反時計回りに回動する。

　図１６に示すように、糸駒装着部３０７が第六位置に配置されると、隔壁部材１２０は、第二位置に配置される。本体部１２１は、軸線ＡＸに直交し、且つ軸棒４６の軸心に直交する方向において、軸線ＡＸよりも主に下側に位置する。隔壁部材１２０は、平面視で糸駒１３を露出させる。このように、糸駒装着部３０７が第五位置から第六位置に回動すると、糸立棒１００の先端部１０１は、基端部１０２よりも上方に配置される。故に作業者は、糸駒１３の装着及び脱着を容易に行うことができる。更に、隔壁部材１２０が糸駒装着部３０７の回動に連動して第一位置から第二位置に回動するので、作業者は、糸駒１３の装着及び脱着を、より容易に行うことができる。

　本実施形態では、左右方向が、本発明の「第一方向」に相当する。糸調子器４５が、本発明の「第一案内部」に相当する。糸掛部４３が、本発明の「第二案内部」に相当する。着脱方向が、本発明の「第二方向」に相当する。ばね１４０が、本発明の「付勢部材」に相当する。軸線ＡＸに沿う方向が、本発明の「延伸方向」に相当する。係合突起３０４が、本発明の「伝達部」に相当する。

１：ミシン、４：アーム部、６：糸巻装置、７：糸駒装着部、１２：糸駒押え、１３：糸駒、１４：貫通穴、１５：糸、１９：ボビン、４０：主軸、４３：糸掛部、４５：糸調子器、５１：針棒、５２：縫針、１００：糸立棒、１２０：隔壁部材、１３０：糸立台、１４０：ばね、２０７：糸駒装着部、２２０：隔壁部材、２５０：第一部材、２６０：第二部材、３０４：係合突起、３０７：糸駒装着部、ＡＸ：軸線

Claims

　第一方向に延びる主軸を内部に設けたアーム部と、
　前記アーム部に設け、糸を巻回した糸駒の貫通穴に挿通可能な糸立棒を有し、前記糸駒を装着する糸駒装着部と、
　前記アーム部で前記糸駒装着部よりも前記第一方向一端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸をボビンに巻回する糸巻装置と、
　前記アーム部で前記糸駒装着部よりも前記第一方向他端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸を前記糸巻装置に案内する第一案内部と、
　前記アーム部で前記第一案内部よりも前記第一方向他端側に設け、前記糸駒から繰り出される糸を、前記主軸の回転により上下動する針棒に装着される縫針に案内する第二案内部と、
　前記第一方向と直交する第二方向において、前記糸立棒と前記第一案内部との間に配置した隔壁部材と、
を備えたことを特徴とするミシン。
　前記糸駒装着部は、前記糸立棒の一端部を固定する糸立台を備え、
　前記隔壁部材は、前記糸立台に設けたことを特徴とする請求項１に記載のミシン。
　前記隔壁部材は、前記第一方向に沿って前記糸立台から延び、
　前記隔壁部材の前記第一方向他端側の端部は、前記糸駒装着部に装着される前記糸駒の前記第一方向他端側の端部よりも、前記第一方向他端側に位置することを特徴とする請求項２に記載のミシン。
　前記糸駒装着部は、前記糸立棒に前記貫通穴を挿通した前記糸駒を押える円板状の糸駒押えを装着可能であり、
　前記隔壁部材は、前記糸立棒と前記第一案内部との間で、前記糸駒押えの外周縁部よりも前記糸立棒の径方向外側に配置することを特徴とする請求項２又は３に記載のミシン。
　前記隔壁部材は、前記糸立棒を軸中心に回動可能に設けたことを特徴とする請求項２から４のいずれかに記載のミシン。
　前記隔壁部材は、前記糸立棒を軸中心とする軸断面円弧状の板状部材であることを特徴とする請求項５に記載のミシン。
　前記隔壁部材は、前記糸立棒と前記第一案内部との間に位置する第一位置と、前記ミシンの平面視において前記第一位置よりも前記糸駒の露出が大きな第二位置との間で回動可能であり、
　前記隔壁部材を前記第二位置から前記第一位置へ向けて付勢する付勢部材を更に備えたことを特徴とする請求項５又は６に記載のミシン。
　前記隔壁部材は、前記糸立棒と前記第一案内部との間に配置可能な第一部材と、
　前記糸立棒を軸中心に回動可能に設け、前記糸立棒の径方向において前記第一部材と端部同士が重なった状態で前記糸立棒と前記第一案内部との間に位置する第三位置と、前記第三位置よりも前記第一部材との重なりが大きい状態で、前記ミシンの平面視において前記第三位置よりも前記糸駒の露出が大きな第四位置との間で回動可能な第二部材と、
を含むことを特徴とする請求項２から４のいずれかに記載のミシン。
　前記糸駒装着部は、前記糸立棒の延伸方向が前記第一方向に沿う第五位置と、前記糸立棒が前記第一方向に交差する第六位置との間で回動可能であり、　前記隔壁部材は、前記糸立棒と前記第一案内部との間に位置する第一位置と、前記ミシンの平面視において前記第一位置よりも前記糸駒の露出が大きな第二位置との間で回動可能であり、
　前記糸駒装着部に接触して設け、前記糸駒装着部の回動に伴う駆動力を前記隔壁部材に伝達する伝達部を備え、
　前記隔壁部材は、
　　　前記糸駒装着部が前記第五位置に位置するとき、前記第一位置に位置し、
　　　前記糸駒装着部が前記第五位置から前記第六位置に回動するとき、前記伝達部によって伝達される駆動力によって前記第一位置から前記第二位置へ向けて回動し、
　　　前記糸駒装着部が前記第六位置に位置するとき、前記第二位置に位置すること
を特徴とする請求項２から４のいずれかに記載のミシン。