WO2017002486A1 - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

本発明は、尿などの排泄液の吸収前はもとより吸収後においても、フィット性に優れるとともに、リウェット性や着用感にも優れた吸収性物品を提供するものである。　本発明の吸収性物品（１）は、吸収体（７）が、第１の面及び第２の面を有する吸収コア（９）と、前記吸収コア（９）を覆うコアラップ（１１、１１'）とを備え、前記吸収コア（９）が、前記第２の面から窪んでおり且つ前記長手方向に延び、底部（２０）を有する溝部であって、前記吸収コア（９）の平均坪量よりも小さい坪量を有する長手方向溝部（１９）を備え、前記長手方向溝部（１９）が、前記第１の面から前記第２の面へと貫通する複数の貫通孔（２４）を含み、前記コアラップ（１１'）が、前記長手方向溝部（１９）の底部（２０）に接合されている。

Description

吸収性物品

　本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。

　近年、使い捨ておむつ等の吸収性物品において、着用者から排出された尿などの排泄液を吸収体に効率よく吸収させることや吸収性物品に柔軟性を付与してフィット性を向上させさせることを目的として、吸収体に長手方向及び短手方向に延びる溝部を形成することが検討されている。

　そのような吸収性物品として、例えば、特許文献１には、肌当接面側に配置された表面シート、非肌当接面側に配置された裏面シート、及び両シート間に介在された吸収体を有する縦長の吸収性物品であって、前記吸収体は、相対的に坪量が高い高坪量部と、該高坪量部に隣接して相対的に坪量が低い低坪量部とを有しており、該低坪量部は、前記吸収性物品の厚み方向において肌当接面側に偏在しており、前記吸収性物品は、前記表面シート及び前記吸収体が一体的に凹陥してなり且つ該吸収性物品の長手方向に延びる溝を有しており、該溝は、前記高坪量部と前記低坪量部とに跨って形成され、且つ、該溝には、相対的に浅く凹陥している浅溝部と、相対的に深く凹陥している深溝部とが、該溝の長さ方向に沿って交互に形成されており、前記浅溝部は、前記深溝部に比して、前記溝の長さ方向の長さが長い吸収性物品が開示されている。この特許文献１に開示された吸収性物品によれば、着用者から排出された尿などの排泄液を素早く吸収・拡散し、着用者の濡れに起因する不快感を解消することができ、且つ防漏溝を有するにもかかわらず、適度な柔軟性を有し優れたフィット性が得られるとされている。

特開２０１２－２４５１３０号公報

　しかしながら、特許文献１に開示された吸収性物品では、尿などの排泄液を吸収する前においては、吸収体の溝部の構造が保持されているため、当該溝部を基点として折れ曲がりやすく、適度な柔軟性を有し、フィット性に優れるものの、尿などの排泄液を吸収した後、特に複数回の排泄液を吸収した後においては、吸収した排泄液により吸収体が膨張して溝部の幅が狭くなり、場合によっては、溝部がほぼ消失するため、当該溝部が折れ曲がりの基点となりにくく、結果的に柔軟性が低下し、フィット性に劣る場合があった。また、特許文献１に開示された吸収性物品では、吸収体の溝部が、エンボス加工によって形成されているため、当該溝部の底部において尿などの排泄液が吸収体の厚さ方向に透過しにくい場合があった。尿などの排泄液が吸収体の厚さ方向に透過しにくい（すなわち、液の吸収速度が遅い）と、リウェット性や着用感の低下に繋がるおそれがある。

　そこで、本発明は、尿などの排泄液の吸収前はもとより吸収後においても、フィット性に優れるとともに、リウェット性や着用感にも優れた吸収性物品を提供することを目的とする。

　本発明の一態様（態様１）の吸収性物品は、長手方向及び幅方向を有し、液透過性シートと、液不透過性シートと、上記液透過性シート及び液不透過性シートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、前記吸収体が、前記液透過性シートに面する側の第１の面及び前記液不透過性シートに面する側の第２の面を有する吸収コアと、前記吸収コアを覆うコアラップとを備え、前記吸収コアが、前記第２の面から窪んでおり且つ前記長手方向に延び、底部を有する溝部であって、前記吸収コアの平均坪量よりも小さい坪量を有する長手方向溝部を備え、前記長手方向溝部が、前記第１の面から前記第２の面へと貫通する複数の貫通孔を含み、そして、前記コアラップが、前記長手方向溝部の底部に接合されているものである。

　この態様１の吸収性物品は、吸収体の吸収コアが、上記特定の構造を有する長手方向溝部を備え、前記長手方向溝部が複数の貫通孔を有しているので、吸収体に供給された排泄液を、前記複数の貫通孔を介して吸収コアの厚さ方向に素早く透過させることができ、排泄液を、前記長手方向溝部によって形成される排泄液の拡散用流路に素早く供給することができるため、吸収性物品として優れた吸収性（特に、吸収速度、拡散性）及びリウェット性を得ることができる。また、吸収コアの液透過性シート側の面から貫通孔を介して長手方向溝部に到達した排泄液は、前記長手方向溝部に沿って長手方向に拡散されながら、前記長手方向溝部の側壁部から吸収されるため、吸収体の長手方向における広範囲の領域から排泄液を吸収することができ、吸収性物品としてより優れた吸収性（特に、吸収効率）及びリウェット性を得ることができる。
　さらに、前記態様１の吸収性物品は、吸収体が、前記吸収コアの長手方向溝部の底部にコアラップが接合された構造を有しているので、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、前記長手方向溝部の一対の側壁部において、吸収コアが幅方向に膨らんで前記長手方向溝部を塞ぐように変形するものの、前記長手方向溝部の底部に接合したコアラップが、前記幅方向に膨らんだ一対の側壁部の間に介在するため、前記長手方向溝部内に、長手方向に延びる一定の空間を確保することができ、前記長手方向溝部の折れ曲がりの基点としての機能及び排泄液の拡散用流路としての機能を維持することができる。したがって、態様１の吸収性物品は、排泄液の吸収後においても、柔軟性を有し、フィット性に優れるとともに、上述の優れた吸収性及びリウェット性を維持することができる。

　本発明の別の態様(態様２)の吸収性物品は、前記態様１の吸収性物品において、前記長手方向溝部が、前記吸収体の厚さの０．５～３．０倍の幅を有している。

　この態様２の吸収性物品は、長手方向溝部が、吸収体の厚さの０．５～３．０倍の幅を有しているので、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、前記幅方向に膨らむ一対の側壁部が互いに接触するまでは膨張せず、前記長手方向溝部が塞がりにくいため、前記長手方向溝部内において長手方向に延びる一定の空間をより確保しやすくなる。その結果、上記態様１の効果を、より確実に得ることができる。

　本発明の更に別の態様（態様３）の吸収性物品は、前記態様１又は２のいずれかの吸収性物品において、前記長手方向溝部は、前記底部の幅方向における一部が圧搾された圧搾部であって、前記長手方向溝部に沿って連続的又は間欠的に延びる圧搾部を備えている。

　この態様３の吸収性物品は、前記長手方向溝部に上記特定の圧搾部を備えているので、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、前記長手方向溝部の底部においては、前記圧搾部により吸収コアの膨張が抑制されて、前記長手方向溝部が塞がりにくいため、前記長手方向溝部内において長手方向に延びる一定の空間をより一層確保しやすくなる。

　本発明の更に別の態様（態様４）の吸収性物品は、前記態様１～３のいずれかの吸収性物品において、前記圧搾部が、前記吸収コア及びコアラップを圧搾することにより形成されている。

　この態様４の吸収性物品は、圧搾部が、前記吸収コア及びコアラップを圧搾することにより形成されているので、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、前記長手方向溝部の底部の圧搾部に接合したコアラップが、前記幅方向に膨らんだ一対の側壁部の間により介在しやすくなるため、前記長手方向溝部内において長手方向に延びる一定の空間をより確保しやすくなる。その結果、態様１～３の吸収性物品の効果を、より確実に発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様５）の吸収性物品は、前記態様１～４のいずれかの吸収性物品において、貫通孔は、前記吸収コアの第１の面における開口部が前記長手方向溝部の幅の０．２～０．８倍の最大内径を有している。

　この態様５の吸収性物品は、貫通孔の開口部が、長手方向溝部の幅の０．２～０．８倍の最大内径を有しているので、前記貫通孔から吸収コア内の吸収材料（ＳＡＰ等）が脱落したり、前記貫通孔の存在によって吸収コアの強度が低下したりすることが起こりにくい上、着用者から排出された排泄液を、前記貫通孔を介してスムーズに厚さ方向に移行させることができる。

　本発明の更に別の態様（態様６）の吸収性物品は、前記態様５の吸収性物品において、複数の貫通孔は、前記開口部の最大内径よりも長い間隔で、前記長手方向溝部内に配列されている。

　この態様６の吸収性物品は、貫通孔が、開口部の最大内径よりも長い間隔で前記長手方向溝部内に配列されているので、前記吸収コアの第１の面に到達した排泄液が前記第１の面上に広がりながら貫通孔に入っていくことができ、排泄液が通る貫通孔が偏りにくくなるため、排泄液を吸収コアの広範囲の箇所から吸収させることができる。また、貫通孔同士が一定以上の間隔で設けられているので、吸収コアの強度低下が起こりにくく、安定して吸収体の吸収性（特に、拡散性や吸収効率等）を向上させることができる。

　本発明の更に別の態様（態様７）の吸収性物品は、前記態様１～６のいずれかの吸収性物品において、吸収体が、前記吸収体を前記幅方向に三等分する仮想線により、一端側領域、他端側領域、及びそれらの間の中央領域に区画され、前記吸収コアが、前記長手方向溝部を、前記一端側領域、他端側領域及び中央領域の全ての領域に備えている。

　この態様７の吸収性物品は、長手方向溝部が、吸収体の幅方向の全幅に亘って設けられているので、排泄液を、吸収コアの広範囲の領域から吸収させることができ、吸収性物品としてより優れた吸収性（特に、吸収効率等）やリウェット性を発揮することができる。また、前記長手方向溝部が、吸収コアの幅方向の一端側領域及び他端側領域に設けられているので、排泄液が、吸収体の幅方向の両端部を介して、吸収性物品の幅方向の両端縁（すなわち、着用者の脚周り付近）から漏れにくいという利点もある。

　本発明の更に別の態様（態様８）の吸収性物品は、前記態様１～７のいずれかの吸収性物品において、吸収コアが、前記第２の面から窪んでおり且つ前記幅方向に延びる溝部であって、前記吸収コアの平均坪量よりも小さい坪量を有する幅方向溝部を備えている。

　この態様８の吸収性物品は、吸収コアが第２の面に幅方向溝部を備えているので、前記吸収コアの第１の面に供給された排泄液が、前記貫通孔及び前記長手方向溝部を介して前記幅方向溝部に流れ込み、さらに、前記幅方向溝部を流れて、吸収体の幅方向に拡散するため、着用者から排出された排泄液を、吸収コアの広範囲の領域から前記吸収コアに吸収させることができる。その結果、吸収性物品としてより一層優れた吸収性やリウェット性を発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様９）の吸収性物品は、前記態様８の吸収性物品において、幅方向溝部が、吸収コアの第２の面において幅方向に間欠的に設けられている。

　この態様９の吸収性物品は、幅方向溝部が幅方向に間欠的に設けられているので、排泄液が吸収コアの幅方向溝に到達して幅方向に拡散する際に、前記排泄液が、区分された幅方向溝部の幅方向端部が面する吸収コアの壁部を介して、毛細管現象により吸収コアの内部に吸収されやすくなるため、前記吸収体の吸収性（特に、吸収速度）やリウェット性をより一層向上させることができる。

　本発明の更に別の態様（態様１０）の吸収性物品は、前記態様８又は９の吸収性物品において、前記吸収性物品が、長手方向において前胴周り領域、後胴周り領域及びそれらの間の股部領域の３領域に区画され、前記吸収体が、前記３領域に亘って配置されており、前記吸収コアが、前記幅方向溝部を、前記３領域の全ての領域に備えている。

　この態様１０の吸収性物品は、吸収体が、幅方向溝部を吸収性物品の長手方向の全ての領域に備えているので、着用者から排出された排泄液を、吸収コアの長手方向及び幅方向の広い領域から吸収することができ、吸収性物品としてより一層優れた吸収性やリウェット性を発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１１）の吸収性物品は、前記態様８～１０のいずれかの吸収性物品において、コアラップが、前記幅方向溝部のうち、前記長手方向溝部と交差していない部分において前記幅方向溝部の底部に接合されていない。

　この態様１１の吸収性物品は、コアラップが、前記幅方向溝部のうち、前記長手方向溝部と交差していない部分において前記幅方向溝部の底部に接合されていないので、排泄液が流れて、該排泄液を吸収した幅方向溝部は、吸収コアの膨張により潰れることになるが、長手方向溝部と排泄液が到達していない幅方向溝部は、排泄液の拡散用流路としての機能を消失していないため（ここで、長手方向溝部は、排泄液を吸収しても、上述のとおり、長手方向に延びる一定の空間を確保できるため、排泄液の拡散用流路としての機能を失わない。）、次回以降の排泄時には、排泄液が、長手方向溝部を流れて、潰れていない幅方向溝部へと拡散していくことができる。排泄液の供給が複数回に亘る場合は、このようなプロセスが繰り返されるため、排泄液を、吸収体の広範囲の領域に亘って吸収させることができる。
　したがって、態様１１の吸収性物品は、特に複数回の排泄に対して、より一層優れた吸収性やリウェット性を発揮することができ、吸収性物品の長時間の着用を実現することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１２）の吸収性物品は、前記態様１～１１のいずれかの吸収性物品において、吸収コアの第２の面側に配置されたコアラップと液不透過性シートとの間に拡散シートを備え、当該拡散シートが、前記吸収コアの第２の面側に配置されたコアラップと、前記長手方向溝部の底部に接合されている部分において接合されている。

　この態様１２の吸収性物品は、拡散シートが、吸収コアの第２の面側に配置されたコアラップと、前記長手方向溝部の底部に接合されている部分において接合されているので、吸収体が排泄液を吸収して、吸収コアが膨張したとしても、前記長手方向溝部の幅方向に膨らんだ一対の側壁部の間には、前記コアラップと前記拡散シートとが介在するため、長手方向溝部内における長手方向に延びる一定の空間を、より確実に確保することができる。その結果、態様１２の吸収性物品は、前記長手方向溝部の折れ曲がりの基点としての機能及び排泄液の拡散用流路としての機能をより確実に維持することができる。
　さらに、前記長手方向溝部に到達した排泄液が、前記長手方向溝部及び前記拡散シートによって、吸収体の長手方向に拡散されやすくなるため、前記排泄液を、吸収体の長手方向へより素早く拡散させることができるとともに、前記長手方向おける広範囲の領域から吸収させることができる。
　したがって、この態様１２の吸収性物品は、排泄液の吸収後においても、柔軟性を有し、フィット性や長手方向の拡散性、リウェット性などに優れるとともに、これらの効果をより確実に発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１３）の吸収性物品は、前記態様１２の吸収性物品において、拡散シートが、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第１繊維層と、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第２繊維層と、それらの間のパルプを含むパルプ繊維層とを含む積層シートである。

　上記特定の構造を有する拡散シートは、排泄液をシートの面方向に拡散させる性能に優れているため、上記態様１３の吸収性物品は、前記拡散シートに到達した排泄液が、吸収体の長手方向の広範囲に亘って拡散しやすく、前記排泄液を吸収体の広範囲の領域から吸収させることができる。したがって、前記態様１３の吸収性物品は、吸収性物品としてより一層優れた吸収性やリウェット性を発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１４）の吸収性物品は、前記態様１２又は１３の吸収性物品において、前記コアラップ及び前記拡散シートが、それぞれ前記長手方向溝部の前記貫通孔と連通する開孔を有している。

　この態様１４の吸収性物品は、コアラップ及び拡散シートのそれぞれに、前記長手方向溝部の貫通孔と連通する開孔が形成されているので、吸収体に供給された排泄液が、前記開孔及び貫通孔を介して吸収体の第２の面側に到達しやすく、吸収体の厚さ方向における吸収性（特に、吸収速度）をより一層向上させることができ、前記態様１２又は１３の効果をより一層発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１５）の吸収性物品は、前記態様１２～１４のいずれかの吸収性物品において、拡散シートが、その厚さ方向に貫通する複数のスリット部を有している。

　コアラップ及び拡散シートが、吸収体の長手方向溝部の底部と接合されている、すなわち、長手方向溝部に入り込んでいると、吸収体の長手方向溝部の剛性が、特に、吸収体が繰り返し排泄液を吸収した後において、高くなりやすいが、上記態様１５の吸収性物品は、拡散シートが複数のスリット部を有しているため、拡散シートそのものの剛性が低下して、吸収体の剛性が高くなるのを抑制することができる。したがって、態様１５の吸収性物品は、拡散シートを備えていても柔軟性を有し、優れたフィット性を発揮することができる。

　本発明の更に別の態様（態様１６）の吸収性物品は、前記態様１～１５のいずれかの吸収性物品において、吸収体を含む領域が、長手方向及び幅方向において５．０～３５．０ｍＮ・ｍの曲げ剛性値を有している。

　この態様１６の吸収性物品は、吸収体を含む領域が所定の曲げ剛性を有しているので、吸収性物品としてより優れたフィット性を得ることができる。

　本発明によれば、尿などの排泄液の吸収前はもとより吸収後においても、フィット性に優れるとともに、リウェット性や着用感にも優れた吸収性物品を提供することができる。

図１は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１の平面図である。 図２は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１の吸収体７を第２面側から見た平面図である。 図３は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１の吸収コア９を第２の面側から見た平面図である。 図４は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１の吸収体７及びの吸収コア９を模式的に示す斜視図である。 図５は、図２のＶ－Ｖ線に沿った要部拡大端面図である。 図６は、図２のＶＩ－ＶＩ線に沿った要部拡大端面図である。 図７は、図２のＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った要部拡大端面図である。 図８は、図２のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ線に沿った要部拡大端面図である。 図９は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１が、排泄液を吸収した状態を説明するための模式図である。 図１０は、図９のＸ－Ｘ線に沿った要部拡大端面図である。 図１１は、長手方向溝部に圧搾部を有しない吸収性物品を説明するための図である。 図１２は、本発明の別の実施形態に係る吸収性物品の吸収コア９を第２の面側から見た平面図である。 図１３は、長手方向に複数のスリット部４１を有する拡散シート１３の平面図である。 図１４は、テープ型使い捨ておむつの前胴周り領域、後胴周り領域及び股部領域を説明するための図である。

［定義］
［フィット性］
　本明細書では、吸収性物品が着用者の身体形状に追従する（フィットする）ことを、フィット性に優れると称する。
［リウェット性］
　本明細書では、吸収体に吸収された排泄液が液透過性シートから着用者側に戻りにくいことを、リウェット性に優れると称する。

［長手方向及び短手方向］
　本明細書では、吸収体に関する「長手方向」、「幅方向」及び「厚さ方向」は、それぞれ、吸収体の長手軸線の方向、長手軸線と直交する軸線（以下、「幅方向軸線」と称する場合がある）の方向、並びに長手軸線及び幅方向軸線と直交する軸線の方向を意味する。

［長手方向溝部及びその幅］
　本明細書では、長手方向に延びる「長手方向溝部」は、上記長手軸線の方向と平行な方向に延びる溝部のみならず、概ね、長手軸線方向に延びる溝部を意味する。すなわち、長手方向溝部は、長手方向に、直線状又は非直線状（例えば、湾曲状）に延びることができる。
　本明細書では、長手方向溝部の幅は、対象部分における、長手方向溝部が延びる方向と直交する方向における長手方向溝部の長さを意味する。

［幅方向溝部及びその幅］
　本明細書では、幅方向に延びる「幅方向溝部」は、上記幅方向軸線の方向と平行な方向に延びる溝部のみならず、概ね、幅方向と平行な方向に延びる溝部を意味する。すなわち、幅方向溝部は、幅方向に、直線状又は非直線状（例えば、湾曲状）に延びることができる。
　本明細書では、幅溝部の幅は、対象部分における、幅方向溝部が延びる方向と直交する方向における幅方向溝部の長さを意味する。

［前胴周り領域、後胴周り領域、及び股部領域］
　本明細書では、「前胴周り領域」と、「後胴周り領域」と、「股部領域」とは、吸収性物品が使い捨ておむつである場合に用いられる用語であり、それらの意義は、以下の通りである。
［パンツ型使い捨ておむつ］
　パンツ型使い捨ておむつにおいて、前胴周り領域は、前身頃のうち、前身頃及び後身頃を接合する一対の接合部に挟まれた領域を意味し、後胴周り領域は、後身頃のうち、上記一対の接合部に挟まれた領域を意味する。

　また、パンツ型使い捨ておむつにおいて、股部領域は、前胴周り領域と、後胴周り領域との間の領域を意味する。上記股部領域はまた、一対の脚回り開口部（図１２の符号１１７）に挟まれた領域に相当する。

［テープ型使い捨ておむつ］
　テープ型使い捨ておむつでは、図１２に示すように、あらかじめ定められた、テープファスナ用の固定領域１１１に、一対のテープファスナ１０９の先端１１０同士が隣接するように固定した状態で、胴周り領域及び股部領域を区画する。

　具体的には、胴周り領域（ＦＷ＋ＲＷ）は、上述のように固定した状態で、使い捨ておむつ１'のうち、前身頃の胴周り形成部材１１３と、後身頃の胴周り形成部材１１４とが重複する、一対の重複部分１１５を基準に判断する。前胴周り領域ＦＷは、使い捨ておむつ１の前身頃のうち、一対の重複部分１１５の間の領域を意味する。同様に、後胴周り領域ＲＷは、使い捨ておむつ１'の後身頃のうち、一対の重複部分１１５の間の領域を意味する。股部領域（Ｃ）は、前胴周り領域ＦＷと、後胴周り領域ＲＷとの間の領域を意味する。

　なお、本明細書においては、特に断りのない限り、展開して平坦に広げた状態の対象物を、その上面側から厚さ方向に見ることを単に「平面視」という。

　以下、本発明に係る吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。

　図１～図８は、本発明の第１実施形態に係る吸収性物品１、具体的には、テープ型の使い捨ておむつを説明するための図である。具体的には、図１は、吸収性物品１の平面図である。図２は、吸収性物品１の吸収体７を第２面側から見た平面図である。図３は、吸収性物品１の吸収コア９を第２の面側から見た平面図である。図４は、吸収性物品１の吸収体７及びの吸収コア９を模式的に示す斜視図である。図５は、図２のＶ－Ｖ線に沿った要部拡大端面図である。図６は、図２のＶＩ－ＶＩ線に沿った要部拡大端面図である。図７は、図２のＶＩＩ－ＶＩＩ線に沿った要部拡大端面図である。図８は、図２のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ線に沿った要部拡大端面図である。

　図１～図８に示すように、第１実施形態に示される吸収性物品１は、互いに直交する長手方向Ｌ、幅方向Ｗ及び厚さ方向Ｔを有し、液透過性シート３と、液不透過性シート５と、液透過性シート３及び液不透過性シート５の間の吸収体７と、吸収体７及び液不透過性シート５の間の拡散シート１３とを含む。
　吸収体７は、液透過性シートに対向する第１面と、液不透過性シートに対向する第２面とを有していて、さらに、肌側面１５（第１の面）及び着衣側面１７（第２の面）を有する吸収コア９と、吸収コア９の肌側面１５を覆うコアラップ１１と、吸収コア９の着衣側面１７を覆うコアラップ１１’とを備えている。
　そして、吸収コア９は、着衣側面１７から吸収コア９の厚さ方向Ｔに窪んだ、長手方向Ｌに延びる溝部であって、吸収コア９の平均坪量よりも小さい坪量を有する低坪量領域１９ａから成る長手方向溝部１９と、着衣側面１７から厚さ方向Ｔに窪んだ、幅方向Ｗに延びる溝部であって、吸収コア９の平均坪量よりも小さい坪量を有する低坪量領域２１ａから成る幅方向溝部２１とを備えている。
　なお、図２～図４に示すように、長手方向溝部１９及び幅方向溝部２１は、それぞれ吸収コア９の着衣側面１７に複数本ずつ配置されていて、さらに、複数本の幅方向溝部２１は、それぞれ複数本の長手方向溝部１９と交差し、それらを連結するように配置されている。

　図２～図７に示すように、長手方向溝部１９は、当該長手方向溝部１９の幅方向Ｗの一部を、吸収体の厚さ方向に、前記長手方向溝部１９に沿って間欠的に圧搾することにより形成された圧搾部２３と、肌側面１５から着衣側面１７へ貫通する複数の貫通孔２４とを含んでいて、そして、長手方向溝部１９では、コアラップ１１’が、長手方向溝部１９の底部２０の吸収コア９に接合されている。また、本実施形態においては、拡散シート１３が、長手方向溝部１９内のコアラップ１１’に、より具体的には、長手方向溝部１９の底部２０に接合されている部分のコアラップ１１’に、接合されている。
　圧搾部２３は、長手方向溝部１９内において、吸収コア９を覆う２枚のコアラップ１１、１１’と、吸収コア９と、拡散シート１３とを同時に圧搾することにより形成されている。
　また、貫通孔２４は、長手方向溝部１９内において、前記２枚のコアラップ１１、１１’、吸収コア９及び拡散シート１３を、円形刃、ニードル等の任意の手段を用いて穿孔することにより形成されている。

　吸収体７は、図２に示すように、当該吸収体７を幅方向Ｗに三等分する仮想線ＶＬ₁及びＶＬ₂により、右側領域ＲＡと、左側領域ＬＡと、右側領域ＲＡ及び左側領域ＬＡの中央領域ＣＡとに区画されていて、吸収体７は、長手方向溝部１９を右側領域ＲＡ、左側領域ＬＡ及び中央領域ＣＡの全ての領域に備えている。

　第１実施形態に係る吸収性物品１は、図１に示すように、長手方向Ｌにおいて、前胴周り領域ＲＷと、後胴周り領域ＬＷと、前胴周り領域ＲＷ及び後胴周り領域ＬＷの間の股部領域Ｃとの３領域に区画され、吸収体７が上記３領域に亘って配置されている。そして、吸収体７は、幅方向溝部２１を上記３領域の全てに備えている。

　また、図４、図７及び図８に示すように、本第１実施形態では、幅方向溝部２１のうち、長手方向溝部１９と交差していない部分において、コアラップ１１’及び拡散シート１３が、幅方向溝部２１の底部２２に接合されていない。すなわち、幅方向溝部のうち、長手方向溝部１９と交差していない部分は、吸収コア９と、コアラップ１１’及び拡散シート１３との間に形成されている。

　なお、第１実施形態では、吸収性物品１が、図１に示すように、弾性部材１０３を含む一対の防漏壁１０１、液透過性シート３に固定するための固定部１０５、弾性部材１０７、テープファスナ１０９等を有しているが、これらは、当技術分野で公知のものであるため、説明を省略する。

　以下、本発明の吸収性物品が、排泄液の吸収前及び吸収後の両方におけるフィット性に優れ、更にはリウェット性や着用感にも優れることを、第１実施形態を用いて説明する。
　図９は、第１実施形態に係る吸収性物品１が、排泄液を吸収した状態を説明するための模式図であり、図２に対応する図である。図１０は、図９のＸ－Ｘ線に沿った端面図である。

　まず、着用者から排出された尿などの排泄液は、液透過性シート３を透過し、吸収体７の第１面に到達する。吸収体７の第１面に到達した排泄液は、吸収体７の第１面上に広がりながら、吸収体７の厚さ方向Ｔへ浸透して吸収コア９に吸収される。このとき、一部の排泄液は、吸収体７の第１面に開口部を有する貫通孔２４に流入し、該貫通孔２４を介して吸収体７の第２面側へ到達する。なお、排泄液は、貫通孔２４を通過しているときにも、その一部が該貫通孔２４の内壁部を介して吸収コア９に吸収される。

　さらに、図９に示すように、吸収体７の第２面に到達した排泄液３１は、以下の通り、吸収体７の第２面において拡散された排泄液３３を形成する。
（ｉ）まず、吸収体７の第２面に到達した排泄液３１は、吸収体７の第２面に形成されている長手方向溝部１９内を流れて、吸収体７の長手方向Ｌに拡散する。このとき、排泄液３１は、長手方向溝部１９内を流れながら、その一部がコアラップ１１’及び拡散シート１３を透過して、吸収体７の内部（すなわち、吸収コア９）に浸透する。
（ｉｉ）そして、長手方向Ｌに拡散した排泄液３１の一部は、前記長手方向溝部１９から、コアラップ１１’を透過して、吸収コア９と、コアラップ１１’及び拡散シート１３との間に形成された幅方向溝部２１へ流れ、吸収体７の幅方向Ｗに拡散する。
（ｉｉｉ）このようにして長手方向Ｌ及び幅方向Ｗに拡散した排泄液３１は、コアラップ１１’及び拡散シート１３を厚さ方向Ｔに透過して、吸収体７の内部（すなわち、吸収コア９）に浸透する。
（ｉｖ）そして、長手方向Ｌ及び幅方向Ｗに拡散した排泄液３１が、吸収コア９の内部に拡散して、上述の拡散された排泄液３３を形成する。

　図２～図７に示すように、長手方向溝部１９は低坪量領域１９ａから成り、そして、拡散シート１３、２枚のコアラップ１１、１１’及び吸収コア９を圧搾することにより形成された圧搾部２３と、拡散シート１３、前記２枚のコアラップ１１、１１’及び吸収コア９を穿孔することによって形成された、肌側面１５から着衣側面１７へ貫通する複数の貫通孔２４とを有している。

　このように、吸収性物品１は、吸収体７の吸収コア９が、上記複数の貫通孔２４を備えた長手方向溝部１９を有しているので、吸収体７の肌側面１５に供給された排泄液（特に、繰り返し供給された排泄液）を、前記貫通孔２４を介して吸収コア９の厚さ方向Ｔに素早く透過させることができる。
　したがって、吸収性物品１は、排泄液を、前記長手方向溝部１９によって形成される排泄液の拡散用流路に素早く供給することができるため、吸収性物品として優れた吸収性（特に、吸収速度、拡散性）及びそれに伴う優れたリウェット性を得ることができる。
　また、吸収体７の長手方向溝部１９に到達した排泄液は、前記長手方向溝部１９に沿って長手方向Ｌに拡散されながら、前記長手方向溝部１９の側壁部等から拡散シート１３及びコアラップ１１’を透過して吸収コア９の内部に吸収されるため、吸収体７の長手方向Ｌにおける広範囲の領域から排泄液を吸収することができ、吸収性物品としてより優れた吸収性（特に、吸収効率）及びリウェット性を得ることができる。
　さらに、吸収性物品１は、前記長手方向溝部１９の底部の圧搾部２３にコアラップ１１’が接合されているので、吸収コア９が排泄液を吸収して膨張した場合であっても、前記長手方向溝部１９の底部においては、前記圧搾部２３により吸収コア９の膨張が抑制され、また、前記長手方向溝部１９の長手方向Ｌに沿って延びる一対の側壁部１９ｂ、１９ｃにおいては、当該一対の側壁部１９ｂ、１９ｃが幅方向Ｗに膨らんで長手方向溝部１９を塞ぐように変形するものの、前記長手方向溝部１９の底部に接合したコアラップ１１’及び拡散シート１３が、前記長手方向溝部１９内に留まって幅方向Ｗに膨らんだ一対の側壁部１９ｂ、１９ｃの間に介在するため、図１０に示すように、前記長手方向溝部１９内に長手方向Ｌに延びる一定の空間２５を確保することができる。長手方向溝部１９内にこのような空間２５が確保されていると、長手方向溝部１９の折れ曲がりの基点としての機能及び排泄液の拡散用流路としての機能を発揮することができるため、吸収性物品１は、排泄液の吸収後（特に、排泄液を繰り返し吸収した後）においても、柔軟性を有し、フィット性に優れるとともに、上述の優れた吸収性及びリウェット性を保持することができる。

　特に、長手方向溝部１９は、吸収性物品１が排泄液を繰り返し吸収した場合であっても、前記長手方向溝部１９内に長手方向Ｌに延びる一定の空間２５を確保することができるため、排泄液を、吸収体７の長手方向Ｌにおける広範囲の領域から吸収させることができ、その結果、吸収性物品１は、吸収体７に吸収された排泄液が液透過性シート３の表面に戻りにくく、優れたリウェット性を発揮することができる。

　したがって、吸収性物品１は、排泄液の吸収前はもとより吸収後においても、フィット性及び吸収性に優れているとともに、リウェット性にも優れているため、長時間に亘って良好な着用感を得ることができる。

　ここで、長手方向溝部に圧搾部を有することの意義について説明する。図１１は、長手方向溝部に圧搾部を有しない吸収性物品を説明するための図である。図１１は、図９のＸ－Ｘ線に沿った端面に対応する端面図である。図１１に示す吸収性物品は、長手方向溝部に圧搾部を有しないこと以外は、第１実施形態の吸収性物品１と同様の構成を有する。

　図１１に示すような長手方向溝部１９に圧搾部を有しない吸収性物品では、吸収体７が排泄液を吸収すると、長手方向溝部１９の一対の側壁部１９ｂ、１９ｃが幅方向Ｗに膨らんで長手方向溝部１９を塞いだりするため、吸収体７の着衣側面１７に到達した排泄液が、長手方向溝部１９内を流れにくくなり、当該排泄液を吸収体７の長手方向Ｌに十分に拡散させることができないおそれがある。さらに、長手方向溝部１９が吸収体の膨張によりほぼ消失すると、当該長手方向溝部１９が折れ曲がりの基点として機能しにくくなるため、吸収性物品は、排泄液を吸収するにつれて、フィット性に劣るようになる。

　なお、上述の第１実施形態では、長手方向溝部１９は、吸収コア９の着衣側面１７のみに形成されているが、本発明の吸収性物品では、長手方向溝部は、吸収コアの肌側面及び着衣側面の両面に形成されていてもよい。長手方向溝部が吸収コアの両面に形成されていると、排泄液の長手方向における拡散性をより一層向上させることができる。

　また、第１実施形態では、幅方向溝部２１は、吸収コア９の着衣側面１７に形成されているが、本発明の吸収性物品では、幅方向溝部は、吸収コアの肌側面又は着衣側面の面のいずれの面に形成されていてもよく、両面に形成されていてもよい。

　但し、幅方向溝部が、長手方向溝部と同じ面に設けられていると（すなわち、幅方向溝部が、吸収コアの少なくとも着衣側面に設けられていると）、吸収コアの第１の面（肌側面）に供給された排泄液が、前記貫通孔及び長手方向溝部を流れて、前記幅方向溝部に流れ込み、さらに、当該幅方向溝部を流れて吸収体の幅方向に拡散するため、着用者から排出された排泄液を、吸収コアのより広範囲の領域から吸収させることができる。その結果、吸収性物品としてより一層優れた吸収性やリウェット性を発揮することができる。

　図２及び図３に示すように、第１実施形態においては、幅方向溝部２１は、吸収性物品１の幅方向Ｗにおいて連続的に設けられているが、本発明においては、このような形態に限定されず、例えば、図１２に示す本発明の別の実施形態のように、幅方向溝部２１は、幅方向Ｗに間欠的に設けられていてもよい。幅方向溝部２１が幅方向Ｗに間欠的に設けられていると、排泄液が吸収コア９の幅方向溝部２１に到達して幅方向Ｗに拡散する際に、排泄液が、区分された幅方向溝部２１ｂの幅方向端部２１ｃが面する吸収コア９の壁部２６を介して、毛細管現象により吸収コア９の内部に吸収されやすくなるため、吸収体７の吸収性（特に、吸収速度）やリウェット性をより一層向上させることができる。

　また、上述の第１実施形態では、長手方向溝部１９は、当該長手方向溝部１９の幅の一部を、長手方向溝部１９に沿って間欠的に圧搾することにより形成された圧搾部２３を含んでいる。圧搾部をこのように形成することにより、着用者が、圧搾部の硬さを感じにくくなる。また、本発明の別の実施形態に係る吸収性物品では、圧搾部は、長手方向溝部の幅の一部を長手方向に連続的に圧搾することにより形成されていてもよい。圧搾部をこのように形成することにより、吸収性物品が、長手方向溝部を基点として折れ曲がりやすくなり、フィット性に優れたものとなる。

　本発明の第１実施形態では、図１～図４、図６に示すように、長手方向溝部１９は、拡散シート１３、２枚のコアラップ１１、１１’及び吸収コア９を穿孔することによって形成された、肌側面１５から着衣側面１７へ貫通する複数の貫通孔２４を含んでいる。長手方向溝部にこのような複数の貫通孔が設けられていると、吸収体の肌側面に供給された排泄液を、前記複数の貫通孔を介して吸収体の着衣側面へ素早く透過させることができるため、排泄液が排出されてから短時間のうちに、排泄液を吸収体の着衣側面に形成された長手方向溝部によって長手方向に拡散させることができる。したがって、本実施形態に係る吸収性物品は、優れた吸収性（特に、吸収速度、拡散性）及びそれに伴う優れたリウェット性を得ることができる。

　本発明において、貫通孔の構造（例えば、開口部の形状、サイズ等）は特に限定されず、吸収性（例えば、吸収速度等）や吸収体の強度、柔軟性などに応じて適宜設定することができる。例えば、貫通孔の開口部（以下、単に「開口部」という。）の平面視における形状（以下、単に「開口部の形状」という。）は、円形状（楕円形状を含む。）であっても、矩形状であっても、星形等の幾何学的形状であってもよい。

　また、貫通孔の大きさ（サイズ）は、当該貫通孔が長手方向溝部内に形成し得る大きさである限り特に限定されないが、吸収性や強度などの観点から、開口部の最大内径は、通常１ｍｍ～５ｍｍの範囲内であり、好ましくは２ｍｍ～４ｍｍの範囲内である。ここで、「開口部の最大内径」とは、開口部の内径のうち、その長さが最も長い内径（例えば、開口部の形状が円形であれば直径、楕円形であれば長径、四角形であれば対角線の長さ等）を意味する。したがって、例えば、開口部の形状が円形状である場合、その最大内径（すなわち、直径）は、通常１ｍｍ～５ｍｍの範囲内であり、好ましくは２ｍｍ～４ｍｍの範囲内である。なお、本明細書において、「円形」とは、「真円」のみならず、楕円形や製造工程上生じ得る歪んだ円形なども含む、広義の円形を意味する。

　本発明において、貫通孔は、開口部が長手方向溝部の幅の０．２～０．８倍の最大内径を有していることが好ましい。貫通孔の開口部がこのような最大内径を有していると、貫通孔を通じて吸収コア内の吸収材料（ＳＡＰ等）が脱落したり、貫通孔の存在によって吸収コアの強度が低下したりすることが起こりにくい上、吸収コアの肌側面に供給された排泄液をスムーズに厚さ方向に移行させることができる。

　本発明において、複数の貫通孔は、開口部の最大内径よりも長い間隔で、前記長手方向溝部内に配列していることが好ましい。このように、貫通孔が開口部の最大内径よりも長い間隔で長手方向溝部内に配列していると、吸収コアの肌側面に供給された排泄液が、吸収コアの肌側面上に広がりながら貫通孔に流入していきやすく、排泄液の流入する貫通孔に偏りが生じにくくなるため（すなわち、排泄液がより多くの貫通孔に流入しやすくなるため）、排泄液を吸収コアのより広範囲の箇所から着衣側面へ移行させることができる。また、貫通孔同士が一定以上の間隔で設けられていると、吸収体の強度低下が起こりにくく、吸収体の優れた吸収性（特に、拡散性や吸収効率等）を安定して発揮させることができる。

　本発明の第１実施形態では、長手方向溝部１９内において、コアラップ１１’が、長手方向溝部１９の底部２０に接合されているが、本発明の吸収性物品では、コアラップが、長手方向溝部の全体、すなわち、長手方向溝部の底部及び長手方向に延びる一対の側壁部に接合されていてもよい。そうすることにより、吸収性物品が排泄液を繰り返し吸収した後においても、長手方向溝部がその形状を保持しやすくなるため（すなわち、長手方向溝部の折れ曲がりの基点としての機能を維持しやすくなるため）、柔軟性を維持することができ、結果的に、吸収性物品が着用感に優れたものとなる。

　本発明の吸収性物品では、長手方向溝部は、吸収体の厚さの、好ましくは０．５～３．０倍、より好ましくは０．８～２．５倍、更に好ましくは１．０～２．０倍の幅を有する。長手方向溝部が、吸収体の厚さの０．５～３．０倍の幅を有していると、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、長手方向溝部内において幅方向に膨らむ一対の側壁部が互いに接触するまでは膨張せず、前記長手方向溝部が塞がりにくいため、前記長手方向溝部内において長手方向に延びる一定の空間をより一層確保しやすくなる。その結果、吸収性物品は、排泄液の吸収後においても、柔軟性を有し、フィット性に優れるとともに、上述の優れた吸収性及びリウェット性を維持することができる。

　なお、本明細書において、吸収体の厚さ（ｍｍ）は、以下のようにして測定される。
　株式会社大栄科学精器製作所製　ＦＳ－６０ＤＳ［測定面４４ｍｍ（直径），測定圧３ｇ／ｃｍ²］を準備し、標準状態（温度２３±２℃、相対湿度５０±５％）の下、吸収体の異なる５つの部位を加圧し、各部位における加圧１０秒後の厚さを測定し、５つの測定値の平均値を吸収体の厚さとする。

　本発明の第１実施形態では、圧搾部２３は、長手方向溝部内において、２枚のコアラップ１１、１１’、拡散シート１３及び吸収コア９を圧搾することにより形成されているが、本発明の別の実施形態では、圧搾部は、長手方向溝部内の吸収コアのみを圧搾することにより形成されていてもよい。なお、本発明では、吸収性物品に拡散シートを設けることは必須でないため、拡散シートを設けない場合は、長手方向溝部内においてコアラップ及び吸収コアを圧搾することにより、圧搾部を形成することができる。圧搾部が、前記吸収コア及びコアラップを圧搾することにより形成されていると、吸収コアが排泄液を吸収して膨張したとしても、長手方向溝部の底部の圧搾部に接合したコアラップが、前記幅方向に膨らんだ一対の側壁部の間に、より確実に介在するようになるため、長手方向溝部内において長手方向に延びる一定の空間を、より確実に確保することができる。

　また、上述の第１実施形態では、吸収体７は、長手方向溝部１９を、幅方向Ｗにおける右側領域ＲＡ、左側領域ＬＡ及び中央領域ＣＡの全ての領域に備えている。吸収性物品をこのように構成すると、長手方向溝部が吸収体の幅方向の全幅に亘って設けられているので、排泄液を吸収体の広範囲の領域から吸収させることができ、吸収性物品としてより優れた吸収性（特に、吸収効率等）及びリウェット性を発揮することができる。また、前記長手方向溝部が、吸収コアの幅方向の一端側領域及び他端側領域に設けられているので、排泄液が、吸収体の幅方向の両端部を介して、吸収性物品の幅方向の両端縁（すなわち、着用者の脚回り付近）から漏れにくいという利点もある。

　さらに、上述の第１実施形態では、吸収体７は、幅方向溝部２１を、長手方向Ｌにおける前胴周り領域ＲＷ、後胴周り領域ＬＷ及び股部領域Ｃの３領域に備えている。吸収性物品をこのように構成することにより、吸収性物品１を長手方向のフィット性に優れたものとすることができる。また、長手方向溝部１９を流れて長手方向Ｌに拡散した排泄液が、更に幅方向溝部２１にも流れて幅方向Ｗに拡散し、吸収体の広範囲の領域から吸収されるため、吸収性物品１が、リウェット性に優れたものとなり、結果的に着用感にも優れたものとなる。

　また、第１実施形態では、吸収コア９の着衣側面に配置されたコアラップ１１’は、幅方向溝部２１のうち、長手方向溝部１９と交差していない部分において、幅方向溝部２１の底部２２に接合されていない。したがって、第１実施形態では、長手方向溝部１９から流れてきた排泄液を吸収した幅方向溝部２１が、吸収コア９の膨張によって潰れることになるが、長手方向溝部１９と、排泄液が到達していない幅方向溝部２１（すなわち、排泄液を吸収していない幅方向溝部２１）は、排泄液の拡散用流路としての機能を失っていないため（ここで、長手方向溝部１９は、排泄液を吸収しても、上述のとおり、長手方向Ｌに延びる一定の空間２５を確保できるため、排泄液の拡散用流路としての機能を失わない。）、次回以降の排泄時には、排泄液が、長手方向溝部１９（或いは、長手方向Ｌに延びる一定の空間２５）を流れて、潰れていない幅方向溝部２１へと拡散していくことができる。排泄液の供給が複数回に亘る場合は、このようなプロセスが繰り返されるため、排泄液を、吸収体の広範囲の領域に亘って吸収させることができる。したがって、吸収性物品１は、特に複数回の排泄に対して、より一層優れた吸収性及びリウェット性を発揮することができ、吸収性物品の長時間の着用を実現することができる。
　なお、本発明においては、このような構成に限定されず、例えば、本発明の別の実施形態では、コアラップが、幅方向溝部の底部に接合されていてもよい。吸収性物品をそのように構成することにより、吸収体の着衣側面に到達した排泄液が、幅方向溝部を流れて、幅方向にも拡散しやすくなる。また、上述の長手方向溝部と同様に、吸収コアが排泄液を吸収した後であっても、幅方向溝部がその形状を保持しやすくなるので、幅方向溝部の折れ曲がりの基点としての機能及び排泄液の拡散用流路としての機能を十分に発揮させることができる。その結果、吸収性物品は、排泄液の吸収後（特に、排泄液を繰り返し吸収した後）においても、着用者の体に沿って長手方向にも変形しやすく、長手方向及び幅方向における良好な柔軟性を有し、フィット性に優れるとともに、上述の優れた吸収性及びリウェット性を保持することができ、着用感にも優れたものとなる。

　さらに、本発明の別の実施形態では、コアラップが、幅方向溝部の底部に接合されており、そして、幅方向溝部が、幅方向溝部の幅の一部を、幅方向溝部に沿って連続的又は間欠的に圧搾することにより形成された圧搾部を含んでいてもよい。吸収性物品をそのように構成することにより、幅方向溝部が、長手方向溝部と同様の機能を有し、吸収性物品が、フィット性及びリウェット性に優れ、着用感にも優れたものとなる。

　また、本発明の第１実施形態では、拡散シート１３が、吸収コア９の着衣側のコアラップ１１’の着衣側面１７上に配置されていて、前記コアラップ１１’と前記長手方向溝部１９の底部に接合されている部分において接合されている。したがって、第１実施形態では、吸収コア９が排泄液を吸収して膨張したとしても、長手方向溝部１９において幅方向Ｗに膨らんだ一対の側壁部１９ｂ、１９ｃの間には、前記コアラップ１１’と拡散シート１３とが介在するため、長手方向溝部１９内における上述の長手方向Ｌに延びる一定の空間２５を、より確実に確保することができる。その結果、吸収性物品１は、前記長手方向溝部１９の折れ曲がりの基点としての機能及び排泄液の拡散用流路としての機能をより確実に発揮することができる。
　さらに、長手方向溝部１９に到達した排泄液は、長手方向溝部１９及び拡散シート１３によって、吸収体７の長手方向Ｌに拡散されやすくなるため、前記排泄液を、吸収体７の長手方向Ｌへより素早く拡散させることができるとともに、前記長手方向Ｌおける広範囲の領域から吸収させることができる。
　したがって、吸収性物品１は、排泄液の吸収後においても、柔軟性を有し、フィット性及び長手方向の拡散性、リウェット性などに優れるとともに、これらの効果をより確実に発揮することができる。

　本発明において、拡散シートが配置される位置は特に限定されず、例えば、拡散シートは、吸収コアの肌側のコアラップの肌側面上に配置されていてもよいし、或いは、拡散シートは、コアラップと吸収コアとの間の位置であって、吸収コアの肌側面上又は着衣側面上の位置に配置されていてもよい。特に、拡散シートが、吸収コアよりも肌側の位置に配置されていると、吸収体に供給された排泄液が、拡散シートによって該シートの面方向に拡散された後に、複数の貫通孔へ流入するようになるため、排泄液を、より多くの又はより遠くの貫通孔を介して、吸収コアの着衣側面に移行させることができる。
　また、長手方向溝部内に拡散シートが入り込まないように拡散シートを配置すると、拡散シートが、長手方向溝部の窪みに沿った三次元構造を形成しにくくなるため、吸収性物品の剛性が高くなること（すなわち、柔軟性が低下すること）を抑制することができる。
　なお、本発明において拡散シートは、必須の構成要素ではないため、本発明の更に別の実施形態では、吸収性物品が拡散シートを含んでいなくてもよい。

　また、本発明の第１実施形態では、２枚のコアラップ１１、１１’及び拡散シート１３が、それぞれ長手方向溝部１９の貫通孔２４と連通する開孔を有している。それにより、吸収体に供給された排泄液が、前記開孔及び貫通孔を介して吸収体の着衣側面に到達しやすくなり、吸収体の厚さ方向における吸収性（特に、吸収速度）をより一層向上させることができる。なお、本発明においては、このような構成に限定されず、長手方向溝部の貫通孔と連通する開孔は、コアラップ又は拡散シートのいずれか一方のみに形成されていてもよい。

　本発明において、拡散シートは、吸収性物品の剛性を下げることを目的として、図１３に示すように、拡散シートの厚さ方向に貫通する複数のスリット部を有していてもよい。拡散シートがスリット部を有していると、拡散シートが、長手方向溝部及び／又は幅方向溝部の底部に接合された際に、スリット部が変形（開口）し、吸収体の歪みが少なくなる。

　上記スリット部としては、特に制限されず、直線状のスリット部（例えば、図１３に示すような吸収性物品の長手方向に延びるスリット部４１や吸収性物品の短手方向に延びるスリット部等）であっても、非直線状のスリット部（例えば、十字型のスリット部や湾曲状のスリット部等）であってもよい。上記スリット部は、長手方向溝部に生じる歪みを減少させるという点では、吸収性物品の長手方向に延びるスリット部が好ましく、また、幅方向溝部に生じる歪みを減少させるという点では、吸収性物品の幅方向に延びるスリット部が好ましい。

　また、本発明の吸収性物品は、吸収性物品の吸収体を含む領域が、その長手方向及び幅方向において、好ましくは５．０～３５．０ｍＮ・ｍ、より好ましくは１０．０～３４．０ｍＮ・ｍの曲げ剛性値を有する。曲げ剛性値が上述の範囲にあることにより、吸収性物品が、着用者の体に沿って変形しやすく、フィット性に優れ、ひいては着用感にも優れたものとなる。

　なお、本明細書では、曲げ剛性は、以下の手順に従って測定される。
（１）恒温恒湿室（２０±２℃・６０±５％ＲＨ）に、イマダ製トルク試験機、ＥＸ－０７６２を準備する。ロードセルは、引張・圧縮の５０Ｎにセットし、トルクは１Ｎにセットする。
（２）サンプルを、表１に示すとおりに切り出す。
（３）サンプルの測定方向両端に、治具間隔が表１に示すとおりとなるように、５０ｍｍ×２０ｍｍのサイズの布テープを、その長手方向が測定方向と直交するように貼付し、サンプルの測定方向両端につかみ部を形成する。
（４）サンプルを治具に取付け、表１に示す条件にて、その最大トルク値（ｍＮ・ｍ）を測定する。
（５）測定は、異なるサンプルにて５回実施し、それらの平均値を曲げ剛性値として採用する。

　本発明の吸収性物品において、吸収コア及びコアラップのそれぞれは、当技術分野で通常用いられているものを特に制限なく採用することができる。吸収コアとしては、例えば、パルプ繊維、高吸収性ポリマーなどが挙げられ、コアラップとしては、例えば、ティッシュなどが挙げられる。

　本発明の吸収性物品において、吸収コアは、好ましくは１００～４００ｇ／ｍ²、より好ましくは２００～３００ｇ／ｍ²の平均坪量を有する。本発明の効果をより有利に発揮させるために、低坪量領域である長手方向溝部及び幅方向溝部のそれぞれは、上記平均坪量の、好ましくは８０％以下、より好ましくは６０％以下、更に好ましくは４０％以下の坪量を有する。また、吸収体としての構造を維持する観点から、低坪量領域である長手方向溝部及び幅方向溝部のそれぞれは、０ｇ／ｍ²を超える坪量であり、好ましくは上記平均坪量の５％以上、より好ましくは１０％以上、更に好ましくは２０％以上の坪量を有する。

　吸収性物品が拡散シートを含む実施形態では、拡散シートは、当技術分野で通常用いられているものを特に制限なく採用することができる。例えば、上記拡散シートとして、特開２０１３－１５０７９９号に記載の不織布シート、すなわち、叩解パルプ（ａ）と、再生セルロース（ｂ）とを、それぞれ、２０～４０質量部及び１０～７０質量部の比率において含む不織布シートであって、叩解パルプ（ａ）が、フィブリル化され、１．０～５．０ｍｍの範囲の重さ加重平均繊維長を有し、不織布シートの密度が５０～２８０ｍｇ／ｃｍ³である不織布シートなどを用いることができる。

　中でも、上記拡散シートとして、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第１繊維層と、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第２繊維層と、それらの間のパルプを含むパルプ繊維層とを含む積層シートを用いることが好ましく、より好ましくは、上記積層シートが、第１繊維層、パルプ繊維層及び第２繊維層を、水流によって交絡されることにより形成されたものであり、更に好ましくは、上記積層シートが、第１繊維層、パルプ繊維層及び第２繊維層を、接着剤を用いずに連結させたものである。
　このような特定の積層構造を有する拡散シートは、排泄液をシートの面方向に拡散させる性能に特に優れているため、拡散シートに到達した排泄液が、吸収体の長手方向のより広範囲に亘って拡散されやすく、排泄液を吸収体のより広範囲の領域から吸収させることができる。したがって、このような拡散シートを含む吸収性物品は、吸収性物品としてより一層優れた吸収性及びリウェット性を発揮することができる。

　なお、上記平均繊維長は、ＪＩＳ　Ｌ　１０１５：２０１０の附属書Ａの「Ａ７．１　繊維長の測定」の「Ａ７．１．１　Ａ法（標準法）目盛りが付いたガラス板上で個々の繊維の長さを測定する方法」に従って測定される平均繊維長を意味する。

　本発明の吸収性物品における吸収コア、すなわち、長手方向溝部及び幅方向溝部を形成する低坪量領域を有する吸収コアは、例えば、特開２０１０－２３３８３９号、特開２０１４－１３６１２６号などに記載の方法に従って形成することができる。

　以下、実施例及び比較例を例示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。

実施例１
　パルプ（坪量：２００ｇ／ｍ²）と、高吸収性ポリマー（坪量：２５０ｇ／ｍ²）とを混合し、サクションドラムの成形用凹部に供給して、３５０ｍｍ×１２０ｍｍ（長手方向×幅方向）のサイズの吸収コアを製造した。この吸収コアは、第２の面（着衣側面）に、５本の長手方向溝部（溝幅：５ｍｍ）が、２０ｍｍの間隔で配置されており、これら長手方向溝部は、８０ｇ／ｍ²の坪量を有していた。

　吸収コアを、ホットメルト接着剤を間に挟んで、コアラップとしての２枚のティッシュ（肌側のティッシュ：坪量１６ｇ／ｍ²、４００ｍｍ×１２０ｍｍ、第２の面側（着衣側）のティッシュ：坪量１６ｇ／ｍ²、４００ｍｍ×１５０ｍｍ）で覆った。次いで、２枚のティッシュで覆われた吸収コアの第２の面（着衣側面）に、ホットメルト接着剤を介して拡散シートを貼り付け、さらに、吸収コアを油圧プレス機でプレスすることにより吸収コアの厚さを調整した後、前記長手方向溝部に合わせて、幅３ｍｍ且つ長手方向に連続するエンボス部（圧搾部）を形成し、吸収コアとティッシュと拡散シートとを一体化した。そして、上述の５本の長手方向溝部内のそれぞれに、丸刃を用いて直径３ｍｍの貫通孔を、１０ｍｍ間隔で１１個形成して、吸収体を作製した。
　なお、上述の拡散シートは、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第１繊維層と、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第２繊維層と、それらの間のパルプを含むパルプ繊維層とを含む積層シート（坪量：５０ｇ／ｍ²）を用いた。

　作製した吸収体の第１の面（肌側面）に表面シートとしての液透過性シート（エアスルー不織布）を貼り付け、そして、第２の面（着衣側面）に裏面シートとしての液不透過性シート（ポリエチレンフィルム）を貼り付けることにより、実施例１の吸収性物品を製造した。

実施例２
　吸収コアの第２の面（着衣側面）に、５本の長手方向溝部（溝幅：５ｍｍ）を２０ｍｍの間隔で配置するとともに、９本の幅方向溝部（長手方向の長さ（溝幅）：５ｍｍ）を３０ｍｍの間隔で配置して、格子状に長手方向溝部及び幅方向溝部を形成したこと以外は、実施例１と同様にして実施例２の吸収性物品を製造した。

実施例３
　吸収コアの第２の面（着衣側面）に、図１２に示すような、５本の長手方向溝部（溝幅：５ｍｍ）を２０ｍｍの間隔で配置するとともに、９本の間欠的な幅方向溝部（長手方向の長さ（溝幅）：５ｍｍ、幅方向溝部の一区分の幅方向長さ：２０ｍｍ、幅方向溝部の一区分の幅方向間隔：５ｍｍ）を３０ｍｍの間隔で配置したこと以外は、実施例１と同様にして実施例３の吸収性物品を製造した。

比較例１
　吸収コアの第２の面（着衣側面）に形成された長手方向溝部に、貫通孔を形成しなかったこと以外は、実施例１と同様にして比較例１の吸収性物品を製造した。

比較例２
　吸収コアの第２の面（着衣側面）に形成された長手方向溝部に、貫通孔を形成しなかったこと以外は、実施例２と同様にして比較例２の吸収性物品を製造した。

比較例３
　吸収コアの第２の面（着衣側面）に形成された長手方向溝部に、貫通孔を形成しなかったこと以外は、実施例３と同様にして比較例３の吸収性物品を製造した。

　製造した実施例１～３及び比較例１～３の吸収性物品について、以下に規定する吸収性試験を行い、吸収速度、リウェット量及び液不透過性シート側の拡散長を評価した。結果を表２に示す。

［吸収性試験］
（１）吸収性物品を、側面視が略Ｕ字型であるＵ字器具にセットする。なお、吸収性物品は、Ｕ字器具に、吸収体の長手方向の中央位置と、Ｕ字器具中央部（最も高さが低い位置）との位置を合わせるようにセットする。

＜第１サイクル＞
（２）吸収体の中央位置に、ビュレットから、８０ｍＬの人工尿（１回目）を、８０ｍＬ／１０秒の速度で注入する。
（３）１回目の人工尿の注入開始から、Ｕ字器具内の人工尿がなくなるまでの時間を、吸収時間（８０ｍＬ）として記録する。
（４）１回目の人工尿の注入開始から３分後、吸収性物品の液不透過性シートにおいて、人工尿が拡散した領域の輪郭（８０ｍＬ）を記録する。

＜第２サイクル＞
（５）１回目の人工尿の注入開始から１０分後、吸収体の中央位置に、ビュレットから、８０ｍＬの人工尿（２回目）を、８０ｍＬ／１０秒の速度で注入する。
（６）２回目の人工尿の注入開始から、Ｕ字器具内の人工尿がなくなるまでの時間を、吸収時間（１６０ｍＬ）として記録する。
（７）２回目の人工尿の注入開始から３分後、吸収性物品の液不透過性シートにおいて、人工尿が拡散した領域の輪郭（１６０ｍＬ）を記録する。

＜第３サイクル＞
（８）　上記（５）～（７）の操作を繰り返し、吸収時間（２４０ｍＬ）を測定し、輪郭（２４０ｍＬ）を記録する。
＜第４サイクル＞
（９）　上記（５）～（７）の操作を繰り返し、吸収時間（３２０ｍＬ）を測定し、輪郭（３２０ｍＬ）を記録する。

（１０）４回目の人工尿の注入開始から４分後、Ｕ時器具から吸収性物品を取り出し、アクリル製の平板上に、液透過性シートが上面となるように吸収性物品を拡げて、１分間静置する。
（１１）４回目の人工尿の注入開始から５分後、１００ｍｍ×１００ｍｍのろ紙６０ｇを、人工尿注入点を中心として吸収性物品の液透過性シート上に静置する。さらに、その上に３．５ｋｇ、１００ｍｍ×１００ｍｍ×５０ｍｍ（高さ）の錘を静置する。なお、ろ紙については、事前に試験前の質量を測定する。
（１２）４回目の人工尿の注入開始から８分後、錘を取り除いて、ろ紙の質量を測定し、試験前のろ紙の質量を差し引き、その差分をリウェット量とする。
（１３）人工尿が拡散した領域の輪郭（１６０ｍＬ～３２０ｍＬ）から、吸収性物品の液不透過性シート側（裏面シート側）の長手方向における人工尿の拡散長を測定する。

　なお、人工尿は、イオン交換水１０Ｌに、尿素２００ｇ、塩化ナトリウム８０ｇ、硫酸マグネシウム８ｇ、塩化カルシウム３ｇ及び色素：青色１号約１ｇを溶解させることにより調製した。

　実施例１～３の吸収性物品は、長手方向溝部内に貫通孔が形成されていない比較例１～３の吸収性物品に比べて、液不透過性シート側（裏面シート側）の長手方向における拡散長に関しては同程度であったものの、相対的に吸収速度が速いことが分かった。また、実施例１～３の吸収性物品は、人工尿の吸収前はもとより、吸収後においても簡単に折り曲げることができ、良好な柔軟性を有していた。

　１　　吸収性物品
　３　　液透過性シート
　５　　液不透過性シート
　７　　吸収体
　９　　吸収コア
　１１、１１’　　コアラップ
　１３　　拡散シート
　１５　　肌側面
　１７　　着衣側面
　１９　　長手方向溝部
　１９ａ　　低坪量領域
　１９ｂ　　側壁部
　１９ｃ　　側壁部
　２０　　底部
　２１　　幅方向溝部
　２１ａ　　低坪量領域
　２１ｂ　　区分された幅方向溝部
　２１ｃ　　幅方向端部
　２２　　底部
　２３　　圧搾部
　２４　　貫通孔
　Ｌ　　長手方向
　Ｗ　　幅方向
　Ｔ　　厚さ方向

Claims (16)

1. 　長手方向及び幅方向を有し、液透過性シートと、液不透過性シートと、前記液透過性シート及び液不透過性シートの間の吸収体とを含む吸収性物品であって、
   　前記吸収体が、前記液透過性シートに面する側の第１の面及び前記液不透過性シートに面する側の第２の面を有する吸収コアと、前記吸収コアを覆うコアラップとを備え、
   　前記吸収コアが、前記第２の面から窪んでおり且つ前記長手方向に延び、底部を有する溝部であって、前記吸収コアの平均坪量よりも小さい坪量を有する長手方向溝部を備え、
   　前記長手方向溝部が、前記第１の面から前記第２の面へと貫通する複数の貫通孔を含み、そして
   　前記コアラップが、前記長手方向溝部の底部に接合されていることを特徴とする、前記吸収性物品。
2. 　前記長手方向溝部が、前記吸収体の厚さの０．５～３．０倍の幅を有する、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 　前記長手方向溝部は、前記底部の幅方向における一部が圧搾された圧搾部であって、前記長手方向溝部に沿って連続的又は間欠的に延びる圧搾部を備える、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
4. 　前記圧搾部が、前記吸収コア及びコアラップを圧搾することにより形成された、請求項１～３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
5. 　前記貫通孔は、前記吸収コアの第１の面における開口部が前記長手方向溝部の幅の０．２～０．８倍の最大内径を有する、請求項１～４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
6. 　前記複数の貫通孔は、前記吸収コアの第１の面における開口部の最大内径よりも長い間隔で、前記長手方向溝部内に配列されている、請求項１～５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
7. 　前記吸収体が、前記吸収体を前記幅方向に三等分する仮想線により、一端側領域、他端側領域、及びそれらの間の中央領域に区画され、前記吸収コアが、前記長手方向溝部を、前記一端側領域、他端側領域及び中央領域の全ての領域に備える、請求項１～６のいずれか一項に記載の吸収性物品。
8. 　前記吸収コアが、前記第２の面から窪んでおり且つ前記幅方向に延びる溝部であって、前記吸収コアの平均坪量よりも小さい坪量を有する幅方向溝部を備える、請求項１～７のいずれか一項に記載の吸収性物品。
9. 　前記幅方向溝部が、前記吸収コアの第２の面において幅方向に間欠的に設けられている、請求項８に記載の吸収性物品。
10. 　前記吸収性物品が、前記長手方向において、前胴周り領域、後胴周り領域、及びそれらの間の股部領域の３領域に区画され、前記吸収体が、前記３領域に亘って配置されており、前記吸収コアが、前記幅方向溝部を、前記３領域の全ての領域に備える、請求項８又は９に記載の吸収性物品。
11. 　前記コアラップが、前記幅方向溝部のうち、前記長手方向溝部と交差していない部分において、前記幅方向溝部の底部に接合されていない、請求項８～１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
12. 　前記吸収コアの前記第２の面側に配置されたコアラップと、前記液不透過性シートとの間に、拡散シートを備え、前記拡散シートが、前記吸収コアの前記第２の面側に配置されたコアラップと、前記長手方向溝部の底部に接合されている部分において接合されている、請求項１～１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
13. 　前記拡散シートが、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第１繊維層と、２５ｍｍ～６４ｍｍの平均繊維長を有する親水性繊維を含む第２繊維層と、それらの間のパルプを含むパルプ繊維層とを含む積層シートである、請求項１２に記載の吸収性物品。
14. 　前記コアラップ及び前記拡散シートが、それぞれ前記長手方向溝部の前記貫通孔と連通する開孔を有する、請求項１２又は１３に記載の吸収性物品。
15. 　前記拡散シートが、その厚さ方向に貫通する複数のスリット部を有する、請求項１２～１４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
16. 　前記吸収性物品の前記吸収体を含む領域が、前記長手方向及び幅方向において、５．０～３５．０ｍＮ・ｍの曲げ剛性値を有する、請求項１～１５のいずれか一項に記載の吸収性物品。

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