WO2016204237A1

WO2016204237A1 - 送風機

Info

Publication number: WO2016204237A1
Application number: PCT/JP2016/067959
Authority: WO
Inventors: 生太上野; 久善吉崎
Original assignee: 株式会社ヴァレオジャパン
Priority date: 2015-06-17
Filing date: 2016-06-16
Publication date: 2016-12-22
Also published as: EP3312431A1; JPWO2016204237A1; EP3312431B1; CN107614884B; EP3312431A4; CN107614884A; JP6719841B2

Abstract

【課題】騒音低減、送風効率向上及び小型化が可能で且つ水分を良好に排水できる送風機を実現する。【解決手段】送風機を、ハウジング１０と、円筒形状に配置されたブレード２１の一端側２１ａを連結し且つブレード２１の内側に向けブレード２１の高さよりも低い凸形状に形成されたコーン２２を備えてハウジング１０の内側に位置づけられたインペラ２０と、ブレード２１の一端２１ａ側に配設されたハウジングのインペラ装着孔１３０と、ブレード２１の他端２１ｂ側に配設された吸気孔１２０と、ハウジング１０とインペラ２０との間に形成された吹出し流路１１０と、ブレード２１の一端側２１ａに配設され且つコーン２２の中心部２２２に回転駆動軸が連結されたモータ３０と、モータ３０をインペラ装着孔１３０に固定するためのモータフランジ４０と、モータフランジ４０とインペラ２０との間に介在する内部空間仕切部材５０とを備える構成とした。

Description

送風機

　本発明は空調装置（例えば車両用空調装置）等において使用される送風機に関するものである。

　車両用空調装置は、送風機で取り入れた外気等をエバポレータで冷却して、あるいはヒータで加熱して適切な温度の冷気または暖気とし車内の空調を行う。車両用空調装置は、車両の快適な居住性等を実現するため、送風効率が高く、小型化でき、騒音が少ないことが求められる。

　特許文献１が開示する送風機は、図９に示すように回転駆動軸の方向に吸込んだ空気を径外方向へ送風するインペラ（遠心ファン）１と、インペラ１を回転駆動するモータ２と、インペラ１を収容し且つインペラ１の周囲に渦巻き状に吹出し流路４を形成するスクロールケーシング３を備えている。インペラ１は吸込み側に向けて凸のコーン状に形成された底壁（以下、コーンと表記する）１ａを有し、コーン１ａの頂部にはモータ２の回転駆動軸２ａが連結され、コーン１ａおよびモータ２を支える固定部２ｂとの間は内部空間５となっている。

　このような送風機では、インペラ１の吸込み側から吸込まれた空気は、インペラ１の旋回方向（図９中の破線矢印ｆｈ）およびコーン１ａの凸部に沿ったラジアル方向（図９中の破線矢印ｆｒ）の２つの通流方向成分を有して通流し、吹出し流路４へと流入する。

　吹出し流路４へと流入した通気の一部は、インペラの底部１ｂ側（モータ側）とモータ２を支える固定部２ｂとの隙間６から内部空間５へと流入する（図９中の破線矢印ｆｔ）。内部空間５へ流入した空気は、インペラの底部１ｂ側近傍で気流が乱れ風切り音（騒音）を発生し、さらに隙間６の近傍よりも容積を有する内部空間５へと流入すると、容積の変化に伴う流速の変化等に起因して、気流が乱れ再び風切り音を発生する。

　こうした風切り音の発生を抑制するため、特許文献１が開示する送風機は、吹出し流路４内で且つインペラ１のモータ側端近傍となる部位に向けて僅かに突出した環状リブ７を設け、隙間６の近傍において、ラジアル方向の通気抵抗を増大させて、吹出し流路４から内部空間５への空気の流入を防いでいる。

　しかし送風機が吸込んだ外気は、雨などに起因する水分を含むことがある。こうした水分は空気とともにインペラ１によって吹出し流路４へと吹き飛ばされ、その一部は環状リブ７の内周側（モータ２側の周面）に付着して、モータ２側に流入する可能性がある。

　そこでこの送風機は、吹出し流路４の例えば吹出し口４ａ近傍に位置する環状リブ７に切欠き部７ａを設け、環状リブ７の内周側に付着した水分を、通気の旋回成分で切欠き部７ａへと通流させ、さらに吹出し口４ａに向け吹き飛ばすことで、モータ２側への水分流入を防いでいる。

特開２００４－０６８７４１号公報

　しかし吹出し流路内に形成された環状リブの切欠き部は、吹出し流路内の通気を乱し、風切り音を発生し得る。またコーンは、インペラの内部空間を狭めるため、インペラ内部における通気抵抗を増大させて、送風効率低下の一因となり得る。

　こうした風切り音の発生と送風効率の低下を防ぐためには、インペラを大型化し送風量を増加させたうえで回転数を少なくすればよい。しかしインペラの大型化は車両用空調装置の小型化と反する。そこで本発明は、騒音低減および送風効率向上を図りつつ、小型化が可能であり、かつ風切り音を発生し得る環状リブに拠らず水分を良好に排水できる送風機の実現を課題とした。

　上記課題を解決するために、本発明に係る送風機（請求項１）は、円筒形状に配置された複数のブレードの一端側を連結し、且つこれらブレードの内側に向けブレードの高さよりも低い凸形状に形成されたコーンを備えたインペラと、インペラを収容するハウジングと、コーンの中心部に回転駆動軸が連結されたモータを備えている。そしてハウジングは、その内部にモータを装着するためのインペラ装着孔と、インペラが空気を吸気するための吸気孔と、空気を空調装置へ吹出すための吹出し流路を備えている。

　さらに該送風機は、モータをインペラ装着孔に装着するためのモータフランジと、モータフランジとインペラとの間に介在する内部空間仕切部材を備えている。この内部空間仕切部材は、モータフランジとインペラとの間の内部空間をモータフランジ側内部空間とインペラ下部空間とに分割する。

　インペラの直径で規定される面積よりも広い面積を有する内部空間仕切部材は、モータフランジと吹出し流路との間にも介在するから、吹出し流路とモータフランジ側内部空間とを隔てることとなる（請求項２）。

　内部空間仕切部材の縁部とハウジングのインペラ装着孔縁部とを近接して配設することで、内部空間仕切部材の縁部およびインペラ装着孔縁部を略連続する面として形成することができる（請求項３）。そうすると内部空間仕切部材の縁部とインペラ装着孔縁部との段差が解消され、風切り音の発生を抑制することができるとともに、インペラから吹き飛ばされた水分を円滑に吹出し流路へと導いて、水分のインペラ下部空間への侵入を防ぐことができる。

　インペラ装着孔周壁がインペラ装着孔縁部から延出していれば、そして仕切部材周壁が内部空間仕切部材の縁部から延出していれば、インペラ装着孔周壁および仕切部材周壁の高さを適切に設定することで、内部空間仕切部材とインペラ装着孔縁部とを略段差なく位置づけて略連続した平面を形成することができる（請求項４）。

　コーンの高さを複数のブレードの高さの二分の一以下とすることで、送風効率を向上することができる（請求項５）。

　各ブレードの一端側（インペラの一端側）は、回転して円環形状面を形成する。この円環形状面と対向する内部空間仕切部材の領域（仕切部材ブレード対向領域）を円環形状面と略平行するようにしてもよい（請求項６）。内部空間仕切部材とインペラとの間をこのように形成することで、内部空間仕切部材とインペラとの間の空間における風切り音を低減することができる。もちろん内部空間仕切部材とインペラとの間隔を狭くすれば、風切り音を更に低減できる。

　また内部空間仕切部材は、仕切部材ブレード対向領域よりも内側の領域にコーンに向け凸形状に形成され且つモータの他端側または回転駆動軸が配設されるモータ装着孔を有する仕切部材凸部を備えることで（請求項６）、インペラ下部空間を狭くして風切り音を更に低減でき、また水分のインペラ下部空間への侵入を防ぐことができる。

　内部空間仕切部材の仕切部材凸部は、凸面側にモータ装着孔を連続的または非連続的に囲んで凸に形成された水滴トラップを更に有することで、仮にインペラ下部空間へ水分が侵入しても、水分がモータ装着孔に到達すること、すなわち水分がモータに到達することを防ぐことができる（請求項７）。

　内部空間仕切部材は、インペラ下部空間へ侵入した水分（内部空間仕切部材のインペラ側に付着した水滴）を排水するための排水溝を更に備えることで、水分のモータへの到達を更に良好に防ぐことができる（請求項８）。排水溝は、その一端部がモータの近傍に位置づけられ、他端部が一端部よりもモータから離間して位置づけられることで、水分を更に良好に排水することができる（請求項９）。

　モータフランジは、仕切部材周壁よりもモータの近傍にモータフランジ水抜き孔を有してもよい（請求項１０）。インペラ下部空間へ侵入した水分は、排水溝からインペラ装着孔周壁の外側（モータから離間する側）へと通じる排水経路を経て送風機の外部に排水されるが、一部の水分がモータフランジ側内部空間に侵入することがある。モータフランジがモータフランジ水抜孔を有することで、モータフランジ側内部空間に水分が侵入しても、迅速かつ良好に該送風機の外部に排水することができる。

　上記構成を備えた本発明に係る送風機は、インペラを大型化せず、また回転数を少なくすることなく、風切り音を低減することができるから、送風機の騒音低減、送風効率向上および小型化を実現することができる。また本発明係る送風機は、吹出し流路内のリブに拠ることなく良好な排水が可能だから、送風機における騒音低減および良好な排水を実現することができる。

本発明に係る送風機の断面概略構成を示す図である。図１に示す送風機が有するインペラの平面視概略構成（ａ）および断面概略構成（ｂ）を示す図である。図１に示す送風機のハウジングおよび吹出し流路等の断面概略構成を示す図である。図１に示す送風機が有するモータフランジの概略斜視構成を示す図である。図１に示す送風機が有する内部空間仕切部材の概略斜視構成を示す図である。図５に示す内部空間仕切部材の排水溝等の概略斜視構成を示す図である。図１に示す送風機における、ハウジング、インペラ、モータおよびモータフランジの装着手順等を説明するための図である。図１に示す送風機における空気流等を説明するための断面概略構成図である。従来の送風機の概略斜視構成等を示す図である。

　以下、本発明に係る送風機の一実施例について図面を参照して説明する。

　＜送風機の全体概略構成＞
　本発明に係る送風機１Ａは、図１に示すようにハウジング１０と、ハウジング１０に収容または装着されるインペラ２０、モータ３０、モータフランジ４０および内部空間仕切部材５０とを有している。ハウジング１０の周壁１０１の内部には、モータフランジ４０に装着されたモータ３０で回転駆動されるインペラ２０が位置づけられ、ハウジング１０の周壁１０１とインペラ２０との間には吹出し流路１１０が形成されている。さらにモータフランジ４０とインペラ２０との間には、内部空間仕切部材５０が介在している。

　＜インペラ＞
　インペラ２０は、図２（ａ）および図２（ｂ）に示すように複数のブレード２１を円筒形状に配置し、これらブレード２１の一端２１ａ側（インペラ２０の底部２０１側）をブレード２１の内側に配置されたコーン２２で連結し、さらにブレード２１の他端２１ｂ（インペラ２０の開口部２０２側）を環状の連結板２３で連結したものである。コーン２２は略円錐形状を有し、その底辺周縁部２２１はブレード２１の一端２１ａ側と連結している。コーン２２の頂部２２２は、インペラ２０の中心軸上に位置し、モータ３０の回転駆動軸３１０が挿入される連結孔２２３が設けられている。

　上記構成を有するインペラ２０の内部には、開口部２０２と複数のブレード２１とコーン２２とで規定されるインペラ内流路２４が形成される。送風機１Ａは、コーン２２の高さをブレード２１の略二分の一とすることで、インペラ内流路２４の開口部２０２側における通気抵抗を低減するとともに、インペラ内流路２４の開口部２０２側における容積変化を略ゼロとする。インペラ２０の底部２０１側に位置づけられた略円錐形状のコーン２２は、開口部２０２から吸込んだ空気の通流方向をブレード２１側へと変える。

　＜ハウジング＞
　インペラ２０を略中央部に収容するハウジング１０は、収容したインペラ２０の開口部２０２と対向する吸気孔１２０、および吸気孔１２０と相対する部位にインペラ装着孔１３０を有している（図１）。吸気孔１２０およびインペラ装着孔１３０は典型的には円形をなし、インペラ装着孔１３０はインペラ２０を挿通できる広さを有し、吹出し流路１１０から離間する方向に延出したインペラ装着孔周壁１３１を有している。そして、インペラ装着孔周壁１３１の端部は装着孔周壁端部１３１ａとなっている。

　吹出し流路１１０は、図３に示すように吹出し流路始点部１０１ａから吹出し口１１１に向け広くなる略一周の流路を成している（吹出し口１１１に向かうほど、インペラ２０とハウジング１０の周壁１０１との間隔は広くなる。）。

　＜モータフランジ＞
　図４はモータフランジ４０の概略斜視構成を示す図である。モータフランジ４０は、インペラ装着孔１３０と平面視略同一形状（但しインペラ装着孔１３０より若干大きい）を有するフランジ板部４１０と、モータ３０を保持するモータ保持部４２０と、モータ３０の冷却風が通過するモータ冷却風通路４３０を有している。

　フランジ板部４１０の円周縁部には、上面４１０ａ側において凹に形成され、フランジ板部４１０の下面４１０ｂ側において凸に形成されたフランジ装着溝部４１１が形成されている（フランジ装着溝部４１１については図７も参照）。

　図１および図７に示すように、略円筒形状を有するモータ保持部４２０は、フランジ板部４１０の中央部においてフランジ板部４１０と直交している。モータ保持部４２０は、フランジ板部４１０の下面４１０ｂ側が長くなっており、モータ３０を取付けたときにおける、フランジ板部４１０に対するモータ３０の高さを低くすることができる（コーン２２の高さを低くしたインペラ２０にモータ３０を装着することができる）。

　モータ保持部４２０の下端（フランジ板部４１０の下面４１０ｂ側の端部）には、フランジ板部４１０と略平行の保持底部４２１が形成されており、この保持底部４２１はモータ保持部４２０に対するモータ３０の位置を規定する。なお保持底部４２１の中央部には略円形の孔が形成されている。

　＜内部空間仕切部材＞
　図５は内部空間仕切部材５０の概略斜視構成を示す図である。内部空間仕切部材５０は、インペラ装着孔１３０より僅かに小さい形状(例えば略円盤形状)を有する仕切板部５１０と、モータ頭部３０２を覆う仕切部材凸部５２０と、仕切部材周壁５３０を有している。

　仕切部材周壁５３０は、仕切板部５１０の縁部５１０ｃ（内部空間仕切部材の縁部）から、仕切部材凸部５２０と反対方向に略リング形状をなして延出している。仕切部材周壁５３０の端部は仕切部材周壁端部５３０ａとなっている（図７参照）。

　仕切板部５１０の上面５１０ａ側の中央部には、コーン２２の直径より小さい直径を有する略半球形状の仕切部材凸部５２０が形成され、仕切部材凸部５２０の中央部にはモータ装着孔５２１が形成されている。仕切部材凸部５２０は、その上面５２０ａから仕切板部５１０と略平行するように延出した２つの水滴トラップ５２２を有している。

　水滴トラップ５２２は、仕切部材凸部５２０の上面５２０ａを連続して一周するように形成されて、仕切部材凸部５２０の上面５２０ａとモータ装着孔５２１との間に介在している。水滴トラップ５２２が複数の場合には、各水滴トラップ５２２は非連続的に形成されていても、モータ装着孔５２１の中心から任意の放射方向において、何れかの水滴トラップ５２２が仕切部材凸部５２０の上面５２０ａとモータ装着孔５２１との間に介在していればよい。

　送風機１Ａでは、吹出し流路１１０を通流する水分を外部に排水するために、仕切部材周壁５３０は、排水溝５４０を有している（図５および図６）。排水溝５４０は、内部空間仕切部材５０に平面視略Ｕ字形状で形成され、その一端部５４０ａは仕切部材凸部５２０側に形成され、その他端部５４０ｂは、仕切板部５１０の縁部５１０ｃおよび仕切部材周壁５３０の一部を切り欠くように形成されている。

　排水溝５４０は、他端部５４０ｂを除き、仕切部材周壁５３０と同一の高さの排水溝壁部５４１を有している。したがって、内部空間仕切部材５０をモータフランジ４０へ装着すると、排水溝５４０の排水溝壁部５４１はモータフランジ４０に当接し、排水溝５４０は仕切板部５１０側および他端部５４０ｂ側が開放した排水溝となる。

　また排水溝５４０は仕切板部５１０の上面５１０ａから凹に形成された樋部５４２を有していてもよい。樋部５４２は、図５および図６に示すように平面視二等辺三角形をなし、その底辺部は排水溝５４０の一端部５４０ａと連接し、その頂点部は仕切部材凸部５２０の中心側に位置づけられ、その深さは仕切部材凸部５２０側から排水溝５４０側に向け徐々に深くなっている。

　＜ハウジングへのインペラおよびモータの装着＞
　図７は、ハウジング１０、インペラ２０、モータ３０およびモータフランジ４０の装着手順を説明するための図である。ハウジング１０へのインペラ２０およびモータ３０等の装着は、先ずモータ３０をモータフランジ４０に装着し、次にモータフランジ４０に内部空間仕切部材５０を装着し、更にインペラ２０をモータ３０の回転駆動軸３１０に装着したうえで、これらインペラ２０、モータ３０、内部空間仕切部材５０およびモータフランジ４０をハウジング１０のインペラ装着孔１３０に装着することで行われる。

　モータ３０のモータフランジ４０への装着は、モータ３０のモータ本体部３０１をモータ保持部４２０に挿入し、モータ３０の底面３０１ａをモータ保持部４２０の保持底部４２１と当接させることで行われる。

　内部空間仕切部材５０のモータフランジ４０への装着は、内部空間仕切部材５０の仕切板部５１０の下面５１０ｂとフランジ板部４１０とを相対するようにして、また仕切部材凸部５２０でモータ頭部３０２を覆うようにして行われる。

　上記の装着を行うと、内部空間仕切部材５０の仕切部材凸部５２０はモータ頭部３０２と略密着し、内部空間仕切部材５０の仕切部材周壁５３０は、モータフランジ４０のフランジ装着溝部４１１よりもモータ３０側に僅かに寄った位置に位置づけられる。そして図１に示すように、モータフランジ４０と内部空間仕切部材５０との間には、略閉塞されたモータフランジ側内部空間４４０が形成される。

　更にインペラ２０のコーン２２の頂部２２２に設けられた連結孔２２３にモータ３０の回転駆動軸３１０を挿入する（図７参照）。回転駆動軸３１０には図示しないインペラ位置決め部が形成されており、このインペラ位置決め部によって、回転駆動軸３１０とインペラ２０との位置関係が規定される結果、インペラ２０の各ブレード２１の一端２１ａと、内部空間仕切部材５０の仕切板部５１０との間隔が規定される。

　各ブレード２１の一端２１ａ側は、回転すると円環形状面２１１を形成する（図７参照）。この円環形状面２１１と対向する、内部空間仕切部材５０の仕切板部５１０の上面５１０ａの領域は仕切部材ブレード対向領域５１１となる。

　インペラ２０、モータ３０、モータフランジ４０および内部空間仕切部材５０の、ハウジング１０のインペラ装着孔１３０への装着は、インペラ２０をインペラ装着孔１３０へ挿通し、モータフランジ４０のフランジ装着溝部４１１の凹部４１１ａに、ハウジング１０が有するインペラ装着孔周壁１３１の装着孔周壁端部１３１ａを挿入することで行われる。

　ここで内部空間仕切部材５０の仕切部材周壁５３０とインペラ装着孔周壁１３１との間隙はできる限り狭い方が良い。また送風機１Ａは、インペラ装着孔周壁１３１に対し仕切部材周壁５３０の長さを適切に設定することで、図８に示すように内部空間仕切部材５０の仕切板部５１０の縁部５１０ｃとインペラ装着孔周壁１３１の基部１３１ｃ（インペラ装着孔縁部）とを略段差なく位置づけることができる。こうして仕切板部５１０とハウジング１０のインペラ装着孔１３０との間に略連続した平面を形成することが好ましい。

　上記の装着が完了すると、図１に示すようにインペラ２０はハウジング１０の内部に位置づけられ、インペラ２０の周囲に吹出し流路１１０が形成される。このとき内部空間仕切部材５０は、ハウジング１０とモータフランジ４０とで規定されるハウジング１０の内部空間を、吹出し流路１１０側の空間とモータフランジ側内部空間４４０とに分割する。

　ここで吹出し流路１１０側の空間は、吹出し流路１１０、インペラ内流路２４、および内部空間仕切部材５０とインペラ２０との間に形成されるインペラ下部空間２１０の３つの空間である。したがって内部空間仕切部材５０の径がインペラ２０の径よりも大きい場合には、内部空間仕切部材５０は、モータフランジ側内部空間４４０と吹出し流路と１１０との間にも介在する。

　＜インペラによる送風および騒音低減等＞
　図８に示すように送風機１Ａは、モータ３０で回転駆動されたインペラ２０の開口部２０２側に生じる負圧によって、外気を吸気孔１２０から吸込んで空気流Ｆａとしてインペラ内流路２４を通流させ、さらにコーン２２によって通流方向をブレード２１側へと変えて空気流Ｆｂとして流路１１０へ吹出す。

　送風機１Ａは、コーン２２の高さをブレード２１の略二分の一としている。したがってインペラ内流路２４の開口部２０２側（インペラ２０の開口部２０２からコーン２２の頂部２２２までの領域）では、軸方向に対する容積変化は略ゼロとなって、通気抵抗は低く（送風効率を高めており）また空気流Ｆａの通流は乱れ難い（騒音発生が少ない。）。

　空気流Ｆｂは、コーン２２の高さが低いためインペラ２０の軸方向速度が減少する一方、インペラ２０の回転によって放射方向速度が増加した状態で吹出し流路１１へ流入し、吹出し流路１１を通流する空気流Ｆｃ（図３および図８）となる。このとき外部の空気に含まれていた水分は、空気流Ｆｃとともに吹出し流路１１０へ吹き飛ばされるため、インペラ下部空間２１０（図１参照）へと回り込む水分は少なくなる。

　このように送風機１Ａは、インペラ２０の回転数を上げることなく（すなわち風切り音等を増加させることなく）、またインペラ２０を大型化することなく、送風効率を高めて空調装置の小型化、低騒音化、送風効率向上に寄与するとともに、モータ３０への水分到達を防ぐことができる。

　＜内部空間仕切部材による騒音低減等＞
　送風機１Ａは、内部空間仕切部材５０とインペラ２０との間に形成されるインペラ下部空間２１０を、内部空間仕切部材５０の仕切部材凸部５２０によって狭めている（図１および図８）。係る内部空間仕切部材５０は、インペラ下部空間２１０の通気抵抗を増大させて、吹出し流路１１０からインペラ下部空間２１０へと回り込む空気流Ｆｄ（図８）を減少させ、インペラ下部空間２１０における空気流の乱れを防ぎ騒音を低減することができる。もちろんインペラ下部空間２１０への水分の回り込みも防ぐことができる。

　またインペラ下部空間２１０は容積が小さく共振周波数が高いので、仮にインペラ下部空間２１０で空気流Ｆｄが乱れても、騒音は周波数が高くなって伝搬路（空間等）における減衰が増加する（騒音レベルは低下する。）。

　＜インペラおよび内部空間仕切部材による騒音低減等＞
　送風機１Ａは、インペラ２０のブレード２１の一端２１ａと、内部空間仕切部材５０の仕切板部５１０との間隔を規定することで、回転する複数のブレード２１の一端２１ａが形成する円環形状面２１１（図７参照）と、内部空間仕切部材５０が有する仕切板部５１０の仕切部材ブレード対向領域５１１（図７参照）との間隔を狭くすることができる。こうしてインペラ２０と仕切板部５１０との間隔を狭めることで、送風機１Ａは、吹出し流路１１０からインペラ下部空間２１０へ回り込む空気流Ｆｄを少なくして、インペラ下部空間２１０における空気流の乱れによる騒音を低減することができる。もちろんインペラ下部空間２１０への水分の回り込みも防ぐことができる。

　＜内部空間仕切部材およびインペラ装着孔による騒音低減等＞
　送風機１Ａは、図８に示すように仕切板部５１０の縁部５１０ｃとインペラ装着孔１３０近傍領域とを、略連続した平面に形成することができる。そうすると仕切板部５１０の縁部５１０ｃおよびインペラ装着孔１３０近傍領域を通流する空気流Ｆｃは、当該境界領域における気流の乱れが少なくなって、風切り音などの騒音を低減することができる。

　また送風機１Ａは、仕切部材周壁５３０とインペラ装着孔周壁１３１との間隙を狭くすることで、仕切板部５１０とインペラ装着孔１３０の境界の近傍領域を通流する空気流Ｆｃは、当該境界領域における通流の乱れが更に少なくなって、風切り音などによる騒音発生は更に低減する。

　こうして送風機１Ａは、仕切板部５１０の縁部５１０ｃおよびインペラ装着孔１３０近傍領域を通流する空気流Ｆｃを円滑に通流させることができ、したがってインペラ下部空間２１０へ回り込む空気流Ｆｄは更に少なくなり、空気流Ｆｄとともにインペラ下部空間２１０へ回り込む水分も更に少なくなる。もちろん騒音に変換されるエネルギーも少なくなるから、送風効率を更に向上できる。送風効率の更なる向上は空調装置の更なる小型化、低騒音化を可能とする。

　＜仕切部材凸部および水滴トラップによる浸水対策＞
　送風機１Ａは、インペラ下部空間２１０へ回り込む空気流Ｆｄを少なくするから、空気流Ｆｄとともにインペラ下部空間２１０へ回り込む水分も少なくなる。仮にインペラ下部空間２１０へ水分が回り込んだとしても、インペラ下部空間２１０における通気抵抗を増加させる仕切板部５１０の仕切部材凸部５２０は、モータ装着孔５２１に到達する水分を減少させる。

　さらに仕切部材凸部５２０の上面５２０ａに形成された水滴トラップ５２２は、仕切部材凸部５２０の表面を通流してモータ装着孔５２１へと向かう水分を阻止して、水分がモータ装着孔５２１に到達することを防ぐ。もちろん水滴トラップ５２２は、仕切部材凸部５２０近傍の通気抵抗を増大させるから、仕切部材凸部５２０近傍を空気流Ｆｄとともにモータ装着孔５２１へと向かう水分の通流を防ぐ。

　＜排水溝による排水＞
　送風機１Ａは、吹出し流路１１０を通流する水分を排水するための排水溝５４０を有することで更に良好な排水を実現する。

　具体的には、排水溝５４０を有する送風機１Ａは、外気とともに吸込んだ水分を吹出し流路１１０へ吹き飛ばす。吹出し流路１１０の内面を構成する仕切板部５１０の上面５１０ａを水滴となって通流する水分は、排水溝５４０に到達する。排水溝５４０は、到達した水分を仕切板部５１０の上面５１０ａから、モータフランジ４０のフランジ板部４１０へと滴下させる。排水溝５４０が樋部５４２を有していれば、樋部５４２は、到達した水分を排水溝５４０へと通流させたのちフランジ板部４１０へと滴下させる。

　フランジ板部４１０に滴下された水分は、フランジ装着溝部４１１の凹部４１１ａとインペラ装着孔周壁１３１の装着孔周壁端部１３１ａとの間に設けた微小な排水経路（図示せず）を通じて送風機１Ａの外部へ排水される。排水経路を大きく形成すると送風機１Ａの内部の空気が通流し、騒音が発生するおそれがある。そこで、排水経路は、送風機１Ａの空気の通流による騒音の発生がない程度に微小とされている。なお、排水経路は微小であっても、送風機１Ａの外部に対して内部の空気圧が高いため水分は送風機１Ａの外部に押し出され、良好に排水することができる。

　排水溝５４０は、インペラ下部空間２１０へ回り込む水分を捉えるため例えば吹出し流路始点部１０１ａに近い部位に配設され、また空調装置へ送風される空気中の水分を捉えるため例えば吹出し口１１１に近い部位に配設される。もちろん排水溝５４０は、吹出し流路１１０の他の部位に配設されてもよく、また複数配設されてもよい。

　＜モータフランジ水抜き孔による排水＞
　モータフランジ４０のフランジ板部４１０は、図４に示すように複数または単数のモータフランジ水抜き孔４１０ｈを有していてもよい。排水溝５４０からフランジ板部４１０に滴下された水分は、フランジ装着溝部４１１の凹部４１１ａとインペラ装着孔周壁１３１の装着孔周壁端部１３１ａとの間に設けた微小な排水経路を通じて送風機１Ａの外部に排水されるが、一部の水分がフランジ板部４１０と内部空間仕切部材５０の仕切部材周壁端部５３０ａとの間を通過し、モータフランジ側内部空間４４０に侵入することが有り得る。しかし、フランジ板部４１０が仕切部材周壁５３０よりもモータ３０の近傍に水抜き孔４１０ｈを有することで、モータフランジ側内部空間４４０に侵入した水分を送風機１Ａの外部へと迅速に排水することができる。

　以上、本発明に係る送風機を実施例に基づき説明したが、本発明は実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱することなく適宜変形して実施することができる。例えば、内部空間仕切部材５０に排水溝５４０を有する構成で説明してきたが、送風機１Ａへの水分の侵入を防止できるのであれば、排水溝５４０を備えない構成としてもよい。

　本発明に係る送風機は、工業的に製造および使用等することができるから、また商業的に販売等することができるから、本発明は経済的価値を有して産業上利用することができる発明である。

１Ａ　送風機
１０　ハウジング
１１０　吹出し流路
１２０　吸気孔
１３０　インペラ装着孔
１３１　インペラ装着孔周壁
１３１ｃ　インペラ装着孔縁部（インペラ装着孔周壁の基部）
２０　インペラ
２１　ブレード、
２１ａ　ブレードの一端側
２２　コーン
３０　モータ
３０１ａ　モータの底面
３１０　モータの回転駆動軸
４０　モータフランジ
４１０ｈ　モータフランジ水抜き孔
５０　内部空間仕切部材
５１０ｃ　内部空間仕切部材の縁部（仕切板部の縁部）
５１１　仕切部材ブレード対向領域
５２０　仕切部材凸部
５２１　モータ装着孔
５２２　水滴トラップ
５３０　仕切部材周壁
５４０　排水溝
５４０ａ　排水溝の一端部
５４０ｂ　排水溝の他端部

Claims

　ハウジングと、
　円筒形状に配置された複数のブレードと、前記複数のブレードの一端側を連結し且つ前記複数のブレードの内側に向け前記複数のブレードの高さよりも低い凸形状に形成されたコーンとを備えて前記ハウジングの内側に位置づけられたインペラと、
　前記複数のブレードの一端側に配設された前記ハウジングのインペラ装着孔と、
　前記複数のブレードの他端側に配設された前記ハウジングの吸気孔と、
　前記ハウジングと前記インペラとの間に形成された前記ハウジングの吹出し流路と、
　前記複数のブレードの一端側に配設され且つ前記コーンの中心部に回転駆動軸が連結されたモータと、
　前記モータをインペラ装着孔に固定するためのモータフランジと、
　前記モータフランジと、前記インペラとの間に介在する内部空間仕切部材とを備えたことを特徴とする送風機。
　前記内部空間仕切部材は前記モータフランジと吹出し流路との間に介在することを特徴とする請求項１に記載の送風機。
　前記内部空間仕切部材の縁部は、前記ハウジングのインペラ装着孔縁部と略連続する面を形成していることを特徴とする請求項１または２の何れかに記載の送風機。
　前記インペラ装着孔縁部はインペラ装着孔周壁を備え、前記内部空間仕切部材の縁部は前記インペラ装着孔周壁の内側に位置づけられる仕切部材周壁を備えたことを特徴とする請求項３に記載の送風機。
　前記コーンは、高さが前記複数のブレードの高さの二分の一以下であることを特徴とする請求項１ないし４の何れかに記載の送風機。
　前記内部空間仕切部材は、
　前記複数のブレードの一端側と対向する領域に、回転する前記複数のブレードの一端側が形成する円環形状面と略平行する仕切部材ブレード対向領域を備え、
　前記仕切部材ブレード対向領域よりも内側の領域に前記コーンに向け凸形状に形成され且つ前記モータの他端側または前記回転駆動軸が配置されるモータ装着孔を有する仕切部材凸部を備えたことを特徴とする請求項１ないし５の何れかに記載の送風機。
　請求項６に記載の送風機において、
　前記内部空間仕切部材の仕切部材凸部は、凸面側に前記モータ装着孔を連続的または非連続的に囲んで凸に形成された水滴トラップを更に有することを特徴とする送風機。
　請求項１ないし７の何れかに記載の送風機において、前記内部空間仕切部材は、前記内部空間仕切部材の前記インペラ側に付着した水滴を流入させるための排水溝を更に備えたことを特徴とする送風機。
　前記排水溝は、一端部は前記モータの近傍に位置づけられ、他端部は前記一端部よりも前記モータから離間して位置づけられたことを特徴とする請求項８に記載の送風機。
　前記モータフランジは、前記仕切部材周壁よりも前記モータの近傍にモータフランジ水抜き孔を有することを特徴とする請求項１ないし９の何れかに記載の送風機。