WO2016140194A1

WO2016140194A1 - ステータの製造装置及びその製造方法

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Publication number: WO2016140194A1
Application number: PCT/JP2016/056085
Authority: WO
Inventors: 憲一武藤
Original assignee: 日特エンジニアリング株式会社
Priority date: 2015-03-02
Filing date: 2016-02-29
Publication date: 2016-09-09
Also published as: JP2016163424A; KR20170095266A; CN107408874A; DE112016000469T5; CN107408874B; KR102012307B1; US10581304B2; US20170373570A1; JP6579685B2

Abstract

　ステータの製造装置は、ステータコア内に挿入可能に構成され、複数のスロットに対応して、スリット状の複数の保持溝が外周に形成され、所定幅離れた２つの保持溝にステータコイルの一対の辺部を介装させる挿通治具と、先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャが、挿通治具の複数の保持溝の位置に応じて配置されており、挿通治具にステータコイルが介装された状態で、プッシャをその先端から対応する保持溝に挿入することにより、ステータコイルの辺部を外径側に押し出してそれぞれ対応するスロットに挿入する押圧治具と、一対の辺部が複数のスロットに挿入された複数のステータコイルのステータコアの端縁から突出するコイルエンド部に対向して設けられた一対の成形具と、プッシャが保持溝に挿入された状態において、コイルエンド部に対して軸方向から一対の成形具を押しつけることにより、コイルエンド部を成形する成形具移動部とを備えている。

Description

ステータの製造装置及びその製造方法

　本発明は、三相交流発電機等の回転電機におけるステータの製造方法及び製造装置に関する。より詳しくは、予め作製されたステータコイルをステータコアのスロットに挿入してステータを作製するステータの製造方法及びその製造装置に関する。

　従来、回転電機のステータは、放射状に並んで内径方向に突出する複数のティース（磁極）及びその間に開口する複数のスロットを有する円筒状のステータコアと、そのスロットにコイル辺部を納めることによりステータコアに組付けられたステータコイルとを備える。ステータコイルの組付け方法としては、ステータコアと別に予めステータコイルを作製し、ステータコアの各スロットにそのステータコイルを組付ける方法が知られている。

　例えば、ステータ製造方法として、ステータコアのスロットに対応する複数の保持溝が外周に形成された挿通治具を用い、予め巻線された複数のコイルの一対の辺部を所定幅離れた２つの保持溝に順次挿入して、挿通治具の外周に沿って複数のコイルを配列し、複数のコイルが巻線された挿通治具をステータコアの内周に挿入して、各保持溝がステータコアの対応するスロットに整合するように位置決めした後、先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャを対応する各保持溝に先端から挿入し、保持溝に挿入された各コイルの一対の辺部を外径側に押し出してステータコアの対応するスロットに挿入する方法が提案されている（例えば、ＪＰ２００７－１６６８５０Ａ及びＪＰ２０１１－２２９２８５Ａ参照。）。

　このステータ製造方法では、挿通治具に巻線されたコイルの辺部を外径側に押し出してスロットに挿入しているので、コイルの著しい変形を防止して、コイルを構成する線材へのダメージを少なくすることができる。ここで、ステータコアの各スロットに挿入されたステータコイルでは、スロットに納められた部分がコイル辺部となり、コイルのスロットに挿入されずにステータコアの端面から突出した残りの部分がコイルエンド部となる。

　しかしながら、コイルの一対の辺部を外径側に押し出してスロットに挿入する上記ステータ製造方法では、コイルを外径側に押し出す際、コイルの一方の辺部と他方の辺部の間隔が拡大するように変形させつつ、その一対の辺部をスロットに挿入することになる。このため、一対の辺部をスロットに挿入させた後に、その一対の辺部をステータコアの径方向外側に移動させたプッシャを保持溝から取り去ると、変形したコイルが若干元に戻ろうとするいわゆるスプリングバックにより、スロットに挿入された一対の辺部の一部又は全部がそのスロットから内径側に向かって飛び出してしまうような不具合があった。

　また、上記ステータ製造方法では、コイルの一対の辺部をスロットに挿入すると、２つの辺部間の間隔が拡大するので、コイルエンド部に対応する箇所は、一対の辺部がスロットの挿入される前後において変形してしまう。そのため、コイルエンド部に対応する箇所は、容易に変形可能なように、山形に形成している。この場合、コイルの一対の辺部がスロットに挿入されても、その山形を成すコイルエンド部は、山形の状態が維持されてしまい、コイルエンド部がステータコアの端部から比較的大きく突出する場合もあった。このように、ステータのコイルエンド部が軸方向に突出してしまうと、ステータが大型化してしまうという不具合もあった。

　本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的は、スロットに挿入されたステータコイルの辺部がスロットから飛び出すことを防止しつつ、ステータコアの端縁から突出するステータコイルのコイルエンド部の高さを低くすることができるステータの製造装置及びその製造方法を提供することにある。

　本発明のある態様によれば、本発明のステータの製造装置は、ステータコア内に挿入可能に構成され、ステータコアの複数のスロットに対応して、スリット状の複数の保持溝が外周に形成され、所定幅離れた２つの保持溝にステータコイルの一対の辺部を介装させるように構成される挿通治具と、先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャが、挿通治具の複数の保持溝の位置に応じて配置されており、挿通治具にステータコイルが介装された状態において、プッシャをその先端から対応する各保持溝に挿入することにより、ステータコイルの辺部を外径側に押し出してそれぞれ対応するスロットに挿入するように構成された押圧治具と、一対の辺部が複数のスロットに挿入された複数のステータコイルのステータコアの端縁から突出するコイルエンド部に対向して設けられた一対の成形具と、プッシャが対応する各保持溝に挿入された状態において、コイルエンド部に対して軸方向から一対の成形具を押しつけることにより、コイルエンド部を成形する成形具移動部と、を備えている。

　本発明の別の態様によれば、本発明のステータの製造方法は、予め巻線された複数のステータコイルの一対の辺部をステータコアの対応するスロットに挿入してステータを製造するステータの製造方法であって、ステータコアの複数のスロットに対応して、スリット状の複数の保持溝が外周に形成された挿通治具を準備するステップと、予め巻線された複数のステータコイルの一対の辺部を所定幅離れた２つの保持溝にそれぞれ介装させるステップと、ステータコアの内周に挿通治具を挿入して、保持溝がステータコアの対応するスロットに整合するように位置決めするステップと、先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャを対応する複数の保持溝に先端から挿入することにより、ステータコイルの辺部を外径側に押し出してステータコアの対応するスロットに挿入するステップと、複数のプッシャを対応する保持溝に挿入した状態で、ステータコアの端縁から突出する複数のステータコイルのコイルエンド部に成形具を軸方向から押しつけてコイルエンド部を成形するステップと、を含んでいる。

図１は、本発明の一実施形態におけるステータ製造装置の主な構成要素を示す斜視図である。図２は、押圧治具のプッシャを対応する各保持溝に先端から挿入している状態を示す図８のＡ－Ａ線断面図である。図３は、保持溝に挿入されたステータコイルが外径側に押し出されて対応するスロットに挿入された状態を示す図２に対応する断面図である。図４は、ステータコイルのコイルエンド部に成形具を押しつけて成形している状態示す図３に対応する断面図である。図５は、押圧治具のプッシャの先細部が対応する各保持溝に挿入されている状態を示す図２のＢ－Ｂ線断面図である。図６は、保持溝に挿入されたステータコイルが外径側に押し出されて対応するスロットに挿入された状態を示す図３のＣ－Ｃ線断面図である。図７は、ステータコアのスロットに挿入されるステータコイルの形状を示す図である。図８は、本実施形態のステータ製造装置の正面図である。図９は、本実施形態のステータ製造装置の側面図である。図１０は、ステータコイルがステータコアのスロットに挿入されたときのステータの斜視図である。図１１は、ステータコイルのコイルエンド部が成形されたときの図１０に対応するステータの斜視図である。図１２は、別の成形具がコイルエンド部を成形する以前の離間している状態を示す図３に対応する断面図である。図１３は、別の成形具をコイルエンド部に押しつけて成形している状態示す図４に対応する断面図である。

　以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。

　図１は、本発明の一実施形態におけるステータ製造装置２０の主な構成要素を示す斜視図である。図８は、本実施形態のステータ製造装置２０の正面図であり、図９は、本実施形態のステータ製造装置の側面図である。

　本実施形態のステータ製造装置２０は、押圧治具４０と、上側成形具６２及び下側成形具６１と、上側成形具移動部６４及び下側成形具移動部６３と（図８及び図９参照）、挿通治具２１とを備える。

　図１に示すように、ステータ製造装置２０は、放射状に並んで内径方向に突出する複数のティース（磁極）１１及びその間に開口する複数のスロット１２を有するステータコア１０にコイル１６を巻回することにより、ステータを製造する装置である。

　なお、以下では、ステータコア１０に装着される前のコイル１６についても、便宜上「ステータコア１６」と称して説明する。

　図１、図８及び図９に示すように、本実施形態のステータ製造装置２０は、図７に示すような予め巻線された複数のステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂをステータコア１０のそれぞれ対応するスロット１２に挿入することにより、そのステータコア１０と複数のステータコイル１６から構成されるステータ９（図１０及び図１１参照）を製造する装置である。

　ステータ製造装置２０は、ステータコイル１６を装着するために、ステータコア１０の内周に挿入される挿通治具２１を備える。挿通治具２１は、ステータコア１０の全長（スロット１２の延伸方向の長さ）Ｌ１と略等しい全長Ｌ２を有する。挿通治具２１は、図１に示すように、全体として略円柱状の形状を有する。この円柱状の挿通治具２１には、上端面の中心位置に中心軸を中心とする貫通孔２２が形成される。また、挿通治具２１の側面外周には、上端面の中心を通る中心線から見て放射状に複数の保持溝２３が形成される。

　挿通治具２１は、ステータコア１０内に挿入可能に構成される。また、挿通治具２１は、ステータコア１０の複数のスロット１２に対応して、スリット状の複数の保持溝２３が外周に形成される。挿通治具２１は、所定幅離れた２つの保持溝（２３）にステータコイル１６の一対の辺部１６ａ、１６ｂを介装させるように構成される。

　保持溝２３は、ステータコア１０のスロット１２の位置に対応して、ステータコア１０のスロット１２のピッチと同一のピッチで形成される。すなわち、挿通治具２１の外周には、スロット１２と同数の保持溝２３が形成される。そして、保持溝２３は、挿通治具２１の外周から半径方向で外方に向けて放射状に設けられ、その長手方向の全長に亘って形成される。

　図７は、ステータコア１０のスロット１２に挿入されるステータコイル１６の形状を示す図である。図１及び図７に示すように、ステータコア１０に装着されるステータコイル１６は、線材を巻線することにより製造される。ステータコイル１６は、ステータコア１０のスロット１２に挿入するために、スロット１２の延伸方向に伸びる一対の辺部１６ａ、１６ｂを有する。また、ステータコイル１６は、その両辺部１６ａ、１６ｂの端縁を連結してステータコア１０の上下端縁から軸方向に突出する一対のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを有する。本実施形態では、両辺部を構成する一辺部１６ａ及び他辺部１６ｂは、挿通治具２１の保持溝２３に挿入可能に構成される。

　すなわち、両辺部１６ａ、１６ｂは、両辺部１６ａ、１６ｂの軸方向（長手方向）の長さＬ３（図７参照）がステータコア１０の全長Ｌ１（図１参照）より僅かに長くなるように形成される。また、両辺部１６ａ、１６ｂは、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄの長さＬ４（図７参照）が両辺部１６ａ、１６ｂが挿入される２つのスロット１２の間の長さより僅かに長く形成される。そして、一対の両辺部１６ａ、１６ｂの端縁に連結するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄは、図３のように、山形を成すように巻線される。

　保持溝２３は、図１に示すように、この挿通治具２１の外周に、軸方向に延びて形成される。保持溝２３の深さは、少なくとも、ステータコイル１６における辺部１６ａ、１６ｂを収容可能な深さに形成される。そして、図５に示すように、予め作製された複数のステータコイル１６が、挿通治具２１の円周に沿って配列されるように構成される。なお、図５は、保持溝２３に挿入されたステータコイル１６が外径側に押し出されて対応するスロット１２に挿入された状態を示す図３のＣ－Ｃ線断面図である。

　本実施形態のステータ製造装置２０は、図８及び図９に示すように、複数の支柱３２を介して可動台３１に支持され、軸心が鉛直になるようにステータコア１０を支持する第一台座３３と、その可動台３１に立設され、第一台座３３に載置されたステータコア１０の内側に挿入された挿通治具２１を支持する第二台座３４とを備える。

　図２は、押圧治具４０のプッシャ４３を対応する各保持溝２３に先端から挿入している状態を示す図８のＡ－Ａ線断面図である。図３は、保持溝２３に挿入されたステータコイル１６が外径側に押し出されて対応するスロット１２に挿入された状態を示す図２に対応する断面図である。図４は、ステータコイル１６のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに成形具を押しつけて成形している状態示す図３に対応する断面図である。

　図２～図４に示すように、第一台座３３は、水平な平板形状を有する。第一台座３３の中央には、ステータコア１０の外径より小さくスロット１２に外接する仮想円の直径より大きな直径の円孔３３ａが形成される。また、第一台座３３の上面における円孔３３ａの孔縁には、中心軸を鉛直とするステータコア１０の下面周囲が着座する切り欠き３３ｂが全周に亘って形成される。第一台座３３は、切り欠き３３ｂにステータコア１０の下面周囲を着座させることにより、そのステータコア１０を支持するように構成される。

　第二台座３４は、円孔３３ａの中心軸にその中心軸が一致するように可動台３１に立設された丸棒である。第二台座３４は、ステータコア１０の内側に挿入された挿通治具２１の保持溝２３を除く下面中央部分を下方から支持するような円柱形状を有する。第二台座３４の上端部には、挿通治具２１の貫通孔２２に進入可能な位置決め用のボス３４ａが形成される。

　上述のように、本実施形態のステータ製造装置２０は、挿通治具２１の保持溝２３に挿入保持されたステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂ（図７参照）を、ステータコア１０の対応するスロット１２に押し込むための押圧治具４０を備える。

　押圧治具４０は、挿通治具２１がステータコア１０の内側に配置された後、ステータコイル１６が挿通治具２１にセットされた図５に示す状態から、図６に示すように、ステータコイル１６を挿通治具２１からステータコア１０側に移動させるために用いるものである。

　図５は、押圧治具のプッシャの先細部が対応する各保持溝に挿入されている状態を示す図２のＢ－Ｂ線断面図であり、図６は、保持溝に挿入されたステータコイルが外径側に押し出されて対応するスロットに挿入された状態を示す図３のＣ－Ｃ線断面図である。

　図８及び図９に示すように、押圧治具４０は、基台２６に立設された複数の支持棒４１に上下動可能に設けられた昇降台４２と、昇降台４２の下面に取り付けられた複数枚のプッシャ４３と、複数枚のプッシャ４３とともに昇降台４２を昇降させる昇降手段とを備える。

　図１に示すように、各プッシャ４３は、板状の部材である。挿通治具２１の保持溝２３と同数のプッシャ４３が、保持溝２３と同じピッチで周方向に並んで雌ねじ部材４４に取付けられる。図３に示すように、雌ねじ部材４４は、複数のプッシャ４３が取付けられる円筒状の被取付部４４ａと、被取付部４４ａと一体に形成され、ボルト等で昇降台４２に取付けられるフランジ４４ｂとを備える。また、雌ねじ部材４４の中央には、昇降手段のボールネジ５１（図８参照）が螺合可能な雌ねじ孔４４ｃが貫通して形成される。

　昇降台４２の中央部には、被取付部４４ａが挿通可能な貫通孔４２ａが形成される。雌ねじ部材４４の被取付部４４ａを貫通孔４２ａに挿通して、フランジ４４ｂを昇降台４２にネジ止めすることにより、昇降台４２の下方に突出した被取付部４４ａの周囲に板状の複数枚のプッシャ４３の上端が放射状に取付けられる。このようにして、複数枚のプッシャ４３は、ステータコア１０のすべてのスロット１２に入るような数及びピッチで昇降台４２に取付けられる。

　なお、図２及び図３に示すように、被取付部４４ａに放射状に取付けられた複数枚のプッシャ４３は、バンド４６によってその周囲を包囲することにより締結される。

　スロット１２の数と同数のプッシャ４３は、それぞれ同一構造を有する。図２～図４に示すように、各プッシャ４３の下方部分には、先細部４３ａが形成され、先細部４３ａから雌ねじ部材４４に向けて次第に幅（水平断面における径方向の長さ）が広くなる直線状又は比較的大きな曲率を有する曲線形状からなるテーパ部４３ｂが形成される。また、テーパ部４３ｂの上端から雌ねじ部材４４までは、同一の幅の幅広部４３ｃが形成される。幅広部４３ｃの幅は、保持溝２３の深さと略同一あるいは僅かに太く形成され、その幅広部４３ｃの長さは、挿通治具２１の軸方向Ｌ２（図１参照）の長さより長く形成される。

　なお、図示の便宜上、図１では、挿通治具２１の保持溝２３及びプッシャ４３の数はステータコア１０のスロット１２の数より少なく示し、ステータコイル１６は１つのみを示している。

　図８及び図９に示すように、複数枚のプッシャ４３とともに昇降台４２を昇降させる昇降手段は、雌ねじ部材４４に螺合するボールネジ５１と、ボールネジ５１を回転させるモータ５２とを備える。モータ５２は、複数の支持棒４１の上端に設けられた固定台５３上に設置される。ボールネジ５１は、その軸心を鉛直にして固定台５３に対して、回転自在であるが、軸方向（鉛直方向）への移動ができないように支持される。

　モータ５２の回転軸５２ａには、駆動ギヤ５４が取付けられる。また、ボールネジ５１の上端部には、駆動ギヤ５４に歯合する従動ギヤ５５が取付けられる。これにより、モータ５２が駆動すると、その回転軸５２ａが駆動ギヤ５４とともに回転するとともに、従動ギヤ５５が取付けられたボールネジ５１も回転する。結果として、ボールネジ５１が螺合する雌ねじ部材４４は、モータ５２の駆動に応じて、昇降台４２とともに昇降するように構成される。

　基台２６には、一対の平行なレール２７が水平方向に延びて設けられる。一対のレール２７には、第一台座３３及び第二台座３４が立設された可動台３１が移動可能に載置される。可動台３１は、第一台座３３及び第二台座３４に載置されたステータコア１０（ステータコア１０内に挿入された挿通治具２１を含む）とともに水平方向に移動するように構成される。具体的には、可動第３１は、ステータコア１０及び挿通治具２１が複数のプッシャ４３の下方に位置する第一位置と、ステータコア１０及び挿通治具２１の上方に作業空間が広がる第二位置との間で往復移動可能に構成される。なお、図９は、可動台３１が第二位置に位置している場合を示す。

　ステータコア１０及び挿通治具２１を第一位置に移動し、その状態で昇降台４２を下降させることにより、図２に示すように、複数のプッシャ４３の先細部４３ａが保持溝２３に進入する。そして、昇降台４２をさらに下降させることにより、図３に示すように、プッシャ４３の幅広部４３ｃが対応する各保持溝２３に挿入された状態では、その保持溝２３に辺部１６ａ、１６ｂが挿入されたステータコイル１６は、幅広部４３ｃにより挿通治具２１の外側に押し出されることになる。このように、ステータコイル１６が保持溝２３から外側に押し出されると、図６に示すように、そのステータコイル１６は、挿通治具２１からステータコア１０側に移動し、その一対の辺部１６ａ、１６ｂは、保持溝２３に対向するステータコア１０におけるスロット１２にそれぞれ挿入される。本実施形態のステータ製造装置２０は、このように構成される。

　本実施形態におけるステータ製造装置２０の特徴ある構成は、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入された複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに対向して設けられた一対の成形具６１、６２と、プッシャ４３が対応する各保持溝２３に挿入された状態において、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄに対して軸方向から一対の成形具６１、６２を押しつけることにより、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形する成形具移動部６３、６４とを備えたところにある。

　成形具６１、６２は、軸心を鉛直にするステータコア１０の下方に突出するコイルエンド部１６ｄを成形する下側成形具６１と、そのステータコア１０の上方に突出するコイルエンド部１６ｃを成形する上側成形具６２とを備える。また、成形具移動部６３、６４は、下側成形具６１を移動させる下側成形具移動部６３と、上側成形具６２を移動させる上側成形具移動部６４とを備える。

　図１～図４に示すように、下側成形具６１及び上側成形具６２は、略同一構造を有し、後述する環状壁６１ｃ、６２ｃが対向するように配置される。下側成形具６１及び上側成形具６２は、厚肉の板状を有し、その中央部には、中央孔６１ａ、６２ａがそれぞれ形成される。また、中央孔６１ａ、６２ａから放射状に延びる複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成される。複数のプッシャ４３が下側成形具６１及び上側成形具６２を通過することができるように、スリット６１ｂ、６２ｂの数は、複数のプッシャ４３の数と同数である。

　また、下側成形具６１及び上側成形具６２には、複数のステータコイル１６におけるコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの集合体が描く外周の広がりを制限する環状壁６１ｃ、６２ｃが中央孔６１ａ、６２ａと同心に環状に形成される。図２～図４に示すように、環状壁６１ｃ、６２ｃが形成された側の中央孔６１ａ、６２ａ近傍が厚肉になるように、複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分は、円錐形状に形成される。このように、下側成形具６１及び上側成形具６２は、環状壁６１ｃ、６２ｃの内側にある底面が、スロット１２に挿入された複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの突出端に当接するように構成される。

　下側成形具移動部６３は、下側成形具６１がその上面に取付けられ、複数の支柱３２に上下動可能に設けられた下側昇降板６３ａと、下側昇降板６３ａの対向する一対の側面近傍に螺合された一対のボールネジ６３ｂと、ボールネジ６３ｂを回転させる一対のモータ６３ｃとを備える。

　各モータ６３ｃは、支柱３２に固定された下側固定板６３ｄにその回転軸を鉛直方向上方に向けて取付けられ、各ボールネジ６３ｂは、その軸心を鉛直にしてモータ６３ｃの回転軸に取付けられる。一対のモータ６３ｃの回転軸が同期して回転すると、その回転軸に取付けられた一対のボールネジ６３ｂも同期して回転する。これにより、ステータ製造装置２０は、一対のボールネジ６３ｂが螺合する下側昇降板６３ａが昇降するように構成される。下側昇降板６３ａには、その中央に複数のプッシャ４３の幅広部４３ｃが通過可能な円孔６３ｅが形成され、この円孔６３ｅと同軸に下側成形具６１が下側昇降板６３ａ上に取付けられる。

　下側昇降板６３ａが上昇すると、下側昇降板６３ａの上面に取付けられた下側成形具６１も上昇する。これにより、プッシャ４３が対応する各保持溝２３に挿入された状態において、ステータコア１０から下方に突出するコイルエンド部１６ｄに下側成形具６１が軸方向から押しつけられて、コイルエンド部１６ｄを成形するように構成される。

　一方、上側成形具移動部６４は、上側成形具６２がその下面に取付けられ、複数の支持棒４１に上下動可能に設けられた上側昇降板６４ａと、上側昇降板６４ａの対向する一対の側面近傍に螺合された一対のボールネジ６４ｂと、ボールネジ６４ｂを回転させる一対のモータ６４ｃとを備える。

　各モータ６４ｃは、支持棒４１に固定された上側固定板６４ｄにその回転軸を鉛直方向下方に向けて取付けられ、各ボールネジ６４ｂは、その軸心を鉛直にしてモータ６４ｃの回転軸に取付けられる。一対のモータ６４ｃの回転軸が同期して回転すると、その回転軸に取付けられた一対のボールネジ６４ｂも同期して回転する。これにより、ステータ製造装置２０は、一対のボールネジ６４ｂが螺合する上側昇降板６４ａが昇降するように構成される。上側昇降板６４ａには、その中央に複数のプッシャ４３の幅広部４３ｃが通過可能な円孔６４ｅが形成され、この円孔６４ｅと同軸に上側成形具６２が上側昇降板６４ａ上に取付けられる。

　上側成形具６２には、その中央孔６２ａから放射状にスリット６２ｂが複数のプッシャ４３が通過可能に、複数のプッシャ４３に対向してそのプッシャ４３の数と同数形成される。このため、その複数のスリット６２ｂにプッシャ４３の下部を進入させた状態で上側昇降板６４ａに取付けられる。これにより、この上側成形具６２は、雌ねじ部材４４の上端が取付けられた複数のプッシャ４３の下端を支持し、それぞれの下端を挿通治具２１の保持溝２３にそれぞれ対応させるガイド材としての役割を果たす。

　上側昇降板６４ａが下降すると、その上側昇降板６４ａの下面に取付けられた上側成形具６２も下降する。これにより、プッシャ４３が対応する各保持溝２３に挿入された状態において、ステータコア１０から上方に突出するコイルエンド部１６ｃに上側成形具６２が軸方向から押しつけられて、コイルエンド部１６ｃを成形するように構成される。

　次に、本実施形態のステータ製造装置２０を用いた本発明におけるステータの製造方法を詳細に説明する。

　本実施形態のステータの製造方法は、予め巻線された複数のステータコイル１６の一対の辺部１６ａ、１６ｂをステータコア１０の対応するスロット１２に挿入してステータ９を製造する方法である。この製造方法では、ステータコア１０の複数のスロット１２に対応して、スリット状の複数の保持溝２３が外周に形成された挿通治具２１を準備して用いる。

　ステータコイル１６は、線材を巻線することにより予め作製される。そして、この予め作製された複数のステータコイル１６の一対の辺部１６ａ、１６ｂを挿通治具２１の対応する保持溝２３にそれぞれ挿入する。このように、すべてのステータコイル１６を挿通治具２１の円周に沿って配列する。なお、図１は、１つのステータコイル１６のみを挿入する状態を示す。

　ここで、ステータコイル１６は、図示しない市販の巻線機等を用いて、線材を巻回することにより得られる。

　図１及び図７に示すように、ステータコイル１６は、ステータコア１０のスロット１２に挿入される一対の辺部１６ａ、１６ｂと、その端縁を連結する一対のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄとを有する。上述したように、両辺部１６ａ、１６ｂの長さＬ３（図７参照）は、ステータコア１０の全長Ｌ１（図１参照）より僅かに長く形成される。

　また、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄ部の長さＬ４（図７参照）は、両辺部１６ａ、１６ｂが挿入される２つのスロット１２の間の長さより僅かに長く形成される。コイルエンド部１６ｃ、１６ｄは、図７に示すように、山形を成すように巻線される。

　このように作製された複数のステータコイル１６を挿通治具２１外周にそれぞれ配設し、所定幅離れた２つの保持溝２３に各ステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂを挿入（介装）させる。複数のステータコイル１６の一対の辺部１６ａ、１６ｂを複数の保持溝２３に挿入させるには、図示しない把持具により辺部１６ａ、１６ｂを挟み、図示しないアクチュエータにより辺部１６ａ、１６ｂとともに把持具を移動させることにより、複数の保持溝２３に各ステータコイル１６の辺部１６ａ、１６ｂを挿入させることができる。

　なお、本実施形態のステータの製造方法は、必要であれば、この両辺部１６ａ、１６ｂを予め絶縁紙又はテープ等で被覆し、そのように絶縁処理された両辺部１６ａ、１６ｂを保持溝２３に挿入させるように構成してもよい。

　絶縁紙又はテープ等の被覆は、ステータコイル１６が単体の状態であれば、市販の機械等で実施可能である。そのため、絶縁処理された両辺部１６ａ、１６ｂを保持溝２３に挿入させる場合であっても、ステータコイル１６の挿通治具２１外周への配設をステータ製造装置２０等により自動化することができる。

　次いで、複数のステータコイル１６を外周に沿って配列させた挿通治具２１をその状態のままステータコア１０の内周に挿入する。このとき、可動台３１は、図９に示すように、第一台座３３及び第二台座３４の上方に作業空間が広がる第二位置に移動させている。そして、第一台座３３上にステータコア１０を載置した後、ステータコア１０の内周に挿通治具２１を挿入して第二台座３４上に挿通治具２１を載置することにより、図２に示すように、ステータコア１０の内周に挿通治具２１を挿入した状態を維持する。

　ここで、第一台座３３は、ステータコア１０の下面周囲を支持するように構成され、第二台座３４は、挿通治具２１の保持溝２３を除く中央部分を下方から支持するように構成される。そのため、ステータコア１０の内周に挿通治具２１を挿入するとき、ステータコイル１６のステータコア１０より下方に突出するコイルエンド部１６ｄは、第一台座３３の円孔３３ａを挿通して、第二台座３４の外側に形成される空間に突出するように進入することになる。

　次いで、図３に示すように、前述した押圧治具４０を用いて、挿通治具２１の保持溝２３に保持されたステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂを外径側に押し出して、ステータコア１０の対応するスロット１２に挿入する。

　具体的には、モータ５２を駆動してボールネジ５１が螺合する昇降台４２を複数のプッシャ４３とともに上昇させ、第一台座３３及び第二台座３４の移動の際に、プッシャ４３がステータコア１０に干渉しないようにする。そして、第一台座３３及び第二台座３４に載置されたステータコア１０及び挿通治具２１とともに可動台３１を、ステータコア１０及び挿通治具２１が複数のプッシャ４３の下方に位置する第一位置まで水平方向に移動させる。

　次いで、上側成形具６２とともに上側昇降板６４ａを下降させ、上側成形具６２を挿通治具２１に近づける。上側成形具６２に形成された放射状のスリット６２ｂに挿通された複数のプッシャ４３の先細部４３ａは、挿通治具２１の保持溝２３にそれぞれ対応するように位置決めされる。その後、モータ５２を再び駆動して昇降台４２を下降させ、昇降台４２に設けられた複数のプッシャ４３をその先細部４３ａから保持溝２３に挿入していく。

　図２に示すように、保持溝２３には、プッシャ４３の先細部４３ａが先に進入し、その後にテーパ部４３ｂが進入することになる。これにより、テーパ部４３ｂは、保持溝２３に挿入されたステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂを挿通治具２１の半径方向外側に押出す。すなわち、保持溝２３に挿入された両辺部１６ａ、１６ｂは、プッシャ４３のテーパ部４３ｂによって外径側に押し出され、その後、幅広部４３ｃが進入することにより、ステータコア１０のスロット１２に完全に挿入される。図３及び図６は、ステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂが対応するスロット１２に完全に挿入された状態を示す。

　ここで、挿通治具２１によって保持されたステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂを外径側に押し出して各スロット１２に挿入している。そのため、挿通治具２１によって保持されたステータコイル１６の両辺部１６ａ、１６ｂの間隔Ｌ４（図７（ａ）参照）は、図６に示すように、各スロット１２に挿入された状態では、間隔Ｌ４'（図７（ｂ）参照）に広がる。このように、本実施形態のステータ製造装置２０では、ステータコイル１６が円周方向に好適に広げられてステータコア１０のスロット１２挿入されることとなる。

　上述のように、両辺部１６ａ、１６ｂの端縁を連続させるステータコイル１６の各コイルエンド部１６ｃ、１６ｄは、山形を成して形成されている。そのため、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入された複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄは、図１０に示すように、それぞれが山形を成して、ステータコア１０の端面から突出してしまう。

　このため、本実施形態のステータの製造方法では、次いで、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形するステップをさらに含むこととなる。具体的には、プッシャ４３を対応する各保持溝２３に挿入した状態において、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入された複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに成形具６１、６２を軸方向からそれぞれ押しつける。このように、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形する。コイルエンド部１６ｃ、１６ｄの成形は、下側及び上側成形具移動部６３、６４により下側及び上側成形具６１、６２をコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに押しつけることにより行われる。

　すなわち、下側成形具移動部６３では、モータ６３ｃを駆動してボールネジ６３ｂを同期して回転させ、ボールネジ６３ｂが螺合する下側昇降板６３ａを上昇させることにより、下側昇降板６３ａの上面に取付けられた下側成形具６１を上昇させる。プッシャ４３が対応する各保持溝２３に挿入された状態において、下側成形具移動部６３は、ステータコア１０から下方に突出するコイルエンド部１６ｄに下側成形具６１を軸方向から押しつけて、コイルエンド部１６ｄを成形する。

　一方、上側成形具移動部６４では、モータ６４ｃを駆動してボールネジ６４ｂを同期して回転させ、ボールネジ６４ｂが螺合する上側昇降板６４ａを下降させることにより、上側昇降板６４ａの下面に取付けられた上側成形具６２を下降させる。プッシャ４３が対応する各保持溝２３に挿入された状態において、上側成形具移動部６４は、ステータコア１０から上方に突出するコイルエンド部１６ｃに上側成形具６２を軸方向から押しつけて、コイルエンド部１６ｃを成形する。

　このように、ステータコア１０の両端面から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに下側及び上側成形具６１、６２を軸方向から押しつけて、そのコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形すると、図１１に示すように、ステータコア１０の端面から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの高さは、成形前の高さより小さくなる。したがって、本実施形態のステータの製造方法によれば、ステータコア１０の両端面から突出したコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの高さを比較的小さくすることができるとともに、全周に亘ってその高さが均一となるステータ９を得ることができる。

　ここで、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄの成形は、プッシャ４３を対応する各保持溝２３に挿入した状態で行われている。そのため、下側及び上側成形具６１、６２の押しつけによりコイルエンド部１６ｃ、１６ｄが成形されても、プッシャ４３の存在により、押しつぶされるコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに連続する辺部１６ａ、１６ｂが各スロット１２から離脱することを効果的に防止することができる。したがって、本実施形態のステータの製造方法によれば、ステータコイル１６の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２から離脱することを防止しつつ、ステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの高さを低くすることができるものとなる。

　このように下側及び上側成形具６１、６２を押しつけてコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形した後、下側及び上側成形具６１、６２をコイルエンド部１６ｃ、１６ｄから離間させると、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄには、スプリングバックによりステータコア１０の端縁から突出しようとする力が生じる。

　一方、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形する前では、スロット１２に挿入された一対の辺部１６ａ、１６ｂの一部又は全部は、いわゆるスプリングバックによる元に戻ろうとする復元力により、スロット１２から内径方向に移動して飛び出そうとする力が生じる。

　しかしながら、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形した後、下側及び上側成形具６１、６２をコイルエンド部１６ｃ、１６ｄから離間させると、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄに生じるステータコア１０の端縁から突出しようとする力により、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２から飛び出そうとする力は、ステータコア１０の外径側に移動してスロット１２に収納されようとする力に変わる。

　このため、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄの成形後に保持溝２３からプッシャ４３を取り去ったとしても、いわゆるスプリングバックにより、スロット１２に挿入された一対の辺部１６ａ、１６ｂの一部又は全部は、内径方向に移動してスロット１２から飛び出してしまうようなことはない。

　したがって、本発明のステータの製造方法及びステータ製造装置２０によれば、スロット１２に挿入されたステータコイル１６の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２から飛び出してしまうことを防止しつつ、ステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄの高さを低くすることが可能になるのである。

　そして、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形した後、下側及び上側成形具６１、６２をステータコア１０から離間させ、保持溝２３からプッシャ４３を取り去るとともに、挿通治具２１をスタータコア１０の内周から抜き出すことにより、ステータコア１０のスロット１２にステータコイル１６が組み付けられたステータ９を得ることができる。

　このようにして得られたステータ９は、図１１に示すように、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄがコンパクトで均一に突出した状態となるので、ステータ９そのものやこのステータ９を用いて作られるモータをコンパクト化することができる。

　なお、上述した実施形態では、プッシャ４３を対応する各保持溝２３に挿入して、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入された後に、複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに成形具６１、６２を軸方向から押しつける場合を説明した。

　しかしながら、図２～図４に示すように、複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分が円錐形を成して形成された下側及び上側成形具６１、６２を用いる場合には、そのコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに成形具６１、６２を押しつけつつ、プッシャ４３を対応する各保持溝２３に挿入して、一対の辺部１６ａ、１６ｂをスロット１２に挿入することもできる。すなわち、本実施形態のステータの製造方法では、挿通治具２１の複数の保持溝２３に複数のプッシャ４３を挿入するステップは、下側及び上側成形具６１、６２によりステータコイル１６のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形するステップと同時に行ってもよい。

　一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入される前に、下側及び上側成形具６１、６２をコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに接触させると、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄは、下側及び上側成形具６１、６２の複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分に接触することになる。そして、スリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分が円錐形を成していると、その傾斜により、その部分に接触するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄは外径方向に導かれることになり、ステータコイル１６全体を速やかに外径方向に押し広げることができる。

　また、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄに下側及び上側成形具６１、６２を押しつけつつ、プッシャ４３により一対の辺部１６ａ、１６ｂをスロット１２に挿入する場合には、一対の辺部１６ａ、１６ｂを外径方向に案内するプッシャ４３の軸方向の移動により、ステータコイル１６がステータコア１０の軸方向内側に戻ることを防止することもできる。

　一方、プッシャ４３を対応する各保持溝２３に挿入して、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入された後に、複数のステータコイル１６のステータコア１０の端縁から突出するコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに下側及び上側成形具６１、６２を軸方向から押しつける場合には、複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分を円錐形に形成する必要はない。

　例えば、図１２及び図１３に示すように、比較的厚肉の板状を成す下側成形具６１及び上側成形具６２において、中央孔６１ａ、６２ａから放射状にスリット６１ｂ、６２ｂを形成しても、その部分を厚肉のままとすればよい。これにより、一対の辺部１６ａ、１６ｂがスロット１２に挿入されたステータコイル１６のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを成形する部分を周溝Ｍ、Ｎとして形成してもよい。

　このような下側及び上側成形具６１、６２をコイルエンド部１６ｃ、１６ｄに軸方向から押しつけると、複数のスリット６１ｂ、６２ｂが形成された部分が円錐形に形成された下側及び上側成形具６１、６２に比較して、ステータコア１０の端縁のコイルエンド部１６ｃ、１６ｄを周溝Ｍ、Ｎの範囲内において確実に成形することが可能となる。また、コイルエンド部１６ｃ、１６ｄを外周側に広げて成形することもできるので、その後、ステータコア１０の内周に図示しないロータ等を挿入する後工程を円滑に行うことが期待できる。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。

　上述の実施形態では、昇降台４２の昇降手段としてボールネジ５１をモータ５２で駆動する場合について説明していたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、この昇降手段は、ボールネジ５１及びモータ５２の組み合わせに限らず、油圧や空気圧を用いてもよく、又はそれらの組合せでもよい。

　本願は２０１５年３月２日に日本国特許庁に出願された特願２０１５－３９９０３に基づく優先権を主張し、この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims

　ステータコア内に挿入可能に構成され、前記ステータコアの複数のスロットに対応して、スリット状の複数の保持溝が外周に形成され、所定幅離れた２つの前記保持溝にステータコイルの一対の辺部を介装させるように構成される挿通治具と、
　先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャが、前記挿通治具の前記複数の保持溝の位置に応じて配置されており、前記挿通治具に前記ステータコイルが介装された状態において、前記プッシャをその先端から対応する前記各保持溝に挿入することにより、前記ステータコイルの辺部を外径側に押し出してそれぞれ対応する前記スロットに挿入するように構成された押圧治具と、
　前記一対の辺部が前記複数のスロットに挿入された複数の前記ステータコイルの前記ステータコアの端縁から突出するコイルエンド部に対向して設けられた一対の成形具と、
　前記プッシャが対応する前記各保持溝に挿入された状態において、前記軸方向から前記一対の成形具を押しつけることにより、前記コイルエンド部を成形する成形具移動部と、
　を備えたことを特徴とするステータの製造装置。
　請求項１に記載のステータの製造装置であって、
　前記押圧治具を前記挿通治具に対して昇降させる昇降部をさらに備える、
　ステータの製造装置。
　請求項１に記載のステータの製造装置であって、
　前記昇降部による前記押圧治具の前記挿通治具への押圧は、前記成形具移動部による前記成形具の前記コイルエンド部への押圧と同時に行うように構成される、
　ステータの製造装置。
　請求項１に記載のステータの製造装置であって、
　前記一対の成形具の前記コイルエンドに対向する中央部分は、円錐状に形成される、
　ステータの製造装置。
　予め巻線された複数のステータコイルの一対の辺部をステータコアの対応するスロットに挿入してステータを製造するステータの製造方法であって、
　ステータコアの複数のスロットに対応して、スリット状の複数の保持溝が外周に形成された挿通治具を準備するステップと、
　予め巻線された複数のステータコイルの一対の辺部を所定幅離れた２つの前記保持溝にそれぞれ介装させるステップと、
　前記ステータコアの内周に前記挿通治具を挿入して、前記保持溝が前記ステータコアの対応するスロットに整合するように位置決めするステップと、
　先端に向かうほど幅が狭くなる複数の板状のプッシャを対応する前記複数の保持溝に先端から挿入することにより、前記ステータコイルの辺部を外径側に押し出して前記ステータコアの対応する前記スロットに挿入するステップと、
　前記複数のプッシャを対応する前記保持溝に挿入した状態で、前記ステータコアの端縁から突出する前記複数のステータコイルのコイルエンド部に成形具を軸方向から押しつけて前記コイルエンド部を成形するステップと、
　を含むことを特徴とするステータの製造方法。
　請求項５に記載のステータの製造方法であって、
　前記プッシャの挿入ステップは、前記コイルエンド部の成形ステップと同時に行われる、
　ステータの製造方法。