WO2016052274A1

WO2016052274A1 - 演奏情報処理装置及び方法

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Publication number: WO2016052274A1
Application number: PCT/JP2015/076763
Authority: WO
Inventors: 亮田畑; 旬臼井; 恵美田那邊; 貴央柳川; 祐嗣山田
Original assignee: ヤマハ株式会社
Priority date: 2014-09-29
Filing date: 2015-09-18
Publication date: 2016-04-07
Also published as: EP3203466A1; EP3203466A4; EP3203466B1; JP6435751B2; CN106796777B; US10354630B2; US20170278501A1; CN106796777A; JP2016071031A

Abstract

　ユーザにより行われた音楽演奏の演奏情報を受け付け、該演奏情報を所与の時間区間毎にバッファに一時記憶する。ユーザによる記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記演奏情報を記録部に記録する。確定的な時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生し、前記ユーザは、その繰り返し再生音を聞きながら、所望の音楽演奏をアドリブ的に行う。前記所与の時間区間は、前記第２演奏情報の前記確定的な時間区間に一致するように設定される。１回の前記記録指示に応じて、前記記録部における複数の記録トラックのいずれか１つに、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記演奏情報を記録する。これにより、複数回の前記記録指示に応じて、前記所与の時間区間分の前記演奏情報の互いに異なるセグメントが前記複数の記録トラックにそれぞれ記録される。これらの演奏情報の互いに異なるセグメントが、同期して繰り返し再生される。

Description

演奏情報処理装置及び方法

　本発明は、演奏情報処理装置及び方法に関し、特に、ユーザが入力した演奏情報を容易な操作で記録する技術に関し、さらには、該記録した演奏情報を他の演奏情報と同期して繰り返し再生（ループ再生）する技術に関する。

　従来、既に存在している伴奏等の演奏情報を繰り返し再生（つまり、ループ再生）しつつ新たな演奏情報を記録する技術が知られている。例えば、下記特許文献１では、イントロパターンからエンディングパターンに至るまでの複数の伴奏エレメントが順次連続的にかつ１つの伴奏エレメントが適宜ループ再生されることにより、一連の伴奏パターンが再生されることが示されており、かつ、該一連の伴奏パターンの再生時において、例えばイントロパターンが再生されている時に、ユーザが録音スイッチをオン操作して所望の演奏操作を行うことにより、該演奏操作に応じた鍵イベントに基づく入力エレメントを録音エリアに録音することが開示されている。該録音エリアに録音された入力エレメントは該再生中のイントロパターンの再生エリアにマージされ、このイントロパターンの再生が完了したら、イントロパターンに続いてそのマージされた入力エレメントが再生される。これにより、全ての伴奏エレメントを繋げた形で再生および録音でき、「イントロパターン」から「エンディングパターン」に至る一連の音楽的な繋がりや演奏上の乗りが寸断されることなく、イメージした通りの伴奏パターンを作成することができる。

　しかし、下記特許文献１では、先に作成された伴奏パターンを聴きながら、それを補う新たな伴奏パターンを作成するといった即興的な試行錯誤を繰り返してユーザ所望の音楽的修飾が施された伴奏パターンを作り上げるようなことはできない。また、ユーザ演奏の録音に際しては、ユーザが録音スイッチをオン操作してから所望の演奏操作を行わねばならないので、あまり良くない演奏も録音されてしまうことになり、良い演奏のみを録音することは簡単にはできなかった。

　一方、下記特許文献２は、ユーザ所望の音楽的修飾が施された伴奏パターンを作成する自動演奏装置を開示する。この装置では、録音スイッチが押下されていなければ、録音エリアの複数のレイヤエリアの中で演奏イベント記録済みの１以上のレイヤについて繰り返し再生し、この繰り返し再生中に録音スイッチが押下されると、レイヤ変更スイッチの操作で新たに指定される１レイヤに、ユーザ演奏操作に応じて生成される演奏イベントを記録する。従って、先に記録した演奏の再生音を聴きつつリアルタイムに行われる演奏に応じて生成されるイベントを新たなレイヤに記録する多重録音ができる。

特許第４１１７５９６号公報特開２０１１－１１２６７９号公報

　しかしながら、特許文献２の技術においては、録音スイッチを押した状態で録音動作に遷移し、離した状態で再生動作に遷移するので、演奏を記録するにあたってユーザは意識して録音開始操作を行いかつ同時に演奏操作を行う必要がある。そのため、例えば自由あるいは気楽に弾いた際に偶発的に素敵なフレーズを演奏できたとしても、意図した録音操作を行った後の演奏でないとそのフレーズを残せない。上記特許文献１の技術においても同様の問題がある。

　特許文献２ではまた、レイヤ（トラック）間の再生タイミングは、ユーザが操作して調整するという煩雑な作業が必要である。そのため、録音した演奏を再生するタイミングの調整に意識が傾注され、自由な即興演奏に集中できない。

　本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、ユーザが行った音楽演奏の演奏情報を容易な操作で記録することができるようにすることを目的とし、さらには、該記録した演奏情報を他の演奏情報と同期して繰り返し再生することを容易に行えるようにすることを目的とする。

　上記目的を達成するために本発明の演奏情報処理装置は、ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報を受け付ける演奏情報受付部と、所与の時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生する再生部と、前記第１演奏情報を前記所与の時間区間毎に一時記憶するバッファ部と、前記ユーザによる記録指示を受け付ける記録指示部と、前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録部に記録するように構成された制御部とを備える。

　本発明によれば、ユーザは、繰り返し再生される第２演奏情報を聞きながら、それに合った音楽演奏をアドリブ的に行うことができ、該ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報が該第２演奏情報の繰り返しに同期する前記所与の時間区間毎にバッファ部内に一時記憶され、記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報が記録部に記録される。従って、ユーザは、いつ記録指示を行うべきかを気にせずに、気軽に自由に音楽演奏を流して行うことができ、その気軽な音楽演奏の過程で良いフレーズが演奏できたと感じたときに、記録指示を行えばよい。すなわち、記録指示を行ったときに、バッファ部内に一時記憶されている、ユーザが「良いフレーズ」と感じた、所与の時間区間分の前記第１演奏情報が記録部に記録されることになる。これにより、本発明によれば、ユーザは、記録指示操作と記録すべき演奏操作とを同時に行う必要がなく、気に入った演奏操作を行った後に記録指示操作を行えばよいことになり、ユーザが行った音楽演奏の演奏情報を容易な操作で記録することができることになる。また、バッファ部に一時記憶される第１演奏情報の前記所与の時間区間は、第２演奏情報の繰り返し再生の時間区間に一致しているので、格別の調整処理を必要とすることなく、両者（記録した第１演奏情報と第２演奏情報）を同期して繰り返し再生することが容易に行える。

　一実施例において、前記第２演奏情報は前記記録部に記録されており、前記再生部は、前記記録部に記録されている前記第２演奏情報を繰り返し再生するものであってよい。

　一実施例において、前記ユーザによる記録消去指示を受け付ける記録消去指示部、を更に備え、前記制御部は、前記記録消去指示に応じて、前記記録部に記録された前記第１演奏情報を消去するように構成されていてよい。これによれば、前記記録部に一旦記録した前記第１演奏情報を任意に消去することができ、別の演奏情報に記録し直すことができる。

　一実施例において、前記制御部は、１回の前記記録指示に応じて、前記記録部における複数の記録トラックのいずれか１つに、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録するように構成されており、これにより、複数回の前記記録指示に応じて、前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報の互いに異なるセグメントが前記複数の記録トラックにそれぞれ記録され、前記複数の記録トラックに記録された前記第１演奏情報の互いに異なるセグメントが、同期して繰り返し再生されるように構成されていてよい。これによれば、互いに異なる複数のセグメントの多重記録が可能となり、繰り返し再生されるフレーズの構成を豊かにすることができる。

　本発明は、ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報を受け付けるステップと、所与の時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生するステップと、前記第１演奏情報を前記所与の時間区間毎に一時記憶するステップと、前記ユーザによる記録指示を受け付けるステップと、前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録部に記録するステップとを備える演奏情報処理方法として実装することもできる。

　さらに、本発明は、上記演奏情報処理方法を実行するために、プロセッサにより実行可能な命令群を記憶した、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実装することもできる。

図１（ａ）は、ギタータイプの楽器として構成された本発明の一実施の形態に係る演奏情報処理装置の模式的な正面図（）、図１（ｂ）は、その側面図、図１（ｃ）は、図１（ｂ）のＡ－Ａ線に沿う断面図である。

本発明の一実施の形態に係る演奏情報処理装置の制御システムを例示するブロック図である。

演奏により区間演奏情報を取得しトラックに記録する様子を示す概念図である。

本発明の一実施の形態に係る演奏情報処理装置のメイン処理を例示するフローチャートである。

　図１（ａ）は、本発明の一実施の形態に係る演奏情報処理装置の模式的な正面図である。本実施の形態では、アコースティックギター１００内に本発明の一実施の形態に係る演奏情報処理装置を組み込んだものを例示する。なお、演奏情報処理装置は、その他各種の楽器、あるいは何らかの演奏操作が可能な装置であればよい。演奏情報処理装置が特別の演奏操作子と呼称される構成要素を有することは必須でなく、何らかの演奏操作が可能な装置であれば本発明を適用可能である。図１（ｂ）はギター１００の側面図、図１（ｃ）は図１（ｂ）のＡ－Ａ線に沿う断面図である。

　ギター１００は、弦である演奏操作子２７を有する。ギター１００の本体には、制御部１０、ピックアップ２８、トランスデューサ２６が設けられる。また、本体の表板には、表側に突出してスイッチ２２が配設される。制御部１０に、ピックアップ２８、トランスデューサ２６、スイッチ２２が接続される。また、外付けのスピーカ２５が制御部１０に接続される。制御部１０等への電力供給のために、非接触等の充電式を使用してもよい。

　図２は、本発明の演奏情報処理装置の一実施例であるギター１００の制御システムを示すブロック図である。

　ギター１００の制御部１０は、ＲＯＭ１２、ＲＡＭ１３、タイマ１４、各種インターフェイス（Ｉ／Ｆ）１５、記録部１６、ピックアップ２８、検出回路２９、再生部２４が、バス２０を介してＣＰＵ１１にそれぞれ接続されて構成される。検出回路２９には、スイッチ２２及び各種操作子２１が接続される。再生部２４は、物理的な振動音を発生する放音部の例示としてトランスデューサ２６及び／又はスピーカ２５を含み、ＣＰＵ１１からの指示に従って、これらの放音部に対して電気的音響信号（楽音信号）を供給する機能を有する。再生部２４は、必要に応じて電子的音源回路や効果回路を含んでいてもよい。放音部はトランスデューサ２６又はスピーカ２５のいずれか１つであってもよい。トランスデューサ２６は、供給された音響信号を駆動信号として振動し、表板を加振（励振）することで音響を発生させる加振器である。各種Ｉ／Ｆ１５には、ＭＩＤＩインターフェイスや、楽音信号を入力するためのインターフェイス等が含まれる。

　ピックアップ２８はサドルに設けられて、弦である演奏操作子２７の振動を電気信号に変換し、その信号がＣＰＵ１１に供給される。トランスデューサ２６による励振中であっても、演奏操作子２７の演奏だけを抽出でき、これによりユーザの演奏操作に応じた演奏情報が取得される。検出回路２９は各種操作子２１やスイッチ２２の操作状態を検出し、検出結果をＣＰＵ１１に供給する。スイッチ２２は、一例として、起立した状態を中立状態とし、起立した状態から所定方向に倒すことで記録指示の操作を行え、その反対方向に倒すことで記録消去指示の操作を行える。スイッチ２２は、起立方向に付勢されており、倒す操作をした手を離すと起立状態に自己復帰する。

　ＣＰＵ１１は、本装置全体の制御を司る。ＲＯＭ１２は、ＣＰＵ１１が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶する。ＲＡＭ１３は、各種情報、フラグや演算結果等を一時的に記憶する。タイマ１４は各種時間を計時する。記録部１６は、主メモリ１７、バッファ１８及びトラック用メモリ１９を含む。記録部１６の機能の一部をＲＡＭ１３が果たすように構成してもよい。本発明に係る演奏情報処理装置又は方法の機能を実現するためのアプリケーションプログラムは、ＲＯＭ１２又は記録部１６のような、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、ＣＰＵ１１あるいはＤＳＰ等のプロセッサによって実行される。

　図２において、演奏操作子２７は、ユーザが任意の音楽演奏をリアルタイムに行うためのものである。ピックアップ２８及び該ピックアップ２８の出力信号をバス２０に接続する構成（インタフェース）は、該ユーザにより行われた音楽演奏の演奏情報（第１演奏情報）を受け付けるための演奏情報受付部として機能する。バッファ１８は、前記受け付けた演奏情報を所与の時間区間毎に一時記憶するバッファ部として機能する。スイッチ２２は、ユーザによる記録指示を受け付ける記録指示部として機能する。ＣＰＵ１１は、前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記演奏情報を記録部（トラック用メモリ１９）に記録するための制御部として機能する。これらの詳細については、以下、図３及び図４を参照して説明される。

　図３（ａ）～（ｃ）は、演奏操作子２７に対するユーザのリアルタイムの演奏操作に応じて前記演奏情報受付部（ピックアップ２８等）を介して受け付けた演奏情報を、トラックに記録する様子を示す概念図である。これらの図において、横軸に時間をとる。

　このギター１００は、常時、演奏者（ユーザ）による生演奏が連続して録音・記録され得る状態となるよう構成される。制御部１０等への各部への電力供給は、充電または有線による供給のいずれを採用してもよい。演奏記録処理開始のきっかけは、電池で電力を供給する場合は充電機能を有するギタースタンドからギター１００を取り外す動作、あるいは有線で電力を供給する場合は電源コードをコンセントに指す等のように、ギター１００を使用するために通常行う動作に連動させるのが望ましい。一例としては、各種操作子２１に含まれる不図示の電源ボタンのオンによって連続記録状態となるとする。なお、この他、演奏操作子２７の演奏操作や演奏音をＣＰＵ１１が検出したことを演奏記録処理を開始するきっかけとしてもよい。あるいは、接触センサや加速度センサ等を設け、演奏者がギター１００に触れたことや演奏準備動作が検出されたことを演奏記録処理を開始するきっかけとしてもよい。

　ＣＰＵ１１による具体的な処理は図４で説明するが、図３では、演奏操作子２７を介してユーザが行った音楽演奏の演奏情報（第１演奏情報）のうち特定の時間区間の演奏情報がトラックＴＲに記録される流れを概略的に説明する。演奏記録処理が開始されると、演奏者（ユーザ）は、何時記録指示を出すかを特に気にすることなく自由に演奏操作子２７を用いての生演奏を行う。この生演奏時にピックアップ２８により検出された信号は演奏情報３１として制御部１０において受信され、バス２０を介して該制御部１０に接続された記録部１６内の主メモリ１７に連続的に記録される。記録される演奏情報３１には、タイマ１４による計時によって時間情報（タイマ値）が対応付けられる。主メモリ１７への記録は、ドライブレコーダと同様に先入れ先出し方式により常に新しいデータが保持される。すなわち、主メモリ１７の容量が一定以上となると古いデータに対して新しいデータが自動的に上書きされる。なお、この実施例において、主メモリ１７に記録される演奏情報３１はオーディオ波形データである。このオーディオ波形データは、ＰＣＭデータに限定されるものではなく、適宜の圧縮符号化方式に従って圧縮されたデータであってもよく、あるいは、ＭＩＤＩ規格等に従ってコード化されたデータであってもよい。

　主メモリ１７に記録された演奏情報３１は、所与の時間区間毎にバッファ１８に一時記憶される。好ましくは、該所与の時間区間とは、音楽的に確定された時間区間（例えば１乃至４小節等の音楽的時間区間）であってよい。例えば、バッファ１８の容量は主メモリ１７の容量よりも小さく、最新の所与の時間区間分の演奏情報３１が主メモリ１７からバッファ１８に転送されて記憶される。すなわち、バッファ１８の記憶内容は、常に、最新の所与の時間区間分の演奏情報によって更新される。

　前記所与の時間区間の決定手法の一例を、図３（ａ）を参照して説明する。例えば図３（ａ）の時点ｔ１において、演奏者が最初にスイッチ２２を所定方向に倒すことで最初の記録指示がなされたとき、ＣＰＵ１１は演奏区間Ｚを自動的に決定する。演奏区間Ｚの決定手法は、これに限定されるものではないが、本実施の形態では、記録指示がなされた時点ｔ１を基準に過去の所定の時間区間が演奏区間Ｚとして切り出される。例えば、時点ｔ１の５秒前の時点ＴＳから１秒前の時点ＴＥまでの時間区間が演奏区間Ｚとして確定される。この演奏区間Ｚの時間区間が前記所与の時間区間として決定される。

　また、ＣＰＵ１１は、演奏区間Ｚを確定する際、記録された演奏情報３１のうち確定した演奏区間Ｚに対応する演奏情報３２を、区間演奏情報Ｄ１として抽出する。ＣＰＵ１１は、区間演奏情報Ｄ１の１回の演奏の時間長に相当する閾値Ｚｔを設定する。閾値Ｚｔは演奏区間Ｚの時間長で規定される。区間演奏情報Ｄ１は、記録部１６のトラック用メモリ１９内の第１のトラックＴＲ１に記録される。区間演奏情報Ｄ１が保存される際に、演奏区間Ｚに対して０～Ｚｔのタイマ値Ｔｍが対応するように、区間演奏情報Ｄ１にタイマ値Ｔｍが対応付けられる。

　区間演奏情報Ｄ１は、時点ｔ１からループ再生される。すなわち、ＣＰＵ１１は、記録部１６及び再生部２４を制御して、開始時点をｔｓ、終了時点をｔｅとする、演奏区間Ｚを単位とする第１のトラックＴＲ１の区間演奏情報Ｄ１の再生を繰り返し行う（図３（ａ））。再生音は、再生部２４の例えばトランスデューサ２６によって励振されるギター１００の表板から発せられる。従って、演奏者は、自由あるいは気楽に弾いている際に偶発的に素敵なフレーズを演奏できたと思ったときには、スイッチ２２で記録指示を行う。すると、所定時間前に弾いたフレーズが区間演奏情報Ｄ１として保存され、ループ再生によって直ちにそれを聞くことができる。

　図３（ｂ）に示すように、第１のトラックＴＲ１の演奏、すなわち、区間演奏情報Ｄ１のループ再生と並行して、生演奏による演奏情報３１の主メモリ１７への記録は継続される。この際の演奏情報３１は、繰り返し再生される区間演奏情報Ｄ１の演奏区間Ｚに同期した前記所与の時間区間毎に区間演奏情報３３として繰り返し取得され、記録部１６のバッファ１８に保存される。バッファ１８に保存された区間演奏情報３３は、次のループ再生に対応して新たな区間演奏情報３３が取得されると、当該新たな区間演奏情報３３によって上書きされる。従って、バッファ１８には常に、現在のループ再生より１つ前、すなわち前回のループ再生に対応して取得された最新の前記所与の時間区間分の区間演奏情報３３を保持されることになる。

　演奏者は、最初のフレーズである区間演奏情報Ｄ１のループ再生音を聞きながら、それに重ねるフレーズを試行錯誤しつつ演奏することができる。この際も、演奏者は、気に入ったフレーズを演奏できたと思ったときには、スイッチ２２で記録指示を行える。例えば、時点ｔ２にて記録指示があると、バッファ１８の保持内容である最新の前記所与の時間区間分の区間演奏情報３３が区間演奏情報Ｄ１と時間的に対応付けられて区間演奏情報Ｄ２として記録部１６のトラック用メモリ１９内の第２のトラックＴＲ２に記録される。区間演奏情報Ｄ１と区間演奏情報Ｄ２とで演奏区間Ｚは共通であり、区間演奏情報Ｄ２の１回の演奏の時間長に相当する閾値Ｚｔは区間演奏情報Ｄ１のものと一致する。区間演奏情報Ｄ２以降の区間演奏情報Ｄが保存される際にも、演奏区間Ｚに対して０～Ｚｔのタイマ値Ｔｍが対応するように、区間演奏情報Ｄにタイマ値Ｔｍが対応付けられる。

　ループ再生中において記録指示がなされた時点ｔ２から、区間演奏情報Ｄ１と新たに記録された区間演奏情報Ｄ２とが、同期して重ねられてループ再生される。すなわち、ＣＰＵ１１は、記録部１６及び再生部２４を制御して、開始時点をｔｓ、終了時点をｔｅとする、演奏区間Ｚを単位とする区間演奏情報Ｄ１及びＤ２との同期再生を繰り返し行う（図３（ｂ））。

　ここで、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２の同期したループ再生における処理については、これら区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２を上記した区間演奏情報Ｄ１とみなすと共に、新たに取得される区間演奏情報Ｄ３を上記した区間演奏情報Ｄ２とみなした場合の処理と同じように考えることができる。従って、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２の同期再生中に時点ｔ３にて記録指示があると、最新の区間演奏情報３４が区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２と時間的に対応付けられて区間演奏情報Ｄ３として記録部１６のトラック用メモリ１９内の第３のトラックＴＲ３に記録される。そして、時点ｔ３から、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２と新たに記録された区間演奏情報Ｄ３とが、同期して重ねられてループ再生される（図３（ｂ））。

　図３（ｂ）ではトラックＴＲの数は３までしか示していないが、この数に限定されない。上記のような処理を繰り返せば、区間演奏情報Ｄの数は３個以上となり得る。同期再生されるトラックＴＲの数もそれに応じて増える。

　ところで、一旦記録したトラックＴＲ（区間演奏情報Ｄ）を、やはり気に入らなかった等の理由により消去したい場合がある。そこで、図３（ｃ）に示すように、演奏者はスイッチ２２で消去指示の操作を行うことで、最新のトラックＴＲを消去することができるようになっている。

　例えば、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２、Ｄ３の同期ループ再生中において、時点ｔ４にて消去指示があると、最新の第３のトラックＴＲ３（区間演奏情報Ｄ３）が消去される。すると、時点ｔ４以降、区間演奏情報Ｄ３の再生だけが終了し、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２の同期ループ再生は継続される。また、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２の同期ループ再生中において、時点ｔ５にて消去指示があると、最新の第２のトラックＴＲ２（区間演奏情報Ｄ２）が消去される。すると、時点ｔ５以降、区間演奏情報Ｄ２の再生だけが終了し、区間演奏情報Ｄ１のループ再生は継続される。なお、区間演奏情報Ｄ１のループ再生中にさらに消去指示があると、第１のトラックＴＲ１（区間演奏情報Ｄ１）も消去され、ギター１００の状態は、図３（ａ）の左半部の時点のような演奏開始初期の状態に戻る。

　図４は、ＣＰＵ１１によって実行されるメイン処理を示すフローチャートである。この処理は、上述した、演奏記録処理開始のきっかけとなる動作があったとき開始される。まず、ＣＰＵ１１は、初期化を行う（ステップＳ１０１）。すなわち、すなわち所定プログラムの実行を開始すると共に、タイマ１４により計時されるタイマ値Ｔｍのほか、主メモリ１７、バッファ１８、トラック用メモリ１９等をリセットする。

　次に、ＣＰＵ１１は、スイッチ２２の所定方向操作による記録指示があったか否かを判別し（ステップＳ１０２）、記録指示がない場合は、スイッチ２２の別方向操作による消去指示があったか否かを判別し（ステップＳ１０３）、消去指示がない場合は、処理をステップＳ１０４に進める。

　ステップＳ１０４では、ＣＰＵ１１は、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在する場合にそのトラックＴＲに記録されている演奏情報を繰り返し再生する処理を行う。すなわち、トラックＴＲに記録された区間演奏情報Ｄにおける現在のタイマ値Ｔｍに対応する情報を再生する。図３（ｂ）の例でいえば、第１のトラックＴＲ１の区間演奏情報Ｄ１が再生される。演奏情報記録済のトラックＴＲが複数存在する場合は、記録済の全ての区間演奏情報Ｄにおける現在のタイマ値Ｔｍに対応する情報が同期して繰り返し再生される。従って、タイマ値Ｔｍを基準として繰り返し再生が同期する（例えば図３（ｃ）の左半部参照）。なお、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在しない場合は、再生は行われない。

　次に、ＣＰＵ１１は、演奏情報受信処理を行う（ステップＳ１０５）。すなわち、生演奏時にピックアップ２８で検出して得られる演奏情報３１を受信して、記録部１６の主メモリ１７に記録する。主メモリ１７内に記録される演奏情報３１には、現在のタイマ値Ｔｍが対応付けられる。次に、ＣＰＵ１１は、タイマ１４の計時を進めてタイマ値Ｔｍを更新し（ステップＳ１０６）、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在するか否かを判別する（ステップＳ１０７）。

　その判別の結果、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在しない場合は、処理をステップＳ１０９に進める一方、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在する場合は、処理をステップＳ１０８に進める。ステップＳ１０８では、ＣＰＵ１１は、現在のタイマ値Ｔｍと区間演奏情報Ｄの演奏区間Ｚの閾値Ｚｔとを比較する。そして、タイマ値Ｔｍが閾値Ｚｔを超えた（タイマ値Ｔｍ＞閾値Ｚｔが成立した）場合は、直前のループ再生時に取得された区間演奏情報３３（または区間演奏情報３４）を、記録部１６のバッファ１８に上書き保存すると共に、タイマ値Ｔｍをリセットする。このようにタイマ値Ｔｍがリセットされることにより、演奏区間Ｚの繰り返し再生が行われることになる。一方、ＣＰＵ１１は、タイマ値Ｔｍ≦閾値Ｚｔである場合は、タイマ値Ｔｍのリセットやバッファ１８への上書き処理は行わない。ステップＳ１０８の処理後はステップＳ１０９に処理が進む。

　ステップＳ１０９では、ＣＰＵ１１は、その他の処理を実行して、処理をステップＳ１０２に戻す。この「その他の処理」には、演奏音を放音するための処理、各種操作子２１に応じた処理（例えば、選択されたトラックＴＲのデータをエクスポートする処理）等が含まれる。

　ステップＳ１０２の判別の結果、ユーザによる記録指示があった場合は、ＣＰＵ１１は、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在するか否かを判別し（ステップＳ１１０）、トラックＴＲが存在しない場合は、処理をステップＳ１１１に進める一方、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在する場合は、処理をステップＳ１１２に進める。

　ステップＳ１１１では、前記区間演奏情報Ｄ１を特定し、記録するための処理を行う。ステップＳ１１１において、ＣＰＵ１１は、記録指示がなされた時点（例えば、図３（ａ）の時点ｔ１）を基準に演奏区間Ｚを確定して閾値Ｚｔを設定する。それと共に、生演奏による演奏情報３１のうち演奏区間Ｚに対応する演奏情報３２を、前記区間演奏情報Ｄ１として記録部１６のトラック用メモリ１９内の第１のトラックＴＲ１に記録する（書き込む）（図３（ａ）の右半部参照）。さらに、ＣＰＵ１１は、タイマ１４により計時されるタイマ値Ｔｍをリセットする。その後、処理はステップＳ１０３に進む。

　ステップＳ１１２では、ＣＰＵ１１は、記録指示がなされた時点においてバッファ１８内に一時記憶されている演奏情報（最新の前記所与の時間区間分の演奏情報）を新たなトラックＴＲに記録する。すなわち、記録指示がなされた時点（例えば、図３（ｂ）の時点ｔ２）におけるバッファ１８の保持内容（例えば、図３（ｂ）では区間演奏情報３３）が、既存の区間演奏情報Ｄ（区間演奏情報Ｄ１）と時間的に対応付けられて新たな区間演奏情報Ｄ（区間演奏情報Ｄ２）として記録部１６のトラック用メモリ１９内の新たなトラックＴＲ（第２のトラックＴＲ２）に記録される。これにより、既存のトラックＴＲの区間演奏情報Ｄと同期するように新たなトラックＴＲに区間演奏情報Ｄが書き込まれる。演奏者はいつ録音指示操作を行うかを特に意識することなく、自由に演奏操作を行えばよく、その結果、気に入った演奏操作ができたと感じたときに録音指示操作を行えばよい。その後、処理はステップＳ１０３に進む。

　ステップＳ１０３の判別の結果、消去指示があった場合は、ＣＰＵ１１は、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在するか否かを判別し（ステップＳ１１３）、演奏情報記録済のトラックＴＲが存在しない場合は、処理をステップＳ１０４に進める。一方、演奏区間ＺのトラックＴＲが存在する場合は、記録済のトラックＴＲの数が１つであるか否かを判別する（ステップＳ１１４）。

　その判別の結果、記録済のトラックＴＲの数が１つである場合は、そのトラックＴＲは、第１のトラックＴＲ１である。そこで、ＣＰＵ１１は、ステップＳ１１５で、第１のトラックＴＲ１及び対応する区間演奏情報Ｄ１を消去する。さらに、ＣＰＵ１１は、閾値Ｚｔを削除すると共に、タイマ１４により計時されるタイマ値Ｔｍをリセットする。その後、処理はステップＳ１０４に進む。

　一方、記録済のトラックＴＲの数が２つ以上である場合は、ＣＰＵ１１は、ステップＳ１１６で、複数の記録済のトラックＴＲのうち最新の記録済のトラックＴＲを、対応する区間演奏情報Ｄと共に消去する。例えば、図３（ｃ）の例では、時点ｔ４（または時点ｔ５）にて消去指示があると、最新の第３のトラックＴＲ３（または第２のトラックＴＲ２）が消去される。その後、処理はステップＳ１０４に進む。

　ところで、ステップＳ１１２で、新たなトラックＴＲに区間演奏情報Ｄが書き込まれた場合、その直後のステップＳ１０８では、通常、タイマ値Ｔｍは演奏区間Ｚの途中の値を示しているので、タイマ値Ｔｍ≦閾値Ｚｔとなる。従って、時点ｔ２、ｔ３（図３（ｂ））に示すように、新たなトラックＴＲの区間演奏情報Ｄは演奏区間Ｚの途中から速やかに再生されることになる。ただし、このような構成は必須でなく、例えば、次の演奏区間Ｚの始まりから（タイマ値Ｔｍが閾値Ｚｔに達してから）新たなトラックＴＲの再生を開始してもよい。図３（ｂ）の例でいえば、新たな第２のトラックＴＲ２については、時点ｔ２からその直後の時点ｔｓまでの再生をしないように制御してもよい。

　また、これと同様に考えて、消去指示があった場合にも、トラックＴＲ及び対応する区間演奏情報Ｄを直ちに消去するのではなく、消去指示があった時点で再生中の区間演奏情報Ｄの再生を終えてから（例えば、タイマ値Ｔｍが閾値Ｚｔに達してから）消去がなされるようにしてもよい。なお、図４の処理において演奏区間Ｚに対する区間演奏情報Ｄの時間情報の対応付けの方法は限定されない。

　本実施の形態によれば、演奏区間Ｚが確定された区間演奏情報Ｄ１が存在する状態（図３（ｂ））を考えると、区間演奏情報Ｄ１のループ再生と並行して演奏者が演奏を行い、記録指示があると、最新の区間演奏情報３３が区間演奏情報Ｄ１と時間的に対応付けられ区間演奏情報Ｄ２として第２のトラックＴＲ２に記録される。そしてＣＰＵ１１は、区間演奏情報Ｄ１と区間演奏情報Ｄ２とを重ねて同期してループ再生する。

　これにより、演奏者が最初に記録したフレーズに重ねて演奏を繰り返す過程で、任意のタイミングで録音指示をすることにより、直前の演奏を最初のフレーズに同期させて記録することができ、かつ、それらの演奏を同期してループ再生することができる。しかも、演奏操作に先立って又は同時に録音指示をする必要がないため、演奏者は録音状態を意識する必要がなく、自然体で即興演奏を行うことができ、気に入った演奏を行った時に、後から録音指示をすればよい。したがって、演奏者は、自由あるいは気楽に弾いた際に偶発的に素敵なフレーズを演奏できた場合等にスイッチ２２で記録指示の操作をするだけで、残したい演奏フレーズを記録することができる。

　また、記録の指示があった時点から同期再生を開始することで、重ねるフレーズを速やかに確認することができる。また、記録済のトラックＴＲが複数になった場合に、複数の区間演奏情報Ｄの時間的同期は自動的に確保されるので、同期再生のために演奏者が再生タイミングを調整するといった煩わしさがない。

　また、演奏者は、気に入ったフレーズを保存した後に、やはりそれが気に入らなくなった場合等には、スイッチ２２で消去操作をすれば最新のフレーズを消去することができる。すなわち、一旦重ねた演奏の保存を取りやめることができる。その際でも、最新の区間演奏情報Ｄが消去されるだけであり、残存する区間演奏情報Ｄについては、ループ再生が継続するので、重ね演奏等のやり直しの状態に速やかに戻ることができる。

　また、本実施の形態では、区間演奏情報Ｄ１が存在する前（図３（ａ））は、主メモリ１７を利用した演奏情報３１の連続記録の過程で、記録指示があった場合に区間演奏情報Ｄ１が取得されるとした。これにより、任意のタイミングで直前の演奏から区間演奏情報Ｄ１を取得することができる。

　また、記録指示と消去指示とを、同じスイッチ２２に対する操作方向の違いだけで実現したので、構成が簡単で操作もしやすい。なお、記録指示用と消去指示用とで別々の操作子を設けてもよい。

　なお、本実施の形態では、ギター１００に対する演奏記録処理が開始された直後は、区間演奏情報Ｄ１は存在しない構成とした。しかし、これに限らず、演奏区間Ｚが確定された何らかの区間演奏情報Ｄ１を予めＲＯＭ１２等に格納しておき、必要に応じて読み出して第１のトラックＴＲ１に記録して用いるように構成してもよい。この区間演奏情報Ｄ１の入手経路は問わず、ＲＯＭ１２等に予め格納しておくことなく、各種Ｉ／Ｆ１５を経由して外部から取得するようにしてもよい。

　以上の実施例において、第１のトラックＴＲ１に記録された確定された演奏区間Ｚを持つ区間演奏情報Ｄ１を繰り返し読み出して再生部２４を介して再生発音する構成が、前記所与の時間区間を持つ第２演奏情報（つまり区間演奏情報Ｄ１）を繰り返し再生する再生部として機能する。すなわち、ユーザ演奏操作に応じた第１演奏情報を所与の時間区間毎にバッファ１８内に一時記憶するための、該所与の時間区間は、前記第２演奏情報（区間演奏情報Ｄ１）の繰り返し再生における確定的な時間区間に一致するように設定されている。

　また、既存の区間演奏情報Ｄ１に重ねて演奏者が演奏し、新たな演奏を該区間演奏情報Ｄ１に同期させる場合において、既存の区間演奏情報Ｄ１は同期した複数の区間演奏情報からなるものであってもよい。上述したように、区間演奏情報Ｄ１、Ｄ２が既存の区間演奏情報Ｄ１に該当するものとすると、それらに重ねられる区間演奏情報Ｄ３が、区間演奏情報Ｄ２に該当することになる。また、重ねられる区間演奏情報の総数も例示した３つに限定されず、４つ以上あってもよい。これにより、多数のフレーズの多重記録が可能となる。

　すなわち、前記制御部１０は、１回の前記記録指示に応じて、前記記録部１６（トラック用メモリ１９）における複数の記録トラックのいずれか１つに、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録するように構成されており、これにより、複数回の前記記録指示に応じて、前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報の互いに異なるセグメント（区間演奏情報Ｄ２、Ｄ３等）が前記複数の記録トラックにそれぞれ記録され、該複数の記録トラックに記録された前記演奏情報の互いに異なるセグメント（区間演奏情報Ｄ２、Ｄ３等）が、同期して繰り返し再生されるように構成されている。

　なお、ユーザが行なった音楽演奏を検出するための構成要素としてギター１００の弦及びピックアップ２８を例示したが、本発明が適用される楽器や装置に合わせて任意適切な構成要素を採用すればよい。演奏操作子に対する演奏検出、あるいは演奏により発生する演奏音の集音ができるものであればよく、他のセンサやマイク等であってもよい。例えば、本発明が適用される楽器がドラム等の場合は、ドラムトリガー、ピエゾセンサ等であってもよい。なお、電子楽器にも本発明を適用可能であり、電子楽器であれば演奏操作に応じた演奏制御信号を受信し記録する構成であってもよい。なお、マイクと比較して、ピックアップ等は、周囲の雑音、声、及び再生音等を拾いにくく、演奏音だけを効率的に取得するのに有利である。

　なお、検出して記録する対象となる「ユーザによる音楽演奏」は、演奏者による演奏操作子に対する演奏行為に限定されず、発音を生じさせる全ての行為や事象を含み得る。従って、「演奏」とは、楽器を奏でる行為に限らず、発声（歌を歌う行為等）や手拍子を打つといった行為も含み、より広義には、音が発生する全ての事象を含む概念である。

なお、生演奏を演奏情報３１として主メモリ１７に記録する際、例えば、演奏テンポと拍を予め決め、メトロノーム音を発音させながら演奏者が演奏できるようにしてもよい。その場合、演奏テンポと拍とから演奏区間Ｚの切り出しを行える。また、本実施の形態では、最初の区間演奏情報Ｄ１における演奏区間Ｚの確定に関し、記録指示がなされた時点を基準とした所定の時間区間を切り出す手法を例示したがこれに限られない。例えば、公知の音楽情報検索技術を用いて、演奏フレーズの境界を検出して演奏区間Ｚを確定してもよい。一例としては、演奏音の音量が閾値を超えた後、再び下回るまでを１つの演奏フレーズとして検出し、直近の演奏フレーズ区間を区間演奏情報Ｄ１として抽出する手法等が考えられる。あるいは、公知の拍自動検出技術を採用し、拍、小節による演奏区間Ｚの切り出しを実現してもよい。

　上記実施例では、第１のトラックＴＲ１に記録する最初の区間演奏情報Ｄ１は、バッファ１８に一時記憶していないが、これに限らず、バッファ１８に一時記憶するようにしてもよい。その場合、最初の演奏情報（例えば区間演奏情報Ｄ１）を第１のトラックＴＲ１に記録する以前において、バッファ１８に一時記憶される演奏情報の前記所与の時間区間の長さは、可変的に変わり得る。例えば、最初にユーザ演奏に応じた受信されてバッファ１８に一時記憶された１フレーズ分間の演奏情報の時間区間がＺｔ１、次にユーザ演奏に応じた受信されてバッファ１８に一時記憶された１フレーズ分間の演奏情報の時間区間がＺｔ２、さらに次にユーザ演奏に応じた受信されてバッファ１８に一時記憶された１フレーズ分間の演奏情報の時間区間がＺｔ３、というように異なっていてよい。３番目の時間区間Ｚｔ３のフレーズがユーザにとって気に入ったフレーズであれば、そのとき記録指示を出せばよい。その記録指示に応じて、３番目の時間区間Ｚｔ３の演奏情報がバッファ１８からトラック用メモリ１９内の第１のトラックＴＲ１に転送され、記録される。以後は、バッファ１８に一時記憶する演奏情報の前記所与の時間区間の長さは、第１のトラックＴＲ１に記録された演奏情報の時間区間Ｚｔ３に一致するように設定される。

　なお、演奏区間Ｚの決定後に、演奏者の操作により、演奏区間Ｚの時間（時点ＴＳ、時点ＴＥ）や時間長（閾値Ｚｔ）を微調整できるようにしてもよい。例えば、クリックのあるダイヤルを設け、１クリック毎に１拍、または１小節単位で時間や時間長が変化するように構成する。

　なお、スイッチ２２による消去操作では、最新の１つのトラックＴＲだけが消去されるとしたが、全トラックＴＲを一括消去できる操作子を設けてもよい。また、複数のトラックＴＲを１つにまとめる操作を行う操作子を設けてもよい。これら、一括消去できる操作子や複数のトラックＴＲを１つにまとめる操作子のいずれかまたは双方は、スイッチ２２とは別の操作子で実現してもよいが、スイッチ２２の記録時や消去時とは異なる操作態様により実現できるようにしてもよい。例えば、同一の操作子（例えば、スイッチ２２）の長押し操作や、短い時間での複数回の連続操作によって、一括消去、及び／又は、トラックＴＲをまとめる操作ができるようにしてもよい。

　なお、放音部としては、トランスデューサ２６や外付けのスピーカ２５に限られず、内装のスピーカやヘッドホンであってもよい。なお、アコースティックギターのような共鳴胴がある楽器では、放音部にトランスデューサ２６を設ける利点が大きい。共鳴胴をトランスデューサで振動させることで楽器本体から再生音としての音響が発生し、再生音と演奏音の一体感が増すからである。

　なお、区間演奏情報Ｄの再生については、そのまま再生することに限定されず、所定のルールによる加工を施して再生してもよい。例えば、再生速度を変化させる場合、区間演奏情報Ｄを時間伸長／圧縮加工をして再生することで、結果的に再生速度が変化するようにする。あるいは、音量を変化させる場合は、例えばコンプレッサで全体的な音量差を小さくする。あるいは、リバーブ等の音響効果を付与してもよい。加工を施すことで再生速度が変化する場合は、その変化に合わせて区間演奏情報Ｄにタイマ値Ｔｍを対応付けする等のようにしてタイマを管理し、その後に記録される区間演奏情報Ｄとの同期が保たれるようにする。なお、所定のルールによる加工態様は予め定められている態様でもよいし、ユーザが適宜調整できる態様でもよい。

　なお、本発明を達成するためのソフトウェアによって表される制御プログラムを記憶した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ（またはＣＰＵやＭＰＵ等）が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出すことによって同様の効果を奏するようにしてもよい。その場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、プログラムコードを伝送媒体等を介して供給してもよく、その場合は、プログラムコード自体が本発明を構成することになる。または、プログラムコードをネットワークを介してダウンロードしてもよい。

　以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。

Claims

　ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報を受け付ける演奏情報受付部と、
　所与の時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生する再生部と、
　前記第１演奏情報を前記所与の時間区間毎に一時記憶するバッファ部と、
　前記ユーザによる記録指示を受け付ける記録指示部と、
　前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録部に記録するように構成された制御部と
を備える演奏情報処理装置。
　前記再生部は、前記記録部に記録された前記第１演奏情報を前記第２演奏情報の繰り返し再生に同期して繰り返し再生する、請求項１の演奏情報処理装置。
　前記第２演奏情報は前記記録部に記録されており、前記再生部は、前記記録部に記録されている前記第２演奏情報を繰り返し再生する、請求項１又は２の演奏情報処理装置。
　前記制御部は、前記バッファ部に一時記憶された最新の前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を前記記録部に記録する、請求項１乃至３のいずれかの演奏情報処理装置。
　前記ユーザによる記録消去指示を受け付ける記録消去指示部、を更に備え、
　前記制御部は、前記記録消去指示に応じて、前記記録部に記録された前記第１演奏情報を消去するように構成されている、請求項１乃至４のいずれかの演奏情報処理装置。
　前記制御部は、１回の前記記録指示に応じて、前記記録部における複数の記録トラックのいずれか１つに、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録するように構成されており、これにより、複数回の前記記録指示に応じて、前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報の互いに異なるセグメントが前記複数の記録トラックにそれぞれ記録され、
　前記複数の記録トラックに記録された前記第１演奏情報の互いに異なるセグメントが、同期して繰り返し再生されるように構成されている、請求項５の演奏情報処理装置。
　ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報を受け付けるステップと、
　所与の時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生するステップと、
　前記第１演奏情報を前記所与の時間区間毎に一時記憶するステップと、
　前記ユーザによる記録指示を受け付けるステップと、
　前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録部に記録するステップと
を備える演奏情報処理方法。
　ユーザにより行われた音楽演奏の第１演奏情報を受け付けるステップと、
　所与の時間区間を持つ第２演奏情報を繰り返し再生するステップと、
　前記第１演奏情報を前記所与の時間区間毎に一時記憶するステップと、
　前記ユーザによる記録指示を受け付けるステップと、
　前記記録指示に応じて、前記一時記憶された前記所与の時間区間分の前記第１演奏情報を記録部に記録するステップと
を備える演奏情報処理方法を実行するために、プロセッサにより実行可能な命令群を記憶した、非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。