WO2015189904A1

WO2015189904A1 - 補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法

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Publication number: WO2015189904A1
Application number: PCT/JP2014/065272
Authority: WO
Inventors: 貢海野; 和樹久世
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2014-06-09
Filing date: 2014-06-09
Publication date: 2015-12-17
Also published as: CN106413459B; TW201603747A; CN106413459A; TWI527533B

Abstract

　補強フィルム接着装置（１０）は、ファスナーチェーン搬送手段（２０）と、補強フィルムテープ（１７）を供給する補強フィルムテープ供給手段（３０）と、補強フィルムテープ（１７）を切断して補強フィルム片（１６）を形成する切断機構（４０）と、上部及び下部グリッパ（５１Ａ，５１Ｂ）で把持する補強フィルム片（１６）をファスナーチェーン（１１）へ搬送する補強フィルム片搬送手段（５０）と、ファスナーチェーン（１１）に補強フィルム片（１６）を接着する超音波溶着装置（９０）と、を備える。補強フィルム片搬送手段（５０）は、上部グリッパ（５１Ａ）を相対移動可能に支持すると共に、下部グリッパ（５１Ｂ）が固定される移動基台（６０）と、上部グリッパ（５１Ａ）の前端部（６２ｃ）が、下部グリッパ（５１Ｂ）の前端部（５２ｃ）より所定の距離（２Ｈ）だけ突出するように上部グリッパ（５１Ａ）を付勢するコイルばね（７８）と、移動基台（６０）を移動する基台駆動手段（８０）と、上部グリッパ（５１Ａ）を移動基台（６０）に対して相対移動させる上部グリッパ駆動手段（８２）と、を備える。

Description

補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法

　本発明は、補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法に関し、より詳細には、例えば、ファスナーチェーンの開離嵌挿具を取り付けるスペース部に、合成樹脂製の補強フィルムを取り付ける補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法に関する。

　従来、間欠搬送されるファスナーチェーンのスペース部に、補強フィルム片をファスナーチェーンの上下両面に超音波溶着するようにしたテープ状物の間欠送り装置が開示されている（例えば、特許文献１参照）。このテープ状物の間欠送り装置は、グリッパが補強フィルム等のテープ状物をファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向から引き出し、該テープ状物を切断し、該切断した補強フィルム片を、ファスナーチェーンのスペース部に配置する。その後、超音波ホーンとアンビルがスペース部に配置された補強フィルム片に接近して、補強フィルム片がファスナーチェーンに溶着される。

日本国特開昭５８－１８８２４９号公報

　ところで、特許文献１に開示されているテープ状物の間欠送り装置では、上下の補強フィルム片を把持する一対のグリッパが一体に形成されており、主フレームの移送路を搬送する一対のテープ状物を一対のグリッパで把持した後、同時に切断して補強フィルム片とする。このため、ファスナーチェーンの上下両面に溶着される上下の補強フィルム片は同じ長さとなる。

　一方、ファスナーチェーンには、ファスナーテープの対向するテープ側縁部に取着されたエレメント内に芯紐が挿通されている。金属製や合成樹脂製のファスナーエレメントの場合には、芯紐は、ファスナーテープに対して表裏方向で略対称に突出する一方、コイル状のファスナーエレメントの場合には、芯紐は、ファスナーテープの表面側又は裏面側で片寄って突出する。

　このため、コイル状のファスナーエレメントが用いられるファスナーチェーンの場合、特許文献１に記載の同じ長さの一対の補強フィルム片を、ファスナーチェーンのスペース部に接着すると、一方の補強フィルム片が芯紐により屈曲し、一対の補強フィルム片の幅方向端面がファスナーテープの表裏面において一致しない。このため、補強フィルム片の端面部分が接着されずに白濁するという問題があり、外観上好ましくないという課題があった。

　本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、芯紐がファスナーテープの表面側又は裏面側に片寄って突出する場合でも、補強フィルム片の幅方向端面を一致させて白濁なく接着することができる補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法を提供することにある。

　本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
（１）　ファスナーチェーンを搬送するファスナーチェーン搬送手段と、
　一対の補強フィルムテープを供給する補強フィルムテープ供給手段と、
　一対の補強フィルムテープを切断して一対の補強フィルム片を形成する切断機構と、
　一対の補強フィルムテープ又は一対の補強フィルム片をそれぞれ把持する第１及び第２グリッパを備え、第１及び第２グリッパをファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向に移動して、一対の補強フィルムテープ又は一対の補強フィルム片を搬送する補強フィルム片搬送手段と、
　ファスナーチェーンの表面及び裏面に一対の補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段と、
を備え、芯紐がファスナーテープの表面側又は裏面側に片寄って突出する前記ファスナーチェーンの表面及び裏面に一対の補強フィルム片を接着する補強フィルム接着装置であって、
　補強フィルム片搬送手段は、
　第１グリッパを直交方向に相対移動可能に支持すると共に、第２グリッパを固定して支持する移動基台と、
　第１グリッパの前端部が第２グリッパの前端部より所定の距離だけ突出するように、移動基台に対して第１グリッパを直交方向に付勢する弾性部材と、
　第１及び第２グリッパと共に、移動基台を直交方向に移動する基台駆動手段と、
　移動基台に対して第１グリッパを、弾性部材の弾性力に抗して直交方向に相対移動させる第１グリッパ駆動手段と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着装置。
（２）　第２グリッパは、ファスナーテープの芯紐が片寄って突出する側の面に接着される補強フィルム片を把持することを特徴とする（１）に記載の補強フィルム接着装置。
（３）　第１グリッパ駆動手段は、移動基台に対して第１グリッパを、所定の距離の略１／２だけ移動することを特徴とする（１）又は（２）に記載の補強フィルム接着装置。
（４）　第１グリッパ駆動手段は、
　第１グリッパに取り付けられた取付け部材に固定されたシリンダと、シリンダから直交方向に進退するピストンロッドと、を備え、
　ピストンロッドが移動基台に設けられた突起部を押圧しながら伸長することで、第１グリッパが、弾性部材の弾性力に抗してファスナーチェーンから離間する方向に移動することを特徴とする（１）～（３）のいずれかに記載の補強フィルム接着装置。
（５）　補強フィルムテープ供給手段は、
　補強フィルムテープをファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向に案内する案内部材と、
　案内部材に対して補強フィルムテープの引き出し方向に相対移動可能に案内部材の引き出し方向端部側に配設され、補強フィルムテープが挿通するスリットを備えるガイドヘッドと、
　案内部材に対してガイドヘッドを補強フィルムテープの引き出し方向に付勢するガイドヘッド用弾性部材と、
を備えることを特徴とする（１）～（４）のいずれかに記載の補強フィルム接着装置。
（６）　ファスナーチェーンには、コイル状のファスナーエレメントが取着されることを特徴とする（１）～（５）のいずれかに記載の補強フィルム接着装置。
（７）　ファスナーチェーンを搬送するファスナーチェーン搬送手段と、
　一対の補強フィルムテープを供給する補強フィルムテープ供給手段と、
　一対の補強フィルムテープを切断して一対の補強フィルム片を形成する切断機構と、
　一対の補強フィルムテープ又は一対の補強フィルム片をそれぞれ把持する第１及び第２グリッパを備え、第１及び第２グリッパをファスナーチェーンの搬送方向と直交する方向に移動して、一対の補強フィルムテープ又は一対の補強フィルム片を搬送する補強フィルム片搬送手段と、
　ファスナーチェーンの表面及び裏面に一対の補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段と、
を備え、第１及び第２グリッパが互いに独立して該直交方向に駆動可能な補強フィルム接着装置を用いて、芯紐がファスナーテープの表面側又は裏面側に片寄って突出するファスナーチェーンの表面及び裏面に一対の補強フィルム片を接着する補強フィルム接着方法であって、
　一対の補強フィルムテープを第１及び第２グリッパで把持する工程と、
　第１及び第２グリッパで把持する一対の補強フィルムテープを、それぞれ異なる所定の長さ引き出す工程と、
　一対の補強フィルムテープを互いに異なる所定の長さに切断して一対の補強フィルム片を形成する工程と、
　第１及び第２グリッパで把持された一対の補強フィルム片を、センター合わせしつつ、ファスナーチェーンと補強フィルム片接着手段との間に搬送する工程と、
　補強フィルム片接着手段によってファスナーチェーンの表面及び裏面に一対の補強フィルム片を接着する工程と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着方法。
（８）　第２グリッパは、ファスナーテープの芯紐が片寄って突出する側の面に接着される補強フィルム片を把持することを特徴とする（７）に記載の補強フィルム接着方法。
（９）　センター合わせは、第１グリッパを、第２グリップに対して所定の長さの略１／２だけ相対的に移動することで行われることを特徴とする（７）又は（８）に記載の補強フィルム接着方法。

　本発明の補強フィルム接着装置によれば、ファスナーチェーン搬送手段と、補強フィルムテープを供給する補強フィルムテープ供給手段と、補強フィルムテープを切断して補強フィルム片を形成する切断機構と、第１及び第２グリッパで把持する補強フィルム片をファスナーチェーンへ搬送する補強フィルム片搬送手段と、ファスナーチェーンに補強フィルム片を接着する補強フィルム片接着手段と、を備える。補強フィルム片搬送手段は、第１グリッパを相対移動可能に支持すると共に第２グリッパが固定される移動基台と、第１グリッパの前端部が第２グリッパの前端部より所定の距離だけ突出するように第１グリッパを付勢する弾性部材と、移動基台を移動する基台駆動手段と、第１グリッパを移動基台に対して相対移動させる第１グリッパ駆動手段と、を備える。これにより、互いに長さの異なる一対の補強フィルム片を設けることができ、芯紐がファスナーテープの表面側又は裏面側に片寄って突出する場合でも、補強フィルム片の幅方向両端面を一致させて白濁なく接着し、外観性を向上することができる。

　また、本発明の補強フィルム接着方法によれば、一対の補強フィルムテープを第１及び第２グリッパで把持し、第１グリッパと第２グリッパとで一対の補強フィルムテープをそれぞれ異なる所定の長さ引き出して切断して、第１グリッパと第２グリッパとで互いに異なる所定の長さの一対の補強フィルム片を形成する。次いで、一対の補強フィルム片を、センター合わせしつつ、ファスナーチェーンと補強フィルム片接着手段との間に搬送した後、補強フィルム片接着手段によってファスナーチェーンの上面及び下面に接着する。これにより、互いに長さの異なる一対の補強フィルム片を設けることができ、芯紐がファスナーテープの表面側又は裏面側に片寄って突出する場合でも、補強フィルム片の幅方向両端面を一致させて白濁なく接着し、外観性を向上することができる。

本発明の一実施形態に係る補強フィルム接着装置の要部斜視図である。図１に示す補強フィルム接着装置の正面図である。図２に示す補強フィルム片搬送手段の平面図である。図３のＩＶ－ＩＶ線断面図である。図４のＶ－Ｖ線断面図である。上部グリッパ駆動手段の側面図である。（ａ）～（ｄ）は、補強フィルム接着装置の前半の作動手順を示す説明図である。（ａ）～（ｃ）は、補強フィルム接着装置の後半の作動手順を示す説明図である。（ａ）は、上部グリッパ駆動手段の変形例の平面図であり、（ｂ）は、その側面図である。

　以下、本発明に係る補強フィルム接着装置及び補強フィルム接着方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
　図１は本発明に係る補強フィルム接着装置の要部斜視図である。補強フィルム接着装置１０は、不図示の開離嵌挿具が取り付けられるファスナーチェーン１１のスペース部１２に、補強フィルム片１６を接着する接着装置である。この補強フィルム接着装置１０は、ファスナーチェーン搬送手段２０と、感知手段２４と、補強フィルムテープ供給手段３０と、切断機構４０と、補強フィルム片搬送手段５０と、補強フィルム片接着手段としての超音波溶着装置９０と、を備える。

　ファスナーチェーン１１は、長尺な一対のファスナーテープ１３と、ファスナーテープ１３の対向するテープ側縁部１３ａに沿って取り付けられたファスナーエレメント列１５を有する。ファスナーエレメント列１５は、ファスナーチェーン１１の長さ方向に隣り合う多数のコイル状のファスナーエレメント１４を有する。ファスナーエレメント１４は、その内部に芯紐１８（図７（ａ）参照）が挿通され、縫い糸によってファスナーテープ１３のテープ側縁部１３ａの下面に縫い付けられる。芯紐１８は、ファスナーテープ１３の下面側に片寄って突出する。

　また、ファスナーチェーン１１には、ファスナーエレメント列１５の所定の間隔ごとに、所定数のファスナーエレメント１４が除去されたスペース部１２が形成されている。
　なお、以後の説明において、ファスナーチェーンに関しては、搬送される方向に従い、上流側とは搬送方向手前側、下流側とは搬送方向後側とする。また、ファスナーチェーン１１は、ファスナーテープ１３の表面を下面に、裏面を上面とした状態で、搬送される。

　ファスナーチェーン搬送手段２０は、超音波溶着装置９０の設置位置よりもファスナーチェーンの１１の搬送方向下流側に配置されている。ファスナーチェーン搬送手段２０は、上下方向に対向して配置された駆動ローラ２１と従動ローラ２２とを備えている。駆動ローラ２１は、図示せぬモータに接続されている。従動ローラ２２は、ファスナーチェーン１１を駆動ローラ２１に向けて押圧している。即ち、駆動ローラ２１と従動ローラ２２は、ファスナーチェーン１１を挟持している。ファスナーチェーン搬送手段２０は、駆動ローラ２１を回転駆動させることで、従動ローラ２２を同期的に回転させるとともに、ファスナーチェーン１１を搬送方向下流側へ向けて搬送する。

　感知手段２４は、超音波溶着装置９０の設置位置よりファスナーチェーン１１の搬送方向上流側に配置されている。感知手段２４は、ファスナーテープ１３の上方に配置された感知ローラ２５と、感知ローラ２５を上下方向に揺動可能に支持する揺動レバー２６を有する。感知ローラ２５は、搬送されるファスナーチェーン１１のファスナーテープ１３に接しながら回転する。感知ローラ２５は、搬送されるファスナーチェーン１１のスペース部１２が感知ローラ２５の下方位置に達した時、スペース部１２に侵入する。この時、感知ローラ２５は、一対のファスナーテープ１３のテープ側縁部１３ａ間に形成された隙間１２ａに入り込む。これにより、感知手段２４は、感知ローラ２５が下方へ移動するとともに、揺動レバー２６が下方へ揺動して、スペース部１２を検出する。

　ファスナーチェーン搬送手段２０は、感知手段２４によりスペース部１２が検出されると、所定の距離だけファスナーチェーン１１をさらに搬送する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、スペース部１２が超音波溶着装置９０の位置と上面視で重なる位置に移動した時、ファスナーチェーン１１の搬送を停止する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、後述するように超音波溶着装置９０での接着が完了した後、ファスナーチェーン１１の搬送を再開する。ファスナーチェーン搬送手段２０は、上記動作を繰り返して、ファスナーチェーン１１を搬送する。

　図２に示すように、補強フィルムテープ供給手段３０は、ファスナーチェーン１１の幅方向側方に配置されている。補強フィルムテープ供給手段３０は、補強フィルム案内部材３１と、補強フィルム案内部材３１を着脱自在に支持する支持手段３６と、を備える。

　補強フィルム案内部材３１は、補強フィルムテープ１７が巻回された一対のテープリール３８ａ、３８ｂと、テープリール３８ａ、３８ｂを支持するテープリール支持部３９と、テープリール３８ａ、３８ｂから引き出された補強フィルムテープ１７を案内する案内ロッド３５及びガイドヘッド３２と、を備える。

　テープリール支持部３９は、その長さ方向の一方端で第１テープリール３８ａを回転自在に支持し、一方端と反対側の他方端で第２テープリール３８ｂを支持している。案内ロッド３５は、テープリール支持部３９の長手方向中間部に固定されて、テープリール支持部３９の長手方向と直交する方向に延びている。即ち、案内ロッド３５は、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に延びている。ガイドヘッド３２は、案内ロッド３５の先端側に配置されるとともに、案内ロッド３５に対して補強フィルムテープ１７の引き出し方向に相対移動自在に配設されている。

　なお、補強フィルムテープ１７は、ナイロン系やポリエステル系などの比較的低融点の合成樹脂で形成されたフィルムテープである。

　図７も参照して、ガイドヘッド３２には、一対の軸３３が固定されている。一対の軸３３は、案内ロッド３５の先端部に設けられたガイドヘッド支持部３７に対して摺動自在に嵌合する。これにより、ガイドヘッド３２は、ガイドヘッド支持部３７に接近する位置と離間する位置とに移動可能に支持されている。また、ガイドヘッド３２は、コイルばね３４（ガイドヘッド用弾性部材）の弾性力により、ガイドヘッド支持部３７から離間する方向（補強フィルムテープ１７の引き出し方向）へ常に付勢されている。

　図１に示すように、ガイドヘッド支持部３７には、テープリール３８から引き出される補強フィルムテープ１７を挿通する一対のスリット３７ａが形成されている。各スリット３７ａは、補強フィルムテープ１７を、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って案内する。

　また、ガイドヘッド３２にも、補強フィルムテープ１７を挿通する一対のスリット３２ａが形成されている。各スリット３２ａは、上下方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。各スリット３２ａは、補強フィルムテープ１７を、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って案内する。また、ガイドヘッド３２の前端面３２ｃ側の上下方向縁部には、面取り３２ｂが施されている。面取り３２ｂは、切断機構４０の切断機能を補助するように形成されており、後に詳述する。

　切断機構４０は、補強フィルムテープ１７を切断して所定の長さの補強フィルム片１６を形成する。切断機構４０は、図２及び図８（ａ）も参照して、ガイドヘッド３２の下方に配置され、シリンダなどの駆動装置４２で上下方向に駆動される移動刃４１を備える。即ち、移動刃４１は、ガイドヘッド３２に接近する位置と、離間する位置とに移動可能である。移動刃４１は、弾性部材４４により、支持ピン４３を中心として時計回り方向に付勢されている。移動刃４１は、移動刃４１が上下動する際、ガイドヘッド３２の前端面３２ｃに摺接する。この時、移動刃４１には、弾性部材４４によって、ガイドヘッド３２を補強フィルムテープ１７の引き出し方向と反対方向に押圧する押圧力が作用している。

　ガイドヘッド３２の前端面３２ｃは、刃物台として機能する。移動刃４１は、ガイドヘッド３２と協働して、ガイドヘッド３２の一対のスリット３２ａから引き出された一対の補強フィルムテープ１７を切断して、補強フィルム片１６を形成する。

　なお、ガイドヘッド３２の前端面３２ｃの上下縁部に設けられた面取り３２ｂは、移動刃４１が前端面３２ｃに沿って摺動するように移動刃４１を案内する。また、移動刃４１とガイドヘッド３２には、移動刃４１がガイドヘッド３２の前端面３２ｃを上方移動する際に、互いを押圧する押圧力が作用している。これにより、移動刃４１とガイドヘッド３２は、補強フィルムテープ１７を精度よく切断することができる。

　図２～図６を参照して、補強フィルム片搬送手段５０は、ファスナーチェーン１１に対して補強フィルムテープ供給手段３０と反対側に配設されている。補強フィルム片搬送手段５０は、一対の補強フィルムテープ１７又は一対の補強フィルム片１６を把持可能な一対のグリッパ５１（５１Ａ，５１Ｂ）を備え、一対のグリッパ５１Ａ、５１Ｂを補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って移動して、一対の補強フィルムテープ１７又は一対の補強フィルム片１６を搬送する。

　グリッパ５１は、後述する移動基台６０の上面側に配設された上部グリッパ（第１グリッパ）５１Ａと、移動基台６０の下面側に固定された下部グリッパ（第２グリッパ）５１Ｂと、を備える。上部グリッパ５１Ａは、移動基台６０に対して補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って相対移動可能に配設されている。下部グリッパ５１Ｂは、移動基台６０に固定されており、移動基台６０と一体となって移動する。

　移動基台６０を移動する基台駆動手段８０は、基台７１の前壁７１ａに取り付けられたサーボモータ７２と、基台７１の前壁７１ａと後壁７１ｂとの間に固定された一対のガイドロッド７３と、ねじ軸７５及びボールナット７４とを有するボールねじ機構７６と、を備える。

　一対のガイドロッド７３は、前壁７１ａと後壁７１ｂとの間にファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向（補強フィルムテープ１７の引き出し方向）に固定されている。一対のガイドロッド７３には、移動基台６０が摺動自在に嵌合している。

　また、ねじ軸７５は、基台７１の前壁７１ａと後壁７１ｂとの間に回動自在に支持され、互いに噛合する一対のギア７７Ａ，７７Ｂを介して、サーボモータ７２によって回転駆動される。ねじ軸７５に螺合するボールナット７４は、連結板７９を介して移動基台６０に固定されている。これにより、サーボモータ７２の駆動によりねじ軸７５が回転すると、ボールナット７４に連結されている移動基台６０は、一対のガイドロッド７３に案内されてファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向、即ち、補強フィルムテープ１７の引き出し方向にグリッパ５１と共に移動する。
　なお、図３に示すように、後壁７１ｂには、移動基台６０の移動を規制するストッパー８７が取り付けられている。

　グリッパ５１は、サーボモータ７２によって移動されるので、ファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向に沿う複数の任意の位置で停止可能である。具体的には、図２に示すように、スリット３２ａで案内される一対の補強フィルムテープ１７の先端をグリッパ５１で把持する把持位置Ｐ１、補強フィルムテープ１７を切断する際の切断位置Ｐ２、補強フィルム片１６を超音波溶着装置９０でファスナーチェーン１１に溶着する際に該把持を解除する溶着位置Ｐ３、及び超音波溶着装置９０から退避する退避位置Ｐ４の４ヶ所で停止可能である。

　図４及び図５に示すように、下部グリッパ５１Ｂは、下部固定ジョー５２と、下部可動ジョー５３と、を備える。下部固定ジョー５２は、移動基台６０に形成された下面溝６０ａに嵌合して固定されている。下面溝６０ａは、移動基台６０の下面左右方向略中央に、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って形成されている。下部可動ジョー５３は、下部固定ジョー５２に形成された溝５２ａに嵌合する。溝５２ａは、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って下部固定ジョー５２の下面に形成されている。

　下部可動ジョー５３は、その長手方向中間部が、支持軸５４により揺動自在に支承されている。下部可動ジョー５３は、その先端が、下部固定ジョー５２の先端から離間するようにばね５５により付勢されている。即ち、下部可動ジョー５３の先端は、下部固定ジョー５２の先端から離間して、補強フィルム片１６を把持するための開口部５９を形成する。

　また、下部固定ジョー５２の溝５２ａには、下部カム５６が摺動自在に嵌合する。下部カム５６は、下部可動ジョー５３の後方（図４において左側）に配置される。下部カム５６は、略Ｌ字形棒状に形成され、その前端部には、前端に向かうに従って次第に高さが低くなるように傾斜する傾斜カム面５６ａが設けられている。傾斜カム面５６ａは、下部可動ジョー５３の後部に設けられたフォロワー５８に当接する。また、下部カム５６の後端に立設する縦壁部５６ｂは、連結板５６ｃを介して下部シリンダ５７のピストンロッド５７ａに連結されている。下部シリンダ５７は、移動基台６０の下面に固定された下部取付板７０Ｄに取り付けられている。

　また、連結板５６ｃには、ストッパ用位置調節ねじ８５ａが設けられている。ストッパ用位置調節ねじ８５ａは、下部取付板７０Ｄに固定されたＬ字形固定板８５ｂに取り付けられたストッパ８５ｃに対向配置される。これにより、ストッパ８５ｃは、下部シリンダ５７のピストンロッド５７ａの移動、即ち、下部カム５６の移動を制限する。

　空気圧で作動する下部シリンダ５７は、ピストンロッド５７ａを引き込むことで下部カム５６を前進（図４において右方向移動）させる。下部カム５６は、その傾斜カム面５６ａがフォロワー５８を押圧して、下部可動ジョー５３を支持軸５４を中心として反時計方向に揺動させることで、開口部５９を閉じる。

　上部グリッパ５１Ａは、上部固定ジョー６２と、上部可動ジョー６３と、を備える。上部固定ジョー６２は、移動基台６０の上面に形成された上面溝６０ｂに嵌合する。上部固定ジョー６２の両側面には、移動基台６０に固定されたガイド板６１が嵌合するガイド溝６２ｂが形成されている。上部固定ジョー６２は、移動基台６０に対して、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って摺動自在に支持される。

　上部可動ジョー６３は、上部固定ジョー６２に形成された上溝６２ａに嵌合する。上溝６２ａは、補強フィルムテープ１７の引き出し方向に沿って、上部固定ジョー６２の上面に形成されている。上部可動ジョー６３は、その長手方向中間部が、支持軸６４により揺動自在に支承されている。上部可動ジョー６３は、その先端が、上部固定ジョー６２の先端から離間するようにばね６５により付勢されている。即ち、上部可動ジョー６３の先端は、上部固定ジョー６２の先端から離間して補強フィルム片１６を把持するための開口部６９を形成する。

　上部固定ジョー６２は、後端部にばね室６２ｄを備える。ばね室６２ｄには、連結板７９と移動基台６０との間にコイルばね７８が配設されている。コイルばね７８は、上部固定ジョー６２を、移動基台６０に対して前方（図４において右方向）に付勢する。コイルばね７８で付勢される上部固定ジョー６２は、後述する上部グリッパ駆動手段（第１グリッパ駆動手段）８２のピストンロッド８２ａが、位置決めねじ８１に当接することで、位置決めされている。位置決めねじ８１は、移動基台６０から立設される。このとき、上部固定ジョー６２（上部クリッパ）の前端部６２ｃは、下部固定ジョー５２（下部クリッパ）の前端部５２ｃより、所定の距離２Ｈだけファスナーチェーン１１に向けて突出している。

　上部固定ジョー６２の上溝６２ａには、上部カム６６が摺動自在に嵌合する。上部カム６６は、略Ｌ字形棒状に形成されており、その前端部には、前端に向かうに従って次第に高さが低くなるように傾斜する傾斜カム面６６ａが形成されている。傾斜カム面６６ａは、上部可動ジョー６３の後部に設けられたフォロワー６８に当接する。また、上部カム６６の後端に立設する縦壁部６６ｂは、連結板６６ｃを介して上部シリンダ６７のピストンロッド６７ａに連結されている。上部シリンダ６７は、上部固定ジョー６２の上面に一体固定された上部取付板７０Ｕに取り付けられている。

　また、連結板６６ｃには、ストッパ用位置調節ねじ８６ａが設けられている。ストッパ用位置調節ねじ８６ａは、上部取付板７０Ｕに固定されたＬ字形固定板８６ｂに取り付けられたストッパ８６ｃに対向配置される。ストッパ８６ｃは、上部シリンダ６７のピストンロッド６７ａの移動、即ち、上部カム６６の移動を制限する。

　空気圧で作動する上部シリンダ６７は、ピストンロッド６７ａを引き込むことで、上部カム６６を前進（図４において右方向移動）させる。上部カム６６は、その傾斜カム面６６ａがフォロワー６８を押圧する。上部可動ジョー６３は、支持軸６４を中心として時計方向に揺動することで、開口部６９を閉じる。なお、図４においては、理解を容易にするため、下部グリッパ５１Ｂは、開口部５９が開いた状態を示し、上部グリッパ５１Ａは、開口部６９が閉じた状態を示しているが、実際の作動時には、上部グリッパ５１Ａ及び下部グリッパ５１Ｂは、同期して開閉する。

　下部グリッパ５１Ｂの開口部５９、及び上部グリッパ５１Ａの開口部６９は、それぞれガイドヘッド３２の一対のスリット３２ａに臨む位置にある。従って、スリット３２ａで案内される一対の補強フィルムテープ１７の先端は、それぞれ対応する開口部５９，６９に挿入可能である。

　そして、開口する開口部５９，６９に一対の補強フィルムテープ１７が挿入されると、下部シリンダ５７及び上部シリンダ６７は、ピストンロッド５７ａ，６７ａを引き込む。これにより、下、上部カム５６，６６の傾斜カム面５６ａ，６６ａは、それぞれフォロワー５８，６８に当接して下部可動ジョー５３及び上部可動ジョー６３を回動させて開口部５９，６９を閉じる。開口部５９，６９は、挿入された一対の補強フィルムテープ１７を把持する。

　図３、図５及び図６に示すように、上部グリッパ駆動手段８２は、上部取付板７０Ｕ上に固定されている。上部グリッパ駆動手段８２は、ピストンロッド８２ａとシリンダ８２ｂとを備え、ピストンロッド８２ａは、補強フィルムテープ１７の引き出し方向、即ち、補強フィルムテープ供給手段３０に向けられ、その先端が位置決めねじ８１に対向している。

　ピストンロッド８２ａは、先端部に形成された雄ねじ部に螺合する長さ調整ナット８７を備える。長さ調整ナット８７は、ピストンロッド８２ａの実質長さを変更可能である。ピストンロッド８２ａは、その長さを調節することで、上部固定ジョー６２の前端部６２ｃと、下部固定ジョー５２の前端部５２ｃとの距離を、所定の距離２Ｈに調節する。

　位置決めねじ８１は、移動基台６０に固定されて、上部取付板７０Ｕの切欠き部７０ａから上方に突出し、ピストンロッド８２ａに対向する。

　そして、上部グリッパ駆動手段８２は、空気圧で作動するピストンロッド８２ａを伸長させることで、位置決めねじ８１を押圧する。これにより、上部グリッパ駆動手段８２は、上部グリッパ駆動手段８２自身、即ち、上部取付板７０Ｕ及び上部固定ジョー６２を、コイルばね７８の弾性力に抗して、ファスナーチェーン１１から離間する方向に移動させる。

　上部グリッパ駆動手段８２による上部固定ジョー６２の移動距離は、上部固定ジョー６２の前端部６２ｃと、下部固定ジョー５２の前端部５２ｃとに設定された所定の距離２Ｈの半分の距離Ｈに設定されている。

　図１に戻り、超音波溶着装置９０は、ガイドヘッド３２から引き出された一対の補強フィルムテープ１７とファスナーチェーン１１とが、上面視で交差する位置に配置されている。

　超音波溶着装置９０は、ファスナーチェーン１１の搬送経路を挟んで対向して配置された超音波ホーン９１とアンビル９２とを備える。超音波ホーン９１は、ファスナーチェーン１１の上方に配置されている。アンビル９２は、ファスナーチェーン１１の下方に配置されている。アンビル９２の上面には、逃げ溝９３が、ファスナーチェーン１１の搬送方向に沿って設けられている（図８（ｃ）参照）。

　逃げ溝９３は、超音波ホーン９１とアンビル９２とでファスナーチェーン１１を挟持したとき、ファスナーテープ１３の下面から突出する芯紐１８を収容する。超音波溶着装置９０は、ファスナーチェーン１１と、ファスナーチェーン１１の上下面に対向して配置した一対の補強フィルム片１６とを、超音波ホーン９１とアンビル９２とで挟持して超音波加工する。これにより、補強フィルム片１６がファスナーチェーン１１の上下面に溶着する。

　次に、図７及び図８を参照して、本実施形態の補強フィルム接着方法について説明する。
　なお、補強フィルム接着装置１０は、以下の初期状態から作動を開始するものとして説明する。即ち、グリッパ５１は、ファスナーチェーン１１から離間した退避位置Ｐ４に位置している。また、下部シリンダ５７、上部シリンダ６７、及び上部グリッパ駆動手段８２は、それぞれ不作動状態にある。即ち、下部シリンダ５７及び上部シリンダ６７は、それぞれのピストンロッド５７ａ，６７ａが伸張した状態であり、上部グリッパ５１Ａ及び下部グリッパ５１Ｂの開口部５９，６９は開いている。また、上部グリッパ駆動手段８２は、ピストンロッド８２ａが引き込まれた状態で、コイルばね７８の作用により位置決めねじ８１に当接している。これにより、図７（ａ）に示すように、上部及び下部グリッパ５１Ａ、５１Ｂは、退避位置Ｐ４にあり、上部グリッパ５１Ａは、コイルばね７８の弾性力により押圧されて下部グリッパ５１Ｂよりも距離２Ｈだけ前方に突出している。

　先ず、ファスナーチェーン搬送手段２０の駆動ローラ２２を駆動してファスナーチェーン１１を搬送する。ファスナーチェーン１１のスペース部１２が、感知ローラ２５の位置に達すると、感知ローラ２５がスペース部１２の隙間１２ａに入り込むことで揺動レバー２６が揺動してスペース部１２を検出する。

　ファスナーチェーン搬送手段２０は、感知手段２４によりスペース部１２が検出されると、スペース部１２が超音波溶着装置９０の超音波ホーン９１とアンビル９２との間に位置するまでファスナーチェーン１１を更に搬送して停止する。これにより、ファスナーチェーン１１のスペース部１２は、補強フィルムテープ供給手段３０から引き出される補強フィルムテープ１７又は補強フィルム片１６と、上面視で重なる位置に配置される。

　サーボモータ７２は、ファスナーチェーン搬送手段２０によるファスナーチェーン１１の搬送と同時に、ねじ軸７５を回転駆動する。これにより、ボールナット７４に固定された移動基台６０が、ファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向に移動し、上部及び下部グリッパ５１Ａ、５１Ｂも、移動基台６０と共に移動する。このとき、図７（ａ）に示すように、コイルばね７８の弾性力により前方に付勢される上部グリッパ５１Ａの先端は、下部グリッパ５１Ｂの先端より距離２Ｈだけ突出した状態を維持する。

　図７（ｂ）に示すように、グリッパ５１Ａ、５１Ｂは、上記距離２Ｈの先端の前後差を保ったまま、補強フィルムテープ１７を把持可能な把持位置Ｐ１に移動する。このとき、グリッパ５１は、先ず、上部グリッパ５１Ａの前端部６２ｃが、補強フィルムテープ供給手段３０のガイドヘッド３２に当接する。

　グリッパ５１は、移動基台６０と共に更に前進する。しかし、ガイドヘッド３２を図７（ｂ）中左方向に付勢するコイルばね３４の弾性力は、上部グリッパ５１Ａを右方向に付勢するコイルばね７８の弾性力より、大きく設定されているので、ガイドヘッド３２に当接した上部グリッパ５１Ａが移動することはなく、移動基台６０が、下部グリッパ５１Ｂと共にコイルばね７８を圧縮しながら前進する。換言すれば、上部グリッパ５１Ａは、コイルばね７８を圧縮しながら、下部グリッパ５１Ｂに対して図中左方向に相対的に移動する。この移動に伴って、上部グリッパ駆動手段８２のピストンロッド８２ａは、位置決めねじ８１から離間する。

　やがて、下部グリッパ５１Ｂの前端部５２ｃも、ガイドヘッド３２に当接してガイドヘッド３２を押圧する。ガイドヘッド３２は、コイルばね３４の弾性力に抗してファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向に移動する（図７（ｃ））。これにより、一対の補強フィルムテープ１７の先端は、ガイドヘッド３２が移動した長さだけ一対のスリット３２ａから突出して、グリッパ５１の開口部５９，６９に挿入される。

　ここで、下部シリンダ５７、及び上部シリンダ６７は、ピストンロッド５７ａ，６７ａを引き込む。これにより、下部、上部カム５６，６６は、その傾斜カム面５６ａ，６６ａが、それぞれフォロワー５８，６８に当接する。下部可動ジョー５３及び上部可動ジョー６３は、ばね５５，６５の弾性力に抗して回動して開口部５９，６９が閉じる。これにより、上部及び下部グリッパ５１Ａ，５１Ｂは、ガイドヘッド３２の一対のスリット３２ａから突出する一対の補強フィルムテープ１７の先端を把持する。

　次いで、サーボモータ７２を逆方向に回転させて、移動基台６０をグリッパ５１と共に後退させる。コイルばね３４の弾性力が作用しているガイドヘッド３２は、上部及び下部グリッパ５１Ａ、５１Ｂに当接した状態のまま、上部及び下部グリッパ５１Ａ、５１Ｂの移動に追従して移動し、元の位置に復帰して不図示のストッパに当接することで停止する。更に、移動基台６０が後退すると、下部グリッパ５１Ｂの前端部５２ｃがガイドヘッド３２から離間する。しかし、上部グリッパ５１Ａは、コイルばね７８によって前方（ガイドヘッド３２方向）に付勢されているので、前端部６２ｃがガイドヘッド３２に当接した状態のまま保持されて、移動基台６０及び下部グリッパ５１Ｂのみが後退する。

　そして、下部グリッパ５１Ｂが距離２Ｈだけ後退すると、移動基台６０に固定された位置決めねじ８１が、上部グリッパ駆動手段８２のピストンロッド８２ａに当接する。そして、上部グリッパ５１Ａは、移動基台６０に固定された位置決めねじ８１に押圧されて後退を開始し、上部グリッパ５１Ａの前端部６２ｃが、ガイドヘッド３２から離間する。

　そして、図７（ｄ）に示すように、把持位置Ｐ１で一対の補強フィルムテープ１７を把持したグリッパ５１は、更にサーボモータ７２を駆動することで切断位置Ｐ２まで後退して停止する。これにより、一対の補強フィルムテープ１７は、先端がグリッパ５１で把持された状態で、所定の長さだけスリット３２ａから引き出される。具体的には、下部グリッパ５１Ｂで引き出された補強フィルムテープ１７の長さは、上部グリッパ５１Ａで引き出された補強フィルムテープ１７の長さより距離２Ｈだけ長くなっている。この距離２Ｈは、ファスナーテープ１３の下面から突出する芯紐１８の高さＨの略２倍に設定されている。

　ここで、図８（ａ）に示すように、切断機構４０は、駆動装置４２により移動刃４１を上昇させる。これにより、グリッパ５１が把持する一対の補強フィルムテープ１７は、ガイドヘッド３２の前端面３２ｃに沿って切断されて一対の補強フィルム片１６を形成する。

　切断機構４０により切断された補強フィルム片１６の長さ（ファスナーチェーン１１の搬送方向と直交する方向の長さ）は、上部グリッパ５１Ａで把持されてファスナーチェーン１１の上面に向けて引き出される補強フィルム片１６の長さが、ファスナーチェーン１１の幅より僅かに短い。また、下部グリッパ５１Ｂで把持されてファスナーチェーン１１の下面に向けて引き出される補強フィルム片１６の長さは、前者の長さより、２Ｈだけ長くなる。

　そして、一対の補強フィルム片１６を把持するグリッパ５１は、更にサーボモータ７２を駆動することで、超音波溶着装置９０による補強フィルム片１６の溶着位置Ｐ３まで移動する。これにより、グリッパ５１が把持する一対の補強フィルム片１６（１６ａ，１６ｂ）は、それぞれファスナーチェーン１１の上下面に対向した状態で超音波ホーン９１とアンビル９２との間に移動する。このとき、一対の補強フィルム片１６ａ，１６ｂは、ガイドヘッド３２に近い側の幅方向端面が一致している。即ち、ガイドヘッド３２と反対側の幅方向端面は、距離２Ｈずれた状態となっている。

　ここで、図８（ｂ）に示すように、上部グリッパ駆動手段８２は、ピストンロッド８２ａを伸張させて位置決めねじ８１を押圧する。これにより、補強フィルム片１６ａを把持する上部グリッパ５１Ａは、所定の距離２Ｈの半分の距離Ｈだけ、コイルばね７８の弾性力に抗して後退する。これにより、上部グリッパ５１Ａで把持される補強フィルム片１６ａの両端は、下部グリッパ５１Ｂで把持される補強フィルム片１６ｂの両端からＨだけ内側に位置する。即ち、補強フィルム片１６ａと補強フィルム片１６ｂとは、センター合わせ、即ち、補強フィルム片１６ａ、１６ｂの幅方向中間部が、隙間１２ａが位置するファスナーチェーン１１の幅方向中間位置と一致する。

　次いで、一対の補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１との重ね合わせ位置がずれないように、超音波ホーン９１とアンビル９２に設けられた不図示の仮押さえ機構により仮押えされる。ここで、下部シリンダ５７、及び上部シリンダ６７は、ピストンロッド５７ａ，６７ａを伸張させる。これにより、グリッパ５１は、開口部５９，６９を開いて一対の補強フィルム片１６の把持を解除する。その後、サーボモータ７２は、ねじ軸７５を回転させて、移動基台６０と共にグリッパ５１を退避位置Ｐ４に後退させる。

　次いで、図８（ｃ）に示すように、超音波溶着装置９０は、超音波ホーン９１を下降させると共にアンビル９２を上昇させて、超音波ホーン９１とアンビル９２とで、一対の補強フィルム片１６ａ，１６ｂをファスナーチェーン１１と共に挟持する。このとき、ファスナーチェーン１１の下面側に配置された補強フィルム片１６ｂは、ファスナーチェーン１１の芯紐１８により略Ｕ字状に屈曲する。芯紐１８及び補強フィルム片１６ｂの屈曲部は、アンビル９２の逃げ溝９３内に収容される。

　これにより、補強フィルム片１６ｂの両端は、芯紐１８の高さＨだけ、補強フィルム片１６ｂの中心に向かって引き込まれる。従って、ファスナーチェーン１１の上面側、及び下面側に配置された補強フィルム片１６ａ，１６ｂは、互いの幅方向両端面が一致する。

　一対の補強フィルム片１６ａ，１６ｂは、互いの幅方向両端面が一致した状態で、超音波ホーン９１とアンビル９２とにより、ファスナーチェーン１１と共に挟持され、超音波加工されてファスナーチェーン１１の上下面に溶着される。

　そして、超音波ホーン９１及びアンビル９２は、溶着位置Ｐ３での超音波溶着装置９０による溶着が終了すると、ファスナーチェーン１１から上下に離間する。そして、ファスナーチェーン搬送手段２０は、再び作動して、感知手段２４がスペース部１２を検出するまでファスナーチェーン１１を搬送する。以後、同様の動作を繰り返し行い、補強フィルム片１６は、ファスナーチェーン１１の上下面に連続して溶着される。

　以上説明したように、本実施形態の補強フィルム接着装置１０によれば、ファスナーチェーン搬送手段２０と、補強フィルムテープ１７を供給する補強フィルムテープ供給手段３０と、補強フィルムテープ１７を切断して補強フィルム片１６を形成する切断機構４０と、上部及び下部グリッパ５１Ａ，５１Ｂで把持する補強フィルム片１６をファスナーチェーン１１へ搬送する補強フィルム片搬送手段５０と、ファスナーチェーン１１に補強フィルム片１６を接着する超音波溶着装置９０と、を備える。補強フィルム片搬送手段５０は、上部グリッパ５１Ａを相対移動可能に支持すると共に、下部グリッパ５１Ｂを固定して支持する移動基台６０と、上部グリッパ５１Ａの前端部６２ｃが下部グリッパ５１Ｂの前端部５２ｃより所定の距離２Ｈだけ突出するように、移動基台６０に対して上部グリッパ５１Ａを付勢するコイルばね７８と、移動基台６０を移動する基台駆動手段８０と、移動基台６０に対して上部グリッパ５１Ａをコイルばね７８の弾性力に抗して相対移動させる上部グリッパ駆動手段８２と、を備える。

　そして、本実施形態の補強フィルム接着方法によれば、一対の補強フィルムテープ１７を上部及び下部グリッパ５１Ａ，５１Ｂで把持する工程と、上部グリッパ５１Ａと下部グリッパ５１Ｂとで把持する一対の補強フィルムテープ１７を、それぞれ異なる所定の長さ引き出す工程と、一対の補強フィルムテープ１７を互いに異なる所定の長さに切断して一対の補強フィルム片１６を形成する工程と、第１及び第２グリッパ５１Ａ、５１Ｂで把持された一対の補強フィルム片１６を、センター合わせしつつ、ファスナーチェーン１１と超音波溶着装置９０との間に搬送する工程と、超音波溶着装置９０によってファスナーチェーン１１の上面及び下面に一対の補強フィルム片１６を接着する工程と、を備える。これにより、芯紐１８がファスナーテープ１３の下面側に片寄って突出する場合でも、補強フィルム片１６の幅方向両端面を一致させて白濁なく接着することができ、外観性を向上することができる。

　また、下部グリッパ５１Ｂは、ファスナーテープ１３から芯紐１８が突出する側の面に接着される補強フィルム片１６ｂを把持する。上部グリッパ駆動手段８２は、上部及び下部グリッパ５１Ａ，５１Ｂの前端部６２ｃ，５２ｃの段差である所定の距離２Ｈの略１／２の距離、上部グリッパ５１Ａを、下部グリッパ５１Ｂに対して相対移動させる。これにより、上部及び下部グリッパ５１Ａ，５１Ｂは、それぞれが把持する長さの異なる一対の補強フィルム片１６ａ，１６ｂをセンター合わせすることができ、ファスナーチェーン１１の上下面に、補強フィルム片１６の幅方向両端面を一致させた状態で接着することができる。

　尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。

　例えば、本発明の上部グリッパ駆動手段８２は、上記実施形態のものに限定されず、図９に示す変形例のように構成されてもよい。即ち、移動基台６０から立設するピン固定部９６のピン９７が、ピストンロッド８２ａの先端部に取り付けられたピン収容部材９５の長孔９５ａ内に挿入される。そして、ピストンロッド８２ａが伸長することで、ピン９７に長孔９５ａが当接した後、上部取付板７０Ｕ及び上部固定ジョー６２を、コイルばね７８の弾性力に抗して、ファスナーチェーン１１から離間する方向に移動させる。

　また、本発明の補強フィルム接着装置は、グリッパ駆動機構をサーボモータ及び複数のシリンダで構成したが、これに限定されるものでなく、任意の駆動装置を適用することができる。また、補強フィルム片接着手段は、超音波溶着装置に限定されず、高周波溶着装置や、ヒータなどの熱溶着装置とすることもできる。

　また、本発明の補強フィルム接着方法は、本実施形態の補強フィルム接着装置に限定されず、第１及び第２グリッパ５１Ａ、５１Ｂが互いに独立してファスナーチェーン１１の搬送方向と直交方向に駆動可能な機構を有する補強フィルム接着装置によって実施可能である。

１０   　補強フィルム接着装置
１１   　ファスナーチェーン
１３   　ファスナーテープ
１３ａ　テープ側縁部
１４   　ファスナーエレメント
１６，１６ａ，１６ｂ　補強フィルム片
１７   　補強フィルムテープ
１８   　芯紐
２０   　ファスナーチェーン搬送手段
３０   　補強フィルムテープ供給手段
３1    　補強フィルム案内部材（案内部材）
３２   　ガイドヘッド
３２ａ　スリット
３４   　コイルばね（ガイドヘッド用弾性部材）
４０   　切断機構
５０   　補強フィルム片搬送手段
５１   　グリッパ
５１Ａ　上部グリッパ（第１グリッパ）
５１Ｂ　下部グリッパ（第２グリッパ）
５２   　下部固定ジョー
５２ｃ　下部グリッパの前端部
５３   　下部可動ジョー
６０   　移動基台
６２   　上部固定ジョー
６２ｃ　上部グリッパの前端部
６３   　上部可動ジョー
７０Ｕ　上部取付板（取付け部材）
７８   　コイルばね（弾性部材）
８０   　基台駆動手段
８１   　位置決めねじ（移動基台の突起部）
８２   　上部グリッパ駆動手段（第１グリッパ駆動手段）
８２ａ　ピストンロッド
８２ｂ　シリンダ
９０   　超音波溶着装置（補強フィルム片接着手段）
２Ｈ   　所定の距離

Claims

　ファスナーチェーン（１１）を搬送するファスナーチェーン搬送手段（２０）と、
　一対の補強フィルムテープ（１７）を供給する補強フィルムテープ供給手段（３０）と、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）を切断して一対の補強フィルム片（１６）を形成する切断機構（４０）と、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）又は前記一対の補強フィルム片（１６）をそれぞれ把持する第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）を備え、前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）を前記ファスナーチェーン（１１）の搬送方向と直交する方向に移動して、前記一対の補強フィルムテープ（１７）又は前記一対の補強フィルム片（１６）を搬送する補強フィルム片搬送手段（５０）と、
　前記ファスナーチェーン（１１）の表面及び裏面に前記一対の補強フィルム片（１６）を接着する補強フィルム片接着手段（９０）と、
を備え、芯紐（１８）がファスナーテープ（１３）の表面側又は裏面側に片寄って突出する前記ファスナーチェーン（１１）の表面及び裏面に前記一対の補強フィルム片（１６）を接着する補強フィルム接着装置（１０）であって、
　前記補強フィルム片搬送手段（５０）は、
　前記第１グリッパ（５１Ａ）を前記直交方向に相対移動可能に支持すると共に、前記第２グリッパ（５１Ｂ）を固定して支持する移動基台（６０）と、
　前記第１グリッパ（５１Ａ）の前端部（６２ｃ）が前記第２グリッパ（５１Ｂ）の前端部（５２ｃ）より所定の距離（２Ｈ）だけ突出するように、前記移動基台（６０）に対して前記第１グリッパ（５１Ａ）を前記直交方向に付勢する弾性部材（７８）と、
　前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）と共に、前記移動基台（６０）を前記直交方向に移動する基台駆動手段（８０）と、
　前記移動基台（６０）に対して前記第１グリッパ（５１Ａ）を、前記弾性部材（７８）の弾性力に抗して前記直交方向に相対移動させる第１グリッパ駆動手段（８２）と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着装置（１０）。
　前記第２グリッパ（５１Ｂ）は、前記ファスナーテープ（１３）の前記芯紐（１８）が片寄って突出する側の面に接着される前記補強フィルム片（１６）を把持することを特徴とする請求項１に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　前記第１グリッパ駆動手段（８２）は、前記移動基台（６０）に対して前記第１グリッパ（５１Ａ）を、前記所定の距離の略１／２だけ移動することを特徴とする請求項１又は２に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　前記第１グリッパ駆動手段（８２）は、
　前記第１グリッパ（５１Ａ）に取り付けられた取付け部材（７０Ｕ）に固定されたシリンダ（８２ｂ）と、前記シリンダ（８２）から前記直交方向に進退するピストンロッド（８２ａ）と、を備え、
　前記ピストンロッド（８２ａ）が前記移動基台（６０）に設けられた突起部（８１）を押圧しながら伸長することで、前記第１グリッパ（５１Ａ）が、前記弾性部材（７８）の弾性力に抗して前記ファスナーチェーン（１１）から離間する方向に移動することを特徴とする請求項１～３のいずれか１項に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　前記補強フィルムテープ供給手段（３０）は、
　前記補強フィルムテープ（１７）を前記ファスナーチェーン（１１）の搬送方向と直交する方向に案内する案内部材（３１）と、
　前記案内部材（３１）に対して前記補強フィルムテープの引き出し方向に相対移動可能に前記案内部材（３１）の引き出し方向端部側に配設され、前記補強フィルムテープ（１７）が挿通するスリット（３２ａ）を備えるガイドヘッド（３２）と、
　前記案内部材（３１）に対して前記ガイドヘッド（３２）を前記補強フィルムテープ（１７）の引き出し方向に付勢するガイドヘッド用弾性部材（３４）と、
を備えることを特徴とする請求項１～４のいずれか１項に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　前記ファスナーチェーン（１１）には、コイル状のファスナーエレメントが取着されることを特徴とする請求項１～５のいずれか１項に記載の補強フィルム接着装置（１０）。
　ファスナーチェーン（１１）を搬送するファスナーチェーン搬送手段（２０）と、
　一対の補強フィルムテープ（１７）を供給する補強フィルムテープ供給手段（３０）と、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）を切断して一対の補強フィルム片（１６）を形成する切断機構（４０）と、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）又は前記一対の補強フィルム片（１６）をそれぞれ把持する第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）を備え、前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）を前記ファスナーチェーン（１１）の搬送方向と直交する方向に移動して、前記一対の補強フィルムテープ（１７）又は前記一対の補強フィルム片（１６）を搬送する補強フィルム片搬送手段（５０）と、
　前記ファスナーチェーン（１１）の表面及び裏面に前記一対の補強フィルム片（１６）を接着する補強フィルム片接着手段（９０）と、
を備え、前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）が互いに独立して該直交方向に駆動可能な補強フィルム接着装置（１０）を用いて、芯紐（１８）がファスナーテープ（１３）の表面側又は裏面側に片寄って突出する前記ファスナーチェーン（１１）の表面及び裏面に前記一対の補強フィルム片（１６）を接着する補強フィルム接着方法であって、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）を前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）で把持する工程と、
　前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）で把持する前記一対の補強フィルムテープを、それぞれ異なる所定の長さ引き出す工程と、
　前記一対の補強フィルムテープ（１７）を互いに異なる前記所定の長さに切断して前記一対の補強フィルム片（１６）を形成する工程と、
　前記第１及び第２グリッパ（５１Ａ、５１Ｂ）で把持された前記一対の補強フィルム片（１６）を、センター合わせしつつ、前記ファスナーチェーン（１１）と前記補強フィルム片接着手段（９０）との間に搬送する工程と、
　前記補強フィルム片接着手段（９０）によって前記ファスナーチェーン（１１）の表面及び裏面に前記一対の補強フィルム片（１６）を接着する工程と、
を備えることを特徴とする補強フィルム接着方法。
　前記第２グリッパ（５１Ｂ）は、前記ファスナーテープ（１３）の前記芯紐（１８）が片寄って突出する側の面に接着される前記補強フィルム片（１６）を把持することを特徴とする請求項７に記載の補強フィルム接着方法。
　前記センター合わせは、前記第１グリッパ（５１Ａ）を、前記第２グリップ（５１Ｂ）に対して前記所定の長さの略１／２だけ相対的に移動することで行われることを特徴とする請求項７又は８に記載の補強フィルム接着方法。