WO2015137026A1 - 光学レンズ，レンズユニット，撮像モジュール，電子機器および光学レンズを製造する方法 - Google Patents

Abstract

　光軸ずれを抑える光学レンズ，レンズユニット，撮像モジュール，電子機器および光学レンズの製造方法を提供する。複数の光学的機能部３が形成されているレンズアレイウエハが用意される。光学的機能部３の外周部にはフランジ部４が形成されている。フランジ部４の外周部には全体には外周全体にわたって，フランジ部４の厚さよりも薄い薄肉部６が形成されている。レンズアレイウエハからレーザーＬによって薄肉部６が切断される。第１の側面５Ａの表面粗さは第２の側面６Ａの表面粗さより小さい。第１の側面５Ａがレンズバレルの内周面に接し，第２の側面６Ａがレンズバレルの内周面から離間させることにより，光軸ずれを抑えたレンズユニットが得られる。

Description

光学レンズ，レンズユニット，撮像モジュール，電子機器および光学レンズを製造する方法

　この発明は，光学レンズ，レンズユニット，撮像モジュール，電子機器および光学レンズを製造する方法に関する。

　レンズアレイウエハからレンズユニットを製造する場合，複数枚のレンズアレイウエハが位置決めされながら貼り合わされる。貼り合わされた複数枚のレンズアレイウエハから光学レンズが切り出され，レンズユニットに組み込まれる。レンズの偏芯精度はレンズアレイウエハの貼り合わせ時に決定されるので，光学レンズの切り出し精度はあまり厳密ではなくともよい。これに対して，レンズアレイウエハに成形された光学的機能部を含む複数の光学レンズを切り出し，切り出された複数の光学レンズを撮像レンズモジュールに組み込む場合には，高い偏芯精度が要求される。

　レンズの容易な位置決めをするために，外周部に，側面が円弧となる突出部を設けるものがある（特許文献１）。側面がレンズとして機能し，レンズを透過した光による像が側面に対応する部分と側面以外に対応する部分との間に十分なコントラストが得られ，レンズの位置決めが容易となる。また，レンズとレンズバレルとの接着に使用される接着剤がレンズの表面に付着することを防止することにより，レンズの光軸ずれによる解像度の低下を抑制するものもある（特許文献２）。

特開2013-246427号公報 特開2011-53283号公報

　特許文献１に記載の発明の場合，コントラストから突出部の端部を検出してレンズの位置決めをするから，高い偏芯精度での位置決めは依然として難しい。特許文献２に記載の発明では，光軸ずれ自体を抑えることは考えられていない。

　この発明は，レンズアレイウエハから光学的機能部を含む光学レンズを切り出してレンズユニットに組み込む場合に，高い偏芯精度をもち光軸ずれを抑えることを目的とする。

　第１の発明は，第１の側面と光軸に平行な第２の側面とを有する光学レンズであって，第２の側面は，全周に渡って第１の側面より光学レンズの外周方向に突出しており，第１の側面の表面粗さは第２の側面の表面粗さよりも小さいものである。

　第２の発明は，光学レンズとレンズバレルとを有するレンズユニットであって，第１の側面の少なくとも一部が，レンズバレルの内周面に接しており，かつ第２の側面が上記内周面から離間しているものである。

　第３の発明は，光学レンズと光学レンズ以外の他の光学レンズとを有するレンズユニットであって，第１の側面の少なくとも一部が他の光学レンズと接しており，かつ第２の側面が他のレンズから離間しているものである。

　第４の発明は，光学レンズと間隔環とを有するレンズユニットであって，第１の側面の少なくとも一部が間隔環と接しており，かつ第２の側面が間隔環から離間しているものである。

　第１の側面の少なくとも一部がレンズバレル内周面の光軸方向の端部と接していてもよい。

　第２の側面とレンズバレルの内周面との間に空間が形成されていてもよい。

　第５の発明の撮像モジュールは，レンズユニット，および光学レンズを通して被写体像を撮像する撮像装置を備えている。

　撮像モジュールを備えた電子機器を提供してもよい。

　第６の発明は，光学的機能を有する光学的機能部が複数配列されているレンズアレイウエハから光学レンズを個片化して光学レンズを製造する方法において，光学的機能部の外周部に，フランジ部が形成されており，フランジ部のさらに外周部にフランジ部の厚さよりも薄くなっている薄肉部が形成されており，薄肉部を切断することにより光学レンズを個片化して光学レンズを製造するものである。

　レーザー光を用いて薄肉部を切断することが好ましい。

　第１の発明によると，第２の側面は全周に渡って，第１の側面より光学レンズの外周方向（光学レンズの光軸から光学レンズの外周に向かった方向，径方向）に突出しており，第１の側面の表面粗さは，第２の側面の表面粗さよりも小さい。このため，第１の側面がレンズバレルの内周面に接し，第２の側面がレンズバレルの内周面から離間させることにより，第１の側面により光学レンズを位置決めでき，光学レンズをレンズバレルなどに組み込んでも光軸がずれてしまうことを未然に防止できる。

　第２の発明によると，第２の側面の表面粗さよりも表面粗さの小さい第１の側面の少なくとも一部がレンズバレルの内周面に接しており，かつ第２の側面がレンズバレルの内周面から離間しているので，光学レンズが組み込まれたレンズユニットの光軸ずれは起きにくい。

　第３の発明においても，第２の側面の表面粗さよりも表面粗さの小さい第１の側面の少なくとも一部が他の光学レンズと接しており，かつ第２の側面が他のレンズから離間しているので，レンズバレルを介さずに光学レンズ同士で位置決めをする場合であっても，光学レンズが組み込まれたレンズユニットの光軸ずれが起きにくい。

　第４の発明においても，第２の側面の表面粗さよりも表面粗さの小さい第１の側面の少なくとも一部が他の光学レンズと接しており，かつ第２の側面が他のレンズから離間しているので，レンズバレルを介さずに間隔環と位置決めする場合であっても，光学レンズが組み込まれたレンズユニットの光軸ずれが起きにくい。

　第５の発明においても，光軸ずれの起きにくい撮像装置を得ることができる。

　第６の発明によると，フランジ部の側面をレンズバレルの内周面などに接しさせ，薄肉部の切断面をレンズバレルの内周面などから離間させることにより，薄肉部の切断面が粗くとも，フランジ部の側面の粗さが粗くなければ，光学レンズをレンズバレルなどに組み込んだ場合に光軸ずれを未然に防止できる。フランジ部はレンズアレイウエハの成形時に一体成形できるから，比較的正確に成形できるので，フランジ部の側面がレンズバレルの内周面などに接していても光軸ずれを未然に防止できる。

レンズアレイウエハの斜視図である。 図１のＩＩ－ＩＩ線に沿う端面図である。 図２の一部拡大図である。 レーザーにより光学レンズを製造している様子を示している。 レンズアレイウエハから光学レンズが製造された様子を示している。 光学レンズの側面図である。 光学レンズの側面図の一部である。 レンズユニットの断面図である。 レンズユニットの一部端面図である。 レンズユニットの一部端面図である。 レンズユニットの一部端面図である。 レンズユニットの一部端面図である。 撮像モジュールの断面図である。 スマートフォンの斜視図である。

　図１および図２は，レンズアレイウエハ１の一例を示すものである。図１は，レンズアレイウエハ１の斜視図，図２は，図１のII－II線に沿う端面図である，図３は，図２の一部拡大図である。

　レンズアレイウエハ１は，紫外線硬化樹脂により生成されている。レンズアレイウエハ１には，一方の面２Ａから突出した光学的機能（入射光の集光機能，レンズ機能）を有する光学的機能部（撮像モジュール等に組み込まれた場合に光を通過させる部分）３が複数形成されている。また，光学的機能部３は，レンズアレイウエハ１の他方の面２Ｂにも複数形成されている。この実施例では，光学的機能部３は，面２Ａおよび２Ｂから突出しているが，凹んでいてもよい。また，レンズアレイウエハ１の両面２Ａおよび２Ｂに光学的機能部３が形成されているが，面２Ａおよび２Ｂの少なくとも一方の面に光学的機能部３が形成されていてもよい。

　図２および図３を参照して，光学的機能部３の外周部には全周にわたってフランジ部４が形成されている。さらにフランジ部４の外周部にはフランジ部４の厚さよりも薄い薄肉部６が形成されている。

　図１から図３に示すレンズアレイウエハ１の成形型に紫外線硬化樹脂が滴下され，硬化させられることにより，光学的機能部３，フランジ部４および薄肉部６をもつレンズアレイウエハ１が成形される。レンズアレイウエハ１は紫外線硬化樹脂に限らず，特定の波長の光が照射されることにより硬化する光硬化樹脂を利用することもできる。

　図４は，レンズアレイウエハ１が切断される様子を示している。

　この実施例では，レンズアレイウエハ１の光軸方向（光学的機能部３の光軸方向，レンズアレイウエハ１の上方，下方）に設置されているレーザーＬから出射されるレーザー光Ｌ１を用いて薄肉部６が切断される。これにより，図５に示すように，光学的機能部３（光学レンズ）が個片化され，レンズアレイウエハ１から複数の光学レンズ10が製造される光学レンズ10は，この実施例では，図５に示すように薄肉部６が切断されていない状態で，フランジ部４の全周にわたって遮光部７が形成されているが（薄肉部６には遮光部７は形成されていない），薄肉部６の切断後に遮光部７が形成されるようにしてもよい。

　図６は，光学レンズ10の側面図であり，レーザーＬも図示されている。

　光学レンズ10は，光学的機能部３，フランジ部４，第１の側面５Ａおよび光学レンズ10の光軸７に平行な第２の側面６Ａを有するものとなる。第２の側面６Ａは，全周にわたって第１の側面５Ａよりも光学レンズ10の外周方向（径方向）ｒに突出している。

　また，第１の側面５Ａは成形型により一体成形されているが，第２の側面６ＡはレーザーＬにより切断されるから，第１の側面５Ａの表面粗さは，第２の側面６Ａの表面粗さよりも小さい。表面粗さは，第１の側面５Ａおよび第２の側面６Ａの全周の平均粗さであり，両者の粗さに大きな差があれば，光沢度合いを目視で確認可能であり，両者の粗さの差が小さい場合には接触式の表面粗さ計を用いて測定して判断することができる。

　上述したように，レンズアレイウエハ１の光軸方向（光学的機能部３の光軸方向）に設置されているレーザーＬを用いてレーザー光の軌跡が円錐となるように薄肉部６が切断されるから，第２の側面６Ａと光軸Ｌとのなす角θは０とはならない（最大10度程度のなす角が生じる）。本願発明においては，第２の側面６Ａに平行な面と光軸Ｌとのなす角θは10度未満であれば，第２の側面６Ａは光軸７に平行とみなす。

　図７は，光学レンズ10の一例を示すもので側面図である。

　図７に示す例では第１の側面５Ａは，光軸７と平行ではなく傾いている。このように，光軸Ｌと第１の側面５Ａとは平行でも平行でなくともよい。光軸Ｌと第１の側面５Ａとのなす角は45度以上でもよい。

　図８は，レンズユニット20の一例を示すものであり，断面図である。図９は，レンズユニット20の一部を図８に対して拡大して示す端面図である。

　レンズユニット20には，上述のようにして得られた複数の光学レンズ10から15と，円筒状のレンズバレル30とが含まれている。なお，本実施例では光学レンズは複数含まれているが，上述にようにして得られた光学レンズは１枚であってもかまわない。

　主として図９を参照して，光学レンズ10の第１の側面５Ａとレンズバレル30の内周面31とは接しているが，光学レンズ10の第２の側面６Ａはレンズバレル30の内周面31から離間している。第２の側面６Ａとレンズバレル30の内周面31との間には空間32が形成されている。光学レンズ10だけでなく，他の光学レンズ11から14についても同様である。

　第２の側面６Ａの表面粗さは，第１の側面５Ａの表面粗さよりも大きいが，第２の側面６Ａはレンズバレル30の内周面31からは離間しており，表面粗さの小さい第１の側面５Ａがレンズバレル30の内周面31に接しているので，光軸の一致したレンズユニット20が得られる。

　図10は，他の実施例を示すもので，レンズユニット20Ａの一部を示す端面図である。

　レンズユニット20Ａには，上述のようにして得られた光学レンズ10と，その光学レンズ10以外の他の光学レンズ16とが含まれている。光学レンズ10の第１の側面５Ａの少なくとも一部と光学レンズ16の面16Ａとが接している。また，光学レンズ10の第２の側面６Ａと他の光学レンズ16とは離間している。例えば，第１の側面５Ａと光学的機能部３の光軸とのなす角は20度程度であり，光学レンズ10と他の光学レンズ16とが嵌め合われている。このようにレンズバレル30を使用せずにレンズ同士を位置決めすることもできる。２枚の光学レンズ10および16だけでなく，３枚以上の光学レンズを組み合わせてもよい。

　図11は，さらに他の実施例を示すもので，レンズユニット20Ｂの一部を示す端面図である。

　レンズユニット20Ｂには，上述のようにして得られた光学レンズ10と，第１の側面５Ａの径とほぼ同じ径をもつ間隔環35と，が含まれている。また，光学レンズ16もレンズユニット20Ｂに含まれている。

　光学レンズ10の第１の側面５Ａは間隔環35の第１の面35Ａと接している。光学レンズ10の第２の側面６Ａは間隔環35から離間している。他のレンズ16の面16Ｂは，間隔環35の第２の面35Ｂと接している。光学レンズ10と他の光学レンズ16との間には間隔環35があり，光学レンズ10と他の光学レンズ16とは離間している。

　このように，レンズ同士を嵌合させるのではなく，間隔環35を利用してレンズ同士の間隔を規定することもできる。

　図12は，変形例を示すもので，レンズユニット20Ｃの一部端面図である。

　この変形例では，光学レンズ10の第１の側面５Ａの少なくとも一部がレンズバレル30の内周面31の光軸方向の端部33と接している。第２の側面６Ａはレンズバレル30から離間している。このように，第２の側面６Ａよりも径方向にレンズバレル30が存在していなくともよい。

　図13は，さらに他の実施例を示すもので，撮像モジュール40の断面図である。

　撮像モジュール40には，レンズユニット20および撮像装置42が含まれている。撮像装置42は光学レンズ10などを通して被写体を撮像するものである。レンズユニット20以外の他のレンズユニット20Ａから20Ｃが利用されてもよい。レンズユニット20および撮像装置42はレンズ鏡筒41によって固定されている。このような撮像モジュール40を作成することもできる。

　図14は，上述した撮像モジュール40を備えた電子機器（スマートフォン）50の斜視図である。

　スマートフォン50には，撮像モジュール40によって撮像するための開口51が開けられている。この開口51から被写体を撮像するように，開口51の裏側に図13に示した撮像モジュール40がスマートフォン50に内蔵されている。スマートフォン50には，表示画面52およびボタン53も形成されている。

　上述した撮像モジュール40はスマートフォンだけでなく，フューチャーフォンのような携帯電話，タブレット端末，眼鏡型端末，腕時計型端末などの電子機器に設けられてもよい。

１　レンズアレイウエハ
３　光学機能部
４　フランジ部
５Ａ　第１の側面
６　薄肉部
６Ａ　第２の側面
７　光軸
10　光学レンズ
16　他の光学レンズ
20，20Ａ，20Ｂ，20Ｃ　レンズユニット
30　レンズバレル
31　レンズバレルの端部
32　空間
35　間隔環
40　撮像モジュール
42　撮像装置
50　スマートフォン（電子機器）
Ｌ　レーザー

Claims (10)

1. 　第１の側面と光軸に平行な第２の側面とを有する光学レンズであって，
   　上記第２の側面は，全周に渡って上記第１の側面より上記光学レンズの外周方向に突出しており，
   　上記第１の側面の表面粗さは上記第２の側面の表面粗さよりも小さい光学レンズ。
2. 　請求項１記載の光学レンズとレンズバレルとを有するレンズユニットであって，
   　上記第１の側面の少なくとも一部が，上記レンズバレルの内周面に接しており，かつ上記第２の側面が上記内周面から離間している，
   　レンズユニット。
3. 　請求項１記載の光学レンズと上記光学レンズ以外の他の光学レンズとを有するレンズユニットであって，
   　上記第１の側面の少なくとも一部が上記他の光学レンズと接しており，かつ上記第２の側面が上記他のレンズから離間している，
   　レンズユニット。
4. 　請求項１記載の光学レンズと間隔環とを有するレンズユニットであって，
   　上記第１の側面の少なくとも一部が上記間隔環と接しており，かつ上記第２の側面が上記間隔環から離間している，
   　レンズユニット。
5. 　上記第１の側面の少なくとも一部が上記レンズバレル内周面の光軸方向の端部と接している，
   　請求項２に記載のレンズユニット。
6. 　上記第２の側面と上記レンズバレルの内周面との間に空間が形成されている，
   　請求項２に記載のレンズユニット。
7. 　請求項２から6のうち，いずれか一項に記載のレンズユニット，および
   　上記光学レンズを通して被写体像を撮像する撮像装置，
   　を備えた撮像モジュール。
8. 　請求項7に記載の撮像モジュールを備えた電子機器。
9. 　光学的機能を有する光学的機能部が複数配列されているレンズアレイウエハから光学レンズを個片化して光学レンズを製造する方法において，
   　上記光学的機能部の外周部に，フランジ部が形成されており，上記フランジ部のさらに外周部に上記フランジ部の厚さよりも薄くなっている薄肉部が形成されており，
   　上記薄肉部を切断することにより上記光学レンズを個片化して光学レンズを製造する方法。
10. 　レーザー光を用いて上記薄肉部を切断するものである，請求項９に記載の光学レンズを製造する方法。

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