WO2015037309A1

WO2015037309A1 - ワイパブレード及びワイパブレードの製造方法

Info

Publication number: WO2015037309A1
Application number: PCT/JP2014/067395
Authority: WO
Inventors: 貴生義本; 真裕太田
Original assignee: アスモ株式会社
Priority date: 2013-09-11
Filing date: 2014-06-30
Publication date: 2015-03-19
Also published as: US9981636B2; US20160001745A1; CN104995067A; DE112014004175T5; US20170217408A1; CN104995067B; US10710555B2

Abstract

　ワイパブレードは、長手方向に沿って延び、ブレードラバーと、板ばね状のバッキングと、ラバーホルダとを含む。ブレードラバーは払拭面を払拭する。バッキングは、ブレードラバーに剛性と弾性を付与する。ラバーホルダは、長手方向におけるブレードラバーの中間部及び長手方向におけるバッキングの中間部を保持する。ラバーホルダはバッキングを収容及び保持するバッキング収容孔を有している。バッキング収容孔は長手方向に沿ってラバーホルダを貫通している。長手方向におけるバッキング収容孔の中央部にはパーティングラインが設定されている。

Description

ワイパブレード及びワイパブレードの製造方法

　本発明は、車両用のワイパに係り、ワイパブレード及びワイパブレードの製造方法に関する。

　従来から車両用のワイパは、ワイパアームとワイパアームに連結されるワイパブレードからなる。そして、ワイパブレードとしては、ブレードラバーの長手方向中間部及びバッキングの長手方向中間部を保持する連結レバーを備えたものがある（例えば、特許文献１参照）。この連結レバーは、樹脂材よりなり、バッキングの長手方向に沿って貫通し、該バッキングを包囲するようにして収容保持している。

特開２０１３－６３６７４号公報

　ところで、上記のような連結レバーは、一般的に射出成形にて製造される。そして、上記バッキングが収容される部分を成形する際は、型（スライドコア）を抜きやすくするために、一般的にバッキングが収容される部分の長手方向一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されるように射出成形が行われる。

　しかしながら、上記のように抜き勾配が形成された連結レバーでは、連結されるワイパアームからの付勢力がバッキングの長手方向の片側に偏って伝達され易くなり、それによって払拭性が悪化するという虞がある。

　本発明の目的は、ワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向に均等に伝達し易くなり、払拭性を良好とすることができるワイパブレード及びラバーホルダの製造方法を提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明の一態様にかかるワイパブレードは、長手方向に沿って延び、ブレードラバーと、板ばね状のバッキングと、ラバーホルダとを含む。前記ブレードラバーは払拭面を払拭する。前記バッキングは、前記ブレードラバーに剛性と弾性を付与する。前記ラバーホルダは、前記長手方向における前記ブレードラバーの中間部及び前記長手方向における前記バッキングの中間部を保持する。前記ラバーホルダは前記バッキングを収容及び保持するバッキング収容孔を有している。前記バッキング収容孔は前記長手方向に沿って前記ラバーホルダを貫通している。前記長手方向における前記バッキング収容孔の中央部にはパーティングラインが設定されている。

本発明の一実施の形態にかかるワイパの斜視図。図１のワイパの一部分解斜視図。一実施の形態におけるラバーホルダとバッキングとブレードラバーの組み付け状態を説明するための正面図。図２のラバーホルダとクリップの斜視図。図４のラバーホルダの正面図。図５のＡ－Ａ線に沿った断面図。一実施の形態における抜き勾配及びラバー側抜き勾配を説明するための模式図。別例における抜き勾配及びラバー側抜き勾配を説明するための模式図。一実施形態におけるワイパブレードの断面図。

　以下、車両用のワイパの一実施の形態を図１～図９に従って説明する。「長手方向」は特に説明がない限りワイパブレード３の長手方向を指す。ブレードラバー１１、バッキング１２、ラバーホルダ１３等の長手方向は、ワイパブレード３の長手方向と実質的に同じ方向を指す。

　図１に示すように、車両用のワイパ１は、自動車の払拭面としてのフロントガラスに付着した雨滴等を払拭するためのものであって、ワイパアーム２と、該ワイパアーム２に連結されるワイパブレード３とから構成されている。尚、図中、ワイパアーム２は、その先端部のみ図示している。ワイパアーム２は、その基端部がワイパモータ（図示略）の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸（図示略）に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。尚、このワイパアーム２は、図示しない付勢機構により、その先端連結部４がフロントガラス（払拭面）側に付勢される。そして、そのワイパアーム２の先端連結部４には、ワイパブレード３が連結される。

　図２及び図３に示すように、ワイパブレード３は、払拭面（フロントガラス）を払拭するための長尺状のブレードラバー１１と、該ブレードラバー１１に剛性（主にワイパブレード３の払拭方向の剛性である横剛性）と弾性（主にブレードラバー１１の払拭面方向への弾性である縦弾性）を付与するための板ばね状のバッキング１２と、該ブレードラバー１１の上部１１ａの長手方向における中間部及びバッキング１２の長手方向における中間部を保持するラバーホルダ１３とを備える。又、ブレードラバー１１の上部１１ａ及びバッキング１２においてラバーホルダ１３から突出する長手方向両側は一対の軟質のケース１４に覆われ、更に両端部はキャップ１５（図１参照）に覆われている。バッキング１２は、ブレードラバー１１と略同じ長さに形成されるとともにブレードラバー１１よりも幅が広く形成され、側方から見て湾曲（払拭面と反対側に凸となって長手方向に湾曲）して形成されている。これにより、バッキング１２は、ワイパブレード３が曲面状の払拭面（フロントガラス）側に付勢された際に、ブレードラバー１１の下端の払拭部１１ｂを払拭面（フロントガラス）に良好に押圧接触させる。又、この際にバッキング１２の作用を阻害しないようにワイパケース１４は、軟質の樹脂材やゴム材により構成されている。

　又、図２に示すように、ワイパブレード３は、ラバーホルダ１３に対してブレードラバー１１の幅方向に沿った軸心回りで回動可能に連結されるワイパアーム連結部材としてのクリップ１６を備える。詳しくは、前記ラバーホルダ１３は、樹脂材よりなり、長手方向の中央部であって上下方向の中央部に、幅方向に貫通する支持部としての軸挿通孔１３ａが形成されている。又、クリップ１６は、樹脂材よりなり、ラバーホルダ１３の両側面に沿って延びる一対の側壁１６ａと、それら側壁１６ａの上端を繋ぐとともにラバーホルダ１３の上面に沿って延びる上壁１６ｂと、各側壁１６ａの内側面から同軸状に突出し軸挿通孔１３ａに挿入されてラバーホルダ１３に対してクリップ１６を回動可能に支持する支持軸１６ｃとを有する。

　そして、前記クリップ１６には、ワイパアーム２の先端連結部４が嵌着される。
　ここで、前記ラバーホルダ１３がバッキング１２及びブレードラバー１１の上部１１ａを保持する構成について詳述する。

　図３～図６に示すように、ラバーホルダ１３の下部には、該バッキング１２を包囲することで収容保持するバッキング収容孔１３ｂが形成されている。バッキング収容孔１３ｂは長手方向に沿ってラバーホルダ１３を貫通している。

　又、ラバーホルダ１３の下部には、ブレードラバー１１の上部１１ａを包囲することで収容保持するブレードラバー収容孔１３ｃが形成されている。ブレードラバー収容孔１３ｃはバッキング収容孔１３ｂから下方に離間した位置に設けられている。ブレードラバー収容孔１３ｃは長手方向に沿ってラバーホルダ１３を貫通している。ブレードラバー収容孔１３ｃの幅方向中央はラバーホルダ１３の下部において開口している。尚、本実施形態のブレードラバー１１の上部１１ａの幅はバッキング１２の幅よりも小さいことからバッキング収容孔１３ｂの幅よりもブレードラバー収容孔１３ｃの幅の方が狭く形成されている。

　ラバーホルダ１３はバッキング収容孔１３ｂとブレードラバー収容孔１３ｃとの間に位置する壁部１３ｄを有している。壁部１３ｄには、該壁部１３ｄの一部を上下に貫通する貫通部１３ｅが形成されている。本実施形態の貫通部１３ｅは、前記壁部１３ｄの幅方向の中央に位置するとともに長手方向における壁部１３ｄの全域に延びている。

　そして、図７に示すように、前記バッキング収容孔１３ｂには、抜き勾配１３ｆ，１３ｇが形成されている。このバッキング収容孔１３ｂの長手方向中央部には、後述する射出成型の成形金型を構成するスライドコア２１，２２の合せ面が位置し、ここにパーティングラインＰ１（図６参照）が設定される。そして、抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、長手方向におけるバッキング収容孔１３ｂの中央部の両側に位置する。抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、バッキング収容孔１３ｂの中央部の両側からそれぞれ外側に向かって下り勾配で延びている。本実施形態では、パーティングラインＰ１がバッキング収容孔１３ｂの長手方向における前記軸挿通孔１３ａと対応した範囲Ｗ１内に設定されている。抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、範囲Ｗ１内から長手方向両側に向かって、すなわち外側に向かってそれぞれ延びている。より詳しくは、本実施形態のパーティングラインＰ１は軸挿通孔１３ａの軸心Ｘと対応した（真下の）位置に設定されている。そして、抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、長手方向において軸心Ｘと対応した（真下の）位置から長手方向両側に向かってそれぞれ延びている。尚、本実施形態では、軸心Ｘと対応した（真下の）位置は、長手方向におけるバッキング収容孔１３ｂの中心位置と一致している。又、本実施形態の各抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、側方から見て長手方向に沿った直線に対して傾斜した直線状に形成されている。

　又、前記ブレードラバー収容孔１３ｃには、ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉが形成されている。このブレードラバー収容孔１３ｃの長手方向中央部にもバッキング収容孔１３ｂと同様に、射出成型の成形型を構成するスライドコア２１，２２の合せ面が位置し、ここにラバー側パーティングラインＰ２（図６参照）が設定される。そして、ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉは、長手方向におけるブレードラバー収容孔１３ｃの中央部の両側に位置する。ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉは、ブレードラバー収容孔１３ｃの中央部の両側からそれぞれ外側に向かって下り勾配で延びている。本実施形態では、ラバー側パーティングラインＰ２がバッキング収容孔１３ｂのパーティングラインＰ１同様、長手方向における軸挿通孔１３ａと対応した範囲Ｗ１内に設定されている。ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉは、長手方向においてブレードラバー収容孔１３ｃの軸心Ｘと対応した（真下の）位置から長手方向両側に向かって、すなわち外側に向かってそれぞれ形成されている。尚、図７では、前記抜き勾配１３ｆ，１３ｇ及びラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉを視覚的に分かり易くするために、その勾配角度（長手方向に沿った直線に対する角度）を誇張して図示している。

　次に、上記したラバーホルダ１３の製造方法について説明する。
　ラバーホルダ１３の製造方法において、バッキング収容孔１３ｂは射出成形によって成形される。この射出成形によって、長手方向におけるバッキング収容孔１３ｂの中央部の両側に前記抜き勾配１３ｆ，１３ｇが形成される。抜き勾配１３ｆ，１３ｇは前述したように外側に向かってそれぞれ下り勾配となる。本実施形態の射出成形工程では、同時に前記ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉも形成される。

　即ち、図７に示すように、この射出成形工程では、一対のスライドコア２１，２２を用いている。一方（図７中、左方）のスライドコア２１は、バッキング収容孔１３ｂ及びブレードラバー収容孔１３ｃの長手方向の中央部から一方の抜き勾配１３ｆ及びラバー側抜き勾配１３ｈを成形すべく側方から見て他方（図７中、右方）に先細に延びる第１及び第２突出部２１ａ，２１ｂを有している。又、他方（図７中、右方）のスライドコア２２は、バッキング収容孔１３ｂ及びブレードラバー収容孔１３ｃの長手方向の中間部から他方の抜き勾配１３ｇ及びラバー側抜き勾配１３ｉを成形すべく側方から見て一方（図７中、左方）に先細に延びる第１及び第２突出部２２ａ，２２ｂを有している。

　そして、これらスライドコア２１，２２を当接させた状態で溶融樹脂を金型内に充填して、溶融樹脂の硬化後にスライドコア２１，２２を互いに離間させることで、前記バッキング収容孔１３ｂ及びブレードラバー収容孔１３ｃを有するラバーホルダ１３を製造する。

　次に、前記ワイパケース１４の構成について詳述する。
　図９に示すように、まずブレードラバー１１は、上部１１ａに位置するヘッド部１１ｃと、上部１１ａに位置するとともにヘッド部１１ｃよりも幅が小さく下方に延びる幅狭部１１ｄと、下部に位置するとともに払拭面を払拭するための前記払拭部１１ｂと、払拭部１１ｂを上部１１ａに対して傾倒可能に連結するネック部１１ｅとを含んでいる。

　そして、ワイパケース１４は、軟質の樹脂材（本実施形態では、ポリプロピレン）よりなり、ブレードラバー１１の上部１１ａ（ヘッド部１１ｃ）とバッキング１２とを保持するケース本体４１と、ゴム材又はエラストマーよりなり、ケース本体４１の上部に固着されたフィン部材４２とを有する。

　ケース本体４１は、バッキング１２を収容保持する略四角筒状の筒部４１ａと、筒部４１ａから下方に延びてヘッド部１１ｃの前後の両側方を覆う一対の下延部４１ｂと、一対の下延部４１ｂの下端からそれぞれ幅方向内側（互いに近づく側）に延びる爪部４１ｃとを有する。爪部４１ｃは、ヘッド部１１ｃの下面と対向してヘッド部１１ｃを把持する。

　そして、下延部４１ｂの各々は、該下延部４１ｂの基端側に位置する肉厚部４１ｄを有している。詳細には、肉厚部４１ｄは、ワイパケース１４の幅方向におけるワイパケース１４の外側の部位であって、ワイパケース１４の幅方向において爪部４１ｃよりも外側に位置している。肉厚部４１ｄにおける幅方向（図９中、左右方向）の厚みＡ１，Ａ２は、バッキング１２とヘッド部１１ｃとの間に位置する筒部４１ａの部位の（高さ方向の）厚みＺよりも厚い。言い換えると、肉厚部４１ｄは、下延部４１ｂが該下延部４１ｂの基端部（筒部４１ａとの連結部分であって上端部）を基点として爪部４１ｃ間が開くように撓むことを抑える。又、本実施形態の肉厚部４１ｄは、上方に向かうほど肉厚部４１ｄの幅が広がるように傾斜した傾斜面４１ｅを有している。詳細には、ケース本体４１の長手方向直交方向断面（図９参照）において、筒部４１ａの下壁部４１ｇの下面を通る直線がケース本体４１の前方外面と交差する点を前縁Ｋ、後方外面と交差する点を後縁Ｑとし、これら筒部４１ａの前縁Ｋ及び後縁Ｑからそれぞれ爪部４１ｃの根元部を結ぶ各線分Ｖ、Ｙの幅方向内側を上記軟質の樹脂材にて中実状に充填して肉厚部４１ｄを形成した下延部４１ｂを構成している。このときの肉厚部４１ｄの各線分Ｖ、Ｙに略沿った面が傾斜面４１ｅを形成している。

　又、本実施形態では、筒部４１ａの幅方向中心線Ｌ１が爪部４１ｃ同士の間の幅方向中心線Ｌ２に対して車両後方側（図９中、右側）にオフセットされている。即ち、本実施形態ではバッキング１２の幅方向中心線Ｌ１がブレードラバー１１の幅方向中心線Ｌ２に対して車両後方側（図９中、右側）となるように、バッキング１２及びブレードラバー１１が保持されている。

　又、筒部４１ａにおいて、車両前方側（図９中、左側）には、車両前方側に向かって下方に傾斜した本体フィン部４１ｆが形成されている。本実施形態における本体フィン部４１ｆは、下延部４１ｂの上下方向中間位置まで延長されて形成されている。

　フィン部材４２は、前記本体フィン部４１ｆを除いて前記筒部４１ａの上面に固着され車両後方側に向かって上方に傾斜したフィン傾斜部４２ａと、車両後端部で上方に突出した突出部４２ｂとを有する。

　前記本体フィン部４１ｆ、フィン傾斜部４２ａ及び突出部４２ｂは、車両走行時の走行風を払拭面側（下側）への押圧力に変換するように作用する。
　次に、上記のように構成されたワイパ１の作用について説明する。

　上記ワイパ１では、ワイパアーム２とその先端連結部４に固定されたクリップ１６に対して（クリップ１６を除く）ワイパブレード３が回動可能とされる。そして、ワイパアーム２の先端連結部４が図示しない付勢機構によりフロントガラス（払拭面）側に付勢されることで、その付勢力がクリップ１６、ラバーホルダ１３、バッキング１２を介してブレードラバー１１に伝達されて、ブレードラバー１１の下端の払拭部１１ｂが長手方向全長に亘ってフロントガラス（払拭面）に押圧接触される。この際、ワイパケース１４は軟質であるため、湾曲したバッキング１２の作用は阻害されない。そして、ワイパアーム２がピボット軸心回りに往復回動されると払拭動作が行われる。

　次に、上記実施形態の特徴的な利点を以下に記載する。
　（１）長手方向におけるバッキング収容孔１３ｂの中央部にはパーティングラインＰ１が設定される。そのため、長手方向一端にパーティングラインを設定した場合に比べて、その抜き勾配によるバッキング収容孔１３ｂとバッキング１２との隙間Ｓは、長手方向一端側と他端側とでその差を小さくできる。したがって、バッキング１２を長手方向に均等に支持し易くなる。よって、連結されるワイパアーム２からの付勢力をバッキング１２の長手方向に均等に伝達し易くなり、良好な払拭性を得ることができる。又、長手方向一端にパーティングラインを設定して一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されたものに比べて、バッキング収容孔１３ｂの最大の高さ方向の幅Ｈを小さくすることができ、例えば、壁部１３ｄの厚さを薄くすることができることから、ラバーホルダ１３の高さ方向のサイズの小型化をも図ることが可能となる。

　（２）パーティングラインＰ１は、長手方向における軸挿通孔１３ａと対応した範囲Ｗ１内に設定される。バッキング収容孔１３ｂは、長手方向におけるバッキング収容孔１３ｂの中央部の両側に位置する抜き勾配１３ｆ，１３ｇを有している。該抜き勾配１３ｆ，１３ｇはバッキング収容孔１３ｂの中央部からそれぞれ外側に向かって延びている。そのため、軸挿通孔１３ａと対応した範囲Ｗ１に設定されたパーティングラインＰ１位置におけるバッキング収容孔１３ｂとバッキング１２との間の隙間Ｓが最も小さくなり、クリップ１６を介して連結されるワイパアーム２からの付勢力をバッキング１２の長手方向により均等に伝達し易くなり、払拭性をより良好とすることができる。更に、本実施形態の抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、長手方向における軸挿通孔１３ａの軸心Ｘと対応した（真下の）バッキング収容孔１３ｂの位置から長手方向における両側に向かってそれぞれ延びている。そのため、軸挿通孔１３ａの軸心Ｘと対応した（真下の）位置ではバッキング収容孔１３ｂとバッキング１２との間の隙間Ｓが最も小さくなる。したがって、クリップ１６を介して連結されるワイパアーム２からの付勢力をバッキング１２の長手方向に更に均等に伝達し易くなり、払拭性を更に良好とすることができる。

　（３）長手方向におけるブレードラバー収容孔１３ｃの中央部にはラバー側パーティングラインＰ２が設定される。そのため、ブレードラバー収容孔１３ｃの長手方向の中央部から長手方向両側に向かってそれぞれラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉが形成される。そのため、長手方向一端にラバー側パーティングラインを設定した場合に比べて、ブレードラバー収容孔１３ｃの最大の高さ方向の幅を小さくすることができる。その結果、例えば、壁部１３ｄの厚さを薄くすることができることから、ラバーホルダ１３の高さ方向のサイズの小型化を図ることが可能となる。

　（４）ラバーホルダ１３はバッキング収容孔１３ｂとブレードラバー収容孔１３ｃとの間に位置する壁部１３ｄを有している。壁部１３ｄには、該壁部１３ｄの一部を上下に貫通する貫通部１３ｅが形成されている。そのため、貫通部１３ｅが形成されていないものに比べて、壁部１３ｄを容易に薄く成形することができる。即ち、貫通部１３ｅが形成されない場合では、成形時にその壁部全体に樹脂が回り込むようにするために薄型化の設計が困難となるが、貫通部１３ｅを設けることで樹脂を回り込ませる範囲（距離）を小さくすることができるので、薄型化が可能となる。

　（５）貫通部１３ｅは、前記壁部１３ｄの幅方向の中央に位置するとともに長手方向における壁部１３ｄの全域に延びている。そのため、壁部１３ｄの幅方向両側でブレードラバー１１の上部１１ａを良好に押圧することが可能な構成としながら、樹脂を回り込ませる範囲（距離）を極力小さくすることができる。よって、より薄型化が可能となる。

　（６）下延部４１ｂの各々は、下延部４１ｂの基端側に位置する肉厚部４１ｄを有している。肉厚部４１ｄにおける幅方向の厚みＡ１，Ａ２は、バッキング１２とヘッド部１１ｃとの間に位置する筒部４１ａの部位の厚みＺよりも厚い。そのため、例えば、肉厚部４１ｄを有さない場合（例えば、払拭面への湾曲追従を考慮して全ての箇所で肉厚が同じ薄肉で一様とした従来技術）に比べて、広がり難くなり、ブレードラバー１１が脱落し難くなる。即ち、肉厚部４１ｄを有さない場合（例えば、全ての箇所で肉厚が同じ薄肉で一様とした従来技術）では、下延部が基端部（上部）を基点として爪部４１ｃ間が開くように撓み易く、ひいては爪部４１ｃ間が広がり易くなるが、これを抑えることができ、例えば、払拭時等にブレードラバー１１に大きな摩擦力が掛かった場合や寒冷地でブレードラバー１１が払拭面に貼り付いている状態でワイパをロックバックさせようとした場合に、ブレードラバー１１のワイパケース１４からの脱落を抑制することができる。

　（７）肉厚部４１ｄは、上方に向かうほど幅が広がるように傾斜した傾斜面４１ｅを有する。そのため、下延部４１ｂの撓みの基点となる基端部（上部）ほど剛性を強くすることができるとともに、例えば払拭時等にワイパブレード３と共にワイパケース１４全体が払拭面に対して傾いた際でもワイパケース１４が払拭面に接触してしまうことを抑えることができる。

　（８）筒部４１ａの幅方向中心線Ｌ１が爪部４１ｃ同士の間の幅方向中心線Ｌ２に対して車両後方側にオフセットされる。そのため、筒部４１ａの車両前方側への張り出し量を小さくすることが可能となる。その結果、前方側に張り出したワイパケース１４の払拭面側（下側）の空間の走行風による圧力の高まりを抑えることが可能となり、払拭面からの浮き上がりを抑制することができる。

　上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
　・上記実施形態では、各抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、側方から見て長手方向に沿った直線に対して傾斜した直線状に形成されるとしたが、これに限定されず、ラバーホルダ１３の離型をスムーズにすることが可能な形状であれば、他の形状の抜き勾配としてもよい。

　例えば、図８に示すように、側方から見てパーティングラインから長手方向外側に向けて下り勾配の湾曲した抜き勾配３１，３２に変更してもよい。又、この例（図８参照）では、上記実施形態のラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉも、側方から見てラバー側パーティングラインから長手方向外側に向けて下り勾配の湾曲したラバー側抜き勾配３３，３４に変更されている。尚、この場合、勿論、製造方法で使用する上記実施形態のスライドコア２１，２２は、前記抜き勾配３１，３２及びラバー側抜き勾配３３，３４に対応した形状のスライドコア３５，３６に変更する。

　・上記実施形態では、抜き勾配１３ｆ，１３ｇは、長手方向における軸挿通孔１３ａの軸心Ｘと対応した（真下の）位置から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるとしたが、これに限定されず、バッキング収容孔１３ｂの長手方向の中央部の他の位置から長手方向両側における外側に向かってそれぞれ形成してもよい。この場合、抜き勾配は、長手方向における軸挿通孔１３ａと対応した範囲Ｗ１内から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されることが好ましい。また、上記実施形態では、パーティングラインＰ１から抜き勾配１３ｆ，１３ｇを形成したが、抜き勾配１３ｆ，１３ｇの始点位置はパーティングラインＰ１と一致していなくてもよい。

　・上記実施形態では、ラバー側抜き勾配１３ｈ，１３ｉは、長手方向における軸挿通孔１３ａの軸心Ｘと対応した（真下の）位置に設定されたラバー側パーティングラインＰ２から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるとしたが、これに限定されず、ブレードラバー収容孔１３ｃの長手方向中央部の他の位置から長手方向両側における外側に向かってそれぞれ形成してもよい。

　・上記実施形態では、バッキング収容孔１３ｂとブレードラバー収容孔１３ｃとの間の壁部１３ｄの一部に上下に貫通する貫通部１３ｅが形成されるとしたが、これに限定されず、貫通部１３ｅが形成されていない構成に変更してもよい。又、上記実施形態では、ブレードラバー収容孔１３ｃは、バッキング収容孔１３ｂの下方に離間して形成されることで前記壁部１３ｄが形成される構成としたが、これに限定されず、ブレードラバー収容孔がバッキング収容孔の下方に離間せずに連続して形成された構成に変更してもよい。この場合、壁部１３ｄは形成されず、ブレードラバー１１の上部１１ａはバッキング１２と当接されることになる。

　・上記実施形態では、貫通部１３ｅは、前記壁部１３ｄの幅方向の中央で長手方向全域に形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、長手方向に断続的に複数形成する等、壁部１３ｄの他の一部に形成してもよい。

　・上記実施形態では、ラバーホルダの幅方向に沿って延びる軸心回りで回動可能にクリップ１６を支持する軸挿通孔１３ａをラバーホルダ１３側に設けて支持部としたが、ラバーホルダ１３側にクリップ（ワイパアーム連結部材）を支持する支持部としての軸を設けた構成としてもよい。

　・上記実施形態では、１つのバッキング１２であったが、ブレードラバー１１の上部１１ａにおける両側面にそれぞれ長手横溝を形成し、該長手横溝にそれぞれバッキングを収容するタイプの２つのバッキングを有するワイパブレードに適用しても良い。

　・上記実施形態では、肉厚部４１ｄは、上方に向かうほど幅が広がるように傾斜した傾斜面４１ｅを有するとしたが、これに限定されず、傾斜面４１ｅを有していない形状としてもよい。例えば、幅方向の厚みが一定で肉厚とした肉厚部としてもよい。

　・上記実施形態では、筒部４１ａの幅方向中心線Ｌ１が爪部４１ｃ同士の間の幅方向中心線Ｌ２に対して車両後方側にオフセットされた形状としたが、これに限定されず、例えば、筒部４１ａの幅方向中心線Ｌ１が爪部４１ｃ同士の間の幅方向中心線Ｌ２と一致した形状に変更してもよい。

　・上記実施形態では、ワイパケース１４は、フィン部材４２を有するとしたが、これに限定されず、フィン部材４２を有していない（ケース本体４１のみの）ものとしてもよい。

Claims

　長手方向に沿って延びるワイパブレードであって、
　払拭面を払拭するためのブレードラバーと、
　該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングと、
　前記長手方向における前記ブレードラバーの中間部及び前記長手方向における前記バッキングの中間部を保持するラバーホルダと、を備え、
　前記ラバーホルダは前記バッキングを収容及び保持するバッキング収容孔を有しており、
　該バッキング収容孔は前記長手方向に沿って前記ラバーホルダを貫通しており、
　前記長手方向における前記バッキング収容孔の中央部にはパーティングラインが設定されている、ワイパブレード。
　請求項１に記載のワイパブレードにおいて、
　前記ラバーホルダは、前記バッキング収容孔の前記中央部に対応する前記ラバーホルダの部位に設けられる支持部を有しており、
　前記支持部は、前記ラバーホルダの幅方向に沿って延びる軸心回りで回動可能にワイパアーム連結部材を支持し、
　前記ワイパアーム連結部材は、回動可能に前記ラバーホルダに連結され、
　前記パーティングラインは、前記長手方向における前記支持部と対応した範囲内に設定され、
　前記バッキング収容孔は、前記長手方向における前記バッキング収容孔の前記中央部の両側に位置する抜き勾配を有しており、
　該抜き勾配は前記バッキング収容孔の中央部からそれぞれ外側に向かって延びているワイパブレード。
　請求項２に記載のワイパブレードにおいて、
　前記抜き勾配は、前記長手方向における前記支持部の軸心と対応した前記バッキング収容孔の位置から前記長手方向における両側に向かってそれぞれ延びているワイパブレード。
　請求項１乃至３のいずれか１項に記載のワイパブレードにおいて、
　前記ラバーホルダは前記ブレードラバーの上部を収容及び保持するブレードラバー収容孔を有しており、
　該ブレードラバー収容孔は前記長手方向に沿って前記ラバーホルダを貫通しており、
　前記ブレードラバー収容孔の幅方向中央は前記ラバーホルダの下部において開口しており、
　前記長手方向における前記ブレードラバー収容孔の中央部にはラバー側パーティングラインが設定されているワイパブレード。
　請求項１乃至３のいずれか１項に記載のワイパブレードにおいて、
　前記ラバーホルダは前記ブレードラバーの上部を収容及び保持するブレードラバー収容孔を有しており、
　前記ブレードラバー収容孔は前記バッキング収容孔から下方に離間した位置に設けられており、
　前記ブレードラバー収容孔は前記長手方向に沿って前記ラバーホルダを貫通しており、
　前記ブレードラバー収容孔の幅方向中央は前記ラバーホルダの下部において開口しており、
　前記ラバーホルダは前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間に位置する壁部を有しており、
　前記壁部には、該壁部の一部を上下に貫通する貫通部が形成されているワイパブレード。
　請求項５に記載のワイパブレードにおいて、
　前記貫通部は、前記壁部の幅方向の中央に位置するとともに前記長手方向における前記壁部の全域に延びている、ワイパブレード。
　請求項１に記載のワイパブレードであって、
　前記ブレードラバーは、
　　上部に位置するヘッド部と、
　　前記上部に位置するとともに前記ヘッド部よりも幅が小さく下方に延びる幅狭部と、
　　下部に位置するとともに前記払拭面を払拭するための払拭部とを含み、
　前記ワイパブレードは、前記ブレードラバーの上方に位置するワイパケースをさらに備え、
　前記ワイパケースは、前記ブレードラバー及び前記バッキングを保持し、
　前記ワイパケースは、
　　前記バッキングを収容及び保持する筒部と、
　　前記筒部から下方に延びて前記ヘッド部の側方を覆う一対の下延部と、
　　前記一対の下延部の下端からそれぞれ幅方向内側に延びる爪部であって、該爪部は前記ヘッド部の下面と対向して前記ヘッド部を把持する、前記爪部と、を有し、
　前記下延部の各々は、該下延部の基端側に位置する肉厚部を有しており、
　該肉厚部における幅方向の厚みは、前記バッキングと前記ヘッド部との間に位置する前記筒部の部位の厚みよりも厚いワイパブレード。
　請求項７に記載のワイパブレードにおいて、
　前記肉厚部は、上方に向かうほど前記肉厚部の幅が広がるように傾斜した傾斜面を有するワイパブレード。
　請求項７又は８に記載のワイパブレードにおいて、
　前記筒部の幅方向中心線は、前記爪部同士の間の幅方向中心線に対して車両後方側にオフセットされているワイパブレード。
　請求項１に記載のワイパブレードであって、
　前記ブレードラバーは、
　　上部に位置するヘッド部と、
　　前記上部に位置するとともに前記ヘッド部よりも幅が小さく下方に延びる幅狭部と、
　　下部に位置するとともに払拭面を払拭するための払拭部とを含み、
　前記ワイパブレードは、前記ブレードラバーの上方に位置するワイパケースをさらに備え、
　前記ワイパケースは、前記ブレードラバー及び前記バッキングを保持しており、
　前記ワイパケースは、
　　前記バッキングを収容保持する筒部と、
　　前記筒部から下方に延びて前記ヘッド部の側方を覆う一対の下延部と、
　　前記一対の下延部の下端からそれぞれ幅方向内側に延びる爪部であって、該爪部は前記ヘッド部の下面と対向して前記ヘッド部を把持する、前記爪部と、を有し、
　前記下延部の各々は、該下延部の外側に位置する肉厚部を有しており、
　前記肉厚部は、前記下延部が該下延部の基端部を基点として前記爪部間が開くように撓むことを抑えるワイパブレード。
　払拭面を払拭するためのブレードラバーと、該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングと、前記ブレードラバー及び前記バッキングを保持するラバーホルダと、を含み、長手方向に沿って延びるワイパブレードの製造方法であって、
　射出成形によってバッキング収容孔を有する前記ラバーホルダを成形することであって、前記バッキング収容孔は前記長手方向における前記バッキングの中間部を収容及び保持し、前記バッキング収容孔は前記長手方向に沿って前記ラバーホルダを貫通していること、を備え、
　前記バッキング収容孔を成形する際に、前記長手方向における前記バッキング収容孔の中央部にパーティングラインが設定され、
　前記射出成形によって前記長手方向における前記バッキング収容孔の中央部の両側に抜き勾配が設けられ、該抜き勾配は前記バッキング収容孔の中央部からそれぞれ外側に向かって延びているワイパブレードの製造方法。