WO2014199629A1

WO2014199629A1 - 車両用表示装置

Info

Publication number: WO2014199629A1
Application number: PCT/JP2014/003094
Authority: WO
Inventors: 苅込　健一郎; 恵一岩島; 善久長谷川; 木村　浩
Original assignee: 株式会社デンソー
Priority date: 2013-06-14
Filing date: 2014-06-10
Publication date: 2014-12-18
Also published as: US20160142689A1; US10298890B2

Abstract

　車両用表示装置は、車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタ２と、表示光の輝度を制御する制御部（Ｃ）と、表示光が投射されることにより画像を表示するスクリーン（１０）と、を備える。スクリーン（１０）は、画像が視認される方向の手前側に突出した凸部（１２、１５）、および奥側に凹んだ凹部（１１ａ、１４ｂ、１４ａ）を有した形状に形成されている。そして、制御部（Ｃ）は、凸部（１２、１５）（第１部分）に投射される表示光が、凹部（１１ａ、１４ｂ、１４ａ）（第２部分）に投射される表示光よりも高輝度になるように制御する。これにより、車両用表示装置における立体視の促進が図られる。

Description

車両用表示装置

関連出願の相互参照

　本出願は、当該開示内容が参照によって本出願に組み込まれた、２０１３年６月１４日に出願された日本特許出願２０１３－１２５９６４、２０１３年６月１４日に出願された日本特許出願２０１３－１２５９６２、２０１３年９月２３日に出願された日本特許出願２０１３－１９６３２３、２０１３年９月２３日に出願された日本特許出願２０１３－１９６３２４、２０１３年９月２３日に出願された日本特許出願２０１３－１９６３２５、２０１３年７月２５日に出願された日本特許出願２０１３－１５４８７５および２０１３年７月２５日に出願された日本特許出願２０１３－１５４８７６を基にしている。

　本開示は、プロジェクタから射出された表示光をスクリーンに投射することで、車両情報を表した画像をスクリーンに表示させる車両用表示装置に関する。

　特許文献１には、車速等の車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタと、射出された表示光が投射されて上記画像を表示するスクリーンと、を備える表示装置が開示されている。この表示装置に係るスクリーンは、画像が視認される方向に凹凸した形状に形成されており、これにより、画像が立体的に視認されるようにしている。

特開２００７－３２６４１９号公報

　この種の表示装置では、上記画像により表現されている仮想物体（例えば車速メータ装置）が実在しているかのようにユーザに錯覚させることが望ましい。しかしながら、従来の表示装置では、スクリーンの凹凸形状に依存した立体感が表現されるに過ぎず、立体感には限界があり、改善の余地があった。

　また、スクリーンに形成される凹凸の角度や、その凹凸部分への表示光の入射角度等の具合によっては、表示光の一部が凹凸の第１部分で反射し、その反射した表示光が凹凸の第２部分に入射する場合がある。すると、第１部分に表示させる筈の画像が第２部分にも表示（二重表示）され、画像の見栄えが著しく損なわれてしまう恐れがある。

　更に、凹凸の第１部分で反射した表示光が、スクリーンのうち凹凸が形成されていない部分に入射する場合、或いは、スクリーンのうち凹凸が形成されていない部分で反射した表示光が、凹凸の第２部分に入射する場合についても、上記と同様にして二重表示が生じる可能性がある。

　本開示は、上記の点を鑑みてなされたもので、その目的は、画像により表現される仮想物体の立体感をリアルに表現し、この仮想物体を立体的に視認できる車両用表示装置を提供することにある。また、本開示の別の目的は、二重表示により画像の見栄えが損なわれるのを抑制し得る車両用表示装置を提供することにある。

　本開示の第1の態様では、車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタと、前記表示光の輝度を制御する制御部と、前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーンと、を備え、前記スクリーンは、前記画像が視認される方向の手前側に突出した凸部、および奥側に凹んだ凹部を有し、前記制御部は、前記表示光のうち、前記凸部および前記凹部のいずれか一方である第１部分に投射される表示光が、他方である第２部分に投射される表示光よりも高輝度になるよう制御する。

　これによれば、スクリーンの凸部、凹部に投射される表示光の輝度が互いに異なることにより、その凸部と凹部の奥行き感を強調することができる。従って、スクリーンの凹凸部に表示された画像による仮想物体の立体感をリアルに表現でき、仮想物体を立体的に視認できる。

　本開示の第２の態様では、車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタと、前記表示光の輝度を制御する制御部と、前記画像が視認される表面および前記表面とは反対側の背面を有し、前記表示光が投射されることで前記画像を表示するスクリーンと、を備え、前記スクリーンは、前記表面側へ突出した凸部および該凸部に対して相対的に前記背面側へ位置した凹部が配置され、前記凸部は、前記凸部の頂部から前記凹部へ向けて拡がる傾斜面を備え、前記制御部は、前記傾斜面を通過する表示光の輝度が、前記頂部を通過する表示光の輝度に対して低くなるように制御する。

　ここで、傾斜面へ向かう表示光が傾斜面で反射し、その反射した光（以下、第１反射光と呼ぶ）が凸部の頂部に入射すると、頂部には、頂部に向けて照射された表示光と第１反射光とが混ざった光（以下、混光と呼ぶ）の画像が表示されることとなる。そのため、第１反射光が高輝度であるほど、第１反射光が混光に与える影響が大きくなり、頂部において第１反射光が目立って視認されてしまう。例えば、第１反射光が白色で第２表示光が青色であると、青色が白色に掻き消されて白色に近い色で視認される。つまり、スクリーンの頂部において、本来視認させたい第２表示光（青色）よりも第１反射光（白色）が目立って視認されてしまう。

　以上の点を鑑み、第２の態様では、制御部は、傾斜面を通過する表示光の輝度が頂部を通過する表示光の輝度に比べて低くなるように制御する。よって、頂部を通過する表示光と第１反射光とが混ざった混光に対して、第１反射光が与える影響を小さくできる。つまり、スクリーンの頂部において、本来視認させたい表示光よりも第１反射光が目立って視認されてしまうことを抑制できる。したがって、傾斜面に表示させる筈の画像が頂部にも表示（二重表示）されて画像の見栄えが損なわれることを抑制できる。

本開示の第１実施形態において、車両用表示装置の全体構成を模式的に示す断面図。図１のスクリーンに表示されるメータ画像の正面図。図２のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図。図２のＩＶ－ＩＶ断面図。第１実施形態において、バー画像を消灯させた状態を示すメータ画像の正面図。第１実施形態において、物理量表示モードによる表示状態を示すメータ画像の正面図。本開示の第２実施形態において、バー凸部の断面形状を示す図。本開示の第３実施形態に係る車両用表示装置について、全体構成を模式的に示す断面図。図８に示すスクリーンに表示される、メータ画像の一態様を示す正面図。図８に示すスクリーンの拡大図。参考例に係るメータ画像を示す正面図。本開示の第４実施形態において、車両用表示装置の全体構成を模式的に示す断面図。図１２に示すスクリーンの断面図。第４実施形態において、メータ画像の一態様を示す正面図。第４実施形態において、車速設定の変更に伴うメータ画像の変化を示す図。第４実施形態において、表示モードの切り替えに伴うメータ画像の変化を示す図。第４実施形態において、ダイヤル画像を消灯させた状態を示すメータ画像の正面図。第４実施形態において、操作部材として機能するシフトレバーを模式的に示す正面図。本開示の第５実施形態に係るメータ画像の正面図。本開示の第６実施形態において、車両用表示装置の全体構成を模式的に示す断面図。図２０に示すスクリーンの断面図。第６実施形態において、メータ画像の一態様を示す正面図。本開示の第７実施形態において、車両用表示装置の全体構成を模式的に示す断面図。本開示の第８実施形態において、車両用表示装置の全体構成を模式的に示す断面図。本開示の第９実施形態に係る車両用表示装置について、全体構成を模式的に示す断面図。図２５のスクリーンに表示される、メータ画像の一態様を示す正面図。図２６のＸＸＶＩＩ－ＸＸＶＩＩ線に沿う断面図。第９実施形態において、表示板画像のグラデーション表示のさせ方を示す正面図。本開示の第１０実施形態において、表示板画像のグラデーション表示のさせ方を示す正面図。本開示の第１１実施形態において、表示板画像のグラデーション表示のさせ方を示す正面図。第１１実施形態において、表示板画像のグラデーション表示が変化する様子を示す正面図。本開示の第１２実施形態に係る車両用表示装置について、全体構成を模式的に示す断面図。図３２に示すスクリーンに表示される、メータ画像の一態様を示す正面図。図３３のＸＸＸＩＶ－ＸＸＸＩＶ線に沿う断面図。第１２実施形態において、スクリーンを正面から見た場合の画像切替え状態を示す図。図３５の画像をスクリーンの右側から覗き見た場合の見え方を示す図。本開示の第１３実施形態において、スクリーンに表示されるメータ画像の一態様を示す正面図。本開示の第１３実施形態において、スクリーンを正面から見た場合の画像切替え状態を示す図。図３８の画像をスクリーンの上側から覗き見た場合の見え方を示す図。本開示の第１４実施形態において、スクリーンを正面から見た場合の画像切替え状態を示す図。本開示の第１５実施形態に係る車両用表示装置について、全体構成を模式的に示す断面図。図４１に示すスクリーンに表示される、メータ画像の一態様を示す正面図。図４２のＸＬＩＩＩ－ＸＬＩＩＩ線に沿う断面図。図４２に示す表意画像の拡大図。比較例に係る表示装置。

　以下に、図面を参照しながら開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示してなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。

　（第１実施形態）
　図１に示すように、車両Ｖの室内のうちフロントウインドシールドＷの下方には、インストルメントパネル１が配置されている。インストルメントパネル１には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図１中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル１に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ２、反射鏡３およびスクリーン１０を備える。プロジェクタ２は、車両情報を表した画像の表示光Ｐ１を射出する。プロジェクタ２は拡大レンズ２ａを備えており、拡大レンズ２ａにより表示光Ｐ１の拡がる角度が調整される。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　反射鏡３は、プロジェクタ２から射出された表示光Ｐ１を、スクリーン１０へ向けて反射する。図１の例では、反射鏡３の反射面は平面形状である。スクリーン１０は透光性を有する樹脂製の板であり、後に詳述する凹凸を有した形状に形成されている。

　反射鏡３により反射された表示光Ｐ２は、スクリーン１０のうち視認者Ｍを基準として奥側（背面側）から手前側（表面側）へ透過する。スクリーン１０を透過した表示光Ｐ３は視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン１０に対して表示光Ｐ２を投射することで、スクリーン１０に画像が表示されてユーザに視認される。

　プロジェクタ２には、電子制御装置（メータＥＣＵ４）から出力された映像信号が入力され、この映像信号に基づきプロジェクタ２は表示光Ｐ１を生成し射出する。プロジェクタ２には、制御部Ｃが設けられており、プロジェクタ２から射出される表示光Ｐ１の輝度を制御する。すなわち、制御部Ｃは、表示光Ｐ１を制御することで、スクリーン１０に表示される画像の輝度を制御する。表示光Ｐ１（画像）は、車両情報に応じて変化する。つまり、上記映像信号は動画信号であり、スクリーン１０に表示される画像は動画である。

　車両Ｖには、エンジンの作動を制御する電子制御装置（エンジンＥＣＵ５）が搭載されている。エンジンＥＣＵ５は、クランク角センサや燃料液面センサ、水温センサ等の各種センサの検出値に基づき、車速、燃料残量、エンジン冷却水温度等の車両情報を演算する。そして、演算した車両情報や車両運転者の操作内容等に基づき、エンジンＥＣＵ５は、エンジン（内燃機関）の作動を制御する。また、エンジンＥＣＵ５は、これらの車両情報に基づきエンジン等の各種部品に異常が生じているか否かを判定する。そして、エンジンＥＣＵ５は、異常が生じていると判定した場合には、その旨の信号（異常信号）をメータＥＣＵ４へ送信する。

　メータＥＣＵ４は、エンジンＥＣＵ５から各種の車両情報を取得するとともに、エンジンＥＣＵ５および図示しない他の電子制御装置から出力された異常信号を取得する。メータＥＣＵ４は、取得した車両情報および異常信号に応じた動画を表示させるための映像信号を生成して、プロジェクタ２に出力する。メータＥＣＵ４は、映像信号の生成に要するデータ等が記憶された記憶装置と、映像信号の生成処理や、エンジンＥＣＵ５との通信処理等の各種演算処理を実行する演算処理装置と、を備える。

　図２に示すように、スクリーン１０に表示される画像には、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像（メータ画像２０）が含まれる。上記「複数の部品」とは、以下に説明する目盛り板２１（目盛り板画像）、指針２２（指針画像）およびダイヤル２３（ダイヤル画像）である。なお、これらの目盛り板２１、指針２２およびダイヤル２３は、実在する物体ではなく画像である。以下の説明では、これらの部品画像を単に目盛り板２１、指針２２およびダイヤル２３と記載する。

　目盛り板２１は、複数の目盛り２１ａ（目盛り画像）および数字２１ｂ（数字画像）を有する。これらの目盛り２１ａおよび数字２１ｂについても、実在する印刷物ではなく画像であり、以下の説明では、これらを単に目盛り２１ａおよび数字２１ｂと記載する。そして、指針２２は、回転して目盛り２１ａを指示する。

　スクリーン１０に表示される画像には、背景画像２５が含まれる。背景画像２５はメータ画像２０の周囲に位置する。背景画像２５には複数のアンビエント画像２６が含まれている。アンビエント画像２６は、メータ画像２０の左右両側に配置されている。また、目盛り坂２１の円弧に沿って、複数のアンビエント画像２６が等間隔に並べて配置されている。ダイヤル２３が円環形状であるのに対し、アンビエント画像２６は、視認者Ｍ側から見て所定方向（図２の左右方向）に延びる棒形状である。なお、アンビエント画像２６は、図６に示す高輝度画像２７および低輝度画像２８に切り替わる場合があり、この点については図６を用いて後に詳述する。

　図３および図４に示すように、スクリーン１０は、円環凸部１２と、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂと、棒状凸部１５と、傾斜部１５ａとが形成された肉厚均一の板形状である。さらにスクリーン１０は、以下に説明する中央部１１および外周部１４を有している。中央部１１は、スクリーン１０の中央部分を構成し、円環凸部１２の内周側に位置する。外周部１４は、円環凸部１２の外周側に位置する。中央部１１および外周部１４は、視認方向に対して交差する方向に拡がる平坦形状である。中央部１１および外周部１４は、円環凸部１２よりも視認者Ｍから離れて位置するので、凹部と捉えることもできる。なお、本実施形態では、スクリーン１０（すなわち中央部１１および外周部１４）に対して垂直な方向を視認者Ｍの視認方向と定義する。

　円環凸部１２、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂは、視認者Ｍ側（手前側）に突出すると共に、視認者Ｍ側から見て円環状の形状を有している。内側傾斜部１２ａは、中央部１１の外周端から視認者Ｍ側に向けて外径方向に徐々に傾斜した形状である。円環凸部１２は、内側傾斜部１２ａの外周端から径方向に拡がる平坦形状である。外側傾斜部１２ｂは、外周部１４の内周端から視認者Ｍ側に向けて内径方向に徐々に傾斜した形状である。

　棒状凸部１５および傾斜部１５ａは、手前側に突出すると共に、視認者Ｍ側から見て左右方向に延びる棒状の形状を有し、外側傾斜部１２ｂの径方向外側に位置する。傾斜部１５ａは、外周部１４の所定部位から視認者Ｍ側に向けて外径方向に徐々に傾斜した形状である。棒状凸部１５は、傾斜部１５ａの上端端から外周部１４と平行に拡がる平坦形状である。

　なお、円環凸部１２および棒状凸部１５は、特許請求の範囲に記載の「凸部」の一態様である。中央部１１および外周部１４のうち内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂと隣接する部分（図２および図３中の符号１１ａ、１４ｂ参照）は、特許請求の範囲に記載の「凹部」の一態様であって、円環凸部１２に対応するものである。また、凹部外周部１４のうち複数の棒状凸部１５の間に位置する部分（図２および図４中の符号１４ａ参照）は、特許請求の範囲に記載の「凹部」の一態様であって、棒状凸部１５に対応するものである。内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂは、特許請求の範囲に記載の「連結部」の一態様であって、円環凸部１２に対応するものである。また、傾斜部１５ａは、特許請求の範囲に記載の「連結部」の一態様であって、棒状凸部１５に対応するものである。

　図２の説明に戻り、ダイヤル２３は、複数の目盛り２１ａを取り囲む環状の形状である。目盛り板２１は、スクリーン１０の中央部１１および外周部１４に表示される。指針２２は中央部１１に表示され、ダイヤル２３は円環凸部１２、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂに表示される。したがって、ダイヤル２３は目盛り板２１よりも手前側に存在するように視認される。

　外側傾斜部１２ｂと外周部１４との境界線がダイヤル２３の外周側の外形線に位置し、内側傾斜部１２ａと中央部１１との境界線がダイヤル２３の内周側の外形線に位置する。要するに、中央部１１および外周部１４と傾斜部１２ａ、１２ｂとの境界線は、部品画像同士の境界線と一致する。

　そして、スクリーン１０の中央部１１および外周部１４は同一の色で表示されており、その色とは異なる色で環状凸部１２および傾斜部１２ａ、１２ｂは表示される。これにより、ダイヤル２３を径方向に跨ぐように目盛り板２１が存在すると視認させ、かつ、目盛り板２１の手前側にダイヤル２３が存在するように視認させることが促進される。なお、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂは、環状凸部１２に近づくほど、中央部１１および外周部１４の色から環状凸部１２の色まで徐々に変化するようにグラデーション表示されている。

　前記制御部Ｃは、円環凸部１２に投射される表示光が、凹部１１ａ、１４ｂに投射される表示光よりも高輝度となるように表示光の輝度を制御する。つまり、ダイヤル２３は目盛り坂２１より高輝度の画像となる。また、制御部Ｃは、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂに投射される表示光が、円環凸部１２に近づくほど高輝度になるよう、徐々に輝度が変化するように表示光の輝度を制御する。つまり、内側傾斜部１２ａおよび外側傾斜部１２ｂの画像は、グラデーション表示される。ここで、以下の説明（他の実施形態を含む）では、「輝度」とは、光度を光源面積で割った値のことである。また、「光度」とは、波長毎の放射強度に波長毎の比視感度をかけた値を、積分して得られた値である。比視感度の一例として、国際度量衡総会で定められた標準比視感度が挙げられる。

　アンビエント画像２６は、棒状凸部１５および傾斜部１５ａに表示される。傾斜部１５ａと外周部１４（凹部１４ａ）との境界線がアンビエント画像２６の外周側の外形線に位置する。そして、凹部１４ａとは異なる色で棒状凸部１５および傾斜部１５ａは表示される。これにより、背景画像２５の手前側にアンビエント画像２６が存在するように視認させることが促進される。なお、傾斜部１５ａは、棒状凸部１５に近づくほど、凹部１４ａの色から棒状凸部１５の色まで徐々に変化するようにグラデーション表示されている。

　前記制御部Ｃは、棒状凸部１５に投射される表示光は凹部１４ａに投射される表示光よりも高輝度となるよう表示光の輝度を制御する。つまり、アンビエント画像２６は、背景画像２５より高輝度の画像となる。また、制御部Ｃは、傾斜部１５ａに投射される表示光が、棒状凸部１５に近づくほど高輝度になるよう、徐々に輝度が変化するように表示光の輝度を制御する。つまり、傾斜部１５ａの画像はグラデーション表示される。なお、図２および図６では、傾斜部１５ａに表示されている画像の図示を省略している。

　メータＥＣＵ４は、取得した車両情報に応じて映像信号を生成する。具体的には、自車両の走行速度（以下、単に車速と呼ぶ）に応じた目盛り２１ａを指示する位置に指針２２が回転するように、メータＥＣＵ４は映像信号を生成する。また、後に詳述する燃料残量およびエンジン冷却水温度を示すように（図６参照）、メータＥＣＵ４は映像信号を生成する。さらにメータＥＣＵ４は、異常信号の有無に応じて映像信号を生成する。

　以下、図２、図５および図６を用いて、車両情報および異常信号の有無に応じた映像信号の変化、つまりメータ画像２０および背景画像２５の変化について説明する。

　これらの画像２０、２５は、図２および図５に示す警告表示モードと、図６に示す物理量表示モードとに切り替えて表示される。いずれの表示モードであっても、メータ画像２０は共通した表示内容であり、指針２２が回転して車速を表示する。

　異常信号が生じると、警告表示モードに切り替わり、複数の棒状凸部１５にはアンビエント画像２６が表示される。詳細には、複数のアンビエント画像２６が点灯（図２の参照）と消灯（図５参照）を繰り返す。このように、異常信号が生じている場合には、棒状凸部１５の表示態様を変化させることで、車両乗員に異常発生の旨を警告報知する。なお、アンビエント画像２６の消灯時には、棒状凸部１５には外周部１４と同じ色の画像が表示される。

　一方、異常信号が生じていない場合には、図６に示す物理量表示モードに切り替わる。すると、複数の棒状凸部１５には、エンジン冷却水温度および燃料残量を報知する高輝度画像２７および低輝度画像２８が表示される。高輝度画像２７は、凹部１４ａに表示される背景画像２５とは異なる色で表示され、かつ、背景画像２５よりも高輝度で表示される。低輝度画像２８は、背景画像２５および高輝度画像２７とは異なる色で表示され、かつ、高輝度画像２７よりも低輝度で表示される。

　メータ画像２０の左側に位置する複数の棒状凸部１５のうち、燃料残量に応じた数の棒状凸部１５（図６中の斜線参照）には高輝度画像２７が表示され、他の棒状凸部１５には低輝度画像２８が表示される。また、背景画像２５のうちこれらの画像２７、２８が表示される近傍部分には、燃料残量を報知する旨の文字２５ａが表示される。したがって、メータ画像２０の左側に位置する高輝度画像２７の数を視認することで、燃料残量をユーザは認識できる。

　メータ画像２０の右側に位置する複数の棒状凸部１５のうち、エンジン冷却水温度に応じた数の棒状凸部１５（図６中の斜線参照）には高輝度画像２７が表示され、他の棒状凸部１５には低輝度画像２８が表示される。また、背景画像２５のうちこれらの画像２７、２８が表示される近傍部分には、エンジン冷却水温度を報知する旨の文字２５ｂが表示される。したがって、メータ画像２０の右側に位置する高輝度画像２７の数を視認することで、エンジン冷却水温度をユーザは認識できる。

　以上に説明した本実施形態の車両用表示装置は、要するに、以下に列挙する特徴を備える。そして、それらの各特徴により以下に説明する作用効果が発揮される。

　＜特徴１＞
　本実施形態では、環状凸部１２および棒状凸部１５が特許請求の範囲に記載の「凸部および凹部の一方である第１部分」の一態様であり、その周りに位置する凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａが「他方である第２部分」の一態様である。そして、制御部Ｃは、第１部分に投射される表示光が第２部分に投射される表示光よりも高輝度となるよう表示光の輝度を制御する。従って、スクリーン１０のうち、視認方向における同じ位置の部分同士は同じ輝度で表示され、異なる位置の部分同士は異なる輝度で表示される。

　そのため、スクリーン１０に形成されている凹凸の奥行き、つまり視認方向における凸部１２、１５の隆起高さをユーザが確実に視認できるようになる。よって、立体視の促進を図ることができ、その結果、メータ画像２０や背景画像２５による仮想物体が実在しているかのようにユーザに錯覚させることが促進される。

　＜特徴２＞
　本実施形態では、第１部分１５に表示される画像の表示態様を変化させる。これによれば、画像の表示態様を変化させることを、仮想物体の立体感がリアルに表現されている第１部分（棒状凸部１５）で実施するので、その変化は視認されやすく、際立った表示にできる。

　さらに本実施形態では、上記表示態様の変化により車両乗員に警告報知する。具体的には、棒状凸部１５（第１部分）に表示されるアンビエント画像２６の表示態様を変化させることで、車両乗員に警告報知する。これによれば、スクリーン１０のうち凹凸が形成されている立体的な部分で警告報知されるので、警告報知されている旨をユーザに即座に気づかせることが促進される。

　＜特徴３＞
　本実施形態では、第１部分（棒状凸部１５）は複数並べて配置されている。そして、車両状態の物理量の変化に対応して複数の第１部分の各々に対する画像の表示態様を変化させる。

　具体的には、複数の棒状凸部１５（第１部分）のうち燃料残量および温度（所定の物理量の値）に応じた数の棒状凸部１５に表示される画像（高輝度画像２７）を、他の棒状凸部１５（低輝度画像２８）とは異なる態様で表示させる。これにより、車両乗員に燃料残量および温度（所定の物理量の値）を報知する。換言すれば、低輝度画像２８よりも高輝度で表示される高輝度画像２７の数を、所定の物理量の値に応じて増減させる。

　したがって、このような構成の本実施形態によれば、スクリーン１０のうち凹凸が形成されている立体的な部分で物理量が報知されるので、物理量の変化をユーザが視認し易くなる。

　＜特徴４＞
　本実施形態では、第１部分（棒状凸部１５）は複数並べて配置されている。そして、車両状態の物理量の変化に対応して複数の第１部分１５の各々に対する画像の表示態様を変化させること、および第１部分に対する画像の表示態様を変化させること、を切り替えるように設定されている。

　具体的には、物理量表示モードと警告表示モードとを切り替えて表示する。物理量表示モードでは、複数の棒状凸部１５（第１部分）のうち所定の物理量に応じた数の棒状凸部１５に表示される画像を他の棒状凸部１５とは異なる態様で表示させる。警告表示モードでは、複数の棒状凸部１５（第１部分）に表示されるアンビエント画像２６の表示態様を変化させることで、車両のいずれかに異常が発生している旨を乗員に警告報知する。

　これによれば、スクリーン１０のうち同一の凹凸形状部分を用いて物理量表示モードと警告表示モードとの両方を表示できる。そのため、物理量表示のための専用の凹凸形状と、警告表示のための専用の凹凸形状とを別々に形成することを不要にできる。

　＜特徴５＞
　本実施形態では、スクリーン１０は、凸部１２、１５および凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａを連結する連結部１１ａ、１４ｂ、１５ａを有する。そして、制御部Ｃは、連結部１１ａ、１４ｂ、１５ａに投射される表示光が、凸部１２、１５（第１部分）に投射される表示光の輝度と凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａ（第２部分）に投射される表示光の輝度との間において輝度が変化するように制御する。

　そのため、スクリーン１０に形成されている凹凸の奥行き、つまり視認方向における凸部１２、１５の隆起高さをユーザが確実に視認できるようになることを、促進できる。

　（第２実施形態）
　上記第１実施形態では、棒状凸部１５、およびその周囲に位置する凹部１４ａは、平坦形状に形成されており、図４に示すように直線的に延びる断面形状である。これに対し、図７に示す本実施形態では、棒状凸部１５’および凹部１４ａ’は湾曲した断面形状に形成されている。そして、制御部Ｃは、棒状凸部１５’の頂点部分の画像を最も高い輝度で表示し、棒状凸部１５’のうち他の部分の画像については傾斜部１５ａ’と同様にして輝度を徐々に変化させるように制御する。

　本実施形態によっても、上記第１実施形態と同様にして、制御部Ｃは、棒状凸部１５’（第１部分）に投射される表示光が、凹部１４ａ’（第２部分）に投射される表示光よりも高輝度になるよう表示光の輝度を制御する。そのため、スクリーン１０に形成されている凹凸の奥行き、つまり視認方向における凸部１２、１５の隆起高さをユーザが確実に視認できるようになる。

　（他の実施形態）
　本開示は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　上記各実施形態では、凸部１２、１５が第１部分として適用され、制御部Ｃは、凸部１２、１５に投射される表示光が、凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａに投射される表示光よりも高輝度となるよう表示光の輝度を制御する。これに対し、凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａが第１部分として適用され、凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａに投射される表示光が、凸部１２、１５に投射される表示光よりも高輝度になるよう制御部Ｃが表示光の輝度を制御してもよい。これによっても、凹部１１ａ、１４ｂ、１４ａと凸部１２、１５を同じ輝度で表示する場合に比べて、視認方向における凸部１２、１５の隆起高さをユーザが確実に視認できるようになる。

　上記各実施形態では、環状凸部１２の内側に棒状凸部１５を配置している。換言すれば、アンビエント画像２６、高輝度画像２７および低輝度画像２８を、メータ画像２０の表示領域の外に表示させている。これに反し、アンビエント画像２６、高輝度画像２７および低輝度画像２８を、メータ画像２０の表示領域の中に表示させてもよい。

　上記第１実施形態では、警告表示モードにおいて、アンビエント画像２６が点灯と消灯を繰り返すように表示させている。これに対し、アンビエント画像２６を消灯させることなく、アンビエント画像２６の輝度や色が所定の周期で繰り返し変化するように表示させてもよい。

　上記第１実施形態では、物理量表示モードにおいて、物理量に応じた数の棒状凸部１５に高輝度画像２７を表示させ、他の棒状凸部１５には低輝度画像２８を表示させている。これに対し、他の棒状凸部１５に低輝度画像２８を表示させるのではなく、上記他の棒状凸部１５には表示光を投影させずに消灯させるようにしてもよい。

　上記第１実施形態では、警告表示モードおよび物理量表示モードのいずれにおいても、ダイヤル２３の表示は変化しない。これに対し、例えば警告表示モード時には、物理量表示モードとは異なる態様でダイヤル２３を表示させてもよい。例えば、警告表示モード時には、物理量表示モードに比べてダイヤル２３を高輝度で表示させる。或いは、物理量表示モードにはダイヤル２３を青色で表示し、警告表示モード時にはダイヤル２３を赤色で表示する等、モードに応じてダイヤル２３の表示色を変化させてもよい。或いは、物理量表示モードにはダイヤル２３を点灯表示し、警告表示モード時にはダイヤル２３を点滅表示させてもよい。

　上記第１実施形態では、警告表示モードおよび物理量表示モードのいずれにおいても、棒状凸部１５の画像を同じ色で表示させている。これに対し、警告表示モードにおけるアンビエント画像２６と、物理量表示モードにおける高輝度画像２７または低輝度画像２８とを、異なる色または異なる輝度で表示させてもよい。

　上記第１実施形態では、プロジェクタ２から射出された表示光Ｐ１を、反射鏡３で反射させてスクリーン１０へ入射させている。これに対し、反射鏡３を設けることなく、プロジェクタ２から射出された表示光Ｐ１をスクリーン１０へ直接入射させるようにしてもよい。

　上記各実施形態では、車両用表示装置により表示される画像をメータ画像２０としている。これに対し、本開示に係る画像はメータ画像２０に限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション装置による地図の画像であってもよい。この場合、例えば、地図上における自車両の位置が車両情報に相当する。

　上記第１実施形態では、スクリーン１０のうちダイヤル２３を表示させる部分を、視認者Ｍ側に突出させているが、この部分を視認者Ｍの反対側に凹ませるように構成してもよい。つまり、スクリーン１０の凹凸を逆向きにしてもよい。

　図１に示す例では、反射鏡３の反射面は平面形状であるが、反射鏡３は、表示光Ｐ１を拡大して反射する拡大鏡であってもよい。

　上記第１実施形態では、映像信号の生成に要するデータが記憶された記憶装置、および映像信号を生成する演算処理装置を、メータＥＣＵ４が備えている。これに対し、これらの記憶装置および演算処理装置をプロジェクタ２が備えていてもよい。また、制御部ＣにメータＥＣＵ４の機能を持たせてもよい。この場合、第１実施形態で説明したメータＥＣＵ４のように、制御部Ｃが第１部分に表示される画像の表示態様を変化させることになる。

　上記第１実施形態では、表示光の輝度を制御する制御部Ｃをプロジェクタ２に設けた場合を示した。しかしながら、制御部Ｃをプロジェクタ２とは別体的に設けたり、メータＥＣＵ４に制御部Ｃとしての機能をもたせてもよい。すなわち、メータＥＣＵ４が表示光の輝度を制御してもよい。

　上記第１実施形態では、第１部分１５に対する画像の表示態様を変化させることで、車両乗員に警告報知している。これに対し、上記表示態様の変化により警告以外の内容を報知してもよい。

　上記第１実施形態では、所定の物理量に応じて、表示態様を変化させる第１部分１５の数を変化させている。これに対し、上記数を変化させることなく第１部分１５の表示態様を変化させることで、所定の物理量の値を表現するようにしてもよい。

　（第３実施形態）
　次に、第３実施形態に係る車両用表示装置について、図８～図１１を参照して説明する。第３実施形態では、画像を立体視させるべくスクリーンに凹凸を形成すると、その凹凸形成に起因して二重表示の問題が生じやすくなるとの知見に基づき、これに対応し得る車両用表示装置を具体化したものである。

　図８に示すインストルメントパネル１１０は、車両の室内のうちフロントウインドシールドの下方に配置されている。インストルメントパネル１１０には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図８中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル１１０に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ１２０、スクリーン１３０および反射鏡１４０を備える。プロジェクタ１２０は、車両情報を表した画像の表示光Ｐを射出する。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　プロジェクタ１２０は、以下に説明する光学歪レンズ１２１、および図示しない光源を備える。また、プロジェクタ１２０には、表示光生成装置１２２（制御部）が設けられている。表示光生成装置１２２は、光源の光を液晶パネルに透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。或いは、高速回転するカラーフィルタに光源の光を透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。更に、表示光生成装置１２２は、表示光の輝度を制御する。すなわち、表示生成装置１２２は、表示光をの輝度を制御することで、後述するように、スクリーン１３０に表示される画像の輝度を制御する。

　表示光生成装置１２２により生成された画像には歪みが生じていない。このような画像に歪みを生じさせるのが光学歪レンズ１２１である。光学歪レンズ１２１により画像を歪ませておくことで、後述するスクリーン１３０の凸部１３２を透過した表示光Ｒの画像には歪みが含まれないようにできる。

　反射鏡１４０は、プロジェクタ１２０から射出された表示光Ｐを、スクリーン１３０へ向けて反射する。図８の例では、反射鏡１４０の反射面は凸形状であり、表示光Ｐを拡大して反射する。反射鏡１４０により反射された表示光Ｑは、スクリーン１３０のうち視認者Ｍに対して奥側（背面側）から手前側（表面側）へ透過する。スクリーン１３０を透過した表示光Ｒは視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン１３０への表示光Ｑの投射により、スクリーン１３０に表示された画像がユーザにより視認される。

　スクリーン１３０は透光性を有する樹脂製の板であり、凸部１３２が形成された肉厚均一の板形状である。凸部１３２は、視認者Ｍ側に突出すると共に、視認者Ｍ側から見て円環状の形状を有している（図９参照）。スクリーン１３０は、上記凸部１３２に加え、以下に説明する中央部１３１および外周部１３３を有した形状である。

　中央部１３１は、スクリーン１３０の中央部分を構成し、円環状の凸部１３２の内周側に位置する。外周部１３３は、円環状の凸部１３２の外周側に位置する。中央部１３１および外周部１３３は、視認方向に対して略垂直に拡がる平坦形状である。中央部１３１および外周部１３３は、凸部１３２よりも視認者Ｍから離れて位置する凹部である。そして、凸部１３２は、前記スクリーン１３０においてリング状の形態を有している。そして、凹部としての中央部１３１がリング状の凸部１３２により囲まれた形態をなしている。なお、本実施形態においても、第１実施形態と同様に、スクリーン１３０に対して垂直な方向を視認者Ｍの「視認方向」として定義する。

　凸部１３２は、以下に説明する頂部１３２１、内側傾斜部１３２２（傾斜面）および外側傾斜部１３２３（傾斜面）を有する。内側傾斜部１３２２は、中央部１３１の外周端から視認者Ｍ側に向けて外径方向に徐々に隆起するように傾斜した形状である。頂部１３２１は、内側傾斜部１３２２の外周端から径方向に拡がる平坦形状である。外側傾斜部１３２３は、外周部１３３の内周端から視認者Ｍ側に向けて内径方向に徐々に隆起するように傾斜した形状である。すなわち、内側傾斜部１３２２および外側傾斜部１３２３は、前記頂部１３２１から凹部（中央部１３１および外周部１３３）に向けて拡がるように傾斜している。

　図９に示すように、スクリーン１３０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像（メータ画像Ｄ）である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する目盛り板Ｄ１０、加飾リングＤ２０、指針Ｄ３０およびボスＤ３１である。これらの目盛り板Ｄ１０、加飾リングＤ２０、指針Ｄ３０およびボスＤ３１は、実在する部品ではなく画像（部品画像）である。

　目盛り板Ｄ１０は円形であり、目盛り板Ｄ１０の中央に円形のボスＤ３１が表示されている。指針Ｄ３０は、ボスＤ３１から目盛り板Ｄ１０の径方向に延びる形状であり、ボスＤ３１を中心に目盛り板Ｄ１０上を回転するように動画で表示される。

　加飾リングＤ２０は、指針Ｄ３０を取り囲む環状の形状であり、凸部１３２に表示されている。目盛り板Ｄ１０は、スクリーン１３０の中央部１３１および外周部１３３に表示される。したがって、加飾リングＤ２０は目盛り板Ｄ１０よりも表側に存在するように視認される。外側傾斜部１３２３と外周部１３３との境界線が加飾リングＤ２０の外周側の外形線に位置し、内側傾斜部１３２２と中央部１３１との境界線が加飾リングＤ２０の内周側の外形線に位置する。すなわち、中央部１３１および外周部１３３と凸部１３２との境界線は、部品画像同士の境界線と一致する。

　そして、スクリーン１３０の中央部１３１および外周部１３３は同一の色で表示されており、その色とは異なる色で頂部１３２１および傾斜部１３２ｂ、１３２ｃは表示される。これにより、加飾リングＤ２０を径方向に跨ぐように目盛り板Ｄ１０が存在すると視認させ、かつ、目盛り板Ｄ１０の表側に加飾リングＤ２０が存在するように視認させることが促進される。

　目盛り板Ｄ１０には、複数の数字Ｄ１１が周方向に並べて表示されている。内側傾斜部１３２２には、複数の目盛りＤ２２ａが周方向に並べて表示されている。これらの数字Ｄ１１および目盛りＤ２２ａについても、実在する印刷物ではなく画像であり、以下の説明では、これらを単に数字Ｄ１１および目盛りＤ２２ａと記載する。そして、回転表示される指針Ｄ３０は、回転して目盛りＤ２２ａを指示する。これにより、メータ画像Ｄは車両情報である車速を表す。

　加飾リングＤ２０、つまり凸部１３２に表示される画像のうち、頂部１３２１に表示される画像（頂部画像Ｄ２１）、内側傾斜部１３２２に表示される画像（内側画像Ｄ２２）、および外側傾斜部１３２３に表示される画像（外側画像Ｄ２３）は、それぞれ異なる態様で表示されている。

　内側画像Ｄ２２および外側画像Ｄ２３は、中央部１３１および外周部１３３の色から頂部１３２１の色まで徐々に変化するようにグラデーション表示されている。また、前記表示生成装置１２２は、内側傾斜部１３２２を通過する表示光の輝度が、前記頂部１３２１を通過する表示光の輝度に対して低くなるよう制御する。すなわち、内側画像Ｄ２２は、頂部画像Ｄ２１よりも低輝度になるよう設定されている。

　次に、上述の如く内側画像Ｄ２２を低輝度に設定することの技術的意義について、図１０および図１１を用いて説明する。

　図１０に示すように、スクリーン１３０に投射される表示光Ｑのうち、内側傾斜部１３２２に投射される表示光を第１表示光Ｑ１、頂部１３２１に投射される表示光を第２表示光Ｑ２と呼ぶ。第１表示光Ｑ１のうち、内側傾斜部１３２２の所定部分（第１部分３２２ａ）を視認者Ｍ側に透過した表示光Ｒ１は、目盛りＤ２２ａの画像として視認される。また、第２表示光Ｑ２のうち、頂部１３２１の所定部分（第２部分１３２１ａ）を視認者Ｍ側に透過した表示光Ｒ２は、頂部画像Ｄ２１として視認される。

　図１０に示す例では、第１部分１３２２ａを透過する筈の第１表示光Ｑ１の一部が、第１部分１３２２ａで反射して第２部分１３２１ａに入射している。このように第１部分１３２２ａで反射した光が第１反射光Ｑ１’に相当する。第１反射光Ｑ１’は、第２部分１３２１ａから視認者Ｍ側に透過する。したがって、第２部分１３２１ａを透過する表示光Ｒ２は、第２表示光Ｑ２と第１反射光Ｑ１’とが混ざった混光である。そのため、第１反射光Ｑ１’が高輝度であるほど、第１反射光Ｑ１’が混光に与える影響が大きくなり、第２部分１３２１ａにおいて第１反射光Ｑ１’が目立って視認されてしまう。

　図１１は、本実施形態に反して内側画像Ｄ２２を高輝度に設定した場合の参考例に係るメータ画像Ｄを示す。具体的には、内側画像Ｄ２２に含まれる目盛りＤ２２ａを白色（高輝度）に設定し、頂部画像Ｄ２１を青色（低輝度）に設定した場合のメータ画像Ｄである。この場合、目盛りＤ２２ａ用の第１表示光Ｑ１の一部が、第１反射光Ｑ１’として頂部１３２１から透過されてしまう。その結果、第２表示光Ｑ２による青色の頂部画像Ｄ２１中に、第１反射光Ｑ１’による白色の目盛りＤ２１ａが映り込んでしまう。要するに、スクリーン１３０に凸部１３２が形成されていることが原因で、内側傾斜部１３２２に表示される目盛りＤ２２ａが頂部１３２１にも二重に表示されてしまう。

　この点を鑑みた本実施形態では、表示光生成装置１２２は、第１表示光Ｑ１が第２表示光Ｑ２よりも低輝度となるように制御する。そのため、第２部分１３２１ａの画像を表示する表示光Ｑ２に比べて、第１部分１３２２ａの画像を表示する表示光Ｑ１の一部（反射光Ｑ１’）が目立って視認されることを抑制できる。よって、表示光Ｑがスクリーン１３０へ投射される角度および凸部１３２の形状が、二重表示を生じさせる状態であったとしても、二重表示を目立たせないようにできる。

　なお、本実施形態では、表示光生成装置１２２は、内側画像Ｄ２２のうち目盛りＤ２２ａを除く部分の画像（内側背景画像）が、頂部１３２１に向けて徐々に高輝度になるように制御する。また、表示光生成装置１２２は、頂部画像Ｄ２１は均一の輝度となるように制御する。そして、表示光生成装置１２２は、内側背景画像のうち輝度が最も高い部分（つまり頂部１３２１の隣接する部分）よりも、頂部画像Ｄ２１は高輝度になるように制御する。更に、表示光生成装置１２２は、目盛りＤ２２ａが、頂部画像Ｄ２１よりも低輝度、かつ、内側背景画像よりも高輝度になるよう制御する。

　そして、表示光生成装置１２２は、内側背景画像がメータ画像Ｄの中で最も低輝度になるように制御する。すなわち、表示光生成装置１２２は、前記内側傾斜部１３２２を通過する表示光の輝度が、スクリーン１３０に投射される表示光のうちで最も低輝度となるように制御する。そのため、内側背景画像に係る反射光Ｑ１’が混光に与える影響を小さくすることを促進できる。よって、頂部画像Ｄ２１に内側背景画像が二重表示されることが視認されないようにする効果を促進できる。

　また、表示光生成装置１２２は、頂部画像Ｄ２１がメータ画像Ｄの中で最も高輝度となるように制御する。すなわち、表示光生成装置１２２は、頂部１３２１を通過する表示光の輝度が、スクリーン１３０に投射される表示光のうちで最も高輝度となるように制御する。そのため、頂部画像Ｄ２１に係る第２表示光Ｑ２が反射光Ｑ１’を掻き消すことを促進できる。よって、内側背景画像および目盛りＤ２１ａが頂部画像Ｄ２１に二重表示されることが視認されないようにする効果を促進できる。

　例えば、頂部画像Ｄ２１を白色、内側背景画像を黒色、目盛りＤ２２ａを黄色にする。そして、メータ画像Ｄ内で頂部画像Ｄ２１の白色が最高輝度、内側背景画像の黒色が最低輝度、目盛りＤ２２ａの黄色が中間輝度となるように設定する。但し、目盛りＤ２２ａを最低輝度に設定し、内側背景画像を中間輝度に設定してもよい。

　また、本実施形態によれば、スクリーン１３０は視認方向に凹凸した形状であるため、スクリーン１３０に表示されるメータ画像Ｄを立体的に視認させることができる。つまり、メータ画像Ｄにより表現されている仮想のメータ装置が、実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。詳細には、スクリーン１３０の凸部１３２に加飾リングＤ２０を表示させ、中央部１３１および外周部１３３に目盛り板Ｄ１０を表示させる。そのため、加飾リングＤ２０が目盛り板Ｄ１０より手前側に突出した立体部品であるかのように錯覚させることができる。

　（第３実施形態の変更例）
　本開示は上記第３実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　図１０に示す例の場合、内側傾斜部１３２２のいずれの部分においても表示光Ｑ１が頂部１３２１へ反射される訳ではない。そのため、内側傾斜部１３２２のうち第１反射光Ｑ１’が生じない部分に投射される表示光についてまで、低輝度に設定する必要はない。すなわち、表示光生成装置１２２は、内側傾斜部１３２２のうち表示光Ｑ１を頂部１３２１へ反射させる部分（第１部分１３２２ａ）について、反射先である第２部分１３２１ａの表示光Ｑ２よりも低輝度になるよう制御すれば十分である。

　また、第３実施形態では、表示光生成装置１２２は、内側傾斜部１３２２を通過する表示光の輝度が頂部１３２１を通過する表示光の輝度よりも低くなるように制御した。しかしながら、外側傾斜部１３２３で反射した表示光が頂部１３２１での表示態様に影響を与える場合、表示光生成装置１２２は、外側傾斜部１３２３を通過る表示光の輝度についても制御してもよい。すなわち、表示光生成装置１２２は、外側傾斜部１３２３を通過る表示光の輝度が頂部１３２１を通過する表示光の輝度よりも低くなるように制御してもよい。

　図９の例では、凸部１３２が円環形状であり、凸部１３２に表示される加飾リングＤ２０に係る第１表示光Ｑ１および第２表示光Ｑ２について、第１表示光Ｑ１が第２表示光Ｑ２よりも低輝度に設定されている。これに対し、円環形状以外の凸部に投射される表示光についても二重表示が生じる場合には、反射元の第１表示光が反射先の第２表示光よりも低輝度に設定されるようにしてもよい。

　図１０の例では、スクリーン１３０の第１部分１３２２ａが内側傾斜部１３２２に位置し、スクリーン１３０の第２部分１３２１ａが頂部１３２１に位置しているが、このような位置関係に限定されるものではない。例えば、外側傾斜部１３２３や頂部１３２１、中央部１３１、外周部１３３に第１部分１３２２ａ（反射元）が位置していてもよい。また、外側傾斜部１３２３や内側傾斜部１３２２、中央部１３１、外周部１３３に第２部分１３２１ａ（反射先）が位置していてもよい。

　表示光生成装置１２２は、第１表示光Ｑ１を第２表示光Ｑ２に比べて低輝度になるよう制御する際に、明度、彩度および色相のいずれで調整してもよいし、これらの調整を組み合わせて設定してもよい。また、プロジェクタ１２０が有する光源の輝度を部分的に調整して設定してもよい。

　上記実施形態では、表示光生成装置１２２は、スクリーン１３０に投射される表示光のうちで、第１表示光Ｑ１を最低輝度にし、第２表示光Ｑ２を最高輝度になるよう制御したが、これに限定されるものではない。例えば、第１表示光Ｑ１が第２表示光Ｑ２よりも低輝度であれば、第１表示光Ｑ１は最低輝度でなくてもよいし、第２表示光Ｑ２を最高輝度でなくてもよい。

　上記各実施形態では、スクリーン１３０に対して視認者Ｍの反対側（裏面側）から表示光Ｑを入射させて、表示光Ｑがスクリーン１３０を透過して視認者Ｍの目に入るように、車両用表示装置は構成されている。これに対し、スクリーン１３０に対して視認者Ｍの側から表示光を入射させて、表示光がスクリーン１３０を反射して視認者Ｍの目に入るように構成してもよい。この構成であっても、スクリーン１３０の凹凸に起因した二重表示が生じる場合があるが、表示光生成装置１２２が第１表示光を第２表示光よりも低輝度になるよう制御することで二重表示を目立たなくすることができる。

　第３実施形態では、輝度を制御可能な表示光生成装置１２２がプロジェクタ１２０に設けられた構成とした。しかしながら、表示光生成装置１２２を、プロジェクタ１２０とは別体に設けてもよい。例えば、第１実施形態で説明したメータＥＣＵ４に輝度を制御する機能を持たせてもよい。また、第３実施形態では、表示光を生成する表示光生成装置１２２に輝度を制御する制御部としての機能を持たせたが、制御部を表示光生成装置１２２とは別に設けてもよい。

　（第４実施形態）
　次に、第４実施形態に係る車両用表示装置について、図１２～図１８を参照して説明する。第４実施形態では、立体視の促進を図った車両用表示装置を提供することにある。

　図１２に示すように、車両Ｖの室内のうちフロントウインドシールドＷの下方には、インストルメントパネル２０１が配置されている。インストルメントパネル２０１には、後に詳述する車両用表示装置が設置されるとともに、図示しないオーディオ装置やナビゲート装置等が設置されている。さらにインストルメントパネル２０１には、車両乗員（ユーザ）により手動操作される操作部材２０６が設置されている。なお、図１２中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル２０１に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　操作部材２０６は、各種装置の作動内容を設定するための部材である。例えば、自車両の走行速度が設定速度に自動で維持されるように走行駆動源の出力を自動制御する車速維持制御装置において、上記設定速度が操作部材２０６により設定されるように構成されている。図１４にも示すように、操作部材２０６は回転操作されるように構成されている。そして、ユーザによる操作部材２０６の回転操作量（回転角度）に基づき、車速維持制御装置に係る設定速度は設定される。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ２０２、反射鏡２０３およびスクリーン２１０を備える。プロジェクタ２０２は、車両情報、および操作部材２０６により入力された操作情報を表した画像の表示光Ｐ１を射出する。プロジェクタ２０２は拡大レンズ２０２ａを備えており、拡大レンズ２０２ａにより表示光Ｐ１の拡がる角度が調整される。

　上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。上記画像により表される「操作情報」の具体例としては、先述した車速維持制御装置に係る設定速度や、オーディオ装置の音量、ナビゲート装置の目的地、空調装置の設定温度等が挙げられる。

　反射鏡２０３は、プロジェクタ２から射出された表示光Ｐ１を、スクリーン２１０へ向けて反射する。図１２の例では、反射鏡２０３の反射面は平面形状である。スクリーン２１０は透光性を有する樹脂製の板であり、視認方向（図１３中の点線に示す方向）に凹凸した形状に形成されている。詳細には、スクリーン２１０は、凸部２１２が形成された肉厚均一の板形状である。凸部２１２は、視認者Ｍ側（手前側）に隆起した形状、かつ、視認者Ｍ側から見て円環状の形状である。

　図１３に示すように、スクリーン２１０は、上記凸部２１２に加え、以下に説明する中央部２１１および外周部２１３を有した形状である。中央部２１１は、スクリーン２１０の中央部分を構成し、円環状の凸部２１２の内周側に位置する。外周部２１３は、円環状の凸部２１２の外周側に位置する。中央部２１１および外周部２１３は、視認方向に対して垂直に拡がる平坦形状である。中央部２１１および外周部２１３は、凸部２１２よりも視認者Ｍから離れて位置するので、凹部であるとも言える。なお、本実施形態では、スクリーン２１０に対して垂直な方向が視認方向である。

　凸部２１２は、以下に説明する頂部２１２ａ、内側傾斜部２１２ｂおよび外側傾斜部２１２ｃを有する。内側傾斜部２１２ｂは、中央部２１１の外周端から視認者Ｍ側に向けて徐々に隆起するように傾斜した形状である。頂部２１２ａは、内側傾斜部２１２ｂの外周端から径方向に拡がる平坦形状である。外側傾斜部２１２ｃは、外周部２１３の内周端から視認者Ｍ側に向けて徐々に隆起するように傾斜した形状である。なお、凸部２１２は、「円形部」とも称される。

　図１２の説明に戻り、反射鏡２０３により反射された表示光Ｐ２は、スクリーン２１０のうち視認者Ｍに対して反対側（奥側）から手前側へ透過する。スクリーン２１０を透過した表示光Ｐ３は視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン２１０への表示光Ｐ２の投射により、スクリーン２１０に表示された画像がユーザにより視認される。

　プロジェクタ２０２には、電子制御装置（メータＥＣＵ２０４）から出力された映像信号が入力され、この映像信号に基づきプロジェクタ２０２は表示光Ｐ１を射出する。表示光Ｐ１（画像）は、車両情報や操作情報等に応じて変化する。つまり、上記映像信号は動画信号であり、スクリーン２１０に表示される画像は動画である。メータＥＣＵ２０４は、操作部材２０６により入力された操作情報、および車両に搭載された各種センサにより検出された車両情報を取得する。メータＥＣＵ２０４は、取得した車両情報および操作情報に応じた動画を表示させるための映像信号を生成して、プロジェクタ２０２に出力する。

　車両Ｖには、先述した車速維持制御装置（クルーズＥＣＵ２０５）が搭載されており、メータＥＣＵ２０４は、クルーズＥＣＵ２０５から車両情報を取得する。クルーズＥＣＵ５２０は、操作部材２０６により入力された設定速度（操作情報）をメータＥＣＵ２０４から取得する。メータＥＣＵ２０４は、映像信号の生成に要するデータ等が記憶された記憶装置と、映像信号の生成処理や、クルーズＥＣＵ２０５との通信処理等の各種演算処理を実行する演算処理装置と、を備える。

　図１４に示すように、スクリーン２１０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像（メータ画像２２０）である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する目盛り板２２１（目盛り板画像）、指針２２２（指針画像）およびダイヤル２２３（ダイヤル画像）である。なお、これらの目盛り板２２１、指針２２２およびダイヤル２２３は、実在する物体ではなく画像であり、「部品画像」とも称される。以下の説明では、これらの部品画像を単に目盛り板２２１、指針２２２およびダイヤル２２３と記載する。

　目盛り板２２１は、複数の目盛り２２１ａ（目盛り画像）、数字２２１ｂ（数字画像）およびシフトインジケータ２２１ｃ（シフトインジケータ画像）を有する。これらの目盛り２２１ａ、数字２２１ｂおよびシフトインジケータ２２１ｃについても、実在する印刷物ではなく画像であり、以下の説明では、これらを単に目盛り２２１ａ、数字２２１ｂおよびシフトインジケータ２２１ｃと記載する。そして、指針２２２は、回転して目盛り２２１ａを指示する。ダイヤル２２３は、複数の目盛り２２１ａを取り囲む環状の形状である。目盛り板２２１は、スクリーン２１０の中央部２１１および外周部２１３に表示される。指針２２２は中央部２１１に表示され、ダイヤル２２３は凸部２１２に表示される。したがって、ダイヤル２２３は目盛り板２２１よりも手前側に存在するように視認される。

　外側傾斜部２１２ｃと外周部２１３との境界線がダイヤル２２３の外周側の外形線に位置し、内側傾斜部２１２ｂと中央部２１１との境界線がダイヤル２２３の内周側の外形線に位置する。要するに、中央部２１１および外周部２１３と凸部２１２との境界線は、部品画像同士の境界線と一致する。

　そして、スクリーン２１０の中央部２１１および外周部２１３は同一の色で表示されており、その色とは異なる色で頂部２１２ａおよび傾斜部２１２ｂ、２１２ｃは表示される。これにより、ダイヤル２２３を径方向に跨ぐように目盛り板２２１が存在すると視認させ、かつ、目盛り板２２１の手前側にダイヤル２２３が存在するように視認させることが促進される。なお、内側傾斜部２１２ｂおよび外側傾斜部２１２ｃは、中央部２１１および外周部２１３の色から頂部２１２ａの色まで徐々に変化するようにグラデーション表示されている。

　頂部２１２ａには、ポインタ２２３ａおよび装飾部２２３ｂの画像が表示されている。これにより、ポインタ２２３ａおよび装飾部２２３ｂがダイヤル２２３に施されているように視認される。装飾部２２３ｂは、ダイヤル２２３の周方向に等間隔で複数並べて表示され、ポインタ２２３ａは、ダイヤル２２３の一箇所に表示されている。ダイヤル２２３は、目盛り板２２１に対して相対的に回転するように表示される。具体的には、ポインタ２２３ａおよび装飾部２２３ｂの表示位置を、回転方向に徐々に移動させていくことで、ダイヤル２２３が回転しているように視認させる。ポインタ２２３ａは、ダイヤル２２３とともに回転して目盛り２２１ａを指示する。

　メータＥＣＵ２０４は、操作部材２０６により入力された操作情報に応じて映像信号を生成する。具体的には、操作部材２０６がユーザにより回転操作されると、その回転操作量に応じた回転量でダイヤル２２３が回転するように、メータＥＣＵ２０４は映像信号を生成する。

　さらにメータＥＣＵ２０４は、取得した車両情報に応じて映像信号を生成する。具体的には、自車両の走行速度（以下、単に車速と呼ぶ）に応じた目盛り２２１ａを指示する位置に指針２２２が回転するように、メータＥＣＵ２０４は映像信号を生成する。また、自動変速機のシフトレンジを表した文字、数字または記号をシフトインジケータ２２１ｃに表示させるように、メータＥＣＵ２０４は映像信号を生成する。

　以下、図１４～図１６を用いて、車両情報および操作情報に応じた映像信号の変化、つまりメータ画像２２０の変化について説明する。

　図１４および図１５は、車速維持制御装置に係る設定速度をダイヤル２２３の回転位置で表示する車速設定モードにおける、メータ画像２２０の一態様を示す。車速設定モードでは、操作部材２０６の回転操作に伴いダイヤル２２３が回転し、ポインタ２２３ａが目盛り２２１ａを指示する。そして、ポインタ２２３ａが指示する車速に、車速維持制御装置に係る設定速度が設定される。

　例えば、図１４に示すメータ画像２２０では、ポインタ２２３ａが指示する３１ｋｍ／ｈに設定速度が設定されている。そして、車速維持制御装置が走行速度を設定速度に維持させるように機能した結果、実際の車速も３１ｋｍ／ｈになり、指針２２２が３１ｋｍ／ｈを指示している。

　この状態で、操作部材２０６が時計回りの向きに回転操作されると、ダイヤル２２３も時計回りの向きに徐々に回転していき、図１５に示すメータ画像に変化する。ダイヤル２２３の回転速度は、操作部材２０６の回転速度と同一である。要するに、操作部材２０６の回転速度に応じてダイヤル２２３の回転速度も変化する。また、ダイヤル２２３が回転する向きは、操作部材２０６が回転操作された向きと同一である。

　図１５に示すメータ画像２２０では、ポインタ２２３ａが指示する５２ｋｍ／ｈに設定速度が設定されている。そして、車速維持制御装置が走行速度を設定速度に維持させるように機能した結果、実際の車速も５２ｋｍ／ｈになり、指針２２２が５２ｋｍ／ｈを指示している。

　図１６は、自動変速機のシフトレンジの設定状態をダイヤル２２３の回転位置で表示するシフト表示モードにおける、メータ画像２２０の一態様を示す。シフト表示モードでは、車速設定モード時に表示されていたシフトインジケータ２２１ｃ（図１５参照）が、シフト選択インジケータ２２１ｄ（図１６参照）に切り替わる。シフト選択インジケータ２２１ｄには、各々のシフトレンジを示すレンジ表示部２２１ｅが表示される。そして、ユーザがシフトレンジを変更操作すると、複数のレンジ表示部２２１ｅのうち変更操作されたシフトレンジに対応するレンジ表示部２２１ｅを、ポインタ２２３ａが指示する。

　なお、図１８は、ステアリング装置２０７に取り付けられているシフトレバー２０６Ａを示しており、シフトレバー２０６Ａをユーザが操作することで、シフトレンジが変更するように自動変速機は作動する。シフトレバー２０６Ａは、「操作部材」とも称される。

　例えば、車速設定モードの状態でユーザがシフトレバー２０６Ａに触れると、メータ画像２２０はシフト表示モードに切り替わる。そして、例えばシフトレンジがドライブ（Ｄ）からニュートラル（Ｎ）に操作されると、図１６に示すメータ画像２２０になる。詳細には、シフトレバー２０６Ａの操作内容に応じてダイヤル２２３が回転し、操作後のシフトレンジ（ニュートラル（Ｎ））をポインタ２２３ａが指示する。なお、シフト表示モードにおける指針２２２は、車速設定モードの場合と同様にして車速に応じて回転する。

　また、図１７に示すようにダイヤル２２３を消灯させたメータ画像２２０にすることも可能である。例えば、車速維持制御装置による車速制御機能を停止させている場合や、シフトレンジを変更する操作が所定時間以上なされていない場合に、メータＥＣＵ２０４はダイヤル２２３を消灯させる。ダイヤル２２３を消灯させている時には、中央部２１１または外周部２１３と同一の色で凸部２１２を表示することで、スクリーン２１０のうち、中央部２１１、外周部２１３および凸部２１２の全体に目盛り板２２１が存在するように視認させる。なお、図１７の例では、ダイヤル２２３消灯時には凸部２１２を外周部２１３と同一の色で表示するとともに、外周部２１３を中央部２１１とは異なる色で表示している。

　そして、ダイヤル２２３消灯時にシフトレバー２０６Ａまたは操作部材２０６にユーザが触れると、メータＥＣＵ２０４は、消灯させていたダイヤル２２３を点灯させるようにメータ画像２２０を変化させる。

　なお、車速設定モードおよびシフト表示モードの各々は、「第１表示モード」および「第２表示モード」とも称される。そして、車速設定モードで表示される設定速度は「第１の操作情報」、シフト表示モードで表示されるシフトレンジは「第２の操作情報」ともそれぞれ称される。

　＜特徴１＞
　本実施形態によれば、スクリーン２１０は視認方向に凹凸した形状であるため、スクリーン２１０に表示されるメータ画像２２０を立体的に視認させることを促進できる。つまり、メータ画像２２０により表現されている仮想のメータ装置が、実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。詳細には、凸部２１２にダイヤル２２３を表示させ、中央部２１１および外周部２１３に目盛り板２２１を表示させるので、ダイヤル２２３が目盛り板２２１より手前側に突出した立体部品であるかのように錯覚させることを促進できる。

　その上で、さらに本実施形態では、メータ画像２２０の所定部分２２３の画像は、操作部材２０６、２０６Ａに連動して表示される。つまり、操作部材２０６、２０６Ａによる入力に応じてダイヤル２２３が回転するように、メータ画像を変化させる。よって、ダイヤル２２３がユーザの操作内容に応じて回転しているように視認されることとなり、その結果、そのダイヤル２２３および目盛り板２２１が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。

　＜特徴２＞
　本実施形態に係る車両用表示装置が表示する画像は、車両情報を示すメータ装置を表したメータ画像２２０である。メータ画像２２０は、複数の部品画像、つまり目盛り板２２１、指針２２２およびダイヤル２２３の画像を組み合わせて表示される。そして、メータ画像２２０のうち、連動表示される所定部分は、複数の部品画像のうちの少なくとも１つである。具体的には、メータ装置を構成する１部品であるダイヤル２２３が、操作部材２０６、２０６Ａの入力に応じて変化する。

　これによれば、複数の部品２２１、２２２、２２３が組み合わさって見えるようにメータ装置を立体表示させるにあたり、ユーザの操作に連動して部品（ダイヤル２２３）が動いて見えるように立体表示される。そのため、メータの構成部品、つまり目盛り板２２１、指針２２２およびダイヤル２３が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。

　＜特徴３＞
　本実施形態では、車両用表示装置により表示されるメータ画像２２０は、指針画像２２２が回転して目盛り画像２２１ａを指示することで車両情報を表す画像である。そして、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は、回転して目盛り画像２２１ａを指示することで操作情報を表す。具体的には、車両情報の表示に用いる目盛り２２１ａを、操作情報の表示にも用いる。

　これによれば、車両情報（車速）と操作情報（設定速度）との関係をユーザが認識し易くなる。具体的には、実際の車速に対して設定速度の値は大きいのか小さいのか、および実際の車速と設定速度との差分を、ユーザが瞬時に把握できるようになる。

　＜特徴４＞
　本実施形態に係るスクリーン２１０には、円環形状に突出した円形部（凸部２１２）が形成されている。そして、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は、凸部２１２に表示されるとともに、操作部材２０６、２０６Ａによる入力に応じて凸部２１２の円環中心周りに回転して表示される。

　これによれば、凸部２１２に所定部分を表示させることで所定部分の立体表示を促進でき、かつ、その立体表示の状態を維持させたまま所定部分が動く画像にできる。例えば、ダイヤル２２３を凸部２１２の全体に表示させることを維持させたまま、ダイヤル２２３を回転表示させることが可能になる。よって、所定部分（ダイヤル２２３）が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。

　＜特徴５＞
　本実施形態に係る操作部材２０６は、回転操作されるように構成される。そして、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は、操作部材２０６により入力された回転操作量に応じた回転量で回転表示される。

　これによれば、所定部分の動きが回転であり、操作部材２０６の操作も回転であるため、実在する所定の部品がユーザの回転操作により回転しているかのように錯覚させることを促進できる。また、所定部分の動きを見ながら、操作部材２０６の回転操作量を調整するにあたり、その調整の操作性を向上できる。

　＜特徴６＞
　本実施形態では、スクリーン２１０表示される画像は、第１の操作情報を表す第１表示モードと、第２の操作情報を表す第２表示モードとに切り替え可能に表示される。具体的には、メータ画像２２０は、設定速度を表す車速設定モードと、シフトレンジを表すシフト表示モードとに切り替え可能に表示される。そして、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は、第１表示モードおよび第２表示モードのいずれにおいても、スクリーン２１０のうち共通した部分（凸部２１２）に表示されている。

　これによれば、スクリーン２１０の凹凸により立体表示された所定部分が、第１表示モードおよび第２表示モードで共用される。よって、連動させる所定部分２２３の表示場所に凹凸を形成するにあたり、その凹凸形成箇所を少なくできる。

　（第５実施形態）
　上記第４実施形態では、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は回転するように表示される。これに対し、本実施形態では、連動表示される所定部分を、図１９に示すバー表示部２２４としている。なお、図１９中に示すダイヤル２２３は、本実施形態では回転しない。

　バー表示部２２４は、複数のバー２２４ａを並べて構成されており、操作部材２０６、２０６Ａに連動して点灯と消灯とに切り替えられる。或いは、操作部材２０６、２０６Ａに連動して輝度が変化するように切り替えられる。例えば、操作部材２０６、２０６Ａの操作量に応じて、複数のバー２２４ａのうち点灯させるバー２２４ａの数を変化させる。或いは、車両乗員に警告報知させたい場合に、バー表示部２２４を点灯させる。

　スクリーン２１０Ａのうち、バー２２４ａが表示される部分は、他の部分に比べて手前側に突出している。これにより、バー２２４ａは立体的に視認される。図１９の例では、スクリーン２１０Ａに、メータ画像２２０および背景画像２１４が表示されている。バー表示部２２４は、メータ画像２２０の外側であって、背景画像２１４中に位置する。

　以上により、本実施形態によれば、所定部分２４の表示態様を操作部材２０６、２０６Ａによる入力に応じて変化させるにあたり、スクリーン２１０Ａの凸部にバー表示部２２４を表示させるので、バー表示部２２４が目盛り板２２１より手前側に突出した立体部品であるかのように錯覚させることを促進できる。

　その上で、さらに本実施形態では、バー表示部２２４が、操作部材２０６、２０６Ａに連動して表示変化する。よって、バー表示部２２４がユーザの操作内容に応じて変化しているように視認されることとなり、その結果、そのバー表示部２２４および目盛り板２１が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。

　（第４および第５実施形態の変更例）
　本開示は上記第４および第５実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　上記第４実施形態では、操作部材２０６による入力に応じて変化する画像を表示させる「円形部」に、円環形状に突出した形状の凸部２１２を適用させている。これに対し、円柱形状に突出した凸部を「円形部」として適用させてもよい。

　上記第４実施形態では、操作部材２０６の回転操作量とダイヤル２２３の回転量とを一致させているが、一致していなくてもよい。例えば、操作部材２０６を９０度回転させるとダイヤル２２３が４５度回転するように連動表示させてもよい。

　上記第４実施形態では、連動表示される所定部分（ダイヤル２２３）は回転するように表示される。これに対し、所定部分の表示態様を操作部材による入力に応じて変化させるにあたり、所定部分がスライド移動するように連動表示させてもよい。

　上記第４実施形態では、プロジェクタ２から射出された表示光Ｐ１を、反射鏡２０３で反射させてスクリーン２１０へ入射させている。これに対し、反射鏡２０３を廃止して、プロジェクタ２０２から射出された表示光Ｐ１をスクリーン２１０へ直接入射させるようにしてもよい。

　上記第４および第５実施形態では、車両用表示装置により表示される画像をメータ画像２２０としている。これに対し、本開示に係る画像はメータ画像２２０に限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション装置による地図の画像であってもよい。この場合、例えば、地図上における自車両の位置が車両情報に相当し、地図上における目的地の位置が操作情報に相当する。

　上記第４実施形態では、スクリーン２１０のうちダイヤル２２３を表示させる部分を、視認者Ｍ側に突出させているが、この部分を視認者Ｍの反対側に凹ませるように構成してもよい。つまり、スクリーン２１０の凹凸を逆向きにして、「所定部分」を凹部としてもよい。

　上記第４実施形態では、回転操作される操作部材２０６により、車速維持制御装置に係る設定速度は設定される。これに対し、ステアリング装置２０７に取り付けられているレバーにより設定速度が設定される構成であってもよい。また、プッシュ式のボタンを操作部材として適用してもよい。

　上記第４実施形態に係るメータ画像２２０は、指針２２２により車速を表しているが、エンジン回転速度や、走行距離、燃料残量等の車両情報を表すようにメータ画像２２０を構成してもよい。

　図１５に示す例では、反射鏡２０３の反射面は平面形状であるが、反射鏡２０３は、表示光Ｐ１を拡大して反射する拡大鏡であってもよい。

　上記第４実施形態では、映像信号の生成に要するデータが記憶された記憶装置、および映像信号を生成する演算処理装置を、メータＥＣＵ２０４が備えている。これに対し、これらの記憶装置および演算処理装置をプロジェクタ２０２が備えていてもよい。

　第４または第５実施形態に記載の車両用表示装置は、以下のごとく限定可能である。
（１）車両情報、および操作部材（２０６、２０６Ａ）により入力された操作情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタ（２０２）と、前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーン（２１０、２１０Ａ）と、を備え、前記スクリーンは、前記画像が視認される方向に凹凸した形状に形成されており、前記画像のうち、前記スクリーンの凹凸形状部分に投射されている所定部分（２２３、２２４）の表示態様が、前記操作部材による入力に応じて変化する車両用表示装置。

　上記（１）の車両用表示装置によれば、スクリーンは視認方向に凹凸した形状であるため、スクリーンに表示される画像を立体的に視認させることを促進できる。つまり、画像により表現されている仮想物体（例えば車速メータ装置）が、実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。

　その上で、「画像のうち、スクリーンの凹凸形状部分に投射されている所定部分の表示態様が、操作部材による入力に応じて変化する」といった構成を備える。よって、上記仮想物体の一部がユーザの操作内容に応じて変化しているように視認されることとなり、その結果、その仮想物体が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。
（２）前記画像は、前記車両情報を示すメータ装置を表したメータ画像（２２０）を含み、前記メータ画像は、複数の部品画像（２２１、２２２、２２３）を組み合わせて表示され、前記所定部分は、前記複数の部品画像のうちの少なくとも１つである上記（１）に記載の車両用表示装置。
（３）前記メータ画像は、指針画像（２２２）が回転して目盛り画像（２２１ａ）を指示することで前記車両情報を表す画像であり、前記所定部分は、回転して前記目盛り画像を指示することで前記操作情報を表す上記（２）に記載の車両用表示装置。

　（４）前記スクリーンには、円環形状または円柱形状に突出または凹んだ円形部（２１２）が形成されており、前記所定部分は、前記円形部に表示されるとともに、前記操作部材による入力に応じて前記円形部の中心周りに回転して表示される上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（５）前記操作部材は回転操作されるように構成され、前記所定部分は、前記操作部材により入力された回転操作量に応じた回転量で回転表示される上記（４）に記載の車両用表示装置。

　（６）前記スクリーンに表示される画像は、第１の前記操作情報を表す第１表示モードと、第２の前記操作情報を表す第２表示モードとに切り替え可能に表示され、前記所定部分は、前記第１表示モードおよび前記第２表示モードのいずれにおいても、前記スクリーンのうち共通した部分に表示されている上記（１）～（５）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（第６実施形態）
　次に、第６実施形態に係る車両用表示装置について、図２０～図２２を参照して説明する。第６実施形態の車両表表示装置では、スクリーンの裏側に構造物を配置することを容易に実現できることを目的とするものである。図２０に示すインストルメントパネル３１０は、車両の室内のうちフロントウインドシールドの下方に配置されている。インストルメントパネル３１０には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図２０中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル３１０に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ３２０、スクリーン３３０、指針３４１等を備える。プロジェクタ３２０は、車両情報を表した画像の表示光Ｐ１を射出する。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　スクリーン３３０は光の反射面３３０ａを有する樹脂製の板であり、視認方向（図中の矢印Ｐ２に示す方向）に凹凸した形状に形成されている。なお、反射面３３０ａは、スクリーン３３０の視認される側（視認者Ｍ側）の面全体である。スクリーン３３０は、凸部３３２が形成された肉厚均一の板形状である。凸部３３２は、視認者Ｍ側に隆起した形状、かつ、視認者Ｍ側から見て円環状の形状である（図２２参照）。

　図２１に示すように、スクリーン３３０は、上記凸部３３２に加え、以下に説明する中央部３３１および外周部３３３を有した形状である。中央部３３１は、スクリーン３３０の中央部分を構成し、円環状の凸部３３２の内周側に位置する。外周部３３３は、円環状の凸部３３２の外周側に位置する。中央部３３１および外周部３３３は、視認方向に対して垂直に拡がる平坦形状である。中央部３３１および外周部３３３は、凸部３３２よりも視認者Ｍから離れて位置するので、凹部であるとも言える。なお、本実施形態では、スクリーン３３０に対して垂直な方向が上記「視認方向」である。

　凸部３３２は、以下に説明する頂部３３２ａ、内側傾斜部３３２ｂおよび外側傾斜部３３２ｃを有する。内側傾斜部３３２ｂは、中央部３３１の外周端から視認者Ｍ側に向けて徐々に隆起するように傾斜した形状である。頂部３３２ａは、内側傾斜部３３２ｂの外周端から径方向に拡がる平坦形状である。外側傾斜部３３２ｃは、外周部３３３の内周端から視認者Ｍ側に向けて徐々に隆起するように傾斜した形状である。

　図２０の説明に戻り、プロジェクタ３２０から射出された表示光Ｐ１は、スクリーン３３０の視認者Ｍ側から反射面３３０ａに入射し、該反射面３３０ａにより視認者Ｍ側へ反射される。反射面３３０ａで反射された表示光Ｐ２は、視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン３３０への表示光Ｐ１の投射により、スクリーン３３０に表示された画像がユーザにより視認される。なお、インストルメントパネル３１０の開口部３１０ａに透光性を有するカバー３１１が取り付けられており、このカバー３１１を透過して表示光Ｐ２は視認者Ｍの目に入る。

　プロジェクタ３２０は、以下に説明する光学歪レンズ３２１、表示光生成装置３２２および図示しない光源を備える。表示光生成装置３２２は、光源の光を液晶パネルに透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。或いは、高速回転するカラーフィルタに光源の光を透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。

　表示光生成装置３２２により生成された画像には歪みが生じていない。このような画像に歪みを生じさせるのが光学歪レンズ３２１である。ここで、スクリーン３３０へ投射される表示光Ｐ１は、視認方向に対して平行にはならない。よって、画像の歪みのない表示光をスクリーン３３０へ投射すると、歪んだ画像が視認されることになる。これに対し本実施形態では、上記光学歪レンズ３２１により画像を歪ませておくので、スクリーン３３０で反射した表示光Ｐ２の画像には歪みが含まれないようにできる。

　また、スクリーン３３０に形成された凹凸により、表示光Ｐ１による凸部３３２の影がスクリーン３３０上に生じないように、表示光Ｐ１の投射角度およびスクリーン３３０の凹凸形状は設定されている。例えば、図２１中の符号Ｐａに示す角度で凸部３３２に表示光Ｐ１が投射されると、スクリーン３３０のうち符号Ｑに示す部分に凸部３３２の影が生じてしまう。一方、符号Ｐｂに示す角度で凸部３３２に表示光Ｐ１が投射されれば、スクリーン３３０に影が生じることはない。このように、凸部３３２への投射角度と凸部３３２の形状は、上記影が生じないように設定されている。

　なお、スクリーン３３０のうち視認方向に垂直な方向、つまり図２１の例では中央部３３１および外周部３３３の反射面３３０ａに沿う方向Ｐｓに対する、凸部３３２への表示光Ｐ１の投射角度は、「投射角度」とも称される。また、図２０中の点線に示す範囲で表示光Ｐ１がスクリーン３３０に投射されるように、表示光Ｐ１の出射角度θは設定されている。

　スクリーン３３０の視認者Ｍ側（表側）には指針３４１が配置されている。指針３４１の回転中心側の端部はボス３４２に取り付けられている。これらの指針３４１およびボス３４２は画像ではなく、樹脂成形された実物である。ボス３４２には回転軸３４３が取り付けられている。回転軸３４３は、スクリーン３３０の中央部３３１に形成された貫通穴３３１ａに挿入され、スクリーン３３０の表側から裏側（視認者Ｍ側の反対側）にかけて配置されている。回転軸３４３は電動のモータ３４４により回転する。

　スクリーン３３０の裏側には、回路基板３４５が配置されている。スクリーン３３０および回路基板３４５は、所定間隔を空けて平行に並べて配置されている。回路基板３４５には、先述したモータ３４４、発光ダイオード等の光源３４７、およびマイクロコンピュータ（マイコン３４６）が実装されている。光源３４７は複数実装されており、スクリーン３３０の所定部分（図２２の符号３３１ｂに示す部分）に対向する位置に配置されている。したがって、各々の光源３４７は、スクリーン３３０に設けられた上記所定部分を透過照明することができる。モータ３４４および光源３４７はマイコン３４６により駆動制御される。なお、モータ３４４は「駆動装置」とも称され、光源３４７は「照明装置」とも称される。

　図２２に示すように、スクリーン３３０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像（メータ画像Ｄ）である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する目盛り板Ｄ３１０（目盛り板画像）およびダイヤルＤ３２０（ダイヤル画像）である。これらの目盛り板Ｄ３１０およびダイヤルＤ３２０は、実在する部品ではなく画像（部品画像）である。

　目盛り板Ｄ３１０の表示領域には、複数の目盛りＤ３１１（目盛り画像）および数字Ｄ３１２（数字画像）が表示されている。これらの目盛りＤ３１１および数字Ｄ３１２についても、実在する印刷物ではなく画像であり、以下の説明では、これらを単に目盛りＤ３１１および数字Ｄ３１２と記載する。そして、指針３４１は、回転して目盛りＤ３１１を指示する。

　ダイヤルＤ３２０は、複数の目盛りＤ３１１および指針３４１を取り囲む環状の形状である。目盛り板Ｄ３１０は、スクリーン３３０の中央部３３１および外周部３３３に表示される。したがって、ダイヤルＤ３２０は目盛り板Ｄ３１０よりも表側に存在するように視認される。外側傾斜部３３２ｃと外周部３３３との境界線がダイヤルＤ３２０の外周側の外形線に位置し、内側傾斜部３３２ｂと中央部３３１との境界線がダイヤルＤ３２０の内周側の外形線に位置する。要するに、中央部３３１および外周部３３３と凸部３３２との境界線は、部品画像同士の境界線と一致する。

　そして、スクリーン３３０の中央部３３１および外周部３３３は同一の色で表示されており、その色とは異なる色で頂部３３２ａおよび傾斜部３３２ｂ、３３２ｃは表示される。これにより、ダイヤルＤ３２０を径方向に跨ぐように目盛り板Ｄ３１０が存在すると視認させ、かつ、目盛り板Ｄ３１０の表側にダイヤルＤ３２０が存在するように視認させることができる。なお、内側傾斜部３３２ｂおよび外側傾斜部３３２ｃは、中央部３３１および外周部３３３の色から頂部３３２ａの色まで徐々に変化するようにグラデーション表示されている。

　目盛り板Ｄ３１０の表示領域、つまりスクリーン３３０の中央部３３１には、警告内容を表した記号または文字が、印刷により表されている。具体的には、透光性を有した材質でスクリーン３３０は形成され、スクリーン３３０の裏側の面には遮光性の塗料が印刷されている。この印刷は、警告表示部３３１ｂ以外の部分に施す。したがって、光源３４７を点灯させると警告表示部３３１ｂが透過照明される。その結果、目盛り板Ｄ３１０の表示領域の中に、印刷されていない警告表示部３３１ｂの形状が視認されるようになる。

　但し、光源３４７の消灯時には、警告表示部３３１ｂが視認されないように、警告表示部３３１ｂに投射される表示光の輝度、明度、色相、彩度等が設定されている。なお、図２１は、プロジェクタ３２０から表示光Ｐ１を出射させつつ、全ての光源３４７を点灯させている時の表示態様を示す。

　車両に搭載された内燃機関の作動を制御する電子制御装置等、マイコン３４６とは別の電子制御装置（図示せず）が、各種センサの検出値に基づき車両情報を算出する。マイコン３４６は、その電子制御装置から車両情報を取得し、取得した車両情報に応じてモータ３４４および光源３４７の駆動を制御する。例えば、マイコン３４６は、車両情報として取得した車速に応じて、その車速を表す目盛りＤ３１１を指示する位置に指針３４１を回転させる。また、取得した車両情報に、車両に異常が生じている旨を示す異常信号が含まれている場合には、マイコン３４６は光源３４７を点灯させる。

　＜特徴１＞
　本実施形態によれば、スクリーン３３０は視認方向に凹凸した形状であるため、スクリーン３３０に表示されるメータ画像Ｄを立体的に視認させるようにできる。つまり、メータ画像Ｄにより表現されている仮想のメータ装置が、実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。詳細には、スクリーン３３０の凸部３３２にダイヤルＤ３２０を表示させ、中央部３３１および外周部３３３に目盛り板Ｄ３１０を表示させる。そのため、ダイヤルＤ３２０が目盛り板Ｄ３１０より手前側に突出した立体部品であるかのように錯覚させることを促進できる。

　その上で、さらに本実施形態では、プロジェクタ３２０をスクリーン３３０の表側に配置し、スクリーン３３０の表側から表示光を投射するので、表示光Ｐ１の光路がスクリーン３３０の裏側には位置しなくなる。よって、スクリーン３３０の裏側に構造物を配置しても、その構造物により表示光Ｐ１が遮られることはない。そのため、スクリーン３３０の裏側にモータ３４４、光源３４７および回路基板３４５等の構造物をスクリーン３３０の裏側に配置できるようになる。

　＜特徴２＞
　本実施形態では、上記構造物としての駆動装置（モータ３４４）がスクリーン３３０の裏側に配置され、そのモータ３４４により回転駆動される指針３４１がスクリーン３３０の表側に配置されている。

　これによれば、仮想の目盛り板Ｄ３１０およびダイヤルＤ３２０と、実物の指針３４１とが組み合わさってメータ画像Ｄが表現される。よって、目盛り板Ｄ３１０およびダイヤルＤ３２０が実物であるかのように錯覚させることを促進できる。特に、表示光Ｐ１による指針３４１の影が視認されやすいように目盛り板Ｄ３１０の表示光を設定（例えば高明度または高輝度に設定）すれば、メータ画像Ｄをより一層リアルに視認させることができる。それでいて、プロジェクタ３２０から出射させる表示光Ｐ１を変更するだけで、メータ画像Ｄの表示態様を容易に変更できる。

　＜特徴３＞
　本実施形態では、上記構造物としての照明装置（光源３４７）がスクリーン３３０の裏側に配置され、その光源３４７により、スクリーン３３０の所定部分（警告表示部３３１ｂ）が透過照明される。これによれば、プロジェクタ３２０による表示光Ｐ１と光源３４７による透過照明光とが組み合わさって、メータ画像Ｄが表現される。よって、表現の多様性を向上できる。

　＜特徴４＞
　本実施形態に係る照明装置（光源３４７）は、車両に異常が生じた場合に透過照明する。これによれば、プロジェクタ３２０が故障して表示光Ｐ１を投射できなくなった場合であっても、車両に異常が生じた旨を光源３４７による透過照明で、視認者Ｍに報知することができる。

　＜特徴５＞
　本実施形態では、スクリーン３３０に形成された凹凸の影が生じないように、表示光Ｐ１の投射角度およびスクリーン３３０の凹凸形状が設定されている。具体的には、凸部３３２への投射角度と凸部３３２の形状は、凸部３３２の影がスクリーン３３０上に生じないように設定されている。そのため、上記影により見栄えが損なわれることを回避しつつ、スクリーン３３０に凹凸を形成してメータ画像Ｄの立体視認促進を図ることができる。

　（第７実施形態）
　上記第６実施形態では、プロジェクタ３２０は、インストルメントパネル３１０の開口部３１０ａの上側に配置されており、スクリーン３３０の上側から表示光Ｐ１を投射している。これに対し本実施形態では、図２３に示すように、プロジェクタ３２０は、開口部３１０ａの下側に配置されており、スクリーン３３０の下側から表示光Ｐ１を投射している。

　プロジェクタ３２０の配置以外の構成については、本実施形態に係る車両用表示装置は上記第６実施形態と同様である。したがって、本実施形態によっても上記第６実施形態と同様の効果が発揮される。

　（第８実施形態）
　上記第６および第７実施形態では、プロジェクタ３２０から出射された表示光Ｐ１を直接スクリーン３３０に投射させている。これに対し本実施形態では、図２４に示すように、プロジェクタ３２０から射出された表示光Ｐ１をスクリーン３３０へ向けて反射する反射鏡３５０を備えている。反射鏡３５０で反射された表示光Ｐ１’は、上記第７実施形態に係る表示光Ｐ１と同様にしてスクリーン３３０に投射される。

　なお、反射鏡３５０には拡大鏡が採用されている。また、上記第６および第７実施形態では、プロジェクタ３２０の全体がスクリーン３３０の表側に位置しているが、本実施形態では、プロジェクタ３２０の一部がスクリーン３３０の裏側に位置している。プロジェクタ３２０の位置および反射鏡３５０以外の構成については、本実施形態に係る車両用表示装置は上記第７実施形態と同様である。

　以上により、本実施形態では反射鏡３５０を備えるので、プロジェクタ３２０からスクリーン３３０までの光路距離を長くできる。そのため、表示光Ｐ１の出射角度θを小さくできるので、光学歪レンズ３２１により歪ませた画像をスクリーン３３０に投射して、歪みのない画像を表示することを高精度で実現できるようになる。

　（第６～第８実施形態の変更例）
　本開示は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　上記各実施形態では、プロジェクタ３２０は、表示光Ｐ１を変化させずに出射し続けており、静止画像を表示させている。これに対し、表示光Ｐ１を変化させて動画を表示させてもよい。また、静止画像および動画のいずれを表示させる場合においても、異なるデザインのメータ画像Ｄを切り替えて表示するようにしてもよい。例えば、目盛り板Ｄ３１０やダイヤルＤ３２０の色を徐々に変化させたり、切り替えて変化させたりしてもよい。また、ダイヤルＤ３２０を消灯させたり、点滅させたりしてもよい。

　警告表示部３３１ｂを表示させている時と非表示の時とで、目盛り板Ｄ３１０やダイヤルＤ３２０の表示態様を変化させてもよい。例えば、警告表示部３３１ｂを表示させていない時には目盛り板Ｄ３１０やダイヤルＤ３２０を青色で表示する。一方、警告表示部３３１ｂを表示させている時には、目盛り板Ｄ３１０やダイヤルＤ３２０を赤色で表示したり、点滅させたりする。

　上記第６実施形態では、複数の目盛りＤ３１１は目盛り板Ｄ３１０の表示領域に表示されているが、ダイヤルＤ３２０の表示領域に表示されていてもよい。

　上記各実施形態では、車両用表示装置により表示される画像をメータ画像Ｄとしている。これに対し、本開示に係る画像はメータ画像Ｄに限定されるものではなく、例えば、ナビゲーション装置による地図の画像であってもよい。この場合、例えば、地図上における自車両の位置が車両情報に相当する。

　上記第６実施形態では、スクリーン３３０のうちダイヤルＤ３２０を表示させる部分を、スクリーン３３０の表側に突出させているが、この部分を裏側に凹ませるように構成してもよい。つまり、スクリーン３３０の凹凸を逆向きにしてもよい。

　上記各実施形態では、スクリーン３３０のうち凹凸が形成されていない部分（平坦部分）が拡がる方向（図２１中の符号Ｐｓ参照）に対して垂直な方向が、視認方向として想定されている。そして、スクリーン３３０が視認方向に凹凸した形状であることの一例として、上記各実施形態では、視認方向のうち視認者Ｍ側へ隆起した凸部３３２を有した形状を挙げている。これに対し、平坦部分が拡がる方向Ｐｓに対して鋭角または鈍角となる方向が視認方向であってもよい。この場合、平坦部分が拡がる方向Ｐｓに対して鋭角または鈍角となる方向に凸部が隆起する。

　上記第６実施形態では、光源３４７により透過照明される所定部分を除き、スクリーン３３０の裏側の面には遮光性塗料が印刷されている。これに対し、このような印刷を廃止して、スクリーン３３０の裏側の面に、以下に説明する意匠シートを配置してもよい。意匠シートは、透光性の樹脂製シートにより形成され、上記所定部分に対向する部分を除き遮光性塗料が印刷されたものである。

　上記各実施形態では、実物の指針３４１およびモータ３４４を備えているが、これらの指針３４１およびモータ３４４を廃止して、表示光Ｐ１により指針をスクリーン３３０に表示させてもよい。

　上記各実施形態では、警告表示部３３１ｂを光源３４７により透過照明しているが、この光源３４７を廃止して、表示光Ｐ１により警告画像をスクリーン３３０に表示させてもよい。

　図２４に示す例では、反射鏡３５０は、表示光Ｐ１を拡大して反射する拡大鏡である。これに対し、反射面が平面形状であり拡大させない反射鏡３５０を採用してもよい。

　第６～第８実施形態に係る車両用表示装置は、以下のごとく限定可能である。
（１）車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタ（３２０）と、前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーン（３３０）と、を備え、前記スクリーンは、前記画像が視認される方向に凹凸した形状に形成されており、前記表示光は、前記スクリーンに対して視認される側から該スクリーンへ投射される車両用表示装置。

　上記（１）によれば、表示光は、スクリーンに対して視認される側（表側）から投射されるので、表示光の光路がスクリーンの裏側に位置しないようにできる。よって、表示光を遮ることのないようにスクリーンの裏側に構造物を配置することを、容易に実現できる。

　（２）前記スクリーンに対して視認される側に配置される指針（３４１）と、前記スクリーンに対して視認される側の反対側に配置され、前記指針を回転駆動させる駆動装置（３４４）と、を備える上記（１）に記載の車両用表示装置。

　（３）前記スクリーンに対して視認される側の反対側に配置され、前記スクリーンの所定部分を透過照明する照明装置（３４７）を備える上記（１）または（２）に記載の車両用表示装置。

　（４）前記照明装置は、車両に異常が生じた場合に透過照明する上記（３）に記載の車両用表示装置。

　（５）前記プロジェクタから射出された表示光を、前記スクリーンへ向けて反射する反射鏡（３５０）を備える上記（１）～（４）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（６）前記スクリーンに形成された凹凸の影が生じないように、前記表示光の投射角度および前記スクリーンの凹凸形状が設定されている上記（１）～（５）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（第９実施形態）
　次に、第９実施形態に係る車両用表示装置について、図２５～図２８を参照して説明する。第９実施形態の車両用表装置では、凹凸を有するスクリーンに指針式のメータ画像を表示させるにあたり、指針画像の歪みを容易に抑制することを目的とする。図２５に示すインストルメントパネル４１０は、車両の室内のうちフロントウインドシールドの下方に配置されている。インストルメントパネル４１０の開口部４１０ａに取り付けられた透光カバー４１１の裏側には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図２５中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル４１０に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ４２０、スクリーン４３０および反射鏡４４０を備える。プロジェクタ４２０は、車両情報を表した画像の表示光Ｐを射出する。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　電子制御装置（以下、メータＥＣＵ４１２と記載）は、他の電子制御装置と通信可能に接続されている。他の電子制御装置が各種センサに基づき演算した上記車両情報を、メータＥＣＵ４１２は通信により取得する。メータＥＣＵ４１２は、取得した車両情報に基づきプロジェクタ４２０の作動を制御する。例えば、所定時間毎に逐次取得した車速情報を、メータＥＣＵ４１２はプロジェクタ４２０へ送信する。プロジェクタ４２０は、メータＥＣＵ４１２から送信された車速情報を表示する画像の表示光Ｐを射出する。

　プロジェクタ４２０は、以下に説明する拡大レンズ４２１、表示光生成装置４２２（制御部）および図示しない光源を備える。表示光生成装置４２２は、光源の光を液晶パネルに透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。或いは、高速回転するカラーフィルタに光源の光を透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。更に、表示光生成装置４２２は、表示光の輝度を制御する。すなわち、表示生成装置４２２は、表示光をの輝度を制御することで、後述するように、スクリーン４３０に表示される画像の輝度を制御する。表示光生成装置４２２により生成された画像の光は、拡大レンズ４２１によって拡大された後、上記表示光Ｐとしてプロジェクタ４２０から射出される。

　反射鏡４４０は、プロジェクタ４２０から射出された表示光Ｐを、スクリーン４３０へ向けて反射する。図２５の例では、反射鏡４４０の反射面は凸形状であり、表示光Ｐを拡大して反射する。反射鏡４４０により反射された表示光Ｑは、スクリーン４３０のうち視認者Ｍに対して反対側（奥側）から手前側へ透過する。スクリーン４３０を透過した表示光Ｒは、透光カバー４１１を通過して視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン４３０への表示光Ｑの投射により、スクリーン４３０に表示された画像がユーザにより視認される。

　スクリーン４３０は透光性を有する樹脂製の板であり、球面部４３１が形成された肉厚均一の板形状である。図２６に示すように、スクリーン４３０は、視認者Ｍ側から見て円形の形状であり、円形のスクリーン４３０の中央に球面部４３１は位置する。球面部４３１は曲率が一定の球面を形成する。スクリーン４３０は、上記球面部４３１に加え、以下に説明する底部４３２、傾斜部４３３および外周部４３４を有した形状である。また、視認者Ｍ側から見て、球面部４３１は円形の形状であり、底部４３２、傾斜部４３３および外周部４３４は環状の形状である。球面部４３１の外周には底部４３２の内周が繋がり、底部４３２の外周には傾斜部４３３の内周が繋がり、傾斜部４３３の外周には外周部４３４の内周が繋がる。

　図２７に示すように、球面部４３１は、視認者Ｍ側に隆起した形状、かつ、視認者Ｍ側に凸となる向きに湾曲した球面を形成する。視認者Ｍ側から見て球面部４３１の中心に、球面の頂点４３１ｂが位置する。頂点４３１ｂに接する仮想面は、視認方向（図２７の上下方向）に対して垂直である。したがって、球面部４３１のうち頂点４３１ｂから離れた部分であるほど、上記仮想面に対する傾斜角度が大きくなる。以下の説明では、この傾斜角度が所定角度（例えば４５度）以上となっている球面部４３１の部分を、急斜面部４３１ａと呼ぶ。

　底部４３２は、球面部４３１の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。傾斜部４３３は、底部４３２の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して一定の角度で視認者Ｍ側へ徐々に隆起する平坦な斜面を形成する。外周部４３４は、傾斜部４３３の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。なお、球面部４３１の頂点４３１ｂは、外周部４３４よりも視認者Ｍ側に位置し、球面部４３１の急斜面部４３１ａは外周部４３４よりも視認者Ｍの反対側に位置する。

　図２６に示すように、スクリーン４３０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータを表した画像（メータ画像Ｄ）である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する表示板Ｄ４１０、目盛り板Ｄ４２０、加飾リングＤ４３０、Ｄ４４０、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２である。これらの表示板Ｄ４１０、目盛り板Ｄ４２０、加飾リングＤ４３０、Ｄ４４０、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２は、実在する部品ではなく画像（部品画像）である。

　表示板Ｄ４１０は、複数の数字Ｄ４１３とともに球面部４３１に表示されている。また、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２も球面部４３１に表示されている。表示板Ｄ４１０は、球面部４３１の外形に沿う円形であり、表示板Ｄ４１０の中央に円形のボスＤ４１２が表示されている。指針Ｄ４１１は、ボスＤ４１２から表示板Ｄ４１０の径方向に延びる形状であり、ボスＤ４１２を中心に表示板Ｄ４１０上を回転するように動画で表示される。数字Ｄ４１３は、急斜面部４３１ａに表示されて車速を表す静止画像である。指針Ｄ４１１、ボスＤ４１２および数字Ｄ４１３は、表示板Ｄ４１０とは異なる色で表示されている。

　図２８に示すように、表示光生成装置４２２は、表示板Ｄ４１０が頂点４３１ｂから外周端にかけて輝度が徐々に変化するグラデーション表示するよう表示光を制御する。具体的には、図２６中の二点鎖線矢印に示すように、頂点４３１ｂから放射状に輝度変化させており、外周端に近いほど高輝度に表示している。

　換言すると、表示光生成装置４３３は、表示板Ｄ４１０が、球面部４３１の所定ポイントから離れるにつれ徐々に輝度が増加するように表示光を制御して、表示版Ｄ４１をグラデーション表示させる。そして、上記所定ポイントは、指針Ｄ４１１の回転中心（つまり頂点４３１ｂ）に位置し、１箇所に設定されている。図２６および図２７中の一点鎖線Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３は、球面部４３１の表面において頂点４３１ｂ周りの周方向に延びる仮想線である。これらの仮想線Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３は、頂点４３１ｂを中心とした円形であり、球面部４３１の隆起高さが同一となる仮想の等高線であると言える。そして、同一仮想線Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３上にて同一輝度となるように表示板Ｄ４１０はグラデーション表示されている。

　なお、表示板Ｄ４１０がグラデーション表示されているのに対し、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２はグラデーション表示されておらず、単一の輝度で表示されている。これにより、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２が、表示板Ｄ４１０とは別の部品であるかのように錯覚させることができる。

　表示板Ｄ４１０が、指針Ｄ４１１の背景を表した背景画像であるのに対し、数字Ｄ４１３は、一定の意味を持つ表意画像である。例えば、符号Ｄ４１３を付した数字は３桁の数字であり、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃ（図２６参照）を組み合わせて構成された表意画像であると言える。すなわち、符号Ｄ４１３を付した３桁の数字は「１４０」を表しているが、「１」を表す要素画像Ｄ４１３ａと、「４」を表す要素画像Ｄ４１３ｂと、「０」を表す要素画像Ｄ４１３ｃとを順に並べて構成されている。なお、表意画像のうち複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃの並ぶ方向の長さ（つまり数字Ｄ４１３の横寸法）は、数字Ｄ４１３の縦寸法よりも長い。

　複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、急斜面部４３１ａを下る方向とは交差する方向に並べて配置されている。この下る方向とは、球面部４３１の頂点４３１ｂから球面部４３１の表面に沿って径方向に延びる方向である。複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、仮想線Ｋ１上に並べて配置されている。したがって、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃの並ぶ方向が、指針Ｄ４１１の回転周方向に対して平行であるとも言える。

　図２６の説明に戻り、目盛り板Ｄ４２０は、目盛りＤ４２１とともに底部４３２に表示されている。目盛り板Ｄ４２０は、底部４３２の内周および外周に沿う円環形状である。目盛りＤ４２１は、複数の数字Ｄ４１３の各々に対応する位置に表示されている。目盛り板Ｄ４２０は、目盛りＤ４２１の背景を表した目盛り背景画像である。目盛り板Ｄ４２０は、目盛りＤ４２１とは異なる色である。上述した数字Ｄ４１３および目盛りＤ４２１についても、実在する印刷物ではなく画像である。そして、回転表示される指針Ｄ４１１は、回転して目盛りＤ４２１を指示する。これにより、メータ画像Ｄは車両情報である車速を表す。

　加飾リングＤ４３０、Ｄ４４０は、傾斜部４３３および外周部４３４に表示されている。傾斜部４３３に表示されている加飾リングＤ４３０は、内周端から外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。外周部４３４に表示されている加飾リングＤ４４０は、加飾リングＤ４３０の外周端と同一の輝度で表示されている。

　スクリーン４３０のうち球面部４３１の外縁に位置する部分、つまり球面部４３１と底部４３２の境界部分４３０Ｌには、表示板Ｄ４１０の輪郭線を表した輪郭線画像Ｌ１が表示されている。輪郭線画像Ｌ１は、球面部４３１および底部４３２とは異なる色に設定されている。また、輪郭線画像Ｌ１は、視認者が輪郭線画像Ｌ１の存在を認識できる程度の幅に設定された線の画像である。

　＜特徴１＞
　視認方向の手前側（つまり視認者側）に隆起した球面部４３１がスクリーン４３０に形成され、その球面部４３１に指針画像Ｄ４１１が表示される。そのため、スクリーン４３０に投射された表示光のうち指針画像Ｄ４１１に対応する光の歪み具合が回転位置に応じて変化することを抑制できる。よって、指針画像Ｄ４１１の形状および長さが回転位置に応じて変化することを容易に抑制できる。

　ここで、本実施形態に反し、スクリーン４３０上の屈曲した部分、つまり球面部４３１と底部４３２の境界部分、底部４３２と傾斜部４３３の境界部分、傾斜部４３３と外周部４３４の境界部分を跨ぐように指針画像Ｄ４１１を表示させると、次の問題が生じる。すなわち、スクリーン４３０を正面から見た場合には、指針画像Ｄ４１１は径方向に真っ直ぐ延びる形状に見えるが、スクリーン４３０を斜めから覗き込むように見た場合には、上記屈曲した部分で指針画像Ｄ４１１が折れ曲がって見える。

　この点を鑑みた本実施形態では、指針画像Ｄ４１１の表示範囲が球面部４３１内に制限されている。そのため、スクリーン４３０を斜めから見た場合には、指針画像Ｄ４１１が湾曲して見えることはあっても、折れ曲がって見えることは無い。このように、視認する向きに応じて指針画像Ｄ４１１の見え方が異なってくることを抑制できる。

　＜特徴２＞
　メータ画像Ｄには、球面部４３１に表示され、指針画像Ｄ４１１の背景を表した背景画像（つまり表示板Ｄ４１０）が含まれている。その背景画像は、球面部４３１の所定ポイント（つまり頂点４３１ｂ）から離れるにつれ徐々に輝度が変化するようにグラデーション表示されている。

　これによれば、仮想光源からの光により球面部４３１が照らされ、かつ、球面部４３１に影ができているように錯覚させることができる。そのため、球面部４３１が手前側または奥側に隆起していることが強調され、球面部４３１が立体的に膨らんで見えることを促進できる。よって、メータ画像Ｄにより表現されている仮想メータの立体感をリアルに表現でき、メータが実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。

　＜特徴３＞
　上記グラデーション表示に係る所定ポイントは、指針画像Ｄ４１１の回転中心に位置する。これによれば、後述する図２９および図３０の如く回転中心からずれた位置に所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄが位置する場合に比べて、球面部４３１が手前側または奥側に立体的に膨らんで見えるといった上記効果を促進できる。

　＜特徴４＞
　スクリーン４３０のうち球面部４３１の外縁に位置する部分には、球面部４３１の輪郭線を表した輪郭線画像Ｌ１が表示されている。これによれば、スクリーン４３０のうち、球面部４３１の外縁に位置する部分が際立って視認されるようになる。そのため、背景画像により表現されているメータの部品（つまり表示板Ｄ４１０）が実在しているかのように錯覚させることを促進できる。

　＜特徴５＞
　球面部４３１は曲率が一定の形状に形成されている。そのため、指針Ｄ４１１の回転位置が変化しても、指針Ｄ４１１の形状および長さは変化しない。よって、表示光の補正をすることなく、指針Ｄ４１１の形状および長さが変化しないように視認させることができる。

　＜特徴６＞
　メータ画像Ｄには、数字、文字または図柄を表した複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃを組み合わせて構成された表意画像（つまり数字Ｄ４１３の画像）が含まれている。そして、この表意画像は、球面部４３１の急斜面部４３１ａに表示され、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、急斜面部４３１ａを下る方向とは交差する方向に並べて配置（具体的には、仮想線Ｋ１上に並べて配置）されている。以下、この構成による技術的意義について説明する。

　プロジェクタ４２０から出射される表示光Ｐは拡大レンズ４２１により拡大されており、さらにその表示光Ｐは反射鏡４４０により拡大されている。よって、スクリーン４３０に投影される表示光Ｑは拡大しながら進んでいく。そのため、プロジェクタ４２０からスクリーン４３０までの光路長が長いほど、表示光Ｑの拡大度合いが大きくなり、スクリーン４３０に表示される画像は大きくなる。そのため、本実施形態に反して複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃを急斜面部４３１ａの下る方向（つまり径方向）に並べて配置すると、各々の要素画像の光路長は、図２７中の符号Ｑ１、Ｑ２、Ｑ３に示すように異なってくる。

　具体的には、３本の異なる仮想線Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３（図２７参照）上に各々の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃが配置されている場合、急斜面部４３１ａの上側であるほど光路長Ｑ１、Ｑ２、Ｑ３は長くなる。そして、光路長が長いほど要素画像は拡大して表示される。その結果、表意画像（つまり数字Ｄ４１３の画像）は歪んで表示される。

　この点を鑑みた本実施形態によれば、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、急斜面部４３１ａの周方向に並べて配置されている。つまり、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、同一の等高線（仮想線Ｋ１）上に配置されている。そのため、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃの光路長が互いに異なることを抑制できるので、数字Ｄ４１３に歪みが生じることを抑制できる。よって、スクリーン４３０に球面部４３１を形成して表示板Ｄ４１０の画像を立体的に視認させるようにしつつも、球面部４３１を形成することに起因した数字Ｄ４１３の判読性悪化を抑制できる。

　＜特徴７＞
　さらに本実施形態では、複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃの並ぶ方向が、指針画像Ｄ４１１の回転方向に対して平行である。そのため、急斜面部４３１ａを下る方向とは交差する方向に複数の要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃを並べた結果、表意画像の向きが視認者Ｍから見て傾いていても、視認者Ｍに与える違和感を軽減できる。例えば、図２６に示す数字Ｄ４１３は視認者Ｍから見て９０度回転して傾いているが、指針Ｄ４１１の回転方向と数字Ｄ４１３の向きが一致するので、視認者Ｍに与える違和感を軽減でき、数字Ｄ４１３（表意画像）の判読性低下を抑制できる。

　（第１０実施形態）
　上記第９実施形態に係る表示板Ｄ４１０は、所定ポイントを起点にグラデーション表示させるにあたり、その所定ポイントが指針画像Ｄ４１１の回転中心（つまり頂点４３１ｂ）に設定されている。これに対し、本実施形態に係るメータ画像Ｄａの表示板Ｄ４１０ａは、図２９に示すように、指針画像Ｄ４１１の回転中心からずれた位置にある。図２９の例では、表示板Ｄ４１０ｂ上の右下部分に所定ポイント４３１ｃが位置している。そして、図２９中の二点鎖線矢印に示すように、所定ポイント４３１ｃから離れるにつれ徐々に輝度が低下するようにグラデーション表示されている。また、表示板Ｄ４１０ｂの全体がグラデーション表示されている。

　本実施形態によれば、仮想光源からの光により球面部４３１が照らされ、かつ、球面部４３１に影ができているように錯覚させることができる。そのため、球面部４３１が手前側または奥側に隆起していることが強調され、球面部４３１が立体的に膨らんで見えることを促進できる。よって、メータ画像Ｄａにより表現されている仮想メータの立体感をリアルに表現でき、メータが実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。

　（第１１実施形態）
　本実施形態に係る表示板Ｄ４１０ｂ画像のグラデーション表示は、図３０および図３１に示すように、所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄが移動していくように変化する。具体的には、指針画像Ｄ４１１の回転中心周りに所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄは回転していく。

　さらに本実施形態に係るメータ画像Ｄｂには、車両運転者に注意喚起する注意表示画像Ｄ４１４（図３１参照）が含まれており、注意表示画像Ｄ４１４を表示させる場合に、上記変化を生じさせる。注意表示画像Ｄ４１４は球面部４３１中央部分に表示されている。

　例えば、自車両の前方に他車両や歩行者等の障害物が存在することを検知するシステムが車両に搭載されている場合において、当該システムは、上記検知に基づき前方に注意すべき旨を運転者に喚起させるか否かを判定する。喚起させると判定した場合には上記システムは注意喚起指令信号をメータＥＣＵ４１２へ送信する。メータＥＣＵ４１２は、注意喚起指令信号を受信した場合に、注意表示画像Ｄ４１４を表示させるようにプロジェクタ４２０へ表示指令信号を送信する。プロジェクタ４２０は、表示指令信号を受信した場合に、表示光生成装置４２２により注意表示画像Ｄ４１４の表示光を生成して射出するとともに、所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄが回転するよう、表示板Ｄ４１０ｂのグラデーション表示を変化させる。

　また、上記第１０実施形態では、表示板Ｄ４１０ｂの全体がグラデーション表示されている。これに対し本実施形態では、図３０および図３１中の二点鎖線に示すように、所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄを中心とした所定範囲について、表示板Ｄ４１０ｂを部分的にグラデーション表示させている。

　以上により、本実施形態によれば、背景画像（つまり表示板Ｄ４１０ｂ）のグラデーション表示は、グラデーションの起点となる所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄが移動していくように変化する。そのため、第１０実施形態にて説明した仮想光源の位置が移動していくように錯覚させることができる。そのため、メータをリアルに表現して実在しているかのように錯覚させることを促進できる。

　さらに、本実施形態に係るメータ画像Ｄｂには、車両運転者に注意喚起する注意表示画像Ｄ４１４が含まれており、注意表示画像Ｄ４１４を表示させる場合に、背景画像（つまり表示板Ｄ４１０ｂ）のグラデーション表示に上記変化を生じさせる。ここで、背景画像のグラデーション表示を、所定ポイント４３１ｃ、４３１ｄが移動していくように変化させると、ユーザはその表示変化に惹きつけられることとなる。そのため、車両運転者に注意喚起する注意表示画像Ｄ４１４を表示させる場合に上記表示変化を生じさせる本実施形態によれば、車両運転者への注意喚起を促進できる。

　（第９～第１１実施形態の変更例）
　本開示は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　図２７に示す実施形態では、指針Ｄ４１１を表示させるスクリーン４３０の球面部４３１は、曲率が一定の形状である。これに対し、曲率が一定になっていない形状の球面部を採用し、その球面部に指針Ｄ４１１を表示させるようにしてもよい。

　図２７に示す実施形態では、球面部４３１は手前側に隆起した形状であるが、奥側に隆起した形状であってもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、所定ポイント４３１ｃから離れるにつれ徐々に輝度が減少するように球面部４３１をグラデーション表示しているが、その逆に、徐々に輝度が増加するようにグラデーション表示してもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、グラデーション表示の起点となる所定ポイント４３１ｂ、４３１ｃ、４３１ｄは１箇所に設定されているが、複数箇所に設定されたグラデーション表示であってもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、指針Ｄ４１１の背景画像Ｄ４１０、Ｄ４１０ａ、Ｄ４１０ｂをグラデーション表示させているが、このグラデーション表示を廃止して、単一の輝度で表示させてもよいし、ステップ的に輝度変化させてもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、スクリーン４３０の正面視において球面部４３１は円形である。これに対し、球面部４３１は、円形の一部を外周側から切り欠いた形状（例えば半円形）であってもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、指針Ｄ４１１およびボスＤ４１２は単一の輝度で表示されているが、グラデーション表示してもよいし、ステップ的に輝度変化させて表示してもよい。

　図２８～図３１に示す実施形態では、目盛りＤ４２１を平坦な底部４３２に表示させることで、球面部４３１の急斜面部４３１ａに表示させる場合に比べて、目盛りＤ４２１の視認性を向上させている。これに対し、目盛りＤ４２１を球面部４３１に表示させてもよい。また、図２８～図３１に示す実施形態では、数字Ｄ４１３を球面部４３１に表示させているが、数字Ｄ４１３を球面部４３１以外の部分（例えば底部４３２）に表示させてもよい。

　上記実施形態に係る要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃは、急斜面部４３１ａを下る方向と直交する方向に並べて配置されている。しかし、本開示に係る要素画像の並び方向は、急斜面部４３１ａを下る方向と直交に限られるものではなく、急斜面部４３１ａを下る方向と交差する方向に並んでいればよい。但し、直交する方向に並べると、歪みを最大限に抑制でき、好適である。

　図２６に示す例では、表意画像Ｄ４１３が数字であり、その数字を構成する各桁の数字を要素画像Ｄ４１３ａ、Ｄ４１３ｂ、Ｄ４１３ｃとしている。これに対し、表意画像が文字であり、その文字を構成する１字ずつを要素画像としてもよい。例えば、「ＣＨＡＲＧＥ」といった文字を構成するアルファベットの１字ずつを要素画像とし、各々のアルファベットを図２５中の一点鎖線Ｋ１（つまり等高線）に沿って並べては位置すればよい。或いは、表意画像が複数の要素画像から構成される図柄、例えば天候を表す図柄や、空調装置による送風状態を表す図柄、車両の異常状態を表す図柄等であってもよい。また、これらの数字、文字、図柄を組み合わせて表意画像が構成されていてもよい。

　図２５に示す実施形態では、スクリーン４３０に対して視認者Ｍの反対側から表示光Ｑを入射させて、表示光Ｑがスクリーン４３０を透過して視認者Ｍの目に入るように、車両用表示装置は構成されている。これに対し、スクリーン４３０に対して視認者Ｍの側から表示光を入射させて、表示光がスクリーン４３０を反射して視認者Ｍの目に入るように構成されていてもよい。

　前述した第９～第１１実施形態に係る車両用表示装置は、以下のごとく限定することが可能である。
（１）車両情報を表したメータ画像（Ｄ、Ｄａ、Ｄｂ）の表示光（Ｐ）を射出するプロジェクタ（４２０）と、前記表示光が投射されることにより前記メータ画像を表示するスクリーン（４３０）と、を備え、前記スクリーンは、前記メータ画像が視認される方向の手前側または奥側に隆起した球面を形成する球面部（４３１）を有し、前記メータ画像には、回転する指針を表した指針画像（Ｄ４１１）、および前記指針画像により指し示される目盛りを表した目盛り画像（Ｄ４２１）が含まれており、前記指針画像は、前記球面部に表示されている車両用表示装置。

　上記（１）によれば、スクリーンは視認方向に隆起した球面部を有し、その球面部に指針画像が表示される。そのため、スクリーンに投射された表示光のうち指針画像に対応する光の歪み具合が指針画像の回転位置に応じて変化することを抑制できる。よって、指針画像が回転に伴い歪んだ形に表示されてしまうことを容易に抑制できる。
（２）前記表示光の輝度を制御する制御部（４２２）を備え、前記メータ画像には、前記球面部に表示され、前記指針画像の背景を表す背景画像（Ｄ４１０、Ｄ４１０ａ、Ｄ４１０ｂ、Ｄ４１０ｃ）が含まれており、前記制御部は、前記背景画像が前記球面部の所定ポイント（４３１ｂ、４３１ｃ、４３１ｄ）から離れるにつれ徐々に輝度が増加または減少するグラデーション表示するように表示光を制御する上記（１）に記載の車両用表示装置。
（３）前記所定ポイント（４３１ｂ）は、前記指針画像の回転中心に位置する上記（２）に記載の車両用表示装置。
（４）前記背景画像のグラデーション表示は、前記所定ポイントが移動していくように変化する上記（２）または（３）に記載の車両用表示装置。
（５）前記スクリーンに表示される画像には、車両運転者に注意喚起する注意表示画像（Ｄ４１４）が含まれており、前記注意表示画像を表示させる場合に、前記背景画像のグラデーション表示に前記変化を生じさせる上記（４）に記載の車両用表示装置。

　（６）前記スクリーンのうち前記球面部の外縁に位置する部分には、前記球面部の輪郭線を表した輪郭線画像（Ｌ１）が表示されている上記（１）～（５）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（第１２実施形態）
　次に、第１２実施形態に係る車両用表示装置について、図３２～図３６を参照して説明する。なお、第１２実施形態の車両用表示装置では、画像により表現される仮想物体の立体感をリアルに表現し、この仮想物体を立体的に視認できることを目的としている。図３２に示すインストルメントパネル５１０は、車両の室内のうちフロントウインドシールドの下方に配置されている。インストルメントパネル５１０の開口部５１０ａに取り付けられた透光カバー５１１の裏側には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図３２中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル５１０に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ５２０、スクリーン５３０および反射鏡５４０を備える。プロジェクタ５２０は、車両情報を表した画像の表示光Ｐを射出する。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　電子制御装置（以下、メータＥＣＵ５１２と記載）は、他の電子制御装置と通信可能に接続されている。他の電子制御装置が各種センサに基づき演算した上記車両情報を、メータＥＣＵ５１２は通信により取得する。メータＥＣＵ５１２は、取得した車両情報に基づきプロジェクタ５２０の作動を制御する。その制御内容については後に詳述する。

　プロジェクタ５２０は、以下に説明する拡大レンズ５２１、表示光生成装置５２２および図示しない光源を備える。表示光生成装置５２２は、光源の光を液晶パネルに透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。或いは、高速回転するカラーフィルタに光源の光を透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。表示光生成装置５２２により生成された画像の光は、拡大レンズ５２１によって拡大された後、上記表示光Ｐとしてプロジェクタ５２０から射出される。

　反射鏡５４０は、プロジェクタ５２０から射出された表示光Ｐを、スクリーン５３０へ向けて反射する。図３２の例では、反射鏡５４０の反射面は凸形状であり、表示光Ｐを拡大して反射する。反射鏡５４０により反射された表示光Ｑは、スクリーン５３０のうち視認者Ｍに対して反対側（奥側）から手前側へ透過する。スクリーン５３０を透過した表示光Ｒは、透光カバー５１１を通過して視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン５３０への表示光Ｑの投射により、スクリーン５３０に表示された画像がユーザにより視認される。

　スクリーン５３０は透光性を有する樹脂製の板であり、凸部５３１が形成された肉厚均一の板形状である。図３３に示すように、スクリーン５３０は、視認者Ｍ側から見て円形の形状であり、円形のスクリーン５３０の中央に凸部５３１は位置する。スクリーン５３０は、上記凸部５３１に加え、以下に説明する底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４を有した形状である。また、視認者Ｍ側から見て、凸部５３１は円形の形状であり、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４は環状の形状である。凸部５３１の外周には底部５３２の内周が繋がり、底部５３２の外周には傾斜部５３３の内周が繋がり、傾斜部５３３の外周には外周部５３４の内周が繋がる。

　図３４に示すように、凸部５３１は、視認者Ｍ側に隆起した形状、かつ、視認者Ｍ側に凸となる向きに湾曲した形状であり、凸部５３１の円形中心部を頂点５３１ａとした球面を形成する。頂点５３１ａに接する仮想面は、視認方向（図３４の上下方向）に対して垂直である。したがって、凸部５３１のうち頂点５３１ａから離れた部分であるほど、上記仮想面に対する傾斜角度が大きくなる。

　底部５３２は、凸部５３１の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。傾斜部５３３は、底部５３２の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して一定の角度で視認者Ｍ側へ徐々に隆起する平坦な斜面を形成する。外周部５３４は、傾斜部５３３の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。なお、凸部５３１の頂点５３１ａは、外周部５３４よりも視認者Ｍ側に位置し、凸部５３１の傾斜部５３３は外周部５３４よりも視認者Ｍの反対側に位置する。

　凸部５３１は、底部５３２に対して視認方向の手前側に隆起し、底部５３２および傾斜部５３３は、外周部５３４に対して視認方向の奥側に隆起していると言える。よって、これら凸部５３１、底部５３２および傾斜部５３３は、「隆起部」とも称される。

　図３３に示すように、スクリーン５３０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する表示板Ｄ５１０、目盛り板Ｄ５２０、加飾リングＤ５３０、Ｄ５４０、指針Ｄ５１０ａおよびボスＤ５１０ｂである。これらの表示板Ｄ５１０、目盛り板Ｄ５２０、加飾リングＤ５３０、Ｄ５４０、指針Ｄ５１０ａおよびボスＤ５１０ｂは、実在する部品ではなく画像（部品画像）である。

　表示板Ｄ５１０は、数字Ｄ５１１、Ｄ５１２、Ｄ５１３、Ｄ５１４、Ｄ５１５、Ｄ５１６、Ｄ５１７、Ｄ５１８、Ｄ５１９とともに凸部５３１に表示されている。また、指針Ｄ５１０ａおよびボスＤ５１０ｂも凸部５３１に表示されている。表示板Ｄ５１０は、凸部５３１の外形に沿う円形であり、表示板Ｄ５１０の中央に円形のボスＤ５１０ｂが表示されている。指針Ｄ５１０ａは、ボスＤ５１０ｂから表示板Ｄ５１０の径方向に延びる形状であり、ボスＤ５１０ｂを中心に表示板Ｄ５１０上を回転するように動画で表示される。数字Ｄ５１１～Ｄ５１９は車速を表す静止画像である。表示板Ｄ５１０は、指針Ｄ５１０ａ、ボスＤ５１０ｂおよび数字Ｄ５１１～Ｄ５１９の背景を表した背景画像である。

　数字Ｄ５１１～Ｄ５１９、指針Ｄ５１０ａおよびボスＤ５１０ｂは、表示板Ｄ５１０とは異なる色で表示されている。表示板Ｄ５１０は、頂点５３１ａから外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。具体的には、外周端に近いほど低輝度に表示している。これにより、凸部５３１の立体形状が強調して視認されるようになり、表示板Ｄ５１０が実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。

　目盛り板Ｄ５２０は、目盛りＤ５２１とともに底部５３２に表示されている。目盛り板Ｄ５２０は、底部５３２の内周および外周に沿う円環形状である。目盛りＤ５２１は、数字Ｄ５１１～Ｄ５１９に対応する位置に表示されている。目盛り板Ｄ５２０は、目盛りＤ５２１の背景を表した背景画像である。目盛り板Ｄ５２０は、目盛りＤ５２１とは異なる色であり、かつ、表示板Ｄ５１０の外周端の同一の輝度で表示されている。上述した数字Ｄ５１１～Ｄ５１９および目盛りＤ５２１についても、実在する印刷物ではなく画像である。そして、回転表示される指針Ｄ５１０ａは、回転して目盛りＤ５２１を指示する。これにより、スクリーン５３０に表示される画像は車両情報である車速を表す。

　加飾リングＤ５３０、Ｄ５４０は、傾斜部５３３および外周部５３４に表示されている。傾斜部５３３に表示されている加飾リングＤ５３０は、内周端から外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。外周部５３４に表示されている加飾リングＤ５４０は、加飾リングＤ５３０の外周端と同一の輝度で表示されている。

　メータＥＣＵ５１２は、イグニッションスイッチがオン操作された場合等、ユーザが車両を走行可能な状態に操作したことをトリガとして、表示光Ｐの出射を開始するようにプロジェクタ５２０の作動を制御する。但し、各種の電子制御装置がシステムチェック等の処理を実施中であり、エンジン冷却水温度や燃料残量等の車両情報を取得できない状態である場合には、システム準備中である旨を表したメッセージ画像Ｄ５５０を、背景画像Ｄ５５１とともに表示する。

　そして、先述したシステム準備が進行するにつれて、線画像ＤＬ１をスクリーン５３０の端部（つまり外周部５３４）に出現させる。その後、線画像ＤＬ１の表示位置を徐々に移動させていきながら、図３３に示すメータ装置を表した画像（以下、第２画像Ｄａと呼ぶ）を徐々に表示させていく。例えば、図３５に示すように、メッセージ画像Ｄ５５０および背景画像Ｄ５５１から構成される画像（以下、第１画像Ｄｂと呼ぶ）の一部と、第２画像Ｄａの一部と、これらの画像Ｄａ、Ｄｂの境界線を表した線画像ＤＬ１とを同時に表示させる。そして、システム準備が進行するにつれ、線画像ＤＬ１を移動させていく。これにより、第１画像Ｄｂの表示領域が縮小し、第２画像Ｄａの表示領域が拡大していく。システム準備が完了した時点で、第１画像Ｄｂおよび線画像ＤＬ１の表示を消して、第２画像Ｄａの全体、つまり図３３に示す表示態様のメータ装置を表示させる。

　要するに、表示開始時点では、第２画像Ｄａおよび線画像ＤＬ１を表示させることなく第１画像Ｄｂが表示される。この表示状態は、「第１表示モード」とも称される。その後、システム準備期間中では、第１画像Ｄｂ、第２画像Ｄａおよび線画像ＤＬ１が表示される（図３５参照）。その後、システム準備が完了した以降では、第１画像Ｄｂおよび線画像ＤＬ１を表示させることなく第２画像Ｄａが表示される。

　図３５に示す表示態様では、メッセージ画像Ｄ５５０は、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の全体に亘って、背景画像Ｄ５５１とは異なる色で表示されている。背景画像Ｄ５５１は、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の全体に亘って、均一の色で表示されており、表示板Ｄ５１０の如くグラデーション表示は為されていない。そのため、実際にはスクリーン５３０に隆起部が形成されているものの、背景画像Ｄ５５１は、視認方向に垂直に拡がる平坦面の形状に視認される。

　線画像ＤＬ１は、凸部５３１および底部５３２の境界、底部５３２と傾斜部５３３の境界、傾斜部５３３および外周部５３４の境界の少なくとも１つを跨ぐように、スクリーン５３０の正面視において直線状に延びる形状である。図３５に示す表示態様では、スクリーン５３０の正面視において、線画像ＤＬ１はスクリーン５３０の全体を跨ぐように延びる直線であり、凸部５３１、底部５３２の両端、傾斜部５３３の両端および外周部５３４の両端の全体に亘って配置されている。線画像ＤＬ１は、背景画像Ｄ５５１および表示板Ｄ５１０とは異なる色で表示されている。

　視認者Ｍがスクリーン５３０を正面視すると、線画像ＤＬ１は直線に見えることは先述した通りである。しかし、線画像ＤＬ１に対して第２画像Ｄａの側（つまり図３５の左側）または第１画像Ｄｂの側（つまり図３５の右側）から視認者Ｍがスクリーン５３０を覗き込むと、線画像ＤＬ１は折れ曲がった形状に見える。具体的には、凸部５３１、底部５３２および傾斜部５３３（つまり隆起部）に沿って折れ曲がった形状に見える。例えば、スクリーン５３０を右側から覗き見ると、図３６に示す如く線画像ＤＬ１は折れ曲がった形状に見える。

　そして、システム準備が進行するにつれ、線画像ＤＬ１を移動させていくので、線画像ＤＬ１が、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の各々の境界を跨ぐ位置が変化していく。よって、線画像ＤＬ１の折れ曲がった形状が、システム準備が進行とともに変化していくこととなる。なお、第１画像Ｄｂおよび第２画像Ｄａには、上記境界に沿って延びる線つまり部品画像の境界線、或いは、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の内部に収まる線が存在するものの、上記境界を跨ぐ線は含まれていない。

　＜特徴１＞
　本実施形態によれば、スクリーン５３０は視認方向に隆起した隆起部、つまり凸部５３１、底部５３２および傾斜部５３３を有する。そのため、スクリーン５３０に表示されるメータ装置を表した画像を、立体的に視認させることが促進される。つまり、メータ装置の画像が実在しているかのようにユーザに錯覚させることを促進できる。例えば、凸部５３１に表示板Ｄ５１０を表示させるので、表示板Ｄ５１０が手前側に突出した立体部品であるかのように錯覚させることを促進できる。

　その上で、さらに本実施形態では、スクリーン５３０に表示される画像には、隆起部を跨ぐように線状に延びる線画像ＤＬ１が含まれている。そのため、線画像ＤＬ１は隆起部に沿う凹凸形状に視認されるようになる。しかも、視認者Ｍの目の位置によって、線画像ＤＬ１は異なる形状に視認される。例えば、視認者Ｍの目がスクリーン５３０の真正面位置からずれるほど、線画像ＤＬ１の凹凸の深さが大きく視認されるようになる。そのため、メータ装置を構成する複数の部品の画像が実物であるかのように錯覚させることを促進できる。

　＜特徴２＞
　本実施形態によれば、隆起部を跨ぐ位置が変化するよう、線画像ＤＬ１の表示位置が移動していく。そのため、線画像ＤＬ１の表示位置が移動していくことに伴い、隆起部に沿う線画像ＤＬ１の凹凸形状の見え方が変化していくので、画像を立体的に視認させることをより一層促進できる。また、隆起部を斜めから覗き込む動作を視認者がしなくても、その視認者に対して、凹凸形状に見える位置に線画像ＤＬ１が移動するので、画像を立体的に視認させることの確実性を向上できる。

　（第１３実施形態）
　本実施形態では、図３７に示すデジタル表示と図３３に示すアナログ表示とを、ユーザの好みに応じて切り替え可能に構成されている。例えば、ユーザが表示切替えの操作をすると、その操作に応じてデジタル表示とアナログ表示とを切り替えるよう、メータＥＣＵ５１２はプロジェクタ５２０の作動を制御する。

　図３７に示すデジタル表示では、表示板Ｄ５１０ｎは、数字Ｄ５６０ｎおよび文字Ｄ６１ｎとともに凸部５３１に表示されている。表示板Ｄ５１０ｎは、凸部５３１の外形に沿う円形である。車速を表す数字Ｄ５６０ｎは、表示板Ｄ５１０ｎの中央に表示されている。表示板Ｄ５１０ｎは、数字Ｄ５６０ｎおよび文字Ｄ５６１ｎの背景を表した背景画像である。数字Ｄ５６０ｎおよび文字Ｄ５６１ｎは、表示板Ｄ５１０ｎとは異なる色で表示されている。表示板Ｄ５１０ｎは、頂点５３１ａから外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。具体的には、外周端に近いほど低輝度に表示している。これにより、凸部５３１の立体形状が強調して視認されるようになり、表示板Ｄ５１０ｎが実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。

　図３７に示すデジタル表示は、表示板Ｄ５１０ｎ、数字Ｄ５６０ｎおよび文字Ｄ５６１ｎから構成される第１画像Ｄｃに相当し、この表示モードは「第１表示モード」とも称される。また、図３３に示すアナログ表示はメータ装置の画像に係る第２画像Ｄａに相当し、この表示モードは「第２表示モード」とも称される。

　そして、第１表示モード（つまりデジタル表示）の状態で第２表示モード（つまりアナログ表示）に切り替える操作が為されると、先ず、線画像ＤＬ２をスクリーン５３０の端部（つまり外周部５３４）に出現させる。その後、線画像ＤＬ２の表示位置を徐々に移動させていきながら、図３８に示すように、第１画像Ｄｃの一部と、第２画像Ｄａの一部と、これらの画像Ｄａ、Ｄｃの境界線を表した線画像ＤＬ２とを同時に表示させる。そして、時間経過とともに線画像ＤＬ２を徐々に移動させていく。これにより、第１画像Ｄｃの表示領域が縮小し、第２画像Ｄａの表示領域が拡大していく。その後、切り替え操作が為されてから所定時間が経過した時点で、第１画像Ｄｃおよび線画像ＤＬ２の表示を消して、第２画像Ｄａの全体、つまり図３３のメータ装置を表示させる。なお、図３５の例では線画像ＤＬ１が左右方向に移動するのに対し、図３８の例では線画像ＤＬ２が上下方向に移動する。

　逆に、第２表示モードの状態で第１表示モードに切り替える操作が為されると、先ず、第２画像Ｄａに加え、第１画像Ｄｃおよび線画像ＤＬ２が表示される。そして、時間経過とともに線画像ＤＬ２を徐々に移動させていき、第２画像Ｄａの表示領域が縮小し、第１画像Ｄｃの表示領域が拡大していく。その後、切り替え操作が為されてから所定時間が経過した時点で、第２画像Ｄａおよび線画像ＤＬ２の表示を消して、第１画像Ｄｃの全体を表示させる第１表示モードに切り替わる。

　線画像ＤＬ２は、凸部５３１および底部５３２の境界、底部５３２と傾斜部５３３の境界、傾斜部５３３および外周部５３４の境界の少なくとも１つを跨ぐように、スクリーン５３０の正面視において直線状に延びる形状である。図３８に示す表示態様では、スクリーン５３０の正面視において、線画像ＤＬ２はスクリーン５３０の全体を跨ぐように延びる直線であり、凸部５３１、底部５３２の両端、傾斜部５３３の両端および外周部５３４の両端の全体に亘って配置されている。線画像ＤＬ２は、各々の表示板Ｄ５１０、Ｄ５１０ｎとは異なる色で表示されている。

　視認者Ｍがスクリーン５３０を正面視すると、線画像ＤＬ２は直線に見えることは先述した通りである。しかし、線画像ＤＬ２に対して第２画像Ｄａの側（つまり図３８の上側）または第１画像Ｄｃの側（つまり図３８の下側）から視認者Ｍがスクリーン５３０を覗き込むと、線画像ＤＬ２は折れ曲がった形状に見える。具体的には、凸部５３１、底部５３２および傾斜部５３３（つまり隆起部）に沿って折れ曲がった形状に見える。例えば、スクリーン５３０を上側から覗き見ると、図３９に示す如く線画像ＤＬ２は折れ曲がった形状に見える。

　そして、線画像ＤＬ２を徐々に移動させていくので、線画像ＤＬ２が、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の各々の境界を跨ぐ位置が変化していく。よって、線画像ＤＬ２の折れ曲がった形状が、時間経過とともに変化していくこととなる。なお、第２画像Ｄａおよび第１画像Ｄｃには、上記境界に沿って延びる線つまり部品画像の境界線、或いは、凸部５３１、底部５３２、傾斜部５３３および外周部５３４の内部に収まる線が存在するものの、上記境界を跨ぐ線は含まれていない。

　第２画像Ｄａに含まれる線の中には、第１画像Ｄｃに含まれる線と連続して繋がるものがある。具体的には、第２画像Ｄａに係る表示板Ｄ５１０、目盛り板Ｄ５２０および加飾リングＤ５３０、Ｄ５４０の境界線は、第１画像Ｄｃに係る表示板Ｄ５１０ｎ、目盛り板Ｄ５２０ｎおよび加飾リングＤ５３０ｎ、Ｄ５４０ｎの境界線と連続して繋がっている。より詳細には、第２画像Ｄａに係る上記境界線と第１画像Ｄｃに係る上記境界線とは、繋がって円形形状となる。

　これによれば、第２画像Ｄａにより表現されている仮想物体つまり図３３に示すメータ装置と、第１画像Ｄｃにより表現されている仮想物体つまり図３３に示すメータ装置とは、色違いの同じ形状の物体であるかのように視認させることができる。そのため、同一形状の仮想物体について、形状以外のデザイン（例えば色、模様、字体）が徐々に変更されていくように演出できる。

　さらに本実施形態によれば、第１画像Ｄｃを表示する第１表示モードから、第２画像Ｄａを表示する第２表示モードに切り替える場合には、図３８の如く表示する。すなわち、線画像ＤＬ２が第１画像Ｄｃおよび第２画像Ｄａの境界線となるように第１画像Ｄｃの一部および第２画像Ｄａの一部を同時に表示させつつ、線画像ＤＬ２の表示位置を所定方向つまり図３８の上下方向に移動させていく。

　そのため、例えば第１表示モードから第２表示モードに表示を切り替えるにあたり、第１画像Ｄｃから第２画像Ｄａに一瞬で切り替わることなく、線画像ＤＬ２の移動に伴い徐々に切り替わるように演出できる。

　（第１４実施形態）
　上記各実施形態では、第１表示モードと第２表示モードとの切り替え途中の表示において、線画像ＤＬ１、ＤＬ２の表示本数が１本である。これに対し本実施形態では、図４０に示すように、第１表示モードと第２表示モードとの切り替え途中の表示において、複数本の線画像ＤＬ３、ＤＬ４を表示させている。

　具体的には、表示モード切替時には平行する２本の線画像ＤＬ３、ＤＬ４が表示される。スクリーン５３０のうち、これらの線画像ＤＬ３、ＤＬ４に挟まれる領域（以下、内側領域と呼ぶ）には第１画像Ｄｃおよび第２画像Ｄａの一方が表示され、この領域以外の部分の領域（以下、外側領域と呼ぶ）に他方が表示される。図４０の例では外側領域に第２画像Ｄａ、Ｄａ’が表示されており、第２画像Ｄａ、Ｄａ’は、線画像ＤＬ３、ＤＬ４および第１画像Ｄｃにより、２つの画像Ｄａ、Ｄａ’に分断されている。線画像ＤＬ３、ＤＬ４は、スクリーン５３０の中央に現れた後、互いに離れるように移動する。

　例えば、表示モードを切り替える操作が為されると、内側領域に第１画像Ｄｃが出現する。その後、第２画像Ｄａの表示領域が拡大しつつ第１画像Ｄｃの表示領域が縮小していくように、線画像ＤＬ３、ＤＬ４が移動していく。

　以上により、本実施形態によれば、スクリーン５３０に表示される画像には、線画像ＤＬ３、ＤＬ４が複数含まれている。そのため、隆起に沿う凹凸形状に線画像ＤＬ３、ＤＬ４を視認させる効果が、複数の線画像ＤＬ３、ＤＬ４により発揮されるので、画像を立体的に視認させる効果が促進される。

　（第１２～第１４実施形態の変更例）
　本開示は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　上記第１４実施形態では、線画像ＤＬ３、ＤＬ４は、スクリーン５３０の中央に出現し、その後、互いに離れるように移動する。つまり、切り替え後の表示モードの画像を内側領域に表示させた後、線画像ＤＬ３、ＤＬ４の移動とともに内側領域が拡大していく。これに対し、線画像ＤＬ３、ＤＬ４が、スクリーン５３０の端部に出現し、その後、互いに近づくように移動してもよい。つまり、切り替え後の表示モードの画像を外側領域に表示させた後、線画像ＤＬ３、ＤＬ４の移動とともに外側領域が拡大していく。

　上記各実施形態では、線画像ＤＬ１、ＤＬ２、ＤＬ３、ＤＬ４を出現させた後、その線画像ＤＬ１、ＤＬ２、ＤＬ３、ＤＬ４が移動していくように表示している。これに対し、このような線画像の移動表示を廃止して、停止表示させてもよい。これによっても、線画像は隆起部に沿う凹凸形状に視認されるようになるので、画像により表現される仮想物体の立体感をリアルに表現するといった効果が発揮される。

　図３２に示す実施形態では、スクリーン５３０に対して視認者Ｍの反対側から表示光Ｑを入射させて、表示光Ｑがスクリーン５３０を透過して視認者Ｍの目に入るように、車両用表示装置は構成されている。これに対し、スクリーン５３０に対して視認者Ｍの側から表示光を入射させて、表示光がスクリーン５３０を反射して視認者Ｍの目に入るように構成されていてもよい。

　第１２～第１４実施形態に係る車両用表示装置は、以下のごとく限定することができる。
（１）車両情報を表した画像の表示光（Ｐ）を射出するプロジェクタ（５２０）と、
　前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーン（５３０）と、
を備え、前記スクリーンは、前記画像が視認される方向の手前側または奥側に隆起する形状の隆起部（５３１、５３２、５３３）を有し、前記スクリーンに表示される画像には、前記隆起部を跨ぐように線状に延びる線画像（ＤＬ１、ＤＬ２、ＤＬ３、ＤＬ４）が含まれている車両用表示装置。

　上記（１）によれば、線画像は隆起部を跨ぐように線状に延びるので、スクリーンの正面から見た場合と、斜めから覗き込んで見た場合とで、線画像の見え方が変わる。例えば、スクリーンの正面から見ると線画像が直線に視認される場合であっても、スクリーンを斜めから覗き込んで見ると、線画像は隆起部に沿う凹凸形状に視認されるようになる。そのため、隆起部の凹凸形状が認識されやすくなるので、スクリーンに表示される画像を立体的に視認させることを促進できる。

　（２）前記隆起部を跨ぐ位置が変化するよう、前記線画像の表示位置が移動していく上記（１）に記載の車両用表示装置。

　（３）車両情報を表した第１画像（Ｄａ）を表示する第１表示モードから、車両情報を表した第２画像（Ｄａ、Ｄｂ、Ｄｃ）を表示する第２表示モードに切り替える場合には、前記線画像が前記第１画像および前記第２画像の境界線となるように前記第１画像の一部および前記第２画像の一部を同時に表示させつつ、前記線画像の表示位置を所定方向に移動させていく上記（２）に記載の車両用表示装置。

　（４）前記第１画像に含まれる線および前記第２画像に含まれる線が連続して繋がっている上記（３）に記載の車両用表示装置。

　（５）前記スクリーンに表示される画像には、前記線画像（ＤＬ３、ＤＬ４）が複数含まれている上記（１）～（４）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

　（第１５実施形態）
　次に、第１５実施形態に係る車両用表示装置について、図４１～図４４を参照して説明する。

　ところで、日本特許公開公報（特開２００７-３２６４１９号）には、車速等の車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタと、射出された表示光が投射されて上記画像を表示するスクリーンと、を備える表示装置が開示されている。そして、スクリーンには、画像が視認される方向の手前側または奥側に隆起する形状の隆起部が形成されており、これにより、画像を立体的に視認させるようにしている。

　さて、車両情報を表した上記画像には、指針を表した指針画像や、指針画像の背景を表した背景画像、数字、文字または図柄を表した表意画像等が含まれている。そして、スクリーンの隆起部に表示される画像には歪みが生じるが、背景画像に生じる歪みとは違い、上記表意画像の場合には僅かに歪んだだけで判読性が著しく悪くなる恐れがある。

　ここで、スクリーンに形成される隆起部に表示される表意画像に歪みが生じる原因は、次のように考察される。すなわち、表示光は拡大しながら進んでいくため、プロジェクタからスクリーンまでの光路長が長いほど、表示光の拡大度合いが大きくなり、スクリーンに表示される画像は大きくなる。そのため、表意画像の中の部位に応じて光路長が異なると、表意画像のうち光路長が長い部位は大きく表示され、光路長が短い部位は小さく表示されることとなり、その結果、表意画像に歪みが生じることとなる。

　例えば図４５の比較例に示すように、３つの要素画像Ｄａ、Ｄｂ、Ｄｃの各々が「１」「４」「０」であり、これらを組み合わせて「１４０」といった数字の画像（表意画像Ｄｘ）が構成されている場合について、上記歪みを説明する。図４５の例では、表意画像Ｄｘがスクリーン６３０の斜面６３１ａに表示されており、要素画像「１」の光路長が要素画像「４」よりも長く、要素画像「０」の光路長が要素画像「４」よりも短い。すると、「１」が「４」よりも大きく表示され、「０」が「４」よりも小さく表示され、その結果、図４５に示す通り「１４０」が歪んで表示される。

　そこで、第１５実施形態に係る車両用表示装置では、スクリーンに隆起部を形成して画像を立体的に視認させるようにしつつも、隆起部を形成することに起因した表意画像の判読性悪化を抑制することを目的としている。

　図４１に示すインストルメントパネル６１０は、車両の室内のうちフロントウインドシールドの下方に配置されている。インストルメントパネル６１０の開口部６１０ａに取り付けられた透光カバー６１１の裏側には、後に詳述する車両用表示装置が設置される。なお、図４１中の上下前後方向を示す矢印は、車両用表示装置がインストルメントパネル６１０に設置された状態における、車両の上下前後方向を示す。

　車両用表示装置は、以下に説明するプロジェクタ６２０、スクリーン６３０および反射鏡６４０を備える。プロジェクタ６２０は、車両情報を表した画像の表示光Ｐを射出する。上記画像により表される「車両情報」の具体例としては、車速、エンジン回転速度、自動変速機のシフトレンジ、燃料残量、エンジン冷却水温度、各種警告情報等が挙げられる。

　プロジェクタ６２０は、以下に説明する拡大レンズ６２１、表示光生成装置６２２および図示しない光源を備える。表示光生成装置６２２は、光源の光を液晶パネルに透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。或いは、高速回転するカラーフィルタに光源の光を透過させて、所望の画像を表した表示光を生成する。表示光生成装置６２２により生成された画像の光は、拡大レンズ６２１によって拡大された後、上記表示光Ｐとして６プロジェクタ６２０から射出される。

　反射鏡６４０は、プロジェクタ６２０から射出された表示光Ｐを、スクリーン６３０へ向けて反射する。図４１の例では、反射鏡６４０の反射面は凸形状であり、表示光Ｐを拡大して反射する。反射鏡６４０により反射された表示光Ｑは、スクリーン６３０のうち視認者Ｍに対して反対側（奥側）から手前側へ透過する。スクリーン６３０を透過した表示光Ｒは、透光カバー６１１を通過して視認者Ｍであるユーザの目に入る。つまり、スクリーン６３０への表示光Ｑの投射により、スクリーン６３０に表示された画像がユーザにより視認される。

　スクリーン６３０は透光性を有する樹脂製の板であり、隆起部６３１が形成された肉厚均一の板形状である。図４２に示すように、スクリーン６３０は、視認者Ｍ側から見て円形の形状であり、円形のスクリーン６３０の中央に隆起部６３１は位置する。スクリーン６３０は、上記隆起部６３１に加え、以下に説明する底部６３２、傾斜部６３３および外周部６３４を有した形状である。また、視認者Ｍ側から見て、隆起部６３１は円形の形状であり、底部６３２、傾斜部６３３および外周部６３４は環状の形状である。隆起部６３１の外周には底部６３２の内周が繋がり、底部６３２の外周には傾斜部６３３の内周が繋がり、傾斜部６３３の外周には外周部６３４の内周が繋がる。

　図４３に示すように、隆起部６３１は、視認者Ｍ側に隆起した形状、かつ、視認者Ｍ側に凸となる向きに湾曲した形状であり、隆起部６３１の頂点６３１ｂを頂点とした球面を形成する。頂点６３１ｂに接する仮想面は、視認方向（図４３の上下方向）に対して垂直である。したがって、隆起部６３１のうち頂点６３１ｂから離れた部分であるほど、上記仮想面に対する傾斜角度が大きくなる。この傾斜角度が所定角度（例えば４５度）以上となっている隆起部６３１の部分は、斜面とも称される。

　底部６３２は、隆起部６３１の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。傾斜部６３３は、底部６３２の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して一定の角度で視認者Ｍ側へ徐々に隆起する平坦な斜面を形成する。外周部６３４は、傾斜部６３３の外周端から径方向に延びる円環形状であり、上記仮想面に対して平行な板面を形成する。なお、隆起部６３１の頂点６３１ｂは、外周部６３４よりも視認者Ｍ側に位置し、隆起部６３１の斜面６３１ａは外周部６３４よりも視認者Ｍの反対側に位置する。

　図４２に示すように、スクリーン６３０に表示される画像は、複数の部品が組み合わさって構成されたメータ装置を表した画像（メータ画像Ｄ）である。上記「複数の部品」とは、以下に説明する表示板Ｄ６１０、目盛り板Ｄ６２０、加飾リングＤ６３０、Ｄ６４０、指針Ｄ６１０ａおよびボスＤ６１０ｂである。これらの表示板Ｄ６１０、目盛り板Ｄ６２０、加飾リングＤ６３０、Ｄ６４０、指針Ｄ６１０ａおよびボスＤ６１０ｂは、実在する部品ではなく画像（部品画像）である。

　表示板Ｄ６１０は、数字Ｄ６１１、Ｄ６１２、Ｄ６１３、Ｄ６１４、Ｄ６１５、Ｄ６１６、Ｄ６１７、Ｄ６１８、Ｄ６１９とともに隆起部６３１に表示されている。また、指針Ｄ６１０ａおよびボスＤ６１０ｂも隆起部６３１に表示されている。表示板Ｄ６１０は、隆起部６３１の外形に沿う円形であり、表示板Ｄ６１０の中央に円形のボスＤ６１０ｂが表示されている。指針Ｄ６１０ａは、ボスＤ６１０ｂから表示板Ｄ６１０の径方向に延びる形状であり、ボスＤ６１０ｂを中心に表示板Ｄ６１０上を回転するように動画で表示される。数字Ｄ６１１～Ｄ６１９は、斜面６３１ａに表示されて車速を表す静止画像である。

　数字Ｄ６１１～Ｄ６１９、指針Ｄ６１０ａおよびボスＤ６１０ｂは、表示板Ｄ６１０とは異なる色で表示されている。表示板Ｄ６１０は、頂点６３１ｂから外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。具体的には、外周端に近いほど低輝度に表示している。これにより、隆起部６３１の立体形状が強調して視認されるようになり、表示板Ｄ６１０が実在しているかのようにユーザに錯覚させることができる。

　表示板Ｄ６１０が、指針Ｄ６１０ａの背景を表した背景画像であるのに対し、数字Ｄ６１１～Ｄ６１９は、一定の意味を持つ表意画像である。数字Ｄ６１１は１桁の数字であり、数字Ｄ６１２～Ｄ６１５は２桁の数字であり、数字Ｄ６１６～Ｄ６１９は３桁の数字である。そして、２桁以上の数字Ｄ６１２～Ｄ６１９については、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃ（図４４参照）を組み合わせて構成された表意画像であると言える。例えば、図４４に示す３桁の数字Ｄ６１８は「１４０」を表しているが、「１」を表す要素画像Ｄ６１８ａと、「４」を表す要素画像Ｄ６１８ｂと、「０」を表す要素画像Ｄ６１８ｃとを順に並べて構成されている。

　複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃは、斜面６３１ａを下る方向とは交差する方向に並べて配置されている。この下る方向とは、隆起部６３１の頂点６３１ｂから径方向に延びる方向であり、以下、隆起部６３１の径方向と呼ぶ。図４２中の一点鎖線Ｋ１は、斜面６３１ａのうち数字Ｄ６１１～Ｄ６１９が表示されている部分において、径方向に対して垂直に延びる仮想線である。この仮想線Ｋ１は、頂点６３１ｂを中心とした円形であり、隆起部６３１の隆起高さが同一となる仮想の等高線であると言える。

　要するに、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃは、隆起部６３１に対して同心円である仮想線Ｋ１上に並べて配置されている。したがって、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃの並ぶ方向が、指針Ｄ６１０ａの回転周方向に対して平行であるとも言える。なお、２桁以上の数字Ｄ６１２～Ｄ６１９のうち複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃの並ぶ方向の長さである横寸法Ｌ１が、その垂直な方向の長さである縦寸法Ｌ２よりも長い。

　背景画像である表示板Ｄ６１０とは異なる色で数字Ｄ６１１～Ｄ６１９を表示していることは先述した通りであるが、隆起部６３１の径方向、つまり斜面を下る方向において、要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃの中の明度または色を異ならせている。例えば、「０」を表す要素画像Ｄ６１８ｃのうち、径方向の中心側、つまり斜面上側の部分に位置する上部Ｄ６１８ｕと、斜面上側の部分に位置する下部Ｄ６１８ｄとは、異なる明度または色で表示されている。具体的には、要素画像Ｄ６１８ｃの下部Ｄ６１８ｄは、上部Ｄ６１８ｕに比べて膨張度合いの高い色または明度、或いは収縮度合いの低い色または明度で表示されている。また、斜面下側から上側に向かい、膨張度合いが徐々に小さくなるよう、或いは収縮度合いが徐々に大きくなるよう、要素画像Ｄ６１８ｃはグラデーション表示されている。

　ここで、膨張色および収縮色について以下に説明する。赤、橙、黄色のような暖色系の色は、実際のものよりも大きく見える。青、青緑のような寒色系の色は、実際よりも小さく見える。この大きさは色相だけでなく、明度からも影響を受けており、赤でもピンクのような明度の高い色は、膨張色としてより大きく見える。逆に収縮色は、寒色の中でも明度の低い色、例えば青でも紺のような明度の低い色は、収縮色としてより小さく見える。なお、明度のない黒も収縮色である。

　図４２の説明に戻り、目盛り板Ｄ６２０は、目盛りＤ６２１とともに底部６３２に表示されている。目盛り板Ｄ６２０は、底部６３２の内周および外周に沿う円環形状である。目盛りＤ６２１は、数字Ｄ６１１～Ｄ６１９に対応する位置に表示されている。目盛り板Ｄ６２０は、目盛りＤ６２１の背景を表した背景画像である。目盛り板Ｄ６２０は、目盛りＤ６２１とは異なる色であり、かつ、表示板Ｄ６１０の外周端と同一の輝度で表示されている。上述した数字Ｄ６１１～Ｄ６１９および目盛りＤ６２１についても、実在する印刷物ではなく画像である。そして、回転表示される指針Ｄ６１０ａは、回転して目盛りＤ６２１を指示する。これにより、メータ画像Ｄは車両情報である車速を表す。

　加飾リングＤ６３０、Ｄ６４０は、傾斜部６３３および外周部６３４に表示されている。傾斜部６３３に表示されている加飾リングＤ６３０は、内周端から外周端にかけて輝度が徐々に変化するようにグラデーション表示されている。外周部６３４に表示されている加飾リングＤ６４０は、加飾リングＤ６３０の外周端と同一の輝度で表示されている。

　次に、上述の如く要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを仮想線Ｋ１上に並べて配置することの技術的意義について説明する。

　プロジェクタ６２０から出射される表示光Ｐは拡大レンズ６２１により拡大されており、さらにその表示光Ｐは反射鏡６４０により拡大されている。よって、スクリーン６３０に投影される表示光Ｑは拡大しながら進んでいく。そのため、プロジェクタ６２０からスクリーン６３０までの光路長が長いほど、表示光Ｑの拡大度合いが大きくなり、スクリーン６３０に表示される画像は大きくなる。そのため、図４５に示すように、本実施形態に反して３つの要素画像Ｄａ、Ｄｂ、Ｄｃを斜面６３１ａの下る方向（つまり径方向）に並べて配置すると、各々の要素画像Ｄａ、Ｄｂ、Ｄｃの光路長は、図４３中のＱ１、Ｑ２、Ｑ３に示すように異なってくる。

　具体的には、３本の異なる仮想線Ｋ１、Ｋ２、Ｋ３（図４３および図４５参照）上に各々の要素画像Ｄａ、Ｄｂ、Ｄｃが配置されており、斜面６３１ａの上側であるほど光路長Ｑ１、Ｑ２、Ｑ３は長くなる。よって、「１」を表す要素画像Ｄａは「０」を表す要素画像Ｄｃよりも拡大して表示される。その結果、図４５に示す通り「１４０」を表す表意画像Ｄｘは歪んで表示される。

　この点を鑑みた本実施形態によれば、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃは、斜面６３１ａの周方向に並べて配置されている。つまり、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃは、同一の等高線（仮想線Ｋ１）上に配置されている。そのため、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃの光路長が互いに異なることを抑制できるので、数字Ｄ６１２～Ｄ６１９に歪みが生じることを抑制できる。よって、スクリーン６３０に隆起部６３１を形成して表示板Ｄ６１０の画像を立体的に視認させるようにしつつも、隆起部６３１を形成することに起因した数字Ｄ６１２～Ｄ６１９の判読性悪化を抑制できる。

　さらに本実施形態では、スクリーン６３０に表示されるメータ画像Ｄには、車両情報に応じて回転する指針を表した指針画像Ｄ６１０ａ、および指針画像により指し示される目盛りを表した目盛り画像Ｄ６２１が含まれている。そして、複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃの並ぶ方向が、指針画像Ｄ６１０ａの回転方向に対して平行である。

　そのため、斜面６３１ａを下る方向とは交差する方向に複数の要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを並べた結果、表意画像の向きが視認者Ｍから見て傾いていても、視認者Ｍに与える違和感を軽減できる。例えば、図４２に示す数字Ｄ６１８は視認者Ｍから見て９０度回転して傾いているが、指針Ｄ６１０ａの回転方向と数字Ｄ６１８の向きが一致するので、視認者Ｍに与える違和感を軽減でき、数字Ｄ６１８（表意画像）の判読性低下を抑制できる。

　さらに本実施形態では、表意画像のうち複数の要素画像の並ぶ方向の長さ（例えば数字Ｄ６１２～Ｄ６１９の横寸法Ｌ１）が、複数の要素画像の並ぶ方向に対して垂直な方向の長さ（例えば数字Ｄ６１２～Ｄ６１９の縦寸法Ｌ２）よりも長い。そのため、図４５に例示するように斜面６３１ａの下る方向に要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを並べると、要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃ毎の光路長Ｑ１、Ｑ２、Ｑ３の差が大きくなり、表意画像Ｄｘの歪みが顕著になる。よって、このように横寸法Ｌ１が縦寸法Ｌ２よりも長い場合に要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを仮想線Ｋ１に沿って並べる本実施形態によれば、表意画像の歪み抑制の効果が顕著に発揮される。

　さらに本実施形態では、斜面６３１ａを下る方向において、要素画像の中の表示色または明度を異ならせている。例えば、要素画像Ｄ６１８ｃのうち斜面上側の部分に位置する上部Ｄ６１８ｕと、斜面上側の部分に位置する下部Ｄ６１８ｄとは、異なる色または明度で表示されている。

　さて、一つの要素画像の中でも、斜面６３１ａを下る方向において斜面上側の部分と斜面下側の部分とでは、光路長が異なるため、表示される大きさが僅かに異なってくる。例えば、要素画像Ｄ６１８ｃの上部Ｄ６１８ｕは、厳密に言えば下部Ｄ６１８ｄよりも光路長が長い。この点を鑑み、本実施形態では、斜面６３１ａを下る方向において要素画像Ｄ６１８ｃの中の表示色または明度を異ならせている。そのため、隆起に起因して大きく表示される部分（例えば上部Ｄ６１８ｕ）を収縮色にし、隆起に起因して小さく表示される部分（例えば下部Ｄ６１８ｄ）を膨張色にすることで、要素画像Ｄ６１８ｃの中で生じる画像の歪みが目立たないようにできる。

　（第１５実施形態の変更例）
　本開示は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。

　上記実施形態に係る要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃは、斜面６３１ａを下る方向と直交する方向に並べて配置されている。しかし、本開示に係る要素画像の並び方向は、斜面６３１ａを下る方向と直交に限られるものではなく、斜面６３１ａを下る方向と交差する方向に並んでいればよい。但し、直交する方向に並べると、歪みを最大限に抑制でき、好適である。

　図４２および図４３に示す例では、隆起部６３１が球面形状であり、その球面上に表意画像Ｄ６１２～Ｄ６１９が表示されている。これに対し、円筒形状の外周面または内周面の如く、一方向に湾曲した湾曲面上に表意画像Ｄ６１２～Ｄ６１９が表示されていてもよい。この場合には、湾曲面の斜面を下る方向とは交差する方向に要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを並べて配置することとなる。例えば、円筒の軸方向と平行に要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃを並べれば、複数の要素画像の光路長を同一にでき、歪み抑制の効果を向上できる。

　図４２および図４３に示す隆起部６３１は、視認方向の手前側に隆起する形状であるが、視認方向の奥側に隆起する形状であってもよい。

　図４２に示す例では、表意画像Ｄ６１２～Ｄ６１９が数字であり、その数字を構成する各桁の数字を要素画像Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃとしている。これに対し、表意画像が文字であり、その文字を構成する１字ずつを要素画像としてもよい。例えば、「ＣＨＡＲＧＥ」といった文字を構成するアルファベットの１字ずつを要素画像とし、各々のアルファベットを図４１中の一点鎖線Ｋ１（つまり等高線）に沿って並べては位置すればよい。或いは、表意画像が複数の要素画像から構成される図柄、例えば天候を表す図柄や、空調装置による送風状態を表す図柄、車両の異常状態を表す図柄等であってもよい。また、これらの数字、文字、図柄を組み合わせて表意画像が構成されていてもよい。

　図４１に示す実施形態では、スクリーン６３０に対して視認者Ｍの反対側から表示光Ｑを入射させて、表示光Ｑがスクリーン６３０を透過して視認者Ｍの目に入るように、車両用表示装置は構成されている。これに対し、スクリーン６３０に対して視認者Ｍの側から表示光を入射させて、表示光がスクリーン６３０を反射して視認者Ｍの目に入るように構成されていてもよい。

　第１５実施形態に係る車両用表示装置は、以下のごとく限定することができる。
（１）車両情報を表した画像（Ｄ）の表示光（Ｐ）を射出するプロジェクタ（６２０）と、前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーン（６３０）と、を備え、前記スクリーンは、斜面（６３１ａ）を有する隆起部（６３１）を有し、前記スクリーンに表示される画像には、前記斜面に表示されるとともに、数字、文字または図柄を表した複数の要素画像（Ｄ６１８ａ、Ｄ６１８ｂ、Ｄ６１８ｃ）を組み合わせて構成された表意画像（Ｄ６１２～Ｄ６１９）が含まれており、前記複数の要素画像は、前記斜面を下る方向とは交差する方向に並べて配置されている車両用表示装置。

　上記（１）によれば、複数の要素画像は、スクリーンの斜面を下る方向とは交差する方向に並べて配置されている。そのため、複数の要素画像の光路長が互いに異なることを抑制できるので、表意画像に歪みが生じることを抑制できる。よって、スクリーンに隆起部を形成して画像を立体的に視認させるようにしつつも、隆起部を形成することに起因した表意画像の判読性悪化を抑制できる。
（２）前記スクリーンに表示される画像には、前記車両情報に応じて回転する指針を表した指針画像（Ｄ６１０ａ）、および前記指針画像により指し示される目盛りを表した目盛り画像（Ｄ６２１）が含まれており、前記複数の要素画像の並ぶ方向が、前記指針画像の回転方向に対して平行である上記（１）に記載の車両用表示装置。
（３）前記表意画像のうち前記複数の要素画像の並ぶ方向の長さ（Ｌ１）が、前記複数の要素画像の並ぶ方向に対して垂直な方向の長さ（Ｌ２）よりも長くなっている上記（１）または（２）に記載の車両用表示装置。
（４）前記斜面を下る方向において、前記要素画像の中の表示色または明度を異ならせている上記（１）～（３）のいずれか１つに記載の車両用表示装置。

Claims

　車両情報を表した画像の表示光を射出するプロジェクタ（２）と、
　前記表示光の輝度を制御する制御部（Ｃ）と、
　前記表示光が投射されることにより前記画像を表示するスクリーン（１０）と、
を備え、
　前記スクリーンは、前記画像が視認される方向の手前側に突出した凸部（１２、１５、１５’）、および奥側に凹んだ凹部（１１ａ、１４ｂ、１４ａ、１４ａ’）を有し、
　前記制御部は、前記表示光のうち、前記凸部および前記凹部のいずれか一方である第１部分に投射される表示光が、他方である第２部分に投射される表示光よりも高輝度になるよう制御する車両用表示装置。
　前記第１部分に表示される画像の表示態様が変化するように設定されている請求項１に記載の車両用表示装置。
　前記第１部分が複数並べて配置され、
　車両状態の物理量の変化に対応して前記複数の第１部分の各々に対する前記画像の表示態様が変化するように設定されている請求項１に記載の車両用表示装置。
　前記第１部分が複数並べて配置され、
　前記車両状態の物理量の変化に対応して前記複数の第１部分の各々に対する前記画像の表示態様を変化させること、および前記第１部分に対する前記画像の表示態様を変化させること、が切り替えられるように設定されている請求項１に記載の車両用表示装置。
　前記スクリーンは、前記凸部および前記凹部を連結する連結部（１２ａ、１２ｂ、１５ａ、１５ａ’）を有し、
　前記制御部は、前記連結部に投射される表示光が、前記第１部分に投射される表示光の輝度と前記第２部分に投射される表示光の輝度との間において輝度が変化するように制御する請求項１～４のいずれか１つに記載の車両用表示装置。
　車両情報を表した画像の表示光（Ｐ）を射出するプロジェクタ（１２０）と、
　前記表示光の輝度を制御する制御部（１２２）と、
　前記画像が視認される表面および前記表面とは反対側の背面を有し、前記表示光が投射されることで前記画像を表示するスクリーン（１３０）と、
を備え、
　前記スクリーンは、前記表面側へ突出した凸部（１３２）および該凸部に対して相対的に前記背面側へ位置した凹部（１３１，１３３）を備え、
　前記凸部は、前記凸部の頂部（１３２１）から前記凹部へ向けて拡がる傾斜面（１３２２，１３２３）を備え、
　前記制御部は、前記傾斜面を通過する表示光の輝度が、前記頂部を通過する表示光の輝度に対して低くなるように制御する車両用表示装置。
　前記制御部は、前記傾斜面を通過する表示光の輝度が、前記スクリーンに投射される表示光のうちで最も低輝度となるように制御する請求項６記載の車両用表示装置。
　前記制御部は、前記頂部を通過する表示光の輝度が、前記スクリーンに投射される表示光のうちで最も高輝度となるように制御する請求項６または７記載の車両用表示装置。
　前記凸部はリング状の形態を有し、前記凹部（１３１）は前記リング状の凸部により囲まれている請求項６～８のいずれか１つに記載の車両用表示装置。