WO2014174670A1

WO2014174670A1 - 動力伝達装置

Info

Publication number: WO2014174670A1
Application number: PCT/JP2013/062397
Authority: WO
Inventors: 樋口　武史
Original assignee: 日立建機株式会社
Priority date: 2013-04-26
Filing date: 2013-04-26
Publication date: 2014-10-30

Abstract

　動力伝達装置（２０）は、エンジン（９）のクランク軸（１４）側に接続される入力側ヨーク（２２）と、油圧ポンプ（３１）側に接続される出力側ヨーク（２３）と、入力軸部（２４Ｂ）と出力軸部（２４Ｃ）とを十字状に交差してなる十字軸（２４）とからなる自在継手（２１）を備える。クランク軸（１４）の中心軸線Ａ－Ａと入力軸部（２４Ｂ）の中心軸線Ｂ－Ｂとを含む平面を入力側平面（３２）とし、油圧ポンプ（３１）の中心軸線Ｃ－Ｃと入力軸部（２４Ｂ）の中心軸線Ｂ－Ｂとを含む平面を出力側平面（３３）とする。この場合に、エンジン（９）のピストン（１２）が上死点または下死点に位置するとき、入力側平面（３２）と出力側平面（３３）とが一致または略一致するように、中心軸線Ａ－Ａと中心軸線Ｃ－Ｃとに偏角ψをもたせる。

Description

動力伝達装置

　本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械に搭載され、エンジンの回転動力を油圧ポンプ等の被駆動部材（駆動対象物）に伝達する動力伝達装置に関する。

　一般に、建設機械の代表例である油圧ショベルは、走行可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載され、該下部走行体と共に車体を構成する上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより構成されている。上部旋回体には、回転力（トルク）を出力するエンジンと、該エンジンによって回転駆動され油圧機器（例えば油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧アクチュエータ）に向けて圧油を吐出する油圧ポンプとが搭載されている。これらエンジンと油圧ポンプは、例えば弾性体軸継手（弾性カップリング）を介してトルクの伝達を可能に接続されている（特許文献１）。

　ここで、特許文献１に記載された弾性体軸継手は、エンジンの出力軸（クランク軸）側となるフライホイールの側面に周方向（回転方向）に間隔をもって取付けられた複数のエンジン側ブロックと、油圧ポンプの入力軸に固定して取付けられた円筒状のハブ部材と、該ハブ部材の外周側に径方向外側に突出した状態で周方向に間隔をもって取付けられた複数のポンプ側ブロックと、ハブ部材を取囲んで配置されエンジン側ブロックとポンプ側ブロックとを収容する係合溝部が周方向に互い違いに形成された筒状の弾性体とにより構成されている。

　このような弾性体軸継手によれば、エンジンからのトルクが弾性体を介して油圧ポンプに伝達される。このため、クランク軸（フライホイール）の中心軸線と油圧ポンプの入力軸の中心軸線とのずれやエンジンのトルク変動を、弾性体の弾性変形によって吸収することができる。これにより、エンジンと油圧ポンプとの間で滑らかなトルク伝達を行うことができる。

　一方、特許文献２には、自在継手のカルダン誤差（不等速運動）を利用して、電動モータから出力される滑らかな回転を、エンジンからの出力の如き速度変動をもった回転として出力できるように構成した回転変動試験機に関する発明が記載されている。

特開２０１０－９１０６８号公報特開平８－４３２５６号公報

　従来技術によれば、弾性体軸継手の弾性体がエンジンのトルク変動を吸収するときに、弾性体のうちエンジン側ブロックとポンプ側ブロックとにより周方向に挟まれた部位には、伝達トルクの変動に基づく変動荷重が円周方向に作用する。この変動荷重に基づいて弾性体が弾性変形すると、エンジン側ブロックと弾性体との当接面やポンプ側ブロックと弾性体との当接面で滑りを生じ、当該当接面が摩耗するおそれがある。

　一方、最近は、エンジンの出力特性の改善や油圧システムの効率向上によって、油圧ショベルをモデルチェンジするときに、従来よりも小型のエンジンに移行することが行われている。この場合に、エンジンが６気筒のものから４気筒のものに変更されることがある。ここで、４気筒のエンジンに６気筒のエンジンと同じトルクを発生させるためには、１気筒当たりの発生トルクが６気筒のエンジンよりも大きくなる。このため、６気筒のエンジンから４気筒のエンジンに変更すると、６気筒の場合と比較して、エンジンのトルク変動が増大する傾向となる。これにより、弾性体軸継手の弾性体の摩耗が増大するおそれがある。

　本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、エンジンのトルク変動を低減して被駆動部材にトルクを伝達することができる動力伝達装置を提供することを目的としている。

　（１）．本発明による動力伝達装置は、４個のシリンダと、該各シリンダ内を往復動する４個のピストンと、該各ピストンの往復動を回転として出力するクランク軸とを有するエンジンに用いられるものである。

　上述した課題を解決するために、本発明が採用する構成の特徴は、前記クランク軸側に接続される入力側ヨークと、前記エンジンによって回転駆動される被駆動部材側に接続される出力側ヨークと、前記入力側ヨークが接続される入力軸部と前記出力側ヨークが接続される出力軸部とを十字状に交差する位置関係に配置してなる十字軸とからなる自在継手を備え、前記クランク軸の中心軸線と前記入力軸部の中心軸線とを含む平面を入力側平面とし、前記被駆動部材の中心軸線と前記入力軸部の中心軸線とを含む平面を出力側平面とした場合に、前記エンジンのピストンが上死点または下死点に位置するとき、前記入力側平面と出力側平面とが一致または略一致するように、前記クランク軸の中心軸線と前記被駆動部材の中心軸線とに偏角をもたせた構成としたことにある。

　この構成によれば、エンジンのトルク変動を低減して被駆動部材にトルクを伝達することができる。即ち、自在継手は、入力側ヨークの中心軸線（回転中心軸線）と出力側ヨークの中心軸線（回転中心軸線）とのなす角（偏角）に応じて、入力側ヨークの回転と出力側ヨークの回転との間で速度変動（不等速運動）が生じる。この場合、エンジンのピストンが上死点または下死点に位置するときに、前記入力側平面と前記出力側平面とが一致または略一致するように、入力側ヨークが接続されるクランク軸の中心軸線と出力側ヨークが接続される被駆動部材の中心軸線とに偏角をもたせている。

　このため、エンジンのクランク軸の回転速度がシリンダ内での爆発に基づいて速まる傾向のときに、入力側ヨークに対する出力側ヨークの回転速度が遅くなる傾向となる。一方、エンジンのクランク軸の回転速度が爆発の直前で遅くなる傾向のときには、入力側ヨークに対する出力側ヨークの速度が速まる傾向となる。これにより、エンジンのクランク軸のトルク変動に伴う速度変動に対して自在継手の速度変動が打ち消すように作用し、エンジンのトルク変動（速度変動）を低減して被駆動部材にトルクを伝達することができる。

　（２）．本発明によると、前記自在継手の出力側ヨークと前記被駆動部材との間には、弾性体の弾性変形に基づいて両者間のトルク変動を吸収する弾性体軸継手を設ける構成としたことにある。

　この構成によれば、自在継手と弾性体軸継手との２つの継手によりエンジンのトルク変動を低減して被駆動部材側にトルクを伝達することができる。しかも、弾性体軸継手には、エンジンによって生じたトルク変動が自在継手によって低減された状態で伝達される。このため、エンジンのクランク軸側に弾性体軸継手を直接的に接続（直結）した構成と比較して、トルク変動に伴う弾性体軸継手の弾性体の摩耗を抑制することができる。

　（３）．本発明によると、前記自在継手の入力側ヨークと出力側ヨークと十字軸とのうちの少なくとも１つは、フライホイールとしての機能をもたせた構成としたことにある。この構成によれば、エンジンのフライホイールを省略することができ、エンジンの小型化を図ることができる。

　（４）．上記（３）項の場合、本発明は、前記入力側ヨークは、円板状の本体部と、該本体部から前記十字軸側に向けて軸方向に突出し該十字軸の入力軸部が取付けられる軸取付部とにより構成することにより、前記入力側ヨークにフライホイールとしての機能をもたせた構成とすることができる。これにより、自在継手のうちで最もエンジン側に位置する入力側ヨークの本体部をフライホイールとすることができる。換言すれば、エンジンのフライホイールを入力側ヨークの本体部として用いることができる。これにより、エンジンのフライホイールと入力側ヨークとを一体化することができる。

　（５）．上記（３）項の場合、本発明は、前記十字軸は、円板状の中心部と、該中心部から径方向外側に突出する前記入力軸部および出力軸部とにより構成することにより、前記十字軸にフライホイールとしての機能をもたせた構成とすることができる。これにより、十字軸の慣性重量を大きくでき、自在継手で所望の速度変動を安定して得ることができる。

　（６）．上記（３）項の場合、本発明は、前記出力側ヨークは、円板状の本体部と、該本体部から前記十字軸側に向けて軸方向に突出し該十字軸の出力軸部が取付けられる軸取付部とにより構成することにより、前記出力側ヨークにフライホイールとしての機能をもたせた構成とすることができる。これにより、出力側ヨークの慣性重量を大きくでき、出力側ヨークでトルク変動を抑制して被駆動部材側にトルクを伝達することができる。

　（７）．本発明によると、前記入力側ヨークには、回転方向に１８０°離間して一対の入力軸部取付孔を設け、前記出力側ヨークには、回転方向に１８０°離間し、かつ、前記入力軸部取付孔に対して９０°離間して一対の出力軸部取付孔を設け、前記十字軸は、前記各入力軸部取付孔に回転可能に取付けられる前記入力軸部と前記各出力軸部取付孔に回転可能に取付けられる前記出力軸部とを周方向に９０°離間して交互に配置することにより、前記自在継手をカルダン継手として構成したことにある。これにより、自在継手で所望の速度変動を安定して得ることができる。

　（８）．本発明によると、前記被駆動部材の中心軸線は、前記クランク軸の中心軸線に対して水平方向に偏角をもった構成としたことにある。これにより、被駆動部材の上側や下側にスペースを確保することができる。この結果、被駆動部材の上側や下側への機器設置の自由度を確保することができる。

　（９）．本発明によると、前記被駆動部材の中心軸線は、前記クランク軸の中心軸線に対して垂直方向に偏角をもった構成としたことにある。この構成によれば、被駆動部材の水平方向（前，後方向および左，右方向）にスペースを確保することができる。これにより、被駆動部材に対し水平方向の機器設置の自由度を確保することができる。

　（１０）．本発明によると、前記被駆動部材は、建設機械の油圧アクチュエータに向けて圧油を吐出する油圧ポンプとして構成したことにある。この構成によれば、エンジンのトルク変動を低減して油圧ポンプの入力軸にトルクを伝達することができる。

第１の実施の形態による油圧ショベルを示す正面図である。油圧ショベルの上部旋回体を図１中の矢示II－II方向からみた拡大断面図である。エンジン、動力伝達装置、油圧ポンプを図２と同方向からみた一部が断面の正面図である。動力伝達装置、油圧ポンプを示す図３中の（IV）部の拡大図である。エンジンを図３中の矢示Ｖ－Ｖ方向からみた拡大側面図である。エンジン、動力伝達装置、油圧ポンプを図３中の矢示VI－VI方向からみた一部が断面の平面図である。エンジン、動力伝達装置、油圧ポンプを図３中の矢示VII－VII方向からみた一部が断面の底面図である。動力伝達装置と油圧ポンプを示す分解斜視図である。自在継手の縦断面図である。自在継手を図９中の矢示Ｘ－Ｘ方向からみた側面図である。自在継手を図９中の矢示XI－XI方向からみた縦断面図である。自在継手に弾性体軸継手のエンジン側ブロックを取付けて図１０と同方向からみた側面図である。油圧ポンプに弾性体軸継手のハブ部材とポンプ側ブロックと弾性体とを取付けてこれらをエンジン側からみた側面図である。エンジンのクランク軸の回転角度θcと角速度ωinの時間変化の一例を示す特性線図である。自在継手の偏角ψを７°とした場合のクランク軸の回転角度θcと角速度比ωout/ωinとの関係を示す特性線図である。自在継手の入力側ヨークの角速度ωinと出力側ヨークの角速度ωoutの時間変化の一例を示す特性線図である。第１の実施の形態によるエンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸の配設方向を模式的に示す説明図である。エンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸との間の自在継手を模式的に示す図１７中の（XVIII）部の拡大図である。第２の実施の形態によるエンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸の配設方向を模式的に示す説明図である。エンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸との間の自在継手を模式的に示す図１９中の（XX）部の拡大図である。第３の実施の形態によるエンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸の配設方向を模式的に示す説明図である。エンジンのクランク軸と油圧ポンプの入力軸との間の自在継手を模式的に示す図２１中の（XXII）部の拡大図である。従来技術によるカルダン継手を正面からみた説明図である。従来技術によるカルダン継手を図２３の右側からみた説明図である。従来技術によるカルダン継手の偏角ψが６°と８°と１０°の場合の回転角度θｊと角速度比ωout/ωinとの関係を示す特性線図である。

　以下、本発明に係る動力伝達装置の実施の形態を、油圧ショベルに搭載した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。

　図１ないし図１８は、本発明の第１の実施の形態を示している。

　図１において、１は建設機械の代表例としての油圧ショベルを示している。油圧ショベル１は、自走可能な下部走行体２と、該下部走行体２上に旋回可能に搭載され、該下部走行体２と共に車体を構成する上部旋回体３と、該上部旋回体３の前，後方向の前側に俯仰動可能に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置４とにより構成されている。

　ここで、下部走行体２には走行モータ（図示せず）が設けられると共に、上部旋回体３には旋回モータ（図示せず）が設けられている。下部走行体２は走行モータによって前進、後進等の走行動作を行い、上部旋回体３は旋回モータによって旋回動作するものである。

　作業装置４は、ブーム４Ａ、アーム４Ｂ、バケット４Ｃによって構成され、ブーム４Ａ、アーム４Ｂ、バケット４Ｃには、ブームシリンダ４Ｄ、アームシリンダ４Ｅ、バケットシリンダ４Ｆが取付けられている。これらのシリンダ４Ｄ，４Ｅ，４Ｆは、走行モータ、旋回モータと共に、後述の油圧ポンプ３１から吐出する圧油により駆動される油圧アクチュエータを構成するものである。

　旋回フレーム５は、上部旋回体３の支持構造体を形成する支持フレームであり、下部走行体２上に旋回可能に搭載されている。旋回フレーム５には、後述のキャブ６、カウンタウエイト７、エンジン９、動力伝達装置２０、油圧ポンプ３１、熱交換器３６等が搭載されている。

　ここで、旋回フレーム５は、前，後方向に延びる厚肉な鋼板等からなる底板５Ａと、該底板５Ａ上に立設され、左，右方向に所定の間隔をもって前，後方向に延びる左縦板５Ｂ、右縦板５Ｃと、該各縦板５Ｂ，５Ｃの左，右の外側に間隔をもって配置され、前，後方向に延びる左サイドフレーム５Ｄ、右サイドフレーム５Ｅと、底板５Ａ、各縦板５Ｂ，５Ｃから左，右方向に張出し、その先端部に左，右のサイドフレーム５Ｄ，５Ｅを支持する複数本の張出しビーム５Ｆとにより構成されている。各縦板５Ｂ，５Ｃの前側には作業装置４が俯仰動可能に取付けられている。

　図２に示すように、旋回フレーム５の後側には、例えば、左縦板５Ｂと右縦板５Ｃとの間に位置して上側に延びる取付台座５Ｇが前，後方向に間隔をもって設けられている。各取付台座５Ｇには、後述するエンジン９が防振マウント３５を介して制振状態で取付けられている。

　キャブ６は、旋回フレーム５の左前側に搭載されている。キャブ６は、オペレータが搭乗するもので、内部にはオペレータが着座する運転席、走行用の操作レバー、作業用の操作レバー等が配設されている。

　カウンタウエイト７は、旋回フレーム５を構成する左，右の縦板５Ｂ，５Ｃの後端部に取付けられている。カウンタウエイト７は、作業装置４との重量バランスをとるもので、略円弧状をした重量物として形成されている。

　外装カバー８は、キャブ６とカウンタウエイト７との間に位置して旋回フレーム５上に配設されている。外装カバー８は、エンジンカバー８Ａ、左カバー８Ｂ、右カバー８Ｃを含んで構成されている。外装カバー８は、後述するエンジン９、動力伝達装置２０、油圧ポンプ３１、熱交換器３６等の搭載機器を収容するものである。

　次に、９はカウンタウエイト７の前側に位置して旋回フレーム５の後端側に設けられたエンジンを示している。エンジン９は、直列４気筒で４ストローク式のディーゼルエンジンとして構成され、後述するクランク軸１４の中心軸線（回転中心軸線）Ａ－Ａが左，右方向に延在する横置き状態で上部旋回体３に搭載されている。

　ここで、エンジン９は、エンジン本体１０と、該エンジン本体１０に設けられた４個のシリンダ１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ（以下、全体としてシリンダ１１という）と、該各シリンダ１１内を往復動する４個のピストン１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ（以下、全体としてピストン１２という）と、該各ピストン１２とコネクティングロッド１３を介して接続され各ピストン１２の往復動を回転として出力する出力軸としてのクランク軸１４とを含んで構成されている。

　エンジン本体１０は、クランク軸１４を収容する中空容器として形成されたクランクケース１０Ａと、該クランクケース１０Ａの下側に設けられエンジンオイルを収容するオイルパン１０Ｂと、クランクケース１０Ａ上に搭載されシリンダ１１が形成されたシリンダブロック１０Ｃと、該シリンダブロック１０Ｃ上に搭載されたシリンダヘッド１０Ｄとを含んで構成されている。

　図２に示すように、エンジン本体１０の一端側（図２の左側）には、後述する熱交換器３６に冷却風を供給するための冷却ファン１５が設けられている。エンジン本体１０のシリンダブロック１０Ｃおよびシリンダヘッド１０Ｄには、エンジン冷却水が循環するウォータジャケット（図示せず）が形成され、該ウォータジャケットは、冷却水の熱を放出する熱交換器３６に接続されている。

　図２ないし図４に示すように、エンジン本体１０の他端側（図２の右側）には、短尺な円筒状の動力伝達装置収容部１０Ｅが設けられている。動力伝達装置収容部１０Ｅの開口端は、後述する偏角アダプタ３４が取付けられるアダプタ取付部１０Ｅ1となっている。このアダプタ取付部１０Ｅ1には、偏角アダプタ３４を取付けるための雌ねじ穴（図示せず）が周方向に複数個列設されている。アダプタ取付部１０Ｅ1の取付面（偏角アダプタ３４が当接する当接面）は、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａに対して直交する面となっている。動力伝達装置収容部１０Ｅは、実施の形態では後述する動力伝達装置２０を収容するものであるが、従来のエンジンのフライホイール収容部に対応するものである。即ち、動力伝達装置収容部１０Ｅは、従来のエンジンのフライホイール収容部を流用することができる。

　ここで、各シリンダ１１内でピストン１２が往復運動すると、ピストン１２の往復運動がコネクティングロッド１３を介してクランク軸１４の回転運動へ変換される。このクランク軸１４の回転は、該クランク軸１４にボルト１６を用いて締結された後述の動力伝達装置２０の自在継手２１（入力側ヨーク２２）に伝達される。

　ここで、４個のピストン１２のうちクランク軸１４の軸方向両端側の２個のピストン１２Ａ，１２Ｄは同じ位相で往復運動を行い、中央側の２個のピストン１２Ｂ，１２Ｃも同じ位相で往復運動を行う。両端側の２個のピストン１２Ａ，１２Ｄと中央側の２個のピストン１２Ｂ，１２Ｃとは、１８０°（クランク軸１４の１／２回転）ずれた位相で往復運動する。ピストン１２の往復動に伴う動的なバランスを取るためである。

　エンジン９は、４ストロークエンジンとして構成されているので、ピストン１２の２往復（クランク軸１４の２回転）に付き１回の爆発が行われ、さらにクランク軸１４が１８０°回転する毎に４個のピストン１２において順次爆発が行われる。結果としてクランク軸１４が２回転する間に４回の爆発が発生し、爆発の周波数はクランク軸１４の回転周波数の２倍の周波数となる。なお、この爆発の周波数をエンジン爆発１次周波数と呼ぶ。

　図１４は、エンジン９のクランク軸１４の回転角度θｃと角速度ωinの時間変化の一例を示す特性線図である。なお、図３および図５に示すように、クランク軸１４の回転角度θｃは、クランク軸１４の両端側のピストン１２Ａ，１２Ｄが上死点、中央側の２個のピストン１２Ｂ，１２Ｃが下死点に位置するときを０°としている。図１４から明らかなように、クランク軸１４の角速度ωinは、該クランク軸１４が１回転する毎に大きく２回変動する。

　ところで、最近は、エンジンの出力特性の改善や油圧システムの効率向上によって、油圧ショベルをモデルチェンジするときに、従来よりも小型のエンジンに移行することが行われている。この場合に、エンジンが６気筒のものから４気筒のものに変更されることがある。ここで、４気筒のエンジンに６気筒のエンジンと同じトルクを発生させるためには、１気筒当たりの発生トルクが６気筒のエンジンよりも大きくなる。このため、６気筒のエンジンから４気筒のエンジンに変更すると、６気筒の場合と比較して、エンジンのトルク変動が増大する傾向となる。これにより、例えば、弾性体軸継手の弾性体の摩耗が増大するおそれがある。

　一方、カルダン継手等の自在継手は、角度をなして配置された入力軸と出力軸との間、即ち、互いの回転中心軸線が一直線上にない入力軸と出力軸との間で動力の伝達を行うことができる。ただし、入力軸と出力軸との間では、そのなす角（偏角）の大きさおよびその方向等に応じた速度変動（不等速運動）を生じる。そこで、本発明者は、エンジンのトルク変動に伴う速度変動を、自在継手の速度変動で打ち消すことを考えた。

　次に、従来技術によるカルダン継手とその速度変動について、図２３ないし図２５を参照しつつ説明する。

　図２３および図２４は、自在継手としてのカルダン継手１０１を示している。図２３は、カルダン継手１０１の正面図であり、図２４は、図２３のカルダン継手１０１を右側からみた右側面図である。カルダン継手１０１は、回転動力が入力される入力側ヨーク１０２と、回転動力が出力される出力側ヨーク１０３と、十字軸１０４とにより構成されている。この十字軸１０４は、入力側ヨーク１０２が接続される入力軸部１０４Ａと、出力側ヨーク１０３が接続される出力軸部１０４Ｂとが十字状に交差している。

　入力側ヨーク１０２は、該入力側ヨーク１０２の回転中心軸となる軸部１０２Ａと、該軸部１０２Ａに接続して設けられた半円弧状のヨーク部１０２Ｂとにより構成されている。ヨーク部１０２Ｂの端部には、十字軸１０４の入力軸部１０４Ａの端部を回転可能に支持する一対の入力軸部取付孔１０２Ｃが互いに対面するように設けられている。

　出力側ヨーク１０３は、該出力側ヨーク１０３の回転中心軸となる軸部１０３Ａと、該軸部１０３Ａに接続して設けられた半円弧状のヨーク部１０３Ｂとにより構成されている。ヨーク部１０３Ｂの端部には、十字軸１０４の出力軸部１０４Ｂの端部を回転可能に支持する一対の出力軸部取付孔１０３Ｃが互いに対面するように設けられている。

　ここで、入力側ヨーク１０２の角速度をωinとし、出力側ヨーク１０３の角速度をωoutとし、入力側ヨーク１０２の軸部１０２Ａの中心軸線（回転中心軸線）Ａ－Ａと出力側ヨーク１０３の軸部１０３Ａの中心軸線（回転中心軸線）Ｃ－Ｃとのなす角度（偏角）をψとする。入力側ヨーク１０２の中心軸線Ａ－Ａを座標軸Ｘｊとし、該中心軸線Ａ－Ａと出力側ヨーク１０３の中心軸線Ｃ－Ｃを含む平面に垂直な方向を座標軸Ｙｊとし、座標軸Ｘｊと座標軸Ｙｊとを含む平面に垂直な方向を座標軸Ｚｊとし、右手系の座標軸を定義する。座標軸Ｙｊと十字軸１０４の入力軸部１０４Ａの中心軸線とのなす角度（回転角度）をθｊとする。

　図２５は、カルダン継手１０１の偏角ψが６°と８°と１０°の場合における、入力軸部１０４Ａのなす角度（回転角度）θｊと入力側ヨーク１０２および出力側ヨーク１０３の角速度比ωout／ωinとの関係を示す特性線図である。いずれの偏角ψの場合も、入力軸部１０４Ａの回転角度θｊが０°と１８０°のときに最小となり、回転角度θｊが９０°と２７０°のときに最大となることが分かる。また、偏角ψが大きくなるほど、振れ幅（速度変動の程度）が大きくなることが分かる。

　次に、このようなカルダン継手１０１の速度変動を利用してエンジン９の速度変動（トルク変動）を低減できるように構成した動力伝達装置２０について説明する。

　即ち、２０はエンジン９と後述する油圧ポンプ３１との間に設けられた動力伝達装置を示している。動力伝達装置２０は、４気筒で４ストロークのエンジン９に用いられるもので、該エンジン９と被駆動部材（駆動対象物）となる油圧ポンプ３１との間で動力の伝達を行う。ここで、実施の形態では、エンジン９のクランク軸１４と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとの間には、自在継手２１と弾性体軸継手２５とを設け、これら自在継手２１と弾性体軸継手２５とによりエンジン９と油圧ポンプ３１との間で動力の伝達を行う動力伝達装置２０を構成している。

　即ち、動力伝達装置２０は、後述する入力側ヨーク２２と、出力側ヨーク２３と、十字軸２４とからなる自在継手２１を備えている。この自在継手２１は、図２３および図２４に示すカルダン継手１０１と同等のものとして構成されるものである。

　２２はエンジン９のクランク軸１４に接続される入力側ヨークで、該入力側ヨーク２２は、図２３および図２４のカルダン継手１０１の入力側ヨーク１０２に対応するものである。入力側ヨーク２２は、ボルト１６を用いてクランク軸１４に直接固定される円板状の本体部２２Ａと、該本体部２２Ａの外周側に全周にわたって設けられ該本体部２２Ａから十字軸２４側に向けて軸方向に突出する軸取付部としての円筒部（筒状フランジ部）２２Ｂとにより構成されている。なお、エンジン９のクランク軸１４と入力側ヨーク２２とは、直接的に接続され、両者は同期して回転する（一体的に回転する）。

　入力側ヨーク２２の本体部２２Ａは、慣性重量を確保すべく円板状に形成することにより、入力側ヨーク２２にフライホイールとしての機能をもたせている。換言すれば、エンジン９のフライホイールを入力側ヨーク１０２の本体部２２Ａとして用いている。一方、円筒部２２Ｂは、十字軸２４の入力軸部２４Ｂが取付けられるもので、円筒部２２Ｂには、回転方向に１８０°離間して一対の入力軸部取付孔２２Ｂ1が設けられている。

　２３は被駆動部材側となる後述の油圧ポンプ３１に弾性体軸継手２５を介して接続される出力側ヨークで、該出力側ヨーク２３は、図２３および図２４のカルダン継手１０１の出力側ヨーク１０３に対応するものである。出力側ヨーク２３は、弾性体軸継手２５のエンジン側ブロック２６が取付けられる円板状の本体部２３Ａと、該本体部２３Ａの外周側の２箇所位置に設けられ該本体部２３Ａから十字軸２４側に向けて軸方向に突出する軸取付部としての一対の取付片２３Ｂとにより構成されている。

　出力側ヨーク２３の本体部２３Ａは、慣性重量を確保すべく円板状に形成することにより、出力側ヨーク２３にフライホイールとしての機能をもたせている。出力側ヨーク２３の本体部２３Ａには、周方向に９０°離間して４個のねじ孔２３Ａ1が形成されている。これら各ねじ孔２３Ａ1には、弾性体軸継手２５のエンジン側ブロック２６を取付けるためのボルト２７が螺着される。これにより、出力側ヨーク１０３の本体部２３Ａは、弾性体軸継手２５を取付けるための取付ディスクを兼ねたものとなっている。

　一方、各取付片２３Ｂは、十字軸２４の出力軸部２４Ｃが取付けられるもので、これら各取付片２３Ｂには、それぞれ出力軸部取付孔２３Ｂ1が設けられている。各取付片２３Ｂ（各出力軸部取付孔２３Ｂ1）は、回転方向に１８０°離間し、かつ、入力側ヨーク２２の入力軸部取付孔２２Ｂ1に対して９０°離間して配置されている。

　２４は入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３とを接続する十字軸で、該十字軸２４は、図２３および図２４のカルダン継手１０１の十字軸１０４に対応するものである。十字軸２４は、円板状の中心部（交差部）２４Ａと、該中心部２４Ａから径方向外側に突出し入力側ヨーク２２が接続される入力軸部２４Ｂと、中心部２４Ａから径方向外側に突出し出力側ヨーク２３が接続される出力軸部２４Ｃとにより構成されている。

　十字軸２４の中心部２４Ａは、慣性重量を確保すべく円板状に形成することにより、十字軸２４にフライホイールとしての機能をもたせている。一方、入力軸部２４Ｂと出力軸部２４Ｃは、十字状に交差する位置関係に配置されている。即ち、十字軸２４は、入力側ヨーク２２の各入力軸部取付孔２２Ｂ1に回転可能に取付けられる入力軸部２４Ｂと、出力側ヨーク２３の各出力軸部取付孔２３Ｂ1に回転可能に取付けられる出力軸部２４Ｃとを、周方向に９０°離間して交互に配置した構成となっている。

　なお、実施の形態では、自在継手（カルダン継手）２１の入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３は、エンジン９のクランク軸１４が所定の回転角度（θｃ＝０°）のときに、所定の回転角度（θｊ＝９０）で所定の偏角（ψ＝７°）をもつように配置される。この点については、後述する。

　次に、自在継手２１の出力側ヨーク２３と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとを接続する弾性体軸継手２５について説明する。

　即ち、２５は出力側ヨーク２３と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとの間に設けられた弾性体軸継手で、該弾性体軸継手２５は、弾性体３０の弾性変形に基づいて出力側ヨーク２３と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとの間のトルク変動を吸収するものである。弾性体軸継手２５は、複数（４個）のエンジン側ブロック２６と、ハブ部材２８と、該ハブ部材２８に設けられた複数（４個）のポンプ側ブロック２９と、弾性体３０とにより構成されている。

　４個のエンジン側ブロック２６は、出力側ヨーク２３の本体部２３Ａに周方向（回転方向）に間隔をもって取付けられている。各エンジン側ブロック２６は、略扇状のブロック体として形成され、軸方向に延びるボルト挿通孔２６Ａを有している。各エンジン側ブロック２６は、ボルト挿通孔２６Ａに挿通したボルト２７を出力側ヨーク２３のねじ孔２３Ａ1に螺着することにより、該出力側ヨーク２３に取付けることができる。

　ハブ部材２８は、厚肉な円筒体として形成され、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂに固定して取付けられている。ハブ部材２８は、例えば、内周側に雌スプラインが形成され、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂに形成された雄スプラインとスプライン係合する構成となっている。ハブ部材２８には、周方向の４箇所位置に、ポンプ側ブロック２９をボルト（図示せず）を用いて固定するためのねじ孔（図示せず）が設けられている。ハブ部材２８には、例えば、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂに対する抜け止め用のボルトを挿通するための挿通孔も設けられている。

　４個のポンプ側ブロック２９は、ハブ部材２８の外周側に該ハブ部材２８から径方向外側に突出した状態で周方向に間隔をもって取付けられている。各ポンプ側ブロック２９は、扇状のブロック体として形成され、径方向に延びるボルト挿通孔２９Ａを有している。各ポンプ側ブロック２９は、ボルト挿通孔２９Ａに挿通したボルト（図示せず）をハブ部材２８のねじ孔に螺着することにより、該ハブ部材２８の外周面に一体的に取付けられている。

　弾性体３０は、ハブ部材２８を取囲んで配置されている。弾性体３０は、例えば弾性を有する樹脂材料、ゴム材料を用いて厚肉な円筒状に形成され、エンジン側ブロック２６を収容する係合溝部３０Ｂとポンプ側ブロック２９を収容する係合溝部３０Ｃとが周方向に互い違いに形成されている。即ち、弾性体３０は、中央にハブ部材２８が収容されるハブ収容部３０Ａが形成され、該ハブ収容部３０Ａの周囲には、４個のエンジン側ブロック係合溝部３０Ｂと４個のポンプ側ブロック係合溝部３０Ｃとが周方向に間隔をもって交互に配置されている。

　このように構成された弾性体軸継手２５は、自在継手２１の出力側ヨーク２３に取付けられた各エンジン側ブロック２６と、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂにハブ部材２８を介して取付けられた各ポンプ側ブロック２９とを弾性体３０を挟んで周方向に対向させる。これにより、弾性体軸継手２５は、例えば、エンジン９のクランク軸１４から自在継手２１を介して油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂに伝わる衝撃やトルク変動を弾性体３０によって緩和することができる。

　なお、弾性体軸継手２５の弾性体３０がエンジン９からのトルク変動を吸収するときに、弾性体３０の係合溝部３０Ｂ，３０Ｃには、伝達トルクの変動に基づく変動荷重が円周方向に作用する。この変動荷重に基づいて弾性体３０が弾性変形すると、エンジン側ブロック２６と係合溝部３０Ｂとの当接面やポンプ側ブロック２９と係合溝部３０Ｃとの当接面で滑りを生じ、当該当接面が摩耗するおそれがある。これに対し、実施の形態では、エンジン９のクランク軸１４と弾性体軸継手２５のエンジン側ブロック２６との間にカルダン継手として構成された自在継手２１が設けられている。後述するように、自在継手２１はエンジン９のトルク変動を低減して弾性体軸継手２５にトルクを伝達することができる。このため、トルク変動に伴う弾性体軸継手２５の弾性体３０の摩耗を抑制することができる。

　次に、動力伝達装置２０に接続された油圧ポンプ３１について説明する。

　即ち、３１はエンジン９によって回転駆動される被駆動部材としての油圧ポンプで、該油圧ポンプ３１は、後述する偏角アダプタ３４を介してエンジン９に取付けられている。油圧ポンプ３１は、エンジン９によって駆動されることにより、油圧ショベル１に搭載された各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。ここで、油圧ポンプ３１は、例えば、斜軸式油圧ポンプ、斜板式油圧ポンプにより構成されるポンプ機構（図示せず）と、該ポンプ機構を収容するポンプケーシング３１Ａと、該ポンプケーシング３１Ａの中央から突出して設けられポンプ機構に接続される入力軸（回転軸）３１Ｂとにより構成されている。

　ここで、ポンプケーシング３１Ａの基端側は、拡径してフランジ部３１Ａ1となっている。フランジ部３１Ａ1は、ボルト（図示せず）を用いて偏角アダプタ３４に取付けられる。入力軸３１Ｂの端部には、弾性体軸継手２５のハブ部材２８の雌スプラインとスプライン係合する雄スプラインが形成されている。図６、図７、図１７に示すように、油圧ポンプ３１を偏角アダプタ３４を介してエンジン９に取付けた状態で、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃは、エンジン９のクランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａに対し、偏角ψをもって交差する。

　なお、エンジン９のクランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａは、自在継手２１の入力側ヨーク２２の中心軸線Ａ－Ａと一致し、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃは、自在継手２１の出力側ヨーク２３および弾性体軸継手２５の中心軸線Ｃ－Ｃと一致している。

　次に、自在継手２１の偏角ψと、エンジン９のクランク軸１４の回転角度θｃと、自在継手２１の回転角度θｊとの関係について説明する。

　即ち、実施の形態では、自在継手２１の入力側ヨーク２２に対する出力側ヨーク２３の速度変動が、エンジン９のクランク軸１４の速度変動を低減できるような所望の速度変動となるように、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３とに所定の偏角ψをもたせている。このために、エンジン９のクランク軸１４と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの配設方向、即ち、両者の中心軸線Ａ－Ａ，Ｃ－Ｃの偏角ψの方向を、次のように設定している。

　即ち、図１７に示すように、クランク軸１４の中心軸線（＝入力側ヨーク２２の中心軸線）をＡ－Ａとし、十字軸２４の入力軸部２４Ｂの中心軸線をＢ－Ｂとし、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線（＝出力側ヨーク２３の中心軸線＝弾性体軸継手２５の中心軸線）をＣ－Ｃとする。一方、上記中心軸線Ａ－Ａと上記中心軸線をＢ－Ｂとを含む仮想平面を入力側平面３２とし、上記中心軸線Ｂ－Ｂと上記中心軸線Ｃ－Ｃとを含む仮想平面を出力側平面３３とする。この場合に、エンジン９のピストン１２が上死点または下死点に位置するときに、入力側平面３２と出力側平面３３とが一致（または略一致）するように、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃとに偏角ψをもたせている。

　即ち、クランク軸１４の角度がθｃ＝０°のときに、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３との位置関係（回転角度）が、図２３および図２４に示すカルダン継手１０１の入力軸部１０４Ａのなす角でθｊ＝９０°（θｊ≒９０°）となるように、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃとの偏角ψの方向を設定している。換言すれば、θｃ＝０°のときに、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃの偏角ψが、入力側平面３２に沿う方向（または略沿う方向）となるように、クランク軸１４と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとを配置している。

　実施の形態では、油圧ポンプ３１をエンジン９に対し、偏角アダプタ３４を介して取付けることにより、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３との間に上述のような所定の偏角ψをもたせている。そこで、偏角アダプタ３４について、図６および図７を参照しつつ説明する。

　即ち、３４はエンジン９の動力伝達装置収容部１０Ｅと油圧ポンプ３１のフランジ部３１Ａ1との間に設けられた偏角アダプタを示している。偏角アダプタ３４は、略円筒状に形成され、エンジン９側（動力伝達装置収容部１０Ｅ側）に取付けられる取付面３４Ａと油圧ポンプ３１側（フランジ部３１Ａ1側）に取付けられる取付面３４Ｂとが非平行となっている。即ち、エンジン９側の取付面３４Ａに対して油圧ポンプ３１側の取付面３４Ｂを、偏角ψに対応する角度で傾斜させている。この場合、実施の形態では、出力側ヨーク２３（油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ）の中心軸線Ｃ－Ｃは、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａに対して水平方向の一側に向けて偏角ψをもたせている。即ち、図２および図６に示すように、中心軸線Ｃ－Ｃは中心軸線Ａ－Ａに対して上部旋回体３の前側に向けて偏角ψをもたせている。

　図１７および図１８に示すように、十字軸２４の中心（入力軸部２４Ｂと出力軸部２４Ｃの交点）を原点Ｐとし、クランク軸１４をＸ軸（エンジン９から油圧ポンプ３１に向かう方向を正）、ピストン１２の往復動方向をＺ軸（シリンダブロック１０Ｃからシリンダヘッド１０Ｄに向かう方向を正）とした右手系の座標軸を定義する。このとき、偏角アダプタ３４の取付面３４Ａ，３４Ｂは、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線（出力側ヨーク２３の中心軸線）Ｃ－Ｃが、Ｘ軸に対してＺ軸周りに７°の偏角ψをもつように設定されている。この場合に、クランク軸１４と自在継手２１は、クランク軸１４がθｃ＝０°のときに、θｊ＝９０°になる（十字軸２４の入力軸部２４ＢがＹ軸と一致する）位相関係で接続されている。

　図１５は、偏角ψを７°とした場合のクランク軸１４の回転角度θcと角速度比ωout/ωinとの関係を示す特性線図である。角速度比ωout/ωinは、入力側ヨーク２２の角速度ωinと出力側ヨーク２３の角速度ωoutとの比である。図１６は、上述のように偏角をψ＝７°とし、かつ、回転角度θｃ＝０°のときに回転角度をθｊ＝９０°に設定した場合の、エンジン９の稼働時の入力側ヨーク２２（クランク軸１４）の角速度ωinと出力側ヨーク２３（油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ）の角速度ωoutの時間変化の一例を示す特性線図である。

　この図１６から明らかなように、出力側ヨーク２３（油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ）の角速度ωoutの変動振幅は、入力側ヨーク２２（クランク軸１４）の角速度ωinよりも小さい振幅となる。すなわち、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３との間の速度変動が、エンジン９のクランク軸１４のトルク変動を低減する（打ち消す）ように作用している。この結果、自在継手２１により、エンジン９のトルク変動を低減して弾性体軸継手２５および油圧ポンプ３１にトルクを伝達することができる。

　なお、実施の形態では、クランク軸１４の角度が０°（θc＝０°）のときに、入力側平面３２と出力側平面３３とが一致するように設定している（θｊ＝９０°に設定している、換言すれば、偏角ψを入力側平面３２に沿う方向に配置している）。このような設定は、θc＝０°のときにクランク軸１４の角速度ωinが最小値をとる場合、より具体的には、θc＝０°のときにエンジン爆発１次周波数成分が極小値をとる場合に、最大の効果が得られる設定である。

　これに対し、エンジン９の形式、種類、特性等の違いや運転条件によっては、θcに対する角速度ωinの関係（エンジン爆発１次周波数成分が極小値をとるときのθc）は、若干変化する。このため、エンジンのトルク変動（速度変動）を抑制して伝達するという効果を最適に得るためのθcとθｊの位相関係は、上記の設定に対して若干の調整代を有しており、このような設定も、本願発明の意図する範囲である。そこで、本発明では、「略一致」、「θｊ≒９０°」、「略沿う方向」という言葉を併用している。

　なお、図２中、３５はエンジン９を旋回フレーム５上に制振状態で支持する防振マウントを示している。３６はエンジン冷却水等を冷却する熱交換器を示している。３７はエンジン９の排気マニホールド（図示せず）に接続される排気マフラ等の排気ガス処理装置を示している。

　第１の実施の形態による油圧ショベル１は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。

　油圧ショベル１のオペレータは、上部旋回体３のキャブ６に搭乗し、エンジン９を始動して油圧ポンプ３１を駆動する。これにより、油圧ポンプ３１から圧油が吐出され、この圧油はコントロールバルブ（図示せず）を介して、ブームシリンダ４Ｄ、アームシリンダ４Ｅ、バケットシリンダ４Ｆ、走行モータ、旋回モータ等の油圧アクチュエータに供給される。

　キャブ６に搭乗したオペレータが走行用の操作レバー（図示せず）を操作したときには、下部走行体２により車両を前進または後退させることができる。一方、キャブ６内のオペレータが作業用の操作レバーを操作することにより、作業装置４を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。

　油圧ショベル１の稼働時、エンジン９のクランク軸１４から出力されたトルクは、カルダン継手として構成された自在継手２１と弾性体３０を有する弾性体軸継手２５とを介して、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂに伝達される。この場合、自在継手２１によりエンジン９のトルク変動を低減して、弾性体軸継手２５および油圧ポンプ３１にトルクを伝達することができる。

　即ち、カルダン継手（十字継手）として構成された自在継手２１は、入力側ヨーク２２の中心軸線Ａ－Ａと出力側ヨーク２３の回転中心軸線Ｃ－Ｃとの偏角ψに応じて、入力側ヨーク２２の回転と出力側ヨーク２３の回転との間で速度変動（不等速運動）が生じる。この場合、エンジン９のピストン１２が上死点または下死点に位置するとき（θc＝０°のとき）に、入力側平面３２と出力側平面３３とが一致（または略一致）するように、入力側ヨーク２２が接続されるクランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと出力側ヨーク２３が接続される弾性体軸継手２５および油圧ポンプ３１の中心軸線Ｃ－Ｃとに偏角ψをもたせている。

　このため、エンジン９のクランク軸１４の回転速度がシリンダ１１内での爆発に基づいて速まる傾向のときに、入力側ヨーク２２に対する出力側ヨーク２３の回転速度が遅くなる傾向となる。一方、エンジン９のクランク軸１４の回転速度が爆発の直前で遅くなる傾向のときには、入力側ヨーク２２に対する出力側ヨーク２３の速度が速まる傾向となる。これにより、エンジン９のクランク軸１４のトルク変動に伴う速度変動に対して自在継手２１の速度変動が打ち消すように作用し、エンジン９のトルク変動（速度変動）を低減して弾性体軸継手２５および油圧ポンプ３１にトルクを伝達することができる。

　第１の実施の形態によれば、出力側ヨーク２３と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとの間には、弾性体３０の弾性変形に基づいて両者間のトルク変動を吸収する弾性体軸継手２５が設けられている。このため、自在継手２１と弾性体軸継手２５との２つの継手によりエンジン９のトルク変動を低減して油圧ポンプ３１にトルクを伝達することができる。しかも、弾性体軸継手２５には、エンジン９からのトルクが、自在継手２１によってトルク変動が低減された状態で伝達される。このため、エンジン９のクランク軸１４側に弾性体軸継手２５を直接的に接続した構成と比較して、トルク変動に伴う弾性体軸継手２５の弾性体３０の摩耗を抑制することができる。

　第１の実施の形態によれば、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３と十字軸２４とにフライホイールとしての機能をもたせている。このため、エンジン９のフライホイールを省略することができ、エンジン９の小型化を図ることができる。

　この場合、入力側ヨーク２２の本体部２２Ａにフライホイールとしての機能をもたせることで、動力伝達装置２０のうちで最もエンジン９側に位置する入力側ヨーク２２をフライホイールとすることができる。換言すれば、エンジン９のフライホイールを入力側ヨーク２２として用いることができる。これにより、エンジン９のフライホイールと入力側ヨーク２２とを一体化することができる。

　しかも、十字軸２４の中心部２４Ａにフライホイールとしての機能をもたせることで、十字軸２４の慣性重量を大きくできる。これにより、自在継手２１で所望の速度変動を安定して得ることができる。さらに、出力側ヨーク２３の本体部２３Ａにフライホイールとしての機能をもたせることで、出力側ヨーク２３の慣性重量を大きくできる。これにより、出力側ヨーク２３でトルク変動を抑制して油圧ポンプ３１側の弾性体軸継手２５にトルクを伝達することができる。

　第１の実施の形態によれば、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３と十字軸２４とからなる自在継手２１をカルダン継手として構成している。このため、自在継手２１で所望の速度変動を安定して得ることができる。

　第１の実施の形態によれば、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃは、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａに対して水平方向の前側に向けて偏角ψをもたせている。このため、油圧ポンプ３１の上側、下側、後側にスペースを確保することができ、油圧ポンプ３１の上側、下側、後側への機器設置の自由度を確保することができる。

　第１の実施の形態によれば、エンジン９によって回転駆動される被駆動部材を、油圧ショベル１の油圧アクチュエータに向けて圧油を吐出する油圧ポンプ３１としている。また、エンジン９と油圧ポンプ３１との間には弾性体軸継手２５が設けられている。このため、エンジン９のトルク変動を低減して、弾性体軸継手２５と油圧ポンプ３１とにトルクを伝達することができる。

　次に、図１９および図２０は、本発明の第２の実施の形態を示している。第２の実施の形態の特徴は、被駆動部材の中心軸線をクランク軸の中心軸線に対して水平方向の他側に偏角をもたせた構成としたことにある。なお、第２の実施の形態では、上述した第１の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。

　第２の実施の形態の場合も、第１の実施の形態と同様に、エンジン９のピストン１２が上死点または下死点に位置するときに、入力側平面３２と出力側平面３３とが一致（または略一致）するように、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃとに偏角ψをもたせている。即ち、クランク軸１４の角度がθｃ＝０°のときに、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３との位置関係（回転角度）が、図２３および図２４に示すカルダン継手１０１のなす角でθｊ＝９０°（θｊ≒９０°）となるように、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃとの偏角ψの方向を設定している。

　換言すれば、θｃ＝０°のときに、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃの偏角ψが、入力側平面３２に沿う方向（または略沿う方向）となるように、クランク軸１４と油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂとを配置している。この場合、出力側ヨーク２３（油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ）の中心軸線Ｃ－Ｃは、入力側ヨーク２２（クランク軸１４）の中心軸線Ａ－Ａに対して水平方向の他側に向けて偏角ψをもたせている。即ち、第１の実施の形態では、中心軸線Ｃ－Ｃを中心軸線Ａ－Ａに対して上部旋回体３の前側に向けて偏角ψをもたせていたのに対して、第２の実施の形態では、上部旋回体３の後側に向けて偏角ψをもたせている。

　第２の実施の形態は、クランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａと油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃとに上述の如き偏角ψをもたせたもので、その基本的作用については、上述した第１の実施の形態によるものと格別差異はない。

　即ち、第２の実施の形態も、第１の実施の形態と同様に、自在継手２１によりエンジン９のトルク変動を低減して、弾性体軸継手２５および油圧ポンプ３１にトルクを伝達することができる。さらに、第２の実施の形態によれば、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの中心軸線Ｃ－Ｃをクランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａに対して水平方向の後側に偏角ψをもたせている。このため、油圧ポンプ３１の上側、下側、前側にスペースを確保することができ、油圧ポンプ３１の上側、下側、前側への機器設置の自由度を確保することができる。

　次に、図２１および図２２は、本発明の第３の実施の形態を示している。第３の実施の形態の特徴は、被駆動部材の中心軸線をクランク軸の中心軸線に対して垂直方向（鉛直方向）の下側に偏角をもたせた構成としたことにある。なお、第３の実施の形態では、上述した第１の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。

　即ち、第３の実施の形態では、出力側ヨーク２３（油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ）の中心軸線Ｃ－Ｃは、入力側ヨーク２２（クランク軸１４）の中心軸線Ａ－Ａに対して垂直方向の下側に向けて偏角ψをもたせている。

　第３の実施の形態も、その基本的作用については、上述した第１の実施の形態によるものと格別差異はない。特に、第３の実施の形態によれば、油圧ポンプ３１の水平方向前側、後側、上側にスペースを確保することができ、油圧ポンプ３１の前側、後側、上側への機器設置の自由度を確保することができる。

　なお、上述した実施の形態では、クランク軸１４（中心軸線Ａ－Ａ）に対する油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの偏角ψの方向を、水平方向または垂直方向に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、水平方向および垂直方向からずらした方向に偏角ψをもたせる構成としてもよい。即ち、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ（中心軸線Ｃ－Ｃ）は、図１７、図１９、図２１にそれぞれ二点鎖線で示すような円錐面４１上、即ち、十字軸２４の中心Ｐを頂点とすると共に頂角をψとしてクランク軸１４の中心軸線Ａ－Ａを中心とした円錐面４１上に配置することができる。即ち、クランク軸１４の回転角度θｃが０°のとき（θｃ＝０°のとき）に、自在継手２１の回転角度がθｊ≒９０°となる位相関係にあれば、油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂ（中心軸線Ｃ－Ｃ）は、円錐面４１上のいずれの位置に配置してもよい。

　より具体的に説明すると、例えば、第１の実施の形態では、図１７および図１８に示すように、偏角アダプタ３４によって、出力側ヨーク２３および油圧ポンプ３１（入力軸３１Ｂ）の中心軸線Ｃ－Ｃを、Ｘ軸に対してＺ軸周りにψの偏角をなすように（図１７のＺ軸と図２４のＹｊ軸を一致させるように）設定している。しかし、本発明の意図するところはこれに限定されず、θc＝０°のときにθ≒９０°になる（図２３および図２４のカルダン継手１０１で十字軸１０４の入力軸部１０４ＡがＺｊ軸と概ね一致する）位相関係にあれば、偏角アダプタによって設定される出力側ヨークおよび被駆動部材の中心軸線Ｃ－Ｃの方向は任意でよい。

　上述した実施の形態では、クランク軸１４に対する油圧ポンプ３１の入力軸３１Ｂの偏角ψを７°に設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、クランク軸の速度変動の程度に応じて偏角ψの大きさを調整することができる。即ち、偏角ψの大きさは、エンジンのトルク変動を抑制できるように、そのエンジンの形式、種類、排気量、運転条件等に応じて設定することができる。

　上述した実施の形態では、動力伝達装置２０を自在継手２１と弾性体軸継手２５とにより構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、動力伝達装置を自在継手単独で構成してもよい。即ち、動力伝達装置は、少なくとも自在継手を備える構成であればよい。

　上述した実施の形態では、入力側ヨーク２２と出力側ヨーク２３と十字軸１０４との３部材の全てにフライホイールとしての機能をもたせた構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、入力側ヨークにのみフライホイールとしての機能をもたせる等、入力側ヨークと出力側ヨークと十字軸とのうちの少なくとも１つにフライホイールとしての機能をもたせる構成とすることができる。

　さらに、上述した実施の形態では、動力伝達装置２０を油圧ショベル１に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイールローダ、油圧クレーン等の建設機械、フォークリフト、トラクタ等の作業機械、ダンプトラック、自動車等の各種の車両、発電装置、ポンプ装置等の各種産業機器等、４気筒のエンジンに用いられる動力伝達装置として広く適用することができる。

　１　油圧ショベル（建設機械）
　２　下部走行体（車体）
　３　上部旋回体（車体）
　９　エンジン
　１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ　シリンダ
　１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ　ピストン
　１４　クランク軸
　２０　動力伝達装置
　２１　自在継手
　２２　入力側ヨーク
　２２Ａ　本体部
　２２Ｂ　円筒部（軸取付部）
　２２Ｂ1　入力軸部取付孔
　２３　出力側ヨーク
　２３Ａ　本体部
　２３Ｂ　取付片（軸取付部）
　２３Ｂ1　出力軸部取付孔
　２４　十字軸
　２４Ａ　中心部
　２４Ｂ　入力軸部
　２４Ｃ　出力軸部
　２５　弾性体軸継手
　３０　弾性体
　３１　油圧ポンプ
　３１Ｂ　入力軸
　３２　入力側平面
　３３　出力側平面
　３４　偏角アダプタ
　Ａ－Ａ　入力側ヨーク、エンジンのクランク軸の中心軸線
　Ｂ－Ｂ　十字軸の入力軸部の中心軸線
　Ｃ－Ｃ　出力側ヨーク、弾性体軸継手、油圧ポンプの入力軸の中心軸線

Claims

　４個のシリンダ（１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ）と、該各シリンダ（１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ，１１Ｄ）内を往復動する４個のピストン（１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ）と、該各ピストン（１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ）の往復動を回転として出力するクランク軸（１４）とを有するエンジン（９）に用いられる動力伝達装置において、
　前記クランク軸（１４）側に接続される入力側ヨーク（２２）と、
　前記エンジン（９）によって回転駆動される被駆動部材（３１）側に接続される出力側ヨーク（２３）と、
　前記入力側ヨーク（２２）が接続される入力軸部（２４Ｂ）と前記出力側ヨーク（２３）が接続される出力軸部（２４Ｃ）とを十字状に交差する位置関係に配置してなる十字軸（２４）とからなる自在継手（２１）を備え、
　前記クランク軸（１４）の中心軸線（Ａ－Ａ）と前記入力軸部（２４Ｂ）の中心軸線（Ｂ－Ｂ）とを含む平面を入力側平面（３２）とし、前記被駆動部材（３１）の中心軸線（Ｃ－Ｃ）と前記入力軸部（２４Ｂ）の中心軸線（Ｂ－Ｂ）とを含む平面を出力側平面（３３）とした場合に、
　前記エンジン（９）のピストン（１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ，１２Ｄ）が上死点または下死点に位置するとき、前記入力側平面（３２）と出力側平面（３３）とが一致または略一致するように、前記クランク軸（１４）の中心軸線（Ａ－Ａ）と前記被駆動部材（３１）の中心軸線（Ｃ－Ｃ）とに偏角（ψ）をもたせた構成としたことを特徴とする動力伝達装置。
　前記自在継手（２１）の出力側ヨーク（２３）と前記被駆動部材（３１）との間には、弾性体（３０）の弾性変形に基づいて両者間のトルク変動を吸収する弾性体軸継手（２５）を設ける構成としてなる請求項１に記載の動力伝達装置。
　前記自在継手（２１）の入力側ヨーク（２２）と出力側ヨーク（２３）と十字軸（２４）とのうちの少なくとも１つは、フライホイールとしての機能をもたせた構成としてなる請求項１に記載の動力伝達装置。
　前記入力側ヨーク（２２）は、円板状の本体部（２２Ａ）と、該本体部（２２Ａ）から前記十字軸（２４）側に向けて軸方向に突出し該十字軸（２４）の入力軸部（２４Ｂ）が取付けられる軸取付部（２２Ｂ）とにより構成することにより、前記入力側ヨーク（２２）にフライホイールとしての機能をもたせた構成としてなる請求項３に記載の動力伝達装置。
　前記十字軸（２４）は、円板状の中心部（２４Ａ）と、該中心部（２４Ａ）から径方向外側に突出する前記入力軸部（２４Ｂ）および出力軸部（２４Ｃ）とにより構成することにより、前記十字軸（２４）にフライホイールとしての機能をもたせた構成としてなる請求項３に記載の動力伝達装置。
　前記出力側ヨーク（２３）は、円板状の本体部（２３Ａ）と、該本体部（２３Ａ）から前記十字軸（２４）側に向けて軸方向に突出し該十字軸（２４）の出力軸部（２４Ｃ）が取付けられる軸取付部（２３Ｂ）とにより構成することにより、前記出力側ヨーク（２３）にフライホイールとしての機能をもたせた構成としてなる請求項３に記載の動力伝達装置。
　前記入力側ヨーク（２２）には、回転方向に１８０°離間して一対の入力軸部取付孔（２２Ｂ1）を設け、前記出力側ヨーク（２３）には、回転方向に１８０°離間し、かつ、前記入力軸部取付孔（２２Ｂ1）に対して９０°離間して一対の出力軸部取付孔（２３Ｂ1）を設け、前記十字軸（２４）は、前記各入力軸部取付孔（２２Ｂ1）に回転可能に取付けられる前記入力軸部（２４Ｂ）と前記各出力軸部取付孔（２３Ｂ1）に回転可能に取付けられる前記出力軸部（２４Ｃ）とを周方向に９０°離間して交互に配置することにより、前記自在継手（２１）をカルダン継手として構成してなる請求項１に記載の動力伝達装置。
　前記被駆動部材（３１）の中心軸線（Ｃ－Ｃ）は、前記クランク軸（１４）の中心軸線（Ａ－Ａ）に対して水平方向に偏角（ψ）をもった構成としてなる請求項１に記載の動力伝達装置。
　前記被駆動部材（３１）の中心軸線（Ｃ－Ｃ）は、前記クランク軸（１４）の中心軸線（Ａ－Ａ）に対して垂直方向に偏角（ψ）をもった構成としてなる請求項１に記載の動力伝達装置。
　前記被駆動部材（３１）は、建設機械（１）の油圧アクチュエータ（４Ｄ，４Ｅ，４Ｆ）に向けて圧油を吐出する油圧ポンプ（３１）として構成してなる請求項１に記載の動力伝達装置。