つぎに図面を参照しながら本発明の伝熱管挿入装置の実施形態についてさらに詳細に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態の伝熱管挿入装置1は、図1~2に示される熱交換器E,すなわち、多数のフィンFおよび当該多数のフィンFを貫通する伝熱管であるヘアピン管Tを備えた熱交換器Eを組み立てるに過程において、フィンFに形成された挿入孔Pにヘアピン管Tを挿入する装置である。ここで、ヘアピン管Tとは、図2に示されるように、互いに平行な一対の直管部SPと、当該一対の直管部SPの一端部同士を連結するヘアピン部HPとを有するパイプのことをいう。
図1~5に示される伝熱管挿入装置1は、ヘアピン管TをフィンFの挿入孔Pに挿入して所定の第1位置I(図18~19参照)まで移動させるローラ搬送部2と、ローラ搬送部2によって所定の第1位置Iまで押し込まれたヘアピン管Tを当該第1位置Iよりもさらに押し込まれた位置である所定の第2位置II(図20参照)まで押し込んで挿入する押圧シリンダ3とを備えている。ここで、所定の第1位置とは、フィンFからヘアピン管Tのヘアピン部HPの後端部が所定の距離だけ離れた位置をいう。第1位置は、後述する駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの位置によって決められる。
この伝熱管挿入装置1は、具体的には、ローラ搬送部2と、押圧シリンダ3と、ローラ搬送部2および押圧シリンダ3を支持する本体フレーム4と、本体フレーム4全体を上下動させる第1上下移動部5と、本体フレーム4および第1上下移動部5を水平移動させる水平移動部6とを備えている。
さらに、伝熱管挿入装置1は、ヘアピン管Tを案内する第1ガイド部材7および第2ガイド部材8と、ヘアピン管Tのねじれを解消するねじれ解消部材9と、回転検知センサ10と、ヘアピン管検出センサ11と、従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7を上下動させる第2上下移動部12と、第2ガイド部材8を上下動させる第3上下移動部13と、端子ボックス(中継ボックス)18と、支持台15と、手動スイッチ16と、フットスイッチ17とを備えている。これらも本体フレーム4に支持されている。また、伝熱管挿入装置1は、本体フレーム4とは別に制御盤などの制御部14を備えている。制御部14は、端子ボックス18を介して、伝熱管挿入装置1の各駆動部分、すなわち、駆動ローラ2aを駆動するためのモータ21、押圧シリンダ3、第1~第3上下移動部5、12、13および水平移動部6の駆動を制御する。
また、図2に示されるように、伝熱管挿入装置1に対して、ヘアピン管Tの搬送方向Yの上流側には、ヘアピン管Tのヘアピン部HPを置くための受け台Rが配置されている。受け台Rの上面は、波板状に形成されている。搬送方向Yと平行に延びる溝または突起は、互いに平行になるように配置されている。ヘアピン管Tのヘアピン部HPを受け台Rに置くことにより、ヘアピン管Tを搬送方向Yと平行な向きに向けることができる。
また、伝熱管挿入装置1に対してヘアピン管Tの搬送方向Yの下流側には、多数のフィンFの積層体を載せるための作業台Mが配置されている。多数のフィンFは、作業台Mの上に載った状態で、伝熱管挿入装置1によってヘアピン管Tが挿入される。
本体フレーム4は、下部取付台4aと、当該下部取付台4aから上方に離間する上部取付台4bと、これら下部取付台4aおよび上部取付台4bを連結する連結部4c(図4~5参照)とを備えている。
第1上下移動部5は、図1に示されるように、垂直方向に延びるロッド5aと、当該ロッド5aを上下に駆動させるシリンダ5bとを備えている。ロッド5aの上端は、本体フレーム4の下部取付台4aの下面に連結されている。第1上下移動部5は、シリンダ5bの駆動によってロッド5aを上下移動させることにより、本体フレーム4およびそれに支持された上記の構成要素(ローラ搬送部2および押圧シリンダ3など)を上下に移動させることが可能である。これにより、ヘアピン管Tが上下に複数列並ぶ熱交換器Eを組み立てる場合に、本体フレーム4を第1上下移動部5によって上下に移動させて各列に対応する高さに変更することにより、各列のヘアピン管Tの挿入動作を行うことが可能である。
水平移動部6は、図1および図3に示されるように、本体部6aと、レール6bとを備えている。レール6bは、作業台Mの立直面M1において、作業台Mの上面M2と平行に延びるように上下に離れて2本配置されている。本体部6aは、レール6bに沿って水平移動する構成を有しており、例えば、レール6bに接触するローラおよび当該ローラを駆動するモータを備えている。本体部6aには、第1上下移動部5のシリンダ5bが連結されている。水平移動部6は、本体部6aをレール6bに沿って移動させることにより、本体フレーム4および第1上下移動部5を図2に示されるX方向(フィンFに平行な方向)へ水平移動させることが可能である。
ローラ搬送部2は、図1~5に示されるように、複数(第1実施形態では3本)のヘアピン管Tをそれぞれ平行に並べた状態で同時に搬送方向Yへ搬送するために、ヘアピン管Tの搬送方向Yに平行して複数台(第1実施形態では3台)並んで配置されている。
各ローラ搬送部2は、ヘアピン管Tを挟んで互いに対向する位置に配置された一対のローラ、すなわち、駆動ローラ2aと、当該駆動ローラ2aから上方に離間して配置された従動ローラ2bとを備えている。
駆動ローラ2aは、ヘアピン管Tを送り出すローラである。各駆動ローラ2aは、図4に示されるように、共通のモータ21によって駆動される。各駆動ローラ2aは、当該モータ21の回転軸21aに同軸上に並んで固定されている。モータ21は、本体フレーム4の下部取付台4aに取り付けられている。
従動ローラ2bは、ヘアピン管Tに接触してヘアピン管Tの送り出しに追随して回転するローラである。従動ローラ2bは、各駆動ローラ2aの上方にそれぞれ位置している。従動ローラ2bは、第2上下移動部12のローラ支持部12aによって回転自在に支持されている。
ローラ搬送部2は、ヘアピン管Tを駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bによって上下から挟み込んだ状態で、モータ21の駆動で各駆動ローラ2aを回転させることによって、複数のヘアピン管TをフィンFの挿入孔Pに挿入して所定の第1位置Iまで同時に押し込むことが可能である。
駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bにおけるヘアピン管Tに接触する接触部分2a1、2b1(図1参照)は、それぞれの外周部において平坦な部分を有している。これら接触部分2a1、2b1は、それぞれの平坦な部分がヘアピン管Tと接触したときに弾性変形してヘアピン管Tが若干の凹み量(例えば0.5~1mm程度)でめり込むことによって当該ヘアピン管Tと面接触することが可能な弾性を有する材料(例えば、ウレタンゴムなどのゴム、または樹脂など)で製造される。
このように、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの接触部分2a1、2b1は、平坦な形状であるので、ヘアピン管Tの大きさ(具体的には、管径)に対応して接触して当該ヘアピン管Tを搬送することが可能である。その結果、種々の管径のヘアピン管を送り込むことが可能である。しかも、ヘアピン管Tが円筒管でない異形管の場合であっても送り込むことが可能である。
押圧シリンダ3は、図2に示されるように、ローラ搬送部2の横方向(具体的には、水平移動部6による本体フレーム4の水平移動方向Xにおける上流側)に並ぶように、本体フレーム4の下部取付台4aに取り付けられている。ローラ搬送部2と押圧シリンダ3が横方向に並んで配置されている。そのため、ローラ搬送部2によってヘアピン管Tを第1位置Iまで移動させる動作と押圧シリンダ3によって第1位置Iにあるヘアピン管Tを第2位置IIまで押し込む動作とを同時に行うことが可能であり、作業効率が良い。
押圧シリンダ3は、具体的には、図6~8に示されるように、互いに上下2段に並ぶ押し込み部、すなわち、ヘアピン管TをフィンFの挿入孔P(図1参照)へ押し込む第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを備えている。押圧シリンダ3は、本発明の押圧部の概念に含まれる。
第1押し込み部3aは、押圧板3a1と、先端が押圧板3a1に固定されたロッド3a2と、ロッド3a2を水平往復駆動するシリンダ3a3とを備えている。押圧板3a1は、ロッド3a2を介してシリンダ3a3の駆動力を受けることにより、ヘアピン管Tのヘアピン部HP(図2参照)に当接しながらヘアピン管TをフィンFの挿入孔Pへ所定の第1の押し込み量で押し込む。具体的には、第1の押し込み量として、第1押し込み部3aのシリンダ3a3によって移動できる押圧板3a1のストローク長S1(図7参照)は、例えば、150mm程度に設定される。
押圧板3a1は、図2に示されるように、複数(第1実施形態では3本)のヘアピン管Tを同時に押圧することが可能な幅を有する。
また、第2押し込み部3bは、第1押し込み部3aのシリンダ3a3をフィンFへ近づく方向へ移動させることにより、当該第1押し込み部により押し込まれたヘアピン管Tを所定の第2押し込み量まで押し込む。第2押し込み部3bも、第1押し込み部3aと同様に、ブラケット3b1と、先端がブラケット3b1に固定されたロッド3b2と、ロッド3b2を水平往復駆動するシリンダ3b3とを備えている。当該ブラケット3b1には、第1押し込み部3aのシリンダ3a3が固定されている。ブラケット3b1がロッド3b2を介してシリンダ3b3の駆動力を受けることにより、当該ブラケット3b1に固定された第1押し込み部3aのシリンダ3a3を所定のストローク長(例えば、90mm程度)移動させることが可能である。これにより、第2の押し込み量として、第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを同時に作動させることによって移動できる押圧板3a1のストローク長S2(図8参照)は、第1押し込み部3aのみによる押圧板3a1のストローク長S1よりも長い距離、例えば240mm程度になる。
このように、押圧シリンダ3は、第1押し込み部3aのみを作動した場合と、第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを同時に作動させる場合とによって、押圧板3a1のストロークを2段階に変えることが可能である。これにより、熱交換器Eが図9~11に示されるように、ヘアピン管Tを2段以上並んで配列される構成において、それぞれの段によってヘアピン管Tの有効長が異なる場合であっても、各段のヘアピン管Tの有効長に対応してヘアピン管Tを押し込むことが可能である。具体的には、熱交換器Eの1段目E1のフィンFにヘアピン管Tを挿入する場合には、押圧シリンダ3の第1押し込み部3aのみを作動させて押圧板3a1を第1の押し込み量、すなわち、ストローク長S1だけ移動させて押圧板3a1によってヘアピン管TをフィンFに挿入することが可能である。さらに、熱交換器Eの2段目E2のフィンFにヘアピン管Tを挿入する場合には、本体フレーム4全体を上下動させる第1上下移動部5によって押圧シリンダ3を上昇させた後、押圧シリンダ3の第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを両方作動させて押圧板3a1を第2の押し込み量、すなわち、ストローク長S1よりも長いストローク長S2だけ移動させることにより、熱交換器Eの2段目E2についても、押圧板3a1によってヘアピン管TをフィンFに挿入することが可能である。
第1ガイド部材7は、図1~3および図12に示されるように、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて複数の従動ローラ2bのそれぞれの上流側に配置されている。第1ガイド部材7は、第2上下移動部12のガイド支持部12b(図1参照)によって上方から支持されている。第1ガイド部材7は、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに対するヘアピン管Tの位置決めをする。
第1ガイド部材7は、図12に示されるように、下側に開口する2本の溝7aを有する。各溝7aは、ヘアピン管Tの搬送方向Yに延びている。2本の溝7aの間は、リブ7bによって仕切られている。すなわち、第1ガイド部材7は、E字状の断面形状を有する。各溝7aの幅W1は、ヘアピン管Tの2本の直管部SPのそれぞれの外径と同じか若干大きい程度になるように設定されている。これにより、駆動ローラ2aと従動ローラ2bとの隙間へ確実にヘアピン管Tを案内することが可能である。
なお、ヘアピン管Tは、ローラ搬送部2によって第1位置I(図2および図18参照)まで送りこまれたときには、ヘアピン部HPは、第1ガイド部材7の手前で止まり、その後、第1ガイド部材7と従動ローラ2bとが第2上下移動部12によって上昇するので、リブ7bとヘアピン部HPとは干渉しない。
第1ガイド部材7は、硬くて表面が滑らかな樹脂、例えば、MCナイロンなどによって製造されている。
ヘアピン管Tは、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの直近で第1ガイド部材7によって横方向に位置決めされている。そのため、第1ガイド部材7と第2ガイド部材8との区間で座屈して変形することなく駆動ローラ2aと従動ローラ2bとの隙間へ正確に案内される。
支持台15は、ヘアピン管Tが載置される台である。支持台15は、図1に示されるように、駆動ローラ2aに対してヘアピン管Tの搬送方向Yの上流側に配置されている。支持台15は、本体フレーム4の下部取付台4aに固定されている。なお、第1実施形態では、支持台15の下流側端部15a(図1参照)は、第1ガイド部材7よりも上流側に位置しているが、第1ガイド部材7の下流側に位置してもよい。
第2ガイド部材8は、図1~3ならびに図13、および図14(a)、(b)に示されるように、第1ガイド部材7に対するヘアピン管Tの位置決めをする部材である。第2ガイド部材8は、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて第1ガイド部材7の上流側に配置されている。しかも、第2ガイド部材8は、ヘアピン管Tが載置される支持台15の上方において、支持台15と対向する位置に配置されている。第2ガイド部材8は、第3上下移動部13のガイド支持部13a(図1参照)によって吊持されている。
第2ガイド部材8は、全体的に平板形状を有しており、下側に開口する3本の溝8aを有する。各溝8aの幅W2は、ヘアピン管Tの外側の幅(すなわち、2本の直管部SPの外側面同士の幅)と同じか若干大きい程度になるように設定されている。これにより、第1ガイド部材7へヘアピン管Tを案内しやすくすることが可能である。溝8aの下側の縁は、図13に示されるように丸みを有している。そのため、第2ガイド部材8が下降したときに支持台15に載っているヘアピン管Tが溝8a内部に挿入されやすくなっている。
また、第2ガイド部材8の各溝8aに対応する上流側の位置には、図14(a)、(b)に示されるように、当該第2ガイド部材8の上板部分8bを切り欠いた凹部8cが形成されている。凹部8cには、それぞれねじれ解消部材9の一部が挿入されている。
第2ガイド部材8は、複数のヘアピン管Tを同時に位置決めすることが可能な構造を有する一体成形品である。第2ガイド部材8は、第1ガイド部材7と同様に、硬くて表面が滑らかな樹脂、例えば、MCナイロンなどによって製造されている。このように、第2ガイド部材8を一体に形成することにより、第2ガイド部材8を上下させるための第3上下移動部13が1つで済み、伝熱管挿入装置の簡素化が可能になる。
ねじれ解消部材9は、図1~3ならびに図13、および図14(a)、(b)に示されるように、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの上流側に配置されている。具体的には、ねじれ解消部材9は、第2ガイド部材8の各溝8aに対応する上流側の位置に形成された凹部8cに部分的に挿入される。ねじれ解消部材9は、第2ガイド部材8よりも上流側に突出して配置されている。
ねじれ解消部材9は、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bによって案内されるヘアピン管Tの直管部SP同士のねじれを解消するように構成されている。すなわち、ねじれ解消部材9は、板状の部材からなる。ねじれ解消部材9は、立てられた状態で、第2ガイド部材8の凹部8cに上下に移動自在に挿入されている。ねじれ解消部材9の幅W3は、ヘアピン管Tの内側の幅(すなわち、2本の直管部SPの内側面同士の幅)と同じか若干小さい程度になるように設定されている。これにより、ヘアピン管Tが搬送方向Yへ移動するにしたがって、ねじれ解消部材9が2本の直管部SPの間を相対的に移動して2本の直管部SPを搬送方向Yへ延びるように矯正することができ、これにより、直管部SP同士のねじれを解消することが可能である。
また、第1実施形態では、ねじれ解消部材9が第2ガイド部材8よりも上流側に突出して配置されている。そのため、ヘアピン管Tが第2ガイド部材8に到達する前の上流側で当該ヘアピン管Tの2本の直管部SPのねじれを矯正することが可能である。
さらに、ねじれ解消部材9は、ヘアピン管Tの搬送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管Tの移動領域から離れるように傾斜する傾斜部9aを有する。傾斜部9aの角度は、図14(a)に示されるようにヘアピン管Tのヘアピン部HPが傾斜部9aに向かって移動したときに傾斜部9aに接触し、かつ、当該傾斜部9aの表面をすべることが可能な角度に設定されている。ねじれ解消部材9は、第2ガイド部材8の凹部8cに上下に移動自在に挿入されている。そのため、ヘアピン部HPが傾斜部9aに接触したときに当該ねじれ解消部材9はヘアピン部HPから退避することが可能である。
傾斜部9aの縁は、丸みを有しているので、傾斜部9aの縁にヘアピン部HPが引っかかるおそれを低減している。
さらに、ねじれ解消部材9は、図1に示されるように、第3上下移動部13のねじれ解消部材支持部13bによって上方から支持されている。また、ねじれ解消部材9は、当該ねじれ解消部材9とねじれ解消部材支持部13bの上板部分13b1との間に挿入されたスプリング22によって、下方へ押圧されるとともに上下に移動可能になっている。
回転検知センサ10は、従動ローラ2bの回転を検知するセンサである。回転検知センサ10は、図4~5に示されるように、それぞれのローラ搬送部2の従動ローラ2bごとに設置されている。回転検知センサ10は、第2上下移動部12の可動板12c(図1参照)に対してブラケットなどを介して取り付けられている。
回転検知センサ10は、従動ローラ2bの回転を検知できるものであればどのようなセンサでもよく、例えば、回転検知センサ10として近接センサを用いてもよい。その場合、近接センサによって検知される被検出体として、従動ローラ2bの外周面に鉄などの金属製の被検出体が埋め込まれる。これにより、従動ローラ2bが回転しているときには、当該被検出体は、近接センサの前方を通過するたびに当該近接センサによって検知されるので、これにより、当該近接センサは従動ローラ2bの回転を検知することが可能である。
回転検知センサ10が従動ローラ2bが回転していないことを検知したときには、制御部14は、ローラ搬送部2によるヘアピン管Tの搬送を停止するように、駆動ローラ2aを駆動するモータ21を停止させるように制御する。すなわち、ヘアピン管Tが送り出されていない場合には、従動ローラ2bは回転しないため、従動ローラ2bが回転していないことが検知されたときには、ローラ搬送部2によるヘアピン管Tの搬送を停止する。それとともに、制御部14は、従動ローラ2bを上方へ退避させるように第2上下移動部12を制御し、さらに、本体フレーム4を挿入動作前の位置に戻すために、本体フレーム4を水平移動方向Xと反対方向へ移動するように水平移動部6を制御する。
ヘアピン管検出センサ11は、図1~3に示されるように、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて複数の第1ガイド部材7のそれぞれの上流側に配置される。ヘアピン管検出センサ11は、各ヘアピン管Tが所定の初期位置Nから前記第1位置Iの直前の位置までの間に有るか否かを個別に検出する。第1実施形態における所定の初期位置Nとは、図16に示されるように、例えば、多数のフィンFのうち最も手前側(搬送方向Yにおける上流側)のフィンFの挿入孔Pにヘアピン管Tが入った状態の位置である。なお、初期位置Nは、ヘアピン管Tが多数のフィンFの挿入孔Pに少し挿入されてその挿入状態が維持可能な位置であればよい。
ヘアピン管検出センサ11は、具体的には、図1に示されるように、接触ローラ11aと、近接センサ11bとを備えている。接触ローラ11aは、ブラケット11cに回転自在に支持される。さらに、ヘアピン管検出センサ11は、ブラケット11cを介して第3上下移動部13の可動板13cに対して上下に移動自在に支持されている。近接センサ11bは、ブラケット11cの先端に配置される。当該近接センサ11bによって検出される被検出体11dは、可動板13cに配置されている。なお、近接センサ11bおよび被検出体11dは、逆に配置してもよい。
上記のヘアピン管検出センサ11では、図16に示されるように、ヘアピン管Tが所定の初期位置Nに有るときには、ヘアピン管Tの上に接触ローラ11aが載る。これにより、ブラケット11cおよびその先端に配置された近接センサ11bが上方へ押し上げられ、近接センサ11bと被検出体11dとの距離が離れる。これにより、近接センサ11bは、被検出体11dが離れた位置にあることを検知る。それによって、ヘアピン管Tが所定の初期位置Nに有ることを検知することが可能である。一方、ヘアピン管Tが所定の初期位置Nにないときには、接触ローラ11a、ブラケット11cおよび近接センサ11bは図18に示されるように、図16に示される位置よりも下方の位置になる。このとき、近接センサ11bは、被検出体11dが近い位置にあることを検知することにより、ヘアピン管Tが所定の初期位置Nにないことを検知することが可能である。ヘアピン管検出センサ11によってヘアピン管Tが所定の初期位置Nにないことが検知されたときには、制御部14は、後述するように、ヘアピン管Tを検知しなかったヘアピン管検出センサ11に対応する従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7について下降させる動作を行わないように第2上下移動部12を制御する。
さらに、上記のヘアピン管検出センサ11では、図17~18に示されるように、ヘアピン管Tがローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bによって搬送されているときに、初期位置Nから第1位置Iの直前の位置までの間でヘアピン管Tの有無を検出する。具体的には、図17に示されるように、ヘアピン管Tが初期位置Nから所定の第1位置Iの直前の位置へ移動するまでの間は、ヘアピン管Tの上に接触ローラ11aが載って、近接センサ11bと被検出体11dとの位置が離れている。これにより、近接センサ11bは、ヘアピン管Tのヘアピン部HPが接触ローラ11aをまだ通過していないことを検知することが可能である。一方、図18に示されるように、ヘアピン管Tが所定の第1位置Iへの移動が完了したときには、接触ローラ11aが下降して、近接センサ11bと被検出体11dとが近づく。これにより、近接センサ11bは、ヘアピン管Tのヘアピン部HPが接触ローラ11aを通過したことを検知することが可能である。ヘアピン管検出センサ11によってヘアピン部HPの通過が検知されたときには、制御部14は、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aの回転を停止するためにモータ21を停止させる(図15のステップS9参照)。
接触ローラ11aは、ヘアピン管Tの2本の直管部SPに同時に載ることが可能な幅を有する。
接触ローラ11aは、ヘアピン管Tに接触したときに転がることにより、ヘアピン管Tと摩擦を軽減し、ヘアピン管Tのこすれを低減することが可能である。また、接触ローラ11aは、ブラケット11cを介して図示しないスプリングによって下方に押さえられる。これによって、ヘアピン管Tを上方から押さえて、ヘアピン管Tの移動時のぐらつきを抑えることが可能である。
なお、接触ローラ11aの代わりにヘアピン管Tに接触したときに滑べることが可能な樹脂板が使用されてもよい。
第2上下移動部12は、図1および図4に示されるように、各ローラ搬送部2に対応する位置にそれぞれ配置される。第2上下移動部12は、各ローラ搬送部2ごとに従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7を上下動させる構成を有している。これにより、第1ガイド部材7および従動ローラ2bは、ヘアピン管Tごとに個別に上下動可能である。その結果、従動ローラ2bおよび第1のガイド部材7は、ヘアピン管Tに接触する位置と当該ヘアピン管Tから上方へ退避する位置との間で変更することが可能である。したがって、複数のヘアピン管Tを複数のローラ搬送部2に同時に移動させるときにいずれか1本のヘアピン管Tの移動に異常があった場合には、そのヘアピン管Tに対応する従動ローラ2bおよび第1のガイド部材7を当該ヘアピン管Tから上方へ退避した位置へ移動させることが可能である。
それぞれの第2上下移動部12は、具体的には、図1に示されるように、従動ローラ2bを回転自在に支持するローラ支持部12aと、第1ガイド部材7を支持するガイド支持部12bと、これらローラ支持部12aおよびガイド支持部12bが連結された可動板12cと、可動板12cに連結されたロッド12dと、ロッド12dを上下方向へ駆動するシリンダ12eとを備えている。シリンダ12eは、本体フレーム4の上部取付台4bに固定されている。
第3上下移動部13は、第2上下移動部12に対して、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおける上流側に配置されている。第3上下移動部13は、第2ガイド部材8とともにねじれ解消部材9を上下動させることが可能な構成を有している。具体的には、第3上下移動部13は、図1に示されるように、第2ガイド部材8を支持するガイド支持部13aと、ねじれ解消部材9を上下に移動自在に支持するねじれ解消部材支持部13bと、これらガイド支持部13aおよびねじれ解消部材支持部13bが連結された可動板13cと、可動板13cに連結されたロッド13dと、ロッド13dを上下方向へ駆動するシリンダ13eとを備えている。シリンダ13eは、本体フレーム4の上部取付台4bに固定されている。
手動スイッチ16は、手で押すなどして手動操作が可能なスイッチである。手動スイッチ16は、伝熱管挿入装置1の一連の挿入動作の最初のスタートを制御部14に指令する。このように、最初のスタートは、手動スイッチ16を手で操作することによって行われるので、安全性が向上する。手動スイッチ16は、作業者が作業中に容易に手で操作可能な位置に配置され、例えば、本体フレーム4の上部取付台4bの上面に取り付けられている。また、手動スイッチ16に隣接する位置には、伝熱管挿入装置1を非常時に停止させるための非常停止ボタン23が配置されている。
フットスイッチ17は、足で押すなどして足で操作可能なスイッチである。フットスイッチ17は、伝熱管挿入装置1の挿入動作の途中で待ち状態のときに(具体的には、図15のステップS12においてローラ搬送部2によるヘアピン管Tの挿入が正常に完了しているときに)、次の動作を開始するときのスタートを制御部14に指令する。フットスイッチ17は、作業者が作業中に容易に足で操作可能な位置に配置され、例えば、本体フレーム4の下部取付台4aの下方において足で操作しやすい位置に配置されている。
つぎに、図15のフローチャートおよび図16~20を参照しながら、第1実施形態の伝熱管挿入装置1を用いたヘアピン管Tの挿入方法を説明する。
まず、図16(ならびに図1~2)に示されるように、作業者は、あらかじめ、複数(図2では3本)のヘアピン管Tを所定の初期位置N(例えば、作業台Mに載せられた多数のフィンFのうち最も手前側のフィンFの挿入孔Pにヘアピン管Tの先端部が入った状態の位置)にセットする。このとき、図2に示されるように、ヘアピン管Tのヘアピン部HPは、波板状の受け台Rの上に載っているので、各ヘアピン管Tは互いにほぼ平行に配置される。
ヘアピン管Tを初期位置Nにセットした後、図15のフローチャートのステップS1に示されるように、作業者は本体フレーム4の上端に位置するハンドスイッチ16を手で操作する。これにより、伝熱管挿入装置1の一連の動作が開始される。なお、動作開始前の状態では、図1に示されるように、従動ローラ2b、第1ガイド部材7、第2ガイド部材8、ねじれ解消部材9およびヘアピン管検出センサ11は、それぞれヘアピン管Tから上方に退避した位置にある。
まず、図15のステップS2に示されるように、本体フレーム4を初期位置Nにセットされた複数のヘアピン管Tに近づけるために、制御部14は、本体フレーム4を水平移動方向Xへ移動させるように水平移動部6を制御する。本体フレーム4の水平移動が完了することにより、各ヘアピン管Tは、各駆動ローラ2aの上に載るとともに支持台15の上に載った状態になる。
ついで、図15のステップS3に示されるように、制御部14は、第3上下移動部13を、第2ガイド部材8を下降させるように制御する。このとき、第2ガイド部材8とともに、ねじれ解消部材9およびヘアピン管検出センサ11も下降する。これにより、ヘアピン管Tは、第2ガイド部材8の溝8aに挿入される。それとともに、ねじれ解消部材9は、ヘアピン管Tの2本の直管部SPの間に挿入される。
ついで、ステップS4に示されるように、ヘアピン管検出センサ11によって、ヘアピン管Tが初期位置Nに有るか検知される。具体的には、ヘアピン管検出センサ11の接触ローラ11aがヘアピン管Tの上に載る。これにより、近接センサ11bが被検出体11dとの距離が離れていることを検知して、ヘアピン管Tが初期位置Nに有ることを検知する。
ヘアピン管Tが初期位置Nに有る場合には、図15のステップS5に示されるように、制御部14は、第2上下移動部12を、従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7を下降させるように制御する。それとともに、図15のステップS6に示されるように、制御部14は、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aを回転させるようにモータ21を制御する。これにより、図16に示されるように、各ヘアピン管Tは、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに挟まれる。それとともに、第1ガイド部材7の溝7a内部にヘアピン管Tの直管部SPが挿入される。それとともに、各ヘアピン管Tは、図16~17に示されるように、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに挟まれながら搬送方向Yへ送りこまれ、フィンFの挿入孔Pへ挿入されていく。
ヘアピン管Tが移動している間、ヘアピン管Tの2本の直管部Sは、まず、第2ガイド部材8の溝8aに2本まとめて挿入された状態で、搬送方向Yへ向くようにある程度の精度で案内され、その後、第1ガイド部材7に送り込まれる。さらに、ヘアピン管Tの2本の直管部SPは、第1ガイド部材7の溝7aに1本づつ個別に挿入された状態で、搬送方向Yへ向くようにより厳密な精度で案内される。その後、直管部SPは、駆動ローラ2aと従動ローラ2bとの隙間へ送り込まれる。
また、上記のようにヘアピン管Tが移動している間、ねじれ解消部材9は、ヘアピン管Tの2本の直管部SPの間(図14(b)参照)に割り込むように当該直管部SPに対して相対的に進行する。これにより、ねじれ解消部材9は、直管部SP同士のねじれを解消する。また、ヘアピン管Tのヘアピン部HPがねじれ解消部材9に到達したときには、ねじれ解消部材9の傾斜部9aがヘアピン部HPに接触しながらねじれ解消部材9は上方へ退避する(図17参照)。ヘアピン部HPがねじれ解消部材9を通過したときには、スプリング22の復元力によって下方の位置へ戻される(図18参照)。
また、図15のステップS7に示されるように、ヘアピン管Tが移動している間、回転検知センサ10によって、従動ローラ2bがヘアピン管Tの移動に追随して回転しているか検知する。
また、このとき、ステップS8に示されるように、ヘアピン管検出センサ11は、ヘアピン管Tのヘアピン部HPが当該センサ11を通過したかを検知する。具体的には、ヘアピン部HPが当該センサ11の接触ローラ11aを通過したときには、図18に示されるように、接触ローラ11aは下降するので、近接センサ11bが被検知体11dとの距離が近づいたことを検知する。これによって、ヘアピン部HPが通過したか検知される。ヘアピン部HPが通過したときには、ヘアピン管Tは、図2および図18に示されるように、ローラ搬送部2によって所定の第1位置Iまで移動した状態になっている。この状態では、ヘアピン管Tのヘアピン部HPは、第1ガイド部材7に対して搬送方向Yの上流側に位置している。
ヘアピン部HPの通過が検知された場合には、図15のステップS9に示されるように、制御部14は、第2上下移動部12を、従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7を上昇させるように制御する。なお、ヘアピン部HPが通過したか検知されていない場合は、ステップS6に戻って駆動ローラ2aの回転を継続させる。
ついで、ステップS10に示されるように、制御部14は、駆動ローラ2aの回転を停止するようにモータ21を制御する。
ついで、図15のステップS11に示されるように、制御部14は、第3上下移動部13を制御して、第2ガイド部材8(およびねじれ解消部材9ならびにヘアピン管検知センサ11)を上昇させる(図19参照)。これにより、ローラ搬送部2によるヘアピン管Tを第1位置Iまで挿入する一連の動作(ステップS2~S12)が正常に完了される(ステップS12)。
上記の一連の動作(ステップS2~S12)が行われる間、作業者は、図2に示されるように、上記のように第1位置Iまで挿入された挿入動作1回目のヘアピン管Tよりも水平移動方向Xの下流側の位置において、挿入動作2回目のヘアピン管Tを所定の初期位置Nにあらかじめセットする。
2回目のヘアピン管Tが初期位置Nにセットされた後、図15のフローチャートのステップS19に示されるように、作業者は本体フレーム4の下側に位置するフットスイッチ17を足で操作する。これにより、伝熱管挿入装置1は、2回目のヘアピン管Tをローラ搬送部2によって第1位置Iまで挿入する一連の動作と、すでに第1位置Iまで挿入された1回目のヘアピン管Tを押圧シリンダ3によって第2位置IIまで押し込む動作が同時に開始される。
すなわち、まず上記と同様に、図15のステップS2に示されるように、制御部14は、水平移動部6を、本体フレーム4を水平移動方向Xへ移動させるように制御する。このとき、本体フレーム4の水平移動が完了したときには、本体フレーム4は、図2に示される本体フレーム4の位置からさらに水平移動方向Xへ3本のヘアピン管Tが占める幅を移動する。そのため、2回目のヘアピン管T(すなわち、初期位置Nにあるヘアピン管T)は、駆動ローラ2aおよび支持台15の上に載った状態になり、それとともに、第1位置Iまで挿入された1回目のヘアピン管Tは、押圧シリンダ3の正面に位置する。
これにより、2回目のヘアピン管Tをローラ搬送部2によって第1位置Iまで挿入する挿入動作が上記のステップS3~S12の手順で進むと同時に、ステップS17に示されるように、押圧シリンダ3を前進させて1回目のヘアピン管Tを押圧シリンダ3によって第2位置IIまで押し込む。具体的には、図20に示されるように、押圧シリンダ3のロッド3a2をシリンダ3a3によって前方へ駆動させることによって、ロッド3a2の先端の押圧板3a1を前進させる。それによって、押圧板3a1がヘアピン部HPに当接しながらヘアピン管Tを所定の第2位置IIまで押し込む。ヘアピン管Tを所定の第2位置IIまで押し込んだ後は、ステップS18に示されるように、押圧シリンダ3(具体的には、押圧板3a1)を後退させ、2回目のヘアピン管Tを第2位置IIまで押し込むことが可能な状態に戻る。
以上のようにして、ローラ搬送部2によってヘアピン管Tを第1位置Iまで送り込む動作と、すでに第1位置Iまで送り込まれたヘアピン管Tを押圧シリンダ3によって第2位置IIまで押し込む動作とを同時に行うことが可能になる。これらの動作を繰り返すことにより、ヘアピン管TをフィンFの一列分のすべての挿入孔Pへ挿入することが可能である。
また、熱交換器Eの一列分の挿入動作が完了したときには、第1上下移動部5を駆動させて本体フレーム4を上昇させることにより、フィンFの上段の列の挿入孔Pについても、同様にヘアピン管Tの挿入動作を行うことが可能である。
なお、上記の図15に示されるステップS4において、ヘアピン管検出センサ11によって、ヘアピン管Tが初期位置Nに有ると検知されなかった場合には、制御部14は、ヘアピン管Tを検知しなかったヘアピン管検出センサ11に対応する従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7について下降させる動作(ステップS5)を行わないように第2上下移動部12を制御する(すなわち、ステップS11へジャンプする)。また、制御部14は、その他のヘアピン管Tを検知したヘアピン管検出センサ11に対応する従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7のみを下降させるように第2上下移動部12を制御し、検知されたヘアピン管Tのみを第1位置Iまで挿入するようにステップS5~S10の一連の動作についての制御を行ってステップS11へ移行する。
また、上記のステップS7において、従動ローラ2bが回転していると検知されない場合には、ヘアピン管TがフィンFの挿入孔Pに引っかかるなどの原因でヘアピン管Tが正常に送られていない状態になっている。そのような場合には、図示しない警報装置によって警報音を発し、作業者にヘアピン管Tの挿入異常を知らせる。それとともに、制御部14は、ステップ13へ移行して、制御部14は、正常に送られていないヘアピン管Tに対応する従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7のみを上昇させるように、第2上下移動部12を制御する。その後、制御部14は、駆動ローラ2aの回転を停止させるようにモータ21を制御し(ステップS14)、そして、第2ガイド部材8を上昇させるように第3上下移動部13を制御する(ステップS15)。さらに、制御部14は、本体フレーム4を動作開始前の位置まで水平移動させるように水平移動部6を制御することにより、ローラ搬送部2によるヘアピン管Tを第1位置Iまで挿入する工程が正常に行なわなかった状態で動作が完了する(ステップS16)。この場合、作業者は、正常に送られていないヘアピン管Tのみを除去し、代わりの新しいヘアピン管Tを初期位置Nに正しくセットする。その後、作業者が、ハンドスイッチ16を手で押すことにより(ステップS1)、伝熱管挿入装置1の挿入動作がステップS2から再開される。
上記のように、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tを多数のフィンFの挿入孔Pへ2段階で移動させる機構として、ローラ搬送部2および押圧シリンダ3を備えている。そのため、ヘアピン管Tをあらかじめ多数のフィンFのうち最も手前側のフィンFの挿入孔Pに入った状態の所定の初期位置Nにセットしておけば、まず、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bを回転させることにより、ヘアピン管Tを多数のフィンFの挿入孔Pに挿入して所定の第1位置Iまで移動させる。その後、押圧シリンダ3によって、さらにヘアピン管Tを所定の第2位置IIまで押し込むことによって、ヘアピン管Tを最終の所定位置である第2位置IIまで挿入することが可能である。したがって、従来の伝熱管挿入装置のように、ヘアピン管を多数のフィンの挿入孔に最初から最後まで挿入させるために長尺なストローク長を有する伝熱管挿入手段、および多数のフィンFを貫通してヘアピン管Tを支持する長尺の案内棒を必要としない。その結果、伝熱管挿入装置1の小型化が可能になる。
さらに、上記の伝熱管挿入装置1では、作業者がヘアピン管Tをまず初期位置Nにセットする必要がある。しかし、伝熱管挿入装置1が半自動機械であることにより、ローラ搬送部2および押圧シリンダ3を組み合わせた非常に簡素な挿入装置を構成することが可能である。したがって、作業者はヘアピン管Tの先端をフィンFの挿入孔Pに少し差し込んでヘアピン管Tを初期位置Nに配置する作業だけ行えば、その後のヘアピン管Tの挿入動作は上記の伝熱管挿入装置1によって最終の第2位置IIまで自動的に安定して行われる。そのため、伝熱管挿入装置1は、簡素な構造で効率良い挿入作業を達成することができる。また、このように、作業者によるヘアピン管Tを初期位置Nにセットする作業とその後の伝熱管挿入装置1によるヘアピン管Tの挿入動作とを分業化し、かつ、これらの作業を並行して行うことによって装置の稼働率が向上する。
また、上記の伝熱管挿入装置1を用いてヘアピン管Tの挿入動作を行うことにより、ヘアピン管Tの手扱い、すなわち、作業者の手作業によってヘアピン管Tを手繰り寄せて多数のフィンFに挿入する動作の回数や時間が減る。そのため、挿入作業時のヘアピン管Tの変形やそれによるヘアピン管Tの廃却を低減することが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1が用いられることにより、一定の速度でヘアピン管Tの挿入を行うことが可能である。そのため、作業者による挿入時間のばらつきが少なくなり、作業時間の短縮になる。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1を用いることにより、ヘアピン管Tの挿入作業の大半を伝熱管挿入装置1が行うため、作業者の負担を軽減することが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ローラ搬送部2におけるローラ駆動によってヘアピン管Tを第1位置Iまで送り込んでヘアピン管Tの大半を挿入し、その後、押圧シリンダ3によって最終の第2位置IIまで押し込む。そのため、ヘアピン管TがフィンFの端部から突出している長さ(出しろ)を均一に整列させることが可能である。
しかも、上記実施形態の伝熱管挿入装置1では、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの回転によってヘアピン管Tの送り出すことによって、任意の長さのヘアピン管Tを送り出すことが可能な構成である。そのため、あらかじめストローク長を決める必要がなく、種々の長さのヘアピン管Tに対応して挿入作業を行うことが可能である。したがって、非常に長尺なヘアピン管TであってもフィンFの挿入孔Pへ挿入することが可能になる。その結果、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、使用可能なヘアピン管Tの長さに制限がなく、しかも、ヘアピン管Tの管径の大きさが変更された場合でも、それに対応する寸法の第1ガイド部材7および第2ガイド部材8に変更することにより、柔軟に対応することが可能である。
しかも、第1実施形態の伝熱管挿入装置1は、ローラ搬送部2および押圧シリンダ3を組み合わせた非常に簡素でコンパクトな構成である。そのため、設置スペースが小さくて済む。そのため、第1実施形態の伝熱管挿入装置1は、多数のフィンFを置くための既設の作業台Mに取り付けることが可能であり、しかも、工場のレイアウトの変更に柔軟に対応できる。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ローラ搬送部2および押圧シリンダ3を組み合わせた非常に簡素な構成であるので、特許文献1に記載されるような全自動の挿入装置と比べ、ヘアピン管Tが最終の第2位置IIまで挿入が完了しているか否かを作業者が目視によって確認することが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tとなるヘアピン管Tを駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの回転によってフィンFの挿入孔Pへ送り込む前に、ヘアピン管T搬送方向Yにおける駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの上流側のねじれ解消部材9によって、ヘアピン管Tの直管部SP同士のねじれを解消する。そのため、ヘアピン管Tが第2ガイド部材8またはその下流側の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに引っかかって挿入不良となるおそれを低減することが可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tが駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの回転によってフィンFの挿入孔Pへ送り込まれている間、ヘアピン部HPがねじれ解消部材9を通過する際には、ねじれ解消部材9の傾斜部9aがヘアピン部HPに接触することによって、ねじれ解消部材9が当該ヘアピン部HPから上方へ退避することが可能である。これにより、ヘアピン部HPがねじれ解消部材9に引っかかるおそれを低減することが可能である。
しかも、第1実施形態の伝熱管挿入装置1は、傾斜部9aがヘアピン部HPに接触することによって、ねじれ解消部材9をヘアピン部HPから上方へ退避させ、かつ、スプリング22の弾性力によってねじれ解消部材9を下方に押し下げる構成を有する。そのため、ねじれ解消部材9を移動させるための駆動機器(シリンダやセンサ)を増やさずにシンプルな構成でありながら、ヘアピン管Tの挿入過程におけるねじれを解消し、ヘアピン管Tが装置内(とくに第2ガイド部材8の内部)で詰まる異常を解消することが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bにおけるヘアピン管Tに接触する接触部分2a1、2b1が平坦な部分を有し、かつ、当該平坦な部分がヘアピン管Tと接触したときに弾性変形して当該ヘアピン管Tに面接触する。そのため、種々の外径のヘアピン管Tに対応して当該ヘアピン管Tを駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの回転によって確実にフィンFの挿入孔Pへ送り込むことが可能である。さらに、上記のローラ2a、2bを用いることによって、円形断面でない異形断面を有する異形管も送り込むことが可能である。しかも、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bが弾性変形をすることにより、ヘアピン管Tの変形や損傷のおそれが低減する。
また、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bとして、溝付きのローラではなく、市販品のゴムコーティングされた平ローラを使用することが可能であり、装置の簡素化が可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、押圧シリンダ3は、第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを用いてヘアピン管Tを押し込む距離を2段階に変えることが可能である。すなわち、第1押し込み部3aのみによってヘアピン管Tを押し込めば所定のストローク長S1だけ押し込むことができる。さらに、第1押し込み部3aおよび第2押し込み部3bを組み合わせて同時に作動させることによって、ヘアピン管Tを上記のストローク長S1よりもさらに長いストローク長S2を押し込むことが可能になる。これにより、複数列にヘアピン管Tが並んで配列された熱交換器Eにおいて、各列において伝熱管の有効長が異なる場合であっても、それぞれの有効長に対応するように、異なるストローク長さで各列のヘアピン管Tの挿入を行うことが可能である。
このように複数の押し込み部3a、3bを備えた押圧シリンダ3の構成では、押し込み部を複数段設ければ、何列であっても複数列の熱交換器Eに対応することが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおける駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bの上流側において、第1ガイド部材7によって駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに対するヘアピン管Tの位置決めがされる。そのため、ヘアピン管Tが所定の搬送方向Yから傾斜した状態で駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに到達するおそれを低減することが可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、複数台のローラ搬送部2を備えた構成において、第1ガイド部材7がそれぞれのローラ搬送部2のヘアピン管Tの搬送方向Yの上流側に設置されている。そのため、第1ガイド部材7は各ローラ搬送部2によって送り出されるヘアピン管Tごとに駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに対する位置決めを正確に行うことが可能である。これにより、複数台のローラ搬送部2を用いて複数本のヘアピン管Tの挿入を行う際のヘアピン管Tが所定の搬送方向Yから傾斜した状態で駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに到達するおそれを低減することが可能である。また、複数台のローラ搬送部2を用いて複数本のヘアピン管Tの挿入を行う際のヘアピン管検出センサ11(すなわち、伝熱管検出センサ11)の誤検知を防止することも可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて第1ガイド部材7の上流側において、第1ガイド部材7に送り込まれる前に、第2ガイド部材8によって、ヘアピン管Tを第1ガイド部材7に対して位置決めすることが可能である。そのため、ヘアピン管Tが所定の搬送方向Yから傾斜した状態で駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bに到達するおそれをより低減することが可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管検出センサ11によって、ヘアピン管Tが所定の初期位置Nが無いことを検知することが可能である。そのため、ヘアピン管Tが正常に初期位置にセットされていないことを早期に知ることが可能である。
しかも、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管検出センサ11は、ヘアピン管Tがローラ搬送部2の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bによって搬送されているときに、初期位置Nから第1位置Iの直前の位置までの間でヘアピン管Tの有無を検出する。そのため、ヘアピン管Tのヘアピン部HPがヘアピン管検出センサ11の接触ローラ11aを通過したことを検知し、ヘアピン管Tが第1位置Iへ移動が完了したことを検知することが可能である。したがって、ヘアピン管検出センサ11によってヘアピン部HPの通過が検知されたときに、制御部14は、ローラ搬送部2の駆動ローラ2aの回転を停止させて、ヘアピン管Tの移動を停止させる制御を行うことが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、各ローラ搬送部2において、一対の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bがヘアピン管Tを挟んで互いに対向する位置に配置されている。そのため、これらの駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bによってヘアピン管Tを上下から挟んでフィンFの挿入孔Pへ安定して送りこむことが可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、各ローラ搬送部2が一対の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bを備えている。そのため、駆動ローラ2aを一方だけで済み、機構の簡素化が可能である。また、機構が簡素な従動ローラ2bの方をヘアピン管Tに対して接触する位置と退避する位置との間で移動させやすくなる。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、ヘアピン管Tが正常に送り出されていないときには従動ローラ2bが正常に回転していない状態になる。そのため、回転検知センサ10が従動ローラ2bの回転を検知することによって、ヘアピン管Tが正常に送り出されていない異常な状態を検知することが可能である。
さらに、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、複数台のローラ搬送部2を用いて複数本のヘアピン管Tを同時に挿入する場合、そのうち1つのヘアピン管Tの挿入時に異常が起こった場合であっても、各ローラ搬送部2の従動ローラ2bごとに設置された回転検知センサ10によって、各ローラ搬送部2ごとに異常を検知することが可能である。それによって、ヘアピン管Tの挿入異常があったローラ搬送部2について、従動ローラ2bおよび第1ガイド部材7を第2上下移動部12によって上昇させることが可能である。その結果、作業者は、挿入異常が生じたヘアピン管Tを除去して新しいヘアピン管Tに交換する作業を容易に行うことが可能である。
また、第1実施形態の伝熱管挿入装置1では、回転検知センサ10が従動ローラ2bの回転の異常を検知したときに、ローラ搬送部2によるヘアピン管Tの搬送を停止するので、各ローラ搬送部2ごとにヘアピン管Tの挿入異常を検知し、異常のあるローラ搬送部2のみヘアピン管Tの挿入動作を中止することが可能である。
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態では、伝熱管挿入装置1によってヘアピン管Tが挿入される例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。当該伝熱管挿入装置1によってヘアピン部を有しない直管の挿入を行うことも可能である。
上記第1実施形態では、ヘアピン管Tを挟む一対のローラの例として、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bが示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。それぞれモータで駆動される一対の駆動ローラを用いてもよい。また、駆動ローラ2aは、図1に示されるように、ヘアピン管Tの下方に配置するだけでなく、上方に配置してもよい。
さらに、上記実施形態では、複数の駆動ローラ2aを共通のモータ21で駆動させているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各駆動ローラ2aについて個別にモータを設けてもよい。
上記第1実施形態では、ローラ搬送部2によってヘアピン管TをフィンFの挿入孔Pへ挿入する方向へ送り出す構成が示されている。しかし、ヘアピン管Tの挿入異常(例えば、ヘアピン管Tが挿入孔P内部で引っかかって正常に挿入できない場合など)があった場合には、駆動ローラ2aを逆転させてヘアピン管Tを取り出すことが可能な構成にしてもよい。その場合、従動ローラ2bを少し強めにヘアピン管Tに押し付けて引き抜くことが可能な構成が好ましく、例えば、従動ローラ2bを下方に押さえ付けるべく、第2上下移動部12の他に補助シリンダを設けるのが好ましい。
上記第1実施形態では、駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bにおけるヘアピン管Tに接触する接触部分2a1、2b1が平坦な形状である例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。これらの駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bは、外周面に溝を有する溝付きのローラであってもよい。溝の形状は、ヘアピン管Tの直管部SPが部分的に嵌り込むことが可能な形状であればよく、丸形でもV形でもよい。このように溝付きのローラを用いれば、ヘアピン管Tとの摩擦が大きくなるので、ウレタンゴムなどの弾性変形可能な接触部分が不要になるが、その一方で、適用可能な管径の汎用性が低くなる。したがって、種々の管径の伝熱管の挿入を行う場合には、上記実施形態のように、ローラの接触部分が平坦な形状であるのが好ましい。
上記第1実施形態では、上下に2段の押し込み部3a、3bを備えた押圧シリンダ3を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。三段以上の押し込み部を備えた押圧シリンダを採用してもよい。その場合、3段階以上の押し込み量を設定することが可能になる。
上記第1実施形態では、傾斜部9aがヘアピン部HPに接触することによって、ねじれ解消部材9をヘアピン部HPから上方へ退避させ、かつ、ねじれ解消部材9がスプリング22によって下方へ押し下げられる構成が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。ねじれ解消部材9を自動的に上下に移動させる機構を備えた構成であってもよい。そのような移動機構は、例えば、ねじれ解消部材9を上下に駆動させるシリンダと、ヘアピン管Tのヘアピン部HPがねじれ解消部材9に近づいたことを検知する近接センサとを備えていればよい。
上記第1実施形態の伝熱管挿入装置1は、3本のヘアピン管Tを同時に挿入することができるように、3台のローラ搬送部2を備え、かつ、3つのヘアピン部HPを押圧可能な幅の押圧シリンダ3の押圧板3a1を備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の伝熱管挿入装置は、1本のヘアピン管Tを挿入可能な構成であってもよいし、または2本あるいは4本以上の複数のヘアピン管Tを同時に挿入することが可能な構成であってもよい。
(第2実施形態)
上記第1の実施形態の伝熱管挿入装置1では、各ローラ搬送部2がヘアピン管Tを上下方向から挟む一対のローラ2a、2bを備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、第2実施形態として、図21に示される伝熱管挿入装置31のように、ヘアピン管Tの推進力を増加させるために、ローラ搬送部2は、ヘアピン管Tの挿入方向Yに沿って配置された複数(図21では2個)の駆動ローラ2aと、当該複数の駆動ローラ2aに対向する複数の従動ローラ2bとを備えていてもよい。
複数の駆動ローラ2aは、同じ回転速度で回転するように構成されている。例えば、各駆動ローラ2aの回転軸2a2には、それぞれプーリ32が固定され、2つのプーリ32の間には、無端状のベルト(タイミングベルトなど)33が巻回されている。これにより、複数の駆動ローラ2aのうちの1つの駆動ローラ2aの回転軸2a2をモータ(図示せず)によって回転させることにより、無端状のベルト33を介して、他の駆動ローラ2aに回転駆動力が伝達される。その結果、複数の駆動ローラ2aを同じ回転速度で回転させることが可能である。
ヘアピン管Tは、複数の駆動ローラ2aとそれに対向する複数の従動ローラ2bとによって挟まれることによって、第1実施形態と比較して、複数のローラ2a、2bとの接触面積が増大している。その結果、ヘアピン管とローラとの間の滑るおそれが低減し、ヘアピン管Tに与える推進力を増加させることが可能になる。
なお、図21では、ローラ搬送部2が2個の駆動ローラ2aを備えた構成が示されているが、3個以上の駆動ローラ2aおよび従動ローラ2bを備えてもよい。また、複数の駆動ローラ2aを個別にモータで駆動させてもよい。
また、第2実施形態の変形例として、図22に示される伝熱管挿入装置41のように、ローラ搬送部42がヘアピン管Tと接触する部分をさらに増大させるために、ローラ間に無端状のベルト45、48を巻回させた構成を採用してもよい。
このようなローラ搬送部42は、例えば、ヘアピン管Tの挿入方向Yに沿って配置された複数の駆動ローラ43、44と、当該駆動ローラ43、44の間に巻回された無端状のベルト45と、当該複数の駆動ローラ43、44に対向する複数の従動ローラ46、47と、当該従動ローラ46、47の間に巻回された無端状のベルト48とを備えている。
ここで、駆動ローラ43、44および従動ローラ46、47としては、例えば円柱状の部材が用いられる。
駆動ローラ43、44のうちいずれか一方の駆動ローラをモータ(図示せず)によって回転させることにより、ローラ43、44間に巻回された無端状のベルト45を回転させることが可能である。
ヘアピン管Tは、駆動ローラ43、44間に巻回された無端状のベルト45と従動ローラ446、47間に巻回された無端状のベルト48とによって挟まれている。したがって、無端状のベルト45、48が無い場合と比較して、ローラ搬送部42がヘアピン管Tと接触する部分をさらに増大させることが可能である。その結果、ヘアピン管Tとローラとの間の滑るおそれがさらに低減し、ヘアピン管Tに与える推進力をさらに増加させることが可能になる。
(第3実施形態)
上記の第1実施形態および第2実施形態では、ヘアピン管Tが水平状態、すなわち、ヘアピン管Tの一対の直管部SPが水平方向に並んだ状態(水平状態、図32参照)において、当該直管部SPをフィンFの貫通孔Pに挿入する、いわゆる平行挿しの例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ヘアピン管を平行挿しするだけでなく、ヘアピン管Tが傾斜状態(図29参照)、すなわち、一対の直管部SPが互いに高さが異なる状態において、当該直管部SPを貫通孔Pに挿入する、いわゆる斜め挿しも可能な伝熱管挿入装置を本発明の範囲に含まれるものである。
ここで、ヘアピン管Tが平行挿しの段と斜め挿しの段とが混在した多数段の熱交換器E3の一例が、図23に示されている。この図23に示される熱交換器E3は、多数のフィンF3と、当該多数のフィンF3を貫通する複数のヘアピン管Tとを備えている。多数のフィンF3は、図23の紙面垂直方向に並んで配置されている。ヘアピン管Tは、多数のフィンF3を貫通する斜め挿しされた複数のヘアピン管T1と、当該多数のフィンF3を貫通する平行挿しされた複数のヘアピン管T2とを含んでいる。
フィンF3の1段目A1には、当該フィンF3の長手方向に沿って等間隔に貫通孔P1が形成されている。2段目A2には、貫通孔P1に対してフィンF3の長手方向にずれた位置に貫通孔P2が等間隔に形成されている。すなわち、貫通孔P2は、フィンF3の長手方向において隣り合う貫通孔P1、P1同士の中間位置に配置される。さらに、3段目A3には、貫通孔P1の直上の位置にそれぞれ貫通孔P3が形成されている。
貫通孔P2は、例えば、貫通孔P1に対して斜め上方に45度ずれた位置に配置される。この場合、貫通孔P1と貫通孔P2の水平方向におけるピッチは、貫通孔P3のピッチの1/2の大きさに設定される。
それぞれのヘアピン管T(T1、T2)は、図2のヘアピン管Tと同様に、互いに平行な一対の直管部SPと、当該直管部SPの一端部同士を連結するヘアピン部HPとを有する。なお、斜め挿しされるヘアピン管T1については、一対の直管部SPは、低い位置に配置される直管部SP1と、当該直管部SP1よりも高い位置に配置される直管部SP2とを有する。
斜め挿しされるヘアピン管T1の一対の直管部SPのうち、一方の直管部SP1はフィンF3の1段目A1の貫通孔P1に挿入される。他方の直管部SP2は、2段目A2の貫通孔P2にそれぞれ挿入される。それにより、ヘアピン管T1は、ヘアピン部HPがフィンF3の長手方向に対して斜めになるように配置される。すなわち、ヘアピン管T1は、フィンF3の貫通孔P1、P2に対して斜め挿しされる。
一方、平行挿しされるヘアピン管T2の一対の直管部SPが水平に並んだ状態でフィンF3の3段目A3の貫通孔P3にそれぞれ挿入されることにより、ヘアピン管T2は、ヘアピン部HPがフィンF3の長手方向に対して平行になるように配置される。すなわち、ヘアピン管T2は、フィンF3の貫通孔P3に対して平行挿しされる。
このようなヘアピン管T(T1、T2)が平行挿しされる段と斜め挿しされる段とが存在する多数段の熱交換器E3のヘアピン管T1、T2の挿入作業を実現するために、ヘアピン管T1、T2の平行挿しおよび斜め挿しを両方可能にする伝熱管挿入装置が、以下の第3実施形態に示されている。
図24に示される伝熱管挿入装置51は、ヘアピン管Tを所定の第1位置(図2の第1位置I参照)まで移動させるローラ搬送部52と、ガイド部53と、ローラ移動部54と、第2位置決め部用移動部55と、複数の従動ローラ上下移動部61と、上部ユニット上下移動部62とを備えている。
また、伝熱管挿入装置51は、ローラ搬送部2によって所定の第1位置Iまで押し込まれたヘアピン管Tを当該第1位置Iよりもさらに押し込まれた位置である所定の第2位置(図20の第2位置II参照)まで押し込んで挿入する押圧シリンダ(図示せず)をさらに備えている。押圧シリンダは、図2に示される押圧シリンダ3と同様に、ローラ搬送部52に対してヘアピン管Tの搬送方向Yと直交する水平方向(図24の紙面垂直方向)に並んで配置される。さらに、伝熱管挿入装置51は、図1に示される伝熱管挿入装置1と同様に、ローラ搬送部52および押圧シリンダを支持する本体フレーム4と、本体フレーム4全体を上下動させる上下移動部(図示せず)をさらに備える。
ローラ搬送部52は、図24~25および図28に示されるように、1本の後側駆動ローラ56と、複数枚の前側駆動ローラ57と、複数枚の後側従動ローラ58と、複数枚の前側従動ローラ59と、後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57を回転自在に支持する台座60とを有している。
台座60は、一対の縦板60a、60bを有している。一対の縦板60、60bは、ヘアピン管T1の搬送方向Yに沿って延びるように垂直方向に立てて配置されている。一対の縦板60a、60b同士は、水平方向でかつ搬送方向Yに直交する方向に互いに離間している。一対の縦板60a、60bは、図示しない底板または床面などに固定されている。
それぞれの縦板60a、60bには、長孔60が形成されている。長孔60cは、上下方向に延びている。
後側駆動ローラ56は、図28に示されるように、1本の円柱状のローラで構成されている。後側駆動ローラ56は、その軸心C1に沿って延びる軸部56aを有する。後側駆動ローラ56は、本発明の第1ローラの概念に含まれる。なお、後側駆動ローラ56は、複数の円板状のローラが1本の軸によって互いに連結された構成を有してもよい。後側駆動ローラ56は、図示しないモータの回転駆動力によって回転される。
後側駆動ローラ56の軸部56aの両端部は、長孔60cよりも搬送方向Yの上流側(図24における左側)の位置において、軸部56aの両端部が台座60の一対の縦板60a、60bに回転自在に支持されている。この状態で、後側駆動ローラ56は、台座60の内部に収容されている。これにより、後側駆動ローラ56は、水平方向でかつヘアピン管Tの搬送方向Yに直交する方向X(図28参照)に延びるように軸心C1に沿って配置される。
後側駆動ローラ56は、ヘアピン管Tの一対の直管部SPが水平方向に並んでいる水平状態で搬送される場合には一対の直管部SPの両方に接触し、一対の直管部SPが互いに異なる高さに並んで配置された傾斜状態で搬送される場合には一対の直管部SPのうちの低い位置にある直管部SP1に接触する位置に配置されている。
複数の前側駆動ローラ57の各々は、円板状の本体部57aと、その本体部57aに対して軸方向に隣接し、かつ、当該本体部57aと同軸に設けられた円筒状の当接部57bとを有する。複数の前側駆動ローラ57は、共通の軸63に固定されている。前側駆動ローラ57は、本発明の第2ローラの概念に含まれる。
複数の前側駆動ローラ57が固定されている共通の軸63の両端部は、台座60の一対の縦板60a、60bに形成された長孔60cに挿入されている。共通の軸63は、当該縦板60a、60bの長孔60c内部において回転自在に支持されている。しかも、共通の軸63は、長孔60c内部において、長孔60cの長手方向、すなわち上下方向への移動が許容されている。
複数の前側駆動ローラ57は、ヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて後側駆動ローラ56からずれた位置、すなわち、搬送方向Yにおいて後側駆動ローラ56の下流側(前側)の位置に配置される。しかも、複数の前側駆動ローラ57は、後側駆動ローラ56の軸心C1が延びる方向と平行に軸心C2に沿って等間隔に並んで配置されている。
前側駆動ローラ57の本体部57aの間隔は、ヘアピン管Tの一対の直管部SPが傾斜状態で搬送される場合の高い位置にある直管部SP2の間隔に対応するように設定されている。
複数の前側駆動ローラ57は、後側駆動ローラ56の軸部56aから図示しない伝達機構を介して、回転駆動力が伝達されることによって回転される。伝達機構としては、例えば、タイミングベルトとプーリとを組み合わせた機構または複数の歯車を組み合わせた機構などが使用される。
後側従動ローラ58は、後側駆動ローラ56の真上において当該後側駆動ローラ56と対向して配置されている。しかも、複数枚の後側従動ローラ58は、後側駆動ローラ56の軸心C1が延びる方向と平行に軸心C3に沿って等間隔に並んで配置されている。後側駆動ローラ56の間隔は、ヘアピン管Tの一対の直管部SPが水平方向に並んでいる水平状態で搬送される場合の一対の直管部SPの間隔に対応するように設定されている。各々の後側従動ローラ58は、その中心軸に沿って延びる軸部58aを有する。
複数枚の前側従動ローラ59は、それぞれ、前側駆動ローラ57の本体部57aのそれぞれ真上において、当該本体部57aと対向して配置されている。各々の前側従動ローラ59は、その軸心C4に沿って延びる軸部59aを有する。
ガイド部53は、ヘアピン管Tが傾斜状態(図29参照)および水平状態(図32参照)のいずれの状態においても当該ヘアピン管Tをローラ搬送部52に向かって搬送方向Yに案内する構成を有している。ガイド部53は、上部ユニット71と、下部ユニット72とを備えている。
上部ユニット71は、図24および図26に示されるように、本体部73と、本体部73に上下動可能に設けられた複数の第1位置決め部74とを有する。第1位置決め部74は、水平状態にあるヘアピン管T2の一対の直管部SPに上方から当接して当該直管部SPを位置決めし、または傾斜状態にあるヘアピン管T1の一対の直管部SP1、SP2のうちの低い位置にある直管部SP1に上方から当接して当該直管部SP1を位置決めする。
本体部73は、水平方向に延びる下面73aを有し、上部ユニット上下移動部62によって支持されている。さらに、本体部73は、下面73aから上方に延びる複数本の溝73bを有する。複数本の溝73bは、ヘアピン管Tの搬送方向Yに沿って延びている。また、複数本の溝73bは、搬送方向Yと直交する方向X(図26参照)に等間隔に並んで配置されている。
複数の第1位置決め部74のそれぞれは、板状の部材で構成されている。それぞれの第1位置決め部74の上部は、本体部73bの溝73bに挿入され、溝73b内にバネ75によって支持されている。
また、それぞれの第1位置決め部74は、水平方向に延びる下面74bを有する。図29および図32に示されるように、上部ユニット71が下方位置にあるときには、下面74bは、傾斜状態のヘアピン管T1における低い位置にある直管部SP1または水平状態のヘアピン管T2における直管部SPに上方から当接することが可能である。さらに、第1位置決め部74の下側の部分のうちヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて上流側の端部には、傾斜部74aが形成されている。傾斜部74aは、搬送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管Tの移動領域から離れるように傾斜し、例えば、搬送方向Yの上流側へ向かうにつれて上昇する方向に傾斜している。
下部ユニット72は、図24~26に示されるように、ケース76と、複数の第2位置決め部77と、複数本のピン78と、複数の仕切り板79とを有する。第2位置決め部77は、傾斜状態の一対の直管部SP1、SP2のうちの高い位置にある直管部SP2に下方から当接して当該直管部SP2を所定の高さに位置決めする。
ケース76は、一対の縦板76a、76bと、当該一対の縦板76a、76bを連結する底板76cとを有している。一対の縦板76a、76bは、ヘアピン管T1の搬送方向Yに沿って延びるように垂直方向に立てて配置されている。一対の縦板76a、76b同士は、水平方向でかつ搬送方向Yに直交する方向X(図26参照)に互いに離間している。
それぞれの第2位置決め部77は、板状の上部部材77aおよび下部部材77bと、当該上部部材77aと下部部材77bとの間に介在するバネ77cとを有する。上部部材77aは、バネ77cによって下方から支持されている。
上部部材77aおよび下部部材77bには、上下方向に延びる長孔77d、77eがそれぞれ形成されている。
また、上部部材77aは、水平方向に延びる上面77gを有する。図29に示されるように、第2位置決め部77が上方位置にあるときには、上面77gは、上記の高い位置にある直管部SP2に下方から当接することが可能である。さらに、上部部材77aのうちヘアピン管Tの搬送方向Yにおいて上流側の端部には、傾斜部77fが形成されている。傾斜部77fは、搬送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管Tの移動領域から離れるように傾斜し、例えば、搬送方向Yの上流側に向かうにつれて下降する方向に傾斜している。
また、下部部材77bは、下方に突出する2つの凸部77hを有する。それぞれの凸部77hにおける搬送方向Yの下流側(図25における右側)を向く面には、斜面77iが形成されている。斜面77iは、搬送方向Yの下流側へ向かうにつれて上昇する方向に傾斜している。さらに、それぞれの凸部77hは、水平方向に延びる下面77kを有する。
複数の第2位置決め部77は、隣接する第2位置決め部77の間に仕切り板79が介在された状態で、ケース76の内部に収容されている。
第2位置決め部77および仕切り板79は、ケース76の一対の縦板76a、76bとともに4本のピン78によって連結されている。
ピン78は、第2位置決め部77の長孔77d、77eに挿入されている。そのため、第2位置決め部77は、上下方向の移動が許容されている。
仕切り板79の上面79aは、ヘアピン管Tの一対の直管部SPが水平方向に並んでいる水平状態で搬送される場合には直管部SPのいずれか一方に接触し、一対の直管部SPが互いに異なる高さに並んで配置された傾斜状態で搬送される場合には一対の直管部SPのうちの低い位置にある直管部SP1に接触する位置に配置されている。
ローラ移動部54は、前側駆動ローラ57を上下動させる機構である。ローラ移動部54は、図24~25に示されるように、ローラガイド部材81と、当該ローラガイド部材81を搬送方向Yに沿って移動させる第1ガイド駆動部82とを有している。
ローラガイド部材81は、図25および図28に示されるように、底板部81aと、当該底板部81aの上面に設けられた複数の縦板部81bとを有する。
各々の縦板部81bは、前側駆動ローラ57の円筒状の当接部57bに対して下方から当接する位置に配置されている。
縦板部81bは、それぞれ、上面側において、斜め方向に延びるガイド面81cと、前側駆動ローラ57の下方位置を規定する下方位置規定面81dと、前側駆動ローラ57の上方位置を規定する上方位置規定面81eとを有する。ガイド面81cは、ヘアピン管T1の搬送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管T1の移動領域に対する距離が変わる方向、例えば、搬送方向Yの下流側へ向かうにつれて上昇する方向に傾斜する。下方位置規定面81dは、ガイド面81cの下端から搬送方向Yの上流側へ水平に延びる。上方位置規定面81eは、ガイド面81cの上端から搬送方向Yの下流側へ水平に延びる。
第1ガイド駆動部82は、ローラガイド部材81のガイド面81cによって前側駆動ローラ57を上昇させるように、ローラガイド部材81を移動させるように構成されている。具体的には、第1ガイド駆動部82は、搬送方向Yに延びるように配置されたロッド82aと、ロッド82aを搬送方向Yに沿って前後に移動させるシリンダ82bとを有する。ロッド82aの先端には、ローラガイド部材81が連結されている。ロッド82aは、シリンダ82b内に供給される圧縮空気などの動作流体の圧力によって水平方向に移動される。したがって、ローラガイド部材81は、第1ガイド駆動部82によって、搬送方向Yに沿って前後に移動される。
上記のローラ移動部54により、図24~25に示されるように、前側駆動ローラ57は、円筒状の当接部57bをローラガイド部材81の下方位置規定面81dに当接させた所定の下方位置(図24参照)から所定の上方位置(図27参照)へ移動させることが可能である。すなわち、ローラガイド部材81が第1ガイド駆動部82によって搬送方向Yの上流側へ移動したときに、前側駆動ローラ57の当接部57bがローラガイド部材81のガイド面81cによって上方向Zへ押し上げられる。これによって、前側駆動ローラ57を上昇させることが可能である。上昇した前側駆動ローラ57は、当接部57bがローラガイド部材81の上方位置規定面81eに当接することによって、図27に示される所定の上方位置に位置決めされる。反対に、ローラガイド部材81が搬送方向Yの下流側に移動したときには、前側駆動ローラ57は下降して、上記の所定の下方位置(図24参照)へ戻る。
第2位置決め部用移動部55は、図25~26に示されるように、直管部SPを位置決めする上方位置とヘアピン管Tの移動領域から下方に退避した下方位置との間で、第2位置決め部77を移動させる機構である。
第2位置決め部用移動部55は、具体的には、ガイド部材84と、当該ガイド部材84を搬送方向Yに沿って移動させる第2ガイド駆動部85とを有する。
ガイド部材84は、底板部84aと、当該底板部84aの上面に設けられた複数の縦板部84bとを有する。
底板部84aは、その上面側において、第2位置決め部77の下方位置を規定する下方位置規定面84dを有する。
複数の縦板部84bは、それぞれ、第2位置決め部77の下部部材77bに対して下方から当接する位置に配置されている。すなわち、複数の縦板部84bは、第2位置決め部77の下方にそれぞれ位置するように、水平方向でかつ搬送方向Yに直交する方向X(図26参照)に等間隔に並んで配置されている。
さらに、縦板部84bは、図25に示されるように、搬送方向Yに沿って2個並んで配置されている。この図25に示されるように第2位置決め部77が下方位置にある状態では、第2位置決め部77の下方に突出する2個の凸部77hと2個の縦板部84bとがかみ合った状態になっている。
それぞれの縦板部84bにおける搬送方向Yの上流側を向く面には、斜め方向に延びるガイド面84cが形成されている。ガイド面84cは、搬送方向Yの上流側へ向かうにつれて下降する方向に傾斜している。ガイド面84cの傾斜角度は、第2位置決め部77の凸部77hの斜面77iの傾斜角度に一致するように設定されている。
さらに、それぞれの縦板部84bは、上面側において第2位置決め部77の上方位置を規定する上方位置規定面84eを有する。上方位置規定面81eは、ガイド面81cの上端から搬送方向Yの下流側へ水平に延びる。ガイド面81cの下端は、底板部84aの下方位置規定面84dに連続している。
第2ガイド駆動部85は、搬送方向Yに延びるように配置されたロッド85aと、ロッド85aを搬送方向Yに沿って前後に移動させるシリンダ85bとを有する。ロッド85aの先端には、ガイド部材84が固定されている。ロッド85aは、シリンダ85b内に供給される圧縮空気などの動作流体の圧力によって水平方向に移動される。したがって、ガイド部材84は、第2ガイド駆動部85によって、搬送方向Yに沿って前後に移動される。
上記の第2位置決め部用移動部55により、図24~25に示されるように、第2位置決め部77は、凸部77hをガイド部材84の下方位置規定面84dに当接させた所定の下方位置から所定の上方位置へ移動させることが可能である。すなわち、ガイド部材84が、第2ガイド駆動部85によって、搬送方向Yの上流側へ移動したときに、第2位置決め部77の斜面77iがガイド部材84の縦板部84bのガイド面84cに当接し、第2位置決め部77がガイド部材84の縦板部84bによって押し上げられる。その結果、第2位置決め部77を上昇させることが可能である。上昇した第2位置決め部77は、第2位置決め部77の凸部77hの下面77kがガイド部材84の縦板部84bの上方位置規定面84eに当接する。これによって、図27に示される所定の上方位置に位置決めされる。反対に、ガイド部材84が搬送方向Yの下流側に移動したときには、第2位置決め部77は下降して、上記の所定の下方位置(図24~25参照)へ戻る。
複数の従動ローラ上下移動部61のそれぞれは、図24および図28に示されるように、ローラ支持部91と、ローラ支持部91に連結されたロッド92と、ロッド92を垂直方向に移動させるシリンダ93とを有する。
ローラ支持部91は、後側軸受部91aと、前側軸受部91bとを有する。後側軸受部91aは、後側駆動ローラ56の軸部56aの真上において、後側従動ローラ58の軸部58aを回転自在に支持する。前側軸受部91bは、後側軸受部91aよりも搬送方向Yの下流側に位置している。前側軸受部91bは、前側駆動ローラ57を支持する共通の軸63の真上において、前側従動ローラ59の軸部59aを回転自在に支持する。
前側軸受部91bは、後側軸受部91aよりも上方に位置している。前側軸受部91bと後側軸受部91aとの高低差は、前側駆動ローラ57が上方位置にある場合(図27参照)における前側駆動ローラ57を支持する共通の軸63と後側駆動ローラ56の軸部56aとの高低差に等しくなるように設定される。
ロッド92は、垂直方向に延びるように配置されている。ロッド92の下端部は、ローラ支持部91に連結されている。ロッド92は、シリンダ93内に供給される圧縮空気などの動作流体の圧力によって垂直方向に移動される。シリンダ93は、図1のシリンダ13eと同様に、伝熱管挿入装置51の本体フレーム4の上部取付台4bに固定されている。
上部ユニット上下移動部62は、ガイド部53の上部ユニット71の本体部73を支持する支持部94と、支持部94に連結されたロッド95と、ロッド95を垂直方向に移動させるシリンダ96とを有する。ロッド95は、垂直方向に延びるように配置されている。ロッド95の下端部は、支持部73に連結されている。ロッド95は、シリンダ96内に供給される圧縮空気などの動作流体の圧力によって垂直方向に移動される。シリンダ96は、伝熱管挿入装置51の本体フレーム4の上部取付台4bなどに固定されている。
つぎに、上記のように構成された伝熱管挿入装置51を用いたヘアピン管Tの斜め挿しおよび平行挿しの方法について説明する。
(斜め挿しの説明)
まず、図23の熱交換器E3のフィンF3の1段目A1の貫通孔P1および2段目A2の貫通孔P2において、ヘアピン管T1を斜め挿しする(すなわち、ヘアピン管T1の一対の直管部SP1、SP2を異なる高さで貫通孔P1、P2に挿入する)方法について説明する。
ヘアピン管T1を斜め挿しする前の初期の状態では、図24~26に示されるように、複数の前側駆動ローラ57は、ヘアピン管T1の移動領域から下方に退避した所定の下方位置に退避している。また、ガイド部53の第2位置決め部77も、ヘアピン管T1の移動領域から下方に離れた所定の下方位置に退避している。また、後側従動ローラ58および前側従動ローラ59は、ヘアピン管T1の移動領域から上方に離れた所定の上方位置にそれぞれ退避している。さらに、ガイド部53の上部ユニット71は、ヘアピン管T1の移動領域から上方に離れた所定の上方位置にそれぞれ退避している。さらに、伝熱管挿入装置51の全体は、ヘアピン管T1の搬送方向Yから直交する水平方向に退避した位置(例えば、図2に示される初期位置Nのヘアピン管Tに対して搬送方向Yと直交する方向に退避した伝熱管挿入装置1の位置)に配置されている。
この状態で、作業者は、あらかじめ、複数(例えば5本)のヘアピン管T1のそれぞれの直管部SP1、SP2の先端部を熱交換器E3の多数のフィン3のうち最も手前側の貫通孔P1、P2に挿入し、ヘアピン管T1を初期位置の状態になるようにセットする。これにより、ヘアピン管T1の直管部SP1、SP2は、異なる高さに位置する貫通孔P1、P2によって一時的に初期位置に位置決めされる。
ヘアピン管T1が初期位置に位置決めされた後、伝熱管挿入装置51をヘアピン管T1の搬送方向Yと直交する水平方向からヘアピン管T1へ近づけるように移動させる。これによって、図24~26に示されるように、ヘアピン管T1は、ローラ搬送部52における下側のローラ56、57と上側のローラ58、59との間に配置される。それとともに、ヘアピン管T1は、ガイド部53の上部ユニット71と下部ユニット72との間に配置される。
図24~26に示される状態では、ヘアピン管T1の下側の直管部SP1は、ガイド部53の仕切り板79の上面79aに載置され、一方、上側の直管部SP2は、第2位置決め部77から上方に離間した位置に配置されている。
その後、図27~29に示されるように、ヘアピン管T1の一対の直管部SP1、SP2を、ローラ搬送部52の4個のローラ56~59によって上下方向から挟み、それとともに、ガイド部53の上部ユニット71および下部ユニット72によって上下方向から挟む。
このとき、ローラ移動部54におけるローラガイド部材81が第1ガイド駆動部82によって搬送方向Yの上流側へ移動し、前側駆動ローラ57の当接部57bがローラガイド部材81のガイド面81cによって上方向Zへ押し上げられる。これによって、複数の前側駆動ローラ57は、所定の上方位置に移動される。これによって、前側駆動ローラ57は、上側の直管部SP2を下側から支持する。
また、ガイド駆動部55におけるガイド部材84が、第2ガイド駆動部85によって、搬送方向Yの上流側へ移動し、第2位置決め部77の斜面77iがガイド部材84の縦板部84bのガイド面84cに当接する。これによって、第2位置決め部77がガイド部材84の縦板部84bによって押し上げられる。これによって、ガイド部53の下部ユニット72における第2位置決め部77は、所定の上方位置に移動される。これによって、第2位置決め部77の上部部材77aの上面77gは、上側の直管部SP2に当接し、当該直管部SP2を下側から支持する。
さらに、複数の後側従動ローラ58および複数の前側従動ローラ59は、それぞれ、従動ローラ上下移動部61によって下降される。それにより、それぞれの後側従動ローラ58は、1本の円柱状の後側駆動ローラ56とともに、下側の直管部SP1を挟む。そして、前側従動ローラ59およびそれに対向する前側駆動ローラ57が、上側の直管部SP2を挟む。
さらに、ガイド部53の上部ユニット71は、上部ユニット上下移動部62よって下降される。それにより、本体部73の下面73aは、上側の直管部SP2に当接する位置またはそれに近い位置に配置される。また、第1位置決め部74の下面74bは、下側の直管部SP1に当接する位置またはそれに近い位置に配置される。
その結果、図27および図29に示されるように、ガイド部53では、仕切り板79の上面79aと第1位置決め部74の下面74bとそれらの両側の第2位置決め部77の側面とによって、搬送方向Yへ延びるガイド通路101が形成される。当該ガイド通路101によって下側の直管部SP1は、搬送方向Yへ案内される。また、第2位置決め部77の上面77gと本体部73の下面73aとそれらの両側の第1位置決め部74の側面とによって、搬送方向Yへ延びるガイド通路102が形成される。当該ガイド通路102によって上側の直管部SP2は、搬送方向Yへ案内される。
つぎに、上記のような状態で、ローラ搬送部52の後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57を図示しないモータの駆動によって回転させることにより、ヘアピン管T1を傾斜状態で搬送方向Yへ所定の第1位置まで搬送させ、熱交換器E3の多数のフィンF3の途中まで挿入させる。
このとき、ヘアピン管T1の一対の直管部SP1、SP2のうち、下側の直管部SP1は、ガイド部53の上記のガイド通路101によって搬送方向Yへ案内された状態で、
後側駆動ローラ56と後側従動ローラ58とによって挟まれて搬送方向Yへ搬送される。一方、上側の直管部SP2は、ガイド部53の上記のガイド通路102によって搬送方向Yへ案内された状態で、前側駆動ローラ57と前側従動ローラ59とによって挟まれて搬送方向Yへ搬送される。このとき、第1位置決め部74および第2位置決め部77の一部は、図29に示されるように、直管部SP1、SP2の間に入り込むことによって、当該直管部SP1、SP2同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能する。
ヘアピン部HPがガイド部53を通過するときには、第1位置決め部74および第2位置決め部77は、ヘアピン管T1の移動領域から退避する。具体的には、ヘアピン部HPが搬送方向Yへ移動してガイド部53に到達したときには、ヘアピン部HPは、第1位置決め部74の傾斜部74aに当接し、バネ75の復元力に抵抗しながら第1位置決め部74を押し上げてヘアピン管T1の上方へ退避させる。それとともに、ヘアピン部HPは、第2位置決め部77の上部部材77aの傾斜部77fに当接し、バネ77cの復元力に抵抗しながら当該上部部材77aを押し下げてヘアピン管T1の下方へ退避させる。ヘアピン部HPが第1位置決め部74および上部部材77aを通過した後、第1位置決め部74および上部部材77aはバネ75、77cの復元力によってそれぞれヘアピン部HPの通過前の位置へ戻る。
ヘアピン部HPがガイド部53を通過してヘアピン管T1が所定の第1位置までの移動が完了したときには、後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57の回転を停止させる。
その後、上記と逆の手順で、複数の前側駆動ローラ57および第2位置決め部77をヘアピン管T1の移動領域から下方へ退避させる。それとともに、複数の後側従動ローラ58および複数の前側従動ローラ59を上昇させて、ヘアピン管T1の移動領域から上方へ退避させる。さらに、ガイド部53の上部ユニット71を上昇させて上方へ退避させる。
その後、伝熱管挿入装置51をヘアピン管T1の搬送方向Yと直交する水平方向へ移動させ、上記の図示しない押圧シリンダを、ヘアピン管T1に対して搬送方向Yの上流側へ配置させる。その後、押圧シリンダによって、ヘアピン管T1を所定の第2位置まで挿入する。これによって、ヘアピン管T1を熱交換器E3の多数のフィンF3の奥まで挿入することにより、ヘアピン管T1の斜め挿しが完了する。
(平行挿しの説明)
つぎに、図23の熱交換器E3のフィンF3の3段目A3の貫通孔P3において、ヘアピン管T2を平行挿しする(すなわち、ヘアピン管T2の一対の直管部SPが水平に並んだ状態で貫通孔P3に挿入する)方法について説明する。
上記の斜め挿しの場合と同様に、作業者は、あらかじめ、ヘアピン管T2の一対の直管部SPの先端部を多数のフィン3のうち最も手前側の貫通孔P3に入った初期位置の状態になるようにセットする。平行挿しの場合、一対の直管部SPは、同じ高さに並ぶ貫通孔P3によって一時的に初期位置に位置決めされる。
ヘアピン管T2が初期位置に位置決めされた後、伝熱管挿入装置51をヘアピン管T2の搬送方向Yと直交する水平方向からヘアピン管T2へ近づけるように移動させる。
その後、斜め挿しの場合と同様に、図30~32に示されるように、ヘアピン管T2の一対の直管部SPを、ローラ搬送部52のローラ(平行挿しの場合では、後側駆動ローラ56および後側従動ローラ58のみ)によって上下方向から挟む。さらに、一対の直管部SPを、ガイド部53の上部ユニット71および下部ユニット72によって上下方向から挟む。
具体的には、複数の後側従動ローラ58は、複数の前側従動ローラ59とともに従動ローラ上下移動部61によって下降される。それにより、それぞれの後側従動ローラ58は、1本の円柱状の後側駆動ローラ56とともに、一対の直管部SPを挟む。
このとき、前側駆動ローラ57は、斜め挿しの場合と同様に、ローラ移動部54によって所定の上方位置まで移動しているが、前側駆動ローラ57および前側従動ローラ59は直管部SPの保持に寄与していない。なお、上昇した前側駆動ローラ57は、一対の直管部SPの隙間に位置しているので、これらの直管部SPに干渉しない。
なお、平行挿しの場合は、前側駆動ローラ57は、上方位置まで移動させずに下方位置で待機していてもよい。
さらに、ガイド部53の上部ユニット71は、上部ユニット上下移動部62よって下降される。それにより、第1位置決め部74の下面74bは、一対の直管部SPに当接する位置またはそれに近い位置に配置される。
その結果、図30および図32に示されるように、ガイド部53では、仕切り板79の上面79aと第1位置決め部74の下面74bとそれらの両側の第2位置決め部77の側面とによって、搬送方向Yへ延びるガイド通路103が形成される。当該ガイド通路103によって直管部SPは、搬送方向Yへ案内される。なお、図32に示されるように、一対の直管部SPのうちガイド部53の下部ユニット72のケース76の縦板76aの上に位置している直管部SPは、当該縦板76aと上部ユニット71の本体部73の下方突出部73cとによって、上下方向の移動が規制されている。
つぎに、上記のような状態で、ローラ搬送部52の後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57を図示しないモータの駆動によって回転させ、ヘアピン管T2を水平状態で搬送方向Yへ所定の第1位置、例えば、ヘアピン管T2のヘアピン部HPがガイド部53とローラ搬送部52との間に有る位置まで搬送させ、熱交換器E3の多数のフィンF3の途中まで挿入させる。
このとき、ヘアピン管T2の一対の直管部SPは、ガイド部53の上記のガイド通路103によって搬送方向Yへ案内された状態で、後側駆動ローラ56と後側従動ローラ58とによって挟まれて搬送方向Yへ搬送される。このとき、第2位置決め部77の一部は、図32に示されるように、一対の直管部SPの間に入り込むことによって、当該直管部SP同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能する。
ヘアピン部HPがガイド部53を通過するときには、第2位置決め部77は、ヘアピン管T2の移動領域から退避する。具体的には、ヘアピン部HPが搬送方向Yへ移動してガイド部53に到達したときには、ヘアピン部HPは、第2位置決め部77の上部部材77aの傾斜部77fに当接し、バネ77cの復元力に抵抗しながら当該上部部材77aを押し下げてヘアピン管T2の下方へ退避させる。ヘアピン部HPが上部部材77aを通過した後、上部部材77aはバネ77cの復元力によってヘアピン部HPの通過前の位置へ戻る。
ヘアピン部HPがガイド部53を通過してヘアピン管T2が所定の第1位置までの移動が完了したときには、後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57の回転を停止させる。
その後、上記の斜め挿しの場合と同様に、押圧シリンダによって、ヘアピン管T2を所定の第2位置まで挿入する。これによって、ヘアピン管T2を熱交換器E3の多数のフィンF3の奥まで挿入することにより、ヘアピン管T2の平行挿しが完了する。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、ローラ搬送部52は、後側駆動ローラ56と、前側駆動ローラ57とを含んでいる。後側駆動ローラ56は、平行挿しのヘアピン管T2のように一対の直管部SPが水平方向に並んでいる水平状態の場合には一対の直管部SPの両方に接触する。また、後側駆動ローラ56は、斜め挿しのヘアピン管T1のように一対の直管部SP1、SP2が互いに異なる高さに並んで配置された傾斜状態の場合には、低い位置にある直管部SP1に接触する。前側駆動ローラ57は、斜め挿しのヘアピン管T1のように一対の直管部SP1、SP2が傾斜状態の場合において高い位置にある直管部SP2に接触する。これにより、ヘアピン管T(T1、T2)が平行挿しおよび斜め挿しのいずれの場合においても、後側駆動ローラ56のみ、または後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57の両方をヘアピン管T(T1、T2)の直管部SP(SP1、SP2)に接触させて、当該直管部SP(SP1、SP2)を搬送方向Yへ移動させることが可能である。これにより、1台の伝熱管挿入装置51によって、ヘアピン管T(T1、T2)の平行挿しおよび斜め挿しの両方を達成することが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、後側駆動ローラ56および前側駆動ローラ57は、ヘアピン管T1の搬送方向Yにおいて互いにずれた位置になるように配置されている。そのため、後側駆動ローラ56と前側駆動ローラ57との干渉を防止することが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51は、前側駆動ローラ57を上下動させるローラ移動部54を備えている。そのため、ヘアピン管T(T1、T2)の挿入作業が完了する毎に、前側駆動ローラ57をヘアピン管T(T1、T2)の移動領域から退避させること可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、ローラ移動部54は、ヘアピン管T(T1、T2)の搬送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管Tの移動領域に対する距離が変わる方向に傾斜するガイド面81cを有するローラガイド部材81と、ローラガイド部材81を搬送方向Yに沿って移動させる第1ガイド駆動部82とを有している。第1ガイド駆動部82は、ローラガイド部材81のガイド面81cによって前側駆動ローラ57を上昇させるように、ローラガイド部材81を移動させる構成を有している。そのため、ローラガイド部材81の水平移動に応じて、ガイド面81cに当接する前側駆動ローラ57の回転軸である共通の軸63を確実に上下動させることが可能である。しかも、ローラ移動部54は、高さを抑えた構成にすることが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51は、第1位置決め部74と、第2位置決め部77とを備えている。第1位置決め部74は、平行挿しのヘアピン管T2のように、一対の直管部SPが水平状態の場合には当該一対の直管部SPの両方を位置決めし、斜め挿しのヘアピン管T1のように、一対の直管部SP1、SP2が傾斜状態の場合には低い位置にある直管部SP1を位置決めする。第2位置決め部77は、斜め挿しのヘアピン管T1のように、一対の直管部SP1、SP2が傾斜状態の場合における高い位置にある直管部SP2を位置決めする。これにより、ヘアピン管T2を平行挿しする場合には、第1位置決め部74のみによって一対の直管部SPの位置決めが可能であり、ヘアピン管T1を斜め挿しする場合には、第1位置決め部74および第2位置決め部77の両方によって、一対の直管部SP1、SP2の位置決めが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、平行挿しのヘアピン管T2のように、一対の直管部SPが水平状態の場合において、第2位置決め部77は、直管部SP同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能する。これにより、水平状態の直管部SP同士のねじれを解消することが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、斜め挿しのヘアピン管T1のように、一対の直管部SP1、SP2が傾斜状態の場合において、第1位置決め部74および第2位置決め部77の一部は、直管部SP1、SP2同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能する。これにより、傾斜状態の直管部SP1、SP2同士のねじれを解消することが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51では、第1位置決め部74および第2位置決め部77は、前送方向Yの上流側へ向かうにつれてヘアピン管の移動領域から離れるように傾斜する傾斜部74a、77fをそれぞれ有している。しかも、第1位置決め部74および第2位置決め部77は、搬送方向Yに搬送されるヘアピン管T(T1、T2)のヘアピン部HP1に斜部74a、77fが接触することによって、当該ヘアピン部HPからそれぞれ退避するように構成されている。そのため、ヘアピン部HPが第1位置決め部74および第2位置決め部77の位置を通過するときに第1位置決め部74および第2位置決め部77に引っかかるおそれを低減することが可能である。
上記第3実施形態の伝熱管挿入装置51は、第2位置決め部77を斜め挿しのヘアピン管T1における高い位置にある直管部SP2を位置決めする上方位置とヘアピン管T(T1、T2)の移動領域から下方に離れた下方位置との間で移動させる第2位置決め部用移動部55をさらに備えている。そのため、ヘアピン管T(T1、T2)の挿入作業を完了する毎に第2位置決め部77をヘアピン管T(T1、T2)の移動領域から退避させること可能である。
(第3実施形態の変形例)
上記第3実施形態では、ローラガイド部材81を移動させる第1ガイド駆動部82およびガイド部材84を移動させる第2ガイド駆動部85をそれぞれ別個に備えているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、2つのガイド駆動部82、84のうち一方のガイド駆動部を省略して、残る他方のガイド駆動部によって、ローラガイド部材81およびガイド部材84を搬送方向Yへ同時に移動するような構成を採用してもよい。
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
上記の第1~3の実施形態の伝熱管挿入装置1、51は、多数のフィンおよび当該多数のフィンを貫通する伝熱管を備えた熱交換器を組み立てる過程において前記フィンに形成された挿入孔に前記伝熱管を挿入する伝熱管挿入装置1、51であって、ローラ2a、2b、56、57を備え、当該ローラ2a、2b、56、57の回転によって前記伝熱管を送り出し、前記伝熱管を前記フィンの挿入孔に挿入して第1位置まで移動させるローラ搬送部2、52と、前記ローラ搬送部2、52によって前記第1位置まで移動された前記伝熱管を、当該第1位置よりもさらに押し込まれた位置である第2位置まで押し込む押圧部3とを備えている、ことを特徴とする。
上記の第1~3の実施形態の伝熱管挿入装置1、51は、伝熱管を多数のフィンの挿入孔へ2段階で移動させる機構として、ローラ搬送部2、52および押圧部3を備えている。そのため、作業者が伝熱管をあらかじめ所定の初期位置、例えば、伝熱管の先端部が多数のフィンのうち最も手前側のフィンの挿入孔に入った状態の初期位置にセットしておけば、ローラ搬送部2、52のローラ2a、2b、56、57の回転によって前記伝熱管を送り出し、伝熱管を多数のフィンの挿入孔に挿入して第1位置まで移動させ、その後、押圧部3によって、さらに伝熱管を第2位置まで押し込むことによって、伝熱管を第2位置まで挿入することが可能である。したがって、従来の伝熱管挿入装置のように、伝熱管を多数のフィンの挿入孔に最初から最後まで挿入させるために長尺なストローク長を有する伝熱管挿入手段、および多数のフィンを貫通して伝熱管を支持する長尺の案内棒を必要としない。その結果、伝熱管挿入装置1、51の小型化が可能になる。
また、本発明の伝熱管挿入装置1、51では、作業者が伝熱管をまず初期位置にセットする必要がある。しかし、伝熱管挿入装置1、51が半自動機械であることにより、ローラ搬送部2、52および押圧部3を組み合わせた非常に簡素な挿入装置1、51を構成することが可能である。
しかも、上記のように、ローラ搬送部2、52のローラ2a、2b、56、57の回転によって伝熱管を送り出すことによって、任意の長さの伝熱管を送り出すことが可能な構成である。そのため、あらかじめストローク長を決める必要がなく、種々の長さと種々の管径(外径)の伝熱管に対応して挿入作業を行うことが可能である。したがって、非常に長尺な伝熱管であってもフィンの挿入孔へ挿入することが可能になる。
前記伝熱管は、互いに平行な一対の直管部と、当該直管部の一端部同士を連結するヘアピン部とを有するヘアピン管からなり、前記伝熱管の搬送方向において前記ローラ2a、2bの上流側に配置され、前記ローラ2a、2bに案内される前記直管部同士のねじれを解消するねじれ解消部材9をさらに備えるのが好ましい。
かかる構成によれば、伝熱管となるヘアピン管をローラ2a、2bの回転によってフィンの挿入孔へ送り込む前に、ヘアピン管搬送方向におけるローラ2a、2bの上流側のねじれ解消部材9によって、ヘアピン管の一対の直管部同士のねじれを解消する。そのため、ヘアピン管がローラ2a、2bに引っかかって挿入不良となるおそれを低減することが可能である。
前記ねじれ解消部材9は、前記搬送方向の上流側へ向かうにつれて前記ヘアピン管の移動領域から離れるように傾斜する傾斜部9aを有し、前記ねじれ解消部材9は、前記ヘアピン部が前記傾斜部9aに接触したときに前記ヘアピン部から退避するように構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン管がローラ2a、2bの回転によってフィンの挿入孔へ送り込まれている間、ヘアピン部がねじれ解消部材9を通過する際には、ねじれ解消部材9の傾斜部9aがヘアピン部に接触することによって、ねじれ解消部材9がヘアピン部から退避することが可能である。これにより、ヘアピン部がねじれ解消部材9に引っかかるおそれを低減することが可能である。
前記ローラ2a、2bにおける前記伝熱管に接触する接触部分2a1、2b1は、平坦な部分を有しており、当該平坦な部分は、前記伝熱管と接触したときに弾性変形して当該伝熱管と面接触が可能な弾性を有する材料で製造されるのが好ましい。
かかる構成によれば、ローラ2a、2bにおける伝熱管に接触する接触部分2a1、2b1が平坦な部分を有し、かつ、当該平坦な部分が伝熱管と接触したときに弾性変形して当該伝熱管に面接触する。そのため、種々の外径の伝熱管に対応して当該伝熱管をローラ2a、2bの回転によって確実にフィンの挿入孔へ送り込むことが可能である。しかも、ローラ2a、2bが弾性変形をすることにより、伝熱管の変形や損傷のおそれが低減する。
前記押圧部3は、複数の押し込み部3a、3bを備え、当該複数の押し込み部全てを作動させた場合と、当該複数の押し込み部のうちの1つを作動させた場合とで、前記伝熱管を前記フィンの挿入孔へ押し込む押し込み量が異なるようにするのが好ましい。
かかる構成によれば、押圧部3は、複数の押し込み部3a、3bを用いて伝熱管を押し込む距離を複数の段階に変えることが可能である。すなわち、1つの押し込み部3aのみによって伝熱管を押し込めば所定の距離だけ押し込むことができる。さらに、全ての押し込み部3a、3bを同時に作動させることによって、伝熱管を上記の所定の距離よりもさらに長い距離を押し込むことが可能になる。これにより、複数列に伝熱管が並んで配列された熱交換器において、各列において伝熱管の有効長が異なる場合であっても、それぞれの有効長に対応するように、異なるストローク長さで伝熱管をフィンの挿入孔へ挿入することが可能である。
前記伝熱管の搬送方向において前記ローラ2a、2bの上流側に配置され、前記ローラ2a、2bに対する前記伝熱管の位置決めをする第1ガイド部材7をさらに備えるのが好ましい。
かかる構成によれば、伝熱管の搬送方向におけるローラ2a、2bの上流側において、第1ガイド部材7によってローラ2a、2bに対する伝熱管の位置決めがされるので、伝熱管が所定の搬送方向から傾斜した状態でローラ2a、2bに到達するおそれを低減することが可能である。
前記ローラ搬送部2は、前記伝熱管の搬送方向に平行して複数台並んで配置され、前記第1ガイド部材7は、それぞれの前記ローラ搬送部2の上流側に設置されているのが好ましい。
かかる構成によれば、複数台のローラ搬送部2を備えた構成において、第1ガイド部材7がそれぞれのローラ搬送部2の伝熱管の搬送方向の上流側に設置されている。そのため、第1ガイド部材7は各ローラ搬送部2によって送り出される伝熱管ごとにローラ2a、2bに対する位置決めを正確に行うことが可能である。これにより、複数台のローラ搬送部2を用いて複数本の伝熱管の挿入を行う際の伝熱管が所定の搬送方向から傾斜した状態でローラ2a、2bに到達するおそれを低減することが可能である。
前記伝熱管の搬送方向において前記第1ガイド部材7の上流側に配置され、前記第1ガイド部材7に対する前記伝熱管の位置決めをする第2ガイド部材8をさらに備えるのが好ましい。
かかる構成によれば、伝熱管の搬送方向において第1ガイド部材7の上流側において、第1ガイド部材7に送り込まれる前に、第2ガイド部材8によって、伝熱管を第1ガイド部材7に対して位置決めすることが可能である。そのため、伝熱管が所定の搬送方向から傾斜した状態でローラ2a、2bに到達するおそれをより低減することが可能である。
前記ローラ搬送部2は、一対の前記ローラ2a、2bを備え、これら一対のローラ2a、2bが前記伝熱管を挟んで互いに対向する位置に配置されているのが好ましい。
かかる構成によれば、一対のローラ2a、2bで挟んで伝熱管をフィンの挿入孔へ安定して送りこむことが可能である。
前記一対のローラは、前記伝熱管を送り出す駆動ローラ2aと、前記伝熱管に接触して前記伝熱管の送り出しに追随して回転する従動ローラ2bとからなるのが好ましい。
かかる構成によれば、駆動ローラ2aを一方だけで済み、機構の簡素化が可能である。また、駆動ローラ2aよりも機構が簡素な従動ローラ2bの方を伝熱管に対して接触する位置と退避する位置との間で移動させることが容易になる。
前記ローラ搬送部52は、前記ローラを含む2つのローラ56、57を備え、前記伝熱管は、互いに平行な一対の直管部と、当該直管部の一端部同士を連結するヘアピン部とを有するヘアピン管からなり、前記2つのローラは、前記一対の直管部が水平方向に並んでいる水平状態の場合には前記一対の直管部の両方に接触し、前記一対の直管部が互いに異なる高さに並んで配置された傾斜状態の場合には前記一対の直管部のうちの低い位置にある直管部に接触する第1ローラ56と、前記一対の直管部が前記傾斜状態の場合において前記一対の直管部のうちの高い位置にある直管部に接触する第2ローラ57とを含んでいるのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン管の一対の直管部が水平方向に並んでいる水平状態で当該ヘアピン管を挿入する場合(いわゆる平行挿しの場合)、および一対の直管部が互いに異なる高さに並んで配置された傾斜状態で当該ヘアピン管を挿入する場合(いわゆる斜め挿しの場合)のいずれの場合においても、第1ローラ56のみ、または第1ローラ56および第2ローラ57の両方をヘアピン管の直管部に接触させて、当該直管部を搬送方向へ移動させることが可能である。これにより、1台の伝熱管挿入装置51によって、ヘアピン管の平行挿しおよび斜め挿しの両方を達成することが可能である。
前記第1ローラ56および前記第2ローラ57は、前記伝熱管の搬送方向において互いにずれた位置になるように、配置されているのが好ましい。この配置によって、後側駆動ローラ56と前側駆動ローラ57との干渉を防止することが可能である。
また、前記第2ローラ57を上下動させるローラ移動部54をさらに備えているのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン管の挿入作業が完了する毎に、ローラ移動部54によって前側駆動ローラ57をヘアピン管の移動領域から退避させること可能である。
前記ローラ移動部54は、前記伝熱管の搬送方向の上流側へ向かうにつれて前記ヘアピン管の移動領域に対する距離が変わる方向に傾斜するガイド面81cを有するローラガイド部材81と、前記ローラガイド部材81を前記搬送方向に沿って移動させるガイド移動部82とを有しており、前記ガイド移動部82は、前記ローラガイド部材81のガイド面81cによって前記第2ローラ57を上昇させるように、前記ローラガイド部材81を移動させるように構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、ローラガイド部材81の水平移動に応じて、ガイド面81cに当接する第2ローラ57の回転軸を確実に上下動させることが可能である。しかも、ローラ移動部54は、高さを抑えた構成にすることが可能である。
前記一対の直管部が前記水平状態の場合には当該一対の直管部の両方を位置決めし、前記一対の直管部が前記傾斜状態の場合には当該一対の直管部のうちの低い位置にある直管部を位置決めする第1位置決め部74と、 前記一対の直管部が前記傾斜状態の場合における当該一対の直管部のうちの高い位置にある直管部を位置決めする第2位置決め部77とをさらに備えているのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン管を平行挿しする場合には、第1位置決め部74のみによって一対の直管部の位置決めが可能である。一方、ヘアピン管を斜め挿しする場合には、第1位置決め部74および第2位置決め部77の両方によって、一対の直管部の位置決めが可能である。
前記一対の直管部が前記水平状態の場合において、前記第2位置決め部77は、前記直管部同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能するのが好ましい。
この構成によれば、水平状態の直管部同士のねじれを解消することが可能である。
前記一対の直管部が前記傾斜状態の場合において、前記第1位置決め部74および前記第2位置決め部77の一部は、前記直管部同士のねじれを解消するねじれ解消部材として機能するのが好ましい。
この構成によれば、傾斜状態の直管部同士のねじれを解消することが可能である。
前記第1位置決め部74および前記第2位置決め部77は、前記搬送方向の上流側へ向かうにつれて前記ヘアピン管の移動領域から離れるように傾斜する傾斜部74a、77fをそれぞれ有し、前記第1位置決め部74および前記第2位置決め部77は、前記搬送方向に搬送される前記ヘアピン管の前記ヘアピン部に前記傾斜部74a、77fが接触することによって、当該ヘアピン部からそれぞれ退避するように構成されているのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン部が第1位置決め部74および第2位置決め部77の位置を通過するときに第1位置決め部74および第2位置決め部77に引っかかるおそれを低減することが可能である。
前記第2位置決め部77を前記直管部を位置決めする上方位置と前記ヘアピン管の移動領域から下方に離れた下方位置との間で移動させる第2位置決め部用移動部55をさらに備えているのが好ましい。
かかる構成によれば、ヘアピン管の挿入作業を完了する毎に第2位置決め部77をヘアピン管の移動領域から退避させること可能である。
前記ローラ搬送部2および前記押圧部3を支持する本体フレーム4と、
前記本体フレーム4全体を上下動させる上下移動部5とをさらに備えるのが好ましい。
かかる構成によれば、上下移動部5によって、ローラ搬送部2および押圧部3を支持する本体フレーム4を上下動させることが可能である。そのため、伝熱管が上下に複数列並ぶ熱交換器を組み立てる場合に、本体フレーム4を上下移動部5によって上下に移動させて各列に対応する高さに変更することにより、各列の伝熱管の挿入動作を行うことが可能である。