WO2014073646A1 - シコニン誘導体を有するペリオスチンの発現抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ペリオスチンの活性を阻害するペリオスチンの阻害剤,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤を提供する。 【解決手段】 β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含む,ペリオスチンの阻害剤,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤,及びケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤。
Description
本発明は,シコニン誘導体を有するペリオスチンの発現抑制剤に関する。
例えば,特開2010-143887号公報には,シコニンがアトピー性皮膚炎の治療に有効であることが開示されている。
特開2008-13487号公報には,シコニンを有する皮膚外用剤が開示されている。
特開2002-212065号公報には,ナフトキノン骨格を備えたシコニン又はその誘導体を有効成分とするチロシンキナーゼ阻害剤が開示されている。具体的なシコニン誘導体として,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンが開示されている。
そこで,本発明は,ペリオスチンの活性を阻害するペリオスチンの阻害剤を提供することを目的とする。
また,本発明は,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤を提供することを目的とする。
また,本発明は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤を提供することを目的とする。
また,本発明は,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤を提供することを目的とする。
本発明は,シコニンやアルカニン等がペリオスチンの活性を阻害する能力があるという知見に基づくものである。本発明は,シコニンの誘導体のうち特にβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン,その塩,及びその溶媒和物が,ペリオスチンの活性を阻害する能力が高いという知見に基づくものである。このシコニン誘導体は,シコニンそのものに比べてもペリオスチンの活性阻害能がきわめて高い。
本発明の第1の側面は,ペリオスチンの阻害剤に関する。このペリオスチンの阻害剤は,有効成分として,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物を含む。
本発明のペリオスチンの阻害剤の好ましい用途は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤である。
本発明のペリオスチンの阻害剤の好ましい用途は,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤である。
本発明のペリオスチンの阻害剤の好ましい用途は,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤である。
本発明の第2の側面は,紫根の抽出物を有効成分として含む,ペリオスチンの阻害剤に関する。この側面のペリオスチンの阻害剤も実質的には第1の側面のペリオスチンの阻害剤と同様の用途を有する。前記紫根の抽出物は,紫根の水抽出物であることがこのましい。また,この側面のペリオスチンの阻害剤の特に好ましい用途は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤である。
本発明は,ペリオスチンの活性を阻害するペリオスチンの阻害剤を提供できる。
本発明は,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤を提供できる。
本発明は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤を提供できる。
本発明は,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤を提供できる。
本発明の第1の側面は,ペリオスチンの阻害剤に関する。本発明の阻害剤は有効成分として,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物をいずれか1つ含んでいても良いし,2種以上を含んでも良い。β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体における「その誘導体」は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体を意味する。また,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体の薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体の薬学的に許容される溶媒和物に結晶多型が存在する場合,本発明の阻害剤は,それらを適宜含んでも良い。これらのβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン等は,ペリオスチンの阻害剤の有効成分である。そのため,ペリオスチンの阻害剤は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン等を有効量含む。
β-ヒドロキシイソバレリルシコニン等は以下のとおり,優れたペリオスチンの阻害剤であるといえる。一方,シコニンやアルカニンについてもβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンよりは低いものの一応のペリオスチンの阻害活性を有する。
上記式(I)中,R1は,式(II)で示される基を示す。
R2~R7及びR11~R13は,同一でも異なってもよく,水素原子,ハロゲン原子,C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコシキ基を示す。
ハロゲン原子の例は,フッ素原子,塩素原子,臭素原子,又はヨウ素原子である。これらの中で,好ましいハロゲン原子は,フッ素原子,塩素原子又は臭素原子である。
C1-C4アルキル基とは,炭素数が1~4個のアルキル基を意味する。C1-C4アルキル基の例は,メチル基,エチル基,ノルマルプロピル基,イソプロピル基,ノルマルブチル基,セカンダリーブチル基,イソブチル基,及びターシャリーブチル基である。これらの中で,好ましいC1-C4アルキル基は,メチル基又はエチル基である。
C1-C4アルコキシ基とは,炭素数が1~4個のアルコキシ基を意味する。C1-C4アルコキシ基の例は,メトキシ基,エトキシ基,ノルマルプロピルオキシ基,イソプロピルオキシ基,ノルマルブトキシ基,セカンダリーブトキシ基,イソブトキシ基,及びターシャリーブトキシ基である。これらの中で,好ましいC1-C4アルコキシ基は,メトキシ基又はエトキシ基である。
好ましい例は,R2~R7及びR11~R13は,同一でも異なってもよく,水素原子,ハロゲン原子,メチル基又はメトキシ基を示す。
有効成分として最も好ましいものは,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物である。
有効成分として最も好ましいものは,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物である。
有効成分であるβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体等が,紫根の抽出エキスであってもよい。また,これらは,紫根の水抽出エキスであってもよい。
「シコニンの誘導体」の例は,(β,β-ジメチルアクリル)シコニン,(2-メチルブチリル)シコニン,イソブチルシコニン,デオキシシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,アセチルシコニン,α-メチル-n-ブチルシコニン及びテラクリルシコニンである。
アルカニンは,シコニンの光学異性体である。したがって,アルカニンの誘導体の例は,シコニンの誘導体の光学異性体である。
その薬学的に許容される塩は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体の薬学的に許容される塩を意味する。薬学的に許容される塩の例は,塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素酸,硫酸,硝酸,リン酸等の無機酸,ギ酸,酢酸,プロピオン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,フマル酸,マレイン酸,乳酸,リンゴ酸,酒石酸,クエン酸,メタンスルホン酸,エタンスルホン酸,アスパラギン酸,グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩等が挙げられる。また,置換基の種類によっては,塩基との塩を形成する場合もあり,例えば,ナトリウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム,アルミニウム,リチウム等の金属を含む無機塩基,或いはメチルアミン,エチルアミン,エタノールアミン,リジン,オルニチン等の有機塩基との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
その薬学的に許容される溶媒和物は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体の薬学的に許容される溶媒和物を意味する。溶媒和物の例は水和物である。
β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体やシコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体は,化学合成によって,または天然物から抽出して精製することによって,調製することができる。例えば,特許2837715号公報,特許2571279号公報には,シニコンの製造方法が開示されている。シコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体は市販品を用いてもよい(例えば,和光純薬,シコニン標準品 191-13331)。
β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体,シコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体を,天然物から抽出する場合には,例えば,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体,シコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体を含有する植物の全体又は一部分(例えば,全草,葉,根,根茎,茎,根皮,花,若しくは果実)をそのまま用いて,又は簡単に加工処理(例えば,乾燥,切断,湯通し,蒸気加熱,若しくは粉末化)したもの(例えば,生薬)を用いて抽出すればよい。抽出条件は一般的に植物抽出に用いられる条件ならば特に制限はない。シコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体の抽出の材料として,ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon Siebold et Zuccarini),又はアルネビア・エウクロマ(Arnebia euchroma (Royle) Johnst.),オノスマ・アルゲンタツム(Onosma argentatum),アルカネット(Anchusa
officinalis LINNE)を例示することができる。好ましくはシコン(紫根:Lithospermi
radix;Lithospermum root;ムラサキの根)を用いることができる。
officinalis LINNE)を例示することができる。好ましくはシコン(紫根:Lithospermi
radix;Lithospermum root;ムラサキの根)を用いることができる。
シコニンは,Syk(チロシンキナーゼ)のリン酸化活性および自己リン酸化活性を阻害することにより,抗炎症作用を発揮するものと考えられている。シコニンはSykのリン酸化活性を抑制し,IgE刺激によるヒト好塩基球からのヒスタミン放出を抑制することが示唆されている(Takano-Ohmuro H, Yoshida LS, Yuda Y, Morioka K, Kitani S. Inflamm
Res. 2008 Oct;57:1-5)。
Res. 2008 Oct;57:1-5)。
β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体,又はシコニン,シコニンの誘導体,アルカニン,アルカニンの誘導体,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物は,紫根の抽出エキスであってもよい。紫根は,硬紫根及び軟紫根のいずれであってもよい。紫根の抽出エキスの例は,紫根の水抽出エキスである。水抽出エキスとは,紫根を水溶媒を用いて抽出して得られるエキスである。
本発明の阻害剤は,公知の薬学的に許容される担体を含んでも良い。
本発明の別の側面は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体,又はシコニン,シコニンの誘導体,アルカニン,アルカニンの誘導体,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物を含む,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤に関する。特にこの側面は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤に関する。
アトピー性皮膚炎には,ペリオスチンが発現機序であるものがある。この事実は,実験により証明されている(Masuoka.M.et.al.,J Clin Invest.122,2590-2600,2012)。本発明の実施例により,シコニン等によりペリオスチンを抑制できることが示された。このため,分析によりペリオスチンが健常人に比べて高く発現しているアトピー性皮膚炎患者に対して,本発明の阻害剤が有効に機能し,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤として利用されうる。
本発明の別の側面は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体又はシコニン,シコニンの誘導体,アルカニン,アルカニンの誘導体,その薬学的に許容される塩,又はその薬学的に許容される溶媒和物を含む,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤に関する。
本発明の第2の側面は,紫根の抽出物を有効成分として含む,ペリオスチンの阻害剤に関する。この側面のペリオスチンの阻害剤も実質的には第1の側面のペリオスチンの阻害剤と同様の用途を有する。紫根の抽出物は,紫根の水抽出物であることが好ましい。また,この側面のペリオスチンの阻害剤の特に好ましい用途は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤である。
実施例において実証されたとおり,ケロイド由来の線維芽細胞においてペリオスチンが健常人に比べて高く発現する場合がある。このため,ペリオスチンを阻害することが,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療及び予防に有効であると考えられる。たとえば,外科手術後,施術跡に本発明のケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤を塗布することで,既に生じているケロイド又は肥厚性瘢痕の原因となる線維芽細胞を抑制できるほか,線維芽細胞がさらに発現することを防ぎ,これによりケロイド又は肥厚性瘢痕を予防できると考えられる。
本発明の剤は,投与経路や投与方法に応じて,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体やシコニン,アルカニン,及びそれらの誘導体を薬学的に許容される塩と適宜製剤化して,本発明の治療剤および/または予防剤とすることができる。剤型としては,注射剤(溶液,懸濁液,乳濁液,用時溶解用固形剤等),錠剤,カプセル剤,液剤,顆粒剤,散剤,リポ化剤,吸入散剤や,軟膏剤,硬膏剤,貼付剤,液剤,ローション剤,クリーム剤,エアゾール剤,スプレー剤(噴霧剤),パスタ剤,ゲル剤,外用散剤,点眼剤等の外用剤が例示される。本発明の治療剤および/または予防剤は,好ましくは皮膚に適用される皮膚外用剤である。
本発明の剤の製剤化には公知の方法を用いることができる。製剤化にあたり,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体やシコニン,その誘導体,および/またはアルカニン(シコニン光学異性体)または薬学的に許容される塩に悪影響を与えず,かつ本発明の効果に影響を与えない限りにおいて,他の医薬活性成分(ステロイド剤,抗ヒスタミン剤,免疫抑制剤,抗菌剤,抗生物質,非ステロイド系抗炎症剤等の薬剤)や,医薬として許容される通常の安定剤,乳化剤,溶解剤,増粘剤,界面活性剤,浸透圧調整剤,pH調節剤等の補助剤を適宜配合することができる。
例えば,本発明の剤を,外用剤としてアレルギー性皮膚炎,特にアトピー性皮膚炎の治療に用いる場合は,通常はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体等を適当な基剤に混合,溶解,分散等して外用剤を形成し,当該外用剤を塗布,貼付,噴霧等により損傷のある皮膚や粘膜に経皮的に投与する。当該外用剤の剤型は特に限定されないが,上記のように軟膏剤,硬膏剤,貼付剤,液剤,ローション剤,クリーム剤,ゲル剤,エアゾール剤,スプレー剤(噴霧剤),パスタ剤,外用散剤,点眼剤等が挙げられる。
外用剤の基剤としては外用剤に通常使用される基剤を用いることができるが,パラベン,ラノリンなどの刺激性のある表示指定成分を含まないものを使用すれば,刺激に対して敏感な患者にも本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を適用でき,好ましい。
通常使用される基剤としては,ポリエチレングリコール,カルボキシビニルポリマー,ミツロウ,白色ワセリン,プラスチベース,高級脂肪酸または高級アルコール,親水軟膏,バニシングクリーム,親水ワセリン,オイセリン,ネオセリン,吸水軟膏,親水プラスチベース,流動パラフィン,アイソパー,シリコン油,脂肪酸エステル,植物油,スクワラン,多価アルコール脂肪酸エステル,多塩基エステル,アルキルグリセリルエーテル,大豆レシチン,ステアリン酸等が挙げられる。
外用剤の場合,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体等は,本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤において約0.001~100μM,好ましくは約0.1~10μMの濃度となるように基剤に配合される。
また,本発明の投与回数は,1日1回でもよく,1日2~4回,またはそれ以上の回数に分けて投与することもでき,そのような投与を必要に応じて毎日,あるいは適当な日数をおいて必要な期間投与することができる。
また,本発明の投与回数は,1日1回でもよく,1日2~4回,またはそれ以上の回数に分けて投与することもでき,そのような投与を必要に応じて毎日,あるいは適当な日数をおいて必要な期間投与することができる。
本発明の適用対象動物としては,ヒトを含む哺乳動物(ヒト等の霊長類,犬,猫等の愛玩動物,牛,豚,馬等の家畜等),鶏等の鳥類が挙げられ,これらの動物の上記のような症状の予防,治療あるいは軽減に使用することができる。
また本発明は,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの誘導体等を含有するアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を含む化粧品にも及ぶ。本発明において化粧品とは,例えば,ファンデーション,化粧水,化粧用クリーム,乳液,化粧用ジェル,パック剤,歯磨き,整髪料,石鹸,洗剤,シャンプー,リンスなどの化粧料を含む。また,化粧料は液体,固体,ゲル状などの種々の形態で容器に入って製品として提供されるが,本発明においては,かかる製品も化粧品に含まれる。例えば,本発明のアレルギー性疾患の治療剤および/または予防剤を化粧品学的に許容される物質と混合した組成物を,ティッシュペーパー等の紙シートに含ませてシート状化粧品を作製することができる。
本発明は,対象(例えば患者)に対し,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体,β-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体の薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニン又はその誘導体の薬学的に許容される溶媒和物を投与する工程を含む,前記対象におけるペリオスチンを阻害する方法をも提供する。この方法の例は,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症治療,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療又は予防である。また,この方法は,シコニン等を用いる方法であってもよい。
[参考例1]
紫根(シコン)抽出液(エキス)の調製法
乾燥させた紫根(植物体)を液体窒素下,フリーザーミルで粉末にして,以下の抽出を行った。
水抽出は,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLの蒸留水を加えて懸濁し,50℃のウォーターバスで1時間抽出し,冷めない内に濾過した。そのろ液を水抽出液(H)とした。
水/DMSO抽出は,先ず,蒸留水とDMSOを1:1の容量で混合した液を水/DMSO溶液とし,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLの水/DMSO溶液を加えて懸濁し,室温で12時間撹拌しながら抽出した。その後,遠心して上澄み液を抽出液(H/D)とした。
クロロホルム及びアセトン抽出は,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLのクロロホルム及びアセトンをそれぞれ加えて懸濁し,室温で12時間撹拌しながら抽出した。その後,遠心して上澄み液をそれぞれクロロホルム抽出液(C),アセトン抽出液(A)とした。
更に,クロロホルム抽出液からクロロホルムを低温,減圧条件で蒸発させ,乾固した抽出物を得た。それを10mLの蒸留水に懸濁させ,4℃で12時間抽出し,そのろ液をクロロホルム-水画分(CH)とした。
紫根(シコン)抽出液(エキス)の調製法
乾燥させた紫根(植物体)を液体窒素下,フリーザーミルで粉末にして,以下の抽出を行った。
水抽出は,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLの蒸留水を加えて懸濁し,50℃のウォーターバスで1時間抽出し,冷めない内に濾過した。そのろ液を水抽出液(H)とした。
水/DMSO抽出は,先ず,蒸留水とDMSOを1:1の容量で混合した液を水/DMSO溶液とし,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLの水/DMSO溶液を加えて懸濁し,室温で12時間撹拌しながら抽出した。その後,遠心して上澄み液を抽出液(H/D)とした。
クロロホルム及びアセトン抽出は,0.5gの乾燥粉末を50mLの遠沈管に入れ,10mLのクロロホルム及びアセトンをそれぞれ加えて懸濁し,室温で12時間撹拌しながら抽出した。その後,遠心して上澄み液をそれぞれクロロホルム抽出液(C),アセトン抽出液(A)とした。
更に,クロロホルム抽出液からクロロホルムを低温,減圧条件で蒸発させ,乾固した抽出物を得た。それを10mLの蒸留水に懸濁させ,4℃で12時間抽出し,そのろ液をクロロホルム-水画分(CH)とした。
同意を得た3人の健常人の皮膚由組織から,それぞれ分離,培養した線維芽細胞(A,B,C)を用いて,以下の実験を行った。
予備検討1として,それぞれの線維芽細胞(15PDL以内)を0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地で懸濁し,96 well plateに3×103
cell/wellで播種し,翌日,培地交換して0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地にIL-13(Miltenyi
Biotec)を0~0.4μg/mLで添加し,3日間CO2インキュベーターで培養した。その後,培養上清中のぺリオスチンをAVISCER BIOSCIENCE,INC社製のELISAで測定した。更に,細胞のviabilityを生細胞数測定試薬SF(nakalai tesque)で測定した。この結果から,それぞれの細胞でペリオスチンを最も産生するIL-13濃度を求めた。また,細胞のviabilityの低下が無いことを確認した。
予備検討1として,それぞれの線維芽細胞(15PDL以内)を0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地で懸濁し,96 well plateに3×103
cell/wellで播種し,翌日,培地交換して0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地にIL-13(Miltenyi
Biotec)を0~0.4μg/mLで添加し,3日間CO2インキュベーターで培養した。その後,培養上清中のぺリオスチンをAVISCER BIOSCIENCE,INC社製のELISAで測定した。更に,細胞のviabilityを生細胞数測定試薬SF(nakalai tesque)で測定した。この結果から,それぞれの細胞でペリオスチンを最も産生するIL-13濃度を求めた。また,細胞のviabilityの低下が無いことを確認した。
予備検討2として,溶媒及び抽出液の細胞毒性を検討した。予備検討と同じ条件で,溶媒と抽出液を0~40,000倍希釈で添加し,細胞のviabilityを測定した。無添加条件と比較して,95%以上のviabilityを示した濃度を細胞毒性が無い濃度とした結果,1,000倍希釈までの抽出液を用いることにした。
本試験は,予備検討と同じ条件で,無添加(blank),溶媒,抽出液,IL-13溶液及びIL-13+抽出液をサンプルとして,各細胞に添加して,3日間培養後,その培養上清中のペリオスチンを測定した。結果を表1~3に示す。
線維芽細胞の種類(個体)により,発現しているペリオスチン量とIL-13刺激により誘導されたペリオスチン量に差があったが,どの個体でも全ての抽出液でIL-13により誘導されたペリオスチンの発現をほぼ100%抑制した。更に,個体によっては,無刺激で発現しているペリオスチン量を80%以上抑制した。
同意を得た健常人の皮下脂肪組織から,脂肪幹細胞(ASC)を分離培養して,以下の実験を行った。
予備検討1として,脂肪幹細胞(15PDL以内)を0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地で懸濁し,96 well plateに3×103 cell/wellで播種し,翌日,培地交換して0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地にIL-13(Miltenyi Biotec)を0~0.4μg/mLで添加し,3日間CO2インキュベーターで培養した。その後,培養上清中のぺリオスチンをAVISCER BIOSCIENCE,INC社製のELISAで測定した。更に,細胞のviabilityを生細胞数測定試薬SF(nakalai tesque)で測定した。
この結果から,それぞれの細胞でペリオスチン量を最も産生するIL-13濃度を求めた。また,細胞のviabilityの低下が無いことを確認した。
予備検討2として,溶媒及び抽出液の細胞毒性を検討した。予備検討と同じ条件で,溶媒と抽出液を0~40,000倍希釈で添加し,細胞のviabilityを測定した。
無添加条件と比較して,95%以上のviabilityを示した濃度を細胞毒性が無い濃度とした結果,1,000倍希釈までの抽出液を用いることにした。
無添加条件と比較して,95%以上のviabilityを示した濃度を細胞毒性が無い濃度とした結果,1,000倍希釈までの抽出液を用いることにした。
本試験は,予備検討と同じ条件で,無添加(blank),溶媒,抽出液,IL-13溶液及びIL-13+抽出液をサンプルとして,各細胞に添加して,3日間培養後,その培養上清中のペリオスチンを測定した。結果を表4に示す。
脂肪幹細胞では,シコン抽出液(H,D/H及びC)はIL-13で誘導したペリオスチンを27~46%抑制した。
大学から提供されたケロイド由来の線維芽細胞を用いて,以下の実験を行った。
予備検討1として,線維芽細胞を0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地で懸濁し,96 well plateに3×103
cell/wellで播種し,翌日,培地交換して0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地にIL-13(Miltenyi
Biotec)を0~0.4μg/mLで添加し,3日間CO2インキュベーターで培養した。その後,培養上清中のぺリオスチンをAVISCER BIOSCIENCE,INC社製のELISAで測定した。更に,細胞のviabilityを生細胞数測定試薬SF(nakalai tesque)で測定した。この結果から,それぞれの細胞でペリオスチン量を最も産生するIL-13濃度を求めた。また,細胞のviabilityの低下が無いことを確認した(データは未記載)。
cell/wellで播種し,翌日,培地交換して0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地にIL-13(Miltenyi
Biotec)を0~0.4μg/mLで添加し,3日間CO2インキュベーターで培養した。その後,培養上清中のぺリオスチンをAVISCER BIOSCIENCE,INC社製のELISAで測定した。更に,細胞のviabilityを生細胞数測定試薬SF(nakalai tesque)で測定した。この結果から,それぞれの細胞でペリオスチン量を最も産生するIL-13濃度を求めた。また,細胞のviabilityの低下が無いことを確認した(データは未記載)。
予備検討2として,溶媒及び抽出液の細胞毒性を検討した。予備検討と同じ条件で,溶媒と抽出液を0~40,000倍希釈で添加し,細胞のviabilityを測定した。無添加条件と比較して,95%以上のviabilityを示した濃度を細胞毒性が無い濃度とした結果,1,000倍希釈までの抽出液を用いることにした。
本試験は,予備検討と同じ条件で,無添加(blank),溶媒,抽出液,IL-13溶液及びIL-13+抽出液をサンプルとして,各細胞に添加して,3日間培養後,その培養上清中のペリオスチンを測定した。結果を表5に示す。
ケロイド由来線維芽細胞では,クロロホルム-水画分(CH)のみIL-13で誘導したペリオスチンを100%抑制し,更に無刺激で産生されたペリオスチンに対しても46%抑制した。
実験は,実施例2と同様に行った。即ち,3種類の溶媒及びそれぞれの溶媒でシコンを抽出した液を培地に添加し,ASCを3日間培養後に培地上清中のペリオスチンを測定した。
その結果は表6に示した。
その結果は表6に示した。
ASCに対して,シコン抽出液はペリオスチンの発現を促進した。しかし,実施例2の表4から,シコン抽出液にはペリオスチンの産生促進と産生抑制の相反する2つの作用が認められる。シコン抽出液のペリオスチン産生抑制は,IL-13で促進したペリオスチンに対しての効果と考えられる。
シコニン誘導体の検証1
紫根抽出液に替えて高純度のシコニン誘導体を試薬として購入し、ペリオスチン発現抑制試験に用いた。シコニン誘導体としてはシコニン(S1)(Enzo Life Science),アルカンニン(S2)(長良サイエンス),(β,β-ジメチルアクリル)シコニン(S3)(東京化成工業),(2-メチルブチリル)シコニン(S4)(東京化成工業),イソブチルシコニン(S5)(東京化成工業),デオキシシコニン(S6)(東京化成工業),(イソバレリル)シコニン(S7)(長良サイエンス)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(S8)(長良サイエンス),アセチルシコニン(S9)(長良サイエンス),α-メチル-n-ブチルシコニン(S10)(長良サイエンス)及びテラクリルシコニン(S11)(長良サイエンス)の11種類を用いて、以下の実験を行った。
各シコニン誘導体は、アセトンで10mg/mLの濃度に調製し原液とした(冷蔵保存)。次にPBS(-)で100倍希釈して冷蔵保管し、実験直前にPBS(-)希釈液を上記IMDM培地で希釈した。
シコニン誘導体の濃度は、線維芽細胞Aを用いて、予め細胞毒性を検討した結果から9,000倍から81,000倍とした。
ペリオスチン発現抑制試験として、線維芽細胞Aを0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地に懸濁し、96 well plateに3×103
cell/wellで播種し、翌日90%~100%
confluentの状態で、IL-13(0~0.4μg/mL)とシコニン誘導体を含む上記IMDM培地に交換して、実験を開始した。培養3日後に培養上清を回収し、上清中のペリオスチン濃度をELISAキットで測定した。
更に、培養上清を回収した細胞に生細胞数測定試薬SFを含む上記IMDM培地を添加、培養して1~2時間後に吸光度を測定することで、細胞のviabilityとした。
紫根抽出液に替えて高純度のシコニン誘導体を試薬として購入し、ペリオスチン発現抑制試験に用いた。シコニン誘導体としてはシコニン(S1)(Enzo Life Science),アルカンニン(S2)(長良サイエンス),(β,β-ジメチルアクリル)シコニン(S3)(東京化成工業),(2-メチルブチリル)シコニン(S4)(東京化成工業),イソブチルシコニン(S5)(東京化成工業),デオキシシコニン(S6)(東京化成工業),(イソバレリル)シコニン(S7)(長良サイエンス)、β-ヒドロキシイソバレリルシコニン(S8)(長良サイエンス),アセチルシコニン(S9)(長良サイエンス),α-メチル-n-ブチルシコニン(S10)(長良サイエンス)及びテラクリルシコニン(S11)(長良サイエンス)の11種類を用いて、以下の実験を行った。
各シコニン誘導体は、アセトンで10mg/mLの濃度に調製し原液とした(冷蔵保存)。次にPBS(-)で100倍希釈して冷蔵保管し、実験直前にPBS(-)希釈液を上記IMDM培地で希釈した。
シコニン誘導体の濃度は、線維芽細胞Aを用いて、予め細胞毒性を検討した結果から9,000倍から81,000倍とした。
ペリオスチン発現抑制試験として、線維芽細胞Aを0.5%FBSと抗生物質・抗菌剤を含むIMDM培地に懸濁し、96 well plateに3×103
cell/wellで播種し、翌日90%~100%
confluentの状態で、IL-13(0~0.4μg/mL)とシコニン誘導体を含む上記IMDM培地に交換して、実験を開始した。培養3日後に培養上清を回収し、上清中のペリオスチン濃度をELISAキットで測定した。
更に、培養上清を回収した細胞に生細胞数測定試薬SFを含む上記IMDM培地を添加、培養して1~2時間後に吸光度を測定することで、細胞のviabilityとした。
その結果、シコニン、アルカンニン,及びβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンは,IL-13存在下及び非存在下、即ち、IL-13でペリオスチンの発現を誘導した条件と自発的に発現しているペリオスチンの両方の発現を抑制した。特に、IL-13で誘導したペリオスチンの発現を強く抑制を示した(表7)。
しかし、シコニンとアルカンニンは発現抑制と共に細胞毒性も強いことから、医薬品などへの利用にはβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンが適していると判断した。
しかし、シコニンとアルカンニンは発現抑制と共に細胞毒性も強いことから、医薬品などへの利用にはβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンが適していると判断した。
各シコニン誘導体のPBS(-)希釈液を冷蔵庫で保存すると沈殿が生じることが判明したことから、実施例5を踏まえて、発現抑制の効果があったシコニン、アルカンニン,及びβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの3種類の誘導体について再現性の確認試験を実施した。その際、誘導体は試験開始直前に原液からPBS及び培地で希釈して調製した。
実験条件は実施例5と同様に実施した。
その結果を表8に示したが、IL-13存在下及び非存在下ともにペリオスチン抑制効果が確認できた。しかし、抑制効果は増大したが、細胞毒性も強くなりviabilityは低下した。
実験条件は実施例5と同様に実施した。
その結果を表8に示したが、IL-13存在下及び非存在下ともにペリオスチン抑制効果が確認できた。しかし、抑制効果は増大したが、細胞毒性も強くなりviabilityは低下した。
11種類のシコニン誘導は水には溶解せず、有機溶媒で溶解できたことは、紫根の有機溶媒抽出液に含まれるペリオスチンの発現を抑制する有効成分は、主にシコニン、アルカンニン,及びβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの3種類と考えられる。特に、細胞毒性の強さから、β-ヒドロキシイソバレリルシコニンが最も有効な成分である。
実施例6までのペリオスチン発現抑制試験は、ヒト線維芽細胞にサンプルと同時にヒトIL-13も添加し、3日後のペリオスチン発現を測定していた。今回は、先にIL-13(0.3~0.4μg/mL)を添加し、3日間培養してから、サンプルを含む培地に交換して更に3日間培養した。
このようにペリオスチンを十分に発現させた状態で、3種類のシコニン誘導体が発現を抑制するか実験した結果、3種類の誘導体は、濃度依存的にペリオスチンの発現を抑制した。しかし、S1(シコニン)とS2(アルカンニン)は抑制が強いと細胞毒性も強い相関関係があり、細胞毒性によりペリオスチンの発現が低下したと考えられる。
唯一、S8(β-ヒドロキシイソバレリルシコニン)は、細胞毒性を示さない濃度でペリオスチン発現を抑制した。
以上の結果より、β-ヒドロキシイソバレリルシコニンは、IL-13と同時でも単独でもペリオスチンの発現を抑制することから、抑制のメカニズムとして、IL-13とその受容体の結合を阻害するだけでなく、IL-13の刺激からペリオスチンを発現させるまでのシグナル伝達系を阻害する可能性を示唆している。
このようにペリオスチンを十分に発現させた状態で、3種類のシコニン誘導体が発現を抑制するか実験した結果、3種類の誘導体は、濃度依存的にペリオスチンの発現を抑制した。しかし、S1(シコニン)とS2(アルカンニン)は抑制が強いと細胞毒性も強い相関関係があり、細胞毒性によりペリオスチンの発現が低下したと考えられる。
唯一、S8(β-ヒドロキシイソバレリルシコニン)は、細胞毒性を示さない濃度でペリオスチン発現を抑制した。
以上の結果より、β-ヒドロキシイソバレリルシコニンは、IL-13と同時でも単独でもペリオスチンの発現を抑制することから、抑制のメカニズムとして、IL-13とその受容体の結合を阻害するだけでなく、IL-13の刺激からペリオスチンを発現させるまでのシグナル伝達系を阻害する可能性を示唆している。
β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの原液をPBS(-)で10,000倍に希釈し、0.7%ヒアルロン酸ナトリウムを含む試験薬を調製し、軽度のアトピー症状のある3人と症状のない2人に使用してもらった。
使用法は、風呂上がりに試験薬、1mLを症状のある首と腕に1日1回、3日連続で使用してもらい4日目に自己評価してもらった。
その結果は、表10に示したように赤みが薄くなり、皮膚のツッパリ感やザラザラ感が消えて、改善が実感できたが、就寝中の痒みは若干未だ残っていた。
使用法は、風呂上がりに試験薬、1mLを症状のある首と腕に1日1回、3日連続で使用してもらい4日目に自己評価してもらった。
その結果は、表10に示したように赤みが薄くなり、皮膚のツッパリ感やザラザラ感が消えて、改善が実感できたが、就寝中の痒みは若干未だ残っていた。
本発明は,医薬品産業及び化粧品産業の分野で利用されうる。
Claims (4)
- β-ヒドロキシイソバレリルシコニン,β-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される塩,又はβ-ヒドロキシイソバレリルシコニンの薬学的に許容される溶媒和物を有効成分として含む,ペリオスチンの阻害剤。
- 請求項1に記載の剤を含む,ペリオスチン高発現アトピー性皮膚炎の治療剤。
- 請求項1に記載の剤を含む,ペリオスチンの関与する炎症の抗炎症剤。
- 請求項1に記載の剤を含む,ケロイド又は肥厚性瘢痕の治療剤又は予防剤。
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- 2013-07-19 JP JP2013151107A patent/JP5438239B1/ja active Active
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Non-Patent Citations (7)
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ISHIDA, T. ET AL.: "Protection of Human Keratinocytes from UVB-Induced Inflammation Using Root Extract of Lithospermum erythrorhizon", BIOL. PHARM. BULL., vol. 30, no. 5, 2007, pages 928 - 934 * |
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MORIYA OKUMA: "Atopi-sei Hifuen no Ganmen Kubi, Hishin ni Taisuru Shiunko no Koka", JOURNAL OF TRADITIONAL MEDICINES, vol. 13, 1996, pages 390 - 391 * |
NAGUMO, S. ET AL.: "Inhibition of LysoPAF Acetyltransferase by the Ingredients from Lithospermum Root", NATURAL MEDICINES, vol. 55, no. 5, 2001, pages 265 - 267 * |
REI OGAWA: "The most current treatment of keloids and hypertrophic scars", JOURNAL OF CLINICAL AND EXPERIMENTAL MEDICINE, vol. 237, no. 1, 2011, pages 123 - 128 * |
YASUSHI HIRASAWA ET AL.: "Oren, Ogon, Obaku Nado kara Naru Shoyaku Seizai Oyobi Shikon, Toki Nado kara Naru Shoyaku Nanko Seizai no Atopi-sei Hifuen ni Taisuru Sayo", THE JOURNAL OF MEDICINE, vol. 64, no. 5, 2010, pages 717 - 725 * |
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