WO2013190887A1 - タングステンコンデンサの陽極体及びその製造方法 - Google Patents

タングステンコンデンサの陽極体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

 本発明は、(1)リン元素を15~3000質量ppm含むタングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体、(2)タングステン粉の成形体を焼結するコンデンサの陽極体の製造方法において、前記粉にリン源を混合して成形体を作製し、焼成により陽極体にリン元素を15~3000質量ppm含有させることを特徴とするリン元素を含有するコンデンサの陽極体の製造方法、(3)前記陽極体を有するコンデンサ素子、及び(4)前記コンデンサ素子を有するコンデンサに関する。本発明により、タングステン粉の焼結体を陽極とするコンデンサにおける、漏れ電流(LC)の放置特性を改善することができる。

Description

タングステンコンデンサの陽極体及びその製造方法
 本発明は、タングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体、その製造方法、その陽極体を用いたコンデンサ素子、及びそのコンデンサ素子を有するコンデンサに関する。
 電解コンデンサは、導電体(陽極体)を一方の電極とし、その電極の表層に形成した誘電体層とその上に設けられた他方の電極(半導体層)とで構成される。このようなコンデンサとしては、陽極酸化が可能なタンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁作用金属粉末の焼結体からなるコンデンサの陽極体を陽極酸化して、この電極の細孔内層と外表層に前記金属の酸化物からなる誘電体層を形成し、前記誘電体層上で半導体前駆体(導電性重合体用のモノマー)の重合を行って導電性高分子からなる半導体層を形成し、さらに半導体層上の所定部上に電極層を形成した電解コンデンサが提案されている。
 タングステン粉の焼結体を陽極体とし、電解化成で陽極体表面上に誘電体層を形成したコンデンサ素子は、同一粒径のタンタル粉を用いた同体積の陽極体を用い同化成電圧で得られる電解コンデンサに比較して、大きな容量を得ることができるが、大きな漏れ電流をともなうものであった。漏れ電流(LC)の問題を改良するために、タングステンと他の金属との合金を用いたコンデンサが提案検討されているが十分なものではない(特開2004-349658号公報(US6876083);特許文献1)。
特開2004-349658号公報
 タングステン焼結体からなる陽極体を有するコンデンサ(以下、「タングステンコンデンサ」と言うことがある。)は、作製直後のLC(以下、「初期LC」と言うことがある。)が大きいだけでなく、室温に放置しておくと漏れ電流値が上昇していくという性質(以下、「放置特性」と言うことがある。)を有することがわかった。このような性質はタンタルやニオブの焼結体を陽極体とする固体電解コンデンサ素子には見られない特徴である。
 従って、本発明の課題は、タングステン焼結体を陽極体とする電解コンデンサ(タングステンコンデンサ)における上記LC特性の問題を改善できる陽極体を提供することにある。
 本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、コンデンサ素子の陽極体にリン元素を特定範囲の量含有させておくと、初期LCを抑えるだけでなく、コンデンサ素子の放置特性、特にLC値の劣化を緩和できることを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、下記のコンデンサの陽極体、その製造方法、その陽極体を用いたコンデンサ素子、及びそのコンデンサ素子を有するコンデンサに関する。
[1]リン元素を15~3000質量ppm含むタングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体。
[2]さらに陽極体中にケイ素元素を7質量%以下含む前項1に記載の陽極体。
[3]ケイ素元素がケイ化タングステンとして含まれる前項2に記載の陽極体。
[4]陽極体中の酸素元素の含有量が8質量%以下である前項1~3のいずれかに記載の陽極体。
[5]陽極体中の窒素元素の含有量が0.5質量%以下である前項1~4のいずれかに記載の陽極体。
[6]陽極体中のホウ素元素の含有量が0.1質量%以下である前項1~5のいずれかに記載の陽極体。
[7]リン、ケイ素、ホウ素、酸素及び窒素以外の陽極体中の各種不純物元素の含有量がそれぞれ0.1質量%以下である前項1~6のいずれかに記載の陽極体。
[8]陽極体中に含まれるケイ素、窒素、ホウ素、酸素、リン、タンタル及びニオブ以外の不純物元素量が、各々1000質量ppm以下である前項1~7のいずれかに記載のコンデンサの陽極体。
[9]タングステン粉の成形体を焼結するコンデンサの陽極体の製造方法において、前記粉にリン源を混合して成形体を作製し、焼成により陽極体にリン元素を15~3000質量ppm含有させることを特徴とするリン元素を含有するコンデンサの陽極体の製造方法。
[10]前記リン源が、リン単体、リン酸、リン酸塩、及び有機リン化合物から選択される前項9に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[11]前記タングステン粉が、ケイ素、窒素、酸素、及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む前項9または10に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
[12]前項1~8のいずれかに記載の陽極体、または前項9~11のいずれかに記載の製造方法により得られた陽極体を有するコンデンサ素子。
[13]前項12に記載のコンデンサ素子を有するコンデンサ。
 リン元素を15~3000質量ppm含むタングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体を用いることによりタングステンコンデンサ素子のLC特性(特に、放置特性)を改善することができる。
 本発明のタングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体は、リン元素を15~3000質量ppm、好ましくは20~2100質量ppm、より好ましくは50~2000質量ppm含有する。
 陽極体に含まれるリン元素の量が15質量ppm未満であると作製したコンデンサ素子の放置特性が改善されにくい。焼結体に含まれるリン元素の量が3000質量ppmを超えると、コンデンサ素子の初期LCが小さくなりにくい。
 陽極体の製造工程中で、リン元素を陽極体中に15~3000質量ppmとなるように含有させる時期には特に制限が無いが、(1)タングステン粉にリン源を混合して成形体を作製し、これを焼結し、陽極体にリン元素を含有させる方法、及び(2)タングステン粉の成形体を焼成する炉内にリン源を存在させて陽極体にリン元素を含有させる方法が挙げられる。
 陽極体中でのリン元素の含有量が上記の範囲内となるように、(1)及び(2)の方法の任意の時期に小分けして含有させることも可能である。(1)の方法は、リン元素の収率が良く、タングステン粉に混合したリン源量にほぼ相当するリン元素を有する陽極体が得られ、陽極体中のリン元素量を調整しやすいので好ましい。
 リン源としては、単体ばかりでなくリン酸、リン酸塩、有機リン化合物等のリン元素含有化合物が挙げられる。リンに適当な溶媒を使用して溶液としてタングステン粉に混合しても良い。
 本発明の陽極体は、リン元素だけでなく、得られるコンデンサの特性に悪影響を及ぼさない程度であれば他の不純物を含んでいてもよい。特に、後述するようにコンデンサ特性をさらに改善する成分を含ませることが好ましい。
 本発明で使用するタングステン粉としては市販されているものを用いてもよい。
 また、一層好ましい粒径の小さいタングステン粉は、例えば、三酸化タングステン粉を水素雰囲気下で粉砕して得ることができ、またタングステン酸及びその塩(タングステン酸アンモニウム等)やハロゲン化タングステンを水素やナトリウム等の還元剤を使用し、還元条件を適宜選択することによって得ることができる。また、タングステン含有鉱物から直接または複数の工程を得て、還元条件を選択することによっても得ることができる。
 さらに、好ましいものとして、市販のタングステン粉を酸化剤(過酸化水素、過硫酸アンモニウムなど)を含有する水溶液中に分散させ、タングステン粉粒子表面に酸化膜を形成させ、その酸化膜をアルカリ水溶液で除去することによって細粉化したタングステン粉が挙げられる。
 本発明で使用するタングステン粉は、ケイ素、窒素、酸素及びホウ素から選択される少なくとも1種の元素を含み、特にケイ素元素が、タングステン粉の表面の少なくとも一部に、ケイ化タングステンとして存在するものが好ましい。
 タングステン粉の表面の一部をケイ化する方法としては、例えば、タングステン粉にケイ素粉をよく混合し、通常10-1Pa以下の減圧下で1100℃以上2600℃以下の温度にて加熱し反応させることにより得ることができる。この方法の場合、ケイ素粉はタングステン粒子表面より反応し、W5Si3等のケイ化タングステンが粒子表層から通常50nm以内に局在して形成される。そのため、一次粒子の中心部は導電率の高い金属のまま残り、コンデンサの陽極体を作製したとき、陽極体の等価直列抵抗を低く抑えられるので好ましい。ケイ化タングステンの含有量はケイ素の添加量により調整することができる。タングステン粉中のケイ素含有量は、7質量%以下が好ましく、0.05~7質量%がより好ましく、0.2~4質量%が特に好ましい。この範囲のケイ素含有量のタングステン粉は、よりLC特性の良好なコンデンサを与え、電解コンデンサ用粉体としてより好ましいものとなる。
 タングステン粉に窒素元素を含有させる方法の一例として、タングステン粉を窒素ガス雰囲気の減圧下(通常、1Pa以下)に350~1500℃で1分から10時間程度置く方法がある。
 窒素元素を含有させるには、タングステン粉の場合と同様の条件で、焼結体材料または焼結体に対して行ってもよい。このように、窒素を含ませる時期に限定は無いが、好ましくは、工程の早い段階で窒素元素を含ませておくとよい。これにより、粉体を空気中で取り扱う際、必要以上の酸化を防ぐことができる。
 窒素元素は、陽極体中に、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.01~0.5質量%、さらに好ましくは0.05~0.3質量%の窒素元素が残るようにしておくとよい。例えば、タングステン粉に窒素を含ませるのであれば、目標とする陽極体中の含有量に対し、同量程度から倍量を目安に窒素量を調整すればよい。すなわち、タングステン粉に含ませる窒素元素量として1質量%以下の範囲で予備試験をし、陽極体として前記好ましい含有量とすることができる。
 タングステン粉にホウ素元素を含ませる方法の一例としては、タングステン粉を、後述する造粒するときにホウ素元素やホウ素元素を有する化合物をホウ素源として置き、造粒する方法がある。得られる陽極体中の含有量が、好ましくは0.001~0.1質量%、より好ましくは0.01~0.1質量%になるようにホウ素源を添加するのが好ましい。この範囲であれば良好なLC特性が得られる。
 タングステン粉中の酸素含有量は、8質量%以下であることが好ましく、0.05~8質量%であることがより好ましく、0.08~1質量%であることがさらに好ましい。
 酸素含有量を上記範囲にする方法としては、例えば、減圧高温炉を用いて前述のようにケイ素元素及び/または窒素元素含ませる操作を行なった際、減圧高温炉からの取り出し時に、酸素を含有した窒素ガスを投入する。この時、減圧高温炉からの取り出し温度が280℃未満であると窒素よりも酸素が優先して取り込まれる。徐々にガスを投入することにより所定の酸素元素含有量にすることができる。前もってタングステン粉を所定の酸素元素含有量にしておくことにより、該粉を使用して後々のコンデンサの陽極体を作製する工程中での不規則な過度の酸化劣化を緩和することができる。酸素含有量が前記範囲内であれば、作製した電解コンデンサのLC特性をより良好に保つことができる。この工程で窒素を導入しない場合には、窒素ガスの代わりにアルゴンやヘリウムガス等の不活性ガスを使用してもよい。
 タンタルやニオブが本発明の陽極体中に含まれると、容量を低下させることがあるので陽極体中で25質量%以下に抑えることが好ましいが、LC特性を悪化させにくいので陽極リード線としては好ましく使用できる。
 より良好なLC特性を得るために、陽極体中の不純物元素の含有量は、ケイ素、窒素、ホウ素、酸素、タンタル及びニオブ以外の各種元素量が各1000質量ppm以下となるように抑えることが好ましい。
 本発明で使用するタングステン粉の形態は、造粒粉であってもよい。造粒粉は、流動性が良好で成形等の操作がしやすいので好ましい。造粒粉は、さらに、例えばニオブ粉について特開2003-213302号公報に開示されている方法と同様の方法により細孔分布を調整されたものでもよい。
 例えば、造粒粉は、未造粒のタングステン粉(以下「1次粉」と言うことがある。)に水等の液体や液状樹脂等の少なくとも1種を加えて適当な大きさの顆粒状とした後に、減圧下に加熱し、焼結して得ることもできる。取扱いのし易い造粒された顆粒が得られる減圧条件(例えば、水素等の非酸化性ガス雰囲気中、1kPa以下)や高温放置条件(例えば、1100~2600℃,0.1~100時間)は、予備実験により求めることができる。造粒後に顆粒同士の凝集が無ければ、解砕の必要は無い。
 このような造粒粉は、ふるいで分級して粒径を揃えることができる。体積平均粒径(以下、特に断りに無い限り「平均粒径」と言う。)が好ましくは50~200μm、より好ましくは100~200μmの範囲であれば、成形機のホッパーから金型にスムーズに流れるために好都合である。
 1次粉の体積平均1次粒子径を0.1~1μm、好ましくは0.1~0.3μmの範囲にしておくと、特にその造粒粉から作製した電解コンデンサの容量を大きくすることができ好ましい。
 このような造粒粉を得る場合、例えば、前記1次粒子径を調整して、造粒粉の比表面積(BET法による)が、好ましくは0.2~20m2/g、より好ましくは1.5~20m2/gになるようにすると、電解コンデンサの容量をより大きくすることができ好ましい。
 本発明では、タングステン粉の成形時に弁作用金属線や弁作用金属箔を植立させるか、焼結後に前記の線や箔を溶接固着させてコンデンサの陽極体にリードを設ける。ついで、このリンを含むタングステン陽極体の細孔表層や外表面に誘電体層を形成し、誘電体層上に半導体層を形成し、さらに半導体層上に電極層を形成してコンデンサ素子とする。
 前記誘電体層としては、例えば硝酸または酸素含有酸化物(過硫酸カリウムなど)を電解質とした電解液中で化成して得られる誘電体層が好ましい。通常、このような誘電体層を有するコンデンサは電解コンデンサとなる。
 誘電体層上に形成する半導体層としては、二酸化マンガン層や導電性高分子層が挙げられる。このうち導電性が大きい導電性高分子層が好ましい。固体電解コンデンサ素子用の導電性高分子の種類や半導体層としての形成方法は公知であるが、例えば、半導体前駆体(ピロール、チオフェン、アニリン骨格を有するモノマー化合物、及びこれら化合物の各種誘導体から選択される少なくとも1種)を複数回重合反応させて導電性高分子からなる所望厚みの半導体層を形成する。この方法により、陽極体上に誘電体層、半導体層を順次形成したものをそのままコンデンサ素子としてもよいが、好ましくは半導体層の上にコンデンサの外部引き出しリード(例えば、リードフレーム)との電気的接触をよくするために半導体層上に、カーボン層及び銀層を前記半導体層上の所定場所に順次積層した電極層を設けてコンデンサ素子とする。通常、前記半導体層を形成有するコンデンサは固体電解コンデンサとなる。
 以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
 本発明の実施例及び比較例において平均粒径測定及び元素分析は以下の方法を用いた。
 粒径は、マイクロトラック社製HRA9320-X100を用い、粒度分布をレーザー回折散乱法で測定し、その累積体積%が、50体積%に相当する粒径値(D50;μm)を平均粒径とした。
 元素量は、ICPS-8000E(島津製作所製)を用いICP発光分析で測定した。
実施例1~9及び比較例1~5:
 市販の平均粒径0.6μmのタングステン粉を過硫酸アンモニウムと共に水中で撹拌酸化して粉表層に酸化層を形成した後に1規定の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させて酸化層を除去して得た平均粒径0.4μmのタングステン粉に表1に示したリン化合物を混合し、125℃減圧下に溶媒の水を除いた後に1450℃で30分真空加熱した。室温に取り出し塊状物をハンマーミルで解砕して平均粒径95μm(26~136μm)の造粒粉を得た。
 造粒粉を精研製TAP2型成形器で成形した。0.29mmφのタンタル線を植立させ陽極リードとした。この成形体を1530℃で20分真空焼結し、大きさ1.0×1.5×4.4mm(1.0×1.5mm面にリード線が植立)の焼結体(陽極体)を各例500個得た。リード線を除いた陽極体の質量は、61±3mgであった。陽極体中のリン元素濃度を表1に併記した。
 焼結体を、化成液(3質量%の過硫酸カリウム水溶液)中で、焼結体のリード線を陽極に、別途設けた電極を陰極として、50℃、13V6時間化成した。水洗、エタノール洗浄、190℃30分乾燥してリード線の一部と焼結体に誘電体層を形成した。
 次に、化成済み陽極体を10質量%エチレンジオキシチオフェンエタノール溶液に浸漬して引き上げ、別途用意した10質量%トルエンスルフォン酸鉄水溶液に浸漬して60℃で反応させることを3回繰り返した。さらに、10質量%エチレンジオキシチオフェンモノマーエタノール溶液に陽極体を浸漬した後に、別途用意した過飽和のエチレンジオキシチオフェンと3質量%のアントラキノンスルフォン酸を溶解した水70質量部エチレングリコール30質量部の溶液に漬け、60μA/陽極体1個の電流値で室温60分電解重合した。液から引き上げ水洗、エタノール洗浄、80℃乾燥後、前記化成液で9V15分後化成を行った。前記モノマーエタノール溶液含浸、電解重合、後化成の一連の操作を全6回繰り返し半導体層を形成した。この時の2回~3回の電解重合は、70μA/陽極体1個の電流値で、4回~6回は80μA/陽極体1個の電流値で行った。
 引き続き、半導体層上のリード線が植立している面を除いてカーボン層及び銀ペーストの固化による銀層を順次積層し、固体電解コンデンサ素子を各例128個作製した。
 なお、実施例6~9と比較例5の陽極体中には、リン以外に窒素元素が40~751質量ppm(実施例6:40質量ppm、実施例7:81質量ppm、実施例8:375質量ppm、実施例9:593質量ppm、比較例5:751質量ppm)含まれていた。
実施例10:
 実施例3でリン酸と同時にホウ酸を加えた以外は実施例3と同様にしてタングステン造粒粉を作製し、その後実施例3と同様にして固体電解コンデンサ素子を作製した。タングステン造粒粉には、リン以外にホウ素が529質量ppm含まれていた。
実施例11:
 実施例3でハンマーミルで解砕物を室温から取り出す以前の室温への降温途中の60℃の時に、酸素濃度を2000体積ppmに調整混合したアルゴンガスを投入して塊状物を酸化させた後に室温へ降温した以外は実施例3と同様にしてタングステン造粒粉を作製し、その後実施例3と同様にして固体電解コンデンサ素子を作製した。タングステン造粒粉には、リン以外に酸素が3600質量ppm含まれていた。また、ICP発光分析により、タングステン、リン、酸素以外の不純物金属元素の濃度は、各々1000質量ppm以下であることを確認した。
実施例12~13:
 実施例3でリン酸を加えて得たタングステン粉80質量部に参考例1及び参考例2のタンタル粉20質量%を良く混合してタングステンとタンタルの組成物粉を作製し、実施例1と同様にして各固体電解コンデンサ素子を作製し、放置特性を測定した。
参考例1~2:
 それぞれ実施例4及び比較例1でタングステン粉の代わりにフッ化タンタル酸カリウムをナトリウム還元して得た平均粒径0.4μmのタンタル粉を使用し、仮焼温度を1240℃、焼結温度を1360℃として粉のみの陽極体質量を40±2mgとした以外はそれぞれ実施例4及び比較例1と同様にしてタンタル固体電解コンデンサ素子を各例128個作製した。
 実施例1~9,比較例1~5及び参考例1~2で作製した固体電解コンデンサ素子の容量とLC値、並びに室温で30日間放置した後に測定したLC値を表1に併記した。なお、容量はアジレント社製のLCRメーターで測定した100℃5分乾燥直後の120Hz、バイアス2.5Vの値であり、LC値は印加電圧2.5Vで印加30秒後に測定した値である。なお、タングステン造粒粉中のリンとホウ素濃度はICP発光分析から求めた値であり、窒素量と酸素量はLECO分析から求めた値である。容量及びLC値は、各例任意の40個の平均値である。リン、ホウ素、酸素及び窒素の分析値は各例2個の平均値である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 実施例と比較例を比較すると、15~3000質量ppmのリンを含有することにより初期LC値及び放置後のLC値の上昇が大きく緩和されることがわかる。その緩和量は、リン濃度が50~2000質量ppmで特に好ましいことがわかる。また、陽極体がタンタルの参考例の場合、リンの効果は無く、タンタル固体電解コンデンサ素子では、放置特性の劣化がほとんど起こらないことがわかる。
 さらに、リンを混合したタングステン粉にタンタル粉を混合して造粒粉とし陽極体を作製した場合(実施例12~13)、該陽極体を使用した固体電解コンデンサ素子の放置特性は、LC値の上昇が1.1~1.2倍に抑えられることがわかる。
 固体電解コンデンサ素子の陽極体として使用するタングステン粉の焼結体にリン元素を15~3000ppm含有させることにより、タングステンコンデンサ素子の放置特性(LC値の劣化)が著しく改善され、タングステンコンデンサ素子を用いた高容量の固体電解コンデンサを低コストで実現できる。

Claims (13)

  1.  リン元素を15~3000質量ppm含むタングステン焼結体からなるコンデンサの陽極体。
  2.  さらに陽極体中にケイ素元素を7質量%以下含む請求項1に記載の陽極体。
  3.  ケイ素元素がケイ化タングステンとして含まれる請求項2に記載の陽極体。
  4.  陽極体中の酸素元素の含有量が8質量%以下である請求項1~3のいずれかに記載の陽極体。
  5.  陽極体中の窒素元素の含有量が0.5質量%以下である請求項1~4のいずれかに記載の陽極体。
  6.  陽極体中のホウ素元素の含有量が0.1質量%以下である請求項1~5のいずれかに記載の陽極体。
  7.  リン、ケイ素、ホウ素、酸素及び窒素以外の陽極体中の各種不純物元素の含有量がそれぞれ0.1質量%以下である請求項1~6のいずれかに記載の陽極体。
  8.  陽極体中に含まれるケイ素、窒素、ホウ素、酸素、リン、タンタル及びニオブ以外の不純物元素量が、各々1000質量ppm以下である請求項1~7のいずれかに記載のコンデンサの陽極体。
  9.  タングステン粉の成形体を焼結するコンデンサの陽極体の製造方法において、前記粉にリン源を混合して成形体を作製し、焼成により陽極体にリン元素を15~3000質量ppm含有させることを特徴とするリン元素を含有するコンデンサの陽極体の製造方法。
  10.  前記リン源が、リン単体、リン酸、リン酸塩、及び有機リン化合物から選択される請求項9に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  11.  前記タングステン粉が、ケイ素、窒素、酸素、及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む請求項9または10に記載のコンデンサの陽極体の製造方法。
  12.  請求項1~8のいずれかに記載の陽極体、または請求項9~11のいずれかに記載の製造方法により得られた陽極体を有するコンデンサ素子。
  13.  請求項12に記載のコンデンサ素子を有するコンデンサ。
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