WO2013180096A1

WO2013180096A1 - スキンパック包装体及びその製造方法

Info

Publication number: WO2013180096A1
Application number: PCT/JP2013/064712
Authority: WO
Inventors: 勝人広瀬; 竹尾　薫; 吉田　寛
Original assignee: 株式会社フジシールインターナショナル
Priority date: 2012-05-29
Filing date: 2013-05-28
Publication date: 2013-12-05

Abstract

　本発明のスキンパック包装体は、台紙と、転動胴部を有する易転動物品と、スキンパックフィルムと、を有し、前記易転動物品が台紙とスキンパックフィルムの間に保持されている。前記台紙には、少なくとも１つの切断線が形成されている。前記切断線は、両端部を有し、且つその両端部から一方側に膨らんだ平面視形状に形成されている。さらに、前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、転動胴部の台紙投影形状に重なっている。

Description

スキンパック包装体及びその製造方法

　本発明は、スキンパックフィルムと台紙の間で易転動物品が保持されたスキンパック包装体及びその製造方法に関する。

　スキンパック包装体は、台紙と、台紙の表面に載せられた被包装物と、その被包装物を含んで台紙の表面に接着されたスキンパックフィルムと、からなる。かかるスキンパック包装体は、厚紙製の台紙の表面に被包装物を載せ、その上から軟化させたスキンパックフィルムを被せ、台紙の裏面側からスキンパックフィルムを吸引することにより製造できる（特許文献１）。スキンパックフィルムを用いれば、コンパクト且つ安価に被包装物を包装できる。
　しかしながら、スキンパックフィルムは伸び易くて切れにくいフィルムであるため、スキンパック包装体は、手では容易に開封できないという問題点がある。さらに、スキンパック包装体を製造する際、台紙の所定位置に載せた被包装物が位置ずれするという問題点もある。特に、被包装物が、水平面に対して転動し得る形状を有する易転動物品である場合、台紙の所定位置に被包装物を載せても、スキンパックフィルムを台紙に接着する際に、その位置から簡単にずれてしまう。

　特許文献２には、台紙に設けた切込み部を支持片として起立させ、この起立させた一対の支持片の間にて乾電池等の被包装物を挟持した状態でスキンパックフィルムを接着させた包装体が開示されている。
　また、特許文献３には、台紙に打ち抜き穴を穿設し、その穴に被包装物を嵌め入れることによって転動を防止し、スキンパックフィルムを被せることによってスキンパック包装体を製造することが開示されている。

　特許文献２のスキンパック包装体においては、支持片の間に被包装物を挟持しているので、スキンパックフィルムを接着する際に、被包装物の位置ずれを防止できる。しかしながら、特許文献２のスキンパック包装体は、その台紙の面内に、支持片の形状に対応する開口部が存在するので、その開口部から異物が入り込んで被包装物が汚染されることがある。
　また、特許文献３の方法にあっては、被包装物の形状に適合するような穴を台紙に形成しなければならない。このため、被包装物の形状に応じた穴を有する台紙を準備しなければならない。つまり、異なる被包装物ごとに台紙を準備する必要があり、多数の台紙を製造しなければならない。さらに、この方法によって得られたスキンパック包装体の裏面側においては、台紙の穴から被包装物が露出する。このため、前記得られたスキンパックフィルムは、封緘性が不十分である上、その外観も悪い。

実開昭６２－７６１６５号公報実開昭６０－８４５５１号公報特開昭５８－８２８１１号公報

　本発明の第１の目的は、製造時には被包装物を台紙の所定位置に保持でき、開封し易いだけでなく、封緘性にも優れたスキンパック包装体を提供することである。
　本発明の第２の目的は、簡易に被包装物を台紙の所定位置に保持でき、封緘性に優れたスキンパック包装体の製造方法を提供することである。

　本発明の第１のスキンパック包装体は、台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持され且つ転動胴部を有する易転動物品と、を有し、前記台紙には、少なくとも１つの切断線が形成されており、前記切断線が、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成され、前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている。

　本発明の好ましいスキンパック包装体は、前記台紙には、前記仮想直線上の全部又は一部に略沿って、折り罫線が形成されている。
　本発明の好ましいスキンパック包装体は、前記切断線が、前記転動軸を台紙に投影した直線を基準にして、その直線に略直交する方向の第１側と第２側にそれぞれ設けられている。例えば、前記第１側の切断線と第２側の切断線は、前記転動軸を台紙に投影した直線に対して線対称に形成される。

　本発明の第２のスキンパック包装体は、台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持され且つ転動胴部を有する易転動物品と、を有し、前記台紙には、少なくとも１つの切断線が形成されており、前記切断線が、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線と平行な方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成され、前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている。

　本発明の第３のスキンパック包装体は、台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持された少なくとも２つの被包装物と、を有し、前記被包装物が、転動胴部を有する易転動物品と難転動物品とを含み、前記易転動物品の転動胴部と難転動物品が接するように、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の第１側に難転動物品が配置されており、前記台紙には、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状を有する切断線が形成されており、前記切断線が、前記転動軸を台紙に投影した直線を基準にして前記直線に略直交する方向の第２側に配置され、前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている。
　本発明の好ましいスキンパック包装体は、前記切断線が、前記転動胴部の台紙投影形状の、転動軸方向の一方側の辺に沿う部分又はその辺の外近傍に延びる部分を有する。

　本発明の別の曲面によれば、スキンパック包装体の製造方法を提供する。
　この製造方法は、可撓性を有する平板状の台紙を曲げることにより、底部とその底部の両側から上方に立ち上がる両側部とを有する凹所を形成する曲げ工程と、前記凹所内に被包装物を載置する載置工程と、前記被包装物を含んで前記台紙の表面側に、スキンパックフィルムを被せるパック工程と、前記台紙の裏面側から吸引することにより、台紙を略平板状に伸張させつつ前記スキンパックフィルムを台紙の表面に接着させる吸引工程と、を有する。
　本発明の好ましい製造方法は、載置工程において、凹所内に被包装物を載置した後、前記上方に立ち上がる側部の表面と水平面との成す角が鈍角となる。
　本発明の好ましい製造方法は、前記曲げ工程において、前記凹所を、台紙の第１辺からその辺に対向する第２辺に延びる長状に形成すると共に、前記長状の凹所を、台紙の第３辺からその辺に対向する第４辺までの間に、間隔を開けて複数形成し、前記載置工程において、前記各凹所内に１つ又は２つ以上の被包装物を載置する。

　本発明のスキンパック包装体は、被包装物の封緘性に優れている一方で、開封し易いという特徴を有する。さらに、本発明のスキンパック包装体は、被包装物を台紙の所定位置に保持できるので、簡易に製造できる。
　また、本発明の製造方法によれば、被包装物が台紙の所定位置に保持されたスキンパック包装体を比較的簡易に製造できる。さらに、本発明の製造方法によれば、封緘性に優れ、外観も良好なスキンパック包装体を得ることができる。

第１実施形態のスキンパック包装体の正面図。正面図は、台紙の表面側から見た図である（以下、図面の簡単な説明において同じ）。同スキンパック包装体の背面図。背面図は、台紙の裏面側から見た図である（以下、図面の簡単な説明において同じ）。図１のＩＩＩ－ＩＩＩ線で切断した断面図。図１のＩＶ－ＩＶ線で切断した断面図。図１のＶ－Ｖ線で切断した断面図。台紙の切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した拡大背面図。スキンパック包装体を開封して被包装物を取り出すときの参考断面図。第１実施形態のスキンパック包装体の製造時に使用される台紙の正面図。同台紙の一部を折り曲げて保持凹部を形成した後の台紙の正面図。図９のＸ－Ｘ線で切断した断面図。同台紙の保持凹部に易転動物品を載置した状態の正面図。図１１のＸＩＩ－ＸＩＩ線で切断し拡大した断面図。スキンパックフィルムを加熱する際の参考側面図。被包装物を載置した台紙の表面に軟化させたスキンパックフィルムを被せた状態の正面図。図１４のＸＶ－ＸＶ線で切断した断面図。スキンパックフィルムを吸引してこれを台紙に接着させることにより得られる連続体の断面図。同連続体から個々のスキンパック包装体を切り取るときの正面図。第１変形例のスキンパック包装体において、台紙の切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した拡大背面図。第１変形例のスキンパック包装体の製造時に、台紙の保持凹部に易転動物品を載置した状態の断面図。第１変形例の他例に係るスキンパック包装体において、台紙の切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した拡大背面図。第１変形例の他例のスキンパック包装体の製造時に、台紙の保持凹部に易転動物品を載置した状態の断面図。第２変形例に係るスキンパック包装体において、台紙の切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した拡大背面図。第２変形例のスキンパック包装体の製造時に、台紙の保持凹部に易転動物品を載置した状態の断面図。第３変形例のスキンパック包装体において、様々な平面視形状を有する切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した背面図。第４変形例のスキンパック包装体において、様々な平面視形状を有する切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した背面図。第５変形例のスキンパック包装体の正面図。同スキンパック包装体の背面図。図２６のＸＸＶＩＩＩ－ＸＸＶＩＩＩ線で切断した断面図。第５変形例の台紙の切断線と易転動物品の位置関係を分かりやすく示した拡大背面図。同台紙の一部を折り曲げて保持凹部を形成した後の台紙の正面図。図３０のＸＸＸＩ－ＸＸＸＩ線で切断した断面図。同台紙の保持凹部に易転動物品を載置した状態の正面図。図３２のＸＸＸＩＩＩ－ＸＸＸＩＩＩ線で切断した拡大断面図。第６変形例のスキンパック包装体の正面図。同スキンパック包装体の背面図。図３４のＸＸＸＶＩ－ＸＸＸＶＩ線で切断した断面図。第６変形例のスキンパック包装体の製造時に、台紙に難転動物品と易転動物品を載置した状態の断面図。第２実施形態のスキンパック包装体の正面図。同スキンパック包装体の左側面図。図３８のＸＬ－ＸＬ線で切断した断面図。第２実施形態の製造方法において使用される、曲げ加工前の台紙の正面図。同台紙を曲げて凹所を形成した後の台紙の正面図。同凹所を形成した後の台紙の底面図（図４２の矢印ＸＬＩＩＩ方向から見た図）。同台紙の凹所に被包装物を載置した状態の正面図。図４４のＸＬＶ－ＸＬＶ線で切断し拡大した断面図。図４６（ａ）は、スキンパックフィルムを加熱する際の参考底面図、図４６（ｂ）は、凹所に被包装物を載置した台紙の表面に軟化させたスキンパックフィルムを被せた状態の正面図。同軟化させたスキンパックフィルムを被せた状態の断面図（図４６（ｂ）のＸＬＶＩＩ－ＸＬＶＩＩ線断面図）。曲げられていた台紙が平板状となり且つスキンパックフィルムが台紙に接着している連続体の正面図。同連続体の断面図（図４８のＸＬＩＸ－ＸＬＩＸ線断面図）。同連続体から個々のスキンパック包装体を切り取るときの正面図。第１変形例の製造方法において使用される、曲げ加工前の台紙の正面図。同台紙を曲げて凹所を形成した後の台紙の底面図。同台紙に軟化させたスキンパックフィルムを被せた状態の断面図。第２変形例の製造方法において使用される、凹所を形成した後の１つの台紙の底面図。同第２変形例において使用される、凹所を形成した後の他の台紙の底面図。第３変形例の製造方法において使用される、凹所を形成した後の台紙の底面図。第４変形例の製造方法において使用される、凹所を形成した後の台紙の底面図。第５変形例の製造方法において使用される、凹所を形成した後の他の台紙の底面図。第６変形例の製造方法において使用される、曲げ加工前の台紙の平面図。同台紙を曲げて凹所を形成した後の底面図。同台紙の凹所に被包装物を載置した状態の正面図。図６１のＬＸＩＩ－ＬＸＩＩ線で切断し拡大した断面図。図６１のＬＸＩＩＩ－ＬＸＩＩＩ線で切断し拡大した断面図。

　以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
　各部の用語の前に、「第１」、「第２」などを付す場合があるが、これらの語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣や順序などを意味しない。ある部材の「表面」は、スキンパック包装体を図１に示す正面（スキンパックフィルムの面を直視する方向）から見たときに、見る者に近い側にある面を指し、ある部材の「裏面」は、その反対側の面を指す。平面視の形状は、台紙の表面又は裏面に対して鉛直方向から見たときの形状である。また、「ＰＰＰ～ＱＱＱ」という記載は、「ＰＰＰ以上ＱＱＱ以下」を意味する。本発明において、「台紙」は、スキンパックと協働して被包装物を保持する部材である。台紙という用語は、「台紙が紙製である」という限定的な意味を有するわけではない。各図の具体的な寸法及び縮尺比は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。

［第１実施形態のスキンパック包装体］
　図１乃至図６において、第１実施形態のスキンパック包装体１１は、台紙２と、被包装物である易転動物品３１と、台紙２と協働して易転動物品３１を保持するスキンパックフィルム４と、を有する。台紙２の面内には、少なくとも１つの切断線５１が形成されている。前記切断線５１は、台紙２の厚み方向に貫通し且つ台紙２を面内で分断する切込み線である。台紙２は、平板状である。スキンパック包装体１１を構成するスキンパックフィルム４は、易転動物品３１に被さり且つ台紙２に接着していない部分と、前記易転動物品３１に被さらず且つ切断線５１が形成された範囲を含んで前記台紙２に接着している部分と、を有する。

　具体的には、スキンパックフィルム４の裏面は、易転動物品３１が介在する部分において易転動物品３１にほぼ密着しており、その部分においては台紙２に接着しておらず、一方、易転動物品３１が介在しない部分において台紙２に接着している。ただし、スキンパックフィルム４の性質上、スキンパックフィルム４は、易転動物品３１の全体に密着しているわけではなく、台紙２に面している部分を除く易転動物品３１の外形に沿ってほぼ密着している。ただし、易転動物品３１の形状によっては、前記易転動物品３１の一部分からスキンパックフィルム４が離れる場合もある。図示例のスキンパック包装体１１は、スキンパックフィルム４と台紙２によって易転動物品３１を隙間無く密封包装したものである。易転動物品３１は、台紙２のほぼ中央部に配置されていてもよいし、或いは、台紙２の何れかの辺側に寄って配置されていてもよい。さらに、１つのスキンパック包装体１１に、複数の易転動物品３１が包装されていてもよい。

＜易転動物品＞
　易転動物品３１は、水平面に対して転動し得る転動胴部を有する物品である。易転動物品３１は、例えば、平坦面を有するアクリル板を水平面に対して１０度傾けて配置し、この傾斜したアクリル板の平坦面の傾斜上側から傾斜下側に１周以上回転しながら転動する物品をいう。転動胴部は、その重心を通る軸を中心にして転動する転動周面を有する。前記転動胴部の転動時の回転中心軸（重心を通る軸）を、転動軸という。易転動物品３１は、代表的には、転動胴部を水平面に載せて転がしたときに、転動軸と水平面の長さが一定である転動胴部を有する物品が挙げられる。このような易転動物品３１としては、円柱状の転動胴部を有する物品；円錐台状の転動胴部を有する物品；略瓢箪形状の転動胴部を有する物品；円柱状又は円錐台状の転動胴部の天面及び／又は底面から、その天面又は底面よりも小さい凸部が突設されている物品；円錐状の転動物品の底面から、その底面よりも小さい凸部が突設されている物品；などが例示できる。このような物品の種類としては、特に限定されず、化粧品、生活雑貨、文房具、医薬部外品、医薬品などが挙げられる。図示例の易転動物品３１は、円柱状の転動胴部を主要部とする。つまり、図示例の易転動物品３１は、その外形が円柱状である。この転動胴部（易転動物品３１）の天面３１１は、その易転動物品３１の転動軸方向一方側の面であり、転動胴部の底面３１２は、転動軸方向他方側の面である。この易転動物品３１は、円柱状の転動周面が水平面上を転がって動く。

＜スキンパックフィルム＞
　スキンパックフィルム４は、台紙２の表面に強固に接着可能なフィルムであることを条件として、従来公知のフィルムを用いることができる。スキンパックフィルム４は、通常、無色透明又は有色透明の単層又は複層の樹脂フィルムが用いられる。なお、フィルムは、一般にシートと呼ばれるものを含む。スキンパックフィルム４の厚みは、特に限定されず、例えば、３０μｍ～３００μｍ、好ましくは、６０μｍ～２００μｍである。前記スキンパックフィルム４の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン－酢酸ビニル共重合体、軟質塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂；ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂；プロピレン－エチレン共重合体、エチレン－酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン－（メタ）アクリル酸共重合体、エチレン－（メタ）アクリル酸－不飽和カルボン酸エステル共重合体などの各種共重合体；が挙げられる。なかでも、ポリエチレン系樹脂が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、２種以上混合して用いてもよい。前記ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン６９、ナイロン６１０、ナイロン６１２、ナイロン１１、ナイロン１２などの脂肪族ポリアミド重合体；ナイロン６－６６（６－６６は、ナイロン６とナイロン６６の共重合体を表す。以下、同様に表記する）、ナイロン６－１０、ナイロン６－１２、ナイロン６－６９、ナイロン６－６１０、ナイロン６６－６９などの脂肪族ポリアミド共重合体；などが挙げられる。なかでも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、ナイロン６－６６、ナイロン６－１０又はナイロン６－１２がより好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、２種以上混合して用いてもよい。前記ポリエステル系樹脂としては、代表的には、ポリ（エチレンテレフタレート）、ポリ（ブチレンテレフタレート）、ポリ（エチレンテレフタレート／イソフタレート）、ポリ（エチレングリコール／シクロへキサンジメタノール／テレフタレート）などの重合体；前記重合体と他の共重合成分が重合された樹脂；などが挙げられる。前記他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオールなどのジオール類；イソフタル類、ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス（フェニルカルボン酸）、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、サバチン酸、ジエチルコハク酸などのジカルボン酸；などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、２種以上混合して用いてもよい。

　前記スキンパックフィルム４としては、融点の異なる樹脂を少なくとも二層以上有する複層構成のフィルムを用いることが好ましい。特に、高融点の樹脂（即ち、耐熱性を有する樹脂）を中間層とし、この中間層の樹脂よりも低融点の樹脂を表層及び裏層とする二種三層で構成されたフィルムを用いることがより好ましい。前記二種三層で構成されたフィルムは、台紙２への接着に寄与する低融点の樹脂よりも耐熱性を有する樹脂（高融点の樹脂）が中間層として積層されている。かかる二種三層で構成されたフィルムをスキンパックフィルム４として用いると、これを高温に加熱することができる。従って、例えば、前記スキンパックフィルム４を台紙２に接着させる工程を、外気下で行ったとしても、スキンパックフィルム４を適切な温度に加熱できるので、前記接着工程の作業効率を向上できる。さらに、前記二種三層で構成されたフィルムは、加熱後にカールし難いので、これをスキンパックフィルム４として用いることにより、良好な仕上がりのスキンパック包装体１１を得ることができる。二種三層で構成されたフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン系樹脂（低融点の樹脂）／ポリオレフィン系樹脂（高融点の樹脂）／ポリオレフィン系樹脂（低融点の樹脂）、ポリオレフィン系樹脂／ポリアミド系樹脂／ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂／ポリエステル系樹脂／ポリオレフィン系樹脂などが挙げられ、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂／ポリアミド系樹脂／ポリオレフィン系樹脂である。なかでも、前記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン又は低密度ポリエチレンのいずれかであり、且つ、前記ポリアミド系樹脂が脂肪族ポリアミド共重合体である、二種三層で構成されたフィルムを、スキンパックフィルム４として用いることが特に好ましい。
　スキンパックフィルム４を台紙２に接着させる際には、後述するように、スキンパックフィルム４は、被包装物の形状に沿って伸展する。このため、スキンパックフィルム４は、前記伸展可能な程度に軟化させることができるフィルムが用いられる。前記のような材質のスキンパックフィルム４は、通常、加熱することによって軟化させることができる。性質上、室温で十分に軟らかいスキンパックフィルム４を用いてもよく、そのようなフィルムを用いる場合には、前記加熱は省略される。

＜台紙＞
　台紙２は、可撓性を有する平板状の枚葉体である。台紙２としては、例えば、その厚み方向に通気性を有する枚葉体が用いられる。台紙２の形成材料は、特に限定されず、厚紙、普通紙、コート紙、不織布、合成紙、合成樹脂シート、発泡樹脂シートなどの単層シート、及びこれらの２以上のシートが積層接着された積層シートなどを用いることができる。なお、シートは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む。前記合成樹脂シートや発泡樹脂シートの材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂などが挙げられる。

　台紙２が普通紙やコート紙などの紙又は不織布で形成されている場合、その目付量は、例えば、２０ｇ／ｍ^２～６００ｇ／ｍ^２であり、好ましくは、１００ｇ／ｍ^２～５００ｇ／ｍ^２である。台紙２が合成紙、合成樹脂シート又は発泡樹脂シートで形成されている場合、その厚みは、例えば、８０μｍ～８００μｍであり、好ましくは、１００μｍ～５００μｍである。台紙２の目付量又は厚みが小さすぎると、スキンパック包装体１１の製造時に台紙２の一部を曲げて保持凹部を形成しても、その保持凹部の形状を台紙自身が維持できないおそれがある。他方、台紙２の目付量又は厚みが大きすぎると、材料コストが高くなる。厚紙、普通紙、コート紙若しくは不織布又はこれらの積層体からなる台紙２は、その材質上、厚み方向に通気性を有する。前記厚み方向に通気性を有するとは、台紙２の裏面から空気を吸引したときに、台紙２の表面側から裏面側に空気が移動しうることをいう。一方、合成紙、合成樹脂シート若しくは発泡樹脂シート又はこれらの積層体からなる台紙２は、その材質上、厚み方向に通気性を有さない場合が多い。このような形成材料を用いる場合には、台紙２の面内に、厚み方向に貫通する貫通孔を複数形成しておくことが好ましい。このように複数の貫通孔を台紙２全体に渡って形成しておくことにより、台紙２の面全体から空気を吸引できる。前記貫通孔としては、肉眼で視認できないほどの微細な孔、肉眼で視認できる比較的小さな孔、又は、周知のミシン目線などが挙げられる。なお、前記厚紙などのように、形成材料自体が厚み方向に通気性を有する台紙２においても、必要に応じて、前記貫通孔を形成してもよい。もっとも、台紙２に切断線５１が形成されている本発明のスキンパック包装体１１にあっては、切断線５１の形成により生じている切断端面間において空気が通過し得る。このため、本発明において、材質的に通気性を有さない台紙２を用いる場合であっても、前記貫通孔を形成しなければならないわけではない。

　また、台紙２の表面には、スキンパックフィルム４を接着させるために、熱によって接着性が発現する接着剤又はヒートシール性樹脂（図示せず）が塗工されている。ただし、台紙２の表面に自己接着し得る材質からなるスキンパックフィルム４を用いた場合、又は、台紙２の表面に接着する接着剤が塗布されたスキンパックフィルム４を用いた場合には、前記台紙２の表面に接着剤などが塗布されていなくてもよい。前記接着剤としては、代表的には、感熱接着剤が挙げられる。さらに、台紙２の表面及び／又は裏面には、必要に応じて、所望のデザインが施されている。

＜切断線＞
　台紙２には、本発明の特徴部分である、切断線５１が形成されている。切断線５１は、少なくとも１つ形成される。本実施形態では、切断線は、２つ形成されている。以下、一方の切断線を、「第１切断線５１」といい、他方の切断線を、「第２切断線５２」といい、１つ又は２つ以上の切断線を総括して「切断線５１」という。台紙２に切断線５１が形成されていることによって、平板状の台紙２の面内には、それぞれの切断線５１を境界にして２つの切断端面が向かい合っている。この２つの切断端面同士は、接している又は近接している。前記近接は、２つの切断端面間の間隔が１ｍｍ以下であり、好ましくは０．５ｍｍ以下である。前記２つの切断端面の間隔が離れすぎていると、被包装物の封緘性が低下する。前記２つの切断端面が接する又は近接していれば、切断端面間からスキンパックフィルム４の裏面側に異物が侵入することを防止できる。前記２つの切断端面の間隔は、切断線５１の幅に相当する。

　第１切断線５１の全体の平面視形状は、両端部５１１，５１２を有する非直線状に形成されている。第２切断線５２の全体の平面視形状も、両端部５２１，５２２を有する非直線状に形成されている。前記両端部は、切断線の一端部と切断線の他端部を合わせた表現である。図６に示すように、非直線状の第１切断線５１は、その両端部５１１，５１２を結んだ仮想直線Ｍよりも、転動胴部の転動軸を台紙２に投影した直線Ｌに略直交する方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成されている。非直線状の第２切断線５２は、その両端部５２１，５２２を結んだ仮想直線Ｍよりも、転動胴部の転動軸を台紙２に投影した直線Ｌに略直交する方向の他方側に膨らんだ平面視形状に形成されている。従って、第１切断線５１と第２切断線５２の各平面視形状は、相反する側に膨らんだ形状をしている。第１切断線５１の両端部５１１，５１２を結んだ仮想直線Ｍ及び第２切断線５２の両端部５２１，５２２を結んだ仮想直線Ｍは、何れも転動軸を台紙２に投影した直線Ｌと平行である。なお、前記転動軸を台紙２に投影した直線Ｌは、実際には存在しないが、易転動物品を台紙の表面に置いた状態で、易転動物品の転動軸を台紙に投影したときに観念される直線である。以下、前記転動軸を台紙２に投影した直線Ｌを、「投影直線Ｌ」という。前記仮想直線Ｍは、実際には存在しないが、切断線の両端部を直線で結んで観念される線である。図６において、投影直線Ｌを二点鎖線で示している（以下、他の図についても同様）。また、前記投影直線Ｌに略直交する方向は、前記投影直線Ｌと略直交し且つ台紙２の表面と平行な方向である。以下、前記投影直線Ｌに略直交する方向を、「幅方向」という。

　前記切断線５１は、前記仮想直線Ｍと切断線５１とによって囲われる領域の全部又一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なるように、形成されている。本実施形態では、第１切断線５１は、図６に示すように、仮想直線Ｍと第１切断線５１とによって囲われる領域の一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように形成されている。第２切断線５２も同様に、仮想直線Ｍと第２切断線５２とによって囲われる領域の一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように形成されている。以下、仮想直線Ｍと切断線とによって囲われる領域を、「囲繞領域」という。前記台紙投影形状は、易転動物品を台紙の表面に置いた状態で、台紙の表面に対して鉛直方向から平行光線を当てたときに、台紙の表面に映る影形状である。例えば、易転動物品３１の転動胴部が円柱状である場合、その台紙投影形状は長方形状又は正方形状であり、転動胴部が円錐台状である場合、その台紙投影形状は台形状である。図６において、転動胴部の台紙投影形状を網掛けで示す（以下、他の図についても同様に、網掛けは、台紙投影形状を表す）。また、図６において、第１切断線５１及び第２切断線５２のそれぞれの囲繞領域を、無数のドットで示す。

　前記第１切断線５１は、前記投影直線Ｌを基準にして、台紙２の幅方向の一方側（第１側）の領域に設けられ、第２切断線５２は、台紙２の幅方向の他方側（第２側）の領域に設けられている。第１切断線５１と第２切断線５２は、互いに独立している。第１切断線５１の一端部５１１及び他端部５１２は、幅方向の第１側において前記投影直線Ｌの近傍に配置されている。第１切断線５１は、その一端部５１１から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第１下横線５１３と、その他端部５１２から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第１上横線５１４と、その第１下横線５１３と第１上横線５１４の端部間を連結する第１縦線５１５と、から構成されている。第１下横線５１３、第１上横線５１４及び第１縦線５１５は、いずれも直線状に形成されている。従って、第１切断線５１は、幅方向の第１側において、台紙２の一方側縁側に膨らんだ平面視略Ｃ字状となっている。この平面視略Ｃ字状は、図２及び図６のように、台紙２の裏面側から見た平面視形状である。第１切断線５１は、転動胴部の台紙投影形状の、転動軸方向一方側の辺Ｘに沿っている部分を有していてもよい。もっとも、開封後に易転動物品３１を取り出し易くなることから、図６に示すように、第１切断線５１は、転動胴部の台紙投影形状の転動軸方向一方側の辺Ｘの外近傍に沿っている部分を有することが好ましい。前記台紙投影形状の転動軸方向一方側の辺Ｘは、転動胴部の底面３１２に対応している。また、前記台紙投影形状の転動軸方向他方側の辺Ｙは、転動胴部の天面３１１に対応している。以下、台紙投影形状の転動軸方向一方側の辺Ｘを、「台紙投影形状の一方辺」といい、台紙投影形状の転動軸方向他方側の辺Ｙを、「台紙投影形状の他方辺」という。

　第２切断線５２の一端部５２１及び他端部５２２は、幅方向の第２側において前記投影直線Ｌの近傍に配置されている。第２切断線５２は、その一端部５２１から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第２下横線５２３と、その他端部５２２から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第２上横線５２４と、その第２下横線５２３と第２上横線５２４の端部間を連結する第２縦線５２５と、から構成されている。第２下横線５２３、第２上横線５２４及び第２縦線５２５は、いずれも直線状に形成されている。従って、第２切断線５２は、幅方向の第２側において、台紙２の他方側縁側に膨らんだ平面視略逆Ｃ字状となっている。この平面視略逆Ｃ字状は、図２及び図６のように、台紙２の裏面側から見た平面視形状である。第２切断線５２は、台紙投影形状の一方辺Ｘに沿っている部分を有していてもよい。もっとも、開封後に易転動物品３１を取り出し易くなることから、第２切断線５２は、台紙投影形状の一方辺Ｘの外近傍に沿っている部分を有することが好ましい。

　第１切断線５１の第１下横線５１３及び第２切断線５２の第２下横線５２３の一部又は全部が台紙投影形状の一方辺Ｘから離反している場合（つまり、第１切断線５１及び第２切断線５２が台紙投影形状の一方辺Ｘの外近傍に沿っている場合）、第１切断線５１の第１下横線５１３と台紙投影形状の一方辺Ｘとの間隔Ｈ１、及び、第２切断線５２の第２下横線５２３と台紙投影形状の一方辺Ｘとの間隔Ｈ２は、適宜設定できる。後述するように、開封時に被包装物の縁が台紙２の破断縁に引っ掛かり難くするために、前記間隔Ｈ１，Ｈ２は、それぞれ下記式を満たすことが好ましい。
　式：前記間隔≧（ａ^２＋ｂ^２）^１／２－ａ
　前記間隔Ｈ１，Ｈ２の単位は、ｍｍである。前記ａは、図５に示すように、第２切断線５２の第２上横線５２４から易転動物品３１の底面３１２までの直線長さ（ｍｍ）を表し、前記ｂは、易転動物品３１の底面３１２の直径（ｍｍ）を表す。
　もっとも、第１切断線５１の第１下横線５１３及び第２切断線５２の第２下横線５２３が、台紙投影形状の一方辺Ｘから余りに離れ過ぎていると、第１下横線５１３と第２下横線５２３の間を切断し難くなるので、（ａ^２＋ｂ^２）^１／２－ａ≦前記間隔≦（ａ^２＋ｂ^２）^１／２－ａ＋３、を満たすことがより好ましい。

　第１切断線５１の第１下横線５１３と第２切断線５２の第２下横線５２３は、直線上に並んでいることが好ましい。つまり、前記間隔Ｈ１と間隔Ｈ２が等しいことが好ましい。本実施形態では、第１切断線５１の第１下横線５１３と第２切断線５２の第２下横線５２３、及び、第１切断線５１の第１上横線５１４と第２切断線５２の第２上横線５２４は、それぞれ直線上に並んでいる。さらに、本実施形態では、第１切断線５１と第２切断線５２は、投影直線Ｌに対して線対称の関係で形成されている。線対称の関係で形成されていることにより、スキンパック包装体１１の製造時に、易転動物品３１を確実に保持できる。第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１、及び、第１切断線５１の他端部５１２と第２切断線５２の他端部５２２は、離れている。換言すると、第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１の間、及び、第１切断線５１の他端部５１２と第２切断線５２の他端部５２２に間には、それぞれ非切断部２８，２９（一方の非切断部２８及び他方の非切断部２９）が存在している。第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１の間隔Ｗ１、及び、第１切断線５１の他端部５１２と第２切断線５２の他端部５２２の間隔Ｗ２は、それぞれ特に限定されない。

　もっとも、前記間隔Ｗ１，Ｗ２が余りに短いと、スキンパック包装体１１を搬送している間に、第１切断線５１と第２切断線５２が不用意に繋がってしまい、保持した被包装物（易転動物品３１）が脱落するおそれがある。このような観点から、前記間隔Ｗ１，Ｗ２は、それぞれ独立して２ｍｍ以上が好ましく、４ｍｍ以上がより好ましい。他方、前記間隔Ｗ１，Ｗ２が余りに長いと、スキンパック包装体１１の開封性が低下するおそれがある。このような観点から、前記間隔Ｗ１，Ｗ２は、それぞれ独立して７ｍｍ以下が好ましく、６ｍｍ以下がより好ましい。特に、転動胴部の台紙投影形状の一方辺Ｘの外近傍に沿っている部分である、第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１の間隔Ｗ１は、７ｍｍ以下が好ましく、６ｍｍ以下がより好ましい。後述するように、本発明のスキンパック包装体１１は、一方の非切断部２８を破断すれば、容易に開封できるからである。なお、前記第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１の間隔Ｗ１は、一方の非切断部２８の幅方向長さに相当する。前記第１切断線５１の他端部５１２と第２切断線５２の他端部５２２の間隔Ｗ２は、他方の非切断部２９の幅方向長さに相当する。

　前記囲繞領域の一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように、第１切断線５１及び第２切断線５２が形成されていることにより、後述するスキンパック包装体１１の製造時に、囲繞領域を立ち上げて易転動物品３１の保持凹部を形成することができる。このように保持凹部を形成できるので、転がり易い易転動物品３１を所定位置に保持しつつスキンパック包装体１１を容易に製造できる。ただし、スキンパック包装体１１においては、各囲繞領域は立ち上がっておらず、切断線５１において切断端面同士は向かい合っている。つまり、スキンパック包装体１１の台紙２は、少なくとも切断線５１の周辺において平板状となっている。

＜折り罫線＞
　さらに、台紙２の面内には、図２乃至図４に示すように、折り罫線２６，２７が形成されている。折り罫線２６，２７としては、従来公知の構成を採用でき、例えば、台紙２の厚み方向に押し込んだ押し線、台紙２の厚み方向に略Ｖ字状に切り込んだハーフカット線、又は、ミシン目線などが挙げられる。折り罫線２６，２７として押し線又はハーフカット線を用いる場合、その折り罫線２６，２７は、台紙２の表面側から形成されていてもよいし、台紙２の裏面側から形成されていてもよい。図示例では、折り罫線２６，２７は、台紙２の裏面側から形成されたハーフカット線からなる。折り罫線２６，２７は、後述するスキンパック包装体１１の製造時に、切断線の両端部を結んだ線（仮想直線Ｍ）に従って台紙２を折り曲げて囲繞領域を立ち上げる際に、それを曲げやすくする目的で形成されている。かかる目的の折り罫線２６，２７は、仮想直線Ｍ上に略沿って設けられる。略沿って設けられるとは、仮想直線Ｍ上に折り罫線２６，２７が設けられる、又は、仮想直線Ｍの近傍にそれと平行に折り罫線２６，２７が設けられることを意味する。折り罫線２６，２７が厳密に仮想直線Ｍ上に一致して設けられていない場合でも、その折り罫線２６，２７を利用して、囲繞領域を容易に立ち上げることができる。つまり、折り罫線２６，２７が仮想直線Ｍの近傍に設けられている場合でも、その折り罫線２６，２７を利用して、囲繞領域を容易に立ち上げることができる。

　また、折り罫線２６，２７は、仮想直線Ｍと同じ長さ分だけ形成されていてもよいし、仮想直線Ｍの長さよりも短くてもよい。つまり、折り罫線２６，２７は、仮想直線Ｍ上の全部又は一部に略沿って設けられる。折り罫線２６，２７が仮想直線Ｍの全部に略沿って設けられていない場合でも、その折り罫線２６，２７を利用して、囲繞領域を容易に立ち上げることができる。つまり、折り罫線２６，２７の長さが仮想直線Ｍよりも短い場合でも、その折り罫線２６，２７を利用して、囲繞領域を容易に立ち上げることができる。図示例では、第１切断線５１に対する折り罫線２６は、第１切断線５１の仮想直線Ｍ上に設けられている。第２切断線５２に対する折り罫線２７は、第２切断線５２の仮想直線Ｍ上に設けられている。

＜第１実施形態のスキンパック包装体の作用効果＞
　上記スキンパック包装体１１は、被包装物（易転動物品３１）に通じる穴が台紙２に形成されていないので、スキンパックフィルム４と台紙２の間に保持された被包装物に異物などが付着し難い。なお、本発明の台紙２の面内には、切断線５１が形成されているが、切断線５１の形成によって生じる対向した切断端面同士は接している又は近接している。このような切断端面間を通じて、スキンパックフィルム４と台紙２の間に異物が侵入する可能性は極めて低い。このように本発明のスキンパック包装体１１は、被包装物の封緘性に優れている。

　本発明のスキンパック包装体１１は、台紙２に切断線５１が形成されているので、その切断線５１から台紙２を破断することにより、容易に開封できる。詳しくは、図７に示すように、易転動物品３１の底面３１２近傍における転動胴部の縁部３１３を台紙２側に押し出し、前記転動胴部の反対縁部３１４にて台紙２の表面を押す。本発明においては第１切断線５１及び第２切断線５２が台紙投影形状の一方辺Ｘの外近傍に沿っている部分を有するので、転動胴部の反対縁部３１４にて台紙２の表面が押されると、第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の一端部５２１の間（一方の非切断部２８）に破断力が集中する。このため、前記一方の非切断部２８が容易に破断して、第１切断線５１及び第２切断線５２で囲われた範囲に開口部２５が生じ、スキンパック包装体１１を開封できる。

　さらに、易転動物品３１を押し続けると、開口部２５から易転動物品３１の転動胴部の底面３１２が出ていく。この際、易転動物品３１は、第１切断線５１の他端部５１２と第２切断線５２の他端部５２２の間（他方の非切断部２９）を概ね中心として回動する。本発明においては、第１切断線５１の第１下横線５１３及び第２切断線５２の第２下横線５２３が台紙投影形状の一方辺Ｘから離反しているので（つまり、一方の非切断部２８が台紙投影形状の一方辺Ｘから離反しているので）、回動する易転動物品３１の転動胴部の縁部３１３が、一方の非切断部２８の切断により生じる破断縁２４に引っ掛かり難くなる。このため、開口部２５から易転動物品３１を比較的容易に取り出すことができる。
　また、本発明の台紙２には、上記切断線５１が形成されているので、スキンパック包装体１１を製造する際に、易転動物品３１を台紙２の所定位置に保持できる。詳しくは、下記のスキンパック包装体１１の製造方法において説明するので、それを参照されたい。

［第１実施形態のスキンパック包装体の製造方法］
　第１実施形態のスキンパック包装体１１は、例えば、次のようにして製造できる。
　前記スキンパック包装体１１の製造方法は、両端部を有し且つその両端部から幅方向の一方側に膨らんだ平面視形状の２つの切断線が向かい合って形成された平板状の台紙を準備する準備工程と、この台紙を折り曲げることにより、２つの囲繞領域を上方に立ち上げて保持凹部を形成する曲げ工程と、前記保持凹部に易転動物品の転動胴部を載置して、易転動物品を台紙の所定位置に保持する載置工程と、前記易転動物品を含んで前記台紙の表面側に、スキンパックフィルムを被せるパック工程、前記台紙の裏面側から吸引することにより、台紙を略平板状に伸張させつつ前記スキンパックフィルムを台紙の表面に接着させる吸引工程と、を有する。本発明のスキンパック包装体１１の製造方法は、これらの工程以外の工程を有していてもよい。以下、比較的大きな形状の台紙及びスキンパックフィルムを用いて、同一のスキンパック包装体１１を、複数同時に製造する場合を例に採って説明する。

　なお、同一のスキンパック包装体１１は、台紙に表示されたデザインに対する被包装物の保持位置が略同じスキンパック包装体１１を意味し、好ましくは、台紙の形状も略同じスキンパック包装体１１を意味する。製造方法の説明において、方向性を示す用語として、「上」及び「下」を使用するが、「上」は、便宜上、台紙の裏面を平坦な水平面上に置いた状態を基準にして、その水平面から離れる側を指し、「下」は、その反対側を指す。

＜台紙の準備工程＞
　製造時に使用される台紙は、通常、上記スキンパック包装体１１に具備された台紙２よりも大きい。製造時の台紙２は、スキンパック包装体１１を複数切り出すことができる大きさに形成されている。図８に示す台紙２Ｐからは、例えば、６つのスキンパック包装体１１を得ることができる。つまり、図８に示す台紙２Ｐは、その平面で見て２行×３列＝６区画に、スキンパック包装体１１を得ることができる。この台紙２Ｐには、前記６区画に、それぞれ同じデザイン（図示せず）が印刷表示されている。各区画のデザインは、それぞれ縦横に一定間隔を開けて規則的に印刷されている。台紙２Ｐの平面形状は特に限定されないが、通常、図示のように、矩形状の台紙２Ｐが用いられる。この台紙２Ｐの面内に、両端部５１１，５１２，５２１，５２２を有し且つその両端部５１１，５１２，５２１，５２２から幅方向の第１側及び第２側に膨らんだ形状の、第１切断線５１及び第２切断線５２を形成する。第１切断線５１及び第２切断線５２は、６区画の各デザインに対して特定の位置（各区画とも同一の位置）に形成する。第１切断線５１の両端部５１１，５１２の間に、折り罫線２６を形成し、同様に、第２切断線５２の両端部５２１，５２２の間に、折り罫線２７を形成する。図８に示す例においては、折り罫線２６，２７は、台紙２Ｐの表面側に形成されている。

＜台紙の曲げ工程＞
　曲げ工程は、前記台紙２Ｐを曲げることにより、２つの囲繞領域５１Ａ，５２Ａを上方に立ち上げて保持凹部を形成する工程である。前記折り罫線２６，２７を利用して、図９及び図１０に示すように、囲繞領域５１Ａ，５２Ａを上方に立ち上げる。前記囲繞領域５１Ａは、上述のとおり、仮想直線Ｍと第１切断線５１とによって囲われる領域であり、囲繞領域５２Ａは、仮想直線Ｍと第２切断線５２とによって囲われる領域である。第１切断線５１の囲繞領域５１Ａと第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを台紙２Ｐの幅方向に向かい合わせ立ち上げることにより、その間に易転動物品３１を保持する保持凹部２３を形成できる。

　第１切断線５１の囲繞領域５１Ａ及び第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを、台紙２Ｐの表面に対して、鋭角に立ち上げることが好ましい。なお、台紙２Ｐの表面に対して鋭角に立ち上げるとは、台紙２Ｐの表面に対して鉛直方向から見て、囲繞領域５１Ａ，５２Ａの表面が見えるように立ち上げることをいう。囲繞領域５１Ａ，５２Ａを台紙２Ｐに対して直角又は鈍角に立ち上げると、後述する吸引工程において、囲繞領域５１Ａ，５２Ａが元に戻らないおそれがある。換言すると、囲繞領域５１Ａ，５２Ａを台紙２Ｐに対して直角又は鈍角に立ち上げると、後述する吸引工程において、台紙２Ｐが平板状に復元しないおそれがある。なお、前記囲繞領域５１Ａ，５２Ａを台紙２Ｐに対して鈍角に立ち上げるとは、台紙２Ｐの表面に対して鉛直方向から見て、囲繞領域５１Ａ，５２Ａの裏面が見えるように立ち上げる場合をいう。立ち上げた囲繞領域５１Ａ，５２Ａの、台紙２Ｐの表面に対する角度は、それぞれ鋭角が好ましく、例えば、１０度～８０度であり、好ましくは２０度～７０度である。

＜被包装物の載置工程＞
　載置工程は、前記保持凹部２３に易転動物品３１の転動胴部を載置して、易転動物品３１を台紙２Ｐの所定位置に保持する工程である。図１１及び図１２に示すように、前記各保持凹部２３内の所定位置に、易転動物品３１を入れていく。１つのスキンパック包装体１１に１つの被包装物を具備させる場合には、各保持凹部２３に１つの易転動物品３１を載置する。保持凹部２３内に易転動物品３１を載置すると、図１２に示すように、２つの囲繞領域５１Ａ，５２Ａの表面に易転動物品３１の転動周面が接する。比較的肉厚の薄い台紙２Ｐを用いた場合には、易転動物品３１の自重により、傾斜状に立ち上げた囲繞領域５１Ａ，５２Ａが外側に膨らむこともあるが、特に問題はない。易転動物品３１が向かい合った２つの囲繞領域５１Ａ，５２Ａに接することにより、易転動物品３１は、外側に転がることなく、保持凹部２３の所定位置から動かない。

＜スキンパックフィルムのパック工程＞
　パック工程は、易転動物品３１が載置された台紙２Ｐの表面側に、その易転動物品３１を含んで、スキンパックフィルムを被せる工程である。スキンパックフィルムは、折り曲げ前の平板状の台紙２Ｐよりも大きいものが用いられる。図示例では、平板状の台紙２Ｐよりも大きく且つ台紙２Ｐと相似形のスキンパックフィルム４Ｐを用いた場合を例示している。通常、柔軟なスキンパックフィルム４Ｐを搬送するために、図１３に示すように、スキンパックフィルム４Ｐの周囲には、着脱自在な保持枠９９が取り付けられている。この保持枠９９は、上下一対の枠体（上枠９９１及び下枠９９２）からなり、前記上枠９９１及び下枠９９２は、それぞれ、額縁のような中抜き矩形状とされている。上枠９９１及び下枠９９２は、通気性のない部材から形成され、例えば、金属、合成樹脂などから形成される。上枠９９１と下枠９９２の間にスキンパックフィルム４Ｐの周縁部を挟み込み、上枠９９１と下枠９９２が離反しないように固定することにより、スキンパックフィルム４Ｐの周囲が保持枠９９によって保持されている。

　前記スキンパックフィルム４Ｐを加熱して軟化させる。例えば、前記保持枠９９にてスキンパックフィルム４Ｐを保持した状態で、遠赤外線ヒータなどの加熱装置を用いて、スキンパックフィルム４Ｐの表面若しくは裏面又は両面側からこれを加熱し、スキンパックフィルム４Ｐを軟化させる。その軟化させたスキンパックフィルム４Ｐを保持枠９９と共に下方に移動させ、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐの表面に被せる。なお、加熱しなくても十分に軟らかいスキンパックフィルム４Ｐを用いる場合には、加熱処理を行わずに、そのスキンパックフィルム４Ｐをそのまま台紙２Ｐの上に被せればよい。図１４及び図１５は、軟化させたスキンパックフィルム４Ｐを前記被包装物を覆うようにして台紙２Ｐの表面側に被せた後の状態を示している。なお、図１５の断面図において、スキンパックフィルム４Ｐの厚みを表さず、単なる実線で示している（図１６も同様）。

　前記易転動物品３１を載置した台紙２Ｐは、図１５に示すように、吸引台９の表面に載置されている。なお、易転動物品３１を載置した後に台紙２Ｐを吸引台９の表面に移送してもよいが、移送中に易転動物品３１が所定位置からずれるおそれがあるので、前記被包装物の載置工程時に、予め台紙２Ｐを吸引台９の表面上に載置しておくことが好ましい。吸引台９は、台本体９１と、この台本体９１内に形成された閉鎖空間９２と、この台本体９１の表面に形成され且つ閉鎖空間９２に連通された複数の吸気孔９３と、閉鎖空間９２と外部を連通する連通路９４と、を有する。連通路９４に、吸引装置に繋がる吸引管（図示せず）が接続される。吸引台９の表面は、平坦状とされている。閉鎖空間９２は、台本体９１の空洞の部分である。吸引台９の表面は、例えば、金属板、プラスチック板などで構成される。吸気孔９３の大きさは特に限定されないが、例えば、直径０．１ｍｍ～２ｍｍ程度の円形が挙げられる。吸気孔９３の数についても適宜設定できる。好ましくは、複数の吸気孔９３は、０．１ｍｍ～５ｍｍの間隔を開けて形成され、より好ましくは等間隔に形成される。また、後述するように吸引台９の表面には保持枠９９の下枠９９２が密着するが、全ての吸気孔９３にて台紙２Ｐを吸引するために、各吸気孔９３は、その下枠９９２よりも外側に形成されていないことが好ましい。

＜スキンパックフィルムの吸引工程＞
　吸引工程は、台紙２Ｐの裏面側からスキンパックフィルム４Ｐを吸引することにより、前記台紙２Ｐを囲繞領域５１Ａ，５２Ａを元に戻しつつスキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐの表面に接着させる工程である。上記のように、スキンパックフィルム４Ｐが被せられた台紙２Ｐは、複数の吸気孔９３を有する吸引台９の表面に置かれている。なお、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐに被せるときには、前記吸引台９上に台紙２Ｐを置かず、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐに被せた後、それを前記吸引台９の表面上に移送してもよいが、その移送中に易転動物品３１が所定位置からずれるおそれがあるので、吸引工程より前の工程の時点で台紙２Ｐを吸引台９の表面上に載置しておくことが好ましい。

　そして、吸引装置（図示せず）を作動させ、台紙２Ｐを真空吸引する。すると、台紙２Ｐとスキンパックフィルム４Ｐの間の空気が台紙２Ｐを透過し、その空気が、吸気孔９３から、閉鎖空間９２及び連通路９４を通じて吸引装置に吸引される。空気の吸引方向を、図１５の白抜き矢印で示す。空気の吸引により、スキンパックフィルム４Ｐと吸引台９の間の空気が吸引台９の下方に移動し、台紙２Ｐ及びスキンパックフィルム４Ｐが吸引台９の表面に引き寄せられる。この際、台紙２Ｐとスキンパックフィルム４Ｐの間の空気も、台紙２Ｐを透過して吸引台９の下方に移動する。なお、スキンパックフィルム４Ｐの周囲を保持する保持枠９９が吸引台９の表面に気密的に接しているので、スキンパックフィルム４Ｐの周辺と吸引台９の表面との間から空気が引き抜かれることはない。

　前記吸引力により、台紙２Ｐが吸引台９の表面に引き寄せられると共に、台紙２Ｐの表面に密着しようとするスキンパックフィルム４Ｐによって囲繞領域５１Ａ，５２Ａが下方に押され、保持凹部２３が消失していく。換言すると、前記吸引により、スキンパックフィルム４Ｐに押された保持凹部２３が平坦状になっていく。スキンパックフィルム４Ｐの伸展に従い、傾斜していた２つの囲繞領域５１Ａ，５２Ａが互いに離反するように回動して囲繞領域５１Ａ，５２Ａの周縁が台紙２Ｐ内に入ることにより、台紙２Ｐは折り曲げ前の平板状に復元する（図１６参照）。そして、易転動物品３１を挟んで、その平板状になった台紙２Ｐの表面にスキンパックフィルム４Ｐが密着することにより、複数のスキンパック包装体１１が連なった連続体が得られる。

＜仕上げ工程＞
　仕上げ工程は、個々のスキンパック包装体１１を得る工程である。本実施形態においては、６つのスキンパック包装体１１を得ることができる大きさの台紙２Ｐ及びスキンパックフィルム４Ｐを用いている。前記吸引工程で得られた連続体１０を保持枠９９から外し、図１７に示すように、個々のスキンパック包装体１１の外形に沿って切り取る。その切り取り線Ｄを、図１７の細点線で示す。切り取りは、打ち抜きダイを用いた打ち抜き、カッターなどを用いた切断などで行うことができる。このようにして易転動物品３１が所定位置に包装された、同一のスキンパック包装体１１を複数（例えば、６つ）同時に得ることができる。必要に応じて、スキンパック包装体１１に吊下げ用の孔を穿設してもよい（図示せず）。

　本発明のスキンパック包装体１１は、台紙２に第１及び第２切断線５１，５２が形成されているので、上記のような製造方法によって製造できる。かかる製造方法によれば、保持凹部２３に載置した易転動物品３１が不用意に動かないので、スキンパックフィルム４Ｐを被せて包装する際、易転動物品３１が所定位置からずれ難くなる。このため、被包装物が台紙２の所定位置に保持されたスキンパック包装体１１を得ることができる。また、単に、囲繞領域５１Ａ，５２Ａを折り曲げて保持凹部２３を形成し、その保持凹部２３に易転動物品３１を入れるだけで、易転動物品３１を位置決めできるので、既存の設備でスキンパック包装体１１を簡易に行うことができる。よって、比較的安価にスキンパック包装体１１を製造できる。

　次に、上記第１実施形態のスキンパック包装体の各種変形例を説明する。以下の様々な変形例の説明において、上記第１実施形態と同様の構成及び効果については（その説明をしたものみなして）その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。

［第１変形例のスキンパック包装体］
　第１変形例のスキンパック包装体１１は、第１切断線５１及び第２切断線５２の膨らむ向きが上記第１実施形態と反対である。具体的には、図１８に示すように、第１切断線５１は、台紙２の幅方向の一方側（第１側）に配置され、第２切断線５２は、台紙２の幅方向の他方側（第２側）に配置されている。第１切断線５１は、その一端部５１１から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第１下横線５１３と、その他端部５１２から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第１上横線５１４と、その第１下横線５１３と第１上横線５１４の端部間を連結する第１縦線５１５と、から構成されている。従って、第１切断線５１は、幅方向の第１側において、台紙２の他方側縁側に膨らんだ平面視略逆Ｃ字状となっている。この平面視略逆Ｃ字状は、図１８のように、台紙２の裏面側から見た平面視形状である。

　第２切断線５２は、その一端部５２１から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第２下横線５２３と、その他端部５２２から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第２上横線５２４と、その第２下横線５２３と第２上横線５２４の端部間を連結する第２縦線５２５と、から構成されている。従って、第２切断線５２は、幅方向の第２側において、台紙２の一方側縁側に膨らんだ平面視略Ｃ字状となっている。この平面視略Ｃ字状は、図１８のように、台紙２の裏面側から見た平面視形状である。第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５は、投影直線Ｌを挟んで離れている。換言すると、第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５の間には、非切断部が存在している。第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５の間隔Ｗ３は、特に限定されないが、上記第１実施形態の間隔Ｗ１と同様の理由から、３ｍｍ以上が好ましく、４ｍｍ以上がより好ましい。また、前記間隔Ｗ３は、７ｍｍ以下が好ましく、６ｍｍ以下がより好ましい。第１変形例において、第１切断線５１の囲繞領域及び第２切断線５２の囲繞領域が、台紙投影形状に重なること、第１切断線５１及び第２切断線５２が投影直線Ｌに対して線対称であること、第１切断線５１及び第２切断線５２が、台紙投影形状の一方辺Ｘに沿う部分又はその一方辺Ｘの外近傍に沿う部分を有することなどは、上記第１実施形態と同様である。

　第１変形例のスキンパック包装体１１も第１実施形態と同様に、第１切断線５１及び第２切断線５２の囲繞領域を立ち上げて保持凹部を形成し、その保持凹部に易転動物品３１を保持させつつスキンパックフィルム４Ｐを被せ且つ吸引することによって製造できる。簡単に説明すると、第１変形例の場合には、図１９に示すように、囲繞領域５１Ａの先端縁及び囲繞領域５２Ａの先端縁が易転動物品３１の転動周面に当たるように、第１切断線５１の囲繞領域５１Ａ及び第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを鋭角傾斜状に立ち上げ、保持凹部２３に易転動物品３１を載置することにより、易転動物品３１を所定位置に保持できる。事後、上記第１実施形態の製法と同様に、スキンパックフィルム４Ｐを被せ、台紙２Ｐの裏面側から吸引することにより、易転動物品３１が所定位置に保持されたスキンパック包装体１１が得られる。

　なお、図１８に示す例では、第１切断線５１と第２切断線５２は離反しているが、例えば、図２０に示すように、第１切断線５１と第２切断線５２の膨らんだ部分（第１縦線５１５と第２縦線５２５）が一体化されていてもよい。この場合、一体化された部分は、切断線が兼用される。つまり、図示例では、第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５が兼用されている。図２０に示すスキンパック包装体１１も上記同様に、図２１に示すように、囲繞領域５１Ａの先端縁及び囲繞領域５２Ａを鋭角傾斜状に立ち上げ、囲繞領域５１Ａの先端縁及び囲繞領域５２Ａの先端縁に易転動物品３１の転動周面に当たるように易転動物品３１を載置することにより、保持凹部２３に易転動物品３１を保持できる。

［第２変形例のスキンパック包装体］
　第２変形例のスキンパック包装体１１は、第１切断線５１及び第２切断線５２が同じ方向に膨らんでいる。具体的には、図２２に示すように、第１切断線５１は、台紙２の幅方向の一方側（第１側）に配置され、第２切断線５２は、台紙２の幅方向の他方側（第２側）に配置されている。第１切断線５１は、その一端部５１１から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第１下横線５１３と、その他端部５１２から台紙２の一方側縁に向かって幅方向に延びる第１上横線５１４と、その第１下横線５１３と第１上横線５１４の端部間を連結する第１縦線５１５と、から構成されている。従って、第１切断線５１は、幅方向の第１側において、台紙２の一方側縁側に膨らんだ平面視略Ｃ字状となっている。第２切断線５２は、上記第１変形例と同様に、幅方向の第２側において、台紙２の一方側縁側に膨らんだ平面視略Ｃ字状となっている。

　第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５は、投影直線Ｌを挟んで離れている。換言すると、第１切断線５１の第１縦線５１５と第２切断線５２の第２縦線５２５の間には、非切断部２８，２９が存在している。第１切断線５１の一端部５１１と第２切断線５２の第２縦線５２５の間隔Ｗ４は、特に限定されないが、上記第１実施形態の間隔Ｗ１と同様の理由から、３ｍｍ以上が好ましく、４ｍｍ以上がより好ましい。また、前記間隔は、７ｍｍ以下が好ましく、６ｍｍ以下がより好ましい。第２変形例において、第１切断線５１の囲繞領域及び第２切断線５２の囲繞領域が、台紙投影形状に重なること、第１切断線５１及び第２切断線５２が、台紙投影形状の一方辺Ｘに沿う部分又はその一方辺Ｘの外近傍に沿う部分を有することなどは、上記第１実施形態と同様である。

　第２変形例のスキンパック包装体１１も第１実施形態と同様に、第１切断線５１及び第２切断線５２の囲繞領域を立ち上げて保持凹部を形成し、その保持凹部に易転動物品３１を保持させつつスキンパックフィルムを被せ且つ吸引することによって製造できる。簡単に説明すると、第２変形例の場合には、図２３に示すように、囲繞領域５１Ａの先端縁及び囲繞領域５２Ａの表面が易転動物品３１の転動周面に当たるように、第１切断線５１の囲繞領域５１Ａ及び第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを鋭角傾斜状に立ち上げ、保持凹部２３に易転動物品３１を載置することにより、易転動物品３１を保持できる。

［第３変形例のスキンパック包装体］
　上記第１実施形態及び各変形例では、台紙２に平面視略Ｃ字状の切断線５１が形成されているが、本発明のスキンパック包装体１１の切断線５１は、かかる形状に限定されず、本発明の意図する範囲で様々に設計変更できる。

　例えば、図２４（ａ）に示すように、第１切断線５１の第１下横線５１３及び第１上横線５１４、並びに、第２切断線５２の第２下横線５２３及び第２上横線５２４が、投影直線Ｌに対して傾斜状に形成されている態様；図２４（ｂ）に示すように、第１切断線５１の第１上横線５１４、及び、第２切断線５２の第２上横線５２４が、投影直線Ｌに対して傾斜状に形成されている態様；図２４（ｃ）に示すように、第１切断線５１及び第２切断線５２が、全体的に円弧状に形成されている態様；図２４（ｄ）に示すように、（第１上横線５１４及び第２上横線５２４を有さず）第１切断線５１の第１縦線５１５及び第２切断線５２の第２縦線５２５が、投影直線Ｌに対して傾斜状に形成されている態様；などに変更してもよい。
　さらに、第１切断線５１の平面視形状と第２切断線５２の平面視形状とが全く異なっていてもよい。切断線が互いに異なる形状としては、例えば、第１切断線５１を図２４（ｃ）に示すような円弧状に形成し、且つ、第２切断線５２を図２４（ｄ）に示すような傾斜角状に形成する場合；第１切断線５１及び第２切断線５２は何れも平面視略Ｃ字状であるが、第１切断線５１の方が第２切断線５２よりも上下方向に長く形成されている場合；などが挙げられる。なお、図２４に示した、第１切断線５１及び第２切断線５２の一端部５１１，５２１が投影直線Ｌに対峙した態様を、上記第１及び第２変形例に適用することもできる。

［第４変形例のスキンパック包装体］
　上第１実施形態及び各変形例では、第１切断線５１の第１上横線５１４及び第２切断線５２の第２上横線５２４が、台紙投影形状の他方辺Ｙよりも転動軸方向一方側に配置されているが、これに限定されず、第１切断線５１及び第２切断線５２が、台紙投影形状の他方辺Ｙに沿う部分又は他方辺Ｙの外近傍に沿う部分を有していてもよい（図示せず）。

　また、上記第１実施形態及び各変形例では、第１切断線５１及び第２切断線５２が、台紙投影形状の一方辺Ｘに沿う部分又は一方辺Ｘの外近傍に沿う部分を有しているが、第１切断線５１及び第２切断線５２が台紙投影形状の一方辺Ｘに沿う部分又は一方辺Ｘの外近傍に沿う部分を有さなくてもよい。例えば、図２５（ａ）に示すように、第１切断線５１の第１下横線５１３及び第２切断線５２の第２下横線５２３が、台紙投影形状の一方辺Ｘよりも転動軸方向他方側に配置されていてもよい。

　上記第１実施形態及び各変形例では、第１切断線５１と第２切断線５２は投影直線Ｌに対して線対称の関係で形成されているが、これらが非対称に形成されていてもよい。例えば、図２５（ｂ）に示すように、同様な形状の第１切断線５１と第２切断線５２であって、第２切断線５２が、第１切断線５１よりも転動軸方向他方側にずれて配置されていてもよい。

　また、投影直線Ｌを挟んで第１側に形成される第１切断線５１と第２側に形成される第２切断線５２が、投影直線Ｌに対して非対称の関係で形成される場合、例えば、図２５（ｃ）に示すように、第１切断線５１と第２切断線５２が幅方向において重ならないように形成することも可能である。もっとも、第１切断線５１と第２切断線５２が幅方向において重ならないように配置されていると、上述の製法のように、第１切断線５１の囲繞領域５１Ａと第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを立ち上げた際、その２つの囲繞領域５１Ａ，５２Ａが易転動物品３１を挟んで向かい合う部分を有さなくなる。この場合、立ち上げた囲繞領域５１Ａ，５２Ａにより保持された易転動物品３１が不用意に動く可能性があるので、第１切断線５１と第２切断線５２は、その全体又は一部分が台紙２の幅方向において重なっていることが好ましい。

　また、上記第１実施形態及び各変形例では、第１切断線５１は、台紙２の幅方向の第１側に１つだけ形成され、第２切断線５２は、台紙２の幅方向の第２側に１つだけ形成されているが、少なくとも何れか一方の切断線５１が複数形成されていてもよい。例えば、図２５（ｄ）に示すように、台紙２の第１側に複数（図示例では２つ）の第１切断線５１，５１が形成され、台紙２の第２側に複数（図示例では２つ）の第２切断線５２，５２が形成されていてもよい。
　なお、第４変形例においても、その切断線５１の平面視形状は、第３変形例で示したように、様々な態様に変更可能である。

［第５変形例のスキンパック包装体］
　第５変形例のスキンパック包装体１１は、両端部を有する切断線が、投影直線（転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線）と平行な方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成されているものである。すなわち、上記第１実施形態及び第１乃至第４変形例では、切断線５１，５２は、投影直線Ｌに略直交する方向の何れかの側に膨らんだ平面視形状に形成されているが、第５変形例では、投影直線Ｌと平行な方向に膨らんでいる点で相違する。

　具体的には、図２６乃至図２９に示すように、第５変形例では、第１切断線５１及び第２切断線５２の全体の平面視形状は、それぞれ両端部５１１，５１２，５２１，５２２を有する非直線状に形成されている。図２９に示すように、非直線状の第１切断線５１は、その両端部５１１，５１２を結んだ仮想直線よりも、投影直線Ｌに平行な方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成されている。図示例では、第１切断線５１は、投影直線Ｌに平行な方向において下方側に膨らんでいる。非直線状の第２切断線５２は、その両端部５２１，５２２を結んだ仮想直線よりも、投影直線Ｌに平行な方向の何れか他方側に膨らんだ平面視形状に形成されている。図示例では、第２切断線５２は、投影直線Ｌに平行な方向において上方側に膨らんでいる。図２９において、投影直線Ｌを二点鎖線で示している。

　前記第１切断線５１は、囲繞領域（仮想直線と切断線とによって囲われる領域）の全部又一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように、形成されている。本実施形態では、第１切断線５１は、図２９に示すように、囲繞領域の一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように形成されている。第２切断線５２も同様に、囲繞領域の一部が転動胴部の台紙投影形状に重なるように形成されている。図２９において、転動胴部の台紙投影形状を網掛けで示し、第１切断線５１及び第２切断線５２のそれぞれの囲繞領域を、無数のドットで示している。
　第１切断線５１と第２切断線５２は、互いに独立している。第１切断線５１の一端部５１１及び他端部５１２は、易転動物品３１の天面３１１の近傍に配置されている。第１切断線５１は、その一端部５１１から台紙２の下方縁に向かって投影直線Ｌと略平行に延びる第１一方縦線５１６と、その他端部５１２から台紙２の下方縁に向かって投影直線Ｌと略平行に延びる第１一方縦線５１７と、その第１一方縦線５１６と第１他方縦線５１７の端部間を連結する第１横線５１８と、から構成されている。第１横線５１８は、包装体の製造時に易転動物品３１を保持する凹部を形成するため、易転動物品３１の数に対応した波形状に形成されている。第２切断線５１の一端部５２１及び他端部５２２は、易転動物品３１の底面３１２の近傍に配置されている。第２切断線５２は、その一端部５２１から台紙２の上方縁に向かって投影直線Ｌと略平行に延びる第２一方縦線５２６と、その他端部５２２から台紙２の上方縁に向かって投影直線Ｌと略平行に延びる第２一方縦線５２７と、その第２一方縦線５２６と第２他方縦線５２７の端部間を連結する第２横線５２８と、から構成されている。第２横線５２８は、包装体の製造時に易転動物品３１を保持する凹部を形成するため、易転動物品３１の数に対応した波形状に形成されている。第１切断線５１の第１一方縦線５１６と第２切断線５２の第２一方縦線５２６は、直線上に並んでいることが好ましい。第１切断線５１の第１他方縦線５１７と第２切断線５２の第２他方縦線５２７も、直線上に並んでいることが好ましい。
　さらに、台紙２の面内には、上記第１実施形態と同様に、第１切断線５１の両端部５１１，５１２の間に、折り罫線２６が形成されている。第２切断線５２の両端部５２１，５２２の間にも、同様に、折り罫線２７が形成されている。
　なお、第５変形例のスキンパック包装体１１は、３つの易転動物品３１が台紙２とスキンパックフィルム４の間に保持されている。もっとも、易転動物品３１は、３つに限られず、１つ又は２つでもよいし、４つ以上でもよい。
　第５変形例のスキンパック包装体１１も、易転動物品３１の封緘性に優れ、また、台紙２に切断線５１が形成されているので、その切断線５１から台紙２を容易に開封できる。

　第５変形例のスキンパック包装体１１も、上記第１実施形態と同様にして製造できる。ただし、第５変形例のスキンパック包装体１１の製造方法においては、＜台紙の曲げ工程＞及び＜被包装物の載置工程＞が上記第１実施形態と若干異なっている。
　具体的には、第５変形例においては、図３０及び図３１に示すように、前記折り罫線２６，２７を利用して、囲繞領域５１Ａ，５２Ａを上方に立ち上げる。第５変形例の第１切断線５１及び第２切断線５２は、台紙２Ｐの上下に向かい合って形成されているので、立ち上げられた囲繞領域５１Ａ，５２Ａは、台紙２Ｐの上下で向かい合う（図３１参照）。この際、第１切断線５１の囲繞領域５１Ａ及び第２切断線５２の囲繞領域５２Ａを、台紙２Ｐの表面に対して、鋭角に立ち上げることが好ましい。

　前記立ち上げた囲繞領域５１Ａ，５２Ａの突出縁に、易転動物品３１を載置する。具体的には、図３２及び図３３に示すように、易転動物品３１の上方部を囲繞領域５１Ａの突出縁５１１Ａに載せ、且つ、易転動物品３１の下方部を囲繞領域５２Ａの突出縁５２１Ａに載せる。この囲繞領域５１Ａ，５２Ａの突出縁は、第１切断線５１の第１横線５１８及び第２切断線５２の第２横線５２８にそれぞれ対応している。このため、囲繞領域５１Ａ，５２Ａの突出縁５１１Ａ，５２１Ａは、いずれも波形状となっている。この波形状の突出縁５１１Ａの第１の凹部に１つ目の易転動物品３１の上方部を載せ、且つ突出縁５２１Ａの第１の凹部にその易転動物品３１の下方部を載せる。同様に、前記波形状の突出縁５１１Ａの第２の凹部に２つ目の易転動物品３１の上方部を載せ、且つ突出縁５２１Ａの第２の凹部にその易転動物品３１の下方部を載せる。さらに、前記波形状の突出縁５１１Ａの第２の凹部に３つ目の易転動物品３１の上方部を載せ、且つ突出縁５２１Ａの第３の凹部にその易転動物品３１の下方部を載せる。全ての易転動物品３１は、囲繞領域５１Ａ，５２Ａの突出縁５１１Ａ，５２１Ａの各凹部に保持されるので、易転動物品３１は、転動軸を中心にして転がることない。従って、易転動物品３１を所定位置に保持できる。
　事後、上記第１実施形態と同様に、＜スキンパックフィルムのパック工程＞、＜スキンパックフィルムの吸引工程＞及び＜仕上げ工程＞を順に行うことにより、第５変形例のスキンパック包装体１１を製造できる。
　第１実施形態の包装体の製法では、易転動物品３１の幅方向両側を囲繞領域５１Ａ，５２Ａにて保持する方式であったが、第５変形例のように、易転動物品３１の上下両側を囲繞領域５１Ａ，５２Ａにて保持する方式でも本発明のスキンパック包装体を製造できる。

［第６変形例のスキンパック包装体］
　第６変形例のスキンパック包装体１１は、易転動物品３１と難転動物品３２を包装するものである。具体的には、図３４乃至図３６に示すように、スキンパック包装体１１は、平板状の台紙２と、少なくとも２つの被包装物と、スキンパックフィルム４Ｐと、を有し、前記被包装物が、転動胴部を有する易転動物品３１と難転動物品３２とを含んでいる。易転動物品３１は、上述のように、水平面に対して転動し得る転動胴部を有する物品である。

　難転動物品３２は、水平面に対して転動しにくい物品である。難転動物品３２は、例えば、平坦面を有するアクリル板を水平面に対して１０度傾けて配置し、この傾斜したアクリル板の平坦面の傾斜上側から傾斜下側に転動しない又は回転しても１周未満であり、実質的に転動しない物品をいう。このような難転動物品３２としては、三角柱状、四角柱状、六角柱状などの外形を有する物品；円柱状の胴部の一部分から径外方向に突起部が突設された物品；その他、断面非円形の胴部を有する物品、円柱状などの胴部の外面に高摩擦領域が設けられた物品；円柱状などの胴部を有するが重心がその円の中心に存在せずに径外方向に偏っている物品；などが例示できる。難転動物品３２は、代表的には、それを水平面に載せて強制的に転がしたときに、転動軸と水平面の長さが移動方向において異なる物品が挙げられる。なお、図示例の易転動物品３１は、円柱状であり、難転動物品３２は、四角柱状である。

　台紙２の表面において、易転動物品３１と難転動物品３２は、幅方向（転動軸に略直交する方向）に並んで配置され、易転動物品３１の転動胴部に難転動物品３２の１つの面が接している。難転動物品３２は、第１側（台紙２の幅方向の一方側）に配置され、易転動物品３１は、第２側（台紙２の幅方向の他方側）に配置されている。台紙２には、切断線が形成されている。以下、第６変形例の切断線を、「第３切断線５３」という。第３切断線５３は、両端部５３１，５３２を有し、幅方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状を有する。図示例では、第３切断線５３は、その一端部５３１から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第３下横線５３３と、その他端部５３２から台紙２の他方側縁に向かって幅方向に延びる第３上横線５３４と、その第３下横線５３３と第３上横線５３４の端部間を連結する第３縦線５３５と、から構成されている。従って、第３切断線５３は、幅方向の第２側において、台紙２の他方側縁側に膨らんだ平面視略Ｃ字状となっている。

　第３切断線５３は、投影直線Ｌを基準にして幅方向の第２側に配置されている。つまり、第３切断線５３は、難転動物品３２から所定間隔を開け且つ難転動物品３２と反対側に配置されている。第３切断線５３についても、第１切断線５１及び第２切断線５２と同様に、第３切断線５３の両端部５３１，５３２を結んだ仮想直線（図示せず）と第３切断線５３とによって囲われる領域（囲繞領域）の全部又一部が転動胴部の台紙投影形状に重なっている。第３切断線５３は、台紙投影形状の一方辺に沿う部分又はその辺の外近傍に延びる部分を有する。なお、図示例は、第３切断線５３の囲繞領域の一部が台紙投影形状に重なるように形成された第３切断線５３であって、台紙投影形状の一方辺の外近傍に延びる部分を有する第３切断線５３が形成されている例である。

　台紙２の面内には、折り罫線２６が形成されている。この折り罫線２６は、第３切断線５３の両端部５３１，５３２の間に設けられている。具体的には、折り罫線２６は、第３切断線５３の両端部５３１，５３２を結んだ仮想直線上に又はその近傍に平行に設けられている。折り罫線２６は、仮想直線の長さよりも短くてもよい。図示例では、第３切断線５３の折り罫線２６は、第３切断線５３の仮想直線上に、その仮想直線の一部に設けられている。

　第６変形例のスキンパック包装体１１も、台紙２に第３切断線５３が形成されているので、その切断線５１から台紙２を破断することにより、容易に開封できる。その開封後、易転動物品３１及び難転動物品３２を取り出すことができる。また、第６変形例のスキンパック包装体１１も、上記第３切断線５３が形成されているので、難転動物品３２と協働して易転動物品３１を台紙２の所定位置に保持できる。詳しくは、図３７に示すように、第６変形例のスキンパック包装体１１の製造時、台紙２Ｐに形成された第３切断線５３の囲繞領域５３Ａを鋭角傾斜状に立ち上げる。この囲繞領域５３Ａに易転動物品３１の幅方向一方側を当てつつ易転動物品３１を台紙２の表面に載置し、当該易転動物品３１の幅方向他方側に難転動物品３２を当てつつ難転動物品３２を台紙２の表面に載置する。易転動物品３１は、転がりにくい難転動物品３２と立ち上げられた囲繞領域５３Ａとによって所定位置に保持される。事後、上記第１実施形態と同様に、スキンパックフィルム４Ｐを被せ、台紙２Ｐの裏面側から吸引することにより、易転動物品３１が所定位置に保持されたスキンパック包装体１１が得られる。なお、第６変形例のスキンパック包装体１１において、第３切断線５３の膨らむ向き、第３切断線５３の平面視形状、第３切断線５３の台紙投影形状に対する配置、第３切断線５３の数などは、上記第１実施形態及び各変形例で示した例を適用して、適宜変更することができる。

［第１実施形態の他の変形例］
　上記第１実施形態及び各変形例では、１つの易転動物品３１を包装したスキンパック包装体１１を例示しているが、スキンパックフィルム４と台紙２の間に複数の易転動物品３１を包装することも可能である。同様に、上記第６変形例では、１つの易転動物品３１と１つの難転動物品３２を包装したスキンパック包装体１１を例示しているが、複数の易転動物品と１つ若しくは複数の難転動物品、又は、１つの易転動物品と複数の難転動物品を包装することも可能である。その他、上記第１実施形態及び各変形例で示した態様を適宜に組み合わせてスキンパック包装体を構成することもできる。

［第２実施形態のスキンパック包装体］
　第２実施形態の説明において、上記第１実施形態と同様の構成及び効果については（その説明をしたものみなして）その説明を省略し、用語を援用する場合がある。
　図３８乃至図４０において、第２実施形態のスキンパック包装体１２は、平板状の台紙２と、被包装物３と、台紙２と協働して被包装物３を保持するスキンパックフィルム４と、を有する。スキンパックフィルム４は、上記第１実施形態と同様に、被包装物３に被さり且つ台紙２に接着していない部分と、前記被包装物３に被さらず且つ前記台紙２に接着する部分と、を有する。

　図示例のスキンパック包装体１２は、スキンパックフィルム４と台紙２によって被包装物３を隙間無く密封包装したものである。もっとも、本発明のスキンパック包装体１２は、被包装物３を密封包装した態様に限定されるわけではなく、被包装物３をスキンパックフィルム４と台紙２の協働により保持できるものであればよい。例えば、本発明のスキンパック包装体１２は、スキンパックフィルム４の１つの端部又は対向する２つの端部から被包装物３の一部が露出するようにスキンパックフィルム４が接着されていてもよい（図示せず）。もっとも、このような場合でも、その被包装物３の露出部分から被包装物３を取り出すことができないようにスキンパックフィルム４が被されて接着されている必要がある。また、被包装物３は、台紙２のほぼ中央部に配置される他、台紙２の何れかの辺側に寄って配置されていてもよい。さらに、１つのスキンパック包装体１２に、複数の被包装物３が包装されていてもよい。

　被包装物３の種類としては、特に限定されず、化粧品、生活雑貨、文房具、医薬部外品、医薬品などの様々な物品が挙げられる。第２実施形態においては、被包装物３の形状も特に限定されない。例えば、被包装物３としては、上記の易転動物品や難転動物品が挙げられる。もっとも、第２実施形態のスキンパック包装体１２の製造時、被包装物３を台紙２の所定位置に保持できる。このため、第２実施形態においても、被包装物３として易転動物品を用いることが好ましい。易転動物品の詳細は、上記＜易転動物品＞の欄に記載されているので、ここでは省略する。スキンパックフィルム４及び台紙２についても、上記第１実施形態と同様のものをそれぞれ用いることができる。スキンパックフィルム４及び台紙２の詳細は、上記＜スキンパックフィルム＞及び＜台紙＞の欄にそれぞれ記載されているので、ここでは省略する。

［第２実施形態のスキンパック包装体の製造方法］
　第２実施形態スキンパック包装体１２は、例えば、次のようにして製造できる。
　前記スキンパック包装体１２の製造方法は、可撓性を有する平板状の台紙を曲げることにより、底部とその底部の両側から上方に立ち上がる両側部とを有する凹所を形成する曲げ工程と、前記凹所内に被包装物を載置する載置工程と、前記被包装物を含んで前記台紙の表面側に、スキンパックフィルムを被せるパック工程と、前記台紙の裏面側から吸引することにより、台紙を略平板状に伸張させつつ前記スキンパックフィルムを台紙の表面に接着させる吸引工程と、を有する。第２実施形態においても、同一のスキンパック包装体１２を、複数同時に製造する場合を例に採って説明する。

＜台紙の準備工程＞
　製造時に使用される台紙は、通常、上記スキンパック包装体１２に具備された台紙２よりも大きい。図４１に示す台紙２Ｐからは、例えば、６つのスキンパック包装体１２を得ることができる。この台紙２Ｐには、前記６区画に、それぞれ同じデザインが印刷表示されている。各区画のデザインは、それぞれ、図４１に示すように、縦横に一定間隔を開けて規則的に印刷されている。図４１に便宜上、「デザイン」と表示している。台紙２Ｐの平面形状は特に限定されないが、通常、図示のように、矩形状の台紙２Ｐが用いられる。

　この台紙２Ｐの面内に、後述する凹所を形成する。台紙２Ｐを曲げ且つその曲げ形状を維持させることによって、前記凹所を台紙２Ｐに形成できる。台紙２Ｐを曲げやすく且つ曲げ形状を維持させ易くなることから、台紙２Ｐの面内に、折り罫線６１を形成しておくことが好ましい。図４１において、折り罫線を一点鎖線で示す。折り罫線６１は、台紙２Ｐの第１辺２ａから第２辺２ｂへと延びる直線状に形成され、その折り罫線６１は、台紙２Ｐの第３辺２ｃと略平行である。なお、台紙２Ｐの第１辺２ａと第２辺２ｂは、互いに対向する辺である。台紙２Ｐの第３辺２ｃ（図示上、台紙２Ｐの左側辺）と第４辺２ｄ（図示上、台紙２Ｐの右側辺）は、互いに対向する辺である。矩形状の台紙２Ｐにおいては、第１辺２ａと第３辺２ｃは、略直交している。１つの台紙２Ｐの２行×３列＝６区画にスキンパック包装体１２を得る本実施形態においては、台紙２Ｐの面内の３箇所に凹所が形成される。このため、前記折り罫線６１は、第３辺２ｃから第４辺２ｄの間に、略平行に複数（５本）形成されている。以下、複数の折り罫線６１を区別して説明する必要がある場合には、図４１の左から右に向かって、順に、第１折り罫線６１、第２折り罫線６２、第３折り罫線６３、第４折り罫線６４、第５折り罫線６５という。これらの折り罫線の詳細は、上記＜折り罫線＞の欄に記載された事項から適宜参照されたい。

　第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５の形成位置は、デザインを基準にして特定の位置（以下、所定のデザイン基準位置Ｚという場合がある）に形成される。例えば、基準となるデザインを仮に「○」とした場合（図４１参照）、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５を、その「○」の中心を通るように形成することにより、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５が、各デザインに対して同一の位置に形成される。第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５の形成位置は、台紙２Ｐを折り曲げた際に、凹所の底部となる位置である。よって、台紙２Ｐを折り曲げた際、各凹所の底部は、所定のデザイン基準位置Ｚに形成される。複数の隣り合う折り罫線の間隔Ａは、異なっていてもよいし、あるいは、略均等でもよい。図示のように、台紙２Ｐの６区画に表示された各デザインが一定間隔に表示される場合、前記間隔Ａは略均等とされる。従って、前記第１折り罫線６１と第３折り罫線６３の間隔Ｂ、及び、第３折り罫線６３と第５折り罫線６５の間隔Ｂは、いずれも等しい。さらに、台紙２Ｐの第３辺２ｃと第１折り罫線６１の間隔Ｃ、及び、第５折り罫線６５と台紙２Ｐの第４辺２ｄの間隔Ｃは、前記隣り合う折り罫線の間隔Ａと等しい。

＜台紙の曲げ工程＞
　曲げ工程は、可撓性を有する平板状の台紙２Ｐを曲げることにより、台紙２Ｐに凹所を形成する工程である。前記第１折り罫線６１などが形成された台紙２Ｐを、その第１折り罫線６１などに沿って、図４２及び図４３に示すように折り曲げる。具体的には、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５において、台紙２Ｐを谷折りし、第２折り罫線６２及び第４折り罫線６４において、台紙２Ｐを山折りする。なお、前記台紙２Ｐを谷折りすることは、図示において、下方に突出するように台紙２Ｐを折り曲げることであり、前記台紙２Ｐを山折りすることは、図示において、上方に突出するように台紙２Ｐを折り曲げることである。前記折り曲げにより、台紙２Ｐの第３辺２ｃから第４辺２ｄの間に、複数（３箇所）の凹所が等間隔にて形成される。以下、複数の凹所を区別して説明する必要がある場合には、図４３の左から右に向かって、順に、第１凹所７１、第２凹所７２、第３凹所７３という。

　各凹所７１，７２，７３は、台紙２Ｐの曲げ形状に起因して生じる凹んだ部分である。各凹所７１，７２，７３は、最も下方に位置する底部と、その底部の両側から上方に立ち上がった両側部と、からそれぞれ構成されている。両側部は、一方の側部及び他方の側部という意味である。各凹所は、尖った底部を谷線とするＶ字状とされている。上述のように、各凹所７１，７２，７３の底部は、何れも、所定のデザイン基準位置Ｚに形成される。折り曲げられた台紙２Ｐは、図４３のように、Ｖ字状の複数の凹所が連なった形状を成している。第１凹所７１の底部７１１は、第１折り罫線６１にて谷折りした角部であり、第１凹所７１の一方の側部７１２は、台紙２Ｐの第３辺２ｃから第１折り罫線６１の間の領域からなり、第１凹所７１の他方の側部７１３は、第１折り罫線６１から第２折り罫線６２の間の領域からなる。第１凹所７１の一方の側部７１２の上端は、台紙２Ｐの第３辺２ｃに相当し、第１凹所７１の他方の側部７１３の上端は、第２折り罫線６２で山折りした部分に相当する。前記底部７１１は、長状の第１凹所７１の延びる方向に対して直交する方向における、第１凹所７１の中央部に位置する。前記延びる方向に対して直交する方向は、台紙２Ｐの第１辺２ａと略平行な方向である。

　第２凹所７２の底部７２１は、第３折り罫線６３にて谷折りした角部であり、第２凹所７２の一方の側部７２２は、第２折り罫線６２から第３折り罫線６３の間の領域からなり、第２凹所７２の他方の側部７２３は、第３折り罫線６３から第４折り罫線６４の間の領域からなる。第２凹所７２の一方の側部７２２の上端は、第２折り罫線６２で山折りした部分に相当し、第２凹所７２の他方の側部７２３の上端は、第４折り罫線６４で山折りした部分に相当する。ただし、第２凹所７２の一方の側部７２２の上端は、第１凹所７１の他方の側部７１３の上端と兼用されている。前記底部７２１は、長状の第２凹所７２の延びる方向に対して直交する方向における、第２凹所７２の中央部に位置する。第３凹所７３の底部７３１は、第５折り罫線６５にて谷折りした角部であり、第３凹所７３の一方の側部７３２は、第４折り罫線６４から第５折り罫線６５の間の領域からなり、第３凹所７３の他方の側部７３３は、第５折り罫線６５から台紙２Ｐの第４辺２ｄの間の領域からなる。第３凹所７３の一方の側部７３２の上端は、第４折り罫線６４で山折りした部分に相当し、第３凹所７３の他方の側部７３３の上端は、台紙２Ｐの第４辺２ｄに相当する。ただし、第３凹所７３の一方の側部７３２の上端は、第２凹所７２の他方の側部７２３の上端と兼用されている。前記底部７３１は、長状の第３凹所７３の延びる方向に対して直交する方向における、第３凹所７３の中央部に位置する。

　各凹所７１，７２，７３の一方の側部７１２，７２２，７３２は、各底部７１１，７２１，７３１から外側に拡がって立ち上がっており、同様に、各凹所７１，７２，７３の他方の側部７１３，７２３，７３３は、底部７１１，７２１，７３１から反対外側に拡がって立ち上がっている。さらに、図示例では、各凹所７１，７２，７３の側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端が、（後述する）各凹所７１，７２，７３内に載置された被包装物３よりも上方に突出するように、台紙２Ｐを折り曲げている。第２実施形態において、外側は、台紙２Ｐの面内の重心から台紙２Ｐの辺に向かう方向をいい、内側は、前記辺から重心に向かう方向をいう。外側に拡がった各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の表面と水平面Ｓとの成す角αは、鈍角とされている。前記鈍角は、９０度を超え１８０度未満であり、好ましくは、１００度～１７０度であり、より好ましくは、１２０度～１７０度である。各折り罫線６１が等間隔で配置されている本実施形態においては、第１凹所７１、第２凹所７２及び第３凹所７３は、底面視Ｖ字状のような同一形状に形成可能である。従って、各凹所７１，７２，７３の底部７１１，７２１，７３１のそれぞれ、及び、両側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端のそれぞれは、何れも水平面と平行に揃っていると言える。ただし、可撓性を有する台紙２Ｐは、その性質上、折り曲げた後に元の平板状に幾分復元するため、全ての各凹所７１，７２，７３は、厳密な意味で同一形状であるというわけではない。

＜被包装物の載置工程＞
　載置工程は、前記凹所内に被包装物３を載置する工程である。図４４及び図４５に示すように、前記台紙２Ｐの表面であって前記各凹所７１，７２，７３内の所定位置に、被包装物３を入れていく。１つのスキンパック包装体１２に１つの被包装物３を具備させる場合には、各凹所７１，７２，７３に、被包装物３を間隔を開けて載置する。本実施形態は、１つの台紙２Ｐから６つのスキンパック包装体１２を得る態様なので、図４４に示すように、長状の凹所の１本当たり、２つの被包装物３を間隔を開けて入れていく。凹所内に被包装物３を載置すると、図４５に示すように、各凹所７１，７２，７３の両側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の表面に被包装物３の周面が接する。比較的肉厚の薄い台紙２Ｐを用いた場合には、被包装物３の自重により、各凹所７１，７２，７３の両側部が僅かに外側に膨らむこともあるが、特に問題はない。各被包装物３が両側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３に接することにより、被包装物３は、外側に転がることなく、各凹所７１，７２，７３の所定位置から動かない。前記所定位置は、被包装物を凹所に入れた当初の位置である。本実施形態では、前記所定位置は、所定のデザイン基準位置Ｚに対して特定の位置である。さらに、各凹所７１，７２，７３内に被包装物３をそれぞれ入れた後も、図４５に示すように、各凹所７１，７２，７３の両側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端（第３辺２ｃ、第２折り罫線６２、第４折り罫線６４及び第４辺２ｄに相当）は、被包装物３の上端よりも上方に突出している。

＜スキンパックフィルムのパック工程＞
　パック工程は、被包装物３が載置された台紙２Ｐの表面側に、その被包装物３を含んで、スキンパックフィルムを被せる工程である。加熱して軟化させたスキンパックフィルムを前記被包装物３を覆うようにして台紙２Ｐの表面側に被せる。なお、加熱しなくても十分に軟らかいスキンパックフィルムを用いてもよい。

　具体的には、スキンパックフィルムは、折り曲げ前の平板状の台紙２Ｐよりも大きいものが用いられる。図示例では、平板状の台紙２Ｐよりも大きく且つ台紙２Ｐと相似形のスキンパックフィルム４Ｐを用いた場合を例示している。
　通常、柔軟なスキンパックフィルム４Ｐを搬送するために、図４６（ａ）及び図４７に示すように、スキンパックフィルム４Ｐの周囲には、上枠９９１及び下枠９９２からなる保持枠９９が取り付けられている。保持枠９９の詳細は、上記第１実施形態の＜スキンパックフィルムのパック工程＞の欄に記載されているので、ここでは省略する。この保持枠９９にてスキンパックフィルム４Ｐを保持した状態で、遠赤外線ヒータなどの加熱装置を用いて、スキンパックフィルム４Ｐの表面若しくは裏面又は両面側からこれを加熱し、スキンパックフィルム４Ｐを軟化させる（図４６（ａ）を参照）。その軟化させたスキンパックフィルム４Ｐを保持枠９９と共に下方に移動させ、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐの上に被せる。

　図４６（ｂ）及び図４７は、軟化させたスキンパックフィルム４Ｐを前記被包装物３を覆うようにして台紙２Ｐの表面側に被せた後の状態を示している。なお、図４６（ｂ）において、便宜上、スキンパックフィルム４Ｐ及び保持枠９９を二点鎖線で示している。また、図４６（ａ）及び図４７において、台紙２Ｐ及びスキンパックフィルム４Ｐを単なる実線で示している。前記折り曲げた台紙２Ｐは、吸引台９の表面９６に載置されている。吸引台９は、台本体９１と、閉鎖空間９２と、複数の吸気孔９３と、連通路９４と、を有する。吸引台９の詳細は、上記第１実施形態の＜スキンパックフィルムのパック工程＞の欄に記載されているので、ここでは省略する。吸引台９の表面９６は、平坦状とされている。第２実施形態では、台紙２Ｐが吸引台９の表面９６上を滑りやすくなることが好ましい。従って、吸引台９の表面９６に、台紙２Ｐとの摩擦が小さくなるような表面処理が施されていてもよい。前記表面処理としては、ワックス塗布などが挙げられる。

　軟化させたスキンパックフィルム４Ｐは柔軟である上、各凹所７１，７２，７３の側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端が被包装物３よりも上方に突出している。このため、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐの表面側から載せた際、スキンパックフィルム４Ｐの裏面が、少なくとも第１凹所７１の一方の側部７１２の上端（台紙２Ｐの第３辺２ｃ）及び第３凹所７３の他方の側部７３３の上端（台紙２Ｐの第４辺２ｄ）に接する。なお、第１凹所７１は、台紙２Ｐの第３辺２ｃに近接する凹所であり、第３凹所７３は、台紙２Ｐの第４辺２ｄに近接する凹所である。この際、保持枠９９の下枠９９２は、図４７に示すように、吸引台９の表面９６に気密的に密着する。

　本実施形態では、第１凹所７１、第２凹所７２及び第３凹所７３の各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端は同じ高さである。換言すると、第１凹所７１、第２凹所７２及び第３凹所７３の各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端は、いずれも、水平面内に存在する。このため、通常、軟化させたスキンパックフィルム４Ｐを前記台紙２Ｐに被したときには、スキンパックフィルム４Ｐの裏面が、全ての側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端に接する。なお、スキンパックフィルム４Ｐの厚みや材質にもよるが、非常に柔軟なスキンパックフィルム４Ｐの場合には、図４７に示すように、その裏面が凹所に入れられた被包装物３の上端に接することがある。

＜スキンパックフィルムの吸引工程＞
　吸引工程は、台紙２Ｐの裏面側からスキンパックフィルム４Ｐを吸引することにより、前記台紙２Ｐを略平板状に伸張させつつスキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐの表面に接着させる工程である。上記のように、スキンパックフィルム４Ｐが被せられた台紙２Ｐは、複数の吸気孔９３を有する吸引台９の表面９６に置かれている。もっとも、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐに被せるときには、前記吸引台９上に台紙２Ｐを置かず、スキンパックフィルム４Ｐを台紙２Ｐに被せた後、それを前記吸引台９の表面９６上に移送してもよい。そして、吸引装置（図示せず）を作動させ、吸引管を通じて、台紙２Ｐを真空吸引する。すると、台紙２Ｐとスキンパックフィルム４Ｐの間の空気が台紙２Ｐを透過し、その空気が、吸気孔９３から、閉鎖空間９２及び連通路９４を通じて吸引装置に吸引される。空気の吸引方向を、図４７の白抜き矢印で示す。空気の吸引により、スキンパックフィルム４Ｐと吸引台９の間の空気が吸引台９の下方に移動し、台紙２Ｐ及びスキンパックフィルム４Ｐが吸引台９の表面９６に引き寄せられる。この際、台紙２Ｐとスキンパックフィルム４Ｐの間の空気も、台紙２Ｐを透過して吸引台９の下方に移動する。

　前記吸引力により、台紙２Ｐが吸引台９の表面９６に引き寄せられると共に、台紙２Ｐの表面に密着しようするスキンパックフィルム４Ｐによって各凹所７１，７２，７３の両側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端が下方に押され、各凹所７１，７２，７３が平坦状になっていく。各凹所７１，７２，７３が平坦状になるに従い、台紙２Ｐは外側に拡がっていき、凹所の延びる方向に対して直交する方向に伸張する。台紙２Ｐの伸張方向を、図４７の塗潰し矢印で示す。以下、凹所の延びる方向を、縦方向といい、凹所の延びる方向と直交する方向を、横方向という。伸張により、曲げられていた台紙２Ｐは、図４８及び図４９に示すように、略平板状に復元する。なお、台紙２Ｐの伸張は、理論上、台紙２Ｐの横方向中央部（第２凹所７２の底部７２１）を基準にして、その両側が互いに離れるように外側に伸張する。図４９において、台紙２Ｐ及びスキンパックフィルム４Ｐを単なる実線で示している。

　曲げられていた台紙２Ｐは、台紙２Ｐの凹所７１，７２，７３の各底部７１１，７２１，７３１が吸引台９の表面９６上を滑りながら、外側に拡がっていく。特に、前記凹所の底部は、第１、第３及び第５折り罫線６１，６３，６５にて谷折りした角部であるため、吸引台９との接触面積が小さい。このため、前記底部７１１，７２１，７３１において吸引台９の表面９６に接触している台紙２Ｐは、吸引台９の表面９６上をスムースに滑りながら外側に拡がり易い。また、各凹所７１，７２，７３は、底部７１１，７２１，７３１から外側に拡がって鈍角状に立ち上がっているので、凹所の両側部の上端がスキンパックフィルム４Ｐによって下方に押された際に、各凹所７１，７２，７３の側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３はスムースに外側に拡がっていく。つまり、曲げられていた台紙２Ｐは、吸引により、スムースに伸張し略平板状に復元する。

　そして、前記台紙２Ｐの伸張に追従して、台紙２Ｐに載せられた被包装物３も、外側に移動する。上述のように、理論上、台紙２Ｐは、第２凹所７２の底部７２１を基準にして、その両側が互いに離れるように外側に伸張する。つまり、台紙２Ｐは、理論上、第１凹所７１及び第３凹所７３が平坦状に成りながら外側へ動くので、第１凹所７１及び第３凹所７３に載った被包装物３も、それに追従して、第１凹所７１の底部７１１及び第３凹所７３の底部７３１の移動距離と同じだけ外側に移動する。よって、台紙２Ｐが略平板状になった後も、全ての被包装物３は、所定のデザイン基準位置Ｚに対して特定の位置に保持されている。前記台紙２Ｐの伸張と同期して、スキンパックフィルム４Ｐが被包装物３を包むように伸展して被包装物３に密着すると共に、スキンパックフィルム４Ｐの裏面が略平板状に復元した台紙２Ｐの表面に接着する（図４８及び図４９参照）。このようにして、複数のスキンパック包装体１２が連なった連続体１３が得られる。なお、吸引により、台紙２Ｐが略平板状に復元するとは、次のような意味である。すなわち、吸引により、台紙２Ｐは折り曲げ前と同様に平板状に復元する場合もあるが、折り罫線を形成して台紙２Ｐを折り曲げているので、台紙２Ｐの材質や厚みなどにもよるが、台紙２Ｐは折り罫線において僅かに曲がっている場合もある。しかし、このような台紙２Ｐの僅かな曲がりは、スキンパック包装体１２としたときには殆ど無視できる程度である。

＜仕上げ工程＞
　仕上げ工程は、個々のスキンパック包装体１２を得る工程である。前記吸引工程で得られた連続体１３を保持枠９９から外し、図５０に示すように、個々のスキンパック包装体１２の外形に沿って切り取る。その切り取り線Ｄを、図５０の細点線で示す。
　本発明の製造方法では、被包装物３を凹所７１に載置することにより、被包装物３が不用意に動かない。このため、スキンパックフィルム４Ｐを被せて包装する際、被包装物３が所定位置からずれ難くなる。よって、被包装物３が台紙２Ｐの所定位置に保持されたスキンパック包装体１２を得ることができる。また、単に、台紙２Ｐを曲げて凹所７１を形成し、その凹所７１に被包装物３を入れるだけで、被包装物３を位置決めできるので、既存の設備でスキンパックフィルム４Ｐによる包装を極めて簡易に行うことができる。よって、比較的安価にスキンパック包装体１２を製造できる。さらに、本発明の製造方法によれば、台紙２Ｐに穴を形成する必要性がないので、封緘性に優れ且つ外観も良好なスキンパック包装体１２を製造できる。

　次に、上記第２実施形態のスキンパック包装体の製造方法の各種変形例を説明する。以下の様々な製法変形例の説明において、上記第２実施形態と同様の構成及び効果については（その説明をしたものみなして）その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。

［第１変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態の台紙２Ｐの曲げ工程においては、各凹所７１，７２，７３の底部７１１，７２１，７３１が何れも所定のデザイン基準位置Ｚとなるように、台紙２Ｐを折り曲げている。そして、この各凹所７１，７２，７３に被包装物３を載置した後、吸引工程にてスキンパックフィルム４Ｐなどを吸引して台紙２Ｐを伸張させると、全ての被包装物３が、所定のデザイン基準位置Ｚに対して特定の位置に保持されたままで、スキンパックフィルム４Ｐが接着する。しかしながら、被包装物３は台紙２Ｐの各凹所７１，７２，７３に載っているだけなので、台紙２Ｐが外側へ拡がるときに、慣性の法則に従い、被包装物３の移動距離が台紙２Ｐの底部の移動距離よりも短くなることがある。特に、比較的重い被包装物３を包装する場合や台紙２Ｐの表面に対する被包装物３の摩擦係数が小さい場合などにおいては、台紙２Ｐの伸張に被包装物３の追従が少し遅れることがある。このように台紙２Ｐが外側へ拡がるときに、被包装物３が少し追従しないと、被包装物３の保持位置が、所定のデザイン基準位置Ｚから少し内側へずれるおそれがある。第１変形例の製法においては、被包装物３の種類や被包装物３と台紙２Ｐの関係から生じ得る、保持位置のずれを予め見越して、各凹所７１，７２，７３を形成しておくものである。

　第１変形例においては、図５１に示すように、台紙２Ｐには、６区画にそれぞれ同じデザインが縦横に一定間隔を開けて規則的に印刷されている。なお、図５１に示す台紙２Ｐに表示された各デザインの間隔と、図４１に示す台紙２Ｐに表示された各デザインの間隔とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。第３折り罫線６３は、所定のデザイン基準位置Ｚに形成される。第３折り罫線６３よりも外側に形成される第１折り罫線６１及び第５折り罫線６５は、いずれも、所定のデザイン基準位置Ｚよりも少し外側寄りに形成される。なお、第２折り罫線６２は、第１折り罫線６１と第３折り罫線６３の間に形成されていればよいが、好ましくは、第１折り罫線６１と第３折り罫線６３の間の横方向中央位置に形成される。同様に、第４折り罫線６４は、第３折り罫線６３と第５折り罫線６５の間に形成されていればよいが、好ましくは、第３折り罫線６３と第５折り罫線６５の間の横方向中央位置に形成される。図５１において、折り罫線を一点鎖線で示す。

　このような位置に第１、第３及び第５折り罫線６１，６３，６５が形成された台紙２Ｐを、上記曲げ工程に従って折り曲げると、図５２に示すように、第２凹所７２の底部７２１は、所定のデザイン基準位置Ｚに形成され、且つ、第１凹所７１及び第３凹所７３の底部７１１，７１３は、所定のデザイン基準位置Ｚよりも外側に形成される。図５２に示す台紙２Ｐの各凹所７１，７２，７３に、上記載置工程に従って被包装物３をそれぞれ載置する。第１変形例の製法では、比較的重い被包装物３や台紙２Ｐの表面に対する摩擦係数が小さい被包装物３などのように、台紙２Ｐの伸張に少し追従し難い被包装物３が用いられる。被包装物３を載置後、図５３に示すように、上記パック工程に従ってスキンパックフィルム４Ｐを被せる。そして、上記吸引工程に従って、スキンパックフィルム４Ｐなどを吸引すると、曲げられていた台紙２Ｐが伸張するが、その際、第１凹所７１及び第３凹所７３に載置された被包装物３は完全に追従しない。これらの被包装物３が完全に追従しないので、これらの被包装物３は所定位置（凹所に入れた当初の位置）から少し内側にずれ、その結果、図４８に示すように、全ての被包装物３が所定のデザイン基準位置Ｚに対して特定の位置に保持されて包装された連続体１３が得られるのである。事後、上記仕上げ工程に従って、連続体１３を切り取ることにより、同一のスキンパック包装体１２を複数（例えば、６つ）同時に得ることができる。

　なお、第１変形例の製法は、台紙２Ｐの横方向に複数の凹所を形成する場合に有効である。さらに、台紙２Ｐの横方向に３箇所以上の凹所を形成する場合に特に有効である。５箇所以上且つ奇数の凹所を形成する場合には、台紙２Ｐの横方向中央部の凹所の底部が所定のデザイン基準位置Ｚとなるように、且つ、それ以外の凹所については、外側の凹所の底部ほどその形成位置が所定のデザイン基準位置Ｚよりも外側寄りになるように、台紙２Ｐを曲げることが好ましい。また、６箇所以上且つ偶数の凹所を形成する場合には、台紙２Ｐの横方向中央部に隣接する２箇所の凹所の各底部が所定のデザイン基準位置Ｚとなるように、且つ、それ以外の凹所については、外側の凹所の底部ほどその形成位置が所定のデザイン基準位置Ｚよりも外側寄りになるように、台紙２Ｐを曲げることが好ましい。

［第２変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態においては、折り曲げられた台紙２Ｐとして、図４３に示すようなＶ字状の凹所が連なった形状のものを例示しているが、台紙２Ｐの曲げ形状（凹所の形状）は、これに限定されない。台紙２Ｐは、凹所にて被包装物３を保持でき且つ吸引時に外側に拡がり略平板状に戻り得るように曲げられていればよい。例えば、図５４に示すように、各凹所７１，７２，７３，７４の底部７１１，７２１，７３１，７４１が、平坦状（水平面と平行な面）となるように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。なお、平坦状の底部７１１，７２１，７３１，７４１を、所定のデザイン基準位置Ｚに対して特定の位置に形成したい場合には、その平坦状の底部７１１，７２１，７３１，７４１の横方向中央部を所定のデザイン基準位置Ｚに合わせればよい。

　また、図５５に示すように、各凹所７１，７２，７３，７４，７５の底部７１１，７２１，７３１，７４１，７５１が、角部となり、且つ、各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３，７４２，７４３，７５２，７５３の上端が平坦状となるように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。さらに、特に図示しないが、各凹所の底部及び各側部の上端がそれぞれ平坦状となるように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。これらの中では、図５５に示すように、各凹所７１，７２，７３，７４，７５の底部７１１，７２１，７３１，７４１，７５１が角部となり、且つ、各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３，７４２，７４３，７５２，７５３の上端が平坦状となるように、台紙２Ｐを折り曲げる態様が好ましい。上記第２実施形態で説明したように、凹所の底部が角部であると、吸引台９との接触面積が小さくなり、曲げられた台紙２Ｐが、吸引台９の表面９６上をスムースに滑りながら外側に拡がり易くなる。一方、凹所の各側部の上端が平坦状であると、スキンパックフィルム４Ｐによって台紙２Ｐが押し拡げられ易くなる。

　台紙２Ｐを曲げる場合であっても、図５４及び図５５に示すように、各被包装物３（二点鎖線で示す）が各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３，７４２，７４３，７５２，７５３に接するように、凹所７１，７２，７３，７４，７５を形成することが好ましく、さらに、各側部を水平面に対して鈍角に立ち上げることが好ましい。

［第３変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態においては、全ての凹所の両側部の上端が何れも水平面と平行に揃うように（同じ高さとなるように）、台紙２Ｐを折り曲げているが、一部の側部の上端の高さ位置が異なるように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。例えば、図５６に示すように、第２凹所７２の両側部７２２，７２３（第１凹所７１の他方の側部７１３及び第３凹所７３の一方の側部７３２）の上端が、第１凹所７１の一方の側部７１２の上端及び第３凹所７３の他方の側部７３３の上端よりも低くなるように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。

　この場合、第２凹所７２の両側部７２２，７２３の上端が、載置された被包装物３（二点鎖線で示す）よりも下方に位置することもある。この点、第１凹所７１の一方の側部７１２の上端及び第３凹所７３の他方の側部７３３の上端が、被包装物３よりも上方に突出していれば、軟化させたスキンパックフィルム４Ｐの裏面がこれらの上端に確実に接する。つまり、台紙２Ｐの第３辺２ｃに近接する凹所の側部の上端及び台紙２Ｐの第４辺２ｄに近接する凹所の側部の上端が、被包装物３よりも上方に突出していれば、軟化させたスキンパックフィルム４Ｐの裏面がこれらの上端に確実に接する。このため、上記吸引工程において空気を吸引する際、前記台紙２Ｐとスキンパックフィルム４Ｐの間に存在する空気の多くが、台紙２Ｐの辺を迂回して逃げることを防止できる。

［第４変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態においては、第１凹所７１の一方の側部７１２の上端が台紙２Ｐの第３辺２ｃを構成し且つ第３凹所７３の他方の側部７３３の上端が台紙２Ｐの第４辺２ｄを構成しているが、例えば、図５７に示すように、台紙２Ｐの第３辺２ｃの近傍にて下方に曲げられた部分７８及び／又は台紙２Ｐの第４辺２ｄの近傍にて下方に曲げられた部分７９を形成するように、台紙２Ｐを折り曲げてもよい。また、前記各部分７８，７９は、下方に曲げるだけでなく、水平に曲げてもよい。このように台紙２Ｐを曲げる態様は、凹所７１の一方の側部７１２の上端が台紙２Ｐの第３辺２ｃに近接し、且つ、凹所７３の他方の側部７３３の上端が台紙２Ｐの第４辺２ｄに近接するものである。

［第５変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態においては、各凹所７１，７２，７３が、鋭く尖った底部７１１，７２１，７３１を谷線とするＶ字状とされているが、例えば、図５８に示すように、各凹所７１，７２，７３が、比較的緩やかに尖った底部７１１，７２１，７３１を谷線とするＶ字状とされていてもよい。この場合、図５８のように、各凹所７１，７２，７３の各側部７１２，７１３，７２２，７２３，７３２，７３３の上端が、凹所に載せられた各被包装物３よりも下方に位置するように、台紙２Ｐを折り曲げることが好ましい。

［第６変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態及び各変形例においては、台紙２Ｐの縦方向に延びる凹所の両側部に被包装物３の周面が接するので、吸引工程において、被包装物３が台紙２Ｐの横方向に転動することがない。しかしながら、上記第２実施形態及び各変形例の台紙２Ｐでは、吸引工程において、被包装物３が台紙２Ｐの縦方向に位置ずれおそれがある。凹所の両側部に被包装物３の周面が接している場合、所定位置に入れた被包装物３が台紙２Ｐの縦方向に位置ずれする可能性は極めて低いが、何らかの衝撃や振動などが台紙２Ｐに加わって、被包装物３が台紙２Ｐの縦方向に位置ずれすることも考えられる。

　第６変形例は、被包装物３が縦方向にも位置ずれしないように、被包装物３の転動軸方向の少なくとも一方の端部を係止する凸所を、凹所の一部分に形成するものである。具体的には、図５９に示すように、台紙２Ｐを折り曲げ易くするために、台紙２Ｐの面内に複数の折り罫線が形成されている。もっとも、上記第２実施形態と同様に、折り罫線６１を形成せずに折り曲げることも可能である。図５９において、折り罫線を一点鎖線で示す。上記第２実施形態と同様に、図５９の左から右に向かって、順に、第１折り罫線６１、第２折り罫線６２、第３折り罫線６３、第４折り罫線６４、第５折り罫線６５が形成されている。これら第１乃至第５折り罫線６１，６２，６３，６４，６５は、台紙２Ｐの第１辺２ａから第２辺２ｂへと延びる直線状に形成され、台紙２Ｐの第３辺２ｃと略平行である。

　さらに、台紙２Ｐの面内には、有端の切り目８１，８２，８３，８４が複数形成されている。切り目は、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５に跨がって形成されている（切り目は、折り罫線に交差して形成されている）。各切り目８１，８２，８３，８４は、台紙２Ｐの厚み方向に貫通した切り取り線である。各切り目８１，８２，８３，８４は、被包装物３を載置したときに、被包装物３の転動軸方向の両端部に略一致する位置に形成される。１つの凹所に対して２つの被包装物３が入れられる場合には、縦方向に所定間隔を開けて４つの切り目８１，８２，８３，８４が形成される。以下、台紙２Ｐの第１辺２ａから第２辺２ｂに向かって、順に、第１切り目８１、第２切り目８２、第３切り目８３、第４切り目８４という。

　第１乃至第４切り目８１，８２，８３，８４は、横方向に延びる直線状であることが好ましいが、横方向に延びる波形状などでもよい。また、第１乃至第４切り目８１，８２，８３，８４は、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５を基準にして線対称に形成されていることがより好ましい。なお、各切り目の両端部は、台紙２Ｐの第３辺２ｃ及び第４辺２ｄ並びに第２折り罫線６２及び第４折り罫線６４にまで至っていない。さらに、台紙２Ｐの面内には、第１乃至第５折り罫線６１，６２，６３，６４，６５以外に、複数の第６折り罫線６６が形成されている。かかる第６折り罫線６６は、第１切り目８１の両端部から台紙２Ｐの第１辺２ａの間に、第２切り目８２の両端部から第３切り目８３の両端部の間に、及び、第４切り目８４の両端部から台紙２Ｐの第２辺２ｂの間に、それぞれ形成されている。各第６折り罫線６６は、第１折り罫線６１と略平行に延びる直線状である。

　上記切り目８１，８２，８３，８４及び折り罫線６１，６２，６３，６４，６５，６６が形成された台紙２Ｐを、折り曲げる。具体的には、第２折り罫線６２及び第４折り罫線６４において、台紙２Ｐを山折りする。さらに、第１切り目８１と台紙２Ｐの第１辺２ａの間、第２切り目８２と第３切り目８３の間、及び、第４切り目８４と台紙２Ｐの第２辺２ｂの間における、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５において、台紙２Ｐを山折りする。一方、第１切り目８１と第２切り目８２の間、及び、第３切り目８３と第４切り目８４の間における、第１折り罫線６１、第３折り罫線６３及び第５折り罫線６５において、台紙２Ｐを谷折りする。このように曲げることにより、図６０及び図６１に示すように、第１乃至第３凹所７１，７２，７３の一部分に、上方に突出した凸所７７，７８，７９がそれぞれ生じる。これらの凸所７７，７８，７９は、対応する凹所７１，７２，７３の底部７１１，７２１，７３１よりも上方に突出した部分である。

　かかる折り曲げ後の台紙２Ｐの第１乃至第３凹所７１，７２，７３に、被包装物３を載置すると、図６２及び図６３に示すように、凸所７７の端部７７１，７７２に、被包装物３の転動軸方向の端部が接する又は近接する。例えば、凸所７７の端部７７１に、被包装物３の天面３１１が接し又は近接し、凸所７７の端部７７２に、被包装物３の底面３１２が接し又は近接する。なお、凸所７８，７９についても同様に、被包装物３の端部が接し又は近接する。このように被包装物３の両端部に台紙２Ｐの凸所７７，７７が位置しているので、台紙２Ｐに載せた被包装物３は、その転動軸方向に位置ずれすることがない。事後、上記第１実施形態と同様にして、スキンパックフィルム４Ｐを被せ、吸引することにより、被包装物３が台紙２Ｐの所定位置に保持されたスキンパック包装体１２を得ることができる。

　第６変形例の製造方法によって得られるスキンパック包装体１２は、台紙２Ｐに切り目８１が残っている。このため、前記スキンパック包装体１２は、この切り目８１に指などを入れて容易に開封できる。つまり、第６変形例のように、製造時に台紙２Ｐに切り目８１を形成する態様においては、開封性の向上したスキンパック包装体１２を製造できる。なお、第６変形例において、被包装物３の両端部に接する又は近接するように凸所７７が形成されているが、被包装物３の両端部のうち何れか一方の端部に接する又は近接するように凸所が形成されていてもよい。一方の端部のみに接する凸所を設けて場合でも、少なくともその凸所側へ被包装物３が位置ずれすることを防止できる。

［第２実施形態の他の変形例のスキンパック包装体の製造方法］
　上記第２実施形態及び各変形例においては、折り罫線を形成して台紙２Ｐを折り曲げているが、折り罫線を形成しないで折り曲げることも可能である。さらに、上記第２実施形態及び各変形例においては、台紙２Ｐを折り曲げて凹所７１の底部７１１及び両側部７１２，７１３を形成しているが（角部を生じるように屈曲させている）、台紙２Ｐを円弧状に曲げて凹所を形成することも可能である。もっとも、厚紙や合成樹脂シートなどからなる台紙２Ｐにあっては、それを円弧状に曲げ且つその状態を維持させることは困難なので、上記のように、角部を生じるように折り曲げて凹所を形成することが好ましい。

　また、上記第２実施形態及び各変形例では、台紙２Ｐの横方向に３箇所の凹所７１，７２，７３を形成する場合を例示したが、例えば、図５４に示すように、台紙２Ｐの横方向に４箇所の凹所７１，７２，７３，７４を形成してもよいし、図５５に示すように、台紙２Ｐの横方向に５箇所の凹所７１，７２，７３，７４，７５を形成してもよい。特に図示しないが、台紙２Ｐの横方向に２箇所又は６箇所以上の凹所を形成してもよい。もちろん、台紙２Ｐの横方向に１箇所だけ凹所を形成して、スキンパック包装体１２を製造してもよい。もっとも、同時により多くのスキンパック包装体１２を製造できることから、台紙２Ｐの横方向に複数箇所の凹所を形成することが好ましい。その他、上記第２実施形態及び各変形例で示した態様を適宜に組み合わせてスキンパック包装体１２を製造することもできる。

　１１，１２…スキンパック包装体、２…台紙、２Ｐ…製造時に使用される台紙、３…被包装物、３１…易転動物品、３２…難転動物品、４…スキンパックフィルム、４Ｐ…製造時に使用されるスキンパックフィルム、５１，５２…切断線、５１１，５１２，５２１，５２２…切断線の端部、２６，２７，６１，６２，６３，６４，６５，６６…折り罫線、７１，７２，７３，７４，７５…凹所、７７，７８，７９…凸所、９…吸引台、Ｌ…転動軸を台紙に投影した直線、Ｍ…切断線の両端部を結んだ仮想直線、Ｘ…転動軸方向一方側の辺

Claims

　台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持され且つ転動胴部を有する易転動物品と、を有し、
　前記台紙には、少なくとも１つの切断線が形成されており、
　前記切断線が、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成され、
　前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている、スキンパック包装体。
　台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持され且つ転動胴部を有する易転動物品と、を有し、
　前記台紙には、少なくとも１つの切断線が形成されており、
　前記切断線が、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線と平行な方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状に形成され、
　前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている、スキンパック包装体。
　前記台紙には、前記仮想直線上の全部又は一部に略沿って、折り罫線が形成されている、請求項１に記載のスキンパック包装体。
　前記切断線が、前記転動軸を台紙に投影した直線を基準にして、その直線に略直交する方向の第１側と第２側にそれぞれ設けられている、請求項１又は３に記載のスキンパック包装体。
　前記第１側の切断線と第２側の切断線が、前記転動軸を台紙に投影した直線に対して線対称に形成されている、請求項１、３又は４に記載のスキンパック包装体。
　台紙と、スキンパックフィルムと、前記台紙とスキンパックフィルムの間に保持された少なくとも２つの被包装物と、を有し、
　前記被包装物が、転動胴部を有する易転動物品と難転動物品とを含み、
　前記易転動物品の転動胴部と難転動物品が接するように、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の第１側に難転動物品が配置されており、
　前記台紙には、両端部を有し、且つその両端部から、前記転動胴部の転動軸を台紙に投影した直線に略直交する方向の何れか一方側に膨らんだ平面視形状を有する切断線が形成されており、
　前記切断線が、前記転動軸を台紙に投影した直線を基準にして前記直線に略直交する方向の第２側に配置され、
　前記切断線の両端部を結んだ仮想直線と切断線とによって囲われる領域の全部又は一部が、前記転動胴部の台紙投影形状に重なっている、スキンパック包装体。
　前記切断線が、前記転動胴部の台紙投影形状の、転動軸方向の一方側の辺に沿う部分又はその辺の外近傍に延びる部分を有する、請求項１乃至６のいずれか一項に記載のスキンパック包装体。
　可撓性を有する平板状の台紙を曲げることにより、底部とその底部の両側から上方に立ち上がる両側部とを有する凹所を形成する曲げ工程と、
　前記凹所内に被包装物を載置する載置工程と、
　前記被包装物を含んで前記台紙の表面側に、スキンパックフィルムを被せるパック工程と、
　前記台紙の裏面側から吸引することにより、台紙を略平板状に伸張させつつ前記スキンパックフィルムを台紙の表面に接着させる吸引工程と、
　を有する、スキンパック包装体の製造方法。
　前記載置工程において、凹所内に被包装物を載置した後、前記上方に立ち上がる側部の表面と水平面との成す角が鈍角となる、請求項８に記載のスキンパック包装体の製造方法。
　前記曲げ工程において、前記凹所を、台紙の第１辺からその辺に対向する第２辺に延びる長状に形成すると共に、前記長状の凹所を、台紙の第３辺からその辺に対向する第４辺までの間に、間隔を開けて複数形成し、
　前記載置工程において、前記各凹所内に１つ又は２つ以上の被包装物を載置する、請求項８又は９に記載のスキンパック包装体の製造方法。