WO2013172208A1 - スティックスリップ現象の予兆検出方法、予兆検出装置、及び該予兆検出方法を用いた管の冷間抽伸方法 - Google Patents
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Definitions
- the present invention provides a cold drawing of a pipe characterized in that when a sign of a stick-slip phenomenon is detected by the sign detection method, the drawing speed of the pipe by the drawing machine is reduced. Also provided as a method. According to such an invention, the drawing speed is reduced when a sign of the stick-slip phenomenon is detected, so that the stick-slip phenomenon can be made difficult to occur.
- FIG. 1 is a diagram for explaining the stick-slip phenomenon.
- FIG. 2 is a schematic diagram showing a configuration example of a drawing machine and a stick-slip phenomenon sign detection device used in the sign detection method according to an embodiment of the present invention.
- FIG. 3 is an example of a transition diagram of the load in the drawing direction applied to the plug support rod measured by the sign detection device.
- FIG. 4 is a diagram of a frequency spectrum.
- FIG. 4A is a diagram of a frequency spectrum obtained by frequency analysis of the load measurement value in the normal state shown in FIG. 3, and
- FIG. 4B is a predictive state shown in FIG. It is a figure of the fresh frequency spectrum obtained by carrying out frequency analysis of the load measurement value of.
- FIG. 4A is a diagram of a frequency spectrum obtained by frequency analysis of the load measurement value in the normal state shown in FIG. 3
- FIG. 4B is a predictive state shown in FIG. It is a figure of the fresh frequency spectrum obtained by carrying out frequency analysis of the load measurement value of.
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Abstract
Description
管T内に挿入されたプラグ3はプラグ支持棒4の先端に設けられ、プラグ支持棒4の後端は抽伸機の架台に固定されている。抽伸時には、管Tの先端に取り付けられたキャリッジ(図示せず)が管Tを抽伸方向に引っ張る。この際、管Tの内面との間に生じる摩擦力によってプラグ3が引っ張られ、管Tと一体的に抽伸方向に移動する。プラグ3が引っ張られて抽伸方向に移動すると、プラグ支持棒4の後端が抽伸機の架台に固定されているため、プラグ支持棒4は抽伸方向に伸びる。従い、プラグ支持棒4の弾性による収縮力によって、プラグ3には抽伸方向と反対側(プラグ支持棒4側)に引き戻す力が働く。プラグ3の抽伸方向への移動距離が長くなると、プラグ支持棒4の弾性による収縮力も大きくなり、プラグ3を引き戻す力が大きくなる。管Tの内面とプラグ3との間に生じる摩擦力よりもプラグ3を引き戻す力が大きくなると、プラグ3と管Tの内面との間に滑りが生じてプラグ3はプラグ支持棒4側に引き戻される。プラグ3が引き戻されてプラグ支持棒4の収縮力が小さくなると、プラグ3は、再び管Tに引っ張られて抽伸方向に移動する。このようにしてプラグ3の抽伸方向への移動とプラグ支持棒4側への引き戻しが繰り返されることにより、プラグ3は抽伸方向に沿って振動する。スティックスリップ現象は、このようにして、抽伸中にプラグ3と管Tとの間の摩擦と滑りとによってプラグ3が抽伸方向に沿って大きく振動し、音が発生する現象である。このスティックスリップ現象は、抽伸速度が速い場合や管とプラグとの間の潤滑性が悪い場合等に発生し易い。
スティックスリップ現象が発生するとプラグ等の振動に起因した音が生じるので、作業者は、抽伸中にスティックスリップ現象の音を聞くと抽伸速度を低下させる。そして、以後の同一ロットの管については、低下させた抽伸速度以下の速度で抽伸すること等によりスティックスリップ現象の発生を防止している。しかしながら、スティックスリップ現象の発生を危惧するあまり、抽伸速度を必要以上に低下させるおそれがあり、必要以上に低下させれば生産効率が低下する。
例えば、ダイスにAEセンサーを取り付け、所定の周波数の振動を検出したときにスティックスリップ現象が発生したと判断する抽伸方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、管を引っ張るキャリッジの歪を測定し、歪変化量の周波数解析結果からスティックスリップ現象の発生を判断する検出方法が提案されている(特許文献2参照)。
ダイスに取り付けたAEセンサーには、特許文献1に記載の方法の本来の検出対象であるダイスの振動と共に、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動が検出されていると思われる。しかしながら、ダイスに取り付けたAEセンサーは、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動のみならず、ダイスの振動、管を引っ張るキャリッジによる振動、周囲の他の設備による振動、及び工場建屋の振動等まで一緒に検出してしまうので、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動を他の振動から見分けることが難しい。
特許文献2の検出方法では、管を引っ張るキャリッジの歪を測定している。キャリッジの歪の測定結果は、特に冷間抽伸がチェーン方式の場合にはキャリッジや他の設備の振動等の影響を受け易い。このため、特許文献2の図2で示されるような周波数解析を実施しても、キャリッジの歪以外の要因で生じるノイズの影響が大きく、予兆を誤判定するおそれがある。更に、スティックスリップ現象の予兆が発生した場合に、キャリッジが引っ張っている管は、プラグとの間で、一体的な移動と滑りとを繰り返しており、管はプラグと常には一体的に移動していないので、管を引っ張るキャリッジの歪にはプラグの振動の影響が直接には現れない。従って、キャリッジの歪を測定しても、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動を検出するのは困難と考えられる。
スティックスリップ現象の予兆が抽伸開始後のどの時点で発生し易いかを事前に調査して取得する。予兆が発生し易い時点の分布である発生分布が、広範囲に及ぶ場合には、抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間の任意の時間に荷重測定ステップと予兆検出ステップとを複数回行えるように荷重測定ステップの測定開始時点と測定終了時点を定めればよい。即ち、測定開始時点と測定終了時点との対を抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間の任意の時間に複数対定めればよい。抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間に、測定開始時点と測定終了時点との対を複数対定めて、荷重測定ステップと予兆検出ステップとを繰り返せば、予兆を漏れなく検出することが期待できる。この測定開始時点から測定終了時点までの間(以下、測定開始時点から測定終了時点までの間を荷重測定時間ともいう)は可能な限り短くすることが望ましい。スティックスリップ現象の予兆が発生した場合に、予兆検出ステップによって直ぐに予兆を検出しスティックスリップ現象発生の防止処置を行えるからである。
また、予兆が発生し易い時点の分布である発生分布が狭範囲に収まるのであれば、荷重測定ステップと予兆検出ステップとをそれぞれ1回ずつ実行することとして、その発生分布が測定開始時点から測定終了時点までの間に入るように、荷重測定ステップの測定開始時点と測定終了時点を定めればよい。なお、荷重測定時間中に予兆が検出されたとき、スティックスリップ現象が発生するまでの間にスティックスリップ現象発生の防止処置を行えるように、測定終了時点は抽伸を開始する時点に近づけることが望ましい。
また、予兆検出ステップにおいて、荷重測定値を所定の周波数帯域について周波数解析することによって予兆を検出する場合には、検出の精度を高めるために、荷重測定時間は可能な限り短く定めることが望ましい。長い荷重測定時間と短い荷重測定時間とで同じ予兆を検出する場合に、短い荷重測定時間で検出する方が、周波数解析の対象とする全荷重測定値に対する予兆に関わる荷重測定値の割合が増えるからである。
また、本発明では、振動源であるプラグに直接繋がっているプラグ支持棒に掛かる荷重を測定しているので、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動を検出することができる。
以上に述べた理由により、スティックスリップ現象の発生前の予兆を、本発明の方法によって検出できると考えられる。
斯かる好ましい方法によれば、荷重測定値を所定の周波数帯域について周波数解析して予兆の発生を判断するので、予兆時のプラグの振動数以外の振動数を有するノイズに影響され難くなり、予兆の発生を精度よく判断し得ることが期待できる。
斯かる発明によれば、スティックスリップ現象の予兆を検出したときに抽伸速度を低下させるので、スティックスリップ現象を発生し難くすることができる。
図2は、本実施形態に係る予兆検出方法に用いる抽伸機及びスティックスリップ現象の予兆検出装置の一構成例を示す概略図である。
管(鋼管)Tを抽伸する抽伸機1は、ダイス2と、ダイス2内に設けられたプラグ3と、プラグ3を支持するプラク支持棒4とを備えている。プラグ3は、プラグ支持棒4の先端に設けられ、プラグ支持棒4の後端は、抽伸機1の架台(図示せず)に固定ピン5で固定されている。
予兆検出装置6は、プラグ支持棒4に掛かる抽伸方向(図2に矢符で示す方向)の荷重を測定する荷重測定部61と、荷重測定部61が測定した荷重測定値に基づいてスティックスリップ現象の予兆を検出する予兆検出部62とを備えている。予兆検出装置6は、予兆検出部62等の動作を制御する制御部63と、予兆の検出を報知する報知部64とを更に備えている。
周波数解析部62aには、荷重測定値を周波数解析する周波数帯域の範囲が、抽伸条件に応じて記憶されている。荷重測定値を周波数解析する周波数帯域の範囲は、例えば、事前にスティックスリップ現象の予兆時の荷重測定値を周波数解析し、予兆時のプラグ3の振動がどのような周波数の振動を有しているかを調べて設定され、記憶される。
判断部62bは、周波数解析によって得られた周波数スペクトルのピーク強度が、所定の基準値を超えた場合にスティックスリップ現象の予兆が発生したと判断する。判断部62bには、予兆が発生したと判断する所定の基準値が、抽伸条件に応じて記憶されている。この所定の基準値は、例えば、スティックスリップ現象の予兆時の荷重測定値から得られる周波数スペクトルの強度を事前に調べて設定され、記憶される。
鋼管Tを抽伸機1にセットし、キャリッジ(図示せず)によって鋼管Tの先端を引っ張り、抽伸を開始する(開始ステップ)。
抽伸を開始した後に、予め定めた測定開始時点から測定終了時点までの間、前記プラグ支持棒に掛かる抽伸方向の荷重(引張荷重)を測定する(荷重測定ステップ)。
スティックスリップ現象の予兆が抽伸開始後のどの時点で発生し易いかを事前に調査して取得する。予兆が発生し易い時点の分布である発生分布が、広範囲に及ぶ場合には、抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間の任意の時間に荷重測定ステップと予兆検出ステップとを複数回行えるように荷重測定ステップの測定開始時点と測定終了時点を定めればよい。即ち、測定開始時点と測定終了時点との対を抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間の任意の時間に複数対定めればよい。抽伸の開始時点から抽伸の終了時点までの間に、測定開始時点と測定終了時点との対を複数対定めて、荷重測定ステップと、後述の予兆検出ステップとを繰り返せば、予兆を漏れなく検出することが期待できる。この測定開始時点から測定終了時点までの間は可能な限り短くすることが望ましい。スティックスリップ現象の予兆が発生した場合に、予兆検出ステップによって直ぐに予兆を検出しスティックスリップ現象発生の防止処置を行えるからである。
また、予兆が発生し易い時点の分布である発生分布が狭範囲に収まるのであれば、荷重測定ステップと予兆検出ステップとをそれぞれ1回ずつ実行することとして、その発生分布が測定開始時点から測定終了時点までの間に入るように、荷重測定ステップの測定開始時点と測定終了時点を定めればよい。なお、荷重測定時間中に予兆が検出されたスティックスリップ現象が発生するまでの間にスティックスリップ現象発生の防止処置を行えるように、測定終了時点は抽伸を開始する時点に近づけることが望ましい。
荷重測定値に基づく予兆の検出は、例えば次のように行う。
制御部63は、周波数解析部62aに周波数解析を実行させる。具体的には、測定開始時点から測定終了時点までの間に荷重演算部61bが周波数解析部62aに送信した荷重測定値の所定の周波数帯域についての周波数解析を実行させる。そして、判断部62bは、周波数解析部62aによる周波数解析によって得られた周波数スペクトルのピーク強度が、所定の基準値を超えた場合にスティックスリップ現象の予兆が発生したと判断する。
判断部62bは、スティックスリップ現象の予兆が発生したと判断すると、予兆を検出したことを示す信号を制御部63に送信する。
(1)管材質:ベアリング鋼(SUJ2:JIS G 4805)
(2)抽伸前寸法:外径45.00mm、肉厚5.90mm、
(3)抽伸後寸法:外径34.30mm、肉厚5.20mm、
(4)プラグ支持棒の外径:19mm
(5)抽伸速度:40m/min
プラグ支持棒4に掛かる荷重は、通常状態L1では、変動幅が0.01(tf)程度であるが、予兆状態L2になると、0.05(tf)程度に少し大きくなり、スティックスリップ現象発生状態L3では、0.6(tf)程度に増大している。
本実施形態では、図4に示すように、周波数解析する周波数帯域の範囲Rは10~100Hzとしている。10~100Hzの範囲での周波数スペクトルのピーク強度Pは、図4(a)に示す通常状態L1では100以下であるが、図4(b)に示す予兆状態L2では250以上になっている。従って、ピーク強度の基準値を例えば100に設定しておけば、予兆を容易に検出できる。
このように、本実施形態では、プラグ支持棒に掛かる抽伸方向の荷重測定値に基づいて、スティックスリップ現象の予兆を検出することができる。
図5は、振動計で測定したプラグ支持棒4に掛かる抽伸方向の加速度の推移図の例である。横軸が抽伸時間(抽伸開始時点からの経過時間)を示し、縦軸がプラグ支持棒4に掛かる抽伸方向の加速度を示す。図5の推移図は、図3の場合と同じ抽伸条件で得られたものである。
すなわち、前述の予兆検出ステップにおいて判断部62bがスティックスリップ現象の予兆が発生したと判断すると、制御部63は、抽伸機1に予兆検出信号を送信し、予兆検出信号を受信した抽伸機1は、抽伸速度を自動的に低下させる(速度低下ステップ)。
また、予兆が検出されたときの報知部64による報知によって、作業者が手動で抽伸速度を低下させるようにしてもよい。
いずれにせよ、スティックスリップ現象の予兆を検出したときに抽伸速度を低下させるので、スティックスリップ現象を発生し難くすることができる。
また、本実施形態では、振動源であるプラグに直接繋がっているプラグ支持棒に掛かる荷重を測定しているので、スティックスリップ現象の発生前のプラグの小さな振動を検出することができる。
以上に述べた理由により、スティックスリップ現象の発生前の予兆を、本発明の方法によって検出できると考えられる。
特に、本実施形態のように、荷重測定値を所定の周波数帯域について周波数解析し、得られる周波数スペクトルのピーク強度に基づいて予兆の発生を判断するようにすれば、予兆時のプラグの振動数以外の振動数を有するノイズに影響され難くなり、予兆の発生を精度よく判断し得ることが期待できる。
2・・・ダイス
3・・・プラグ
4・・・プラグ支持棒
6・・・予兆検出装置
61・・・荷重測定部
62・・・予兆検出部
63・・・制御部
T・・・鋼管(管)
Claims (4)
- ダイスと、該ダイス内に設けられたプラグと、該プラグを支持するプラク支持棒とを備えた抽伸機による管の冷間抽伸時に、スティックスリップ現象の予兆を検出する予兆検出方法であって、
抽伸を開始した後に、予め定めた測定開始時点から測定終了時点までの間、前記プラグ支持棒に掛かる抽伸方向の荷重を測定する荷重測定ステップと、
前記荷重測定ステップで得られた荷重測定値に基づいてスティックスリップ現象の予兆を検出する予兆検出ステップとを含むことを特徴とするスティックスリップ現象の予兆検出方法。 - 前記予兆検出ステップにおいて、前記荷重測定値を所定の周波数帯域について周波数解析し、得られた周波数スペクトルのピーク強度が所定の基準値を超えた場合にスティックスリップ現象の予兆が発生したと判断することを特徴とする請求項1に記載のスティックスリップ現象の予兆検出方法。
- 請求項1又は2に記載の予兆検出方法によってスティックスリップ現象の予兆を検出したときに、前記抽伸機による管の抽伸速度を低下させることを特徴とする管の冷間抽伸方法。
- ダイスと、該ダイス内に設けられたプラグと、該プラグを支持するプラク支持棒とを備えた抽伸機によって管を冷間抽伸するときのスティックスリップ現象の予兆を検出する予兆検出装置であって、
抽伸を開始した後に、予め定めた測定開始時点から測定終了時点までの間、前記プラグ支持棒に掛かる抽伸方向の荷重を測定する荷重測定部と、
前記荷重測部により測定した荷重測定値に基づいてスティックスリップ現象の予兆を検出する予兆検出部とを備えたことを特徴とするスティックスリップ現象の予兆検出装置。
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