WO2013108679A1

WO2013108679A1 - 管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメント

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Publication number: WO2013108679A1
Application number: PCT/JP2013/050169
Authority: WO
Inventors: 親佐々木
Original assignee: 株式会社トヨックス
Priority date: 2012-01-16
Filing date: 2013-01-09
Publication date: 2013-07-25

Abstract

　管体の経時的なクリープや応力緩和と関係なく緊締バンドの増し締め不要で管体の抜け強度や気密性能を高く維持する。　ニップルＢが管体Ｃに挿入され、その外側にスリーブ２及び弾性リング３を挟むように緊締バンド１が取り付けた状態で、緊締バンド１を締め付けてスリーブ２及び弾性リング３を縮径変形させることにより、管体Ｃの外表面Ｃ１に対し弾性リング３の内面３ａが圧接して、弾性リング３自体と管体Ｃの外表面Ｃ１が圧縮変形すると同時に、管体Ｃの外表面Ｃ１において圧縮変形した容量分が、弾性リング３の凹状段部３ｂに向け膨出変形して嵌入し、この膨出部位Ｃ３が凹状段部３ｂに引っ掛かることで、管体Ｃ全体がその軸方向へ移動不能に保持されて抜け止めされる。また管体Ｃは、経時変化によりクリープや応力緩和が生じて弾性リング３との圧接部分が歪み、その肉厚寸法が薄くなると同時に反発弾性が低下しても、弾性リング３が反発弾性を維持して、凹状段部３ｂに対する膨出部位Ｃ３の引っ掛かりが保持される。

Description

管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメント

　本発明は、例えばホースやチューブなどの弾性変形可能な管体を、ニップルに対し緊締バンドで締め付けて連結するために用いられる管接続用バンドセット、及び、緊締バンドに付属される緊締バンド用アタッチメントに関する。

　従来、管体をバンドで締め付けて連結する場合、下記特許文献１に記載されるように、ホース本体の端部にニップルを挿嵌し、前記ホース本体の外周にスリーブが嵌装され、前記スリーブを介して前記ホース本体が締付けバンドで締め付けられている（例えば、特許文献１参照）。

実開昭６２－０３７６９４号公報

　このような従来のバンドによる締め付け構造では、管体が例えば合成樹脂製のホースやチューブなどの粘弾性体である場合、その初期は管体を構成する素材の反発弾性で緊締バンドと圧接して気密状態を保っていても、経時変化によりクリープ（永久歪）や応力緩和が生じて、管体が抜け易くなるだけでなく、それらの間から流体が漏れ易くなるという問題があった。
　このような問題点を解決するには、緊締バンドを増し締めする必要がある。しかし、緊締バンドの増し締め作業が面倒であるため、管体が配管接続される現場では、定期的に増し締めが行われないことが多く、管体が抜けて初めて異常に気付くという状況であった。さらに、緊締バンドの増し締めが行われたとしても、増し締め量は作業者の感覚に依存するため、管体の抜け強度を高く維持することが困難であった。

　本発明は、このような問題に対処することを課題とするものであり、管体の経時的なクリープや応力緩和と関係なく緊締バンドの増し締め不要で管体の抜け強度や気密性能を高く維持することなど、を目的とするものである。

　このような目的を達成するために本発明による管接続用バンドセットは、ニップルが挿入された弾性変形可能な管体の外側を包囲するように設けられて前記管体を前記ニップルの外周面に向け圧縮変形させるように締め付ける緊締バンドと、前記管体の外表面と前記緊締バンドとの間に設けられて前記緊締バンドの締め付けに伴い径方向へ弾性的に縮径変形可能なスリーブと、前記スリーブの内側に設けられて前記スリーブの縮径変形に伴い前記管体の前記外表面に圧接する弾性変形可能な弾性リングと、を備え、前記弾性リングは、前記管体の前記外表面と対向する内面に、前記管体の前記外表面における圧縮変形部位が嵌入する凹状段部を有することを特徴とする。

　また本発明による緊締バンド用アタッチメントは、ニップルが挿入された弾性変形可能な管体と、前記管体を前記ニップルの外周面に向け圧縮変形させるように締め付ける緊締バンドとの間に具備される緊締バンド用アタッチメントであって、前記緊締バンドの内側に設けられて前記緊締バンドの締め付けに伴い径方向へ弾性的に縮径変形可能なスリーブと、前記スリーブの内側に設けられて前記スリーブの縮径変形に伴い前記管体の前記外表面に圧接する弾性変形可能な環状の弾性リングと、を備え、前記弾性リングは、前記管体の前記外表面と対向する内面に、前記管体の前記外表面における圧縮変形部位が嵌入する凹状段部を有することを特徴とする。

　前述した特徴を有する本発明による管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメントは、ニップルが管体に挿入され、その外側にスリーブ及び弾性リングを挟むように緊締バンドが取り付けた状態で、緊締バンドを締め付けてスリーブ及び弾性リングを縮径変形させることにより、管体の外表面に対し弾性リングの内面が圧接して、弾性リング自体と管体の外表面が圧縮変形すると同時に、管体の外表面において圧縮変形した容量分が、弾性リングの凹状段部に向け膨出変形して嵌入し、この膨出部位が凹状段部に引っ掛かることで、管体全体がその軸方向へ移動不能に保持されて抜け止めされ、また管体は、経時変化によりクリープや応力緩和が生じて弾性リングとの圧接部分が歪み、その肉厚寸法が薄くなると同時に反発弾性が低下しても、弾性リングが反発弾性を維持して、凹状段部に対する膨出部位の引っ掛かりが保持される。
　したがって、管体の経時的なクリープや応力緩和と関係なく緊締バンドの増し締め不要で管体の抜け強度や気密性能を高く維持することができる。
　その結果、バンドで締め付けるだけの従来のものに比べ、管体に経時的なクリープや応力緩和が生じても緊締バンドで長期に亘り密閉保持できて更なる安全性の向上が図れる。

本発明の実施形態に係る管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメントの全体構成を示す説明図であり、（ａ）が管体の締め付け前を示す縦断正面図、（ｂ）が管体の締め付け後を示す縦断正面図のである。管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメントの斜視図であり、（ａ）が分解状態を示し、（ｂ）がセット状態を示している。締め付け過程を示す説明図であり、（ａ）が締め付け前の側面図、（ｂ）が締め付け後の側面図、（ｃ）が最小径まで締め付けた状態の側面図である。本発明の他の実施例に係る管接続用バンドセット及び緊締バンド用アタッチメントの全体構成を示す説明図であり、（ａ）が分解斜視図、（ｂ）が管体の締め付け後を示す縦断正面図である。

　以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
　本発明の実施形態に係る管接続用バンドセットＡは、図１～図４に示すように、ニップルＢが挿入された弾性変形可能な管体Ｃの外側を包囲するように設けられる緊締バンド１を有し、管体Ｃの外表面Ｃ１と緊締バンド１との間に環状のスリーブ２と弾性リング３を設けている。
　詳しく説明すると、管接続用バンドセットＡは、管体ＣをニップルＢの外周面Ｂ１に向け圧縮変形させるように締め付ける緊締バンド１と、緊締バンド１の締め付けに伴い径方向へ弾性的に縮径変形可能なスリーブ２と、スリーブ２の縮径変形に伴い管体Ｃの外表面Ｃ１に圧接する弾性変形可能な弾性リング３と、を主要な構成要素として備えている。
　さらに、本発明の実施形態に係る緊締バンド用アタッチメントＤは、ニップルＢを挿入した弾性変形可能な管体Ｃと緊締バンド１との間に具備される、少なくともスリーブ２と弾性リング３で構成されている。
　また、緊締バンド用アタッチメントＤとして、緊締バンド１に対応した専用のニップルＢを追加することも可能である。

　ニップルＢは、例えば真鍮などの金属や硬質合成樹脂などの硬質材料で、後述する管体Ｃの内径と略同じか又はそれよりも若干大きいか若しくは若干小さな外径を有する円筒状に形成されるか、或いは例えばステンレスなどの変形可能な剛性材料からなる板材をプレス加工やその他の成形加工することで、管体Ｃの内径と略同じか又はそれよりも若干大きいか若しくは若干小さな外径を有する肉厚が薄い円筒状に形成される。
　さらに、ニップルＢの外周面Ｂ１には、管体Ｃの接続端部における内表面Ｃ２と対向する抜け止め用の凹凸部Ｂ２を形成することが好ましい。
　ニップルＢの具体例としては、図１（ａ）（ｂ）に示されるように、抜け止め用の凹凸部Ｂ２として、ニップルＢの軸方向へ五つの山状の環状凸部と、それらと隣り合う五つの谷状の環状凹部が、交互に連続する竹の子状に形成している。
　また、その他の例として図示しないが、凹凸部Ｂ２の環状凸部及び環状凹部の配置数を変更したり、凹凸部Ｂ２の形状を変更したり、凹凸部Ｂ２を形成せずにニップルＢの外周面Ｂ１を平滑面に形成することも可能である。

　さらに、ニップルＢの外周面Ｂ１には、後述する緊締バンド１の取り付け位置を案内するガイド部Ｂ３が設けられ、透明又は半透明な管体Ｃを透して緊締バンド１の取り付け位置が外から目視によって認識可能となるように構成することが好ましい。
　それにより、ニップルＢに対して緊締バンド１がその性能を最も発揮する適正位置に取り付け可能となる。
　その結果、作業者の経験に関係なく誰でも緊締バンド１の性能を十分に発揮することができる。
　ガイド部Ｂ３の具体例としては、図１（ａ）（ｂ）に示されるように、ニップルＢの管差し込み口Ｂ４から一番目の環状凹部と管差し込み口Ｂ４から五番目の環状凹部に、一対のラインをそれぞれ後述する緊締バンド１やスリーブ２の幅寸法と一致するように略平行に付設している。
　また、その他の例として図示しないが、ガイド部Ｂ３としてラインを１本のみ付設したり、ラインに代えて帯状の着色部を付設したりすることも可能である。

　管体Ｃは、例えば塩化ビニルなどの軟質合成樹脂などの可撓性を有する粘弾性材料で成形される例えばホースやチューブなどであり、その外表面Ｃ１と内表面Ｃ２が平坦なものや透明又は半透明の材料で形成されるものを用いることが好ましい。
　管体Ｃの具体例として、図面に示される例では単層構造のホースを用いている。
　また、管体Ｃのその他の例として図示しないが、その透明又は不透明な外層と内層との間に中間層として、複数本か又は単数本の合成樹脂製ブレード（補強糸）が螺旋状に埋設される積層ホース（ブレードホース）や、中間層として合成樹脂製又は金属製の断面矩形などの帯状補強材と断面円形などの線状補強材を螺旋状に巻き付けて一体化した螺旋補強ホース（フォーランホース）や、金属製線材や硬質合成樹脂製線材を螺旋状に埋設した螺旋補強ホースなど、構造が異なる多種類の管体を用いることも可能である。

　緊締バンド１は、金属やその他の弾性変形可能な硬質材料で帯状の平バンドやカラーなどが用いられ、その内面１ａが管体Ｃにおいて接続端部の外表面Ｃ１と対向するように環状に巻き付けることで配置される。緊締バンド１を径方向へ縮径変形することにより、管体ＣをニップルＢの外周面Ｂ１に向けて圧縮変形させるように締め付ける。
　緊締バンド１には、緊締バンド１に係合して緊締バンド１を縮径方向に移動させる緊張手段１ｂを設けることが好ましい。

　緊締バンド１の具体例としては、図１（ａ）（ｂ）及び図２（ａ）（ｂ）に示される例の場合、例えばステンレスなどの錆難い帯状の平バンドが用いられ、緊張手段１ｂへ向けて突出する定ピッチ歯１ｃを、緊締バンド１の長手方向へ多数それぞれ等間隔毎に形成している。
　緊張手段１ｂは、緊締バンド１を径方向へ縮径するように変形するように締め付ける部材であり、緊締バンド１の定ピッチ歯１ｃと係合する回転操作部１ｂ１を有している。
　回転操作部１ｂ１は、回転自在に支持され、使用者の操作で正回転して定ピッチ歯１ｃを一方向へ順次移動させることにより、緊締バンド１の内面１ａがその径方向へ縮径するように変形して、後述するスリーブ２を管体Ｃの接続端部の外表面Ｃ１に向け押圧するように構成されている。また、回転操作部１ｂ１の逆回転に伴って定ピッチ歯１ｃを順次逆方向へ移動させることにより、緊締バンド１の内面１ａがその径方向へ拡径変形するように構成されている。
　詳しく説明すると、回転操作部１ｂ１としてウォームが、緊締バンド１の基端部に連設したハウジング１ｂ２に対し回転自在に軸着され、回転操作部１ｂ１の端部に形成される工具係合部１ｂ３に対し、例えばドライバーやスパナなどの工具を係合して回転操作するようにより、緊締バンド１の定ピッチ歯１ｃが緊締バンド１の縮径方向又は拡径方向へ移動するようになっている。
　さらに、緊締バンド１の先端部には、安全性を高めるためにキャップ１ｄが取り付けられている。
　また、その他の例として図示しないが、定ピッチ歯１ｃを孔状に形成したり、キャップ１ｄを取り付けずに緊締バンド１の先端部を露出させたり、回転操作部１ｂ１をウォームに代えて別の回転体で構成することも可能である。

　スリーブ２は、例えばポリアセタール樹脂やそれ以外の表面の滑り性と耐熱性に優れた合成樹脂などの弾性変形可能な材料で、円筒状又は略円筒状若しくは帯状に形成され、緊締バンド１の内面１ａに沿って環状に配置することにより、緊締バンド１に対して一体的に組み付けられる。
　さらに、スリーブ２は、その径方向へ弾性的に拡径及び縮径変形させる弾性変形部を有している。この弾性変形部によって、スリーブ２の内径は、その拡径時において管体Ｃの外径よりも大きくなるか又は管体Ｃの外径と略同じとなるように設定され、縮径時において管体Ｃの外径よりも小さくなるように設定している。
　詳しく説明すると、スリーブ２は、弾性変形部としてその周方向へ所定間隔毎に切欠形成される複数のスリット２ａと、スリーブ２の外周面に緊締バンド１の内面１ａと対向するように形成される接触面２ｂを有する。
　スリット２ａは、スリーブ２の周方向と交差する軸方向の端部に軸方向へ延びるように形成されるすり割りや凹みなどの切欠部からなり、スリーブ２において所定間隔毎の複数箇所に細長い隙間を形成している。
　接触面２ｂは、緊張手段１ｂによる緊締バンド１の縮径方向への移動（締め付け）に伴って緊締バンド１の内面１ａと接触するように配置されている。

　スリット２ａの具体例としては、図２（ａ）（ｂ）に示されるように、スリーブ２の軸方向の両端に、一端から他端に向けて軸方向へ直線状に延びる複数のスリット２ａを周方向へ等間隔毎にそれぞれ千鳥状に切欠形成することが好ましい。さらに、各スリット２ａは、その開口端部２ａ１と末端部２ａ２でそれぞれ周方向の幅寸法を変えるように形成することが好ましい。
　図２（ａ）（ｂ）に示される例の場合には、各スリット２ａにおいて幅広い開口端部２ａ１から幅狭い末端部２ａ２に亘り直線状の切り込み線２ａ３でテーパー状に傾斜するように結んでいる。スリーブ２の周方向の一部には、切り込み２ｃを入れて、スリーブ２が側面から見て略Ｃ字形となるように切り離すことにより、スリーブ２の成形を容易にしている。
　また、その他の例として図示しないが、各スリット２ａの幅広い開口端部２ａ１から幅狭い末端部２ａ２に亘って曲線状の切り込み線２ａ３で結んだり、各スリット２ａを幅広い開口端部２ａ１から幅狭い末端部２ａ２に亘ってＶ字形に形成したり、各スリット２ａの幅広い開口端部２ａ１から幅狭い末端部２ａ２に亘って、途中に段部を有する直線状の切り込み線２ａ３で結ぶことも可能である。さらに、スリーブ２の周方向の一部に切り込み２ｃを入れずに環状に連結することも可能である。

　スリーブ２の外周面（接触面２ｂ）において両側縁には、一対の突起２ｄが周方向へ突設され、これら突起２ｄの間に緊締バンド１が嵌入する空間を区画形成して、緊締バンド１が管体Ｃの軸方向へ移動不能に収納配置している。
　スリーブ２の内周面には、環状の凹溝部２ｅを設け、凹溝部２ｅ内に後述する弾性リング３が収納配置される。凹溝部２ｅの両側には、一対の突起部２ｆをそれぞれ管体Ｃの外表面Ｃ１に向け突出するように形成し、緊締バンド１によるスリーブ２の縮径時において各突起部２ｆが、管体Ｃの外表面Ｃ１に食い込むように緊締バンド１の締め付け量を設定することが好ましい。さらに各突起部２ｆは、その肉厚がそれぞれの先端へ向かって徐々に薄くなるように形成することが好ましい。
　図１（ａ）（ｂ）及び図２（ａ）（ｂ）に示される例の場合には、各突起部２ｆの外側面を直線的に傾斜させることで、その肉厚がそれぞれの先端へ向かって徐々に薄くなるようにしている。
　また、その他の例として図示しないが、突起部２ｆの外側面をその肉厚がそれぞれの先端へ向かって徐々に薄くなるように曲線的に傾斜させることも可能である。

　弾性リング３は、例えばゴムなどの弾性変形可能な弾性材料で円環状に形成され、管体Ｃの外表面Ｃ１と対向する内面３ａに、管体Ｃの外表面Ｃ１における圧縮変形部位Ｃ３が嵌入する凹状段部３ｂを有している。
　さらに、弾性リング３の材料としては、管体Ｃを構成する粘弾性材料よりも長期に亘って弾力が保持される弾性材料を用いることが好ましい。
　弾性リング３の具体例としては、スリーブ２の凹溝部２ｅ内に、断面円形や楕円形のリングを複数本並列配置して、その境目部分に凹状段部３ｂを周方向へ形成するか、又はその内周面に凹状段部３ｂが周方向へ形成された断面矩形の帯状リングを配置したりすることが好ましい。

　そして、本発明の実施形態に係る管接続用バンドセットＡの使用方法について説明する。
　先ず、図２（ａ）に示されるように、緊締バンド１に対してスリーブ２及び弾性リング３からなる緊締バンド用アタッチメントＤを組み付け、これらを一体化する。
　この組み付け状態で、図２（ｂ）に示されるように、弾性リング３の中に管体Ｃを挿通してから、管体Ｃの接続端部にニップルＢを挿入する。
　その後、ニップルＢの外周面Ｂ１が挿入された管体Ｃの接続端部の外側を包囲するように所定位置へ向け、緊締バンド１及び緊締バンド用アタッチメントＤが管体Ｃの軸方向へ移動され、この所定位置で緊締バンド１の締め付けを開始する。

　このような本発明の実施形態に係る管接続用バンドセットＡ及び緊締バンド用アタッチメントＤによると、図１（ｂ）に示されるように、緊締バンド１の締め付けに伴って、スリーブ２及び弾性リング３が縮径変形する。それにより、管体Ｃの外表面Ｃ１に対し弾性リング３の内面３ａが圧接して、弾性リング３自体が圧縮変形するとともに、管体Ｃの外表面Ｃ１が部分的に圧縮変形する。これと同時に、管体Ｃの外表面Ｃ１において圧縮変形した容量分が、弾性リング３の凹状段部３ｂに向け膨出変形して嵌入し、この膨出部位Ｃ３が弾性リング３の凹状段部３ｂに圧接し引っ掛かることで、管体Ｃの接続端部全体がその軸方向へ移動不能に保持されて抜け止めされる。
　また管体Ｃは、経時変化によりクリープや応力緩和が生じて弾性リング３との圧接部分が歪み、その肉厚寸法が薄くなると同時に反発弾性が低下する。このように管体Ｃが歪んで反発弾性が低下しても、反発弾性に優れた弾性リング３が膨張変形し反発弾性を維持して、その内面３ａが管体Ｃの外表面Ｃ１に圧接し続けるため、弾性リング３の凹状段部３ｂに対する膨出部位Ｃ３の引っ掛かりが保持される。
　したがって、管体Ｃの経時的なクリープや応力緩和と関係なく緊締バンド１の増し締め不要で管体Ｃの抜け強度や気密性能を高く維持することができる。
　その結果、管体Ｃに経時的なクリープや応力緩和が生じても緊締バンド１で長期に亘り密閉保持できて更なる安全性の向上が図れる。

　特に、スリーブ２の内周面に環状の凹溝部２ｅを設け、凹溝部２ｅ内に弾性リング３を収納配置し、緊締バンド１によるスリーブ２の縮径時において、凹溝部２ｅの両側から突出する一対の突起部２ｆが、管体Ｃの外表面Ｃ１にそれぞれ食い込むように緊締バンド１の締め付け量を設定した場合には、凹溝部２ｅ内に弾性リング３が管体Ｃの軸方向へ位置決めされて収納保持されるとともに、緊締バンド１の締め付けによるスリーブ２の縮径変形に伴って一対の突起部２ｆをそれぞれ管体Ｃの外表面Ｃ１に食い込ませることにより、両突起部２ｆとニップルＢの外周面Ｂ１との間に管体Ｃがそれぞれ強く挟み込まれ、これらの間に位置する管体Ｃの締め付け部位Ｃａを包み込んで弾性リング３の凹状段部３ｂに向け引き寄せ、その膨出部位Ｃ３が凹状段部３ｂにより強く引っ掛かる。
　それにより、スリーブ２に対する弾性リング３の位置ズレを防止しながらスリーブ２と弾性リング３の結合をより強くすることができる。
　その結果、ニップルＢに対する管体Ｃの抜け強度を更に向上させることができる。

　また、ニップルＢの外周面Ｂ１に緊締バンド１の取り付け位置を案内するガイド部Ｂ３が設けられる場合には、透明又は半透明な管体Ｃを透して緊締バンド１の取り付け位置が認識可能となる。
　それにより、ニップルＢに対して緊締バンド１を適正位置に取り付けることができる。
　その結果、作業者の経験に関係なく誰でも緊締バンド１の性能を十分に発揮することができる。

　さらに、図２（ａ）に示されるように、スリーブ２の弾性変形部２ａとして、複数のスリットを周方向へ切欠形成し、各スリットがその軸方向先端部２ａ１と基端部２ａ２の幅寸法を変えるなどして、緊締バンド１でスリーブ２が縮径変形されても、各スリットの内面同士を密着させないように構成された場合には、スリーブ２の縮径変形に伴って、図１（ｂ）の一点鎖線に示されるように、弾性リング３の外周面３ｃの一部が各スリットの内面間に挟み込まれる。
　それにより、スリーブ２に対して弾性リング３が管体Ｃの軸方向へ移動不能に位置決めされて、弾性リング３の蛇行や偏りなどのトラブルを防止することができる。
　次に、本発明の各実施例を図面に基づいて説明する。

　この実施例１は、図１～図３に示すように、スリーブ２の内周面に、弾性リング３として断面円形又は楕円形のリング３Ａを複数本並列配置し、これらリング３Ａの間に凹状段部３ｂが周方向へ形成される場合を示している。

　図１（ａ）（ｂ）及び図２（ａ）（ｂ）に示される例では、スリーブ２の凹溝部２ｅ内に、リング３Ａとなる断面形状が円形のＯリングが２本並べて収納配置されている。さらに、ニップルＢのガイド部Ｂ３に沿って緊締バンド１を適正位置に取り付けた状態で、隣り合うＯリングの間の凹状段部３ｂが、ニップルＢの凹凸部Ｂ２における環状凹部と対向するように配置されるように設定している。
　また、その他の例として図示しないが、リング３Ａとして断面形状が楕円形やそれ以外の形状のものを複数本並列配置したり、断面形状が異なるもの同士を複数本並列配置したり、３本以上のリング３Ａを複数本並列配置することも可能である。

　さらに、図１（ａ）（ｂ）及び図２（ａ）（ｂ）に示される例では、スリーブ２の外周面（接触面２ｂ）においてその周方向の一部に、緊張手段１ｂのハウジング１ｂ２の底面部位と嵌り合う平滑部２ｇを形成している。
　つまり、スリーブ２の外周面（接触面２ｂ）において平滑部２ｇの箇所のみ、切り欠き２ｈを形成して突起２ｄが突設されておらず、平滑部２ｇ及び切り欠き２ｈに対してハウジング１ｂ２の底面部位を嵌合させることで、緊張手段１ｂのハウジング１ｂ２とスリーブ２が周方向へ位置決めされている。

　さらに、図１（ａ）（ｂ）及び図２（ａ）（ｂ）に示される例では、ニップルＢの基端側に、他の機器の管接続口（図示せず）に接続するための接続部Ｂａと、例えばスパナやレンチなどの工具（図示せず）が係合する工具係合部Ｂｂが形成されている。
　接続部Ｂａは、ニップルＢに接続する他の機器における管接続口の内周面に内ネジが刻設される場合には、これと対応する外ネジを刻設し、また該管接続口の外周面に外ネジが刻設される場合には、これと対応する内ネジを刻設している。図示例では、接続部Ｂａとして外ネジが刻設されている。
　工具係合部Ｂｂとしては、六角ナットが形成されている。
　また、その他の例として図示しないが、ニップル１に対し接続部Ｂａ及び工具係合部Ｂｂを別個に形成して着脱自在に取り付けることも可能である。

　このような本発明の実施例１に係る管接続用バンドセットＡ及び緊締バンド用アタッチメントＤによると、スリーブ２の内側に断面円形又は楕円形のリング３Ａを複数本並列することにより、リング３Ａ同士の境目部分に凹状段部３ｂが形成される。
　それにより、簡単な構造で管体Ｃを確実に抜け止めすることができる。
　したがって、コストの低減化が図れて経済的であるいう利点がある。
　特に、リング３ＡとしてＯリングを用いた場合には、更なるコストの低減化が図れるという利点もある。

　そして、実施例１において、スリーブ２の周方向へ所定間隔毎に切欠形成される複数のスリット２ａは、図３（ａ）～（ｃ）に示されるように、緊張手段１ｂによる緊締バンド１の縮径方向への移動に伴って、各スリット２ａの間隔がそれぞれ狭くなることにより、スリーブ２を弾性的に縮径変形させるように形成されている。
　詳しくは、図３（ａ）及び（ｂ）に示されるように、緊張手段１ｂの操作により緊締バンド１を縮径方向へ移動させることで、緊締バンド１の内面１ａとスリーブ２の接触面２ｂの間に摩擦が発生し、この摩擦抵抗により緊締バンド１の移動と連動して、これら複数のスリット２ａのうち、緊締バンド１の移動方向下流側で最も緊張手段１ｂの回転操作部１ｂ１やハウジング１ｂ２と近くに配置されるスリット２ａから、緊締バンド１の移動方向と逆向きに配置されるスリット２ａに向かって、それぞれのスリット２ａの間隔が順次狭くなり、それによってスリーブ２の内径を徐々に縮径変形させている。
　特に、緊締バンド１として帯状の平バンドが用いられ、平バンドの裏面側から押し曲げ加工して定ピッチ歯１ｃを突出変形させるか、又は打ち抜き加工して孔状に開穿した場合には、緊張手段１ｂの操作で緊締バンド１を縮径方向へ移動させると、定ピッチ歯１ｃの裏面部分とスリーブ２の接触面２ｂの摩擦抵抗が更に大きくなるため、緊締バンド１の移動方向下流側で最も緊張手段１ｂと近くに配置されるスリット２ａから、緊締バンド１の移動方向と逆向きに配置されるスリット２ａに向かって、それぞれのスリット２ａの間隔を順次狭くすることがより明確に現れる。

　図３（ｂ）に示されるように、すべてのスリット２ａのうち、緊締バンド１の移動方向下流側に配置される一部のスリット２ａの間隔が狭くなって接触したものの、緊締バンド１の移動方向上流側に配置される残りのスリット２ａの間隔が広くて隙間がある時、つまり複数のスリット２ａのうち一部のみが閉じている状態では、緊張手段１ｂの操作により緊締バンド１を更に縮径方向へ移動させることができ、この時点では緊締バンド１による更なる締め付けが可能である。
　また、図３（ｃ）に示されるように、すべてのスリット２ａの間隔が狭くなってそれぞれ接触した時、つまり複数のスリット２ａのすべてが閉じている状態では、緊張手段１ｂの操作により緊締バンド１を更に縮径方向へ移動させることができず、この時点で緊締バンド１による更なる締め付けが不能となる。

　このような本発明の実施例１に係る管接続用バンドセットＡ及び緊締バンド用アタッチメントＤによると、ニップルＢが挿入された弾性変形可能な管体Ｃの外側に、スリーブ２を挟んで緊締バンド１がセットされ、緊張手段１ｂで緊締バンド１を移動して縮径させることにより、緊締バンド１の内面１ａとスリーブ２の接触面２ｂの間に摩擦が発生する。
　この摩擦抵抗により、スリーブ２の周方向へ所定間隔毎に切欠形成される複数のスリット２ａのうち、緊締バンド１の移動方向下流側で最も緊張手段１ｂと近いに配置されるスリット２ａから、緊締バンド１の移動方向と逆向きに配置されるスリット２ａに向け順次スリット２ａの間隔が狭くなって徐々に締まり、スリーブ２が径方向へ弾性的に縮径変形される。
　それにより、各スリット２ａの締まり具合（間隔の狭い接触したスリット２ａが、緊締バンド１の移動方向と逆向きにどの位置まで到達したか）を目視することで、緊締バンド１による管体Ｃの締め付け力（締め率）が判断可能となる。
　したがって、トルクレンチなどの専用工具を使わなくとも、管体Ｃの肉厚又は硬度やニップルＢの外径などの変化要因と関係なく適正な締め付け力で管接続することができる。
　その結果、緊締バンド１による管体Ｃの最適な締め付け力（締め率）を目で見える管理が行え、経験に拘わらず誰が緊張手段１ｂの締め付け作業を行っても、緊張手段１ｂによる緊締バンド１の締め付け不足が発生せず、ニップルＢから管体Ｃが抜けるなどのトラブルの発生を防止できるとともに、緊締バンド１や緊張手段１ｂの故障をも防止できるという利点がある。
　さらに、軟質材料で変形し易い管体Ｃであっても、緊締バンド１で必要以上に圧縮変形させて緊締バンド１の端縁が管体Ｃの外表面Ｃ２に食い込むことがなく、管体Ｃの外表面Ｃ２が緊締バンド１で切れるなどのトラブルの発生を防止できるという利点がある。

　特に、スリーブ２の両端に複数のスリット２ａを周方向へ等間隔毎にそれぞれ千鳥状に切欠形成する場合には、各スリット２ａの間隔がそれぞれ狭くなってスリーブ２が縮径変形するか、又は各スリット２ａの間隔がそれぞれ広くなってスリーブ２が拡径変形する。
　それにより、スリーブ２を均一に縮径変形又は拡径変形させることができるという利点がある。

　この実施例２は、図４（ａ）（ｂ）に示すように、スリーブ２の内周面に、弾性リング３として帯状リング３Ｂを配置し、帯状リング３Ｂの内周面に凹状段部３ｂを周方向へ形成した構成が、図１～図３に示した実施例１とは異なり、それ以外の構成は図１～図３に示した実施例１と同じものである。

　図４（ａ）（ｂ）に示される例では、断面矩形に成形された帯状リング３Ｂの内周面を、二つの傾斜面が断面Ｖ字型に突き当たるようにして、その幅方向中央に一本の凹状段部３ｂが形成されている。
　また、その他の例として図示しないが、帯状リング３Ｂの内周面を、湾曲した二つの傾斜面が断面略Ｖ字型に突き当たるようにして凹状段部３ｂを形成したり、帯状リング３Ｂの内周面に、その幅方向へ複数本の凹状段部３ｂを形成したりすることも可能である。
　さらに、図４（ａ）（ｂ）に示される例では、スリーブ２の外周面（接触面２ｂ）において緊張手段１ｂのハウジング１ｂ２の底面部位と嵌り合う平滑部２ｇに、切り込み２ｃを入れて、スリーブ２が側面から見て略Ｃ字形となるように切り離すことにより、スリーブ２の成形を容易にしている。緊締バンド１の先端部には、キャップ１ｄが取り付けられず、緊締バンド１の先端部を露出させている。

　このような本発明の実施例２に係る管接続用バンドセットＡ及び緊締バンド用アタッチメントＤによると、スリーブ２の内側に帯状リング３Ｂを配置することにより、帯状リング３Ｂの内周面に凹状段部３ｂが形成される。
　それにより、簡単な構造で管体Ｃを確実に抜け止めすることができる。
　したがって、コストの低減化が図れて経済的であるという利点がある。

　なお、前示実施例では、スリーブ２の内周面に、弾性リング３として断面円形や楕円形のリング３Ａを複数本並列配置するか、又は断面矩形の帯状リング３Ｂを配置したが、これに限定されず、それ以外の形状のリング部材に配置することで、その内周面に凹状段部３ｂが周方向へ形成されるようにしても良い。
　さらに、図示例では、略Ｃ形などの予め円筒状に近い形状のスリーブ２を用いているが、これに限定されず、屈曲可能な帯状に成形されたスリーブ２、緊締バンド１の内面１ａに沿って環状に巻き付けることで環状に配置にしても良い。

　１　緊締バンド　　　　　　　　　　　　　１ａ　内面
　１ｂ　緊張手段　　　　　　　　　　　　　２　スリーブ
　２ａ　スリット　　　　　　　　　　　　　２ｅ　凹溝部
　２ｂ　接触面　　　　　　　　　　　　　　２ｆ　突起部
　３　弾性リング　　　　　　　　　　　　　３ａ　内面
　３ｂ　凹状段部　　　　　　　　　　　　　３Ａ　リング
　３Ｂ　帯状リング　　　　　　　　　　　　Ｂ　ニップル
　Ｂ１　外周面　　　　　　　　　　　　　　Ｃ　管体
　Ｃ１　外表面　　　　　　　　　　　　　　Ｃ３　圧縮変形部位
　Ｄ　緊締バンド用アタッチメント

Claims

　ニップルが挿入された弾性変形可能な管体の外側を包囲するように設けられて前記管体を前記ニップルの外周面に向け圧縮変形させるように締め付ける緊締バンドと、
　前記管体の外表面と前記緊締バンドとの間に設けられて前記緊締バンドの締め付けに伴い径方向へ弾性的に縮径変形可能なスリーブと、
　前記スリーブの内側に設けられて前記スリーブの縮径変形に伴い前記管体の前記外表面に圧接する弾性変形可能な弾性リングと、を備え、
　前記弾性リングは、前記管体の前記外表面と対向する内面に、前記管体の前記外表面における圧縮変形部位が嵌入する凹状段部を有することを特徴とする管接続用バンドセット。
　前記スリーブの内周面に環状の凹溝部を設け、前記凹溝部内に前記弾性リングを収納配置し、前記緊締バンドによる前記スリーブの縮径時において、前記凹溝部の両側から突出する一対の突起部が、前記管体の前記外表面にそれぞれ食い込むように前記緊締バンドの締め付け量を設定したことを特徴とする請求項１記載の管接続用バンドセット。
　前記スリーブの内周面に、前記弾性リングとして断面円形又は楕円形のリングを複数本並列配置し、前記リングの間に前記凹状段部を周方向へ形成したことを特徴とする請求項１又は２記載の管接続用バンドセット。
　前記スリーブの内周面に、前記弾性リングとして帯状リングを配置し、前記帯状リングの内周面に前記凹状段部を周方向へ形成したことを特徴とする請求項１、２又は３記載の管接続用バンドセット。
　前記ニップルの前記外周面に、前記緊締バンドの取り付け位置を案内するガイド部を設けることを特徴とする請求項１～４のいずれかに記載の管接続用バンドセット。
　前記緊締バンドには、該緊締バンドに係合して該緊締バンドを縮径方向に移動させる緊張手段が設けられ、
　前記スリーブは、その周方向へ所定間隔毎に形成される複数のスリットと、前記緊張手段による前記緊締バンドの縮径方向への移動に伴って該緊締バンドの内面と対向する接触面を有し、
　前記スリットは、前記緊張手段による前記緊締バンドの縮径方向への移動に伴って、前記接触面と前記緊締バンドの前記内面の間に生ずる摩擦抵抗により、前記緊締バンドの移動方向下流側で最も前記緊張手段と近い該スリットから、前記緊締バンドの移動方向と逆向きの該スリットに向け順次該スリットの間隔が狭くなって前記スリーブの内径を徐々に縮径変形させるように形成されることを特徴とする請求項１～５のいずれかに記載の管接続用バンドセット。
　前記スリーブの両端に複数の前記スリットを周方向へ等間隔毎にそれぞれ千鳥状に切欠形成することを特徴とする請求項６記載の管接続用バンドセット。
　ニップルが挿入された弾性変形可能な管体と、前記管体を前記ニップルの外周面に向け圧縮変形させるように締め付ける緊締バンドとの間に具備される緊締バンド用アタッチメントであって、
　前記緊締バンドの内側に設けられて前記緊締バンドの締め付けに伴い径方向へ弾性的に縮径変形可能なスリーブと、
　前記スリーブの内側に設けられて前記スリーブの縮径変形に伴い前記管体の前記外表面に圧接する弾性変形可能な環状の弾性リングと、を備え、
　前記弾性リングは、前記管体の前記外表面と対向する内面に、前記管体の前記外表面における圧縮変形部位が嵌入する凹状段部を有することを特徴とする緊締バンド用アタッチメント。