WO2013103079A1

WO2013103079A1 - ガスケット収納容器

Info

Publication number: WO2013103079A1
Application number: PCT/JP2012/082419
Authority: WO
Inventors: 等沖原
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2012-01-06
Filing date: 2012-12-13
Publication date: 2013-07-11

Abstract

　ガスケット収納容器１は、略平板状の板材２と、ガスケット２０を収納するガスケット収納部３とを備えている。また、ガスケット収納部３は、ガスケット２０を保持する筒部５を有する。筒部５は、ガスケット２０の最大外径よりも小さい内径に設定されている。そして、筒部５の内壁には、蒸気やガスが通過する通気部８が設けられている。

Description

ガスケット収納容器

　本発明は、薬剤注射装置や注射針組立体に用いられるガスケットを収納するガスケット収納容器に関する。

　薬剤注射装置や注射針組立体は、薬液を収納するシリンジと、このシリンジに取り付けられる針管と、薬液を収納したシリンジに打栓すると共にシリンジ内を摺動して薬液を排出するガスケット等の部材から構成されている。

　一般的に、薬剤注射装置や注射針組立体を構成するシリンジやガスケット等の構成部材の製造会社と薬液の製造（充填）会社が異なる場合には、シリンジやガスケット等の構成部材を製造する会社から薬液の製造会社へシリンジやガスケットが搬送される。そして、薬液の製造会社にて、薬液をシリンジへ充填した後に、ガスケットがシリンジに打栓される。

　なお、ガスケットを構成部材の会社から薬液の製造会社に搬送する際や、保管する際に、ガスケットに傷がつくことを防止する必要がある。そのため、ガスケットを安全に搬送及び保管できるガスケット収納容器として、例えば特許文献１に記載されているようなものがある。特許文献１には、略平板状の部材と、この部材を上下に貫通する略円筒状の収納部と、を備えたものが記載されている。そして、ガスケットを略円筒状の収納部に挿入し、収納部の内壁に設けた突起とガスケットに設けた窪みが係合することで、ガスケットを収納している。

　また、ガスケットをシリンジに打栓する前に、ガスケットに対して滅菌処理を施す必要がある。近年では、ガスケットをガスケット収納容器に収納し、複数のガスケット収納容器を重ね合わせた状態で、滅菌処理が施されている。滅菌処理の方法としては、ガンマ線や電子放射線等の放射線滅菌が行われていた。なお、放射線滅菌では、ガスケットが腐食するおそれがあり、高圧蒸気滅菌（オートクレーブ）やＥＯＧ（エチレンオキサイドガス）滅菌等の高温の蒸気やガスを用いた滅菌方法が求められている。

ＷＯ２００７／０９９６４９

　しかしながら、特許文献１に記載されたガスケット収納容器では、収納部の内壁に設けた突起とガスケットに設けた窪みが軽く係合するだけで、ガスケットを収納部に収納させている。そのため、搬送する際に生じる振動や衝撃によって、ガスケットがガスケット収納部から抜け出たり、飛び出したりするおそれがあった。

　ガスケットが収納部から抜け出でたりすることを防ぐために、収納部の内径をガスケットの外径よりも小さくし、ガスケットを圧縮した状態で収納部に挿入し、収納部の内壁にガスケットの側面やピーク部を密着させる方法が考えられる。

　しかしながら、上述したように近年では、ガスケットに対する滅菌処理の方法として蒸気やガスを用いた滅菌方法が求められている。また、ガスケットには、一般的にその側部に半径外方向に突出し、ガスケットの軸方向に沿って間隔を空けて配置された少なくとも２つのピーク部が設けられている。そのため、ガスケットの側部やピーク部をガスケット収納部の内壁に密着させると、２つのピーク部と収納部の内壁で囲まれた空間には、滅菌用の蒸気やガスがガスケットの周囲全体に届きにくくなり、ガスケットの２つのピーク部間が十分に滅菌されないことがある、という不具合があった。

　本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、ガスケットを確実に保持すると共に、蒸気やガスを用いた滅菌方法でも、ガスケットの２つのピーク部間を確実に滅菌することができるガスケット収納容器を提供することにある。

　上記課題を解決し、本発明の目的を達成する本発明のガスケット収納容器は、以下のものである。
　（１）略平板状の板材と、
　前記板材に設けられ、ガスケットを収納するガスケット収納部と、を備え、
　前記ガスケット収納部は、前記ガスケットの最大外径よりも小さい内径に設定されて前記ガスケットを保持する筒部を有し、
　前記筒部の内壁には、前記筒部の軸方向に沿って延在し、蒸気やガスが通過する通気部が設けられているガスケット収納容器。

　（２）前記通気部は、前記筒部に複数設けられている上記（１）に記載のガスケット収納容器。

　（３）前記通気部は、前記筒部の軸方向に沿って延在する溝部である上記（１）または（２）のいずれかに記載のガスケット収納容器。

　（４）前記筒部における前記溝部が設けられた箇所の外壁には、筒部の半径外方向に突出する肉厚部が設けられており、
　前記溝部は、前記筒部の内壁から前記肉厚部まで形成されている上記（３）に記載のガスケット収納容器。

　（５）前記溝部における前記筒部の軸方向と直交し、前記筒部の内壁側に開口する開口の幅は、０．１ｍｍ～０．４ｍｍに設定される上記（３）または（４）のいずれかに記載のガスケット収納容器。

　（６）前記筒部の内壁には、前記筒部の軸方向に沿って、前記ガスケットと密着する複数の突条が形成され、
　前記通気部は、前記複数の突条における隣り合う２つの突条の間と前記筒部の内壁で形成される空間である上記（１）または（２）のいずれかに記載のガスケット収納容器。

　蒸気やガスが筒部の軸方向に沿って通気部を通過するため、ガスケットの側部やピーク部を筒部の内壁に密着させることで筒部に保持されたガスケットの周囲全体に蒸気やガスが届く

　本発明のガスケット収納容器によれば、ガスケット収納部におけるガスケットを保持する筒部の内径をガスケットの最大外径よりも小さくすることで、ガスケットを確実に保持することができる。さらに、筒部に、滅菌処理用の蒸気やガスが通過する通気部を設けたことで、ガスケットの周囲全体に蒸気やガスを行き渡らせ易くすることができる。

本発明のガスケット収納容器の第１の実施の形態例を示す平面図である。本発明のガスケット収納容器の第１の実施の形態例を示す断面図である。本発明のガスケット収納容器にガスケットを収納した状態を示す断面図である。図３に示す要部を拡大して示す断面図である。本発明のガスケット収納容器の第２の実施の形態例にかかる筒部を軸方向と直交する方向で切断した断面図である。本発明のガスケット収納容器の第３の実施の形態例にかかる筒部を軸方向と直交する方向で切断した断面図である。

　以下、本発明のガスケット収納容器の実施の形態例について、図１～図６を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。

［ガスケットの構成例］
　まず、図４を参照して本発明の実施の形態例にかかるガスケット収納容器に収納されるガスケットの構成例について説明する。
　図４は、本例のガスケット収納容器にガスケットを収納した状態を示す断面図である。

　図４に示すガスケット２０は、例えば薬剤注射装置や注射針組立体の押し子に取り付けられて薬剤注射装置や注射針組立体のシリンジ内を摺動するものである。図４に示すように、ガスケット２０は、略円筒状に形成されており、筒状の側部２１と、側部２１の軸方向の一端側を封止するように設けられた底部２２とを有する。すなわち、ガスケット２０は、一端に底部２２を有し、他端側に開口部２３を有する有底筒状の部材で構成されている。

　側部２１の内壁には、押し子が着脱可能に取り付けられるねじ部２５が設けられている。また、側部２１の外周面には、側部２１の外周面から半径外方向に突出する第１ピーク部２６、第２ピーク部２７及び第３ピーク部２８が設けられている。第１ピーク部２６、第２ピーク部２７及び第３ピーク部２８は、それぞれリング状に形成されている。そして、これら第１ピーク部２６、第２ピーク部２７及び第３ピーク部２８の直径は、本例では約６ｍｍ～７ｍｍに設定されている。

　第１ピーク部２６、第２ピーク部２７及び第３ピーク部２８は、ガスケット２０の軸方向に沿って開口部２３側から底部２２にかけて所定の間隔を空けて設けられている。第１ピーク部２６は、開口部２３側に配置され、第３ピーク部２８は、底部２２側に配置されている。そして、第２ピーク部２７は、第１ピーク部２６と第３ピーク部２８の間に配置されている。

　なお、側部２１に設けられるピーク部の数は、３つに限定されるものではなく、２つだけピーク部を設けてよく、あるいは４つ以上設けてもよい。

＜第１の実施の形態＞
［ガスケット収納容器の構成例］
　次に、図１～図４を参照して本発明のガスケット収納容器の第１の実施の形態例（以下、「本例」という。）の構成例について説明する。
　図１は、本例のガスケット収納容器を示す平面図、図２は、図１に示すガスケット収納容器の断面図である。図３は、図１に示すガスケット収納容器にガスケットを収納した状態を示す断面図である。

　ガスケット収納容器１は、複数のガスケット２０（図３及び図４参照）を収納し、搬送や保管する場合に用いられる。図１及び図２に示すように、ガスケット収納容器１は、略平板状の板材２と、この板材２に設けられた複数のガスケット収納部３と、から構成される。

　図３及び図４に示すように、ガスケット収納部３には、ガスケット２０が収納される。このガスケット収納部３は、ガスケット２０が挿入される入口部４と、ガスケット２０を保持する筒部５を有する。

　入口部４は、板材２の一面２ａに略円形状の開口した開口端４ａと、開口端４ａから連続した内周部４ｂとを有している。この内周部４ｂは、板材２の一面２ａから筒部５にかけてその径が連続して小さくなるようなテーパー状に形成されている。また、図１及び図２に示すように、この内周部４ｂには、４つの突起７が設けられている。

　４つの突起７は、内周部４ｂの周方向に沿って略等間隔に配置されている。なお、本例では、突起７を４つ設けた例を説明したが、これに限定されるものではなく、突起７を３つ以下、あるいは５つ以上設けてもよい。

　そして、ガスケット収納容器１を重ね合わせた際に、突起７を有する入口部４には、上側に配置されたガスケット収納容器１の筒部５が挿入される。さらに、突起７には、上側に配置されたガスケット収納容器１における後述する筒部５の端部５ｆが当接する。そのため、上側に配置されたガスケット収納容器１における筒部５の端部５ｆと、下側に配置されたガスケット収納容器１の入口部４の内周部４ｂの間には、ガスや蒸気が通過可能な隙間が形成される。

　図３に示すように、筒部５は、略円筒状に形成されている。筒部５は、入口部４に連続して設けられ、板材２の一面２ａと反対側の他面２ｂから略垂直に突出している。筒部５の外径は、入口部４における開口端４ａ内径よりも若干小さく設定される。

　図４に示すように、筒部５には、その軸方向に沿って略円柱状に開口した略ストレート状の筒孔部５ａが設けられている。この筒孔部５ａの直径は、ガスケット２０のピーク部２６，２７，２８の直径よりも小さく設定されている。すなわち、筒部５の内径は、ガスケット２０の最大外径よりも小さく設定されている。本例では、筒孔部５ａの直径は、ガスケット２０のピーク部２６，２７，２８の直径よりも例えば、０．１ｍｍ～０．５ｍｍ程度小さく設定される。

　また、筒部５にガスケット２０が挿入された際、ガスケット２０の３つのピーク部２６，２７，２８は、筒部５の筒孔部５ａにより、内側（ガスケット２０の軸中心に向かって）押圧される。これにより、ガスケット２０を確実に筒部５によって保持することができる。

　また、筒部５における筒孔部５ａの内壁には、通気部の一例を示す少なくとも１つ（本例では６つ）の溝部８が形成されている。溝部８は、筒部５の軸方向に沿って、入口部４側から軸方向の入口部４と反対側の端部５ｆにかけて連続して形成された凹部である。複数の溝部８は、筒孔部５ａの周方向に略等間隔に配置されている。この溝部８には、滅菌処理用の蒸気やガスが通過する。なお、溝部８は、筒部５に複数設けることが好ましい。これにより、より多くの滅菌処理用の蒸気やガスが溝部８を通過し、ガスケット２０全体をより確実に滅菌することができる。

　なお、ガスケット２０は、筒部５内に収納される際、筒孔部５ａの内壁に押し付けられる。そのため、溝部８の開口の幅、すなわち筒部５の軸方向と直交し、筒孔部５ａの内壁における開口の幅をあまり大きく設定すると、ガスケット２０が溝部８の開口によって変形するおそれがある。そのため、溝部８の開口の幅は、できるだけ小さくすることが好ましい。

　溝部８の開口の幅は、ガスケット２０の大きさによって適宜設定されるが、ガスケット２０の最大外径が６ｍｍ～７ｍｍの場合、０．１～０．４ｍｍ程度の範囲に設定することが好ましい。また、溝部８の深さは、０．１～０．８ｍｍ程度に設定されている。

　また、この溝部８を入口部４の内周部４ｂの内壁に形成し、入口部４の開口端４ａまで延在させてもよい。これにより、ガスケット収納容器１を重ね合わせた際に、下側に配置したガスケット収納容器１における入口部４の内周部４ｂと、上側に配置したガスケット収納容器１における筒部５の端部５ｆとの間に、溝部８によって隙間を形成することができる。

　なお、本例では、入口部４の内周部４ｂをテーパー状に形成した例を説明したが、これに限定されるものではない。内周部４ｂの形状としては、板材２の一面２ａから一段凹んだ段差面を有する形状であってもよい。このとき、入口部４の開口端４ａの直径は、筒部５の外径より若干大きく設定される。そして、突起７は、内周部４ｂにおける段差面、すなわちガスケット収納容器１を重ね合わせた際に、上側に配置されたガスケット収納容器１における筒部５の軸方向の他側の端部５ｆと対向する面に設けられる。

　ガスケット収納容器１の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。なお、ガスケット収納容器１の材質は、熱変形に強いものが好ましく、特にポリカーボネートが最も好適である。

［ガスケットの収納方法及び滅菌処理例］
　次に、上述した構成を有するガスケット収納容器１にガスケット２０を収納する方法及び滅菌処理例について図３及び図４を参照して説明する。

　まず、ガスケット２０の底部２２をガスケット収納容器１におけるガスケット収納部３の入口部４に臨ませる。次に、ガスケット２０の底部２２からガスケット収納部３の入口部４に挿入し、ガスケット２０をガスケット収納部３の筒部５まで押し込む。ここで、図４に示すように、入口部４の内周部４ｂは、テーパー状に形成されているため、ガスケット２０をガスケット収納部３に挿入し易くできる。

　なお、筒部５における筒孔部５ａの内径は、ガスケット２０の３つのピーク部２６，２７，２８の直径よりも若干小さく設定されている。そのため、ガスケット２０は、その軸中心に向けて圧縮された状態で、筒部５内に押し込まれる。

　図３及び図４に示すように、ガスケット２０が筒部５内における所定の位置に配置されると、ガスケット２０を筒部５内に押し込む作業を終了する。このとき、図４に示すように、ガスケット２０は、その軸中心に向けて弾性変形した状態で筒部５内に収納される。そのため、ガスケット２０の３つのピーク部２６，２７，２８は、筒孔部５ａの内壁に密着する。これより、ガスケット２０がガスケット収納部３の筒部５内に確実に保持されるため、搬送中に生じる振動や衝撃によって、ガスケット２０がガスケット収納部３から抜け出たりすることを防ぐことができる。

　そして、板材２に設けた複数のガスケット収納部３にそれぞれガスケット２０を収納させる。これにより、複数のガスケット２０をガスケット収納容器１に収納させることができる。

　次に、高圧蒸気滅菌（オートクレーブ）やＥＯＧ（エチレンオキサイドガス）滅菌等の高温の蒸気やガスを用いた滅菌処理を行う。ここで、筒部５の端部５ｆ側及び、入口部４は、開放されている。そのため、ガスケット２０の底部２２側及び開口部２３側には、問題なく蒸気やガスが行き渡る。

　上述したように、ガスケット２０の３つのピーク部２６，２７，２８は、全て筒部５における筒孔部５ａの内壁に密着している。そのため、第１ピーク部２６及び第２ピーク部２７と筒孔部５ａの内壁との間には、第１の空間Ｓ１が形成される。同様に、第２ピーク部２７及び第３ピーク部２８と筒孔部５ａの内壁との間には、第２の空間Ｓ２が形成される。そして、第１の空間Ｓ１及び第２の空間Ｓ２には、筒部５の端部５ｆ側の開口や入口部４の開口端４ａから蒸気やガスが届き難くなっている。

　しかしながら、本例では、筒孔部５ａの内壁に溝部８を筒部５の軸方向に沿って連続して設けている。そのため、蒸気やガスが溝部８を通過することで、第１の空間Ｓ１及び第２の空間Ｓ２まで蒸気やガスが行き渡らせることができる。

　これにより、筒部５の内壁にガスケット２０のピーク部２６，２７，２８を全て密着させた状態でも、蒸気やガスをガスケット２０の周囲全体に行き渡らせることができる。その結果、滅菌用の蒸気やガスが届かずに滅菌が施されない部位を軽減することができ、ガスケット２０全体を滅菌することが可能となる。

　なお、上述した構成を有するガスケット収納容器１を複数重ね合わせて滅菌処理を行ってもよい。この場合、入口部４に設けた突起７に上側に配置されるガスケット収納容器１の筒部５の端部５ｆが当接する。これにより、上側に配置されたガスケット収納容器１の端部５ｆと、下側に配置されたガスケット収納容器１の内周部４ｂの間にガスや蒸気が通過可能な隙間を形成することができる。すなわち、ガスケット収納容器１を複数重ね合わせて滅菌処理を施しても、全てのガスケット収納容器１に収納されたガスケット２０の周囲全体に滅菌用の蒸気やガスを行き渡らせることができる。

　また、上述したように、溝部８を入口部４の開口端４ａまで形成することで、ガスケット収納容器１を重ね合わせた際に、上側に配置されたガスケット収納容器１と下側に配置されたガスケット収納容器１との間に溝部８によって隙間が形成される。そのため、突起７を設けなくても、ガスケット収納容器１に収納されたガスケット２０の周囲全体に滅菌用の蒸気やガスを行き渡らせることができる。

＜第２の実施の形態例＞
　次に、本発明のガスケット収納容器の第２の実施の形態例について、図５を参照して説明する。
　図５は、ガスケット収納容器の第２の実施の形態例にかかる筒部を軸方向と直交する方向で切断した断面図である。

　この第２の実施の形態例にかかるガスケット収納容器と、第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１が異なる点は、筒部に設けた通気部の構成である。そのため、ここでは、筒部について説明し、ガスケット収納容器１と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。

　図５に示すように、ガスケット収納容器５１における筒部５５の筒孔部５５ａには、その軸方向に沿って延在する複数の突条５８が形成されている。複数の突条５８は、筒孔部５５ａの周方向に略等間隔に配置されている。この突条５８は、筒孔部５５ａの内壁からその半径内方向に向けて突出している。突条５８の突出高さは、０．１ｍｍ～０．８ｍｍ程度に設定されている。また、突条５８の幅、すなわち突条５８の長さ方向及び高さ方向と直交する長さは、０．１ｍｍ～０．４ｍｍ程度に設定される。

　また、ガスケット２０を筒部５５内に挿入した際、ガスケット２０の最外部である３つのピーク部２６，２７，２８は、突条５８と嵌合する。これにより、ガスケット２０を筒部５５によって確実に保持させることができる。

　さらに、複数の突条５８における隣り合う２つの突条５８の間と、筒孔部５５ａの内壁で形成される空間Ｔ１にガスや蒸気が通過する。すなわち、この空間Ｔ１は、本発明の通気部の他の例を示している。なお、突条５８は、筒部５５に３つ以上設けることが好ましい（この第２の実施の形態例では、４つ）。これにより、筒部５５内に保持されたガスケット２０の中心軸と筒部５５の中心軸が一致し、各空間Ｔ１が確実に形成され、ガスケット２０全体をより確実に滅菌することができる。

　その他の構成は、上述した第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するガスケット収納容器５１によっても、上述した第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１と同様の作用及び効果を得ることができる。

＜第３の実施の形態例＞
　次に、本発明のガスケット収納容器の第３の実施の形態例について、図６を参照して説明する。
　図６は、ガスケット収納容器の第３の実施の形態例にかかる筒部を軸方向と直交する方向に切断した断面図である。

　この第３の実施の形態例にかかるガスケット収納容器と、第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１が異なる点は、筒部に設けた通気部の構成である。そのため、ここでは、筒部について説明し、ガスケット収納容器１と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。

　図６に示すように、ガスケット収納容器７１における筒部７５の筒孔部７５ａには、第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１と同様に、複数の溝部７８が形成されている。溝部７８は、筒孔部７５ａの軸方向に沿って連続して設けられている。

　また、筒部７５における溝部７８が形成された箇所には、肉厚部７９が設けられている。肉厚部７９は、筒部７５の外壁７５ｃから半径外方向に突出し、かつ筒部７５の軸方向に沿って延在する突条部である。すなわち、筒部７５は、溝部７８が設けられた箇所だけ、その厚みが肉厚部７９によって増えている。そして、溝部７８の凹みは、肉厚部７９まで達している。

　これにより、筒部７５の厚みを部分的に増やすことで、溝部７８の深さを深くすることができる。そのため、溝部７８における筒孔部５ａの内壁側の開口の幅を小さくしながら、蒸気やガスの流量を増やすことができる。また、溝部７８の開口の幅を小さくできるため、筒孔部５ａの内壁に押し付けられるガスケット２０が溝部７８の開口で変形することを抑制することができる。

　ここで、筒部７５全体の厚みを厚くすると、筒部７５を射出成型等で成形する際に、成形時にヒケが生じたり、筒部７５を成形するために使用する樹脂の量が増えたりする等の不具合が生じる。そのため、この第３の実施の形態例にかかるガスケット収納容器７１では、筒部７５全体の厚みを増やすことなく、溝部７８が設けられた箇所の厚みだけを増やしている。これにより、上述したような、筒部７５を射出成型等で成形する際に、成形時にヒケが生じたり、筒部７５を成形するために使用する樹脂の量が増えたりする等の不具合を解消することができる。

　その他の構成は、上述した第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有するガスケット収納容器７１によっても、上述した第１の実施の形態例にかかるガスケット収納容器１と同様の作用及び効果を得ることができる。

　なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。

　１，５１，７１…ガスケット収納容器、　２…板材、　２ａ…一面、　２ｂ…他面、　３…ガスケット収納部、　４…入口部　４ａ…開口端、　４ｂ…内周部、　５，５５，７５…筒部、　５ａ，５５ａ，７５ａ…筒孔部、　５ｆ…端部、　７…突起、　８，７８…溝部（通気部）　５８…突条、　７９…肉厚部、　２０…ガスケット、　２１…側部、　２２…底部、　２３…開口部、　２６…第１ピーク部、　２７…第２ピーク部、　２８…第３ピーク部　Ｓ１…第１の空間、　Ｓ２…第２の空間、　Ｔ１…空間（通気部）

Claims

　略平板状の板材と、
　前記板材に設けられ、ガスケットを収納するガスケット収納部と、を備え、
　前記ガスケット収納部は、前記ガスケットの最大外径よりも小さい内径に設定されて前記ガスケットを保持する筒部を有し、
　前記筒部の内壁には、前記筒部の軸方向に沿って延在し、蒸気やガスが通過する通気部が設けられている
　ガスケット収納容器。
　前記通気部は、前記筒部に複数設けられている
　請求項１に記載のガスケット収納容器。
　前記通気部は、前記筒部の軸方向に沿って延在する溝部である
　請求項１に記載のガスケット収納容器。
　前記筒部における前記溝部が設けられた箇所の外壁には、筒部の半径外方向に突出する肉厚部が設けられており、
　前記溝部は、前記筒部の内壁から前記肉厚部まで形成されている
　請求項３に記載のガスケット収納容器。
　前記溝部における前記筒部の軸方向と直交し、前記筒部の内壁側に開口する開口の幅は、０．１ｍｍ～０．４ｍｍに設定される
　請求項３に記載のガスケット収納容器。
　前記筒部の内壁には、前記筒部の軸方向に沿って、前記ガスケットと密着する複数の突条が形成され、
　前記通気部は、前記複数の突条における隣り合う２つの突条の間と前記筒部の内壁で形成される空間である
　請求項１に記載のガスケット収納容器。