WO2024105914A1

WO2024105914A1 - ガスケット保持具、ガスケット保持具セット及びガスケット収容体

Info

Publication number: WO2024105914A1
Application number: PCT/JP2023/022587
Authority: WO
Inventors: 後藤和憲; 坂口有亮; 新城征彦; 賀来祐介
Original assignee: テルモ株式会社
Priority date: 2022-11-14
Filing date: 2023-06-19
Publication date: 2024-05-23

Abstract

本発明は、ガスケット保持具（３８）、ガスケット保持具セット（３０）及びガスケット収容体（１０）に関する。ガスケット保持具（３８）は、ベース板（４０）と、保持構造（４２）とを備える。保持構造（４２）は、筒部（５２）と、筒部（５２）の内周面から径方向内方に膨出した膨出部（５４）とを有する。膨出部（５４）は、ガスケット本体（１４）の外周面（２２）のうち先端側突出部（１６）よりも基端方向の部分に接触する。ガスケット（１２）の保持状態で、保持構造（４２）は、先端側突出部（１６）に接触していない。

Description

ガスケット保持具、ガスケット保持具セット及びガスケット収容体

　本発明は、ガスケット保持具、ガスケット保持具セット及びガスケット収容体に関する。

　例えば、国際公開第２０１５／０１２２０６号には、シリンジの外筒内に挿入されるガスケットが開示されている。ガスケットは、ガスケット本体と、ガスケット本体の外周面から径方向外方に突出して外筒の内周面に液密に接触する環状の先端側突出部とを有している。

　ところで、例えば、上述したようなガスケットを外筒内に打栓する前にガスケット保持具の筒部内に挿入して保持する場合、シール部である先端側突出部が筒部の内周面に接触して損傷するおそれがある。

　本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。

（１）本開示の第１の態様は、シリンジの外筒内に挿入されるガスケットを保持するガスケット保持具であって、前記ガスケットは、ガスケット本体と、前記ガスケット本体の外周面のうち当該ガスケット本体の軸方向の中央よりも先端方向の部分から径方向外方に突出して前記外筒の内周面に液密又は気密に接触する環状の先端側突出部と、を有し、前記ガスケット保持具は、ベース板と、前記ベース板に設けられて前記ガスケットを保持するための保持構造と、を備え、前記保持構造は、前記ベース板から当該ベース板の厚さ方向に突出して前記ガスケットを挿入可能な筒部と、前記筒部の内周面から径方向内方に膨出して前記ガスケット本体の前記外周面に接触することにより前記ガスケットを保持する膨出部と、を有し、前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部よりも基端方向の部分に接触し、前記ガスケットを前記膨出部で保持した保持状態で、前記保持構造は、前記先端側突出部に接触していない、ガスケット保持具である。

　このような構成によれば、ガスケット本体の基端方向からガスケットを筒部内に挿入することにより、先端側突出部が保持構造に触れることなくガスケットを膨出部で保持できる。また、ガスケットの保持状態で保持構造が先端側突出部に接触していない。これにより、先端側突出部が保持構造に接触して損傷することを抑制しつつガスケットをガスケット保持具で保持できる。

（２）上記項目（１）記載のガスケット保持具であって、前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部に対して基端方向に隣接する隣接部に接触してもよい。

　このような構成によれば、ガスケットの先端部分を膨出部で安定して保持できる。

（３）上記項目（２）記載のガスケット保持具であって、前記隣接部は、前記ガスケットの先端から基端方向に向かって前記ガスケット本体の前記軸方向に沿った全長の１／３以下の長さの範囲に位置してもよい。

　このような構成によれば、ガスケットの先端部分を膨出部で一層安定して保持できる。

（４）上記項目（１）～（３）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記筒部は、当該筒部の一端に位置する第１開口部と、当該筒部の他端に位置する第２開口部と、を有し、前記保持状態で、前記ガスケットの先端は、前記第１開口部から前記筒部の外方に突出してもよい。

（５）上記項目（１）～（４）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記膨出部は、前記筒部の軸方向に沿って当該筒部の前記軸方向に沿った全長の１／２の長さ以上延在してもよい。

　このような構成によれば、膨出部によってガスケットを軸方向に安定して保持できる。

（６）上記項目（１）～（５）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記ガスケットは、前記ガスケット本体の前記外周面から径方向外方に突出して前記ガスケット本体の前記中央よりも基端方向に位置する基端側突出部を有し、前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部と前記基端側突出部との間の中間外周面に接触してもよい。

　このような構成によれば、膨出部によってガスケットを一層安定して保持できる。

（７）上記項目（１）～（６）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記膨出部は、前記筒部の周方向に間隔を空けて複数配置され、前記筒部の周方向に互いに隣り合う前記膨出部の間には、前記保持状態で、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌を行う時に蒸気又はガスが流通可能な隙間が形成されてもよい。

　このような構成によれば、ガスケット保持具に保持したガスケットを効率よく高圧蒸気滅菌又はガス滅菌することができる。また、複数の膨出部によってガスケットを周方向に安定して保持できる。

（８）上記項目（１）～（７）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記ベース板から下方に突出した脚部を備え、前記脚部の下端は、前記保持状態で前記ガスケットの下端よりも下方に位置してもよい。

　このような構成によれば、複数のガスケット保持具を重ねて配置する場合に隣接するガスケット保持具がガスケットに接触することを抑制できる。

（９）上記項目（８）記載のガスケット保持具であって、前記脚部の上端部には、当該脚部の下端部を挿入可能な脚挿入凹部が設けられてもよい。

　このような構成によれば、複数のガスケット保持具を重ねて配置する場合に脚部の下端部を脚挿入凹部に挿入することによって容易に位置決めできる。

（１０）上記項目（８）又は（９）に記載のガスケット保持具であって、前記脚部は、筒状に形成され、前記脚部の下端部には、前記脚部の内部の水を排出するための切欠部が形成されてもよい。

　このような構成によれば、ガスケットを高圧蒸気滅菌する場合に脚部内の水（液水）を切欠部から外部に排出できる。

（１１）上記項目（１）～（１０）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記ベース板の外周部には、当該ベース板の厚さ方向に突出する外周リブが設けられてもよい。

　このような構成によれば、ベース板の外周部の剛性を外周リブによって向上できる。

（１２）上記項目（１１）記載のガスケット保持具であって、前記ベース板のうち前記外周リブに隣接する部位には、運搬用の貫通孔が形成されてもよい。

　このような構成によれば、貫通孔に人間の手指やロボットアームの爪等を挿入してガスケット保持具を簡単に運搬できる。また、ベース板のうち貫通孔が形成された部分の周囲を外周リブで補強できる。

（１３）上記項目（１）～（１２）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記筒部は、前記ベース板の片側のみに突出してもよい。

（１４）上記項目（１）～（１３）のいずれか１項に記載のガスケット保持具であって、前記筒部は、前記ベース板の両側に突出してもよい。

　このような構成によれば、筒部をベース板の片側にのみ突出させた場合と比較してベース板のうち筒部が設けられる部位の剛性を向上できる。

（１５）本開示の第２の態様は、上記項目（１）～（１４）のいずれか１項に記載のガスケット保持具と、前記ガスケットと、を備えた、ガスケット保持具セットである。

（１６）本開示の第３の態様は、上記項目（１５）記載のガスケット保持具セットと、上方に開口する開口部を有し且つ前記ガスケット保持具セットを収容する容器と、前記容器の前記開口部を封止する封止部材と、を備え、前記封止部材は、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌するための蒸気又はガスが通過可能に形成されているガスケット収容体である。

　このような構成によれば、ガスケット保持具に保持したガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌できる。

（１７）上記項目（１６）記載のガスケット収容体であって、前記容器は、前記容器の収容室を形成する底面を有する底壁部と、前記底壁部の外周部に設けられた周壁部と、前記底面から上方に突出する底面リブと、を有し、前記底面リブは、前記底面を複数の領域に仕切るように設けられてもよい。

　このような構成によれば、底壁部の剛性を底面リブによって向上できる。そのため、高圧蒸気滅菌時の底壁部の熱変形（底壁部の反り）を抑制できる。また、ガスケットの高圧蒸気滅菌時に発生した水（液水）を複数の領域に分散させて貯めることができる。すなわち、底面に水（液水）が偏って貯まることを抑制できる。

（１８）上記項目（１７）記載のガスケット収容体であって、前記底面リブは、前記複数の領域の各々が上面視で多角形状となるように形成されてもよい。

　このような構成によれば、底壁部の剛性を底面リブによって効果的に向上できる。

（１９）上記項目（１８）記載のガスケット収容体であって、前記底面リブは、前記複数の領域の各々が上面視で六角形状となるように形成されてもよい。

　このような構成によれば、底壁部の剛性を底面リブによって一層効果的に向上できる。また、底面に複数の領域をバランスよく配置できる。

（２０）上記項目（１９）記載のガスケット収容体であって、前記底面リブは、前記複数の領域のうちの１つの領域が前記底壁部の中央に位置するように形成され、前記底壁部の中心は、前記１つの領域の中に位置してもよい。

　このような構成によれば、底面に底面リブを一層バランスよく配置できるため、底壁部の剛性の大きさのバラツキを抑制できる。これにより、高圧蒸気滅菌時の底壁部の熱変形（底壁部の反り）を一層抑制できる。

（２１）上記項目（１７）～（２０）のいずれか１項に記載のガスケット収容体であって、前記底壁部は、前記周壁部の上下方向の中間部分に位置してもよい。

　このような構成によれば、底壁部を周壁部の下端に位置させた場合と比較して周壁部の剛性を底壁部によって効果的に向上できる。

（２２）上記項目（１７）～（２１）のいずれか１項に記載のガスケット収容体であって、前記容器は、前記周壁部の上端部から外方に延出したフランジ部と、前記フランジ部から上下方向に突出するフランジリブと、を有してもよい。

　このような構成によれば、周壁部の上端部の剛性をフランジ部及びフランジリブによって向上できる。

（２３）本開示の第４の態様は、上記項目（８）記載のガスケット保持具と前記ガスケットとを有するガスケット保持具セットと、上方に開口する開口部を有し且つ前記ガスケット保持具セットを収容する容器と、前記容器の前記開口部を封止する封止部材と、を備え、前記封止部材は、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌するための蒸気又はガスが通過可能に形成され、前記容器は、前記容器の収容室を形成する底面を有する底壁部と、前記底壁部の外周部に設けられた周壁部と、前記底壁部から上方に突出した支持部と、を有し、前記支持部の上端部には、前記脚部の下端部を挿入可能な支持凹部が設けられている、ガスケット収容体である。

　このような構成によれば、ガスケット保持具セットの重量を底壁部から突出した支持部によって支持できる。また、ガスケット保持具の脚部の下端部を支持凹部に挿入することによりガスケット保持具を容器に対して容易に位置決めできる。

（２４）上記項目（２３）記載のガスケット収容体であって、前記脚部は、筒状に形成され、前記脚部の下端部には、前記脚部の内部の水を排出するための切欠部が形成され、前記支持凹部の底面には、前記脚部の下端面が当接し、前記支持凹部を形成する側壁部には、前記切欠部から排出された前記水を前記支持部の外側に導くための排水孔が形成されてもよい。

　このような構成によれば、ガスケットの高圧蒸気滅菌時に脚部内の水（液水）を切欠部及び排水孔を介して排出することができる。

（２５）上記項目（２３）又は（２４）に記載のガスケット収容体であって、前記容器は、前記支持部から前記底壁部よりも下方に延出して前記支持部に作用する荷重を受ける容器脚部を有してもよい。

　このような構成によれば、支持部に作用する荷重を容器脚部で受けることができるため、ガスケット保持具セットの重量によって支持部及び底壁部が変形することを抑制できる。

　本発明によれば、先端側突出部が保持構造に接触して損傷することを抑制しつつガスケットをガスケット保持具で保持できる。

図１は、本発明の一実施形態に係るガスケット収容体の斜視図である。図２は、図１のガスケット収容体の分解斜視図である。図３は、図１のガスケット収容体のＩＩＩ－ＩＩＩ線に沿った縦断面図である。図４は、図３の保持構造及びガスケットの拡大図である。図５は、図４のＶ－Ｖ線に沿った横断面図である。図６は、図３の脚部及び支持部の拡大図である。図７は、図２の容器の平面図である。図８は、図３のガスケットを備えたシリンジの縦断面図である。図９は、変形例に係る保持構造を示す断面図である。

　図１～図３に示すように、本発明の一実施形態に係るガスケット収容体１０は、多数のガスケット１２を同時に高圧蒸気滅菌（オートクレーブ処理）するための医療機器である。まず、ガスケット１２を備える最終製品であるシリンジ３００について説明する。

　図８に示すように、シリンジ３００は、例えば、プレフィルドシリンジとして構成される。ただし、シリンジ３００は、ガスケット１２を備えていれば、その構造及び用途は限定されない。すなわち、シリンジ３００は、採血用の注射器等であってもよい。

　シリンジ３００は、シリンジ本体３０２、薬剤３０４、ガスケット１２、プランジャ３０６及びキャップ３０８を備える。シリンジ本体３０２は、円筒状の外筒３１０（バレル）と、外筒３１０の先端部を形成するノズル３１２とを有する。外筒３１０の内部には、ガスケット１２がシリンジ本体３０２の軸方向に摺動可能に配置されている。外筒３１０の内部のうちガスケット１２よりも先端方向には、薬剤３０４が充填されるシリンジ室３１４が形成される。

　図４及び図８において、ガスケット１２は、ガスケット本体１４、先端側突出部１６（シール部）及び基端側突出部１８を有する。ガスケット本体１４は、シリンジ本体３０２の軸方向に沿って延在している。ガスケット本体１４の先端面２０は、シリンジ室３１４を基端方向から封止する（図８参照）。ガスケット本体１４の先端面２０は、先端方向に向かってテーパー状に縮径している。

　先端側突出部１６及び基端側突出部１８の各々は、ガスケット本体１４の外周面２２から径方向外方に突出すると共に環状に延在している。先端側突出部１６は、ガスケット本体１４の外周面２２の先端部に設けられている。換言すれば、先端側突出部１６は、ガスケット本体１４の軸方向の中央よりも先端方向に位置すると共にガスケット本体１４の軸方向の中央よりも基端方向に位置していない。先端側突出部１６は、ガスケット本体１４の先端から基端方向にガスケット本体１４の軸方向の全長の１／４の長さの範囲に位置している。

　先端側突出部１６は、径方向外方に向かって幅狭（ガスケット本体１４の軸方向の幅が狭くなるように）に形成されている。先端側突出部１６の突出端面は、ガスケット本体１４の軸方向と直交する方向から見て円弧状に形成されている（図４参照）。先端側突出部１６の外面は、ガスケット本体１４の先端面２０に段差無く連なっている。

　図８に示すように、先端側突出部１６は、外筒３１０の内面に液密又は気密に接触する。すなわち、シリンジ室３１４は、ガスケット１２の先端側突出部１６によって液密又は気密に保たれる。先端側突出部１６を含むガスケット１２の外面には、潤滑剤が塗布されている。これにより、ガスケット１２は、外筒３１０の内面をガスケット本体１４の軸方向に円滑に摺動できる。

　図４及び図８において、基端側突出部１８は、ガスケット本体１４の軸方向の中央よりも基端方向に位置すると共にガスケット本体１４の軸方向の中央よりも先端方向に位置していない。基端側突出部１８は、ガスケット本体１４の基端よりも先端方向に位置している。基端側突出部１８は、径方向外方に向かって幅狭（ガスケット本体１４の軸方向の幅が狭くなるように）に形成されている。

　基端側突出部１８の突出端面は、ガスケット本体１４の軸方向と直交する方向から見て円弧状に形成されている（図４参照）。図８において、基端側突出部１８は、外筒３１０の内面に接触している。基端側突出部１８は、ガスケット本体１４の軸線がシリンジ本体３０２の軸線に対して傾くことを抑制する。

　図４及び図８に示すように、ガスケット本体１４の外周面２２のうち先端側突出部１６と基端側突出部１８との間の中間外周面２４は、先端側突出部１６及び基端側突出部１８よりも径方向内方に位置する。つまり、ガスケット１２は、ガスケット本体１４の軸方向の中間部分が径方向内方に窪んだ形状を有する。ガスケット本体１４の軸方向に沿った中間外周面２４の長さ（先端側突出部１６と基端側突出部１８との間隔）は、ガスケット本体１４の軸方向の全長の１／３以上の長さである。

　図８において、プランジャ３０６は、ガスケット１２を先端方向に押圧する。プランジャ３０６の先端部は、ガスケット１２の基端面２６に形成された連結穴２８に連結している。キャップ３０８は、ノズル３１２の先端開口を封止する。

　図１～図３において、ガスケット収容体１０は、複数のガスケット保持具セット３０、容器３２及び封止部材３４を備える。

　図２及び図３に示すように、複数のガスケット保持具セット３０は、上下方向に互いに積層された状態で容器３２の収容室３６に収容される。ガスケット保持具セット３０は、多数のガスケット１２と、ガスケット保持具３８とを備える。ガスケット保持具３８は、シリンジ３００のガスケット１２を多数保持する。なお、ガスケット保持具３８に保持される前に、先端側突出部１６を含むガスケット１２の外面には、潤滑剤がコーティングされている。

　ガスケット保持具３８は、樹脂材料によって一体成形されている。ガスケット保持具３８は、ベース板４０と、多数の保持構造４２と、複数の脚部４４とを備える。図２において、ベース板４０は、四角形状に形成されている。ベース板４０は、互いに平行に延在する一対の第１辺４５ａと、互いに平行に延在する一対の第２辺４５ｂとを有する。

　ベース板４０には、運搬用の２つの貫通孔４６が形成されている。貫通孔４６は、四角形状の孔である。２つの貫通孔４６は、ベース板４０の一対の第２辺４５ｂにそれぞれ隣接するように設けられている。貫通孔４６は、人間の手指又はロボットハンドの爪等を通すことができる大きさに形成されている。貫通孔４６の数、位置、大きさ及び形状は、適宜設定可能である。

　図２及び図３に示すように、ベース板４０の外周部には、下方（ベース板４０の厚さ方向）に突出する補強用の外周リブ４８が設けられている。外周リブ４８は、ベース板４０の外周部に沿って環状に延在している。ただし、外周リブ４８は、環状に一体に繋がっていなくてもよい。外周リブ４８は、ベース板４０の外周部に沿って断続的に設けられてもよい。

　外周リブ４８は、貫通孔４６を外方から覆うように延在している。すなわち、貫通孔４６は、外周リブ４８の内側に隣接して位置する。貫通孔４６は、外周リブ４８と、Ｕ字状の補強リブ５０とによって囲まれている。補強リブ５０は、ベース板４０から下方に突出すると共に外周リブ４８に繋がっている。

　図２において、多数の保持構造４２は、ベース板４０に間隔を空けて（等間隔に）配置されている。多数の保持構造４２は、ベース板４０の第１辺４５ａの延在方向に沿って一列に並んでいる。多数の保持構造４２は、第２辺４５ｂの延在方向に沿って千鳥状に（互い違いに）配置されている。保持構造４２は、ガスケット１２を保持する。

　図４及び図５に示すように、保持構造４２は、筒部５２と、膨出部５４とを有する。筒部５２は、ベース板４０から下方に突出してガスケット１２を囲む。筒部５２は、円筒状に形成されている。筒部５２の内部には、ガスケット１２が挿入される。筒部５２の内径は、ガスケット１２の最大外径（先端側突出部１６の外径）よりも大きい。

　図４において、筒部５２は、筒部５２の下端に位置する第１開口部５６と、筒部５２の上端に位置する第２開口部５８とを含む。第２開口部５８は、ベース板４０の上面と同じ高さ位置にある。すなわち、筒部５２は、ベース板４０の上面よりも上方に突出していない。筒部５２の全長は、ガスケット１２の全長よりも短い。

　膨出部５４は、筒部５２の内周面から径方向内方に膨出してガスケット本体１４の外周面２２に接触することによりガスケット１２を保持する。図５において、膨出部５４は、筒部５２の周方向に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態では、６つの膨出部５４が筒部５２の周方向に等間隔に設けられている。図４に示すように、膨出部５４は、筒部５２の軸方向において、筒部５２の内周面の中間部分に位置している。膨出部５４の下端は、筒部５２の下端よりも上方に位置する。膨出部５４の上端は、筒部５２の上端よりも下方に位置する。

　膨出部５４は、筒部５２の軸方向に沿って筒部５２の軸方向に沿った全長の１／２の長さ以上延在している。筒部５２の軸方向と直交する方向から見て（図４の断面図において）、膨出部５４の下端部６０の外面は、筒部５２の径方向内方に向かって円弧状に突出している。膨出部５４の下端部６０の高さ（筒部５２の内周面からの膨出長）は、下方（第１開口部５６）に向かって徐々に低くなっている。

　筒部５２の軸方向と直交する方向から見て（図４の断面図において）、膨出部５４の上端部６２の外面は、筒部５２の径方向内方に向かって円弧状に突出している。膨出部５４の上端部６２の高さ（筒部５２の内周面からの膨出長）は、上方（第２開口部５８）に向かって徐々に低くなっている。

　膨出部５４のうち下端部６０と上端部６２とを繋ぐ中間部６４は、筒部５２の軸方向に沿って一定の高さで延在する。図５に示すように、筒部５２の軸方向から見て（図５の断面図において）、膨出部５４は、径方向内方に円弧状に突出している。

　保持構造４２にガスケット１２を取り付ける場合、図４に示すように、ガスケット本体１４の基端面２６を筒部５２の第１開口部５６に向けた状態で第１開口部５６から筒部５２の内部にガスケット１２を挿入する。そうすると、基端側突出部１８が膨出部５４を乗り越えることにより、膨出部５４は、ガスケット１２の先端側突出部１６と基端側突出部１８との間に位置する。すなわち、膨出部５４は、ガスケット本体１４の中間外周面２４に当接する。換言すれば、膨出部５４は、ガスケット本体１４の中間外周面２４を径方向内方に押圧する。

　具体的に、膨出部５４は、中間外周面２４のうち先端側突出部１６に対して基端方向に隣接する第１隣接部２５ａ（隣接部）から中間外周面２４のうち基端側突出部１８に対して先端方向に隣接する第２隣接部２５ｂまで当接している。第１隣接部２５ａは、ガスケット１２の先端から基端方向に向かってガスケット本体１４の軸方向に沿った全長の１／３以下の長さの範囲に位置している。なお、第１隣接部２５ａは、ガスケット１２の先端から基端方向に向かってガスケット本体１４の軸方向に沿った全長の１／４の長さの範囲に位置しているのが好ましい。

　これにより、ガスケット１２は、膨出部５４によって所定の姿勢に保持される。このように保持構造４２にガスケット１２を取り付ける場合、ガスケット１２の先端側突出部１６は、膨出部５４に触れない。そのため、先端側突出部１６が保持構造４２に接触して損傷する（例えば、潤滑剤のコーティングが剥がれる）ことが抑制される。

　ガスケット１２を膨出部５４で保持した保持状態（以下、単に「ガスケット１２の保持状態」ということがある）で、先端側突出部１６は、保持構造４２（筒部５２及び膨出部５４）から離れている（接触していない）。図４の例では、ガスケット１２の保持状態で、基端側突出部１８は、保持構造４２（筒部５２及び膨出部５４）から離れている（接触していない）が、筒部５２又は膨出部５４に接触しても構わない。ガスケット１２の保持状態で、ガスケット１２の先端（下端）は、筒部５２の第１開口部５６から下方に突出している。図５に示すように、ガスケット１２の保持状態で、互いに隣り合う膨出部５４の間には、高圧蒸気滅菌時に蒸気を流通させるための隙間６６が形成されている。

　膨出部５４の数、位置、形状及び大きさは、適宜設定可能である。特に、膨出部５４の数は、１つ又は複数（６つ以外）であってもよい。膨出部５４が１つである場合、膨出部５４は、蒸気流通用の隙間６６が形成されるように、筒部５２の周方向に１８０°以上３６０°未満の範囲で延在してもよい（例えば、Ｃ字状又はＵ字状に延在してもよい）。また、膨出部５４が１つである場合、膨出部５４は、蒸気流通用の隙間６６が形成されるように、筒部５２の内周面に螺旋状に延在してもよい。なお、膨出部５４は、数が多いほどガスケット１２を安定して保持できる一方で、蒸気流通用の隙間６６が狭くなると共にガスケット保持具３８からガスケット１２を取り外し難くなる。

　図２において、脚部４４は、ベース板４０の中央部と外周部とに設けられている。図２の例では、脚部４４は、ベース板４０の中央部に１つ設けられると共にベース板４０の外周部に６つ設けられている。脚部４４の数及び位置は、適宜設定可能である。

　図６に示すように、脚部４４は、ベース板４０から下方に突出している。脚部４４は、円筒状に形成されている。すなわち、脚部４４は、上下方向に貫通した内孔６７を有する。脚部４４の外周面は、下方（突出方向）に向かってテーパー状に縮径している。図３に示すように、脚部４４の下端は、筒部５２の下端よりも下方に位置する。換言すれば、脚部４４の下端は、ガスケット１２の保持状態で、ガスケット１２の下端（先端）よりも下方に位置している。

　図６において、脚部４４の上端部には、脚部４４の下端部を挿入可能な脚挿入凹部６８が設けられている。脚挿入凹部６８は、円形状の凹部である。脚挿入凹部６８の底面７２には、脚部４４の内孔６７が開口している。つまり、脚挿入凹部６８の底面７２は、円環状に延在している。ガスケット保持具３８を上下方向に重ねた状態で、脚部４４の下端面７０は、脚挿入凹部６８の底面７２に当接する。複数のガスケット保持具３８は、脚部４４が脚挿入凹部６８に挿入されることによって、水平方向に位置決めされる。

　脚部４４の下端部には、脚部４４の内孔６７の水（液水）を排出するための２つの切欠部７４が形成されている。２つの切欠部７４は、脚部４４の周方向に１８０°ずれた位置にある。切欠部７４の数、位置、大きさ及び形状は、適宜設定可能である。

　図２及び図３に示すように、容器３２は、樹脂材料によって一体成形されている。容器３２は、複数のガスケット保持具セット３０を収容する収容室３６を有する。

　容器３２は、底壁部７６、底面リブ７８、支持部８０、容器脚部８２（図３参照）、周壁部８４、フランジ部８６及びフランジリブ８８を有する。図３において、底壁部７６は、板状に形成されると共に周壁部８４の高さ方向の中間部分に繋がる。底壁部７６は、周壁部８４の上下方向（高さ方向）の中央と周壁部８４の下端との間に位置する。底壁部７６は、収容室３６を形成する底面９０を有する。

　底面リブ７８は、底壁部７６の底面９０から上方に突出している。図２、図３及び図７において、底面リブ７８は、底面９０を複数の領域９２に仕切るように設けられている。各領域９２には、高圧蒸気滅菌時に発生した水を貯めることができる。

　図２及び図７に示すように、底面リブ７８は、各領域９２が上面視で多角形状となるように形成されている。具体的に、底面リブ７８は、各領域９２が上面視で六角形状となるように形成されている。換言すれば、底面リブ７８は、上面視でハニカム構造を有している。

　底面リブ７８によって形成される各領域９２の大きさ、形状及び数は、適宜設定可能である。底面リブ７８は、各領域９２が三角形状、四角形状又は五角形状となるように形成されてもよい。

　図７に示すように、底面リブ７８は、複数の領域９２のうちの１つの領域９２（中央領域９２ａ）が底壁部７６の中央に位置するように形成されている。底壁部７６の中心Ｐは、中央領域９２ａの中に位置する。具体的に、底壁部７６の中心Ｐは、六角形状の領域９２の中央部に位置する。換言すれば、底壁部７６の中心Ｐは、中央領域９２ａの中心又は当該中心の近傍に位置する。

　図２及び図３に示すように、支持部８０は、底壁部７６から上方に突出してガスケット保持具３８の脚部４４を支持する。支持部８０は、ガスケット保持具３８の脚部４４と同じ数だけ設けられている（図２参照）。

　図２、図６及び図７において、支持部８０の上端部には、脚部４４の下端部が挿入可能な支持凹部９４が設けられている。支持凹部９４の底面９６には、脚部４４の下端面７０が当接する（図６参照）。支持凹部９４を形成する側壁部９８には、切欠部７４から排出された水（液水）を支持部８０の外側に導くための４つの排水孔１００（排水溝）が形成されている。４つの排水孔１００は、支持部８０の周方向に等間隔（９０°間隔）に設けられている。

　図３に示すように、容器脚部８２は、支持部８０の下端から下方に向かって延出している。容器脚部８２は、支持部８０と同じ数だけ設けられている。容器脚部８２の下面は、周壁部８４の下端と同じ高さ位置にある。容器脚部８２の下面は、図示しない高圧蒸気滅菌装置のチャンバーの配置面（ガスケット収容体１０が配置される面）に接触する。支持部８０及び容器脚部８２は、複数のガスケット保持具セット３０の重量を受ける。

　図２及び図３において、周壁部８４は、底壁部７６の外周部から上方に延出した上側周壁部１０２と、底壁部７６の外周部から下方に延出した下側周壁部１０４とを有する。上側周壁部１０２は、複数のガスケット保持具セット３０を水平方向から囲むように四角形状に延在している。上側周壁部１０２は、収容室３６を形成する。上側周壁部１０２は、底壁部７６から上方に向かう途中部分で外側に広がるように屈曲している。これにより、上側周壁部１０２の剛性を高めることができる。上側周壁部１０２の上端には、開口部１０６が形成されている。周壁部８４の内面と底壁部７６の底面９０には、板状リブ１０８が設けられている（図２参照）。

　フランジ部８６は、上側周壁部１０２の上端部から外方に延出している。フランジ部８６は、環状に延在すると共に板状に形成されている。フランジ部８６の上面には、封止部材３４が固着される。フランジリブ８８は、フランジ部８６の延出端部から下方に突出している。フランジリブ８８は、フランジ部８６を補強する。フランジリブ８８は、フランジ部８６を囲むように環状に延在している。フランジリブ８８は、フランジ部８６から上下方向の少なくともいずれかに突出していればよい。

　封止部材３４は、容器３２の開口部１０６を封止する。封止部材３４は、蒸気が通過可能に形成されている。

　本実施形態では、図３に示すように、複数のガスケット保持具セット３０は、互いに重ねられた状態で支持部８０の上に配置される。この時、最下方に位置するガスケット保持具３８の脚部４４の下端部は、支持部８０の支持凹部９４に挿入される（図６参照）。そのため、ガスケット保持具３８を容器３２に対して簡単に位置決めできる。

　また、最下方に位置するガスケット保持具３８の上に重ねられるガスケット保持具３８の脚部４４の下端部は、下方に隣接するガスケット保持具３８の脚挿入凹部６８に挿入される（図６参照）。これにより、複数のガスケット保持具セット３０を簡単に位置決めできる。複数のガスケット保持具セット３０を容器３２の収容室３６に配置した後で、容器３２の開口部１０６が封止部材３４によって封止される。

　ガスケット収容体１０は、図示しない高圧蒸気滅菌装置のチャンバー内で高圧蒸気滅菌が行われる。チャンバー内の蒸気は、封止部材３４を通り容器３２の収容室３６に流入してガスケット１２に接触する。この時、蒸気は、互いに隣り合う膨出部５４の間の隙間６６（図５参照）を流通するため、ガスケット１２の周囲をスムーズに流れる。収容室３６内で発生した水（液水）は、底面９０の複数の領域９２に分散して貯められる。つまり、水が底面９０の一カ所に偏って貯まることがない。なお、各領域９２に貯まった水の一部は、蒸発して蒸気に戻る。

　また、脚部４４の内孔６７に発生した水（液水）は、最下方に位置するガスケット保持具３８の脚部４４の内孔６７に導かれる。当該脚部４４の内孔６７の水は、切欠部７４及び排水孔１００を介して支持部８０の外側に排出されて底面９０の領域９２に貯められる。

　高圧蒸気滅菌が行われた後、封止部材３４が開封される。そして、人間の手指又はロボットアームの爪をガスケット保持具３８の貫通孔４６に挿入し、当該ガスケット保持具セット３０を図示しない打栓装置に運搬する。

　その後、例えば、ガスケット保持具セット３０のガスケット１２の下方にシリンジ３００の外筒３１０（バレル）を、当該外筒３１０の基端開口部を上方に向けた状態で配置する。そして、ガスケット１２の基端面２６を上方から外筒３１０の基端開口部に向けて押圧することによりガスケット１２を外筒３１０内に打栓（例えば、真空打栓）する。これにより、外筒３１０にガスケット１２が挿入されたシリンジ３００が製造される。

　本実施形態は、以下の効果を奏する。

　本実施形態によれば、ガスケット本体１４の基端方向からガスケット１２を筒部５２内に挿入することにより、先端側突出部１６が保持構造４２に触れることなくガスケット１２を膨出部５４で保持できる。また、ガスケット１２の保持状態で保持構造４２が先端側突出部１６に接触していない。これにより、先端側突出部１６が保持構造４２に接触して損傷することを抑制しつつガスケット１２をガスケット保持具３８で保持できる。

　膨出部５４は、ガスケット本体１４の外周面２２のうち先端側突出部１６に対して基端方向に隣接する第１隣接部２５ａに接触している。

　このような構成によれば、ガスケット１２の先端部分を膨出部５４で安定して保持できる。

　第１隣接部２５ａは、ガスケット１２の先端から基端方向に向かってガスケット本体１４の軸方向に沿った全長の１／３以下の長さの範囲に位置している。

　このような構成によれば、ガスケット１２の先端部分を膨出部５４で一層安定して保持できる。

　膨出部５４は、筒部５２の軸方向に沿って当該筒部５２の軸方向に沿った全長の１／２の長さ以上延在している。

　このような構成によれば、膨出部５４によってガスケット１２を軸方向に安定して保持できる。

　ガスケット１２は、ガスケット本体１４の外周面２２から径方向外方に突出してガスケット本体１４の中央よりも基端方向に位置する基端側突出部１８を有する。膨出部５４は、ガスケット本体１４の外周面２２のうち先端側突出部１６と基端側突出部１８との間の中間外周面２４に接触している。

　このような構成によれば、膨出部５４によってガスケット１２を一層安定して保持できる。

　膨出部５４は、筒部５２の周方向に間隔を空けて複数配置されている。筒部５２の周方向に互いに隣り合う膨出部５４の間には、ガスケット１２の保持状態で、蒸気が流通可能な隙間６６が形成されている。

　このような構成によれば、ガスケット保持具３８に保持したガスケット１２を効率よく高圧蒸気滅菌することができる。また、複数の膨出部５４によってガスケット１２を周方向に安定して保持できる。

　ガスケット保持具３８は、ベース板４０から下方に突出した脚部４４を備えている。脚部４４の下端は、保持状態でガスケット１２の下端よりも下方に位置している。

　このような構成によれば、複数のガスケット保持具３８を重ねて配置する場合に隣接するガスケット保持具３８がガスケット１２に接触することを抑制できる。

　脚部４４の上端部には、当該脚部４４の下端部を挿入可能な脚挿入凹部６８が設けられている。

　このような構成によれば、複数のガスケット保持具３８を重ねて配置する場合に脚部４４の下端部を脚挿入凹部６８に挿入することによって容易に位置決めできる。

　脚部４４は、筒状に形成され、脚部４４の下端部には、脚部４４の内部の水を排出するための切欠部７４が形成されている。

　このような構成によれば、ガスケット１２を高圧蒸気滅菌する場合に脚部４４内の水（液水）を切欠部７４から外部に排出できる。

　ベース板４０の外周部には、当該ベース板４０の厚さ方向に突出する外周リブ４８が設けられている。

　このような構成によれば、ベース板４０の外周部の剛性を外周リブ４８によって向上できる。

　ベース板４０のうち外周リブ４８に隣接する部位には、運搬用の貫通孔４６が形成されている。

　このような構成によれば、貫通孔４６に人間の手指やロボットアームの爪等を挿入してガスケット保持具３８を簡単に運搬できる。また、ベース板４０のうち貫通孔４６が形成された部分の周囲を外周リブ４８で補強できる。

　ガスケット収容体１０において、容器３２は、容器３２の収容室３６を形成する底面９０を有する底壁部７６と、底壁部７６の外周部に設けられた周壁部８４と、底面９０から上方に突出する底面リブ７８と、を有する。底面リブ７８は、底面９０を複数の領域９２に仕切るように設けられている。

　このような構成によれば、底壁部７６の剛性を底面リブ７８によって向上できる。そのため、高圧蒸気滅菌時の底壁部７６の熱変形（底壁部７６の反り）を抑制できる。また、ガスケット１２の高圧蒸気滅菌時に発生した水（液水）を複数の領域９２に分散させて貯めることができる。すなわち、底面９０に水（液水）が偏って貯まることを抑制できる。

　底面リブ７８は、複数の領域９２の各々が上面視で多角形状となるように形成されている。

　このような構成によれば、底壁部７６の剛性を底面リブ７８によって効果的に向上できる。

　底面リブ７８は、複数の領域９２の各々が上面視で六角形状となるように形成されている。

　このような構成によれば、底壁部７６の剛性を底面リブ７８によって一層効果的に向上できる。また、底面９０に複数の領域９２をバランスよく配置できる。

　底面リブ７８は、複数の領域９２のうちの１つの領域９２（中央領域９２ａ）が底壁部７６の中央に位置するように形成されている。底壁部７６の中心Ｐは、中央領域９２ａの中に位置している。

　このような構成によれば、底面９０に底面リブ７８を一層バランスよく配置できるため、底壁部７６の剛性の大きさのバラツキを抑制できる。これにより、高圧蒸気滅菌時の底壁部７６の熱変形（底壁部７６の反り）を一層抑制できる。

　底壁部７６は、周壁部８４の上下方向の中間部分に位置している。

　このような構成によれば、底壁部７６を周壁部８４の下端に位置させた場合と比較して周壁部８４の剛性を底壁部７６によって効果的に向上できる。

　容器３２は、周壁部８４の上端部から外方に延出したフランジ部８６と、フランジ部８６から上下方向に突出するフランジリブ８８と、を有している。

　このような構成によれば、周壁部８４の上端部の剛性をフランジ部８６及びフランジリブ８８によって向上できる。

　容器３２は、底壁部７６から上方に突出した支持部８０を有する。支持部８０の上端部には、脚部４４の下端部を挿入可能な支持凹部９４が設けられている。

　このような構成によれば、ガスケット保持具セット３０の重量を底壁部７６から突出した支持部８０によって支持できる。また、ガスケット保持具３８の脚部４４の下端部を支持凹部９４に挿入することによりガスケット保持具３８を容器３２に対して容易に位置決めできる。

　支持凹部９４の底面９６には、脚部４４の下端面７０が当接する。支持凹部９４を形成する側壁部９８には、切欠部７４から排出された水を支持部８０の外側に導くための排水孔１００が形成されている。

　このような構成によれば、ガスケット１２の高圧蒸気滅菌時に脚部４４内の水（液水）を切欠部７４及び排水孔１００を介して排出することができる。

　容器３２は、支持部８０から底壁部７６よりも下方に延出して支持部８０に作用する荷重を受ける容器脚部８２を有している。

　このような構成によれば、支持部８０に作用する荷重を容器脚部８２で受けることができるため、ガスケット保持具セット３０の重量によって支持部８０及び底壁部７６が変形することを抑制できる。

　本実施形態において、ガスケット保持具３８は、保持構造４２に代えて図９に示す変形例のように保持構造４２ａを有してもよい。なお、本変形例において、上述した保持構造４２と同一の構成については同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。図９に示すように、ガスケット保持具３８において、変形例に係る保持構造４２ａは、筒部５２ａ及び膨出部５４を備える。筒部５２ａは、ベース板４０の両側に突出している。すなわち、筒部５２ａは、ベース板４０の下方に突出する部分とベース板４０から上方に突出する部分とを含む。

　このような構成によれば、筒部５２ａをベース板４０の片側にのみ突出させた場合と比較してベース板４０のうち筒部５２ａが設けられる部位の剛性を向上できる。

　以上のように、本発明において、筒部は、本実施形態のようにベース板の片側のみから突出していてよく、変形例のようにベース板の両側から突出していてもよい。

　本実施形態では、ガスケット１２を高圧蒸気滅菌する工程（高圧蒸気滅菌工程）と、ガスケット１２をシリンジ３００の外筒３１０内に挿入する工程（打栓工程）との両方でガスケット保持具３８を用いる例について説明した。しかしながら、ガスケット保持具３８は、高圧蒸気滅菌工程で用いられず、打栓工程のみで用いられてもよい。

　本実施形態では、滅菌処理の一例として高圧蒸気滅菌を説明したが、高圧蒸気滅菌に代えてガス滅菌を行ってもよい。ガス滅菌に用いるガスとして、例えば、エチレンオキサイド、過酸化水素等が挙げられる。

　なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。

１０…ガスケット収容体　　　　　　　　　１２…ガスケット
１４…ガスケット本体　　　　　　　　　　１６…先端側突出部
１８…基端側突出部　　　　　　　　　　　２２…外周面
２４…中間外周面　　　　　　　　　　　　２５ａ…第１隣接部（隣接部）
３０…ガスケット保持具セット　　　　　　３２…容器
３４…封止部材　　　　　　　　　　　　　３６…収容室
３８…ガスケット保持具　　　　　　　　　４０…ベース板
４２、４２ａ…保持構造　　　　　　　　　４４…脚部
４６…貫通孔　　　　　　　　　　　　　　４８…外周リブ
５２、５２ａ…筒部　　　　　　　　　　　５４…膨出部
５６…第１開口部　　　　　　　　　　　　５８…第２開口部
６０…下端部　　　　　　　　　　　　　　６２…上端部
６４…中間部　　　　　　　　　　　　　　６６…隙間
６８…脚挿入凹部　　　　　　　　　　　　７０…下端面
７２…底面　　　　　　　　　　　　　　　７４…切欠部
７６…底壁部　　　　　　　　　　　　　　７８…底面リブ
８０…支持部　　　　　　　　　　　　　　８２…容器脚部
８４…周壁部　　　　　　　　　　　　　　８６…フランジ部
８８…フランジリブ　　　　　　　　　　　９０…底壁部の底面
９２…領域　　　　　　　　　　　　　　　９２ａ…中央領域
９４…支持凹部　　　　　　　　　　　　　９６…支持凹部の底面
９８…側壁部　　　　　　　　　　　　　　１００…排水孔
１０６…開口部　　　　　　　　　　　　　３００…シリンジ
３１０…外筒　　　　　　　　　　　　　　Ｐ…中心

Claims

　シリンジの外筒内に挿入されるガスケットを保持するガスケット保持具であって、
　前記ガスケットは、
　ガスケット本体と、
　前記ガスケット本体の外周面のうち当該ガスケット本体の軸方向の中央よりも先端方向の部分から径方向外方に突出して前記外筒の内周面に液密又は気密に接触する環状の先端側突出部と、を有し、
　前記ガスケット保持具は、
　ベース板と、
　前記ベース板に設けられて前記ガスケットを保持するための保持構造と、を備え、
　前記保持構造は、
　前記ベース板から当該ベース板の厚さ方向に突出して前記ガスケットを挿入可能な筒部と、
　前記筒部の内周面から径方向内方に膨出して前記ガスケット本体の前記外周面に接触することにより前記ガスケットを保持する膨出部と、を有し、
　前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部よりも基端方向の部分に接触し、
　前記ガスケットを前記膨出部で保持した保持状態で、前記保持構造は、前記先端側突出部に接触していない、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部に対して基端方向に隣接する隣接部に接触している、ガスケット保持具。
　請求項２記載のガスケット保持具であって、
　前記隣接部は、前記ガスケットの先端から基端方向に向かって前記ガスケット本体の前記軸方向に沿った全長の１／３以下の長さの範囲に位置する、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記筒部は、
　当該筒部の一端に位置する第１開口部と、
　当該筒部の他端に位置する第２開口部と、を有し、
　前記保持状態で、前記ガスケットの先端は、前記第１開口部から前記筒部の外方に突出している、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記膨出部は、前記筒部の軸方向に沿って当該筒部の前記軸方向に沿った全長の１／２の長さ以上延在している、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記ガスケットは、前記ガスケット本体の前記外周面から径方向外方に突出して前記ガスケット本体の前記中央よりも基端方向に位置する基端側突出部を有し、
　前記膨出部は、前記ガスケット本体の前記外周面のうち前記先端側突出部と前記基端側突出部との間の中間外周面に接触している、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記膨出部は、前記筒部の周方向に間隔を空けて複数配置され、
　前記筒部の周方向に互いに隣り合う前記膨出部の間には、前記保持状態で、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌を行う時に蒸気又はガスが流通可能な隙間が形成されている、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記ベース板から下方に突出した脚部を備え、
　前記脚部の下端は、前記保持状態で前記ガスケットの下端よりも下方に位置する、ガスケット保持具。
　請求項８記載のガスケット保持具であって、
　前記脚部の上端部には、当該脚部の下端部を挿入可能な脚挿入凹部が設けられている、ガスケット保持具。
　請求項８記載のガスケット保持具であって、
　前記脚部は、筒状に形成され、
　前記脚部の下端部には、前記脚部の内部の水を排出するための切欠部が形成されている、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記ベース板の外周部には、当該ベース板の厚さ方向に突出する外周リブが設けられている、ガスケット保持具。
　請求項１１記載のガスケット保持具であって、
　前記ベース板のうち前記外周リブに隣接する部位には、運搬用の貫通孔が形成されている、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記筒部は、前記ベース板の片側のみに突出している、ガスケット保持具。
　請求項１記載のガスケット保持具であって、
　前記筒部は、前記ベース板の両側に突出している、ガスケット保持具。
　請求項１～１４のいずれか１項に記載のガスケット保持具と、
　前記ガスケットと、を備えた、ガスケット保持具セット。
　請求項１５記載のガスケット保持具セットと、
　上方に開口する開口部を有し且つ前記ガスケット保持具セットを収容する容器と、
　前記容器の前記開口部を封止する封止部材と、を備え、
　前記封止部材は、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌するための蒸気又はガスが通過可能に形成されているガスケット収容体。
　請求項１６記載のガスケット収容体であって、
　前記容器は、
　前記容器の収容室を形成する底面を有する底壁部と、
　前記底壁部の外周部に設けられた周壁部と、
　前記底面から上方に突出する底面リブと、を有し、
　前記底面リブは、前記底面を複数の領域に仕切るように設けられている、ガスケット収容体。
　請求項１７記載のガスケット収容体であって、
　前記底面リブは、前記複数の領域の各々が上面視で多角形状となるように形成されている、ガスケット収容体。
　請求項１８記載のガスケット収容体であって、
　前記底面リブは、前記複数の領域の各々が上面視で六角形状となるように形成されている、ガスケット収容体。
　請求項１９記載のガスケット収容体であって、
　前記底面リブは、前記複数の領域のうちの１つの領域が前記底壁部の中央に位置するように形成され、
　前記底壁部の中心は、前記１つの領域の中に位置している、ガスケット収容体。
　請求項１７記載のガスケット収容体であって、
　前記底壁部は、前記周壁部の上下方向の中間部分に位置する、ガスケット収容体。
　請求項１７記載のガスケット収容体であって、
　前記容器は、
　前記周壁部の上端部から外方に延出したフランジ部と、
　前記フランジ部から上下方向に突出するフランジリブと、を有する、ガスケット収容体。
　請求項８記載のガスケット保持具と前記ガスケットとを有するガスケット保持具セットと、
　上方に開口する開口部を有し且つ前記ガスケット保持具セットを収容する容器と、
　前記容器の前記開口部を封止する封止部材と、を備え、
　前記封止部材は、前記ガスケットを高圧蒸気滅菌又はガス滅菌するための蒸気又はガスが通過可能に形成され、
　前記容器は、
　前記容器の収容室を形成する底面を有する底壁部と、
　前記底壁部の外周部に設けられた周壁部と、
　前記底壁部から上方に突出した支持部と、を有し、
　前記支持部の上端部には、前記脚部の下端部を挿入可能な支持凹部が設けられている、ガスケット収容体。
　請求項２３記載のガスケット収容体であって、
　前記脚部は、筒状に形成され、
　前記脚部の下端部には、前記脚部の内部の水を排出するための切欠部が形成され、
　前記支持凹部の底面には、前記脚部の下端面が当接し、
　前記支持凹部を形成する側壁部には、前記切欠部から排出された前記水を前記支持部の外側に導くための排水孔が形成されている、ガスケット収容体。
　請求項２３記載のガスケット収容体であって、
　前記容器は、前記支持部から前記底壁部よりも下方に延出して前記支持部に作用する荷重を受ける容器脚部を有する、ガスケット収容体。