WO2013018585A1

WO2013018585A1 - サスペンションの構造

Info

Publication number: WO2013018585A1
Application number: PCT/JP2012/068714
Authority: WO
Inventors: 高尾　淳子; 孝彦橋本
Original assignee: トヨタ車体株式会社
Priority date: 2011-08-02
Filing date: 2012-07-24
Publication date: 2013-02-07
Also published as: JP2013032109A

Abstract

一対のサスペンションアーム（１６）を備えるサスペンションの構造が提供される。サスペンションアーム（１６）は、車体（１１）の前後方向に沿って延びている。各サスペンションアーム（１６）は、車体（１１）の左側および右側に形成された一対の支持部（１５）のうちの対応する一方に揺動自在に支持される連結部（２０）と、車輪（２１）を支持する車輪支持部（２２）と、車体（１１）に連結されたショックアブソーバ（２３）を支持する座部（２４）とを有する。各サスペンションアーム（１６）は、前端部に連結部（２０）を備えた前部部材（１８）と、前部部材（１８）の後端部に固定されるとともに車輪支持部（２２）及び座部（２４）を有する後部部材（１９）とを備えている。一対のサスペンションアーム（１６）の前部部材（１８）は、互いに共通な形状を有し、一対のサスペンションアーム（１６）の後部部材（１９）は、互いに対称な形状を有する。

Description

サスペンションの構造

　この発明は、自動車等の車両におけるサスペンションの構造に関するものである。

　従来、この種のサスペンションの構造としては、例えば特許文献１及び特許文献２に開示されるような構成が提案されている。これらの従来構成においては、車両の前後方向に沿って延びる一対のサスペンションアームがその前端の連結部にて、車体の左右両側部に、それぞれ揺動自在に支持されている。各サスペンションアームの後部側には、車輪を支持するための車輪支持部と、車体に連結されたショックアブソーバを支持するための座部とが設けられている。

　これらの従来構成においては、各サスペンションアームが１枚の鋼板により成形されている。このため、車輪から車輪支持部に作用する荷重、及びショックアブソーバから座部に作用する荷重に対抗するように、高強度の材質及び板厚の素材を用いてサスペンションアームの全体を成形する必要がある。よって、サスペンションアームの重量が増大するとともに、材料費が高くなって製造コストの高騰を招くという問題があった。

　また、レイアウトやサスペンションアーム特性の都合上、一対のサスペンションアームを互いに対称な形状となるように構成した場合、一対のサスペンションアームをそれぞれの成形型で成形する必要があり、左右のサスペンションアームに一つの部品を共通して使用することができない。よって、成形型の費用が高くなって製造コストの一層の高騰を招くという問題があった。

特開平１１－２０８２３２号公報特開２００５－５３１４５５号公報

　この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、サスペンションの成形素材の材質及び板厚の最適化を図ることができ、サスペンションの重量及び材料費を低減することができるとともに、左右のサスペンションアームにおける一部を共通の成形型により成形して、左右のサスペンションアームに共通の一つの部品として使用することができて、成形型の費用を低減することができるサスペンションの構造を提供することにある。

　上記の目的を達成するために、この発明は、一対のサスペンションアームを備えるサスペンションの構造を提供する。該サスペンションアームは、車体の前後方向に沿って延びている。各サスペンションアームは、前記車体の左側および右側に形成された一対の支持部のうちの対応する一方の支持部に揺動自在に支持される連結部と、車輪を支持する車輪支持部と、前記車体に連結されたショックアブソーバを支持する座部とを有する。サスペンションの構造において、各サスペンションアームは、前端部に前記連結部を備えた前部部材と、前記前部部材の後端部に固定されるとともに前記車輪支持部及び前記座部を有する後部部材とを備えている。前記一対のサスペンションアームの前部部材は、互いに共通な形状を有し、前記一対のサスペンションアームの後部部材は、互いに対称な形状を有する。

　従って、この発明のサスペンションの構造においては、サスペンションアームの後部部材が、車輪から車輪支持部に作用する荷重、及びショックアブソーバから座部に作用する荷重を受け、サスペンションアームの後部部材のみを高強度の材質及び板厚の素材を用いて成形すればよい。すなわち、大きな荷重が作用しない前部部材を、低強度の材質及び板厚の素材を用いて成形することができる。よって、サスペンションの成形素材の材質及び板厚の最適化を図ることができて、重量及び材料費を低減することができる。

　また、一対のサスペンションアームの前部部材は、互いに共通な形状を有するため、一対の前部部材を共通の成形型により成形して、共通の部品として使用することができて、成形型の費用を低減することができる。さらに、左右のサスペンションアームにおいて前部部材が互いに共通の形状を有するため、左右のサスペンションアームにおいて互いに対称な形状の部分の外形寸法が小型になる。その互いに対称な形状の部分である後部部材はサイズの小さな成形型により成形できるため、成形型の費用を一層低減することができる。その結果、サスペンションの製造コストを低下させることができる。

　前記の構成において、各後部部材は、前記車体の内方に向かって開放された空間を画定するような形状を有するように構成するとよい。このように構成した場合には、後部部材の成形を容易に行うことができるとともに、その後部部材内の空間にショックアブソーバを支持するための座部を隠蔽状態で配置することができる。

　前記の構成において、各前部部材は、前記連結部の揺動の中心を含むとともに前後方向に延びる仮想平面を基準にして対称な形状を有するように構成するとよい。このように構成した場合には、一対の前部部材を簡単な構成で互いに共通な形状にすることができるとともに、その前部部材の成形を容易に行うことができる。

　前記の構成において、前記前部部材は前記後部部材の材料より低強度の材料から製造されるとよい。

　前記の構成において、前記座部は前記後部部材の前記空間内に配置されるとよい。

一実施形態のサスペンションを車体に装着した状態を示す要部斜視図。図１の一対のサスペンションアームのうちの一方のサスペンションアームを拡大して示す斜視図。図２のサスペンションアームの側面図。図１の一対のサスペンションアームの横断面図。

　以下に、この発明を自動車等の車両におけるサスペンションの構造に具体化した一実施形態を、図面に従って説明する。

　図１に示すように、この実施形態において、車両の車体１１の左側および右側に一対のサイドフレーム１２が備えられている。一対のサイドフレーム１２の後端部の間には、クロスメンバ１３が連結されている。クロスメンバ１３の後部において、クロスメンバ１３の両端部より内側の位置には、一対のキックアップフレーム１４がそれぞれ連結されている。車体１１の幅方向のクロスメンバ１３の両端部の付近には、一対の支持部１５がそれぞれ設けられている。前記一対の支持部１５には、車体１１の前後方向に沿ってそれぞれ延びる一対のサスペンションアーム１６が図示しない支持ピンにより揺動可能に支持されている。一対のサスペンションアーム１６の後端部の間にはトーションビーム１７が架設されている。このトーションビーム１７により一対のサスペンションアーム１６が一体に揺動可能に連結されている。

　図１～図４に示すように、前記各サスペンションアーム１６は、前側に配置される前部部材１８と、その前部部材１８の後端部に対してアーク溶接等により固定された後部部材１９とより構成されている。前部部材１８及び後部部材１９は、それぞれ鋼板より成形されており、前部部材１８及び後部部材１９の縁部の少なくとも一部が車体１１の内方に向かって延びている。即ち、前部部材１８及び後部部材１９は、車体１１の内方に向かって開放された空間を有するように成形されている。本実施形態において、後部部材１９は、高強度の材質及び板厚の鋼板から成形されている。これに対して、前部部材１８は、後部部材１９に比較して低強度の材質及び板厚の鋼板から成形されている。

　前記各サスペンションアーム１６の前部部材１８の前端部には、車体１１の支持部１５に対して図示しない支持ピンにより揺動自在に連結される円筒状の連結部２０が溶接により固定されている。後部部材１９には、車輪２１を回転可能に支持するための透孔状の車輪支持部２２が形成されている。また、後部部材１９の内側面には、車体１１に連結されたショックアブソーバ２３を支持するための座部２４が車体１１の内方へ突出するように形成されている。これにより、車輪２１から車輪支持部２２に作用する荷重、及びショックアブソーバ２３から座部２４に作用する荷重が、高強度の材質及び板厚の鋼材よりなる後部部材１９において受け止められる。

　図３及び図４に示すように、前記一対のサスペンションアーム１６において、左側の前部部材１８と、右側の前部部材１８とは、共通の形状を有するように成形されている。つまり、各前部部材１８は、連結部２０の揺動中心Ｏを含むとともに前後方向に延びる仮想平面Ｐを基準にして、上下対称に成形されている。これに対して、一対の後部部材１９は車体１１の幅方向の中心において前後方向に延びる平面を基準にして互いに対称に成形されている。そのため、一対のサスペンションアーム１６において、左側の前部部材１８および右側の前部部材１８は、共通の成形型を用いて成形され、共通部品として使用できるようになっている。また、左側の後部部材１９および右側の後部部材１９は、サイズの小さな左右対称な成形型を用いてそれぞれ成形される。

　（実施形態の作用）
　さて、上記サスペンションアームの構造によれば、左右の前部部材が共通の形状で成形されるため、一対のサスペンションアーム１６の前部部材１８は、共通の成形型を用いて成形され、共通部品として使用できる。

　又、左右の後部部材１９は互いに対称になるように成形されている。サスペンションアームの後部部材のみを高強度の材質及び板厚の素材を用いて成形すればよく、大きな荷重が作用しない前部部材を、低強度の材質及び板厚の素材を用いて成形できる。よって、サスペンションアーム１６の材質及び板厚の最適化が図られ、重量及び材料費が低減される。

　従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。

　（１）　このサスペンションアームの構造においては、一対のサスペンションアーム１６が、前部部材１８と、その前部部材１８の後端部に固定された後部部材１９とよりそれぞれ構成されている。各前部部材１８の前端部には、車体１１の側部の支持部１５に対して揺動自在に連結される連結部２０が形成されている。各後部部材１９には、車輪２１を支持する車輪支持部２２、及び車体１１に連結されたショックアブソーバ２３を支持する座部２４が形成されている。一対のサスペンションアーム１６において、左右の前部部材１８は共通の形状を有するように成形されるとともに、左右の後部部材１９は互いに対称に成形されている。

　このサスペンションにおいては、サスペンションアーム１６の後部部材１９が、車輪２１から車輪支持部２２に作用する荷重、及びショックアブソーバ２３から座部２４に作用する荷重を受ける。そのため、サスペンションアーム１６の後部部材１９のみを高強度の材質及び板厚の素材を用いて成形すればよい。すなわち、前部部材１８は、大きな荷重を受けないため、低強度の材質及び板厚の素材を用いて成形することができる。よって、成形素材の材質及び板厚の最適化を図ることができ、サスペンションアーム全体を一体に成形した従来構成に比較して、重量及び材料費を低減することができる。

　また、サスペンションアーム１６の左右の前部部材１８は共通の形状を有する。そのため、左右の前部部材１８を共通の成形型により成形して、共通の部品として使用することができて、成形型費を低減することができる。さらに、共通の形状を有する左右の前部部材１８を設けたことにより、左右のサスペンションアーム１６を成形するためにそれぞれ必要となる成形型を小さくすることができ、成形型の費用を一層低減することができる。その結果、サスペンションアーム１６の製造コストを低下させることができる。

　（２）　このサスペンションの構造においては、前記前部部材１８及び後部部材１９が、車体１１の内方に向かって開放された空間を画定するように構成されている。このため、前部部材１８及び後部部材１９の成形を容易に行うことができるとともに、後部部材１９内の空間にショックアブソーバ２３を支持するための座部２４を隠蔽状態で配置することができる。

　（３）　このサスペンションの構造においては、前記前部部材１８が、連結部２０の揺動中心Ｏを含むとともに前後方向に延びる仮想平面Ｐを基準にして上下対称に成形されている。このため、左右の前部部材１８を単純な構成で共通にすることができるとともに、その前部部材１８が容易に成形できる。

　なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。

　・　前記実施形態において、サスペンションアーム１６の前部部材１８は、車体１１の内方に向かって開放された空間を有する。代替的には、前部部材１８は、内部に空間を画定する四角筒状等の断面形状を有するように形成されてもよい。

　・　前記実施形態において、サスペンションアーム１６の前部部材１８及び後部部材１９の側面形状は任意に変更されてもよい。

　１１…車体、１５…支持部、１６…サスペンションアーム、１８…前部部材、１９…後部部材、２０…連結部、２１…車輪、２２…車輪支持部、２３…ショックアブソーバ、２４…座部、Ｐ…仮想平面。

Claims

　一対のサスペンションアームを備えるサスペンションの構造であって、該サスペンションアームは、車体の前後方向に沿って延び、各サスペンションアームは、前記車体の左側および右側に形成された一対の支持部のうちの対応する一方の支持部に揺動自在に支持される連結部と、車輪を支持する車輪支持部と、前記車体に連結されたショックアブソーバを支持する座部とを有するサスペンションの構造において、
　各サスペンションアームが、前端部に前記連結部を備えた前部部材と、前記前部部材の後端部に固定されるとともに前記車輪支持部及び前記座部を有する後部部材とを備え、
　前記一対のサスペンションアームの前部部材は、互いに共通な形状を有し、
　前記一対のサスペンションアームの後部部材は、互いに対称な形状を有することを特徴とするサスペンションの構造。
　各後部部材は、前記車体の内方に向かって開放された空間を画定するような形状を有することを特徴とする請求項１に記載のサスペンションの構造。
　各前部部材は、前記連結部の揺動の中心を含むとともに前後方向に延びる仮想平面を基準にして対称な形状を有することを特徴とする請求項１または請求項２に記載のサスペンションの構造。
　前記前部部材は、前記後部部材の材料より低強度の材料から製造されることを特徴とする請求項１に記載のサスペンションの構造。
　前記座部は、前記後部部材の前記空間内に配置されていることを特徴とする請求項２に記載のサスペンションの構造。