WO2012056598A1 - スパークプラグ - Google Patents

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智雄 田中
柴田 勉
吉本 修
高明 鬼海
武人 久野
布目 健二
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日本特殊陶業株式会社
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    • C22C19/00Alloys based on nickel or cobalt
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    • H01TSPARK GAPS; OVERVOLTAGE ARRESTERS USING SPARK GAPS; SPARKING PLUGS; CORONA DEVICES; GENERATING IONS TO BE INTRODUCED INTO NON-ENCLOSED GASES
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    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
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    • H01T13/20Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation
    • H01T13/32Sparking plugs characterised by features of the electrodes or insulation characterised by features of the earthed electrode

Definitions

  • the precipitate is preferably dispersed uniformly throughout the outer layer 13. If the precipitates are uniformly dispersed, even if the ground electrode 6 is placed in a combustion chamber in a high-temperature environment and the Ni-based alloy base material is exposed to an environment in which grain growth is likely to occur, the grains of the Ni-based alloy base material By uniformly dispersing the precipitates in the boundary, it is possible to further suppress the grain growth of the Ni-based alloy base material.
  • the melting start temperature and the melting completion temperature of the outer layer 13 can be measured by differential thermal analysis (DTA).
  • FIG. 2A is an explanatory view schematically showing an example of a result of differential thermal analysis of the Ni-based alloy forming the outer layer.
  • DTA differential thermal analysis
  • a part of the outer layer 13 is collected as a sample, placed on the differential thermal analyzer together with the reference material, the temperature of the sample and the reference material is increased, and the temperature difference between the sample and the reference material Measure.
  • the vertical axis represents the temperature difference between the sample and the reference material
  • the horizontal axis represents time
  • a DTA curve is obtained. When the temperature of the sample and the reference material is increased, an endothermic change is observed in the DTA curve.
  • Mn and Si are elements that can easily adjust the melting point of the outer layer 13 to 1150 ° C. or more and 1350 ° C. or less, but also have a high diffusion rate to Cu and reduce the heat conduction of the core 12 formed of Cu or the like. . Therefore, it is preferable that Mn and Si are contained within the above-mentioned range since they do not excessively diffuse into the core portion 12 formed of Cu or the like when annealing is performed in the process of forming the ground electrode 6.
  • the outer layer 13 may optionally include 2A group elements such as Mg, Ca and Sr, 3A group elements such as Sc, Y and rare earth elements, 4A group elements such as Ti, Zr and Hf, Al, It can contain at least one selected from Cr, Au, B and the like.
  • 2A group elements such as Mg, Ca and Sr
  • 3A group elements such as Sc, Y and rare earth elements
  • 4A group elements such as Ti, Zr and Hf, Al
  • It can contain at least one selected from Cr, Au, B and the like.
  • oxide powders of Al, B, 2A group elements, 3A group elements, and / or 4A group elements are also added. Then, since these metal oxides are stable, they exist without being decomposed even when the melting temperature is reached, and can be included in the outer layer 13 as precipitates.
  • the manufactured spark plug test piece had a screw diameter of M14, and the spark discharge gap between the tip surface of the ground electrode and the side surface of the center electrode facing the ground electrode was 1.1 mm.

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Abstract

 この発明の課題は、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有する接地電極において、芯部と外層とを密着させつつ芯部の高熱伝導性を維持することにより電極消耗を抑制し、かつ、Ni基合金母材の粒成長を抑制する接地電極を備えるスパークプラグを提供することである。 この発明のスパークプラは、中心電極、及び前記中心電極との間に間隙を有する接地電極を備え、前記接地電極は、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有するスパークプラグにおいて、前記外層を形成するNi基合金の融点が1150℃以上1350℃以下であることを特徴とする。

Description

スパークプラグ
 この発明は、スパークプラグに関し、特に、接地電極の内部に熱伝導率の高い材料により形成される芯部を有するスパークプラグに関する。
 自動車エンジン等の内燃機関の点火用に使用されるスパークプラグは、一般に、筒状の主体金具と、この主体金具の内孔に配置される筒状の絶縁体と、この絶縁体の先端側内孔に配置される中心電極と、一端が主体金具の先端側に接合され、他端が中心電極との間に火花放電間隙を有する接地電極とを備える。そして、スパークプラグは、内燃機関の燃焼室内で、中心電極の先端と接地電極の先端との間に形成される火花放電間隙に火花放電され、燃焼室内に充填された燃料を燃焼させる。
 ところで、近年、過給器による出力向上により、少ない燃料で走行距離を伸ばす技術が開発されている。このような内燃機関においては、燃焼室内の温度が上昇する傾向にあり、特に接地電極の先端が位置する領域近傍の温度が高温化する傾向にある。さらに、スパークプラグの小型化に伴い、接地電極も細くなるので、放電で生じた熱を接地電極が主体金具へと伝導して逃がすことができなくなり(熱引きと称することもある。)、接地電極自身の温度も上昇し易くなる。
 スパークプラグが、このような高温環境下で使用されるようになり、接地電極の温度も上昇し易い構造になると、従来のスパークプラグでは所望の性能を維持するのが難しくなってくる。
 特許文献1には、接地電極の温度上昇を低減するとともに消炎作用を抑制することができるスパークプラグを提供することを課題として、接地電極よりも熱伝導率が高い芯材を、接地電極の湾曲部以外の少なくとも一部に埋設されるスパークプラグが記載されている。
特開2007-299670号公報
 接地電極の温度上昇を低減するために、接地電極の外層をNi基合金で形成し、さらにこの外層により内包され、この外層より熱伝導率の高いCu等で形成される芯材を設ける構成を採用する場合、芯材と外層とを形成する材料が異なることによる加工度合いの差により接地電極を製造する際に両材料の界面ですべりが生じ、両材料の界面に隙間が生じることがあった。その結果、熱引きが悪くなり、耐火花消耗性及び耐酸化性が低下し、電極消耗が増加してしまうおそれがあった。また、接地電極の熱引きが悪くなると、接地電極の温度が高くなることで、Ni基合金母材が粒成長し、それによって折損強度が低下してしまうおそれがあった。
 この発明は、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有する接地電極において、芯部と外層とを密着させつつ芯部の高熱伝導性を維持することにより電極消耗を抑制し、かつ、Ni基合金母材の粒成長を抑制する接地電極を備えるスパークプラグを提供することを課題とする。
 前記課題を解決するための手段は、
(1) 中心電極、及び前記中心電極との間に間隙を有する接地電極を備え、
 前記接地電極は、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有するスパークプラグにおいて、
 前記外層を形成するNi基合金の融点が1150℃以上1350℃以下であることを特徴とするスパークプラグである。
 前記(1)の好ましい態様は、
(2) 前記外層は析出物を含み、
(3) 前記外層は溶融開始温度と溶融完了温度との差が100℃以上であり、
(4) 前記外層は共晶組織を含む析出物を含み、
(5) 前記外層は、96質量%以上のNi、0.5質量%以上1.5質量%以下のMn、及び0.5質量%以上1.5質量%以下のSiを含有する。
 この発明に係るスパークプラグは、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有する接地電極を備え、前記外層を形成するNi基合金の融点が1150℃以上1350℃以下であるから、接地電極を作製する際に適度な温度で焼鈍を行うことができるので、外層と芯部との界面の密着性を高めることができ、また、外層に含まれる元素と芯部に含まれる元素とが過度に相互拡散することがないので、芯部の高熱伝導性を維持することができる。その結果、この接地電極は高温環境下で受熱した熱及び放電で生じた熱を主体金具へと伝導して逃がす、所謂熱引きが良好になる。したがって、接地電極の耐火花消耗性及び耐酸化性が良好になるので、電極消耗を抑制することができる。また、この接地電極は高温環境下に曝されても熱引きが良好なので、Ni基合金母材の粒成長を抑制し、折損強度を維持することができる。
 前記外層が析出物を含むとNi基合金母材の粒成長をより一層抑制することができるので、折損強度の低下を防止することができる。
 前記外層の溶融開始温度と溶融完了温度との温度差が100℃以上であると、析出物が均一に分散され、Ni基合金母材の粒成長をより一層抑制することができ、折損強度を維持することができる。
 前記析出物が共晶組織を含むと、前記温度差が得られやすく、また、芯部と外層とを形成する合金を加工する際に、共晶組織が層状であることから、析出物が粉砕されて分散され易い。前記外層が共晶組織を有する析出物が分散されていると、Ni基合金の粒成長をより一層抑制することができ、空隙や割れなどの欠陥のほとんどない外層を得ることができる。その結果、折損強度を維持することができる。
 Mn及びSiは、融点を前記範囲内に調整し易い元素であるものの、接地電極を形成する過程で焼鈍を行った場合に、Cu等により形成される芯部への拡散速度が速く、芯部の熱伝導率が低下し易い。しかし、前記外層が0.5質量%以上1.5質量%以下のMn、及び0.5質量%以上1.5質量%以下のSiを含有すると、Cu等により形成される芯部へ過度に拡散して芯部の熱伝導率を低下するのを防ぐことができる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを説明する説明図であり、図1(a)は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの一部断面全体説明図であり、図1(b)は、この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグの主要部分を示す断面説明図である。 図2(a)は、外層を形成するNi基合金を示差熱分析した結果の一例を模式的に示した説明図である。図2(b)は、外層を形成するNi基合金を示差熱分析した結果の他の一例を模式的に示した説明図である。 図3(a)は、この発明に係るスパークプラグの他の実施例であるスパークプラグの主要部分を示す断面説明図であり、図3(b)は、この発明に係るスパークプラグのさらに別の実施例であるスパークプラグの主要部分を示す断面説明図である。
 この発明に係るスパークプラグは、中心電極と接地電極とを有し、この中心電極の一端と接地電極の一端とが間隙を介して対向するように配置されている。接地電極は少なくとも芯部とこの芯部を内包する外層とを有し、芯部が外層よりも熱伝導率の高い材料により形成されている。この発明に係るスパークプラグは、このような構成を有するスパークプラグであれば、その他の構成は特に限定されず、公知の種々の構成を採ることができる。
 この発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグを図1に示す。図1(a)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の一部断面全体説明図であり、図1(b)はこの発明に係るスパークプラグの一実施例であるスパークプラグ1の主要部分を示す断面説明図である。なお、図1(a)では紙面下方を軸線AXの先端方向、紙面上方を軸線AXの後端方向として、図1(b)では紙面上方を軸線AXの先端方向、紙面下方を軸線AXの後端方向として説明する。
 このスパークプラグ1は、図1(a)及び(b)に示されるように、略棒状の中心電極2と、中心電極2の外周に設けられた略円筒状の絶縁体3と、絶縁体3を保持する円筒状の主体金具4と、一端が中心電極2の先端面と火花放電間隙Gを介して対向するように配置されると共に他端が主体金具4の端面に接合された接地電極6とを備えている。
 前記主体金具4は、円筒形状を有しており、絶縁体3を内装することにより絶縁体3を保持するように形成されている。主体金具4における先端方向の外周面にはネジ部9が形成されており、このネジ部9を利用して図示しない内燃機関のシリンダヘッドにスパークプラグ1が装着される。主体金具4は、導電性の鉄鋼材料、例えば、低炭素鋼により形成されることができる。
 前記絶縁体3は、主体金具4の内周部に滑石(タルク)10又はパッキン11等を介して保持されており、絶縁体3の軸線方向に沿って中心電極2を保持する軸孔5を有している。絶縁体3は、絶縁体3における先端方向の端部が主体金具4の先端面から突出した状態で、主体金具4に固着されている。絶縁体3は、機械的強度、熱的強度、電気的強度を有する材料であることが望ましく、このような材料として、例えば、アルミナを主体とするセラミック焼結体が挙げられる。
 中心電極2は、外材7と、外材7の内部の軸心部に同心に埋め込まれるように形成されてなる内材8とにより形成される。中心電極2は、その先端部が絶縁体3の先端面から突出した状態で絶縁体3の軸孔5に固定されており、主体金具4に対して絶縁保持されている。内材8は外材7よりも熱伝導率の高い材料により形成されるのが良く、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等を挙げることができる。外材7は、後述する接地電極6の外層13に使用される電極材料又はこの電極材料以外の公知の材料で形成されることができる。
 前記接地電極6は、例えば、略角柱体に形成されてなり、一端が主体金具4の端面に接合され、途中で略L字に曲げられて、その先端部が中心電極2の軸線方向に位置するように、その形状及び構造が設計されている。接地電極6がこのように設計されることによって、接地電極6の一端が中心電極2と火花放電間隙Gを介して対向するように配置されている。火花放電間隙Gは、中心電極2の先端面と接地電極6の表面との間の間隙であり、この火花放電間隙Gは、通常、0.3~1.5mmに設定される。
 接地電極6は、接地電極6の軸心部に設けられた芯部12とこの芯部12を内包する外層13とを有する。外層13は以下に説明する、Ni基合金と称される電極材料により形成され、芯部12は外層13よりも熱伝導率の高い材料により形成される。芯部12を形成する材料としては、例えば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、純Ni等の金属を挙げることができる。これらの中でも加工性やコストの観点から芯部12はCuやCu合金により形成されるのが好ましい。
 外層13を構成する材料の融点は1150℃以上1350℃以下である。外層13の融点が前記範囲内であるとき、接地電極6を作製する工程において焼鈍を行うと、外層13と芯部12との材料の違いによる加工度合いの差から生じる両材料の界面でのすべりを抑制することができるので、界面に隙間が生じ難くなるだけでなく、芯部12と外層13との界面において相互拡散が生じて密着性が良好になる。焼鈍温度は一般に材料の融点の1/3以上とされるので、外層13の融点が低いと焼鈍温度も低くなり過度の相互拡散を伴わず密着性を維持した適度な相互拡散が行われる。このことから、芯部12特にCuにより形成される芯部12の高熱伝導率を維持することができる。その結果、接地電極6の熱引きが良好になり、耐消耗性及び耐酸化性が良好になるので、電極消耗を抑制することができる。また、この接地電極6が高温環境下に曝されても、熱引きが良好なのでNi基合金母材の粒成長を抑制し、それによって折損強度を維持することができる。
 外層13の融点が1150℃未満であると、耐火花消耗性が低下するため、電極消耗が増加し接地電極6自身が細くなる。このことは放熱経路が小さくなることを意味し、その結果接地電極6自身の温度が高くなることとなる。このように形成された接地電極6を備えるスパークプラグを実機で使用した場合に、上述した理由からNi基合金母材が粒成長し易くなる。また、その結果、折損強度が低下してしまう。
 外層13の融点が1350℃を超えると、焼鈍温度も高くなるので、外層13を形成するNi基合金と芯部12を形成する、例えばCu等との間で過度の拡散が生じ、芯部12の熱伝導率が低下してしまう。そうすると、接地電極6の熱引きが悪くなり、火花消耗性及び耐酸化性が劣り、電極消耗が増す。また、接地電極6の熱引きが悪くなると、接地電極6の温度が上昇してNi基合金母材が粒成長し易くなり、折損強度が低下してしまう。
 Ni基合金母材の結晶粒は、その平均粒径が200μm未満であるのが好ましく、150μm未満であるのがより好ましく、100μm未満であるのが特に好ましい。Ni基合金母材の結晶粒の平均粒径が200μm未満であると接地電極6に要求される折損強度を維持することができる。
 外層13は、析出物を含むのが好ましい。外層13が析出物を含むと、接地電極6が高温環境の燃焼室内に置かれて、Ni基合金母材が粒成長し易い環境下に曝されても、析出物が結晶粒同士の間すなわち粒界に存在することで、Ni基合金母材の結晶粒が粒成長するのが抑制されるので、折損強度を維持することができる。析出物は、外層13を形成するNi基合金を溶解する過程でNi基合金から結晶粒界に析出して形成される物質であり、Ni基合金に含有される元素の酸化物、NiとNi基合金に含有される元素との金属間化合物、Ni基合金に含有される元素同士の金属間化合物、及び金属間化合物と金属酸化物との共晶組織等を挙げることができる。Ni基合金に含有される元素としては、Al、B、2A族元素、3A族元素、及び4A族元素等を挙げることができる。酸化物である析出物は、これらの元素からなる群から選択される少なくとも1種の酸化物を挙げることができる。
 析出物は、外層13全体に均一に分散されているのが好ましい。析出物が均一に分散していると、接地電極6が高温環境の燃焼室内に置かれて、Ni基合金母材が粒成長し易い環境下に曝されても、Ni基合金母材の粒界に析出物が均一に分散していることにより、Ni基合金母材が粒成長するのをより一層抑制することができる。
 析出物は、共晶組織を含むのが好ましい。析出物が共晶組織であると、Ni基合金によりカップ状に形成されるカップ体に芯部12を形成するCu等の棒状体を挿入した後に、加工変形して接地電極6を形成する過程で、Ni基合金が溶解及び凝固される際に晶出した共晶組織が加工応力により粉砕されるので、共晶組織である析出物は粒径が小さくなり、均一に分散され易い。析出物が共晶組織であると接地電極6を加工する際に共晶組織は粉砕され易いので、Ni基合金母材の粒界に空隙や割れ等の欠陥が生じ難くなり、折損強度を維持することができる。したがって、外層13は共晶組織を含む析出物が分散されているのが好ましい。
 析出物は、その平均粒径が0.05μm以上10μm以下であるのが好ましく、特に0.05μm以上5μm以下であるのが好ましい。析出物の平均粒径が前記範囲内であると、Ni基合金母材に均一に分散され易く、Ni基合金母材が粒成長するのが抑制されるので、折損強度を維持することができる。また、Ni基合金の加工において母材自身に加工欠陥が生じにくくなる。
 析出物の形成および分散状態は、金属顕微鏡もしくは電子顕微鏡(例えばSEM)により確認することができる。析出物の平均粒径は、前述装置などにより観察したときの視野に存在する任意の50個の析出物について短径と長径とを測定し、これら測定値すべての算術平均を算出することにより得ることができる。析出物の分散状態も前述装置により観察可能で、析出物の個々の粒が偏在又は凝集していずに離れて存在している場合に分散していると判断できる。なお、Ni基合金母材の結晶粒の平均粒径についても、析出物の平均粒径と同様にして得ることができる。
 析出物の形態は、電子顕微鏡により観察することにより共晶組織であるか否かを確認することができ、また、X線による同定もしくは電子顕微鏡付属の定量装置により析出物を形成している化合物を特定することができる。
 外層13は、溶融開始温度と溶融完了温度との温度差が100℃以上200℃以下であるのが好ましい。外層13の溶融開始温度と溶融完了温度との温度差が100℃以上であると、析出物が均一に分散された外層13を容易に得ることができる。その結果、Ni基合金母材の粒成長が抑制され、折損強度を維持することができる。また、前記温度差が200℃以下であると、凝固偏析によりNi基合金母材の組成が部分的に異なってしまうおそれがない。
 外層13の溶融開始温度と溶融完了温度とは、示差熱分析(DTA)により測定することができる。図2(a)は外層を形成するNi基合金を示差熱分析した結果の一例を模式的に示した説明図である。示差熱分析では、例えば、外層13の一部を試料として採取して、示差熱分析装置に基準物質と共に載置して、試料と基準物質とを昇温し、試料と基準物質との温度差を測定する。図2(a)に示すように、縦軸に試料と基準物質との温度差をとり、横軸に時間をとり、DTA曲線を得る。試料と基準物質とを昇温していくと、DTA曲線に吸熱変化が見られる。すなわち、ベースラインを描くDTA曲線が所定の時間に急激に下方に変位し、下に凸の吸熱曲線を描き、さらに所定の時間になるとベースラインを描くという軌跡をとる。この吸熱変化が開始するときの試料の温度が溶融開始温度T、吸熱変化が終了し、ベースラインに戻るときの試料の温度が溶融完了温度Tである。ベースラインが山なりの曲線を描く等ベースラインが一定でなく、溶融開始温度又は溶融完了温度が明確に決定されない場合には、ベースラインの較正をする。例えば、図2(a)に示すように吸熱変化の終了点が明確でない場合には、吸熱変化が終了する前後の吸熱曲線及びベースラインそれぞれに接線L、Lを引き、接線LとLとの交点の時間Sにおける試料の温度を溶融完了温度Tとする。
 図2(b)に示すように、外層13を形成するNi基合金を示差熱分析するとDTA曲線が2つの吸熱変化を示す場合がある。このとき、昇温開始後の最初に現れる温度差の小さい吸熱変化において、吸熱変化が開始するときの試料の温度が溶融開始温度T、温度差の大きい吸熱変化において吸熱変化が終了し、ベースラインに戻るときの試料の温度が溶融完了温度Tである。
 外層13の融点は、示差熱分析により測定することができ、図2(a)に示されるように吸熱変化が1つの場合には、融点は吸熱変化が開始するときの試料の温度Tである。図2(b)に示されるように、吸熱変化が2つの場合には、融点は昇温開始後に最初に現れる温度差の小さい吸熱変化が開始するときの試料の温度Tである。
 外層13は、96質量%以上のNi、0.5質量%以上1.5質量%以下のMn、及び0.5質量%以上1.5質量%以下のSiを含有するのが好ましい。
 Niは、熱伝導率が高いので、接地電極6の熱引きを良好にするのに効果がある。Niと共にMn、Si、Al、Cr等が含有されると、耐酸化性を向上させるのに有効である。しかし、これらの元素の量が多すぎると、接地電極6を形成する過程で焼鈍を行った場合に、これらの元素が芯部12を形成する例えばCuに過度に拡散して芯部12の熱伝導率が低下するおそれがあるので、Niの含有量を96質量%以上とするのが好ましい。
 Mn及びSiは外層13の融点を1150℃以上1350℃以下に調整し易い元素ではあるが、Cuへの拡散速度も速く前述したCu等により形成される芯部12の熱伝導を低下させてしまう。従って、Mn及びSiが前記範囲内で含有されると接地電極6を形成する過程で焼鈍を行った場合にCu等により形成される芯部12へ過度に拡散しないので好ましい。
 外層13は、前記金属元素以外にも、所望により、Mg、Ca及びSr等の2A族元素、Sc、Y及び希土類元素等の3A族元素、Ti、Zr及びHf等の4A族元素、Al、Cr、Au、B等から選択される少なくとも1種を含有することができる。
 外層13における2A族元素、3A族元素、4A族元素、Al、及びBの含有率は、合計で3質量%以下であるのが好ましく、2質量%以下であるのが特に好ましい。前記元素の合計含有率が前記範囲内であると、過度の析出物が生成せず加工性を悪化させることが無い。
前記希土類元素としては、Nd、La、Ce、Dy、Er、Yb、Pr、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Ho、Tm、Luを挙げることができる。
 外層13におけるAuの含有率は、10質量%以上28質量%以下であるのが好ましい。Auの含有率が前記範囲内であると、外層13を形成する材料が本願規定の融点範囲となることとAu自身の酸化は生じないため耐酸化性に優れるものとなる。
 外層13におけるCr及び/又はAlの総含有率は、0.05質量%以上0.8質量%以下であるのが好ましい。Cr及び/又はAlの総含有率が前記範囲内であると、Ni基合金の熱伝導性を低下させることなく耐酸化性を改善することが出来る。
 外層13は、Ni、Mn、及びSiと、所望により、2A族元素、3A族元素、4A族元素、Al、Cr、Au、及び/又はBとからなる群より選択される少なくとも1種とを実質的に含有する。これらの各成分は、前述した各成分の含有率の範囲内で、これら各成分と不可避不純物との合計が100質量%になるように含有される。前記成分以外の成分、例えば、Fe,Cu,P,S,C等が微量の不可避不純物として含有されることがある。これらの不可避不純物の含有量は少ない方が好ましいが、本願発明の目的を達成することができる範囲内で含有していてもよく、前述した成分の合計質量を100質量部としたときに、前述した1種類の不可避不純物の割合は0.1質量部以下、含有されるすべての種類の不可避不純物の合計割合は0.2質量部以下であるのがよい。
 この外層13に含まれる各成分の含有率は、次のようにして測定することができる。すなわち、この外層13から所定量の試料を採取しICP発光分析(inductively coupled plasma emission spectrometry)を行うことにより、質量分析する。Niについては上記分析測定値の残部として算出する。ICP発光分析では、試料を硝酸等を用いて酸分解法により溶液化し、定性分析の後、検出元素及び指定元素について定量を行う(ICP発光分析装置として、例えば、サーモフィッシャー製iCAP-6500)。3回の測定値の平均値を算出し、その平均値を外層13の各成分の含有率とする。
 なお、この外層13は、所定の原料を所定の配合割合で配合して、以下に示すように製造される。
 前記スパークプラグ1は、例えば次のようにして製造される。まず、接地電極6の製造方法について説明する。所望の組成となるように純Niと他の金属元素とを溶解して調整し、調整したNi基合金をカップ状に加工して外層13となるカップ体を作製する。一方、外層13よりも熱伝導率の高いCu等の材料を溶解して、熱間加工、線引き加工等して芯部12となる棒状体を作製する。この棒状体を前記カップ体に挿入し、好ましくは、400℃以上1000℃以下の範囲内で焼鈍を行った後に、押し出し加工等の塑性加工をして、所望の形状に塑性加工して、外層13の内部に芯部12を有する接地電極6を作製する。
 前記工程において焼鈍を行うことにより、加工性が良好になり、外層13と芯部12との界面の隙間を小さくすることができる。また、焼鈍が前記温度範囲で行われることにより、芯部12と外層13との密着性が良好になると共に、過度の相互拡散が生じないので、芯部12の高熱伝導性を維持することができる。その結果、接地電極6の熱引きが良好になり、耐消耗性及び耐酸化性が良好になるので、電極消耗を抑制することができる。また、焼鈍が前記温度範囲で行われることにより、この接地電極6が高温環境下に曝されても、熱引きが良好なのでNi基合金母材の粒成長を抑制し、折損強度を維持することができる。
 なお、前述した接地電極6の製造工程において、純Niと他の金属元素とを溶解する際に、Al、B、2A族元素、3A族元素、及び/又は4A族元素の酸化物粉末も添加すると、これらの金属酸化物は安定しているので溶解温度に達しても分解せずに存在し、析出物として外層13に含ませることができる。
 析出物の別の形成方法として次の方法がある。前述した接地電極6の製造工程において、純Niと他の金属元素とを溶解する際に、純Niに金属元素としてAl、B、2A族元素、3A族元素、及び/又は4A族元素を添加し、溶解して均一化した後に形成される鋳塊後のインゴット又は中間加工工程における線材に対して、前記添加元素の優先酸化処理を行うことにより内部酸化を生じさせることができる。この優先酸化処理により、Al、B、2A族元素、3A族元素、及び/又は4A族元素の酸化物を析出物として外層13に含ませることができる。なお、優先酸化処理は、少なくともNiが酸化しない低酸素雰囲気で加熱処理することにより行う。所望の元素の酸化解離圧以上の酸素濃度で加熱処理を行うと他元素の酸化を伴わないので好ましい。優先酸化処理として、例えば、水素-水蒸気雰囲気で加熱処理を行うことが挙げられる。
 析出物のまた別の形成方法として次の方法がある。前述した接地電極6の製造工程において、純Niと他の金属元素とを溶解する際に、純Niに金属元素としてAl、B、2A族元素、3A族元素、及び/又は4A族元素を添加する。このとき、これらの元素同士若しくはこれらの元素とNiとの間において金属間化合物を生成することのできる量を添加する。それによって、溶解された金属が凝固する際に金属間化合物及び/又は金属間化合物を含む共晶組織を形成させることができる。
 中心電極2は、前記外層13と同一の組成を有する材料又は公知の材料を用いて、前述した接地電極6と同様の方法により製造することができる。内部に高熱伝導率を有する材料により形成される内材8を有さない場合には、所定の組成を有する合金の溶湯を調製し、溶湯から鋳塊を調製した後、この鋳塊を熱間加工、線引き加工等して、所定の形状及び所定の寸法に適宜調整して、中心電極2を作製することができる。
 次いで、所定の形状に塑性加工等によって形成した主体金具4の端面に、接地電極6の一端部を電気抵抗溶接又はレーザ溶接等によって接合する。次いで、接地電極6が接合された主体金具4にZnめっき又はNiめっきを施す。Znめっき又はNiめっきの後に3価クロメート処理を行っても良い。また、接地電極6にめっきが付いていても良く、接地電極6にめっきが付かないようにマスキングをしても良く、接地電極6に付いためっきを別途剥離しても良い。次いで、セラミック等を所定の形状に焼成することによって絶縁体3を作製し、中心電極2を絶縁体3に公知の手法により組み付け、接地電極6が接合された主体金具4にこの絶縁体3を組み付ける。そして、接地電極6の先端部を中心電極2側に折り曲げて、接地電極6の一端が中心電極2の先端部と対向するようにして、スパークプラグ1が製造される。
 本発明に係るスパークプラグは、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン等の点火栓として使用され、内燃機関の燃焼室を区画形成するヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に前記ネジ部9が螺合されて、所定の位置に固定される。この発明に係るスパークプラグは、如何なる内燃機関にも使用することができるが、高温環境下においても電極消耗を抑制し、折損強度を維持した接地電極6を備えているから、特に、燃焼室内の温度が従来よりも高い内燃機関に好適に使用されることができる。
 この発明に係るスパークプラグ1は、前述した実施例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。例えば、前記スパークプラグ1は、中心電極2の先端面と接地電極6における一端の表面とが、軸線AX方向で、火花放電間隙Gを介して対向するように配置されているが、この発明において、図3に示されるように、中心電極2の側面と接地電極61,62における一端の先端面が、中心電極2の半径方向で、火花放電間隙Gを介して対向するように配置されていてもよい。この場合に、中心電極2の側面に対向する接地電極61,62は、図3(a)に示されるように単数が設けられても、図3(b)に示されるように複数が設けられてもよい。
 前記スパークプラグ1は、図1(b)に示されるように、接地電極6が芯部12とこの芯部12を内包する外層13とにより形成されているが、図3(b)に示されるように、接地電極62が芯部122と、この芯部122を内包する外層132と、芯部122と外層132との間に芯部122を覆うように設けられた中間層142と、により形成され、例えば、外層132が前記電極材料、中間層142がCuを主成分とする金属材料、芯部122が純Niにより形成されてもよい。このような構造を有する接地電極62は、熱引きがよく、高温になった接地電極62の温度を効果的に下げることができる。また、芯部12が純Niにより形成されていると、接地電極62の変形が防止されるので、スパークプラグを内燃機関に搭載した場合に接地電極62が起き上がってしまうのを防止することができる。
 さらに、前記スパークプラグ1は、中心電極2及び接地電極6を備えているが、この発明においては、中心電極2の先端部及び接地電極6の表面の両方又はいずれか一方に、貴金属チップを備えていてもよい。中心電極2の先端部及び接地電極6の表面に形成される貴金属チップは、通常、円柱又は角柱形状を有し、適宜の寸法に調整され、適宜の溶接手法例えばレーザ溶接又は電気抵抗溶接により中心電極2の先端部、接地電極6の表面に溶融固着される。この場合、対向する2つの貴金属チップの表面の間に形成される間隙、又は貴金属チップの表面とこの貴金属チップに対向する中心電極2又は接地電極6の表面との間の間隙が前記火花放電間隙となる。この貴金属チップを形成する材料は、例えば、Pt、Pt合金、Ir、Ir合金等の貴金属が挙げられる。
<接地電極の作製>
 通常の真空溶解炉を用いて、表1に示す組成を有する合金の溶湯を調製し、真空鋳造にて各溶湯から鋳塊を調製した。その後、この鋳塊を熱間鋳造にて丸棒として、この丸棒をカップ状に形成して、外層となるカップ体を作製した。一方、Cu又はCu合金を熱間鋳造にて丸棒とし、この丸棒を熱間加工及び線引き加工等して、芯部となる棒状体を作製した。この棒状体を前記カップ体に挿入し、押し出し加工等の塑性加工後に線引き加工を施して、接地電極を作製した。なお、前記工程においては、焼鈍を行わずに接地電極を作製したので、得られた接地電極を以下において焼鈍なし接地電極と称する。
 なお、実施例5,14,27にはCuが99質量%でAl、Cr、Si、Zrの総量が1質量%であるCu合金を用い、その他の実施例及び比較例についてはCu100質量%の純Cuを用いた。
 また、前述した焼鈍なし接地電極の作製において、棒状体をカップ体に挿入した後に、真空中で700℃に1時間加熱保持して焼鈍を行ったこと以外は、同様にして接地電極を作製した。この接地電極は焼鈍を行って作製されたので、以下において焼鈍あり接地電極と称する。
<スパークプラグ試験体の作製>
 公知の手法により、主体金具の一端面に前記焼鈍あり接地電極の一端部を接合し、次いで、セラミックで形成された絶縁体に中心電極を組み付け、焼鈍あり接地電極が接合された主体金具にこの絶縁体を組み付けた。そして、前記焼鈍あり接地電極の先端部を中心電極側に折り曲げて、接地電極の先端面と中心電極の側面とが対向するようにして、スパークプラグ試験体を製造した。
 なお、製造されたスパークプラグ試験体のねじ径はM14であり、接地電極の先端面とこの接地電極に対向する中心電極の側面との間の火花放電間隙は1.1mmであった。
<融点、溶融開始温度及び溶融完了温度の測定方法>
 前述したように、接地電極における外層から試料を採取し、示差熱分析を行い、DTA曲線を得た。吸熱変化が開始するときの試料の温度を融点及び溶融開始温度、吸熱変化が終了するときの試料の温度を溶融完了温度とした。
<析出物の観察>
 作製した接地電極の表面をSEMで観察して、析出物の有無及びその形態を観察した。また、析出物の同定は、EPMA付属の定量装置により行った。
<組成>
 製造された接地電極の外層の組成はICP発光分析(サーモフィッシャー製iCAP-6500)により分析した。
<評価方法>
(加工性)
 前述のように作製した焼鈍なし接地電極及び焼鈍あり接地電極について、接地電極の長手方向に沿って切断して得られた断面における外層と芯部との界面の隙間の最大距離及び外層におけるボイド(気泡)の最大径を測定した。これらの測定値を以下の基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
 ×:隙間の最大距離、若しくは、ボイドの最大径が200μm以上、又は、接地電極の形状に加工不可
 ○:隙間の最大距離、若しくは、ボイドの最大径が100μm以上200μm未満
 ◎:隙間の最大距離、若しくは、ボイドの最大径が50μm以上100μm未満
 ★:隙間の最大距離、若しくは、ボイドの最大径が50μm未満
(電極消耗)
 前述のように製造したスパークプラグ試験体を、2000ccのガソリンエンジンに取り付け、スロットル全開状態で、エンジン回転数5000rpmの状態を300時間保持する耐久試験を行った。試験後にスパークプラグ試験体をエンジンから取り外し、接地電極における先端部の中心から接地電極の長手方向に沿って切断して、得られた切断面において、接地電極の先端から1mmの部分の消耗厚さを測定した。この電極消耗厚さを以下の基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
 ×:電極消耗厚さが100μm以上
 ○:電極消耗厚さが80μm以上100μm未満
 ◎:電極消耗厚さが50μm以上80μm未満
 ★:電極消耗厚さが50μm未満
(Ni基合金母材の粒成長)
 前述した電極消耗の評価におけるスパークプラグ試験体の耐久性試験の後に、同様にして断面観察を行い、金属顕微鏡にて、金属の平均粒径を測定した。金属の平均粒径は、金属顕微鏡により観察したときの視野に存在する任意の50個の金属の粒について短径と長径とを測定し、これら測定値すべての算術平均を算出することにより得た。得られた平均粒径により以下の基準に基づいてNi基合金母材の粒成長の度合いを評価した。結果を表2に示す。
 ×:平均粒径が200μm以上
 ○:平均粒径が150μm以上200μm未満
 ◎:平均粒径が100μm以上150μm未満
 ★:平均粒径が70μm以上100μm未満
 ★★:平均粒径が70未満
 表2における総合評価は、次の基準に基づいて評価した。
 各評価において×が1個でもあれば×、◎が2個以上であれば◎(以上)、★評価が3個以上であれば★。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 接地電極の外層の融点が本願発明の範囲外にある焼鈍なし接地電極は、加工性が悪く、特に融点の低い試験No.10、11は、接地電極の形状に加工することができなかった。外層の融点が本願発明の範囲内にある焼鈍なし接地電極でも、焼鈍を行わなかった場合には、加工性が良好とは言えない場合があったが、接地電極の形状に加工が可能であった。接地電極の加工過程において、焼鈍を行うことによりいずれも加工が可能となり、試験No.3~9、12、13、15は外層と芯部との隙間の最大距離及びボイドの最大径が小さくなり、加工性が改善された。
 試験No.3~9の外層は、析出物を含まないので、試験No.12~29の外層よりもNi基合金母材の平均粒径が大きく、粒成長の度合い評価に劣った。
 析出物を含む試験No.12~29のうち試験No.17~29は、析出物が共晶組織であり、析出物が均一に分散されていたので、Ni基合金母材の粒成長がより一層抑制された。
 試験No.12、13、15、29の外層は、焼鈍なし接地電極の加工性があまり良好ではなかった。試験No.12、13、15は溶融開始温度と溶融完了温度との温度差が100℃未満と小さかったために、Alの分散性が不十分であったためであると推定される。試験No.29は溶融開始温度と溶融完了温度との温度差が200℃以上と大きかったために、Ni基合金母材の凝固偏析や析出物の粒成長及び凝集が生じ、析出物の分散性が悪くなったためであると推定される。
1,101,102 スパークプラグ
2 中心電極
3 絶縁体
4 主体金具
6,61,62 接地電極
7 外材
8 内材
9 ネジ部
10 タルク
11 パッキン
12,121,122 芯部
13,131,132 外層
142 中間層
G 火花放電間隙

Claims (5)

  1.  中心電極、及び前記中心電極との間に間隙を有する接地電極を備え、
     前記接地電極は、Ni基合金により形成される外層と、この外層により内包され、この外層よりも熱伝導率の高い材料により形成される芯部とを有するスパークプラグにおいて、
     前記外層を形成するNi基合金の融点が1150℃以上1350℃以下であることを特徴とするスパークプラグ。
  2.  前記外層は析出物を含むことを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3.  前記外層は溶融開始温度と溶融完了温度との差が100℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4.  前記外層は共晶組織を含む析出物を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
  5.  前記外層は、96質量%以上のNi、0.5質量%以上1.5質量%以下のMn、及び0.5質量%以上1.5質量%以下のSiを含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のスパークプラグ。
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