WO2012043405A1

WO2012043405A1 - ボールタップ及び便器洗浄タンク装置

Info

Publication number: WO2012043405A1
Application number: PCT/JP2011/071701
Authority: WO
Inventors: 樋口　健; 孝二福谷; 雅史深川
Original assignee: 株式会社Ｌｉｘｉｌ
Priority date: 2010-09-29
Filing date: 2011-09-22
Publication date: 2012-04-05
Also published as: TW201219628A; CN103119229A

Abstract

　便器に補給水を供給するための補給水管側に流れる水量を手洗吐水部の有無に拘わらず一定の水量とし、節水を図ることができるボールタップを提供する。　ボールタップ（２８）は、洗浄タンク（１０）内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロート（４０）と、このフロート（４０）の昇降により開閉する給水弁（３４）とを備えており、洗浄タンク（１０）への給水及び給水停止を自動的に行う。給水弁（３４）の下流部に設け、洗浄タンク（１０）に設けられる手洗吐水部（１８）に向けて手洗水を流出する出口部（６４）と、この出口部（６４）に設け、流路抵抗を変化させる抵抗部材（９６）とを備えている。

Description

ボールタップ及び便器洗浄タンク装置

　本発明は、ボールタップ及び便器洗浄タンク装置に関するものである。

　特許文献１は従来の便器洗浄タンク装置を開示している。この便器洗浄タンク装置は、フロートの昇降により給水弁を開閉して、洗浄タンクへの給水及び給水停止を自動的に行うボールタップを備えている。

　この便器洗浄タンク装置では、図２６に示すように、洗浄タンク２００はアウタタンク２０２とインナタンク２０４との２重タンク構造をなしている。アウタタンク２０２は、上部に、その蓋を兼用した手洗鉢２０６を設けている。この手洗鉢２０６は手洗吐水管（手洗吐水部）２０８を手洗鉢２０６から起立する形態で設けている。手洗鉢２０６は底部に排水口２１０を設けている。手洗吐水管２０８から吐水された手洗水は排水口２１０から洗浄タンク２００内部へと落下する。

　便器洗浄タンク装置は洗浄タンク２００の側壁部に回転可能に設けられた洗浄ハンドル２１２を有している。洗浄ハンドル２１２からＬ字状をなすレバーアーム２１４が洗浄タンク２００の内方に向って延び出している。レバーアーム２１４の先端部と洗浄タンクの底部に設けた排水弁２１６とが鎖２１８によって連結している。排水弁２１６は洗浄ハンドル２１２の回転操作によって鎖２１８を介して引き上げられ開弁する。この便器洗浄タンク装置は、排水弁２１６が開弁することによって、洗浄タンク２００底部の排出口が開放し、洗浄タンク２００内の洗浄水を排出口から便器に向けて勢い良く放出する。

　洗浄タンク２００内に配設したボールタップ２２０は、給水弁を内蔵したボールタップ本体２２２を有している。ボールタップ２２０は、洗浄タンク２００内の水位に連動して昇降するフロート２２４と、フロート２２４及び給水弁を連繋する連繋アーム２２６とを有している。ボールタップ２２０はフロート２２４の下降によって給水弁を開いて吐水口２２８から洗浄タンク２００内に給水を行う。また、ボールタップ２２０はフロート２２４の上昇によって給水弁を閉じて給水を停止する。

　ボールタップ２２０は、給水弁の下流部において、手洗水を手洗吐水管２０８に向けて流出する手洗水の出口部２３０を上向きに設けている。ボールタップ２２０は、出口部２３０に手洗水を手洗吐水管２０８に導くための蛇腹管から成る導水管２３２の一端側を接続している。ボールタップ２２０は、給水弁が開くと下流部のタンク内吐水口２２８から洗浄タンク２００内に給水を行うのと併せて、手洗吐水管２０８に手洗水を供給し、そこから手洗鉢２０６に向けて手洗水を吐水する。

　フロート２２４は、これを回転操作することでねじ軸部２３６に対する螺合位置を上下に調節する。すなわち、フロート２２４は高さを上下に位置調整することができる。そして、フロート２２４の上下の位置によって、洗浄タンク２００内の満水時における洗浄水の水量を調節することができる。

　つまり、フロート２２４の位置を下側に移動させると、洗浄タンク２００内への給水の際にボールタップ２２０の給水弁が早く閉じ、洗浄タンク２００内への給水量が少なくなる。すなわち、洗浄タンク２００内の洗浄水の満水時の水位を低く調整することができる。

　逆にフロート２２４の位置を上側に移動させると、洗浄タンク２００内への給水の際にボールタップ２２０の給水弁が遅く閉じ、洗浄タンク２００内への給水量が多くなる。すなわち、洗浄タンク２００内の洗浄水の満水時の水位を高く調整することができる。

　特許文献５は従来の他の便器洗浄タンク装置を示している。この便器洗浄タンク装置は給水遅延機構を設けている。内部にボールタップを備えた便器洗浄タンク装置は、排水弁を開いて洗浄タンク内に貯溜してある洗浄水を便器に向けて放出すると、水位の低下によってボールタップのフロートが下降して給水弁を開くものがある。このため、この便器洗浄タンク装置は、排水弁の開弁後に直ちにタンク内への給水を開始する。この場合、給水弁の開弁によりタンク内に給水された水もまた、タンク内に貯溜されていた洗浄水とともに洗浄タンクの排出口から便器に向けて放出され、便器洗浄水として用いられる。

　しかしながら便器洗浄のための洗浄水量としては、洗浄タンク内にもともと貯溜されていた洗浄水の水量だけで十分であり、そこに新たな給水が加わって便器洗浄用として用いられても、その給水は余分な水量となり、多くの水が無駄に放出されてしまうことになる。

　このようなことから、特許文献５に開示された便器洗浄タンク装置のように、排水弁の開弁後に直ちにボールタップの給水弁を開いて給水を行うのではなく、排水弁の開弁後に給水弁を遅らせて開弁させるための給水遅延機構を設けたものが従来提案されている。

　特許文献５に開示された便器洗浄タンク装置３００は、図２７に示すように、洗浄タンク３０２、及び洗浄タンク３０２の内部に配置されたボールタップ３０４を備えている。ボールタップ３０４は、給水弁と、給水弁の開弁によりタンク内給水を行う給水口３０６と、フロート３０８及びフロート３０８と給水弁とを連繋する連繋アーム３１０とを有している。給水遅延機構３１２は、その主要素をなす小容量の遅延槽３１４を有している。

　遅延槽３１４は底部に小孔３１６を有している。遅延槽３１４の内部の洗浄水Ｗ２は小孔３１６を通じて遅延槽３１４の外部、即ち洗浄タンク３０２内に流出する。洗浄タンク３０２は、底部に設けた排出口３１８と、排出口３１８を開閉する排水弁３２０とを有している。

　この便器洗浄タンク装置３００は、排水弁３２０を開くと洗浄タンク３０２内に貯留されていた洗浄水Ｗ１が、排出口３１８から便器に向けて一気に放出される。しかし、遅延槽３１４内の洗浄水Ｗ２は小孔３１６を通じて少しずつ流出する。このため、洗浄タンク３０２内の洗浄水Ｗ１の水位が速やかに下降するのに対して、遅延槽３１２内の洗浄水Ｗ２の水位の低下は遅い。よって、排水弁３２０が開いて洗浄水Ｗ１の放出を開始しても直ぐにはボールタップ３０４の給水弁は開かず、タンク内への給水は行われない。

　この便器洗浄タンク装置３００は、洗浄水Ｗ１が全体的に放出されて排水弁３２０が閉じる時期に、初めて洗浄水Ｗ２の水位の低下に基づいてボールタップ３０４の給水弁が開き、洗浄タンク３０２内への給水が開始される（そのように小孔３１６の大きさが定められ、小孔３１６からの流出流量が定められている。）。このため、便器洗浄タンク装置３００は、排水弁３２０の開弁後に給水口３０６から給水された水が便器洗浄水として無駄に消費されてしまうのを防止することができる。

特開２００２－１６７８３８号公報特開２０００－１６０６２５号公報実開平６－３０２７７号公報特許第２８０１９７８号公報実開昭６３－１２６４７１号公報

　しかし、特許文献１の洗浄タンク２００は、手洗吐水管２０８付きのものであるが、洗浄タンク２００によっては手洗吐水管２０８を有しないものもある。手洗吐水管２０８を有しない洗浄タンク２００に対しては、手洗水の出口部２３０を上向きに設けたボールタップ２２０では対応することができない。このため、手洗吐水管２０８を有しない洗浄タンクに対しては手洗水の出口部２３０を設けていないボールタップを利用していた。即ち手洗吐水管２０８の有無によって、別々のボールタップを用いて対応していた。しかしながらこの場合、ボールタップが２種類必要となってしまう。

　洗浄タンク２００が手洗吐水管２０８を有しない場合、例えば、手洗水の出口部を斜め下向きにして、導水管２３２を接続しないで出口部を開放状態にする。これによって、洗浄タンク２００内への給水時、出口部を洗浄タンク２００への第２の吐水口として、洗浄タンク２００内に水を流出させる。一方、洗浄タンク２００が手洗吐水管２０８を有する場合、出口部に導水管を接続して、出口部から手洗吐水管２０８に手洗水を導く。このようにすれば、同じボールタップを利用して洗浄タンク２００が手洗吐水管を有する場合と有さない場合とに対応することができる。

　ところで、手洗水の出口部よりも下流側においてボールタップに補給水管を備えておき、その補給水管を通じて補給水を便器に供給することが従来から行われている。この補給水は、便器洗浄時に便器内の溜水が排出された後、再び便器内に溜水を一定水位で溜めるために便器に供給するものである。上述したように、同じボールタップを利用して洗浄タンク２００が手洗吐水管２０８を有する場合と有さない場合に対応するために、手洗水の出口部に導水管２３２を接続したり、接続しなかったりすると、補給水の水量が異なるという問題が生ずる。

　洗浄タンク２００が手洗吐水管２０８を有する場合、手洗吐水管は手洗水の出口部よりも上方にあるため、手洗水の出口部から手洗吐水管の吐水口に水を押し上げるには大きな抵抗が生じる。このため、洗浄タンク２００内への給水時、手洗水の出口部に導水管を接続して手洗吐水管２０８に手洗水を送り、その吐水口から手洗水を吐水する際、補給水管側に流れる水の比率が大きくなり、便器への補給水の水量が多くなる。

　逆に洗浄タンク２００が手洗吐水管２０８を有さない場合、手洗水の出口部に導水管を接続せずに、その出口部から直接、洗浄タンク２００内に給水を行うため、出口部からの水の流出に対する抵抗が小さくなる。このため、補給水管側に流れる水の比率が小さくなり、便器への補給水の水量が少なくなる。補給水の水量が少ないと、便器の中に必要な水量の溜水が溜まらなくなるおそれがある。

　これを防止するため、常に必要水量よりも多めに便器に向けて補給水を流すように設定しておくことが必要となる。この場合、必要水量以上に補給水が便器に供給されてしまい、水が無駄に消費されてしまう。

　尚、第１発明に関連する先行技術として、特許文献２、特許文献３に開示されたものがある。但し、これら特許文献に開示されたものは、補給水管に流れる水量を安定化することができないもので、第１発明とは異なっている。

　第１発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便器に補給水を供給するための補給水管側に流れる水量を手洗吐水部の有無に拘わらず一定の水量とし、節水を図ることができるボールタップを提供することを解決すべき課題としている。

　また、特許文献１の洗浄タンク２００は、フロート２２４を回転操作することによって、その高さを調節するものである。このため、フロート２２４の周りにその回転のための広いスペースが必要となる。

　近年、洗浄タンクは益々小型化する傾向にある。このため、フロート２２４を回転させたときに周辺部品との干渉の問題を生じ、周辺部品の配置のレイアウトを大きく制約する。そしてこのことが洗浄タンクの一層の小型化を阻む要因となる。

　また、ねじによってフロート２２４の高さを調節するものにあっては、長期間使用するうちにねじ軸部２３６に対するフロート２２４の螺合位置にずれが生じるおそれがある。この場合、フロート２２４の高さが本来の位置から変化してしまうことによって、満水時の洗浄水の水位が設定した位置から変わるおそれがある。

　尚、第２発明に関連する先行技術として、特許文献４はパイロット式の貯水槽用のボールタップについて開示している。このボールタップは、リング状の位置決部材をねじ軸部に螺合し、位置決部材をねじ軸部に沿って上下に移動することができる。但し、この位置決部材は、浮子（フロート）の上昇端を規定するストッパとしてのもので、浮子と一体に上下動するものではなく、第２発明とは異なっている。

　第２発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フロートの周りにこれを回転させるためのスペースを必要とせず、フロートの回転によって周辺部品との干渉の問題を生じることのないボールタップを提供することを解決すべき課題としている。

　また、特許文献５の便器洗浄タンク装置３００では、寒冷地に対応するために、少量で水を連続的に流して便器に窮する流動水吐水口を備えたものに適用しようとすると、適正なタイミングで給水弁３２０を開いて洗浄タンク３０２内の洗浄水を給水することができないおそれがある。

　つまり、洗浄水吐水口からの流動水が落下する位置に遅延槽３１４が位置していると、流動水の吐水中に便器洗浄を行うと、流動水が遅延槽３１４内部に入ることによって、排水弁３２０を開いて洗浄タンク３０２内に貯溜してある洗浄水Ｗ１を放出しても、遅延槽３１４内の水位が予定した通りに低下していかない。

　具体的には、遅延槽３１４の小孔３１６からの流出流量よりも遅延槽３１４内に入り込む流動水の流量が多い場合、いつまでたっても遅延槽３１４内の水位は低下しない。一方、遅延槽３１４内に入り込む流動水の流量が小孔３１６から流出する流量よりも少ない場合であっても、遅延槽３１４内の水位の低下が予定よりも遅くなる。何れの場合においても排水弁３２０の開弁後の適正なタイミングでボールタップ３０４の給水弁を開いて洗浄タンク３０２内に給水を行うことができない。

　例えば、洗浄タンク３０２内への給水は、排水弁３２０が開いて内部に貯留してある洗浄水Ｗ１を放出し終え、そして排水弁３２０が閉じる時期に行うようにするのが望ましいが、そのような適正なタイミングで給水弁を開き、給水開始させるといったことができなくなる。

　第３発明及び第４発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、給水遅延機構及び流動水吐水口を備えた便器洗浄タンク装置において、流動水吐水口から落下した水が給水遅延機構の遅延槽内に入り込むことを防止し、給水弁の開弁によるタンク内給水を適正な時期に開始することができる便器洗浄タンク装置を提供することを解決すべき課題としている。

　第１発明のボールタップは、洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、
　このフロートの昇降により開閉する給水弁とを備えており、
　前記洗浄タンクへの給水及び給水停止を自動的に行うボールタップであって、
　前記給水弁の下流部に設け、前記洗浄タンクに設けられる手洗吐水部に向けて手洗水を流出する出口部と、
　この出口部に設け、流路抵抗を変化させる抵抗部材とを備えていることを特徴とする。

　第１発明のボールタップは、洗浄タンクが手洗吐水部を有さず、手洗水の出口部に導水管を接続しないときには、抵抗部材によって流路抵抗を増大させる。これによって、手洗水の出口部に導水管を接続して手洗水を手洗吐水部に導くときと流路抵抗を同等にすることができる。このため、補給水管に流れる水量を手洗吐水部の有無に拘らず一定にすることができる。これにより補給水管を通じて便器に供給する補給水の水量を多めに設定することが不要となり、節水を図ることができる。

　第２発明のボールタップは、洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、
　このフロートの昇降により開閉する給水弁と、
　軸部を有しており、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えており、
　前記洗浄タンクへの給水及び給水停止を自動的に行うボールタップであって、
　前記連繋アームの軸部に組み付けられており、前記フロートに保持されつつ前記フロートに対し独立して回転することによって、前記フロートともに前記軸部に沿って移動する回転操作部材を備えていることを特徴とする。

　第２発明のボールタップは、回転操作部材を回転操作すると、回転操作部材がフロートを伴って軸部に沿って移動し、フロートの高さを調節することができる。このため、フロートの高さを調節するためにフロートを回転させる必要はなく、フロートの周りにその回転のためのスペースを確保しておく必要はない。よって、フロートの周辺部品の配置のレイアウトの自由度が高まり、また洗浄タンクの一層の小型化を図ることができる。また、フロートの高さ調節のためにフロートを回転させる必要がないので、フロート自体の形状の自由度も高まる。

　また、このボールタップは、回転操作部材の回転によって、回転操作部材を連繋アームの軸部に沿って連続的に移動させること、つまり、フロートの高さを軸部に沿って無段階に連続的に調節することができる。

　第３発明の便器洗浄タンク装置は、排出口と、この排出口を開閉する排水弁とを有する洗浄タンクと、
　この洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、このフロートの昇降により開閉する給水弁と、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えたボールタップと、
　前記洗浄タンク内に配置して内部に前記フロートが位置し、前記洗浄タンクよりも小容量であり、内部の水が流出する小孔を形成した遅延槽を有しており、前記排水弁の開弁後に前記遅延槽内の水が小孔を通じて流出することによって生じる前記遅延槽内の水位低下を前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内の水位低下よりも遅くし、前記給水弁の開弁を遅延する給水遅延機構と、
　凍結防止のための流動水を前記洗浄タンクに給水する流動水吐水口とを備えた便器洗浄タンク装置であって、
　前記流動水吐水口は前記流動水が前記遅延槽に向かって落下する位置である前記遅延槽の上方に配置してあるとともに、
　この遅延槽の上側に設け、前記流動水吐水口から落下した流動水を受けて前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内に導く水受部材を備えていることを特徴とする。

　この便器洗浄タンク装置は、給水遅延機構における遅延槽に向って流動水吐水口から落下した流動水を水受部材で受けて遅延槽外に導くため、流動水が遅延槽内に入り込んでしまうことを防止することができる。このため、この便器洗浄タンク装置は、給水遅延機構が正常に動作し、給水弁を適正なタイミングで開き、タンク内への給水を開始することができる。

　また、この便器洗浄タンク装置は、流動水吐水口と遅延槽とを水平方向に大きく位置をずらせて配置しなくても良い。また、この便器洗浄タンク装置は、水受部材が流動水吐水口から落下した流動水を受けるため、流動水がタンク内貯留水に勢いよく落下することを防止し、大きな着水音の発生を防止することができる。

　第４発明の便器洗浄タンク装置は、排出口と、この排出口を開閉する排水弁とを有する洗浄タンクと、
　この洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、このフロートの昇降により開閉する給水弁と、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えたボールタップと、
　前記洗浄タンク内に配置して内部に前記フロートが位置し、前記洗浄タンクよりも小容量であり、内部の水が流出する小孔を形成した遅延槽を有しており、前記排水弁の開弁後に前記遅延槽内の水が小孔を通じて流出することによって生じる前記遅延槽内の水位低下を前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内の水位低下よりも遅くし、前記給水弁の開弁を遅延する給水遅延機構と、
　凍結防止のための流動水を前記洗浄タンクに給水する流動水吐水口とを備えた便器洗浄タンク装置であって、
　前記流動水吐水口と前記遅延槽とは、前記流動水吐水口から吐水した流動水が前記遅延槽内に向かって落下しない位置に前記洗浄タンク内における水平方向の位置を定めてあることを特徴とする。

　この便器洗浄タンク装置も流動水吐水口からの流動水が遅延槽内に入り込むことを防止することができる。このため、この便器洗浄タンク装置は、給水遅延機構が正常に動作し、給水弁を適正なタイミングで開き、タンク内への給水を開始することができる。

実施例１のボールタップを洗浄タンクの内部構造とともに示した図である。図１におけるボールタップと手洗吐水管との接続部分を示した図である。実施例１のボールタップを備えた洗浄タンクを示した部分断面図である。実施例１のボールタップにおける手洗水の出口部と周辺部の分解斜視図である。実施例１のボールタップにおける手洗水の出口部の断面図である。実施例１のボールタップにおける絞り弁の動作説明図である。実施例１のボールタップを、手洗吐水管を有しないタンクに適用した場合の説明図である。実施例１のボールタップを、手洗吐水管を有するタンクに適用した場合の説明図である。実施例１のボールタップを、図８とは異なる位置に手洗吐水管を有するタンクに適用した場合の説明図である。実施例２のボールタップを備えた洗浄タンクを示した部分断面図である。実施例２のボールタップを示した図である。実施例２のボールタップの要部を示した部分断面図である。実施例２のボールタップの高さ調整機構の要部を示した図である。実施例２の高さ調節ダイヤルとねじ軸部とを分離した状態を示す斜視図である。実施例２のフロートを示す図である。実施例２のフロートの利点の説明図である。比較例のフロートの動作説明図である。実施例３の便器洗浄タンク装置を示した図である。実施例３のボールタップ、流動弁、給水遅延機構を水受部材とともに示した図である。図１９を図１９とは異なる方向で示した図である。実施例３の給水弁を周辺部とともに拡大して示した図である。実施例３の水切部材を流動弁、流動水吐水口等とともに示した図である。実施例３の水受部材を給水遅延機構の遅延槽とともに示した図である。図２３の水切部材を取付状態で周辺部とともに示した図である。実施例４の便器洗浄タンク装置の要部を示した図である。従来のボールタップを洗浄タンクの内部構造とともに示した図である。従来の給水遅延機構を備えた便器洗浄タンク装置を示した図である。

　第１発明における好ましい形態を説明する。

　第１発明の前記抵抗部材は絞り弁であり得る。この場合、絞り弁の開度を容易に切り替えることができる。このため、出口部の流路抵抗を容易に変化させることができる。

　前記絞り弁は、通水用の第１開口を具備した固定弁体と、通水用の第２開口を具備し、前記固定弁体に対する回転によって、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を変化させて流路抵抗を変化させる可動弁体とを有し得る。この場合、可動弁体を単に回転させるだけで、簡単に流路抵抗を変化させることができる。

　前記出口部は、上下方向に回転し、先端側に手洗水の流出口を具備しており、一部が前記可動弁体をなしている回転部を有し得る。この場合、洗浄タンクが手洗吐水部を設けておらず、手洗水の出口部に導水管を接続しないとき、つまり手洗水の出口部を開放にしたままにしておくときは、回転部を回転させて手洗水の流出口を下方向きにしておく。これによって、開放にしたままの手洗水の出口部から流出した水を円滑にタンク内に給水することができる。前記回転部は屈曲管であり得る。

　前記洗浄タンクが手洗吐水部を設けているときには、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を大きくし、前記洗浄タンクが手洗吐水部を設けていないときには、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を小さくして前記出口部から直接前記洗浄タンク内に手洗水を流出し得る。この場合、回転部の回転によって、洗浄タンクが手洗吐水部を有するときと有さないときで、流路抵抗を変化させることができる。このため、ボールタップを含む便器洗浄タンク装置の施工性を良くすることができる。

　次に、第１発明のボールタップを具体化した実施例１について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例１＞
　実施例１の洗浄タンク１０は、図１に示すように、アウタタンク１２とインナタンク１４との２重タンク構造をなしている。洗浄タンク１０は、アウタタンク１２の上部に、アウタタンク１２の蓋を兼用した手洗鉢１６を設けている。手洗鉢１６は手洗吐水管（手洗吐水部）１８を手洗鉢１６から起立する形態で設けている。手洗吐水管１８は、図２に示すように、手洗鉢１６の鉢面から上側に露出した上部１８Ａと、鉢面の下側の下部１８Ｂとを有している。手洗吐水管１８は下部１８Ｂの外周面に雄ねじ部２１を設けている。この雄ねじ部２１にナット２３がねじ込まれ、手洗吐水管１８は手洗鉢１６に取り付けられている。手洗鉢１６は底部に排水口２０を設けている。手洗吐水管１８の吐水口１９から吐水された手洗水が、この排水口２０から洗浄タンク１０の内部へと落下する。

　洗浄タンク１０は、図１に示すように、タンク壁に回転可能に洗浄ハンドル２２を設けている。洗浄ハンドル２２から、Ｌ字状をなすレバーアーム２４が洗浄タンク１０の内方に向って延び出している。レバーアーム２４の先端部と図示を省略する洗浄タンク１０の底部に設けた排水弁とが、玉鎖２６にて連結されている。排水弁は洗浄ハンドル２２の回転操作によって玉鎖２６にて引き上げられ開弁する。排水弁の開弁によって、洗浄タンク１０の底部の排出口が開放し、洗浄タンク１０内に貯えられている洗浄水が、排出口から便器に向けて勢い良く放出される。

　洗浄タンク１０は内部にボールタップ２８を配設している。ボールタップ本体３０に対して給水管３２が接続されている。ボールタップ本体３０は給水弁３４を備えている。ボールタップ２８は、給水弁３４が開弁すると、給水管３２を通じて送られた水を給水弁３４の下流部のタンク内吐水口３６から洗浄タンク１０内に吐水する。

　ボールタップ２８は、浮力によって洗浄タンク１０内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロート４０、及びこのフロート４０と給水弁３４とを連繋する連繋アーム４２を有している。連繋アーム４２は、給水弁３４から下向きに延び、さらに略水平方向に延びるアーム部４４と、アーム部４４の先端部から下向きに延びたねじ軸部４６とを有している。フロート４０はねじ軸部４６に高さ調節可能に取り付けられている。洗浄タンク１０は底部から立ち上がるオーバーフロー管４８を有している。

　給水弁３４は、図３に示すように、主弁座５０、主弁体５２、背圧室５４、導入小孔（図示省略）、パイロット孔５６、及びパイロット弁座５８を有している。主弁体５２は、ダイヤフラム弁から成り、主弁座５０への着座及び離座によって水路５１を遮断及び開放する。背圧室５４は、主弁体５２の下側に形成され、主弁体５２に対して上向きの閉弁方向の押圧力を作用させる。導入小孔は、主弁体５２を貫通して設けられており、水路５１における１次側と背圧室５４とを連通している。導入小孔は、１次側の水を背圧室５４に導入し、背圧室５４の圧力を増大させることができる。パイロット孔５６は背圧室５４に連通している。パイロット孔５６は、背圧室５４の水を抜いて背圧室５４の圧力を減少させることができる。

　この給水弁３４は次のように動作する。フロート４０が下降することによって、アーム部４４の基端部に設けられたパイロット弁体６０がパイロット弁座５８から離座し、パイロット孔５６が開放する。すると、背圧室５４の圧力が減少して、主弁体５２が１次側の給水圧により主弁座５０から図中下向きに離座して開弁し、水路５１を開放状態とする。水路５１の開放によって、給水管３２を通じて送られて来た水が給水弁３４を通過して下流側のタンク内吐水口３６へと送られ、そこから洗浄タンク１０内に吐水する。

　一方、洗浄タンク１０内への給水により洗浄水が満水状態になると、フロート４０の上昇によって、パイロット弁体６０がパイロット弁座５８に着座してパイロット孔５６を閉鎖する。すると、背圧室５４の圧力が上昇し、背圧室５４の圧力が水路５１における１次側の給水圧より高くなり主弁体５２が閉弁し、水路５１を遮断してタンク内吐水口３６からの吐水を停止する。

　ボールタップ２８は、図３に示すように、ボールタップ本体３０に接続した接続管６２を有している。タンク内吐水口３６は接続管６２に設けられている。この接続管６２は、図４、図５及び図７（Ｂ）に示すように、手洗水を手洗吐水管１８へと流出させる手洗水の出口部６４を設けている。手洗水の出口部６４は給水弁３４の下流部に設けられている。

　便器に向けて補給水を供給するための補給水管６６は、図１及び図３に示すように、接続管６２における出口部６４の下流部６８と、これに接続されたチューブ７０とで構成されている。下流部６８は、先端部が下向きに直角に折れ曲っており、そこに取り付けられた接続部材７１を介してチューブ７０が下流部６８に接続されている。この補給水管６６は、給水弁３４の開弁により補給水をオーバーフロー管４８へと流し、オーバーフロー管４８を通じて補給水を便器へと供給する。

　手洗水の出口部６４は、図５に示すように、接続管６２の管軸方向と直角方向に突出した固定部７２と、回転部となる屈曲管７４とを有している。固定部７２は全体が雄管部である。一方、屈曲管７４は雌管部７６と、これより直角に屈曲した屈曲部７８とを有している。雄管部を成す固定部７２が雌管部７６内に挿入されている。雌管部７６は、固定部７２に対して、抜止クリップ８０によって抜け止め状態、かつＯリング８２によって水密状態で回転することができる。

　抜止クリップ８０は、図４に示すように、基部８４と、これから延び出した一対の円弧形状の弾性アーム８６とを有している。この抜止クリップ８０は、屈曲管７４における雌管部７６の開口８８（図５参照）を通じて弾性アーム８６側からその内部に挿入される。そして一対の弾性アーム８６が固定部７２側の環状溝９０に弾性的に嵌め合される。このようにして、雄管部となる固定部７２と屈曲管７４の雌管部７６とを抜止めする。

　屈曲管７４は雌管部７６が固定部７２に対して回転することによって、屈曲部７８が上下方向に回転運動する。この屈曲部７８は、図４に示すように、先端側に手洗水の流出口９２を備えている。屈曲部７８は先端部に接続部７９を設けている。接続部７９に蛇腹部１０６を有する蛇腹管から成る導水管１０８Ａの一端側が接続される。

　この手洗水の出口部６４は、手洗水の流路９４（図５参照）を部分的に塞ぐことによって流路抵抗（流路９４の抵抗）が増大する、抵抗部材としての絞り弁９６を設けている。絞り弁９６は、固定部７２の先端部に形成した固定弁体９８と、この固定弁体９８に対して固定部７２の軸方向に対向し、屈曲管７４に形成した可動弁体１００とで構成されている。

　固定弁体９８は、図４に示すように、通水用の固定側の第１開口１０２を備えている。一方、可動弁体１００は通水用の可動側の第２開口１０４を備えている。固定側の第１開口１０２は平面視形状が略長方形状をなしている。一方、可動側の第２開口１０４は平面視形状がＤ字形状をなしている。

　次に、固定側の第１開口１０２と可動側の第２開口１０４との関係を説明する。

　固定側の第１開口１０２は、図４及び図６に示すように、固定部７２の先端面に対する右側（図４において右側）からの正面視において、中心部から左斜め上方に延びる形状をなしている。図６（Ａ）に示すように、屈曲管７４における屈曲部７８がこれと反対方向、つまり右斜め下向きをなしているとき、固定側の第１開口１０２は、ほぼ半分が可動弁体１００に塞がれている。

　この状態から屈曲管７４の屈曲部７８が、図６（Ｂ）に示すように、図６（Ａ）の位置から角度θ₁（ここではθ₁＝１２０°）時計方向に回転して、屈曲部７８が左方向の横向き（水平方向）になったとき、固定側の第１開口１０２の全体が、可動側の第２開口１０４に対して重なり合った状態になっている。つまり、絞り弁９６が全開状態になっている。

　更に、この状態から屈曲部７８が、図６（Ａ）に示す位置から角度θ₂（ここではθ₂＝２５０°）まで時計方向に回転して、屈曲部７８が右斜め上向きになったときも、固定側の第１開口１０２が可動側の第２開口１０４に対して全体的に重なった状態のままである。つまり、絞り弁９６が全開状態を保つように、固定側の第１開口１０２及び可動側の第２開口１０４の形状が定められている。

　尚、この絞り弁９６は、図６（Ａ）に示す状態から図６（Ｂ）に示す状態まで屈曲管７４の屈曲部７８が回転する途中で固定側の第１開口１０２の全体が可動側の第２開口１０４に対して重なる状態になる。詳しくは、可動側の第２開口１０４の直線部１０４Ａが固定側の第１開口１０２の一対の側片のうちに一方の側片の直線部１０２Ａに合致したところで、固定側の第１開口１０２の全体が可動側の第２開口１０４に対して重なる状態になる。

　さらに屈曲部７８が回転するのに伴って、可動側の第２開口１０４の直線部１０４Ａが、固定側の第１開口１０２の他方の側辺の直線部１０２Ｂに合致するまで、固定側の第１開口１０２の全体が、可動側の第２開口１０４に対し重なり状態に維持される。即ち絞り弁９６が全開状態に維持される。

　従って、図６（Ｂ）に示す状態で、屈曲管７４の接続部７９に導水管１０８Ａの一端側を接続し（図４及び図８参照）、他端側を吐水管１８の下部１８Ｂ内に挿入して手洗吐水管１８に接続したとき（図２参照）、絞り弁９６が全開状態の下で、つまり、手洗水の流路９４が最大開状態の下で、手洗水が出口部６４から流出して、手洗吐水管１８へと到り、吐水口１９から手洗鉢１６に向けて吐水される。

　また、図６（Ｃ）に示す状態で、屈曲管７４の接続部７９に蛇腹管から成る導水管１０８Ｂの一端側を接続し（図９参照）、他端側を手洗吐水管１８に接続して、出口部６４から手洗水を手洗吐水管１８に導水した場合においても、絞り弁９６全開状態の下で手洗水が手洗吐水管１８に到って吐水口１９から吐水される。

　尚、図８に示すようにして導水管１０８Ａを用いたり、図９に示すようにして導水管１０８Ｂを用いたりするのは、洗浄タンクの種類によって手洗吐水管１８の位置が異なる場合があり、手洗吐水管１８の位置の相違に対応して、手洗水を円滑に手洗吐水管１８に導くためである。

　一方、洗浄タンク１０が手洗吐水管１８を有しないものである場合、手洗水の出口部６４（具体的には屈曲管７４）に導水管を接続することなく、出口部６４を開放したままとして、斜め下向きとしておく（図６（Ａ）参照）。この状態で、給水弁３４の開弁により下流側に流れる水は、タンク内吐水口３６と出口部６４の屈曲管７４の先端の流出口９２から下方に落下して、洗浄タンク１０へと給水される。

　この際、固定側の第１開口１０２の略半分が塞がれた状態で（図６（Ａ）参照）、給水管３２からの水が絞り弁９６を経て洗浄タンク１０へ給水される。絞り弁９６の流路抵抗（流路９４の抵抗）が大であるため、手洗吐水管１８に手洗水を導く場合と同じ流量で出口部６４から洗浄タンク１０内に給水が行われる。固定弁体９８と可動弁体１００との形状が予めそのように定められている。このように、手洗吐水管１８の有無にかかわらず、補給水管６６に回り込む水の比率は一定になり、等しい流量で補給水管６６を通じて補給水が便器へと供給される。

　以上の構成を有する実施例１のボールタップ２８は、手洗吐水管１８を有する場合、手洗水の出口部６４に導水管１０８Ａ、１０８Ｂを接続し、絞り弁９６を最大開度にして（手洗水の流路９４を最大開度にして）手洗水を手洗吐水管１８に導く。一方、手洗吐水管１８を有さない場合、手洗水の出口部６４に導水管１０８Ａ、１０８Ｂを接続せず、出口部６４を開放し、絞り弁９６を部分的に塞いで（流路９４の開度を小さくして）、流路抵抗（流路９４の抵抗）を増大させる。このようにして、手洗吐水管１８を有する場合と有さない場合とで、出口部６４からの手洗水の流出に対する抵抗を同等とすることができ、補給水管６６に流れる水量を一定水量とすることができる。これにより、補給水管６６を通じて便器に供給する補給水の水量を多めに設定することが不要となり、節水を図ることができる。

　また、このボールタップ２８は、流路抵抗（流路９４の抵抗）を増大させるための抵抗部材として、流路９４の開度を絞る絞り弁９６を設けてあるため簡単な操作で流路抵抗（流路９４の抵抗）を変化させることができる。

　第１発明は上記記述及び図面によって説明したが実施例１に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も第１発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例１では、絞り弁における可動弁体が屈曲管と一体に回転するようにしているが、可動弁体を屈曲管とは別に構成して、可動弁体が単独で回転するようにしてもよい。
（２）絞り弁は上記形態とは異なった形態で構成してもよい。
（３）絞り弁に代えて他の抵抗部材を設けてもよい。
（４）抵抗部材を後付けで設けてもよい。
（５）回転動作によらないで手洗水の流路の開度を部分的に塞ぐようにしてもよい。

　次に、第２発明における好ましい形態を説明する。

　第２発明の前記回転操作部材は前記軸部に螺合しており、回転によって螺子送りで前記軸部に沿って移動し得る。この場合、タンク内の洗浄水の水位を容易に微妙且つ無段階で連続的に調節することができる。

　フロートの高さ位置を軸部に沿って無段階に連続的に調節する手段として、回転操作部材と軸部とをカム機構を介して組み付けておき、回転操作部材の回転運動をカム機構により回転操作部材の軸部に沿った直線運動に運動変換するようにしてもよい。

　第２発明の前記フロートと前記軸部との間に設け、前記フロートの回転を阻止しつつ前記フロートの前記軸部に沿った移動を案内する回止め機構を備え得る。この場合、片手操作で回転操作部材を回転操作するだけで、容易にフロートの高さ位置を調節することができる。

　前記回止め機構は、前記軸部の外面であって、この軸部に沿って設けた溝又は突条と、前記フロートに設け、前記溝に嵌り込む凸部又は前記突条を嵌め込む凹部とを有し得る。

　また、前記回転操作部材と前記フロートとの間に設け、係止部と、この係止部に係止して前記回転操作部材の回転方向の位置を弾性的に保持する被係止部材とを有した係止機構を備え得る。

　このようにしておけば、回転操作部材の自由な回転が禁止され、回転操作部材に対して回転操作力を加えることで、初めて回転操作部材を係止機構による弾性係止作用に打ち勝って回転運動させることができる。

　また、長期使用する間に回転操作部材が意図せず回転してしまい、そのことによってフロートの高さが本来の位置からずれてしまうこと、すなわち、洗浄タンク内の洗浄水の満水時の水位が設定した水位から変ってしまうことを防止することができる。

　前記係止機構は、前記回転操作部材又は前記フロートの一方に設けた前記被係止部としての凹部と、他方に設け、前記凹部に嵌り込む前記係止部としての爪とを有し得る。

　前記回転操作部材に設けられた前記係止部又は前記被係止部は、前記回転操作部材の円周状に環状に配置し得る。

　次に、第２発明のボールタップを具体化した実施例２について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例２＞
　実施例２の洗浄タンク１０は、図１０に示すように、アウタタンク１２とインナタンク１４との２重タンク構造をなしている。洗浄タンク１０は、アウタタンク１２の上部に、アウタタンク１２の蓋を兼用した手洗鉢１６を設けている。手洗鉢１６は手洗吐水管１８を手洗鉢１６から起立する形態で設けている。手洗鉢１６は底部には排水口２０を設けている。手洗吐水管１８から吐水された手洗水が、この排水口２０から洗浄タンク１０の内部へと落下する。

　洗浄タンク１０は、タンク壁に回転可能に洗浄ハンドル２２を設けている。洗浄ハンドル２２から、Ｌ字状をなすレバーアーム２４が洗浄タンク１０の内方に向って延び出している。レバーアーム２４の先端部と図示を省略する洗浄タンク１０の底部に設けた排水弁とが、玉鎖２６にて連結されている。排水弁は洗浄ハンドル２２の回転操作によって玉鎖２６にて引き上げられ開弁する。排水弁の開弁によって、洗浄タンク１０の底部の排出口が開放し、洗浄タンク１０内に貯えられている洗浄水が、排出口から便器に向けて勢い良く放出される。

　洗浄タンク１０は内部にボールタップ２８を配設している。ボールタップ本体３０に対して給水管３２が接続されている。ボールタップ本体３０は、給水弁３４と、給水弁３４の下流部にもうけたタンク内吐水口３６とを備えている。

　ボールタップ本体３０は、タンク内吐水口３６とは別に、手洗吐水管１８に手洗水を供給する手洗側給水口（図示省略）を備えている。手洗側給水口と手洗吐水管１８とは、蛇腹管から成る導水管３８にて連絡されている。

　ボールタップ２８は、給水弁３４が開弁すると、給水管３２を通じて送られた水がタンク内吐水口３６から洗浄タンク１０内に給水されるのと併せて、手洗側給水口から導水管３８を通じて手洗吐水管１８へと導かれ、そこから手洗鉢１６に向けて手洗水が吐水される。

　ボールタップ２８は、浮力によって洗浄タンク１０内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロート４０、及びこのフロート４０と給水弁３４とを連繋する連繋アーム４２を有している。連繋アーム４２は、図１１及び図１２に示すように、給水弁３４から下向きに延び、さらに略水平方向に延びるアーム部４４と、アーム部４４の先端部から下向きに延びたねじ軸部（軸部）４６とを有している。フロート４０はねじ軸部４６に高さ調節可能に取り付けられている。洗浄タンク１０は、図１に示すように、底部から立ち上がるオーバーフロー管４８を有している。ボールタップ２８は、ボールタップ本体３０に備えられ、オーバーフロー管４８を通じて便器に補給水を供給する補給水の給水口３７を有している。

　フロート４０は、図１２及び図１５（Ａ）に示すように、平面視形状が矩形状をなしている。フロート４０は、周壁部４０Ａと上壁部４０Ｂとを有する逆カップ状をなしており、下面が開放している。フロート４０は、開放した下面が、止水開始時（フロート４０の上昇開始時）において、水平方向に対し斜めに傾斜した形状である。つまり、フロート４０の下面は、連繋アーム４２の付根である連繋アーム４２の回動中心となる軸部４３側に向けて、徐々に上方に傾斜する形状とされている。フロート４０は内部に円筒状の筒部５３を一体に有している。筒部５３にねじ軸部４６が上方から下向きに挿入されている。

　ボールタップ２８は、図１３に示すように、フロート４０の高さ調節を行う高さ調節ダイヤル（回転操作部材）１５４を備えている。高さ調整ダイヤル１５４はフロート４０の上面に設けられた保持部１５６により回転可能に保持されている。この高さ調節ダイヤル１５４は、その保持部１５６による保持によって、ねじ軸部４６に沿って上下方向にフロート４０と一体に移動する。

　高さ調節ダイヤル１５４は、図１４に示すように、円形の中央部１５４Ａと、外周側のリング部１５４Ｂと、それらを周方向の４個所で連結する連結リブ１５４Ｃとを有している。リング部１５４Ｂの外周面は、リング部１５４Ｂを手で摘んで回転操作し易くするために、多数の凸部１５８と凹部１６０とを有する凹凸形状とされている。中央部１５４Ａは軸方向に貫通する雌ねじ孔１６２を有している。

　一方、ねじ軸部４６は外周面に雄ねじ部１６４を設けている。高さ調節ダイヤル１５４は、雌ねじ孔１６２において、雄ねじ部１６４に螺合し、ねじ軸部４６に組み付けられている。ねじ軸部４６は下端部が板状部１６６である。雄ねじ部１６４はねじ軸部４６の上端からこの板状部１６６に上端に到るまで設けられている。

　保持部１５６は、図１３及び図１５に示すように、フロート４０の上面から起立する一対の板状の脚部１６８、１７０と、それらの上端を連結する板状の連結部１７２とを有するブリッジ形状であり、フロート４０に一体に形成されている。このブリッジ形状をなす保持部１５６は内側に保持凹所１７４を形成している。高さ調節ダイヤル１５４は、図１３中の矢印Ｐ方向に保持凹所１７４に挿入されて、保持されている。

　一方の脚部１６８は、高さ調節ダイヤル１５４の外周面に沿って延出する湾曲形状の当て部１７６を設けている。当て部１７６の高さ調節ダイヤル１５４に対する当接作用によって、高さ調節ダイヤル１５４が図４中矢印Ｐ方向からのみ保持凹所１７４に挿入することができ、且つ保持部１５６から図中Ｐ方向に抜け防止されている。これにより、高さ調節ダイヤル１５４を保持部１５６の内側の保持凹所１７４に挿入して組み付ける際の組付性が良好となる。

　連結部１７２はその中央部に円形の嵌合部１７８を設けている。この嵌合部１７８は円形の挿通孔１８０を形成しており、そこにねじ軸部４６が挿通されている。つまり、嵌合部１７８がねじ軸部４６に対し外嵌状態に嵌合されている。

　ねじ軸部４６は、図１４に示すように、周方向に１８０°異なった２個所において縦に延びる溝１８２を設けている。溝１８２に対応して挿通孔１８０は、図１３及び図１５に示すように、一対の凸部１８４を設けている。これら凸部１８４はねじ軸部４６の溝１８２に径方向に係入している。

　これらの溝１８２及び凸部１８４は、フロート４０のねじ軸部４６に対する回止め機構をなす。フロート４０は、凸部１８４と溝１８２との回転方向の係合によってねじ軸部４６に対し回止めされる。但し、一対の凸部１８４は、溝１８２内をねじ軸部４６の軸方向に摺動可能である。フロート４０は、ねじ軸部４６に沿って上下方向に移動する際、これら凸部１８４と溝１８２とによって移動案内される。フロート４０は、図１５に示すように、筒部５３の上端の開口部１８６にもまた、同様の凸部１８４を設けている。この凸部１８４は、図１２（Ｂ）に示すように、ねじ軸部４６の溝１８２に係入されている。

　高さ調節ダイヤル１５４は、保持部１５６の保持凹所１７４に挿入された状態でねじ軸部４６に螺合されている。この状態で高さ調節ダイヤル１５４は、図１２（Ａ）に示すように、中央部１５４Ａが、保持部１５６における板状の連結部１７２とフロート４０本体の上壁部４０Ｂとによって上下に挟まれている。高さ調節ダイヤル１５４を回転操作してこれをねじ送りでねじ軸部４６に沿って上下に位置を移動させると、これと一体にフロート４０がねじ軸部４６に沿って上下に位置を変化させる。

　高さ調節ダイヤル１５４の自由な回転を防ぐために、高さ調節ダイヤル１５４とフロート４０、詳しくはフロート４０の保持部１５６とにまたがって係止機構が設けられている。

　図１３及び図１４に示すように、高さ調節ダイヤル１５４は、リング部１５４Ｂの上面に、その係止機構における被係止部としての凹部１８８を設けている。一方、図１３及び図１５に示すように、保持部１５６は連結部１７２に弾性片１９０を設けている。弾性片１９０は先端に係止部としての爪１９２を設けている。爪１９２が凹部１８８に入り込み、凹部１８８と爪１９２とが弾性係止するようになっている。凹部１８８は、高さ調節ダイヤル１５４の円周上に全周に亘って環状に配置されている。

　爪１９２が凹部１８８と凹部１８８との間の山部を弾性的に乗り越えるのに必要な回転の操作力を高さ調節ダイヤル１５４に加えたときにのみ、高さ調節ダイヤル１５４がねじ軸部４６周りに回転することができる。このような操作力を高さ調節ダイヤル１５４に加えない限り、高さ調節ダイヤル１５４は爪１９２と凹部１８８との弾性係止に基づいてねじ軸部４６の周りを回転することができない。

　つまり、ボールタップ２８を長期間使用するうちに、フロート４０に加わる浮力等によって高さ調節ダイヤル１５４がねじの作用で自然に回転し、高さ調節ダイヤル１５４、即ちフロート４０の位置が本来の位置からずれてしまうということは生じない。

　ボールタップ２８におけるフロート４０の高さ調節機構は、高さ調節ダイヤル１５４に回転操作力を加え、爪１９２と凹部１８８との弾性係止作用に抗して高さ調節ダイヤル１５４を回転させると、ねじ軸部４６に対する高さ調節ダイヤル１５４の螺合位置が上下方向に変化し、これとともにフロート４０の位置が高さ調節ダイヤル１５４と一体に移動して、フロート４０の高さ位置を調節することができる。これによって、洗浄タンク１０に給水を行ったときの満水時の水量、即ち水位を調節することができる。

　フロート４０の下面が開放し、水平方向に対し傾斜した形状をなしていることから、次のような利点が得られる。図１７はその利点を説明するための比較例を示したものであり、この比較例において、フロート４０Ｘは下面が開放している点で同様であるが、その下面が止水開始時において水平方向を向いている。

　この比較例のフロート４０Ｘは、図１７（Ｉ）に示すように、止水開始時においてフロート４０Ｘの大きさ分だけ浮力が発生する。しかし、水面の上昇に伴って図１７（II）に示すように、連繋アーム４２が傾き、これとともにフロート４０Ｘが傾いた姿勢になる。すると、フロート４０Ｘ内の図中破線で示した部分の空気が漏れて同部分に水が浸入し、フロート４０Ｘに対する浮力が減少してしまう。その結果として、止水動作が安定しないという不具合が生ずる。

　これに対してフロート４０は、図１６（Ｉ）に示すように、止水開始時においてフロート４０に働く浮力はフロート４０の大きさ分よりも少ない浮力となる。しかし、止水開始後に連繋アーム４２とともにフロート４０が傾き、そして最終止水状態となったときには、開放した下面が水平方向を向く状態となる（下面の傾斜形状がそのように定められている。）。このため、フロート４０内部の空気が漏れるといったことがなく、止水の動作が安定する利点が得られる（止水開始時から止水時に到るまでフロート４０に加わる浮力は変化しない。）。

　以上の構成を有する実施例２のボールタップ２８は、高さ調節ダイヤル１５４を回転操作すると、高さ調節ダイヤル１５４がフロート４０を伴ってねじ軸部４６に沿って移動し、フロート４０の高さを調節することができる。このため、フロート４０の高さを調節するためにフロート４０を回転させる必要はなく、フロート４０の周りにその回転のためのスペースを確保しておく必要はない。よって、フロート４０の周辺部品の配置のレイアウトの自由度が高まり、また洗浄タンク１０の一層の小型化を図ることができる。またフロート４０の高さ調節のためにフロート４０を回転させる必要がないので、フロート４０自体の形状の自由度も高まる利点が得られる。

　また、このボールタップ２８は、高さ調節ダイヤル１５４の回転によって、これを連繋アーム４２のねじ軸部４６に沿って連続的に位置を移動させることができる。つまり、フロート４０の高さ位置をねじ軸部４６に沿って無段階に連続的に調節することができる。このため、洗浄タンク１０内の洗浄水の水位を容易に微妙且つ無段階で連続的に調節することができる。

　また、このボールタップ２８は、フロート４０の回転を阻止しつつフロート４０をねじ軸部４６に沿って移動案内する回止め機構を設けているため、作業者は片手操作で高さ調節ダイヤル１５４を回転操作するだけで、容易にフロート４０の高さ位置を調節することができる。

　また、このボールタップ２８は、長期使用する間に高さ調節ダイヤル１５４が意図せず回転してしまい、そのことによってフロート４０の高さ位置が本来の位置からずれてしまうことを防止することができる。即ち、洗浄タンク１０内の洗浄水の満水時の水位が設定した水位から変ってしまうことを防止することができる。

　第２発明は上記記述及び図面によって説明したが実施例２に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も第２発明の技術的範囲に含まれる。
（１）ねじ軸部４６に溝１８２を設けるのに代えて突条を設け、フロート４０の側に凸部１８４を設けるのに代えてその突条を係入させる凹部を設けて回止め機構を構成してもよい。
（２）高さ調節ダイヤル１５４の側に凹部１８８に代えて爪を設ける一方、フロート４０の側にその爪を入り込ませる凹部を設けて、それらにより高さ調節ダイヤル１５４の回転方向に弾性係止する係止機構を構成してもよい。
（３）高さ調節ダイヤル１５４以外の他の種々形態で回転操作部材を構成してもよい。

　次に、第３発明における好ましい形態を説明する。

　第３発明の前記流動水吐水口は前記流動水を前記連繋アームを伝って流下させる位置に配置し得る。この場合、流動水吐水口から吐水された流動水が連繋アームを伝って流下するため、流動水がタンク内貯溜水に勢い良く落下することを防止することができ、大きな着水音の発生を防止することができる。

　前記連繋アームは伝って流下する流動水を前記水受部材の上方で水切りして前記水受部材に向けて落下させる水切部を有し得る。この場合、連繋アームを伝って流下してきた流動水を水切部にて良好に水受部材の側に落下させ、水受部材によって遅延槽の外部へと導くことができる。

　次に、第３発明の便器洗浄タンク装置を具体化した実施例３について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例３＞
　実施例３の便器洗浄タンク装置１１は、図１８に示すように、洗浄タンク１０を備えている。洗浄タンク１０は、（陶器製又は樹脂製の）アウタタンク１２と、その内側の貯水タンクとなる樹脂製のインナタンク１４との２重タンク構造をなしている。洗浄タンク１０は、アウタタンク１２の上部に、アウタタンク１２の蓋を兼用した手洗鉢１６を設けている。手洗鉢１６は、手洗鉢１６から起立する形態で手洗吐水管１８を設けられている。手洗鉢１６は底部に排水口を設けている。手洗吐水管１８から吐水された手洗水が、この排水口から洗浄タンク１０の内部へと落下する。

　洗浄タンク１０は内部にボールタップ２８を配設している。ボールタップ２８はボールタップ本体３０を有している。ボールタップ本体３０はインナタンク１４に取り付けられている。ボールタップ本体３０に対して給水管３２が接続されている。給水管３２を通じて供給された水は、ボールタップ２８の後述する給水弁３４の開弁によって洗浄タンク１０内部に給水され、また給水弁３４の閉弁によって給水が停止される。

　ボールタップ２８は、後述する遅延槽４００の内部の洗浄水Ｗ２の水位に連動して昇降するフロート４０と、フロート４０と給水弁３４とを連繋する連繋アーム４２とを有している（フロート４０及び連繋アーム４２は何れも樹脂製）。また連繋アーム４２は、図２０に示すように、アーム部４４と、その先端から下向きに延びるねじ軸部４６とを有している。ねじ軸部４６に対してフロート４０が組み付けられている。中心部に雌ねじ孔を有する高さ調節ダイヤル１５４がフロート４０の上面に設けられた保持部１５６に回転可能に保持されている。高さ調節ダイヤル１５４の雌ねじ孔がねじ軸部４６の雄ねじ部に螺合している。フロート４０は、高さ調節ダイヤル１５４を回転操作することによって、ねじ軸部４６に沿ってその位置を上下に調節することができる。

　洗浄タンク１０は、壁部に洗浄ハンドル２２を回転可能に設けている。Ｌ字状をなすレバーアーム２４は、洗浄タンク１０の内部において洗浄ハンドル２２に連動して回動する。レバーアーム２４の先端が玉鎖２６を介して洗浄タンク１０の底部の排出口１３を開閉する排水弁１５に連結されている。排水弁１５は洗浄ハンドル２２の回転操作によって閉弁状態から開弁する。これによって、洗浄タンク１０の内部に貯溜されている洗浄水Ｗ１が、洗浄タンク１０の底部の排出口１３から便器に向けて勢い良く放出する。洗浄タンク１０は、図１８に示すように、底部から立ち上がるオーバーフロー管４８を有している。

　ボールタップ本体３０の本体ボデー３１は、図１９に示すように、全体として筒状をなしている。本体ボデー３１は左端部に給水管３２を接続している。また、本体ボデー３１は右端部に本体ボデー３１とは別体をなし且つボールタップ本体３０の一部を成す接続管６２の左端部を外嵌状態に接続している。

　接続管６２は、本体ボデー３１からの水を洗浄タンク１０、具体的にはインナタンク１４内に吐水する吐水口（タンク内吐水口）３６と、手洗吐水管１８に向けて供給するための手洗用給水口（図示省略）と、オーバーフロー管４８を通じて便器に補給水として供給する給水口３７とを設けている。

　手洗用給水口は図示を省略する蛇腹管にて手洗吐水管１８に接続している。また、給水口３７は、図１８に示すように、チューブ７０を接続している。本体ボデー３１から送られた水が、蛇腹管を通じて手洗吐水管１８に供給され、また、チューブ７０を通じて給水口３７からオーバーフロー管４８の内部へと供給される。

　ボールタップ本体３０は、図１９に示すように、水路５１を連通及び連通遮断する給水弁３４を有している。給水弁３４は、図２１に示すように、フロート４０の昇降に伴って連繋アーム４２が軸部４３周りに回動することで開弁及び閉弁する。具体的には、フロート４０の上昇により連繋アーム４２が軸部４３周りに時計回りに回動することで、給水弁３４が閉弁する。また、フロート４０の下降に伴って連繋アーム４２が軸部４３周りに反時計回りに回動することで、給水弁３４が開弁する。

　給水弁３４が開弁すると水路５１が連通状態即ち開放状態になる。すると、給水管３２から送水された水が本体ボデー３１から接続管６２へと流れ込む。そして、接続管６２のタンク内吐水口３６から洗浄タンク１０内に向けて水が吐水する。また、手洗用給水口を通じて手洗吐水管１８に給水し、更に給水口３７を通じてオーバーフロー管４８を通じ便器へと給水する。

　給水弁３４はダイヤフラム式且つパイロット式の弁である。給水弁３４における主弁体５２は、図２１に示すように、ダイヤフラム弁体から成っている。主弁体５２は、ゴム等の弾性材から成るダイヤフラム膜５５と、これよりも硬質の（ここでは樹脂製）ダイヤフラムホルダ５７とから形成されている。

　ダイヤフラム膜５５は外周部５９が厚肉である。ダイヤフラム膜５５の外周部５９が、本体ボデー３１と、カップ状をなすダイヤフラム押え７３とによって上下に挟持されている。これによって、ダイヤフラム膜５５の外周部５９が、本体ボデー３１に固定されている。ダイヤフラム膜５５の外周部５９は同時にシール部として働く。つまり、ダイヤフラム膜５５の外周部５９は、水路５１と外部とを水密に遮断し、シールする働きをなしている。

　カップ状をなすダイヤフラム押え７３は、本体ボデー３１に一体に構成された円筒部７５に対して、下側から上向きに内嵌状態に嵌入している。円筒部７５の外周面の雄ねじ７７に対して、固定ナット８１の内周面の雌ねじ８３が螺合することによって、ダイヤフラム押え７３が円筒部７５（本体ボデー３１）に固定されている。

　固定ナット８１を上向きにねじ込むことで、円筒部７５に内嵌状態に嵌入されたダイヤフラム押え７３が上向きに押し上げられる。これによって、ダイヤフラム押え７３が本体ボデー３１と協働してダイヤフラム膜５５の外周部５９を所定の締代で弾性圧縮状態に締め付ける。

　カップ状をなすダイヤフラム押え７３は、背圧室形成部材としての働きも有している。つまり、ダイヤフラム弁体から成る主弁体５２の下側に背圧室５４を形成している。背圧室５４は内部の圧力を主弁体５２に対して上向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。

　一方、主弁体５２は、中心から偏心した位置に、水路５１における１次側と背圧室５４とを連通する貫通した導入小孔８５を設けている。導入小孔８５を介して、水路５１における１次側の水が背圧室５４に流入する。背圧室５４内に１次側の水が流入することによって背圧室５４の圧力が増大する。

　一方、ダイヤフラム押え７３は、その中心部にダイヤフラム押え７３を貫通する水抜水路としてのパイロット孔５６を設けている。パイロット孔５６を介して背圧室５４内の水が流出する。背圧室５４内の水が流出することによって背圧室５４の圧力が減少する。

　連繋アーム４２はアーム部４４の基端部にパイロット弁体６０を設けている。パイロット弁体６０のシール部６１がパイロット弁座５８に上向きに着座することでパイロット孔５６が閉鎖する。

　給水弁３４は次のように作用する。給水弁３４の閉弁状態（図２１参照）の下で、フロート４０の下降により連繋アーム４２が軸部４３周りに回動すると、パイロット弁体６０がパイロット弁座５８から下向きに離間し開弁する。すると、背圧室５４内の水がパイロット孔５６を通じて流出し、背圧室５４の圧力が減少する。そして、水路５１における１次側の圧力が背圧室５４の圧力よりも高くなることによって、主弁体５２が閉弁状態から下向きに離間し開弁する。

　主弁体５２が開弁することで水路５１が連通状態となり、本体ボデー３１から接続管６２及び給水口３７に向けて水が流れ込む。

　一方、フロート４０の上昇に連動して連繋アーム４２が軸部４３周りに時計回りに回動運動する。フロート４０が上昇端に到ったところで、即ち洗浄タンク１０内の水が設定した満水状態になったところで、パイロット弁体６０のシール部６１がパイロット弁座５８に上向きに着座して閉弁する。これによって、背圧室５４からの水の流出が停止する。

　すると、導入小孔８５を通じての背圧室５４への水の流入により背圧室５４の圧力が上昇する。そして、その圧力上昇によってダイヤフラム弁から成る主弁体５２が主弁座５０に上向きに着座し、閉弁する。これによって、水路５１の水の流れが停止し、洗浄タンク１０及び手洗吐水管１８への給水が停止する。

　給水弁３４は、図２１に示すように、導入小孔８５内に挿入されて導入小孔８５をクリーニングするクリーニングピン９７を有している。クリーニングピン９７は、コイルばね９５の下端に続いて上向きに起立する形態で、コイルばね９５に一体に形成されている。

　流動弁装置５００は、図１９に示すように、水路５１における給水弁３４よりも上流側の１次側から分岐して延び出す流動水路５０２と、これを内側に形成するための円筒状の筒壁５０４とを有している。流動水路５０２は分岐口５０８を有している（図２２参照）。筒壁５０４は、上向きに起立する形態でボールタップ本体３０、詳しくは本体ボデー３１に一体に形成されている。

　筒壁５０４から流動水を流出させる開口５０６は、図２２に示すように、筒壁５０４の付根よりも所定距離上側の位置で、筒壁５０４を貫通して横向き（径方向外向き）に設けられている。流動水路５０２に導かれた１次側の水は、後述の流動弁５１０の開弁により、開口５０６から小量で連続して筒壁５０４外に流出する。開口５０６から流出した流動水は、後述の流動水吐水口１５０から外部に吐水されて、洗浄タンク１０内に供給される。供給された流動水は洗浄タンク１０内のオーバーフロー管４８を通じて便器へと連続的に給水される。

　筒壁５０４は、内部に流動水路５０２を開閉する流動弁５１０を設けている。流動弁５１０は、円筒形状の弁ハウジング５１２と、軸状の弁体５１４とを有している。弁ハウジング５１２が、筒壁５０４の内部に嵌合状態に固定されている。また、弁ハウジング５１２は、内部に弁体５１４を軸方向（上下方向）に摺動可能に嵌合している。弁ハウジング５１２は、固定クリップ５３６によって筒壁５０４に対して軸方向（上下方向）に固定されている。

　軸状をなす弁体５１４は、下端側に設けた弁部５２２と、上端側に設けた連結部５２４を有している。連結部５２４は、後述する操作部５３８における伝達部材５４２の先端部、詳しくはインナケーブル５４４の先端部を連結している。下端側の弁部５２２と上端側の連結部５２４との間の中間部５３０は横断面形状が十字状をなしている。

　下端側の弁部５２２は円環状のシール部材５２６を有している。弁部５２２はシール部材５２６を弁ハウジング５１２の内周側に形成された弁座５２８に水密に嵌合させることで閉弁する。一方、弁体５１４が下向きに移動し、シール部材５２６が弁座５２８から下向きに離間することで開弁する。その開弁状態において流動水路５０２が開放され、水路５１における１次側から流動水路５０２に流入した水（流動水）が、開口５０６から筒壁５０４の外に流出する。

　伝達部材５４２は、図１９に示すように、可撓性を有し且つ軸方向に非伸縮性のインナケーブル（インナ部材）５４４と、これを移動案内するアウタケーブル（アウタチューブ）５４６とを有している。アウタケーブル５４６内部にインナケーブル５４４が摺動可能に挿通されている。

　インナケーブル５４４が右向きに押されることで、弁体５１４が下向きに移動し開弁する。また、逆にインナケーブル５４４が左向きに引かれることで、弁体５１４が上向きに移動して閉弁する。但し、凍結防止を図る必要があるときには、弁体５１４は開弁状態に維持される。これによって、水路５１における１次側の水は小量で連続的に流動水路５０２を流れて、開口５０６から筒壁５０４の外に流出する。

　伝達部材５４２は右端側（先端側）が曲り管５７６の内部に挿入されている。伝達部材５４２は先端部を曲り管５７６によって下向きに保持された状態で組付ナット５７８により流動弁５１０に組み付けられている。

　詳しくは、図２２に示すように、組付ナット５７８の雌ねじ部が、流動弁５１０における弁ハウジング５１２の雄ねじ部にねじ込まれる。すると、アウタケーブル５４６の下端を受ける受部材５８４のフランジ部と、曲り管５７６のフランジ部とが、組付ナット５７８の内向きのフランジ部５８６と弁ハウジング５１２とで上下に挟持される。これによって、受部材５８４と曲り管５７６の下端部とが固定され、併せてアウタケーブル５４６の下端が弁ハウジング５１２に固定される。また、インナケーブル５４４に固定された端部材５８８が、流動弁５１０における弁体５１４の係合凹部５９０に係合される。これによって、インナケーブル５４４の先端部が弁体５１４に一体的に移動可能に固定され、連結される。

　組付ナット５７８は、下向きに垂下して横向きの開口５０６から径方向に離隔した位置で開口５０６に対向し、開口５０６を外側から覆う円筒状のカバー壁５９２を一体に有している。カバー壁５９２は、開口５０６よりも下側まで延びており、筒壁５０４との間に下向きの流動水吐水口５５０を形成している。

　開口５０６から流出した流動水は、カバー壁５９２に当って下向きの流れとなり、流動水吐水口５５０から下向きに吐水される。流動水吐水口５５０から吐水された流動水は、そのほとんどがカバー壁５９２からの反力で筒壁５０４の外面側に押し返され、筒壁５０４の外面を伝って下向きに流下する。尤もその一部は、筒壁５０４の外面を伝わらないで流動水吐水口５５０からそのまま落下する場合もある。

　ボールタップ２８における連繋アーム４２をボールタップ本体３０に固定するための固定ナット８１は、組付ナット５７８のカバー壁５９２よりも大径である。このため、固定ナット８１がカバー壁５９２よりも径方向外方まで突出している。よって、固定ナット８１が、カバー壁５９２と筒壁５０４との間の下向きの流動水吐水口５５０から筒壁５０４を伝わらないで直接落下した水を受ける水受部として働く。また、本体ボデー３１に一体に形成された円筒部７５も水受部の一部として働く。このため、流動水吐水口５５０から吐水された流動水は、ほぼ全体が固定ナット８１を経て連繋アーム４２を伝わるように流下する。

　具体的には、ボールタップ本体３０の筒壁５０４とは反対側の下側位置から連繋アーム４２が延び出して、そのねじ軸部４６及びフロート４０が洗浄水中に入り込んでいる。このため、筒壁５０４の外面を伝って流下した水、及び筒壁５０４の外面を伝わらないで直接下向きに落下した一部の水は、その殆んどがボールタップ２８における連繋アーム４２を伝って更に流下する。

　便器洗浄タンク装置１１は、図１８に示すように、インナタンク１４よりも小容量であり、給水遅延機構４０２の主要素を成す遅延槽４００をインナタンク１４内部に設けている。遅延槽４００は、その上端がインナタンク１４内部の満水状態の洗浄水Ｗ１の上面の水位よりも若干低くなるように設けている。

　遅延槽４００は、図２３に示すように、上向きに延び出す一対のアーム４０６を一体に有している。アーム４０６は上端に折曲げ形状の固定部４０８を形成している。遅延槽４００は、インナタンク１４の前後（図１９において、紙面と直角方向）の壁部の上端面に固定部４０８を掛止した状態で、固定孔４１０を利用して、インナタンク１４に固定される。遅延槽４００は外面に縦に延びる一対の凹状部４１２を設けている。凹状部４１２は上端に掛止部４１４を凹状部４１２の底面から突出する状態に設けている。係止部４１４は後述する爪部４２６が掛止する。

　遅延槽４００は、図１８に示すように、底部４１５に貫通した小孔４０４を設けている。遅延槽４００の内部の洗浄水Ｗ２は、小孔４０４を通じて遅延槽４００の外側かつインナタンク１４内に流出する。

　小孔４０４は、排水弁１５の開弁後におけるインナタンク１４内の洗浄水Ｗ１の水位低下に比べて、遅延槽４００内の洗浄水Ｗ２の水位低下が遅くなるように、その大きさを定めてある。具体的には、排水弁１５の開弁によりインナタンク１４内の洗浄水Ｗ１が放出して排水弁１５が閉弁する時期に給水弁３４が開弁して（全開状態となって）、ボールタップ２８が最大給水量で給水開始するようにその大きさを定めている。

　フロート４０は、遅延槽４００内部の水位低下に応じて給水弁３４を開弁させるべく、遅延槽４００上面の開放部から遅延槽４００内に挿入されている。その関係から、流動水吐水口５５０はこの遅延槽４００の上方に配置されている。

　流動水吐水口５５０から吐水された流動水は連繋アーム４２を伝って流下する。このため、連繋アーム４２を伝って流下した流動水が、そのままフロート４０まで伝って流れると、その流動水が遅延槽４００内にそのまま入り込むことになる。

　そこで、便器洗浄タンク装置１１は、遅延槽４００の上側に水受部材４１６を取り付けておくことで、流動水吐水口５５０から吐水された流動水がそのまま遅延槽４００内に入り込むのを防止する。水受部材４１６は、図２３に示すように、傾斜形状の底部４１８と、底部４１８の外周縁に沿って立ち上がる一対の側壁部４２０と、後壁部４２２とを有している。水受部材４１６は、樋状であり、後壁部４２２の反対側の面が開放して形成されている。

　また、水受部材４１６は、一方の側壁部４２０に連繋アーム４２を挿通するための切欠部４２４を設けている。更に、水受部材４１６は、下向きに突出する弾性を有する爪部４２６を前端と後端に下向きに突出する状態で設けている。水受部材４１６は、それら爪部４２６を遅延槽４００の掛止部４１４に上方から下向きに掛止させることで、遅延槽４００の上面に載置状態に取り付けられる。

　この水受部材４１６は、切欠部４２４を設けた側の側壁部４２０の反対側の側壁部４２０外面に凹部４２８を設けている。この凹部４２８は遅延槽４００のアーム４０６との干渉回避のためのものである。

　連繋アーム４２は、図２２に示すように、水受部材４１６の上側であって、アーム部４４に水切部４３０を固定している。水切部４３０はアーム部４４に一体に成形されている。

　水切部４３０は、図２４に示すように、アーム部４４周りを取り囲む形状で板状をなしている。水切部４３０は、アーム部４４より上側の部分がほぼ垂直上方に起立する起立部４３２を形成し、これより下部が、水受部材４１６の中央側に向って斜めに傾斜する傾斜部４３４を形成している。

　便器洗浄タンク装置１１は、流動水吐水口５５０から吐水された流動水がボールタップ２８の連繋アーム４２を伝って流下するにも拘わらず、アーム部４４の途中で流動水が水切部４３０で水切りされ、水受部材４１６に落下する。そして、その流動水は、水受部材４１６によって、遅延槽４００外に導かれる。このように、便器洗浄タンク装置１１は、流動水吐水口５５０から吐水された流動水が遅延槽４００内へと入り込むことを確実に防止することができる。

　具体的には、流動水吐水口５５０から吐水された流動水は、固定ナット８１を経て連繋アーム４２のアーム部４４に沿って流れる。しかし、アーム部４４には水切部４３０が設けられているため、アーム部４４の外面を伝って流れる流動水は水切部４３０で堰き止められた上、水受部材４１６へと落下する。水受部材４１６に落下した流動水は、底部４１８の傾斜によって円滑に遅延槽４００の外側且つインナタンク１４内へと導かれる。このように、流動水が遅延槽４００内に流入するのが阻止される。

　排水弁１５の閉弁後においては、ボールタップ２８からの給水によってインナタンク１４内部の洗浄水Ｗ１の水位が上昇し、そしてその水位が満水状態近くなると、インナタンク１４内の洗浄水Ｗ１が遅延槽４００の上端を越えて遅延槽４００内に流入し、遅延槽４００内に給水される。

　以上の構成を有する実施例３の便器洗浄タンク装置１１は、流動水吐水口５５０からの流動水が遅延槽４００内に入り込むのを防止できるため、給水遅延機構４０２を正常に動作させることができ、給水弁３４の開弁即ちタンク内給水の時期を適正なタイミングに維持することができる。

　また、便器洗浄タンク装置１１は、流動水吐水口５５０と遅延槽４００とを無理に水平方向に位置をずらせて配置しなくても良い。流動水をボールタップ２８の連繋アーム４２を伝ってタンク内に落下させるようにした場合、流動水がタンク内貯溜水に勢い良く落下して、そこで大きな着水音を発生させるといった問題を回避できる。一方でこのようにした場合、流動水吐水口５５０を遅延槽４００に対しその直上若しくは遅延槽４００よりも上方で水平方向に近い位置に位置させることができる。このため、便器洗浄タンク装置１１は、流動水吐水口５５０と遅延槽４００とを無理に水平方向に位置をずらせなくても、流動水による大きな着水音の発生防止と、給水遅延機構４０２の正常な動作とをともに実現することができる。

　また、便器洗浄タンク装置１１は、連繋アーム４２を伝って流下してきた流動水を、水切部４３０にて効果的に水受部材４１６の側に落下させ、水受部材４１６によって遅延槽４００外部へと導くことができる。

　第３発明は上記記述及び図面によって説明したが実施例３に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も第３発明の技術的範囲に含まれる。
（１）水受部材は他の様々な形状で構成してもよい。例えば、水受部材としてパイプ状のものを用い、流動水吐水口から出た流動水を、そのままパイプ状の水受部材の内部を流通させて遅延槽の外部且つインナタンク内に導いてもよい。
（２）流動水吐水口は他の様々な形態を有するものであってもよい、

　次に、第４発明の便器洗浄タンク装置を具体化した実施例４について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例４＞
　実施例４の便器洗浄タンク装置は、図２５に示すように、流動水吐水口５５０からの流動水を直接インナタンク１４内に落とすようにし、一方、給水遅延機構４０２の遅延槽４００を、流動水吐水口５５０に対して水平方向位置をずらして配置している。他の構成は実施例３と同様であり、同一の構成は同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。

　この便器洗浄タンク装置も、流動水吐水口５５０からの流動水が、給水遅延機構４０２における遅延槽４００内に流入することを防止できる。このため、遅延槽４００内に流動水が流入することによって、給水遅延機構４０２の動作が設定した動作を正しく実行しなくなるといったことを防止することができる。

　第４発明は上記記述及び図面によって説明したが４に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。

　１０…洗浄タンク
　１１…便器洗浄タンク装置
　１４…インナタンク
　１５…排水弁
　１８…手洗吐水管（手洗吐水部）
　２８…ボールタップ
　３０…ボールタップ本体
　３４…給水弁
　４０…フロート
　４２…連繋アーム
　４６…ねじ軸部（軸部）
　６４…出口部
　６６…補給水管
　７４…屈曲管
　９２…流出口
　９４…流路
　９６…絞り弁（抵抗部材）
　９８…固定弁体
　１００…可動弁体
　１０２…第１開口
　１０４…第２開口
　１５４…高さ調節ダイヤル（回転操作部材）
　１８２…溝
　１８４…凸部
　１８８…凹部
　１９２…爪
　４００…遅延槽
　４０２…給水遅延機構
　４０４…小孔
　４１６…水受部材
　４３０…水切部
　５５０…流動水吐水口

Claims

　洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、
　このフロートの昇降により開閉する給水弁とを備えており、
　前記洗浄タンクへの給水及び給水停止を自動的に行うボールタップであって、
　前記給水弁の下流部に設け、前記洗浄タンクに設けられる手洗吐水部に向けて手洗水を流出する出口部と、
　この出口部に設け、流路抵抗を変化させる抵抗部材とを備えていることを特徴とするボールタップ。
　前記抵抗部材は絞り弁であることを特徴とする請求項１記載のボールタップ。
　前記絞り弁は、通水用の第１開口を具備した固定弁体と、通水用の第２開口を具備し、前記固定弁体に対する回転によって、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を変化させて流路抵抗を変化させる可動弁体とを有していることを特徴とする請求項２記載のボールタップ。
　前記出口部は、上下方向に回転し、先端側に手洗水の流出口を具備しており、一部が前記可動弁体をなしている回転部を有していることを特徴とする請求項３記載のボールタップ。
　前記回転部は屈曲管であることを特徴とする請求項４記載のボールタップ。
　前記洗浄タンクが手洗吐水部を設けているときには、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を大きくし、前記洗浄タンクが手洗吐水部を設けていないときには、前記第１開口と前記第２開口との重なる面積を小さくして前記出口部から直接前記洗浄タンク内に手洗水を流出することを特徴とする請求項３乃至５のいずれか１項記載のボールタップ。
　洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、
　このフロートの昇降により開閉する給水弁と、
　軸部を有しており、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えており、
　前記洗浄タンクへの給水及び給水停止を自動的に行うボールタップであって、
　前記連繋アームの軸部に組み付けられており、前記フロートに保持されつつ前記フロートに対し独立して回転することによって、前記フロートともに前記軸部に沿って移動する回転操作部材を備えていることを特徴とするボールタップ。
　前記回転操作部材は前記軸部に螺合しており、回転によって螺子送りで前記軸部に沿って移動することを特徴とする請求項７記載のボールタップ。
　前記フロートと前記軸部との間に設け、前記フロートの回転を阻止しつつ前記フロートの前記軸部に沿った移動を案内する回止め機構を備えていることを特徴とする請求項７及び８記載のボールタップ。
　前記回止め機構は、前記軸部の外面であって、この軸部に沿って設けた溝又は突条と、前記フロートに設け、前記溝に嵌り込む凸部又は前記突条を嵌め込む凹部とを有していることを特徴とする請求項９記載のボールタップ。
　前記回転操作部材と前記フロートとの間に設け、係止部と、この係止部に係止して前記回転操作部材の回転方向の位置を弾性的に保持する被係止部材とを有した係止機構を備えていることを特徴とする請求項７又は８記載のボールタップ。
　前記係止機構は、前記回転操作部材又は前記フロートの一方に設けた前記被係止部としての凹部と、他方に設け、前記凹部に嵌り込む前記係止部としての爪とを有していることを特徴とする請求項１１記載のボールタップ。
　前記回転操作部材に設けられた前記係止部又は前記被係止部は、前記回転操作部材の円周状に環状に配置していることを特徴とする請求項１１記載のボールタップ。
　排出口と、この排出口を開閉する排水弁とを有する洗浄タンクと、
　この洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、このフロートの昇降により開閉する給水弁と、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えたボールタップと、
　前記洗浄タンク内に配置して内部に前記フロートが位置し、前記洗浄タンクよりも小容量であり、内部の水が流出する小孔を形成した遅延槽を有しており、前記排水弁の開弁後に前記遅延槽内の水が小孔を通じて流出することによって生じる前記遅延槽内の水位低下を前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内の水位低下よりも遅くし、前記給水弁の開弁を遅延する給水遅延機構と、
　凍結防止のための流動水を前記洗浄タンクに給水する流動水吐水口とを備えた便器洗浄タンク装置であって、
　前記流動水吐水口は前記流動水が前記遅延槽に向かって落下する位置である前記遅延槽の上方に配置してあるとともに、
　この遅延槽の上側に設け、前記流動水吐水口から落下した流動水を受けて前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内に導く水受部材を備えていることを特徴とする便器洗浄タンク装置。
　前記流動水吐水口は前記流動水を前記連繋アームを伝って流下させる位置に配置していることを特徴とする請求項１４記載の便器洗浄タンク装置。
　前記連繋アームは伝って流下する流動水を前記水受部材の上方で水切りして前記水受部材に向けて落下させる水切部を有していることを特徴とする請求項１５記載の便器洗浄タンク装置。
　排出口と、この排出口を開閉する排水弁とを有する洗浄タンクと、
　この洗浄タンク内の洗浄水の水位に連動して昇降するフロートと、このフロートの昇降により開閉する給水弁と、前記フロートと前記給水弁とを連繋する連繋アームとを備えたボールタップと、
　前記洗浄タンク内に配置して内部に前記フロートが位置し、前記洗浄タンクよりも小容量であり、内部の水が流出する小孔を形成した遅延槽を有しており、前記排水弁の開弁後に前記遅延槽内の水が小孔を通じて流出することによって生じる前記遅延槽内の水位低下を前記遅延槽の外側の前記洗浄タンク内の水位低下よりも遅くし、前記給水弁の開弁を遅延する給水遅延機構と、
　凍結防止のための流動水を前記洗浄タンクに給水する流動水吐水口とを備えた便器洗浄タンク装置であって、
　前記流動水吐水口と前記遅延槽とは、前記流動水吐水口から吐水した流動水が前記遅延槽内に向かって落下しない位置に前記洗浄タンク内における水平方向の位置を定めてあることを特徴とする便器洗浄タンク装置。