以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明を適用したオーバーフロー管構造を具備する洗浄水タンク装置を示す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る洗浄水タンク装置1は、便器(図示せず)に装着されて、便器に洗浄水を供給するものであり、便器の便器ボールの大きさや便器の種類に応じて洗浄水タンクからの排水量を調整可能に構成されている。例えば、排水量を小水量(例えば、6L)と大水量(例えば、8L)との間で切り替える調整を行うことができるものである。この洗浄水タンク装置1は、便器へ供給するための洗浄水を貯留する洗浄水タンク2と、洗浄水タンク2内に水を供給、貯留する給水装置3と、洗浄水タンク2内に蓄えられた水を便器に供給排水する排水装置4とを有している。
洗浄水タンク2は、薄箱型の方形状に形成し、給水源から供給された水を貯留すると共に、この貯留水を洗浄水として底部10に設けた排水口31より便器へ排水する。
給水装置3は、洗浄水タンク2内の左側方の底部10に立設し、下端を給水源と接続した給水管20と、給水管20から洗浄水タンク2内への吐水と止水を切替えるべく給水管20上端に設けられた給水バルブ21と、洗浄水タンク2内の水位の上下動による浮力の変動を利用して給水バルブ21の吐水と止水の切替え操作を行うフロート部22とを有している。24は、フロート部22に螺合した調節軸24であり、25は、フロート部22の上下動をガイドしつつ位置を決める位置決めガイド部25である。27は、洗浄水タンク2内に直接吐水する排水口27である。
位置決めガイド部25は、給水管20の外周面に給水管20の延在方向に沿って直線状に配設されたリブ26に嵌合するようになっている。
リブ26は、給水管20の外周面において放射状に複数条が突設されて形成されている。これにより、位置決めガイド部25は、同延在方向において多段階に位置決めされ固定されるようになっている。
給水管20は、略円筒状に形成し、給水源に連通連結されて、給水源からの水圧によって上端の給水バルブ21に送水すべく構成されており、給水源としては、水道管、止水栓、或はこれらに接続された配管や接続管等を指称する。
給水バルブ21は、テコ式レバー(図示せず)を介してフロート部22に連動連結されており、水位の変動にともなうフロート部22の上下動に応じて給水バルブ21のダイヤフラム式の弁(図示せず)を開閉作動し、背圧室に通じる背圧抜き穴より吐水、或は止水可能に構成されている。
具体的には、洗浄水タンク2内の水位が低下するとフロート部22が降下してテコ式レバーを開弁作動させて給水バルブ21を開き、洗浄水タンク2への給水が開始され、他方給水に従いタンク内水位が上昇すると、フロート部22が上昇してテコ式レバーを閉弁作動させて給水バルブ21を閉止する。
かかる給水バルブ21の作動によって給水バルブ21の下手側に連通連結した下向きの吐水管23から洗浄水が洗浄水タンク2内に吐水され、或は止水される。このような吐水、止水作用により洗浄水タンク2内に満水時の水位が維持される。
排水装置4は、図1に示すように、洗浄水タンク2の外側面に設けられた操作レバー装置6と、洗浄水タンク2内において操作レバー装置6の基部に略水平方向に連動連結された回転軸7と、回転軸7に玉鎖30を介して連結されて排水口31を開閉する排水弁32とを有し、操作レバー装置6のレバー操作によって回転軸7が回転作動し玉鎖30を介して連結した排水弁32の開弁作動を行うように構成されている。
操作レバー装置6は、洗浄水タンク2の側壁に所定の固定具を介して回転自在に支持されており、使用者の操作レバー8の回転動作により回転軸7を介して排水弁32を開弁作動する。9は操作レバー8が元の位置に戻る際に抵抗力を発生させるダンパ機能を備えた操作レバー調整部9である。
また、回転軸7の先端からは排水弁32の上面に接続され、排水弁32を引上げる紐状の引上げ部材としての玉鎖30が垂下されており、玉鎖30の下端には排水弁32が係止されている。
排水弁32は、合成樹脂等の弾性のある素材で略円板状に形成され、略中央に下方開口の逆椀状に形成された凹部を備えた弁体33と、弁体33の外周縁に延設され排水口31に着座するシール面を備えた外縁シール部34とよりなり、弁体33の側部には弁支持アーム35が横方向に連設されており、同アーム35の基端は排水口31と連通したL字状のオーバーフロー管40の外周壁42に枢着されている。従って、排水弁32は、操作レバー8の操作による玉鎖30の緊張、弛緩作用によって弁支持アーム35を介して回動しながら排水口31の開口、閉塞作動を行う。41は、オーバーフロー管40の外周壁42に突出形成された枢軸、36は、この枢軸41に枢着される弁支持アーム35の基端の枢着用孔を示す。
排水口31は、洗浄水タンク2の略中央底部に設けられており、排水口31の内周壁面には、排水ガイド筒37が嵌着され、同排水ガイド筒37は、洗浄水タンク2の底部上方にまで延設され、その上端開口縁に排水弁32のシール面が着座することにより排水口31の閉弁状態が維持されるように構成されている。
オーバーフロー管40は、基端を排水口31と連通した状態でL字状に立設されている。オーバーフロー管40の上端開口部44は、洗浄水タンク2内の洗浄水の満水時の水位よりも上方に突出させている。そして、オーバーフロー管40は、洗浄水タンク2内に過剰な洗浄水が供給されると、すなわち、満水時の水位を超える分の洗浄水が供給されると、溢水を上端開口部44から流入させることにより、オーバーフロー管40下方の排水口31に向けて流下させて、この排水口31から便器へ排水するようになっている。
かかるオーバーフロー管40の上端開口部44には、開口部から流入する溢水に渦巻き状の旋回流が発生することを防止するために整流装置50が装着されている。ここで、図2及び図3を参照しながら、本発明の洗浄水タンク装置におけるオーバーフロー管構造に用いる第1の整流装置について詳述する。図2は、洗浄水タンク装置の要部を示した斜視図である。図3は、第1の整流装置の構成を示しており、(a)は斜視図、(b)は平面図である。
図2及び図3に示すように、第1の整流装置50は、上部環体52と下部環体53との間に複数個の整流翼51を一体に介在することにより構成する。
上部環体52は、平板リング形状に形成し、下部環体53は、オーバーフロー管40の外周壁42に嵌着自在な形状の短筒形状に形成しており、その間に平板状の整流翼51が周上に分散されて所要枚数介設されている。すなわち、整流翼51は上下方向に伸延した板状の翼をオーバーフロー管40の外周壁42の位置から内径方向に伸延した構成としている。しかも、整流翼51は、板状の翼厚みw2より内径方向に向かって伸延させ幅員w1が長くなるように構成している。
本実施形態では、4個の整流翼51を円周方向に一定の角度、例えば角度90°ごとに周列状態に配設しており、上部環体52と下部環体53との間に一体に介設するに際しては、整流翼51の下端面57が短筒形状の下部環体53の上部周端面47から内方にオーバーハング状に迫り出すように構成している。このように構成することにより、第1の整流装置50の短筒形状の下部環体53をオーバーフロー管40の上部外周壁42aに嵌着状態で装着する場合に、オーバーフロー管40の上端開口部44の上部周端面47に、整流翼51の下端面57のオーバーハング部分が当接し整流翼51の装着時の位置決めが容易にできるように構成している。
なお、複数個の整流翼51を周列状態に配設するとは、円筒状のオーバーフロー管40の円周位置において外周から内方に向かって板状の整流翼51を一定間隔で立設した状態を指称するものであるが、整流翼51は必ずしも一定間隔に設ける必要はなく、周方向に分散していればよい。
このように、第1の整流装置50は、上部環体52と周列状態に配設した複数個の整流翼51と下部環体53との一体の連結構造としたので、整流翼51の位置骨格を確実に構成することができ、しかも上部環体52によって各整流翼51の相互の連結が行われるため、整流翼51の強度を確保することができ、オーバーフロー管40に流入する水勢が強い場合でも整流翼51の形状変形を防止することができる。更には、整流装置50を短筒形状の下部環体53を介してオーバーフロー管40の上方より嵌合して装着施工する場合に、上下環体52,53による整流翼51の相互連結がなされているため装着時の偏奇荷重に伴う整流翼51の変形や破損を防止することができる。
短筒形状の下部環体53は、オーバーフロー管40の上部外周壁42aに短筒の内周壁が圧着自在に嵌着できる形状に構成されており、従って、整流装置50はオーバーフロー管40上部に装着自在に構成されていることになり、短筒の内周壁71にはオーバーフロー管40の上部外周壁42aに対して着脱自在となる縦列状のリブ70が複数突設されており、整流装置50をオーバーフロー管40の上部外周壁42aに嵌着する場合にリブ70がオーバーフロー管40の上部外周壁42aの周面に圧着して整流装置50が回転しないように構成している。従って、洗浄水がオーバーフロー管40の上端開口部44に流入する際に水勢が整流翼51に衝突して整流装置50がオーバーフロー管40の上部で回転摺動することを防止することができる。
以上説明したように、第1の整流装置50においては、整流翼51の下端面57にオーバーハング形状を形成し、更には短筒形状の内周壁71面に縦状のリブ70を突設したことにより次のような作用効果を生起する。すなわち、整流装置50をオーバーフロー管40の上部周端面47に装着するときに、整流翼51のオーバーハングした下端面57が、オーバーフロー管40の上部周端面47に当接し、このためオーバーフロー管40の上方より整流装置50を被せて装着する場合に整流翼51の位置決めができるので、別途位置決め部材等を設ける等、既存のオーバーフロー管の構成を変更する必要もなく、簡易な構成で整流翼51のオーバーフロー管40に対する位置決めを行うことができ、製造コストの増大を防ぐことができると共に、施工性も向上することができる。
更には、整流装置50がオーバーフロー管40上部に複数のリブ70を突設したため、溢水が洗浄水タンク2内の所定水位より上昇してオーバーフロー管40に流入する場合に、整流翼51に衝突する流圧によって整流装置50自体がオーバーフロー管40の外周壁42面上で回転摺動することなく、常にオーバーフロー管40の上端開口部44の旋回流を抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
また、オーバーフロー管40に整流装置50を装着した状態においては、整流翼51の下端面57が短筒形状の下部環体53よりオーバーハングして位置決めの機能を果たしているので短筒形状の下部環体53の上端面58は既存のオーバーフロー管40の上部周端面47までの高さと同じとなり、従って、洗浄水タンク2内の所定水位より洗浄水が上がった場合には、下部環体53上方に周列状態の各整流翼51の間からオーバーフロー管40の上端開口部44に流入することになり、オーバーフロー管40による溢水の排出のタイミングを既存のオーバーフロー管と同じにすることができ、オーバーフロー管40の上端開口部44において生起する流入旋回流を抑制しつつ単位時間当たりの排水能力をより向上することができるようになる。
ここで、図4及び図5を参照して、既存のオーバーフロー管と本発明の整流装置を装着したオーバーフロー管との旋回流の発生状態の比較例を示す。図4は、既存のオーバーフロー管に溢水が流入する状態を示す平面図である。図5は、整流装置を装着したオーバーフロー管に溢水が流入する状態を示す平面図である。
図4に示すように、既存のオーバーフロー管40において、溢水が流入する場合には、溢水f1が旋回流を形成しながらオーバーフロー管40の上端開口部44に流入する。この旋回流を形成した溢水f1は、オーバーフロー管40の上端開口部44の中心44aに向かう渦状態となる。そして、上端開口部44の中心44a付近は渦巻きの中心となるため逆円錐状の空気層48を形成しその空白部分には溢水が流入していないためその分溢水の流入量は減少しオーバーフロー管40の単位時間当たりの排水能力を著しく低下させる。なお、旋回流の渦巻き方向は、オーバーフロー管40の上端開口部44に最初に流入した溢水の方向やオーバーフロー管40の形状等のさまざまな条件によって右渦巻き、左渦巻きになる。この渦巻きの旋回流は、渦巻き方向に関係なくオーバーフロー管40の排水能力を低下させる。
図5に示すように、本発明の第1の整流装置50を用いた場合には、整流装置50を嵌合装着したオーバーフロー管40に溢水が流入した場合には、このオーバーフロー管40の外周壁42の外方から上端開口部44の中心44aに向かって延びる複数の整流翼51が溢水f2をオーバーフロー管40の上端開口部44の中心44aに向って整流しながら案内しており、オーバーフロー管40の上端開口部44近傍での旋回流の発生を確実に抑制している。
すなわち、溢水f2が流入時に旋回流となりかけても整流翼51の板状面に当るためそのまま整流翼51の板状面に沿って流れて結局は整流翼51で整流されて直線的な流れとなってオーバーフロー管40の上端開口部44に流入することとなり上記した機能を果たすことができるのである。
また、従来発生していた旋回流の中心付近の空気層の発生も防ぐことができるため、溢水の実効流路面積を確実に確保することができる。このように、本発明の整流装置50を既存のオーバーフロー管に装着するだけで、オーバーフロー管40の上端開口部44に流入する溢水の排水能力を飛躍的に向上することができる。例えば、毎分23リッター排水できるオーバーフロー管40に整流装置50を装着した場合には、毎分25リッター排水することができ、単位時間あたりの排水能力を向上することができる。
次に、図6、図7を参照しながら本実施形態に係る整流装置の変形例である第2の整流装置及び第3の整流装置について説明する。
図6に示す第2の整流装置80は、上部環体52と、下部環体53との間に複数個の整流翼81を介設した構造の点では上記した整流装置50と同様である。
しかし、ここでは、特に整流翼81の幅員w3、すなわち、短筒形状の下部環体53の外径側から内径方向に伸延した板状の整流翼81の長さw4を下部環体53の外形方向に逆に伸延して上部環体52と下部環体53の外周縁59,63より外方向に長さw5だけ突出する形状としている。
かかる構成の整流装置80によれば、整流翼81が下部環体53の外周縁59及び上部環体52の外周縁63より外方にさらに延伸して設けられているため、オーバーフロー管40の上端開口部44に流入する溢水を可及的に早いタイミングで整流することができ、旋回流をより強力に抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
次に、図7に示す第3の整流装置90は、図6と同様に、上部環体92と下部環体93との間に整流翼91を介在して配設した構造であるが、上部環体92は、その外周を拡大して大径に形成しており、下部環体93は短筒形状の筒体の上端周面に鍔部98を突設しており、かつ、この鍔部98の外径と上部環体92の外径とを略同一径としており、かかる大径の上部環体92と下部環体93の鍔部98との間には縦板状の整流翼91を介設している。
しかも、縦板状の整流翼91は外側縁に近い中途部99を洗浄水の旋回方向に対向するようにやや曲折し横断面略へ字状に形成している。すなわち、洗浄水の渦巻き方向と対面するように曲折しており、このように構成することにより旋回流の始動時期に旋回水流が整流翼91に激突すると整流翼91の略へ字状の内側面に沿って外側から回り込むことにより水勢が減殺され、同時に整流翼91の中心に向かった直線面に沿って溢水が旋回することなくオーバーフロー管40の上端開口部44に流入することになる。
かかる構成の整流装置90によれば、オーバーフロー管の上端開口部44まで伸延した整流翼91を鍔部98の外側縁に近い中途部99を洗浄水の旋回方向に対向するようにやや曲折し横断面略へ字状に形成されるため、略へ字状の整流翼91で速やかに集めて整流でき、旋回流をより強力に抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
[他の実施形態]
次に、他の実施形態として、周上に分散させて配設した複数個の前記整流翼の上部を、リング状の上部環体に代えて板状の被覆部によって連結し、この被覆部に補助水管を取付ける取付部を設けた構成とした整流装置について説明する。図8〜図10及び図12は第4から第7の整流装置の説明図であり、図11は整流装置を装着したオーバーフロー管を備えた洗浄水タンク装置の説明図である。
図8に示す第4の整流装置100は、第1の整流装置50から1個の整流翼51を除去した構成であり、3個の平板状の整流翼51で構成している。すなわち、直径方向に2個の整流翼51,51が設けられ、この直径方向に垂直な方向に整流翼51が設けられている。そして、この3個の整流翼51の上部を、リング状ではなく、略半円形円板状の被覆部102で連結している。
また、略半円形の被覆部102は、その弦の中心近傍に半円形状の突出部102bを設けた形状としており、この突出部102bに補助水管28(図11参照)を取付けるL字形状の取付部103を設けている。つまり、取付部103は、オーバーフロー管140の上端開口部の中央(図における中心44a)上に位置している。また、各整流翼51の高さは、取付部103を介して補助水管28へタンク内の洗浄水が逆流しないだけの高さにしているため、オーバーフロー管140の上端に取り付けられる下部環体53と被覆部102との間には洗浄水逆流防止空間が形成されることになる。
取付部103は、補助水管28に連設する注水口104と、オーバーフロー管140の中央に向けて吐水させるための吐水口105とが形成されており、この吐水口105は、被覆部102の下面102aよりわずかに突出した環形状の整流突起部106の先端に形成されている。
下部環体53には、オーバーフロー管140の上部外周壁142aに上下2段に形成されたリング状の凸部143,143と係合する係合部107,107を設けており、上方側の凸部143に係合部107の内側の窪み部107aが当接しつつ、下方の凸部143に係合部107が係合することにより整流装置100がオーバーフロー管140から脱落しないようにしている。
かかる構成の第4の整流装置100によれば、前述した実施形態と同様の効果を奏すとともに、取付部103の吐水口105がオーバーフロー管140の上端開口部44の中央に位置しているので、補助水管28から常にオーバーフロー管140内の中央44aに向って確実に給水することができる。
そして、オーバーフロー管140の上端開口部44に対して、半周分に亘って干渉回避空間が確保できるように、3個の整流翼51を半周上に分散して設けるとともに、これら整流翼51の上部を略半円形状の被覆部102で連結した構成としているので、例えば、操作レバー8に連結して玉鎖30を操作する洗浄水タンク2内の上方の連結部7aが可動しても、整流装置100の整流翼51や被覆部102に接触しないため、洗浄水タンク装置の設計変更を行うことなく使用することができる効果がある。
次に、図9に示す第5の整流装置110は、上述した第4の整流装置100と同様に周上の直径方向に2個の整流翼111,111を設け、この直径方向に垂直な方向に整流翼111をさらに設け、この3個の整流翼111の上部を半円形の板状の被覆部112で連結した構成としている。
特に、板状に形成された各整流翼111は、整流翼111の下側部分を上側部分よりも広幅に形成している。すなわち、整流翼111の下側部分は、短筒形状の下部環体53の外周面から半径内側方向に長さw4だけ伸延させるとともに、逆に半径外側方向に長さw5だけ伸延させて整流翼上側よりも幅広の幅員w3となるようにしている。つまり、整流翼111の下側部分を、被覆部112と下部環体53の外周縁59,63よりも外方向に長さw5だけ突出させている。
板状の半円形に形成された被覆部112の略中央には、補助水管28を取付けるL字形状の取付部103を設けている。被覆部112は、半円形に形成されているため、取付部103は、オーバーフロー管140の中心44aに対しては偏心することになる。
また、ここでも第4の整流装置100(図8参照)と同様の係合部107,107を設けており、整流装置110がオーバーフロー管140から脱落しないようにしている。
かかる構成の第5の整流装置110によれば、上述した実施形態と同様の効果を奏すとともに、整流翼111が下部環体53の外周縁59より外方にさらに延伸して設けられているため、オーバーフロー管140の上端開口部44に流入する溢水を可及的に早いタイミングで整流することができ、旋回流をより強力に抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
次に、図10に示す第6の整流装置120は、半円形状に形成した被覆部122と下部環体125との間に整流翼121を介設した基本構造は、先の第5の整流装置110と同じであるが、ここでの被覆部122は、下部環体125に比べて外周を縮小して小径に形成している。すなわち、図8、図9で示した第4、第5の整流装置100,110と同様に、直径方向に2個の整流翼121,121が設けられ、この直径方向に垂直な方向に整流翼121が設けられているが、これら整流翼121,121,121は、これまで説明した構成とは異なり、わずかに傾斜状に立設した構成となっている。
また、下部環体125は、短筒形状の筒体の上端周面には、外方にはみだすように鍔部128が形成されており、この鍔部128の周上に、当該鍔部128の幅と略等しい幅を有する3個の整流翼121,121,121が設けられている。したがって、オーバーフロー管140の上端開口部44に流入する溢水を比較的に早いタイミングで整流することができ、旋回流を抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
そして、この3枚の整流翼121,121,121の上端を、下部環体125よりも小径の被覆部122に連結することで、オーバーフロー管140の上端開口部44の中央へ向うように傾斜状に立設させることにより、整流装置120の半周分に亘って形成された干渉回避空間に加え、整流翼121自体もタンク内の他の構成部品などとの干渉を可及的に回避できるようにしている。
板状の半円形に形成された被覆部122の略中央には、L字形状の取付部123を設けている。被覆部122は、半円形に形成されているため、取付部123は、オーバーフロー管140の中心44aに対しては偏心することとなる。取付部123は、補助水管28に連設する注水口104とオーバーフロー管140の中央に向けて吐水するための吐水口105とが形成されており、吐水口105は、被覆部122の下面102aよりわずかに突出した環形状の整流突起部106の先端に形成される。
下部環体125には、オーバ-フロー管140の上部外周壁142aに上下2段に形成されたリング状の凸部143,143に係合する係合部127を設けており、上方側の凸部143に係合部127の内側の窪み部127aが当接しつつ、下方側の凸部143に係合部127が係合することにより整流装置120がオーバーフロー管140から脱落しないようにしている。
かかる構成の第6の整流装置120によれば、上述した実施形態と同様の効果を奏すとともに、上述したように、鍔部128上に整流翼121を設けたことにより、洗浄水を整流翼121で速やかに集めて整流でき、旋回流をより強力に抑制して、高い排水能力を発揮することができる。
また、各整流翼121は、同整流翼121の下部から同整流翼121の上部に向って、同整流翼121がオーバーフロー管140の上端開口部44の中央へ向って傾斜するように構成しているので、整流翼121の骨格の強度を向上することが可能となり、長期信頼性を得ることができる。
そして、周上に分散させるように3個の整流翼121の上部を半円形状の被覆部122で連結し、第4、第5の整流装置100,110と同様に干渉回避空間を確保した構成としているので、図11に示すように、洗浄水タンク2内の上方には操作レバー8に連結して玉鎖30を操作する連結部7aが備えられており、操作レバー8に連動して連結部7aが可動しても、整流装置120の整流翼121に接触しなくなるため、洗浄水タンク装置1の設計変更を行うことなく使用することができる効果がある。
次に、図12に示す第7の整流装置130は、被覆部132と下部環体135との間に整流翼121を介設した基本構造は、これまで説明してきた整流装置の構造と同様である。
しかし、ここでの被覆部132は、半円ではなく円形としており、しかも、下部環体135に比べ、前述した第6の整流装置120よりも、より小径(例えば2/3程度)に形成している。そして、第6の整流装置120と同じように、下部環体135には鍔部138を突設し、この鍔部138の周上に4個の整流翼121を、所定間隔をあけて設けている。この4枚の整流翼121,121,121,121の上部を円形状の被覆部132で連結している。
このように、被覆部132を下部環体135に比べ、外周を著しく小径に形成しているので、各整流翼121の傾斜度合いが大きくなり、その分、下部環体135と被覆部132との間に干渉回避空間を確保できることになり、下部環体135の全周に亘って整流翼121を立設した構成であっても、タンク内の他の構成部品などとの干渉を可及的に回避することができる。
また、各整流翼121は、同整流翼121の下部から同整流翼121の上部に向って、同整流翼121がオーバーフロー管140の上端開口部44の中央へ向って傾斜するように構成しているので、整流翼121の骨格の強度を向上することが可能となり、長期信頼性を得ることができる。
なお、この第7の整流装置130においても、下部環体135には、オーバーフロー管180の上部外周壁182aに形成した凸部183と係合する係合部137,137を設けており、上方側の凸部183にサイドから係合部137,137が係合することにより整流装置130がオーバーフロー管180から脱落しないようにしている。
また、取付部123の吐水口105がオーバーフロー管170の上端開口部44の中央に位置しているので、補助水管28からの常にオーバーフロー管170内の中央に向って確実に給水することができる。
以上、本実施形態で説明してきた第4から第7の整流装置によれば、補助水管を取付ける取付部を被覆部に設けたので、従来のような補助水管をオーバーフロー管内に挿入して設けたものに比べて、オーバーフロー管の流路を広く確保することが可能となる。
また、取付部の吐水口は、被覆部の下面より突出した環形状の整流突起部の先端に開口しているため、補助水管からの給水がオーバーフロー管の上端開口部より外方の洗浄水タンクへ飛び散ることがなくなり、補助水管からオーバーフロー管内に確実に給水することができる。
さらに、下部環体と被覆部との間には洗浄水逆流防止空間を備えることにより、取付部を介して補助水管へタンク内の洗浄水が逆流を防ぐことが可能となる。
なお、補助水管28からオーバーフロー管へ供給する給水は、便器内の溜水とするものである。
ところで、これまで説明してきた整流装置は、汎用性をもたせるために、オーバーフロー管の径に応じたアダプタを用いることもできる。例えば、第7の整流装置130を例にとって、説明すると、図13に示すように、オーバーフロー管の径が小さい場合は、小さい径のオーバーフロー管に応じたフロー管連結部を有するアダプタ管160を装着することにより、同じ第7の整流装置130を使用することが可能となる。すなわち、径の異なるオーバーフロー管170の上部外周壁172aにアダプタ管160のフロー管連結部を挿嵌して、このアダプタ管160の上部側に整流装置130を装着するのである。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述してきた各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。