WO2012039475A1

WO2012039475A1 - 錠剤シート排出装置

Info

Publication number: WO2012039475A1
Application number: PCT/JP2011/071702
Authority: WO
Inventors: 義人大村; 英明廣部
Original assignee: 株式会社トーショー
Priority date: 2010-09-26
Filing date: 2011-09-22
Publication date: 2012-03-29

Abstract

　錠剤シートの材質や剛性さらには端部状態の影響を受け難くて適用範囲が広く高速排出も可能な錠剤シート排出装置を実現する。錠剤シート８を各々は横にして縦に積み重ね収納する錠剤シート収納部１１Ａと、最下の錠剤シート８に作用する可動係合部１６を錠剤シート収納部１１Ａの底に沿って前送りする錠剤シート送り出し装置１９とを備えていて、錠剤シート８を下から順に送り出して排出口１４から前方へ排出する。錠剤シート収納部１１の底部で前後方向に張設された無端ベルト１５を送り機構に設け、可動係合部１６を無端ベルト１５の外周面に突設して、可動係合部１６の前送り時に可動係合部１６が錠剤シート８の突出部８ｃに当接して錠剤シート８が送り出す。

Description

錠剤シート排出装置

　本発明は、錠剤シート収納部に収納された錠剤シートを自動で排出する錠剤シート排出装置に関するものである。

　図１４に示すように、ＰＴＰ（Press-through package）シートと呼ばれる錠剤シート（tablet sheet）８は、複数の錠剤をそれぞれ収容する複数の凹部が行（row）と列（column）をなすようにマトリックス状に形成されて一方の面に複数の凹部に対応した行Ｒと列Ｃをなす複数（図１４の例では１０個）の突出部８ｃが形成された錠剤収納シート８ｂと錠剤収納シート８ｂの他方の面に接合されて複数の凹部を塞ぐ閉塞シート８ａとから構成されている。

　特許文献１～６には、錠剤収納シート８ｂが下に位置するように積み重ねられた状態で複数の錠剤シート８が収納された錠剤シート収納部から、最も下に位置する錠剤シート８を送り出して排出する従来の錠剤シート排出装置（ＰＴＰカセット）が開示されている。

　何れの公報に記載の錠剤シート排出装置も、収納空間を画する箱状の錠剤シート収納部（整列収納部）と、その下に固定の又は着脱式の錠剤シート送り出し装置（順次排出機構）とを備えている。錠剤シート収納部（整列収納部）は、ＰＴＰ包装剤等と表現された錠剤シートを複数の突出部８ｃを上にして内底部材（収納空間底部材）の上面に載せて積み重ねて整列収納させた状態で保持するようになっている。錠剤シート送り出し装置（順次排出機構）は、錠剤シート収納部に保持されている錠剤シートを下から順に前方へ送り出して排出するようになっている。

　錠剤シート収納部は、何れの錠剤シート排出装置でも構成が似ており、整列状態維持のため内底部材の上の収納空間が前板と両側板で囲まれている。錠剤シート収納部は、錠剤シートの補充のため、上面が解放されている。また、必須ではないが、補充作業容易化のため後背面まで解放されたり、整列状態安定化のため収納空間の内底部材が少し前下がりに傾けられたりしている。さらに、錠剤シートの排出のため、前板のうち内底部材の前端のところが切り欠かれて、排出口が形成されており、排出確認のため排出口の下方には排出センサが置かれている。

　錠剤シート送り出し装置は、錠剤シートのうち最下のものに係合して押し出す力を錠剤シートに与える可動係合部と、この可動係合部を運動させて最下の錠剤シートを前送りさせる駆動部とを備えている点は、何れの従来の錠剤シート排出装置にも共通している。特許文献１～２に記載の従来の錠剤シート排出装置では、可動係合部が錠剤シート８の閉塞シート８ａに摩擦作用する回転輪を駆動部により駆動して、その回転輪を収納空間の内底で自転させる（平坦面摩擦タイプ）。また特許文献３～６に記載の錠剤シート排出装置では、可動係合部が錠剤シート８の後端８ｄ（図１４）と係合する可動係合部が、引掛部材や押出部材として構成され、駆動部がその可動係合部を内底部材に沿って移動して、錠剤シートを前送りする（後端当接タイプ）。

特開平１０－７５９８９号公報（図３）特開２００８－３０１８７０号公報特開２００９－１３１５６０号公報特開２００９－１６５６７５号公報特開２００９－２９７４６６号公報特開２０１０－０１７３７２号公報

　しかしながら、このような従来の錠剤シート排出装置では、タイプによって一長一短がある。具体的には、平坦面摩擦タイプは、立てておけないほど柔らかい錠剤シートであっても逐次排出できるという利点を持つ一方で、滑りやすい錠剤シートには適さないし、高速化が難しい。これに対し、後端当接タイプは、シートのカール性の大きな錠剤シートでも迅速に順次排出できるという利点を持つ一方で、腰のない錠剤シートや、端部が曲がったり潰れたりして可動係合部との当り具合の悪い錠剤シートにはあまり適さない。このため、両者の利点を併せ持った安価な錠剤シート排出装置の開発が望まれる。

　本発明の目的は、錠剤シートの材質や剛性さらには端部状態の影響を受け難くて適用範囲が広く高速排出も可能な錠剤シート排出装置を提供することにある。

　本発明の錠剤シート排出装置は、錠剤シート収納部と、ベース部と、錠剤シート送り出し装置とを備えている。錠剤シート収納部には、複数の錠剤をそれぞれ収容する複数の凹部が行と列をなすようにマトリックス状に形成されて一方の面に複数の凹部に対応した行と列をなす複数の突出部が形成された錠剤収納シートと錠剤収納シートの他方の面に接合されて複数の凹部を塞ぐ閉塞シートとから複数の錠剤シートが、錠剤収納シートが下に位置するように積み重ねられた状態で収納される。ベースは、錠剤シート収納部の下に配置されて錠剤シート収納部に収納されている複数の錠剤シートのうち、最も下に位置する一枚の錠剤シートを排出する排出口を備えている。そして錠剤シート送り出し装置は、ベース部内に配置され、最も下に位置する一枚の錠剤シートの複数の突出部の少なくとも一部の突出部と係合する１以上の可動係合部を備えて、１以上の可動係合部を動かすことにより一枚の錠剤シートを排出口に向かって移動させる力を１以上の可動係合部から少なくとも一部の突出部に与えるように構成されている。

　本発明の錠剤シート排出装置にあっては、１以上の可動係合部が複数の突出部の少なくとも一部に係合して錠剤シートを排出口から送り出すため、シートがカールしやすい錠剤シートでも迅速に順次排出できる。特に、本発明では、可動係合部が係合する係合部位が、薄い平板状で変形しやすい閉塞シートや端部でなく、錠剤シートの端部より内寄りの位置に形成されて、小さな立体形状で変形しにくい突出部である。そのため、腰の強くない錠剤シートであっても、確実に排出できる。また、平坦な閉塞シート側を下にした錠剤シートは排出しないので、誤収納に起因する不所望な二枚出しも防止できる。したがって、この発明によれば、錠剤シートの材質や剛性さらには端部状態の影響を受け難くて適用範囲が広く高速排出も可能な錠剤シート排出装置を実現することができる。

　錠剤シート送り出し装置は、表面に所定の間隔をあけて複数の可動係合部が配置された無端ベルトと、複数の可動係合部がベースの排出口に向かって移動するように無端ベルトを回転させる駆動部とを備えた１台のベルトコンベア装置から構成することができる。錠剤シート送り出し装置を１台のベルトコンベア装置で構成すると、１つの駆動部を用いて、簡単に錠剤シートを排出口から送り出すことができる。また複数台のベルトコンベア装置を用いて錠剤シート送り出し装置を構成してもよい。複数台のベルトコンベア装置を用いると、複数台のベルトコンベア装置を連動させることで錠剤シートに前後複数箇所で推力を伝達できるので、腰のない錠剤シートでも確実に送り出すことがでが可能になる。

　ベルトコンベア装置を用いる場合には、錠剤シートの送り出し方向と錠剤シートに設けられた複数の突出部の列が延びる方向とを一致させ、複数の可動係合部を配置する場合の所定の間隔を複数の突出部の行の間隔に対応するように定めればよい。

　また錠剤シート送り出し装置は、錠剤シートの送り出し方向及び複数の錠剤シートの積み重ね方向と直交する方向に延びる回転軸を中心にして回転する１以上の回転体と、１以上の回転体に設けられた１以上の可動係合部とを備えた１以上の回転送り出し機構と１以上の回転送り出し機構を駆動する駆動部とを備えた構造とすることができる。この場合、１以上の可動係合部は、回転体が所定の角度回転する毎に複数の突出部の行間に入り、その後回転体がさらに所定の角度回転する間送り出し方向に位置する突出部と係合して一枚の錠剤シートを排出口に向かって移動させる力を突出部に与えるように回転体に配置する。この錠剤シート送り出し装置でも、回転体に設けた可動係合部が錠剤シートの突出部に係合して錠剤シートを送り出すため、シートのカール性の大きなＰＴＰ包装剤等でも迅速に順次排出できる。また腰の強くない錠剤シートであっても逐次排出できる。さらに不所望な二枚出し等も防止すすることができる。

　錠剤シート送り出し装置は、複数の回転送り出し機構を備えていてもよい。この場合にには、複数の回転送り出し機構は、予め定めた順番に１以上の可動係合部が突出部と係合する状態になるように配置すればよい。複数の回転送り出し機構を用いると、錠剤シートに前後複数箇所で推力を伝達できるので、腰のない錠剤シートでも確実に送り出すことがでが可能になる。

　回転送り出し機構は、回転軸の回転方向に所定の角度間隔を開けて配置された複数の可動係合部を備えており、所定の角度間隔は、複数の可動係合部が順番に複数の突出部の行間に入るように定められている。

　また排出口から出た錠剤シートの複数の突出部以外の部分と接触して錠剤シートを排出口から引き出す力を錠剤シートに与える錠剤シート引き出し装置を、排出口の外側に設けてもよい。この場合には、錠剤シート送り出し装置の駆動部は、錠剤シート引き出し装置が錠剤シートの引き出し動作を開始したときには、可動係合部を錠剤シートの引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成する。このような構成を採用した場合には、摩擦負荷及び慣性負荷の大きい送り出し動作の初動時の加速は可動係合部と錠剤シートの突出部との係合により行う。そして錠剤シートが動き出して、摩擦負荷や慣性負荷が小さくなってからは、錠剤シート引き出し装置により錠剤シートを錠剤シート収納部から引き出す。このようにすると可動係合部と突出部とが係合して送り出す期間が短くなるため、可動係合部の設置個数や動作制御の自由度を増すことができる。そのためより多様な形状の錠剤シートに対して部品交換なしで、錠剤シート排出装置を使用することができる。また可動係合部の個数を減らすことも可能となり、錠剤シート送り出し装置の構成が簡単になる。また錠剤シートが排出口から出た後は、錠剤シート引き出し装置により錠剤シートは能動的に排出口から引き出されるるので、腰のない錠剤シートでも安定して確実に錠剤シート収納部から外へ送り出すことができる。

　錠剤シート引き出し装置は、排出口から出た錠剤シートの複数の突出部の隣り合う２つの列間に位置する複数の突出部以外の部分を上下方向から挟む一対の回転ローラと、該一対の回転ローラの少なくとも一方を回転駆動するローラ駆動部とから構成することができる。この場合、錠剤シート送り出し装置の駆動部は、錠剤シート引き出し装置が錠剤シートの引き出しを開始したときには、可動係合部を錠剤シートの引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成する。このようにすると、錠剤シート引き出し装置により錠剤シートを引き出す際に、可動係合部と錠剤シートの突出部とが係合していないので、スムーズに錠剤シートを排出することができる。また、上述したように排出口から出てくる錠剤シートが確実に一枚だけに絞り込まれているので、それを一対の回転ローダで上下から挟むことに不都合はなく、錠剤シートを一対の回転ローラで上下から挟みつつ引き込むことにより、錠剤シートの曲がりや捻れといった変形が抑制されるので、錠剤シートの排出が安定かつ円滑に行われることとなる。

　ベース部材内には、錠剤シート送り出し装置の動作に支障を与えないようにして、最も下に位置する一枚の錠剤シートの複数の突出部以外の部分と接触して該錠剤シートを送り出し方向にスライド可能に支持する支持構造を配置することができる。このような支持構造を用いると、錠剤シートの送り出し時の案内についても、腰のない錠剤シートでも安定して確実に送り出すことができる。特に、支持構造を、複数の突出部の２つの列の間または１つの列に沿って配置された細長いロッド部材から構成すると、錠剤シートやその重みを受ける例えば無端ベルトの過剰変形が簡単に防止できる。また支持構造と錠剤シートとお間の摩擦抵抗をより小さいものとすることができる。

本発明の第１の実施の形態について、錠剤シート排出装置の構造を示し、（ａ）は外観斜視図、（ｂ）は内部透視図、（ｃ）は縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、何れも、錠剤シート排出時のカセット要部の縦断面図である。本発明の第２乃至第４の実施の形態について、錠剤シート排出装置の構造を示し、（ａ）～（ｃ）は、何れも、要部の縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、何れも、錠剤シートとそれを支承する条材との斜視図である。（ａ）は錠剤シート送り出し装置に回転送り出し機構を備えた本発明の第５の実施の形態の外観斜視図、（ｂ）は内部透視図及び（ｃ）は縦断面図である。（ａ）は、多数の錠剤シートを収納して排出態勢を整えた錠剤シート排出装置の縦断面図であり、（ｂ）及び（ｃ）は、錠剤シートを排出しているときの錠剤シート排出装置の要部の縦断面図である。誤って上下方向を反転して収納された錠剤シートが最下に来たときの状態を示す要部の縦断面図である。本発明の第６の実施の形態の錠剤シート排出装置の縦断面図である。（ａ）～（ｄ）は、回転送り出し機構の変形例の斜視図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第７の実施の形態の錠剤シート排出装置の外観斜視図、内部透視図及び縦断面図である。（ａ）は多数の錠剤シートを収納して排出態勢を整えた錠剤シート排出装置の要部の縦断面図であり、（ｂ）及び（ｃ）は最下の錠剤シートを排出している時の錠剤シート排出装置の要部の縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、最下の錠剤シートを排出している時の錠剤シート排出装置の要部の縦断面図である。（ａ）～（ｃ）は、本発明の第８の実施の形態の錠剤シート排出装置の外観斜視図、内部透視図及び縦断面図である。錠剤シートの外観を示し、（ａ）は突出部を上にした状態の側面図、（ｂ）は突出部形成面の斜視図、（ｃ）は突出部を下にした状態の側面図である。

　以下図面を参照して、本発明の錠剤シート排出装置の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明に用いる図には、簡明化等のため、ボルト等の締結具や、ヒンジ等の連結具，電動モータ等の駆動源，ギヤ等の伝動部材，モータドライバ等の電気回路，コントローラ等の電子回路などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示してある。図１（ａ）乃至（ｃ）は本発明の錠剤シート排出装置の外観斜視図、内部透視図及び縦断面図を示している。そして図２（ａ）～（ｃ）には、錠剤シート排出時の動作を説明するために用いる錠剤シート排出装置の要部の縦断面図を示している。

　図１に示した第１の実施の形態の錠剤シート排出装置１０は、複数の錠剤シート８を横にしたうえで縦に積み重ねて整列収納させた状態で保持し且つ後述する錠剤シート送り出し装置１９を収納するハウジング１１を備えている。ハウジング１１は、錠剤シート８を収容する錠剤シート収納部１１Ａと錠剤シート送り出し装置が配置されるベース部１１Ｂとから構成される。

　ハウジング１１は、鉛直な前板１１ａと左右の鉛直な側板１１ｂ及び１１ｃと水平な底板１１ｄとを具えている。錠剤シート８の補充を容易にするためにハウジング１１の上面と後背面は開放されている。ハウジング１１の前板１１ａには、補充時の薬品確認やバーコード入力作業が容易かつ的確に行えるよう、例えば錠剤シート８の品名や識別コードを印刷したラベル１２が貼り付けられている。ハウジング１１の前板１１ａの下部には、錠剤シート８が順次排出されるときに通過する排出口１４が形成されている。排出口１４の上側部分には、排出口１４の横幅のほぼ全域に亘って排出口１４開口高さを調整する調整板１３が固定されている。

　複数の錠剤シート８を錠剤シート収納部１１Ａに収納するときには、閉塞シート８ａ（片面）を上側にし錠剤シート収納用の凹部によって形成された突出部８ｃ（ポケット）を有する錠剤収納シート８ｂ（他面）を下側にし、その横向き状態でハウジング１１の収納空間に収められている。

　錠剤シート送り出し装置１９は、ベース１１Ｂ内に配置され、最も下に位置する一枚の錠剤シート８の複数の突出部８ｃの少なくとも一部の突出部と係合する複数の可動係合部１６を備えた無端ベルト１５を備えたベルトコンベア装置２０によって構成されている。このベルトコンベア装置２０は、回転駆動ローラ２０Ａ及び２０Ｂによって案内されており、回転駆動ローラ２０Ａ及び２０Ｂの一方を回転駆動する図示しないモータによって駆動部が構成されている。錠剤シート送り出し装置１９は、無端ベルト１５を動かして複数の可動係合部１６を動かすことにより最も下の一枚の錠剤シート８を排出口１４に向かって移動させる力を可動係合部１６Ａ及び１６Ｂから突出部８ｃに与え、錠剤シート８を排出口１４へと送り出す。

　本実施の形態では、最も下の錠剤シート８を載せて下から支える内底部材は、ハウジング１１そのものには設けられていない。本実施の形態では、ベース部１１Ｂ内に配置された細長いロッド部材（条材）１８が、錠剤シート送り出し装置１９の動作に支障を与えないようにして、最も下に位置する一枚の錠剤シート８の複数の突出部８ｃ以外の部分と接触して該錠剤シート８を送り出し方向にスライド可能に支持する支持構造として配置されている。図２には、ロッド部材１８を、丸棒として図示したが、その外面の接触抵抗が小さければ、ロッド部材１８は円筒やアングル材であっても良い。ロッド部材１８は、底板１１ｄや支柱などに取り付けられる基端部１８Ａは別として、先端部１８Ｃ及び中間部１８Ｂは、ハウジング１１のベース部１１Ｂ内の収納空間を、その長手方向を前後（排出口１４に向かう方向）に向けて延びている。そして先端部１８Ｃ及び中間部１８Ｂは、無端ベルト１５の上面とほぼ平行になっている。本実施の形態では、１本のロッド部材１８の先端部１８Ｃ及び中間部１８Ｂが、錠剤シート８に設けられた複数の突出部８ｃからなる２つの列Ｃ［図４（ａ）参照］の間に位置するようにロッド部材１８が配置されている。その結果、突出部８ｃを下にした錠剤シート８をハウジング１１の錠剤シート収納部１１Ａ内に収納すると、ロッド部材１８のうち先端部１８Ｃ及び中間部１８Ｂが錠剤シート８の突出部８ｃの間に収まって、錠剤シート８の錠剤収納シート８ｂの突出部８ｃが形成されていない部分がロッド部材１８の上に載った状態となり、ロッド部材１８は最下の錠剤シート８を前後方向移動可能な状態で支承する支持構造となる。また、ロッド部材１８の上面と無端ベルト１５の上面との間の高低差が、錠剤シート８の突出部８ｃの高さとほぼ同じであるため、本実施の形態では、錠剤シート送り出し装置１９は、無端ベルト１５とロッド部材１８とで分担して錠剤シート８を支承している。

　本実施の形態では、錠剤シート送り出し装置１９は、無端ベルト１５と可動係合部１６と排出センサ１７とロッド部材１８と図示しない電動モータとコントローラ（制御回路，制御装置）とを具えたものである。錠剤シート送り出し装置１９は、ハウジング１１の底板１１ｄの上に設けられて、の錠剤シート収納部１１Ａの下に位置するベース部内１１Ｂに配置されている。

　無端ベルト１５は、ローラ２０Ａ及び２０Ｂで回転自在に支持されており、電動モータの駆動によって回転駆動ローラ２０Ａ及び２０Ｂの少なくとも一方を駆動することにより、上側に位置するベルト部分１５Ａが排出口１４に向かって前進する。本実施の形態では、回転駆動ローラ２０Ａの外側を回る無端ベルト１５の部分が、排出口１４から露出している。

　無端ベルト１５の外周には、複数個の可動係合部１６Ａが無端ベルト１５の周方向に等ピッチで設けられている。また無端ベルト１５の外周には、無端ベルト１５の幅方向（無端ベルト１５の回転方向または送り出し方向と直交する方向）に複数個の可動係合部１６Ａと並んで、複数個の可動係合部得１６Ｂが周方向に等ピッチで設けられている。複数個の可動係合部１６Ａにより第１の係合部列が構成され、複数個の可動係合部１６Ｂにより第２の係合部列が構成されている。ここで第１及び第２の係合部列を構成する複数個の可動係合部１６Ａ及び１６Ｂ間のピッチは、図１４に示した錠剤シート８の長手方向に並ぶ突出部８ｃの列Ｃの隣り合う２つの突出部８ｃの中心間のピッチと同じになっている。但し、可動係合部１６Ａの無端ベルト１５の周方向の長さは、突出部８ｃの列Ｃが延びる方向の長さよりも短くなっている。また可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの高さ寸法は、突出部８ｃの突出寸法よりも短い。したがって本実施の形態では、最下の錠剤シート８の複数の突出部８ｃは、無端ベルト１５と直接接触している。

　後に詳しく説明するロッド部材１８との干渉を避けるために、可動係合部１６Ａ及び１６Ｂとの間の間隔は定められている。無端ベルト１５を循環動作させることで、可動係合部１６Ａ及び１６Ｂを巡回移動させると、最も下に位置する一枚の錠剤シート８の複数の突出部８ｃの一部と係合する複数の可動係合部１６Ａ及び１６Ｂが送り出し方向に移動することにより、錠剤シート８ｃを排出口１４に向かって移動させる力が可動係合部１６Ａ及び１６Ｂから突出部８ｃに与えられる。その結果、最下の錠剤シート８が排出口１４から送り出される。

　排出センサ１７は、例えば反射式の光学センサから構成されている。排出センサ１７は、この例では排出口１４及び無端ベルト１５の前端の斜め下方にある底板ｄの部分の上に発光部及び受光部を上に向けた状態で設けられている。排出センサ１７の上方に錠剤シート８が有って発光部から放射された光が錠剤シート８ｃで反射されてその反射光が検出されるか、または上方に錠剤シート８が無くて反射光が検出されないかに応じて、排出センサ１７はオンオフ信号を出力する。図示しない上述のコントローラは、最下の錠剤シート８が排出口１４から前方へ送り出されて排出口１４から出てくると、排出センサ１７が出力する反射光を検知したことを示す信号により錠剤シート８の排出が開始されたと判定し、その後反射光を検知しなくなった信号が排出センサ１７より出力されると、錠剤シート８の排出が完了したことを判定する。

　本実施の形態の錠剤シート排出装置１０について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図２（ａ）～（ｃ）は、何れも錠剤シート８を排出している時の錠剤シート排出装置１０の要部の縦断面図である。錠剤シート排出装置１０を初めて使用するときや、錠剤シート８の種類を変えるようなときには、二枚の錠剤シートが一緒に排出されることを防止するために、最下の錠剤シート８は排出口１４を支障なく通過するが、下から二番目の錠剤シート８はハウジング１１の前板１１Ａまたは調整板１３に突き当たって排出口１４から派出されないように、ハウジング１１の前板１１Ａに対する調整板１３の取付位置を上げ下げ等することで調整板１３の高さを調整しておく。また、錠剤シート送り出し装置１９を処理対象の錠剤シート８に適合させるために、無端ベルト１５における可動係合部１６の配置状態を、錠剤シート８の複数の突出部８ｃの配置状態に、対応させておく。例えば、無端ベルト１５の長さ選定や可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの装着に際して、可動係合部１６Ａ及び１６Ｂのピッチを突出部８ｃのピッチと同じにしておく。錠剤シート８の後端寄り部分は、ロッド部材１８によって支承されるので、無端ベルト１５の張設長さは錠剤シート８の長手方向の長さより短くても良い。

　それから、錠剤シート排出装置１０の錠剤シート収納部１１Ａの内部が空の場合は手作業で錠剤シート８を開放上面や開放背面から補充する。そのとき、各々の錠剤シート８を横にしたうえで、多数の錠剤シート８の表裏を同じ向きに揃え、必ず突出部８ｃ（ポケット側）を下にして、それらをハウジング１１の内底をなす無端ベルト１５及びロッド部材１８の上に積み上げることで、ハウジング１１内に錠剤シート８を収納する。それから、収納した錠剤シート８の後端を指等で軽く押して、錠剤シート８の列を整える。こうして、整列収納された錠剤シート８は、最下の錠剤シート８の突出部８ｃが隣り合う２つの可動係合部１６の間に入ることにより位置が決まり、下から二番目以上の錠剤シート８が前端をハウジング１１の前板１１Ａか調整板１３に当たることにより位置が決まる。図１（ｃ）は、排出の準備が整った状態を示している。

　その後、錠剤シート８を一つずつ排出させるときには、図示しないコントローラに排出の指令や指示を与えて、錠剤シート排出装置１０に排出動作を行わせる。具体的には、コントローラが、排出センサ１７が反射光を不検出しているときに、図示しない電動モータを作動させる。そうすると、無端ベルト１５が循環し、それに随伴して可動係合部１６Ａ及び１６Ｂが巡回移動し、無端ベルト１５の上面で上向きになっていた可動係合部１６Ａ及び１６Ｂが後方から前方へ進行する。後方で上向きになった可動係合部１６Ａ及び１６Ｂも後続して後方から前方へ進行する。その際、それらの可動係合部１６Ａ及び１６Ｂがそれぞれ直前の突出部８ｃを押すので、最下の錠剤シート８が前進して、その前端が排出口１４から前方へ突き出る（図２（ａ）参照）。

　このように幾つもの突出部８ｃが個々に、しかも同時に可動係合部１６Ａ及び１６Ｂによって押されながら錠剤シート８が送り出されるので、錠剤シート８が腰のないものであっても、錠剤シート８は、不所望に折れ曲がることなく、不所望に縮むこともなく、本来の姿形のまま送り出される。また、錠剤シート８のシート部のカール性が大きくて、錠剤シート８が捻れたり曲がり易いものであっても、その変形量が排出口１４の高さや可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの高さを超えるほど大きくなければ、錠剤シート８の送り出しは、安定かつ的確に実行される。さらに、錠剤シート８に対する推力が、可動係合部１６Ａ及び１６Ｂと突出部８ｃとの多数の当接箇所に分散して無理なく伝達されるので、錠剤シート８を迅速に送ることができる。

　それから、無端ベルト１５の循環に随伴して無端ベルト１５の上面の可動係合部１６Ａ及び１６Ｂが次々に前進すると、最下の錠剤シート８が更に横送りされて排出口１４から外に出る（図２（ｂ）参照）。最下の錠剤シート８が排出口１４から前方へ排出されると、その排出中の最下錠剤シート８からの反射光が排出センサ１７によって検出される。この反射光を検出している状態から次に反射光を検出しない状態が発生したことをコントローラが判定すると、適宜なタイミングで電動モータの作動を停止させる。その結果、無端ベルト１５の循環動作も可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの巡回移動も止まる。それと並行して、最下の錠剤シート８の抜けたハウジング１１の収納空間内では、下から二番目だった錠剤シート８が無端ベルト１５やロッド部材１８の上に下降して、新たな最下の錠剤シートとなる。こうして、この錠剤シート排出装置１０にあっては、錠剤シート８が下から一枚ずつ排出される。

　なお図２（ｃ）に示すように、誤って錠剤シート８が突出部８ｃを上にした状態でハウジング１１に収納されてしまった場合について説明する。図２（ｃ）の状態では、錠剤シート８の閉塞シート８ａが可動係合部１６Ａ及び１６Ｂやロッド部材１８の上面に載ることから、錠剤シート８の突出部８ｃは上向きに突き出て、その突出部８ｃの頂部やそれに突出部８ｃを噛合させた下から二番目の錠剤シート８が調整板１３に当接する。その結果錠剤シート８は、前進を阻止される状態になる。そもそも可動係合部１６Ａ及び１６Ｂと錠剤シート８の閉塞シート８ａとが滑って、可動係合部１６Ａ及び１６Ｂからは錠剤シート８に推力がほとんど伝達されない。そのため閉塞シート８ａを下にした錠剤シート８は排出されることなくハウジング１１の中にとどまる。この状態では、排出センサ１７による反射光の検出が規定時間内に行えないため、コントローラによりタイムアウトエラーとされる。コントローラは、タイムアウトエラーと一緒に、点検のアラームを出力する。

　次に本発明の錠剤シート排出装置の第２乃至第４の実施の形態について、その具体的な構成を図３（ａ）～（ｃ）を参照して説明する。図３（ａ）～（ｃ）は、いずれも各実施の形態の要部の縦断面図である。

　図３（ａ）に示した錠剤シート排出装置３１は、錠剤シート送り出し装置１９Ａを構成する１台のベルトコンベア装置の無端ベルト１５に設ける可動係合部１６Ａ（図示しない可動係合部１６Ｂ）の数が異なる点で、図１乃至図３に示した第１の実施の形態と相違する。この実施の形態では、錠剤シート８がある程度、腰があることを前提として、無端ベルト１５に装着されている可動係合部１６Ａ（図示しない可動係合部１６Ｂ）が二個（最少は一個）に減らされている。この例では、どの瞬間でも無端ベルト１５の上側に位置するベルト部分には可動係合部１６Ａ（図示しない可動係合部１６Ｂ）が一個しか存在しない。そのため、無端ベルト１５の上側のベルト部分において停止している可動係合部１６Ａが上から下降した最下の錠剤シート８の２つの突出部８ｃの間に収まるか、または可動係合部１６Ａ最下の錠剤シート８の最も後方の（排出口１４とは反対側に位置する）突出部８ｃの後端と当接するように、無端ベルト１５に設ける可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの位置と停止位置を定めてある。このように可動係合部１６Ａ及び１６Ｂの停止位置を錠剤シート８の突出部８ｃの配置に適合させておくだけで、隣り合う２つの突出部８ｃのピッチ寸法が異なる複数種類の錠剤シート８に対して同じ錠剤シート排出装置３１を使用することができる。

　また、図３（ｂ）に示した錠剤シート排出装置３２は、錠剤シート送り出し装置１９Ａを２台のベルトコンベア装置により構成している。この錠剤シート排出装置３２でも、１台のベルトコンベア装置における無端ベルト１５Ａ及び１５Ｂには、二個の可動係合部１６Ａ（図示しない可動係合部１６Ｂ）を装着している。２台のベルトコンベア装置を連動させることで、錠剤シート８に送り出し方向の前後二カ所で推力を伝達できるので、腰のない錠剤シート８を送り出す場合には、１台のベルトコンベア装置を使用する場合よりも適している。

　さらに、図３（ｃ）に示した錠剤シート排出装置３３は、錠剤シート送り出し装置１９Ｃを３台のベルトコンベア装置により構成している。この錠剤シート排出装置３３でも、１台のベルトコンベア装置における無端ベルト１５Ａ乃至１５Ｃには、二個の可動係合部１６Ａ（図示しない可動係合部１６Ｂ）を装着している。

　図４（ａ）～（ｃ）には、錠剤シート８を送り出し方向にスライド可能に支持する支持構造の変形例が示されている。図４（ａ）～（ｃ）は、何れも錠剤シート８とそれを支承するロッド部材１８との斜視図である。

　図４（ａ）に示した支持構造では、図１及び図２に示した錠剤シート排出装置１０と同様に、突出部８９ｃの２本の列Ｃの間にロッド部材１８が一本だけ設けられている。図１及び図２の実施の形態と比べて、ロッド部材１８が長くなっていて、図１における無端ベルト１５の後方だけでなく無端ベルト１５の中間から前寄りまでの長い範囲で錠剤シート８を支持するようになっている。

　図４（ｂ）に示した支持構造では、平行な二本のロッド部材１８Ａ及び１８Ｂを、突出部８９ｃの２本の列Ｃの外側に沿って配置している。この支持構造では、突出部８ｃの２本の列Ｃを挟むことで、錠剤シート８の左右方向の位置決めを正確に行うものとなっている。

　図４（ｃ）に示した支持構造では、平行な三本のロッド部材１８Ａ乃至１８Ｃ日本のロッド部材１８Ａ及び１８Ｃは、突出部８ｃの２本の列Ｃの外側に沿って配置され、中央のロッド部材１８Ｂは、突出部８ｃの２本の列Ｃの間に配置されている。個の支持構造では、図４（ａ）及び（ｂ）に示した支持構造の機能を併せ持つばかりか高度化したものとなっている。

　上記実施例では、ハウジング１１の前板１１Ａが鉛直であったが、ハウジング１１の前板は多少なら前傾していても良い。また、無端ベルト１５の上面が水平であったが、無端ベルト１５の上面も多少なら前下がりに傾斜していても良い。ロッド部材１８は無端ベルト１５の上面と平行なので、無端ベルト１５の上面が前下がり傾斜している場合は、ロッド部材１８も前下がり傾斜したものとなる。

　上記実施の形態では、ロッド部材１８がハウジング１１の底板に取り付けられていたが、ハウジング１１の後背面の下部に背板を付設して、そこにロッド部材１８を植設しても良い。

　上記各実施の形態では、錠剤シート排出装置における錠剤シート送り出し装置にベルトコンベア装置を用いている。しかし錠剤シート送り出し装置に回転送り出し機構を備えた構造とすることができる。図５（ａ）は、錠剤シート送り出し装置１１９に回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃを備えた本発明の第５の実施の形態の外観斜視図、図５（ｂ）は内部透視図及び図５（ｃ）は縦断面図である。図５においては、図１及び図２に示した第１の実施の形態の構成部材と同様の構成部材には、図１及び図２に示した符号の数に１００を加えた数の符号を付して説明を省略する場合がある。

　第５の実施の形態の錠剤シート送り出し装置１１９は、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃと可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂと排出センサ１１７と図示しない電動モータと伝動部材とコントローラ（制御回路，制御装置）とを備えたたものである。錠剤シート送り出し装置１１９はハウジング１１１の底板１１１ｄの上に設けられている。錠剤シート送り出し装置１１９は、１以上の回転送り出し機構と前記１以上の回転送り出し機構を駆動する図示しない駆動部とを備えている。駆動部は、回転軸１５ａを、ギヤやベルトなどの適宜な伝動部材を介して電動モータの駆動によって、軸回転させるように構成されている。回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃは、錠剤シート８の送り出し方向及び複数の錠剤シート８の積み重ね方向と直交する方向に延びる回転軸１１５ａと回転軸１１５ａを中心にして回転する回転体１１５ｂを備えている。回転体１１５ｂは、中心部に回転軸１１５ａと同心で径が大き区且つ軸方向の長さが短い円板状の円板部１１５ｃと円板部１１５ｃの軸線方向両側に一体に設けられた２つの係合部構成部１１５ｄ及び１１５ｅを備えている。２つの係合部構成部１１５ｄ及び１１５ｅは、回転軸１１５ａを中心にして径方向に延び且つ径方向外側に向かって厚みが薄くなる形状を有している。そして係合部構成部１１５ｄの長手方向の両端部が２つの可動係合部１１６Ａを構成し、係合部構成部１１５ｅの長手方向の両端部が２つの可動係合部１１６Ｂを構成している。

　可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂは、回転体１１５ｂが所定の角度回転する毎に２つの突出部８ｃが並んで構成される２つの行Ｒ（図１４参照）の間に入り、その後回転体１１５ｂがさらに所定の角度回転する間送り出し方向に位置する突出部８ｃと係合して最下の錠剤シート８を排出口１１４に向かって移動させる力を突出部８ｃに与えるように回転体１１５ｂに配置されている。

　この回転送り出し機構１１５では、回転軸１５ａと円板部１５ｃと２つの係合部構成部１１５ｄ及び１１５ｅが一体化しているが、回転軸１５ａの回転に伴って可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが回転するのであれば、これらの部材は別個に形成されていてもよい。

　可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂは、突出部８ｃを下にした錠剤シート８をその上に載せると、可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが回転中において最上位置に到達したときまたはその近傍位置に到達したときに、それぞれ２本の突出部の列Ｃ（図１４参照）中の隣り合う２つの突出部２ｃ間に形成される間隙に入り得るように形成が定められていればよい。また、円板部１５ｃは、錠剤シート８の突出部の行Ｒ（図１４参照）を構成する２つの突出部２ｃの間に形成されて突出部の列Ｃ（図１４参照）に沿って位置する間隙に入る寸法を有している。さらに、本実施の形態では、３つの回転送り出し機構１１５Ａ及び１１５Ｃのうち、排出口１１４に近い位置にある回転送り出し機構１１５Ａの半部は、排出口１１４の下に位置して外部に露出している。残りの２つの回転送り出し機構１１５Ｂ及び１１５Ｃは、ベース部１１１Ｂ内の排出口１１４寄りの領域に配置されて、最下の錠剤シート８を支持する。回転送り出し機構１１５Ｃよりも後方（排出口１１４とは反対側の方向）位置では、ロッド部材１１８によって最下の錠剤シート８が支持されている。なお回転送り出し機構の数を増やせば、ロッド部材１１８を設けずに、回転送り出し機構だけで最下の錠剤シート８を支持することができるのは勿論である。

　第５の実施の形態の錠剤シート排出装置１１０について、その動作を、図６を用いて説明する。図６（ａ）は、多数の錠剤シート８を収納して排出態勢を整えた錠剤シート排出装置１１０の縦断面図であり、図６（ｂ）及び（ｃ）が、錠剤シート８を排出しているときの錠剤シート排出装置１１０の要部の縦断面図である。また、図７は、誤って上下方向を反転して収納された錠剤シート８が最下に来たときの状態を示す要部の縦断面図である。

　錠剤シート送り出し装置１１９を処理対象の錠剤シート８に適合させるために、本実施の形態では、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃのうちの１つの回転送り出し機構１１５Ｃの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが最上位置に来て止まっているときに、残りの回転送り出し機構１１５Ａ及び１１５Ｂについては可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが複数の突出部８ｃのピッチに対応した位相角だけずれた回転位置で止まるように、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃのそれぞれの回転体１１５ｂの回転角度位置を調整しておく。そしてこの調整に対応して、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃを駆動する図示しない駆動部を制御する図示しないコントローラのパラメータも設定しておく。なお図示していないが、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃの駆動源は、ベース部１１Ｂ内に配置したモータと、このモータの回転軸と回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃの回転軸１１５ａとを連結する回転ベルト等の力伝達部材とから構成することができる。なお回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃに対して、個別にステッピングモータ等の個別駆動源を設けてもよいのは勿論である。

　図６（ａ）の例では、錠剤シート収納部１１１Ａ内に整列収納された錠剤シート８は、最下の錠剤シート８の列方向に隣り合う２つの突出部８ｃの間に回転送り出し機構１１５５Ｃの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが入って錠剤シート８と部分的に接触し、回転送り出し機構１１５Ａ及び１１５Ｂのそれぞれの回転体１１５ｂの円板部１１５ｃが、行方向に並ぶ２つの突出部８ｃの間に位置して錠剤シート８と部分的に接触し、またロッド部材１１８が、２本の突出部の列Ｃ，Ｃ（図１４参照）の間に位置して錠剤シート８の一部と部分的に接触して、錠剤シート８が支持されている。

　その後、錠剤シート８を一つずつ排出させるときには、図示しないコントローラに排出の指令や指示を与えて、錠剤シート排出装置１１０に排出動作を行わせる。具体的には、コントローラが、排出センサ１１７の反射光の不検出を確認し、図示しない電動モータを作動させる。そうすると、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃがそれぞれ回転軸１１５ｂを回転し、それに随伴して可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが回転し、最上位置で止まっていた回転送り出し機構１１５Ｃの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが回転を進めて（図６（ａ）参照）、回転送り出し機構１１５Ｃの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが突出部８ｃに推力を与えて、錠剤シート８は排出口１１４に向かって移動する。このとき回転送り出し機構１１５Ｂの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが回転を進め、その可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが最上位置へ向かって上昇する（図６（ｂ）参照）。回転送り出し機構１１５Ｂの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂが最上位置を通り、さらに所定の角度回転する間、それらの可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂがそれぞれ排出口１１４側に位置する突出部８ｃを押すので、最下の錠剤シート８はさらに前進して、その前端が排出口１１４から前方へ突き出る。

　このように幾つもの突出部８ｃが個々に而も同時に或いは時間をずらして次々に可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂによって押されて錠剤シート８が送り出される。その結果、錠剤シート８が腰のないものであっても、錠剤シート８は、不所望に折れ曲がることなく、不所望に縮むこともなく、本来の姿形のまま横送りされる。錠剤シート８に対する推力が可動部材１１６Ａ及び１１６Ｂと突出部８ｃとの複数の当接箇所に分散して無理なく伝達されるので、錠剤シート８を迅速に送ることができる。

　それから、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃの回転に随伴して可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂがハウジング１１１のベース部１１１Ｂ内の空間で回転を続けると、最下の錠剤シート８が更に送り出されて排出口１１４から外に出る（図６（ｃ）参照）。そして、最下の錠剤シート８が排出口１１４から完全に排出されると、最下の錠剤シート８からの反射光が排出センサ１１７によって検出されなくなって、これに応じて適宜なタイミングで電動モータの作動が停止する。その結果、回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃの回転動作は停止する。それと並行して、最下の錠剤シート８の抜けたハウジング１１１の常時シート収納部１１１Ａ内では、下から二番目だった錠剤シート８が下降して新たな最下の錠剤シートとなる。こうして、この錠剤シート排出装置１１０にあっては、錠剤シート８が下から一枚ずつ排出される。

　なお図７に示すように、本実施の形態においても、誤って錠剤シート８が突出部８ｃを上にした状態でハウジング収納部１１１Ａに収納されてしまった場合には、それが最下の錠剤シート８になったときには、錠剤シート８の平坦な閉塞シート８ａが回転送り出し機構１１５Ａ乃至１１５Ｃの上及びロッド部材１１８の上面に載ることになる。この場合には、そもそも可動係合部１１６Ａ及び１１６Ｂと錠剤シート８の閉塞シート８ａとが滑って推力がほとんど伝達されないので、閉塞シート８ａを下にした錠剤シート８は排出されることなくハウジング収納部１１１Ａの中にとどまる。そして、排出センサ１１７での反射光検出が規定時間内に行えないため、コントローラによりタイムアウトエラーとされる。

　図８は、本発明の第６の実施の形態の錠剤シート排出装置２１０の縦断面図である。図８においては、図６に示した第５の実施の形態の構成部材と同様の構成部材には、図６に示した符号の数に１００を加えた数の符号を付して説明を省略する場合がある。この錠剤シート排出装置２１０が上述した第５の実施の形態の錠剤シート排出装置１１０と相違するのは、排出口１１４より前の所に排出用の一対の回転ローラ２２１ａ，２２１ｂが設けられており、ハウジング１１１のベース部１１１Ｂ内には２台の回転送り出し機構２１５Ａ及び２１５Ｂが設けられている点である。排出用の一対の回転ローラ２２１ａ，２２１ｂは、排出口２１４から出た錠剤シート８の複数の突出部８ｃ以外の部分と接触して錠剤シート８を排出口２１４から引き出す力を錠剤シート８に与える錠剤シート引き出し装置２２１を構成するものである。

　軸線を水平にした上側の回転ローラ２２１ａと下側の回転ローラ２２１ｂとは、何れも軸２２１ｃ及び２２１ｄが図示しない電動モータによって駆動されて回転することにより、排出口１１４から出てきた錠剤シート８を上下から挟んで前送りする。上側の回転ローラ２２１ａは錠剤シート８の閉塞シート８ａに接触して摩擦力で錠剤シート８を送るので軸線方向の長さは排出口１１４の横幅いっぱいまで長くなっていても良いが、下側の回転ローラ１９ｂは、突出部８ｃを有する錠剤収納シート８ｂに接触して摩擦力で錠剤シート８を送るので、突出部８ｃとの干渉を避けるためにローラの軸線方向の長さが短くなっている。下側の回転ローラ１９ｂは、回転軸２２１ｄの軸線方向の中央に一個か又は軸線方向に間隔を開けて複数個設けることができる。

　このような錠剤シート排出装置２１０にあっても、錠剤シート排出装置１１０と同じく、可動係合部２１６Ａ（図示しない可動係合部２１６Ｂ）が錠剤シート８の前送りの推進力の主役であり、可動係合部２１６Ａ（図示しない可動係合部２１６Ｂ）が回転中に突出部８ｃに当接して前進することで錠剤シート８が前送りされる。本実施の形態では、第５の実施の形態よりも回転送り出し機構が１台少ない。しかし本実施の形態では、錠剤シート引き出し装置２０を排出口２１４の前に設けて、錠剤シート８のうち一枚だけ抜けて積み上げ荷重から解放された部分に対して、回転ローラ２２１ａ，２２１ｂが錠剤シート８の前送りを補助する。そのため、錠剤シート排出装置２１０の不所望な大形化を避けることができるとともに、腰のない錠剤シート８でも安定して確実にカセット外へ送り出すことができる。

　しかも、回転する回転ローラ２２１ａ，２２１ｂが錠剤シート８を上下から挟みつつ、錠剤シート８を引き出すので、摩擦送りとはいえ前送りが能動的に行われる。その上、錠剤シート８の前端が多少なら曲がったり傾いていても確実に引き出すことができる。また、排出中も回転ローラ２２１ａ，２２１ｂで錠剤シートを挟みつけて前送りするので、錠剤シートの曲がりや捻れといった変形を抑制することができる。そのため、錠剤シート８の排出が安定かつ円滑に行われるとともに、錠剤シート８の不所望な変形が全部とはいかないまでも多少なら矯正されることにもなる。

　図９（ａ）～（ｄ）には、回転送り出し機構４１５乃至６１５の変形例の斜視図をそれぞれ示している。図９（ａ）～（ｄ）には、図５に示した回転送り出し機構１１５と同様の部分には、図５に付した符号の数に３００，４００、５００の数を加えた符号を付してある。図９（ａ）に示した回転送り出し機構４１５では、可動係合部４１６Ａ及び４１６Ｂを備えた係合部構成部４１５ｄ及び４１５ｅを残して円板部１１５ｃを省いている。図９（ｂ）に示した回転送り出し機構５１５は、円板部５１５ｃを残して、可動係合部５１６を棒状にして円板部５１５ｃの端面に植設したものである。図９（ｃ）に示した回転送り出し機構５１５は可動係合部５１６を二本から三本に増やしたものである。図９（ｄ）に示した回転送り出し機構６１５は、円板部１１５ｃを省いて、係合部構成部６１５ｄ乃至６１５ｆを二組から三組に増やしたものである。図９（ｄ）の回転送り出し機構６１５は、突出部８ｃが三列になって形成された錠剤シート８に対して使用される。

　図１０は、本発明の第７の実施の形態の錠剤シート排出装置３１０の外観斜視図、内部透視図及び縦断面図を示している。図１０においては、図５及び図７に示した第５及び第６の実施の形態の構成部材と同様の構成部材には、図５及び図７に示した符号の数に１００を加えた数の符号を付して説明を省略する場合がある。本実施の形態では、錠剤シート送り出し装置３１９が１台の回転送り出し機構３１５と１台の錠剤シート引き出し装置３２１を備えている。図７の実施の形態と比べて、本実施の形態では、錠剤シート引き出し装置３２１が錠剤シート８の引き出しを開始したときには、回転送り出し機構３１５の駆動部が可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂを錠剤シート８の引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成されている点で、相違する。

　そこで図示しないコントローラは、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂの回転速度や回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂの回転速度を制御することで最下の錠剤シート８の前方への送り出し制御を遂行する。その際、回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂには排出動作の開始から終了まで定速回転を継続させる一方、係合部構成部１５ｄ及び１５ｅの両端のうち後方上側に来ている一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂには収納空間の内底で横送り初動時の加速動作を行わせ、係合部構成部１５ｄ及び１５ｅに設けられた他方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂにはベース部３１１Ｂ内を迂回する次回準備動作を行わせるようになっている。

　すなわち、送り出し初動時には、錠剤シート８突出部８ｃを下に向けていれば、一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが錠剤シート８の突出部８ｃに当接して前進することにより、錠剤シート８が加速される。この一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂ及び錠剤シート８の加速は、摩擦力軽減の観点からは急加速が良く、衝撃緩和の観点からは緩加速が良く、大抵は中間の適度な加速がなされる。錠剤シート８の前端が回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂに達するより前に且つ一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが錠剤シート８の突出部８ｃから離れる前に、加速制御は終えて、回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂでの定速送りに対応した定速送りに速度制御が移行し、一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが錠剤シート８の突出部８ｃから離れるまで、その定速送りが維持されるようになっている。

　その後、一方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂは、ハウジング３１１のベース部３１１Ｂ内を回転しながら下降することになる。その後は、他方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂの動作制御が主になる。錠剤シート８の送り出し完遂前に、他方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂは、移動中の錠剤シート８の突出部８ｃのうち最後尾のものが、通過するのを待ち、通過後に直ちに回転を再開して、錠剤シート８の下に他方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが位置するようになる。なお、そのときの通過待ち時間は、時間そのものを設定することができる他、突出部８ｃの配置情報を含む錠剤シート８の形状情報を上位コントローラ等から取得できたときにはその情報と送り出し速度などに基づいて算出し自動設定するようになっている。

　図１１（ａ）は、多数の錠剤シート８を収納して排出態勢を整えた錠剤シート排出装置３１０の要部の縦断面図であり、図１１（ｂ）及び（ｃ），図１２（ａ）～（ｃ）は、最下の錠剤シート８を排出している時の錠剤シート排出装置３１０の要部の縦断面図である。錠剤シート８を一つずつ排出させるときには、図示しないコントローラに排出の指令や指示を与えて、錠剤シート排出装置３１０に排出動作を行わせる。具体的には、コントローラが、排出センサ３１７の反射光不検出を確認しつつ、図示しない電動モータを作動させる。そうすると、回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂが一定速度で回転し続けて定速送りの態勢をとる一方、回転送り出し機構３１５が回転するとともにその回転速度を上げるので、それに随伴して可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂ加速しながら回転し、最上位置の少し後ろで止まっていた可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが最上位置に向けて前進する（図１１（ａ）参照）。その際、その可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが直前の突出部８ｃを押すので、最下の錠剤シート８が加速しながら前進する。

　そして（図１１（ｂ）参照）、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが最上位置を過ぎて更に前進すると、最下の錠剤シート８の前端が排出口１４から前方へ突き出て回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂに達する。それまでには、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂ及び錠剤シート８の加速が終わっていて、最下の錠剤シート８が可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂ及び回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂによって、同じ速度で前方へ定速送りされる。その結果、最下の錠剤シート８に無理な力が作用したり不所望な変形が生じたりすることなく最下の錠剤シート８が円滑に前方へ送り出される。それから（図１１（ｃ）参照）、突出部８ｃを押していた可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが斜め下方へ前進して突出部８ｃから離れると、その後、最下の錠剤シート８の横送りは、専ら回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂによって行われる。

　しかも図１２（ａ）に示すように、最下の錠剤シート８を回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂが引き出している間に、初動時から下方に来ていた他方の可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが、後方から上昇して最下の錠剤シート８の少し下まで来るが、突出部８ｃと干渉しない位置に止まって、最下の錠剤シート８の突出部８ｃが最後尾のものまで総て上方を通過するのを待っている。そして図１２（ｂ）に示すように、最後尾の突出部８ｃが可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂの上を通過すると、直ちに、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが、最後尾の突出部８ｃを後追い又は後押しするかのような状態で速やかに斜め上方へ前進し、最上位置かその少し後方で可動係合部は止まる。こうして、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが新たな最下の錠剤シート８の下に位置するようになる。

　それから、最下の錠剤シート８を回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂが更に引き出すと、最下の錠剤シート８が後端まで排出口３１４から外に出る（図１２（ｃ）参照）。最下の錠剤シート８が排出口３１４から前方へ排出されると、その排出中の最下の錠剤シート８からの反射光が排出センサ３１７によって検出され、これに応じて適宜なタイミングで電動モータの作動が停止するので、回転送り出し機構３１５の軸回転動作も可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂの回転運動も止まる。回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂの回転も止まる。それと並行して、最下の錠剤シート８の抜けたハウジング１１内では、下から二番目だった錠剤シート８が回転送り出し機構３１５や条材１８の上に下降して来て新たな最下の錠剤シートとなる。こうして、この錠剤シート排出装置３１０にあっては、錠剤シート８が下から一枚ずつ排出される。

　このように、本実施の形態の錠剤シート排出装置３１０にあっては、摩擦負荷や慣性負荷の大きい横送り初動時には、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが錠剤シート８の前送りの推進力の主役であり、可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂが回転中には突出部８ｃに当接して前進することで錠剤シート８が前送りされる。そして初動後、摩擦負荷や慣性負荷が小さくなってからは、回転ローラ３２１ａ及び３２１ｂが錠剤シート８の引き出しを定速で行う。そのため、回転送り出し機構３１５や可動係合部３１６Ａ及び３１６Ｂの個数が少なくても安定かつ的確な逐次排出がなされるとともに、腰のない錠剤シート８でも安定して確実にカセット外へ送り出すことができる。

　図１３は、本発明の第８の実施の形態の錠剤シート排出装置７１０の外観斜視図、内部透視図及び縦断面図を示している。図１３においては、図１０に示した第７の実施の形態の構成部材と同様の構成部材には、図１０に示した符号の数に４００を加えた数の符号を付して説明を省略する場合がある。図１３（ａ）は錠剤シート排出装置７１０の外観斜視図、（ｂ）が内部透視図、（ｃ）が縦断面図である。

　この錠剤シート排出装置７１０が上述した錠剤シート排出装置３１０と相違するのは、錠剤シート送り出し装置３１９が回転送り出し機構３１５から無端ベルト７１５を備えたベルトコンベア装置７２０に変更された点と、可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂが無端ベルト７１５に固定された直方体になっている点である。

　無端ベルト７１５は、ローラ７２０ａ及び７２０ｂで支持されて前後に延びていて、電動モータの駆動される。可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂは、錠剤シート８の突出部８ｃ，８ｃの間に入りうる作用部材であって、無端ベルト７１５の外周面に突設されている。可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂは、ロッド部材１８との干渉を避けるために左右に分かれており、そのような組が周方向に二組設けられている。周方向の組数が一つか二つなら、無端ベルト７１５の上側に同時に来る可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂが一組以下にとどまるので、上述の制御が活用される。可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂの高さは突出部８ｃより低く、最下の錠剤シート８が突出部８ｃを下にして無端ベルト７１５上に載っていれば、可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂの前送り時には可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂが突出部８ｃに当接するようになっている。

　本実施の形態では、無端ベルト７１５を循環動作させることで、可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂを巡回移動させ、それに突出部８ｃを押させて最下の錠剤シート８を送り出す。そして、繰り返しとなる詳細な説明は割愛するが、上述の錠剤シート排出装置３１０と同様にして使用され、可動係合部７１６Ａ及び７１６Ｂの移動軌跡が円形か長円形かの相違は別として、ほぼ同様に動作する。

　本発明の錠剤シート排出装置は、ＰＴＰ包装した薬剤の他、それと等価な薬剤たとえばシート状包装やカード状包装の薬剤などにも、突出部があれば、適用することができる。

　また、本発明の錠剤シート排出装置は、単体で使用できる他、薬剤払出装置の一部や全部に組み込んでも良い（例えば特許文献３～６参照）。

　本発明の錠剤シート排出装置にあっては、１以上の可動係合部が複数の突出部の少なくとも一部に係合して錠剤シートを排出口から送り出すため、シートがカールしやすい錠剤シートでも迅速に順次排出できる。特に、本発明では、可動係合部が係合する係合部位が、薄い平板状で変形しやすい閉塞シートや端部でなく、錠剤シートの端部より内寄りの位置に形成されて、小さな立体形状で変形しにくい突出部である。そのため、腰の強くない錠剤シートであっても、確実に排出できる。また、平坦な閉塞シート側を下にした錠剤シートは排出しないので、誤収納に起因する不所望な二枚出しも防止できる。したがって、本発明によれば、錠剤シートの材質や剛性さらには端部状態の影響を受け難くて適用範囲が広く高速排出も可能な錠剤シート排出装置を実現することができる。

　８　錠剤シート
　８ａ　錠剤収納シート
　８ｂ　閉塞シート
　８ｃ　突出部（ポケット）
　８ｄ　後端（端部）
　１０　錠剤シート排出装置
　１１　ハウジング
　１１Ａ　錠剤シート収納部
　１２　ラベル
　１３　調整板
　１４　排出口
　１５　無端ベルト
　１６　可動係合部
　１７　排出センサ
　１８　ロッド部材
　３１，３２，３３　錠剤シート排出装置

Claims

　複数の錠剤をそれぞれ収容する複数の凹部が行と列をなすようにマトリックス状に形成されて一方の面に前記複数の凹部に対応した行と列をなす複数の突出部が形成された錠剤収納シートと前記錠剤収納シートの他方の面に接合されて前記複数の凹部を塞ぐ閉塞シートとから複数の錠剤シートが、前記錠剤収納シートが下に位置するように積み重ねられた状態で収納される錠剤シート収納部と、
　前記錠剤シート収納部の下に配置されて前記錠剤シート収納部に収納されている前記複数の錠剤シートのうち、最も下に位置する一枚の前記錠剤シートを排出する排出口を備えたベース部と、
　前記ベース部内に配置され、最も下に位置する前記一枚の錠剤シートの前記複数の突出部の少なくとも一部の突出部と係合する１以上の可動係合部を備えて、前記１以上の可動係合部を動かすことにより前記一枚の錠剤シートを前記排出口に向かって移動させる力を前記１以上の可動係合部から前記少なくとも一部の突出部に与える錠剤シート送り出し装置と、
　前記排出口の外側に設けられて、前記排出口から出た前記錠剤シートの前記複数の突出部以外の部分と接触して前記錠剤シートを前記排出口から引き出す力を前記錠剤シートに与える錠剤シート引き出し装置とを備え、
　前記錠剤シート送り出し装置の前記駆動部は、前記錠剤シート引き出し装置が前記錠剤シートの引き出し動作を開始したときには、前記可動係合部を前記錠剤シートの引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成されている錠剤シート排出装置。
　複数の錠剤をそれぞれ収容する複数の凹部が行と列をなすようにマトリックス状に形成されて一方の面に前記複数の凹部に対応した行と列をなす複数の突出部が形成された錠剤収納シートと前記錠剤収納シートの他方の面に接合されて前記複数の凹部を塞ぐ閉塞シートとから複数の錠剤シートが、前記錠剤収納シートが下に位置するように積み重ねられた状態で収納される錠剤シート収納部と、
　前記錠剤シート収納部の下に配置されて前記錠剤シート収納部に収納されている前記複数の錠剤シートのうち、最も下に位置する一枚の前記錠剤シートを排出する排出口を備えたベース部と、
　前記ベース部内に配置され、最も下に位置する前記一枚の錠剤シートの前記複数の突出部の少なくとも一部の突出部と係合する１以上の可動係合部を備えて、前記１以上の可動係合部を動かすことにより前記一枚の錠剤シートを前記排出口に向かって移動させる力を前記１以上の可動係合部から前記少なくとも一部の突出部に与える錠剤シート送り出し装置とを備えてなる錠剤シート排出装置。
　前記錠剤シート送り出し装置は、表面に所定の間隔をあけて複数の前記可動係合部が配置された無端ベルトと、前記複数の可動係合部が前記排出口に向かって移動するように前記無端ベルトを回転させる駆動部とを備えた１台のベルトコンベア装置からなる請求項２に記載の錠剤シート排出装置。
　前記錠剤シート送り出し装置は、表面に所定の間隔をあけて複数の前記可動係合部が配置された無端ベルトと、前記複数の可動係合部が前記排出口に向かって移動するように前記無端ベルトを回転させる駆動部とを備えた複数台のベルトコンベア装置からなる請求項２に記載の錠剤シート排出装置。
　前記錠剤シートの送り出し方向と前記列が延びる方向とが一致し、前記所定の間隔が前記行の間隔に対応するように定められている請求項３または４に記載の錠剤シート排出装置。
　前記錠剤シート送り出し装置は、前記錠剤シートの送り出し方向及び前記複数の錠剤シートの積み重ね方向と直交する方向に延びる回転軸を中心にして回転する１以上の回転体と、前記１以上の回転体に設けられた前記１以上の可動係合部とを備えた１以上の回転送り出し機構と前記１以上の回転送り出し機構を駆動する駆動部とを備え、
　前記１以上の可動係合部は、前記回転体が所定の角度回転する毎に前記複数の突出部の行間に入り、その後前記回転体がさらに所定の角度回転する間前記送り出し方向に位置する前記突出部と係合して前記一枚の錠剤シートを前記排出口に向かって移動させる前記力を前記突出部に与えるように前記回転体に配置されている請求項２に記載の錠剤シート排出装置。
　前記錠剤シート送り出し装置は、複数の前記回転送り出し機構を備え、
　前記複数の回転送り出し機構は、予め定めた順番に前記１以上の可動係合部が前記突出部と係合する状態になるように配置されている請求項６に記載の錠剤シート排出装置。
　前記回転送り出し機構は、前記回転軸の回転方向に所定の角度間隔を開けて配置された複数の前記可動係合部を備えており、
　前記所定の角度間隔は、前記複数の可動係合部が順番に前記複数の突出部の前記行間に入るように定められている請求項６に記載の錠剤シート排出装置。
　前記排出口から出た前記錠剤シートの前記複数の突出部以外の部分と接触して前記錠剤シートを前記排出口から引き出す力を前記錠剤シートに与える錠剤シート引き出し装置が、前記排出口の外側に設けられており、
　前記錠剤シート送り出し装置の前記駆動部は、前記錠剤シート引き出し装置が前記錠剤シートの引き出し動作を開始したときには、前記可動係合部を前記錠剤シートの引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成されている請求項２乃至８のいずれか１項に記載の錠剤シート排出装置。
　前記排出口から出た前記錠剤シートの前記複数の突出部以外の部分と接触して前記錠剤シートを前記排出口から引き出す力を前記錠剤シートに与える錠剤シート引き出し装置が、前記排出口の外側に設けられており、
　前記錠剤シート引き出し装置は、前記排出口から出た前記錠剤シートの前記複数の突出部の隣り合う２つの列間に位置する前記複数の突出部以外の部分を上下方向から挟む一対の回転ローラと、該一対の回転ローラの少なくとも一方を回転駆動するローラ駆動部とから構成され、
　前記錠剤シート送り出し装置の前記駆動部は、前記錠剤シート引き出し装置が前記錠剤シートの引き出しを開始したときには、前記可動係合部を前記錠剤シートの引き出しの障害にならない位置で停止させるように構成されている請求項２乃至８のいずれか１項に記載の錠剤シート排出装置。
　前記ベース部内には、前記錠剤シート送り出し装置の動作に支障を与えないようにして、前記最も下に位置する一枚の前記錠剤シートの前記複数の突出部以外の部分と接触して該錠剤シートを前記送り出し方向にスライド可能に支持する支持構造が配置されている請求項１または２に記載の錠剤シート排出装置。
　前記ベース部内には、前記錠剤シート送り出し装置の動作に支障を与えないようにして、前記最も下に位置する一枚の前記錠剤シートの前記複数の突出部以外の部分と接触して該錠剤シートを前記送り出し方向にスライド可能に支持する支持構造が配置されており、
　前記支持構造は、前記複数の突出部の２つの前記列の間または１つの前記列に沿って配置された細長いロッド部材からなる請求項１または２に記載の錠剤シート排出装置。