WO2012029971A1 - フィブリン糊と繊維成形体との複合体 - Google Patents
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Abstract
繊維成形体とフィブリン糊とからなる複合体であって、繊維成形体がリン脂質を含む生分解性ポリマーよりなる繊維であって、繊維表面の平滑度が1.07以下でありそしてリン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1から10重量%含有する繊維よりなる。 本発明は、強度が高くて組織接着性に優れたフィブリン糊と生分解性繊維成形体からなる複合体を提供する。
Description
本発明は、フィブリン糊と繊維成形体との複合体に関する。具体的には、リン脂質を0.1~10%含有し、繊維表面が平滑な繊維からなる繊維成形体と、フィブリン糊との複合体に関する。本発明の複合体は、医療用品、とりわけ組織表面や創傷部位の保護材、被覆材、シール材として、人工硬膜、癒着防止材、止血材などとして好ましく用いられる。
生分解性のシート材料は、医療材料として近年様々な検討が行われている。既に製品化されているものとしては、縫合部の補強及び空気漏れの防止を目的としたポリグリコール酸よりなる不織布であるネオベール(登録商標)や、乳酸とグリコール酸の共重合体よりなる歯周疾患に使用される組織誘導再生膜であるジーシーメンブレン(登録商標)などがある。これらはいずれも組織再生の過程で分解される性質を持ち、生体組織の再生において、損傷部位の保護やシール材として作用している。この様に生分解性の材料は、その特徴を活かし、様々な方面で応用が検討されている。
特開2002−204826号公報には、生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を骨格とし、これにフィブリン糊を被覆した人工代用生体膜が開示されている。しかしながら、水圧に対する耐性試験に基づく膜自体の強度に関するデータは示されているものの、生体材料に対する接着力や生体組織欠損部の閉鎖力については何ら記載されていない。また、実施例に記載の硬膜欠損部の閉鎖試験において、本代用生体膜による閉鎖時にナイロン縫合糸による縫合が行われていることから、本生体膜の組織接着性は十分ではないことが予想される。
縫合を必要としない方法として、WO2006/025150号パンフレットには、ポリグリコール酸繊維成形体とフィブリン糊よりなる腸管欠損部閉塞用デバイスが記載されている。しかし血管など圧力のかかる組織に対する強度としては十分ではない。
上述したような人工生体膜等の基材となる繊維を作製する方法として、エレクトロスピニング法(静電紡糸法、電界紡糸法やエレクトロスプレー法ともよばれる)が知られている。このエレクトロスピニング法で作製されるナノファイバーは、従来の成形方法よりも繊維径の細い糸を簡便に作製できるメリットがあり、より表面積の広い繊維成形体を得るための簡便な方法として注目されている。
このようなナノファイバーを用いた例として、WO2006/022430号パンフレットには、リン脂質を含有したナノファイバーに関する記載がある。リン脂質を加えることで繊維表面が凹凸形状を有することにより細胞接着性が向上することを目的としている。しかしながら、フィブリン糊との複合体における組織表面との接着性については何ら検討も示唆もされていない。
US2004/0013873号明細書には、繊維表面が多孔性(凹凸を有する)のナノファイバーに関する記載があり、その効果として、マトリクスと複合体として用いた際に複合体の強度が上昇するという記載がある。しかしながら、繊維表面の平滑性とフィブリン糊との複合体の強度については示唆も検討もされていない。
特開2002−204826号公報には、生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を骨格とし、これにフィブリン糊を被覆した人工代用生体膜が開示されている。しかしながら、水圧に対する耐性試験に基づく膜自体の強度に関するデータは示されているものの、生体材料に対する接着力や生体組織欠損部の閉鎖力については何ら記載されていない。また、実施例に記載の硬膜欠損部の閉鎖試験において、本代用生体膜による閉鎖時にナイロン縫合糸による縫合が行われていることから、本生体膜の組織接着性は十分ではないことが予想される。
縫合を必要としない方法として、WO2006/025150号パンフレットには、ポリグリコール酸繊維成形体とフィブリン糊よりなる腸管欠損部閉塞用デバイスが記載されている。しかし血管など圧力のかかる組織に対する強度としては十分ではない。
上述したような人工生体膜等の基材となる繊維を作製する方法として、エレクトロスピニング法(静電紡糸法、電界紡糸法やエレクトロスプレー法ともよばれる)が知られている。このエレクトロスピニング法で作製されるナノファイバーは、従来の成形方法よりも繊維径の細い糸を簡便に作製できるメリットがあり、より表面積の広い繊維成形体を得るための簡便な方法として注目されている。
このようなナノファイバーを用いた例として、WO2006/022430号パンフレットには、リン脂質を含有したナノファイバーに関する記載がある。リン脂質を加えることで繊維表面が凹凸形状を有することにより細胞接着性が向上することを目的としている。しかしながら、フィブリン糊との複合体における組織表面との接着性については何ら検討も示唆もされていない。
US2004/0013873号明細書には、繊維表面が多孔性(凹凸を有する)のナノファイバーに関する記載があり、その効果として、マトリクスと複合体として用いた際に複合体の強度が上昇するという記載がある。しかしながら、繊維表面の平滑性とフィブリン糊との複合体の強度については示唆も検討もされていない。
本発明が解決しようとする課題は、フィブリン糊との親和性に優れた生分解性繊維の繊維成形体とフィブリン糊とからなり、強度が高くて組織接着性に優れた複合体を提供することである。
発明者らは、組織表面との接着性に優れた生分解性繊維の繊維成形体とフィブリン糊との複合体について鋭意検討した。その結果、リン脂質を含有し、表面が平滑である繊維を有する生分解性繊維の成形体とフィブリン糊との複合体が組織接着性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
これまで、リン脂質を含有した構造体の表面に凹凸がある場合、US2004/0013873号明細書に記載されているとおり複合体の強度に優れるものと予想されたが、驚くべきことに、繊維表面が平滑な繊維成形体が複合体の強度に優れていることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち本発明は、繊維成形体とフィブリン糊からなる複合体であって、繊維成形体がリン脂質を含む生分解性ポリマーよりなる繊維であって、繊維表面の平滑度が1.07以下でありそしてリン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1から10重量%で含有する繊維よりなることを特徴とする複合体である。
発明者らは、組織表面との接着性に優れた生分解性繊維の繊維成形体とフィブリン糊との複合体について鋭意検討した。その結果、リン脂質を含有し、表面が平滑である繊維を有する生分解性繊維の成形体とフィブリン糊との複合体が組織接着性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
これまで、リン脂質を含有した構造体の表面に凹凸がある場合、US2004/0013873号明細書に記載されているとおり複合体の強度に優れるものと予想されたが、驚くべきことに、繊維表面が平滑な繊維成形体が複合体の強度に優れていることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち本発明は、繊維成形体とフィブリン糊からなる複合体であって、繊維成形体がリン脂質を含む生分解性ポリマーよりなる繊維であって、繊維表面の平滑度が1.07以下でありそしてリン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1から10重量%で含有する繊維よりなることを特徴とする複合体である。
図1は、本発明の繊維複合体の破断強度を測定する装置の概念図である。
図2は、実施例9で得られた人工生体膜をフィブリンゲル層が脳実質側になるようにビーグル大脳に被せ、1ヶ月後の剖検で得られた組織のHE染色標本の写真である。
図2は、実施例9で得られた人工生体膜をフィブリンゲル層が脳実質側になるようにビーグル大脳に被せ、1ヶ月後の剖検で得られた組織のHE染色標本の写真である。
本発明の複合体は、繊維成型体とフィブリン糊より形成される。本発明で用いられる繊維成形体は、リン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1~10重量%で含有する。リン脂質の含有量が0.1重量%より少ないと、フィブリン糊との親和性に効果を示さず、10重量%よりも多いと、繊維成形体自体の耐久性が低下し、好ましくない。より好ましい含有量は0.2~5重量%であり、さらに好ましくは、0.3~1重量%である。
本発明で用いられるリン脂質は、動物組織から抽出したものでも、人工的に合成して製造したものでもよい。かかるリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールなどが挙げられる。これらは1種類を選択してもよいし、2種類以上の混合物として用いてもよい。これらのうち、ホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンが好ましく、これらのうち、さらに好ましくはホスファチジルコリンジラウロイルまたはホスファチジルエタノールアミンジオレオイルである。
本発明で用いられる生分解性ポリマーは、具体的にはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリグリセロールセバシン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル、ポリメチレンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類誘導体、フィブロイン、ゼラチン、コラーゲンなどのたんぱく質やこれらの誘導体が挙げられる。
さらに好ましくは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体などの脂肪族ポリエステルであり、最も好ましいのはポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体である。
このとき、ポリ乳酸の共重合体は、伸縮性を付与するモノマー成分が少ないほうが好ましい。ここで伸縮性を付与するモノマー成分とは、例えばカプロラクトンモノマー、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリアルキレンカーボネートジオール、ポリエチレングリコールユニットなどの軟質成分である。これらの軟質成分はポリマー比で20重量%未満であることが好ましい。これよりも軟質成分が多いとポリマーは自己支持性を失いやすく、やわらかすぎて取り扱いにくい繊維成形体を与える。
ポリ乳酸におけるポリマーを構成するモノマーとしてはL−乳酸およびD−乳酸があり、特に制限なく用いられる。またポリマーの光学純度や分子量、L体とD体の組成比、配列には特に制限はないが、好ましくはL体の多いポリマーである。ポリL乳酸とポリD乳酸のステレオコンプレックスを用いることもできる。
また、生分解性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1×103~5×106であり、より好ましくは1×104~1×106、さらに好ましくは5×104~5×105である。また、ポリマーの末端構造やポリマーを重合する触媒は任意に選択できる。
本発明で用いられる繊維成形体には、その目的を損なわない範囲で、他のポリマーや他の化合物を併用してもよい。例えば、ポリマー共重合、ポリマーブレンド、化合物混合として併用することができる。
本発明で用いる生分解性ポリマーは高純度であることが好ましく、とりわけポリマー中に含まれる添加剤や可塑剤、残存触媒、残存モノマー、成型加工や後加工に用いた残留溶媒などの残留物は、少ないほうが好ましい。特に医療に用いる場合は、安全性の基準値未満に抑える必要があることはいうまでもない。
繊維表面が平滑な繊維とは、繊維表面を走査型電子顕微鏡などで観察した際に、表面に凹凸などが見られないものを指す。例えばUS2004/0013873号明細書には、繊維表面が凹凸の繊維成形体が示されているが、このような凹凸をもたない繊維をいう。具体的には、繊維の表面形態が、原子間力顕微鏡AFMを用いて、AFM観察視野範囲1×1μm2における表面積率(平滑度)により評価され、この平滑度が1.07以下、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.03以下である繊維をいう。
後述する実施例では、AFMとして、デジタルインスツルメント社製Nano Scope IIIaを使用した。カンチレバーはAC−240TS(シリコン製:ばね定数2N/m)を使用した。観察に際して分解能低下を防ぐため、カンチレバーは探針の汚染、磨耗がない新品を使用した。また、探針−試料表面間に働く力は必要最小限の力に設定し、走査中の試料の破損、探針の磨耗を防いだ。観察は、探針が繊維中心部にコンタクトするようにし、探針走査方向が繊維軸と一致するように観察視野1×1μm2で行った。走査速度は0.7Hzとした。分解能は256×256pixels以上とした。繊維は曲率をもっているため、AFM観察後、装置に付属している傾き補正ソフト等を用いて繊維が有する曲率、マクロな形態上のうねりをキャンセルした。傾き補正は、探針が完全に繊維中心部にコンタクトし、走査方向と繊維軸方向が一致した場合は二次傾き補正を行ったが、そうでない場合は三次傾き補正処理、フラット処理を行った。傾き補正後、装置付属の表面粗さ解析を行い、表面積率を算出した。表面積率とは、観察面が理想的にフラットであると仮定したときの面積S0に対する実際の表面積Sの比率Sratioのことであり、Sratio=S/S0で表される。評価はランダムに行った観察視野20点の平均値をもって行った。
本発明で用いる繊維成形体の繊維径は0.1~10μmである。ここで平均繊維径が0.1μmよりも小さいか、または10μmよりも大きいと、所望のフィブリン糊との親和性が得難い。好ましい平均繊維径は1.0~8.0μmであり、さらに好ましくは、2.0~7.0μmである。繊維径とは繊維断面の直径のことである。繊維断面の形状は円形に限らず、楕円形や異形になることもありうる。この場合の繊維径とは、該楕円形の長軸方向の長さと短軸方向の長さの平均をその繊維径として算出する。また、繊維断面が円形でも楕円形でもないときには円または楕円に近似して繊維径を算出する。
本発明で用いられる繊維成形体は長繊維よりなる。長繊維とは具体的には紡糸から繊維成形体への加工にいたるプロセスの中で、繊維を細かく切断する工程を加えずに形成される繊維成形体のことをいい、例えばエレクトロスピニング法、スパンボンド法、メルトブロー法などで形成することができる。エレクトロスピニング法が好ましく用いられる。ここで、エレクトロスピニング法とは、静電紡糸法、エレクトロスプレー法などともよばれる方法も原理的には同じであり、これらも本発明でいうエレクトロスピニング法に含まれる。
エレクトロスピニング法は、ポリマーを溶媒に溶解させた溶液に高電圧を印加することで、電極上に繊維成形体を得る方法である。工程としては、高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する工程と、該溶液に高電圧を印加させる工程と、該溶液を噴出させる工程と、噴出させた溶液から溶媒を蒸発させて繊維成形体を形成させる工程と、任意工程として、形成された繊維成形体の電荷を消失させる工程と、電荷消失によって繊維成形体を累積させる工程を含む。
本発明で用いられる繊維成形体の全体の厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm~200μm、さらに好ましくは50~100μmである。
エレクトロスピニング法における、有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階について説明する。本発明の製造方法における溶液中の溶媒に対する生分解性ポリマーの濃度は1~30重量%であることが好ましい。生分解性ポリマーの濃度が1重量%より小さいと、濃度が低すぎるため繊維成形体を形成することが困難となり、好ましくない。また、30重量%より大きいと得られる繊維成形体の繊維径が大きくなり、好ましくない。より好ましい溶液中の溶媒に対する生分解性ポリマーの濃度は2~20重量%である。
溶媒は一種を単独で用いてもよく、複数の溶媒を組み合わせてもよい。前記溶媒としては、生分解性ポリマーとを溶解可能で、かつ紡糸する段階で蒸発し、繊維を形成可能なものであれば特に限定されず、例えばアセトン、クロロホルム、エタノール、2−プロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、水、ベンゼン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、ジクロロメタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルモルホリン−N−オキシド、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、上記溶媒の混合溶媒が挙げられる。これらのうちでも、取扱い性や物性などから、ジクロロメタン、エタノールを用いることが好ましい。
次に、溶液に高電圧を印加させる段階と、溶液を噴出させる段階と、噴出された溶液から溶媒を蒸発させて繊維成形体を形成させる段階について説明する。
本発明の繊維成形体の製造方法においては、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成形体を形成させるために、溶液に高電圧を印加させる必要がある。電圧を印加させる方法については、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成形体が形成されるものであれば特に限定されない。溶液に電極を挿入して電圧を印加させる方法や、溶液噴出ノズルに対して電圧を印加させる方法などがある。
また、溶液に印加させる電極とは別に補助電極を設けることも可能である。また、印加電圧の値は、前記繊維成形体が形成されれば特に限定されないが、好ましくは5~50kVの範囲である。印加電圧が5kVより小さい場合は、溶液が噴出されずに繊維成形体が形成されないため好ましくなく、印加電圧が50kVより大きい場合は、電極からアース電極に向かって放電が起きるために好ましくない。より好ましくは7~30kVの範囲である。所望の電位は従来公知の任意の適切な方法で作ればよい。
そして、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させた直後に生分解性高分子を溶解させた溶媒が揮発して繊維成形体が形成される。通常の紡糸は大気下、室温で行われるが、揮発が不十分である場合には陰圧下で行うことや、高温の雰囲気下で行うことも可能である。また、紡糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、好ましくは0~50℃の範囲である。
次に、前記電荷消失によって繊維成形体を累積させる段階について説明する。前記電荷消失によって繊維成形体を累積させる方法は特に限定を受けないが、通常の方法として、電荷消失により繊維成形体の静電力を失わせ、自重により落下、累積させる方法が挙げられる。また必要に応じて、静電力を消失させた繊維成形体を吸引してメッシュ上に累積させる方法、装置内の空気を対流させてメッシュ上に累積させる方法などを行うこともできる。
繊維表面が平滑な繊維の作製方法としては、紡糸する際の雰囲気を低湿度に設定することで作製することができる。好ましくは相対湿度25%以下、さらに好ましくは20%以下である。
本発明で用いられる繊維成形体の表面に、さらに綿状の繊維構造物を積層することや、綿状構造物を該繊維成形体ではさんでサンドイッチ構造にするなどの加工は、本発明の目的を損ねない範囲で任意に実施しうる。
本発明で用いられる繊維成形体は、その表面の親水性や疎水性、電気特性や帯電性を改質するために、界面活性剤などの化学薬品による表面処理を施されてもよい。医療応用においては、さらに抗血栓性を付与するためのコーティング処理、抗体や生理活性物質で表面をコーティングすることも任意に実施できる。このときのコーティング方法や処理条件、その処理に用いる化学薬品は、繊維の構造を極端に破壊せず、本発明の目的を損なわない範囲で任意に選択できる。
本発明で用いられる繊維成形体の繊維内部にも任意に薬剤を含ませることができる。エレクトロスピニング法で成形する場合は、揮発性溶媒に可溶であり、溶解によりその生理活性を損なわないものであれば、使用する薬剤に特に制限はない。
かかる薬剤の具体例としては、タクロリムスもしくはその類縁体、スタチン系またはタキサン系抗癌剤が例示できる。
また、上記薬剤は、揮発性溶媒中において活性を維持することが可能であればタンパク質製剤、核酸医薬であってもよい。また薬剤以外のものも含んでよく、金属、多糖、脂肪酸、界面活性剤、揮発性溶媒耐性微生物であってもよい。
本発明は、前記繊維成形体とフィブリン糊とからなる複合体である。かかるフィブリン糊としては、例えばフィブリン糊の前駆体である、フィブリノゲン凍結乾燥粉末、フィブリノゲン溶解液、トロンビン凍結乾燥粉末、およびトロンビン溶解液から構成されたものを挙げることができる。そして、フィブリン糊の通常の使用態様は、フィブリノゲン凍結乾燥粉末をフィブリノゲン溶解液で溶解してA液とし、トロンビン凍結乾燥粉末をトロンビン溶解液で溶解してB液とし、両液を接着部位に重層または混合して適用する。
フィブリン糊は、血液凝固の最終段階を利用した生理的組織接着剤であり、含有するフィブリノゲンはトロンビンの作用により可溶性フィブリン塊となり、さらにカルシウムイオン存在下でトロンビンにより活性化された血液凝固第XIII因子により、物理的強度をもった尿素不溶性の安定なフィブリン塊となり、組織を接着・閉鎖する。この安定化したフィブリン塊内で、例えば線維芽細胞が増殖し、膠原線維や肉芽基質成分が産生され、組織修復を経て治癒に至る。
本発明におけるフィブリン糊は、上述した可溶性フィブリン塊の状態にあるもの、安定フィブリン塊の状態にあるもの、さらには可溶性フィブリン塊もしくは安定フィブリン塊を形成しうる前駆体および/またはその混合物、のいずれであってもよい。ただし、本発明の複合体の製造過程では、フィブリン糊前駆体が用いられる。
本発明で用いられるフィブリン糊には、所望により、成長因子、医薬品、薬剤などの活性因子を含有させることができる。活性因子としては水溶性の化合物が好ましく、抗体や成長因子などのたんぱく質を好ましい例として挙げることができる。
フィブリン糊と繊維成形体との複合体を得る方法は、特に制限はなく、繊維成形体にあらかじめフィブリノゲンやトロンビンなどの前駆体のいずれかを塗布、コーティング、含浸させるなどの処理を行い、その後に他の前駆体を混合することによる複合化を行うことができる。好ましくは、本発明の繊維成形体はフィブリン糊との親和性に優れているため、繊維成形体に直接フィブリノゲンとトロンビンの両溶液をスプレーなどの方法で混合噴霧する方法が簡便に複合体を形成できて良い。
フィブリン糊と繊維成形体の形状としては、特に制限はなく、繊維成形体をフィブリン糊で包埋した形状、繊維成形体の片面にフィブリン糊を塗布または含浸させた形状、繊維成形体の一部にフィブリン糊を塗布させた形状などが挙げられる。
本発明で用いられるリン脂質は、動物組織から抽出したものでも、人工的に合成して製造したものでもよい。かかるリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールなどが挙げられる。これらは1種類を選択してもよいし、2種類以上の混合物として用いてもよい。これらのうち、ホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンが好ましく、これらのうち、さらに好ましくはホスファチジルコリンジラウロイルまたはホスファチジルエタノールアミンジオレオイルである。
本発明で用いられる生分解性ポリマーは、具体的にはポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体、ポリグリセロールセバシン酸、ポリヒドロキシアルカン酸、ポリブチレンサクシネートなどの脂肪族ポリエステル、ポリメチレンカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類誘導体、フィブロイン、ゼラチン、コラーゲンなどのたんぱく質やこれらの誘導体が挙げられる。
さらに好ましくは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体などの脂肪族ポリエステルであり、最も好ましいのはポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体である。
このとき、ポリ乳酸の共重合体は、伸縮性を付与するモノマー成分が少ないほうが好ましい。ここで伸縮性を付与するモノマー成分とは、例えばカプロラクトンモノマー、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリアルキレンカーボネートジオール、ポリエチレングリコールユニットなどの軟質成分である。これらの軟質成分はポリマー比で20重量%未満であることが好ましい。これよりも軟質成分が多いとポリマーは自己支持性を失いやすく、やわらかすぎて取り扱いにくい繊維成形体を与える。
ポリ乳酸におけるポリマーを構成するモノマーとしてはL−乳酸およびD−乳酸があり、特に制限なく用いられる。またポリマーの光学純度や分子量、L体とD体の組成比、配列には特に制限はないが、好ましくはL体の多いポリマーである。ポリL乳酸とポリD乳酸のステレオコンプレックスを用いることもできる。
また、生分解性ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは1×103~5×106であり、より好ましくは1×104~1×106、さらに好ましくは5×104~5×105である。また、ポリマーの末端構造やポリマーを重合する触媒は任意に選択できる。
本発明で用いられる繊維成形体には、その目的を損なわない範囲で、他のポリマーや他の化合物を併用してもよい。例えば、ポリマー共重合、ポリマーブレンド、化合物混合として併用することができる。
本発明で用いる生分解性ポリマーは高純度であることが好ましく、とりわけポリマー中に含まれる添加剤や可塑剤、残存触媒、残存モノマー、成型加工や後加工に用いた残留溶媒などの残留物は、少ないほうが好ましい。特に医療に用いる場合は、安全性の基準値未満に抑える必要があることはいうまでもない。
繊維表面が平滑な繊維とは、繊維表面を走査型電子顕微鏡などで観察した際に、表面に凹凸などが見られないものを指す。例えばUS2004/0013873号明細書には、繊維表面が凹凸の繊維成形体が示されているが、このような凹凸をもたない繊維をいう。具体的には、繊維の表面形態が、原子間力顕微鏡AFMを用いて、AFM観察視野範囲1×1μm2における表面積率(平滑度)により評価され、この平滑度が1.07以下、好ましくは1.05以下、より好ましくは1.03以下である繊維をいう。
後述する実施例では、AFMとして、デジタルインスツルメント社製Nano Scope IIIaを使用した。カンチレバーはAC−240TS(シリコン製:ばね定数2N/m)を使用した。観察に際して分解能低下を防ぐため、カンチレバーは探針の汚染、磨耗がない新品を使用した。また、探針−試料表面間に働く力は必要最小限の力に設定し、走査中の試料の破損、探針の磨耗を防いだ。観察は、探針が繊維中心部にコンタクトするようにし、探針走査方向が繊維軸と一致するように観察視野1×1μm2で行った。走査速度は0.7Hzとした。分解能は256×256pixels以上とした。繊維は曲率をもっているため、AFM観察後、装置に付属している傾き補正ソフト等を用いて繊維が有する曲率、マクロな形態上のうねりをキャンセルした。傾き補正は、探針が完全に繊維中心部にコンタクトし、走査方向と繊維軸方向が一致した場合は二次傾き補正を行ったが、そうでない場合は三次傾き補正処理、フラット処理を行った。傾き補正後、装置付属の表面粗さ解析を行い、表面積率を算出した。表面積率とは、観察面が理想的にフラットであると仮定したときの面積S0に対する実際の表面積Sの比率Sratioのことであり、Sratio=S/S0で表される。評価はランダムに行った観察視野20点の平均値をもって行った。
本発明で用いる繊維成形体の繊維径は0.1~10μmである。ここで平均繊維径が0.1μmよりも小さいか、または10μmよりも大きいと、所望のフィブリン糊との親和性が得難い。好ましい平均繊維径は1.0~8.0μmであり、さらに好ましくは、2.0~7.0μmである。繊維径とは繊維断面の直径のことである。繊維断面の形状は円形に限らず、楕円形や異形になることもありうる。この場合の繊維径とは、該楕円形の長軸方向の長さと短軸方向の長さの平均をその繊維径として算出する。また、繊維断面が円形でも楕円形でもないときには円または楕円に近似して繊維径を算出する。
本発明で用いられる繊維成形体は長繊維よりなる。長繊維とは具体的には紡糸から繊維成形体への加工にいたるプロセスの中で、繊維を細かく切断する工程を加えずに形成される繊維成形体のことをいい、例えばエレクトロスピニング法、スパンボンド法、メルトブロー法などで形成することができる。エレクトロスピニング法が好ましく用いられる。ここで、エレクトロスピニング法とは、静電紡糸法、エレクトロスプレー法などともよばれる方法も原理的には同じであり、これらも本発明でいうエレクトロスピニング法に含まれる。
エレクトロスピニング法は、ポリマーを溶媒に溶解させた溶液に高電圧を印加することで、電極上に繊維成形体を得る方法である。工程としては、高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する工程と、該溶液に高電圧を印加させる工程と、該溶液を噴出させる工程と、噴出させた溶液から溶媒を蒸発させて繊維成形体を形成させる工程と、任意工程として、形成された繊維成形体の電荷を消失させる工程と、電荷消失によって繊維成形体を累積させる工程を含む。
本発明で用いられる繊維成形体の全体の厚みは、特に制限はないが、好ましくは25μm~200μm、さらに好ましくは50~100μmである。
エレクトロスピニング法における、有機高分子を溶媒に溶解させて溶液を製造する段階について説明する。本発明の製造方法における溶液中の溶媒に対する生分解性ポリマーの濃度は1~30重量%であることが好ましい。生分解性ポリマーの濃度が1重量%より小さいと、濃度が低すぎるため繊維成形体を形成することが困難となり、好ましくない。また、30重量%より大きいと得られる繊維成形体の繊維径が大きくなり、好ましくない。より好ましい溶液中の溶媒に対する生分解性ポリマーの濃度は2~20重量%である。
溶媒は一種を単独で用いてもよく、複数の溶媒を組み合わせてもよい。前記溶媒としては、生分解性ポリマーとを溶解可能で、かつ紡糸する段階で蒸発し、繊維を形成可能なものであれば特に限定されず、例えばアセトン、クロロホルム、エタノール、2−プロパノール、メタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、水、ベンゼン、ベンジルアルコール、1,4−ジオキサン、1−プロパノール、ジクロロメタン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、蟻酸、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチルモルホリン−N−オキシド、1,3−ジオキソラン、メチルエチルケトン、上記溶媒の混合溶媒が挙げられる。これらのうちでも、取扱い性や物性などから、ジクロロメタン、エタノールを用いることが好ましい。
次に、溶液に高電圧を印加させる段階と、溶液を噴出させる段階と、噴出された溶液から溶媒を蒸発させて繊維成形体を形成させる段階について説明する。
本発明の繊維成形体の製造方法においては、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成形体を形成させるために、溶液に高電圧を印加させる必要がある。電圧を印加させる方法については、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させ、繊維成形体が形成されるものであれば特に限定されない。溶液に電極を挿入して電圧を印加させる方法や、溶液噴出ノズルに対して電圧を印加させる方法などがある。
また、溶液に印加させる電極とは別に補助電極を設けることも可能である。また、印加電圧の値は、前記繊維成形体が形成されれば特に限定されないが、好ましくは5~50kVの範囲である。印加電圧が5kVより小さい場合は、溶液が噴出されずに繊維成形体が形成されないため好ましくなく、印加電圧が50kVより大きい場合は、電極からアース電極に向かって放電が起きるために好ましくない。より好ましくは7~30kVの範囲である。所望の電位は従来公知の任意の適切な方法で作ればよい。
そして、生分解性高分子を溶解した溶液を噴出させた直後に生分解性高分子を溶解させた溶媒が揮発して繊維成形体が形成される。通常の紡糸は大気下、室温で行われるが、揮発が不十分である場合には陰圧下で行うことや、高温の雰囲気下で行うことも可能である。また、紡糸する温度は溶媒の蒸発挙動や紡糸液の粘度に依存するが、好ましくは0~50℃の範囲である。
次に、前記電荷消失によって繊維成形体を累積させる段階について説明する。前記電荷消失によって繊維成形体を累積させる方法は特に限定を受けないが、通常の方法として、電荷消失により繊維成形体の静電力を失わせ、自重により落下、累積させる方法が挙げられる。また必要に応じて、静電力を消失させた繊維成形体を吸引してメッシュ上に累積させる方法、装置内の空気を対流させてメッシュ上に累積させる方法などを行うこともできる。
繊維表面が平滑な繊維の作製方法としては、紡糸する際の雰囲気を低湿度に設定することで作製することができる。好ましくは相対湿度25%以下、さらに好ましくは20%以下である。
本発明で用いられる繊維成形体の表面に、さらに綿状の繊維構造物を積層することや、綿状構造物を該繊維成形体ではさんでサンドイッチ構造にするなどの加工は、本発明の目的を損ねない範囲で任意に実施しうる。
本発明で用いられる繊維成形体は、その表面の親水性や疎水性、電気特性や帯電性を改質するために、界面活性剤などの化学薬品による表面処理を施されてもよい。医療応用においては、さらに抗血栓性を付与するためのコーティング処理、抗体や生理活性物質で表面をコーティングすることも任意に実施できる。このときのコーティング方法や処理条件、その処理に用いる化学薬品は、繊維の構造を極端に破壊せず、本発明の目的を損なわない範囲で任意に選択できる。
本発明で用いられる繊維成形体の繊維内部にも任意に薬剤を含ませることができる。エレクトロスピニング法で成形する場合は、揮発性溶媒に可溶であり、溶解によりその生理活性を損なわないものであれば、使用する薬剤に特に制限はない。
かかる薬剤の具体例としては、タクロリムスもしくはその類縁体、スタチン系またはタキサン系抗癌剤が例示できる。
また、上記薬剤は、揮発性溶媒中において活性を維持することが可能であればタンパク質製剤、核酸医薬であってもよい。また薬剤以外のものも含んでよく、金属、多糖、脂肪酸、界面活性剤、揮発性溶媒耐性微生物であってもよい。
本発明は、前記繊維成形体とフィブリン糊とからなる複合体である。かかるフィブリン糊としては、例えばフィブリン糊の前駆体である、フィブリノゲン凍結乾燥粉末、フィブリノゲン溶解液、トロンビン凍結乾燥粉末、およびトロンビン溶解液から構成されたものを挙げることができる。そして、フィブリン糊の通常の使用態様は、フィブリノゲン凍結乾燥粉末をフィブリノゲン溶解液で溶解してA液とし、トロンビン凍結乾燥粉末をトロンビン溶解液で溶解してB液とし、両液を接着部位に重層または混合して適用する。
フィブリン糊は、血液凝固の最終段階を利用した生理的組織接着剤であり、含有するフィブリノゲンはトロンビンの作用により可溶性フィブリン塊となり、さらにカルシウムイオン存在下でトロンビンにより活性化された血液凝固第XIII因子により、物理的強度をもった尿素不溶性の安定なフィブリン塊となり、組織を接着・閉鎖する。この安定化したフィブリン塊内で、例えば線維芽細胞が増殖し、膠原線維や肉芽基質成分が産生され、組織修復を経て治癒に至る。
本発明におけるフィブリン糊は、上述した可溶性フィブリン塊の状態にあるもの、安定フィブリン塊の状態にあるもの、さらには可溶性フィブリン塊もしくは安定フィブリン塊を形成しうる前駆体および/またはその混合物、のいずれであってもよい。ただし、本発明の複合体の製造過程では、フィブリン糊前駆体が用いられる。
本発明で用いられるフィブリン糊には、所望により、成長因子、医薬品、薬剤などの活性因子を含有させることができる。活性因子としては水溶性の化合物が好ましく、抗体や成長因子などのたんぱく質を好ましい例として挙げることができる。
フィブリン糊と繊維成形体との複合体を得る方法は、特に制限はなく、繊維成形体にあらかじめフィブリノゲンやトロンビンなどの前駆体のいずれかを塗布、コーティング、含浸させるなどの処理を行い、その後に他の前駆体を混合することによる複合化を行うことができる。好ましくは、本発明の繊維成形体はフィブリン糊との親和性に優れているため、繊維成形体に直接フィブリノゲンとトロンビンの両溶液をスプレーなどの方法で混合噴霧する方法が簡便に複合体を形成できて良い。
フィブリン糊と繊維成形体の形状としては、特に制限はなく、繊維成形体をフィブリン糊で包埋した形状、繊維成形体の片面にフィブリン糊を塗布または含浸させた形状、繊維成形体の一部にフィブリン糊を塗布させた形状などが挙げられる。
以下、実施例により本発明の実施の形態を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
1.平均繊維径:
得られた繊維成形体の表面を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社:商品名「VE8800」)により、倍率2000倍で撮影して得た写真から無作為に20箇所を選んで繊維の径を測定し、すべての繊維径の平均値を求めて平均繊維径とした。n=20である。
2.平均厚:
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」)を用いて測長力0.01Nによりn=10にて繊維成形体の膜厚を測定した平均値を算出した。なお、本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
3.平均見掛け密度:
繊維成形体の質量を測定し、上記方法により求めた面積、平均厚をもとに平均見掛け密度を算出した。
4.繊維表面の平滑度:
原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント社:商品名「Nano Scope IIIa」)を用いて繊維成形体の繊維表面1×1μm2を測定し、n=20の平滑度を算出した。
5.繊維成形体とフィブリン糊複合体の複合体強度試験:
生体組織としてウサギの皮膚を採取し、図1の装置表面に平面状に設置した。ウサギの皮膚3の中央に穴(5mmΦ)をあけ、外枠5と内枠6で固定した後、その周りにフィブリノゲンの溶液を塗布し、その上に、繊維成形体を穴がふさがるように設置し、さらに上からフィブリン糊1(ボルヒール(登録商標))のスプレーを吹き付けた。スプレーに用いたフィブリノゲンの溶液とトロンビンの溶液は、ボルヒールのキットをそのまま使用した。フィブリン糊のゲルが固まるまで数分放置した後、外部より圧4を加えていき、複合体(繊維成形体+フィブリン糊)2が破断したときの内圧を測定した。フィブリノゲン溶液が繊維成形体に自然に浸透し、複合体が破断した際の内圧が120mmHg以上であるものを合格と評価した。
実施例1
1重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万7千、多木化学製)10重量部を90重量部のジクロロメタン溶液で溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は15cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.4μmであり、厚さは106μm、平均見掛け密度153mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.024であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、286mmHgであった。
比較例1
ポリ乳酸(重量平均分子量15万2千、PURAC製)7.5重量を80重量部のジクロロメタン溶液と10重量部のエタノールで溶解した以外は、実施例1と同様に繊維成形体を調製した。
得られた繊維成形体の平均繊維径は5.0μmであり、厚さは86μm、平均見掛け密度は157mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.032であった。フィブリノゲン溶液は繊維成形体に自然に浸透することはなかった。複合体が破断したときの内圧は、66mmHgであった。
実施例2
5重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万7千、多木化学製)10重量部を90重量部のジクロロメタン溶液で溶解した以外は、実施例1と同様に繊維成形体を調製した。
得られた繊維成形体の平均繊維径は4.0μmであり、厚さは99μm、平均見掛け密度は165mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.014であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、294mmHgであった。
実施例3
1重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを用いた以外は、実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.3μmであり、厚さは63μm、平均見掛け密度は210mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.017であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、192mmHgであった。
比較例2
WO2006/022430号パンフレットに記載の方法(高湿度下(相対湿度42~55%))で1重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを添加したポリ乳酸よりなる繊維表面に凹凸構造のある繊維成形体を調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は3.0μmであり、厚さは50μm、平均見掛け密度は136mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.074であった。フィブリノゲン溶液は繊維成形体に自然に浸透することはなかった。複合体が破断したときの内圧は、68mmHgであった。
実施例4
10重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを用いた以外は、実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.3μmであり、厚さは84μm、平均見掛け密度は142mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.018であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、238mmHgであった。
実施例5
ホスファチジルコリンジラウロイルの濃度が0.1重量%、ポリ乳酸が重量平均分子量15万2千のPURAC製である以外は実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.1μmであり、厚さは78μm、平均見掛け密度156mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.011であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、230mmHgであった。
実施例6
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加した乳酸−グリコール酸共重合体(数平均分子量20万4千、PURAC製)8重量部を92重量部のジクロロメタンで溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は8.5kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.6μmであり、厚さは82μm、平均見掛け密度153mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.0088であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、223mmHgであった。
実施例7
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリグリコール酸(重量平均分子量10万、Polysciences製)10重量部を90重量部のヘキサフルオロ−2−プロパノール溶液で溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いられた。得られた繊維成形体の平均繊維径は2.5μmであり、厚さは122μm、平均見掛け密度156mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.022であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、178mmHgであった。
実施例8
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万3千、PURAC製)11重量部を79重量部のジクロロメタンと10重量部のエタノールで溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は3.9μmであり、厚さは78μm、平均見掛け密度147mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.004であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、256mmHgであった。
以上の結果により、本発明で用いられる繊維表面が平滑なリン脂質を含有する繊維成形体は、フィブリン糊との親和性に優れることが示された。
実施例9
生体に埋め込むための人工生体膜の作製には、市販の生体組織接着剤であるボルヒール(登録商標)を使用した。実施例8で作製した繊維成形体を2cm×2cm(4cm2)の大きさに切断し、10cmプラスチックシャーレ中に置いた。3cm×3cm(9cm2)の大きさの透明なプラスチックフィルムの中央部に1cm×1cm(1cm2)の穴を開け、繊維成形体の上にプラスチックフィルムを被せた。ボルヒール中の凍結乾燥フィブリノゲン240mgおよび第XIII因子225単位を含むバイアルにアプロチニン(3000KIE)を含む溶液3mLを添加して混合し、3mLのフィブリノゲン液を作製し、0.2mLのフィブリノゲン液を1mLの噴霧用シリンジに吸い込んだ。トロンビン(750単位)の粉末を、塩化カルシウム17.7mgを含む溶液3mLで溶解して、そのうちの0.2mLを1mLのシリンジに吸い込んだ。それぞれのシリンジをボルヒールスプレーセット(秋田住友ベーク(株))に装着した。このスプレーセットを用いてフィブリノゲン液とトロンビン液各0.2mLを同時に繊維成形体に重ねたプラスチックフィルムの上から均等に噴霧した。この後、5分間以上静置した後、プラスチックフィルムを除去することによって、繊維成形体の中央部に1cm×1cm(1cm2)の大きさのフィブリンゲル層とその周囲に0.5cmの幅ののりしろ部分を持つ人工生体膜を形成した。この人工生体膜をシャーレから剥離して動物実験に使用した。
実施例10
以下の方法を用いて、ビーグル成犬での動物実験を行った。
(i)硬膜の貼り付け
ビーグル成犬を挿管管理による全身麻酔下におき、両側頭頂前頭開頭を行い、左右に各々1箇所、1cm四方の正方形の硬膜欠損部を作製した。一箇所の欠損部に対して、欠損部周囲の硬膜にフィブリノゲン溶液を0.1mL滴下して指ですり込み、その上から実施例9に記載した人工生体膜をフィブリンゲル層が脳実質側になるように被せた。次にボルヒールスプレーセットを用いてボルヒール各液0.3mLを人工生体膜の上から噴霧し、人工生体膜を硬膜欠損部に接着させた。3分間以上静置した後、閉頭を行った。
(ii)術後1ヶ月の病理所見
図2に示したように、術後1ヵ月の時点でのヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)標本では、硬膜欠損部において本発明の人工生体膜の上部及び下部に自己の結合組織の層が確認された。また、人工生体膜の繊維間にも結合組織が増生していた。また、脳組織は正常所見を呈していた。なお、術後より剖検時の1ヶ月まで、手術部位からの髄液の漏れはなかった。
以上の結果により、本発明で用いられる繊維表面が平滑なリン脂質を含有する繊維成形体は、フィブリン糊との親和性に優れることが示され、生体組織に接着し、硬膜を含む自己組織層の再生を促す人工生体膜になり得ることが確認された。
発明の効果
本発明によれば、生分解性とともに高い強度をもち、組織接着性に優れた繊維成形体とフィブリン糊との複合体が提供される。
1.平均繊維径:
得られた繊維成形体の表面を走査型電子顕微鏡(キーエンス株式会社:商品名「VE8800」)により、倍率2000倍で撮影して得た写真から無作為に20箇所を選んで繊維の径を測定し、すべての繊維径の平均値を求めて平均繊維径とした。n=20である。
2.平均厚:
高精度デジタル測長機(株式会社ミツトヨ:商品名「ライトマチックVL−50」)を用いて測長力0.01Nによりn=10にて繊維成形体の膜厚を測定した平均値を算出した。なお、本測定においては測定機器が使用可能な最小の測定力で測定を行った。
3.平均見掛け密度:
繊維成形体の質量を測定し、上記方法により求めた面積、平均厚をもとに平均見掛け密度を算出した。
4.繊維表面の平滑度:
原子間力顕微鏡(デジタルインスツルメント社:商品名「Nano Scope IIIa」)を用いて繊維成形体の繊維表面1×1μm2を測定し、n=20の平滑度を算出した。
5.繊維成形体とフィブリン糊複合体の複合体強度試験:
生体組織としてウサギの皮膚を採取し、図1の装置表面に平面状に設置した。ウサギの皮膚3の中央に穴(5mmΦ)をあけ、外枠5と内枠6で固定した後、その周りにフィブリノゲンの溶液を塗布し、その上に、繊維成形体を穴がふさがるように設置し、さらに上からフィブリン糊1(ボルヒール(登録商標))のスプレーを吹き付けた。スプレーに用いたフィブリノゲンの溶液とトロンビンの溶液は、ボルヒールのキットをそのまま使用した。フィブリン糊のゲルが固まるまで数分放置した後、外部より圧4を加えていき、複合体(繊維成形体+フィブリン糊)2が破断したときの内圧を測定した。フィブリノゲン溶液が繊維成形体に自然に浸透し、複合体が破断した際の内圧が120mmHg以上であるものを合格と評価した。
実施例1
1重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万7千、多木化学製)10重量部を90重量部のジクロロメタン溶液で溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は15cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.4μmであり、厚さは106μm、平均見掛け密度153mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.024であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、286mmHgであった。
比較例1
ポリ乳酸(重量平均分子量15万2千、PURAC製)7.5重量を80重量部のジクロロメタン溶液と10重量部のエタノールで溶解した以外は、実施例1と同様に繊維成形体を調製した。
得られた繊維成形体の平均繊維径は5.0μmであり、厚さは86μm、平均見掛け密度は157mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.032であった。フィブリノゲン溶液は繊維成形体に自然に浸透することはなかった。複合体が破断したときの内圧は、66mmHgであった。
実施例2
5重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万7千、多木化学製)10重量部を90重量部のジクロロメタン溶液で溶解した以外は、実施例1と同様に繊維成形体を調製した。
得られた繊維成形体の平均繊維径は4.0μmであり、厚さは99μm、平均見掛け密度は165mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.014であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、294mmHgであった。
実施例3
1重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを用いた以外は、実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.3μmであり、厚さは63μm、平均見掛け密度は210mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.017であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、192mmHgであった。
比較例2
WO2006/022430号パンフレットに記載の方法(高湿度下(相対湿度42~55%))で1重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを添加したポリ乳酸よりなる繊維表面に凹凸構造のある繊維成形体を調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は3.0μmであり、厚さは50μm、平均見掛け密度は136mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.074であった。フィブリノゲン溶液は繊維成形体に自然に浸透することはなかった。複合体が破断したときの内圧は、68mmHgであった。
実施例4
10重量%のホスファチジルエタノールアミンジオレオイルを用いた以外は、実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.3μmであり、厚さは84μm、平均見掛け密度は142mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.018であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、238mmHgであった。
実施例5
ホスファチジルコリンジラウロイルの濃度が0.1重量%、ポリ乳酸が重量平均分子量15万2千のPURAC製である以外は実施例1と同様にサンプルを調製した。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.1μmであり、厚さは78μm、平均見掛け密度156mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.011であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、230mmHgであった。
実施例6
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加した乳酸−グリコール酸共重合体(数平均分子量20万4千、PURAC製)8重量部を92重量部のジクロロメタンで溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は8.5kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は4.6μmであり、厚さは82μm、平均見掛け密度153mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.0088であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、223mmHgであった。
実施例7
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリグリコール酸(重量平均分子量10万、Polysciences製)10重量部を90重量部のヘキサフルオロ−2−プロパノール溶液で溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いられた。得られた繊維成形体の平均繊維径は2.5μmであり、厚さは122μm、平均見掛け密度156mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.022であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、178mmHgであった。
実施例8
0.4重量%のホスファチジルコリンジラウロイルを添加したポリ乳酸(重量平均分子量13万3千、PURAC製)11重量部を79重量部のジクロロメタンと10重量部のエタノールで溶解し、均一な溶液を得た。エレクトロスピニング法により紡糸を行い、シート状の繊維成形体を得た。噴出ノズルの内径は0.8mm、電圧は15kV、噴出ノズルから平板までの距離は25cmであった。上記平板は、紡糸時は陰極として用いた。得られた繊維成形体の平均繊維径は3.9μmであり、厚さは78μm、平均見掛け密度147mg/cm3であった。繊維表面の平滑度は、1.004であった。フィブリノゲン溶液は、繊維成形体に自然に浸透した。複合体が破断したときの内圧は、256mmHgであった。
以上の結果により、本発明で用いられる繊維表面が平滑なリン脂質を含有する繊維成形体は、フィブリン糊との親和性に優れることが示された。
実施例9
生体に埋め込むための人工生体膜の作製には、市販の生体組織接着剤であるボルヒール(登録商標)を使用した。実施例8で作製した繊維成形体を2cm×2cm(4cm2)の大きさに切断し、10cmプラスチックシャーレ中に置いた。3cm×3cm(9cm2)の大きさの透明なプラスチックフィルムの中央部に1cm×1cm(1cm2)の穴を開け、繊維成形体の上にプラスチックフィルムを被せた。ボルヒール中の凍結乾燥フィブリノゲン240mgおよび第XIII因子225単位を含むバイアルにアプロチニン(3000KIE)を含む溶液3mLを添加して混合し、3mLのフィブリノゲン液を作製し、0.2mLのフィブリノゲン液を1mLの噴霧用シリンジに吸い込んだ。トロンビン(750単位)の粉末を、塩化カルシウム17.7mgを含む溶液3mLで溶解して、そのうちの0.2mLを1mLのシリンジに吸い込んだ。それぞれのシリンジをボルヒールスプレーセット(秋田住友ベーク(株))に装着した。このスプレーセットを用いてフィブリノゲン液とトロンビン液各0.2mLを同時に繊維成形体に重ねたプラスチックフィルムの上から均等に噴霧した。この後、5分間以上静置した後、プラスチックフィルムを除去することによって、繊維成形体の中央部に1cm×1cm(1cm2)の大きさのフィブリンゲル層とその周囲に0.5cmの幅ののりしろ部分を持つ人工生体膜を形成した。この人工生体膜をシャーレから剥離して動物実験に使用した。
実施例10
以下の方法を用いて、ビーグル成犬での動物実験を行った。
(i)硬膜の貼り付け
ビーグル成犬を挿管管理による全身麻酔下におき、両側頭頂前頭開頭を行い、左右に各々1箇所、1cm四方の正方形の硬膜欠損部を作製した。一箇所の欠損部に対して、欠損部周囲の硬膜にフィブリノゲン溶液を0.1mL滴下して指ですり込み、その上から実施例9に記載した人工生体膜をフィブリンゲル層が脳実質側になるように被せた。次にボルヒールスプレーセットを用いてボルヒール各液0.3mLを人工生体膜の上から噴霧し、人工生体膜を硬膜欠損部に接着させた。3分間以上静置した後、閉頭を行った。
(ii)術後1ヶ月の病理所見
図2に示したように、術後1ヵ月の時点でのヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)標本では、硬膜欠損部において本発明の人工生体膜の上部及び下部に自己の結合組織の層が確認された。また、人工生体膜の繊維間にも結合組織が増生していた。また、脳組織は正常所見を呈していた。なお、術後より剖検時の1ヶ月まで、手術部位からの髄液の漏れはなかった。
以上の結果により、本発明で用いられる繊維表面が平滑なリン脂質を含有する繊維成形体は、フィブリン糊との親和性に優れることが示され、生体組織に接着し、硬膜を含む自己組織層の再生を促す人工生体膜になり得ることが確認された。
発明の効果
本発明によれば、生分解性とともに高い強度をもち、組織接着性に優れた繊維成形体とフィブリン糊との複合体が提供される。
本発明のフィブリン糊と繊維成形体の複合体は、医療用品、とりわけ組織表面や創傷部位の保護材、被覆材、シール材として、人工硬膜、癒着防止材、止血材などに有用である。
Claims (7)
- 繊維成形体とフィブリン糊からなる複合体であって、繊維成形体がリン脂質を含む生分解性ポリマーよりなる繊維であって、繊維表面の平滑度が1.07以下でありそしてリン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1から10重量%で含有する繊維よりなることを特徴とする複合体。
- 繊維表面の平滑度が1.05以下である請求項1に記載の複合体。
- 生分解性ポリマーが脂肪族ポリエステルである請求項1または2に記載の複合体。
- 生分解性ポリマーがポリ乳酸、ポリ乳酸の共重合体、またはポリグリコール酸である請求項1または2に記載の複合体。
- リン脂質がホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンである請求項1から4のいずれかに記載の複合体。
- 繊維成形体がエレクトロスピニング法にて作製されたものである請求項1から5のいずれかに記載の複合体。
- リン脂質を含む生分解性ポリマーからなり、繊維表面の平滑度が1.07以下であり且つリン脂質を生分解性ポリマーに対して0.1から10重量%で含有する繊維よりなる繊維成形体と、フィブリン糊との組合せからなる生体膜再生のための治療キット。
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