JP2002204826A - 人工代用生体膜 - Google Patents

人工代用生体膜

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JP2002204826A
JP2002204826A JP2001003762A JP2001003762A JP2002204826A JP 2002204826 A JP2002204826 A JP 2002204826A JP 2001003762 A JP2001003762 A JP 2001003762A JP 2001003762 A JP2001003762 A JP 2001003762A JP 2002204826 A JP2002204826 A JP 2002204826A
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Japan
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fibrinogen
synthetic fiber
fiber cloth
bioabsorbable
thrombin
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JP2001003762A
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Yutaka Sawamura
豊 澤村
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Hokkaido Technology Licensing Office Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 動物、特にヒト生体膜の代用として使用
し得る人工の膜、即ち人工代用生体膜およびその作製方
法を提供すること。 【解決手段】 生体吸収性および/または生分解性の合
成繊維布を骨格とし、これにフィブリンシーラントを被
覆した膜。また、生体組織と隔離した環境下で生体吸収
性および/または生分解性の合成繊維布を、フィブリノ
ーゲン、ヒト血液凝固第XIII因子、カルシウム塩、アプ
ロチニンおよびトロンビンと同時、または時系列的に溶
液中で、前記合成繊維布が架橋されたフィブリン繊維を
主成分とする膜で被覆される条件下で共存させる工程を
含む、代用生体膜の製造方法

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体膜の代わりとし
て使用し得る人工代用生体膜に関する。特に本発明は、
硬膜、心膜、胸膜、腹膜の代用としても使用し得る人工
硬膜に関する。
【0002】
【従来の技術】クロイツフェルド・ヤコブ病の感染防止
のため1977年にヒト乾燥硬膜の使用が禁止されて以来、
代用硬膜としてePTFE(発泡ポリテトラフルオロエチレ
ン)(expanded polytetrafluoroethylene(Gore-Tex Du
ra Substitute; WL Gore & Associates, Flagstaff, Ar
izona, U.S.A.)が最も広く使用されている。しかしなが
ら、この代用合成膜は弾力性と柔軟性に乏しいという欠
点を有している。その結果、硬膜との密な縫合ができな
い、縫合腺からの髄液漏れを生じ易い。また、透明でな
く裏面が観察できないという欠点を有している。更に、
生体吸収性でないため、体内に異物として永久に存在し
て局所的炎症を惹起し感染源となり得る可能性も有して
いる。一方、生体吸収性材料であるフィブリンシーラン
トは接着、止血、創傷治癒を促進するために広く臨床の
場で使用されている。フィブリンシーラントはフィブリ
ノーゲンとトロンビンを主成分としており、血液凝固第
3相におけるフィブリノーゲンからフィブリンへの生成
過程を利用した血液由来の生成物である。しかしなが
ら、このフィブリンシーラントはフィブリンを固形化し
たフィブリン凝固物であるため引っ張り応力に弱く縫合
することができないという欠点を有している。また、ポ
リグラクチン910メッシュ(polyglactin 910 mesh)、
ポリグリコール酸メッシュ(polyglycolic acid mesh)の
ような、吸収糸によって作られている合成吸収性組織代
用人工繊維布(メッシュ)は網目状構造をしており体液
漏れを防ぐことができない。生体膜上で、合成吸収性組
織代用人工繊維布(メッシュ)を噴霧や滴下などの手段
によりフィブリンシーラントで被包しようとした場合に
は、血液や髄液などの体液が混じるため均一なフィブリ
ンシーラントを作製することができない。また、フィブ
リンシーラント中のフィブリノーゲン濃度が50mg/ml以
下となるために充分に強度のあるフィブリンシーラント
が形成されない。一方、生体組織の上で直接にフィブリ
ンシーラントを作製するので、フィブリン凝固の過程に
おいて生体組織との望ましくない癒着が瞬時に生じる。
従って、これらの欠点を補い得る新たな代用生体膜、特
に代用硬膜の開発が望まれてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、動物、特に
ヒト生体膜の代用として使用し得る人工の膜、即ち人工
代用生体膜およびその作製方法を提供することを目的と
する。特に本発明は、生体膜の代用とすることのでき
る、外科的縫合可能な柔軟性と強度を有し、内部からの
生体液の漏れが極めて少なく、感染誘発や炎症惹起性が
極めて低い、生体吸収性および/または生分解性であ
り、透見性を有し、かつ吸収過程において自家繊維組織
膜にて置換され得る人工代用生体膜およびその作製方法
を提供することを目的とする。更に本発明は上述の人工
代用生体膜を作製するための材料、およびそれら含むキ
ットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明の人工代用生体膜
は、生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を
骨格とし、これにフィブリンシーラント、すなわち、架
橋されたフィブリン繊維を主成分とする、血液凝固第三
相におけるフィブリノーゲンからフィブリンへの生成過
程に由来する血液由来生成物からなるシート、を被覆し
た膜である。より具体的には、本発明の人工代用生体膜
は網目構造を有する生体吸収性または生分解性の合成繊
維布の繊維および網目がフィブリンシーラントで被覆さ
れ、前記網目がフィブリンシーラントで塞がれているこ
とを特徴とする人工膜である。本発明の人工代用生体膜
はその構成成分が比較的均一に保たれている。
【0004】本発明の人工代用生体膜の製造方法は、生
体組織と隔離した環境下で生体吸収性および/または生
分解性の合成繊維布を、フィブリノーゲン、ヒト血液凝
固第XIII因子、カルシウム塩、アプロチニンおよびトロ
ンビンと同時、または時系列的に溶液中で、前記合成繊
維布が架橋されたフィブリン繊維を主成分とする膜で被
覆される条件下で共存させる工程を含み、前記工程にお
いて、フィブリノーゲンからフィブリン繊維への転換及
びフィブリン繊維の架橋が生じる、生体吸収性および/
または生分解性の合成繊維布を骨格とし、前記合成繊維
布が架橋されたフィブリン繊維を主成分とする膜で被覆
されていることを特徴とする代用生体膜の製造方法であ
る。本発明の方法により製造される人工代用生体膜はそ
の構成成分が比較的均一に保たれている。
【0005】特に、本発明の人工代用生体膜の製造方法
は、 a) 生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を
トロンビン及び塩化カルシウムを含む溶液中に浸漬する
工程; b)a)で得られた合成繊維布をフィブリノーゲン、ヒ
ト血液凝固第XIII因子およびアプロチニンを含む溶液中
と接触させ、フィブリノーゲンからフィブリン繊維への
転換及びフィブリン繊維の架橋を生じさせる工程を含
む、生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を
骨格とし、前記合成繊維布が架橋されたフィブリン繊維
を主成分とする膜で被覆されていることを特徴とする代
用生体膜の製造方法である。
【0006】さらに、本発明の人工代用生体膜の別の製
造方法は、 a)フィブリノーゲンを生体吸収性および/または生分
解性の合成繊維布に付着させる工程; b)a)で得られた合成繊維布を、溶液中でヒト血液凝
固第XIII因子、トロンビン、塩化カルシウム、アプロチ
ニン存在下に置き、フィブリノーゲンからフィブリン繊
維への転換及びフィブリン繊維の架橋を生じさせる工
程、を含む、生体吸収性および/または生分解性の合成
繊維布を骨格とし、前記合成繊維布が架橋されたフィブ
リン繊維を主成分とする膜で被覆されていることを特徴
とする代用生体膜の製造方法である。
【0007】本発明の人工代用生体膜の別の製造方法
は、 a)固体フィブリノーゲンを生体吸収性および/または
生分解性の合成繊維布に付着させる工程; b)工程a)において得られた、フィブリノーゲン付着
合成繊維布に圧力をかけ、固体フィブリノーゲンを更に
強く前記合成繊維布に固着させる工程; c)b)で得られた合成繊維布を、溶液中でヒト血液凝
固第XIII因子、トロンビン、塩化カルシウム、アプロチ
ニン存在下に置き、フィブリノーゲンからフィブリン繊
維への転換及びフィブリン繊維の架橋を生じさせる工
程、を含む、生体吸収性および/または生分解性の合成
繊維布を骨格とし、前記合成繊維布が架橋されたフィブ
リン繊維を主成分とする膜で被覆されていることを特徴
とする代用生体膜の製造方法である。
【0008】特に、本発明の製造方法は、上述のフィブ
リノーゲンを生体吸収性および/または生分解性の合成
繊維布に付着させる工程が、 a) 生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布
をフィブリノーゲンを含む溶液に浸漬する工程; b)a)で得られた合成繊維布を単独、または、a)で
使用した溶液中にあるまま凍結乾燥する工程、を含む。
【0009】本発明の、人工代用生体膜作製用の合成人
工繊維布は、固体フィブリノーゲン、特に固体フィブリ
ノーゲンを固着させた、生体吸収性人工繊維布であるま
た本発明の別の人工代用生体膜作製用の合成人工繊維布
は、固体フィブリノーゲンに加えてヒト血液凝固第XIII
因子、場合により更にカルシウム塩を固着させた、生体
吸収性人工繊維布である。本発明のキットは、密閉可能
な容器に収納された上記の固体フイブリノーゲンを固着
させた吸収性人工繊維布および、適当な容器に収納され
た固体トロンビンまたはトロンビン溶液を含む。また本
発明の別のキット中の生体吸収性人工繊維布は固体フィ
ブリノーゲンに加えてヒト血液凝固第XIII因子、場合に
より更にカルシウム塩を固着させた、生体吸収性人工繊
維布である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の人工代用生体膜は前述し
たように、網目構造を有する生体吸収性および/または
生体吸収性の合成繊維布の繊維および網目が架橋された
フィブリン繊維を主成分とするフィブリンシーラントで
被覆されていることを特徴とする人工膜である。特に、
本発明の人工代用生体膜は、網目構造を有する生体吸収
性および/または生分解性合成繊維布の繊維および全て
の網目がフィブリンシーラントで被覆され、網目間の空
隙を有しない領域を含んでいる。また、前述のフィブリ
ンシーラントは均一性を有することが好ましい。こここ
で、「均一」とは、特にその構成成分の均一性をいう。
例えば、本発明の人工代用生体膜中に血液、リンパ液ま
たは生体組織片等が不規則に存在しない場合は、その膜
は「均一」である。本発明の人工代用生体膜の一部の網
目間に空隙が生じた場合はその部分を除去する、または
その部分を使用しないことにより、残部が本発明の人工
代用生体膜として機能することができるのは言うまでも
ない。
【0011】本発明の人工代用生体膜に使用し得る合成
繊維布は、縫合可能な程度に充分な強度と弾力性を有す
ることが好ましい。さらに、異物として生体に対する炎
症惹起性が許容できる程度に低く、時間経過と共に生体
内に吸収および/または分解されることがより好まし
い。本発明の最も好ましい実施態様においては、この合
成繊維布は時間と共に生体内で分解、吸収され、かつ生
体物質、例えば膠原線維の膜に置換される。このような
合成繊維布は、生体吸収性および/または生分解性の1
種以上の合成繊維を通常の方法に従って織ることにより
作製することができ、そのような合成繊維布自体も商業
的に入手可能である。そのような生体吸収性および/ま
たは生分解性の合成繊維としては、例えば、ポリグリコ
ール酸系繊維、ポリ乳酸系繊維、あるいはグリコール酸
とL-またはD-乳酸との共重合繊維、グリコール酸とε-
カプロンラクトンとのブロック共重合繊維、ポリp-ジオ
キサノン繊維等が知られている。これらの1種以上を含
む生体吸収性および/または生分解性合成繊維布は、い
ずれも本発明に使用することができる。本発明に使用す
る生体吸収性および/または生分解性合成繊維の太さ
は、生体内における残存期間に応じて選択することがで
きるが、一般に手術用縫合糸として用いられる範囲の太
さが特に好ましい。例えば、直径約0.05mm〜約0.5mmの
糸が好ましく、特に直径約0.1mm〜約0.2mmの糸で作られ
た合成繊維布は商業的にも広く入手可能であり、後者の
場合、その糸で作られる繊維布の厚さは一般に約0.2mm
〜約0.4mmとすることができる。また、「合成繊維布」
とは、人工的合成によって製造される繊維を含む布を意
味し、必ずしも一切の天然繊維布を排除するものではな
いが、生体吸収性および/または生分解性の速度、程度
およびそれらの制御という観点から、本質的に人工合成
繊維からなる繊維布が本発明に特に適している。
【0012】商業的に入手可能な生分解性および/また
は生体吸収性合成繊維布の例としては、例えば、ポリグ
ラクチン910メッシュ(Vircil Mesh, Ethicon Inc., U.
S.A.)、ポリグリコール酸メッシュ(Dexon Mesh, Sherwo
okd-Davis & Geck, St. Louis, MO, U.S.A.)などが挙げ
られる。これらは加水分解によって生体内で分解され、
生体内に完全に吸収されることが知られている。「生分
解性」と「生体吸収性」を特に区別する必要のない限
り、以下では「生体吸収性および/または生分解性合成
繊維布」を単に「生体吸収性合成繊維布」または「生体
吸収性メッシュ」と称する。すなわち、本明細書におい
て、「生分解性」とは微生物等によって生体外環境にお
いて分解される場合のみならず、生体内で起こる種々の
反応、例えば加水分解等によって分解される特性をも含
む。また、本明細書において、本発明の人工代用生体膜
は場合により単に「代用生体膜」あるいは「フィブリン
シーラント・メッシュ膜」と称することがある。
【0013】本発明の人工代用生体膜は、その構造を維
持すべき期間、使用すべき生体内の場所や器官等に応じ
てこれらの種々の生体吸収性合成繊維布(メッシュ)を選
択することができる。本発明の生体吸収性メッシュは
「繊維布」であるため通常は網目構造を有している。こ
の網目構造を塞ぎ、液体、例えば髄液、リンパ液、血液
等の漏れを防ぐ目的で、本発明の人工代用生体膜は架橋
されたフィブリン繊維を主成分とする膜(フィブリンシ
ーラント)によって被覆されている。従って、本発明に
使用する生体吸収性メッシュの網目の大きさ、すなわち
メッシュサイズは、その網目構造を被覆しているフィブ
リンシーラントが充分な強度を保つために充分な大きさ
であればよい。例えば、一般には約0.3mm〜約5mm四方
(面積にして約0.1mm2〜約25mm2)、好ましくは約0.3mm
〜約3mm四方(面積にして約0.1mm2〜約9mm2)、より
好ましくは0.5mm〜2mm四方(面積にして約0.25mm2〜約4
mm2)のメッシュが利用できる。メッシュの網目が粗いほ
ど本発明の代用生体膜はより透明な膜となる。使用する
メッシュの厚さは使用目的に応じて選択することができ
るが、生体膜の損傷部を覆うためには、その厚さは一般
に約0.1mm〜約2.0mm、好ましくは約0.2mm〜約1.5mmで
あり、特に約0.2mm〜約0.6mm程度にすることもでき
る。
【0014】本発明の代用生体膜は種々の方法で作製す
ることができる。例えば、本発明の製造方法の一つの実
施態様では、本発明の代用生体膜は生体吸収性メッシュ
に生体吸収性メッシュに塩化カルシウムを含むトロンビ
ン溶液を滴下し、トロンビン溶液で濡らされた前述のメ
ッシュ上にフィブリノーゲン液を均等に滴下することに
よって作製することができる。本発明の更に別の実施態
様において、本発明の代用生体膜は、生体吸収性メッシ
ュをフィブリノーゲン溶液に浸漬し、これを引き上げ、
乾燥させることなく、カルシウムイオンおよびヒト血液
凝固第XIII因子存在下の溶液条件でトロンビンと反応さ
せることによって作製することもできる。どちらの方法
も生体組織と隔離した環境下で行なわれることが好まし
い。一連の反応により、メッシュの網目が架橋されたフ
ィブリン繊維を含む均一な薄い膜で被覆される。この反
応は常温で迅速に進行するため反応のための特別な環
境、例えば、温度、湿度、圧力、光等についての特別な
条件を必要としない。なお、本明細書において、ヒト血
液凝固第XIII因子は「第XIII因子」と略記されることが
ある。
【0015】このような方法において、使用されるフィ
ブリノーゲンの濃度はメッシュに固着させるフィブリノ
ーゲンの量に依存して選択することができる。メッシュ
に固着させるフィブリノーゲンの量は一般にメッシュの
単位面積あたりのフィブリノーゲン質量(mg/cm2)とし
て表し、好ましくは1.5mg/cm2〜15mg/cm2、より好まし
くは2mg/cm2〜10mg/cm2、特に好ましくは3mg/cm2〜8mg
/cm2である。トロンビン溶液中のトロンビンの濃度はフ
ィブリノーゲンからフィブリンへの変換が適当な時間内
に起こる限り特に限定されないが、一般には好ましくは
約50U/ml〜約2000U/ml、より好ましくは約50U/ml〜1000
U/ml、特に好ましくは約100U/ml〜500U/mlの濃度で使用
される(U:単位、以下同じ)。カルシウムイオン濃度
は10〜30mMが好ましく、15〜25mMが特に好ましい。また
第XIII因子の濃度は、10U/ml〜50U/mlが好ましく、20U/
ml〜40U/mlが特に好ましい。
【0016】上記においてカルシウムイオンは生理的に
許容できるカルシウム塩、例えば塩化カルシウムを使用
するのが好ましい。本発明の代用生体膜を比較的長期
間、例えば数週間維持する場合は更にアプロチニン、特
にウシアプロチニンを含むことが好ましい。アプロチニ
ンを含有させることにより、本発明の代用生体膜は生体
内における分解が遅延される。アプロチニンを使用する
場合は、その濃度は好ましくは100U/ml〜5000U/ml、よ
り好ましくは300U/ml〜3000U/ml、特に好ましくは500U/
ml〜2000U/mlの最終濃度となるようにフィブリノーゲン
液および/またはトロンビン液中に添加される。カルシ
ウムイオン供給源および/または第XIII因子は最終濃度
が上記の範囲となるように上述のフィブリノーゲン液お
よび/またはトロンビン溶液に予め添加しておいてもよ
く、フィブリノーゲン固着メッシュとトロンビンとを反
応させる直前に反応液中に添加してもよい。しかしなが
ら、トロンビンとカルシウムイオンは第XIII因子を活性
化するため、使用前にはこれらの三者の少なくとも1つ
は別の溶液中に調製されるのが好ましい。この別の溶液
中に調製される成分はフィブリノーゲン液中に含まれて
いてもよい。
【0017】本発明の別の実施態様では、本発明の代用
生体膜は、生体吸収性メッシュをフィブリノーゲンを含
む溶液(フイブリノーゲン液)に浸漬した後凍結乾燥す
る等により、粉末状のフィブリノーゲンを含む乾燥固体
フィブリノーゲンをメッシュに付着させ、その後その固
体フィブリノーゲンを圧縮することにより固体フィブリ
ノーゲンをメッシュの繊維に固着させ、更にカルシウム
イオンおよび第XIII因子存在下の溶液条件でトロンビン
と反応させることによって作製される。一連の操作は生
体組織と隔離した環境下で行なわれることが好ましい。
更にまた、本発明の別の実施態様において、本発明の代
用生体膜は、生体組織と隔離した環境下で、生体吸収性
メッシュに前述した濃度範囲のフィブリノーゲン溶液を
噴霧し、乾燥させた後、前述したと同様にカルシウムイ
オンおよび第XIII因子存在下の溶液条件でトロンビンと
反応させることにより作製される。あるいは、フィブリ
ノーゲン以外の他の成分を前述したような条件となるよ
うに生体吸収性メッシュに噴霧し、残りの成分と前述し
たように反応させることによって作製することもでき
る。これらの一連の操作も生体組織と隔離した環境下で
行なわれることが好ましい。
【0018】これらの乾燥工程を含む方法において、使
用する各試薬の濃度は前述した濃度と同様であり、反応
条件も同様である。乾燥は凍結乾燥によるのが好まし
く、固体フィブリノーゲンの水分含量は低い方が好まし
い。例えば、生体吸収メッシュに固着したフィブリノー
ゲンの水分含量は3%以下であることが好ましく、より
好ましくは2%以下、特に好ましくは1%以下とする。
圧縮は生体吸収性メッシュに空間的密度が疎に付着して
いる固体フィブリノーゲンを高密度でメッシュに固着さ
せることのできる方法であれば特に限定されない。例え
ば、固体フィブリノーゲンが付着したメッシュを適当な
フィルター、プラスチック板、プラスチックフィルムの
ような、平面状の構造物に挟んで平均的に圧力をかけて
もよく、或いは直接またはフィルムに挟んだメッシュ上
にローラーを転がすことによってもよく、指で全体にわ
たって固体フィブリノーゲンを押しつぶすことによって
圧力をかけてもよい。あるいは、プラスチックフィルム
等の薄いフイルムに挟んで、その上から、例えば馬楝の
ような器具を使用して摩擦しながら圧力をかけてもよ
い。この圧縮はタンパク質の変性を生じるほどの高温ま
たは低温でない限りどのような温度で行なってもよく、
例えば4℃〜室温で行なうことができる。本発明の別の
実施態様において、本発明の代用生体膜は、生体吸収性
メッシュ上に固体粉末状のフィブリノーゲンを付着さ
せ、次に前述した方法によって圧縮し、更にカルシウム
イオンおよび第XIII因子存在下の溶液条件でトロンビン
と反応させることによって作製される。使用する各試薬
の濃度、反応条件等は前述したのと同様である。上述し
たような方法で作製された本発明の代用生体膜は、その
成分において均一性を有し、僅かに白濁した半透明であ
るため、修復部位の内部を観察することができ、その結
果、縫合時の出血や内部損傷の状態を観察することがで
きる。本発明の代用生体膜は、合成繊維布自体の厚さに
比較して充分に薄く、その厚さも局所的不均一性を有す
る場合もあるが、一般には広い範囲にわたって比較的均
一性が保たれる。
【0019】本発明の代用生体膜は、フィブリノーゲ
ン、第XIII因子、トロンビン、塩化カルシウムを用いて
作製され、架橋されたフィブリン繊維を含み場合により
ウシアプロチニンを含む。従って、本発明の代用膜は、
生体吸収性繊維布(メッシュ)、フィブリン、第XIII因
子、未反応フィブリノーゲン、カルシウムイオン、およ
び場合によりウシアプロチニンを含み、架橋されたフィ
ブリン繊維が前述のメッシュの網目を被覆していること
を特徴とする。本発明の代用生体膜は、簡便には、市販
の医療手術材料、試薬あるいはキットを用いて作製する
こともできる。例えば、本明細書中の実施例において示
したように、市販のキットおよび実施例中に開示した条
件に準じて本発明の代用生体膜を作製することができ
る。また、本発明の代用生体膜は、生体組織と完全に隔
離した環境下において作製することができ、更に無菌的
に作製することができるため、生体に由来する血液その
他の体液あるいは組織片の混入の無い清潔で均一な膜と
して得ることができる。
【0020】本発明の代用生体膜作製用の合成人工繊維
布は、例えば、生体吸収性メッシュをフィブリノーゲン
を含む液に浸漬した後凍結乾燥する等により、粉末状の
フィブリノーゲンを含む乾燥固体フィブリノーゲンをメ
ッシュに付着させ、その後その固体フィブリノーゲンを
圧縮することにより固体フィブリノーゲンをメッシュの
繊維に固着させることによって作製することができる。
また、本発明の別の実施態様において、本発明の代用生
体膜は、生体吸収性メッシュ上に固体粉末状のフィブリ
ノーゲンおよび場合によりその他の成分を付着させ、次
に圧縮することによって作製される。更にまた、本発明
の別の実施態様において、本発明の代用生体膜作製用の
合成人工繊維布は、生体吸収性メッシュにフィブリノー
ゲンを含む溶液を噴霧し、乾燥後に圧縮することによっ
て作製することができる。これらの場合に使用されるフ
ィブリノーゲン以外の各成分は本発明の代用生体膜の作
製に関して上述した条件と同様であり、その濃度、反応
条件、および圧縮手段および条件も上述した条件と同様
である。例えば、使用されるフィブリノーゲン液は、カ
ルシウムイオンおよび/または第XIII因子を含んでいて
もよいことも上述したとおりである。それらの濃度も上
述したとおりである。圧縮方法、乾燥方法も前述したと
おりである。上述のように調製した本発明の代用生体膜
作製用の合成人工繊維布は、本発明の代用生体膜作製の
直前まで保存することが可能である。保存は密閉容器
中、冷所、例えば約4℃で行なうことができる。この目
的のためには、シール可能なアルミ製の袋、種々のポリ
マー製の袋が利用できる。使用に際しては前述の条件下
でトロンビンと反応させればよい。
【0021】本発明のキットは、上述のように適切な容
器中に保存した本発明の代用生体膜作製用の合成人工繊
維布、即ち、密閉容器中に収納された固体フィブリノー
ゲン及び、場合によりその他の成分が固着した合成生体
吸収性繊維布、トロンビン、第XIII因子、およびカルシ
ウムイオン供給源、例えば、カルシウム塩、特に塩化カ
ルシウムを含む。合成生体吸収性繊維布にフィブリノー
ゲン以外の上述の成分が更に固着している場合、例え
ば、第XIII因子および/またはカルシウムイオン供給源
が固着している場合には、これらは別個に提供される必
要はない。また、トロンビン、第XIII因子およびカルシ
ウム塩は固体状態で存在していても溶液の状態で存在し
ていてもよく、適切な容器、例えば、ガラスバイアルや
プラスチック容器中に存在する。好ましくは、第XIII因
子およびトロンビンは固体、特に粉末状態で存在する。
固体の場合は、使用時に前述した濃度となるように水、
または生理的に許容できるバッファー例えば、リン酸緩
衝生理食塩水(PBS)のようなバッファー、あるいは、
キット中の他のバイアル中の、他の成分を含む溶液に溶
解し、液体の場合は、水または前述のようなバッファー
の溶液中に単独または他の成分と共に提供される。更
に、本発明のキットはウシアプロチニン、特にウシアプ
ロチニン溶液を含んでいてもよい。
【0022】本発明のキットにおいて、本発明の代用生
体膜を収納した容器、トロンビンを収納した容器、カル
シウム塩を収納した容器は、独立であってもよいが、前
述したように、これらの幾つかは同一の容器に含まれて
いてもよい。その組み合わせとしては、例えば、トロン
ビン、第XIII因子およびカルシウムイオン供給源のうち
少なくとも1つは別容器中に収納されることが好まし
い。これらの組み合わせとしては、例えば、固体フィブ
リノーゲンおよび第XIII因子が固着した合成生体吸収性
繊維布を収納した容器、カルシウム塩を含む容器、およ
びトロンビン溶液を収納した容器の組み合わせ、固体フ
ィブリノーゲンおよび第XIII因子が固着した合成生体吸
収性繊維布を収納した容器、トロンビンおよびカルシウ
ム塩を含む容器の組み合わせが挙げられる。更にウシア
プロチニンを収納した容器が前述した最終濃度となるよ
うに独立に、または、いずれか若しくは両方の容器に含
まれていてもよい。この場合、キット中の複数の容器が
開平可能、または破壊可能な連結手段によって連結され
ていてもよい。更に、本発明のキット中の各容器は、上
述した成分以外に血清アルブミン、L-アルギニン、L-イ
ソロイシン、L-グルタミン酸ナトリウム、D-マンニトー
ル等を含んでいてもよい。本発明のキットの一つの実施
態様においては、開平可能手段を開くことにより、また
は、連結手段を破壊することによってトロンビンおよび
その他の成分を含む溶液が前述の繊維布を収納した容器
中に流れ込み本発明の代用生体膜が作製される。上述し
たいずれの態様においても、本発明のキットは冷所保存
するのが好ましい。
【0023】本発明の代用生体膜、その代用生体膜作製
用のフィブリノーゲン固着合成人工繊維布および本発明
のキットに使用するフィブリノーゲン、トロンビン、第
XIII因子は、本発明の代用生体膜の使用対象の生物種に
由来することが好ましい。例えば、ヒトに対して使用す
る場合は、ヒトフィブリノーゲン、ヒトトロンビンおよ
びヒト第XIII因子を使用することが好ましい。本発明の
代用生体膜を構成する材料および成分は、作製前に滅菌
されていることが好ましい。これらの滅菌法法は当業者
に良く知られており、滅菌済みのメッシュ、フィブリノ
ーゲン、トロンビン、第XIII因子等、特に滅菌済みのヒ
トフィブリノーゲン、ヒトトロンビン、ヒト第XIII因
子、またはこれらの適切な組み合わせは商業的にも入手
可能である。
【0024】上述のようにして作製した本発明の代用生
体膜はその耐圧性および液体漏出防止能について試験を
してもよい。特に、臨床の場において、本発明の代用生
体膜の作製条件を変更した場合には、そのような試験を
行なうのが特に好ましい。具体的には、密閉可能な適当
な容器に直径数cm程度の穴を開け、硬膜等の治療しよう
とする部位の生体膜を固定した後、更に、その中央部に
欠損部を作製する。この欠損部を本発明の代用生体膜で
覆い、周辺を手術用のナイロン糸で縫合をする。更に、
連結管にてこの容器にマノメーターと加圧シリンジを接
続し、加圧シリンジにて加圧する。代用生体膜周辺の液
体の漏れを肉眼で観察し、あるいは、マノメーターで内
部圧を監視することにより液体漏出および膜破綻条件を
知ることができる。
【0025】本発明の人工代用生体膜は、治療、すなわ
ち修復が必要ないかなる部位の生体膜の代用としても使
用することができる。それらの生体膜の例としては、硬
膜、腹膜、胸膜、肝臓および肺その他の臓器の臓器表
面、体腔内の膜部分を挙げることができる。これらの生
体膜の修復に使用する場合、一般的な手術法に従い、本
発明の人工代用生体膜を縫合すればよい。例えば、本発
明の代用生体膜を硬膜の代用として使用する場合、約2.
0〜4.0mm間隔で周囲を縫合することができる。場合によ
り、縫合部位には更にフィブリングリューを噴霧して、
縫合不全による漏出を防止してもよい。好ましい実施態
様の一つにおいては、本発明の代用生体膜は約40kPa(3
00mmHg)以上の圧力に耐え、従って、そのような高い内
圧を有する部位にも使用することができる。例えば、ヒ
トの正常脳圧は約0.7kPa〜1.5kPa(5〜11mmHg)である
ため、代用硬膜として特に適している。特に、本発明の
実施態様の一つにおいて、ビーグル犬においては生体吸
収性合成繊維布としてポリグラクチン910メッシュを用
いた場合は約10週間までにフィブリンシーラントおよ
び合成繊維が生体内で分解、吸収され完全に膠原線維膜
に置換されることが示され、同時にくも膜との癒着は極
めて僅かであることが示される。従って、本発明の代用
生体膜は、短期間に損傷した生体膜を修復するために充
分な機能を備えており、生体膜の修復が必要な一般的な
疾病または創傷の治療に使用することができる。
【実施例】実施例1.人工代用生体膜(フィブリンシー
ラント・メッシュ膜)の作製(1) 人工代用生体膜(フィブリンシーラント・メッシュ膜)
の作製には、市販の生体吸収性メッシュ(合成繊維布)
およびキットを使用した。 バイクリルメッシュ(ポリグラチン910メッシュ:Virci
l Mesh, Ethicon Inc., U.S.A.)を4cmx4cm(16 sq.
cm)の大きさに切断し、10cmプラスチックシャーレ中に
置いた。1ml用のボルヒール・キット(ボルヒールBolhea
l、藤沢薬品工業株式会社)(表1参照)中のトロンビン
粉末(トロンビン250U)を塩化カルシウムを含む溶液1.
0mlで溶解して、それを1mlのシリンジに吸い込んだ.
【0026】
【表1】表1.ボルヒール・キットの内容
【0027】このトロンビン溶液0.2mlでシャーレ上の
バイクリルメッシュを均等に湿潤させた。次に、キット
中の凍結乾燥フィブリノーゲン80mgおよび第XIII因子75
Uを含むバイアルにアプロチニン(1000KIE)を含む溶液
1mlを添加して混合し、フィブリノーゲン液を作製し
た。得られた約1mlのフィブリノーゲン液のうち約0.5ml
を1mlシリンジに吸い込んだ。次に、シャーレ上に置か
れ、予めトロンビン液で濡れている前述のバイクリルメ
ッシュ上に,1mlシリンジから0.5mlのフィブリノーゲン
液を均等に滴下した。この後、約2〜3分間静置するこ
とによって、約2.5mg(2.0mg〜2.5mg)フィブリノーゲ
ン/(1cm2メッシュ)の代用生体膜が形成された。膜は
僅かに白濁した半透明であり、その厚さは約0.6mmであ
った。形成された代用生体膜をシャーレから剥離して、
以後の実験に使用した。
【0028】実施例2.人工代用生体膜(フィブリンシ
ーラント・メッシュ膜)の作製(2) 実施例と同じメッシュおよびキットを使用して人工代用
生体膜を以下のように作製した。実施例1と同じメッシ
ュおよびキットを使用して人工代用生体膜を以下のよう
に作製した。 バイクリルメッシュ(ポリグラチン910メッシュ Vicryl
Mesh, Ethicon Inc.,U.S.A.)を4 cm x 4 cm (16 sq.c
m)の大きさに切断し,10 cmプラスチックシャーレ中に
置いた。3 ml用のボルヒール・キット(ボルヒールBolhe
al, 藤沢薬品工業株式会社)(表1参照の1ml用と同成
分)中の凍結乾燥フィブリノーゲン240mgおよび第XIII
因子225Uを含むバイアルにアプロチニン(3000KIE)を含
む溶液3mlを添加して混合し、3mlのフィブリノーゲン液
を作製した。約1mlのフィブリノーゲン液をキット中に
含まれる3mlの噴霧用シリンジに吸い込んだ。トロンビ
ン粉末(トロンビン 750U)を塩化カルシウムを含む溶液
1.0mlで溶解して、そのうちの0.4mlを1mlのシリンジに
吸い込んだ。それぞれのシリンジをキット中に含まれる
ボルヒールスプレーセットに装着した。スプレーを用い
てフィブリノーゲン液とトロンビン液の半量(約0.7m
l)を同時にシャーレの上のバイクリルメッシュに均等
に噴霧した。この後、約2〜3分間静置することによっ
て、約2.5mg(2.0mg〜2.5mg)フィブリノーゲン/(1cm2
ッシュ)の代用生体膜が形成された。膜は僅かに白濁す
るものの半透明であり、その厚さは約0.5mmであった。
形成された代用生体膜をシャーレから剥離して以後の実
験に使用した。実施例3.人工代用生体膜(フィブリンシーラント・メ
ッシュ膜)の作製(3) 実施例1と同じメッシュおよびキットを使用して人工代
用生体膜を以下のように作製した。 バイクリルメッシュ(ポリグラチン910メッシュ Vicryl
Mesh, Ethicon Inc.,U.S.A.)を4 cm x 4 cm (16 sq.c
m)の大きさに切断し、10 cmプラスチックシャーレ中に
置いた。1 ml用のボルヒール・キット(ボルヒールBolhe
al, 藤沢薬品工業株式会社)(表1参照)中の凍結乾燥
フィブリノーゲン80mgおよび第XIII因子75Uを含むバイ
アルから凍結乾燥粉末を粉砕して取り出した。それをプ
ラスチックシャーレ上のメッシュに均等にまぶした。そ
の上にアプロチニン(3000KIE)を含む溶液0.5mlを滴下し
てフィブリノーゲンをゲル化した。トロンビン粉末(ト
ロンビン 250U)を塩化カルシウムを含む溶液1.0mlで溶
解して、そのうちの0.4mlを1mlのシリンジに吸い込ん
だ。この溶液をシャーレの上のバイクリルメッシュに均
等に滴下した。この後、約2〜3分間静置することによっ
て、約5.0mg(4.0mg〜5.0mg)フィブリノーゲン/(1cm2
ッシュ)の代用生体膜が形成された。その厚さは約0.8m
mであった。形成された代用生体膜をシャーレから取り
出して以後の実験に使用した。
【0029】実施例4.代用生体膜の病理組織所見 実施例1、2、3で得られたフィブリンシーラント・メッ
シュ膜をパラフィン封埋して薄切し、ヘマトキシリン・
エオジン(HE)染色とマッソン・トリクローム(MT)染色を
行い、フィブリンクロットの組織所見を観察した。組織
所見は、実施例1、実施例3、実施例3によって得られ
たものでは、類似した所見であった。バイクリルメッシ
ュを構成するポリフィラメントの4-0バイクリル糸(直
径0.15〜0.20mm)は、比較的均等なフィブリンクロット
で覆われており、一様な膜になっていた。フィブリンク
ロットは密であり、間隙を認めなかった。実施例2で作
製した代用生体膜のHE染色によって、交叉するバイクリ
ル糸の間隙を埋めるようにフィブリンクロットが存在す
ることが示された。この膜の厚さは、バイクリル糸が存
在せずクロットのみの部分の最薄部分で0.23mmであり、
バイクリル糸が交叉する最も厚い部分において0.50mmで
あった。また、MT染色での強拡大像を観察することによ
り、フィブリンクロットはバイクリル糸を被包して密で
あることが示され、気泡の混入は認められなかった。肉
眼的には、この膜は半透明であり、柔らかく折り曲げて
も裂けることがなく、引っ張り応力に体しても強く多少
の伸縮性を有していた。
【0030】実施例5. 代用生体膜の縫合試験 本発明の代用生体膜がヒト硬膜組織との間に親和性があ
り実際に縫合が可能か否かを見るために以下の実験を行
なった。直径40mmの穴が開いたプラスチックボトルの蓋
に、湿潤させたヒト硬膜を固定した後、中央に直径15mm
の硬膜欠損部を作製した。硬膜欠損部を本発明の代用生
体膜で覆い,膜の周辺を4-0ナイロン縫合糸を用いて2.5
mm間隔にて結節縫合した。代用生体膜は伸縮性を有して
おり、縫合は非常に容易であった。また、針穴が裂けて
開大することもなく、密に縫合が可能であった。
【0031】実施例6. 代用生体膜の耐圧試験 本発明の代用生体膜の液体漏出防止効果をみるための加
圧耐性は、水圧による耐圧試験にて測定した。5mlのプ
ラスチック・シリンジの外筒を利用し、直径12mmのシリ
ンジ末端の穴に直径30mmの代用生体膜を被せ、伸縮性フ
ィルム(Novix II、岩城硝子、東京)を用いて周囲を密
着させた。脇漏れを防ぐためにさらに周囲を輪ゴムで巻
いた。シリンジ先端にチューブを連結して三方活栓の一
端と繋いだ。医療用加圧バック(テルフレックス・メデ
ィクイックACS222、テルモ、東京)に装着された500ml
の生理食塩水を点滴用のチューブを用いて三方活栓のも
う一つの端に連結した。残った三方活栓の一方には血圧
測定用の圧トランスディーサー(DSK-101L、川澄化学、
東京)を連結して、加圧力計測ができるようにした。加
圧は53kPa(400mmHg)まで上昇させることができる条件
を設定した。圧力測定はデジタル表示記録ができるCATO
PM9040(日本ドレーゲル、東京)で行ない、この測定
限界は41kPa(310mmHg)であった。肉眼的に代用生体膜
の一部が破綻し生理食塩水の噴出を見たときの圧力を破
綻圧として記録することとした。測定は同一条件で10回
行なった。
【0032】その結果、測定限界値である41kPa(310mm
Hg)までの加圧では、代用生体膜の破綻は全く見られな
かった。41kPa(310mmHg)以上の圧で加圧したままの状
態において、圧力で膨隆した代用生体膜に27ゲージの注
射針で穿刺すると、生理食塩水が細い糸線状になって噴
出した。1分間の観察では、この小孔が開大して漏れの
程度が増加することはなかった。場合によっては逆に、
27ゲージ針で開けられた穴から生理食塩水が漏れた後に
自然に閉鎖して漏れが止まるという現象も見られた。
【0033】実施例7.生体内における代用生体膜の挙
動実験 ビーグル成犬4頭を用いて動物実験を行なった。 (i)硬膜との縫合手術 ビーグル成犬3頭を挿管管理による全身麻酔下におき、
両側頭頂前頭開頭を行ない、左右に各々1箇所、10mm四
方の正方形の硬膜欠損部を作製した。その部位を10mmx
10mmの本発明の代用膜で覆い、周囲を4-0ナイロン縫合
糸を用いて連続縫合し、硬膜形成した。 (ii)術後4週間 術後4週間のHE染色とMT染色標本では、本発明の代用生
体膜を構成するフィブリンシーラントは完全に吸収さ
れ、膠原線維の膜に置換されていた。ポリグラクチン91
0メッシュの繊維は、一部溶解せずに残存していた。本
発明の代用生体膜を置いた部分の周囲には白血球浸潤は
見られず、炎症反応は観察されなかった。また、膠原線
維に置換された本発明の代用生体膜と脳表、すなわちく
も膜との癒着は非常に軽度であった。
【0034】自家硬膜との縫合による接合部位では、膠
原線維膜に置換された本発明の代用生体膜と自家硬膜の
膠原線維との間に明瞭な空隙はなく、完全に線維性癒合
しており、接合部位は不明瞭であった。くも膜および軟
膜と脳実質組織の観察では、GFAP染色にて灰白質と深部
白質にグリオーシスを全く認めず、かつ反応性アストロ
サイトの増殖もなかった。LFB染色では、神経細胞と繊
維に変性像は見られず、脳組織は正常所見を呈してい
た。
【0035】(iii)術後10週間 術後10週間の標本にて、4週間後の標本との相違点
は、ポリグラクチン910メッシュの繊維が完全に吸収さ
れていたことのみであった。MT染色により、本発明の代
用生体膜は完全に膠原線維膜に置換され、組織学的に自
家硬膜との判別ができないような組織形成であることが
示された。
【0036】(iv) 動脈縫合不全部位の止血処置 ビーグ成犬1頭を挿管管理による全身麻酔科におき,開
胸により胸部大動脈を露出した。肋間動脈を1本結紮切
断した後,大動脈に21ゲージの注射針で穿刺し血圧をモ
ニターし、麻酔深度により収縮期血圧を160 mmHg前後に
保った。次いで,大動脈を2箇所遮断し、その間で動脈
壁に5 mmの横切開を入れた。縫合不全を作製するために
切開部位に6-0プロリン縫合糸を用いて3箇所の意図的
に大まかな結節縫合を行った。その後に遮断を開放し、
縫合部位の間から血液噴出があることを確認した後に、
再度大動脈を遮断した。本発明の代用生体膜を11mmの
幅,約60mmに裁断して、それを大動脈切開部を覆うよう
に周囲に1重に巻き,生体膜がはずれないように6-0プ
ロリン縫合糸にて縫合して固定した。再度大動脈の遮断
を開放したが、縫合不全部位からの血液漏出を認めなか
った。この時の最高収縮期血圧は166mmHgであった。同
様に右の大腿動脈を露出して、動脈壁に2mmの線状切開
をし、6mm幅の本発明の代用生体膜を切開部位の周囲に
巻いて生体膜を縫合糸にて固定した。この場合も切開部
位からの出血は停止していた。
【0037】実施例8.キットの作製 実施例3に記載した方法を用いて作製した、フィブリノ
ーゲン粉末とヒト血液凝固第XIII因子がついた約4 cm四
方の生体吸収性人工繊維布をガラス製のシャーレに入れ
て密封した。次に、500Uのトロンビン粉末,5mgの塩化
カルシウム溶液1ml,2500KIUのウシアプロチニン溶液1m
lをそれぞれ独立に含む4本のバイアルを作製した。これ
らの試薬の調整方法および使用法を記載した説明書を作
製し、フィブリノーゲンが付着した生体吸収性人工繊維
布を収納した容器および3本のバイアルと共に更に収納
容器に入れ、冷暗所に保存した。
【0038】
【発明の効果】本発明により、動物、特にヒト生体膜の
代用として使用し得る人工の膜、即ち人工代用生体膜、
その作製方法およびその作製のためのフィブリノーゲン
固着生体吸収性人工繊維布が提供される。また、本発明
のキットを使用することにより、本発明の人工代用生体
膜を簡便に作製することができる。特に、本発明によ
り、生体膜の代用とすることのできる、外科的縫合可能
な柔軟性と強度を有し、内部の生体液の漏れが極めて少
なく、感染誘発や炎症惹起性が極めて低い、生体吸収性
および/または生分解性である、透見性を有し、かつ、
吸収過程において自家繊維組織に置換され得る人工代用
生体膜が提供される。本発明の代用生体膜により、短期
間に損傷した生体膜を修復するために充分な機能を備え
ており、生体膜の修復が必要な一般的な疾病または創傷
の治療を短期間に行なうことができる。更に、本発明の
代用生体膜は半透明であるため、本発明の代用生体膜を
用いて修復した部位の内部を観察することができ、その
結果、縫合時の出血や内部損傷の状態を観察することが
可能となる。

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体吸収性および/または生分解性の合
    成繊維布を骨格とし、前記合成繊維布の少なくとも一部
    が架橋されたフィブリン繊維を主成分とする膜で被覆さ
    れていることを特徴とする代用生体膜。
  2. 【請求項2】 生体吸収性および/または生分解性の合
    成繊維布が網目構造を有し、前記網目が0.1mm2〜25mm2
    の大きさを有し、かつ、前記網目が架橋されたフィブリ
    ン繊維を主成分とする膜で被覆されている、請求項1に
    記載の代用生体膜。
  3. 【請求項3】 フィブリンがヒトフィブリンである、請
    求項1または2に記載の代用生体膜。
  4. 【請求項4】 生体吸収性および/または生分解性の合
    成繊維布が、ポリグリコール酸繊維、ポリ乳酸繊維、グ
    リコール酸と乳酸との共重合繊維、およびポリp-ジオキ
    サノン繊維からなる群より選ばれる繊維を含む、請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の代用生体膜。
  5. 【請求項5】 固体フィブリノーゲンを固着させた、生
    体吸収性および/または生分解性合成繊維布。
  6. 【請求項6】 フィブリノーゲンがヒト由来である、請
    求項5に記載の合成繊維布。
  7. 【請求項7】 更に、固体第XIII因子を固着させた、請
    求項5に記載の合成繊維布。
  8. 【請求項8】 フィブリノーゲンおよび第XIII因子がヒ
    ト由来である、請求項7に記載の合成繊維布。
  9. 【請求項9】 網目構造を有し、前記網目が0.1mm2〜25
    mm2の大きさを有する、請求項5〜8のいずれか1項に
    記載の合成繊維布。
  10. 【請求項10】 生体吸収性および/または生分解性の
    合成繊維布が、ポリグリコール酸繊維、ポリ乳酸繊維、
    グリコール酸と乳酸との共重合繊維およびポリp-ジオキ
    サノン繊維からなる群より選ばれる繊維を含む、請求項
    5〜9のいずれか1項に記載の合成繊維布。
  11. 【請求項11】 生体吸収性および/または生分解性の
    合成繊維布を、フィブリノーゲン、第XIII因子、カルシ
    ウム塩、アプロチニンおよびトロンビンと同時、または
    時系列的に溶液中で、前記合成繊維布が架橋されたフィ
    ブリン繊維を主成分とする膜で被覆される条件下で共存
    させる工程を含み、前記工程において、フィブリノーゲ
    ンからフィブリン繊維への転換及びフィブリン繊維の架
    橋が生じる、請求項1に記載の代用生体膜の製造方法。
  12. 【請求項12】生体吸収性および/または生分解性の合
    成繊維布と、フィブリノーゲン、第XIII因子、カルシウ
    ム塩、アプロチニンおよびトロンビンの少なくとも1つ
    との共存が、フィブリノーゲン、第XIII因子、カルシウ
    ム塩、アプロチニンおよびトロンビンの前記少なくとも
    1つを含む溶液の前記合成繊維布への噴霧によって行な
    われる、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 以下の工程を含む、請求項11に記載
    の方法: a) 生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布を
    トロンビン及び塩化カルシウムを含む溶液中に浸漬する
    工程; b)a)で得られた合成繊維布をフィブリノーゲン、第
    XIII因子およびアプロチニンを含む溶液と接触させ、前
    記溶液中でフィブリノーゲンからフィブリン繊維への転
    換を生じさせる工程。
  14. 【請求項14】 以下の工程を含む、請求項11に記載
    の製造方法: a)フィブリノーゲンを生体吸収性および/または生分
    解性の合成繊維布に付着させる工程; b)a)で得られた合成繊維布を、溶液中で第XIII因
    子、トロンビン、塩化カルシウム、アプロチニン存在下
    に置き、フィブリノーゲンからフィブリン繊維への転換
    及びフィブリン繊維の架橋を生じさせる工程。
  15. 【請求項15】 以下の工程を含む、請求項11に記載
    の製造方法: a)フィブリノーゲンを生体吸収性および/または生分
    解性の合成繊維布に付着させる工程; b)工程a)において得られた、フィブリノーゲン固着
    合成繊維布に圧力をかけ、固体フィブリノーゲンを更に
    強く前記合成繊維布に固着させる工程; c)b)で得られた合成繊維布を、溶液中で第XIII因
    子、トロンビン、塩化カルシウム、アプロチニン存在下
    に置き、フィブリノーゲンからフィブリン繊維への転換
    及びフィブリン繊維の架橋を生じさせる工程。
  16. 【請求項16】 フィブリノーゲンを生体吸収性および
    /または生分解性の合成繊維布に付着させる工程が、 a) 生体吸収性および/または生分解性の合成繊維布
    をフィブリノーゲンを含む溶液に浸漬する工程; b)a)で得られた合成繊維布を単独、または、a)で
    使用した溶液中にあるまま凍結乾燥する工程、を含む、
    請求項15に記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 フィブリノーゲン、トロンビンおよび
    第XIII因子がヒト由来である、請求項11〜16のいず
    れか1項に記載の方法。
  18. 【請求項18】 生体吸収性および/または生分解性の
    合成繊維布が網目構造を有し、前記網目が0.1mm2〜25mm
    2の大きさを有することを特徴とする、請求項11〜1
    7のいずれか1項に記載の方法。
  19. 【請求項19】 生体吸収性および/または生分解性の
    合成繊維布が、ポリグリコール酸繊維、ポリ乳酸繊維、
    グリコール酸と乳酸との共重合繊維、およびポリp-ジオ
    キサノン繊維からなる群より選ばれる繊維を含む、請求
    項11〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 【請求項20】 請求項5、6、9、10のいずれか1
    項に記載のフィブリノーゲンを固着させた生体吸収性お
    よび/または生分解性合成繊維布を収納した密閉容器、
    第XIII因子を含む容器、トロンビンを含む容器、カルシ
    ウム塩を含む容器、アプロチニンを含む容器、を含むキ
    ット。
  21. 【請求項21】 請求項7〜10のいずれか1項に記載
    のフィブリノーゲンおよび第XIII因子を固着させた生体
    吸収性および/または生分解性合成繊維布を収納した密
    閉容器、トロンビンを含む容器、カルシウム塩を含む容
    器、アプロチニンを含む容器、を含むキット。
  22. 【請求項22】 トロンビン、カルシウム塩およびアプ
    ロチニンの2以上を同一容器内に含む、請求項20また
    は21に記載のキット
  23. 【請求項23】 フィブリノーゲンを固着させた生体吸
    収性および/または生分解性の合成繊維布を収納した容
    器が、トロンビンを含む容器、第XIII因子を含む容器、
    カルシウム塩を含む容器、アプロチニンを含む容器の少
    なくとも一つと破壊可能な手段で連結している、請求項
    20に記載のキット。
  24. 【請求項24】 フィブリノーゲンおよび第XIII因子を
    固着させた生体吸収性および/または生分解性の合成繊
    維布を収納した容器がトロンビンを含む容器、カルシウ
    ム塩を含む容器、アプロチニンを含む容器の少なくとも
    1つと破壊可能な手段で連結している、請求項21に記
    載のキット。
  25. 【請求項25】 フィブリノーゲン、トロンビン、第XI
    II因子の少なくと1つがヒト由来である、請求項20〜
    24のいずれか1項に記載のキット。
  26. 【請求項26】 フィブリノーゲンを固着させた生体吸
    収性および/または生分解性合成繊維布網目構造を有
    し、前記網目が0.1mm2〜25mm2の大きさを有する、請求
    項20〜25のいずれか1項に記載の合成繊維布。
  27. 【請求項27】 フィブリノーゲンを固着させた生体吸
    収性および/または生分解性の合成繊維布が、ポリグリ
    コール酸繊維、ポリ乳酸繊維、グリコール酸と乳酸との
    共重合繊維、およびポリp-ジオキサノン繊維からなる群
    より選ばれる繊維を含む、請求項20〜26のいずれか
    1項に記載のキット。
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