WO2012026154A1

WO2012026154A1 - 部材取付具、部材取付構造、および、部材取付方法

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Publication number: WO2012026154A1
Application number: PCT/JP2011/058319
Authority: WO
Inventors: 宗一郎川田; 良明鍛治; 聡中島
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2010-08-26
Filing date: 2011-03-31
Publication date: 2012-03-01
Also published as: JP2012047264A

Abstract

　部材取付構造は、ボードの一面に部材を取り付けるためのボードアンカーおよび係止具を備える。ボードアンカーは、ボルトと、ボルトが取り付けられるソケットと、を備える。ソケットは、ボードを貫通するように配置されボルトのネジ棒が挿入される本体部と、本体部の端部に形成されボードの一面に当接されるフランジと、を備える。本体部は、ネジ棒と結合するように構成されたナットと、ナットにボルトがねじ込まれることによって変形してフランジとともにボードを挟み込むアンカーと、を備える。係止具は、ネジ棒の直径より大きく頭部の直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、かつ、フランジより大きく形成され、部材におけるボード側とは反対側において、部材を貫通する貫通孔の開口縁部に接触するように配置される。ボルトは、アンカーが変形することによってアンカーと係止具との間に部材とボードとが挟まれるように、係止具の挿通孔を通してソケットのナットにねじ込まれている。

Description

部材取付具、部材取付構造、および、部材取付方法

　本発明は、部材取付具、部材取付構造、および、ボードアンカーを用いてボードに部材を取り付ける部材取付方法に関する。

　住宅などの建築物の床、壁、天井等のボードに対して部材（ワーク）を固定しようとする場合、木ネジ等を用いたのでは十分な強度が得られない場合（ボードが石膏である場合等）がある。従来、このような場合には、ボードアンカーを用いた取付構造が採用される（日本国公開特許公報２００３－１３９２８号等参照）。

　前記取付構造は、図１０、図１１（ａ），（ｂ）に示すようなものであり、図１１（ａ），（ｂ）に示すボードアンカー１００を用いて、図１０の（ｉ）～（ｖｉ）に示す工程でワーク１０９をボード１１０の前面に取付固定する。

　ボードアンカー１００は、筒状のソケット１０１と、このソケット１０１内に挿入されるネジ部材１０８とで主体を形成する。ソケット１０１は、第一筒部１０２と、ナット状の第二筒部１０３との間に、複数の割片１０４を設けた構造である。第一筒部１０２にはフランジ１０５を形成しており、このフランジ１０５には、ワーク１０９の前面に係止する先鋭状の係止片１０６を設けている。また、第二筒部１０３の内周面に形成している雌ネジは、ネジ部材１０８の外周面に形成した雄ネジと噛み合う寸法形状である。

　以下、図１０の各手順について詳しく述べる。

　まず、図１０中の（ｉ）工程のように、取付孔１０７をあける位置を決める。そして、図１０中の（ｉｉ）工程のように、所定の位置にあけた取付孔１０７内にボードアンカー１００を挿入し、図１０中の（ｉｉｉ）工程にてネジ部材１０８を締め付ける。ネジ部材１０８の締め付けにより、ネジ部材１０８に噛み合うナット状の第二筒部１０３は、前方へと移動してフランジ１０５側に接近する。第二筒部１０３の接近により、図１１（ｂ）に示すように、複数の割片１０４にはそれぞれ前後に挟み込む外力が作用し、この外力で屈曲された各割片１０４とフランジ１０５との間に、ボード１１０が挟み込まれる。

　ここで、図１０中の（ｉｖ）工程のように、ボード１１０に取付固定されたソケット１０１から、ネジ部材１０８を一旦取り外す。その後、図中（ｖ）工程のように、ボード１１０前面の所定箇所にワーク１０９を位置合わせする。そして、図１０中の（ｖｉ）工程のように、位置合わせしたワーク１０９の前面から、先ほど取り外したネジ部材１０８を挿入する。このネジ部材１０８を、ボード１１０裏面側に固定される第二筒部１０３に噛み合わせ、締め付ける。

　以上の工程により、ワーク１０９がボード１１０の前面に取付固定される。

　上記した従来のワーク取付構造では、ネジ部材１０８を一旦引き抜いたうえで再度挿入して締め付ける工程が必要となる。そのため、既述したような多数の工程が必要となり、取付作業に手間がかかるという問題があった。

　本発明は前記問題点に鑑みて発明したものであって、少ない工程で確実に部材をボードに取付固定することのできる部材取付具、部材取付構造、および部材取付方法を提供することを、課題とする。

　本発明に係る部材取付具の第１の形態は、ボードの一面に部材を取り付けるための部材取付具であって、ボードアンカーと、係止具と、を備え、前記ボードアンカーは、ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備え、前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、前記ソケットは、前記ボードを貫通するように配置され前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成され前記ボードの前記一面に当接されるフランジと、を備え、前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって変形して前記フランジとともに前記ボードを挟み込むアンカーと、を備え、前記係止具は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、かつ、前記フランジより大きく形成され、前記部材における前記ボード側とは反対側において、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔の開口縁部に接触するように配置され、前記ボルトは、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれるように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットの前記ナットにねじ込まれている。

　本発明に係る部材取付具の第２の形態は、上記部材取付具の第１の形態において、前記本体部は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の直径より小さい内径を有する筒状に形成された筒体を有し、前記フランジは、前記筒体より大きい外径を有し、前記筒体の第１端に形成され、前記ナットは、前記筒体以下の外径を有し、前記アンカーは、複数の割片により構成され、前記割片の各々は、前記筒体の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、前記筒体と前記ナットとが同軸上に位置するように前記ナットを前記筒体の第２端に連結するように構成され、かつ、前記ボルトを前記筒体を通して前記ナットにねじ込んで前記ナットを前記筒体に接近させることによって前記筒体の前記外側面より外方へ突出するように屈曲するように構成される。

　本発明に係る部材取付具の第３の形態は、上記部材取付具の第１または第２の形態において、前記係止具は、前記挿通孔を有するフランジ対向板と、係止板と、ネジ包囲板と、を備え、前記フランジ対向板は、前記貫通孔より小さく、かつ、前記フランジより大きい板状に形成され、前記貫通孔内で前記フランジに接触するように配置され、前記係止板は、前記貫通孔より大きい板状に形成され、前記貫通孔の前記開口縁部に接触するように配置され、前記ネジ包囲板は、前記フランジ対向板を前記係止板に連結するように構成される。

　本発明に係る部材取付構造の第１の形態は、ボードと、部材と、前記ボードの一面に前記部材を取り付けるためのボードアンカーおよび係止具と、を備え、前記ボードアンカーは、ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備え、前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、前記ソケットは、前記ボードを貫通するように配置され前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成され前記ボードの前記一面に当接されるフランジと、を備え、前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって変形して前記フランジとともに前記ボードを挟み込むアンカーと、を備え、前記係止具は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、かつ、前記フランジより大きく形成され、前記部材における前記ボード側とは反対側において、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔の開口縁部に接触するように配置され、前記ボルトは、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれるように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットの前記ナットにねじ込まれている。

　本発明に係る部材取付構造の第２の形態は、上記部材取付構造の第１の形態において、前記本体部は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の直径より小さい内径を有する筒状に形成された筒体を有し、前記フランジは、前記筒体より大きい外径を有し、前記筒体の第１端に形成され、前記ナットは、前記筒体以下の外径を有し、前記アンカーは、複数の割片により構成され、前記割片の各々は、前記筒体の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、前記筒体と前記ナットとが同軸上に位置するように前記ナットを前記筒体の第２端に連結するように構成され、かつ、前記ボルトを前記筒体を通して前記ナットにねじ込んで前記ナットを前記筒体に接近させることによって前記筒体の前記外側面より外方へ突出するように屈曲するように構成される。

　本発明に係る部材取付構造の第３の形態は、上記部材取付構造の第１または第２の形態において、前記係止具は、前記挿通孔を有するフランジ対向板と、係止板と、ネジ包囲板と、を備え、前記フランジ対向板は、前記貫通孔より小さく、かつ、前記フランジより大きい板状に形成され、前記貫通孔内で前記フランジに接触するように配置され、前記係止板は、前記貫通孔より大きい板状に形成され、前記貫通孔の前記開口縁部に接触するように配置され、前記ネジ包囲板は、前記フランジ対向板を前記係止板に連結するように構成される。

　本発明に係る部材取付構造の第４の形態は、上記部材取付構造の第１～第２のうちいずれか１つの形態において、前記部材は、前記ボード側とは反対側の面に、前記係止具より大きい凹所を有し、前記貫通孔は、前記凹所の底面に形成されている。

　本発明に係る部材取付方法は、ボードの一面に部材を取り付けるための部材取付方法であって、ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備えるボードアンカーを用意し、前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、前記ソケットは、前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成されたフランジと、を備え、前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ボードを貫通した状態で前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって前記フランジとともに前記ボードを挟み込むように変形するアンカーと、を備え、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、前記フランジより大きく形成された係止具を用意し、前記ボルトを、前記ボルトの前記頭部と前記ソケットの前記フランジとの間に前記係止具が位置するように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットに取り付け、前記部材を前記ボードの前記一面上に配置し、前記ソケットを、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔を通して、前記フランジが前記ボードの前記一面に当接し、かつ、前記本体部が前記ボードを貫通するように配置し、前記ボルトを、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれ、かつ、前記アンカーと前記フランジとの間に前記ボードが挟まれるように、前記ソケットの前記ナットにねじ込む。

本発明の実施形態１の部材取付構造を説明する斜視図である。同上の部材取付構造を説明する断面図であり、（ａ）は取付前、（ｂ）は取付途中、（ｃ）は取付後の状態を示している。同上の部材取付構造の要部の分解斜視図である。同上の部材取付構造の要部の斜視図であり、（ａ）は取付前、（ｂ）は取付後の状態を示している。同上の部材取付構造の係止具の斜視図であり、（ａ）は斜め前方から視た状態、（ｂ）は斜め後方から視た状態を示している。同上の係止具の別例の斜視図であり、（ａ）は斜め前方から視た状態、（ｂ）は斜め後方から視た状態を示している。本発明の実施形態２の部材取付構造を説明する断面図であり、（ａ）は取付前、（ｂ）は取付途中、（ｃ）は取付後の状態を示している。本発明の実施形態３の部材取付構造の要部を示す斜視図であり、（ａ）は分解した状態、（ｂ）は（ａ）を組み合わせた状態を示している。本発明の実施形態４の部材取付構造の要部を示す斜視図であり、（ａ）は取付前を斜め後方から視た状態、（ｂ）は取付前を斜め前方から視た状態、（ｃ）は取付後を斜め後方から視た状態、（ｄ）は取付後を斜め前方から視た状態である。従来の部材取付構造を説明する斜視図である。従来の部材取付構造の要部の斜視図であり、（ａ）は取付前、（ｂ）は取付後の状態を示している。

　本発明を、添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。

　（実施形態１）
　本実施形態の部材取付構造（ワーク取付構造）は、ボードアンカー１及び専用の係止具２を介して、ボード４０の一面（前面）に部材（以下、「ワーク」と称する）５０を取り付ける構造である。図１、図２（ａ）～（ｃ）には取付工程を示しており、図３、図４（ａ），（ｂ）、図５（ａ），（ｂ）、図６（ａ），（ｂ）には、取付構造に用いる各部材を示している。なお、本文中においては、ボード４０に対してワーク５０が位置する側を「前方」とする。なお、ワーク５０は、ユーザがボード４０に取り付けたい物品（部材）であって、例えば、電気機器（例えば、空気循環装置や、空気清浄装置）をボード４０に設置するための枠（取付枠）や、ボード４０に取り付けられる家具や機器の骨組み等である。ボード４０は、例えば、建築物の床や、天井、壁等に用いられる石膏ボードである。

　ボードアンカー１は、図１０、図１１（ａ），（ｂ）に示すボードアンカー１００と同様の構成である。

　ボードアンカー１は、ネジ部材（ボルト）１０と、ネジ部材１０が取り付けられるソケット３と、を備える。

　ソケット３は、例えば、合成樹脂または金属により形成される。ソケット３は、第一筒部４と、第二筒部５と、複数（本実施形態では４つ）の割片６と、を有する。ネジ部材１０は、例えば、合成樹脂または金属により形成される。

　ネジ部材１０は、丸棒状に形成され、その外周面にネジ山が形成された雄ネジ棒（ネジ棒）１２と、雄ネジ棒１２の端部に形成され雄ネジ棒１２よりも大きい直径を有する頭部１１とを有する。

　つまり、このボードアンカー１は、図３等に示すように、筒状のソケット３と、このソケット３内に挿入されるネジ部材１０とで主体が形成されている。ソケット３は、第一筒部４と、ナット状の第二筒部５との間を、複数の割片６で連結させた構造である。ネジ部材１０は、雄ネジ棒１２の一端にこれより大径の頭部１１を形成した構造である。

　第一筒部４は、筒体７と、フランジ８と、を有する。筒体７は、雄ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有するとともにボード４０の厚さと同じ大きさの長さを有する筒状に形成される。なお、筒体７の長さは、ボード５０の厚さと等しい必要はなく、ボードアンカー１をボード４０に固定できるような長さであればよい。フランジ８は、筒体７の第１端（図２（ａ）～（ｃ）における左端）に形成され、筒体７より外径が大きい。また、第一筒部４は、フランジ８においてボード４０の一面と対向する面（図２（ａ）～（ｃ）における右面）に、ボード４０の一面に刺さる突起（係止片）９を有している。各係止片９は、先鋭である。この突起９がボード４０の一面に刺さることによって、ソケット３がボード４０に強固に固定される。

　第二筒部５は、筒体７以下の外径を有し、ネジ部材１０と結合するように構成されたナットである。本実施形態において、第二筒部５の外径は、筒体７の外径と等しい。すなわち、第二筒部５は、円筒状に形成され、その内周面にネジ山が形成されている。

　割片６の各々は、筒体７の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、第一筒部４と第二筒部５とが同軸上に位置するように第二筒部５を第一筒部４の筒体７の第２端（図２（ａ）～（ｃ）における右端）に連結するように構成される。本実施形態では、割片６は、第一筒部４および第二筒部５と連続一体に形成されている。割片６の各々は、ネジ部材１０を第一筒部４の筒体７を通して第二筒部５にねじ込むことで筒体７の外側面より外方へ突出するように変形して第二筒部５を第一筒部４に接近させるように構成される（図２（ａ）～（ｃ）および図４（ａ），（ｂ）参照）。

　すなわち、第一筒部４は、両端の貫通した筒体７の前端縁から、外方にフランジ８を延設した構造である。フランジ８からは、先鋭状の係止片９を後方に向けて複数突設している。ナット状の第二筒部５の内周面には雌ネジ（図示略）を形成しており、この雌ネジは、ネジ部材１０の雄ネジ棒１２と噛み合う寸法形状に設けている。

　換言すれば、ソケット３は、ボード４０を貫通するように配置されボルト３のネジ棒１２が挿入される本体部と、本体部の端部に形成されボード４０の一面に当接されるフランジ８と、を備える。本体部は、ネジ棒１２と結合するように構成されたナットである第二筒部５と、第二筒部５にボルト１０がねじ込まれることによって変形してフランジ８とともにボード４０を挟み込むアンカー６０と、を備える。本実施形態では、本体部は、ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有する筒状に形成された筒体７を有する。すなわち、本実施形態における本体部は、筒体７と、第二筒部５と、アンカー６０とで構成されている。フランジ８は、筒体７より大きい外径を有し、筒体７の第１端に形成される。第二筒部５は、筒体７以下の外径を有する。アンカー６０は、複数の割片６により構成される。割片６の各々は、筒体７の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、筒体７と第二筒部５とが同軸上に位置するように第二筒部５を筒体７の第２端に連結するように構成される。さらに、割片６の各々は、ボルト１０を筒体７を通して第二筒部５にねじ込んで第二筒部５を筒体７に接近させることによって筒体７の外側面より外方へ突出するように屈曲するように構成される。

　なお、ボードアンカー１のボルト１０およびソケット３は、上記の例に限定されない。すなわち、ボードアンカー１のボルト１０およびソケット３には、従来周知の構成を採用できる。

　係止具２は、例えば、合成樹脂または金属により形成される。係止具２は、フランジ８より大きく形成される。また、係止具２は、雄ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有する挿通孔１８を有する。

　本実施形態において、係止具２は、図５（ａ），（ｂ）に示すように、挿通孔１８を有するフランジ対向板１５と、係止板１７と、ネジ包囲板１６と、を備える。

　フランジ対向板１５は、フランジ８より大きい板状に形成される。本実施形態では、フランジ対向板１５は略正方形の板状に形成されている。

　係止板１７は、フランジ対向板１５より大きい板状に形成される。本実施形態では、係止板１７は円板状である。係止板１７の中央には、フランジ対向板１５と同程度の大きさの開口１７１が形成されている。

　ネジ包囲板１６は、４枚の矩形状の側壁部１６１を有する。各側壁部１６１は、開口１７１の一辺を、当該一片に対向するフランジ対向板１５の一辺に一体に連結する。このようにネジ包囲板１６は、フランジ対向板１５を係止板１７に連結するように構成される。また、ネジ包囲板１６の外形は、フランジ対向板１５の外形と等しい。

　すなわち、係止具２は、前記第一筒部４のフランジ８よりも大径に形成された矩形板状のフランジ対向板１５と、このフランジ対向板１５の四辺からそれぞれ前方に延設されるネジ包囲板１６と、各ネジ包囲板１６の前端部分から外方に延設される係止板１７とから成る、概略ハット状の金具である（図５（ａ），（ｂ）等参照）。フランジ対向板１５の中央部には、ネジ部材１０の雄ネジ棒１２が挿通される挿通孔１８を貫通形成している。この挿通孔１８は、雄ネジ棒１２より大径であり、且つネジ部材１０の頭部１１より小径である。

　ボード４０には、図２（ａ）に示すように、筒体７を通しフランジ８を通さない大きさのボード側取付孔４１が貫設される。ボード側取付孔４１は、例えば、円形状の孔であり、筒体７の外径より大きくフランジ８の外径より小さい内径を有する。

　ソケット３では、第二筒部５は、第一筒部４の筒体７以下の外径を有し、割片６の各々は、筒体７の外側面より外方に出ないように配置されている。そのため、ソケット３において、フランジ８以外の部位（すなわち、筒体７、割片６、第二筒部５）は、ボード側取付孔４１を通過できる。なお、ネジ部材１０を第二筒部５にねじ込んでいくと、各割片６は筒体７の外側面より外方へ突出するように変形して、第二筒部５が第一筒部４に接近する（図２（ｂ），（ｃ）参照）。このように各割片６を変形させると、各割片６が筒体７の外側面より外方へ突出するため、割片６は、ボード側取付孔４１を通過できなくなる。そのため、フランジ８と各割片６との間でボード４０が挟まれることになる。

　ワーク５０には、フランジ８を通し係止具２を通さない大きさの貫通孔（後側取付孔）５２が形成される。このような貫通孔５２は、例えば、円形状の孔である。貫通孔５２は、係止具２のフランジ対向板１５およびネジ包囲板１６より大きく、係止板１７より小さい。換言すれば、フランジ対向板１５は、後側取付孔５２より小さい板状に形成される。好ましくは、フランジ対向板１５は、後側取付孔５２より小さくフランジ８より大きい板状に形成される。また、係止板１７は、後側取付孔５２より大きい板状に形成される。

　本実施形態では、ワーク５０は、ボード４０側とは反対側の面（図２（ａ）～（ｃ）における左面）に、係止具２より大きい凹所（前側取付孔）５３を有する。凹所５３は、円形状に形成されており、係止具２の係止板１７の外径より大きい内径を有する。また、前側取付孔５３の深さは、係止板１７の厚さよりも大きい。よって、係止板１７を前側取付孔５３に収容した状態では、係止板１７の前面が、ワーク５０の前面より前方に位置しないようになっている。後側取付孔５２は、前側取付孔５１の底面に形成されている。前側取付孔５３および後側取付孔５２は、それぞれ、円形状であり、同軸上に配置されている。前側取付孔５３および後側取付孔５２は、ワーク５０を貫通するワーク側取付孔５１を構成する。

　次に、ワーク５０をボード４０に取り付ける方法について説明する。

　ボード４０に、ボード側取付孔４１を貫設し、また、ワーク５０に、ワーク側取付孔５１を貫設する。さらに、ワーク５０を、後側取付孔５２がボード４０のボード側取付孔４１と同軸上に位置するようにボード４０の前面上に配置する（図１の（ｉ）、および、図２（ａ）参照）。

　ソケット３を、フランジ８がボード４０の前面に接触し、筒体７がボード側取付孔４１内に位置するように、ボード４０の前面側からワーク５０の後側取付孔５２を通してボード側取付孔４１に挿入する。

　係止具２を、後側取付孔５２の開口縁部に接触するように配置する。本実施形態の場合、係止具２のフランジ対向板１５は、後側取付孔５２内でフランジ８に接触するように配置される。係止板１７は、後側取付孔５２の開口縁部に接触するように配置される。

　ネジ部材１０を、複数の割片６が変形することによって複数の割片６と係止具２（係止具２の係止板１７）との間にワーク５０とボード４０とが挟まれるように、挿通孔１８および第一筒部４を通して第二筒部５にねじ込む（図１の（ｉｉ）、および、図２（ｂ）参照）。

　これによって、図１の（ｉｉｉ）、および、図２（ｃ）に示すように、ワーク５０がボード４０の前面に固定される。

　図１に示すように、本実施形態のワーク取付構造によれば、ネジ部材１０を一旦引き抜くことなく、ワーク５０をボード４０の前面に確実に取り付けることができる。具体的には、以下のとおりである。

　まず、ボード４０の取付箇所にボード側取付孔４１を貫通形成し、ワーク５０の中央部にもワーク側取付孔５１を貫通形成する（図２（ａ）～（ｃ）参照）。ボード側取付孔４１の開口は、第一筒部４のフランジ８よりも小径であり、且つ、筒体７よりも大径である。

　ワーク側取付孔５１は、後側部分よりも前側部分が大きく開口する二段構造となっている。具体的には、ワーク側取付孔５１は、後側取付孔５２とこれより大径の前側取付孔５３とを、正面視リング状の段部５４を介して前後方向に一直線に連通させた構造である。後側取付孔５２は、第一筒部４のフランジ８及び係止具２のフランジ対向板１５よりも大径であり、且つ、係止具２の係止板１７全体の外周縁よりも小径である。また、前側取付孔５３は、係止板１７全体の外周縁よりも大径である。

　そして、図１中の（ｉ）工程のように、ボード側取付孔４１とワーク側取付孔５１とが同軸上に位置するように、ボード４０の前面にワーク５０をセットする（図２（ａ）参照）。次いで、図１中の（ｉｉ）工程のように、ワーク５０の前側からワーク側取付孔５１内にボードアンカー１を挿入する。

　ここで、ボードアンカー１には、前述した専用の係止具２を予め組み合わせておく。係止具２は、ネジ部材１０とソケット３との間に介在させる（図３、図４（ａ），（ｂ）等参照）。つまり、係止具２のフランジ対向板１５の後面と、ソケット３の第一筒部４のフランジ８とを対向配置させ、フランジ対向板１５の挿通孔１８と、第一筒部４の内部貫通孔とを連通させたうえで、この挿通孔１８を通じて、第一筒部４内へとネジ部材１０の雄ネジ棒１２を挿入する。雄ネジ棒１２の先端部は、第二筒部５の雌ネジに噛み合わせる。これにより、ボードアンカー１と係止具２が、図４（ａ），（ｂ）に示すように組み合わされる。

　前記のように係止具２と組み合わせたボードアンカー１をワーク側取付孔５１内に挿入すると、図１中の（ｉｉｉ）工程のように、段差構造のワーク側取付孔５１内に係止具２が嵌り込む。詳しくは、図２（ｂ）のように、ワーク側取付孔５１の後側取付孔５２内に係止具２のフランジ対向板１５とネジ包囲板１６が位置し、前側取付孔５３内に係止具２の係止板１７が位置する。また、ソケット３の第一筒部４のフランジ８が後側取付孔５２内に位置し、第一筒部４の筒体７がボード側取付孔４１内に位置し、割片６及び第二筒部５がボード４０より後方に突出する。

　ここで、ネジ部材１０を締め付けると、ネジ部材１０に噛み合うナット状の第二筒部５は、前方へと移動してフランジ８側に接近する（図４（ａ）、（ｂ）参照）。第二筒部５の接近により、複数の割片６にはそれぞれ前後に挟み込む外力が作用し、屈曲された各割片６とフランジ８との間に、ボード４０が挟み込まれる（図２（ｃ）参照）。

　前記工程（ｉ）～（ｉｉｉ）により、ワーク５０はボード４０前面に取付固定される。図２（ｃ）に示すように、この取付状態のワーク側取付孔５１（後側取付孔５２）内では、ネジ部材１０の頭部１１と第一筒部４のフランジ８との間に、係止具２のフランジ対向板１５が挟まれる。また、係止具２に設けた係止板１７が、ワーク側取付孔５１の段部５４に係止される。

　ワーク５０を取り外したいときは、ワーク側取付孔５１内に前方から工具を挿入し、ネジ包囲板１６に囲まれる頭部１１を回転させてネジ部材１０を緩め、取り外せばよい。係止具２はワーク５０と一体に取り外される。ワーク５０を再度装着するときには、ボードアンカー１はボード４０に固定済みであるから、ワーク側取付孔５１内に係止具２を嵌め込んだ状態でワーク５０をセットし、ネジ部材１０を挿入して締め付ければよい。

　図６（ａ），（ｂ）には、本実施形態で採用可能な別例の係止具２を示している。図６（ａ），（ｂ）に示される係止具２では、フランジ対向板１５は、後側取付孔５２より小さく、かつ、フランジ８より大きい円板状である。係止板１７は、後側取付孔５２より大きく、前側取付孔５３より小さい円板状に形成される。係止板１７の中央には、フランジ対向板１５と同程度の大きさの円形状の開口１７１が形成されている。ネジ包囲板１６は、円筒状に形成され、開口１７１の周縁を、フランジ対向板１５の周縁に一体に連結する。ネジ包囲板１６の外形は、フランジ対向板１５の外形と等しい。

　すなわち、この係止具２では、フランジ対向板１５を、中央に挿通孔１８を有するリング形状とし、フランジ対向板１５の外周縁から円筒形状のネジ包囲板１６を延設している。ネジ包囲板１６の前端縁からは、リング状の係止板１７を外方に延設している。

　（実施形態２）
　本実施形態のワーク取付構造では、図７（ａ）～（ｃ）に示すように、ワーク５０には、ワーク側取付孔（貫通孔）５１が形成されている。ワーク側取付孔５１は、係止具２のフランジ対向板１５およびネジ包囲板１６を通し、係止具２の係止板１７を通さない大きさに形成されている。ワーク側取付孔５１は、例えば、円形状の孔である。

　すなわち、図７（ａ）～（ｃ）に示すように、本実施形態のワーク取付構造では、ワーク５０に貫通形成するワーク側取付孔５１を、実施形態１のような段部５４を設けることのない構造としている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態１と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態１とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。

　本実施形態のワーク側取付孔５１は、その全体を、実施形態１の後側取付孔５２と同様の径に設けている。つまり、このワーク側取付孔５１の径は、その全体において、ソケット３を成す第一筒部４のフランジ８や係止具２のフランジ対向板１５よりも大径であり、且つ、係止具２の係止板１７の外周縁よりも小径である。

　したがって、図７（ａ）のように、ボード側取付孔４１とワーク側取付孔５１とが同軸上に位置するようにセットし、このワーク側取付孔５１内に、係止具２を組み合わせたボードアンカー１を挿入すると、図７（ｂ）のように、ワーク側取付孔５１内に係止具２が嵌り込む。詳しくは、段差のないワーク側取付孔５１内に、係止具２のフランジ対向板１５とネジ包囲板１６が位置し、ワーク５０の前面と当たる位置に係止具２の係止板１７が位置する。

　ここでネジ部材１０を締め付けると、第二筒部５の前進により複数の割片６はそれぞれ外側に膨らむように屈曲し、図７（ｃ）のように、屈曲された各割片６とフランジ８との間にボード４０が挟み込まれる。このとき、係止具２の前端縁からフランジ状に延設した係止板１７は、ワーク５０前面のワーク側取付孔５１周縁部分に係止される。

　（実施形態３）
　本実施形態のワーク取付構造は、さらに、図８（ａ），（ｂ）に示すように、弾性部材２０を備える。弾性部材２０は、係止具２の係止板１７と部材（ワーク）５０との間に介在される。弾性部材２０は、弾性材料（例えば、エラストマ等）を用いて円板状に形成されている。弾性部材２０の外径は、係止板１７の外径と等しい。弾性部材２０の中央には、中央孔２１が形成されている。中央孔２１は、係止具２のフランジ対向板１７およびネジ包囲板１６を通し、係止板１７を通さない大きさに形成される。本実施形態では、ネジ包囲板１６が中央孔２１に嵌るようになっている。なお、弾性部材２０は係止板１７より外径が小さくてもよい。

　すなわち、図８（ａ），（ｂ）に示すように、本実施形態のワーク取付構造では、係止具２の係止板１７の後面に、リング状の弾性部材２０を配設した構造となっている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態１と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態１とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。

　弾性部材２０は、係止具２のネジ包囲板１６全体の外周縁より僅かに大きな寸法形状の中央孔２１を、中央部に有する。弾性部材２０の外周縁の寸法形状は、係止具２の係止板１７全体の外周縁の寸法形状と一致または略一致させて設ける。したがって、弾性部材２０の中央孔２１内にネジ包囲板１６を通すとともに、この弾性部材２０が係止具２の係止板１７の後面に当たるように配置しておき、後は、実施形態１の場合と同様の手順でワーク５０の取付固定を行えばよい。

　取付固定後の弾性部材２０は、係止板１７とボード４０との間に挟持される。つまり、この弾性部材２０を介して、ワーク側取付孔５１の周縁部分（つまり段部５４）に係止板１７が係止される。

　ところで、係止具２を用いたワーク取付構造においては、係止具２の寸法形状やワーク側取付孔５１の寸法形状にばらつきがあると、係止具２をワーク５０に安定的に係止することが難しくなる。これに対して、本実施形態のような弾性部材２０を用いれば、これら寸法形状のばらつきを弾性部材２０により吸収することができる。

　なお、この弾性部材２０が、実施形態２のワーク取付構造においても採用可能であることは勿論である。

　（実施形態４）
　本実施形態のワーク取付構造では、図９（ａ）～（ｄ）に示すように、係止具２は、前側取付孔５３より小さく、後側取付孔（貫通孔）５２より大きい板状に形成されている。例えば、係止具２は、前側取付孔５３の内径より小さく、後側取付孔５２の内径より大きい外径を有する円板状に形成されている。

　すなわち、本実施形態のワーク取付構造に用いる係止具２は、図９（ａ）～（ｄ）に示すようなものであり、実施形態１のような筒型ではなく、大径リング型の部材となっている。なお、本実施形態の構成のうち、実施形態１と同様の構成については詳しい説明を省略し、実施形態１とは相違する特徴的な構成についてのみ、以下に詳述する。

　本実施形態の係止具２の中央部には、ネジ部材１０の雄ネジ棒２が挿通される挿通孔（図示略）を形成する。また、係止具２の外周縁は、ソケット３のフランジ８よりも大径に形成する。ワーク５０には、係止具２よりも僅かに大径のワーク側取付孔（図示略）を凹設または貫設し、このワーク側取付孔内に、リング状の係止具２を嵌め込んで係止させる。

　この構造によっても、実施形態１と同様の手順により、係止具２をワーク５０に係止させることができる。

　（作用効果）
　実施形態１～４のワーク取付構造は、上述した特徴的な構成を具備することで、特有の作用効果を奏する。以下、この点につき、さらに詳述する。

　実施形態１～４のワーク取付構造は、ボードアンカー１及び係止具２を介してボード４０の前面にワーク５０を取り付けるワーク取付構造である。ボードアンカー１は、フランジ８を有する第一筒部４とナット状の第二筒部５との間に複数の割片６を設けた筒状のソケット３と、ソケット３内に第一筒部４側から挿入されて第二筒部５に噛み合うネジ部材１０とで形成されたものである。係止具２は、ネジ部材１０が挿通される挿通孔１８を有し且つフランジ８よりも大径に形成されたものである。ボード４０には、フランジ８よりも小径のボード側取付孔４１を形成する。ワーク５０には、フランジ８および係止具２が収容されるワーク側取付孔５１を形成する。ボード側取付孔４１とワーク側取付孔５１とが連通するようにワーク５０をボード４０の前面に位置合わせし、ワーク側取付孔５１内にてネジ部材１０の頭部１１とフランジ８との間に係止具２を挟み、ボードアンカー１をボード側取付孔４１に挿通させる。この状態で、ネジ部材１０を締め付けることにより第二筒部５をフランジ８側に接近させ、第二筒部５の接近により屈曲された割片６とフランジ８との間にボード４０を挟み込むとともに、係止具２をワーク５０に係止させる。

　換言すれば、ワーク取付構造（部材取付構造）は、ボード４０と、部材（ワーク）５０と、ワーク５０をボード４０の一面に固定するためのボードアンカー１および係止具２と、を備える。ボードアンカー１は、ボルト（ネジ部材）１０と、ボルト１０が取り付けられるソケット３と、を備える。ボルト１０は、ネジ棒（雄ネジ棒）１２と、ネジ棒１２の端部に形成されネジ棒１２よりも大きい直径を有する頭部１１とを有する。ソケット３は、ボード４０を貫通するように配置されボルト１０のネジ棒１２が挿入される本体部と、本体部の端部に形成されボード４０の一面に当接されるフランジ８と、を備える。本体部は、ネジ棒１２と結合するように構成されたナット（第二筒部）５と、ナット５にボルト１０（ネジ棒１２）がねじ込まれることによって変形してフランジ８とともにボード４０を挟み込むアンカー６０と、を備える。係止具２は、ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有する挿通孔１８を有し、かつ、フランジ８より大きく形成される。また、係止具２は、部材５０におけるボード４０側とは反対側において、フランジ８を通し係止具２を通さない大きさを有して部材５０を貫通する貫通孔（後側取付孔）５２の開口縁部に接触するように配置される。ボルト１０は、アンカー６０が変形することによってアンカー６０と係止具２との間に部材５０とボード４０とが挟まれるように、係止具２の挿通孔１８を通してソケット３のナット５にねじ込まれている。

　前記の構造によれば、ネジ部材１０を一旦引き抜いたうえで再度挿入して締め付けるといった工程が不要である。そのため、少ない工程で確実にワーク５０をボード４０前面に取付固定することができる。

　また、上述のワーク取付構造には、ボード４０の一面にワーク（部材）５０を取り付けるための部材取付具（ワーク取付具）が用いられる。ワーク取付具は、ボードアンカー１と、係止具２と、を備える。ボードアンカー１は、ボルト（ネジ部材）１０と、ボルト１０が取り付けられるソケット３と、を備える。ボルト１０は、ネジ棒（雄ネジ棒）１２と、ネジ棒１２の端部に形成されネジ棒１２よりも大きい直径を有する頭部１１とを有する。ソケット３は、ボード４０を貫通するように配置されボルト１０のネジ棒１２が挿入される本体部と、本体部の端部に形成されボード４０の一面に当接されるフランジ８と、を備える。本体部は、ネジ棒１２と結合するように構成されたナット（第二筒部）５と、ナット５にボルト１０（ネジ棒１２）がねじ込まれることによって変形してフランジ８とともにボード４０を挟み込むアンカー６０と、を備える。係止具２は、ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有する挿通孔１８を有し、かつ、フランジ８より大きく形成される。また、係止具２は、部材５０におけるボード４０側とは反対側において、フランジ８を通し係止具２を通さない大きさを有して部材５０を貫通する貫通孔（後側取付孔）５２の開口縁部に接触するように配置される。ボルト１０は、アンカー６０が変形することによってアンカー６０と係止具２との間に部材５０とボード４０とが挟まれるように、係止具２の挿通孔１８を通してソケット３のナット５にねじ込まれている。

　また、上述のワーク取付構造では、以下のボード４０の一面に部材（ワーク）５０を取り付けるための部材取付方法（ワーク取付方法）が採用される。

　上記の部材取付方法は、以下のステップ（ａ）～（ｆ）を備える。

　ステップ（ａ）では、ボルト（ネジ部材）１０と、ボルト１０が取り付けられるソケット３と、を備えるボードアンカー１を用意する。ボルト１０は、ネジ棒（雄ネジ棒）１２と、ネジ棒１２の端部に形成されネジ棒１２よりも大きい直径を有する頭部１１とを有する。ソケット３は、ボード４０を貫通するように配置されボルト１０のネジ棒１２が挿入される本体部と、本体部の端部に形成されボード４０の一面に当接されるフランジ８と、を備える。本体部は、ネジ棒１２と結合するように構成されたナット（第二筒部）５と、ナット５にボルト１０（ネジ棒１２）がねじ込まれることによって変形してフランジ８とともにボード４０を挟み込むアンカー６０と、を備える。

　ステップ（ｂ）では、ネジ棒１２の直径より大きく頭部１１の直径より小さい内径を有する挿通孔１８を有し、フランジ８より大きく形成された係止具２を用意する。

　ステップ（ｃ）では、ボルト１０を、ボルト１０の頭部１１とソケット３のフランジ８との間に係止具２が位置するように、係止具２の挿通孔１８を通してソケット３に取り付ける（図４（ａ）参照）。

　ステップ（ｄ）では、部材５０をボード４０の一面上に配置する。例えば、ステップ（ｄ）では、ボード４０に、筒体７を通しフランジ８を通さない大きさを有するボード側取付孔４１を貫設し、部材５０に、フランジ８を通し係止具２を通さない大きさを有する貫通孔５２を貫設する。次に、部材５０の貫通孔５２がボード４０のボード側取付孔４１と同軸上に位置するように、部材５０をボード４０の一面上に配置する。

　ステップ（ｅ）では、ソケット３を、貫通孔５２を通して、フランジ８がボード４０の一面に当接し、かつ、本体部がボード４０を貫通するように配置する。

　ステップ（ｆ）では、ボルト１０を、アンカー６０が変形することによってアンカー６０と係止具２との間に部材５０とボード４０とが挟まれ、かつ、アンカー６０とフランジ８との間にボード４０が挟まれるように、ソケット３のナット５にねじ込む。より詳細には、ステップ（ｆ）では、ボルト１０を、複数の割片６が変形することによって複数の割片６と係止具２との間に部材５０とボード４０とが挟まれ、かつ、複数の割片６とフランジ８との間にボード４０が挟まれるように、第二筒部５にねじ込む。

　また、実施形態１～３において、係止具２は、ネジ部材１０が挿通される挿通孔１８を有し且つフランジ８よりも大径に形成されたフランジ対向板１５と、フランジ対向板１５の周縁部分から前方に延設されるネジ包囲板１６と、ネジ包囲板１６の前端部分から外方に延設される係止板１７と、から成る部材である。ワーク側取付孔５１内にてネジ部材１０の頭部１１とフランジ８との間にフランジ対向板１５を挟み、ボードアンカー１をボード側取付孔４１に挿通させる。この状態で、ネジ部材１０を締め付けることにより第二筒部５をフランジ８側に接近させ、第二筒部５の接近により屈曲された割片６とフランジ８との間にボード４０を挟み込むとともに、係止板１７をワーク側取付孔５１の周縁部分に係止させる。

　換言すれば、係止具２は、挿通孔１８を有するフランジ対向板１５と、係止板１７と、ネジ包囲板１６と、を備える。フランジ対向板１５は、貫通孔（後側取付孔）５２より小さく、かつ、フランジ８より大きい板状に形成され、貫通孔５２内でフランジ８に接触するように配置される。係止板１７は、貫通孔５２より大きい板状に形成され、貫通孔５２の開口縁部に接触するように配置される。ネジ包囲板１６は、フランジ対向板１５を係止板１７に連結するように構成される。

　前記の構造によれば、係止具２をワーク側取付孔５１内により強固に係止することができ、ひいては、この係止具２を介してワーク５０をより確実に取付固定することができる。

　また、実施形態１，３において、ワーク側取付孔５１は、フランジ８よりも大径の後側取付孔５２と、後側取付孔５２よりも大径の前側取付孔５３とが、段部５４を介して前後に連通する段差構造であり、係止板１７を段部５４に係止させるように設けている。

　換言すれば、部材５０は、ボード４０側とは反対側の面に、係止具２より大きい凹所（前側取付孔）５３を有する。貫通孔（後側取付孔）５２は、凹所５３の底面に形成されている。

　前記の構造によれば、係止板１７を用いて係止具２をワーク側取付孔５１内に強固に係止するとともに、この係止板１７をワーク側取付孔５１内に収容し、ワーク５０表面に露出しないように設けることができる。

　以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は前記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。

Claims

　ボードの一面に部材を取り付けるための部材取付具であって、
　ボードアンカーと、係止具と、を備え、
　前記ボードアンカーは、ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備え、
　　前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、
　　前記ソケットは、前記ボードを貫通するように配置され前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成され前記ボードの前記一面に当接されるフランジと、を備え、
　　　前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって変形して前記フランジとともに前記ボードを挟み込むアンカーと、を備え、
　前記係止具は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、かつ、前記フランジより大きく形成され、前記部材における前記ボード側とは反対側において、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔の開口縁部に接触するように配置され、
　　前記ボルトは、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれるように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットの前記ナットにねじ込まれている
　ことを特徴とする部材取付具。
　前記本体部は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の直径より小さい内径を有する筒状に形成された筒体を有し、
　前記フランジは、前記筒体より大きい外径を有し、前記筒体の第１端に形成され、
　前記ナットは、前記筒体以下の外径を有し、
　前記アンカーは、複数の割片により構成され、
　前記割片の各々は、前記筒体の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、前記筒体と前記ナットとが同軸上に位置するように前記ナットを前記筒体の第２端に連結するように構成され、かつ、前記ボルトを前記筒体を通して前記ナットにねじ込んで前記ナットを前記筒体に接近させることによって前記筒体の前記外側面より外方へ突出するように屈曲するように構成される
　ことを特徴とする請求項１記載の部材取付具。
　前記係止具は、前記挿通孔を有するフランジ対向板と、係止板と、ネジ包囲板と、を備え、
　前記フランジ対向板は、前記貫通孔より小さく、かつ、前記フランジより大きい板状に形成され、前記貫通孔内で前記フランジに接触するように配置され、
　前記係止板は、前記貫通孔より大きい板状に形成され、前記貫通孔の前記開口縁部に接触するように配置され、
　前記ネジ包囲板は、前記フランジ対向板を前記係止板に連結するように構成される
　ことを特徴とする請求項１または２記載の部材取付具。
　ボードと、
　部材と、
　前記ボードの一面に前記部材を取り付けるためのボードアンカーおよび係止具と、を備え、
　前記ボードアンカーは、ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備え、
　　前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、
　　前記ソケットは、前記ボードを貫通するように配置され前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成され前記ボードの前記一面に当接されるフランジと、を備え、
　　前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって変形して前記フランジとともに前記ボードを挟み込むアンカーと、を備え、
　前記係止具は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、かつ、前記フランジより大きく形成され、前記部材における前記ボード側とは反対側において、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔の開口縁部に接触するように配置され、
　　前記ボルトは、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれるように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットの前記ナットにねじ込まれている
　ことを特徴とする部材取付構造。
　前記本体部は、前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の直径より小さい内径を有する筒状に形成された筒体を有し、
　前記フランジは、前記筒体より大きい外径を有し、前記筒体の第１端に形成され、
　前記ナットは、前記筒体以下の外径を有し、
　前記アンカーは、複数の割片により構成され、
　前記割片の各々は、前記筒体の外側面より外方に出ないように配置されるとともに、前記筒体と前記ナットとが同軸上に位置するように前記ナットを前記筒体の第２端に連結するように構成され、かつ、前記ボルトを前記筒体を通して前記ナットにねじ込んで前記ナットを前記筒体に接近させることによって前記筒体の前記外側面より外方へ突出するように屈曲するように構成される
　ことを特徴とする請求項４記載の部材取付構造。
　前記係止具は、前記挿通孔を有するフランジ対向板と、係止板と、ネジ包囲板と、を備え、
　前記フランジ対向板は、前記貫通孔より小さく、かつ、前記フランジより大きい板状に形成され、前記貫通孔内で前記フランジに接触するように配置され、
　前記係止板は、前記貫通孔より大きい板状に形成され、前記貫通孔の前記開口縁部に接触するように配置され、
　前記ネジ包囲板は、前記フランジ対向板を前記係止板に連結するように構成される
　ことを特徴とする請求項４または５記載の部材取付構造。
　前記部材は、前記ボード側とは反対側の面に、前記係止具より大きい凹所を有し、
　前記貫通孔は、前記凹所の底面に形成されている
　ことを特徴とする請求項４～６のうちいずれか１項記載の部材取付構造。
　ボードの一面に部材を取り付けるための部材取付方法であって、
　ボルトと、前記ボルトが取り付けられるソケットと、を備えるボードアンカーを用意し、
　前記ボルトは、ネジ棒と、前記ネジ棒の端部に形成され前記ネジ棒よりも大きい直径を有する頭部とを有し、
　前記ソケットは、前記ボルトの前記ネジ棒が挿入される本体部と、前記本体部の端部に形成されたフランジと、を備え、前記本体部は、前記ネジ棒と結合するように構成されたナットと、前記ボードを貫通した状態で前記ナットに前記ボルトがねじ込まれることによって前記フランジとともに前記ボードを挟み込むように変形するアンカーと、を備え、
　前記ネジ棒の直径より大きく前記頭部の前記直径より小さい内径を有する挿通孔を有し、前記フランジより大きく形成された係止具を用意し、
　前記ボルトを、前記ボルトの前記頭部と前記ソケットの前記フランジとの間に前記係止具が位置するように、前記係止具の前記挿通孔を通して前記ソケットに取り付け、
　前記部材を前記ボードの前記一面上に配置し、
　前記ソケットを、前記フランジを通し前記係止具を通さない大きさを有して前記部材を貫通する貫通孔を通して、前記フランジが前記ボードの前記一面に当接し、かつ、前記本体部が前記ボードを貫通するように配置し、
　前記ボルトを、前記アンカーが変形することによって前記アンカーと前記係止具との間に前記部材と前記ボードとが挟まれ、かつ、前記アンカーと前記フランジとの間に前記ボードが挟まれるように、前記ソケットの前記ナットにねじ込む
　ことを特徴とする部材取付方法。