WO2011145386A1

WO2011145386A1 - パワースライドドアの施錠装置

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Publication number: WO2011145386A1
Application number: PCT/JP2011/055909
Authority: WO
Inventors: 伸良今枝
Original assignee: トヨタ車体株式会社
Priority date: 2010-05-19
Filing date: 2011-03-14
Publication date: 2011-11-24
Also published as: JP2011241621A

Abstract

　パワースライドドアの施錠装置は、パワースライドドアＥＣＵ２１及びボデーＥＣＵ３１を備えている。パワースライドドアＥＣＵ２１は、スマートＥＣＵ１１が施錠予約を受け付けた後に、閉動作中のスライドドア本体が閉鎖されない異常状態を判定する。パワースライドドアＥＣＵ２１によりスライドドア本体が異常状態であると判定された場合、ボデーＥＣＵ３１は、スライドドア本体が施錠されていない旨の鳴動信号、点滅信号を出力する。

Description

パワースライドドアの施錠装置

　本発明は、自動車のパワースライドドアの施錠装置に関する。

　最近、ワンボックスカーの多くは、パワースライドドアを備えている。パワースライドドアは、操作スイッチが設けられたハンドルを有している。パワースライドドアは、ハンドルにより操作スイッチを操作して開閉される。このため、スライドドアを開閉するための力を要しない。よって、パワースライドドアは、ユーザにとって利便性が高い。

　パワースライドドアを施錠する場合、ユーザは、パワースライドに設けられた施錠装置を操作したり、携帯型のワイヤレスキーを操作したりする必要がある。しかしながら、これらの場合、ユーザは、パワースライドドアが完全に閉められるまで、施錠操作を待たなければならなかった。

　特許文献１は、パワースライドドアの施錠装置を開示する。この施錠装置の場合、パワースライドドアの閉動作中に施錠操作されると、まず、ドア開閉制御部は、施錠操作による入力（以下、施錠予約と称す）を受け付ける。次に、ドア開閉制御部は、パワースライドドアが完全に閉鎖されたことを検出してから、施錠指令を施錠装置に送信する。そして、施錠装置は、ドア開閉制御部からの施錠指令に基づいて、パワースライドドアを施錠する。このため、ユーザは、パワースライドドアが完全に閉められるまで施錠操作を待つ必要がなくなる。

特開２００６－２１４２６７号公報

　しかしながら、パワースライドドアの閉動作中にドア開閉制御部が施錠予約を受け付けた後、ドアが障害物等に衝突して開動作し始めたり、ドアが完全に閉じられる前に停止したりすることがある。こうしたトラブルが生じた場合、スライドドアは完全に閉じられず、施錠もされない。また、ユーザの多くは、施錠予約後に車両から離れてしまえば、パワースライドドアが施錠されてないことに気づかない。よって、従来のパワースライドドアには、セキュリティ上の問題があった。

　本発明の目的は、パワースライドドアを閉動作中にパワースライドドアが完全に閉じられず、施錠もされない場合、パワースライドドアが施錠されなかった旨をユーザに報知することのできるパワースライドドアの施錠装置を提供することにある。

　上記課題を解決するため、本発明の第一の態様によれば、パワースライドドアの閉動作中に、施錠予約を受け付ける施錠予約受付手段と、パワースライドドアが閉鎖状態になったか否かを検出する閉鎖状態検出手段と、パワースライドドアを施錠するドア施錠手段と、ドア施錠手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、閉鎖状態検出手段によりパワースライドドアの閉鎖状態が検出されたとき、施錠予約受付手段の施錠予約に基づいてドア施錠手段によりパワースライドドアを施錠するパワースライドドアの施錠装置が提供される。施錠装置は、予約受付手段が施錠予約を受け付けた後に、閉動作中のパワースライドドアが閉鎖されない異常状態を判定する異常状態判定手段と、異常状態判定手段によりパワースライドドアが異常状態であると判定された場合、パワースライドドアが施錠されていない旨の異常報知信号を出力する出力手段とを備えている。

　この発明によれば、パワースライドドアの閉動作中に施錠予約を受け付けた後、パワースライドドアが何らかの異常により完全に閉じられず、施錠されなかった場合、パワースライドドアが施錠されなかった旨をユーザに報知することができる。

　上記のパワースライドドアの施錠装置において、出力手段からの異常報知信号を受けて異常を報知する報知手段を備えることが好ましい。
　この発明によれば、報知手段が異常報知信号を受けて異常を報知することにより、パワースライドドアが施錠されなかったことを、施錠予約したユーザに報知することができる。

　上記のパワースライドドアの施錠装置において、異常報知信号に応じて警告信号を送信する送信手段を備え、出力手段が異常報知信号を出力すると、送信手段は、表示手段、音響発生手段、及び振動発生手段のうち少なくとも１つを有すると共に外部からの信号を受信する受信手段を備えた携帯装置に警告信号を送信し、受信手段が警告信号を受信すると、少なくとも１つの手段は、警告信号に基づいて異常を報知することが好ましい。

　この発明によれば、パワースライドドアを施錠予約したユーザが携帯装置を携帯している場合、パワースライドドアが施錠されなかったことをユーザに報知することができる。
　上記のパワースライドドアの施錠装置において、パワースライドドアが閉動作し始めてからの時間をカウントするタイマ手段を備え、異常状態判定手段は、タイマ手段のカウント値が、パワースライドドアが全開されている状態から閉鎖されるまでに要する時間よりも長い所定時間を超えた場合、パワースライドドアが異常状態であると判定することが好ましい。

　この発明によれば、タイマ手段のカウント値が、パワースライドドアが全開されている状態から閉鎖されるまでに要する時間よりも長い所定時間を超えたとき、異常状態判定手段は、パワースライドドアが異常状態であると判定する。このことにより、パワースライドドアが施錠さなかったことをユーザに報知することができる。

　上記のパワースライドドアの施錠装置において、パワースライドドアの閉動作及び開動作の各方向を検出する動作方向検出手段を備え、異常状態判定手段は、動作方向検出手段によりパワースライドドアの開動作が検出されたこと基づいて、パワースライドドアが異常状態であると判定することが好ましい。

　この発明によれば、施錠予約したにもかかわらずパワースライドドアが開動作したときに異常状態であると判定されて、パワースライドドアが施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　上記のパワースライドドアの施錠装置において、パワースライドドアが停止したことを検出する停止検出手段を備え、異常状態判定手段は、停止検出手段によりパワースライドドアの停止が検出されたことに基づいて、パワースライドドアが異常状態であると判定することが好ましい。

　この発明によれば、施錠予約したにもかかわらずパワースライドドアが停止したとき異常状態であると判定されて、パワースライドドアが施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

第１実施形態のパワースライドドアの施錠装置のブロック図。第２実施形態のパワースライドドアの施錠装置のブロック図。第３実施形態のパワースライドドアの施錠装置のブロック図。

　（第１実施形態）
　以下、本発明のパワースライドドアの施錠装置をワンボックスカーのスライドドアに具体化した第１実施形態について図１を参照して説明する。

　ワンボックスカーは、前部ドアとして運転席ドア及び助手席ドアを備えている。また、ワンボックスカーは、後部ドアとして左右一対のスライドドア本体を備えている。図１に示すように、施錠装置は、スマートエントリーシステム部１０、パワースライドドアシステム部２０、及びボデーシステム部３０を備えている。

　スマートエントリーシステム部１０は、車両ボデーに搭載された施錠予約受付手段としてのスマートＥＣＵ１１、スマートＥＣＵ１１に電気的に接続された送受信機１２、及び車両のドアノブに備えられた施錠スイッチ１３を含む。施錠スイッチは、運転席側ドア又は助手席側ドアのドアノブに取り付けられている。スマートＥＣＵ１１は、ＣＰＵ、ＲＯＭ及びＲＡＭを備えている。携帯装置としてのリモート操作キー１４は、車両の施錠及び施錠解除を行うための操作ボタンを備えている。

　ユーザは、リモート操作キー１４の操作ボタンを操作して、送受信機１２に施錠又は施錠解除のための操作信号及びＩＤ信号を無線で送信する。スマートＥＣＵ１１は、送受信機１２からの操作信号及びＩＤ信号を受信すると、ＩＤ信号の照合処理を行う。スマートＥＣＵ１１は、ＩＤ信号の照合が一致したことを条件に、ＩＤ信号と共に受信した施錠又は施錠解除のための操作信号に基づいて車両のドアを施錠又は施錠解除する。

　次に、パワースライドドアシステム部２０について説明する。
　パワースライドドアシステム部２０は、停止検出手段及び異常状態判定手段としてのパワースライドドアＥＣＵ２１、スライドドアモータＭを駆動するモータ駆動回路２２、閉鎖状態検出手段としてのカーテシスイッチ２３、閉鎖状態検出手段としての閉位置スイッチ２４、開位置スイッチ２５、動作方向検出手段としての第１ドア位置センサ２６、及び動作方向検出手段としての第２ドア位置センサ２７、開閉操作スイッチ２８、及び全開スイッチ２９を備えている。モータ駆動回路２２、カーテシスイッチ２３、閉位置スイッチ２４、開位置スイッチ２５、第１ドア位置センサ２６、及び第２ドア位置センサ２７、開閉操作スイッチ２８、及び全開スイッチ２９は、パワースライドドアＥＣＵ２１と電気的に接続されている。左右一対のスライドドア本体に搭載される施錠装置の電気的構成はいずれも同じである。

　パワースライドドアＥＣＵ２１は、両スライドドア本体に対してそれぞれ共通のＥＣＵとして機能する。パワースライドドアＥＣＵ２１は、ＣＰＵ、ＲＯＭ及びＲＡＭを備えている。モータ駆動回路２２は、パワースライドドアＥＣＵ２１からの指令に応じてスライドドアモータＭを駆動する。開閉操作スイッチ２８は、スライドドア本体に設けられている。スライドドア本体は、開閉操作スイッチ２８の操作に基づきスライドドアモータＭが駆動されることにより、開方向又は閉方向に移動する。

　第１ドア位置センサ２６及び第２ドア位置センサ２７は、車両ボデーに取り付けられている。パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からの検出信号に基づいて、スライドドア本体の開閉方向や位置情報を演算する。そして、パワースライドドアＥＣＵ２１は、ＲＯＭに記憶されている制御プログラムに従ってスライドドアモータＭの回転方向を制御する。

　第１及び第２ドア位置センサ２６，２７は、スライドドア本体の開閉動作に応じてパルスを発生する。パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの数をカウントすることにより、スライドドア本体の開閉位置を検出する。パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの位相を１／４ピッチずらして、スライドドア本体の開閉動作の方向を検出する。

　カーテシスイッチ２３は、スライドドア本体の開閉状態を検出する。スライドドア本体が開かれたとき、カーテシスイッチ２３はオンされ、カーテシランプは点灯される。また、スライドドア本体が閉じられたとき、カーテシスイッチ２３はオフされ、カーテシランプは消灯される。

　スライドドア本体が全開位置に到達すると、車両のドア開口は全開される。パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体により全開スイッチ２９がオンされることにより、スライドドア本体が全開位置に到達したことを検出する。パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が全開位置に到達したことを検出すると、スライドドアモータＭを停止させる。一方、スライドドア本体が全閉位置に到達すると、車両のドア開口は全閉される。スライドドア本体によりカーテシスイッチ２３がオフされると、パワースライドドアＥＣＵ２１はスライドドアモータＭを停止させる。

　スライドドア本体の内部には、ドアクローザが搭載されている。ドアクローザは、スライドドア本体内にラッチ機構及びクローザ機構を備えている。ドアクローザは、車両ボデーに設けられたストライカとラッチ機構のラッチとを係合させることにより、スライドドア本体が完全に閉じられる直前の状態（半ドア状態）からスライドドア本体を閉鎖状態するためのものである。ドアクローザによりスライドドア本体が閉鎖状態に保持されると、閉位置スイッチ２４はオンされる。スライドドア本体が全閉位置に到達せず完全に閉じられていない場合、ドアクローザにより閉位置スイッチ２４はオンされず、開位置スイッチ２５はオンされ続ける。

　ボデーシステム部３０は、ドア施錠手段としてのロッキングモータ３２と、ロッキングモータ３２を制御するボデーＥＣＵ３１と、ドア施錠手段及び報知手段としての警告装置３３とを備えている。警告装置３３は、ホーン、ヘッドランプ、車幅灯により構成されている。

　ロッキングモータ３２は、各スライドドア本体、並びに、各スライドドア以外の他のドアにそれぞれ配置されている。ロッキングモータ３２は、駆動回路を介して、制御手段及び出力手段としてのボデーＥＣＵ３１と電気的に接続されている。このため、ロッキングモータ３２が駆動されると、施錠機構３４により、フロントドア及びスライドドア本体を含む車両の全てのドアが施錠又は施錠解除される。スマートＥＣＵ１１、パワースライドドアＥＣＵ２１、及びボデーＥＣＵ３１は、双方向に通信可能な通信ケーブルに接続されている。

　次に、上記のパワースライドドアの施錠装置の作用を説明する。
　１．ドア施錠が正常に行われる場合
　スライドドア本体が全開されている状態で、ユーザは、スライドドア本体の開閉操作スイッチ２８を閉操作する。すると、パワースライドドアＥＣＵ２１は、モータ駆動回路２２を介してスライドドアモータＭを動作させる。そして、スライドドア本体が閉動作する。スライドドア本体の閉動作中、パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの位相に基づき、ドア閉動作中であることを示すドア閉動作中信号（ドア状態信号）をボデーＥＣＵ３１に出力する。ボデーＥＣＵ３１は、ドア閉動作中信号に基づいて作動フラグを「１」にセットする。スライドドア本体の閉動作と共に、ユーザは、施錠スイッチ１３をオンして、施錠スイッチ１３から施錠操作信号を出力させる。或いは、ユーザは、スライドドア本体の閉動作中にリモート操作キー１４の操作ボタンを操作して、送受信機１２に施錠操作信号を送信する。

　スマートＥＣＵ１１は、施錠スイッチ１３からの施錠操作信号の入力、或いは、送受信機１２を介して入力される施錠操作信号に基づいて、パワースライドドアＥＣＵ２１にドア施錠予約信号を出力する。ドア施錠予約信号は、閉動作中のスライドドア本体にドア施錠が予約されたことを意味する信号である。ドア施錠予約信号がボデーＥＣＵ３１に入力されると、ボデーＥＣＵ３１は、ドア施錠予約フラグをＲＡＭにセットする。

　この後、ドアクローザが作動してスライドドア本体が全閉位置に到達すると、閉位置スイッチ２４がオンされ、カーテシスイッチ２３がオフされる。又、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスのパワースライドドアＥＣＵ２１への入力も停止される。そして、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が閉鎖されたことを示す閉完了信号を、ボデーＥＣＵ３１に出力する。

　ボデーＥＣＵ３１に閉完了信号が入力されると、ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグを「１」から「０」にリセットする。ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグを「１」から「０」にリセットしたこと、及びドア施錠予約フラグがＲＡＭにセットされていることに基づいて、ロッキングモータ３２を作動させる。これにより、施錠機構３４が、フロントドア及びスライドドア本体を含む車両の全てのドアを施錠する。

　２．ドア施錠が正常に行われない場合
　ドア施錠予約フラグがセットされる迄は、「１．ドア施錠が正常に行われる場合」のそれと同じであるため説明を省略する。ドア施錠が正常に行われないとは、何らかの原因で、閉動作中のスライドドア本体が閉鎖状態にならなかったことを意味する。このような状態として、閉動作中のスライドドア本体が反転して開作動し始めた場合、閉動作中のスライドドア本体が停止した場合、或いはセンサ異常等が挙げられる。

　（スライドドア本体が反転する場合）
　例えば、ドア開口においてスライドドア本体と車両ボデーとの間に物が挟まった場合、過負荷が閉動作中のスライドドア本体に加わる。この場合、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの間隔が通常よりも長くなることを利用して、パワースライドドアＥＣＵ２１は、閉動作中のスライドドア本体に過負荷が加わっていることを検出する。パルスの間隔が閾値以上となると、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が異常状態であると判定し、スライドドアモータＭを反転させる。そして、スライドドア本体の開動作が開始される。又、パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの位相に基づき、ドア開動作中であることを示すドア開作動中信号（ドア状態信号）をボデーＥＣＵ３１に出力する。又、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が異常状態であることに基づいて、ウォーニング信号をボデーＥＣＵ３１に出力する。そして、ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグの「１」及び異常フラグ「１」の両方のフラグの状態に基づいて異常報知信号を出力し、警告装置３３を作動させる。具体的には、異常報知信号としての鳴動信号をホーンに出力して鳴動させたり、異常報知信号としての点滅信号をヘッドランプ、車幅灯に出力して点滅させたりする。

　（スライドドア本体が停止する場合）
　例えば、カーテシスイッチ２３からのオフ信号が入力されず、閉動作中のパワースライドドアＥＣＵ２１からの指令がモータ駆動回路２２に入力されなくなると、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が異常状態であると判定する。この判定に基づいて、パワースライドドアＥＣＵ２１は、ドア状態信号としてのドア停止信号及びウォーニング信号をボデーＥＣＵ３１に出力する。ボデーＥＣＵ３１は、ドア停止信号に基づいて作動フラグを「１」から「０」にリセットすると共に、ウォーニング信号に基づいて異常フラグを「０」から「１」にセットする。ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグの「０」及び異常フラグ「１」の両方のフラグの状態に基づいて警告装置３３を作動させる。具体的には、ホーンを鳴動させたり、ヘッドランプ及び車幅灯を点滅させたりする。

　又、カーテシスイッチ２３からのオフ信号が入力されず、機構的な原因でスライドドア本体が停止した場合、パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からの信号に基づいて、スライドドア本体が停止していること、即ち、スライドドア本体が異常状態であると判定する。この判定に基づいて、パワースライドドアＥＣＵ２１は、ドア停止信号及びウォーニング信号をボデーＥＣＵ３１に出力する。そして、ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグの「０」及び異常フラグ「１」の両方のフラグの状態に基づいて警告装置３３を作動させる。

　（センサ異常）
　スライドドア本体の閉動作中に、パワースライドドアＥＣＵ２１は、パワースライドドアＥＣＵ２１に接続されている各種のセンサ自体が異常状態であるか否かを検出する。例えば、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７の一方からしか信号が入力されない場合、パワースライドドアＥＣＵ２１は、センサ自体が異常であると判定する。センサ自体の異常が検出された場合、パワースライドドアＥＣＵ２１は、センサ異常信号及びウォーニング信号の両方をボデーＥＣＵ３１に出力する。そして、ボデーＥＣＵ３１は、センサ異常信号及び異常フラグ「１」の両方に基づいて警告装置３３を作動させる。

　本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
　（１）パワースライドドアの施錠装置は、パワースライドドアＥＣＵ２１及びボデーＥＣＵ３１を備えている。パワースライドドアＥＣＵ２１は、スマートＥＣＵ１１が施錠予約を受け付けた後に、閉動作中のスライドドア本体（パワースライドドア）が閉鎖されない状態、即ち、スライドドア本体が異常状態であることを判定する。ボデーＥＣＵ３１は、パワースライドドアＥＣＵ２１が上記の異常を判定した際に、スライドドア本体（パワースライドドア）が施錠されなかったことをユーザに知らせるため、鳴動信号、点滅信号（異常報知信号）を出力する。つまり、スライドドア本体の閉動作中に施錠予約を受け付けた後、何らかの異常によりスライドドア本体が完全に閉じられずに施錠されなかった場合、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　（２）パワースライドドアの施錠装置は、ホーン、ヘッドランプ、及び車幅灯を警告装置３３として備えている。警告装置３３は、ボデーＥＣＵ３１（出力手段）からの鳴動信号、点滅信号（異常報知信号）を受けて、スライドドア本体が異常であることを報知する。つまり、警告手段３３を作動させることによって、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。特に、ユーザは、施錠予約後に車両から離れるとき、車両を後ろにして立ち去ることが多い。このため、ホーンによる鳴動は、ユーザへの報知手段として効果がある。又、夜間や、ヘッドホーンを着用している場合等、ユーザは、ホーンよる鳴動だけでは異常に気がつかない場合もある。その点、本発明によれば、ヘッドランプ及び車幅灯が点滅して警告されるため、車両から離れているユーザに対しても効果的に報知することができる。

　（３）パワースライドドアの施錠装置は、スライドドア本体の閉動作及び開動作の各方向を検出する第１及び第２ドア位置センサ２６，２７を備えている。パワースライドドアＥＣＵ２１は、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７によりスライドドア本体の開動作が検出されたことに基づいて、スライドドア本体が異常であることを判定する。つまり、ユーザが施錠予約したにもかかわらずスライドドア本体が開動作したときに異常状態であると判定されて、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　（４）パワースライドドアの施錠装置は、スライドドア本体が停止したことを検出するパワースライドドアＥＣＵ２１を備えている。つまり、施錠予約したにもかかわらずスライドドア本体が停止したとき異常状態であると判定されて、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　（第２実施形態）
　次に、第２実施形態について図２を参照して説明する。第１実施形態と同一構成については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。

　第２実施形態は、リモート操作キー１４に振動発生手段としてのバイブレータ１４ａを備える点で、第１実施形態と異なる。ボデーＥＣＵ３１は、スライドドア本体が正常に施錠されなかった場合、異常報知信号を出力し警告装置３３を作動させることに加え、異常報知信号をスマートＥＣＵ１１に出力する。スマートＥＣＵ１１は、異常報知信号に基づいて、警告信号を送受信機１２からリモート操作キー１４の送受信部１４ｂ（受信手段）に送信する。リモート操作キー１４は、ＣＰＵ及びＲＯＭを備えている。警告信号が入力されると、リモート操作キー１４のバイブレータ１４ａが振動する。

　よって、リモート操作キー１４を所有するユーザは、建物等に隠れて車両が見えない場所に移動した場合であっても、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　（第３実施形態）
　次に、第３実施形態について図３を参照して説明する。
　移動体通信センタ５０は、携帯装置としての携帯電話機４０と送受信可能である。また、送信手段としての送受信機１２は、移動体通信センタ５０と送受信可能である。送受信機１２は、音声合成手段を備えている。異常報知信号が送受信機１２に入力されると、送受信機１２は、音声合成手段から、例えば「スライドドアが施錠されませんでした」といった音声情報（警告信号）を発信する。又、送受信機１２は、文字情報生成手段も備えている。異常報知信号が送受信機１２に入力されると、送受信機１２は、文字情報生成手段に、例えば、「スライドドアが施錠されませんでした」といった文字情報（警告信号）を表示させる。

　携帯電話機４０は、表示手段としてのディスプレイ４０ａ、音響発生手段としてのスピーカ４０ｂ、振動発生手段としてのバイブレータ４０ｃ、及び移動体通信センタ５０と送受信可能な受信手段としての送受信部４０ｄを備えている。ボデーＥＣＵ３１は、スライドドア本体が正常に施錠されなかった場合、異常報知信号を出力し警告装置３３を作動させることに加え、異常報知信号をスマートＥＣＵ１１に出力する。スマートＥＣＵ１１は、異常報知信号に基づいて、まず、送受信機１２から携帯電話機４０の電話番号を発信する。電話番号は、送受信機１２内のメモリに予め登録されている。

　送受信機１２からの電話番号の信号が移動体通信センタ５０を介して携帯電話機４０に着信すると、送受信機１２と携帯電話機４０とが交信可能となる。そして、送受信機１２は、音声合成手段から警告信号としての音声情報を発信し、文字情報生成手段から警告信号としての文字情報を発信する。携帯電話機４０は、ＣＰＵ及びＲＯＭを備えている。携帯電話機４０は、音声情報及び文字情報を受信すると、バイブレータ１４ａを振動させ、ディスプレイ４０ａに異常報知のための文字を表示し、スピーカ４０ｂから音声を発信する。

　よって、携帯電話機４０を所有するユーザが、建物等に隠れて車両が見えない場所に移動した場合であっても、スライドドア本体が施錠されなかったことをユーザに報知することができる。

　上記の各実施形態は以下のように変更してもよい。
　・本発明の施錠装置を、パワースライドドアを有するセダン等の車両に具体化してもよい。

　・クローザ及び閉位置スイッチ２４、開位置スイッチ２５等を省略してもよい。
　・各実施形態において、施錠予約受付手段は、スマートＥＣＵ１１であったが、ボデーＥＣＵ３１であってもよい。この場合、施錠スイッチ１３の施錠操作信号がボデーＥＣＵ３１に入力される。

　・各実施形態において、警告装置は、ホーンのみ、ヘッドランプのみ、車幅灯のみであってもよく、ホーン及び車幅灯を組み合わせてもよく、或いは、ヘッドランプ及びホーンを組み合わせてもよい。

　・各実施形態において、動作方向検出手段としての第１及び第２ドア位置センサ２６，２７を、モータの回転方向を検出する他の公知の手段に変更してもよい。
　・第１実施形態において、図１に示すように、パワースライドドアＥＣＵ２１は、タイマ手段としてのタイマ２１ａを備えてもよい。ユーザにより開閉操作スイッチ２８が操作されると、パワースライドドアＥＣＵ２１は、タイマ２１ａによりスライドドア本体が閉動作し始めてからの時間をカウントする。そして、タイマ２１ａのカウント値が所定時間を超えたときに、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が異常状態であると判定する。所定時間は、スライドドア本体が全開されている状態から完全に閉鎖されるまでに要する時間より長く設定されている。

　このようにして、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が異常状態であると判定すると、閉作動中のスライドドアモータＭを反転させて開作動を開始すると共に、第１及び第２ドア位置センサ２６，２７からのパルスの位相に基づき、ドア開作動中信号をボデーＥＣＵ３１に出力する。又、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライドドア本体が過負荷状態であることに基づいてウォーニング信号をボデーＥＣＵ３１に出力する。そして、ボデーＥＣＵ３１は、作動フラグの「０」及び異常フラグ「１」の両方のフラグの状態に基づいて、異常報知信号としての警告信号を出力し、警告装置３３を作動させる。

　このように構成すると、パワースライドドアＥＣＵ２１は、タイマ２１ａのカウント値が上記の所定時間を超えたときに、スライド本体が異常状態であること判定する。このことにより、パワースライドドアが施錠されなかったことをユーザに報知することができる。即ち、スライドドア本体の閉動作が異常に遅いため正常に施錠できない場合についても、パワースライドドアＥＣＵ２１は、スライド本体が異常であると判定することができる。

　・リモート操作キー１４は、スマートキーであったが、ワイヤレスキー等のリモコン操作キーであってもよい。
　・第２実施形態において、リモート操作キー１４は、バイブレータに代えて、液晶表示装置等のディスプレイを備えてもよい。この場合、リモート操作キー１４のＣＰＵは、異常報知信号を受信したとき、スライド本体の動作が異常に遅いため正常に施錠できないことを、ディスプレイに表示させる。

　・第２実施形態において、リモート操作キー１４は、スピーカに代えて、バイブレータを備えてもよい。この場合、リモート操作キー１４のＣＰＵは、異常報知信号を受信したとき、スピーカから音声又はブザーを発信する。これにより、スライドドア本体の動作が異常に遅いため正常に施錠できないことをユーザに報知することができる。

　・上記各実施形態において、バイブレータ１４ａと表示装置とを組み合わせてもよく、スピーカと表示装置とを組み合わせてもよい。
　・上記各実施形態において、閉鎖状態検出手段は、カーテシスイッチ２３、及び閉位置スイッチ２４であったが、これらに限定されない。又、クローザを有しない車両の場合、閉位置スイッチ２４を省略してもよい。

　・上記各実施形態において、スマートエントリーシステム部１０をキーレスエントリーシステム部に変更してもよい。この場合、スマートＥＣＵ１１は、キーレスエントリーを実行するためのＣＰＵである。

Claims

パワースライドドアの閉動作中に、施錠予約を受け付ける施錠予約受付手段と、前記パワースライドドアが閉鎖状態になったか否かを検出する閉鎖状態検出手段と、前記パワースライドドアを施錠するドア施錠手段と、前記ドア施錠手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記閉鎖状態検出手段により前記パワースライドドアの閉鎖状態が検出されたとき、前記施錠予約受付手段の施錠予約に基づいて前記ドア施錠手段により前記パワースライドドアを施錠するパワースライドドアの施錠装置において、
　前記予約受付手段が施錠予約を受け付けた後に、閉動作中のパワースライドドアが閉鎖されない異常状態を判定する異常状態判定手段と、
　前記異常状態判定手段により前記パワースライドドアが異常状態であると判定された場合、前記パワースライドドアが施錠されていない旨の異常報知信号を出力する出力手段とを備えていることを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。
請求項１記載のパワースライドドアの施錠装置は、更に、前記出力手段からの異常報知信号を受けて異常を報知する報知手段を備えることを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。
請求項１又は２記載のパワースライドドアの施錠装置は、更に、前記異常報知信号に応じて警告信号を送信する送信手段を備え、
　前記出力手段が異常報知信号を出力すると、前記送信手段は、表示手段、音響発生手段、及び振動発生手段のうち少なくとも１つを有すると共に外部からの信号を受信する受信手段を備えた携帯装置に警告信号を送信し、
　前記受信手段が前記警告信号を受信すると、前記少なくとも１つの手段は、前記警告信号に基づいて異常を報知することを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。
請求項１～３のいずれか一項に記載のパワースライドドアの施錠装置は、更に、
　前記パワースライドドアが閉動作し始めてからの時間をカウントするタイマ手段を備え、
　前記異常状態判定手段は、前記タイマ手段のカウント値が、前記パワースライドドアが全開されている状態から閉鎖されるまでに要する時間よりも長い所定時間を超えた場合、前記パワースライドドアが異常状態であると判定することを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。
請求項１～３のいずれか一項に記載のパワースライドドアの施錠装置は、更に、
　前記パワースライドドアの閉動作及び開動作の各方向を検出する動作方向検出手段を備え、
　前記異常状態判定手段は、前記動作方向検出手段により前記パワースライドドアの開動作が検出されたこと基づいて、前記パワースライドドアが異常状態であると判定することを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。
請求項１～３のいずれか一項に記載のパワースライドドアの施錠装置は、更に、
　前記パワースライドドアが停止したことを検出する停止検出手段を備え、
　前記異常状態判定手段は、前記停止検出手段により前記パワースライドドアの停止が検出されたことに基づいて、前記パワースライドドアが異常状態であると判定することを特徴とするパワースライドドアの施錠装置。