WO2011142310A1 - cDNAの合成方法 - Google Patents

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Abstract

 RNA及びDNAを含む試料中のDNAをエンドデオキシリボヌクレアーゼにより分解し処理試料とした後、エンドデオキシリボヌクレアーゼの熱失活又はエンドデオキシリボヌクレアーゼの除去を行うことなく、当該処理試料及び逆転写酵素を含有し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写反応を行うことを特徴とする、cDNAの合成方法。本発明のcDNA合成方法及びキットは、広く遺伝子工学の分野に有用である。

Description

cDNAの合成方法
 本発明は、cDNAの合成に有用な方法及びcDNAの合成に有用なキットに関する。
 生命現象を解明するためには、様々な遺伝子のmRNA分子の解析が非常に重要である。RNA依存性DNAポリメラーゼ、すなわち逆転写酵素の発見により、RNAを鋳型にcDNAを合成する逆転写反応が可能となり、mRNA分子の解析法は長足の進歩を遂げ、逆転写酵素を用いたmRNA分子の解析法は現在、遺伝子に関する研究において必須の実験法となっている。逆転写反応によって合成されたcDNAを鋳型としてDNA断片を増幅するPCR法はRT-PCR法と呼ばれている。RT-PCR法はmRNA由来のcDNAのクローニングやcDNAライブラリーの作製に利用されるほか、特定のRNAの発現状態を調べる方法としても有用である。
 しかし、cDNA合成に使用される試料中にDNAが混在する場合には、RNAをコードしているDNA上の領域や偽遺伝子が増幅されることがあるため、RNAを鋳型として合成されたDNAのみを選択的に取得することが難しくなる。試料中に混在したDNA由来の増幅産物の生成を防ぐために、逆転写反応時にヌクレオチドアナログとTm値を低下させる化合物とを用いる方法(特許文献1)や、試料中のDNAをデオキシリボヌクレアーゼI(以下、DNaseIと称することがある)等のエンドデオキシリボヌクレアーゼ(以下、エンドDNaseと称することがある)により分解した後に逆転写反応を行う方法等が採用されている。
 試料中のDNAをDNaseIにより分解した後に逆転写反応を行う場合、cDNAの分解を防ぐため、熱処理やフェノール/クロロホルム抽出等によりDNaseIを逆転写反応前に不活化又は除去するのが一般的である。しかしながら、フェノール/クロロホルム抽出は煩雑であり、また、DNaseIの反応に必須な2価の金属イオンはその存在下での熱処理によりRNAの加水分解を引き起こすことが知られている。DNaseIと逆転写酵素とを同時に作用させる方法も提案されている(特許文献2、3)が、DNaseIはDNA/RNAハイブリッド中のDNAをも分解するため、この方法で逆転写反応により合成されたcDNAはDNaseIによって分解を受ける。
国際公開第99/09213号パンフレット 特開2005-304396号公報 国際公開第2006/103039号パンフレット
 本発明が解決しようとする課題は、試料中に混在するDNA由来の増幅産物の生成を簡便に防ぐことが可能なcDNA合成方法を提供することにある。
 本発明者らは、エンドDNaseが活性を示さず、かつ逆転写酵素が活性を示す反応液組成を調製可能であることを見出し、さらにこの知見に基づいて上記の課題を解決可能なcDNAの合成方法及びcDNA合成用キットに関する本発明を完成させた。
 即ち、本発明は、
[1] RNA及びDNAを含む試料中のDNAをエンドデオキシリボヌクレアーゼにより分解し処理試料とした後、エンドデオキシリボヌクレアーゼの熱失活又はエンドデオキシリボヌクレアーゼの除去を行うことなく、当該処理試料及び逆転写酵素を含有し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写反応を行うことを特徴とする、cDNAの合成方法、
[2] (a)RNA及びDNAを含む試料ならびにエンドデオキシリボヌクレアーゼを含む組成物を得る工程、(b)エンドデオキシリボヌクレアーゼが試料中のDNAを分解するのに十分な条件で、工程(a)で得られた組成物を処理する工程、及び(c)工程(b)で処理された組成物に添加剤と逆転写酵素を加えてエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写酵素による逆転写反応を行う工程を含む、[1]に記載の方法、
[3] エンドデオキシリボヌクレアーゼがデオキシリボヌクレアーゼIである、[1]に記載の方法、
[4] 逆転写酵素がモロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素である、[1]に記載の方法、
[5] 添加剤が、還元剤、一価カチオン及びその塩からなる群より選択された少なくとも1種である、[2]に記載の方法、
[6] 一価カチオンがアンモニウムイオンである、[5]に記載の方法、
[7] cDNAの増幅方法であって、[1]~[6]いずれかに記載の方法により合成されたcDNAを鋳型として遺伝子増幅反応を行う工程を含む方法、並びに
[8] (A)エンドデオキシリボヌクレアーゼ、(B)緩衝剤、(C)逆転写酵素、及び(D)逆転写酵素が活性を示し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない逆転写反応用の組成物を調製するための添加剤を含む、[1]~[7]いずれかに記載の方法のためのキット
に関する。
 本発明により、試料中に混在するDNA由来の増幅産物の生成を防ぐことが可能で、かつ操作性や定量性等に優れたcDNAの合成が可能となる。
図1は、実施例2におけるアガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 図2は、実施例8におけるリアルタイムPCRの結果を示す図である。
 本発明のcDNA合成方法は、RNA及びDNAを含む試料中のDNAをエンドデオキシリボヌクレアーゼにより分解し処理試料とした後、エンドデオキシリボヌクレアーゼの熱失活又はエンドデオキシリボヌクレアーゼの除去を行うことなく、当該処理試料及び逆転写酵素を含有し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写反応を行うことを特徴とする。
 従来、試料中のDNAをエンドDNaseにより分解した後に逆転写反応を行う方法では、逆転写反応前にエンドDNaseを熱失活するかエンドDNaseを除去する必要があったが、本発明の方法ではこれらの操作は必要ない。すなわち、本発明によればエンドDNaseによる試料中のDNAの分解と逆転写反応の間に、60℃以上の熱処理又は特定成分の分離操作を実施する必要はない。よって、本明細書において、「エンドデオキシリボヌクレアーゼ(エンドDNase)の熱失活」とはエンドDNaseを含む試料を60℃以上で熱処理することを、「エンドデオキシリボヌクレアーゼ(エンドDNase)の除去」とはエンドDNaseを含む試料からエンドDNaseを分離することを示し、「エンドデオキシリボヌクレアーゼの熱失活又はエンドデオキシリボヌクレアーゼの除去を行うことなく」とは前記のような操作を実施しないことである。
 本発明を特に限定するものではないが、本発明の方法に用いる試料としては、RNAを含む試料であればよく、例えば、RNA及びDNAを含む試料が挙げられる。具体的には、細胞、組織、血液のような生体由来試料、これを公知の方法で処理することによって得られる核酸含有試料、食品、土壌、排水のような生物を含有する可能性のある試料が例示される。生体由来試料を公知の方法で処理する事によって得られる核酸含有試料の例としては、例えば細胞破砕物やそれを分画して得られる試料、該試料中の全RNA、あるいは特定のRNA分子群、例えば、mRNAを富化した試料等が挙げられ、それらの中にDNAが混在する試料であってもよい。
 本明細書においてエンドデオキシリボヌクレアーゼ(エンドDNase)とは、DNA鎖をエンド型に切断する酵素のことをいう。本発明に使用されるエンドDNaseとしては二本鎖DNA特異的エンドDNaseが好適に例示され、例えばDNaseIやShrimp DNase等の配列非特異的エンドヌクレアーゼや制限酵素等の配列特異的エンドヌクレアーゼがより好適に例示される。
 試料中のDNAをエンドDNaseにより分解した処理試料としては、試料中のDNAがエンドDNaseにより分解されるような条件下に保持した試料であれば特に限定はなく、当業者であれば使用するエンドDNaseや試料に応じて適宜調製することができる。本発明を特に限定する物ではないが、エンドDNaseとしてDNaseIを用いる場合、保持する条件としては、好ましくは20℃~45℃で10秒~12時間、より好ましくは25℃~44℃で30秒~1時間、さらに好ましくは30℃~43℃で1分~30分の条件が例示される。
 本発明に使用される逆転写酵素は、逆転写活性、すなわちRNAを鋳型としてこれに相補的なDNAを合成する活性を有する酵素であればよく、例えばモロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV由来逆転写酵素)やトリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV由来逆転写酵素)等のウイルス由来の逆転写酵素、好熱性バチルス(Bacillus)属細菌由来DNAポリメラーゼ(Bca DNAポリメラーゼ等)等の真正細菌由来の逆転写酵素、サーマス(Thermus)属細菌由来の逆転写活性とDNA依存性DNAポリメラーゼ活性を併せ持つDNAポリメラーゼ(Tth DNAポリメラーゼ等)が例示される。本発明には、ウイルス由来の逆転写酵素が好適に使用され、MMLV由来逆転写酵素がより好適に使用される。また、逆転写酵素は天然由来酵素又は組換体酵素のいずれも本発明に使用でき、逆転写活性を有する範囲で天然由来のアミノ酸配列に改変が施された逆転写酵素も本発明に使用できる。
 本明細書において「エンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液」とは、「エンドデオキシリボヌクレアーゼがDNA分解活性を示さない反応液」であり、例えば、当該反応液に40μg/mLの子牛胸腺DNAを含有させ、これを製品に表示の力価で8U/mLのDNaseI(タカラバイオ社)の存在下で25℃、10分間保持しても260nmの吸光度が実質的に変化しない反応液のことを言う。
 当該処理試料及び逆転写酵素を含有し、かつエンドDNaseが活性を示さない反応液は、例えばエンドDNaseによる試料中のDNAの分解を行った後の反応液に、エンドDNaseがDNA分解活性を示さない組成となるように添加剤、逆転写酵素、その他の成分を加えることによって調製できる。すなわち、(a)試料及びエンドデオキシリボヌクレアーゼを含む組成物を得る工程、(b)エンドデオキシリボヌクレアーゼが試料中のDNAを分解するのに十分な条件で工程(a)により得られた組成物を処理する工程、ならびに(c)工程(b)で処理された組成物に添加剤と逆転写酵素を加えてエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写反応を行う工程を含む方法は、本発明の方法の好適な態様の一つである。
 上記の工程(a)における試料及びエンドデオキシリボヌクレアーゼを含む組成物には、さらにTris-HCl等の緩衝剤、マグネシウムイオンやマンガンイオン等の2価の金属イオン、及びジチオトレイトール(Dithiothreitol、以下、DTTと称することがある)等の還元剤が含まれることが好ましい。緩衝剤、2価の金属イオン、及び還元剤の種類や濃度は、次の工程(b)においてエンドDNaseが試料中のDNAを分解する活性を示す範囲内で、エンドDNaseの反応特性や安定性等の酵素学的性質、あるいは実験に基づいて適宜選択可能であり、エンドDNaseが高い活性を示し、かつ高い安定性を示すように設定することが好ましい。例えば、緩衝剤の種類や濃度は、その添加によりエンドDNaseの至適pH付近に設定すればよく、例えば、エンドDNaseとしてDNaseIを用いる場合、pH5~10に反応液のpHを調整することが可能なものが好ましい。また、還元剤の種類や濃度は、エンドDNaseが高い安定性を示すように設定すればよく、例えば、エンドDNaseとしてDNaseIを用いる場合、1mM以上5mM未満のDTTを組成物中に含有させることが好ましい。
 前記の工程(b)におけるエンドデオキシリボヌクレアーゼが試料中のDNAを分解するのに十分な条件は、後の逆転写反応やその後の核酸増幅反応において、試料中のDNA由来の産物が実質的に確認できなくなるようにDNAの分解が行なわれる温度や時間の条件であれば特に限定はなく、当業者であれば使用するエンドDNaseや試料に応じて適宜設定することができる。本発明を特に限定する物ではないが、エンドDNaseとしてDNaseIを用いる場合、20℃~45℃で10秒~12時間の条件が好適に例示され、25℃~44℃で30秒~1時間の条件がより好適に例示され、30℃~43℃で1分~30分の条件がさらにより好適に例示される。
 前記の工程(c)における添加剤としては、還元剤、一価のカチオン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種が例示される。添加剤は、例えば当該添加剤を含む水溶液、好ましくは当該添加剤を含む緩衝液の形状として本発明に使用することができる。上記の緩衝液に使用する緩衝剤の種類や濃度は、反応液を所望のpHにできるものであれば特に限定はないが、その添加により逆転写反応に使用する逆転写酵素の至適pH付近に反応液のpHを変化させることが可能なものが好ましい。上記の緩衝剤としては、本発明を特に限定するものではないが、Tris-HCl等のグッドバッファーが例示される。上記の還元剤としては、例えばDTT等のチオール還元剤や2-メルカプトエタノールが例示される。また、上記の一価のカチオンとしては、アンモニウムイオン、並びにカリウムイオン、リチウムイオン、及びナトリウムイオン等のアルカリ金属イオン等が例示され、これらの塩、例えば硫酸アンモニウムや塩化カリウムを用いてもよい。還元剤や一価カチオン又はその塩の種類や使用量は、添加剤を添加した組成物においてエンドDNaseが活性を示さず、かつ逆転写酵素が有効に機能する組成となるようなものであれば特に限定はなく、当業者であれば本明細書の開示に基づいて適宜決定することができる。特に本発明を限定するものではないが、エンドDNaseが活性を示さず、かつ逆転写酵素が有効に機能する組成物に含まれる成分としては、例えばエンドDNaseがDNaseIの場合、硫酸アンモニウム、DTT及び塩化カリウムが例示される。硫酸アンモニウムの組成物中の濃度としては、5mM以上が好適に例示され、10mM~30mMがより好適に例示され、14mM~28mMがさらに好適に例示される。また、DTTの濃度としては、5mM以上が好適に例示され、11mM~30mMがより好適に例示され、12mM~20mMがさらに好適に例示される。また、塩化カリウムの濃度としては、1mM以上が好適に例示され、3mM~30mMがより好適に例示され、5mM~20mMがさらに好適に例示される。具体的には、組成物中の最終濃度として、好ましくは5mM以上の硫酸アンモニウム、5mM以上のDTT、及び1mM以上の塩化カリウムを含むよう、より好ましくは10mM~30mMの硫酸アンモニウム、11mM~30mMのDTT、及び3mM~30mMの塩化カリウムを含むよう、さらに好ましくは14mM~28mMの硫酸アンモニウム、11mM~30mMのDTT、及び5mM~20mMの塩化カリウムを含むよう、さらに好ましくは14mM~28mMの硫酸アンモニウム、12mM~20mMのDTT、及び5mM~20mMの塩化カリウムを含むよう、前記添加剤を配合する。
 また、上記の添加剤は、逆転写酵素、緩衝剤、オリゴヌクレオチドプライマー及びdNTP等の逆転写反応に必要な成分と混合した逆転写反応液調製用の緩衝液として本発明に使用することができる。操作性と逆転写酵素の安定性を考慮すれば、逆転写酵素以外の逆転写反応に必要な成分はこの緩衝液に含有させ、逆転写酵素のみを別途加える態様が好適である。
 逆転写反応の条件は、鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件であれば特に限定はない。鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件とは、特に限定するものではないが、温度条件としては25~60℃が好適であり、30~50℃がより好適である。また、反応時間としては、5~120分が好適であり、15~60分がより好適である。また、逆転写反応後に、逆転写酵素が不活化する条件で反応液をインキュベートしてもよい。逆転写酵素を不活化する条件としては、例えば85℃で5秒間の条件が例示される。
 本発明のcDNAの増幅方法は、本発明のcDNAの合成方法により合成されたcDNAを鋳型として遺伝子増幅反応を行う工程を含む。cDNAを鋳型とした核酸の増幅にはPCR法、ICAN法、LAMP法、SDA法等の当分野で周知の遺伝子増幅法が利用できる。例えば核酸の増幅にPCR法を用いる場合、一般的なPCRの条件が適用でき、例えば、二本鎖鋳型DNAの一本鎖への解離(変性)、一本鎖鋳型DNAへのプライマーのアニーリング、プライマーからの相補鎖合成(伸長)の3つのステップからなる反応により、又は「シャトルPCR」[『PCR法最前線』、「蛋白質核酸  酵素」別冊、第41巻、第5号、425頁~428頁(1996)]と呼ばれる、前述の3ステップ反応のうちプライマーのアニーリング及び伸長のステップを同一温度で行なう2ステップ反応により実施される。PCR法としては、インターカレーティング色素やFRET標識プローブ等を用いて核酸の増幅をモニタリング可能なリアルタイムPCRも利用できる。
 本発明のキットは、本発明のcDNAの合成方法又は本発明のcDNAの増幅方法に使用するためのキットであり、(A)エンドデオキシリボヌクレアーゼ、(B)緩衝剤、(C)逆転写酵素、及び(D)逆転写酵素が活性を示し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない逆転写反応用の組成物を調製するための添加剤を含む。上記(B)の緩衝剤には、エンドDNaseの反応に必要な2価の金属イオン等が含まれていてもよい。また、(D)の添加剤には、逆転写酵素による逆転写反応に必要な、オリゴヌクレオチドプライマーやdNTPが含まれていてもよい。
 以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 エンドDNase活性を抑制する反応組成の探索-1
 5UのDNaseI〔Recombinant DNase I(RNase-free)、タカラバイオ社〕、200ngのマウスゲノムDNA、及び表1に記載の成分を含有する20μLの反応液を5種類(反応液1~5)調製した。また、DNaseIを含まない以外は上記と同様の組成の反応液20μLを5種類調製した。なお、反応液1は、各成分がDNaseIの標準的な反応液組成の半分の濃度となるように設定しており、反応液2は逆転写酵素の至適pH近辺のpHとなりかつ逆転写酵素の基質となるdNTPを含むように設定している。これらの反応液を37℃で15分間インキュベートした後、85℃で5秒間インキュベートした。次に、Rsp18遺伝子領域を標的配列としたリアルタイムPCRにより、各反応液中に残存するゲノムDNAの量を定量した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 リアルタイムPCRによるゲノムDNAの定量結果、及び各反応液組成におけるゲノムDNAの分解の抑制率を表2に示す。表2に示すように反応液中のゲノムDNAが完全に分解される反応液1に対し、KClや(NHSOを添加した反応液やDTTの濃度を高めた反応液3~5では、DNA分解の抑制効果が認められた。特に、(NHSOを添加した反応液4やDTTの濃度を高めた反応液5では、高いDNA分解の抑制効果が認められた。なお、分解の抑制率は、以下の式より算出した。
   抑制率(%)=DNaseIを含む反応液のDNA量/DNaseIを含まない反応液のDNA量×100
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
実施例2 エンドDNase活性を抑制する反応組成の探索-2
 エンドDNase活性を完全に抑制する反応組成を構築するために、5UのDNaseI(タカラバイオ社)、200ngのマウスゲノムDNA、及び表3に示す成分を含有する反応液20μLを6種類(反応液1~6)調製した。また、DNaseIを含まない以外は同様の組成の反応液20μLを6種類調製した。これらの反応液を37℃で15分間インキュベートした後、85℃で5秒間インキュベートした。次に、各反応液をアガロースゲル電気泳動に供することにより、マウスゲノムDNAのDNaseIによる分解を確認した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 電気泳動結果を図1に示す。図1に示すように、反応液1及び2の組成においてはDNaseIの作用によりゲノムDNAのバンドは完全に消失した。一方、反応液3及び4の組成においては、DNaseI存在下でもゲノムDNAのバンドは完全には消失せずスメア状の泳動像が確認できた。このことから、反応液3及び4ではDNaseI活性が抑制されていることが確認できた。また、その抑制の程度は反応液4の方が大きいことから、(NHSOは濃度依存的にDNaseIの活性を抑制することが確認できた。さらに、反応液5及び6の組成においては、ゲノムDNAのバンドはDNaseI存在下でも全く変化しないことから、これらの反応液では完全にDNaseI活性が抑制されていることが確認できた。このことから、KCl、(NHSOの添加やDTT濃度を高めること以外に、Mg濃度を調整することによってDNaseI活性をさらに抑制できることが示された。以上の結果から、例えば、反応液1の組成でDNaseIによるDNAの分解を行った後、終濃度が反応液5あるいは6の組成になるように別途調製した添加剤を添加することでDNaseIが作用しない別の酵素反応が可能となることが示唆された。
実施例3 DNase活性の確認
 DNaseIによるゲノムDNAの分解が確認された実施例2の表3の反応液2に記載の成分を有する反応液とゲノムDNAの分解が確認されなかった実施例2の表3の反応液5に記載の組成を有する反応液について、これらの反応液中でのDNaseIのDNase活性を測定した。なお、以下に示すDNaseの活性単位は、子牛胸腺DNAを基質として反応液のOD260の吸光度を1分間に0.001増加させる酵素量を1Uとしている。
 まず、表3の反応液2又は5に記載の成分、DNaseI(タカラバイオ社、製品に表示の力価=5U/μL)の60倍希釈溶液を100μL、及び40μgの子牛胸腺DNAを含有する計1mLの溶液を調製し、これを25℃で10分間保持しながら1分毎に吸光度(OD260)を測定した。その結果、表3の反応液2に記載の成分を有する反応液では、希釈前のDNaseI(製品に表示の力価=5U/μL)1μL当たり39Uの活性が認められたのに対し、表3の反応液5に記載の組成においては吸光度の変化は認めらなかった。
 次に、表3の反応液5に記載の成分、DNaseI(5U/μL)を50μL、及び40μgの子牛胸腺DNAを含有する1mLの溶液を25℃で10分間保持しながら1分毎に吸光度(OD260)を測定した。その結果、表3の反応液5に記載の成分を有する反応液においては吸光度の変化は認められなかった。
 以上の通り、表3の反応液2に記載の成分を有する反応液においては製品の表示力価比べ約8倍の活性を示すのに対し、表3の反応液5に記載の成分を有する反応液においては、表3の反応液2に記載の成分を有する反応液における活性測定時の30倍のDNaseIを用いても活性は検出限界以下であった。このことから、表3の反応液5に記載の成分を有する反応液では、DNaseIの活性が完全に抑制されていることが確認できた。
実施例4 DNaseIが作用しない反応組成におけるDNaseI存在下の逆転写反応-1
 実施例2の表3の反応液5に記載の成分を有する反応液及び実施例2の表3の反応液6に記載の成分を有する反応液において、逆転写酵素による逆転写反応を行った場合に反応液中のDNaseIがcDNA合成に及ぼす影響について、以下の方法で検証した。
 2μg/μLから20pg/μLの段階希釈したマウス肝臓全RNA溶液1μL、10UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、表3の反応液2に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を調製した。また、DNaseIを含まない以外は上記と同様の組成の混合液10μLも調製した。これらの混合液を42℃で2分間インキュベートした後、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primerと100pmolのRandom 6mersを含有する100mMのTris-HCl(pH9.2)、20mMのKCl、20mMのDTT、1mMのdNTP、28mM又は56mMの(NHSOを含む溶液をそれぞれ10μLずつ添加混合した。すなわち、DNase処理後の混合液に逆転写酵素を含む上記溶液を添加し、逆転写酵素、DNaseI、RNase阻害剤及びプライマー以外の終濃度を表3の反応液5に記載の成分又は表3の反応液6に記載の成分とした。次に、37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。逆転写反応後のcDNA合成量は、Rsp18遺伝子領域を標的配列としたリアルタイムPCRにより評価した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。
 リアルタイムPCRの結果を表4に示す。表4に示されるように、DNaseIの有無ではCt値に差がなかった。この結果から、表3の反応液5に記載の成分を有する反応液及び表3の反応液6に記載の成分を有する反応液において、逆転写酵素によるcDNA合成にDNaseIが影響を及ぼさないことが確認できた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
実施例5 DNaseIが作用しない反応組成におけるDNaseI存在下の逆転写反応-2
 DNaseIが作用しない反応組成におけるDNaseI存在下の逆転写酵素によるcDNA合成量を、DNaseIを含有しない標準的な逆転写反応組成によるcDNA合成量と比較した。
 2μg/μLから20pg/μLの段階希釈したマウス肝臓全RNA溶液1μL、実施例2の表3の反応液2に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を調製した。この混合液を42℃で2分間インキュベートした後、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primerと100pmolのRandom 6mersを含有する100mMのTris-HCl(pH9.2)、20mMのKCl、20mMのDTT、1mMのdNTP、28mMの(NHSOを含む溶液を10μL添加混合した。すなわち、DNase処理後の混合液に逆転写酵素を含む上記溶液を添加し、逆転写酵素、DNaseI、RNase阻害剤及びプライマー以外の終濃度を実施例2の表3の反応液5に記載のものとした。次に、37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
 一方、DNaseIを含有しない標準的な逆転写反応組成は、2μg/μLから20pg/μLの段階希釈したマウス肝臓全RNA溶液1μL、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligodT primer、及び100pmolのRandom 6mers、50mMのTris-HCl(pH8.3)、75mMのKCl、及び3mMのMgClを含む計10μLの反応液とした。この反応液を用いて37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
 逆転写反応後のcDNA合成量は、Rsp18遺伝子領域を標的配列としたリアルタイムPCRにより評価した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。
 リアルタイムPCRの結果を表5に示す。表5に示されるように、本発明の方法によるリアルタイムRT-PCRにより得られたCt値と従来の標準的なリアルタイムRT-PCRにより得られたCt値とがほぼ一致した。これにより本発明の方法は、DNaseIによるcDNA合成産物の分解を完全に抑制しながら、効率良く逆転写反応を行うことが可能であることが明らかになった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
実施例6 DNaseIが作用しない反応組成におけるDNaseI存在下の逆転写反応-3
 本発明のcDNA合成方法により得られるcDNA合成量を、試料中のDNAのDNaseIによる分解の後にDNaseIを熱失活させる従来のcDNA合成方法により得られるcDNA合成量と比較した。
 2μg/μLから20pg/μLの段階希釈したマウス肝臓全RNA溶液1μL、実施例2の表3の反応液2に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を調製した。この混合液を42℃で2分間インキュベートした後、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primerと100pmolのRandom 6mersを含有する100mMのTris-HCl(pH9.2)、20mMのKCl、20mMのDTT、1mMのdNTP、28mMの(NHSOを含む溶液を10μL添加混合した。すなわち、DNase処理後の混合液に逆転写酵素を含む上記溶液を添加し、逆転写酵素、DNaseI、RNase阻害剤及びプライマー以外の終濃度を実施例2の表3の反応液5に記載のものとした。次に、37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
 一方、DNaseIを熱失活させる従来のcDNA合成方法では、2μg/μLから20pg/μLの段階希釈したマウス肝臓全RNA溶液1μL、実施例2の表3の反応液1に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を調製し、これを42℃で2分間インキュベートした後に95℃で10分間インキュベートし、DNaseIを熱失活させた。ここに、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primer、100pmolのRandom 6mers、100mMのTris-HCl(pH8.3)、300mMのKCl、12mMのMgCl、及び1mMのdNTPを含む溶液を10μL添加混合した。すなわち、DNase処理、DNase熱失活処理後の混合液に逆転写酵素を含む上記溶液を添加し、標準的な逆転写反応液組成を有する組成物とした。次に、37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
 逆転写反応後のcDNA合成量は、Rsp18遺伝子領域を標的配列としたリアルタイムPCRにより評価した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。
 リアルタイムPCRの結果を表6に示す。表6に示されるように、試料中のDNA分解の後にDNaseIを熱失活させる従来のcDNA合成方法で得られたcDNAを鋳型とした場合のCt値は、本発明の方法によるリアルタイムRT-PCRにより得られたCt値と比較して2サイクル程度の遅れが認められる。これは、DNaseIの熱失活の際にcDNA合成の鋳型となるRNAが分解したことが原因と考えられる。本実施例により、DNaseIの熱失活の必要がない本発明のcDNA合成方法の有用性が示される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
実施例7 本発明の方法におけるゲノムDNAの分解
 本発明のcDNAの合成方法を実施することによる試料中のDNAの分解を下記の方法により確認した。
 まず、200ng/μLのマウスゲノムDNA溶液1μL、10UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、表3の反応液2に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を調製した。また、DNaseIを含まない以外は上記と同様の組成の混合液10μLも調製した。これらの混合液を42℃で2分間インキュベートした後、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primerと100pmolのRandom 6mersを含有する100mMのTris-HCl(pH9.2)、20mMのKCl、20mMのDTT、1mMのdNTP、28mMの(NHSOを含む溶液をそれぞれ10μLずつ添加混合した。すなわち、DNase処理後の混合液に上記溶液を添加し、DNaseI、RNase阻害剤及びプライマー以外の終濃度を表3の反応液5に記載の成分とした。次に、37℃で15分間、85℃で5秒間の反応を行った。反応後のマウスゲノムDNAの残存量は、Rsp18遺伝子領域を標的配列とした40 cyclesのリアルタイムPCRにより評価した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。
 リアルタイムPCRの結果、DNaseIを含まない混合液を用いた場合のCt値が22.68であったのに対して、DNaseIを含む混合液を用いた場合は増幅産物が一切確認できなかった。この結果から、本発明のcDNAの合成方法では、試料中に混在するDNAに由来する増幅産物の生成を避けられることを確認した。
実施例8 本発明の方法によるcDNA合成の効率
 本発明の方法によるcDNA合成の効率を、DNaseIと逆転写酵素とを同時に作用させる方法によるcDNA合成の効率と比較した。
(1)鋳型RNA
 鋳型としては、total RNA抽出キット NucleoSpin(登録商標)RNA II(マッハライ・ナーゲル社)の標準プロトコルに従ってゲノムDNAが除去され、精製されたマウス肝臓全RNA溶液を2μg/μLから20pg/μLに段階希釈したものを使用した。
(2)DNaseIと逆転写酵素とを同時に作用させる方法によるcDNA合成
 上記鋳型RNA溶液を1μL、実施例2の表3の反応液1に記載の成分、0.5mMのdNTP、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primer、100pmolのRandom 6mers、及び5UのDNaseIを含む計20μLの混合液を、鋳型RNAの濃度がそれぞれ異なる計6種類について調製した。また、鋳型RNA溶液の代わりに滅菌蒸留水1μLを添加した混合液も調製した。対照として、DNaseIを含まない以外は上記と同様の組成の混合液20μLも調製した。こうして調製した各混合液について37℃、15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃、5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
(3)本発明の方法によるcDNA合成
 上記(1)に記載の鋳型RNA溶液を1μL、実施例2の表3の反応液2に記載の成分、及び5UのDNaseIを含有する計10μLの混合液を、鋳型RNAの濃度がそれぞれ異なる計6種類について調製した。また、鋳型RNA溶液の代わりに滅菌蒸留水1μLを添加した混合液も調製した。対照として、DNaseIを含まない以外は上記と同様の組成の混合液10μLも調製した。こうして調製した混合液を42℃で2分間インキュベートした後、200UのPrimeScript(登録商標) RTase(タカラバイオ社)、20UのRNase Inhibitor(タカラバイオ社)、50pmolのOligo dT primerと100pmolのRandom 6mersを含有する100mMのTris-HCl(pH9.2)、20mMのKCl、20mMのDTT、1mMのdNTP、28mMの(NHSOを含む溶液を10μL添加混合した。すなわち、DNase処理後の混合液に逆転写酵素を含む上記溶液を添加し、逆転写酵素、DNaseI、RNase阻害剤及びプライマー以外の終濃度を実施例2の表3の反応液5に記載のものとした(反応液最終容量20μL)。次に、37℃で15分間の条件で逆転写反応を行った後、85℃で5秒間の条件で逆転写酵素を失活させた。
(4)リアルタイムPCRによるcDNA合成量の評価
 上記(2)、(3)により得られたcDNAの合成量を、Rsp18遺伝子領域を標的配列としたリアルタイムPCRにより評価した。なお、リアルタイムPCRには、SYBR Premix ExTaq(Perfect Real Time、タカラバイオ社)を用い、プライマー対としては、配列表の配列番号1に記載の核酸配列からなるプライマー及び配列表の配列番号2に記載の核酸配列からなるプライマーを用いた。リアルタイムPCRの結果を表7及び図2に示す。表7及び図2中「(3)」は上記(3)により得られたcDNAの合成量をリアルタイムPCRにより評価した結果を、「(2)」は上記(2)により得られたcDNAの合成量をリアルタイムPCRにより評価した結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
 表7及び図2に示す通り、DNaseIと逆転写酵素とを同時に作用させる方法、即ち、(2)方法のDNase(+)では、DNaseによってcDNA合成量が低下し、Ct値が大きくなった。この原因としては、逆転写反応により合成されたcDNAのDNaseによる分解が挙げられる。一方、本発明の方法では、DNaseによるcDNA合成への影響は認められなかった。
 本発明のcDNA合成方法及びキットは、広く遺伝子工学の分野に有用である。
SEQ ID NO:1 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Rsp18 gene.
SEQ ID NO:2 ; Primer to amplify the cDNA fragment of mouse Rsp18 gene.

Claims (8)

  1.  RNA及びDNAを含む試料中のDNAをエンドデオキシリボヌクレアーゼにより分解し処理試料とした後、エンドデオキシリボヌクレアーゼの熱失活又はエンドデオキシリボヌクレアーゼの除去を行うことなく、当該処理試料及び逆転写酵素を含有し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写反応を行うことを特徴とする、cDNAの合成方法。
  2.  下記工程(a)~(c):
    (a)RNA及びDNAを含む試料ならびにエンドデオキシリボヌクレアーゼを含む組成物を得る工程;
    (b)エンドデオキシリボヌクレアーゼが試料中のDNAを分解するのに十分な条件で、工程(a)で得られた組成物を処理する工程;及び
    (c)工程(b)で処理された組成物に添加剤と逆転写酵素を加えてエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない反応液を調製し、逆転写酵素による逆転写反応を行う工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3.  エンドデオキシリボヌクレアーゼがデオキシリボヌクレアーゼIである、請求項1に記載の方法。
  4.  逆転写酵素がモロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素である、請求項1に記載の方法。
  5.  添加剤が、還元剤、一価カチオン及びその塩からなる群より選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の方法。
  6.  一価カチオンがアンモニウムイオンである、請求項5に記載の方法。
  7.  cDNAの増幅方法であって、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法により合成されたcDNAを鋳型として遺伝子増幅反応を行う工程を含む方法。
  8.  下記(A)~(D):
    (A)エンドデオキシリボヌクレアーゼ、
    (B)緩衝剤、
    (C)逆転写酵素、及び
    (D)逆転写酵素が活性を示し、かつエンドデオキシリボヌクレアーゼが活性を示さない逆転写反応用の組成物を調製するための添加剤
    を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法のためのキット。
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