WO2011064885A1

WO2011064885A1 - 紐止め具

Info

Publication number: WO2011064885A1
Application number: PCT/JP2009/070109
Authority: WO
Inventors: 高橋　義信
Original assignee: Ykk株式会社
Priority date: 2009-11-30
Filing date: 2009-11-30
Publication date: 2011-06-03
Also published as: US9131750B2; CN102639023A; US20120279022A1; DE112009005405T5; TWI475162B; TW201118277A; DE112009005405B4; CN102639023B

Abstract

　紐の仮固定の保持力と操作性とを同時に向上できる紐止め具を提供する。複数の紐端部１Ａを収容可能な本体３を有する紐止め具２であって、本体は、略筒状のソケット１０とソケット１０内に挿入されるプラグ２０とを有し、ソケット１０は、紐用開口１１と、プラグ用開口１２と、紐端部１Ａを所定長さにわたって収容する収容部１３と、収容部１３内に収容された紐端部１Ａを係止する複数の係止部１４とを有し、プラグ２０は、ソケット１０のプラグ用開口１２を塞ぐ基部２１と、この基部２１から一体的に延設されソケット１０の収容部１３内に挿入される脚部２２と、紐端部１Ａを仮固定する仮固定部３０とを有し、仮固定部３０は、脚部２２から側方へ突出する第１突起３１，２３および第２突起３２を有し、第1突起は脚部２２の延設方向に沿って２つ以上が配列されるとともに、第２突起は第１突起の間の間隔と対向して配置されている。

Description

紐止め具

　本発明は、紐端部に装着される紐止め具に関する。

　従来、紐は様々な用途で用いられる。例えば、靴や鞄あるいは衣服や装身具における開口部等の封止、寸法等の調整には紐が多用されている。また、物品の連結や貨物の固定等に実に多様な状況において紐が用いられている。
　なお、ここでいう紐とは、結束等が可能ないわゆる紐状体を総称するものであり、一般的な紐、ワイヤ、ケーブル等の他、テープ、ベルトまでを含むものである。

　これらの紐では一般に端部処理が行われる。すなわち単に切断しただけの状態では断面の外観あるいは手触りが劣るほか、編んだ素材では解れを生じることがある。端部処理としては、単純なものは結び目を作ることが挙げられる。また、操作性や装飾性を高めるために専用の紐止め具を装着することがなされている。

　紐止め具としては、紐に結び目を作る手間を解消できるように、紐端部（紐の端から所定長さの領域）を包み込むようにしたものが開発されている。
　具体的には、略筒状の雌パーツに紐端部を挿入し、反対側から挿入された雄パーツの脚部で雌パーツ内部の紐を挟み付けるものがある（特許文献１参照）。

　特許文献１の紐止め具では、脚部の側面には紐に喰い付くためのスパイク状突部の列が形成されるとともに、この列を挟んで一対の保持板部が形成されている。このような紐止め具を紐端部に装着する場合、先ず紐端部を雌パーツの一方の開口から挿入し、反対側から引き出された紐端部を一対の保持板部に保持させておく。この状態では、スパイク状突部は紐に対向するだけで食い付いてはいない。次に、前記一方の開口から紐を引き出しつつ、反対側の開口へと脚部および紐端部を徐々に導入してゆくことにより、紐端部と脚部が雌パーツ内に完全に収容され、雌パーツ内側と脚部のスパイク状突部とにより紐が挟持され、固定が行われる。

特開２００５－２９６１７８号公報

　前述した特許文献１では、装着にあたって、一方の開口から紐を引き出しつつ、反対側の開口では紐端部と脚部とを同時に導入することが必要である。この際、一対の保持板部に紐を保持させたことにより、紐と脚部との一体性が得られ、このような仮固定によって操作性が大幅に向上している。
　しかし、特許文献１の一対の保持板部は、紐の連続方向に所定長さの板部が対向する形状であるため、これらの間に紐を圧入する操作が煩雑であった。
　一方で、特許文献１の一対の保持板部において、より安定した保持力を確保するためには、紐の連続方向の長さを拡張するか、あるいは一対の間隔を狭くする必要があり、何れも紐を圧入する操作を困難にするものであった。
　このようなことから、紐の仮固定の保持力と操作性とを同時に向上することが困難であった。

　本発明の目的は、紐の仮固定の保持力と操作性とを同時に向上できる紐止め具を提供することである。

　本発明の紐止め具は、複数の紐端部を収容可能な本体を有する紐止め具であって、前記本体は、略筒状のソケットと、前記ソケット内に挿入されるプラグとを有し、前記ソケットは、前記紐端部が挿入される紐用開口と、前記プラグが挿入されるプラグ用開口と、前記紐用開口および前記プラグ用開口に連通されかつ前記紐用開口から挿入された前記紐端部を所定長さにわたって収容する収容部と、前記収容部内に収容された前記紐端部を係止する複数の係止部とを有し、前記プラグは、前記ソケットの前記プラグ用開口を塞ぐ基部と、この基部から一体的に延設され前記ソケットの前記収容部内に挿入される脚部と、前記紐端部を仮固定する仮固定部とを有し、前記仮固定部は、前記脚部から側方へ突出する第１突起および第２突起を有し、前記第1突起および第２突起は前記脚部の延設方向に対して交互に突出していることを特徴とする。

　このような構成では、第１突起と第２突起との対向面間を紐の直径より小さくしておくことで、紐端部を第１突起と第２突起との間に挟んで仮固定しておくことができる。この際、第１突起と第２突起とは、互いに正面で対向するのではなく、脚部の延設方向にずらされ、いわばジグザグ配列されているため、紐をこれらのジグザグ間に迂回させることで、一対の板材の間に圧入するよりも保持を容易に行うことができる。

　本発明において、前記第1突起は前記脚部の延設方向に沿って２つ以上が配列されるとともに、前記第２突起は前記第１突起の間の間隔と対向して配置されていることが望ましい。
　このような構成では、前述したジグザグ配列を最も簡単な構成で実現することができる第１突起および第２突起のそれぞれが脚部の延設方向に所定長さにわたって紐端部と圧接するため、相互の摩擦力を確保して仮固定の保持性を高めることができる。

　本発明において、前記プラグは、前記脚部の側面に沿って前記脚部の延設方向に延びるプラグ側紐収容部を有し、前記プラグ側紐収容部は前記第1突起と第２突起との間にあることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の紐止め具。
　このような構成では、前述したジグザグ配列された前記第1突起と第２突起との間の空間をプラグ側紐収容部とすることで、紐をこのプラグ側紐収容部に確実に収容し、保持することができる。

　本発明において、前記第１突起および前記第２突起は、それぞれ前記脚部の延設方向に沿った板状の突起であることが望ましい。
　このような構成では、第１突起および第２突起のそれぞれが脚部の延設方向に所定長さにわたって紐端部と圧接するため、相互の摩擦力を確保して仮固定の保持性を高めることができる。

　本発明において、前記第１突起および前記第２突起は、互いの対向する面の角隅が９０度以下に尖らされていることが望ましい。
　このような構成では、第１突起および第２突起の間をジグザグに迂回する紐端部に、それぞれの角隅が喰い込むことで、仮固定の保持性を高めることができる。

　本発明において、前記第１突起および前記第２突起は、各々の前記脚部の延設方向の設置範囲が互いに異なることが望ましい。
　このような構成では、第１突起および第２突起が前記脚部の延設方向の同じ領域で互いに平行となる部分がなく、これらの間に紐端部を圧入するための強い力が必要ない。また、第１突起および第２突起が前記脚部の延設方向に相互に重ならないことから、合成樹脂の射出成形等で製造する際に可動中子などを用いる必要性を回避することができる。

本発明の一実施形態のソケットおよびプラグを示す部分破断分解斜視図。前記実施形態のプラグを示す平面図。前記実施形態のプラグを示す側面図。前記実施形態のプラグの変形状態を示す側面図。前記実施形態においてプラグがソケットに挿入される前の状態を示す図。前記実施形態においてプラグがソケットに係合される直前の状態を示す図。前記実施形態のプラグの成形金型を示す側面図。本発明の他の実施形態を示す側面図。

　以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
　図１に示すように、本実施形態の紐止め具２は、Ｕ字状に屈曲させた紐１の両端など、２本の紐端部１Ａを並列に収容する本体３を有する。
　紐１は、たとえば、ジッパーのスライダの孔に挿通されて２つに屈曲され、各紐端部１Ａが紐止め具２に挿入された状態で使用（スライダを操作する際につまみとして利用）される。なお、紐１の断面形状（例えば、丸紐や平紐など）や材質などについては、問わないが、例えば、ゴム紐のような縮径率が大きいものについてはより効果を発揮できる。
　本体３は、筒状のソケット１０と、このソケット１０内に挿入係合されるプラグ２０とを備えている。これらのソケット１０およびプラグ２０は、例えば合成樹脂の射出成形品としてそれぞれ一体に形成される。

　図１において、ソケット１０は、隙間を隔てて対向する一対の平坦な主壁１０Ａ，１０Ｂおよびその両側を連結する曲面状の側壁１０Ｃ，１０Ｄを有する。筒状体の一端には紐端部１Ａが挿入される紐用開口１１が形成され、他端にはプラグ２０が挿入されるプラグ用開口１２が形成されている。
　ソケット１０の内部には、紐用開口１１およびプラグ用開口１２に連通されかつ紐用開口１１から挿入された紐端部１Ａを所定長さにわたって収容する収容部１３が形成されている。

　収容部１３は、プラグ２０の挿入方向に対する直交方向の断面形状が、プラグ用開口１２と略同一形状で、かつ、プラグ２０の挿入方向に沿って略同一形状（略扁平長円形状）に形成されている。
　側壁１０Ｃ，１０Ｄ間の寸法は、プラグ用開口１２側から紐用開口１１側までプラグ２０の挿入方向においてずっと略同一寸法である。
　主壁１０Ａ，１０Ｂ間の寸法は、プラグ用開口１２側ではプラグ２０の挿入方向へ向かうに従って次第に狭くなり、中間では一定の間隔であり、紐用開口１１側の所定区間は中間部分より狭いが一定の間隔とされている。

　収容部１３の紐用開口１１側の区間（中間部分より狭い部分）は、収容部１３内に収容された紐端部１Ａを係止する断面長円形状の係止部１４とされている。係止部１４は、側壁１０Ｃ，１０Ｄに沿った内面１５が円筒面状に形成され、その曲率半径は紐１に合わせて設定されている。
　内面１５には、側壁１０Ｃ，１０Ｄに沿った部分に、紐端部１Ａの周方向（つまり紐端部１Ａの連続方向と交差する方向）に沿って連続する三角形の凹凸形状１６が形成されている。
　これらの内面１５および凹凸形状１６により、係止部１４に挿通された紐端部１Ａは、内面１５に密接されるとともに、凹凸形状１６に圧着されることで、紐端部１Ａに対する引き抜き抵抗が大きくなる（食い付きがより強力になる）ように構成されている。

　係止部１４には、主壁１０Ａ，１０Ｂに沿った平坦部分の中央に案内部１７が形成されている。
　案内部１７は、係止部１４に溝状に形成され、収容部１３の中間部分に面する主壁１０Ａ，１０Ｂから連続してプラグ２０の挿入方向へ延びている。案内部１７は、プラグ２０がソケット１０に挿入する方向（プラグ挿入方向）に進むにつれて幅が狭くなる先細り形状とされている。

　ソケット１０のプラグ用開口１２近傍には、ソケット１０とプラグ２０との係合を維持するための係合受部１８が形成されている。
　係合受部１８は、収容部１３に面したソケット１０の内面に形成され、主壁１０Ａ，１０Ｂ、側壁１０Ｃ，１０Ｄのそれぞれに沿って計４つが形成されている。本実施形態において、ソケット１０側の係合受部１８は半球状に凹んだ形状とされ、プラグ２０側の対応位置に形成される凸形状と係合可能である。

　図１、図２、図３および図４に示すように、プラグ２０は、ソケット１０のプラグ用開口１２を塞ぐ基部２１と、この基部２１から一体的に延設されソケット１０の収容部１３内に挿入される脚部２２とを有する。
　基部２１は、ソケット１０のプラグ用開口１２に嵌合する輪郭形状、つまり、厚みが略一様で、プラグ挿入方向から見た形状が略扁平長円形状に形成されている。
　脚部２２は、基端側の両側に張り出した張出部２３を有し、この張出部２３は基部２１の内側両端近傍に形成された台座２５に支持されている。これらの支持構造により、脚部２２は基部２１の内側の中央からプラグ２０の差込み方向へ延設されている。
　脚部２２は、先端が先細り状とされかつ上面、下面および両側の側面からなる板状に形成され、ソケット１０とプラグ２０とが係合状態とされた時、先端がソケット１０の係止部１４内に到達する長さとされている（図７参照）。

　図２および図３のように、台座２５の側面にはそれぞれ係合突部２５Ａが形成されている。また、基部２１と張出部２３との間には隙間２３Ａが形成され、この空間に面した基部２１の内側面には突条２６が形成され、突条２６の両端には係合突部２６Ａが形成されている。
　ソケット１０とプラグ２０とが係合状態とされた時、係合突部２５Ａはソケット１０の係合受部１８のうち側壁１０Ｃ，１０Ｄに沿ったものと係合し、係合突部２６Ａはソケット１０の係合受部１８のうち主壁１０Ａ，１０Ｂに沿ったものと係合し、これらの係合により、プラグ２０がソケット１０から抜け出すことを防止する抜け止めが形成されている。

　なお、プラグ２０は全体が弾性を有する合成樹脂材料で一体成形されており、張出部２３と台座２５との間で変形することで、脚部２２は基部２１に対して、図４のように揺動することが可能である。これにより、紐端部１Ａの位置をプラグ２０の所定位置に設置しやすくなり、組み立て性を向上できる。また、ソケット１０にプラグ２０を挿入した状態で、脚部２２が紐端部１Ａ等から力を受けて変位しても、基部２１は脚部２２に対して揺動することで、ソケット１０のプラグ用開口１２を覆う位置を確実に維持することができる。

　脚部２２の先端側には、両側にそれぞれ複数の係止突起２４が配列されている。係止突起２４は、それぞれ先端が尖った円錐形とされ、プラグ２０とソケット１０とが係合状態とされた時、係止突起２４がソケット１０の内壁である係止部１４の円筒状の内面と向かいあい、その間に挿通される紐端部１Ａに係止突起２４の先端が喰い込み、紐端部１Ａの確実な抜け止めが行われるようになっている。

　脚部２２の延設方向の中間部には、両側にそれぞれ複数の保持突起３１，３２が配列されている。脚部２２の側面には、複数の保持突起３１，３２の間に、紐端部１Ａを収容可能なプラグ側紐収容部３０Ａが形成されている。保持突起３１は脚部２２の一方の辺縁すなわち上面側に沿って板状に形成され、その一方の表面は張出部２３と同一平面とされている。保持突起３２は脚部２２の他方の辺縁すなわち下面側に沿って板状に形成され、張出部２３および保持突起３１と向かい合うとともに、脚部２２の延設方向つまりプラグ２０の挿入方向の位置が張出部２３と保持突起３１との間とされている。従って、脚部２２の下面側から突出した保持突起３２は、脚部２２の上面側から突出した張出部２３および保持突起３１との間の間隔部分とプラグ側紐収容部３０Ａを挟んで対向し、脚部２２の延設方向に互いにジグザグ状となるように配置されている。

　図１および図３に示すように、保持突起３１，３２および張出部２３の対向する表面から脚部２２の側面にかけては、それぞれ円筒面状に形成され、その曲率は紐端部１Ａの半径に準じて形成されている。
　保持突起３１および張出部２３と保持突起３２との間隔は、紐端部１Ａの直径とよりやや小さく形成されている。従って、紐端部１Ａを保持突起３１および張出部２３と保持突起３２との間に挟んで保持することができるとともに、保持突起３１および張出部２３と保持突起３２とは前述のようにジグザグ状に配置されているため、紐端部１Ａは蛇行することで過剰な圧迫を受けることがなく、これらの間に容易に挿入して保持することができる。
　なお、保持突起３２の先端には、そのプラグ側紐収容部３０Ａ側に、このプラグ側紐収容部３０Ａに収容された紐端部１Ａを係止する脱落防止用の突条３３が形成されている。

　また、保持突起３１，３２および張出部２３の紐端部１Ａに接触する角隅部分は９０度以下の鋭角とされ、紐端部１Ａを保持した際に抜け止めとなるように形成されている。
　これらの保持突起３１，３２および張出部２３により仮固定部３０が形成され、プラグ側紐収容部３０Ａよりも脚部２２の下面側にある保持突起３１および張出部２３が第１突起を構成し、プラグ側紐収容部３０Ａよりも脚部２２の上面側にある保持突起３２が第２突起を構成するようになっている。

　本実施形態では、張出部２３は保持突起３２と同様な作用を有するものとし、プラグ側紐収容部３０Ａに収容された紐端部１Ａを保持するべく脚部２２から突出しているが、プラグ側紐収容部３０Ａに収容された紐端部１Ａの保持を保持突起だけで行うようにしてもよい。
　本実施形態では、脚部２２の上面側の保持突起３１と、下面側の保持突起３２および張出部２３とが、プラグ側紐収容部３０Ａを挟んで互い違いとなるように、それぞれ脚部２２から突出して形成されている。しかし、保持突起としては、上面側に１つで下面側に２つに限らず、上面側に２つで下面側に１つであってもよいし、各側に２つ以上が配置されていてもよい。

　このような本実施形態においては、以下に述べる手順により紐端部への装着を行う。
　図５に示すように、紐１の２本の紐端部１Ａをソケット１０の紐用開口１１から挿入し、収容部１３を通してプラグ用開口１２から引き出し、プラグ２０の仮固定部３０に仮固定する。
　具体的には、紐端部１Ａを仮固定部３０に沿わせ（図５の紐端部１Ａ１の状態）、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３と保持突起３２との間に側方から押し込む（図５の紐端部１Ａ２の状態）。この際、紐端部１Ａを保持突起３１，３２および張出部２３のジグザグ状に応じて蛇行させることで、仮固定を容易に行うことができる。

　図６に示すように、指で基部２１をソケット１０の方向へ押しつつ、紐１をソケット１０から引き抜くことで、プラグ２０がソケット１０に接近し、さらには脚部２２がソケット１０内に挿入されてゆく。紐端部１Ａは脚部２２の先端がソケット１０内に入る際に係止突起２４に強く押しつけられ、係止突起２４が紐端部１Ａに喰い込む。さらにプラグ２０がソケット１０内に押し込まれるにつれ、脚部２２の先端は細くなった係止部１４に到達し、係止突起２４が紐端部１Ａに一層強く喰い込んで確実な抜け止めがなされる。
　これらの操作の間、紐端部１Ａの先端側は仮固定部３０に保持されているため、操作を容易に行うことができる。

　やがて、プラグ２０がソケット１０に十分挿入され、プラグ２０がソケット１０に完全に挿入されると、プラグ２０の係合突部２５Ａはソケット１０の側壁１０Ｃ，１０Ｄに沿った係合受部１８と係合し、係合突部２６Ａはソケット１０の主壁１０Ａ，１０Ｂに沿った係合受部１８と係合し、これらの係合により、プラグ２０がソケット１０から抜け出すことを防止する抜け止めが形成される。

　以上のような本実施形態によれば、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）との対向面間を紐端部１Ａの直径と略同等またはより小さくしておくことで、紐端部１Ａを第１突起と第２突起との間に挟んで仮固定しておくことができる。この際、第１突起と第２突起とは、互いに正面で対向するのではなく、脚部の延設方向にずらされ、いわばジグザグ配列されているため、紐をこれらのジグザグ間に迂回させることで、一対の板材の間に圧入するよりも保持を容易に行うことができる。

　本実施形態において、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）は、それぞれ脚部２２の延設方向に沿った板状の突起であるとしたため、第１突起および第２突起のそれぞれが脚部２２の延設方向に所定長さにわたって紐端部１Ａと圧接するため、相互の摩擦力を確保して仮固定の保持性を高めることができる。

　本実施形態において、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）は、互いの対向する面の角隅が９０度以下に尖らされているため、第１突起および第２突起の間をジグザグに迂回する紐端部１Ａに、それぞれの角隅が喰い込むことで、仮固定の保持性を高めることができる。

　本実施形態において、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）さらには係止突起２４は、各々の脚部２２の延設方向の設置範囲が互いに異なるため、第１突起および第２突起が互いに平行となる部分がなく、これらの間に紐端部１Ａを圧入するための強い力が必要ない。
　また、このように脚部２２の延設方向に重ならない配置とすることで、投影方向に相互に重ならないことから、合成樹脂の射出成形等で製造する際に可動中子などを用いる必要性を回避することができる。

　図７において、プラグ２０を成形するために、一対の金型４１，４２を用いることができる。ここで、上側の金型４１は、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）の各々の上面を形成することができ、下側の金型４２は、前記各々の下面を形成することができる。
　これは保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）とさらには係止突起２４が脚部２２の延設方向の設置範囲が互いに異なっている、換言すれば重ならないために可能な構成である。もしこれらを重なる配置とするならば、アンダーカットが生じ、これを成形するための金型は図７のような簡単な構成とすることができない。

　本実施形態においては、プラグ２０の係止突起２４が脚部２２の先端に形成され、ソケット１０の係止部１４が紐用開口１１の近傍に配置されていたため、紐端部１Ａはプラグ２０とソケット１０とが完全に挿入される直前までは広い収容部１３を通り、紐端部１Ａに係止突起２４が強く喰い込むことはなく、プラグ２０をソケット１０にスムーズに挿入することができ、組立操作を円滑かつ容易に行える。

　一方、プラグ２０とソケット１０とが完全に挿入される直前になると、狭い係止部１４に送り込まれた紐端部１Ａは圧迫されて係止突起２４の喰い込みを受けることになり、紐端部１Ａが確実に拘束され、抜ける等の不都合を防止できるから、止着性能を向上させることができる。

　プラグ２０は、ソケット１０のプラグ用開口１２を塞ぐ基部２１と、この基部２１から一体的に延設されソケット１０の収容部１３内に挿入される脚部２２とから構成されているから、ソケット１０のプラグ用開口１２をプラグ２０の基部２１で塞ぐことができる。従って、外観的にも良好にできるとともに、塵埃などがソケット１０内に入るのを防止できる。

　なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
　前記実施形態では、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）は、互いの対向する面の角隅が９０度以下に尖らされているとしたが、その何れかあるいは全てを９０度より大きい角度としてもよい。この場合、紐端部１Ａに対する角隅の喰い込みによる仮固定の保持性が低下するため、これを補うように他の手段を講じることが望ましい。

　前記実施形態では、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）は、それぞれ脚部２２の延設方向に沿った板状の突起であるとしたが、その何れかあるいは全てを円柱状、角柱状あるいはその他の形状としてもよい。このような場合、第１突起および第２突起のそれぞれが脚部２２の延設方向に所定長さにわたって紐端部１Ａと圧接することができないため、相互の摩擦力による仮固定の保持性が低下するため、これを補うように他の手段を講じることが望ましい。

　前記実施形態では、保持突起３２の先端に脱落防止用の突条３３を形成したが、これは省略してもよい。但し、脱落防止用の突条３３を形成することで紐端部１Ａの仮固定の保持性を高めることができる。一方、他の保持突起３１あるいは張出部２３の先端に同様な脱落防止用の突条を形成してもよい。

　前記実施形態では、台座２５および張出部２３を介して脚部２２を基部２１に接続したが、脚部２２と基部２１とを直接接続してもよい。但し、前記実施形態のように台座２５および張出部２３を用いることで、脚部２２を揺動可能とすることができる。
　前記実施形態では、プラグ２０の保持突起３１および張出部２３（第１突起）と保持突起３２（第２突起）を用いたが、第１突起および第２突起の形態としてはこれらに限定されない。
　例えば、図８に示す他の実施形態のように、突条３３を有する保持突起３２を２つ配列し、その間隔部分に保持突起３１を対向させてもよい。
　この場合、係止突起２４がプラグ側紐収容部３０Ａ内に配置されるようになってもよく、あるいは係止突起２４を脚部２２の先端側に限らず、側面の中間部分にまで配置してもよい。
　前記実施形態では、台座２５等を介して脚部２２を基部２１に屈曲可能に接続したが、脚部２２と基部２１とは直接固定してもよく、前記実施形態の第１突起を兼ねる張出部２３、台座２５および突条２６は省略してもよい。

　前記実施形態では、２本の紐端部１Ａを端部処理する紐止め具２を対象として説明したが、１本あるいは３本以上の紐端部（紐は１本でも、複数本でもよい）を端部処理する紐止め具であってもよい。この場合、ソケット１０に設ける係止部１４の形状や、脚部２２の数についても、紐端部１Ａの数に対応した数に変更すればよい。

　前記実施形態では、ジッパーのスライダ操作用紐の紐止め具に適用した例について説明したが、本発明は、これに限らず、他の紐端部処理用の止め具として利用できる。

　本発明は、各種用途の紐に対する紐止め具として利用することができる。

　１…紐、１Ａ…紐端部、３…本体、１０…ソケット、１０Ａ，１０Ｂ…主壁、１０Ｃ，１０Ｄ…側壁、１１…紐用開口、１２…プラグ用開口、１３…収容部、１４…係止部、１５…内面、１６…凹凸形状、１７…案内部、１８…係合受部、２０…プラグ、２１…基部、２２…脚部、２３…第１突起を兼ねる張出部、２３Ａ…隙間、２５Ａ…係合突部、２４…係止突起、２５…台座、２６…突条、２６Ａ…係合突部、３０…仮固定部、３０Ａ…プラグ側紐収容部、３１…第１突起である保持突起、３２…第２突起である保持突起、３３…突条、４１，４２…金型。

Claims

　複数の紐端部（１Ａ）を収容可能な本体（３）を有する紐止め具（２）であって、
　前記本体（３）は、略筒状のソケット（１０）と、前記ソケット（１０）内に挿入されるプラグ（２０）とを有し、
　前記ソケット（１０）は、前記紐端部（１Ａ）が挿入される紐用開口（１１）と、前記プラグ（２０）が挿入されるプラグ用開口（１２）と、前記紐用開口（１１）および前記プラグ用開口（１２）に連通されかつ前記紐用開口（１１）から挿入された前記紐端部（１Ａ）を所定長さにわたって収容する収容部（１３）と、前記収容部（１３）内に収容された前記紐端部（１Ａ）を係止する複数の係止部（１４）とを有し、
　前記プラグ（２０）は、前記ソケット（１０）の前記プラグ用開口（１２）を塞ぐ基部（２１）と、この基部（２１）から一体的に延設され前記ソケット（１０）の前記収容部（１３）内に挿入される脚部（２２）と、前記紐端部（１Ａ）を仮固定する仮固定部（３０）とを有し、
　前記仮固定部（３０）は、前記脚部（２２）から側方へ突出する第１突起（３１，２３）および第２突起（３２）を有し、前記第1突起（３１，２３）および第２突起（３２）は前記脚部（２２）の延設方向に対して交互に突出していることを特徴とする紐止め具（２）。
　前記第1突起（３１，２３）は前記脚部（２２）の延設方向に沿って２つ以上が配列されるとともに、前記第２突起（３２）は前記第１突起（３１，２３）の間の間隔と対向して配置されていることを特徴とする紐止め具（２）。
　前記プラグ（２０）は、前記脚部（２２）の側面に沿って前記脚部（２２）の延設方向に延びるプラグ側紐収容部（３０Ａ）を有し、前記プラグ側紐収容部（３０Ａ）は前記第1突起（３１，２３）と第２突起（３２）との間にあることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の紐止め具（２）。
　前記第１突起（３１，２３）および前記第２突起（３２）は、それぞれ前記脚部（２２）の延設方向に沿った板状の突起であることを特徴とする請求項１から請求項３の何れかに記載の紐止め具（２）。
　前記第１突起（３１，２３）および前記第２突起（３２）は、互いの対向する面の角隅が９０度以下に尖らされていることを特徴とする請求項１から請求項４の何れかに記載の紐止め具（２）。
　前記第１突起（３１，２３）および前記第２突起（３２）は、各々の前記脚部（２２）の延設方向の設置範囲が互いに異なることを特徴とする請求項１から請求項５の何れかに記載の紐止め具（２）。