WO2010126076A1

WO2010126076A1 - 眼科手術用カニューレとその製造方法

Info

Publication number: WO2010126076A1
Application number: PCT/JP2010/057540
Authority: WO
Inventors: 薫大金
Original assignee: マニー株式会社
Priority date: 2009-04-30
Filing date: 2010-04-28
Publication date: 2010-11-04
Also published as: JPWO2010126076A1

Abstract

【課題】　刺通抵抗を小さく抑えられ、且つ抜け防止となる突起を有するカニューレ及びその簡易な製造方法を提供する。【解決手段】　眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレ１であって、軸方向に挿通孔を有する筒状部２と、筒状部の眼球に刺通する側の端部を尖らせた尖端部３と、筒状部の尖端部とは反対の端部付近に設けられたフランジ部４と、尖端部又は尖端部付近の筒状部外周にシリコーンで形成された突起部５と、を有することを特徴とする。

Description

眼科手術用カニューレとその製造方法

　本発明は、眼科手術に用いられるカニューレとその製造方法に関するものである。

　眼球内にメス等の医療器具を挿通して行われる眼科手術では、通常、数種類の医療器具が使用される。このようなときに、医療器具を取り替える度に眼球（強膜）に穿孔することは、傷害を引き起こす可能性があるので、避けなければならない。そこで、ガイドパイプとしてカニューレを用いることで、１箇所穿孔するだけで複数の医療器具を使用できるようにしている。

　図５は、一般的なカニューレの使用方法を示している。カニューレ２０は、筒状部とフランジ部とを有している。筒状部の先端は、眼球１５の強膜１６に刺通し易くするため先が尖っていて、フランジ部は、カニューレ２０が眼球内へ入り込んでしまわないようにストッパーの役目をしている。こうして強膜１６に刺通されたカニューレ２０の挿通孔から医療器具１７を挿通し、眼球内の施術が行われる。

　ここで、カニューレ２０の挿通孔から医療器具１７を抜き出すとき、カニューレ２０も強膜１６から抜けてしまうことがある。そうすると、カニューレ２０を再度強膜１６に刺通することになり、カニューレを使用する意味が薄れてしまう。特に、筒状部の刺通性を良くするために筒状部の表面にシリコーンを塗布することが好ましいが、さらに抜けやすくなってしまうため、シリコーンを塗布して刺通性を良くすることはできなかった。このような問題を解消するために、特許文献１（国際公開第２００６／１０１２５９号）では、カニューレの筒状胴体のうち眼球内の空間に入る部分の表面に、突起を設けることで抜けにくくしている。

　図６は、特許文献１に記載されているカニューレである。このカニューレ２１は、筒状胴体を弾性および柔軟性を有するポリマー材料で形成し、その基端側端部に突起２２を形成しているため抜けにくくなっている。

国際公開第２００６／１０１２５９号

　しかしながら、一般的なカニューレはステンレスやポリイミドといった素材で製造されることが多いため、突起部を同一の素材で製造すると、突起部を形成することが煩雑であり、また、突起部の径が筒状部の径より大きいことから、刺通抵抗も大きくなってしまう。

　本発明は、斯かる実情に鑑み、刺通抵抗が小さく、且つ抜け防止となる突起部を有するカニューレ及びその簡易な製造方法を提供するものである。

　本発明は、眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレであって、軸方向に挿通孔を有する筒状部と、筒状部の眼球に刺通する側の端部を尖らせた尖端部と、筒状部の尖端部とは反対の端部付近に設けられたフランジ部と、尖端部又は尖端部付近の筒状部外周にシリコーンで形成された突起部と、を有することを特徴とするものである。なお、筒状部表面にシリコーンが塗布されていても良い。

　また、眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレの製造方法としては、挿通孔を有するカニューレの筒状部の表面にシリコーンを塗布する工程と、シリコーン塗布後に筒状部の眼球に刺通する側を下向きにした状態でシリコーンを乾燥させ、筒状部の先端付近に抜け防止となるシリコーンの突起部を形成する工程と、を有することを特徴とする。

　そして、シリコーンを塗布する工程が、カニューレをシリコーン溶液に浸漬する工程としても良く、そのとき、挿通孔にエアを吹きながら浸漬したり、挿通孔に棒状の詰め物をした状態で浸漬し、浸漬後に前記棒状の詰め物を取り外すことにしても良い。

　また、シリコーンを塗布する工程において、筒状部の表面に部分的に他の部分よりも厚くシリコーンを塗布し、乾燥させることにより、抜け防止用の突起部を形成することとしても良い。

　本発明のカニューレによれば、抜け防止となる突起部を簡易に形成することができ、この突起部は筒状部の表面に塗られるシリコーンで形成されることから、刺通抵抗を小さく抑えられるという優れた効果を奏し得る。さらに、筒状部表面にシリコーンを塗布する構成とすれば、筒状部の刺通性の良さおよび筒状部の抜けにくさという相反する性能を両立させることが可能となる。

本発明のカニューレの全体図である。本発明のカニューレの使用方法を示す図である。本発明のカニューレの正面図であり、（ａ）は尖端部に沿ってシリコーンの突起部を設けた場合、（ｂ）は筒状部の外周にシリコーンの突起部を設けた場合、（ｃ）は筒状部の外周に離散的にシリコーンの突起部を設けた場合を示す。本発明のカニューレをシリコーン液に浸漬する際の状況を示す図であり、（ａ）は挿通孔にエアを吹き付けながら浸漬する場合、（ｂ）は棒状の詰め物をして浸漬する場合を示す。一般的なカニューレの使用方法を示す図である。特許文献１に記載されているカニューレを示す図である。

　本発明は、眼球（強膜）に刺通されたカニューレに、シリコーンで形成した抜け防止の突起部を設けるものである。以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。

　図１は、本発明のカニューレの全体図であり、図２は、本発明のカニューレの使用方法を示す図である。カニューレ１は、強膜１６に刺通し、カニューレの挿通孔を通して、メス等の医療器具を出し入れするために用いられるものであるから、本体となる部分は筒形状をしている。この筒形状をした筒状部２の強膜に刺通する側の端部には、尖端部３が形成されている。尖端部３は、筒状部２を斜めに切り落とした形状をしており、その断面は楕円形である。

　また、筒状部２の尖端部３とは反対の端部付近には、フランジ部４が設けられている。フランジ部４は、カニューレ１が眼球内に入り込むことを防止するためのものなので、筒状部２から外に張り出した形状をしている。図１では、筒状部２の外周に沿って円形に張り出しているが、特に形状を限定する必要はない。また、張り出し量についても、特に規定はないが、抜け防止用に設けた突起部５よりは、大きく張り出している必要がある。

　筒状部２は、強膜１６を貫通しなければならないので、筒状部２のフランジ部４の下面から抜け防止用に設けた突起部５までの最短の長さが、強膜１６の厚さよりも長くなければならない。強膜の厚さは、個人差があるものの、約０．５～１．５ｍｍである。よって、フランジ部４の下面から突起部５までの最短長さは１．５ｍｍ超であれば良い。

　強膜１６に刺通する際は、カニューレ１単独で刺通しても良いが、挿通孔にメス等の医療器具を挿通した状態で刺通すると、先にメス等の刃部が穿孔するため、一度で刺通でき、カニューレ１を取り付け易くなる。また、挿通している医療器具を抜き出した後は、硝子体液が出ないようにキャップ６等にて、ふたをする必要がある。

　カニューレ１の材質は、ステンレスやポリイミド等が一般的であり、刺通抵抗を下げるために、筒状部２の表面にはシリコーンが塗布されることがある。本発明では、シリコーンの一部を厚くすることによって、抜け防止用の突起部５にする。

　図３は、本発明のカニューレの正面図であり、（ａ）は尖端部に沿ってシリコーンの突起部を設けた場合、（ｂ）は筒状部の外周にシリコーンの突起部を設けた場合、（ｃ）は筒状部の外周に離散的にシリコーンの突起部を設けた場合を示す。図３（ａ）に示すカニューレ１のように、尖端部３の形状に沿って、斜めにシリコーンの突起部５を設けると、刺通抵抗があまり大きくならないと考えられる。また、シリコーンを全体に厚く塗り、尖端部３を下向きにして乾燥させると、シリコーンが重力によって垂れ下がり、尖端部付近に溜まって、自然にこのような形態になる。また、図３（ｂ）に示すカニューレ１のように、尖端部３の上方で筒状部２の外周にシリコーンの突起部５を設けても良く、この場合は突起部５全体が同時に強膜に引っかかるため、抜け防止としての効果は強いと考えられる。図３（ｃ）に示すカニューレ１は、筒状部２の外周に離散的にシリコーンの突起部５を設けたものであるが、このような形態であれば、一応は抜け防止としての効果を奏することができ、刺通抵抗はあまり大きくならないと考えられる。これらのように、シリコーンの突起部５の形態や大きさについては、特に限定しているわけではなく、抜け防止としての効果を奏することができれば良い。突起部５の大きさ、即ち厚み（筒状部２から張り出している部分）については、５μｍ以上であれば抜け防止の効果を発揮することができると考えられる。

　シリコーンを塗布する方法は、刷毛等で塗ったり、スポイトや注射器や定量吐出装置等で滴下したりしても良いし、カニューレをシリコーン液に浸漬しても良い。刷毛やスポイト等を使うと厚く塗りたい箇所を塗り分けることができるが、シリコーン液に浸漬する方法では、早くかつ簡易に塗布できる。しかし、シリコーン液に浸漬する場合は、カニューレの挿通孔内にシリコーンが付着する可能性があり、それによって目詰まりを起こしたり、また、メス等を出し入れする際に、挿通孔内のシリコーンが眼球内部に剥がれ落ちることが懸念される。

　図４は、本発明のカニューレをシリコーン液に浸漬する際の状況を示す図であり、（ａ）は挿通孔にエアを吹き付けながら浸漬する場合、（ｂ）は棒状の詰め物をして浸漬する場合を示す。このように、挿通孔にエア１０を吹き付けながら浸漬したり、予め挿通孔に棒などの詰め物１１をした状態で浸漬し、その後、取り外すという対応により、カニューレ１の挿通孔内面にシリコーンが付着することを防ぐことができる。このようにしてシリコーンを塗布し、尖端部を下向きにして乾燥させると、図３（ａ）のような突起部５が簡易に形成される。

１　　　　　　カニューレ
２　　　　　　筒状部
３　　　　　　尖端部
４　　　　　　フランジ部
５　　　　　　突起部
６　　　　　　キャップ
１０　　　　　エア
１１　　　　　詰め物
１５　　　　　眼球
１６　　　　　強膜
１７　　　　　医療器具（メス等）

Claims

　眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレであって、
　軸方向に挿通孔を有する筒状部と、
　前記筒状部の眼球に刺通する側の端部を尖らせた尖端部と、
　前記筒状部の前記尖端部とは反対の端部付近に設けられたフランジ部と、
　前記尖端部又は前記尖端部付近の前記筒状部外周にシリコーンで形成された突起部と、を有することを特徴とするカニューレ。
　眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレであって、
　軸方向に挿通孔を有する筒状部と、
　前記筒状部の眼球に刺通する側の端部を尖らせた尖端部と、
　前記筒状部の前記尖端部とは反対の端部付近に設けられたフランジ部と、
　前記筒状部の表面に塗布されたシリコーンと、
　前記尖端部又は前記尖端部付近の前記筒状部外周にシリコーンで形成された突起部と、を有することを特徴とするカニューレ。
　眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレの製造方法であって、
　挿通孔を有する前記カニューレの筒状部の表面にシリコーンを塗布する工程と、
　前記筒状部の眼球に刺通する側を下向きにした状態でシリコーンを乾燥させ、前記筒状部の先端付近に抜け防止となるシリコーンの突起部を形成する工程と、を有することを特徴とするカニューレの製造方法。
　前記シリコーンを塗布する工程が、前記カニューレをシリコーン溶液に浸漬する工程であることを特徴とする請求項３に記載のカニューレの製造方法。
　前記カニューレをシリコーン溶液に浸漬する工程が、前記挿通孔にエアを吹きながら行われることを特徴とする請求項４に記載のカニューレの製造方法。
　前記カニューレをシリコーン溶液に浸漬する工程が、前記挿通孔に棒状の詰め物をした状態で浸漬し、浸漬後に前記棒状の詰め物を取り外すことを特徴とする請求項４に記載のカニューレの製造方法。
　眼科手術において眼球に刺通して用いられるカニューレの製造方法であって、
　挿通孔を有する前記カニューレの筒状部の表面に部分的に他の部分よりも厚くシリコーンを塗布する工程と、
　前記シリコーンを乾燥させ、抜け防止となるシリコーンの突起部を形成する工程と、を有することを特徴とするカニューレの製造方法。